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明細書 :フォトニック結晶及びそれを利用した光機能デバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6163542号 (P6163542)
登録日 平成29年6月23日(2017.6.23)
発行日 平成29年7月12日(2017.7.12)
発明の名称または考案の名称 フォトニック結晶及びそれを利用した光機能デバイス
国際特許分類 G02B   1/02        (2006.01)
G02B   5/18        (2006.01)
H01L  31/068       (2012.01)
H01L  31/054       (2014.01)
FI G02B 1/02
G02B 5/18
H01L 31/06 300
H01L 31/04 620
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2015-512489 (P2015-512489)
出願日 平成26年4月15日(2014.4.15)
国際出願番号 PCT/JP2014/060731
国際公開番号 WO2014/171457
国際公開日 平成26年10月23日(2014.10.23)
優先権出願番号 2013086902
優先日 平成25年4月17日(2013.4.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年10月16日(2015.10.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】野田 進
【氏名】オスクイ アルダバン
【氏名】田中 良典
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査官 【審査官】山▲崎▼ 和子
参考文献・文献 特開2013-041948(JP,A)
特開2009-076900(JP,A)
特開2011-205038(JP,A)
特開平07-122762(JP,A)
国際公開第2011/083674(WO,A1)
国際公開第2012/141141(WO,A1)
Ardavan Oskooi, Pedro A. Favuzzi, Yoshinori Tanaka, Hiroaki Shigeta, Yoichi Kawakami, Susumu Noda,Partially disordered photonic-crystal thin films for enhanced and robust photovoltaics,Applied Physics Letters,米国,American Institute of Physics,2012年 5月 3日,Vol. 100, No. 18,pp. 181110-1 - 181110-4
A. Mihi, F. J. Lopez-Alcaraz, H. Miguez,Full spectrum enhancement of the light harvesting efficiency of dye sensitized solar cells by including colloidal photonic crystal multilayers,Applied Physics Letters,米国,American Institute of Physics,2006年 5月 9日,Vol. 88, No. 19,pp. 193110-1 - 193110-3
調査した分野 G02B 1/02
G02B 5/18
H01L 31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の周波数範囲内にある複数の周波数の光に共振するフォトニック結晶であって、
板状部材内に該板状部材とは屈折率が異なる異屈折率領域が該板状部材に平行な2次元格子の各格子点に配置されることにより周期的な屈折率分布が形成されているフォトニック結晶構造形成体が複数、該板状部材の厚み方向に互いに離間して設けられており、
前記複数のフォトニック結晶構造形成体のうちの1つである第1フォトニック結晶構造形成体が、前記周波数範囲内にある少なくとも2つの共振周波数の光に共振し、該2つの共振周波数が他のフォトニック結晶構造形成体のうちの1つである第2フォトニック結晶構造形成体における全ての共振周波数と異なり、該第2フォトニック結晶構造形成体における共振周波数のうち少なくとも1つが前記2つの共振周波数の間の値を有するように、前記第1フォトニック結晶構造形成体及び前記第2フォトニック結晶構造形成体の屈折率分布が設定されている
ことを特徴とするフォトニック結晶。
【請求項2】
前記フォトニック結晶構造形成体の数が2であることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶。
【請求項3】
前記異屈折率領域の各々の平面形状が最小値と最大値の間でランダムな大きさを有するように、前記フォトニック結晶構造形成体の周期的な屈折率分布が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトニック結晶。
【請求項4】
前記異屈折率領域が前記2次元格子の各格子点から前記板状部材に平行に、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されることにより、前記フォトニック結晶構造形成体の周期的な屈折率分布が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトニック結晶。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載のフォトニック結晶を有することを特徴とする、所定の周波数範囲内の複数の共振周波数における光の共振を利用した光機能デバイス。
