TOP > 国内特許検索 > 非相反メタマテリアル伝送線路装置及びアンテナ装置 > 明細書

明細書 :非相反メタマテリアル伝送線路装置及びアンテナ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-152781 (P2017-152781A)
公開日 平成29年8月31日(2017.8.31)
発明の名称または考案の名称 非相反メタマテリアル伝送線路装置及びアンテナ装置
国際特許分類 H01P   1/32        (2006.01)
H01P   1/00        (2006.01)
H01Q  13/24        (2006.01)
H01Q  13/28        (2006.01)
FI H01P 1/32
H01P 1/00 Z
H01Q 13/24
H01Q 13/28
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2016-031167 (P2016-031167)
出願日 平成28年2月22日(2016.2.22)
発明者または考案者 【氏名】上田 哲也
【氏名】吉田 和弘
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100125874、【弁理士】、【氏名又は名称】川端 純市
審査請求 未請求
テーマコード 5J011
5J045
Fターム 5J011CA14
5J045AA21
5J045DA11
5J045EA08
5J045FA02
5J045HA03
5J045MA07
要約 【課題】広帯域で高周波信号を伝送できる非相反メタマテリアル伝送線路装置を提供する。
【解決手段】非相反メタマテリアル伝送線路装置は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なり、マイクロ波信号の伝送線路部分と、伝送線路部分からそれぞれ分岐して設けられかつ誘導性素子を等価的に含む第1及び第2の並列枝の回路と、容量性素子を等価的に含む第3の並列枝の回路とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1及び第2のポート間で縦続接続して構成され、少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化され、少なくとも1つの単位セルのそれぞれにおいて、第1の並列枝の回路は、伝搬方向と磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、第2の並列枝の回路は、面に対して他方の側に形成される。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非相反メタマテリアル伝送線路装置であって、
上記非相反メタマテリアル伝送線路装置は、マイクロ波信号の伝送線路部分と、上記伝送線路部分からそれぞれ分岐して設けられかつ誘導性素子を等価的に含む第1及び第2の並列枝の回路と、容量性素子を等価的に含む第3の並列枝の回路とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1及び第2のポート間で縦続接続して構成され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、上記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれにおいて、上記第1の並列枝の回路は、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、上記第2の並列枝の回路は、上記面に対して他方の側に形成されたことを特徴とする非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項2】
上記伝送線路部分から見た上記第1の並列枝の回路のインピーダンスは、上記伝送線路部分から見た上記第2の並列枝の回路のインピーダンスと同じ誘導性のインピーダンスであることを特徴とする請求項1記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項3】
上記第1~第3の並列枝の回路のパラメータが非相反分散を低くすることによりビームスクインティングを抑制するように調整されていることを特徴とする請求項1又は2記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項4】
上記第3の並列枝の回路は、
(1)1対の導体間で形成されたキャパシタと、
(2)所定長の線路導体で形成された容量性スタブ線路と、
(3)キャパシタ素子と
のいずれかを含むことを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1つに記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項5】
上記第1と第2の並列枝の回路は上記単位セルの中心又は中心線に対して対称となるように形成されたことを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項6】
上記第1と第2の並列枝の回路はそれぞれ
(1)上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成された1つの誘導性スタブと、上記面に対して他方の側に形成された1つの誘導性スタブとで構成され、もしくは、
(2)上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成された2つの誘導性スタブと、上記面に対して他方の側に形成された2つの誘導性スタブとで構成されたことを特徴とする請求項5記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項7】
上記第1と第2の並列枝の回路に代えて、上記単位セルの伝送線路部分をビア導体を介して接地することで、誘導性スタブを等価的に形成したことを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか1つに記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置。
【請求項8】
請求項1~7のうちのいずれか1つに記載の非相反メタマテリアル伝送線路装置と、
上記第1及び第2のポートにそれぞれ反射素子を挿入して上記非相反メタマテリアル伝送線路装置を擬似進行波共振器として動作させ、上記第1のポートに送信又は受信するマイクロ波信号を入力又は出力することを特徴とするアンテナ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非相反メタマテリアル伝送線路装置と、当該非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いたアンテナ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来例に係る漏れ波アンテナ装置の構成を示すブロック図である。ビーム走査アンテナの一つに漏れ波アンテナがあり、漏れ波アンテナは、図1に示すように、漏れ波アンテナ装置を構成する伝送線路の実効屈折率の絶対値が1よりも小さくなる場合に、伝送線路に沿って伝搬する信号の一部が、漏れ波として外部に放射する現象を利用した指向性アンテナである。図1において、伝送線路は2本の線路導体101,102を有し、端子T1,T2からなる第1のポートP1と、端子T3,T4からなる第2のポートP2とを有する。
【0003】
放射ビーム103の角度は、次式で示すように、伝送線路上に生じる電磁界分布の空間的な位相勾配である位相定数βにより決まるので、線路上の位相勾配を変えることにより、漏れ波ビーム角θを走査することが可能となる。
【0004】
【数1】
JP2017152781A_000003t.gif

