TOP > 国内特許検索 > ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法 > 明細書

明細書 :ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5689207号 (P5689207)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
発行日 平成27年3月25日(2015.3.25)
発明の名称または考案の名称 ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法
国際特許分類 B29C  59/02        (2006.01)
C08F 220/58        (2006.01)
C08F 220/30        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
FI B29C 59/02 ZNMZ
C08F 220/58
C08F 220/30
H01L 21/30 502D
請求項の数または発明の数 8
全頁数 24
出願番号 特願2014-525216 (P2014-525216)
出願日 平成25年11月13日(2013.11.13)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 高分子学会予稿集、61巻2号(2012)
国際出願番号 PCT/JP2013/080635
国際公開番号 WO2014/087817
国際公開日 平成26年6月12日(2014.6.12)
優先権出願番号 2012266628
優先日 平成24年12月5日(2012.12.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年5月23日(2014.5.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】藪 浩
【氏名】齊藤 祐太
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
【識別番号】100098729、【弁理士】、【氏名又は名称】重信 和男
【識別番号】100173048、【弁理士】、【氏名又は名称】小椋 正幸
【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査官 【審査官】武貞 亜弓
参考文献・文献 特開平10-029292(JP,A)
特開平01-134449(JP,A)
米国特許出願公開第2009/0215925(US,A1)
中国特許出願公開第102372817(CN,A)
特開2009-61628(JP,A)
特開2009-73809(JP,A)
特開2009-158729(JP,A)
特開2012-183753(JP,A)
Alexander Stepuk, et. al,Mussel-inspired load bearing metal-polymer glues,Chemical Communications,2012年 6月25日,Vol.48, No.50,p.6238-6240
調査した分野 C08F 6/00- 246/00
CAplus/REGISTRY(STN)
B29C 59/02
H01L 21/027

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表される樹脂を含む、基板とモールドが転写される被転写樹脂層との間に用いられるナノインプリント用樹脂組成物
【化1】
JP0005689207B2_000012t.gif
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。は1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)
【請求項2】
前記m及びnが、m:n=1:99~90:10であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用樹脂組成物
【請求項3】
前記R1~R5の内、2つが-OHであることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用樹脂組成物
【請求項4】
基板、
該基板上に積層された下記式(1)で表されるナノインプリント用樹脂の層、及び
該樹脂層の上に積層され、モールドが転写された被転写樹脂層、
を含むナノインプリント基板。
【化2】
JP0005689207B2_000013t.gif
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)
【請求項5】
基板上に下記式(1)で表されるナノインプリント用樹脂を積層する工程、
前記ナノインプリント用樹脂の層の上にモールドのパターンを転写する層を積層する工程、
モールドのパターンを転写する工程、
を含む、ナノインプリント基板の製造方法。
【化3】
JP0005689207B2_000014t.gif
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)
【請求項6】
前記モールドのパターンを転写する層が熱可塑性樹脂であり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高い温度に前記熱可塑性樹脂を積層した基板を加熱する工程、
モールドを押圧する工程、
前記基板を、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度より低い温度に冷却する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、請求項に記載のナノインプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記モールドのパターンを転写する層が熱硬化性樹脂であり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度より低い温度でモールドを押圧する工程、
前記熱硬化性樹脂を積層した基板を前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度より高い温度に加熱する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、請求項に記載のナノインプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記モールドのパターンを転写する層が重合性の単量体と光重合開始剤を含む溶液により形成されるものであり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
モールドを押圧する工程、
重合性の単量体を架橋・硬化する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、請求項に記載のナノインプリント基板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法に関し、特に、ナノインプリント用の基板とモールド(鋳型)を転写するための被転写樹脂層の間に設けることで、モールドを転写して剥離する際に、被転写樹脂層が基板から剥離しないようにするためのナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法に関する。