【請求項6】
所定の周波数範囲の光を電力に変換する、半導体から成る光電変換層が1対の電極の間に設けられた光電変換装置であって、前記光電変換層内に請求項1~のいずれかに記載のフォトニック結晶が形成されていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項7】
各フォトニック結晶構造形成体がp型半導体とn型半導体を接合したものに形成されており、最近接の2つのフォトニック結晶構造形成体が、導電体から成るスペーサ層により離間されていることを特徴とする請求項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記フォトニック結晶構造形成体の数が2であって、一方のフォトニック結晶構造形成体がp型半導体に形成され、他方のフォトニック結晶構造形成体がn型半導体に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
各フォトニック結晶構造形成体がp型半導体とn型半導体を接合したものに形成されており、最近接の2つのフォトニック結晶構造形成体が、第1導電体層、絶縁体層、第2導電体層をこの順に積層したスペーサ層により離間されていることを特徴とする請求項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
所定の周波数範囲の光を散乱させる回折素子であって、請求項1~のいずれかに記載のフォトニック結晶を有することを特徴とする回折素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子や回折素子等の光機能デバイスに用いることができるフォトニック結晶、及び該フォトニック結晶を用いた光機能デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子の一種である太陽電池は、入射した光(電磁波)のエネルギーを電流に変換するための、半導体から成る光電変換層を有している。入射光は、光電変換層に吸収され、そのエネルギーによって光電変換層の半導体内の電子が価電子帯から伝導帯に励起されることにより、電流に変換される。ここで、入射光が光電変換層に吸収されることなく通過すると、光電変換の効率が低下する。そのため、太陽電池では、光電変換層における入射光の吸収率を高めることが重要となる。この吸収率を高める手法の1つとして、光電変換層の厚みを大きくすることが挙げられるが、半導体材料の使用量が増加するため、コストが上昇してしまう、あるいは電子の取り出しの効率が低下してしまうという問題がある。
【0003】
特許文献1には、入射光の吸収率を高めるためにフォトニック結晶(Photonic Crystal)を用いた太陽電池が記載されている。フォトニック結晶は、一般的には周期的な屈折率分布を有する構造体をいい、特許文献1に記載の太陽電池では、光電変換層内に空孔が周期的に配置されることにより屈折率分布が形成されている。このような構成により、光電変換層に入射した光のうち、屈折率分布の周期に対応した特定の周波数を有する光が定在波を形成して共振状態を形成するため、その光は光電変換層内に留まり易くなる。そのため、当該特定の周波数(共振周波数)において、フォトニック結晶が無い場合よりも入射光の吸収率が向上する。ここで、フォトニック結晶内では、通常、単一構造であっても単一の周期のみが存在するということはなく、複数の周期が存在することから、複数の周波数において定在波が形成される。例えば、正方格子状の屈折率分布を有するフォトニック結晶では、正方格子の周期長aに対応する波長となる周波数の他、単位格子である正方形の対角線の長さの半分である(21/2/2)aに対応する波長やそれらの整数倍の波長となる周波数の定在波が形成される。従って、屈折率分布の周期構造を適切に設定することにより、光電変換層において光電変換が可能な周波数範囲の全体に亘って、複数の共振周波数の光における吸収率を高めることができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開WO2011/083674号
【特許文献2】国際公開WO2005/086302号
【特許文献3】国際公開WO2007/029661号
【特許文献4】特開2001-074955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようにフォトニック結晶を用いた太陽電池では、複数の共振周波数において光の吸収率を高めることができるものの、それでもなお、光電変換が可能な周波数範囲の全体としては共振する周波数の部分が少ないため、入射光は十分に利用されているとはいえない。従って、光電変換が可能な周波数範囲内において、より多数の共振周波数で光を共振させることができれば、光の吸収率をより高めることができると期待される。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、特定の周波数範囲内において、より多数の共振周波数で光を共振させることができるフォトニック結晶、及び該フォトニック結晶を用いた光機能デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された本発明に係るフォトニック結晶は、
所定の周波数範囲内にある複数の周波数の光に共振するフォトニック結晶であって、
