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明細書 :メタマテリアル装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-152961 (P2017-152961A)
公開日 平成29年8月31日(2017.8.31)
発明の名称または考案の名称 メタマテリアル装置
国際特許分類 H01P   1/00        (2006.01)
H01P   3/18        (2006.01)
H01P   7/10        (2006.01)
FI H01P 1/00 Z
H01P 3/18
H01P 7/10
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 26
出願番号 特願2016-034320 (P2016-034320)
出願日 平成28年2月25日(2016.2.25)
発明者または考案者 【氏名】上田 哲也
【氏名】石山 拓未
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100125874、【弁理士】、【氏名又は名称】川端 純市
審査請求 未請求
テーマコード 5J006
5J011
Fターム 5J006HC03
5J011CA11
要約 【課題】追加のインピーダンス整合回路を用いることなくインピーダンス整合を達成することができるメタマテリアル装置を提供する。
【解決手段】メタマテリアル装置は周期的に配置された複数の単位セル10を含む。各単位セル10は、単位セル10の中央に配置された誘電体共振器1と、誘電体共振器1を包囲するように配置された複数のストリップ導体3と、誘電体共振器1及びストリップ導体3を支持するホスト媒質2とを備える。各単位セル10は平行6面体である。各ストリップ導体3は、各単位セル10の各面における互いに対向する辺の間に延在するように形成され、各単位セル10の各面において複数のストリップ導体3のうちの2つが互いに交差して互いに電気的に接続される。各単位セル10は、複数のストリップ導体3にそれぞれ挿入された複数のインダクタ4をさらに備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
周期的に配置された複数の単位セルを含むメタマテリアル装置において、
上記各単位セルは、上記単位セルの中央に配置された誘電体共振器と、上記誘電体共振器を包囲するように配置された複数のストリップ導体と、上記誘電体共振器及び上記ストリップ導体を支持するホスト媒質とを備え、
上記各単位セルは平行6面体であり、
上記各ストリップ導体は、上記各単位セルの各面における互いに対向する辺の間に延在するように形成され、上記各単位セルの各面において上記複数のストリップ導体のうちの2つが互いに交差して互いに電気的に接続され、
上記各単位セルは、上記複数のストリップ導体にそれぞれ挿入された複数のインダクタをさらに備えたことを特徴とするメタマテリアル装置。
【請求項2】
上記複数のインダクタは、上記各単位セルの各面において、上記2つのストリップ導体が互いに交差する位置よりも上記単位セルの各辺に近接した各位置において上記2つのストリップ導体にそれぞれ挿入されていることを特徴とする請求項1記載のメタマテリアル装置。
【請求項3】
上記各インダクタは集中定数素子であることを特徴とする請求項1又は2記載のメタマテリアル装置。
【請求項4】
上記各インダクタは分布定数素子であることを特徴とする請求項1又は2記載のメタマテリアル装置。
【請求項5】
上記各インダクタはメアンダ状のストリップ導体であることを特徴とする請求項4記載のメタマテリアル装置。
【請求項6】
上記各単位セルの1つの辺を共有して互いに隣接する当該単位セルの2つの面のすべての組み合わせのそれぞれにおいて、上記1つの辺に向かって延在する2つのストリップ導体は上記1つの辺において互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1~5のうちの1つに記載のメタマテリアル装置。
【請求項7】
上記各単位セルは、互いに隣接する単位セルのストリップ導体を互いに電気的に絶縁する誘電体被膜を備えたことを特徴とする請求項1~6のうちの1つに記載のメタマテリアル装置。
【請求項8】
上記複数の単位セルのうち、1つの面で互いに隣接する2つの単位セルのすべての組み合わせのそれぞれは、上記1つの面において上記ストリップ導体及び上記インダクタを共有することを特徴とする請求項1~6のうちの1つに記載のメタマテリアル装置。
【請求項9】
上記各単位セルは立方体であり、
上記各単位セルの上記誘電体共振器は、上記誘電体共振器を含む単位セルの各面に対して平行な面を有する立方体であることを特徴とする請求項1~8のうちの1つに記載のメタマテリアル装置。
【請求項10】
上記メタマテリアル装置に入射する所定周波数の電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効誘電率及び実効透磁率がともに負となるように、上記単位セルの形状及び寸法と、上記誘電体共振器の形状、寸法、及び比誘電率と、上記ストリップ導体の太さと、上記ストリップ導体を周期的に配置する間隔と、上記ホスト媒質の比誘電率とが設定されたことを特徴とする請求項1~9のうちの1つに記載のメタマテリアル装置。
【請求項11】
上記各単位セルは、上記複数のストリップ導体によって形成される導波路を備え、上記各単位セルは所定のカットオフ周波数を有し、上記各単位セルは、上記メタマテリアル装置に入射する上記カットオフ周波数よりも低い周波数の電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効誘電率が負となるように構成され、
上記誘電体共振器は、上記誘電体共振器に入射する所定周波数の電磁波により、磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布の共振形態で励起し、上記電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効透磁率が負となるように構成されることを特徴とする請求項10記載のメタマテリアル装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、負の屈折率を示す電磁人工構造物であるメタマテリアル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メタマテリアル装置は、サブ波長サイズを有する複数の単位構成要素(以下、単位セルという)から構成される。メタマテリアル装置の特徴的なふるまいとして、電磁波のバックワード伝搬を生じる負の屈折率を有する構造物を構成できるということがある。負の屈折率は、構造物の実効誘電率及び実効透磁率が同時に負となる場合に実現される。
【0003】
一般に、メタマテリアル装置の単位セルは異方性であり、電磁波の伝搬方向及び偏波方向により、メタマテリアル装置のふるまいは大きく異なる。独立な3方向へ伝搬する電磁波又は異なる偏波特性を有する電磁波に対して、等方性の、すなわち方向依存性のないメタマテリアル装置の構造を設計することは容易ではない。
【0004】
すでに、独立な3方向へ伝搬する電磁波に対して負の屈折率を示す3次元メタマテリアル装置がいくつか提案されている(例えば、特許文献1~7を参照)。さらに、電磁波の伝搬方向及び偏波方向に依存せずに負の屈折率を示す等方性の3次元メタマテリアル装置として、磁気双極子に類似した電磁界分布をもつ誘電体粒子群と、交流電界に対して遮蔽効果を持つ金属細線格子との組み合わせからなる複合構造が提案されている。この構造では、誘電体粒子群は負の透磁率を示す構造として使用されている。各誘電体粒子が磁気双極子に類似した電磁界分布を示すように、誘電体粒子内に電気力線の渦が形成される共振モードが利用されている。一方、金属細線格子は負の誘電率を示す構造として使用されている。金属細線格子は、所定間隔を有して並んだ一対の金属細線に当該間隔の2倍よりも長い波長を有する電磁波が入射したとき、負の誘電率を示す。金属細線格子単体を使用したときは、電磁波が伝搬できないカットオフ領域が現れ、遮蔽効果を示す。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2006-114489号公報
【特許文献2】特開2008-244683号公報
【特許文献3】特開2008-252293号公報
【特許文献4】特開2009-272592号公報
【特許文献5】特開2013-005044号公報
【特許文献6】特許第5581526号公報
【特許文献7】国際公開2013/133175号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、誘電体粒子を備えた従来のメタマテリアル装置では、単位セルがサブ波長サイズとなるように誘電体粒子のサイズを小さくするために、高い比誘電率を有する誘電体材料が用いられることがある。その結果、誘電体粒子の誘電率の影響を受けて、メタマテリアル装置全体の波動インピーダンスも大きく低下してしまう。このため、自由空間とメタマテリアル装置との間でインピーダンス整合が取りにくくなるという問題がある。従って、電磁波を高効率にメタマテリアル装置の構造物内に入力するためには、給電線路(又は自由空間)とメタマテリアル装置との間に追加のインピーダンス整合回路を挿入する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、以上の課題を解決し、追加のインピーダンス整合回路を用いることなくインピーダンス整合を達成することができるメタマテリアル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るメタマテリアル装置によれば、
周期的に配置された複数の単位セルを含むメタマテリアル装置において、
上記各単位セルは、上記単位セルの中央に配置された誘電体共振器と、上記誘電体共振器を包囲するように配置された複数のストリップ導体と、上記誘電体共振器及び上記ストリップ導体を支持するホスト媒質とを備え、
