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明細書 :微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-203582 (P2015-203582A)
公開日 平成27年11月16日(2015.11.16)
発明の名称または考案の名称 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法
国際特許分類 G01N   1/10        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
C12M   1/26        (2006.01)
FI G01N 1/10 A
G01N 37/00 101
C12M 1/26
請求項の数または発明の数 23
出願形態 OL
全頁数 35
出願番号 特願2014-081700 (P2014-081700)
出願日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発明者または考案者 【氏名】新井 史人
【氏名】益田 泰輔
【氏名】宋 元儀
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 2G052
4B029
Fターム 2G052AA30
2G052AA33
2G052CA03
2G052CA11
2G052DA09
2G052EA05
2G052ED01
4B029AA09
4B029BB11
4B029CC01
4B029HA05
要約 【課題】粒径が異なる微粒子が混在している溶液から、抗体等を使用する必要が無く、また、連続的に短時間で微粒子を分離することができる微粒子分離用チップ、微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法を提供する。
【解決手段】基板、及び少なくとも3本以上のピラーを含み、一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放した少なくとも3本以上のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための一つの捕捉部位を形成し、捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、一つの捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔ZはY<Z≦Xであり、一つの捕捉部位を形成する少なくとも3本以上のピラーは、捕捉部位に捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置されていることを特徴とする微粒子分離用チップ。
【選択図】図18
特許請求の範囲 【請求項1】
基板、及び少なくとも3本以上のピラーを含み、
一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放した少なくとも3本以上のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための一つの捕捉部位を形成し、
捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、一つの捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔ZはY<Z≦Xであり、
一つの捕捉部位を形成する少なくとも3本以上のピラーは、捕捉部位に捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置されていることを特徴とする微粒子分離用チップ。
【請求項2】
前記任意の隣り合うピラー同士の間隔Zが、0.8Y<Z≦0.8X、Y<Z≦0.8X、又は0.8Y<Z≦Xから選択される1種であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項3】
前記捕捉部位が複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項4】
前記複数形成されている捕捉部位同士が隣接して配置され、隣接する捕捉部位がピラーを共有していることを特徴とする請求項3に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項5】
前記捕捉部位が、多角形の平面充填状態で配置されていることを特徴とする請求項4に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項6】
前記多角形が、正3角形、正方形、正6角形から選ばれる一種であることを特徴とする請求項5に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項7】
前記捕捉対象微粒子がCTCで、除去される微粒子が血球細胞であることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項8】
前記基板が多角形又は円形状で、基板の外周には段差部が形成されていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項9】
前記基板が多角形で、基板の外周にはピラーが形成されていない平面部が形成されていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項10】
前記基板が円形状で、基板の外周にはピラーが形成されていない平面部が形成されていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の微粒子分離用チップ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載されている微粒子分離用チップ、サンプル液用薄板、シース液用薄板、シース液を吸引する吸引手段及び/又は吸引装置を含むことを特徴とする微粒子分離用システム。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載されている微粒子分離用チップ、カバー板、吸引手段及び/又は吸引装置を含むことを特徴とする微粒子分離用システム。
【請求項13】
横溝及び該横溝に連通する吸引孔を含む吸引ユニットを更に含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の微粒子分離用システム。
【請求項14】
横溝及び該横溝に連通する吸引孔を含む吸引ユニットであって、前記横溝を挟む2つの側面の一方の側面が、前記吸引ユニットの両端部及び他の側面より短くなるように形成されていることを特徴とする吸引ユニット。
【請求項15】
前記横溝が、毛管力により液体を吸引できる幅であることを特徴とする請求項14に記載の吸引ユニット。
【請求項16】
前記横溝が、吸引手段を挿入できる幅であることを特徴とする請求項14に記載の吸引ユニット。
【請求項17】
請求項10に記載されている微粒子分離用チップ、
シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニット、
前記微粒子分離用チップを回転させる回転手段、及び
シース液を吸引する吸引手段及び/又は吸引装置、
を少なくとも含む微粒子分離用システム。
【請求項18】
前記移流集積ユニットが、シース液吸引パッドを装着する孔及びシース液吸引口を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の微粒子分離用システム。
【請求項19】
前記移流集積ユニットが、シース液を毛管力で吸引する孔及びシース液吸引口を更に含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の微粒子分離用システム。
【請求項20】
請求項1~10の何れか一項に記載されている微粒子分離用チップとサンプル液用薄板の間にサンプル液を注入し、微粒子分離用チップとシース液用薄板の間にシース液を注入し、微粒子分離用チップとサンプル液用薄板及びシース液用薄板を相対移動させることで発生するメニスカスにより、捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた捕捉部位に捕捉され、除去される微粒子は吸引手段及び/又は吸引装置により吸引されたシース液により微粒子分離用チップから除去されることを特徴とする微粒子分離方法。
【請求項21】
請求項1~10の何れか一項に記載されている微粒子分離用チップとカバー板の間にサンプル液を注入し、吸引手段及び/又は吸引装置で前記サンプル液を吸引することで発生するメニスカスにより、捕捉対象微粒子を前記微粒子分離用チップに設けられた捕捉部位に捕捉することを特徴とする微粒子分離方法。
【請求項22】
前記サンプル液を吸引した後に、微粒子分離用チップとカバー板の間にシース液を注入し、吸引手段及び/又は吸引装置で前記シース液を吸引することで、残存している除去される微粒子を洗い流すことを特徴とする請求項21に記載の微粒子分離方法。
【請求項23】
請求項10に記載されている微粒子分離用チップを、該微粒子分離用チップを回転させる回転手段上に載置し、
前記微粒子分離用チップ上に、シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニットを配置し、