板状部材内に該板状部材とは屈折率が異なる異屈折率領域が該板状部材に平行な2次元格子の各格子点に配置されることにより周期的な屈折率分布が形成されているフォトニック結晶構造形成体が複数、該板状部材の厚み方向に互いに離間して設けられており、
前記複数のフォトニック結晶構造形成体のうちの1つである第1フォトニック結晶構造形成体が、前記周波数範囲内にある少なくとも2つの共振周波数の光に共振し、該2つの共振周波数が他のフォトニック結晶構造形成体のうちの1つである第2フォトニック結晶構造形成体における全ての共振周波数と異なり、該第2フォトニック結晶構造形成体における共振周波数のうち少なくとも1つが前記2つの共振周波数の間の値を有するように、前記第1フォトニック結晶構造形成体及び前記第2フォトニック結晶構造形成体の屈折率分布が設定されている
ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るフォトニック結晶では、複数設けられたフォトニック結晶構造形成体(ここで、「フォトニック結晶構造形成体」とは、フォトニック構造が形成された物体の意味である。)の少なくとも1つ(これを「第1形成体」とする」)が、前記周波数範囲内にある少なくとも2つの周波数の光に共振し、且つ、それら2つの周波数が他のフォトニック結晶構造形成体のうちの少なくとも1つ(これを「第2形成体」とする)における共振周波数と異なる。このように、第1形成体と第2形成体の共振周波数が異なるため、それら2つの形成体に着目すると、第1形成体又は第2形成体が単独で存在する場合よりも、多くの共振周波数の光に共振する。従って、本発明に係るフォトニック結晶は、前記周波数範囲内において、より多数の共振周波数で光を共振させることができる。
【0009】
なお、隣接する2つのフォトニック結晶構造形成体が接していると、それら2つのフォトニック結晶構造形成体内の光同士で相互作用が生じ、それにより定在波が形成されなくなるおそれがある。そのため、本発明では、フォトニック結晶構造形成体同士を、前記板状部材の厚み方向に互いに離間するように設ける。
【0010】
各フォトニック結晶構造形成体における共振周波数は、例えば周期的屈折率分布の周期長や、フォトニック結晶構造形成体の平均の屈折率等を調整することにより、設定することができる。このような共振周波数の設定は、当業者であれば、例えば特許文献2、3等の開示に基づいて行うことができるものである。
【0011】
フォトニック結晶構造形成体では、周期的な屈折率分布を2次元状に形成してもよいし、3次元状に形成してもよい。作製の容易さという点からは、前記板状部材とは屈折率が異なる異屈折率領域が該板状部材に平行な2次元格子の各格子点に配置されることにより形成されている2次元状のフォトニック結晶構造形成体を用いることが望ましい。異屈折率領域は、板状部材とは屈折率が異なる材料から成る部材であってもよいが、板状部材に空孔を空けたものであってもよい。後者の方が容易に形成することができる。
【0012】
また、フォトニック結晶構造形成体には、前記板状部材とは屈折率が異なる異屈折率領域が該部材に平行な2次元格子の各格子点から該板状部材に平行に、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量(距離)Δpだけランダムに(すなわち、ランダムな大きさ及び方向に)ずれて配置されることにより、周期的な屈折率分布が形成されているものを用いることもできる。このように、周期性を有する2次元格子の格子点を基準としつつ、そこからずれ量Δpというランダムネスを導入することにより、フォトニック結晶構造形成体内における、各共振周波数を有する光の強度は低下するものの、共振周波数の周囲の周波数における光の強度が増加する。すなわち、周波数を横軸、光の強度を縦軸とするグラフにおいて、ランダムネスの導入により、共振周波数を中心とするピークの幅が拡がる。これにより、前記周波数範囲の全体におけるフォトニック結晶構造形成体内の光の強度を高めることができる。
【0013】
あるいは、フォトニック結晶構造形成体には、前記板状部材とは屈折率が異なる異屈折率領域が該板状部材に平行な2次元格子の各格子点に配置され、各異屈折率領域の平面形状が最小値と最大値の間でランダムな大きさを有するように、周期的な屈折率分布が形成されていてもよい。この場合にも、屈折率分布にランダムネスが導入され、それにより、前記周波数範囲の全体におけるフォトニック結晶構造形成体内の光の強度を高めることができる。
【0014】
本発明に係るフォトニック結晶は、前記周波数範囲内の光を効率良く利用することができる光機能デバイスに用いることができる。
そのような光機能デバイスの一例として、所定の周波数範囲の光を電力に変換する、半導体から成る光電変換層が1対の電極の間に設けられた光電変換装置であって、前記光電変換層内に、本発明に係るフォトニック結晶が設けられている光電変換装置が挙げられる。この光電変換装置は、典型的には、太陽電池や光センサとして用いることができる。
【0015】
この光電変換装置では、前記周波数範囲内の光が光電変換層に入射すると、本発明に係るフォトニック結晶の各フォトニック結晶構造形成体内に、該フォトニック結晶構造形成体の共振周波数を有する定在波が形成される。このような定在波が形成された光は、光電変換層に留まり易くなるため、光電変換層に吸収されて電流に変換され易くなり、その結果、当該共振周波数の光における光電変換効率が高まる。本発明に係るフォトニック結晶では、このような共振周波数が多数存在するため、光電変換効率を一層高めることができる。
【0016】
