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明細書 :撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-083523 (P2017-083523A)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法
国際特許分類 G03B   5/08        (2006.01)
G02B   7/02        (2006.01)
G03B  15/00        (2006.01)
G03B  13/32        (2006.01)
G03B   7/091       (2006.01)
H04N   5/225       (2006.01)
H04N   5/232       (2006.01)
A23L  13/00        (2016.01)
G01N  33/12        (2006.01)
G01N  21/84        (2006.01)
FI G03B 5/08
G02B 7/02 C
G03B 15/00 U
G03B 13/32
G03B 7/091
H04N 5/225 D
H04N 5/225 F
H04N 5/232 A
A23L 1/31 Z
G01N 33/12
G01N 21/84 Z
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2015-208902 (P2015-208902)
出願日 平成27年10月23日(2015.10.23)
発明者または考案者 【氏名】口田 圭吾
【氏名】鹿野 淳
出願人 【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人帯広畜産大学
【識別番号】515295740
【氏名又は名称】一般社団法人ミート・イメージ ジャパン
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100165515、【弁理士】、【氏名又は名称】太田 清子
【識別番号】100202913、【弁理士】、【氏名又は名称】武山 敦史
【識別番号】100111464、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 悦子
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査請求 未請求
テーマコード 2G051
2H002
2H011
2H044
4B042
5C122
Fターム 2G051AA90
2G051AB20
2G051BA01
2G051BA10
2G051BB01
2G051BC04
2G051CA04
2G051CA07
2G051CD02
2H002GA35
2H002JA11
2H011EA13
2H044AC03
4B042AC10
4B042AD39
4B042AG02
4B042AH01
4B042AP30
4B042AT10
5C122EA12
5C122FC01
5C122FC02
5C122FD02
5C122FF11
5C122GD01
5C122GE04
5C122GE06
5C122GG17
5C122GG21
5C122HB01
要約 【課題】枝肉の切開面を含む隙間の狭い空間に存在する平面を斜め方向から撮影したとしても、平面の全域でピントの合った画像を取得することができる撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法を提供する。
【解決手段】隙間を形成している平面を斜め上方から撮影する撮影装置1は、レンズ32と、レンズ32を通過した光を受光する撮像素子50と、撮像素子50が固定され、レンズ32に対する撮像素子50の傾きを調整する回転支持部40と、を備えている。撮影装置1は、平面とレンズ32のレンズ主面が交わって形成される直線に撮像素子50の撮像素子面が交わるように撮像素子50の傾きを調整することができる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
隙間を形成している平面を斜め上方から撮影する撮影装置であって、
レンズと、
前記レンズを通過した光を受光する撮像素子と、
前記撮像素子が固定され、前記レンズに対する前記撮像素子の傾きを調整する回転支持手段と、を備えており、
前記平面と前記レンズのレンズ主面が交わって形成される直線に前記撮像素子の撮像素子面が交わるように前記撮像素子の傾きを調整することができる撮影装置。
【請求項2】
前記平面に対してピントが合う所定の位置に前記撮影装置を位置決めするための位置決め手段を備える、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記所定の位置は、前記平面に対する前記撮影装置の傾きと、前記平面から前記撮影装置までの距離により規定される、請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は、少なくとも三対のレーザ光源を備えており、
前記少なくとも三対のレーザ光源は、それぞれ前記平面上の異なる位置でレーザ光が交差するように配置される、請求項2又は3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、それぞれラインレーザ光を同一平面に沿って出射し得る少なくとも二対のラインレーザ光源を備えており、
前記少なくとも二対のラインレーザ光源は、それぞれ前記隙間を形成している前記平面上の異なる位置で前記ラインレーザ光が交差するように配置される、請求項2又は3に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記位置決め手段は、前記撮影装置に対して所定の向きに固定された少なくとも3つレーザ距離計を備えており、
前記レーザ距離計は、前記レーザ距離計から前記平面までの距離を測定する、請求項2又は3に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記平面として枝肉の切開面を撮影するように構成された請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
請求項2乃至6及び請求項2を引用する請求項7のいずれか1項に記載の撮影装置を用いた撮影方法であって、
前記位置決め手段を用いて前記平面に対してピントが合う位置に前記撮影装置の位置を調整する工程と、
前記撮影装置の位置が調整された状態で前記平面を斜め方向から撮影する工程と、
を含む撮影方法。
【請求項9】
請求項7に記載の撮影装置により撮影された前記枝肉の切開面の画像を用いた枝肉の肉質評価方法であって、
制御手段が前記枝肉の切開面の画像を正面像に変換する工程と、
制御手段が正面像に変換された前記枝肉の切開面の画像に基づいて前記枝肉の脂肪交雑の程度を評価する工程と、
を含む枝肉の肉質評価方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置及び撮影方法に関する。より詳しくは、枝肉の切開面を撮影するための撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肉牛を市場に流通させるにあたり肉質、とりわけ脂肪交雑、すなわち霜降りの程度を適切に評価することは、牛枝肉の価格を決定するために重要な要素である。多くの食肉センターでは、牛枝肉をわずかな切開幅、例えば約3cmの長さだけ切開し、検査員が隙間の狭い切開面を斜め方向から目視することで肉質の評価が行われている。