【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の進歩に伴い、半導体デバイスの更なる微細化による高速動作、低消費電力動作、システムLSIという名で呼ばれる機能の統合化などの高い技術が求められている。その半導体デバイスプロセスのコアテクノロジーであるリソグラフィ技術は、微細化が進むにしたがって、露光装置自身の初期コストが指数関数的に増大していることに加え、使用光波長と同程度の解像度を得るためのマスクの価格も上昇しているという問題がある。
【0003】
これに対して、1995年Princeton大学のChouらによって提案されたナノインプリントリソグラフィは、安価でありながら10nm程度の解像度を有する加工技術として注目されている。ナノインプリントは、基板上に設けられた被転写樹脂層にモールドを押し付け、ナノメーターオーダーでモールド上に形成されたパターンを被転写樹脂層に転写する技術で、既存のリソグラフィ技術と比べて低コストで微細なパターンを形成できることから、半導体などの電子デバイス、光デバイス、記録メディア、化学・バイオデバイス、MEMS等の産業機械への応用が進められている。
【0004】
ナノインプリントの代表的な方法としては、熱ナノインプリント、光ナノインプリントが知られており、これらの方法は、被転写樹脂の特性により区別されている。前記方法の中で、熱ナノインプリントは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の熱可塑性樹脂を被転写樹脂として基板に塗布し、樹脂のガラス転移温度(PMMAは105℃)以上に昇温してモールドをプレスし、冷却後にモールドと基板を引き離すことにより、モールドのパターンを被転写樹脂に転写する方法である。
【0005】
しかしながら、図1に示すように、(1)基板1上に塗布した被転写樹脂2に、(2)モールド3をプレスした後、(3)モールド3を剥離する際に被転写樹脂2も一緒に剥離する、というナノインプリント共通の問題に加え、熱ナノインプリント方法は、被転写樹脂の昇温、冷却に時間がかかり、スループットが低下するという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するため、ガラス基板をシランカップリング剤で処理してから被転写樹脂を塗布すること(非特許文献1参照)、及び基板上の金コーティングにチオールを含むベンゾフェノン誘導体を反応させた後、被転写樹脂としてポリスチレン樹脂層を形成すること(非特許文献2参照)、が知られている。しかしながら、前記非特許文献1に記載されている方法ではシランカップリング剤で処理することから基板はガラスに限定され、また、非特許文献2に記載されている方法では金コーティングが必須であり、基板と被転写樹脂の組み合わせが限定されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Dae-Geun Choi et al.,“Measurement of Surface Adhesion Force of Adhesion Promoter and Release Layer for UV-Nanoimprint Lithography”, Journal of Nanoscience and Nanotechnology,Vol.9,p769-773,2009
【非特許文献2】Hirokazu Oda et al.,“Photoreactive Chemisorbed Monolayer Suppressing Polymer Dewetting in Thermal Nanoimprint Lithography”, Langmuir,2009,25(12),p6604-6606
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされた発明で、鋭意研究を行ったところ、下記式(1)で表されるナノインプリント用樹脂を基板上に積層し、その上にモールドを転写する被転写樹脂を積層することで基板と被転写樹脂の接着性を向上させることができ、基板及び被転写樹脂の種類を問わずモールドを剥離する際に基板から被転写樹脂が剥離されないこと、更に、被転写樹脂として熱可塑性樹脂を用いて熱ナノインプリントする場合、基板に被転写樹脂が密着していることからモールドを剥離する際の温度が高くても基板から被転写樹脂が剥離することがないので、スループットが向上できるとともに精度よくモールド上のパターンを被転写樹脂に転写できることを新たに見出した。
【0009】
【化1】
JP0005689207B2_000002t.gif

【0010】
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。は1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)

【0011】
すなわち、本発明の目的は、ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下に示す、ナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法である。

【0013】
(1)下記式(1)で表される樹脂を含む、基板とモールドが転写される被転写樹脂層との間に用いられるナノインプリント用樹脂組成物

【0014】
【化2】
JP0005689207B2_000003t.gif

【0015】
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。は1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)

【0016】
(2)前記m及びnが、m:n=1:99~90:10であることを特徴とする上記(1)に記載のナノインプリント用樹脂組成物
(3)前記R1~R5の内、2つが-OHであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のナノインプリント用樹脂組成物
)基板、
該基板上に積層された下記式(1)で表されるナノインプリント用樹脂の層、及び、
該樹脂層の上に積層され、モールドが転写された被転写樹脂層、
を含むナノインプリント基板。
【化3】
JP0005689207B2_000004t.gif
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)
)基板上に下記式(1)で表されるナノインプリント用樹脂を積層する工程、
前記ナノインプリント用樹脂の層の上にモールドのパターンを転写する層を積層する工程、
モールドのパターンを転写する工程、
を含む、ナノインプリント基板の製造方法。
【化4】
JP0005689207B2_000005t.gif
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)
)前記モールドのパターンを転写する層が熱可塑性樹脂であり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高い温度に前記熱可塑性樹脂を積層した基板を加熱する工程、
モールドを押圧する工程、
前記基板を、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度より低い温度に冷却する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、上記()に記載のナノインプリント基板の製造方法。
)前記モールドのパターンを転写する層が熱硬化性樹脂であり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度より低い温度でモールドを押圧する工程、
前記熱硬化性樹脂を積層した基板を前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度より高い温度に加熱する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、上記()に記載のナノインプリント基板の製造方法。
)前記モールドのパターンを転写する層が重合性の単量体と光重合開始剤を含む溶液により形成されるものであり、前記モールドのパターンを転写する工程が、
モールドを押圧する工程、
重合性の単量体を架橋・硬化する工程、及び
モールドを剥離する工程、
を含む、上記()に記載のナノインプリント基板の製造方法。

【発明の効果】
【0017】
本発明のナノインプリント用樹脂の層を、基板とモールドのパターンを転写する被転写樹脂の間に設けてナノインプリントすることで、基板及び被転写樹脂の種類を問わずモールドを剥離する際に基板から被転写樹脂が剥離することを防止できる。
また、本発明のナノインプリント用樹脂を用いることで、モールドを剥離する際の温度が高くても精度よくモールドのパターンを被転写樹脂に転写することができるので、熱ナノインプリントのスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、従来のナノインプリントの手順の概略を示す図である。
【図2】図2は、本発明のナノインプリントの手順の概略を示す図である。
【図3】図3は、図面代用写真で、本発明の実施例で用いられるモールドのAMF写真である。
【図4】図4は、図面代用写真で、実施例2、比較例1及び比較例2で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真である。
【図5】図5は、図面代用写真で、実施例3及び比較例3で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真である。
【図6】図6は、図面代用写真で、実施例4及び比較例4で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真である。
【図7】図7は、図面代用写真で、実施例5及び実施例6で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のナノインプリント用樹脂組成物、ナノインプリント基板、及びナノインプリント基板の製造方法についてさらに具体的に説明する。


【0020】
図2は、本発明のナノインプリント基板の製造方法の概略を示しており、(1)基板11上に本発明のナノインプリント用樹脂12を積層し、(2)該ナノインプリント用樹脂12の上に被転写樹脂又は重合性の単量体と光重合開始剤を含む溶液13(以下、単に「被転写樹脂13」と記載することがある。)を積層し、(3)前記(2)で作製した積層体にモールド14を押圧し、(4)モールド14を引き離し、モールド14のパターンを被転写樹脂13に転写することで、ナノインプリント基板を作製することができる。