【0005】
ここで、βは伝送線路上の位相定数であり、βは自由空間の位相定数であり、実効屈折率neffは-1≦neff≦1の値をとる。
【0006】
このように従来例の漏れ波アンテナでは、高周波信号が伝送線路の一端から入力される。高周波信号の一部が漏れ波放射に寄与しないまま、伝送線路の終端まで到達する場合、終端で反射して同じ伝送線路を逆方向に伝搬し、2次的な漏れ波放射によって不要なサイドローブを発生させてしまう。この問題を解決する手段として、アンテナサイズ(線路長)を無駄に大きくするか、インピーダンス整合回路を伝送線路の終端に挿入し反射を抑制する必要がある。もし漏れ波アンテナのサイズをコンパクトにしたい場合、放射に寄与しない信号成分が終端まで到達すると消費されるので、放射効率が上がらなくなる。
【0007】
アンテナサイズをコンパクトに保ちながら、放射効率を高く維持する新しい技術の一つとして、非相反メタマテリアルの利用がある。非相反メタマテリアルとは、順方向と逆方向で透過係数の異なるメタマテリアルのことであり、例えば、順方向伝搬の場合、正の屈折率を示すのに対して、逆方向伝搬の場合、負の屈折率を示すことが可能である。この非相反マテリアル線路を漏れ波アンテナに適用すると、伝送線路に沿って高周波信号の伝搬方向を切り替えても漏れ波放射方向を同一方向に向けることが可能となる。
【0008】
この非相反伝送線路からの漏れ波の放射効率を低下させないためには、伝送線路の両端に一対の反射素子を挿入し、多重反射を積極的に利用することにより、入力される高周波信号の大部分を特定方向への漏れ波放射に寄与させることが考えられる。つまり従来技術では、終端で無駄に消費されていた電力が非相反線路を用いることにより有効活用することが可能となり、共振構造によって放射効率の改善が図られる。このような非相反メタマテリアル伝送線路の共振構造は擬似進行波共振器と呼ばれ、いくつかの特徴を有する。
【0009】
一つ目の特徴としては、共振周波数が共振器サイズによらないことが挙げられ、これを用いると共振周波数を固定したまま、アンテナ形状、サイズを自由に変えることが可能となる。もう一つの特徴は、擬似進行波共振器内の電磁界分布が、自動的に振幅一様となり、一方、位相分布は一定の位相勾配を持つ。この位相勾配は伝送線路の持つ非相反性により決まる量であり、共振条件には関係なく独立して制御可能なパラメータである。
【0010】
従って、共振状態を維持したまま、伝送線路の非相反性を変えることにより、高効率な漏れ波ビーム走査が可能となる。伝送線路に非相反性がない場合、伝送線路内の実効屈折率neffは0となり、伝送線路上の至る所で同位相となるので、伝送線路に対してブロードサイド(垂直)方向に漏れ波が放射する。
【0011】
伝送線路を用いて情報を伝送する場合、信号波は変調波で周波数広がりを持つ。変調波を同一方向に送信するためには、所定の帯域で周波数によらず同一方向にビームを向ける必要がある。従って、ビーム方向の周波数依存性は、ビーム方向がふらつく原因となり、「ビームスクイント」と呼ばれる。このように所定の帯域で情報を送受信するビーム走査アンテナにおいては、ビームスクイントを低減する技術が必要となる。
【0012】
非相反メタマテリアル伝送線路からなる擬似進行波共振に基づく漏れ波アンテナにおいては、伝送線路のもつ非相反性がビーム角を定めることから、ビームスクイント、つまり周波数の変化によるビーム方向のふらつきは、伝送線路の非相反移相特性の周波数分散によって引き起こされる。これは、言い換えると、順方向伝搬と逆方向伝搬の屈折率差の周波数分散に相当する。従って、非相反メタマテリアル伝送線路の伝搬方向による実効屈折率差の周波数分散を抑制すれば、ビームスクイントの低減に結びつく。
【0013】
これまでに、擬似進行波共振アンテナのビームスクイントを抑制する方法として、伝送線路の両側にスタブを挿入したダブルスタブ構造を採用し、非相反性の周波数分散の抑制を図った提案がある(例えば、特許文献1~4参照)。このダブルスタブ構造において、挿入される2本のスタブの役割として、短い方のスタブは、負の誘電率を実現するための誘導性スタブであり、もう一つの長いスタブは、短いスタブの周波数分散を調整するため、高次の誘導性帯域を利用していた。
【先行技術文献】
【0014】

