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明細書 :高発現プロモーター

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 高発現プロモーター
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 1/19
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 17
出願番号 特願2016-539830 (P2016-539830)
国際出願番号 PCT/JP2015/003793
国際公開番号 WO2016/021149
国際出願日 平成27年7月29日(2015.7.29)
国際公開日 平成28年2月11日(2016.2.11)
優先権出願番号 2014158646
優先日 平成26年8月4日(2014.8.4)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】星田 尚司
【氏名】赤田 倫治
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100188352、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 一弘
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
【識別番号】100150902、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 正子
【識別番号】100141391、【弁理士】、【氏名又は名称】園元 修一
【識別番号】100198074、【弁理士】、【氏名又は名称】山村 昭裕
審査請求 未請求
テーマコード 4B065
Fターム 4B065AA80X
4B065AA80Y
要約 TDH3プロモーターやGAL10プロモーターよりも高発現のプロモーターを提供することを課題とする。
酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターであって、酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えており、前記酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列が、(a)配列番号1~4に示す塩基配列;(b)配列番号1~4に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された配列;(c)配列番号1~4に示す塩基配列と90%以上の同一性を有する配列;の(a)~(c)のいずれかの配列であるプロモーターを作製する。
特許請求の範囲 【請求項1】
酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターであって、酵母のTDH3又はGAL10遺伝子のプロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えており、前記酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列が、以下に示す(a)~(c)のいずれかの配列であることを特徴とするプロモーター。
(a)配列番号1~4に示す塩基配列;
(b)配列番号1~4に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加、若しくは挿入された配列;
(c)配列番号1~4に示す塩基配列と90%以上の同一性を有する配列;
【請求項2】
酵母が、サッカロマイセス・セレビシエであることを特徴とする請求項1記載のプロモーター。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプロモーターを含む組換えベクター。
【請求項4】
請求項3記載の組換えベクターが導入された酵母の形質転換体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターに関し、より詳しくは、酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターであって、酵母のTDH3又はGAL10遺伝子のプロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えたプロモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
酵母は酵素や医薬品用タンパク質の生産宿主として利用されており、これらタンパク質の生産性を高めるには高発現プロモーターの利用は不可欠である。これまでに酵母においてタンパク質を高発現させるために、様々な高発現プロモーターが利用されている。かかるプロモーターとしては、恒常的高発現のTDH3遺伝子のプロモーター(以下、「TDH3プロモーター」ともいう)、PGK1遺伝子のプロモーター、ADH1遺伝子のプロモーター、誘導的高発現のGAL1遺伝子のプロモーター、GAL10遺伝子のプロモーター(以下、「GAL10プロモーター」ともいう)、CUP1遺伝子のプロモーター、PHO5遺伝子のプロモーターなどがあり、中でも恒常的に発現量の強さが期待できるものとして、TDH3遺伝子のプロモーターやPGK遺伝子のプロモーターなど、解糖系遺伝子のプロモーターが好んで利用されている。
【0003】
また、さらなるタンパク質の生産性向上を求めて、例えば、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)の染色体におけるPIR1遺伝子の上流に位置し、当該PIR1遺伝子の発現を制御している領域からなるプロモーターを利用する方法(特許文献1参照)や、TDH3遺伝子の開始コドンの5’側上流150塩基対よりさらに5’側上流の非翻訳領域と外来の異種遺伝子とから成るDNA断片を利用する方法(特許文献2参照)や、酵母のピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(PDC)のプロモーターの制御下に目的遺伝子をゲノムに導入することを特徴とする遺伝子発現方法(特許文献3参照)や、人工的なイントロン様配列によって高発現させる方法(非特許文献1参照)が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記プロモーターを用いても、絶対的な発現量は古くから用いられているTDH3プロモーターやGAL10プロモーターなどからほとんど改善されていないのが現状であり、より高い発現能力を有するプロモーターの開発が求められていた。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2013-179899号公報
【特許文献2】特開平08-168380号公報
【特許文献3】特開2003-164295号公報
【0006】