【0003】
しかし、目視による肉質の評価では、肉質の評価にばらつきが生じるおそれがあると共に、その評価により市場価格が決定されるため検査員への精神的な負担も大きい。このため、特許文献1に開示されるような肉質を客観的に評価する方法が提案されている。牛枝肉の肉質を客観的に評価するためには、牛枝肉の切開面を鮮明に撮影した画像を取得する必要がある。
【0004】
また、近年、衛生面への配慮から購買者等が牛枝肉を直接観察できない仕組みを採用する食肉センターが増加している。牛枝肉に近づけない購買者等が牛枝肉の切開面を観察するためにも、牛枝肉の切開面を鮮明に撮影した画像を取得する必要がある。しかし、図19の撮影装置301に示されるように、隙間の狭い牛枝肉100の切開面110は上方から撮影することができない。このため、例えば、特許文献2には、図19の撮影装置302に示されるように、隙間の狭い牛枝肉100の切開面110を斜め方向から撮影する撮影方法が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2014-071018号公報
【特許文献2】特開2014-206839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の撮影方法では、牛枝肉の切開面を単純に斜め方向から撮影しているため、牛枝肉の切開面の手前側と奥側においてピントが合っておらず、牛枝肉の切開面を鮮明に撮影できているとは言いがたい。このため、特許文献2の撮影方法では、牛枝肉の切開面の全域でピントの合った画像を取得することができない、という問題があった。そして、牛枝肉の切開面を斜め方向から撮影する場合のみならず、隙間の狭い空間に存在する平面を斜め方向から撮影する場合にも同様の問題があった。
【0007】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、隙間の狭い空間に存在する平面を斜め方向から撮影したとしても、平面の全域でピントの合った画像を取得することができる撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る撮影装置は、
隙間を形成している平面を斜め上方から撮影する撮影装置であって、
レンズと、
前記レンズを通過した光を受光する撮像素子と、
前記撮像素子が固定され、前記レンズに対する前記撮像素子の傾きを調整する回転支持手段と、を備えており、
前記平面と前記レンズのレンズ主面が交わって形成される直線に前記撮像素子の撮像素子面が交わるように前記撮像素子の傾きを調整することができる。
【0009】
前記平面に対してピントが合う所定の位置に前記撮影装置を位置決めするための位置決め手段を備えていても良い。
【0010】
前記所定の位置は、前記平面に対する前記撮影装置の傾きと、前記平面から前記撮影装置までの距離により規定されていても良い。
【0011】
前記位置決め手段は、少なくとも三対のレーザ光源を備えており、
前記少なくとも三対のレーザ光源は、それぞれ前記平面上の異なる位置でレーザ光が交差するように配置されていても良い。
【0012】
前記位置決め手段は、それぞれラインレーザ光を同一平面に沿って出射し得る少なくとも二対のラインレーザ光源を備えており、
前記少なくとも二対のラインレーザ光源は、それぞれ前記隙間を形成している前記平面上の異なる位置で前記ラインレーザ光が交差するように配置されていても良い。
【0013】
前記位置決め手段は、前記撮影装置に対して所定の向きに固定された少なくとも3つレーザ距離計を備えており、
前記レーザ距離計は、前記レーザ距離計から前記平面までの距離を測定しても良い。
【0014】
前記平面として枝肉の切開面を撮影するように構成されていても良い。
【0015】
本発明の第2の観点に係る撮影方法は、
上記の撮影装置を用いた撮影方法であって、
前記位置決め手段を用いて前記平面に対してピントが合う位置に前記撮影装置の位置を調整する工程と、
前記撮影装置の位置が調整された状態で前記平面を斜め方向から撮影する工程と、
を含む。
【0016】
本発明の第3の観点に係る枝肉の肉質評価方法は、
上記の撮影装置により撮影された前記枝肉の切開面の画像を用いた枝肉の肉質評価方法であって、
制御手段が前記枝肉の切開面の画像を正面像に変換する工程と、
制御手段が正面像に変換された前記枝肉の切開面の画像に基づいて前記枝肉の脂肪交雑の程度を評価する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、隙間の狭い空間に存在する平面を斜め方向から撮影したとしても、平面の全域でピントの合った画像を取得することができる撮影装置及び撮影方法、並びに枝肉の肉質評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の上面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の内部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る撮影装置において6つのレーザ光源を用いて平面を特定する様子を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る撮影装置においてピントが合う範囲を広げる原理を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の使用方法を示すフローチャートであって、(a)は、撮影装置の初期設定の開始を示すフローチャート、(b)は、撮影及び肉質評価の開始を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る撮影装置を用いて牛枝肉の切開面を撮影する様子を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の位置決め前の状態を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る撮影装置の位置決め終了後の状態を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る撮影装置の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る撮影装置において4つのラインレーザ光源を用いて平面を特定する様子を示す模式図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る撮影装置の位置決め前の状態を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る撮影装置の位置決め終了後の状態を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る撮影装置の正面図である。
【図16】本発明の実施の形態3に係る撮影装置の位置決め前の状態を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る撮影装置の位置決め終了後の状態を示す模式図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る撮影装置の変形例を示す正面図である。
【図19】従来の撮影装置を用いて牛枝肉の切開面を撮影する様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る撮影装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。

