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明細書 :圧力センサ、内視鏡スコープおよび内視鏡装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-080177 (P2017-080177A)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 圧力センサ、内視鏡スコープおよび内視鏡装置
国際特許分類 A61B   1/00        (2006.01)
G02B  23/24        (2006.01)
FI A61B 1/00 310A
A61B 1/00 300D
G02B 23/24 A
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 29
出願番号 特願2015-213208 (P2015-213208)
出願日 平成27年10月29日(2015.10.29)
発明者または考案者 【氏名】植木 賢
【氏名】上原 一剛
【氏名】野澤 誠子
【氏名】佐々木 強
【氏名】丸本 恵
【氏名】原田 隼人
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
【識別番号】598117366
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロシステム
個別代理人の代理人 【識別番号】100145872、【弁理士】、【氏名又は名称】福岡 昌浩
【識別番号】100091362、【弁理士】、【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
【識別番号】100187632、【弁理士】、【氏名又は名称】橘高 英郎
審査請求 未請求
テーマコード 2H040
4C161
Fターム 2H040BA23
2H040DA14
2H040DA18
4C161DD03
4C161FF32
4C161FF41
4C161HH51
4C161HH55
4C161JJ01
4C161JJ06
4C161JJ11
4C161JJ17
4C161NN10
要約 【課題】内視鏡スコープにおける挿入部の屈曲箇所においても適切な加圧検知を行うことができるようにする。
【解決手段】先端部11と、操作部20の操作に応じて屈曲する湾曲部12と、軟性部13とが連なるように構成された内視鏡スコープ2の挿入部10に装着されて用いられる圧力センサ30を、前記湾曲部12の周囲に装着される環状部分を有して構成するとともに、前記環状部分の内周が前記湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成された内視鏡スコープの挿入部に装着されて用いられる圧力センサであって、
前記湾曲部の周囲に装着される環状部分を有して構成されるとともに、前記環状部分の内周が前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさに形成される圧力センサ。
【請求項2】
前記湾曲部の屈曲極点の周囲に装着されるとともに、前記環状部分の内周が前記屈曲極点に対応する大きさに形成される請求項1記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記湾曲部の周方向に沿って延びるリング状の第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなる感圧部材と、
前記第1電極の延在方向とは交差する方向に延びる線状の第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記積層体が前記環状部分を構成する請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する
請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該湾曲部の非屈曲時の外周の大きさに対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成される請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記先端部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて拡がるテーパ形状に形成された第1ガイド部を備える請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記軟性部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて窄まる逆テーパ形状に形成された第2ガイド部を備える請求項5または6に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該屈曲箇所に装着されている変形抑制部材の外周に相当する大きさに形成される請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記第1電極は、前記湾曲部の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成している請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の圧力センサが前記湾曲部の周囲に装着されてなる内視鏡スコープ。
【請求項11】
請求項10に記載の内視鏡スコープと、
前記内視鏡スコープに装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える内視鏡装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡スコープに用いられる圧力センサ、その圧力センサを備えた内視鏡スコープ、および、その内視鏡スコープを備えて構成された内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消化器系の内視鏡検査に用いられる内視鏡スコープとしては、被術者(内視鏡検査の被検者)の体内に挿入される挿入部の先端部分に圧力センサを装着して、その先端部分に加わる外力を圧力センサにより検出することで、その外力の大きさを術者(内視鏡スコープの操作者)に提示できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2012/153703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来構成では圧力センサが挿入部の先端部分のみに装着されているが、内視鏡スコープにおいて、圧力センサは挿入部の先端部分以外の箇所にも装着されるべきである。大腸穿孔等の発生を未然に回避するためには、挿入部の先端部分以外での体内組織との接触を検知することが必要だからである。
【0005】
ただし、内視鏡スコープの挿入部は、その挿入経路(例えば大腸や小腸等の消化器管路)の形状等に合わせて自在に屈曲するように構成されている。そのため、挿入部の先端部分以外の箇所に圧力センサを装着する場合には、挿入部の屈曲時または非屈曲時のいずれの状態においても、また挿入部がどの方向に屈曲した状態においても、その屈曲等の影響を受けることなく、圧力センサが適切な加圧検知を行い得るようにしなければならない。特に、挿入部の屈曲箇所は、体内組織との接触が生じ易い箇所である。このような箇所において適切な加圧検知を行うことは、大腸穿孔等の発生を未然に回避する上で非常に重要である。
【0006】
そこで、本発明は、挿入部の屈曲箇所においても適切な加圧検知を行うことができる圧力センサ、内視鏡スコープおよび内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
(本発明の一態様)
本発明の一態様は、
先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成された内視鏡スコープの挿入部に装着されて用いられる圧力センサであって、
前記湾曲部の周囲に装着される環状部分を有して構成されるとともに、前記環状部分の内周が前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさに形成される圧力センサである。
(本発明の他の一態様)
本発明の他の一態様は、
上記一態様に記載の圧力センサが前記湾曲部の周囲に装着されてなる内視鏡スコープである。
(本発明のさらに他の一態様)
本発明のさらに他の一態様は、
上記他の一態様に記載の内視鏡スコープと、
前記内視鏡スコープに装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える内視鏡装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内視鏡スコープの挿入部の屈曲箇所においても適切な加圧検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る内視鏡スコープおよび内視鏡装置の概略構成例を模式的に示す説明図である。
【図2】内視鏡スコープの湾曲部の屈曲態様の一具体例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図(その1)であり、環状部分の構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図(その2)であり、第1ガイド部および第2ガイド部の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図(その3)であり、変形抑制部材の構成例を示す図である。
【図6】本発明に係る圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図(その4)であり、圧力感応部の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る圧力センサの一具体例の構成要素の製造手順を示す説明図である。
【図8】内視鏡スコープの挿入部に装着された圧力センサに対するセンサ負荷状態の一例を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明に係る圧力センサの他の具体例の構成要素を模式的に示す説明図であり、感圧部材の領域分割の構成例を示す図である。
【図10】本発明に係る圧力センサの他の具体例の構成要素の製造手順を示す説明図(その1)である。
【図11】本発明に係る圧力センサの他の具体例の構成要素の製造手順を示す説明図(その2)である。
【図12】本発明に係る圧力センサの他の具体例の構成要素の製造手順を示す説明図(その3)である。
【図13】本発明に係る圧力センサの構成要素の変形例を模式的に示す説明図(その1)であり、第1電極の変形例を示す図である。
【図14】本発明に係る圧力センサの構成要素の変形例を模式的に示す説明図(その2)であり、領域分割の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明に係る圧力センサ、内視鏡スコープおよび内視鏡装置について説明する。

【0011】
(1)内視鏡スコープおよび内視鏡装置の概略構成
先ず、内視鏡スコープおよび内視鏡装置について、大腸内を撮像するように構成されたものを例に挙げて説明する。
図1は、内視鏡スコープおよび内視鏡装置の概略構成例を模式的に示す説明図である。

【0012】
(内視鏡装置)
本実施形態で説明する内視鏡装置1は、内視鏡スコープ2と、制御本体部3と、モニタ部4と、を備えて構成されている。

【0013】
(内視鏡スコープ)
内視鏡スコープ2は、被術者(内視鏡検査の被検者)の体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の屈曲操作等を術者(内視鏡スコープ2の操作者)が行うための操作部20と、を備えている。また、内視鏡スコープ2の挿入部10には、詳細を後述するように、圧力センサ30が装着されている。

【0014】
挿入部10は、樹脂材料からなる外皮によって被覆された長尺管状のもので、その先端側から先端部11、湾曲部12および軟性部13が順に配されて構成されている。具体的には、挿入部10は、例えば、6~13mm程度の管外周径を有し、先端から50mm程度までの範囲に先端部11が配され、さらにそこから50~100mm程度までの範囲に湾曲部12が配され、全長が1000mm程度となるように構成されたものが一般的である。

【0015】
先端部11の端面には、少なくとも投光部および画像取得部(ただし、いずれも不図示)が設けられている。そして、投光部から照射した光が腸壁で反射され、その反射光を画像取得部で受光することにより、腸内画像を取得するように構成されている。投光部としては、制御本体部3の光源からの光を導くように挿入部10内に配されたライトガイドや、先端部11に配された発光素子(例えばLED)等、の公知の構成を使用し得る。また、画像取得部の構成は、特に限定されないが、先端部11に設けられた対物レンズで腸壁からの反射光を集光し、この光を対物レンズの結像位置に配置された撮像素子(例えばCCD)によって受光し、そこで得られた画像信号を挿入部10内に設けられた信号線を通じて制御本体部3に送る構成のものが一例として挙げられる。なお、先端部11の端面には、投光部および画像取得部の他に、処置具の出し入れと吸引口を兼ねた鉗子口(ただし不図示)や、水や空気を送り出すノズル(ただし不図示)等が設けられていてもよい。

【0016】
湾曲部12は、操作部20の操作に応じて屈曲するように構成された部分である。さらに詳しくは、湾曲部12は、その内部に間接コマ(ただし不図示)が配されているとともに、その間接コマが挿入部10内を通るワイヤ(ただし不図示)によって操作部20と連結されている。このような構成により、湾曲部12は、操作部20での操作内容に応じて、アップアングル、ダウンアングル、レフトアングル、ライトアングル等の各方向に屈曲し得るようになっている。また、屈曲する量(曲率)についても、操作部20での操作内容次第で調整し得るようになっている。