前記回転手段を回転させながら、前記シース液注入口からシース液を注入し、前記サンプル注入口からサンプルを注入することで前記微粒子分離用チップとシース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を相対移動させ、相対移動により発生したメニスカスにより目的とする微粒子を前記微粒子分離用チップに形成された捕捉部位に捕捉し、
シース液吸引手段及び/又は吸引装置によりシース液を吸引することで、除去される微粒子をシース液とともに微粒子分離用チップから除去することを特徴とする微粒子分離方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に混在するサイズの異なる微粒子を分離するための微粒子分離用チップ(以下、単に「チップ」と記載することがある。)、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法に関するもので、特に、血液中の循環腫瘍細胞(Circulating tumor cell、以下「CTC」と略記することもある。)を選択的に捕捉するためのCTC分離用チップ、該チップを用いたCTC分離用システム及びCTC分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CTCはがん患者の末梢血流を循環する腫瘍細胞と定義され、原発腫瘍又は転移腫瘍から血管中へ浸潤した腫瘍細胞である。このCTCの検出は、転移性悪性腫瘍の早期発見の方法の一つとして近年注目されている。その理由は、X線写真や血清中の腫瘍マーカー検出よりも低侵襲かつ正確に転移性悪性腫瘍の診断を行え、患者の予後予測や治療効果の指標として利用できる点にある。
【0003】
CTCは非常に稀少な細胞であり、転移性がん患者の血液に含まれる108~109個の血液細胞の内、わずか1細胞程度しか存在しないことが知られている。そのため、末梢血から稀少なCTCを正確に検出するための技術開発に多大な努力が注がれている。これまでに開発されてきた主要な検出方法には、免疫組織化学法、PCR法、フローサイトメトリー法などがある。しかしながら、前述したようにCTCは非常に稀少な細胞であるため、血液をそのままこれらの検出方法に供することは出来ないので、通常は前処理として、CTCの濃縮操作が必須であり、検出法に則したレベルまでCTC存在比を濃縮させる必要がある。
【0004】
CTCの濃縮方法として開発されてきた様々な手法の中で、最も広く利用されているのは、細胞表面の特異的抗原を標的とした腫瘍細胞の濃縮である。その多くは、上皮細胞接着分子(Epithelial cell adhesion molecule:EpCAM)に対するモノクローナル抗体を固定化した磁気微粒子を血液と混合した後、磁石を用いて腫瘍細胞を濃縮する方法をとっている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、EpCAMの発現量は腫瘍のタイプに依存し大きく変動することが知られている。
【0005】
その他の濃縮方法としては、細胞のサイズなどの形態を基準として濃縮する手法がある。白血球に比べてサイズが大きな上皮性腫瘍細胞をフィルトレーションによって選別する方法は、ISET法(Isolation by Size of Epithelial Tumor cells)と呼ばれている。ISETは、孔径8μmのポリカーボネートメンブレンフィルターを用いて血液をフィルトレーションするという簡便な手法であり、安価かつユーザーフレンドリーな手法である。ここで用いられているポリカーボネートメンブレンフィルターは、重イオンを照射した後、エッチングを行うトラックエッチングという手法によって、孔が形成されている。しかし、孔が比較的低密度であり、二つ又はそれ以上の孔が重なりあったりする問題があるため、CTCの捕捉に利用した場合、その捕捉効率は50~60%とされており、濃縮方法が簡便かつ効率も良い手法は未だ開発されていない。
【0006】
CTCの検出を効率的かつ正確なものにするためには、濃縮と検出といった技術を首尾一貫して行うことが必要である。多段階のハンドリング操作、例えば細胞の染色、洗浄、分離、分注などの操作はCTCのロスを引き起こすため、可能な限りこれらの操作を避け、一体の検出装置中で分析が一貫して行える形が好ましい。Cellsearch(VeridexTM,Warren,PA)はCTC検出装置として唯一FDAの認可を受けた装置である。この装置では、全血に対し抗EpCAM抗体固定化磁気微粒子によるCTCの濃縮を行い、腫瘍細胞に対して免疫染色を行った後、自動化蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、当該装置を用いる場合、一般的に大型の装置導入と訓練されたオペレーターの確保が必要であり、ベッドサイドで短時間且つ正確に検査をすることは困難である。
【0007】
一方で、CTC検出のための小型のマイクロ流体デバイスも知られている。例えば、Tonerらが開発したCTC検出用マイクロ流体デバイスはCTC-chipと呼ばれ、フォトリソグラフィーによって形成されたシリコン製の流路内に、円筒状構造物(マイクロポスト)が78000個構成されている。このマイクロポストには、抗EpCAM抗体がコーティングされており、本流路に血液を送液すると、血液中のCTCがマイクロポスト上に捕捉される。捕捉されたCTCに対して、上皮細胞マーカー(cytokeratin)をターゲットとした蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる。本装置は、手のひらに乗る小型デバイスでありながら、5mL以上の血液をそのまま分析に供することができるという大きな利点を持っている。実際に転移性がん患者血液からCTC検出を行っており、回収したCTCからチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性を生む変異を検出することが出来る。しかしながら、CellsearchやCTC-chipを用いたCTC検出は、転移性がん患者血液などの実サンプルを用いた実験が精力的に行われ実績を挙げているが、これらの手法は抗EpCAM抗体でCTCを濃縮するという原理になっている。そのため、EpCAM陰性又は弱陽性の腫瘍細胞は検出できないという問題点が挙げられる。
【0008】
その他の方法としては、腫瘍細胞のサイズと形態を指標として、CTCを検出するマイクロ流体デバイスが開発されている。これらのデバイスでは、その流路構造内にメンブレンマイクロフィルター、三日月型の細胞捕捉ウェル(非特許文献3参照)、4段階の細さの流路(非特許文献4参照)を配して、血液中の血球細胞と腫瘍細胞をサイズによって選別し、腫瘍細胞を選択的に濃縮している。また、その流路を利用して、濃縮後の細胞に対して溶解などの操作を連続的に行うことが出来る。これらのデバイスを用いたモデル腫瘍細胞の回収効率の評価実験においては、80%以上のCTC回収効率を得ている。しかしながら、この評価はあくまでモデル細胞を用いた実験で行われており、実際にCTC検出時に必要となる細胞の染色操作や洗浄操作といった要素技術項目については検討されていない。さらに、がん患者血液などの実サンプルを用いた実験は行われておらず、実際にCTC検出に利用できるかどうかは明らかにされていない。
【0009】
更に、抗EpCAM抗体を使用しない小型のデバイスとしては、マイクロ流路内にマイクロキャビティアレイ(微細貫通孔)を設け、CTCを捕捉することができるマイクロ流体デバイスが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、前記マイクロ流体デバイスは、微細貫通孔にCTCを捕捉するタイプであるので、CTCの目詰まりによる作業効率の低下、更には分離したCTCの回収が困難であるという問題がある。
【0010】
上記問題点を解決するため、本発明者らは、(1)主流路、及び該主流路の幅より大きな捕捉部位が形成された微粒子分離用マイクロ流路チップ、又は(2)主流路、該主流路から分岐し再び主流路に接続する分岐流路、及び該分岐流路に分岐流路の幅より大きな捕捉部位が形成されている微粒子分離用マイクロ流路チップ、を用いて気液界面のメニスカスで生じる力を利用して微粒子を沈降させ、目的とする微粒子のみを捕捉部位で捕捉することができることを見出し、特許出願を行っている(特許文献2参照)。
【0011】
また、本発明者らは、(1)捕捉部位を含む主流路が基板の中心から放射状に形成されている微粒子分離用マイクロ流路チップを回転手段上に載置し、(2)前記微粒子分離用マイクロ流路チップの表面に、シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニットを配置し、(3)前記回転手段を回転させながらシース液及びサンプル液を注入することで、サンプルを前記微粒子分離用マイクロ流路チップに連続的に供給することができ、目的とする微粒子を効率よく捕捉・分離できることを新たに見出し、特許出願を行っている(特許文献3参照)。
【0012】
しかしながら、上記特許文献2及び3に記載されている微粒子分離用マイクロ流路チップは、微細なマイクロ流路及び該マイクロ流路に形成された捕捉部位を用いて微粒子を捕捉する構造となっている。そのため、マイクロ流路を流すことができる液体の単位時間当たりの体積は限られていることから、依然として微粒子の分離操作に時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【0013】