【0020】
(実施の形態1)
図1~4は、本発明の実施の形態1に係る撮影装置1を示す図である。なお、本明細書においては、牛枝肉の切開面に水平な方向であって牛枝肉の切り込み方向をX軸、牛枝肉の切開面に水平な方向であって牛枝肉の切開面の切り込みに対する幅方向をY軸、X軸及びY軸に垂直な方向をZ軸とする直交座標系を使用する。

【0021】
本発明の実施の形態1に係る撮影装置1は、狭い隙間に形成された平面、とりわけ牛枝肉の切開面を撮影して鮮明な画像を取得するための装置である。撮影装置1は、筐体10、ハンドル20、レンズ部30、回転支持部40、撮像素子50、位置決め手段60、照明部70、制御部80を備えている。

【0022】
筐体10は、内部に回転支持部40、撮像素子50、制御部80を収容する部材である。筐体10は、本体部11、カバー12を備えている。本体部11は、底壁と4つの側壁から構成され、上面に開口が形成された部材である。本体部11の底壁の上面には、回転支持部40、撮像素子50、制御部80が固定されている。カバー12は、本体部11に形成された開口を覆う部材である。本体部11にカバー12が取り付けられた状態では、内部に空間13が形成され、この空間13に回転支持部40、撮像素子50、制御部80が収容されている。一方、本体部11からカバー12を取り外すと、回転支持部40、撮像素子50、制御部80にアクセスすることが可能になる。

【0023】
ハンドル20は、撮影者が撮影装置1を両手で把持するための手段である。ハンドル20は、筐体10の両側面に固定され、筐体10から上向きに伸びている。ハンドル20は、手で把持するためのグリップ部21を備えている。グリップ部21には、滑り防止のための加工が施されている。そして、図2に示されるように、少なくとも一方のグリップ部21の先端には、牛枝肉の切開面を撮影するためのシャッターボタン22が設けられている。撮影者はグリップ部21を両手で把持することで、牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の距離及び角度を所定の位置に固定することができる。

【0024】
レンズ部30は、牛枝肉の切開面の像を撮像素子50に形成するための手段である。レンズ部30は、鏡筒31、レンズ32を備えている。鏡筒31は、その基端部が筐体10の前面部に固定される筒状の部材である。鏡筒31の基端部には開口が形成されており、筐体10の前面部に形成された開口と接続されている。このため、鏡筒31は、外部からの光を撮像素子50へ通過させる光路としての役割を果たしている。

【0025】
レンズ32は、光を集めて撮像素子50の上に最適な像を形成する。レンズ32は、収差を抑制するために鏡筒31に複数組み合わせて取り付けられている。レンズ32は、撮影装置1が予め所定の位置にピントを固定された固定焦点となるように、鏡筒31の先端部に固定されている。このようなレンズ部30としては、市販の工業用のレンズを用いることができる。また、レンズ部30は、筐体10に対して着脱自在に構成することができる。

【0026】
回転支持部40は、レンズ32に対して撮像素子50を傾斜させるための手段である。回転支持部40は、大きく分けて支持部41、回転部42を備えている。支持部41は、筐体10の底壁の内面に固定されている。回転部42は、支持部41の上面に回転可能に取り付けられ、支持部41に対して任意の角度で固定することができる。回転部42の上面には撮像素子50が固定されている。このような回転支持部40としては、例えばゴニオステージを用いることができる。撮影者は、筐体10からカバー12を取り外し、回転部42を手で把持して所望の角度に傾斜させることができる。

【0027】
撮像素子50は、被写体の光学像を電気信号に変換する電子部品である。撮像素子50は、レンズ32に受光面を向けるよう回転部42の上面に固定されている。このため、撮像素子50は、レンズ32に対して所望の角度に傾斜させることができる。レンズ32を通過した光は撮像素子50にて電気信号に変換され、さらに制御部80に設けられた画像エンジンにて画像データに変換される。撮像素子50としては、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等を用いることができる。

【0028】
位置決め手段60は、撮影者が牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の傾き及び距離を位置決めするのを補助するための手段である。図1、2に示されるように、位置決め手段60は、前方に向かってレーザ光を出射する6つのレーザ光源61~66を備えている。レーザ光源61~66は、筐体10の上面に互いに離間して配置されている。レーザ光源61~66は、レーザ光の向きを調整できるよう、筐体10に対して上下左右に首振り可能に取り付けられている。

【0029】
6つのレーザ光源61~66は、2つずつ対をなすように構成され、結果として位置決め手段60は三対のレーザ光源から構成される。図5に示されるように、一対のレーザ光源61、62は、固定焦点である撮影装置1のピントの合う平面120上の点Aにおいてレーザ光が交差する向きに調整される。同様にして、一対のレーザ光源63、64及び一対のレーザ光源65、66についても、ピントの合う平面120上の点B、Cにおいてレーザ光が交差するように向きを調整される。

【0030】
このとき、図5に示されるように、6つのレーザ光がピントの合う平面120上に形成する3つの交点A~Cが互いに異なる位置となるように、レーザ光源61~66の傾きが調整される。レーザ光により3つの交点A~Cが規定されることにより、撮影装置1のピントが合う平面120を特定することが可能になる。