【0017】
軟性部13は、湾曲部12に連なる部分で、信号線やワイヤ等を内包しつつ、屈曲可能な柔軟性(可撓性)を有して構成されたものである。ただし、軟性部13は、操作部20の操作に応じて屈曲する湾曲部12とは異なり、能動的な屈曲を実現可能とする機能は有していない。すなわち、軟性部13は、周囲の状況(例えば、大腸の腸管形状)に応じて受動的に屈曲し得るものに過ぎない。

【0018】
(制御本体部)
制御本体部3は、例えばCPU、RAM、ROM等を組み合わせて構成されたコンピュータ装置からなるもので、予めインストールされている所定プログラムを実行することで、内視鏡スコープ2を含む内視鏡装置1全体の動作制御を行うものである。具体的には、制御本体部3は、内視鏡スコープ2の先端部11の投光部から光を照射するように動作指示を与えたり、その先端部11の撮像素子で得られた画像信号を受け取って必要な画像処理や記録処理等を行ったりする。

【0019】
また、制御本体部3は、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着された圧力センサ30からの検出信号を取得して処理することで、その圧力センサ30に対する加圧量や加圧位置等を認識し得るようになっている。つまり、制御本体部3は、内視鏡スコープ2に装着された圧力センサ30からの検出信号を取得して処理する「制御部」としての機能をも有している。

【0020】
(モニタ部)
モニタ部4は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置からなるもので、主として内視鏡スコープ2で取得された画像を術者(内視鏡スコープの操作者)に対して表示出力するものである。

【0021】
また、モニタ部4は、圧力センサ30からの検出信号についての制御本体部3での信号処理結果を出力するようになっている。つまり、モニタ部4は、圧力センサ30でのセンサ検知結果に対する制御本体部3での信号処理結果を出力する「信号出力部」としての機能をも有している。この出力結果を参照することで、術者は、圧力センサ30に対する加圧量や加圧位置等がどのような状態であるかを把握し得るようになる。この信号出力は、モニタ部4の表示画面上において、内視鏡スコープ2で取得された画像に重ねて行うことが考えられるが、必ずしもこれに限定されることはない。例えば、モニタ部4の表示画面に付設されたインジケータ部を利用した光の表示出力によって行ってもよい。また、この信号出力は、視覚によって認識できる画像または光の表示出力に限定されることはなく、聴覚によって認識できる音出力、触覚によって認識できる振動出力、またはこれらを適宜組み合わせたものによって行ってもよい。より具体的には、液晶ディスプレイ等の表示装置に加えて、または液晶ディスプレイ等の表示装置とは別に、ランプ、警報ブザー、バイブレーションシステム等を利用して、センサ検知結果の出力を行うことが考えられる。

【0022】
ただし、いずれの出力態様の場合であっても、モニタ部4は、圧力センサ30が検知した圧力の大きさを識別可能な態様で出力するものであることが望ましい。例えばモニタ部4が光の表示出力を行う場合であれば、圧力センサ30が検知した圧力の大きさに応じて表示レベルが可変するような態様でセンサ検知結果の出力を行うことが考えられる。また、これに限られることはなく、ディスプレイの表示内容、ランプの数・輝度・色、ブザー音量、バイブ振動強さ・振動周期等を、検知圧力の大きさに応じて適宜可変させながら、センサ検知結果の出力を行うようにしてもよい。

【0023】
(内視鏡装置の使用態様)
ここで、以上のような構成の内視鏡装置1の使用態様について簡単に説明する。

【0024】
内視鏡装置1は、内視鏡スコープ2の挿入部10を被術者(内視鏡検査の被検者)の体内に挿入して使用する。挿入部10の挿入は、例えば、被術者の肛門から大腸へ向けて行う。このとき、大腸や小腸等は屈曲した複雑な管路形状を有しているため、挿入部10の挿入にあたり、術者(内視鏡スコープの操作者)は、必要に応じて内視鏡スコープ2の操作部20を操作して挿入部10の湾曲部12を屈曲させながら、挿入部10の押し込み操作を行う。

【0025】
ただし、湾曲部12を屈曲させながら挿入部10の押し込み操作を行う場合には、その屈曲箇所が体内組織(具体的には、例えば腸壁)と接触してしまうおそれがある。特に、湾曲部12の屈曲極点については、腸壁等との接触が生じ易い。「屈曲極点」とは、湾曲部12の屈曲の度合いが最も高まる点のことをいい、具体的には、屈曲箇所の曲率が最も小さくなる点、または屈曲した際の頂点と見做せるような点が該当する。
このような屈曲極点に代表される湾曲部12の屈曲箇所の腸壁等との接触は、場合によっては腸管穿孔に繋がる可能性があり、その発生を未然に回避すべきである。しかしながら、湾曲部12の屈曲箇所は、挿入部10の先端部11で撮像可能な領域範囲から外れており、術者の手に伝わる感触のみによって腸壁等との接触の有無を判断することが非常に困難である。

【0026】
以上のことを鑑み、本実施形態で説明する内視鏡装置1の内視鏡スコープ2では、挿入部10における湾曲部12、すなわち体内への挿入時に能動的に屈曲させることで屈曲箇所となる部分に、腸壁等との接触による加圧を検知する圧力センサ30が装着されているのである。ただし、圧力センサ30の装着箇所は、湾曲部12のみに限定されるものではなく、先端部11や軟性部13等を含んでいてもよい。

【0027】
(2)圧力センサの一具体例
次に、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着される圧力センサ30の一具体例について説明する。

【0028】
(圧力センサの概要)
圧力センサ30は、腸壁等の体内組織との接触による加圧を検知するものである。加圧検知は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなる感圧部材を利用して行う。つまり、圧力センサ30は、感圧部材の電気的特性の変化を利用して、加圧による圧力値の大きさを電気信号として取り出すように構成されている。このような構成で加圧検知を行えば、センサ大型化を抑制しつつ簡素な構成で必要十分な感度や分解能等が得られるようになり、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着する上で非常に好適なものとなる。

【0029】
ところで、圧力センサ30は、上述したように、挿入部10の湾曲部12に装着される。したがって、圧力センサ30は、湾曲部12の屈曲に適切に対応し得るものでなければならない。「屈曲に適切に対応し得る」とは、湾曲部12の屈曲を阻害することなく当該湾曲部12の屈曲箇所へのセンサ装着が可能であり、かつ、センサ装着状態にて湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出が生じないようにすることをいう。

【0030】
ここで、内視鏡スコープ2の湾曲部12の屈曲態様について簡単に説明する。
図2は、湾曲部の屈曲態様の一具体例を示す説明図である。
内視鏡スコープ2の挿入部10では、湾曲部12が操作部20の操作に応じて屈曲する。このとき、挿入部10を被覆する外皮が柔軟性を有していることから、屈曲箇所の内側部分には、図2(a)に示すように、外皮の皺10aが発生することが経験的に知られている。
特に、近年では、図2(b)に示すように、湾曲部12が屈曲する際の最小曲率が小さくなる傾向にある。そのため、屈曲箇所の内側部分における外皮の皺10aの発生が、より一層顕著なものとなる。具体的には、皺10aの発生が多くなり、そのサイズも大きいものとなる。
このような皺10aの発生は、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出を招く要因となり得る。例えば、皺10aの発生によりその皺10aが圧力センサ30を加圧してしまうと、腸壁等の体内組織との接触ではないにも拘らず(すなわち、検知すべき加圧ではないにも拘らず)、そのことを圧力センサ30が検知してしまう。

【0031】
このように、湾曲部12は、屈曲すると、例えば皺10aの発生の影響で、その屈曲箇所の外形形状が変形してしまう可能性がある。したがって、湾曲部12に装着される圧力センサ30は、湾曲部12に屈曲による変形が生じ得る場合であっても、その屈曲に適切に対応し得るものである必要がある。

【0032】
(圧力センサの基本的な構成例)
以上のことを鑑み、ここで例に挙げて説明する圧力センサ30は、以下に述べるように構成されている。
図3~6は、圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図である。

【0033】
図3に示すように、圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所(体内組織との接触を検知すべき箇所)に装着される装着部分31と、その装着部分31から挿入部10に沿って制御本体部3まで延びる信号線32と、を有して構成されている。

【0034】
(環状の装着部分)
装着部分31は、加圧を検知するための圧力感応部(ただし不図示)を備えつつ、挿入部10の被検出箇所に装着されるように構成された部分であり、さらに詳しくは、挿入部10の被検出箇所の外周を全周にわたって囲う環状に形成された部分である。なお、ここでいう「環状」とは、圧力感応部が全周にわたって連続している必要はなく、圧力感応部以外の構成部品も含めて装着部分31が環状であれば、圧力感応部が周方向に分断されているような構成も含む。以下、環状に形成された装着部分31のことを単に「環状部分」という。

【0035】
環状部分31が装着される挿入部10の被検出箇所としては、特に湾曲部12の屈曲極点が挙げられる。「屈曲極点」とは、湾曲部12の屈曲の度合いが最も高まる点のことをいい、具体的には、屈曲箇所の曲率が最も小さくなる点、または屈曲した際の頂点と見做せるような点が該当する。このような屈曲極点は、尖り易い部分であり腸穿孔等を生じさせ易い部分だからである。なお、屈曲極点の具体的な位置は、内視鏡スコープ2の仕様によっても異なるが、例えば湾曲部12の軸方向長さの中点付近に存在することが一般的である。

