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明細書 :デジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 デジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法
国際特許分類 G03H   1/04        (2006.01)
G03H   1/22        (2006.01)
FI G03H 1/04
G03H 1/22
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 46
出願番号 特願2015-537584 (P2015-537584)
国際出願番号 PCT/JP2014/067556
国際公開番号 WO2015/040925
国際出願日 平成26年7月1日(2014.7.1)
国際公開日 平成27年3月26日(2015.3.26)
優先権出願番号 2013193559
優先日 平成25年9月18日(2013.9.18)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】田原 樹
【氏名】菊永 修平
【氏名】新井 泰彦
出願人 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 2K008
Fターム 2K008AA06
2K008BB04
2K008CC01
2K008CC03
2K008HH03
2K008HH12
2K008HH14
2K008HH28
要約 所望の波長の像成分を抽出可能に記録または再生する。本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ装置(1)は、波長λ1・λ2の参照光および物体光が干渉することにより形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置(12)を備える。撮像装置(12)は、波長λ2についてのみ位相シフト量がそれぞれ異なる、第1~第3ホログラムと、第1ホログラムに対して波長λ1についてのみ位相シフト量が異なる第4ホログラムとを撮像する。
特許請求の範囲 【請求項1】
第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置を備え、
上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
上記撮像装置は、少なくとも、
上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、
上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像することを特徴とするデジタルホログラフィ装置。
【請求項2】
上記第1参照光および上記第1物体光は、第1波長であり、
上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1波長とは異なる第2波長であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項3】
上記第1参照光および上記第1物体光は、第1偏光方向の偏光であり、
上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1偏光方向に直交する第2偏光方向の偏光であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項4】
上記撮像装置が撮像したホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、
上記再生装置は、
上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、および上記第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定し、
上記第1ホログラムおよび上記第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項5】
上記再生装置は、上記第1ホログラムと上記第3ホログラムとの画素値の差分を求め、上記第2物体光のみの振幅および位相に依存する上記差分を用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定することを特徴とする請求項4に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項6】
上記撮像装置は、上記第1参照光、上記第1物体光、上記第2参照光、上記第2物体光、第3参照光、および第3物体光により形成されるホログラムを撮像し、
上記第3参照光と上記第3物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第3参照光と、上記第1物体光および上記第2物体光とは互いに干渉せず、
上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、上記第3ホログラム、および上記第4ホログラムでは、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量は同じであり、
上記撮像装置は、さらに、
上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれかに対して、上記第1参照光および上記第1物体光について位相シフト量は同じで、上記第2参照光および上記第2物体光について位相シフト量は同じで、かつ、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第5ホログラムおよび第6ホログラムを撮像することを特徴とする請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項7】
上記撮像装置は、それぞれ上記撮像装置の画素に対応した、第1セル、第2セル、第3セル、および第4セルが配列した波長板アレイを備え、
上記第1セルの位相シフト量を基準として、
上記第2セルは上記第2波長について第1量の位相シフト量を生じさせ、
上記第3セルは上記第2波長について第2量の位相シフト量を生じさせ、
上記第4セルは上記第1波長について第3量の位相シフト量を生じさせることを特徴とする請求項2に記載のデジタルホログラフィ装置。
【請求項8】
第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、
上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
上記再生装置は、
上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定し、
上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定することを特徴とするデジタルホログラフィ装置。
【請求項9】
第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを、モノクロの撮像装置を用いて撮像する撮像ステップを含み、
上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
上記撮像ステップにおいては、少なくとも、
上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、
上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像することを特徴とするデジタルホログラフィ方法。
【請求項10】
第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生ステップを含み、
上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
上記再生ステップは、
上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定する第1ステップと、
上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する第2ステップとを含むことを特徴とするデジタルホログラフィ方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以後の文章中で位相の単位はラジアンで表す。光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で、物体の3次元情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。
【0003】
デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉縞から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。一般的には例えば、3次元物体への光照射によって得られる物体光と、該物体光に対して可干渉(コヒーレント)である参照光とが作る干渉縞を、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録する。記録された干渉縞に基づいて、コンピュータで3次元物体の像を再生する。
【0004】
非特許文献1には、干渉縞から像を再生する基本的なデジタルホログラフィ技術が記載されている。
【0005】
非特許文献3には、2種類の干渉縞から像を再生する2段階位相シフト法が記載されている。
【0006】
特許文献1-3には、画素を分割して、複数種類の干渉縞を同時に撮像し、位相シフト法によって像を再生する技術(並列位相シフト法)が記載されている。
【0007】
ここで、被写体の色情報をホログラムに記録する技術として、特許文献2-3、および非特許文献2の技術がある。特許文献2-3、および非特許文献2には、複数の波長のレーザ光およびカラーフィルタアレイを用いることにより、被写体の色情報をホログラムに記録する技術が記載されている。カラーフィルタアレイを用いる方式は、ホログラフィではない一般的なデジタルカメラで用いられるカラー撮影方式と同様のものである。
【0008】
非特許文献4には、複数台の撮像装置を用いることにより複数種類の干渉縞を同時に撮像し、位相シフト法によって像を再生する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】日本国特許第4294526号公報(2009年4月17日登録)
【特許文献2】国際公開第2010/092739号(2010年8月19日公開)
【特許文献3】国際公開第2012/002207号(2012年1月5日公開)
【0010】