【非特許文献1】L. Li et al., Letters in Applied Microbiology 40:347-352 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、TDH3プロモーターやGAL10プロモーターよりも高発現のプロモーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、酵母遺伝子破壊株を用いたゲノムワイド解析から、イントロンに発現能力を高める作用があることに着目するに至った。また、開始コドン上流にイントロンがあれば、構造遺伝子を操作することなく過剰発現可能であると考えた。そこで、開始コドンより上流、又は開始コドン領域近くにイントロンを含むプロモーター配列をゲノム上から探した。その結果、いくつかのリボソーマルタンパク質(以下、「RPS」ともいう)をコードする遺伝子であるリボソーマルタンパク質遺伝子のプロモーター配列が高い活性を持つことを明らかにした。
【0009】
さらに、これらのプロモーター配列のエンハンサー領域を、一般的高発現プロモーターであるTDH3プロモーター及び誘導型高発現プロモーターであるGAL10プロモーターのエンハンサー領域に置換することでより発現能力が高まると考えた。そこで、分泌性ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として、リボソーマルタンパク質遺伝子のプロモーターのイントロン配列の上流の様々な位置にTDH3プロモーター配列を配置して発現を調べたところ、イントロン配列のすぐ上流にTDH3プロモーター配列を配置した時に最もルシフェラーゼ活性が高いことが明らかとなった。さらにガラクトース誘導性の高発現プロモーターであるGAL10プロモーター配列をリボソーマルタンパク質遺伝子プロモーターのイントロン配列の上流に配置したプロモーターではガラクトース誘導的にルシフェラーゼ活性が高いことを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は以下に開示されるとおりのものである。
(1)酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターであって、酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えており、前記酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列が、以下に示す(a)~(c)のいずれかの配列であることを特徴とするプロモーター。
(a)配列番号1~4に示す塩基配列;
(b)配列番号1~4に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加、若しくは挿入された配列;
(c)配列番号1~4に示す塩基配列と90%以上の同一性を有する配列;
(2)酵母が、サッカロマイセス・セレビシエであることを特徴とする上記(1)記載のプロモーター。
(3)上記(1)又は(2)記載のプロモーターを含む組換えベクター。
(4)上記(3)記載の組換えベクターが導入された酵母の形質転換体。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプロモーターは、TDH3プロモーターの15倍以上、GAL10プロモーターの10倍以上もの高発現能力を有する。かかるプロモーターを用いることで、酵母における酵素や医薬品用タンパク質などの有用物質を効率よく生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】TDH3プロモーター配列-RPSイントロン配列-yCLuc株を培養し、培養液中のルシフェラーゼの相対発現量(RLU/(μl・OD))を調べた結果を示す図である。
【図2】GAL10プロモーター配列-RPS25Aのイントロン配列-yCLuc株、及びTDH3プロモーター配列-RPS25Aのイントロン配列-yCLuc株を培養し、培養液中のルシフェラーゼの相対発現量(RLU/(μl・OD))を調べた結果を示す図である。
【図3】TDH3プロモーター配列-長さの異なるRPS25Aプロモーター配列-yCLuc株を培養し、培養液中のルシフェラーゼの相対発現量(RLU/(μl・OD))を調べた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のプロモーターとしては、酵母において目的遺伝子を高発現させるためのプロモーターであって、酵母のTDH3又はGAL10遺伝子のプロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えており、前記酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列が以下に示す(a)~(c)のいずれかの配列であることを特徴とするプロモーターであれば特に制限されず、プロモーターとは、目的遺伝子配列の上流に配置され、RNAポリメラーゼが結合することにより、下流に配置された遺伝子の発現を制御することができる領域の塩基配列を意味し、エンハンサー領域も含まれる。なお、本発明のプロモーターが備える配列は、上述のように酵母のTDH3又はGAL10遺伝子のプロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを組み合わせた配列であることから、自然産物ではない。
(a)配列番号1~4に示す塩基配列;
(b)配列番号1~4に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された配列;
(c)配列番号1~4に示す塩基配列と90%以上の同一性を有する配列;

【0014】
なお、配列番号1に示す塩基配列は、リボソーマルタンパク質遺伝子24A(RPS24A)のイントロン配列、配列番号2に示す塩基配列は、リボソーマルタンパク質遺伝子25A(RPS25A)のイントロン配列、配列番号3に示す塩基配列は、リボソーマルタンパク質遺伝子26A(RPS26A)のイントロン配列、配列番号4に示す塩基配列は、リボソーマルタンパク質遺伝子26B(RPS26B)のイントロン配列である。