【0036】
このように、環状部分31は、湾曲部12(特に屈曲極点)の外周を全周にわたって囲うように構成されている。ただし、環状部分31は、湾曲部12以外の先端部11または軟性部13にも装着され得るものであってもよい。

【0037】
また、環状部分31は、上述した被検出箇所への装着のために、当該環状部分31の内周が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されている。「屈曲箇所に対応する大きさ」とは、「屈曲した状態」の湾曲部12の周囲に装着可能な大きさのことをいう。したがって、湾曲部12の屈曲極点への装着のためには、環状部分31は、屈曲した状態の屈曲極点の周囲に装着可能な大きさに形成されることになる。

【0038】
さらに詳しくは、「屈曲箇所に対応する大きさ」という概念には、後述する(イ)~(ハ)の態様が包含される。具体的には、(イ)湾曲部12の屈曲による変形を考慮しつつ、変形が生じてもセンサ加圧が生じないように、湾曲部12の外周よりも大きく設定された大きさ、(ロ)湾曲部12に後述する変形抑制部材が装着されている場合であれば、当該変形抑制部材の外周に相当する大きさ、(ハ)内視鏡スコープ2の挿入部10の内部(外皮の下)に皺等の回避機構が組み込まれている場合であれば、その回避機構を内包した被覆部分の外周に相当する大きさ、の各態様が包含される。
以下、これらの各態様について、具体的に説明する。

【0039】
(上記(イ)の態様について)
上記(イ)の態様の場合、環状部分31の内周(図3中における寸法A参照)は、湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該湾曲部12の非屈曲時の外周の大きさ(図3中における寸法B参照)に対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成される。「屈曲変化想定量」とは、湾曲部12が屈曲したときに生じることが想定される当該湾曲部12の外径変化量であり、シミュレーション計算や実験結果(実測値)等に基づいて内視鏡スコープ2毎(機種毎、型式毎等)に予め設定し得る量である。

【0040】
このように、環状部分31の内周の大きさを湾曲部12の非屈曲時よりも屈曲変化想定量の分だけ大きくすれば、湾曲部12の屈曲によりその外周部分に皺10aが寄って外径が増大したような場合であっても、その増大後の外径に環状部分31の内周の大きさがほぼ合致することになる。つまり、湾曲部12の屈曲により当該湾曲部12の外径が増大するように変形しても、これにより圧力センサ30の環状部分31の内周側が加圧されてしまうことがない。したがって、湾曲部12が屈曲する場合であっても、これに起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できる。

【0041】
なお、上記(イ)の態様の場合においては、図4に示すように、環状部分31に付随して、第1ガイド部33と第2ガイド部34のいずれか一方または両方を設けることが考えられる。

【0042】
第1ガイド部33は、一端が湾曲部12の被検出箇所(センサ装着位置)よりも先端部11の側で挿入部10の外周に取り付けられ、他端が湾曲部12のセンサ装着位置にて環状部分31の外周に取り付けられ、一端から他端に向けて拡がるテーパ形状に形成されたものである。第1ガイド部33は、特に限定されるものではないが、例えば樹脂フィルム材によって形成することが考えられる。このような第1ガイド部33を備えていれば、環状部分31が非屈曲時の湾曲部12よりも大径に形成されている場合であっても、挿入部10の挿入作業時に環状部分31の引っ掛かり等が生じるのを抑制することができる。

【0043】
第2ガイド部34は、一端が湾曲部12のセンサ装着位置)にて環状部分31の外周に取り付けられ、他端が湾曲部12のセンサ装着位置よりも軟性部13の側で挿入部10の外周に取り付けられ、一端から他端に向けて窄まる逆テーパ形状に形成されたものである。第2ガイド部34は、第1ガイド部33と同様に、特に限定されるものではないが、例えば樹脂フィルム材によって形成することが考えられる。このような第2ガイド部34を備えていれば、環状部分31が非屈曲時の湾曲部12よりも大径に形成されている場合であっても、挿入部10の抜去作業時に環状部分31の引っ掛かり等が生じるのを抑制することができる。

【0044】
(上記(ロ)の態様について)
上記(ロ)の態様の場合、図5に示すように、湾曲部12には、変形抑制部材14が装着されているものとする。変形抑制部材14は、湾曲部12が屈曲したときに外皮に皺10a等が寄って外径変化が生じるのを抑制するために当該湾曲部12の屈曲箇所の外周に装着される部材である。具体的には、変形抑制部材14は、例えば、挿入部10の外皮の変形を抑制できる程度に伸縮性が抑えられた材料からなるテープ状部材を、湾曲部12の屈曲箇所の外周に巻き回して構成することが考えられる。ただし、これに限定されることはなく、湾曲部12が屈曲したときの外径変化を抑制し得るものであれば、他の部材によって構成されたものであってもよい。

【0045】
このような変形抑制部材14が装着されていることから、上記(ロ)の態様の場合、環状部分31の内周は、湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該屈曲箇所に装着されている変形抑制部材14の外周に相当する大きさに形成される。そして、変形抑制部材14の外周を囲うように環状部分31が装着されることになる。

【0046】
湾曲部12の屈曲箇所に変形抑制部材14が装着されていれば、湾曲部12が屈曲しても、変形抑制部材14の装着箇所については、皺10aが寄って外径が増大してしまうようなことがない。したがって、変形抑制部材14の外周に装着された環状部分31に対しては、湾曲部12が屈曲しても、これにより圧力センサ30の環状部分31の内周側が加圧されてしまうことがなく、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できる。

【0047】
しかも、環状部分31は、その内周が変形抑制部材14の外周に相当する大きさであることから、湾曲部12の屈曲の有無に拘らず、変形抑制部材14の外周の径に環状部分31の内周の大きさがほぼ合致することになる。つまり、環状部分31は、湾曲部12の屈曲状態と非屈曲状態のいずれの場合においても、内周が変形抑制部材14の外周にほぼ合致した装着状態にて外部からの加圧検知を行うことになる。したがって、湾曲部12の屈曲状態のみならず、湾曲部12の非屈曲状態においても、外部からの加圧検知の検出精度向上が図れるようになる。

【0048】
なお、上記(ロ)の態様の場合においても、上記(イ)の態様の場合と同様に、第1ガイド部33と第2ガイド部34のいずれか一方または両方を設けるようにしてもよい。

【0049】
(上記(ハ)の態様について)
上記(ハ)の態様の場合、湾曲部12には、上記(ロ)の態様の場合における変形抑制部材14と同様の機能の果たす回避機構が、当該湾曲部12を被覆する外皮の内側に設けられているものとする。かかる回避機構は、湾曲部12が屈曲したときに外皮に皺10a等が寄って外径変化が生じるのを抑制し得るものであればよく、その具体的な構成が特に限定されるものではない。

【0050】
このような回避機構が湾曲部12の外皮内に設けられていることから、上記(ハ)の態様の場合、環状部分31の内周は、湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさとして、回避機構を内包した被覆部分の外周に相当する大きさに形成される。そして、その被覆部分の外周を囲うように環状部分31が装着されることになる。

【0051】
湾曲部12が回避機構を内包していれば、湾曲部12が屈曲しても、その回避機構が配された箇所については、皺10aが寄って外径が増大してしまうようなことがない。したがって、湾曲部12が屈曲しても、これにより圧力センサ30の環状部分31の内周側が加圧されてしまうことがなく、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できる。
しかも、環状部分31は、湾曲部12の屈曲状態と非屈曲状態のいずれの場合においても、内周が湾曲部12の外皮の外周にほぼ合致した装着状態にて外部からの加圧検知を行うことになる。したがって、湾曲部12の屈曲状態のみならず、湾曲部12の非屈曲状態においても、外部からの加圧検知の検出精度向上が図れるようになる。

【0052】
(圧力感応部の詳細)
ところで、上記(イ)~(ハ)のいずれの態様の場合においても、環状部分31は、当該環状部分31が備える圧力感応部により外部からの加圧検知を行う。ここで、圧力感応部の構成例について詳細に説明する。

【0053】
環状部分31は、例えば、図6(a)に示すような断面構造を有している。図6(a)は、図3中におけるC-C断面を模式的に示している。
図例のように、環状部分31は、第1電極311と感圧部材312と第2電極313とが順に積層されてなる積層体を備えている。積層体は、フィルム部材314によって覆われている。つまり、環状部分31は、フィルム部材314によって覆われた積層体を円環状に配することによって構成されている。このとき、積層体は、その積層方向が円環の周方向とほぼ直交するように(すなわち円環の径方向に沿うように)するように配置される。

【0054】
第1電極311は、細径の線状導電性材料(例えば、銀線、金線、ステンレススチール線等、径が約100~500μm程度の導電性金属線材)によって形成され、ある一方向である環状部分31の周方向(すなわち、環状部分31が装着される湾曲部12の外周の周方向)に沿って延びるリング状に配設されたものである。