本発明に係る光電変換装置は、各フォトニック結晶構造形成体がp型半導体とn型半導体(またはp型半導体、真性半導体とn型半導体)を接合されたものに形成されており、隣接する2つのフォトニック結晶構造形成体が、導電体層により離間されている構成を取ることができる。この場合、各フォトニック結晶構造形成体が1つの光電変換部として機能し、これら光電変換部が導電体層を介して直列に接続される。
【0017】
あるいは、各フォトニック結晶構造形成体がp型半導体とn型半導体(またはp型半導体、真性半導体とn型半導体)を接合されたものに形成されており、隣接する2つのフォトニック結晶構造形成体が、第1導電体層、絶縁体層、第2導電体層をこの順に積層したスペーサ層により離間されている構成を取ることもできる。この場合にも、各フォトニック結晶構造形成体がそれぞれ独立した1つの光電変換部として機能する。第1導電体層及び第2導電体層は、それに隣接するフォトニック結晶構造形成体から成る光電変換部の電極として用いることができ、絶縁体層は光電変換部同士を電気的に絶縁する機能を有する。
【0018】
前記光電変換層における前記半導体は、典型的にはp型半導体とn型半導体を接合したものである。このようなp-n接合型の半導体を用いる場合には、フォトニック結晶構造形成体の数を2つとし、一方のフォトニック結晶構造形成体をp型半導体に、他方のフォトニック結晶構造形成体をn型半導体に形成すればよい。あるいは、p型半導体とn型半導体の間に真性半導体を介挿した構成を取ることもできる。
【0019】
また、光機能デバイスの他の例として、所定の周波数範囲の光を散乱させる回折素子であって、本発明に係るフォトニック結晶を有するものが挙げられる。フォトニック結晶において光の共振が生じる条件、すなわち光の定在波が形成される条件は、ブラッグ反射が生じる条件と等しい。ブラッグ反射は光の回折現象の1つであるため、このようなブラッグ反射の条件を満たすフォトニック結晶は、回折素子として用いることもできる。
【0020】
本発明に係る回折素子は、各共振周波数に対応する周波数の光の定在波がフォトニック結晶構造形成体内に形成され、それらの光が周期的な屈折率分布により回折して外部に取り出される。このような回折素子は、例えば液晶ディスプレイの側部に設けられた光源から光を背面に導いて、該背面から該光を放出する導光板において、光を拡散させるために、好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、特定の周波数範囲内において、より多数の共振周波数で光を共振させることができるフォトニック結晶を得ることができる。また、このフォトニック結晶を用いて、前記周波数範囲内の光を効率良く利用することができる、光電変換装置や回折素子等の光機能デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るフォトニック結晶の第1実施例の構成を示す縦断面図(a)、並びに、該フォトニック結晶が有する第1フォトニック結晶構造形成体、第2フォトニック結晶構造形成体、及びスペーサ層の構成を示す斜視図(b)、並びに、第1フォトニック結晶構造形成体及び第2フォトニック結晶構造形成体の構成を示す上面図(c)。
【図2】第1実施例におけるフォトニック結晶構造形成体内に生じる定在波の例を示す概念図。
【図3】第1実施例における第1フォトニック結晶構造形成体の共振周波数(a)、第2フォトニック結晶構造形成体の共振周波数(b)、及び第1実施例のフォトニック結晶の共振周波数(c)を示す概念図。
【図4】第1実施例の(a)第1の変形例、及び(b)第2の変形例を示す上面図。
【図5】第1実施例の第の変形例を示す縦断面図。
【図6】第1実施例の第の変形例を示す縦断面図。
【図7】第1実施例の第の変形例を示す縦断面図。
【図8】本発明に係るフォトニック結晶の第2実施例の構成を示す縦断面図(a)、第1フォトニック結晶構造形成体及び第2フォトニック結晶構造形成体の構成を示す上面図(b)、並びに(b)の部分拡大図(c)。
【図9】第1実施例のフォトニック結晶と第2実施例のフォトニック結晶の共振周波数を比較した概念図。
【図10】第2実施例の変形例を示す上面図。
【図11】本発明に係る光電変換素子の第1実施例を示す縦断面図。
【図12】第1実施例及び比較例の光電変換素子における、波長毎の光の吸収率を計算した結果を示すグラフ。
【図13】第1実施例の光電変換素子の変形例を示す縦断面図。
【図14】本発明に係る光電変換素子の第2実施例である太陽電池を示す縦断面図。
【図15】第2実施例の太陽電池と比較例の太陽電池における、波長毎の光の吸収率を計算した結果を示すグラフ。
【図16】第2実施例の太陽電池と比較例の太陽電池における、積分吸収率を計算した結果を示すグラフ。
【図17】本発明に係る回折素子の一実施例を用いた導光板を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るフォトニック結晶及び光機能デバイスの実施例を、図1~図17を用いて説明する。
【実施例】
【0024】
(1) 本発明に係るフォトニック結晶の第1実施例
第1実施例のフォトニック結晶10は、図1(a)及び(b)に示すように、第1フォトニック結晶構造形成体11A、スペーサ層15、及び第2フォトニック結晶構造形成体11Bの3層が、この順に積層された構成を有する。なお、図1(b)では、これら3層の構成を示すために、隣接する層同士を離して描いたが、実際には、図1(a)に示すように、隣接する層同士は接している。以下では、「フォトニック結晶構造形成体」を「PC構造形成体」と略記する。
【実施例】
【0025】