【0015】
上記(b)における1又は数個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された配列としては、1~10個、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、さらに好ましくは1~2個、最も好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された配列を挙げることができる。

【0016】
上記(c)における配列番号1~4に示す塩基配列と90%以上の同一性を有する配列としては、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する配列を挙げることができる。

【0017】
酵母としては特に制限されず、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、キャンディダ属(Candida)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)ピキア属(Pichia)、及びシゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)に属する酵母を挙げることができ、サッカロマイセス属に属する酵母を好適に挙げることができ、サッカロマイセス・セレビシエをより好適に挙げることができる。

【0018】
上記目的遺伝子としては、用途に合わせて全長の遺伝子でも、その一部でもよい。また、その由来はいかなる生物から単離された遺伝子でも、遺伝子工学的に作製された人工的な遺伝子でもよい。

【0019】
本発明において、目的遺伝子を高発現させるとは、例えば、TDH3プロモーター配列を用いた場合と比較して、プロモーター配列の下流に配置した目的遺伝子を15倍以上、好ましくは35倍以上、より好ましくは40倍以上発現させることや、GAL10プロモーター配列を用いた場合と比較して、プロモーター配列の下流に配置した目的遺伝子を8倍以上、好ましくは10倍以上発現させることを挙げることができる。

【0020】
目的遺伝子の発現は、たとえば、プロモーター配列の下流に、分泌型のルシフェラーゼ(CLuc)遺伝子を作動可能に連結した組換えポリヌクレオチドをサッカロマイセス・セレビシエに導入して得られた形質転換体を、YPD液体培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、2%グルコース)にて28℃、150rpmで24時間培養したときの培養液中のルシフェラーゼの相対発現量(RLU/(μl・OD))を測定することによって求めることができる。

【0021】
本発明における酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列としては、その全長の配列だけでなく、全長の配列に対して1~10個、より好ましくは1~5個、さらに好ましくは1~3個、最も好ましくは1~2個、中でも1個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された配列や、全長の配列と90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する配列も含まれる。なお、酵母のTDH3プロモーター配列又はGAL10プロモーター配列は、酵母の染色体や、酵母のTDH3プロモーター配列又はGAL10配列を含有する市販のベクターをテンプレートとしてPCRにより増幅することや、これらの染色体やベクターを制限酵素処理することによって得ることができる。

【0022】
酵母のTDH3又はGAL10遺伝子のプロモーター配列と、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列とを順次備えているとは、酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列の下流に、酵母のリボソーマルタンパク質遺伝子のイントロン配列(以下、単に「RPSイントロン配列」ともいう)が作動可能に組み込んでいれば特に制限されず、酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列と、酵母のRPSイントロン配列との間には任意の塩基配列を含んでいてもよいが、かかる任意の塩基配列の長さとしては、200塩基対以下、好ましくは100塩基対以下、より好ましくは50塩基対以下を挙げることができ、0塩基対、即ち、任意の塩基配列を含まず、酵母のTDH3又はGAL10プロモーター配列と、酵母のRPSイントロン配列とが直接つながっていることが最も好ましい。

【0023】
本発明の組換えベクターに用いるベクターとしては、本発明のプロモーターを含み、該プロモーターの下流に作動可能に組み込んだ目的遺伝子を発現できるものであれば特に制限されず、直鎖状でも環状でもよく、自立複製可能であるものや、あるいは染色体中へ組込み可能であるものが好ましく、また、ターミネーターなどの制御配列や選択マーカーを含有しているものを用いてもよい。

【0024】
本発明の組換えベクターが導入された酵母の形質転換体としては、本発明の組換えベクターが導入された酵母の形質転換体であって、酵母としては、サッカロマイセス属の酵母が好ましく、サッカロマイセス・セレビシエがより好ましい。

【0025】
本発明の組換えベクターの酵母への導入方法としては、特に制限されず、酢酸リチウム法、リポフェクション法、リン酸カルシウム共沈殿法、リポソーム法、DEAEデキストラン法などの化学的方法;ウイルスベクターを利用する方法、特異的受容体を利用する方法、細胞融合法などの生物学的方法;エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法、超音波遺伝子導入法などの物理的方法;などの公知の方法を例示することができる。