【0021】
上記図2に示されるナノインプリント方法として、被転写樹脂13に熱可塑性樹脂を用いて熱ナノインプリントする場合には、図2(3)の工程において、工程(2)で作製した積層体を被転写樹脂13のガラス転移温度以上に加熱してからモールド14を押圧し、次いで、被転写樹脂13のガラス転移温度以下に冷却した後、工程(4)でモールド14を引き離せばよい。また、被転写樹脂13に熱硬化性樹脂を用いて熱ナノインプリントする場合には、工程(3)において、被転写樹脂13が硬化する温度より低い温度でモールド14を押圧し、次いで、被転写樹脂13の硬化温度より高い温度に加熱して被転写樹脂13を硬化した後、工程(4)でモールド14を引き離せばよい。

【0022】
一方、光ナノプリントを行う場合は、工程(2)で重合性の単量体と光重合開始剤を含む溶液を塗布し、工程(3)で透明な材質で作製されたモールド14を押圧した後、モールド14側、或いは透明基材を用いた場合には基材側から紫外線等を照射して重合性の単量体を架橋・硬化させ、工程(4)でモールド14を引き離せばよい。

【0023】
基板11の材質は、ナノインプリントができるものであれば特に制限はなく、シリコン、ガラス、サファイア、金等の無機物、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メチルメタクリレートとスチレンとの共重合体(MS)等の樹脂から、適宜選択すればよい。

【0024】
本発明のナノインプリント用樹脂12は、下記式(1)で表される樹脂で構成されている。

【0025】
【化5】
JP0005689207B2_000006t.gif

【0026】
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。は1~10の整数を表す。m及びnは1以上の整数である。)


【0027】
上記の樹脂は、ベンゼン環に-OH基が少なくとも1つ置換した親水性部分と疎水性のR6の部分から構成される両親媒性樹脂である。R1~R5は少なくとも1つが-OH基であり、-OH基が複数ある場合は、任意の位置に置換されてよい。具体的には、-OH基が一つのフェノール、-OH基が2つであるカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、-OH基が3つのピロガロール、フロログルシノール、-OH基が4つのテトラヒドロキシベンゼン、-OH基が5つのペンタヒドロキシベンゼン等が挙げられる。前記のベンゼン環の中でも、親水-疎水バランスを最適にすることから、-OH基は2~3個であることが好ましく、2個が特に好ましい。さらに-OH基は基板への配向性を持たせるために隣接している事が好ましい。

【0028】
式(1)のpは、1~10の整数であればよい。Xは、アミド又はエステルから選択されればよい。また、Yもアミド又はエステルから選択されればよいが、Yは含まれなくてもよい。

【0029】
6は、疎水性であって被転写樹脂と親和性があれば特に制限はなく、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。

【0030】
炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、tert-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、1-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルペンタン-3-イル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等が挙げられる。前記したアルキル基の中では、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。

【0031】
炭素数6~20のアリール基の具体例としては、フェニル、インデニル、ペンタレニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル、ナフタセニル又はピレニル等が挙げられる。

【0032】
炭素数7~20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、1-フェニルペンチルブチル、2-フェニルペンチルブチル、3-フェニルペンチルブチル、4-フェニルペンチルブチル、5-フェニルペンチルブチル、1-フェニルヘキシルブチル、2-フェニルヘキシルブチル、3-フェニルヘキシルブチル、4-フェニルヘキシルブチル、5-フェニルヘキシルブチル、6-フェニルヘキシルブチル、1-フェニルヘプチル、1-フェニルオクチル、1-フェニルノニル、1-フェニルデシル、1-フェニルウンデシル、1-フェニルドデシル、1-フェニルトリデシル又は1-フェニルテトラデシル等が挙げられる。

【0033】
m及びnは1以上の整数であって、前記m及びnの比は、m:n=1:99~90:10が好ましく、2:98~80:20がより好ましく、5:95~20:80が特に好ましい。

【0034】
式(1)で表される樹脂は、例えば、下記式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を重合することで得られる。

【0035】
【化6】
JP0005689207B2_000007t.gif

【0036】
(式中、R1~R5は、それぞれ独立に-H又は-OHを表しR1~R5の少なくとも1つは-OHである。Xは、アミド又はエステルを表す。は1~10の整数を表す。)


【0037】
【化7】
JP0005689207B2_000008t.gif

【0038】
(式中、R6は炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。)

【0039】
上記式(2)で表される化合物としては、ドーパミンアクリルアミド、レゾルシンアクリルアミド、ピロガロールアクリルアミド、フロログルシノールアクリルアミド、テトラヒドロキシベンゼンアクリルアミド等が挙げられる。また、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、テトラヒドロキシベンゼンとアルキル基で結合したアクリルアミドおよびアクリル誘導体などが挙げられる。

【0040】
上記式(2)で表される化合物は、例えば、出発原料として、ドーパミン塩酸塩、レゾルシンアルキルアミン塩酸塩、ピロガロールアルキルアミン塩酸塩、フロログルシノールアルキルアミン塩酸塩、テトラヒドロベンゼンアルキルアミン塩酸塩、フェノールアルキルカルボン酸、レゾルシンアルキルカルボン酸、ピロガロールアルキルカルボン酸、フロログルシノールアルキルカルボン酸、テトラヒドロベンゼンアルキルカルボン酸等の化合物を用い、以下に記載する手順で合成することができる。