【特許文献1】特許第5234667号公報
【特許文献2】特許第5655256号公報
【特許文献3】国際公開第2012/115245号公報
【特許文献4】特開2015-181211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、長いスタブは高次の誘導性領域を利用していたため、動作帯域の少し低域側で特異点を取るよう設定されていて、線路の分散性が強くなる問題があった。結果として、同線路で共振器を構成すると、隣接する高次の共振モード(半波長共振)が、より接近して共振するようになり、その影響を受けて所望動作の帯域が狭くなる問題があった。
【0016】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して広帯域で高周波信号を伝送できる非相反メタマテリアル伝送線路装置及び、当該非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いたアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の発明に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非相反メタマテリアル伝送線路装置であって、
上記非相反メタマテリアル伝送線路装置は、マイクロ波信号の伝送線路部分と、上記伝送線路部分からそれぞれ分岐して設けられかつ誘導性素子を等価的に含む第1及び第2の並列枝の回路と、容量性素子を等価的に含む第3の並列枝の回路とを有する少なくとも1つの単位セルを、第1及び第2のポート間で縦続接続して構成され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれは、上記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化され、
上記少なくとも1つの単位セルのそれぞれにおいて、上記第1の並列枝の回路は、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、上記第2の並列枝の回路は、上記面に対して他方の側に形成されたことを特徴とする。
【0018】
上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記伝送線路部分から見た上記第1の並列枝の回路のインピーダンスは、上記伝送線路部分から見た上記第2の並列枝の回路のインピーダンスと同じ誘導性のインピーダンスであることを特徴とする。
【0019】
また、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記第1~第3の並列枝の回路のパラメータが非相反分散を低くすることによりビームスクインティングを抑制するように調整されていることを特徴とする。
【0020】
さらに、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記第3の並列枝の回路は、
(1)1対の導体間で形成されたキャパシタと、
(2)所定長の線路導体で形成された容量性スタブ線路と、
(3)キャパシタ素子と
のいずれかを含むことを特徴とする。
【0021】
またさらに、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記第1と第2の並列枝の回路は上記単位セルの中心又は中心線に対して対称となるように形成されたことを特徴とする。
【0022】
またさらに、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記第1と第2の並列枝の回路はそれぞれ
(1)上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成された1つの誘導性スタブと、上記面に対して他方の側に形成された1つの誘導性スタブとで構成され、もしくは、
(2)上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成された2つの誘導性スタブと、上記面に対して他方の側に形成された2つの誘導性スタブとで構成されたことを特徴とする。
【0023】
また、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置において、上記第1と第2の並列枝の回路に代えて、上記単位セルの伝送線路部分をビア導体を介して接地することで、誘導性スタブを等価的に形成したことを特徴とする。
【0024】
第2の発明に係るアンテナ装置は、
上記非相反メタマテリアル伝送線路装置と、
上記第1及び第2のポートにそれぞれ反射素子を挿入して上記非相反メタマテリアル伝送線路装置を擬似進行波共振器として動作させ、上記第1のポートに送信又は受信するマイクロ波信号を入力又は出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
従って、本発明に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置によれば、従来技術に比較して広帯域で高周波信号を伝送できる。また、本発明に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いたアンテナ装置によれば、従来技術に比較して広帯域で高周波信号を送受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来例に係る漏れ波アンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】比較例に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係る、非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【図4A】図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置において磁界方向を上方向に設定したときの分散曲線を示すグラフである。
【図4B】図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置において磁界方向を下方向に設定したときの分散曲線を示すグラフである。
【図5】実施形態2に係る、非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いた擬似進行波共振器アンテナ装置の構成を示す平面図である。
【図6】図5のアンテナ装置の反射特性を示すグラフである。
【図7】図5のアンテナ装置のビーム角の周波数依存性を示すグラフである。
【図8】図5のアンテナ装置において印加磁界を変化したときのビーム走査特性を示すグラフである。
【図9】変形例1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【図10】変形例2に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【図11A】変形例3に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【図11B】図11AのA-A’線についての縦断面図である。
【図12】変形例4に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【図13】変形例5に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。