上記各単位セルは平行6面体であり、
上記各ストリップ導体は、上記各単位セルの各面における互いに対向する辺の間に延在するように形成され、上記各単位セルの各面において上記複数のストリップ導体のうちの2つが互いに交差して互いに電気的に接続され、
上記各単位セルは、上記複数のストリップ導体にそれぞれ挿入された複数のインダクタをさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1の態様に係るメタマテリアル装置において、
上記複数のインダクタは、上記各単位セルの各面において、上記2つのストリップ導体が互いに交差する位置よりも上記単位セルの各辺に近接した各位置において上記2つのストリップ導体にそれぞれ挿入されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1又は第2の態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各インダクタは集中定数素子であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1又は第2の態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各インダクタは分布定数素子であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第4の態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各インダクタはメアンダ状のストリップ導体であることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1~第5のうちの1つの態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各単位セルの1つの辺を共有して互いに隣接する当該単位セルの2つの面のすべての組み合わせのそれぞれにおいて、上記1つの辺に向かって延在する2つのストリップ導体は上記1つの辺において互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第7の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1~第6のうちの1つの態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各単位セルは、互いに隣接する単位セルのストリップ導体を互いに電気的に絶縁する誘電体被膜を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第8の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1~第6のうちの1つの態様に係るメタマテリアル装置において、
上記複数の単位セルのうち、1つの面で互いに隣接する2つの単位セルのすべての組み合わせのそれぞれは、上記1つの面において上記ストリップ導体及び上記インダクタを共有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第9の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1~第8のうちの1つの態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各単位セルは立方体であり、
上記各単位セルの上記誘電体共振器は、上記誘電体共振器を含む単位セルの各面に対して平行な面を有する立方体であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第10の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第1~第9のうちの1つの態様に係るメタマテリアル装置において、
上記メタマテリアル装置に入射する所定周波数の電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効誘電率及び実効透磁率がともに負となるように、上記単位セルの形状及び寸法と、上記誘電体共振器の形状、寸法、及び比誘電率と、上記ストリップ導体の太さと、上記ストリップ導体を周期的に配置する間隔と、上記ホスト媒質の比誘電率とが設定されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の第11の態様に係るメタマテリアル装置によれば、第10の態様に係るメタマテリアル装置において、
上記各単位セルは、上記複数のストリップ導体によって形成される導波路を備え、上記各単位セルは所定のカットオフ周波数を有し、上記各単位セルは、上記メタマテリアル装置に入射する上記カットオフ周波数よりも低い周波数の電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効誘電率が負となるように構成され、
上記誘電体共振器は、上記誘電体共振器に入射する所定周波数の電磁波により、磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布の共振形態で励起し、上記電磁波に対して上記メタマテリアル装置の実効透磁率が負となるように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るメタマテリアル装置によれば、追加のインピーダンス整合回路を用いることなくインピーダンス整合を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るメタマテリアル装置の単位セル10の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の単位セル10からなる1次元メタマテリアル装置20を示す斜視図である。
【図3】図1の単位セル10からなる2次元メタマテリアル装置30を示す斜視図である。
【図4】図1の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置40を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例に係るメタマテリアル装置の単位セル10Aの構成を示す上面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る2次元メタマテリアル装置30Aの製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図7A】図6の第1層101の詳細構成を示す斜視図である。
【図7B】図7AのA-A’線における断面図である。
【図7C】図7AのB-B’線における断面図である。
【図8A】図6の第2層102の詳細構成を示す斜視図である。
【図8B】図8AのA-A’線における断面図である。
【図8C】図8AのB-B’線における断面図である。
【図9A】図6の第3層103の詳細構成を示す斜視図である。
【図9B】図9AのA-A’線における断面図である。
【図9C】図9AのB-B’線における断面図である。
【図10】図6の第1層101~第5層105及び誘電体共振器1を組み立てたときの、図7AのA-A’線に相当する位置における断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るメタマテリアル装置の単位セル10Bの構成を示す斜視図である。
【図12】図11の上層ブロック201の詳細構成を示す分解斜視図である。
【図13】図11の中層ブロック202の詳細構成を示す分解斜視図である。
【図14】図11の上層ブロック201、中層ブロック202、下層ブロック203、及び誘電体共振器1を組み立てたときの断面図である。
【図15】第1の比較例に係るメタマテリアル装置の単位セル50の構成を示す斜視図である。
【図16】図15の単位セル50からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。
【図17】図15の単位セル50及びインピーダンス整合回路からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。
【図18】メタマテリアル装置における電磁波の伝搬方向を説明するための図である。
【図19】図15の単位セル50からなる3次元メタマテリアル装置の分散曲線を示すグラフである。
【図20】第2の比較例に係るメタマテリアル装置の単位セル50Aの構成を示す斜視図である。
【図21】図20の単位セルからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。
【図22】本発明の第1の実施形態の実施例に係るメタマテリアル装置の単位セル10の寸法を示す上面図である。
【図23】図22の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。
【図24】図22の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路のブロッホインピーダンスを示すグラフである。
【図25】本発明の第2の実施形態の実施例に係るメタマテリアル装置の単位セル10Bの寸法を示す上面図である。
【図26】図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。
【図27】図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路のブロッホインピーダンスを示すグラフである。
【図28】図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の分散曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。図面中のXYZ座標を参照する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。