【0026】
本発明の組換えベクターを含む酵母の形質転換体を培養することで、目的遺伝子産物を効率よく生産することができる。培養方法としては酵母の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。例えば、本発明の組換えベクターが導入された酵母がサッカロマイセス・セレビシエの場合は、30℃前後、pH6前後、及び、振とう培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下で培養することができる。目的遺伝子産物は培養液又は破砕した酵母から回収することができ、かかる回収する方法としては、公知のタンパク質の回収方法、例えば、遠心分離、次いで、ゲルろ過、イオン交換、アフィニティなどのクロマトグラフィーにより回収する方法を挙げることができる。
【実施例1】
【0027】
サッカロマイセス・セレビシエのゲノム配列から、コーディング配列上流、あるいは開始コドンATG直後に配置されたイントロン配列を探索したところ、RPS24A、RPS25A、RPS26A、RPS26Bのイントロン配列が見つかった。そこで、TDH3プロモーター配列の下流にRPS24A、RPS25A、RPS26A、RPS26Bのイントロン配列を配置した人工プロモーターを構築し、TDH3プロモーター配列の発現能力と比較した。
【実施例1】
【0028】
[RPSイントロン配列-yCLuc株の構築]
(RPS24Ap(-730~+469)-yCLuc株の構築)
RAK4333株(Fukunaga T et al. Yeast 30: 243-253 (2013))の染色体DNAからURA3-290(配列番号5)とURA-290c(配列番号6)をプライマーに用いてPCRによりURA3-5’-TDH3p-yCLuc-URA3を増幅し、Δsnt309株(Giaever G et al., Nature 418: 387-391 (2002))に導入しRAK6164株を得た。
【実施例1】
【0029】
作製したRAK6164の染色体DNAをテンプレートに、プライマーにScURA3-5’40-ScRPS24A-730(配列番号7)とyCLuc+30cNoATG-ScRPS24A+469c(配列番号8)を用いて、PCRによりRPS24Aの-730から+469まで(開始コドンATGのAの位置を+1とする)のDNA断片(ScURA3-5’40-RPS24Ap-yCLuc+30)を増幅した。同じくRAK6164の染色体DNAをテンプレートに、yCLuc+1(配列番号9)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーとしてyCLuc-URA3を増幅した。ScURA3-5’40-RPS24Ap-yCLuc+30とyCLuc-URA3の2種のDNA断片を融合させるために、これらのDNA断片をテンプレートとし、ScURA3-5’40-ScRPS24A-730(配列番号7)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーに用いてPCRを行い、ScURA3-5’40-RPS24Ap-yCLuc-URA3を増幅した。これをS. cerevisiae BY4743株(Brachmann CB et al., Yeast 14:115-132 (1998))のura3Δ0の位置に次の方法で導入した。
【実施例1】
【0030】
試験管にYPD液体培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、2%グルコース)を2ml入れ、酵母を植菌し、28℃で一晩振とう培養した。15mlチューブに9mlのYPD液体培地を入れ、そこに1晩培養した培養液1mlを加え、28℃で5時間静置培養した。次に8、000rpm、室温で1分間遠心し、上澄みを捨て、5mlの滅菌水を加えて、再び同じ条件で遠心し上澄みを捨て、残った液で細胞を懸濁した。形質転換液(54%ポリエチレングリコール3350、120mM酢酸リチウム、750μg/mlサケ精巣DNA)135μlに、細胞懸濁液61μl、PCRで増幅したDNA溶液4μlを加え十分混合した。これを42℃の温浴中に40分間置いた後、100μlの滅菌水を加えSD-Ura寒天培地(0.17%Yeast Nitrogen Base、0.5%硫酸アンモニウム、2%グルコース、0.0024%adenine sulfate、0.01%L-Histidine HCl、0.02%L-Leucine、0.01%L-Lysine HCl、0.01%L-Methionene、0.01%L-Tryptphan、2%寒天末)に広げ、28℃で3日間静置培養し、形質転換体のコロニーを得た。
【実施例1】
【0031】