【0031】
照明部70は、牛枝肉の切開面を明るく照らす発光装置である。図1、2に示されるように、照明部71、72は、筐体10の両側面にそれぞれ固定される。これにより牛枝肉の切開面に撮影装置1を近接させた場合でも、照明部71、72により牛枝肉の切開面を明るく照らすことができる。照明部71、72は、LED等の発光素子から構成されている。

【0032】
照明部70の発光強度は、撮影者の眼にダメージを与えない程度に大きく設定することが望ましい。なぜなら、撮影装置1では、被写界深度を深くするため、できるだけ絞りを絞り込む(F値を大きくする)必要があるところ、絞りを絞り込むと光量が減少するためシャッタースピードが遅くなるためである。シャッタースピードの遅くなると手ぶれの原因となるため、照明部70の発光強度をできるだけ大きく設定し、シャッタースピードの遅れを抑制することが望ましい。

【0033】
制御部80は、撮影者の指示に基づき撮影装置1の動作を制御するための手段である。制御部80は、電気的に撮像素子50の露出時間を制御したり、照明部70の発光を制御したりする。制御部80は、動作プログラムを実行するプロセッサと、動作プログラムを記憶するメモリと、を備えている。さらに、制御部80は、撮像素子50からの電気信号を画像データに変換する画像エンジンを備えている。

【0034】
制御部80は、撮影者がシャッターボタン22を押下したことを検知すると、電子式シャッターを開きつつ、同時に照明部70を発光させ、撮像素子50が牛枝肉の切開面から反射した光を受光することを可能にする。照明部70、制御部80の動作に必要な電源は、図4に示される電源ケーブル90を介して外部から取得する。

【0035】
次に、図6を参照して、レンズ32に対して撮像素子50を傾斜させることで撮影装置1のピントが合う範囲を広げる原理について説明する。

【0036】
通常の撮影装置では、撮像素子面(撮像素子の受光面を含む平面)とレンズ主面(光軸に平行に入射する光線を延長した直線と、出射した光線を延長した直線との交点で形成される面)とは平行に取り付けられているため、撮像素子面とレンズ主面とが交わることはない。この場合、撮影装置が焦点を結ぶ面は一定距離、前方に位置する平面となる。

【0037】
一方、図6に示されるように、撮像素子面Pとレンズ主面Pを平行でなく配置した場合、撮影装置1が焦点を結ぶ面は撮像素子面P及びレンズ主面Pに対して平行とならない。撮像素子面Pとレンズ主面Pとがある1つの直線で交わるとき、撮影装置1が焦点を結ぶ面Pも同一直線上で交わる関係になることが知られている(シャインプルーフの原理)。図6においてこの同一直線は、C点において紙面に垂直な直線である。撮影装置1が焦点を結ぶ面Pに図6に示すように矢印Aが配置されている場合、撮像素子面Pにおいては図6に示すように矢印Aが反転した向きで像を結ぶことになる。このように撮像素子面Pとレンズ主面Pを平行でない配置にした場合、図6に示すように撮影装置1が焦点を結ぶ面Pを大きく広げることができるため、平面状の被写体に対して手前側から奥側まで焦点を合わせることが可能となる。

【0038】
次に、図7(a)及び7(b)のフローチャートを参照して、撮影装置1の使用方法について説明する。

【0039】
食肉センターごとに牛枝肉の切開面の開き具合、牛枝肉に撮影者が近づける距離はそれぞれ異なる。一方、同じ食肉センターにおいては、牛枝肉ごとに切開面の開き具合、撮影者の近づける距離は、ほぼ共通している。そこで、食肉センターごとに撮影装置1の調整者は、牛枝肉の切開面を撮影する前に回転支持部40、位置決め手段60の初期設定を行う。図7(a)を参照して、この初期設定を行う方法について説明する。

【0040】
まず、撮影装置1の調整者は、自らの食肉センターでの牛枝肉の切開面の開き具合、牛枝肉から撮影者までの距離等に合わせて、図8に示されるように、牛枝肉100の切開面110に対して撮影装置1のレンズ32の光軸AがZ軸方向になす角度θ、牛枝肉100の切開面110における手前側の端部からレンズ部30の先端部までのX軸方向の距離xを決定する(ステップS101)。撮影装置及び撮影者が接近することによる牛枝肉の衛生面への影響、撮影装置における照明部の発光強度等を考慮すると、例えば、角度θは10°、距離xは40cmに決定することが好ましい。

【0041】
撮影装置1の調整者は、筐体10からカバー12を取り除き、牛枝肉の切開面に対して設定した撮影装置1の角度θ及び距離xに基づいて、牛枝肉の切開面上に撮影装置1のピントが合うように回転部42の角度を調整する(ステップS102)。牛枝肉の切開面に対して所定の角度θ及び距離xとなるように撮影装置1を位置決めした場合に、シャインプルーフの原理に基づいて、牛枝肉の切開面から手前側に延長された平面Pとレンズ32のレンズ主面Pとが交差して形成される直線に、撮像素子面Pが交差する関係をイメージしながら回転部42の角度を調整する。