【非特許文献1】J. W. Goodman and R. W. Lawrence、「DIGITAL IMAGE FORMATION FROM ELECTRONICALLY DETECTED HOLOGRAMS」、APPLIED PHYSICS LETTERS、(1967)、Vol. 11、No. 3、p.77-79
【非特許文献2】T. Kakue, et al., "Parallel phase-shifting color digital holography using two phase shifts", Appl. Opt. 48, pp.H244-H250 (2009)
【非特許文献3】X. F. Meng, et al., "Two-step phase-shifting interferometry and its application in image encryption", Opt. Lett. 31, pp.1414-1416 (2006)
【非特許文献4】J. Hahn, et al., "Spatial phase-shifting interferometry withcompensation of geometric errors based on genetic algorithm", Chinese Opt. Lett. 7, pp.1113-1116 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、カラーフィルタアレイを用いる方法では、以下の問題を生じる。まず、カラーフィルタによって光の吸収および反射が生じ、光利用効率が低下する。また、カラーフィルタは単一の波長成分のみを通過させるわけではないので、波長成分の完全な分離記録が困難である。デジタルホログラフィの像再生時おいて、カラーフィルタで遮断できなかった不要な波長の光成分は、所望の波長の光成分であると誤認識されて計算される。そのため、不要な波長の光成分は本来とは異なる空間位置で像を結ぶ。その結果、不要な波長の光成分は再生像にゴーストを生じさせてしまう。また、並列位相シフト法を適用する場合、カラーフィルタアレイと並列位相シフト法に必要な光学アレイとを高精度で位置合わせする必要があるという問題が生じる。
【0012】
本発明の一態様では、複数の波長または複数の偏光の光によって形成されるホログラムをモノクロ撮像素子を用いて記録するインライン型デジタルホログラフィにおいて、所望の波長または偏光の像成分を抽出可能に記録または再生することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像装置は、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像することを特徴としている。
【0014】
本発明に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生装置は、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定し、上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定することを特徴としている。
【0015】
本発明に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを、モノクロの撮像装置を用いて撮像する撮像ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像ステップにおいては、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像することを特徴としている。
【0016】
本発明に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生ステップは、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定する第1ステップと、上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する第2ステップとを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、モノクロの撮像装置を用いて、波長毎または偏光方向毎に精度よく分離された再生像を抽出可能に、複数のホログラムを記録または再生することができる。そのため、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る一実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図2】上記デジタルホログラフィ装置のホログラムの再生方法の概要を示す図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図4】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図6】波長板アレイ、偏光素子、および撮像面の関係を示す模式図である。
【図7】撮像装置によって記録されたホログラムから、4種類のホログラムを抽出する処理を示す図である。
【図8】波長板アレイ、偏光素子、および撮像面の関係を示す模式図である。
【図9】波長板アレイ、偏光素子、および撮像面の関係を示す模式図である。
【図10】波長板アレイ、偏光素子、および撮像面の関係を示す模式図である。
【図11】シミュレーションに用いる被写体の像および記録されたホログラムを示す図である。
【図12】波長λ1に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。
【図13】波長λ2に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。
【図14】波長λ1に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。
【図15】波長λ2に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。
【図16】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図17】シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。
【図18】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図19】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図20】撮像面の一部の画素を示す模式図である。
【図21】本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図に基づいて以下に説明する。説明の便宜上、各項目において、上述の項目に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略することがある。

【0020】
〔実施形態1〕
本実施形態は、複数の波長で形成されるホログラムを、モノクロ撮像素子を用いて記録するインライン型デジタルホログラフィに関する。そして、デジタルホログラフィ装置は、記録したホログラムを用いて、複数の波長の情報を互いに分離して再生することができる。