ScURA3-5’40-RPS24Ap-yCLuc-URA3をS. cerevisiae BY4743株に導入した上記形質転換体(RAK8422)はura3Δ0::RPS24Ap-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ。
【実施例1】
【0032】
(RPS25Ap(-1598~-1)-yCLuc株の構築)
RAK6164の染色体DNAをテンプレートに、プライマーにScURA3-5’40-ScRPS25A-1598(配列番号11)とyCLuc+30c-ScRPS25A-1c(配列番号12)を用いて、PCRによりRPS25Aの-1598から-1までのDNA断片(ScURA3-5’40-RPS25Ap-yCLuc+30)を増幅した。同じくRAK6164の染色体DNAをテンプレートに、yCLuc+1(配列番号9)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーとしてyCLuc-URA3を増幅した。ScURA3-5’40-RPS25Ap-yCLuc+30とyCLuc-URA3の2種のDNA断片を融合させるために、これらのDNA断片をテンプレートとし、ScURA3-5’40-ScRPS25A-1598(配列番号11)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーに用いてPCRを行い、ScURA3-5’40-RPS25Ap-yCLuc-URA3を増幅した。このDNA断片をS. cerevisiae BY4743株に上記の方法で導入した。
【実施例1】
【0033】
ScURA3-5’40-RPS25Ap-yCLuc-URA3をS. cerevisiae BY4743株に導入した形質転換体(RAK8424)はura3Δ0::RPS25Ap-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ。
【実施例1】
【0034】
(RPS26Ap(-1115~-1)-yCLuc株の構築)
RAK6164の染色体DNAをテンプレートに、プライマーにScURA3-5’40-ScRPS26A-1115(配列番号13)とyCLuc+30c-ScRPS26A-1c(配列番号14)を用いて、PCRによりRPS26Aの-1115から-1までのDNA断片(ScURA3-5’40-RPS26Ap-yCLuc+30)を増幅した。同じくRAK6164の染色体DNAをテンプレートに、yCLuc+1(配列番号9)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーとしてyCLuc-URA3を増幅した。ScURA3-5’40-RPS26Ap-yCLuc+30とyCLuc-URA3の2種のDNA断片を融合させるために、これらのDNA断片をテンプレートとし、ScURA3-5’40-ScRPS26A-1115(配列番号13)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーに用いてPCRを行い、ScURA3-5’40-RPS26Ap-yCLuc-URA3を増幅した。これをS. cerevisiae BY4743株に上記の方法で導入した。
【実施例1】
【0035】
ScURA3-5’40-RPS26Ap-yCLuc-URA3をS. cerevisiae BY4743株に導入した形質転換体(RAK8426)はura3Δ0::RPS26Ap-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ。
【実施例1】
【0036】
(RPS26Bp(-1505~-1)-yCLuc株の構築)
RAK6164の染色体DNAをテンプレートに、プライマーにScURA3-5’40-ScRPS26B-1505(配列番号15)とyCLuc+30c-ScRPS26B-1c(配列番号16)を用いて、PCRによりRPS26Bの-1505から-1までのDNA断片(ScURA3-5’40-RPS26Bp-yCLuc+30)を増幅した。同じくRAK6164の染色体DNAをテンプレートに、yCLuc+1(配列番号9)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーとしてyCLuc-URA3を増幅した。ScURA3-5’40-RPS26Bp-yCLuc+30とyCLuc-URA3の2種のDNA断片を融合させるために、これらのDNA断片をテンプレートとし、ScURA3-5’40-ScRPS26B-1505(配列番号15)とURA3-310c(配列番号10)をプライマーに用いてPCRを行い、ScURA3-5’40-RPS26Bp-yCLuc-URA3を増幅した。これをS. cerevisiae BY4743株に上記の方法で導入した。
【実施例1】
【0037】