【0042】
次いで、撮影装置1の調整者は、位置決め手段60を構成する6つのレーザ光源61~66の傾きを調整する(ステップS103)。図5に示されるように、一対のレーザ光源61、62から照射された2つのレーザ光が撮影装置1のピントが合う平面120上の点Aで交差し、一対のレーザ光源63、64から照射された2つのレーザ光線が撮影装置1のピントが合う平面120上の点Bで交差し、一対のレーザ光源65、66から照射された2つのレーザ光線が撮影装置1のピントが合う平面120上の点Cで交差するように、6つのレーザ光源61~66の傾きを調整する。

【0043】
具体的には、カメラ用の三脚等を用いて、適当な平板に対して撮像装置1の角度θが10°、距離xが40cmとなるように撮影装置1を位置決めする。その後、6つのレーザ光源61~66の電源をONにし、6つのレーザ光源61~66から6つのレーザ光を出射させる。すると、ごく例外的な場合を除き、6つのレーザ光は平板上の異なる位置に照射されることになる。

【0044】
一対のレーザ光源61、62から照射されたレーザ光が平板上の1つの点で交差するように、一対のレーザ光源61、62の向きをそれぞれ調整する。同じように、一対のレーザ光線63、64、一対のレーザ光源65、66の向きもそれぞれ調整する。ここで、一対のレーザ光源61、62、一対のレーザ光源63、64、一対のレーザ光源65、66から照射されるレーザ光が平板上で交差する点は、互いに異なる位置となるように、レーザ光源61~66の向きを調節する。3組の一対のレーザ光源61~66から出射されたレーザ光が3つの点で交差するように調整することにより、ピントが合う平面120を特定することが可能になる。以上の手順により、食肉センターごとに行う撮影装置1の初期設定が完了する。

【0045】
次いで、図7(a)の手順に従い初期設定された撮影装置1を用いて、牛枝肉の撮影及び肉質の評価を行うことになる。図7(b)を参照して、牛枝肉の撮影方法及び肉質評価方法について説明する。

【0046】
撮影者は、ハンドル20を両手で把持し、位置決め手段60からのレーザ光を確認しつつ、食肉センターの施設内に吊して固定された牛枝肉ごとに、牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の角度θ及び距離xを調整する(ステップS104)。具体的には、6つのレーザ光源61~66から出射されたレーザ光を牛枝肉の切開面に照射する。

【0047】
すると、図9に示すように、牛枝肉の切開面110上には、レーザ光が照射された6つの点A’、B’、C’、D’、E’、F’を確認することができる。この状態から図10に示されるように6つのレーザ光が牛枝肉の切開面110上で交差して3つの点A、B、Cに照射されるよう、牛枝肉の切開面110に対する撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めする。6つのレーザ光が牛枝肉の切開面110上の3つの点A、B、Cに照射された場合、撮影者は撮影装置1が適切な位置に位置決めされていると判断できる。

【0048】
撮影者は、この位置決め状態を維持しつつ、牛枝肉の切開面を撮影する(ステップS105)。具体的には、ステップS104の位置決め状態を維持しつつ、撮影者がシャッターボタン22を押下すると、制御部80の指示により電子式シャッターが切られる。また、電子式シャッターを切る動作と連動して照明部70が発光し、牛枝肉の切開面に必要な照明が付与される。この一連の動作により牛枝肉の切開面から反射した光を撮像素子50に受光させ、牛枝肉の切開面に関する画像データを取得する。取得された画像データは、制御部80の内部に設けられたメモリ(図示せず)に取り込まれる。

【0049】
その後、通信回線によりメモリに記憶された画像を外部のコンピュータ(制御手段)に転送し、牛枝肉の切開面に対して斜め方向から撮影した牛枝肉の切開面の画像を正面視したかのような画像(正面像)に変換する(ステップS106)。この画像の変換には遠近法を用いることができる。遠近法を利用した画像の変換は、例えば市販の画像加工ソフトウェアを用いて行うことができる。このようにして、牛枝肉の切開面の正面像を取得することができる。

【0050】
次いで、ステップS106で得られた牛枝肉の切開面の正面像を用いて、牛枝肉の肉質を評価する(ステップS107)。肉質の客観的な評価は、例えば、特許文献1に開示された方法を採用して、外部のコンピュータ(制御手段)で実施することができる。実施の形態1に係る撮影方法では、牛枝肉の切開面の正面像を従来よりも高精度で取得しているため、特許文献1の方法で牛枝肉の肉質を評価した場合、従来よりも肉質を適正に評価することができる。

【0051】
ところで、シャインプルーフの原理を利用して、ピントが合う範囲を広げる手法としては、いわゆるあおりカメラを用いることも当業者の間で知られている。あおりカメラとは、筐体に固定された撮像素子に対してレンズを傾斜させるカメラである。しかし、実施の形態1に係る撮影装置1では、あおりカメラとは異なり、筐体10に固定されたレンズ32に対して撮像素子50を傾斜させることで、撮像素子面Pとレンズ主面Pとが平行でない配置となるように構成している。