【特許文献1】特開2011-163830号公報
【特許文献2】特願2012-227717号
【特許文献3】特願2013-106824号
【0014】

【非特許文献1】Allard WJ, Matera J, Miller MC, Repollet M, Connelly MC, Rao C, Tibbe AG, Uhr JW, Terstappen LW. 2004. Tumor cells circulate in the peripheral blood of all major carcinomas but not in healthy subjects or patients with nonmalignant diseases. Clin Cancer Res 10(20):6897-904.
【非特許文献2】Riethdorf S, Fritsche H, Muller V, Rau T, Schindlbeck C, Rack B, Janni W, Coith C, Beck K, Janicke F and others. 2007. Detection of circulating tumor cells in peripheral blood of patients with metastatic breast cancer: a validation study of the CellSearch system. Clin Cancer Res 13(3):920-8.
【非特許文献3】Tan SJ, Yobas L, Lee GY, Ong CN, Lim CT. 2009. Microdevice for the isolation and enumeration of cancer cells from blood. Biomed Microdevices 11(4):883-92.
【非特許文献4】Mohamed H, Murray M, Turner JN, Caggana M. 2009. Isolation of tumor cells using size and deformation. J Chromatogr A 1216(47):8289-95.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、
(1)基板上に設けたピラーで捕捉部位を形成し、
(2)前記ピラーの間隔を除去される微粒子は通過するが捕捉対象微粒子は通過できない間隔とし、且つ、
(3)一つの捕捉部位を形成する少なくとも3本以上のピラーを、捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置した、
チップを形成することで、基板全体にサンプルを流すことができ、スループットを向上できることを新たに見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、微粒子分離用チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下に示す、微粒子分離用チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法に関する。
【0018】
(1)基板、及び少なくとも3本以上のピラーを含み、
一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放した少なくとも3本以上のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための一つの捕捉部位を形成し、
捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、一つの捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔ZはY<Z≦Xであり、
一つの捕捉部位を形成する少なくとも3本以上のピラーは、捕捉部位に捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置されていることを特徴とする微粒子分離用チップ。
(2)前記任意の隣り合うピラー同士の間隔Zが、0.8Y<Z≦0.8X、Y<Z≦0.8X、又は0.8Y<Z≦Xから選択される1種であることを特徴とする上記(1)に記載の微粒子分離用チップ。
(3)前記捕捉部位が複数形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の微粒子分離用チップ。
(4)前記複数形成されている捕捉部位同士が隣接して配置され、隣接する捕捉部位がピラーを共有していることを特徴とする上記(3)に記載の微粒子分離用チップ。
(5)前記捕捉部位が、多角形の平面充填状態で配置されていることを特徴とする上記(4)に記載の微粒子分離用チップ。
(6)前記多角形が、正3角形、正方形、正6角形から選ばれる一種であることを特徴とする上記(5)に記載の微粒子分離用チップ。
(7)前記捕捉対象微粒子がCTCで、除去される微粒子が血球細胞であることを特徴とする上記(1)~(6)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(8)前記基板が多角形又は円形状で、基板の外周には段差部が形成されていることを特徴とする上記(1)~(7)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(9)前記基板が多角形で、基板の外周にはピラーが形成されていない平面部が形成されていることを特徴とする上記(1)~(7)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(10)前記基板が円形状で、基板の外周にはピラーが形成されていない平面部が形成されていることを特徴とする上記(1)~(7)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(11)上記(1)~(10)の何れか一に記載されている微粒子分離用チップ、サンプル液用薄板、シース液用薄板、シース液を吸引する吸引手段及び/又は吸引装置を含むことを特徴とする微粒子分離用システム。
(12)上記(1)~(10)の何れか一に記載されている微粒子分離用チップ、カバー板、吸引手段及び/又は吸引装置を含むことを特徴とする微粒子分離用システム。
(13)横溝及び該横溝に連通する吸引孔を含む吸引ユニットを更に含むことを特徴とする上記(11)又は(12)に記載の微粒子分離用システム。
(14)横溝及び該横溝に連通する吸引孔を含む吸引ユニットであって、前記横溝を挟む2つの側面の一方の側面が、前記吸引ユニットの両端部及び他の側面より短くなるように形成されていることを特徴とする吸引ユニット。
(15)前記横溝が、毛管力により液体を吸引できる幅であることを特徴とする上記(14)に記載の吸引ユニット。
(16)前記横溝が、吸引手段を挿入できる幅であることを特徴とする上記(14)に記載の吸引ユニット。
(17)上記(10)に記載されている微粒子分離用チップ、
シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニット、
前記微粒子分離用チップを回転させる回転手段、及び
シース液を吸引する吸引手段及び/又は吸引装置、
を少なくとも含む微粒子分離用システム。
(18)前記移流集積ユニットが、シース液吸引パッドを装着する孔及びシース液吸引口を更に含むことを特徴とする上記(17)に記載の微粒子分離用システム。
(19)前記移流集積ユニットが、シース液を毛管力で吸引する孔及びシース液吸引口を更に含むことを特徴とする上記(17)又は(18)に記載の微粒子分離用システム。
(20)上記(1)~(10)の何れか一に記載されている微粒子分離用チップとサンプル液用薄板の間にサンプル液を注入し、微粒子分離用チップとシース液用薄板の間にシース液を注入し、微粒子分離用チップとサンプル液用薄板及びシース液用薄板を相対移動させることで発生するメニスカスにより、捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた捕捉部位に捕捉され、除去される微粒子は吸引手段及び/又は吸引装置により吸引されたシース液により微粒子分離用チップから除去されることを特徴とする微粒子分離方法。
(21)上記(1)~(10)の何れか一に記載されている微粒子分離用チップとカバー板の間にサンプル液を注入し、吸引手段及び/又は吸引装置で前記サンプル液を吸引することで発生するメニスカスにより、捕捉対象微粒子を前記微粒子分離用チップに設けられた捕捉部位に捕捉することを特徴とする微粒子分離方法。
(22)前記サンプル液を吸引した後に、微粒子分離用チップとカバー板の間にシース液を注入し、吸引手段及び/又は吸引装置で前記シース液を吸引することで、残存している除去される微粒子を洗い流すことを特徴とする上記(21)に記載の微粒子分離方法。
(23)上記(10)に記載されている微粒子分離用チップを、該微粒子分離用チップを回転させる回転手段上に載置し、
前記微粒子分離用チップ上に、シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニットを配置し、
前記回転手段を回転させながら、前記シース液注入口からシース液を注入し、前記サンプル注入口からサンプルを注入することで前記微粒子分離用チップとシース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を相対移動させ、相対移動により発生したメニスカスにより目的とする微粒子を前記微粒子分離用チップに形成された捕捉部位に捕捉し、
シース液吸引手段及び/又は吸引装置によりシース液を吸引することで、除去される微粒子をシース液とともに微粒子分離用チップから除去することを特徴とする微粒子分離方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のチップは、基板上に形成したピラーで捕捉部位を形成し、移流集積により下に押し付けられた捕捉対象微粒子は捕捉部位で捕捉され、除去される微粒子はピラーの間隔を通って、チップ外に除去される。そのため、本発明のチップを用いると、チップ全体にサンプル液を流すことができるので、サンプル液から捕捉対象微粒子を分離するスループットを著しく向上することができる。したがって、例えば、赤血球、白血球等が混在している全血中から前処理なしに含有量の少ないCTCのみを短時間で高精度に分離することができ、例えば、がん転移が初期の患者又はがん治療後の患者の経過観察等、血液細胞に含まれるCTC細胞が非常に少ない患者のサンプルであっても効率よくCTCを分離することができ、簡便な操作によるベッドサイド型がん診断が可能となる。
【0020】
本発明の微粒子分離用システムに用いられるチップは、抗EpCAM抗体を使用していないので、CTC陰性又は弱陽性の腫瘍細胞であっても確実に検出することができる。また、本発明のチップは、赤血球、白血球等のサイズの小さい細胞はシース液によりチップの外に流し、CTC等のサイズが大きな細胞は流路に設けた捕捉部位で捕捉することができるので、従来のフィルタタイプのデバイスと異なり、デバイスの目詰まりが無く、連続的に処理することが可能となる。
【0021】
更に、本発明の微粒子分離用システムに用いられるチップは、半導体形成プロセスを用いて量産が可能であることから、CTC検査のコストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のチップの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1のA-A’断面図である。
【図3】図3は、本発明のチップの捕捉部位の形状の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明に含まれない捕捉部位4のピラー3の位置関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明のチップ1の実施形態の一例を示す図である。
【図6】図6は、捕捉部位として、単一種類の多角形を平面充填状態に配置した例を示している。
【図7】図7は、本発明のチップの作製手順の一例を示したフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の微粒子分離用システムの概略及び微粒子分離方法を示している。
【図9】図9は、メニスカスの発生原理を説明している。
【図10】図10は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態の概略及び微粒子分離方法を示している。
【図11】図11は、図10のA-A′断面図を示している。
【図12】図12は、吸引ユニットの概略を示している。
【図13】図13は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態を示している。
【図14】図14は、図13に示す実施形態のシステム全体像を示している。
【図15】図15は、図面代用写真で、移流集積ユニットの概略を示している。
【図16】図16は、図面代用写真で、移流集積ユニットを斜め上から拡大撮影した写真である。
【図17】図17は、図面代用写真で、移流集積ユニットの側面からの写真である。
【図18】図18は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態を示している。
【図19】図19は、図面代用写真で、実施例1で作製したチップの外観を示している。
【図20】図20は、図面代用写真で、実施例1~3で作製したチップの捕捉部位の拡大写真である。
【図21】図21は、図面代用写真で、血液サンプルからのCTC分離実験に使用した微粒子分離システムを示している。
【図22】図22は、図面代用写真で、チップとカバー板の配置関係を示す側面写真である。
【図23】図23は、実施例4及び実施例7~9の捕捉率を示すグラフである。
【図24】図24は、従来の微粒子分離用マイクロ流路チップを用いた微粒子分離システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、微粒子分離用チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法について詳しく説明する。

【0024】
図1は、本発明のチップの一例を示しており、チップ1は、基板2上に、複数のピラー3が形成されており、少なくとも3以上のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための捕捉部位を形成している。なお、本発明において、「ピラー」とは、基板2上に形成された柱を意味する。また、「微粒子」とは、液体に分散できる粒子であって、粒子の形態は単独又は凝集状態のものを意味する。微粒子の大きさは、メニスカスの原理が適用できる範囲であれば特に制限はなく、約1mm以下の大きさであればよい。

【0025】
図2は、図1のA-A’断面図で、ピラー3の一端は基板2上に設けられ、他端は上方に開放している。そして、少なくとも3本以上のピラー3で一つの捕捉部位4を形成している。後述する移流集積により、ピラー3の上方の開放側から下方に押し付けられた捕捉対象微粒子5は、捕捉部位4で捕捉される。

【0026】
図3は、本発明のチップ1の捕捉部位4の形状の一例を示す図である。図3(1)は、捕捉部位4が3本のピラー3で形成されている例を示している。ピラー3は、捕捉対象微粒子5の大きさをX、除去される微粒子6の大きさをYとした場合、一つの捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー3の間隔Zが、Y<Z≦Xとなるように形成されている。なお、本発明において、「間隔Z」は、任意の隣り合うピラー3の外周と外周との最短距離を意味する。

【0027】
ピラー3の間隔Zは、Y<Z≦Xの関係を満たせば同じである必要は無く、図3(2)に示すように、異なっていてもよい。なお、本発明において、微粒子の「大きさ」とは、微粒子を任意の方向から2枚の平行な平面で挟んだ際に、平面の間隔が最短となる長さを意味する。例えば、微粒子が球状の場合は直径を意味する。

【0028】
捕捉対象微粒子5が、生体細胞等の形状が変化し易い場合、流体力により変形して捕捉部位4のピラー3の間をすり抜けてしまう可能性がある。また、除去される微粒子も同様に変化し易い場合、ピラー3の間隔が除去される微粒子6の間隔より狭くても、捕捉部位4内に入った除去される微粒子6を捕捉部位4から排出することができる、したがって、任意の隣り合うピラー3の間隔は、捕捉対象微粒子5及び/又は除去される微粒子6の形状の変化割合に応じて適宜選択すればよく、例えば、0.8Y<Z≦0.8X、Y<Z≦0.8X、又は0.8Y<Z≦X等、適宜調整すればよい。