【0022】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るメタマテリアル装置の単位セル10の構成を示す斜視図である。単位セル10は、単位セル10の中央に配置された誘電体共振器1と、誘電体共振器1を包囲するように配置された複数のストリップ導体3aa~3ad,3ba~3bd,3ca~3cd(以下、総称して符号「3」により示す)と、誘電体共振器1及びストリップ導体3を支持するホスト媒質2とを備える。ホスト媒質2は、例えば、単位セル10内の空間を充填する誘電体である。ホスト媒質2は、エポキシ、ポリイミドなどの有機物質であってもよく、有機物質及びガラス繊維などの混合物であってもよい。

【0023】
単位セル10は平行6面体であり、例えば立方体である。

【0024】
誘電体共振器1は、ホスト媒質2の比誘電率よりもずっと高い比誘電率を有する。例えば、ホスト媒質2が比誘電率1~10を有する場合、誘電体共振器1は比誘電率15~150を有する。誘電体共振器1は、誘電体共振器1を含む単位セル10の各面に対して平行な面を有してもよい。従って、単位セル10が立方体であるとき、誘電体共振器1は、単位セル10の各面に対して平行な面を有する立方体であってもよい。誘電体共振器1の中心は、単位セル10の中心にほぼ一致してもよい。

【0025】
各ストリップ導体3は、単位セル10の各面における互いに対向する単位セル10の辺の間に延在するように形成され、単位セル10の各面において2つのストリップ導体3が互いに交差して互いに電気的に接続される。単位セル10の各面において、2つのストリップ導体3は、当該面の中心において、互いに垂直に交差してもよい。単位セル10の1つの辺を共有して互いに隣接する2つの面のすべての組み合わせのそれぞれ(すなわち、単位セル10の1つの辺を共有して互いに隣接する任意の2つの面)において、当該1つの辺に向かって延在する2つのストリップ導体3は当該1つの辺において互いに電気的に接続されてもよい。

【0026】
複数のストリップ導体3のうちのストリップ導体3aa~3adは、単位セル10の上面(+Z側)及び下面(-Z側)の間を通過して誘電体共振器1を切断する基準面(例えば、誘電体共振器1の中心を通り、XY面に平行な面)上において、誘電体共振器1を包囲するように設けられる。例えば、ストリップ導体3aaは単位セル10の前面(-Y側)においてX軸に沿って延在し、ストリップ導体3abは単位セル10の右面(+X側)においてY軸に沿って延在し、ストリップ導体3acは単位セル10の後面(+Y側)においてX軸に沿って延在し、ストリップ導体3adは単位セル10の左面(-X側)においてY軸に沿って延在する。同様に、複数のストリップ導体3のうちのストリップ導体3ba~3bdは、単位セル10の右面及び左面の間を通過して誘電体共振器1を切断する基準面(例えば、誘電体共振器1の中心を通り、YZ面に平行な面)上において、誘電体共振器1を包囲するように設けられる。同様に、複数のストリップ導体3のうちのストリップ導体3ca~3cdは、単位セル10の後面及び前面の間を通過して誘電体共振器1を切断する基準面(例えば、誘電体共振器1の中心を通り、ZX面に平行な面)上において、誘電体共振器1を包囲するように設けられる。言い換えると、誘電体共振器1は、ストリップ導体3aa~3adを含む面により上下に切断され、ストリップ導体3ba~3bdを含む面により左右に切断され、ストリップ導体3ca~3cdを含む面により前後に切断される。

【0027】
単位セル10及び誘電体共振器1がそれぞれ立方体であり、ストリップ導体3が図1に示すように形成されているとき、単位セル10のコーナーを介して、誘電体共振器1のコーナーと、隣接する単位セル10(図2~図4を参照)における誘電体共振器1のコーナーとが電磁的に結合しやすくなる。

【0028】
単位セル10は、複数のストリップ導体3にそれぞれ挿入された複数のインダクタ4をさらに備える。各インダクタ4は、単位セル10の各面において、2つのストリップ導体3が互いに交差する位置よりも単位セル10の各辺に近接した各位置において2つのストリップ導体3にそれぞれ挿入されている。各インダクタ4は、単位セル10の各面において、2つのストリップ導体3が互いに交差する位置からなるべく遠い位置において2つのストリップ導体3にそれぞれ挿入されていることが望ましい。各インダクタ4はチップインダクタなどの集中定数素子である。

【0029】
単位セル10は、互いに隣接する単位セル10のストリップ導体3を互いに電気的に絶縁する誘電体被膜5をさらに備える。

【0030】
図2は、図1の単位セル10からなる1次元メタマテリアル装置20を示す斜視図である。図3は、図1の単位セル10からなる2次元メタマテリアル装置30を示す斜視図である。図4は、図1の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置40を示す斜視図である。複数の単位セル10は、1次元的、2次元的、又は3次元的に周期的に配置される。このとき、複数のストリップ導体3のうちの一部はX軸に沿って互いに平行かつ周期的に配置され、複数のストリップ導体3のうちの他の一部はY軸に沿って互いに平行かつ周期的に配置され、複数のストリップ導体3のうちの他の一部はZ軸に沿って互いに平行かつ周期的に配置される。各単位セル10及び誘電体共振器1が立方体であり、各単位セルの各面においてストリップ導体3が同様に形成されているとき、そのような単位セルを周期的に配置したメタマテリアル装置20,30,40は等方性になる。

【0031】
1次元メタマテリアル装置20は、例えば、両端にポートP1,P2を有する伝送線路として使用可能である。同様に、2次元メタマテリアル装置30及び3次元メタマテリアル装置40もまた、両端にポートを有する伝送線路として使用可能である。

【0032】
単位セル10からなるメタマテリアル装置は、例えば、マイクロ波帯、ミリ波帯、テラヘルツ周波数帯などの周波数帯で動作する。単位セル10からなるメタマテリアル装置は、大きさを考量すれば、例えば、数MHzの周波数帯で動作してもよく、数GHzの周波数帯で動作してもよく、又は数THzの周波数帯で動作してもよい。

【0033】
次に、図1の単位セル10からなるメタマテリアル装置の動作原理について説明する。

【0034】
単位セル10からなるメタマテリアル装置は、以下に説明するように、負の実効誘電率を有する単位セル10内に負の実効透磁率を有する誘電体共振器1を挿入することにより、その実効誘電率及び実効透磁率が所定周波数の電磁波に対してともに負となるように構成される。

【0035】
各単位セル10は、ある方向から見たときに、ストリップ導体3で包囲された区間と、ストリップ導体3で包囲されていない区間とが交互に配置された導波路として構成される。この導波路におけるストリップ導体3で包囲された区間の実効誘電率は、TEモードのカットオフ周波数より低い周波数領域において負になる。従って、この導波路は、カットオフ周波数より低い周波数を有する電磁波が入射するとき、ストリップ導体3で包囲された区間では負の実効誘電率を有し、ストリップ導体3で包囲されていない区間では正の実効誘電率を有するように構成される。このとき、単位セル10からなるメタマテリアル装置は、その全体としては、正、零又は負の所定値の実効誘電率を有する。

【0036】
また、各単位セル10は、複数のストリップ導体3によって形成される導波路とそれ以外の部分とを含む単位セル10の全体構造に依存する実効値としてのカットオフ周波数(単位セル10全体のカットオフ周波数)を有する。単位セル10からなるメタマテリアル装置は、このカットオフ周波数より低い周波数の電磁波が入射するとき、負の実効誘電率を有し、このカットオフ周波数より高い周波数の電磁波が入射するとき、零又は正の実効誘電率を有する。