【0052】
あおりカメラを採用した場合、あおりレンズの操作に特殊な技能が要求されると共に、重量もサイズも大きいため、食肉センター等において多数の牛枝肉の切開面を繰り返し撮影する作業に適さない。一方、本発明の実施形態のように回転支持部40に取り付けた撮像素子50を筐体10に対して傾斜させる構成を採用した場合、レンズ部30として通常の工業レンズを採用できるため、撮影装置1の操作にあおりカメラのような特殊な技能が要求されず、しかも撮影装置1を軽量かつコンパクトに構成することが可能になる。このため、食肉センター等において多数の牛枝肉の切開面を繰り返し撮影するのに適した撮影装置1を構成することが可能になる。

【0053】
以上説明したように、実施の形態1に係る撮影装置及び撮影方法においては、食肉センターごとに異なる牛枝肉の切開面の開き具合、撮影者が牛枝肉に近づける距離に応じて、レンズ32に対して撮像素子50を適切な角度で傾けることができるため、牛枝肉の切開面の手前側から奥側までの範囲で焦点を合わせることができる。このため、隙間の狭い牛枝肉の切開面を斜め方向から撮影したとしても、牛枝肉の切開面の全域でピントの合った画像を取得することができる撮影装置及び撮影方法を提供することができる。

【0054】
また、実施の形態1に係る撮影装置及び撮影方法においては、筐体10に対してレンズ32ではなく撮像素子50を傾斜可能に構成することにより、撮像素子50の撮像素子面Pとレンズ32の主レンズ面Pとを傾斜させている。このため、撮影装置1の操作に特殊な技能を要しないと共に、撮影装置1を軽量かつコンパクトに構成することができる。

【0055】
さらに、実施の形態1に係る牛枝肉の肉質評価方法では、牛枝肉の切開面の全域においてピントの合った画像を用いて牛枝肉の肉質を評価しているため、従来の手法よりも正確に牛枝肉の肉質を評価することができる。

【0056】
(実施の形態2)
位置決め手段60は、実施の形態1において説明した6つのレーザ光源61~66からなる構成に限られず、牛枝肉の切開面にピントが合うように撮影装置1を位置決めできさえすれば、他のいかなる構成であっても良い。例えば、以下に説明するように、位置決め手段60をラインレーザ光源161~164から構成することも可能である。

【0057】
図11~14を参照して、本発明の実施の形態2に係る撮影装置1について説明する。実施の形態2に係る撮影装置1の基本的な構成は、実施の形態1に係る撮影装置1と同一であるが、位置決め手段60を4つのラインレーザ光源161~164から構成した点で実施の形態1と異なる。

【0058】
実施の形態2においては、位置決め手段60は、図11に示すように直線状のレーザ光を照射する4つのラインレーザ光源161~164を備えている。ラインレーザ光源161~164は、出射方向と垂直な方向に直線状に広がるレーザ光を出射するレーザ光源である。一対のラインレーザ光源161、162は、筐体10の上面に所定の間隔を空けて取り付けられている。他方の一対のラインレーザ光源163、164は、筐体10の下面に所定の間隔を空けて取り付けられている。ラインレーザ光源161~164は、レーザ光の向きを調整できるよう、筐体10に対して上下左右に首振り可能である。

【0059】
図12に示されるように、一対のラインレーザ光源161、162は、ラインレーザ光が互いに同一平面上であって、撮影装置1のピントの合う平面120上における直線Gで交差するように、筐体10に対する向きが調整される。同様にして、一対のラインレーザ光源163、164についても、ラインレーザ光が撮影装置1のピントの合う平面120上における直線Hで交差するように向きを調整される。撮影装置1のピントの合う平面120上においては、交差したラインレーザ光は互いにぴったりと重なる。このため、交差したラインレーザ光が形成する直線G、Hの長さは、ラインレーザ光の幅と同じになる。

【0060】
このとき、図12に示されるように、一対のラインレーザ光源161、162、一対のラインレーザ光源163、164のレーザ光が撮影装置1のピントが合う平面120上に形成する2つの直線G、Hは、互いに異なる位置となるように配置される。レーザ光により2つの直線G、Hが規定されることにより、撮影者は撮影装置1のピントが合う平面120を特定することが可能になる。

【0061】
実施の形態2における撮影装置1の位置決め方法について説明する。まず、位置決め手段60を構成する4つのラインレーザ光源161~164の傾きを調整する必要がある。具体的には、牛枝肉の切開面に対して撮影装置1が所定の角度θ及び距離xとなるように位置決めされた場合に、一対のラインレーザ光源161、162から照射されたラインレーザ光が牛枝肉の切開面上の直線Gで交差し、一対のラインレーザ光源163、164から照射されたラインレーザ光が牛枝肉の切開面上の直線Hで交差するように、4つのラインレーザ光源161~164の傾きを調整する。

【0062】
次いで、撮影者は、位置決め手段60からのレーザ光を確認しつつ、牛枝肉の切開面に向けて撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めする。具体的には、4つのラインレーザ光源161~164から出射されたレーザ光を牛枝肉の切開面に照射する。すると、図13に示すように、牛枝肉の切開面110上には、レーザ光が照射された4つの直線G’、H’、I’、J’を確認することができる。この状態から図14に示されるように4つのレーザ光が牛枝肉の切開面110上で交差して2つの直線G、Hを形成するように、牛枝肉の切開面110に対する撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めする。