【0029】
捕捉部位4は、上記のY<Z≦Xの関係に加え、捕捉部位4に捕捉された捕捉対象微粒子5が、任意の隣り合うピラー3の間から流出しない位置関係に配置されていることが必要である。図4は、本発明に含まれない捕捉部位4のピラー3の位置関係を示したものである。一つの捕捉部位4を形成する任意の隣り合うピラー3の間隔Zが、Y<Z≦Xとなるように形成されていても、図4に示すように、ピラー3が捕捉対象微粒子5の一部分のみしか捕捉していない場合が考えられる。その場合、図4に示す矢印の方向にサンプル液を吸引すると、捕捉部位4で捕捉した捕捉対象微粒子5は捕捉部位4から流出してしまう。したがって、上記のとおり、本発明のチップ1の捕捉部位4は、捕捉された捕捉対象微粒子5が、任意の隣り合うピラー3の間から流出しない位置関係に配置される必要がある。具体的には、捕捉対象微粒子5を任意の方向から2枚の平行な平面で挟んだ際に、平面の間隔が最短となる線(図3(1)の捕捉対象微粒子5の点線)を含むように微粒子を切断して平面にした場合、当該最短となる線を境界に、両側に少なくとも1本のピラー3が配置されるようにすればよい。

【0030】
捕捉部位4は、上記のY<Z≦Xの関係、及び、捕捉された捕捉対象微粒子5が任意の隣り合うピラー3の間から流出しない位置関係を満たせばピラー3を配置する形状に限定は無く、4角形、5角形、6角形、7角形、8角形、9角形、10角形等の多角形が挙げられる。前記の多角形は、正多角形であってもよいし、正多角形でなくてもよい。

【0031】
図5は、本発明のチップ1の実施形態の一例を示す図である。捕捉部位4は、図5(1)に示すように、同じ形状の捕捉部位4を基板2上に複数形成してもよいし、図5(2)に示すように、形状の異なる捕捉部位4を基板2上に複数形成してもよい。図5(2)に示す実施形態では、大きさの異なる捕捉対象微粒子5を一枚のチップ1で捕捉することができる。

【0032】
捕捉部位4を複数形成する場合、捕捉対象微粒子5を効率よく捕捉するためには、捕捉部位4を隣接して配置することが好ましい。捕捉部位4を隣接して配置する場合、任意の捕捉部位4と隣接する捕捉部位4とでピラー3を共有し、捕捉部位4が連続する平面充填状態にすることが好ましい。なお、本発明において、「平面充填状態」とは、1以上の有限種類の多角形を隙間なく埋めた状態を意味する。平面充填状態は、上記のとおり、Y<Z≦Xの関係に加え、捕捉部位4に捕捉された捕捉対象微粒子5が、任意の隣り合うピラー3の間から流出しない位置関係に配置されていれば、形状に特に制限は無い。例えば、正3角形と正6角形の組み合わせ、正3角形と正方形の組み合わせ、正方形と正8角形の組み合わせ等、複数の多角形の組み合わせが挙げられる。多角形を組み合すことで、大きさの異なる捕捉対象微粒子5を一枚のチップ1で捕捉することができる。

【0033】
図6は、捕捉部位として、単一種類の多角形を平面充填状態に配置した例を示しており、図6(1)は正3角形、図6(2)は正方形、図6(3)は正6角形、を隣接して設けている。

【0034】
ピラー3の断面形状は特に制限は無く、円、多角形等から適宜選択すればよい。ピラー3は、基板2上に貼り付けてもよいが、後述するように、先ず鋳型を作製し、当該鋳型を基板2用の材料に転写することで、効率的にチップ1を作製することができる。転写により作製する場合、加工の容易性等の理由により、ピラー3の断面長(断面が円形の場合は直径、多角形の場合は任意の外周を結んだ線の中で最も長い線の長さ)は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。ピラー3の断面長の上限は特に制限は無く、捕捉対象微粒子5及び除去される微粒子6の大きさにより決められる間隔Z、捕捉部位4を形成するピラー3の本数等を考慮し、適宜決定すればよい。

【0035】
全血から、CTCを捕捉し、CTC以外の赤血球、白血球等の血球細胞を除去する場合、ピラー3の間隔Zは、CTCの直径(15~30μm)よりは小さく、赤血球、白血球等の血球細胞(約7μm)より大きくすればよい。なお、CTC及び血球細胞は、上記のとおり、形状が変化し易いので、ピラー3の間隔Zは、6~12μm程度であってもよい。また、腹腔洗浄液において血球細胞または中皮細胞(約7~15μm)から胃がん細胞塊(25~50μm)を分離する場合は、間隔Zは、6~24μm程度であってもよい。

【0036】
基板2上のピラー3の高さは、捕捉した捕捉対象微粒子5がサンプル液の流体力により流れ出さない高さであればよく、捕捉対象微粒子5の大きさの0.5倍より大きいことが好ましく、1倍以上がより好ましい。一方、高さの上限は特には無いが、サンプル液を流した後、捕捉部位4で捕捉された捕捉対象微粒子5をキャピラリー等で吸引・回収する場合、ピラー3が高すぎると、キャピラリーを捕捉部位4の基板表面付近まで挿入し難くなる。そのため、ピラー3の高さは、捕捉対象微粒子5の大きさの10倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましい。

【0037】
なお、上記に示したチップ1は長方形の例を示しているが、形状に特に限定は無く、正方形、6角形、8角形等の多角形であってもよい。なお、後述するように、チップ1を回転させて移流集積を発生する場合は、チップ1の形状は円形にすることが好ましい。

【0038】
チップ1は、フォトリソグラフィー技術を用いて作製することができる。図7は作製手順の一例を示したフローチャートである。

【0039】
1.先ず、鋳型用の基板11を超音波洗浄機により有機洗浄し、ベイクする。次いで、ネガティブフォトレジスト12を基板11上にスピンコートし、ホットプレート上でプリベイクする。
2.捕捉部位4の形状をしたフォトマスク13を用い露光する。
3.ホットプレート上でポストエクスポージャーベイクを行い、現像液を用い現像した後、超純水を用いリンスし、スピンドライヤー等で水分をとばし乾燥させることで、鋳型を作製する。なお、基板11上のネガティブフォトレジスト12で作製した凸部と凸部の間が、転写後にピラー3となる部分である。
4.チップ1の基板2用の材料を、鋳型の上に流し込む。
5.鋳型のパターンが転写した基板2用の材料を鋳型から分離する。必要に応じて、基板2を硬質材料14に接着する。
6.基板2の表面を、親水化処理する。

【0040】
有機洗浄は、アセトン、エタノール等、半導体製造分野で一般的に用いられている洗浄剤であれば特に制限はされない。また、鋳型用の基板11としては、フォトリソグラフィー技術分野で一般的に用いられている材料であれば特に限定はされず、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、サファイア、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム等が挙げられる。

【0041】
ネガティブフォトレジスト12も、フォトリソグラフィー技術分野で一般的に用いられている材料であれば特に制限は無く、例えば、SU-8、KMPR等が挙げられる。また、ネガティブフォトレジスト12に代え、ポジティブフォトレジストを用いることもでき、例えば、PMER、AZ等が挙げられる。また、レジストの除去液としては、ジメチルホルムアミドとアセトン等、半導体分野で一般的な除去液であれば特に制限はない。

【0042】
また、本発明のチップ1の基板2の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、シリコーンゴム等の熱硬化性樹脂が挙げられる。なお、捕捉部位4で捕捉した分離対象微粒子5を回収せず、そのまま分析する場合は光透過性があり生体分子と非親和性の材料で基板2を作製することが望ましく、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、硬質ポリエチレン製等のプラスチック、シリコン等が挙げられる。

【0043】
チップ1は、捕捉対象微粒子5を捕捉した後に、顕微鏡等で観察する場合があるため、基板2は薄くした方が好ましい。しかしながら、後述するように、チップ1を移動する場合、基板2が薄すぎるとチップ1を移動し難いこともある。したがって、チップ1は、硬質材料14を含んでいてもよい。硬質材料14としては、ガラス、プラスチップ、シリコン等が挙げられ、基板2を貼着すればよい。

【0044】
チップ1の表面は親水化処理されることで、液体を注入した際、溝に気泡が入ることを防止できる。親水化処理方法としては、プラズマ処理、界面活性剤処理、PVP(ポリビニルピロリドン)処理、光触媒等が挙げられ、例えば、チップ1の表面を10~30秒間プラズマ処理することで、表面に水酸基を導入することができる。