【0028】
図2は比較例に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す縦断面図である。図2において、例えば直方体形状のフェライト角棒10を、裏面に接地導体11を有する厚さdの1対の誘電体基板13,14により挟設し、フェライト角棒10上に線路導体を構成する幅wのストリップ導体12を形成する。ここで、例えば永久磁石40を用いて、例えば上方向(基板面に対して垂直な方向で接地導体11からストリップ導体12に向う方向をいう。)でフェライト角棒10に対して磁界Mefを印加することでフェライト角棒10を磁化する。以上のように構成された伝送線路装置において、ストリップ導体12と接地導体11とによりマイクロストリップ線路を構成する。

【0029】
右手/左手系複合伝送線路の非相反移相性は、時間反転対称性を破る強磁性体、フェリ磁性体(図2におけるフェライト角棒10)もしくは人工構造体の利用と、空間反転対称性を破る導波路構造の非対称性との組み合わせによって起こる。具体例として、垂直磁化マイクロストリップ線路に沿って伝搬するエッジガイドモードの電磁界分布が、伝搬方向と垂直な横方向断面上において、非対称に偏ってストリップエッジの一方に分布し、その偏る側が伝搬方向で切り替わる性質を持つ。これに対して、導波路構造に非対称性を与えるために、中央のマイクロストリップ線路の両側面に対して、スタブを非対称に挿入すると、電磁波は伝搬方向の選び方により、異なった導波路構造に感じることから非相反性が発現する。このとき非相反移相特性は次式で与えられる。

【0030】
【数2】
JP2017152781A_000004t.gif

【0031】
但し、Δβは順方向と逆方向の位相定数βp,βmの平均値を表す。順方向と逆方向の位相定数が等しければΔβは0となる。

【0032】
式(2)の変数BとBは、図2に示すように、垂直磁化マイクロストリップ線路において、伝搬方向に対して向かって、磁性体であるフェライト角棒10の左側及び右側の側面におけるアドミタンスY及びYの虚部サセプタンスのことである。変数pは単位セルの長さ、lNRは非対称構造部分の占める線路部分の長さのことなので、lNR/pは単位セル長における非相反線路部分の占める割合を表す。また、角周波数ω=γμは、透磁率テンソルの非対角成分の大きさに関係し、フェライト角棒10の垂直磁化Mと磁気回転比γにより表され、時間反転対称性の破れの大きさを表す。一方、因子(B-B)は、挿入された2つのスタブのもつサセプタンスB,Bの差であり、導波路構造の非対称つまり、空間反転対称性の破れを表す。

【0033】
図2の比較例に係る垂直磁化マイクロストリップ線路からなる右手/左手系複合伝送線路構造において、負の誘電率を得るために挿入されていた誘導性スタブLのサセプタンスは、-1/ωLであり、この誘導性スタブを一方向から挿入する場合に見られる非相反性が動作周波数の逆数に比例することは、非相反右手/左手系複合伝送線路において、よく知られている事実であるが、式(2)を用いてB=0,B=-1/ωLとすれば容易に説明がつく。