【0055】
感圧部材312は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなるもので、第1電極311の周囲を全周にわたって被覆するチューブ状に形成されたものである。つまり、チューブ状に形成された感圧部材312の中空孔に、第1電極311が挿入されるように構成されている。
感圧部材312において変化する「電気的特性」としては、具体的には電気抵抗、静電容量、電圧等が挙げられるが、ここでは電気抵抗が変化するように感圧部材312が構成されている場合を例に挙げる。つまり、感圧部材312を構成する弾性体は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気抵抗が変化する感圧式導電性ゴムからなるものである。このような感圧式導電性ゴムの材料自体については、例えば導電材を含む感圧エストラマのような公知技術を利用して形成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。

【0056】
第2電極313は、第1電極311の延在方向である一方向とは交差する方向に延びる線状電極からなるものである。第2電極313の延在方向としては、例えば第1電極311の延在方向と略直交する方向が挙げられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、第1電極311の延在方向とは平行でなく、必ず交差する方向であればよい。また、第2電極313については、その延在方向に沿って複数のものを所定の間隔で並ぶように配列させることが考えられるが、その配列数が特に限定されることはなく、適宜設定されたものであればよい。配列数が多ければ検出分解能を向上させ得るようになり、配列数が少なければセンサ構成の複雑化を抑制し得るようになる。

【0057】
このような第2電極313は、例えば異方導電性布313aによって形成することが考えられる。異方導電性布313aは、図6(b)に示すように、非導電性繊維の織物313bにおける縦糸または横糸の一部を予め定めた一定の間隔で導電性糸313cに置換したもの、または非導電性繊維の織物313bに予め定めた一定の間隔で導電性糸313cを縫い込んだものである。非導電性繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を用いることが考えられるが、PET以外であっても非導電性のものであれば種類を問わない。ただし、非導電性繊維は、耐熱性および化学的耐性を有することが望ましい。一方、導電性糸313cは、銀糸、金糸、ステンレススチール糸、炭素繊維、銀めっきナイロン糸等の細径で導電性および柔軟性を有するものであれば使用することができ、その径は非導電性繊維の繊維径と同程度とすることが望ましい。非導電性繊維および導電性糸313cの径は、数μm~数十μm程度とすることが考えられる。このような構成によれば、異方導電性布313aとして、例えば厚さが50μm程度で非常に柔軟性に富んだものが得られる。このような異方導電性布313aを用いれば、導電性糸313cが第2電極313として機能することになる。第2電極313となる導電性糸313cの配置間隔は、特に臨界的限度はないが、圧力分布を高分解能で測定できるようにするためには0.5~1.0mm程度とすればよく、用途によっては1~数cm程度となるようにすることもできる。

【0058】
フィルム部材314は、積層体の保護膜として機能するもので、防水性、絶縁性、化学的耐性および柔軟性等を有した樹脂材料からなるフィルム材(例えば、30μm程度の厚さのポリウレタンフィルム材)によって形成されている。

【0059】
以上のような積層体を用いて構成された環状部分31では、当該積層体のいずれかの箇所が外力によって加圧されると、その加圧箇所の感圧部材312が圧力を受けることで変形する。感圧部材312が変形すると、その変形量に応じて感圧部材312における電気抵抗、すなわち感圧部材312が介在する第1電極311と第2電極313との間の電気抵抗が変化する。したがって、このような構成の環状部分31を用いれば、第1電極311と第2電極313との間の電気抵抗の大きさをモニタリングすることで、その圧力センサ5に対する加圧を検知することができるようになる。つまり、圧力値を電気抵抗値として取り出すことができ、簡素な構成で必要十分な感度や分解能等が得られる。なお、圧力値を電気抵抗値として取り出すために、第1電極311と第2電極313のそれぞれには、信号線32が接続されている。

【0060】
(環状部分の製造手順)
ここで、上述した構成の環状部分31の製造手順を説明する。
図7は、圧力センサの一具体例の構成要素の製造手順を示す説明図である。

【0061】
環状部分31の製造にあたっては、先ず、図7(a)に示すように、第1電極311の周囲を感圧部材312で被覆して、第1電極311と感圧部材312とが同心状に配置されてなるものを形成する。第1電極311および感圧部材312の軸方向長さは、環状部分31の周長と同程度、すなわち湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに相当する長さ程度とする。なお、感圧部材312による第1電極311の被覆は、チューブ状の感圧部材312の中空孔に第1電極311を挿入することで行うことが考えられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、通常の絶縁単線の製造方法と同様に長尺状の被覆体を形成した後に当該被覆体を所定長さに切断することにより作製してもよい。

【0062】
感圧部材312による第1電極311の被覆体を形成した後は、次いで、所定サイズの異方導電性布313aを用意し、異方導電性布313aの複数の導電性糸313cが第1電極311と直交するように、形成した被覆体を異方導電性布313aの略中央部に載置する。そして、被覆体の載置位置を中心にして、その両側に位置する異方導電性布313aのうちの一方側を折り返し、その一方側の異方導電性布313aを他方の側の異方導電性布313aに短絡しないように重ね合わせる。これにより、異方導電性布313aは、図7(b)に示すように、感圧部材312による第1電極311の被覆体を一方の端縁側に挟んで折り畳まれた状態となる。折り畳まれた異方導電性布313aでは、複数の導電性糸313cのそれぞれが第2電極313を構成する。なお、折り畳まれた異方導電性布313aの間には、折り畳まれた状態の安定化のために、両面テープ、接着剤または粘着材を設けてもよい。

【0063】
異方導電性布313aを折り畳んだ状態とした後は、次いで、図7(c)に示すように、第1電極311および第2電極313のそれぞれに対して個別に信号線32を接続する。信号線32としては、例えばエナメル線等の表面が絶縁された金属線を用いる。なお、信号線32については、そのうちの半数を一方の側に(図中における左側)に纏めるように折り曲げ、残りの半数を反対側に纏めるように折り曲げることが考えられる。このようにすれば、複数本の信号線32が接続されている場合であっても、環状部分31を構成した際に、その環状部分31から延びる信号線32の位置を一箇所に纏めることが可能となるからである。また、信号線32については、それぞれの位置が安定するようにするため、粘着テープによって固定するようにしてもよい。さらに、信号線32については、表面が絶縁された金属線に代えてフレキシブルプリント配線基板を用いてもよい。

【0064】
その後は、図7(d)に示すように、第1電極311および感圧部材312を挟んで折り畳まれた状態とされた異方導電性布313aと、そこから延びる信号線32の一部とを、フィルム部材314によって被覆する。このフィルム部材314は、内面側に粘着材が塗布されているものやヒートシール性フィルムからなるもの等を使用すると、被覆が容易となる。フィルム部材314による被覆後は、その最大厚さ(第1電極311および感圧部材312の配置箇所の厚さ)が、例えば0.9~1.2mm程度となる。

【0065】
そして、フィルム部材314による被覆後は、その被覆後の構造体が円環状となるように成形する。これにより、図3に示した環状部分31が得られることになる。また、第1電極311は実質的にリング状になるとともに、第1電極311、感圧部材312および第2電極313からなる積層体についても環状に配置されることになる。さらに、信号線32の位置を一箇所に纏めることが可能となる。

【0066】
なお、このようにして得られる環状部分31は、図6(a)に示した平坦面の側が内周面に位置し、第1電極311および感圧部材312による突出部分が存在する側が外周面に位置するように成型することが好ましい。そのほうが外部からの加圧を検知する上で好適だからである。そして、その成型にあたっては、内周面によって構成される内径が、上述した「屈曲箇所に対応する大きさ」となるようにする。

【0067】
(環状部分の被検出箇所への装着)
以上の手順で製造される環状部分31は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所に装着される。挿入部10の被検出箇所としては、既に説明したように、湾曲部12(特に、その屈曲極点)が挙げられるが、湾曲部12以外の先端部11または軟性部13を被検出箇所に含んでもよい。

【0068】
挿入部10の被検出箇所への環状部分31の装着は、当該環状部分31の環内に挿入部10を嵌入した状態で当該環状部分31を被検出箇所に位置させ、その状態で当該環状部分31の位置を固定することによって行えばよい。環状部分31の位置固定は、例えば、両面テープ、接着剤または粘着材を利用して行えばよい。環状部分31に第1ガイド部33または第2ガイド部34が付設される場合にも、当該環状部分31と全く同様に、第1ガイド部33または第2ガイド部34の位置固定を行えばよい。

【0069】
また、環状部分31から延びる信号線32については、束ねられて挿入部10の外面に沿って制御本体部3まで延在される。この束ねられた信号線32の固定についても、例えば、両面テープ、接着剤または粘着材を利用して行えばよい。

【0070】
(センサ装着後の内視鏡スコープ)
挿入部10の被検出箇所に圧力センサ30の環状部分31が装着された内視鏡スコープ2は、その被検出箇所に対する外部から加圧を検知することができる。しかも、環状部分31の内周が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されているため、挿入部10の被検出箇所を湾曲部12とした場合であっても、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できる。さらには、環状部分31における第1電極311が周方向に延びるリング状に形成されており、その第1電極311を全周にわたって被覆するように感圧部材312が配されていることから、湾曲部12がどの方向に屈曲した場合であっても、湾曲部12に対する外圧が加われば、そのことを検知することができる。一方、環状部分31における第2電極313についても、柔軟性に富む異方導電性布313aを利用して構成されていることから、屈曲する湾曲部12に装着する上で非常に好適なものとなる。また、異方導電性布313aが薄いものであることから、必要十分な感度や分解能等を実現しつつ、環状部分31の大型化(厚肉化)等を抑制することができる。