【0021】
(デジタルホログラフィ装置1の構成)
図1は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置1の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置1は、インライン型(in-line型またはon-axis型)のデジタルホログラフィ装置である。デジタルホログラフィ装置1は、記録装置10(ホログラム記録装置)と再生装置11とを備える。記録装置10は、撮像装置12、波長λ1のレーザ光源LS1、波長λ2のレーザ光源LS2、および光学系を備える。波長λ1と波長λ2とは互いに異なる。再生装置11は、コンピュータ等の計算機によって構成することができる。なお、レーザ光としては、可視光のみならず、不可視光(赤外線、紫外線、X線等)も利用することができる。

【0022】
光学系は、ミラー等の複数の光学素子を備え、波長λ1・λ2のレーザ光(コヒーレント光)を被写体13(物体)および撮像装置12へ導く。具体的には、光学系は、複数の光学素子として、ビームスプリッタBS1~BS3、およびミラーM1~M3、ビームエキスパンダBE、波長板WP1~WP3、および偏光子LP1・LP2を備える。ビームエキスパンダBEはそれぞれ、対物レンズBEa、ピンホールBEb、およびコリメータレンズBEcを備える。ビームスプリッタBS1~BS3は、ハーフミラーからなる。ビームスプリッタBS1は、ダイクロイックミラーからなってもよい。

【0023】
撮像装置12は、撮像するための複数の画素がx方向およびy方向に配列した撮像面を有し、撮像面に到達した光の強度を記録する。x方向はy方向に対して垂直である。撮像装置12は、CCD等の撮像素子を有する。撮像装置12は、撮像面上に形成された干渉縞を記録する。この干渉縞は物体光の情報を有するホログラムである。撮像装置12はカラーフィルタを備えないため、撮像装置12の1つの画素は同時に複数の波長の光を受光する。すなわち撮像装置12はモノクロ撮像装置である。撮像装置12は、撮像した干渉縞の画像データを再生装置11に出力する。再生装置11の詳細については後述する。

【0024】
(物体光および参照光)
レーザ光源LS1から出射される波長λ1のレーザ光の偏光方向と、レーザ光源LS2から出射される波長λ2のレーザ光の偏光方向とは揃っている。ここでは、波長λ1・λ2のレーザ光の偏光方向は垂直偏光であるとする。図において、垂直偏光を縦向きの矢印で示す。一方、図1には描かれないが、水平偏光を横向きの矢印で示す。

【0025】
レーザ光源LS2から出射された波長λ2のレーザ光は、ミラーM1およびビームスプリッタBS1で反射され、波長λ1のレーザ光と同じ経路に合成される。光軸が揃えられた2つの波長λ1・λ2のレーザ光は、ビームエキスパンダBEを通過する。波長λ1・λ2のレーザ光は、ビームスプリッタBS2によって、物体照明光と参照光とに分割される。

【0026】
ビームスプリッタBS2によって分けられた波長λ1・λ2の物体照明光は、ミラーM2を経由して、被写体13に照射される。物体照明光が被写体13によって散乱、透過または回折されたものが物体光である。被写体13からの物体光は、偏光子LP1を通過し、ビームスプリッタBS3で反射され、偏光子LP2を通過し、撮像装置12の撮像面に入射する。

【0027】
偏光子LP1・LP2は、垂直偏光の成分のみを通過させる偏光子である。偏光子LP1は、被写体13によって乱れた物体光の偏光を垂直偏光に整えることによって、ノイズとなる成分を除去する役割を果たす。偏光子LP2は、ビームスプリッタBS3によって乱れた物体光の偏光を垂直偏光に整えることによって、ノイズとなる成分を除去する役割を果たす。偏光子LP1・LP2は、省略することもできる。

【0028】
ビームスプリッタBS2によって分けられた波長λ1・λ2の参照光は、複数(ここでは3つ)の波長板WP1~WP3を通過する。波長板WP1~WP3による作用については後述する。波長板WP1~WP3を通過した波長λ1・λ2の参照光は、ミラーM3を経由し、ビームスプリッタBS3および偏光子LP2を通過して撮像装置12の撮像面に入射する。デジタルホログラフィ装置1はインライン型であるので、撮像面に入射する物体光および参照光は、実質的にその光軸が撮像面に垂直になる。