【0034】
式(1)が近似的に成り立つとすると、非相反移相特性の周波数分散を0にするためには、(B-B)がそのまま周波数に比例すればよい。このようなサセプタンスB,Bの組み合わせは容量性素子を利用すれば容易に構成可能である。例えば、図2において、右側のみに容量性スタブCを挿入すると、B=0,B=ωCとなるので、動作周波数に比例した非相反性が期待できる。しかしながら、その一方で、右手/左手系複合伝送線路を構成するためには、誘導性スタブのみでは、負の誘電率の発現は困難であり、誘導性スタブの挿入も不可欠である。

【0035】
本発明に係る実施形態では、非相反性の発現のために、容量性スタブを非対称に挿入することを採用し、一方、負の誘電率を実現するためには、誘導性スタブが非相反性に寄与しないよう、マイクロストリップ線路の両側から対称に挿入することを提案する。

【0036】
実施形態1.
図3は実施形態1に係る、非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。実施形態1では、提案する非相反移相特性の周波数分散が0の右手/左手系複合伝送線路を示す。図3において、それぞれ接地導体(例えば図2の11)とストリップ導体12からなる複数の単位セル20が縦続接続されてなるマイクロストリップ線路の金属ストリップ導体12の直下に垂直磁化フェライト角棒10(例えば図2の永久磁石40により磁界を印加)が埋め込まれた構造に対して、単位セル20の直列枝にはキャパシタCs(ただし、両端のポートP1,P2では、キャパシタ2Cs)が挿入され、ストリップ導体12の片側(線路の長手方向に垂直な方向の片側をいい、図3の下側)には容量性スタブを構成するためにストリップ導体16を介してスタブ導体17(誘電体基板14を挟設するスタブ導体17及び接地導体11によりキャパシタを形成)が挿入され、ストリップ導体12の両側(線路の長手方向に垂直な方向(水平面)の両側(以下、両側という。)をいい、図3の上下側)には、ストリップ導体12の中心に対して例えば点対称で対称性のあるように誘導性スタブを構成するための1対のスタブ導体15a,15bが挿入されている。ここで、スタブ導体15aはストリップ導体12の両側の第2のポートP2に近い方の端部に形成され、スタブ導体15bはストリップ導体12の両側の第1のポートP1に近い方の端部に形成される。

【0037】
さらに、伝送線路の両端の第1のポートP1及び第2のポートP2のうち、第1のポートP1のためにストリップ導体12P1が誘電体基板13,14上に形成され、第2のポートP2のためにストリップ導体12P2が誘電体基板13,14上に形成される。

【0038】
以上の実施形態において、フェライト角棒10は線路直下に設けられた永久磁石40(図2)により垂直方向に磁化されているが、本発明はこれに限らず、フェライト角棒10を予め磁化してもよい。

【0039】
上記の非相反メタマテリアル伝送線路である梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の構成は、例えば図3に示すように、例えば単位セル20が少なくとも1つ以上から構成される梯子型伝送線路構成である。ここで、単位セル20の構成は、順方向と逆方向の伝搬定数が異なる非可逆位相推移現象を有する伝送線路部分を含み、直列枝の回路に容量性素子、並列枝の回路に誘導性素子が等価的に挿入された構成を有する(図2参照)。上記伝送線路構成として対象となる回路又は装置は、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、スロット線路、コプレーナ線路などマイクロ波、ミリ波、準ミリ波、テラヘルツ波において用いられるプリント基板回路、導波管、誘電体線路だけでなく、プラズモン、ポラリトン、マグノン等を含む導波モードあるいは減衰モードを支える構成全般、あるいはそれらの組み合わせ、さらに等価回路として記述可能な自由空間など全てが含まれる。

【0040】
上記非可逆位相推移現象を有する伝送線路は、上記に示す伝送線路構成のうち、特にジャイロ異方性を有する材料を部分的もしくは全体的に含み、かつ電磁波の伝搬方向に対して異なる磁化方向(より好ましくは、伝搬方向に対して直交する方向)で磁化されて、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称性を有する構造の伝送線路より構成される。上記非可逆位相推移現象を有する伝送線路としては、上記伝送線路以外に、同等の非可逆位相推移機能を有する、波長に比べて充分小さな集中定数素子も対象とする。上記ジャイロ異方性を有する材料としては、自発磁化もしくは外部より印加した直流もしくは低周波の磁界により誘起された磁化あるいは自由電荷の周回運動により、材料の特性を表す誘電率テンソルもしくは透磁率テンソルあるいはその両方が、ジャイロ異方性を持つ状態として表される場合全てを含む。具体的に対象となる例としては、マイクロ波、ミリ波などで用いられるフェライトなどのフェリ磁性体、強磁性体材料、固体プラズマ(半導体材料など)及び液体、気体プラズマ媒質、さらに微細加工などにより構成された磁性人工媒質などが挙げられる。