【0037】
さらに、誘電体共振器1は、磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布の共振形態を有する。ここで、「磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布」とは、誘電体共振器1の内部において、ある軸に対して垂直な面内で、電気力線が閉じた同心状の渦を形成し、さらに、磁力線が誘電体共振器1の中心付近ではほぼその軸に沿った方向を向き、かつ、磁力線が誘電体共振器1の外部にも広がって閉曲線を形成している状態のことをいう。一般に磁力線はソレノイダルである(必ず閉じている)ので、この場合、磁力線は誘電体共振器1の外部に大きく広がった分布をなす。誘電体共振器1の内部では磁気エネルギーに比べて電気的エネルギーの方がより多く蓄えられる一方、誘電体共振器1の外部では、電界により蓄えられるエネルギーよりも磁界により蓄えられるエネルギーの方が大きくなり、誘電体共振器1と外部の電磁界との結合は磁気結合が支配的となる。

【0038】
誘電体共振器1の実効透磁率を変化させるために、所定周波数を有する電磁波が誘電体共振器1に入射するとき、電磁波の磁界ベクトルが、誘電体共振器1において、磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布の共振状態を励起させる必要がある。その結果、単位セル10の内部において、電磁波の周波数に応じて、正、零又は負の実効透磁率を実現する。このとき、単位セル10からなるメタマテリアル装置は、その全体として、正、零又は負の所定値の実効透磁率を有する。

【0039】
単位セル10からなるメタマテリアル装置の実効誘電率及び実効透磁率が所定周波数の電磁波に対してともに負となるように、単位セル10の形状及び寸法と、誘電体共振器1の形状、寸法、及び比誘電率と、ストリップ導体3の太さと、ストリップ導体3を周期的に配置する間隔と、ホスト媒質2の比誘電率とが決定される。このとき、単位セル10からなるメタマテリアル装置は、電磁波の伝搬方向及び偏波方向に依存せずに負の屈折率を示す等方的な伝搬特性を有するメタマテリアル装置として構成される。

【0040】
単位セル10からなるメタマテリアル装置が等方的な伝搬特性を有するためには、磁気双極子モーメントと類似した電磁界分布を有する誘電体共振器1の共振形態のうちで、X方向に対称軸を有する第1の共振形態と、Y方向に対称軸を有する第2の共振形態と、Z方向に対称軸を有する第3の共振形態とがいずれも、ほぼ同じ共振周波数を有する(すなわち、異なる3つの共振モードをほぼ縮退させる)ことが必要である。この共振周波数付近の周波数を有する電磁波が誘電体共振器1に入射すると、電磁波の伝搬方向に関係なく、誘電体共振器1は共振状態もしくはそれに近い電磁界分布を有する状態となる。また、その共振時における誘電体共振器1内外の電磁界分布は、電磁波の伝搬方向ベクトルの成分に応じて、ほぼ縮退した3つの共振モードのいずれかあるいはそれらの組み合わせ(線形和)として表される。

【0041】
前述のように、メタマテリアル装置の波動インピーダンスZは、その比透磁率μ、比誘電率ε、インダクタンスL、容量C、及び自由空間の波動インピーダンスZ≒377Ωにより、Z=√(μ/ε)Z又はZ=√(L/C)と表される。従って、メタマテリアル装置の比透磁率μ又はインダクタンスLを増大させることによりメタマテリアル装置の波動インピーダンスZを増大させ、自由空間の波動インピーダンスZに対して整合させることができる。

【0042】
単位セル10では、ストリップ導体3にインダクタ4を挿入したことにより、単位セル10の各面上におけるストリップ導体3からなる回路のインピーダンスが増大し、これにより、単位セル10からなるメタマテリアル装置全体の波動インピーダンスも増大している。従って、ストリップ導体3にインダクタ4を挿入したことにより、誘電体共振器1に起因するメタマテリアル装置全体の波動インピーダンスの低下を緩和することができる。単位セル10からなるメタマテリアル装置では、追加のインピーダンス整合回路を用いることなく、自由空間とメタマテリアル装置との間でインピーダンス整合を達成しながら、負の屈折率を実現することができる。

【0043】
単位セル10からなるメタマテリアル装置によれば、追加のインピーダンス整合回路を用いることなく、自由空間とメタマテリアル装置との間でインピーダンス整合を簡単な構造で容易に達成することができる。従って、単位セル10からなるメタマテリアル装置を容易に製造することができる。

【0044】
単位セル10からなるメタマテリアル装置によれば、追加のインピーダンス整合回路が不要になるので、その製造コストを削減することができる。

【0045】
複数の単位セル10を周期的に配置するだけで、負の屈折率を有する任意形状のメタマテリアル装置を構成することができる。

【0046】
単位セル10は、立方体以外の形状を有してもよい。ただし、等方的な伝搬特性のためには、単位セルは、方向によって寸法などが異なる直方体などの形状よりも、立方体などの対称な形状を有するほうが好ましい。

【0047】
誘電体共振器1は、立方体以外の形状を有してもよい。ただし、1つの単位セル10に注目するとき、非対称な形状を有する誘電体共振器1を用いると等方的な伝搬特性が損なわれる。そのような誘電体共振器1を用いる場合であっても、複数の単位セル10において誘電体共振器1をさまざまな異なる方向を向けて配置することで、平均的には等方的な伝搬特性を実現することができる。また、1つの単位セル10に注目するとき、誘電体共振器1を単位セル10の中央に配置しなければ等方的な伝搬特性が損なわれる。誘電体共振器1を単位セル10の中央に配置しない場合であっても、複数の単位セル10において誘電体共振器1をさまざまな異なる位置に配置することで、平均的には等方的な伝搬特性を実現することができる。

【0048】
誘電体共振器1は、単一の誘電体材料から構成されてもよく、又は複数の誘電体材料の組み合わせから構成されてもよい。例えば、誘電体共振器1は、誘電体セラミックを焼成したものでも、誘電体セラミック粉末を成形したものでもよい。できるだけ誘電損失の小さい材料を用いれば、伝搬損失の小さいメタマテリアル装置を実現することができる。

【0049】
ホスト媒質2は、例えば、誘電体共振器1の比誘電率よりもずっと低い比誘電率を有する誘電体、例えば10分の1から5分の1以下の比誘電率を有する有機物質などの誘電体にて単位セル10を充填することによって構成される。また、ホスト媒質2として、単位セル10の内部の少なくとも一部を空気により充填してもよく、又は、空気及び誘電体の組み合わせ、もしくは、複数の誘電体の組み合わせにより、単位セル10の内部を充填してもよい。

【0050】
各単位セル10において、複数のストリップ導体3は、少なくとも3つの方向に沿って配置される。すなわち、各単位セル10において、複数のストリップ導体3は、第1の方向に配置された少なくとも1つの第1のストリップ導体と、第1の方向とは異なる第2の方向に配置された少なくとも1つの第2のストリップ導体と、第1及び第2の方向によって張られる面に対して所定角度を有する第3の方向に配置された少なくとも1つの第3のストリップ導体とを含む。このように構成されたメタマテリアル装置において、電磁波の伝搬方向及び偏波方向に依存しない、すなわち、等方的な伝搬特性を容易に実現することができる。

【0051】
通常の媒質が正の実効誘電率及び正の実効透磁率を有するのに対して(右手系媒質)、メタマテリアル装置には、負の実効誘電率及び負の実効透磁率を有する左手系媒質として機能するものがある。実施形態に係るメタマテリアル装置は、動作周波数により、右手系メタマテリアル装置、左手系メタマテリアル装置、誘電率及び透磁率のどちらか一方が負で他方が正となるシングルネガティブメタマテリアル装置、実効誘電率あるいは透磁率が零のメタマテリアル装置として動作する右手/左手系複合メタマテリアル装置として構成されてもよい。