【0029】
(ホログラムの記録)
撮像面には、波長λ1の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞と、波長λ2の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞との重ね合わせの干渉縞(ホログラム)が形成される。モノクロ撮像装置である撮像装置12は、複数の波長λ1・λ2の干渉縞が重畳されたホログラムを撮像する。

【0030】
本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、波長板WP1~WP3の配置状態(回転角度)を変えて、4回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる4種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1の参照光および波長λ2の参照光をそれぞれ撮像しておく。

【0031】
第1状態では、波長板WP1~WP3は、高速軸が参照光の偏光方向(垂直偏光)と一致している。そのため波長λ1・λ2の参照光は波長板WP1~WP3による位相変化を受けない。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。

【0032】
第1状態においては、波長λ1・λ2共に位相シフト量は0、または高速軸に対する位相の遅れが2πの倍数である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。

【0033】
第2状態では、波長板WP2・WP3は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP1は、低速軸(遅相軸)が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP1は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)π/2遅らせる。ただし、波長板WP1は、波長λ1の光については位相を遅らせない、または高速軸に対する位相の遅れを2πの倍数にする。

【0034】
第2状態においては、波長λ1の位相シフト量は0、または高速軸に対する位相の遅れが2πの倍数である。波長λ2の位相シフト量はπ/2である。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。

【0035】
第3状態では、波長板WP1・WP3は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP2は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP2は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相をπ遅らせる。ただし、波長板WP2は、波長λ1の光については位相を遅らせない、または高速軸に対する位相の遅れを2πの倍数にする。

【0036】
第3状態においては、波長λ1の位相シフト量は0、または高速軸に対する位相の遅れが2πの倍数である。波長λ2の位相シフト量はπである。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。

【0037】
第4状態では、波長板WP1・WP2は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP3は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP3は、波長λ1の光の低速軸に沿った成分の位相をπ/2遅らせる。ただし、波長板WP3は、波長λ2の光については位相を遅らせない、または高速軸に対する位相の遅れを2πの倍数にする。

【0038】
第4状態においては、波長λ1の位相シフト量はπ/2である。波長λ2の位相シフト量は0、または高速軸に対する位相の遅れが2πの倍数である。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。

【0039】
2つの波長λ1・λ2について、上記のように位相シフト量が異なる4種類のホログラムを記録することができれば、波長λ1の物体光の位相情報(複素振幅分布)と波長λ2の位相情報とを分離して抽出することができる。すなわち、再生装置11において、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを分離して再生することができる。4種類のホログラムとして、基準である第1ホログラム、波長λ1の位相シフト量が0でありかつ波長λ2の位相シフト量が第1量である第2ホログラム、波長λ1の位相シフト量が0でありかつ波長λ2の位相シフト量が第2量である第3ホログラム、および、波長λ1の位相シフト量が第3量でありかつ波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムが記録できればよい。ただし第1量と第2量とは異なる。第3量は、第1量または第2量と同じでも異なってもよい。

【0040】
なお、第1状態~第4状態において、高速軸が参照光の偏光方向と一致している波長板は、参照光の経路から取り除いても結果は同じである。

【0041】
(再生方法)
撮像されたホログラムの画素値は、干渉縞の光強度を表す。複数のホログラムから元の物体光の位相情報を算出できれば、回折積分によって物体光の伝播を遡ることにより、任意の奥行き位置での合焦像(再生像)を得ることができる。以下において、再生方法の概要を説明した後、再生方法の詳細を説明する。

【0042】
図2は、ホログラムの再生方法の概要を示す図である。記録された4つのホログラムにおける位相シフト量を、ホログラムの下に(波長λ1の位相シフト量、波長λ2の位相シフト量)として括弧書きで示している。

【0043】
まず(第1処理)、波長λ1の位相シフト量が同じで、波長λ2の位相シフト量がそれぞれ異なる第1~第3ホログラムH1~H3を用いて、各点(画素)における波長λ2の物体光の振幅および位相を求める。すなわち、波長λ2の物体光の複素振幅分布を求める。このとき、各点(画素)における波長λ2の0次回折光の強度も求めることができる。

【0044】
次に(第2処理)、波長λ1の位相シフト量が異なり、波長λ2の位相シフト量が同じである第1・第4ホログラムH1・H4と、上で求められた波長λ2の物体光の振幅および位相とを用いて、各点(画素)における波長λ1の物体光の振幅および位相を求める。

【0045】
その次に(第3処理)、求められた波長λ1・λ2の物体光の振幅および位相を用いて回折積分(回折計算)することにより、波長λ1・λ2のそれぞれの再生像(振幅情報)および3次元形状情報(位相情報)を再生することができる。