【0041】
水に炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、ホウ酸ナトリウム(Sodium Borate)を溶解した緩衝液に前記出発原料を加え、この溶液を攪拌しながら、メタクリル酸無水物(Methacrylate anhydride)のテトラヒドロフラン(THF)溶液を滴下する。その際、NaOH水溶液を用いて溶液をpH8以上に保つことが望ましい。この溶液を一晩攪拌した後、HClを用いて溶液をpH2以下に調整後、酢酸エチル(Ethyl acetate)を加えて生成物を抽出する。この溶液を硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥後、エバポレーターで濃縮し再結晶を行う。次に、減圧濾過により得られた化合物を回収し、真空乾燥を行うことで、出発原料に二重結合が連結した式(2)の化合物を得ることができる。

【0042】
上記式(3)で表される化合物としては、Yがアミド又はエステルでRが炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の場合、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、n-プロピルアクリルアミド、2-プロピルアクリルアミド、n-ブチルアクリルアミド、1-メチルプロピルアクリルアミド、2-メチルプロピルアクリルアミド、tert-ブチルアクリルアミド、n-ペンチルアクリルアミド、1-メチルブチルアクリルアミド、1-エチルプロピルアクリルアミド、tert-ペンチルアクリルアミド、2-メチルブチルアクリルアミド、3-メチルブチルアクリルアミド、2,2-ジメチルプロピルアクリルアミド、n-ヘキシルアクリルアミド、1-メチルペンチルアクリルアミド、1-エチルブチルアクリルアミド、2-メチルペンチルアクリルアミド、3-メチルペンチルアクリルアミド、4-メチルペンチルアクリルアミド、2-メチルペンタン-3-イルアクリルアミド、3,3-ジメチルブチルアクリルアミド、2,2-ジメチルブチルアクリルアミド、1,1-ジメチルブチルアクリルアミド、1,2-ジメチルブチルアクリルアミド、1,3-ジメチルブチルアクリルアミド、2,3-ジメチルブチルアクリルアミド、1-エチルブチルアクリルアミド、2-エチルブチルアクリルアミド、ヘプチルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、ノニルアクリルアミド、デシルアクリルアミド、ウンデシルアクリルアミド、ドデシルアクリルアミド、トリデシルアクリルアミド、テトラデシルアクリルアミド、ペンタデシルアクリルアミド、ヘキサデシルアクリルアミド、ヘプタデシルアクリルアミド、オクタデシルアクリルアミド、ノナデシルアクリルアミド、イコシルアクリルアミド、シクロプロピルアクリルアミド、シクロブチルアクリルアミド、シクロペンチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド等のアルキルアクリルアミド類、及びメチルエステル、エチルエステル、n-プロピルエステル、2-プロピルエステル、n-ブチルエステル、1-メチルプロピルエステル、2-メチルプロピルエステル、tert-ブチルエステル、n-ペンチルエステル、1-メチルブチルエステル、1-エチルプロピルエステル、tert-ペンチルエステル、2-メチルブチルエステル、3-メチルブチルエステル、2,2-ジメチルプロピルエステル、n-ヘキシルエステル、1-メチルペンチルエステル、1-エチルブチルエステル、2-メチルペンチルエステル、3-メチルペンチルエステル、4-メチルペンチルエステル、2-メチルペンタン-3-イルエステル、3,3-ジメチルブチルエステル、2,2-ジメチルブチルエステル、1,1-ジメチルブチルエステル、1,2-ジメチルブチルエステル、1,3-ジメチルブチルエステル、2,3-ジメチルブチルエステル、1-エチルブチルエステル、2-エチルブチルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ペンタデシルエステル、ヘキサデシルエステル、ヘプタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、イコシルエステル、シクロプロピルエステル、シクロブチルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等のアルキルエステル類が挙げられる。

【0043】
Yがアミド又はエステルでRが炭素数6~20のアリール基の場合、フェニルアクリルアミド、インデニルアクリルアミド、ペンタレニルアクリルアミド、ナフチルアクリルアミド、アズレニルアクリルアミド、フルオレニルアクリルアミド、フェナントレニルアクリルアミド、アントラセニルアクリルアミド、アセナフチレニルアクリルアミド、ビフェニレニルアクリルアミド、ナフタセニルアクリルアミド又はピレニルアクリルアミド等のアリールアクリルアミド類、及びフェニルエステル、インデニルエステル、ペンタレニルエステル、ナフチルエステル、アズレニルエステル、フルオレニルエステル、フェナントレニルエステル、アントラセニルエステル、アセナフチレニルエステル、ビフェニレニルエステル、ナフタセニルエステル又はピレニルエステル等のアリールエステル類が挙げられる。