【0052】
また、メタマテリアル装置の実効誘電率が零となる周波数と実効透磁率が零となる周波数とは一般に異なるが、これらの周波数を一致させることにより、実施形態に係るメタマテリアル装置を平衡型右手/左手系複合メタマテリアル装置として構成してもよい。右手/左手系複合メタマテリアル装置の実効誘電率及び実効透磁率が零の値を有する周波数は、一般に異なる。その場合、隣接する実効誘電率が零になる周波数と実効透磁率が零になる周波数の間の帯域は、実効誘電率及び実効透磁率のどちらか一方のみが負の値を有し、他方が正の値を有する。この帯域では電磁波の伝搬条件が満たされず、電磁波が伝搬できない禁止帯になる。右手/左手系複合メタマテリアル装置は、この禁止帯の下側の帯域では実効誘電率及び実効透磁率がともに負であるので左手系メタマテリアル装置として動作し、上側の帯域ではともに正の値となり右手系メタマテリアル装置として動作する。実効誘電率と実効透磁率が零となる周波数が一致する場合には禁止帯が形成されず、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域が連続的に接続される。このようなメタマテリアル装置を平衡型右手/左手系複合メタマテリアル装置と呼び、そうでないものを非平衡型右手/左手系複合メタマテリアル装置と呼ぶ。平衡型右手/左手系複合メタマテリアル装置は、禁止帯を生じないばかりでなく、位相定数が零となる周波数においても群速度が零とならず、効率良い電力伝送が可能である。

【0053】
図5は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るメタマテリアル装置の単位セル10Aの構成を示す上面図である。単位セルは、個別に形成されてもよく、隣接する単位セルと一体的に、複数個でまとめて形成されてもよい。後者の場合、複数の単位セルのうち、1つの面で互いに隣接する2つの単位セルのすべての組み合わせのそれぞれ(すなわち、1つの面で互いに隣接する任意の2つの単位セル)は、当該1つの面においてストリップ導体3及びインダクタ4を共有してもよい。図5を参照すると、単位セル10Aは、その各面において隣接する単位セルとの間で、ストリップ導体3及びインダクタ4を共有する。従って、図5の単位セル10Aは、図1の単位セル10の誘電体被膜5をもたない。図5の構成によれば、隣接する2つの単位セルの間でストリップ導体3及びインダクタ4を共有することにより、複数の単位セルをまとめて形成し、メタマテリアル装置の製造を簡単化することができる。

【0054】
図5では、複数の単位セル10Aを2次元的に配置した例を示すが、複数の単位セルを1次元的又は3次元的に配置する場合にも同様に、複数個の単位セルをまとめて形成してもよい。

【0055】
次に、図6~図10を参照して、本発明の第1の実施形態に係るメタマテリアル装置の製造方法の一例を詳細に説明する。

【0056】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る2次元メタマテリアル装置30Aの製造方法を説明するための分解斜視図である。2次元メタマテリアル装置30Aは、Z方向に順に積み重ねられる第1層101~第5層105と、第2層102~第4層104の空洞に設けられる誘電体共振器1とを備える。2次元メタマテリアル装置30Aでは、図5の単位セル10Aと同様に構成された3×3個の単位セルが2次元的に周期的に配置されている。

【0057】
図7Aは図6の第1層101の詳細構成を示す斜視図であり、図7Bは図7AのA-A’線における断面図であり、図7Cは図7AのB-B’線における断面図である。図7A、図7B、及び図7Cにおいて、3×3個の単位セルが2次元的に周期的に配置されている。第1層101は、その母材として、エポキシ、ポリイミド、またはガラス繊維などを混入したエポキシなどの半硬化樹脂からなる誘電体基板111を備える。誘電体基板111はホスト媒質2に対応する。誘電体基板111の上面には、X方向に延在する複数の線状パターン導体112と、Y方向に延在する複数の線状パターン導体113とが形成され、これらにより、格子状パターンが形成されている。線状パターン導体112,113には、複数のインダクタ4がそれぞれ挿入されている。誘電体基板111をZ方向に貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、第2層102との電気的接続のためにスルーホール導体114が形成されている。線状パターン導体112,113はストリップ導体3に対応し、スルーホール導体114もまたストリップ導体3に対応する。図7Bを参照すると、X方向に延在する線状パターン導体112にインダクタ4が挿入され、さらに、X方向に延在する線状パターン導体112と第2層102との電気接続のためにスルーホール導体114が形成されている。図7Cを参照すると、Y方向に延在する線状パターン導体113と第2層102との電気接続のためにスルーホール導体114が形成されている。

【0058】
図8Aは図6の第2層102の詳細構成を示す斜視図であり、図8Bは図8AのA-A’線における断面図であり、図8Cは図8AのB-B’線における断面図である。図8A、図8B、及び図8Cにおいて、3×3個の単位セルが2次元的に周期的に配置されている。第2層102は、その母材として、エポキシ、ポリイミド、またはガラス繊維などを混入したエポキシなどの半硬化樹脂からなる誘電体基板121を備える。誘電体基板121はホスト媒質2に対応する。誘電体基板121をZ方向に貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、第1層101及び第3層103との電気的接続のためにスルーホール導体122及びインダクタ4が設けられている。スルーホール導体122はストリップ導体3に対応する。また、誘電体基板121には、レーザー法又はパンチング法などにより、誘電体共振器1を収容するための空洞123が形成されている。図8Bを参照すると、第1層101及び第3層103との電気接続のためにスルーホール導体122及びインダクタ4が設けられ、さらに、誘電体共振器1を収容するための空洞123が形成されている。図8Cを参照すると、第1層101及び第3層103との電気接続のためにスルーホール導体122及びインダクタ4が設けられている。

【0059】
図9Aは図6の第3層103の詳細構成を示す斜視図であり、図9Bは図9AのA-A’線における断面図であり、図9Cは図9AのB-B’線における断面図である。図9A、図9B、及び図9Cにおいて、3×3個の単位セルが2次元的に周期的に配置されている。第3層103は、その母材として、エポキシ、ポリイミド、またはガラス繊維などを混入したエポキシなどの半硬化樹脂からなる誘電体基板131を備える。誘電体基板131はホスト媒質2に対応する。誘電体基板131の上面には、X方向に延在する複数の線状パターン導体132と、Y方向に延在する複数の線状パターン導体133とが形成され、これらにより、格子状パターンが形成されている。線状パターン導体132,133には、複数のインダクタ4がそれぞれ挿入されている。誘電体基板131をZ方向に貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、第2層102及び第4層104との電気的接続のためにスルーホール導体134が形成されている。線状パターン導体132,133はストリップ導体3に対応し、スルーホール導体134もまたストリップ導体3に対応する。また、誘電体基板131には、レーザー法又はパンチング法などにより、誘電体共振器1を収容するための空洞135が形成されている。図9Bを参照すると、Y方向に延在する線状パターン導体133と第2層102及び第4層104との電気接続のためにスルーホール導体134が形成され、さらに、誘電体共振器1を収容するための空洞135が形成されている。図9Cを参照すると、X方向に延在する線状パターン導体132にインダクタ4が挿入され、さらに、X方向に延在する線状パターン導体132と第2層102及び第4層104との電気接続のためにスルーホール導体134が形成されている。