【0041】
上記直列枝の回路に挿入される容量性素子としては、電気回路でよく用いられるコンデンサ、マイクロ波、ミリ波回路などで用いられる分布定数型容量素子だけでなく、等価的には、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負の値を持つような回路又は回路素子であってもよい。負の実効透磁率を示す具体的な例としては、金属からなるスプリットリング共振器、スパイラル構成などの磁気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは磁気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはフェライト基板マイクロストリップ線路に沿って伝搬するエッジモードのように、負の実効透磁率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として直列枝の回路が容量性素子として支配的に動作する線路として記述されることから用いることが可能である。さらに、上記直列枝の回路に挿入される容量性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分の素子又は回路が全体として容量性を示すものであってもよい。

【0042】
上記並列枝の回路に挿入される誘導性素子として、電気回路で用いられるコイルなどの集中定数型素子や、マイクロ波、ミリ波回路などで用いられる短絡スタブなどの分布定数型誘導性素子だけでなく、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負の値を持つ回路又は素子を用いることができる。具体的には、金属細線、金属球などの電気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは金属だけでなく電気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはTEモードが遮断領域にある導波管、平行平板線路など、負の実効誘電率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として並列枝が誘導性素子として支配的に動作する伝送線路として記述されることから用いることができる。また、上記並列枝の回路に挿入される誘導性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分が全体として誘導性を示す回路又は素子であってもよい。

【0043】
図4Aは図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置において磁界方向を上方向(接地導体11からストリップ導体12に向う方向をいう。)に設定したときの分散曲線を示すグラフである。また、図4Bは図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置において磁界方向を下方向(ストリップ導体12から接地導体11に向う方向をいう。)に設定したときの分散曲線を示すグラフである。本発明者らは、電磁界シミュレーションにより、図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置(非相反複合右手/左手伝送線路装置ともいう。)のシミュレーションを行い、実効磁化がγμMef=170mTの場合の伝送特性から求められる分散曲線と非相反移相特性を図4A及び図4Bに示す。

【0044】
但し、図4A及び図4Bにおいて、高周波信号電力の流れの正方向として図3の第1のポートP1から入力した場合を選んでいる。また、図4A及び図4Bには、シミュレーションと同じ構造パラメータを持つ回路を試作し、永久磁石40を用いて135mTの外部直流磁界を印加した場合の測定結果も一緒に描いている。なお、誘電体基板13,14及びフェライト角棒10に対して接地面と反対方向を向く垂直上向き方向を印加磁界の正方向として選び、磁化及び磁界の向きを正の方向にとった場合の結果を図4Aに示す、負の方向にとった場合を図4Bに示す。

【0045】
図4A及び図4Bには、原点を通る一点鎖線の直線が描かれているが、これが周波数分散のない非相反移相特性の場合であり、ビームスクイントが0となる条件でもある。図4から明らかなように、試作して測定を行った回路の分散曲線はいずれも、ビームスクイントがほぼ0を示す線路の特性とよく一致していることが分かる。

【0046】
本実施形態に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置によれば、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非相反メタマテリアル伝送線路装置であって、上記非相反メタマテリアル伝送線路装置は、マイクロ波信号の伝送線路部分(ストリップ導体12と接地導体11とによるマイクロストリップ線路)と、上記伝送線路部分からそれぞれ分岐して設けられかつ誘導性素子を等価的に含む第1及び第2の並列枝の回路(スタブ導体15a,15bによる誘導性スタブ)と、容量性素子を等価的に含む第3の並列枝の回路(スタブ導体17による容量性スタブ)とを有する少なくとも1つの単位セル20を、第1及び第2のポートP1,P2間で縦続接続して構成される。ここで、上記少なくとも1つの単位セル20のそれぞれは、上記伝送線路部分の伝搬方向とは異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有するように自発磁化を有するか又は外部磁界により磁化され、上記少なくとも1つの単位セル20のそれぞれにおいて、上記第1の並列枝の回路は、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して一方の側に形成され、上記第2の並列枝の回路は、上記面に対して他方の側に形成される。