第1PC構造形成体11Aは、p型シリコン半導体から成る第1板状部材12Aに、円柱状の空孔13が多数、正方格子状に周期的に配置されて成る。空孔13の円柱の高さ方向は第1板状部材12Aの厚み方向に一致しており、該第1板状部材12Aの厚みd1よりも、該円柱の高さhは低い。第2PC構造形成体11Bは、n型シリコン半導体から成る第2板状部材12Bに、第1PC構造形成体11Aと同様に円柱状の空孔13が多数、正方格子状に周期的に配置されて成る。第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bの構成要素の大きさを比較すると、空孔13の円柱の半径r及び高さh、並びに正方格子の周期長aは同じであるが、第1板状部材12Aの厚みd1よりも第2板状部材12Bの厚みd2の方が薄いという点で相違する。従って、第1PC構造形成体11Aよりも第2PC構造形成体11Bの方が、板状部材中で空孔が占める体積の割合が高く、それゆえ平均屈折率が低い。
【実施例】
【0026】
スペーサ層15の材料には、本実施例では、目的の周波数領域(前述の「所定の周波数範囲」)が可視光領域である場合に使用可能な、可視光に対して透明であって且つ導電性を有するインジウム・錫酸化物(ITO)を用いた。このスペーサ層15の材料も、フォトニック結晶の用途等に応じて種々のものを用いることができる。また、例えばp型半導体、真性半導体及びn型半導体をこの順で接合したpin型太陽電池で本実施例のフォトニック結晶を用いる場合には、スペーサ層15の材料に板状部材より屈折率の低い他の材料の真性半導体を用いてもよい。
【実施例】
【0027】
第1実施例のフォトニック結晶では、目的の周波数領域(例えば可視光領域、太陽電池の光電変換を効率よく行うことができる領域など)内にある様々な周波数の光の混合光が外部から導入されると、第1PC構造形成体11A及び第2PC構造形成体11Bのそれぞれにおいて、配置された空孔の周期長に対応して、複数の周波数(波長)の定在波が形成される。これら複数の定在波には、例えば図2に示すように、波面が格子に平行であって、空孔の周期長aと等しい波長λ11=aを有するものや、波面が格子に対して45°傾斜した方向を向き、波長λ21=(21/2/2)aを有するもの、あるいはそれらの波長の整数倍の波長を有するもの、等が挙げられる。
【実施例】
【0028】
本実施例では、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bは、共に正方格子であって同じ格子定数aを有するため、それらの内部における定在波の波長が等しい。しかし、内部での波長が同じであっても、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bでは平均屈折率が異なるため、定在波の周波数は両者で異なる。従って、フォトニック結晶10内に導入される前、及びフォトニック結晶10から取り出された後の光の波長も、第1PC構造形成体11A内の定在波に関するものと、第2PC構造形成体11B内の定在波に関するものでは相違する。
【実施例】
【0029】
従って、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bにおける定在波の周波数(共振周波数)及びフォトニック結晶外での波長の相違により、フォトニック結晶10は個々のPC構造形成体が単独で存在する場合よりも共振周波数の数を多くすることができる。この点を、図3を用いて説明する。図3の(a)~(c)の各図は、横軸を周波数、縦軸を光の強度としたグラフであり、(a)では第1PC構造形成体11A内の、(b)では第2PC構造形成体11B内の、(c)では両者を合わせたフォトニック結晶10内の光の強度の周波数による変化を示している。これら各グラフ内にはいずれも、共振周波数を中心するピークが複数現れており、(a)第1PC構造形成体11Aと(b)第2PC構造形成体11Bを比較すると共振周波数が異なっている。そのため、第1PC構造形成体11Aの共振周波数と第2PC構造形成体11Bの共振周波数の双方が、(c)フォトニック結晶10の共振周波数となる。
【実施例】
【0030】
各PC構造形成体内に閉じ込められる定在波の光は、該光の波長程度の距離だけ、該PC構造形成体に垂直な方向に浸み出す。そのため、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bの距離が前記光の波長の距離よりも短い場合には、2つのPC構造形成体の間で光の相互作用が生じる。このような光の相互作用は、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bが接していると定在波が形成されなくなる原因となるおそれがあるが、両者を少し離しておくと、一方のPC構造形成体の共振周波数を有する光が、他方のPC構造形成体の方に導入されたとしても、当該他方のPC構造形成体において、当該一方のPC構造形成体による光の共振も生じさせることができる。このような光の相互作用が、目的とする周波数領域のうち少なくとも一部において生じるように、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bの距離、すなわちスペーサ層15の厚みは、目的の周波数領域のうち周波数が最小(波長が最大)である光の、スペーサ層15内における波長よりも短くすることが望ましい。また、このような相互作用が目的とする周波数領域全体で生じるように、前記距離は、目的の周波数領域のうち周波数が最大(波長が最小)である光の、スペーサ層15内における波長よりも短くすることが、より望ましい。
【実施例】
【0031】
(2) 第1実施例のフォトニック結晶の変形例