【0071】
以上のことから、上述した構成の環状部分31を有して構成された圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10における湾曲部12に装着されて用いられる場合に、非常に好適なものであるといえる。そして、その圧力センサ30が湾曲部12に装着されてなる内視鏡スコープ2は、湾曲部12の屈曲時または非屈曲時のいずれの状態においても、また湾曲部12がどの方向に屈曲した状態においても、その屈曲等の影響によるセンサ誤検出等が生じることなく、圧力センサ30が適切な加圧検知を行い得るようになる。つまり、体内組織との接触が生じ易い湾曲部12の屈曲箇所についても、適切な加圧検知を行うことができる。

【0072】
圧力センサ30による検知結果は、制御本体部3で信号処理された後に、モニタ部4により出力される。これにより、術者(内視鏡スコープ2の操作者)は、内視鏡スコープ2の挿入部10の体内挿入時に湾曲部12と体内組織との接触が生じても、そのことをモニタ部4からの出力結果を通じて把握することができる。したがって、術者にとっては、大腸穿孔等の発生を未然に回避する上で、非常に有用なものとなる。

【0073】
圧力センサ30の検知結果を出力するモニタ部4については、圧力センサ30が検知した圧力の大きさを識別可能な態様で出力するように構成されたものであってもよい。このようにモニタ部4が構成されていれば、術者(内視鏡スコープ2の操作者)は、体内組織との接触の発生の有無のみならず、その接触の強さ、すなわちその接触による圧力センサ30に対する加圧量についても、把握し得るようになる。したがって、その場合に、術者は、例えば、体内組織に対する湾曲部12の接触の強さを調整(加減)したり、接触の強さが体内組織に損傷を与える強さであるか否かを判断する、といったことを行い得るようになる。

【0074】
なお、圧力センサ30の検知結果(すなわちモニタ部4での出力内容)については、内視鏡スコープ2の画像取得部で得られた画像と同期させて、内視鏡スコープ2の挿入部10の体内挿入時のログ情報として記憶保持することが考えられる。このようにすれば、内視鏡スコープ2の画像取得部で観察可能となった腸管内等の様子のみならず、その腸管内等での挿入部10(特に湾曲部12)と体内組織との接触の有無や強さ等についても、これらを互いに関連付けつつ、ログ情報によって事後的に検証することが可能となる。

【0075】
(3)圧力センサの他の具体例
次に、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着される圧力センサ30の他の具体例について説明する。ただし、ここでは、上述した一具体例との相違点についてのみ説明し、当該一具体例と同様の点については説明を省略する。

【0076】
(センサ負荷状態について)
圧力センサ30は、印加圧力に応じて電気抵抗値が変化する感圧部材312を利用して加圧検知を行うように構成されている。そして、その感圧部材312は、上述した一具体例においては、第1電極311を被覆するように環状部分31の全周(すなわち被検出箇所の周方向の全域)にわたって連続する一体構造により配置されている。
一方、圧力センサ30が装着される内視鏡スコープ2の挿入部10には、その挿入部10を被覆する外皮が柔軟性を有しており、外部から局所的な加圧があると加圧箇所に凹状の変形が生じるように構成されたものがある。
このような変形が生じ得る挿入部10に一体構造の感圧部材312が配置された環状部分31を装着した場合には、感圧部材312が周方向に連続して構成されているため、外部からの負荷が作用していない箇所においても圧力センサ30が反応を示してしまうおそれがある。

【0077】
図8は、センサ負荷状態の一例を模式的に示す説明図である。
ここでは、図8(a)に示すように、挿入部10の外周を囲うように配された第1電極311および感圧部材312を、仮想的に領域I~領域IVに分けて考える。第1電極311および感圧部材312を直線状に展開すると、図8(b)に示すようになる。
このような第1電極311および感圧部材312に対して、例えば、図8(c)に示すように、領域IIに外部からの強い圧力が局所的に作用した場合には、その加圧の影響が領域IIと連続する他の領域である領域Iおよび領域IIIにも及んでしまうおそれがある。つまり、各領域I~IIIが連続していると、外部からの圧力が作用していない領域I,IIIにおいても反力が生じてしまい、その影響で領域I,IIIでも感圧部材312の電気抵抗値変化を検出するといったセンサ誤動作が起こり得る。

【0078】
また、環状部分31の装着箇所(すなわち、挿入部10における被装着箇所)については、その外形に変形が生じることを想定する必要がある。例えば、挿入部10の構成によっては、外部からの局所的な加圧により加圧箇所が凹むように変形することがあり得る。また、例えば、被装着箇所が湾曲部12にある場合には、屈曲前後で屈曲箇所が相違するような変形が生じることがあり得る。
このような被装着箇所の変形に対しては、感圧部材312が周方向に連続して配置されていると、その変形に感圧部材312が追従することができず、その変形の影響でセンサ誤動作が生じてしまうことがあり得る。

【0079】
(領域分割)
以上のことを鑑み、ここで例に挙げて説明する圧力センサ30は、以下に述べるように構成されている。
図9は、圧力センサの他の具体例の構成要素を模式的に示す説明図である。

【0080】
ここで説明する圧力センサ30は、上述した一具体例の場合と同様に、第1電極311、感圧部材312、異方導電性布313aを利用した第2電極313、および、フィルム部材314からなる構造体を円環状に成型して環状部分31が構成されているが、図9(a)に示すように、その環状部分31が周方向に領域分割されて感圧領域35と非感圧領域36とを備えている点で、上述した一具体例の場合とは異なる。

【0081】
ここで「周方向に領域分割されて感圧領域35と非感圧領域36とを備えている」とは、一つ以上の感圧領域35と一つ以上の非感圧領域36とを備えるように、環状部分31が周方向に領域分割されていることをいう。領域分割数については、各領域35,36を一つ以上備えていれば特に限定されるものではない。例えば、図9(a)に示す例では、領域I~領域IVのそれぞれに対応して四つの感圧領域35が配され、各感圧領域35の間に非感圧領域36が介在するように配された、いわゆる四分割に構成された場合を示している。ただし領域分割数が四分割に限定されることはなく、八分割、十二分割等とすることも考えられる。領域分割数が多ければ(例えば十二分割)、環状部分31を円形に近づけることができ、被検出箇所の外周への適合性が高くなり、センサ検出感度の向上が図れる。一方、領域分割数が少なければ(例えば四分割)、センサ構成の複雑化を抑制でき、製造コストの低減が図れる。また、感圧領域35と非感圧領域36は必ずしも同数である必要はなく、感圧領域35同士が連続して配置されるような構成もあり得る。ただし、非感圧領域36同士が連続する構成はない。

【0082】
(感圧領域)
感圧領域35は、加圧による変形量に応じて電気抵抗値が変化する感圧部材312を用いて加圧検知を行うように構成された領域である。つまり、感圧領域35では、当該領域内の全域にわたって第1電極311、感圧部材312および第2電極313の積層体が配されて構成されている。ただし、感圧領域35を構成する感圧部材312は、隣り合う感圧領域35における感圧部材312とは連続しておらず、各感圧領域35の間で分断されている。

【0083】
(非感圧領域)
非感圧領域36は、当該非感圧領域36を挟んで隣り合う感圧領域35同士を連結する領域である。ただし、非感圧領域36には、感圧領域35とは異なり、感圧部材312が配されていない。つまり、非感圧領域36は、環状部分31の周方向に沿って延びる第1電極311は存在するが、少なくとも感圧部材312が配されていないことから、加圧検知を行う機能を有していない。

【0084】
また、非感圧領域36は、各領域35,36の並び方向、すなわち環状部分31の周方向に伸縮性を有して構成されている。具体的には、非感圧領域36の部分においては、当該非感圧領域36に存在する第1電極311が、環状部分31の周方向への伸縮性を付与する連結形状に形成されている。「伸縮性を付与する連結形状」とは、環状部分31に沿って延びるリング状を維持しつつ、その環状部分31の周方向への伸縮を吸収する緩み(弛み)を有して感圧領域35の部分同士を連結するように構成された形状のことをいい、具体的にはループ状、V字状、U字状、またはこれらに準ずる結線形状のことをいう。

【0085】
(加圧検知)
以上のように、環状部分31が感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された構成では、各感圧領域35が分断されて連続していないことから、それぞれの感圧領域35が独立して動作することが可能である。例えば、図9(b)に示すように、領域IIの感圧領域35に対して外部からの強い圧力が局所的に作用した場合には、その感圧領域35が他の感圧領域35の影響を受けることなく独立して加圧検知を行う。そして、その感圧領域35と隣り合う領域I,IIIの感圧領域35に対して、局所的な加圧の影響が及んでしまうこともない。つまり、各感圧領域35の独立性が担保されるので、局所的な加圧を適切に検出し得るようになり、その局所的な加圧箇所の隣接箇所や対極箇所等でのセンサ誤動作を防止できるようになる。

【0086】
また、非感圧領域36が伸縮性を有する構成では、環状部分31の装着箇所(すなわち、挿入部10における被装着箇所)の外形に変形が生じても、その変形に追従し得るようになる。例えば、外部からの局所的な加圧により加圧箇所が凹むように挿入部10の被装着箇所が変形したり、屈曲により挿入部10の被装着箇所が変形した場合であっても、非感圧領域36が伸縮することでその変形に環状部分31が追従し得るようになり、その変形の影響が感圧領域35に及んでしまうことがない。つまり、非感圧領域36が伸縮性を有していれば、挿入部10の被検出箇所が変形しても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できるようになる。