ScURA3-5’40-RPS26Bp-yCLuc-URA3をS. cerevisiae BY4743株に導入した形質転換体(RAK8428)はura3Δ0::RPS26Bp-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ。
【実施例1】
【0038】
[TDH3プロモーター配列-RPSイントロン配列-yCLuc株の構築]
上記のとおり構築したura3Δ0::RPS24Ap-yCLuc-URA3、ura3Δ0::RPS25Ap-yCLuc-URA3、ura3Δ0::RPS26Ap-yCLuc-URA3、ura3Δ0:: RPS26Bp-yCLuc-URA3のそれぞれの遺伝子型を持つ酵母株から染色体を調製した。これらの染色体をテンプレートとし、下記の表1に示すプライマーの組合せでPCRを行い、高発現プロモーターとして知られているTDH3コーディング配列上流配列40塩基(TDH3プロモーター配列の一部)と、RPSイントロン配列とを順次上流に持つyCLuc-URA3のDNA断片を増幅した。
【実施例1】
【0039】
【表1】
JP2016021149A1_000002t.gif
【実施例1】
【0040】
増幅したDNA断片をそれぞれ、RAK5125株(MATa ade2Δ0AΔhis3Δ1 leu2Δ0 met15Δ0 ura3Δ0::ScTDH3p-yGLuc-LEU2)に上記の方法で導入して形質転換体を得た。得られた形質転換体はそれぞれ下記の遺伝子型を持つ。
ura3Δ0::TDH3p-RPS24A(+1_+469)-yCLuc-URA3
ura3Δ0::TDH3p-RPS25A(-327_-1)-yCLuc-URA3
ura3Δ0::TDH3p-RPS26A(-378_-1)-yCLuc-URA3
ura3Δ0::TDH3p-RPS26B(-361_-1)-yCLuc-URA3
【実施例1】
【0041】
これらの遺伝子型におけるTDH3pはTDH3コーディング配列上流698塩基の配列である。また、RPS24A(+1_+469)、RPS25A(-327_-1)、RPS26A(-378_-1)及びRPS26B(-361_-1)は、それぞれのPRS遺伝子のイントロン配列である。
【実施例1】
【0042】
また、コントロールとして、TDH3p-yCLuc-URA3遺伝子をRAK5125株に導入した形質転換体も作製した。かかる形質転換体はura3Δ0::TDH3p-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ。
【実施例1】
【0043】
[ルシフェラーゼ活性の測定]
24-wellマルチウェルプレートの各ウェルにYPD液体培地を1ml入れ、上記で作製した形質転換体を植菌し、28℃、150rpmで24時間培養した。得られた培養液10μlを、YPD液体培地1mlを入れた24-wellマルチウェルプレートの各ウェルに植菌した。これを28℃、150rpmで24時間培養した。培養液の600nmの濁度(OD600)を分光光度計で測定した。ルシフェラーゼ測定キット(アトー社製)とルミノメータ(Glo Max20/20n Luminometer:Promega社製)を用いて培養液中のルシフェラーゼの相対発現量(RLU/(μl・OD))をルシフェラーゼ活性として算出することでプロモーターの発現能力を評価した。
【実施例1】
【0044】
結果を図1に示す。図1に示すように、TDH3プロモーター配列のみを用いた場合と比較して、TDH3プロモーター配列とPRS24Aのイントロン配列を用いた場合には40倍、TDH3プロモーター配列とPRS25Aのイントロン配列を用いた場合には49倍、TDH3プロモーター配列とPRS26Aのイントロン配列を用いた場合には39倍、TDH3プロモーター配列とPRS26Bのイントロン配列を用いた場合には17倍も高い発現能力を有することが明らかとなった。
【実施例2】
【0045】
[GAL10プロモーター配列-RPSイントロン配列-yCLuc株の構築]
(GAL10プロモーター配列-RPS25Aのイントロン配列-yCLuc株の構築)
細胞に悪影響を与えるタンパク質の生産では誘導型発現の仕組みは欠かせない。現在、最も発現能力の高い誘導型プロモーターはGAL10プロモーターである。そこで、GAL10プロモーター配列の下流にPRSのイントロン配列をつなげることで、GAL10プロモーターよりも発現能力の高い誘導型プロモーターの作製を試みた。具体的には、GAL10コーディング配列上流511bpをガラクトースプロモーターとして用い、その下流にRPS25Aのイントロン配列(-327~-1)をつなげたプロモーターをサッカロマイセス・セレビシエ染色体上に構築した。以下にその構築方法を示す。
【実施例2】
【0046】