【0060】
第4層104は第2層102と同様に構成されている。第5層105は、上下が反転していることの他は、第1層101と同様に構成されている。

【0061】
スルーホール導体114,122,134は、スキージなどでスルーホールに導電性樹脂材料を挿入することにより形成されてもよく、メッキ工法を用いてスルーホールに導電性の柱を形成することにより形成されてもよい。

【0062】
図10は、図6の第1層101~第5層105及び誘電体共振器1を組み立てたときの、図7AのA-A’線に相当する位置における断面図である。第2層102~第4層の空洞123,135に誘電体共振器1を装填した状態で第1層101~第5層105を順に積み重ねて、Z方向に圧縮しながら加熱し、第1層101~第5層105の誘電体基板111,121,131を硬化する。前述のように、図7A~図9Cの誘電体基板111,121,131はホスト媒質2に対応し、図7A~図9Cの線状パターン導体112,113,132,133及びスルーホール導体114,122,134はストリップ導体3に対応する。これにより、図10の2次元メタマテリアル装置が得られる。

【0063】
図6~図10を参照して説明したように、本発明の第1の実施形態に係るメタマテリアル装置は容易に製造可能である。

【0064】
図6では、5つの層(第1層101~第5層105)を積み重ねる場合を示したが、5つ以外の異なる個数の層を積み重ねてメタマテリアル装置を製造してもよい。

【0065】
図6~図10を参照して説明したメタマテリアル装置の製造方法を用いて、図2のような1次元メタマテリアル装置を形成してもよく、図4のような3次元メタマテリアル装置を形成してもよい。また、図6~図10を参照して説明したメタマテリアル装置の製造方法を用いて、図5の単位セル10Aに代えて、図1の単位セル10と同様に構成された複数の単位セルを1次元的、2次元的、又は3次元的に周期的に配置したメタマテリアル装置を形成してもよい。

【0066】
第2の実施形態.
図11は、本発明の第2の実施形態に係るメタマテリアル装置の単位セル10Bの構成を示す斜視図である。図11の単位セル10Bでは、図1の単位セル10における集中定数素子のインダクタ4に代えて、分布定数素子のインダクタ6が複数のストリップ導体3にそれぞれ挿入されている。各インダクタ6は、メアンダ状(例えば、2つのU字形部分の組み合わせ)のストリップ導体3である。

【0067】
次に、図12~図14を参照して、本発明の第2の実施形態に係るメタマテリアル装置の製造方法の一例を詳細に説明する。説明のために、図11に示すように、単位セル10Bを上層ブロック201、中層ブロック202、及び下層ブロック203に分割する。

【0068】
図12は、図11の上層ブロック201の詳細構成を示す分解斜視図である。図12は、上層ブロック201が6つの層を含む場合を例示する。上層ブロック201は、その母材として、エポキシ、ポリイミド、またはガラス繊維などを混入したエポキシなどの半硬化樹脂からなる誘電体基板211a~211fを備える。誘電体基板211a~211fはホスト媒質2に対応する。上層ブロック201における最上層の誘電体基板211aの上面には、X方向に延在する複数の線状パターン導体212と、Y方向に延在する複数の線状パターン導体213とが形成され、これらにより、格子状パターンが形成されている。線状パターン導体212,213はストリップ導体3に対応する。線状パターン導体212,213の一部は、メアンダ状の複数のインダクタ6として形成されている。誘電体基板211aをZ方向に貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、下の層との電気的接続のためにスルーホール導体214が形成されている。スルーホール導体214はメアンダ状のインダクタ6又はストリップ導体3の一部に対応する。誘電体基板211b~211fの上面には、メアンダ状の複数のインダクタ6の一部になる線状パターン導体215が形成される。さらに、誘電体基板211b~211fをZ方向にそれぞれ貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、他の層との電気的接続のためにスルーホール導体214が形成されている。さらに、誘電体基板211b~211fには、レーザー法又はパンチング法などにより、誘電体共振器1を収容するための空洞216が形成されている。上層ブロック201の6つの層がZ方向に順に積み重ねられたとき、上層ブロック201の側面において、線状パターン導体215及びスルーホール導体214の組み合わせにより、メアンダ状の複数のインダクタ6が形成される。

【0069】
図13は、図11の中層ブロック202の詳細構成を示す分解斜視図である。図13は、中層ブロック202が3つの層を含む場合を例示する。中層ブロック202は、その母材として、エポキシ、ポリイミド、またはガラス繊維などを混入したエポキシなどの半硬化樹脂からなる誘電体基板221a~221cを備える。誘電体基板221a~221cはホスト媒質2に対応する。誘電体基板221b~221cの上面には、メアンダ状の複数のインダクタ6又はストリップ導体3の一部になる線状パターン導体222が形成される。さらに、誘電体基板221b~221cをZ方向にそれぞれ貫通するようにレーザー法又はパンチング法などによりスルーホールが形成され、ここに、他の層との電気的接続のためにスルーホール導体223が形成されている。スルーホール導体223はメアンダ状のインダクタ6又はストリップ導体3の一部に対応する。さらに、誘電体基板221b~221cには、レーザー法又はパンチング法などにより、誘電体共振器1を収容するための空洞224が形成されている。中層ブロック202の3つの層がZ方向に順に積み重ねられたとき、中層ブロック202の側面において、線状パターン導体225及びスルーホール導体223の組み合わせにより、メアンダ状の複数のインダクタ6又はストリップ導体3が形成される。

【0070】
下層ブロック203は、上下が反転していることの他は、上層ブロック201と同様に構成されている。

【0071】
スルーホール導体214,223は、スキージなどでスルーホールに導電性樹脂材料を挿入することにより形成されてもよく、メッキ工法を用いてスルーホールに導電性の柱を形成することにより形成されてもよい。

【0072】
図14は、図11の上層ブロック201、中層ブロック202、下層ブロック203、及び誘電体共振器1を組み立てたときの断面図である。単位セルは、個別に形成されてもよく、隣接する単位セルと一体的に、複数個でまとめて形成されてもよい。図14は、3つの単位セルをまとめて形成した場合を示す。上層ブロック201、中層ブロック202、及び下層ブロック203の各層の空洞216,224に誘電体共振器1を装填した状態で各層を順に積み重ねて、Z方向に圧縮しながら加熱し、各層の誘電体基板211a~211f,221a~221cを硬化する。前述のように、図12~図13の誘電体基板211a~211f,221a~221cはホスト媒質2に対応し、図12~図13の線状パターン導体212,213,215,222及びスルーホール導体214,223はメアンダ状の複数のインダクタ6又はストリップ導体3に対応する。これにより、図14のメタマテリアル装置が得られる。

【0073】
図12~図14を参照して説明したように、本発明の第2の実施形態に係るメタマテリアル装置は容易に製造可能である。

【0074】
図12~図14では、上層ブロック201及び下層ブロック203のそれぞれにおいて6つの層を積み重ね、中層ブロック202において3つの層を積み重ねる場合を示したが、これらとは異なる個数の層を積み重ねてメタマテリアル装置を製造してもよい。