【0047】
ここで、好ましくは、上記伝送線路部分から見た上記第1の並列枝の回路のインピーダンスは、上記伝送線路部分から見た上記第2の並列枝の回路のインピーダンスと同じ誘導性のインピーダンスに設定される。また、上記第1~第3の並列枝の回路のパラメータが、ビームスクイントを抑制するように調整されることが好ましい。

【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、実施形態1の線路構造により、非相反分散を低くすることが容易であって、非相反性の周波数分散性の帯域を広く取ることができ、広帯域の信号を伝送することができる。また、上述のように、ビームスクイントを従来技術に比較して大幅に低減できる。これにより、ビーム走査アンテナにおいて、動作周波数の変化に伴いビーム方向が変動してしまう問題点を解決できる。

【0049】
実施形態2.
図5は実施形態2に係る、非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いた擬似進行波共振器アンテナ装置の構成を示す平面図である。実施形態2では、実施形態1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の両端が短絡となるよう反射素子を挿入し、一方の反射素子に対して、50Ωの給電線をインピーダンス整合の取れる位置で直接接続することで、擬似進行波共振器によるアンテナ装置を構成したことを特徴としている。具体的には、図3の非相反メタマテリアル伝送線路装置に比較して以下の点が異なる。
(1)第1のポートP1には、誘電体基板18上において、λg/4の線路長を有して線路端P1Eで開放端となるストリップ導体21を接続し、ストリップ導体21において50Ωの給電線によりインピーダンス整合の取れる位置で接続される給電線用ストリップ導体22を誘電体基板18上に形成した。なお、ストリップ導体21,22はマイクロストリップ線路の線路導体を構成する。
(2)第2のポートP2には、誘電体基板19上において、線路端P2Eで短絡端となるようなストリップ導体23を形成した。なお、線路端P2Eは、厚さ方向に貫通するビア導体を介して接地導体11に接地される。
(3)ストリップ導体16の幅をスタブ導体17の幅と同じにし、これにより、ストリップ導体16により接地導体11に対して容量性スタブとなり、容量値を実施形態1に比較して増大できる。

【0050】
図6は単位セル数が10の場合の図5のアンテナ装置の反射特性を示すグラフである。図6から明らかなように、反射が低下しているノッチの部分が各共振モードに対応しており、本発明者らは、本実施形態に関係する所望の共振動作は、周波数5.76GHzの場合に該当することが、電磁界シミュレーションより得られる電磁界分布の様子から確認した。

【0051】
図7は、単位セル数が10及び20の場合の、図5のアンテナ装置のビーム角の周波数依存性を示すグラフである。図7から明らかなように、本実施形態で提案した非相反メタマテリアル伝送線路装置からなる擬似進行波共振器アンテナ装置を用いて放射ビームを形成させると周波数の変化に伴うビーム方向の変化、つまりビームスクイントが大幅に低減していることが分かる。但し、ビームスクイントは完全には0にはなっておらず、わずかであるが右肩上がりの傾きが残っている。このわずかな位相勾配の影響を許せば、10セルの構造の場合で、5.4GHzから5.9GHzに亘る比帯域は約8.5%であり、20セル構造の場合で、5.5GHzから5.8GHzまでの比帯域約6%の領域で、ビームスクイントの低減技術が機能していることが確認できる。

【0052】
図8は図5のアンテナ装置において印加磁界を変化したときのビーム走査特性を示すグラフである。図8では、アンテナ装置に対する印加磁界を変えた場合のビーム角の変化とその周波数依存性の数値計算結果を示す。直流磁界が印加されていない場合と、直流磁界が印加され実効磁化がγμef=170mTの場合とで、動作の中心周波数に大きな変動が見られるが、それでも周波数5.5GHzから5.75GHzの比帯域約5%に亘って、ビームスクイントが大幅に低減した状態で、-8°から10°に亘って連続的にビーム走査できることがわかる。