第1実施例では、2つのPC構造形成体における周期長aを等しくしたが、図4(a)に示すように、両者の周期長を異なる値a1、a2としてもよい(変形例1)。これにより、2つのPC構造形成体内での共振波長が互いに異なる値になるため、両PC構造形成体の厚みdが等しくとも、両者の共振周波数を異なる値にすることができる。
【実施例】
【0032】
また、第1実施例では、2つのPC構造形成体における空孔13の径rを等しくしたが、図4(b)に示すように、両者の空孔の径を異なる値r1、r2としてもよい(変形例2)。これにより、第1実施例と同様に、2つのPC構造形成体の平均屈折率を異なる値にすることができ、それにより、両PC構造形成体の厚みd及び周期長aが等しくとも、両者の共振周波数を異なる値にすることができる。あるいは、図5に示すように、2つのPC構造形成体における空孔13の高さを異なる値h1, h2としてもよい(変形例3、フォトニック結晶10B)
【実施例】
【0033】
第1実施例では、1個のフォトニック結晶に、PC構造形成体を2つ設ける例を示したが、図6に示すように、PC構造形成体を3つ以上設けてもよい(変形例、フォトニック結晶10C)。図6に示した例では、第1実施例における2つのPC構造形成体の間に、第3PC構造形成体11Cが設けられている。第3PC構造形成体11Cは、厚みd3がd1とd2の間の値を有し、空孔13が他の2つのPC構造形成体に形成されたものと同じ形状及び大きさ且つ同じ周期長aで正格子状に形成されている。これにより、第3PC構造形成体11C内には、その内部における波長が他のPC構造形成体と同じであって、周波数及びフォトニック結晶外における波長が異なる定在波が形成される。これにより、変形例のフォトニック結晶では、第1実施例よりもさらに、共振周波数の数を多くすることができる。
【実施例】
【0034】
その他、空孔13の形状は円柱状には限られず、三角柱や四角柱(直方体)等の角柱状、円錐状、三角錐や四角錐等の角錐状、部分球状、部分楕円球状等の種々の形状のものを用いることができる。空孔13が配置される周期も、正方格子状には限られず、三角格子状、長方格子状、斜方格子状等とすることができる。また、第1板状部材12A及び第2板状部材12Bの材料は上記のものには限られず、目的の周波数領域内の光の定在波がPC構造形成体内に形成されるように、該周波数領域内の光が伝播することが可能な材料であればよい。さらには、ここまでに説明した板状部材に異屈折率領域を周期的に配置した2次元フォトニック結晶以外にも、例えば特許文献4に記載の3次元フォトニック結晶など、種々の形態のフォトニック結晶を用いることもできる。
【実施例】
【0035】
あるいは、図7に示すように、第1板状部材12Aにはp型半導体層12APとn型半導体層12ANを接合したものを用い、第2板状部材12Bにもp型半導体層12BPとn型半導体層12BNを接合したものを用いてもよい(変形例)。この場合、スペーサ層15には、導電体から成るものを用いてもよい(図7(a)、フォトニック結晶10D)し、第1導電体層151、絶縁体層153、第2導電体層152をこの順で積層した3層構造のものを用いてもよい(図7(b) 、フォトニック結晶10E)。このようなフォトニック結晶は、後述の光電変換装置において好適に用いることができる。
【実施例】
【0036】
(3) 第2実施例のフォトニック結晶
第2実施例のフォトニック結晶20は、図8(a)に示すように、第1PC構造形成体21A、スペーサ層25、及び第2PC構造形成体21Bの3層が、この順に積層された構成を有する点では、第1実施例のフォトニック結晶10と同様である。また、第1PC構造形成体21A及び第2PC構造形成体21B(の板状部材)の厚みd1及びd2も第1実施例と同様である。
【実施例】
【0037】
第1PC構造形成体21A及び第2PC構造形成体21B内には、半径r、高さhの空孔23が多数設けられている。各空孔23は、円柱における円の中心が、正方格子(図8(b)中に一点鎖線で示したもの)の各格子点からΔpだけずれて配置されている。ずれの大きさΔpは、0~最大ずれ量Δpmaxの範囲内に分布しており、その分布には法則性が無い。また、空孔23が格子点からずれる方向も一様ではなく、各空孔23間での相違には法則性が無い。すなわち、各空孔23は、正方格子の格子点から、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されている。
【実施例】
【0038】
なお、第1PC構造形成体21Aと第2PC構造形成体21Bを比較したときの空孔23の位置のずれ方は、両者において同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【実施例】
【0039】
第2実施例のフォトニック結晶20では、空孔23が正方格子の各格子点からランダムにずれて配置されていることにより、2次元フォトニック結晶には、周期性がある程度保持されつつランダムネスが導入された屈折率分布が形成される。これにより、第1PC構造形成体21A及び第2PC構造形成体21Bでは、横軸を周波数、縦軸を光の強度としたグラフで見ると、格子点の基本的な周期性に対応した複数の波長においてピークを有するが、ランダムネスによって、第1実施例よりもピークトップの高さが低くなる一方、幅が広くなるため、ピークトップからある程度離れた周波数では強度が大きくなる(図9(a))。そして、フォトニック結晶20では、共振周波数の数は第1実施例のフォトニック結晶と同様に個々のPC構造形成体よりも多くなり、個々のピークは本実施例におけるPC構造形成体と同様にピークトップの高さが低くなりながらも幅が広くなる。このようにピークの幅が広くなることにより、目的とする周波数領域全体で見れば、フォトニック結晶内の光の強度を、第1実施例よりも強めることができる。また、空孔23を格子点からランダムにずらして配置することにより、共振モードのもつ放射方向依存性が小さくなることから、入射角度の変化に対して吸収特性の変化が小さい、という特性が得られる。