【0075】
図12~図13では、単位セル10Bを複数の層に分割し、各層に形成された線状パターン導体215,222及びスルーホール導体214,223の組み合わせによって、単位セル10Bの側面におけるメアンダ状の複数のインダクタ6を形成した。しかしながら、単位セル10Bを複数の層に分割したり、スルーホール導体を使用したりすることなく、単位セル10Bの側面に直接にメアンダ状の複数のインダクタ6をパターン形成してもよい。

【0076】
図11の単位セルからなるメタマテリアル装置によれば、誘電体基板上に集中定数素子のインダクタを実装する必要がなく、ストリップ導体のパターン形成及びスルーホール導体の形成によって、又はストリップ導体のパターン形成のみによってインダクタを形成することができるので、メタマテリアル装置の製造工程を第1の実施形態の場合よりも簡単化することができる。

【0077】
各インダクタ6は、メアンダ状に代えて、らせん状に形成されてもよく、ストリップ導体3を他の形状に延伸して形成されてもよい。

【0078】
次に、図15~図28を参照して、以上に説明した実施形態に係るメタマテリアル装置のシミュレーション結果について説明する。

【0079】
図15は、第1の比較例に係るメタマテリアル装置の単位セル50の構成を示す斜視図である。図15の単位セル50は、誘電体共振器51、ホスト媒質52、及びストリップ導体53を備える。誘電体共振器51及びホスト媒質52は、図1の誘電体共振器1及びホスト媒質2と同様に構成される。ストリップ導体53は、図1のストリップ導体3とは異なり、単位セル50の辺の位置に設けられる。

【0080】
シミュレーションにおいて、単位セル50は辺の長さ9.4mmの立方体であった。誘電体共振器51は辺の長さ6mmの立方体であった。ストリップ導体53の幅は0.6mmであった。誘電体共振器51の比誘電率は104であり、ホスト媒質52の比誘電率は2.2であった。

【0081】
図16は、図15の単位セル50からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。図16は、電磁波の進行方向に6個、横方向に無限個の単位セル50を周期的に配置した3次元メタマテリアル装置についてのシミュレーション結果を示す。3次元メタマテリアル装置の両端にはインピーダンス整合回路を設けず、自由空間とした。高誘電率の誘電体共振器51を使用するとき、周期構造のメタマテリアル装置の波動インピーダンスが低くなり、その結果、図16に示すように、自由空間とメタマテリアル装置との間でインピーダンス不整合が発生する。

【0082】
図17は、図15の単位セル50及びインピーダンス整合回路からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。図17は、図16の場合と同様に構成された3次元メタマテリアル装置の両端において、インピーダンス整合のために、比誘電率10.2かつ厚さ4mmのインピーダンス整合膜を設けた場合のシミュレーション結果を示す。図16及び図17から、図15の単位セルからなるメタマテリアル装置に効率よく電磁波を入力するためには、インピーダンス整合回路を挿入することが不可欠であると考えられる。

【0083】
次に、図15の単位セル50からなる3次元メタマテリアル装置における電磁波伝搬の等方性について説明する。

【0084】
図18は、メタマテリアル装置における電磁波の伝搬方向を説明するための図である。図18は、3次元メタマテリアル装置に係る波数領域の表現を表す。空間座標(x,y,z)をフーリエ変換した波数領域(空間周波数領域)では、その各点は、成分βx,βy,βzを有する波数ベクトルβ=(βx,βy,βz)により表される。さらに、3次元メタマテリアル装置の構造が周期性を持つ場合、伝搬特性を表す分散曲線は波数領域においても周期性をもち、第1ブリルアン領域と呼ばれる波数領域内の部分領域を用いて全体領域が表現される。この波数領域の原点(βx,βy,βz)=(0,0,0)を「Γ」点と呼ぶ。電磁波が図15のX軸に沿って伝搬する場合、波数ベクトルはβx成分のみをもち、その方向のブリルアン領域の境界点(π/L,0,0)を「X」と表す。同様に、電磁波が図15の(x,y,z)=(1,1,0)方向に伝搬する場合、波数ベクトルの成分はβx=βyかつβz=0の関係を有し、その方向のブリルアン領域の境界点(π/L,π/L,0)を「M」と表す。さらに、電磁波が図15の(x,y,z)=(1,1,1)方向に伝搬する場合、波数ベクトルの成分はβx=βy=βzの関係を有し、その方向のブリルアン領域の境界点(π/L,π/L,π/L)を「R」と表す。

【0085】
図19は、図15の単位セル50からなる3次元メタマテリアル装置の分散曲線を示すグラフである。図19の分散曲線は、図15の単位セル10Bに対して周期的境界条件を課して得られる固有モード解を示す。図19において、「ΓX」は、図15のXYZ座標において、電磁波が原点から点(1,0,0)に伝搬するとき(+X方向)の分散曲線を示し、「ΓM」は、原点から点(1,1,0)に伝搬するときの分散曲線を示し、「ΓR」は、原点から点(1,1,1)に伝搬するときの分散曲線を示す。電磁波の伝搬方向が「ΓX」であるとき、伝搬特性は偏波方向に依存しない。電磁波の伝搬方向が「ΓM」であるとき、水平偏波(XY面に平行な偏波方向)の分散曲線と、垂直偏波(XY面に垂直な偏波方向)の分散曲線を求めた。電磁波の伝搬方向が「ΓR」であるとき、伝搬特性は偏波方向に依存しない。図19の分散曲線は固有値計算から得られた。βは3次元メタマテリアル装置の位相定数を表す。なお、位相定数βは波数ベクトルβの成分に対応する。図19によれば、分散特性がΓ点近傍で等方的であることがわかる。

【0086】
図20は、第2の比較例に係るメタマテリアル装置の単位セル50Aの構成を示す斜視図である。図20の単位セル50Aでは、図15の単位セル50のストリップ導体53にインダクタ54が挿入されている。

【0087】
図21は、図20の単位セルからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。図21は、電磁波の進行方向に6個、横方向に無限個の単位セル50Aを周期的に配置した3次元メタマテリアル装置についてのシミュレーション結果を示す。3次元メタマテリアル装置の両端にはインピーダンス整合回路を設けず、自由空間とした。図21によれば、図16の場合と比較して、インピーダンス整合に関して大きな改善がみられない。

【0088】
図22は、本発明の第1の実施形態の実施例に係るメタマテリアル装置の単位セル10の寸法を示す上面図である。シミュレーションにおいて、単位セル10は辺の長さp=8mmの立方体であった。誘電体共振器1は辺の長さl=6mmの立方体であった。ストリップ導体53の幅はw=1mmであり、厚さはt=0.5mmであった。集中定数のインダクタ4の長さはg=0.5mmであった。誘電体共振器1の比誘電率は104であり、ホスト媒質2の比誘電率は2.2であった。シミュレーションでは、インダクタ4のインダクタンスを0.5nH又は1nHに設定した。