【0045】
次に、チップ1を用いた微粒子分離用システム、及び当該微粒子分離システムを用いた微粒子分離方法について説明する。

【0046】
図8は、本発明の微粒子分離用システムの概略及び微粒子分離方法を示す図で、チップ1とサンプル液用薄板及びシース液用薄板を相対移動させることでメニスカスを発生させる実施形態を示している。本実施形態の微粒子分離用システムは、チップ1、サンプル液用薄板21、シース液用薄板22、シース液を吸引する図示しない吸引手段及び/又は吸引装置を含んでいる。吸引手段及び/又は吸引装置は、シース液用薄板22を移動する方向と平行となるチップ1の外周辺27に当接して配置し、ピラー3の上方からシース液を吸引すればよい。

【0047】
サンプル液用薄板21、シース液用薄板22は、ガラス、プラスチック等、サンプルやシース液と反応しないものであれば特に制限はない。シース液としては、分離すべき微粒子に損傷等を与えないものであれば特に制限はなく、全血をサンプルとして用いる場合は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝液等各種緩衝液、疑似体液(SBF)、一般的な細胞培養液等、一般的に使用されているシース液であれば特に制限はない。

【0048】
図8は、サンプルとして全血を用い、全血中からCTC5を捕捉する例が示されている。全血23をチップ1とサンプル液用薄板21の間に注入し、チップ1とサンプル用薄板21を相対的に移動させることで、メニスカス25が発生する。

【0049】
図9は、メニスカスの発生原理を説明する図で、本発明では、移流集積法と呼ばれる、気液界面に存在する微粒子間の毛管力(とくに横毛管力:lateral capillary forceと呼ばれる)を利用して、微粒子同士を細密充填構造に配列する手法を用いている。微粒子が溶液に分散した懸濁液のメニスカスを基板上に形成すると、メニスカスの先端において、図に示すように微粒子が溶液から頭を出す箇所が形成される。この頭が出ている箇所では、界面張力及び重力により下に押し付けられる力が微粒子に発生しながらメニスカスと共に移動する。

【0050】
上記のメニスカスの原理により、捕捉対象微粒子5であるCTCが下に押し付けられることで上方に開放した捕捉部位4に落とし込まれて捕捉される。一方、除去される微粒子6である血球細胞は、後述する吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力によりピラー3の間を通ってチップ1から排出される。また、シース液も同様にメニスカスを発生させることで、シース液がピラー3の間から基板2上に入り易くなる。

【0051】
チップ1と、サンプル液用薄板21及びシース液用薄板22との間隔は、200~1000μmとすることが好ましい。200μmより小さいとサンプル液の導入量が減少し処理能力が低下し、1000μmより大きいとメニスカス力が低下し十分な分離が得られない。なお、上記間隔は、マイクロステージで調整することができる。また、チップ1と、サンプル液用薄板21及びシース液用薄板22との相対移動速度は、20~50μm/sが好ましい。20μm/sより遅いと、処理時間が長くなり処理能力が低下し、50μm/sより速いと微粒子が捕捉されずに分離効率が低減する。

【0052】
シース液の流速は、20~4500μm/sが好ましい。なお、シース液の流速は、ピラーとピラーの間隔に応じて異なり、狭い場所ほど速くなる。本発明において「シース液の流速」とは、ピラーとピラーの間を流れる流速で、最も速く流れる流速を意味する。シース液の流速が、20μm/sより遅いと血球細胞を洗浄する能力の低下により分離効率が低減し、4500μm/sより速いと一旦捕捉されたCTCが吸引され分離効率が低減する。シース液の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整すればよい。吸引装置は吸引ポンプ、マイクロシリンジ等、液体を吸引できるものであれば特に制限はない。なお、図8に示す例は、チップとシース液用薄板22との間にシース液24を必要に応じて注入する形式であるが、シース液用薄板22の一端に、シース液容器又はシース液容器から伸長しているチューブ等を連結することで、シース液を自動的に供給できるようにしてもよい。

【0053】
図10は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態の概略及び微粒子分離方法を示す図で、チップ1とカバー板を相対移動させずサンプル液を吸引することでメニスカスを発生させる実施形態を示している。本実施形態の微粒子分離用システムは、チップ1、該チップ1に重ねサンプル液及びシース液を吸引することでメニスカスを発生させるためのカバー板31、図示しない吸引手段及び/又は吸引装置を少なくとも含んでいる。図10に示す実施形態では、チップ1の外周辺に、ピラー3と同じ高さの段差部7を形成し、長手方向に形成されサンプル液及びシース液を毛管力で吸引することができる横溝33と該横溝33に連通する吸引孔34を含む吸引ユニット35を介して、吸引手段及び/又は吸引装置によりサンプル液及びシース液を吸引する例を示している。段差部7を形成することで、吸引ユニット35の両端351及び352、並びに一方の側面353を段差部7と当接することができるので、空気等が入ることなく、もう一方の側面354側からサンプル液、シース液を吸引することができる。なお、サンプル液及びシース液は、チップ1の外周辺にピラー3を形成していない平面部を設け、平面部から吸引手段及び/又は吸引装置を用いて吸引できるようにしてもよい。

【0054】
また、本実施形態では、吸引手段及び/又は吸引装置を用いてサンプル液を吸引することでサンプル液中に含まれる微粒子を分離することから、希釈したサンプル液を使用すればサンプル液自体がシース液の役割をするので、サンプル液を流した後にシース液を流すことは必須ではない。目的微粒子の高純度な分離の場合はシース液を流すことで残存している除去する微粒子を洗い流す等、分離の目的に応じてシース液を流すか否かの選択を行えばよい。

【0055】
図11は、図10のA-A′断面図で、本実施形態におけるメニスカスの発生原理を説明する図である。図11(1)に示すように、チップ1とカバー板31の間にサンプル液、シース液32を注入し、図示しない吸引手段及び/又は吸引装置で吸引すると、サンプル液及びシース液はピラー3の間をとおり吸引ユニット35から排出される。その際、チップ1及びカバー板31との間のサンプル液、シース液32には、毛細管力が発生するため、図11(2)に示すようなメニスカスが発生する。

【0056】
なお、図11(2)に示すサンプル液及びシース液32の移動方向は、チップ1に対してカバー板31を平行に配置した場合であり、例えば、図11(3)に示すように、吸引ユニット35側のカバー板31をチップ1に近付けるように傾斜して配置すると、サンプル液及びシース液32に係る圧力のため、サンプル液及びシース液32は吸引ユニット35側に移動する。逆に、図11(4)に示すように、吸引ユニット35とは反対側のカバー板31をチップ1に近付けるように傾斜して配置すると、サンプル液及びシース液32に係る圧力のため、サンプル液及びシース液32は吸引ユニット35とは反対側に移動する。図11(2)~(4)の何れの実施形態でも本発明の実施をすることができるが、図11(3)に示す実施形態は、サンプル液及びシース液32が吸引ユニット35側に近付くことから、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力を小さくすることができるので好ましい。チップ1とカバー板31の間隔は、上記のサンプル液用薄板21と同様に、200~1000μmの間が好ましく、この間隔の範囲内で、マイクロステージを用いて調整すればよい。カバー板31を傾斜する場合は、6°~18°程度傾けることが好ましい。傾斜角度が6°より小さい場合は、サンプル液及びシース液に係る圧力が不足し、18°より大きい場合は、微粒子の捕捉に有効なメニスカスの角度より大きくなり過ぎるので好ましくない。図11(5)に示す実施形態は、吸引側にサンプル液及びシース液32のメニスカスを発生させないように、第2のカバー板311を設けたもので、閉じられた流路系を構成できることから安定した吸引を行うことができる。

【0057】
カバー板31及び第2のカバー板311は、上記のサンプル液用薄板21と同様の材料で作製すればよい。また、カバー板31の大きさは特に制限は無いが、本実施形態では、カバー板31を移動することなくメニスカスを発生することができることから、処理効率を向上させるためには、チップ1に形成したピラー3の全てを覆うことができる大きさで形成することが望ましい。また、第2のカバー板311の大きさは、横方向の長さはカバー板31と同じ長さにすればよく、幅はメニスカスが発生しない範囲内で適宜調整すればよい。

【0058】
なお、図11に示した実施形態は、チップ1が4角形の例であるが、チップ1は4角形に限定されず、5角形、6角形等の多角形又は円形でもよい。また、図11に示した実施形態は、チップ1の外側の一辺に吸引ユニット35を配置しているが、吸引ユニット35を多角形又は円形のチップ1の外周に配置し、カバー板31も多角形又は円形状に形成し、カバー板31の中央にサンプル液及びシース液32の注入孔を形成することで、チップ1の中央に注入したサンプル液及びシース液32を、チップ1の外周に吸い寄せるようにして移流集積を発生させてもよい。更に、上記の実施形態とは逆に、カバー板31を多角形の外周又は円形の外周部分を覆う略リング状とし、略リング状の中央に多角形又は円形状の吸引ユニット35を配置し、チップ1の外周部分から注入したサンプル液及びシース液32を、チップ1の中心に吸い寄せるようにして移流集積を発生させてもよい。チップ1の中心に吸い寄せるようにメニスカスを発生させる場合は、メニスカスが発生する面の距離が長くなり、サンプルの処理効率が上がるので好ましい。