【0044】
また、Yがアミド又はエステルでRが炭素数7~20のアラルキル基の場合、ベンジルアクリルアミド、フェネチルアクリルアミド、1-フェニルプロピルアクリルアミド、2-フェニルプロピルアクリルアミド、3-フェニルプロピルアクリルアミド、1-フェニルブチルアクリルアミド、2-フェニルブチルアクリルアミド、3-フェニルブチルアクリルアミド、4-フェニルブチルアクリルアミド、1-フェニルペンチルブチルアクリルアミド、2-フェニルペンチルブチルアクリルアミド、3-フェニルペンチルブチルアクリルアミド、4-フェニルペンチルブチルアクリルアミド、5-フェニルペンチルブチルアクリルアミド、1-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、2-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、3-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、4-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、5-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、6-フェニルヘキシルブチルアクリルアミド、1-フェニルヘプチルアクリルアミド、1-フェニルオクチルアクリルアミド、1-フェニルノニルアクリルアミド、1-フェニルデシルアクリルアミド、1-フェニルウンデシルアクリルアミド、1-フェニルドデシルアクリルアミド、1-フェニルトリデシルアクリルアミド又は1-フェニルテトラデシルアクリルアミド等のアラルキルアクリルアミド類、及びベンジルエステル、フェネチルエステル、1-フェニルプロピルエステル、2-フェニルプロピルエステル、3-フェニルプロピルエステル、1-フェニルブチルエステル、2-フェニルブチルエステル、3-フェニルブチルエステル、4-フェニルブチルエステル、1-フェニルペンチルブチルエステル、2-フェニルペンチルブチルエステル、3-フェニルペンチルブチルエステル、4-フェニルペンチルブチルエステル、5-フェニルペンチルブチルエステル、1-フェニルヘキシルブチルエステル、2-フェニルヘキシルブチルエステル、3-フェニルヘキシルブチルエステル、4-フェニルヘキシルブチルエステル、5-フェニルヘキシルブチルエステル、6-フェニルヘキシルブチルエステル、1-フェニルヘプチルエステル、1-フェニルオクチルエステル、1-フェニルノニルエステル、1-フェニルデシルエステル、1-フェニルウンデシルエステル、1-フェニルドデシルエステル、1-フェニルトリデシルエステル又は1-フェニルテトラデシルエステル等のアラルキルエステル類が挙げられる。

【0045】
一方、上記式(3)でYが含まれない化合物としては、Rが炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の場合、プロピレン、2-メチル-1-プロピレン、1-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、3-メチル-2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-tert-ブチル-3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-3-エチル-1-ペンテン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-ブチル-1-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、3-メチル-1-ヘキセン、2,3-メチル-1-ヘキセン、4,5-ジメチル-1-ヘキセン、3,4,5-トリメチル-1-ヘキセン、3,3,5-トリメチル-1-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、2,3-ジメチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-イコセン、シクロプロピレン、シクロブテン、シクロペンテン又はシクロヘキセン等が挙げられる。

【0046】
上記式(3)でYが含まれない化合物としては、Rが炭素数6~20のアリール基の場合、ビニルベンゼン(スチレン)、1-ビニルインデン、5-ビニルインデン、1-ビニルペンタレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、2-ビニルアズレン、9-ビニル-9H-フルオレン、2-ビニル-9H-フルオレン、1-ビニルフェナントレン、2-ビニルフェナントレン、3-ビニルフェナントレン、6-ビニルフェナントレン、8-ビニルフェナントレン、1-ビニルアントラセン、2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン、1-ビニルアセナフチレン、2-ビニルビフェニレン、1-ビニルナフタセン、2-ビニルナフタセン、1-ビニルピレン、4-ビニルピレン等のビニルアリール類が挙げられる。

【0047】
上記式(3)でYが含まれない化合物としては、Rが炭素数7~20のアラルキル基の場合、3-フェニル-1-プロピレン、2-フェニル-1-プロピレン、4-フェニル-1-ブテン、3-フェニル-1-ブテン、2-フェニル-1-ブテン、5-フェニル-1-ペンテン、4-フェニル-1-ペンテン、3-フェニル-1-ペンテン、2-フェニル-1-ペンテン、6-フェニル-1-ヘキセン、5-フェニル-1-ヘキセン、4-フェニル-1-ヘキセン、3-フェニル-1-ヘキセン、2-フェニル-1-ヘキセン、7-フェニル-1-ヘプテン、6-フェニル-1-ヘプテン、5-フェニル-1-ヘプテン、4-フェニル-1-ヘプテン、3-フェニル-1-ヘプテン、2-フェニル-1-ヘプテン、8-フェニル-1-オクテン、7-フェニル-1-オクテン、6-フェニル-1-オクテン、5-フェニル-1-オクテン、4-フェニル-1-オクテン、3-フェニル-1-オクテン、2-フェニル-1-オクテン、9-フェニル-1-ノネン、8-フェニル-1-ノネン、7-フェニル-1-ノネン、6-フェニル-1-ノネン、5-フェニル-1-ノネン、4-フェニル-1-ノネン、3-フェニル-1-ノネン、2-フェニル-1-ノネン、10-フェニル-1-デセン、9-フェニル-1-デセン、8-フェニル-1-デセン、7-フェニル-1-デセン、6-フェニル-1-デセン、5-フェニル-1-デセン、4-フェニル-1-デセン、3-フェニル-1-デセン、2-フェニル-1-デセン、11-フェニル-1-ウンデセン、10-フェニル-1-ウンデセン、9-フェニル-1-ウンデセン、8-フェニル-1-ウンデセン、7-フェニル-1-ウンデセン、6-フェニル-1-ウンデセン、5-フェニル-1-ウンデセン、4-フェニル-1-ウンデセン、3-フェニル-1-ウンデセン、2-フェニル-1-ウンデセン、12-フェニル-1-ドデセン、11-フェニル-1-ドデセン、10-フェニル-1-ドデセン、9-フェニル-1-ドデセン、8-フェニル-1-ドデセン、7-フェニル-1-ドデセン、6-フェニル-1-ドデセン、5-フェニル-1-ドデセン、4-フェニル-1-ドデセン、3-フェニル-1-ドデセン、2-フェニル-1-ドデセン、13-フェニル-1-トリデセン、12-フェニル-1-トリデセン、11-フェニル-1-トリデセン、10-フェニル-1-トリデセン、9-フェニル-1-トリデセン、8-フェニル-1-トリデセン、7-フェニル-1-トリデセン、6-フェニル-1-トリデセン、5-フェニル-1-トリデセン、4-フェニル-1-トリデセン、3-フェニル-1-トリデセン、2-フェニル-1-トリデセン、14-フェニル-1-テトラデセン、13-フェニル-1-テトラデセン、12-フェニル-1-テトラデセン、11-フェニル-1-テトラデセン、10-フェニル-1-テトラデセン、9-フェニル-1-テトラデセン、8-フェニル-1-テトラデセン、7-フェニル-1-テトラデセン、6-フェニル-1-テトラデセン、5-フェニル-1-テトラデセン、4-フェニル-1-テトラデセン、3-フェニル-1-テトラデセン、2-フェニル-1-テトラデセン等が挙げられる。