ura3Δ0::RPS25Ap-yCLuc-URA3を持つ酵母株(RAK8424)の染色体をテンプレートに、ScURA3-5'40-ScRPS25A-600(配列番号22)とURA3-280c(配列番号21)をプライマーに用いてPCRを行い、ScURA3-5'40-ScRPS25A-600-yCLuc-URA3を増幅した。このDNA断片をRAK3600(Fukunaga T et al. Yeast 30: 243-253 (2013))へ上記の方法で導入し、形質転換体(RAK10635)を得た。
【実施例2】
【0047】
RAK4296(Fukunaga T et al. Yeast 30: 243-253 (2013))の染色体DNAをテンプレートにTDH3p40yCLuc+1(配列番号23)と15G-yCLuc+1662c(配列番号24)をプライマーに用いて、PCRによりTDH3p40-yCLuc-15Cを増幅した。また、RAK3625の染色体DNAをテンプレートに15C-LEU2-1(配列番号25)とURA3-300c(配列番号26)をプライマーに用いて、PCRにより15G-LEU2-URA3-3’を増幅した。これら2つのDNA断片を15C(連続するシトシン15塩基)配列を介してPCRで融合させた。得られた融合DNA断片TDH3p40-yCLuc-LEU2-URA3-3’をRAK4314株に導入しSD-Leu寒天培地で選択し、形質転換体を得た。この形質転換体(RAK4920)はura3Δ0::TDH3p-yCLuc-LEU2の遺伝子型を持つ。
【実施例2】
【0048】
ura3Δ0::TDH3p-yCLuc-LEU2の遺伝子型を持つ酵母RAK4920の染色体をテンプレートに、yCLuc+21(配列番号27)とURA3-280c(配列番号21)をプライマーとしてPCRし、yCLucの大部分を上流に持つLEU2マーカーを増幅した。RAK10635のURA3マーカーをこのLEU2マーカーを用いて置換し、ura3Δ0:: ScRPS25A-600-yCLuc-LEU2を構築した(RAK12003)。この酵母株から染色体を調製し、これをテンプレートとして、ScGAL10p-40(40)-RPS25A-327(配列番号28)とURA3-280c(配列番号21)をプライマーに用いてPCRを行い、GAL10p-40(40)-RPS25A(-327_-1)-yCLuc-LEU2-URA3-3’を増幅した。このDNA断片をRAK4315株(ura3Δ0::GAL10p-URA3)に上記の方法で導入しSD-Leu寒天培地(0.17%Yeast Nitrogen Base、0.5%硫酸アンモニウム、2%グルコース、0.003%adenine sulfate、0.01%Uracil、0.01%L-Histidine HCl、0.01%L-Lysine HCl、0.01%L-Methionene、0.01%L-Tryptphan、2%寒天末)で増殖した株を選択して形質転換体を得た。得られた形質転換体はura3Δ0::GAL10p-RPS25A(-327_-1)-yCLuc-LEU2の遺伝子型を持つ。
【実施例2】
【0049】
(GAL10プロモーター配列-yCLuc株の構築)
コントロールとして、GAL10p-yCLuc-LEU2をURA3Δ0に挿入した株を次のように構築した。RAK12003株の染色体をテンプレートにGAL10p40-yCLuc+1(配列番号29)とURA3-280c(配列番号21)をプライマーに用いてPCRし、ScGAL10-40(40)-yCLuc -LEU2-URA3-3’を増幅した。これをRAK4315(ura3Δ0::GAL10p-URA3)に導入してSD-Leu寒天培地を用いて形質転換体を得た。得られた形質転換体はura3Δ0::GAL10p-yCLuc-LEU2の遺伝子型を持つ。
【実施例2】
【0050】
(ルシフェラーゼ活性の測定方法)
24-wellマルチウェルプレートの各ウェルにYPD液体培地を1ml入れ、上記で作製したura3Δ0::GAL10p-RPS25A(-327_-1)-yCLuc-LEU2、ura3Δ0::GAL10p-yCLuc-LEU2の遺伝子型を持つ形質転換体、及び実施例1で作製したura3Δ0::TDH3p-RPS25A(-327_-1)-yCLuc-URA3、ura3Δ0::TDH3p-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ形質転換体を植菌し、28℃、150rpmで24時間培養した。得られた培養液10μlを、非誘導条件のYPD培地又は誘導条件(ガラクトース条件)のYPGal液体培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、2%ガラクトース)1mlを入れた24-wellマルチウェルプレートの各ウェルに植菌した。これを28℃、150rpmで24時間培養した。培養液の600nmの濁度(OD600)を分光光度計で測定し、上記と同様の方法でプロモーターの発現能力を評価した。