【0087】
(領域分割された環状部分の製造手順)
ここで、感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された環状部分31の製造手順を説明する。ここでは、領域分割が十二分割である場合を例に挙げる。
図10~図12は、圧力センサの他の具体例の構成要素の製造手順を示す説明図である。

【0088】
領域分割された環状部分31の製造にあたっては、先ず、図10に示すように、第1電極311の周囲を感圧部材312で被覆して、第1電極311と感圧部材312とが同心状に配置されてなるものを形成する。第1電極311および感圧部材312の全体の軸方向長さは、環状部分31の周長と同程度とする。
ただし、感圧部材312については、全体の軸方向長さを十二分割した長さのものを、その分割数に応じた個数(すなわち十二個)用意する。そして、用意した感圧部材312のそれぞれが軸方向に沿って並ぶように一列に配置する。
また、第1電極311については、伸縮性を付与する連結形状であるループ状部311aが、複数箇所(例えば三箇所)に設けられている。このループ状部311aは、感圧部材312で被覆されず露出したままとなる。つまり、第1電極311におけるループ状部311a以外の部分が感圧部材312で被覆される。ループ状部311aは、各感圧部材312の間にそれぞれ配置してもよいが、センサ構成の複雑化や非感圧領域36の増大等を抑制するため、図例のように三つの感圧部材312置きに配置することが考えられる。なお、ループ状部311aは、伸縮性を付与し得るものであれば、V字状、U字状、またはこれらに準ずる結線形状のものであってもよい。

【0089】
ループ状部311aを有する第1電極311を十二分割した各感圧部材312で被覆してなる被覆体を形成した後は、次いで、図11に示すように、所定サイズの異方導電性布313aを用意し、異方導電性布313aの複数の導電性糸313cが第1電極311と直交するように、形成した被覆体を異方導電性布313aに挟んで当該異方導電性布313aを折り畳む。折り畳まれた異方導電性布313aでは、複数の導電性糸313cのそれぞれが第2電極313を構成する。
このとき、ループ状部311aについては、伸縮性が阻害されないように、異方導電性布313aによって覆われないようにする。つまり、異方導電性布313aは、ループ状部311aの箇所で分断されたものとなる。異方導電性布313aの分断は、異方導電性布313aの折り畳み後に切断することによって行ってもよいし、分断後のサイズの異方導電性布313aを予め用意することで行ってもよい。
また、隣り合う感圧部材312同士の間については、各感圧領域35の独立性が阻害されないように、異方導電性布313aに切り込み313dを入れることが好ましい。

【0090】
異方導電性布313aを折り畳んだ状態とした後は、次いで、第1電極311および第2電極313に対して信号線32を接続する。
このとき、異方導電性布313aには、感圧部材312が配置されていない箇所(例えば感圧部材312同士の間)を通る導電性糸313cを信号線32と導通させないために、その導電性糸313cを含む一部領域を切除して切欠き部313eを形成する。切欠き部313eを形成しておけば、例えば感圧部材312が配置されていない箇所を通る導電性糸313cが解れて第1電極311との接触が生じても、電気的短絡が生じてしまうことがない。

【0091】
その後は、ループ状部311aによる伸縮性が阻害されないようにしつつ、異方導電性布313a等をフィルム部材314で被覆し、その被覆後の構造体が円環状となるように成形する。これにより、感圧部材312の配置箇所が感圧領域35として機能し、感圧部材312が配置されておらずループ状部311aが設けられた箇所が非感圧領域36として機能するように、領域分割がされた環状部分31が得られることになる。

【0092】
なお、上述した例では、ループ状部311aが位置する非感圧領域36において異方導電性布313aが完全に分断されており、また電気的短絡防止のために切欠き部313eが形成されている場合を説明したが、異方導電性布313aは、このような構成のものには限定されない。
例えば、図12に示すように、異方導電性布313aは、ループ状部311aによる伸縮性が阻害されなければ、非感圧領域36において完全に分断されたものではなく、ループ状部311aに対応して一部箇所のみが切除された構成のものであってもよい。
また、異方導電性布313aは、切欠き部313eが形成されておらずに、感圧部材312が配置されていない箇所を通る導電性糸313cが当該異方導電性布313aから引き抜かれたもの、すなわち導電性糸313cが配されていない領域313fを有して構成されたものであってもよい。

【0093】
いずれの構成であっても、異方導電性布313aは、第2電極313を構成する導電性糸313cが感圧領域35に対応する位置のみに配置されたものであればよい。「感圧領域35に対応する位置のみ」とは、非感圧領域36に対応する位置、および、連続配置された感圧領域35と感圧領域35との間に相当する位置を排除する構成を意味する。具体的には、上述したように、導電性糸313cを含む異方導電性布313aの一部を切除する切欠き部313eを設けたり、異方導電性布313aから導電性糸313cを引き抜いたりすることで実現することが考えられる。
このように、導電性糸313cが感圧領域35に対応する位置のみに配置されていれば、非感圧領域36に対応する位置や、連続配置された感圧領域35と感圧領域35との間に相当する位置等には、第2電極313が存在しないことになる。したがって、環状部分31を周方向に領域分割する場合であっても、電気的短絡等が発生するおそれを排除することができ、電気的短絡等の発生に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。

【0094】
(環状部分の被検出箇所への装着)
以上の手順で製造される環状部分31は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所に装着される。挿入部10の被検出箇所としては、湾曲部12(特に、その屈曲極点)、先端部11または軟性部13の少なくとも一つが挙げられる。つまり、上述した一具体例に場合とは異なり、被検出箇所が湾曲部12を含まないこともあり得る。ただし、ここで説明する他の具体例の圧力センサ30も湾曲部12に装着して非常に有用である点は、上述した一具体例に場合と同様である。

【0095】
挿入部10の被検出箇所への環状部分31の装着は、例えば、両面テープ、接着剤または粘着材を利用して行うことが考えられるが、感圧領域35のみが被検出箇所に対して位置固定され、非感圧領域36については伸縮性が阻害されないように配される。なお、非感圧領域36におけるループ状部311aには、外部との電気的短絡を防止するための絶縁処理(例えば、線材の被服処理)が施されているものとする。

【0096】
(センサ装着後の内視鏡スコープ)
感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された環状部分31が装着された内視鏡スコープ2は、感圧領域35が配された箇所において、被検出箇所に対する外部から加圧を検知することができる。このとき、環状部分31では、領域分割されており、各感圧領域35が分断されて連続していないことから、それぞれの感圧領域35が独立して動作することが可能である。したがって、各感圧領域35の独立性が担保されるので、局所的な加圧を適切に検出し得るようになり、その局所的な加圧箇所の隣接箇所や対極箇所等でのセンサ誤動作を防止できる。
また、環状部分31では、非感圧領域36が伸縮性を有しているので、外部からの局所的な加圧により加圧箇所が凹むように挿入部10の被装着箇所が変形したり、屈曲により挿入部10の被装着箇所が変形した場合であっても、その変形に環状部分31が追従し得るようになり、その変形の影響が感圧領域35に及んでしまうことがない。したがって、挿入部10の被検出箇所が変形しても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できるようになる。

【0097】
以上のことから、上述した構成の環状部分31を有して構成された圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10(特に湾曲部12)に装着されて用いられる場合に、非常に好適なものであるといえる。そして、その圧力センサ30が湾曲部12に装着されてなる内視鏡スコープ2は、局所的な加圧を適切に検出することができ、また被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できるので、体内組織との接触について適切な加圧検知を行うことができる。

【0098】
(4)本実施形態の効果
本実施形態で説明した圧力センサ30、内視鏡スコープ2および内視鏡装置1によれば、以下に述べるいずれか一つまたは複数の効果が得られる。

【0099】
(a)本実施形態においては、内視鏡スコープ2における先端部11または軟性部13ではなく、特に操作部20からの操作に応じて屈曲する湾曲部12に、圧力センサ30が装着されている。このように、湾曲部12に圧力センサ30を装着すれば、内視鏡スコープ2は、湾曲部12を屈曲させた際の生体組織(例えば腸壁)との接触を検知でき、挿入部10の挿入作業の作業性が向上するとともに、腸穿孔等のトラブル発生回避に有効なものとなる。
しかも、本実施形態においては、湾曲部12への装着のために、圧力センサ30が湾曲部12の周囲に装着される環状部分31を有して構成されるとともに、その記環状部分31の内周が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されている。このように、環状部分31が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されていれば、湾曲部12が屈曲する場合であってもセンサ誤検出等が生じるのを抑制でき、検出精度の向上を図ることが可能となる。

【0100】
(b)また、本実施形態においては、圧力センサ30の環状部分31が、特に湾曲部12の屈曲極点の周囲に装着されるようになっている。湾曲部12の屈曲極点は、屈曲の度合いが最も高まる点であり、尖り易い部分であることから、腸穿孔等を生じさせ易い部分である。このようなを被検出箇所として圧力センサ30の環状部分31を配置すれば、腸穿孔等のトラブル発生を回避する上で非常に有効なものとなる。しかも、その場合であっても、環状部分31の内周を屈曲極点に対応する大きさに形成することで、センサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。