【0048】
本発明の両親媒性高分子は、上記式(2)及び式(3)の化合物を用いて、以下に記載する手順で合成することができる。

【0049】
ジメチルスルホキシド(DMSO)及びベンゼンの混合溶媒中に、上記式(2)及び式(3)の化合物、並びにアゾビスイソブチロニトリル(Azobisisobutyronitrile)等のラジカル重合開始剤を溶解させ、3回凍結脱気を行う。この溶液を窒素雰囲気下で60℃まで加熱しフリーラジカル重合を行う。重合後、アセトニトリル中に反応溶液を滴下し、遠心分離後、合成した高分子を減圧乾燥し本発明のナノインプリント用樹脂を作製することができる。得られた樹脂の重量平均分子量は、分子量が大きすぎると粘度と水素結合のため溶解性が低下し、また、分子量が小さ過ぎると膜にならないおそれがあることから、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましい。重量平均分子量は開始剤とモノマーの比率を調整することで調整することができる。また、m:nの比は、式(2)と式(3)で表される化合物の添加量を調整すればよい。なお、本発明における「重量平均分子量」とは、東ソー製HLC-8320GPCを用いてポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。

【0050】
上記の方法により得られた本発明のナノインプリント用樹脂としては、例えば、以下に示す樹脂が挙げられる。

【0051】
【化8】
JP0005689207B2_000009t.gif

【0052】
【化9】
JP0005689207B2_000010t.gif

【0053】
【化10】
JP0005689207B2_000011t.gif

【0054】
本発明のナノインプリント用樹脂は、基板11と被転写樹脂13の間に設けることで基板11と被転写樹脂13の接着性を高め、モールドを引き離す際に被転写樹脂13が基板11から剥離することを防止できるので、熱ナノインプリント、光ナノインプリントの何れの転写方法にも用いることができる。

【0055】
熱ナノインプリントの場合、被転写樹脂13は、熱ナノインプリントに一般的に用いられている熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であれば特に制限はない。熱可塑性樹脂を用いる場合には、被転写樹脂である熱可塑性樹脂をガラス転移温度(Tg)以上まで加熱し、軟化させた後、微細なパターンが形成されたモールドを押し付け、ガラス転移温度より低い温度に冷却することで微細パターンが転写されるので、転写する際の加熱温度よりも低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱ナノインプリント法に対する適合性の点から、微細なパターンが形成されたモールドを押し付ける際の加熱温度よりも高いガラス転移温度を有する熱硬化性樹脂が好ましい。

【0056】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリウレタン樹脂(TPU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)等が挙げられる。

【0057】
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)等が挙げられる。モールドを押し付ける際の温度を考慮し、適宜樹脂を選択すればよい。

【0058】
光ナノインプリントに用いられる光硬化性樹脂としては、当該分野において従来から用いられている光硬化性樹脂であれば特に制限はなく、例えば、紫外線、可視光に対して硬化性を有するポリエステルアクリレート系、アクリル系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系等不飽和二重結合を有する光硬化性樹脂が挙げられる。前記の光硬化性樹脂は、重合性の単量体、又は重合性の量体及び該単量体が架橋したオリゴマーを含み、光重合開始剤を用いて架橋することで硬化できる。

【0059】
単量体としては、少なくとも1個以上の官能基を有し、光重合開始剤に硬化エネルギー線を照射することにより発生するイオンまたはラジカルによりイオン重合、ラジカル重合を行い分子量の増加や架橋構造の形成を行うモノマーやオリゴマーなどからなるものが用いられる。ここでいう官能基とは、ビニル基、カルボキシル基、水酸基などの反応の原因となる原子団または結合様式である。このようなモノマー、オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレートなどのアクリル型、および不飽和ポリエステル/スチレン系、ポリエン/スチレン系などの非アクリル系が挙げられるが、中でも、硬化速度、物性選択の幅の広さからアクリル型が好ましい。このようなアクリル型の代表例を以下に示す。

【0060】
まず、単官能基のものとしては、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルEO付加物アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物、2-フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加したアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フルフリルアルコールのカプロラクトン付加物アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4、4-ジメチル-1、3-ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3-メチル-5、5-ジメチル-1、3-ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート等を挙げることができる。

【0061】
また、多官能基のものとしては、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1、6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンのアセタール化合物のジアクリレート、2、2-ビス[4-(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2、2-ビス[4-(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル]メタン、水添ビスフェノールエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロビレンオキサイド付加物トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートペンタアクリレート混合物、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物アクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、2-アクリロイロキシエチルオスフェート等を挙げることができる。

【0062】
使用される光重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものから選択して用いることができる。具体的には、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ミヒラーケトン系、ベンジル系、ベンゾイン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゾエート系、α-アシロキシムエステル等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等のイオウ化合物、2、4、6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィノキシド等のリン化合物等を挙げることができる。