【実施例2】
【0051】
結果を図2に示す。図2に示すように、ガラクトース条件において、GAL10プロモーター配列のみを用いた場合と比較して、GAL10プロモーター配列とPRS25Aのイントロン配列を用いた場合には11倍も高い発現能力を有することが明らかとなった。さらに、GAL10プロモーターとPRS25Aのイントロン配列を用いた場合でも、グルコース培地では発現が抑制され、ガラクトース培地で発現が1255倍向上していた。GAL10プロモーター配列のみを用いた場合の誘導倍率が150倍程度であることを考えると、GAL10プロモーター配列とPRS25Aのイントロン配列を用いた場合には非常にガラクトース誘導性が高いことが明らかとなった。
【実施例2】
【0052】
さらに、極めて高い発現能力を有するTDH3プロモーター配列とPRS25Aのイントロン配列を用いた場合と比較しても70%近くもの発現能力を有しており、GAL10プロモーター配列とPRS25Aのイントロン配列を用いると、誘導性及び発現能力が高いプロモーターとなることが明らかとなった。
【実施例3】
【0053】
[TDH3プロモーター配列-長さの異なるRPS25Aプロモーター-yCLuc株の構築]
RAK10635の染色体DNAをテンプレートとし、ScTDH3(-40~-1)-RPS25Ap-500(配列番号30)とURA3-280c(配列番号21)、ScTDH3p-40(40)-RPS25Ap-450(配列番号31)とURA3-280c(配列番号21)、又は、ScTDH3p-40(40)-RPS25Ap-400(配列番号32)とURA3-280c(配列番号21)の組合せでPCRを行い、それぞれ、ScTDH3p(40)-ScRPS25A(-500~-1)-yCLuc-URA3、ScTDH3p(40)-ScRPS25A(-450~-1)-yCLuc-URA3、ScTDH3p(40)-ScRPS25A(-400~-1)-yCLuc-URA3のDNA断片を増幅した。それぞれのDNA断片をRAK5125に上記記載の方法で導入し、それぞれ、ura3Δ0::ScTDH3p-ScRPS25A(-500~-1)-yCLuc-URA3、ura3Δ0::ScTDH3p-ScRPS25A(-450~-1)-yCLuc-URA3、ura3Δ0::ScTDH3p-ScRPS25A(-400~-1)-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ形質転換体を得た。
【実施例3】
【0054】
得られた形質転換体は、TDH3プロモーター下流に、イントロンを含み長さの異なるRPS25Aプロモーター配列(RPS25Aの-500から-328(配列番号33)とRPS25Aのイントロン配列である-327から-1(配列番号2)、RPS25Aの-450から-328(配列番号34)とRPS25Aの-327から-1(配列番号2)、又は、RPS25Aの-400から-328(配列番号35)とRPS25Aの-327から-1(配列番号2))を持つ。これらの形質転換体、及び実施例1で作製したura3Δ0::TDH3p-yCLuc-URA3の遺伝子型を持つ形質転換体を上記と同様の方法で培養し、ルシフェラーゼ活性測定、及び培養液の濁度測定を行い、発現能力を評価した。
【実施例3】
【0055】
結果を図3に示す。図3に示すように、TDH3プロモーター配列と、RPS25Aイントロン配列の間にRPS25Aイントロン配列の上流の配列を173塩基対、123塩基対、73塩基対含む場合においても、TDH3プロモーター配列のみを用いた場合と比較して、37倍、24倍、27倍高い発現能力を示すことが明らかとなった。また、TDH3プロモーター配列と、RPS25Aイントロン配列とが直接つながっていれば、TDH3プロモーター配列のみを用いた場合と比較して、103倍も高い発現能力を示すことが明らかとなった。すなわち、TDH3プロモーターとRPS25Aイントロン配列の間にRPS25Aイントロン配列の上流の配列の一部を含んでいても高い発現能力を示すが、TDH3プロモーター配列と、RPS25Aイントロン配列とが直接つながっているほうが、より高い発現能力を有することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のプロモーターは高発現能力を有することから、酵素や、ワクチン、抗体などのタンパク質生産分野において利用可能である。また、キシロースやセルロースからのエタノール生産の分野にも応用することが可能である。さらに、酵母自身の配列を使用しており、セルフクローニングであることから、安全性が高く、食品分野でも利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2