【0089】
図23は、図22の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。図23は、図22の単位セル10を電磁波の進行方向に5個かつ横方向に無限個にわたって周期的に配置した3次元メタマテリアル装置についてのシミュレーション結果を示す。3次元メタマテリアル装置の両端にはインピーダンス整合回路を設けず、自由空間とした。図23によれば、インダクタ4のインダクタンスが0.5nHである場合、4.3GHz~4.6GHzの帯域(負の屈折率が生じる帯域)では、自由空間とメタマテリアル装置とのインピーダンス整合が取れていないことがわかる。このとき、図22の単位セル10からなるメタマテリアル装置の波動インピーダンスは、自由空間の波動インピーダンスに比べて低くなっている。これに対して、インダクタ4のインダクタンスが1nHである場合、4.2GHz~4.5GHzの帯域(負の屈折率が生じる帯域)において、十分とはいえないがインピーダンス整合の取れる帯域が広がっていることがわかる。

【0090】
図24は、図22の単位セル10からなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路のブロッホインピーダンスを示すグラフである。図24は、散乱パラメータの計算結果から抽出して求められるブロッホインピーダンス(周期構造における波動インピーダンス)Zを自由空間の波動インピーダンスZ≒377Ωで正規化した値を示す。但し、丸印はブロッホインピーダンスの実部に対応する値を表し、四角印はブロッホインピーダンスの虚部に対応する値を表す。図24によれば、4.3GHz~4.45GHzにわたってブロッホインピーダンスの実部が自由空間の波動インピーダンスとほぼ同じであることがわかる。

【0091】
図23及び図24によれば、図22の単位セル10からなるメタマテリアル装置の波動インピーダンスを増加させるために、ストリップ導体3にインダクタ4を挿入することの有効性がわかる。

【0092】
図25は、本発明の第2の実施形態の実施例に係るメタマテリアル装置の単位セル10Bの寸法を示す上面図である。シミュレーションにおいて、単位セル10は辺の長さp=8.1mmの立方体であった。誘電体共振器1は辺の長さl=6mmの立方体であった。誘電体被膜5の厚さはt=0.1mmであった。ストリップ導体53の幅はw=0.4mmであり、厚さはt=18μmであった。メアンダ状の複数のインダクタ6は、2つのU字形部分6a,6bの組み合わせとして形成されている。U字形部分6aは、単位セル10Bの辺から距離d=1.45mmの位置に設けられ、間隔g=0.1mmを有して折り返され、長さls1=1.9mmにわたって延在する。U字形部分6bは、単位セル10Bの辺から距離d=0.7mmの位置に設けられ、間隔g=0.1mmを有して折り返され、長さls2=2.1mmにわたって延在する。誘電体共振器1の比誘電率は104であり、ホスト媒質2の比誘電率は2.2であり、誘電体被膜5の比誘電率は2.2であった。

【0093】
図26は、図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路の反射係数S11及び通過係数S21を示すグラフである。図26は、図25の単位セル10Bを電磁波の進行方向に5個かつ横方向に無限個にわたって周期的に配置した3次元メタマテリアル装置についてのシミュレーション結果を示す。3次元メタマテリアル装置の両端にはインピーダンス整合回路を設けず、自由空間とした。1次元メタマテリアル装置の伝送線路にTEM波を入射した場合を考える。図26によれば、4GHz~4.3GHzの比較的広帯域にわたって、反射係数S11が-15dB以下になっていることがわかる。

【0094】
図27は、図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の伝送線路のブロッホインピーダンスを示すグラフである。図27からわかるように、4.05GHz~4.2GHzの帯域にわたって、ブロッホインピーダンスの実部が自由空間の波動インピーダンスZ≒377Ωとほぼ一致することがわかる。これは、図26における反射係数S11が-15dB以下になる帯域に対応している。

【0095】
図28は、図25の単位セル10Bからなる3次元メタマテリアル装置の分散曲線を示すグラフである。図28の分散曲線は、図25の単位セル10Bに対して周期的境界条件を課して得られる固有モード解を示す。図28によれば、4.1GHz~4.3GHzにわたって負の屈折率で伝搬し、4.3GHzにおいて実効屈折率が0となり、その上の帯域ではバンドギャップがあり、さらに上の帯域では正の屈折率で伝搬可能であることがわかる。

【0096】
以上のシミュレーションによれば、本発明の第1及び第2の実施形態に係るメタマテリアル装置は、追加のインピーダンス整合回路を用いることなくインピーダンス整合を達成できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係るメタマテリアル装置は、マイクロ波回路、そのコンポーネント及びアンテナ(広角ビーム走査アンテナ、微小アンテナ、など)、平板スーパーレンズ、負屈折平板レンズ、波長以下の分解能を有する近傍界イメージング、クローキング技術等のような光学的デバイス及びそのコンポーネントへ応用することができる。
【0098】
本発明の応用例としては、クローキング(隠れ蓑)技術による電波障害の解決がある。都市では、高層ビルディングの建築により電波が乱反射されて、映像機器及び通信機器などの信号伝搬誤差が多くなるという問題が多発している。対象物(高層ビルディング)をメタマテリアル装置により包囲して、その中の電磁波の透過特性を最適化することで、電磁波に対象物を迂回させ、乱反射を少なくして、電波環境を改善する(電波クローキング)。
【0099】
また、左手系と右手系の遷移領域である阻止域を使い、電磁波の阻止又は減衰に使う例もある。この効果は、複数の無線システム及びデジタル回路を厳しい実装条件で搭載している携帯電話機への応用において有効である。例えば現在の携帯電話機では、電話用に800MHz帯、1500MHz帯、及び2GHz帯が使用され、GPS用には1.57GHzが使用され、ワンセグTV用には470~710MHz帯が使用され、また電子マネー等のアプリケーションをサポートするために13.56MHz帯が使用され、それぞれの周波数帯に対応する複数のアンテナが携帯電話機の筐体の狭い空間内に配置されている。小さな筐体の中では、アンテナ間の電磁波干渉に起因して通信性能が劣化する。また、これらのアンテナの近くの回路からのクロック信号の不要輻射が雑音としてアンテナで受信され、通信品質を低下させる要因ともなる。このような厳しい実装条件下で、それぞれの周波数毎に電磁波をコントロールし、互いの干渉を減少させるためにメタマテリアル装置を使用することが有効である。
【符号の説明】
【0100】
1…誘電体共振器、
2…ホスト媒質、
3aa~3ad,3ba~3bd,3ca~3cd…ストリップ導体、
4…インダクタ、
5…誘電体被膜、
6…インダクタ、
10,10A,10B…単位セル、
20…1次元メタマテリアル装置、
30,30A…2次元メタマテリアル装置、
40…3次元メタマテリアル装置、
101~105…第1層~第5層、
111,121,131,211a~211f,221a~221c…誘電体基板、
112,132,212,113,133,213,215,222…線状パターン導体、
114,122,134,214,223…スルーホール導体、
123,135,216,224…空洞、
201…上層ブロック、
202…中層ブロック、
203…下層ブロック、
P1,P2…ポート。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7A】
6
【図7B】
7
【図7C】
8
【図8A】
9
【図8B】
10
【図8C】
11
【図9A】
12
【図9B】
13
【図9C】
14
【図10】
15
【図11】
16
【図12】
17
【図13】
18
【図14】
19
【図15】
20
【図16】
21
【図17】
22
【図18】
23
【図19】
24
【図20】
25
【図21】
26
【図22】
27
【図23】
28
【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
33