【0059】
サンプル液及びシース液32の吸引手段としては、例えば、布、コットン、スポンジ、セーム皮等の吸引パッドが挙げられ、チップ1のピラー3の上部又はピラー3を形成していない平面部に直接吸引パッドを当接してサンプル液及びシース液32を吸引・排出すればよい。サンプル液及びシース液32の吸引・排出は、吸引ユニット35を介して行ってもよい。

【0060】
図12は、ピラー3を形成していない平面部に当接する場合の吸引ユニット35の実施形態の一例を示しており、図12(1)は吸引ユニット35の概略を示す上面図で、図12(2)は吸引ユニット35のB-B′断面図を示している。横溝33の幅は、少なくとも除去された微粒子を通過させる必要があることから、サンプルが全血の場合は少なくとも8μm以上、処理能力を上げるためには10μm以上とすることがより好ましい。一方、横溝33の幅は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するサンプル液、シース液の量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の幅を設けてもよい。また、吸引するサンプル液、シース液が横溝33に吸引されるためには、吸引ユニット35を平面部に当接した際に隙間が生じる必要がある。そのため、例えば、吸引ユニット35の端部351及び352、並びに横溝33を挟む2つの側面353及び354の内、平面部7に当接した際にピラー3とは反対側の側面353の高さを同じにしておき、ピラー3側に配置する側面354のみ、端部351、端部352及び側面353より短くしておけばよい。側面353と354の差は、横溝33の幅と同様、8μm以上が好ましく、10μ以上がより好ましい。毛管力が発生すれば特に差の上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の差を設けてもよい。なお、図10に示すように、チップ1に段差部7を設ける場合は、側面353及び354の高さは同じにすればよい。また、横溝33に吸引したサンプル液及びシース液32を、ポンプ、マイクロシリンジ等の吸引装置を用い、吸引孔34を通して吸引・排出してもよい。排出するサンプル液、シース液の量が多く、横溝33のみでは吸引できない場合は、吸引装置を組合せて用いればよい。吸引孔34の数は特に制限は無く、基板2上に形成したピラー3の間を流れるサンプル液及びシース液32の流速に大きな差異が発生しない程度の数を設ければよい。

【0061】
また、横溝33の幅を大きくし、横溝33に上記の布、コットン、スポンジ、セーム皮等の吸引手段を挿入し、該吸引手段に吸収したサンプル液及びシース液32を、吸引孔34をとおして吸引装置で吸引してもよい。本実施形態においては、ピラー3間を流れるサンプル液及びシース液の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整する。そのため、単に吸引手段でサンプル液及びシース液32を吸引する、又は、毛管力により横溝33にサンプル液及びシース液32を吸引するより、吸引手段に吸引したサンプル液及びシース液を更に吸引装置で吸引することで、サンプル液及びシース液の吸引速度を安定に保つことができる。吸引装置と吸引孔34は、シリコン等のチューブを用いて連結すればよい。

【0062】
吸引ユニット35を構成する材料は、アクリル、ナイロン、テフロン(登録商標)等の樹脂、又はガラス等、サンプル液やシース液と反応しないものであれば特に制限はない。吸引ユニット35は、ドリル及びエンドミル等の切削工具を用いた切削加工、又は吸引ユニット35の形状のモールドを作製し射出成形により作製することができる。

【0063】
本実施形態の微粒子分離用システムは、先ず、チップ1とカバー板31の間にサンプル液を入れ、吸引手段及び/又は吸引装置によりサンプル液を吸引し、次に、必要に応じて、シース液をチップ1とカバー板31の間に入れ、シース液を吸引することで、例えば、血液サンプル中のCTCを捕捉部位にトラップし、他の血球細胞等はシース液と共に洗い流すことができる。チップ1とカバー板31の間へのサンプル液又はシース液は、シリンジ等を用いてチップ1とカバー板31の間から注入してもよいし、カバー板31に孔を設け、該孔からサンプル液及びシース液を注入してもよい。

【0064】
サンプル液及びシース液32の流速は、20~4500μm/sが好ましい。20μm/sより遅いと血球細胞を分離・洗浄する能力の低下により分離効率が低減し、4500μm/sより速いと一旦捕捉されたCTCが吸引され分離効率が低減する。サンプル液及びシース液の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整すればよい。

【0065】
なお、本実施形態では、サンプル液を先ず流した後に、必要に応じてシース液を流す。したがって、全血等の粘性の高いサンプル液をそのまま吸引すると、大きな吸引力が必要となる。そのため、サンプル液として血液を用いる場合は、シース液等を用いて、2~10倍、好ましくは3~5倍程度に希釈してもよい。本実施形態では、相対移動にしたがってメニスカスを発生させる位置を変えるのではなく、チップ1とカバー板31が重なっている部分の全てにメニスカスを発生することができ、更に、サンプル液及びシース液を吸引することで、メニスカスが発生している位置を移動させることができるので、全血を希釈した場合でも、分離に要する時間を十分短くすることができる。

【0066】
図13は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態を示す図である。本実施形態では、円形状のチップ40を用いた例を示しているが、後述する微粒子分離用システムの回転手段に載置し回転することができれば多角形等、形状等に特に制限は無い。本実施形態に用いるチップ1は、外周部分にピラー3が形成されていない平面部41が形成され、吸引手段及び/又は吸引装置を当接できるようになっている。また、回転手段への取り付けのため、必要に応じて中心部に中心孔42を設けてもよい。

【0067】
本実施形態では、後述する移流集積ユニットのシース液移流集積用平面部(以下、「シース液平面部」と記載することもある。)に対応するエリア43でシース液にメニスカスを発生させ、そして、シース液にメニスカスを発生させるエリアより外周側であって、サンプル移流集積用平面部(以下、「サンプル平面部」と記載することもある。)に対応するエリア44でサンプルにメニスカスを発生させる。そして、移流集積ユニットの孔に対応するエリア45から、サンプル液及びシース液を排出することができる。

【0068】
図14は、図13に示す実施形態のシステム全体像を示す図で、円形状のチップ40を用いた微粒子分離用システム50の概略を示す図で、チップ40を載置して回転させる回転手段51、移流集積ユニット52、図示しないシース液吸引手段及び/又は吸引装置を少なくとも含んでおり、捕捉部位で捕捉した微粒子を取り出す場合は微粒子抽出手段53を含んでもよい。更に、捕捉した微粒子が核酸を含む生体材料で、分離後にPCRを行う場合はPCR手段54を含んでいてもよく、図14ではPCRに用いられるウェルを配置した例を示している。また、後述する移流集積ユニットのシース液注入口にシース液を送液するシース液インジェクション55及びサンプル注入口にサンプルを送液するサンプルインジェクション56を設けてもよい。シース液インジェクション55及びサンプルインジェクション56は、送液できるものであれば特に制限は無く、シリンジ等を用いて手動で送液してもよいし、市販の定流量ポンプ等を用いてもよい。また、送液に動力を使用せず、ボトル等から重量により滴下してもよく、その場合、点滴の流量調整に用いられるクレンメを設けて流量を調整してもよい。

【0069】
回転手段51は、チップ40を載置して回転できるものであれば特に制限は無く、例えば、チップ40を載置できる回転可能な円盤の下にモーター等の駆動手段を設けて、円盤を回転するようにすればよい。なお、発生するメニスカスの大きさを一定にすることが好ましいことから、駆動手段は円盤を一定速度で回転制御できるものであることが好ましい。

【0070】
図15は、移流集積ユニット52の概略を示す図である。移流集積ユニット52は、シース液注入口521、サンプル注入口522、シース液平面部523及びサンプル平面部524が少なくとも形成されている。また、移流集積ユニット52には、シース液吸引パッドを装着又はシース液を毛管力で吸引する孔525、該孔525に連通し図示しないシース液吸引装置と接続するためのシース液吸引口526が設けられていてもよい。シース液平面部523及びサンプル平面部524は、チップ40と相対移動することでメニスカスを発生させるため、チップ40に相対する面は平面形状であることが好ましい。また、シース液平面部523及びサンプル平面部524とチップ40との間でメニスカスが発生し、シース液平面部523及びサンプル平面部524以外ではメニスカスが発生する必要は無いことから、移流集積ユニットのシース液平面部523及びサンプル平面部524は、他の部分より厚くし段差を設ける必要がある。一方、孔525に関しては、孔525にシース液吸引パッドを装着する場合は、シース液吸引パッドがシース液に当接するように、シース液吸引パッドを装着する孔525からの突出量を調整すればよいので、孔525は前記他の部分と同じ面に形成してもよいし、シース液平面部523及びサンプル平面部524と同じ高さとなる位置に孔525を設ける平面部を形成し、該平面部に孔525を形成してもよい。また、孔525を、シース液を毛管力で吸引する孔として用いる場合には、平面部41から毛管力によりシース液を吸引できる間隔となるように、孔525を形成する平面部を、シース液平面部523及びサンプル平面部524より厚めに形成してもよい。また、シース液吸引口526は孔525に連通していれば形成する個数、位置は特に制限は無く、適宜調整すればよい。