【0101】
(c)また、本実施形態においては、リング状に延びる第1電極311と、変形量に応じて電気的特性が変化する感圧部材312と、第1電極311と交差する方向に延びる第2電極313とからなる積層体を利用して加圧検知を行う。そのため、加圧による圧力値を電気抵抗値として取り出すことができ、簡素な構成で必要十分な感度や分解能等が得られるので、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着する上で非常に好適な圧力センサ30を構成することができる。しかも、第1電極311がリング状であることから、圧力センサ30は、湾曲部12の屈曲にも適切に対応し得るものとなり、湾曲部12がどの方向に屈曲しても、湾曲部12に対する外圧が加われば、そのことを検出することができる。

【0102】
(d)また、本実施形態においては、異方導電性布313aにおける導電性糸313cが第2電極313を構成している。このように、異方導電性布313aを利用して圧力センサ30を構成すれば、異方導電性布313aが柔軟性に富むことから、その圧力センサ30は、湾曲部12に装着する上で非常に好適なものとなる。しかも、異方導電性布313aを利用して圧力センサ30を構成すれば、必要十分な感度や分解能等を実現しつつ、センサの大型化等を抑制することができる。

【0103】
(e)また、本実施形態においては、例えば上記(イ)の態様として説明したように、環状部分31の内周が、湾曲部12の非屈曲時の外周の大きさに対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成されている。このように、環状部分31の内周の大きさを湾曲部12の非屈曲時よりも屈曲変化想定量の分だけ大きくすることで、湾曲部12の屈曲によりその外周部分に皺10aが寄って外径が増大したような場合であっても、これにより圧力センサ30の内周側が加圧されてしまうことがない。したがって、湾曲部12が屈曲する場合であっても、これに起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制でき、検出精度の向上を図ることが可能となる。

【0104】
(f)また、本実施形態においては、環状部分31に付随して、第1ガイド部33と第2ガイド部34のいずれか一方または両方が設けられている。そのため、圧力センサ30の環状部分31が非屈曲時の湾曲部12よりも大径に形成されている場合であっても、体内への挿入部10の挿入作業時または体内からの挿入部10の抜去作業時において、環状部分31の引っ掛かり等が生じるのを抑制できるので、挿入部10の作業性向上が図れる。

【0105】
(g)また、本実施形態においては、例えば上記(ロ)または(ハ)の態様として説明したように、環状部分31の内周が、変形抑制部材14の外周に相当する大きさ(変形抑制部材14と同様の機能の果たす回避機構が内包されている場合は当該回避機構を内包した被覆部分の外周に相当する大きさ)に形成されている。このように、変形抑制部材14または回避機構が装着されている場合であれば、湾曲部12が屈曲しても変形抑制部材14または回避機構の装着箇所については皺10aが寄って外径が増大してしまうようなことがない。つまり、湾曲部12が屈曲しても、これにより圧力センサ30の内周側が加圧されてしまうことがない。したがって、湾曲部12が屈曲する場合であっても、これに起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制しつつ、適切な大きさ(湾曲部12に合致した大きさ)でのセンサ装着を行うことになり、検出精度の向上を図ることが可能となる。

【0106】
(h)また、本実施形態においては、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着される圧力センサ30の環状部分31が、領域分割されて感圧領域35と非感圧領域36とを備えており、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有して構成されている。このように、環状部分31が感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割されていれば、圧力センサ30では、各感圧領域35が独立して動作することが可能となり、局所的な加圧を適切に検出し得るようになる。つまり、このうな構成の圧力センサ30が装着された内視鏡スコープ2では、ある感圧領域35に対して局所的な加圧があった場合に、その加圧の影響が他の感圧領域35に及んでしまうのを回避し得るので、隣接箇所や対極箇所等でのセンサ誤動作を防止できるようになる。
しかも、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有しているので、圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所が変形しても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。

【0107】
(i)また、本実施形態においては、圧力センサ30が環状に形成された環状部分31を備えているとともに、その環状部分31が周方向に領域分割されており、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有して構成されている。このように構成されていれば、圧力センサ30は、例えば内視鏡スコープ2の挿入部10のような管状の被検出箇所に対しても容易に装着することができ、しかも全周方向について加圧を検出し得るようになる。しかも、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有しているので、被検出箇所が可撓性を有しており屈曲等によって変形が生じるように構成されている場合であっても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。これらの点において、圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10への装着に適用して非常に好適なものであるといえる。

【0108】
(j)また、本実施形態においては、第1電極311が感圧領域35と非感圧領域36とを通じて延びるリング状に構成されるとともに、非感圧領域36の部分では当該第1電極311が挿入部10の周方向への伸縮性を付与する連結形状に形成されている。このように、第1電極311がリング状であれば、圧力センサ30は、環状部分31を周方向に領域分割する場合であっても、センサ構成の簡素化が実現可能となる。さらには、被検出箇所の屈曲にも適切に対応し得るとともに、被検出箇所がどの方向に屈曲しても被検出箇所に対する加圧を検出し得るようになる。しかも、第1電極311がリング状であれば、非感圧領域36の部分の連結形状を、例えばループ状、V字状、U字状、これらに準ずる結線形状等によって、周方向への伸縮を吸収する緩み(弛み)を有するように構成すればよく、非感圧領域36の部分の構成の簡素化も図れるようになる。

【0109】
(k)また、本実施形態においては、異方導電性布313aにおける導電性糸313cが第2電極313を構成している。このように、異方導電性布313aを利用して圧力センサ30を構成すれば、環状部分31を周方向に領域分割する場合であっても、異方導電性布313aを分断したりループ状部311aに対応して一部箇所のみを切除したりして対応することが可能となるので、その領域分割への対応が非常に容易なものとなる。

【0110】
(l)また、本実施形態においては、異方導電性布313aで第2電極313を構成する導電性糸313cが、感圧領域35に対応する位置のみに配置されている。このように、導電性糸313cが感圧領域35に対応する位置のみに配置されていれば、非感圧領域36に対応する位置や、連続配置された感圧領域35と感圧領域35との間に相当する位置等には、第2電極313が存在しないことになる。したがって、環状部分31を周方向に領域分割する場合であっても、異方導電性布313aの導電性糸313cの解れ等による電気的短絡等が発生するおそれを排除することができ、電気的短絡等の発生に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。

【0111】
(5)変形例等
以上に、本発明の実施形態について具体例を挙げて説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。

【0112】
(圧力感応部)
例えば、上述した実施形態では、感圧部材312を構成する弾性体が感圧式導電性ゴムからなり、その感圧部材312における電気抵抗の変化を利用して圧力センサ30が加圧検知を行う場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、圧力センサ30は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化するように構成されており、その電気的特性の変化を利用して加圧検知を行うものであればよい。ここでいう「電気的特性」が変化する圧力センサには、上述した実施形態で説明した電気抵抗が変化するものの他に、例えば、静電容量式の圧力センサや、圧力の大きさに応じた電圧を発生させる圧電素子等が含まれる。
また、感圧部材312を含む積層体についても、上述した実施形態では、チューブ状の感圧部材312によって第1電極311が被覆されるように構成される場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、単に第1電極311と第2電極313との間に感圧部材312が介在しているだけのものであってもよい。少なくとも第1電極311と感圧部材312と第2電極313とが順に積層された積層体を備えていれば、圧力センサ30が加圧検知を行うことが可能だからである。
さらに、積層体を構成する第2電極313についても、必ずしも異方導電性布313aによって形成されたものである必要はなく、第1電極311と交差する方向に延びるものであれば、例えば導電性金属線材からなる線状電極を並べて構成されたものであってもよい。

【0113】
(リング状の第1電極)
また、上述した実施形態では、第1電極311が一方向(湾曲部12の外周の周方向)のみに延びてリング状を構成する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、第1電極311は、周方向以外の方向(例えば軸方向)に沿って延びる部分を有していても、全体としてリング状を構成するものであればよい。
図13は、第1電極の変形例を模式的に示す説明図である。
図例の第1電極311は、湾曲部12の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、これら複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成している。そして、各直線部分は、感圧部材312によって被覆されている。このように、第1電極311は、湾曲部12の軸方向に延びる直線部分を有したものであっても、全体としてリング状を構成していれば、湾曲部12での加圧検出を行うことが可能である。しかも、第1電極311の直線部分が感圧部材312によって被覆されていれば、軸方向への検出領域の増大が図れる。
また、第1電極311が軸方向に延びる直線部分を有している場合には、その直線部分を感圧領域35に配置し、直線部分を繋ぎ合わせる部分を非感圧領域36に配置することが考えられる。このようにすれば、第1電極311が直線部分を有していても、その直線部分を繋ぎ合わせる部分をループ状部311aと同様に機能させることで、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有するように構成することが実現可能となる。