【実施例】
【0040】
最大ずれ量Δpmaxを大きくすると、隣接する空孔同士が重なることがある。このように空孔同士が重なると、複数の空孔が1つの異屈折率領域となるため、正方格子による周期性が必要以上に乱れる。また、複数の空孔の輪郭が重なった点において、PC構造形成体の板状部材が空孔側に向かって尖った形状となるため、作製し難い、という問題が生じる。そのため、最大ずれ量Δpmaxは、空孔(異屈折率領域)の形状及び大きさを勘案して、隣接する空孔同士が分離する(重ならない)ように設定することが望ましい。
【実施例】
【0041】
(4) 第2実施例フォトニック結晶の変形例
第2実施例のフォトニック結晶20のように空孔23を格子点からランダムにずらす代わりに、図10に示すように、空孔23Aを正方格子の各格子点に配置し、各空孔23の大きさ、例えば半径がrmin~rmaxの範囲内でランダムになるようにしてもよい。これにより、第2実施例のフォトニック結晶20と同様に、横軸を周波数、縦軸を光の強度としたグラフにおける個々のピークは、ピークトップの高さが低くなりながらも幅が広くなるため、目的とする周波数領域全体ではフォトニック結晶内の光の強度を強めることができる。なお、ここでは空孔23Aの大きさを半径で定めたが、面積や体積などで定めてもよい。また、この場合にも、隣接する空孔同士が分離する(重ならない)ように、rmaxを設定することが望ましい。
【実施例】
【0042】
(5) 本発明に係る光電変換装置の第1実施例
図11及び図12を用いて、本発明に係る光電変換装置の第1実施例を説明する。
本実施例の光電変換装置30は、図11に示すように、上記第1実施例のフォトニック結晶10を板状の透明電極321及び板状の裏面電極322で挟んだものである。
【実施例】
【0043】
上記のように、フォトニック結晶10を構成する第1板状部材12Aはp型シリコン半導体から成り、第2板状部材12Bはn型シリコン半導体から成るため、このフォトニック結晶10は、導電性のスペーサ層15を挟んだpn接合から成る光電変換層31として機能する。この光電変換層は、空気中における波長が約600~1100nm、周波数が2.7×1014~5.0×1014Hzの範囲内の光を吸収して電流に変換することができるものである。第1板状部材12Aの厚みd1は700nm、第2板状部材12Bの厚みd2は300nmとした。空孔13は、第1PC構造形成体11A及び第2PC構造形成体11Bのいずれにおいても、高さhが260nm、半径が200nm、正方格子の周期長aが700nmである。スペーサ層15の厚みd0は230nmである。スペーサ層15及び透明電極321は、上記周波数範囲内の光に対して透明なITOから成り、裏面電極322は銀から成る。
【実施例】
【0044】
第1実施例の光電変換装置30は、周波数が上記範囲内にある光が透明電極321側から光電変換層31内に入射すると、光電変換層31であるフォトニック結晶10における多数の共振周波数に対応した周波数の光による定在波がフォトニック結晶10内に形成される。これにより、それら共振周波数の光が光電変換層31内に留まり易くなり、光電変換層31に吸収されて電流に変換され易くなる。その結果、光電変換効率が高まる。ここで、第1実施例の光電変換装置30は、PC構造形成体が複数(2つ)設けられているため、同様のPC構造形成体を1つだけ設けた場合よりも共振周波数の数が多く、それゆえ光電変換効率を高めることができる。
【実施例】
【0045】
図12(a)に、第1実施例の光電変換装置30につき、太陽光を入射させた場合における、光電変換層31の光の吸収率を計算した結果を、空気中における光の波長を横軸としたグラフで示す。図12(a)には併せて、比較例として、フォトニック結晶ではなく、光入射面にランバーシアンテクスチャ(Lambertian texture)と呼ばれる凹凸が設けられた太陽電池(比較例1)と、フォトニック結晶及びランバーシアンテクスチャのいずれも設けられていない太陽電池(比較例2)における光の吸収率のグラフを示す。ここで、第1実施例、比較例1及び2では、光電変換層を構成する半導体材料やその量を等しくすることにより、フォトニック結晶の空孔やテクスチャ構造の有無以外の、光の吸収に関する条件を等しくした。図12(a)より、対象とする波長帯の全体に亘って吸収率のグラフを積分したうえで規格化することにより求められる積分吸収率が、比較例1では43.0%、比較例2では10.2%であるのに対して、第1実施例では48.8%という、2つの比較例よりも高い値が得られた。
【実施例】
【0046】
さらに、第1実施例の光電変換装置30につき、フォトニック結晶10で吸収された光を、第1PC構造形成体11Aにおいて吸収された光(図12(b))と、第2PC構造形成体11Bにおいて吸収された光(図12(c))に分けて、吸収率をグラフに示す。これらのグラフ内に縦方向の矢印で示した複数の波長において、第1PC構造形成体11Aではほとんど吸収されず、第2PC構造形成体11Bにおいて高い効率で吸収されることがわかる。すなわち、第1実施例では、PC構造形成体が1つ(第1PC構造形成体11A)のみである場合よりも、吸収率の高い波長(共振波長、共振周波数)の数を多くすることができ、それにより、光電変換層31の全体としての吸収率も高めることができる。