【0071】
図15に示すように、シース液注入口521はシース液平面部523内に、サンプル注入口522はサンプル平面部524内に形成されてもよいし、移流集積ユニット52とチップ40を相対移動させる際に、シース液平面部523の上流側にシース液注入口521を、サンプル平面部524の上流側にサンプル注入口522を形成してもよい。また、シース液は、中心孔42から平面部1の方向に流れることから、シース液平面部523は、中心孔42付近に形成されていれば形状及び大きさに特に制限は無い。一方、サンプル平面部524は、捕捉部位4の上でメニスカスのラインが発生するような形状であれば特に制限は無いが、効率的に捕捉対象微粒子5を捕捉するためには、中心孔42から平面部41に隣接する捕捉部位4までメニスカスラインが発生するような形状及び大きさとすることが好ましい。

【0072】
図16は、移流集積ユニット52を斜め上から拡大撮影した写真で、移流集積ユニット52は、回転手段51に載置されたチップ40との間隔を保つための高さ調整手段57に取り付けられている。高さ調整手段57は、螺子等により移流集積ユニット52の高さを調整できるものであれば特に制限は無い。移流集積ユニット52のシース液平面部523及びサンプル平面部524は、チップ40のピラー3から200~1000μm離れた位置に位置するように配置されている。ピラー3と移流集積ユニット52のシース液平面部523及びサンプル平面部524との間隔が200μm以下であるとサンプル液の導入量が減少し処理能力が低下し、1000μm以上であるとメニスカス力が低下し十分な分離が得られない。また、移流集積ユニット52を使用する際には、シリコン等のチューブ58を介して、シース液注入口521はシース液インジェクション55、サンプル注入口522はサンプルインジェクション56、及びシース液吸引口526は図示しないシース液吸引装置に接続すればよい。

【0073】
シース液吸引手段は、チップ40の平面部41に当接してシース液を吸引できるものであれば特に制限は無い。例えば、布、コットン、スポンジ、セーム皮等のシース液吸引パッドを直接又は移流集積ユニット52の孔525を介して平面部41に当接してシース液を吸引すればよい。

【0074】
また、孔525にシース液吸引パッドを挿入する代わりに、孔525の幅を毛管力が発生する幅に調整し、孔525を平面部41に当接することで、毛管力によりシース液を吸引してもよい。その場合、孔525の幅は、少なくともシース液と共に除去された微粒子を通過させる必要があることから、サンプルが全血の場合は少なくとも8μm以上、処理能力を上げるためには10μm以上とすることがより好ましい。一方、孔525の幅は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の幅を設けてもよい。また、吸引するサンプル液、シース液が孔525に吸引されるためには、孔525を平面部41に当接した際に隙間が生じる必要がある。そのため、例えば、孔525の両端、並びに平面部41に当接した際にピラー3とは反対側の側面の高さを同じにしておき、孔525のピラー3側の側面のみ、他の部分より高さを低くしておけばよい。高さの差は、8μm以上が好ましく、10μ以上がより好ましい。差の上限は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の差を設けてもよい。なお、チップ40は上記実施形態に限定されず、例えば、平面部41に換え、図10に示すような段差部7を設け、移流集積ユニット52の孔525がピラー3側になるように配置してもよい。また、平面部41に換え、基板2の表面より低くなっている溝部を設け、溝部からサンプル液、シース液を吸引できるような大きさ及び配置となるように、移流集積ユニットを調整してもよい。

【0075】
シース液は、上記に例示した吸引手段による吸引の他、吸引ポンプ等の吸引装置を用い、該吸引装置に接続する吸引口を平面部41に当接してシース液を吸引してもよい。なお、本発明においては、チップ40の形状を問わず、シース液の流速は、シース液吸引手段の吸引力で調整する。そのため、微粒子の分離に使用するシース液量及びサンプル量が多くなり、シース液吸引パッド又は毛管力を発生させる孔が、シース液で飽和状態になるとシース液の吸引速度が安定しなくなるおそれがある。そのため、シース液の流速をより安定に保てるよう、上記のシース液吸引手段を組合せて用いてもよい。例えば、コットン等のシース液吸引パッドの一端をシース液に接触させてシース液を吸収しつつ、吸引ポンプ等の吸引装置を用いて、シース液吸引パッドの他端からシース液吸引パッドに吸収されたシース液を吸引してもよい。また、シース液を毛管力で吸引できる孔525の一端から毛管力によりシース液を吸引しつつ、前記孔525に連通する吸引口から吸引装置でシース液を吸引してもよい。更に、移流集積ユニット52に前記孔525を設けず、シース液吸引ポンプ等の吸引装置に接続する吸引口を毛管力が発生する大きさ又は吸引口に吸引パッドを差し込み、前記吸引口を平面部41に当接するようにしてもよい。

【0076】
図17は、移流集積ユニット52の側面からの写真で、孔525に、シース液吸引パッド59を装着し、シース液吸引口526にシリコン等のチューブ58を連結している状態を示す写真である。

【0077】
移流集積ユニット52を構成する材料は、アクリル、ナイロン、テフロン等の樹脂、又はガラス等、サンプルやシース液と反応しないものであれば特に制限はない。移流集積ユニット52は、ドリル及びエンドミル等の切削工具を用いた切削加工、又は移流集積ユニット52の形状のモールドを作製し射出成形により作製することができる。なお、本発明における移流集積ユニット52は、シース液注入口521、サンプル注入口522、シース液平面部523及びサンプル平面部524、更に必要に応じて形成される孔55及びシース液吸引口56が含まれていれば、単一の部材で形成されていても、別々に作製した部材を組み合わせてもよい。

【0078】
微粒子抽出手段53は、捕捉部位4で捕捉された微粒子を抽出できるものであれば特に制限は無く、例えば、細胞吸引手段を備えたマニピュレータ等が挙げられる。前記微粒子抽出手段53は、捕捉部位4に捕捉された捕捉対象微粒子5を検出する検出手段と連動したマニピュレータにより自動的に回収できるようにすればよく、例えば、特開2010-29178号公報に記載されているような細胞ピッキングシステムを用いることができる。また、検出手段としては、捕捉された微粒子がCTCの場合、FITCやPEで標識された抗EpCAM抗体等のCTC特異的な抗体を用いて蛍光染色したCTCを観察できる蛍光顕微鏡等を用いることができる。また、光学顕微鏡を用いて明視野観察を行う場合には、パパニコロウ染色やギムザ染色を行うことで細胞内の核、細胞質等の形態的特徴を指標としてCTC検出を行うことが出来る。

【0079】
微粒子抽出手段53で抽出した微粒子が核酸を含む生体材料で、抽出後にPCRを行う場合は、PCR手段54に抽出した生体材料を移せばよい。また、PCR手段は公知の装置を用いればよい。

【0080】
シース液平面部523とサンプル平面部524は半径方向の位置が異なるので、チップ40を回転させた場合の両者の相対速度は異なるが、何れも、チップ40との相対速度が50~1500μm/sの範囲となるようチップ40を回転させることが好ましく、60~1000μm/sがより好ましい。50μm/sより遅いと処理時間が長くなり処理能力が低下し、1500μm/sより速いと捕捉対象微粒子5が捕捉されずに分離効率が低減する。なお、図14に示すシステムでは、移流集積ユニット52を固定しチップ40を回転させているが、チップ40を固定して移流集積ユニット52を回転させてもよい。

【0081】
注入するサンプル液量は、ピラー3の高さ及びピラーの間隔により異なるものの、例えば、ピラー3の高さが30μm、ピラー3の間隔が6μmの略6角形の平面充填状態に形成したチップの場合、チップ40の断面積0.72mm2あたり、1.0~10.0μl/sが好ましい。1.0μlより少ないと処理時間が長くなり処理能力が低下し、10.0μlより多いと移流集積ユニットのサンプル平面部とチップの間にサンプルを保持できなくなり好ましくない。また、シース液は、吸引されるシース液の量と同じになるように注入すればよい。なお、上記断面積あたりのサンプル液及び/又はシース液量は、他の実施形態でも同様である。