【0063】
以上説明したように、実施の形態2においては、4つのラインレーザ光源161~164から出射されるラインレーザ光が牛枝肉の切開面上で2つの直線G、Hを形成するように撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めしている。このため、位置決め手段60として6つのレーザ光源61~66を用いる場合と比べて、牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の角度θをより正確に位置決めしやすくなる。

【0064】
(実施の形態3)
図15~17を参照して、本発明の実施の形態3に係る撮影装置1について説明する。実施の形態3に係る撮影装置1の基本的な構成は、実施の形態1に係る撮影装置1と同一であるが、位置決め手段60を3つのレーザ距離計261~263から構成した点で実施の形態1と異なる。

【0065】
図15に示されるように、実施の形態3においては、位置決め手段60は3つのレーザ距離計261~263を備えている。第1、第2レーザ距離計261、262は、左右方向に所定の間隔を空けて、筐体10の上面に取り付けられている。第1のレーザ距離計261は、筐体10の右側に取り付けられ、第2のレーザ距離計262は、筐体10の左側に固定されている。第3のレーザ距離計263は、筐体10の下面の右側に固定されている。

【0066】
レーザ距離計261~263は、いずれもレンズ32の光軸に平行な方向に沿って、前方の対象物までの距離を計測するように筐体10に固定されている。すなわち、3つのレーザ距離計261~263は、互いに平行な向きに距離を測定する。レーザ距離計261~263からのレーザ光を牛枝肉の切開面に照射すると、レーザ距離計261~263の先端面から牛枝肉の切開面までの距離を計測することができる。

【0067】
前述のように3つのレーザ距離計261~263は、光軸に対して平行な向きにレーザ光を出射する向き、すなわち筐体10に対して所定の角度で固定されているため、3つのレーザ距離計261~263により測定される距離に基づいて、撮影装置1に対する3つの点を特定することができる。撮影装置1に対して3つの点が定まれば、撮影装置1を基準にして平面を特定することが可能になる。実施の形態3においては、これら3つの点により特定される平面が、撮影装置1のピントが合う平面と一致するように、3つの点の位置、すなわちレーザ距離計261~263が目標とする距離(目標距離)を設定する。

【0068】
次に、実施の形態3における撮影装置1の位置決め方法について説明する。まず、3つのレーザ距離計261~263から撮影装置1のピントが合う平面までの目標距離をそれぞれ決定する。

【0069】
次に、3つのレーザ距離計261~263を作動させて、レーザ距離計261~263から牛枝肉の切開面までの平行な距離を計測する。このとき、図16に示されるように、レーザ距離計261~263は、それぞれ牛枝肉の切開面110上の点K’、L’、M’までの距離を計測しており、計測される距離は目標距離d、d、dとは異なるd’、d’、d’である。そこで、撮影者は、図17に示されるように、それぞれのレーザ距離計261~263が測定する牛枝肉の切開面110までの距離が目標距離d、d、dとなるように撮影装置1の位置決めを行う。3つのレーザ距離計261~263が牛枝肉の切開面110上の点K、L、Mまでの距離を計測し、計測された距離が目標距離d、d、dから許容誤差内にある場合、撮影者は撮影装置1が適切な位置に位置決めされていると判断できる。

【0070】
以上説明したように、実施の形態3においては、3つのレーザ距離計261~263が測定する牛枝肉の切開面までの距離に応じて、牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めしている。このため、実施の形態1、2に示されるようなレーザ光源から出射されるレーザ光を牛枝肉の切開面上に重ね合わせて位置を特定する手法に比べて、より客観的に牛枝肉の切開面に対する撮影装置1の角度θ及び距離xを位置決めすることができる。

【0071】
また、実施の形態3においては、撮影装置1の位置決めが牛枝肉の切開面に存在する局所的な凹凸などの表面形状に左右されにくく、牛枝肉の切開面にピントの合った状態で撮影することができる。その結果、牛枝肉の切開面の画像からロース芯の正確な面積を測定することができるため、特許文献1の方法を用いて牛枝肉の肉質を適切に評価することができる。

【0072】
なお、上記の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。

【0073】
(変形例)
例えば、上記実施形態においては、撮影装置1を所定の位置に固定するためにハンドル20を用いていたが、このようなものに限定されない。筐体10を台座に取り付けた平衡アームに連結し、撮影装置1を所定の位置に保持しやすく構成しても良い。

【0074】
例えば、上記実施形態においては、食肉センターの施設内に牛枝肉を吊して固定し、撮影者が牛枝肉ごとに撮影装置1を移動させて撮影を行っているが、このようなものに限定されない。食肉センターの施設内に撮影装置1を固定して設置しておき、レール等の手段を用いて牛枝肉を撮影装置1の前に順次移動させ、牛枝肉の切開面が所定の位置に配置されたときに、牛枝肉の切開面を撮影するように構成しても良い。

【0075】
例えば、上記実施形態においては、撮影者が牛枝肉の切開面に対して撮影装置1を位置決めした後、シャッターボタン22を押下して牛枝肉の切開面を撮影しているが、このようなものに限定されない。例えば、牛枝肉の切開面に対して撮影装置1が所定の位置に位置決めされたと制御部80が判断した場合、自動的に撮影装置1のシャッターを開くと共に、照明部70を発光させ、撮像素子50に牛枝肉の切開面からの反射光を受光させても良い。