【0063】
なお、本発明のナノインプリント用樹脂は、そのままでも光硬化性樹脂等の被転写樹脂13と基板の接着性を高めることはできるが、より接着性を高めるために、式(1)のR6の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、アリール基、又はアラルキル基の末端に、エポキシ基、アジド基、又はビニル基等を導入し、重合性の単量体が硬化する際に一体的に硬化することで、接着性を更に高めることができる。

【0064】
上記の末端に、エポキシ基、アジド基、又はビニル基等を導入した化合物の例としては、グリシジルアクリレート、アジドアクリレート、1,2-ブタジエンが挙げられる。

【0065】
モールド14上の微細パターンは、所望のモールド材料や精度に応じて周知の加工法によって形成すればよい。例えば、フォトリソグラフィ、集束イオンビームリソグラフィ、電子ビーム描画法、切削加工など機械加工、また、モールド原盤からの成型法、メッキ法などによるレプリカ作製などの手法を取ることができる。

【0066】
本発明のナノインプリント樹脂12及び被転写樹脂13は、疎水性ポリマーについてはクロロホルム等の有機溶剤、水溶性のポリマーについては水に溶解しスピンコート、キャスト等によりナノインプリント樹脂12、次いで被転写樹脂13の順で基板上に積層すればよい。ナノインプリント樹脂12、及び被転写樹脂13の厚みは、0.1~100μmが好ましい。また、被転写樹脂13として重合性の単量体と光重合開始剤を含む溶液を用いる場合は、スピンコート等の方法で溶液層が0.1~100μmの厚さになるようにすればよい。