【0114】
(領域分割の方向)
また、上述した実施形態では、感圧領域35と非感圧領域36への領域分割を行う場合に、その領域分割を一方向(挿入部10の外周の周方向)のみに沿って行う場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、領域分割は、複数の方向(すなわち二次元方向)に行ってもよい。
図14は、領域分割の変形例を模式的に示す説明図である。
図例の場合、非導電性繊維の織物313bに一定間隔で導電性糸313cが配された異方導電性布313aに対して、その導電性糸313cの延在方向と略直交する方向に延びるように一定間隔で第1電極311が配されている。そして、第1電極311と第2電極313として機能する導電性糸313cとが交差する箇所では、第1電極311が感圧部材312によって被覆されている。また、感圧部材312による第1電極311の被覆は部分的なものであり、隣り合って配置された感圧部材312同士の間は第1電極311が被覆されておらず、被覆されていない第1電極311に対して伸縮性を付与する連結形状であるループ状部311aが設けられている。

【0115】
このように構成された第1電極311、感圧部材312および第2電極313の積層体では、第1電極311と第2電極313とが交差する箇所が、外部からの加圧検知を行うこと感圧領域35として機能し、他の箇所が非感圧領域36として機能することなる。つまり、かかる積層体は、第1電極311の延在方向と第2電極313の延在方向とのそれぞれについて、感圧領域35と非感圧領域36に領域分割されている。しかも、少なくとも第1電極311の延在方向については、非感圧領域36にループ状部311aが設けられていることから、感圧領域35と非感圧領域36の各領域の並び方向に伸縮性を有して構成されている。したがって、かかる積層体が装着される被検出箇所が変形し得る場合であっても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。
なお、ここでは、第1電極311の延在方向についてのみ伸縮性を付与する場合を例に挙げたが、第2電極313として機能する導電性糸313cについても、非感圧領域36において伸縮性を付与するように、ループ状、V字状、U字状、これらに準ずる結線形状等ループ状部311aのような結線形状等としてもよい。このようにすれば、二次元方向への変形にも追従し得るようになる。

【0116】
(被検出箇所への装着)
また、上述した実施形態では、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所として、特に湾曲部12を例に挙げている。湾曲部12へのセンサ装着を行う場合には、湾曲部12が操作部20の操作に応じて屈曲することから、上述した実施形態で説明したように、被検出箇所に装着される装着部分31を環状に形成することが好ましい。
ただし、上述した実施形態で説明した装着部分31は、湾曲部12以外の箇所に装着されるものであってもよい。その場合、装着部分31は、被検出箇所が屈曲しない箇所であれば、必ずしも環状に形成されている必要はなく、例えば平面状に形成されていてもよい。
装着部分31が平面状に形成されていれば、その装着部分31は、平面状の被検出箇所(例えば、内視鏡スコープ2の挿入部10における先端部の一部分)に対して容易に装着することができる。しかも、その装着部分31が感圧領域35と非感圧領域36に領域分割されていれば、被検出箇所が変形し得る場合であっても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。

【0117】
(内視鏡スコープ以外への適用)
また、上述した実施形態では、大腸内を撮像する内視鏡スコープ2への適用を例に挙げたが、被術者の体内に挿入されて用いられるものであれば適用可能であり、本発明が大腸内視鏡検査の用途に限定されることはない。
特に、感圧領域35と非感圧領域36への領域分割がされた構成の圧力センサ30については、被術者の体内に挿入する挿入部を有したものであれば、内視鏡スコープ2以外の手術用器具に適用することが考えられる。このような手術用器具としては、内視鏡スコープ2の他に、硬性鏡、鉗子等がある。さらに、手術用器具については、術者が手に持って操作するのみならず、例えばロボット手術システムに用いられるもののように、術者が間接的の操作するものであってもよい。
これと同様に、制御本体部3およびモニタ部4を含む内視鏡装置1についても、内視鏡スコープ2以外の手術用器具を備えた手術用装置であっても構わない。

【0118】
(6)本発明の好ましい態様
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。

【0119】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成された内視鏡スコープの挿入部に装着されて用いられる圧力センサであって、
前記湾曲部の周囲に装着される環状部分を有して構成されるとともに、前記環状部分の内周が前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさに形成される圧力センサが提供される。

【0120】
[付記2]
好ましくは、付記1に記載の圧力センサにおいて、
前記湾曲部の屈曲極点の周囲に装着されるとともに、前記環状部分の内周が前記屈曲極点に対応する大きさに形成される。

【0121】
[付記3]
さらに好ましくは、付記1または2に記載の圧力センサにおいて、
前記湾曲部の周方向に沿って延びるリング状の第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなる感圧部材と、
前記第1電極の延在方向とは交差する方向に延びる線状の第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記積層体が前記環状部分を構成する。

【0122】
[付記4]
さらに好ましくは、付記3に記載の圧力センサにおいて、
所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する。

【0123】
[付記5]
さらに好ましくは、付記1から4のいずれか一態様に記載の圧力センサにおいて、
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該湾曲部の非屈曲時の外周の大きさに対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成される。

【0124】
[付記6]
さらに好ましくは、付記5に記載の圧力センサにおいて、
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記先端部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて拡がるテーパ形状に形成された第1ガイド部を備える。

【0125】
[付記7]
さらに好ましくは、付記5または6に記載の圧力センサにおいて、
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記軟性部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて窄まる逆テーパ形状に形成された第2ガイド部を備える。

【0126】
[付記8]
さらに好ましくは、付記1から4のいずれか一態様に記載の圧力センサにおいて、
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該屈曲箇所に装着されている変形抑制部材の外周に相当する大きさに形成される。

【0127】
[付記9]
さらに好ましくは、付記3に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記湾曲部の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成している。

【0128】
[付記10]
本発明の他の態様によれば、
付記1から9のいずれか一態様に記載の圧力センサが前記湾曲部の周囲に装着されてなる内視鏡スコープが提供される。

【0129】
[付記11]
本発明のさらに他の態様によれば、
付記10に記載の内視鏡スコープと、
前記内視鏡スコープに装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える内視鏡装置が提供される。

【0130】
[付記12]
本発明のさらに他の態様によれば、
加圧を検知する圧力センサであって、
被検出箇所に装着される装着部分を有して構成され、
前記装着部分は、領域分割されて感圧領域と非感圧領域とを備えており、
前記感圧領域は、加圧により電気的特性が変化する感圧部材を用いて加圧検知を行うように構成されており、
前記非感圧領域は、当該非感圧領域を挟んで隣り合う前記感圧領域同士を連結するとともに、各領域の並び方向に伸縮性を有して構成されている
圧力センサが提供される。

【0131】
[付記13]
好ましくは、付記12に記載の圧力センサにおいて、
前記装着部分は、環状に形成されているとともに、周方向に領域分割されて前記感圧領域と前記非感圧領域とを備えており、
前記非感圧領域は、周方向に伸縮性を有して構成されている。

【0132】
[付記14]
さらに好ましくは、付記12または13に記載の圧力センサにおいて、
一方向に延びる第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体と、
前記一方向と交差する方向に延びる第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記弾性体が前記感圧部材を構成し、
前記積層体が前記感圧領域を構成する。

【0133】
[付記15]
さらに好ましくは、付記14に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記感圧領域と前記非感圧領域とを通じて延びるリング状に構成されるとともに、前記非感圧領域の部分では前記挿入部の周方向への伸縮性を付与する連結形状に形成される。

【0134】
[付記16]
さらに好ましくは、付記14または15に記載の圧力センサにおいて、
所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する。

【0135】
[付記17]
さらに好ましくは、付記16に記載の圧力センサにおいて、
前記異方導電性布は、前記第2電極を構成する前記導電性糸が前記感圧領域に対応する位置のみに配置されたものである。

【0136】
[付記18]
さらに好ましくは、付記15に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記挿入部の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成し、
前記直線部分が前記感圧領域に配置され、
前記直線部分を繋ぎ合わせる部分が前記非感圧領域に配置される。

【0137】
[付記19]
さらに好ましくは、付記12に記載の圧力センサにおいて、
前記装着部分は、平面状に形成されている。

【0138】
[付記20]
本発明のさらに他の態様によれば、
被術者の体内に挿入する挿入部を有した手術用器具であって、
付記12から19のいずれか一態様に記載の圧力センサを備えるとともに、
前記挿入部に前記被検出箇所が配されており、当該被検出箇所に前記装着部分が装着されている
手術用器具が提供される。

【0139】
[付記21]
好ましくは、付記20に記載の手術用器具において、
前記手術用器具は、前記挿入部が屈曲するように構成された内視鏡スコープである。

【0140】
[付記22]
好ましくは、付記21に記載の手術用器具において、
前記内視鏡スコープにおける前記挿入部は、先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成されており、
前記圧力センサは、前記先端部、前記湾曲部、前記軟性部のいずれかの箇所、またはこれらの複数箇所に装着される。

【0141】
[付記23]
本発明のさらに他の態様によれば、
付記20から22のいずれか一態様に記載の手術用器具と、
前記手術用器具に装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える手術用装置が提供される。
【符号の説明】
【0142】
1…内視鏡装置(手術用装置)、2…内視鏡スコープ(手術用器具)、3…制御本体部(制御部)、4…モニタ部(信号出力部)、10…挿入部、11…先端部、12…湾曲部、13…軟性部、14…変形抑制部材、20…操作部、30…圧力センサ、31…環状部分(環状の装着部分)、32…信号線、33…第1ガイド部、34…第2ガイド部、35…感圧領域、36…非感圧領域、311…第1電極、311a…ループ状部、311d…切欠き部、312…感圧部材、313…第2電極、313a…異方導電性布、313c…導電性糸、313e…切欠き部、313f…領域、314…フィルム部材
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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