【0053】
以上説明したように本実施形態によれば、実施形態1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の両端にそれぞれ反射素子を挿入することで擬似進行波共振器を構成し、これにマイクロ波信号を入力して送信し、もしくはマイクロ波信号を受信して出力するアンテナ装置を構成できる。当該アンテナ装置は、従来技術に比較して広帯域なマイクロ波信号を送受信することができ、しかもビームスクイントを従来技術に比較して大幅に低減できる。

【0054】
変形例.
以下において、実施形態1の変形例について説明するが、各変形例は実施形態2と同様にアンテナ装置を構成できる。

【0055】
図9は変形例1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。変形例1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、図9に示すように、実施形態1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置に比較して、ストリップ導体16を形成せず、端部開放でかつ所定の線路長で容量性をとる、分布定数回路としてのストリップ導体16Aにより容量性スタブを形成したことを特徴とする。

【0056】
図10は変形例2に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。変形例2に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、図10に示すように、変形例1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置に比較して、分布定数回路としての容量性スタブ導体17に代えて、端部を接地導体11に、厚さ方向で貫通するビア導体を介して接地したチップキャパシタC17を接続したことを特徴としている。

【0057】
図11Aは変形例3に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図であり、図11Bは図11AのA-A’線についての縦断面図である。変形例3に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、図11A及び図11Bに示すように、実施形態1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置に比較して、スタブ導体17のみで形成し、線路導体を構成するストリップ導体12の概ね中心を、厚さ方向に貫通するビア導体41を介して接地導体11に接地したことを特徴としている。図3のスタブ導体15a,15bに代えて、ビア導体41の接地により誘導性スタブ回路を構成している。変形例3では、非相反性への影響を抑制する誘導性シャント枝の挿入方法の例を示しており、線路導体であるストリップ導体12の中央にビア導体41を挿入することで、図3のスタブ導体15a,15bのように大きなインダクタンスは取れないが、非相反性に影響を与えない。

【0058】
図12は変形例4に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。変形例4に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、図12に示すように、実施形態1に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置に比較して、誘導性スタブ導体15a,15bに加えて、スタブ導体15c,15dが挿入される。スタブ導体15cはストリップ導体12の両側の第1のポートP1に近い方の端部に形成され、スタブ導体15dはストリップ導体12の両側の第2のポートP2に近い方の端部に形成される。変形例4における誘導性スタブ導体15a~15dは線路導体を構成するストリップ導体12の中心線(線路の幅方向の中心線をいう。)に対して線対称となるように誘導性の並列枝の回路が挿入される一例である。

【0059】
図13は変形例5に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置の構成を示す平面図である。変形例5に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置は、図13に示すように、変形例4の4つのスタブ導体15a~15dのうち、スタブ導体15c,15bのみを形成したことを特徴とする。変形例5における誘導性スタブ導体15c,15bは線路導体を構成するストリップ導体12の中心線(線路の幅方向の中心線をいう。)に対して線対称となるように誘導性の並列枝の回路が挿入される一例である。

【0060】
上述のように、実施形態2の非相反メタマテリアル伝送線路装置の部分を変形例1~5で置き換えてアンテナ装置を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上詳述したように、本発明に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置によれば、従来技術に比較して広帯域で高周波信号を伝送できる。また、本発明に係る非相反メタマテリアル伝送線路装置を用いたアンテナ装置によれば、従来技術に比較して広帯域で高周波信号を送受信でき、かつビームスクイントを従来技術に比較して大幅に低減できる。
【符号の説明】
【0062】
10…フェライト角棒、
11…接地導体、
12,12P1,12P2…ストリップ導体、
13,14…誘電体基板、
15a,15b,15c,15d…スタブ導体、
16,16A…ストリップ導体、
17…スタブ導体、
18,19…誘電体基板、
20…単位セル、
21,22…ストリップ導体、
40…永久磁石、
41…ビア導体、
C17…チップキャパシタ、
Cs…直列キャパシタ、
P1~P3…ポート、
P1E,P2E…線路端。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11A】
11
【図11B】
12
【図12】
13
【図13】
14