【0082】
本発明の微粒子分離システムには、捕捉対象微粒子の捕捉効率を上げるための磁場発生装置及び/又は電場発生装置等を設けてもよい。例えば、捕捉部位4が形成されている部分に対応する回転手段51の円盤部分を永久磁石等で形成してもよいし、円盤部分の下側に磁場発生装置として永久磁石又は電磁石を設置して磁場ポテンシャル場を発生させてもよい。EpCAM抗体等を標識した磁性粒子を特異的に吸着させたCTC、又は磁性粒子を非特異的に吸着させたCTC(エンドサイトーシスから取り込む)等、捕捉対象微粒子に磁性を帯びさせた上で、本発明の微粒子分離用システムを用いると、磁性標識されていない他の微粒子から精度よく目的とする微粒子を分離することが可能である。

【0083】
また、捕捉部位に対応する円盤部分又は当該円盤部分の下側に、電場発生装置として電極を設けて電場ポテンシャル場(不均一電場中)を発生させ、CTCと周囲媒質の分極と電場の勾配により生じる静電気力(クーロン力)を用いてCTCの捕捉をアシストすることも可能である。チップを回転しない場合は、捕捉部位4の下方に磁場発生装置及び/又は電場発生装置等を設ければよい。

【0084】
図14に示す実施形態の微粒子抽出手段53、PCR手段54、検出手段等は、図8及び10に示す微粒子分離システムに適用してもよい。なお、図10に示す実施形態に微粒子抽出手段53、PCR手段54、検出手段を用いる場合、移流集積終了後、カバー板31を取り除いた後に、微粒子抽出手段53を用いればよい。

【0085】
図18は、微粒子分離用システムの他の実施形態を示す図である。上記のとおり、図10に示す微粒子分離システムに微粒子抽出手段53、PCR手段54、検出手段を用いる場合、移流集積終了後、カバー板31を取り除く必要がある。そのため、全てのサンプル液を流した後でないと捕捉対象微粒子5を回収することができず、例えば、癌細胞等の生きている細胞を捕捉する場合は、細胞が死滅する恐れがある。図18に示す実施形態では、カバー板31を、捕捉部位4の一部を覆う大きさとし、カバー板31又はチップ1を移動することでメニスカスを発生させている。カバー板31又はチップ1を移動させることで、メニスカスにより捕捉部位4に捕捉された捕捉対象微粒子5の上方は直ぐに開口状態となるので、捕捉対象微粒子5を、微粒子抽出手段53により迅速にサンプリングすることができる。カバー板31の移動速度は、図8に示すサンプル用薄板21の移動速度と同じでよい。また、カバー板31に、図示しない孔を設け、サンプル液、シース液を連続的に供給できるようにしてもよい。

【0086】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0087】
<実施例1>
〔チップの作製〕
先ず、シリコン基板をアセトン・エタノール・超純水の順に、45kHzで5分間ずつ超音波洗浄機により有機洗浄し、145℃で20分間ベイクした。次に、シリコン基板上にSU-8をスピンコートし、ホットプレート上で、95℃で30分間、プリベイクした。次に、正六角形が隣接して平面充填状態となる捕捉部位を作製するためのクロムマスクを用い露光後、ホットプレート上で、95℃で2分間、ポストエクスポージャーベイクを行い、PMシンナーを用い現像した。現像後は、エタノールならびに超純水を用いリンスし、スピンドライヤー等で水分をとばし乾燥させ、鋳型を作製した。作製した鋳型を、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に転写し、転写後、両者を分離し、鋳型が転写されたPDMSをガラス板上に貼付した。その後、PDMS表面をプラズマ処理(周波数50kHz,出力700W、30秒間)により親水化し、チップを作製した。
【実施例】
【0088】
図19は実施例1で作製したチップの外観を示す写真で、チップの大きさは縦50mm、横30mmであった。また、捕捉部位が形成されている大きさは、縦26mm、横24mmであった。
【実施例】
【0089】
図20(1)は、捕捉部位の拡大写真で、ピラーの直径は約20μm、ピラーとピラーの間隔は約6μm、ピラーの高さは約30μm、捕捉部位の大きさは約30μmであった。
【実施例】
【0090】
<実施例2>
実施例1のクロムマスクに代え、ピラーとピラーの間隔が約7μmとなるクロムマスクを用いた以外は、実施例1と同様の手順でチップを作製した。図20(2)は実施例2で作製した捕捉部位の拡大写真である。
【実施例】
【0091】
<実施例3>
実施例1のクロムマスクに代え、ピラーとピラーの間隔が約8μmとなるクロムマスクを用いた以外は、実施例1と同様の手順でチップを作製した。図20(3)は実施例3で作製した捕捉部位の拡大写真である。
【実施例】
【0092】
<実施例4>
〔血液サンプルの作製〕
採取したヒト血液40μlにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を160μl添加したものに、1.1×104個の胃がん細胞株(ヒト胃がん由来の細胞株(GCIY-GFP)をトリプシン処理でバラバラにしたもの)を懸濁し、がん患者の血液を模した血液サンプルを作製した。なお、がん細胞の平均粒径は25μmであった。
【実施例】
【0093】
〔微粒子分離用システムの作製及び血液サンプルからのCTC分離実験〕
図21は、血液サンプルからのCTC分離実験に使用した微粒子分離システムを示しており、実施例1で作製したチップ1上に、ガラスで作製した縦25mm、横35mmのカバー板31、及び歯科用コットン(直径10mm,長さ30mm)を挿入した吸引ユニット35(プラスチック製、外形:横38mm、縦18mm、高さ7mm、挿入部分:横30mm、縦10mm、深さ5mm)を配置した。図22は、チップ1とカバー板31の配置関係を示す側面写真で、チップ1とカバー板31の先端との間隔DGは500μm、チップ1とカバー板31との角度φは、10度となるようにマイクロステージで調整した。次に、チップ1とカバー板31の先端部分に上記血液サンプル200μlを注入した。次に、チップ1を、図21の上方の方向に、40μm/sの一定速度で移動させた。なお、上記の移動速度は、サンプル200μlを、1.5分で分離できる速度である。サンプルを流す前にGCIY-GFPの細胞数をカウントしておき、分離終了後に捕捉部位で捕捉されたGCIY-GFPをカウントすることで、捕捉率を測定した。
【実施例】
【0094】
<実施例5>
実施例1で作製したチップに換え、実施例2で作製したチップを用いた以外は、実施例4と同様の手順で捕捉率を測定した。
【実施例】
【0095】
<実施例6>
実施例1で作製したチップに換え、実施例3で作製したチップを用いた以外は、実施例4と同様の手順で捕捉率を測定した。
【実施例】
【0096】
表1は、実施例4~6の捕捉率を示している。表1から明らかなように、捕捉対象微粒子5が変形しやすい細胞等の場合は、ピラーの間隔を狭くした方が好ましいことが明らかとなった。
【実施例】
【0097】
【表1】
JP2015203582A_000003t.gif
【実施例】
【0098】
<実施例7>
カバー板の移動速度を、サンプル200μlを7分で分離できる速度にした以外は、実施例4と同様の手順で捕捉率を測定した。
【実施例】
【0099】
<実施例8>
カバー板の移動速度を、サンプル200μlを3.5分で分離できる速度にした以外は、実施例4と同様の手順で捕捉率を測定した。
【実施例】
【0100】
<実施例9>
カバー板の移動速度を、サンプル200μlを1分で分離できる速度にした以外は、実施例4と同様の手順で捕捉率を測定した。
【実施例】
【0101】
図23は、実施例4及び実施例7~9の捕捉率を示すグラフである。図23から明らかなように、200μlのサンプルを1分で分離できる速度でチップ1を移動した場合であっても、80%を超えるGCIY-GFPの細胞数を捕捉することができた。なお、図24に示す、従来の微粒子分離用マイクロ流路チップ(特願2012-227717号の実施例1で作製。縦30mm、横30mm。補足部位は略8角形で、対角線の長さは約30μm、深さは約30μm。マイクロ流路は、幅は約10μm、補足部位における流路の深さは約20μm、補足部位以外の流路の深さは約50μm、流路と流路の中心間距離は約60μm。)を用いた微粒子分離システムを用いた場合、実用的なサンプルの分離能力は、10μl/minであった。したがって、従来の微粒子分離用マイクロ流路チップと比較して、本発明のチップを用いることでスループットを約20倍程度向上することができた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のチップを含む微粒子分離用システムを使用することで、サンプル中のサイズの異なる微粒子を、抗体等を用いることなく迅速かつ高効率で分離することができる。したがって、全血からのCTCの分離等、臨床の場において非常に有効であることから、病院や救急センターなどの医療機関や大学医学部などの研究機関、教育機関において、がん診断のシステムとして利用が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18
【図20】
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【図21】
20
【図22】
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【図23】
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【図24】
23