【0076】
上記変形例に関連して、例えば、レーザ距離計261~263が目標距離d、d、dから許容誤差内の距離を計測したことを制御部80が検知した場合、制御部80は、撮像素子50を制御して、自動的に撮影装置1の電子式シャッターを開くと共に、照明部70を制御して、牛枝肉の切開面に照明を付与し、牛枝肉の切開面を撮影するように構成しても良い。これにより撮影装置1の位置決めから撮影までのタイムラグがなくなるため、撮影装置1の位置ずれを効果的に防止することができる。

【0077】
例えば、上記実施形態においては、撮影者が位置決め手段60の状態を観察して、撮影装置1が牛枝肉の切開面に対して適切な位置に位置決めされているかどうか判断しているが、このようなものに限定されない。制御部80が、位置決め手段60の状態に応じて、撮影装置1が牛枝肉の切開面に対して適切な位置に位置決めされているかどうかを判断し、撮影者にランプ、スピーカー等の報知手段により報知するように構成しても良い。

【0078】
例えば、上記実施形態においては、位置決め手段60を構成するレーザ光源61~66、ラインレーザ光源161~164を常時点灯させていたが、このようなものに限定されない。使用電力を低減するために、位置決め手段60を構成するレーザ光源61~66、ラインレーザ光源161~164が点滅するように構成しても良い。

【0079】
例えば、上記実施形態においては、位置決め手段60を構成するレーザ光源61~66、ラインレーザ光源161~164、レーザ距離計261~263を筐体10の上面又は下面に固定していたが、このようなものに限定されない。レーザ光源61~66、ラインレーザ光源161~164、レーザ距離計261~263は、例えば筐体10の側面に固定しても良く、レンズ部30の鏡筒31の周縁部に固定しても良い。

【0080】
例えば、上記実施の形態1、2においては、位置決め手段60を三対のレーザ光源61~66又は二対のラインレーザ光源161~164から構成しているが、このようなものに限定されない。例えば、位置決め手段60を四対以上のレーザ光源又は三対以上のラインレーザ光源から構成し、牛枝肉の切開面に対して撮影装置1をより正確に位置決め可能にしても良い。

【0081】
例えば、上記実施の形態3においては、位置決め手段60を3つのレーザ距離計261~263から構成しているが、このようなものに限定されない。位置決め手段60を構成するレーザ距離計は3つ以上であれば良く、例えば、図18に示すように、位置決め手段60を4つのレーザ距離計261~264から構成し、牛枝肉の切開面に対して撮影装置1をより正確に位置決め可能にしても良い。

【0082】
例えば、上記実施形態においては、位置決め手段60を構成するレーザ距離計261~263は、互いに平行な向きに距離を計測していたが、このようなものに限定されない。例えば、枝肉の切開面の大きさに応じて、レーザ距離計261~263が互いに異なる向きに距離を計測するように筐体10に固定されても良い。ただし、レーザ距離計261~263が互いに平行な向きに距離を計測する構成のほうが、直感的に位置決め操作し得ることは言うまでもない。

【0083】
例えば、上記実施形態においては、筐体10に照明部70が固定されていたが、このようなものに限定されない。例えば、筐体10に照明部70を可動性のアームを介して取り付け、筐体10に対して照明部70の向きを調整可能に構成しても良い。また、筐体10と照明部70を別体とし、照明部70を牛枝肉の切開面にさらに近接させても良い。

【0084】
例えば、上記実施形態においては、撮像素子50、制御部80へ電源ケーブル90を介して外部から電源を供給する例を示したが、このようなものに限定されない。筐体10の内部にバッテリーを収容して、撮像素子50、制御部80へ電源を供給するようにしても良い。

【0085】
例えば、上記実施形態においては、撮影した画像の正面像への変換、牛枝肉の肉質評価については外部のコンピュータを用いて行っていたが、このようなものに限定されない。撮影装置1の制御部80を用いて撮影した画像の正面像への変換、牛枝肉の肉質評価を行うように構成しても良い。

【0086】
上記実施形態及び変形例においては、牛枝肉の切開面を被写体としていたが、本発明に係る撮影装置の被写体は、このようなものに限定されない。牛枝肉のみならず、豚枝肉、羊枝肉等、他の家畜の枝肉を被写体にしても良い。また、隙間の狭い空間に存在する平面であれば、いかなるものも撮影対象とすることができる。例えば、遺跡の隙間に存在する壁面を本発明の撮影装置1にて撮影し、遺跡を破壊することなく壁面の画像を取得しても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 撮影装置
10 筐体
11 本体部
12 カバー
13 空間
20 ハンドル
21 グリップ部
22 シャッターボタン
30 レンズ部
31 鏡筒
32 レンズ
40 回転支持部
41 支持部
42 回転部
50 撮像素子
60 位置決め手段
61、62、63、64、65、66 レーザ光源
70 照明部
80 制御部
90 電源ケーブル
100 牛枝肉
110 切開面
120 撮影装置のピントの合う平面
161、162、163、164 ラインレーザ光源
261、262、263、264 レーザ距離計
301、302 撮影装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
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【図19】
18