【実施例】
【0047】
図13に、第1実施例の光電変換装置の変形例として、上記変形例のフォトニック結晶10Dを用いた光電変換装置30A、及びフォトニック結晶10Eを用いた光電変換装置30Bを示す。これらの光電変換装置30A、30Bでは、第1PC構造形成体11Aと第2PC構造形成体11Bは、前述のようにいずれもp型半導体層とn型半導体を積層した構成を有し、それぞれ独立に光電変換装置として機能する。そして、光電変換装置30Aでは、独立した2つの光電変換装置をスペーサ層15が直列に接続する役割を有する。一方、光電変換装置30Bでは、スペーサ層15中の第1導電体層151は第1PC構造形成体11Aに、第2導電体層152は第2PC構造形成体11Bに、それぞれ電流を注入する電極としての役割を有する。また、絶縁体層153は、2つの光電変換層を電気的に分離する役割を有する。
【実施例】
【0048】
(6) 本発明に係る光電変換装置の第2実施例
図14~図16を用いて、本発明に係る光電変換装置の第2実施例を説明する。
第2実施例の光電変換装置40は、図14に示すように、上記第2実施例のフォトニック結晶20を板状の透明電極421及び板状の裏面電極422で挟んだものである。透明電極421及び裏面電極422の材料は、第1実施例の光電変換装置で用いたものと同じである。
【実施例】
【0049】
本実施例では、第1PC構造形成体21A及び第2PC構造形成体21Bにおける最大ずれ量Δpmaxが1以下の複数の値において、波長毎の吸収率、及び積分吸収率を計算で求めた。本実施例では、最大ずれ量Δpmaxの値は、空孔の周期長に対する比で表す。最大ずれ量Δpmax以外の条件は、第1実施例の光電変換装置と同様である。
【実施例】
【0050】
図15に、最大ずれ量Δpmaxが0.1~0.5の範囲内で、波長毎の吸収率を求めたグラフを示す。このグラフには複数のピークが見られる。第1実施例(図12(a))と比較すると、本実施例では鋭いピークトップは見られない一方、ピークの幅が広く、計算を行った波長範囲に全体に亘って、特定の波長において吸収率が落ち込むことが無い。
【実施例】
【0051】
図16に、第2実施例における積分吸収率と最大ずれ量Δpmaxの関係をグラフに示す。このグラフには、Δpmax=0、すなわち第1実施例における積分吸収率も併せて示す。また、比較のために、PC構造形成体が1層のみである場合についても計算を行った結果を示す。このグラフより、全てのΔpmaxの範囲に亘って、PC構造形成体が1層のみの場合よりも本実施例の方が、積分吸収率が高くなっている。また、Δpmaxが0.4以下のときに、第1実施例よりも積分吸収率が高くなっている。
【実施例】
【0052】
(7) 本発明に係る回折素子の実施例
本発明のフォトニック結晶は、そのまま、回折効果を用いた光取り出し素子として用いることができる。ここでは、図17を参照しつつ、本発明に係る回折素子を用いる具体例として、導光板50について説明する。導光板50は、例えば液晶ディスプレイにおいて、エッジライト型のバックライトユニットに用いられるものである。エッジライト型のバックライトユニットでは一般に、液晶ディスプレイのパネルの側部に設けられた光源から、導光板を介してパネルの背面全体に光を供給し、該背面からパネル全体に照明光を照射する。
【実施例】
【0053】
本実施例の導光板50は、図17に示すように、フォトニック結晶10に、スペーサ層15とは反対側の第2PC構造形成体11Bの面に反射板52を設けた構成を有する。但し、本実施例では、第1板状部材12A及び第2板状部材12Bには、可視光を吸収し難い材料であるアクリル等のプラスチックやガラス等を用いる。この構成において、フォトニック結晶10が回折素子51の役割を有する。導光板50の側部には、回折素子51内に導入される可視光の光源61が設けられる。なお、光源61は、導光板50の構成要素ではないが、導光板50と合わせてバックライトユニットを構成する。
【実施例】
【0054】
本実施例の導光板50では、光源61から可視光が回折素子51内に導入されると、フォトニック結晶10の共振周波数に対応する多数の周波数において光の定在波が形成される。それら定在波はやがて、空孔13により散乱され、フォトニック結晶10の2つの面からフォトニック結晶10の外に放出される。ここで、反射板52が設けられた側に放出された光は反射板52により反射されるため、放出光はいずれも、反射板52が設けられた側とは反対側の面から導光板50の外に放出される。
【実施例】
【0055】
本実施例の導光板50では、フォトニック結晶10の共振周波数に対応する多数の周波数の光を高い確率で散乱させることができるため、バックライトの発光の効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
10、10B、10C、10D、20…フォトニック結晶
11A、21A…第1フォトニック結晶(PC)構造形成体
11B、21B…第2フォトニック結晶(PC)構造形成体
11C…第3フォトニック結晶(PC)構造形成体
12A…第1板状部材
12AN…n型半導体層
12AP…p型半導体層
12B…第2板状部材
12BN…n型半導体層
12BP…p型半導体層
13、23…空孔
15、25…スペーサ層
151…第1導電体層
152…第2導電体層
153…絶縁体層
30、30A、40…光電変換装置
31…光電変換層
321、421…透明電極
322、422…裏面電極
50…導光板
51…回折素子
52…反射板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16