【0067】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0068】
〔ナノインプリント用モールドの作製〕
直径1μmの空孔が1μmの間隔で四角格子状に形成されたシリコン基板上に、ポリスチレン(アルドリッチ社製182427、重量平均分子量=約28万)のクロロホルム溶液(10mg/mL)をキャストし、常温で乾燥させることにより、ポリスチレン膜を作製した。その後、エタノール中で浸漬してピンセットを用いてシリコン基板から突起状構造を持つポリスチレン膜を剥離した。作製したポリスチレン膜を突起構造が上に来るようにシャーレに置き、ポリジメチルシロキサンエラストマー(PDMS)の前駆体と白金触媒を10:1で混合したもの(東レダウコーニング社製、SylPot184(登録商標))をキャストし、減圧により脱泡した後、70℃で5時間硬化させた。硬化後、クロロホルム(あるいはベンゼン)によりポリスチレン膜を溶解することで、ポリジメチルシロキサンエラストマーモールド(以下「PDMSモールド」と記載することがある。)を作製した。得られたPDMSモールドの原子間力顕微鏡(AFM、セイコーインスツルメンツ製、SPI-400)写真を図3に示す。
【実施例】
【0069】
<実施例1>
〔ナノインプリント用樹脂の作製〕
ミリポア社の超純水製造装置で作製した超純水(Milli-Q)100mlに、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製198-01315)を4.0g、ホウ酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製192-01455)を10.0g、及びドーパミン塩化物(DOPA:Dopamine chloride、アルドリッチ社製H8502)を5.0g加えた。この溶液を攪拌しながら、メタクリル酸無水物(アルドリッチ社製276685)4.7mlをテトラヒドロフラン(THF:和光純薬工業株式会社製200-00486)25mlに溶解した溶液を滴下した。この際、1mol/LのNaOH水溶液を用いて溶液をpH8以上に保った。この溶液を一晩攪拌した後、6mol/LのHClを用いて溶液をpH2以下に調整後、酢酸エチルを加えて生成物を抽出した。この溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターで濃縮し再結晶を行った。減圧濾過によりドーパミンメタクリルアミド(DMA:Dopamine methacrylamide)を回収し、真空乾燥を行った。本発明の両親媒性高分子は、ジメチルスルホキシド(DMSO):ベンゼン=3:50の混合溶媒中に、DMA0.673mmol及びN-ドデシルアクリルアミド(NDA:N-dodecylacrylamide)5.43mmol、アゾビスイソブチロニトリル(Azobisisobutyronitrile)0.125mmolとなるように溶解させ、3回凍結脱気を行った。この溶液を窒素雰囲気下で60℃まで加熱しフリーラジカル重合を行った。重合後、アセトニトリル中に反応溶液を滴下し、遠心分離後、合成した高分子を減圧乾燥し本発明のナノインプリント用樹脂(以下、「PDOPA樹脂」と記載することがある。)を作製した。
【実施例】
【0070】
〔ナノインプリント試験(ナノインプリント温度の影響)〕
<実施例2>
ガラス基板(松浪硝子社製カバーガラス)上に、実施例1で作製したPDOPA樹脂のクロロホルム溶液(2mg/mL)を3,000rpmでスピンコートし、次に、ポリスチレン(PS:アルドリッチ社製182427、ガラス転移点約100℃)のクロロホルム溶液(2mg/mL)を3,000rpmでスピンコートする事で、ガラス基板上に薄膜の積層体を作製した。次に、減圧チャンバー中の上下に設置したホットステージの下部ホットステージ上に前記基板を設置し、前記基板上にPDMSモールドを配置し、上部ホットステージを約100kPaの圧力で押しつけた後、減圧下(圧力10-1Pa)100℃で1時間アニーリングし、その後空気を導入して減圧チャンバー内部を常圧に戻し、ホットステージの温度が50℃となるまで冷却した後にホットステージにかけた圧力を解放する事により、ナノインプリントを行った。得られたナノインプリント基板の表面の表面構造は、原子間力顕微鏡(AFM、セイコーインスツルメンツ製、SPI-400)により観察を行った。図4(1)は、実施例2で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0071】
<比較例1>
PDOPA樹脂のクロロホルム溶液のスピンコートを行わなかった以外は、実施例1と同様の手順でナノインプリントを行った。図4(2)は比較例1で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0072】
<比較例2>
PDOPA樹脂のクロロホルム溶液のスピンコートを行わず、アニーリング後ホットステージの温度が30℃になるまで冷却した以外は、実施例1と同様の手順でナノインプリントを行った。図4(3)は比較例2で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0073】
図4(3)に示すように、PDOPA樹脂層を設けない場合、ナノインプリント後、ガラス基板を30℃まで十分冷却することで、解像度は低いもののポリスチレン層にPDMSモールドのパターンを転写することができた。しかしながら、ガラス基板の冷却温度を高め(50℃)に設定した場合、PDMSモールドを剥した際にガラス基板上に設けたポリスチレン層も剥離してしまい、PDMSモールドのパターンを転写することができなかった。一方、ガラス基板とポリスチレン層の間にPDOPA樹脂層を設けた実施例1では、ガラス基板の冷却温度が50℃においても、PDMSモールドを剥す際にポリスチレン層が剥離せず、PDMSモールドのパターンを精度よく転写することができた。
【実施例】
【0074】
〔ナノインプリント試験(基板の影響)〕
<実施例3>
基板として、ガラスに代えポリエチレンテレフタレート(PET、サンプラテック社製)を用いた以外は、実施例2と同様の手順でナノインプリントを行った。図5(1)は、実施例で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0075】
<比較例3>
PDOPA樹脂のクロロホルム溶液のスピンコートを行わなかった以外は、実施例3と同様の手順でナノインプリントを行った。図5(2)は、比較例3で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
<実施例4>
基板として、ガラスに代えポリテトラフルオロエチレン(PTFE、サンプラテック社製)を用いた以外は、実施例2と同様の手順でナノインプリントを行った。図6(1)は、実施例4で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0076】
<比較例4>
PDOPA樹脂のクロロホルム溶液のスピンコートを行わず、ポリテトラフルオロエチレンをスピンコートに代えキャスト法で積層し以外は、実施例4と同様の手順でナノインプリントを行った。図6(2)は、比較例3で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0077】
比較例1、3、4から明らかなように、PDOPA樹脂層を設けずにナノインプリントを行った場合、疎水性の高いPETを基板にした比較例3では図5(2)に示すようにポリスチレン層にPDMSモールドのパターンを転写することができたが、疎水性が小さい比較例1のガラス、比較例4のPTFEを基板に用いた場合には、図4(2)及び図6(2)に示すように、PDMSモールドのパターンをポリスチレン層に転写することはできなかった。一方、基板とポリスチレン層の間にPDOPA樹脂層を設けた実施例2~4では、図4(1)、図5(1)及び図6(1)に示すように、基板の種類を問わず、PDMSモールドのパターンをポリスチレン層に精度よく転写することができた。
【実施例】
【0078】
〔ナノインプリント試験(積層樹脂の影響)〕
<実施例5>
ポリスチレンに代え、ポリビニルアルコール(PVA、和光純薬製、ガラス転移温度約85℃)の水溶液(10mg/mL)を用いた以外は、実施例2と同様の手順でナノインプリントを行った。図7(1)は、実施例5で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0079】
<実施例6>
ポリスチレンに代え、ポリビニルブチラール(PVB、和光純薬製、ガラス転移温度約70℃)のクロロホルム溶液(5mg/mL)を用いた以外は、実施例2と同様の手順でナノインプリントを行った。図7(2)は、実施例6で得られたナノインプリント基板表面のAFM写真を示す。
【実施例】
【0080】
実施例2、5、6から明らかなように、基板とPDMSモールドを転写する樹脂層の間にPDOPA樹脂層を設けると、PDMSモールドを転写する樹脂層が疎水性(実施例2、6)又は親水性(実施例5)を問わず、PDMSモールドのパターンを精度よく転写することができた。
【実施例】
【0081】
上記の実施例1~6及び比較例1~4から明らかなように、本発明のPDOPA樹脂層を基板とPDMSモールドを転写する樹脂層の間に設けるとで、基板の種類、PDMSモールドを転写する樹脂層の種類に関係なく、更に、ナノインプリント後十分に冷却しなくても、PDMSモールドのパターンを被転写樹脂層に転写できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のナノインプリント用樹脂を用いることで、基板の種類、モールドを転写する被転写樹脂層の種類に関係なくナノインプリントができ、更に、モールドを剥離する際に基板を十分に冷却する必要が無い。したがって、多様な種類の基板、樹脂を用いてナノインプリントをすることができるので、従来ナノインプリントで賦形できなかった材質を基板として用いることができるので、例えば、医療材料で用いられるテフロン(登録商標)基板上に細胞の足場に適切な形状を付与したり、ガラスの上にポリマー性の反射防止膜を賦形することが可能となる。更に、モールドの剥離の際に十分な冷却を要しないことから製造時間を短縮することができ製造効率を上げることができるので、ナノインプリントの更なる普及に有用である。
従って、本発明は、半導体集積回路や液晶表示装置用部材、光学部品、記録媒体、光導波路、保護フィルム、マイクロリアクター、ナノデバイス、医療分野分離分析用チップ等の製品に使用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6