【0046】
最後に(第4処理)、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを色合成すれば、多色(2色)の再生像を生成することができる。

【0047】
以下に再生方法の詳細について説明する。撮像されたホログラムの各画素の座標を(x、y)で表す。ここでは1つの画素(x、y)に注目して説明する。第1ホログラムH1の画素の画素値IH1は、当該画素において検出された光強度を表す。同様に、第2~第4ホログラムH2~H4の画素の画素値を、IH2~IH4とする。画素毎に画素値は異なるので、IH1~IH4はx、yを変数とする関数である。各ホログラムの画素値IH1~IH4は、以下の式で表される。

【0048】
【数1】
JP2015040925A1_000003t.gif

【0049】
ここで、Iλ1(0)は波長λ1の位相シフト量が0の干渉縞の強度を示し、Iλ2(0)は波長λ2の位相シフト量が0の干渉縞の強度を示す。Iλ1(0)の括弧の中は位相シフト量を示す。Aoλ1は波長λ1の物体光の振幅を示し、Aoλ2は波長λ2の物体光の振幅を示す。Arλ1は波長λ1の参照光の振幅を示し、Arλ2は波長λ2の参照光の振幅を示す。φλ1は波長λ1の物体光の位相を示し、φλ2は波長λ2の物体光の位相を示す。各値は注目している画素(x、y)における値を示す。すなわち、Iλ1(0)、Iλ2(0)、Aoλ1、Aoλ2、Arλ1、Arλ2、φλ1、φλ2は、x、yの関数である。

【0050】
ここで、IH1~IH4は第1ホログラムH1~第4ホログラムH4の測定値であるので、既知である。波長λ1の参照光の強度Irλ1=Arλ1および波長λ2の参照光の強度Irλ2=Arλ2は既知である。なお、撮像装置12で参照光の強度分布を記録せずに、各波長の参照光の強度分布を仮の値に仮定して計算を行ってもよい。式(1)~(4)から物体光の振幅および位相を求めることができれば、それらから被写体13の像(再生像)を再生することができる。

【0051】
まず(第1処理、第1ステップ)、第1ホログラムH1および第3ホログラムH3、すなわち式(1)および式(3)から、以下の式が求められる。

【0052】
【数2】
JP2015040925A1_000004t.gif

【0053】
また、第1ホログラムH1および第3ホログラムH3の差分を求める。また、第2ホログラムH2および第1ホログラムH1の差分と、第2ホログラムH2および第3ホログラムH3の差分との和を求める。すなわち、第1ホログラムH1から第3ホログラムH3(すなわち式(1)~(3))から、以下の式が求められる。

【0054】
【数3】
JP2015040925A1_000005t.gif

【0055】
式(5)(6)の左辺の変数は全て既知の値である。式(5)から分かるように、第1ホログラムH1および第3ホログラムH3の差分は、波長λ2のみの振幅および位相に依存する。式(6)についても同様である。sin2θ+cos2θ=1と、式(5)(6)より、Aoλ2およびφλ2が求められる。

【0056】
【数4】
JP2015040925A1_000006t.gif

【0057】
以上により、注目した画素における波長λ2の物体光の振幅および位相が求められる。他の画素についても同様にして波長λ2の物体光の振幅および位相を求めることができる。この段階で、Iλ2(0)、Aoλ2、Arλ2、φλ2が既知となった。

【0058】
次に(第2処理、第2ステップ)、第1ホログラムH1および第3ホログラムH3、すなわち式(1)および式(4)から、以下の式が求められる。

【0059】
【数5】
JP2015040925A1_000007t.gif

【0060】
式(9)(10)の左辺は既知の値である。式(9)(10)の中の未知の変数は、Aoλ1、φλ1の2つであるので、公知の2段階位相シフト法を利用して式(9)(10)からAoλ1、φλ1を求めることができる。以上により、各画素における波長λ1の物体光の振幅および位相が求められる。

【0061】
なお、1つ波長λ1・λ2の位相シフト量が(π、0)である第5ホログラムをさらに撮像してもよい。この場合、波長λ2の物体光の振幅および位相を求めた方法と同様の方法で、3つの第1・第4・第5ホログラムから3段階位相シフト法によって波長λ1の物体光の振幅および位相を求めることができる。

【0062】
また、ここでは位相シフト量をπ/2またはπ等としたが、他の値であってもよい。位相シフト量がπ/2またはπのときは計算式が簡潔になるが、他の値であっても計算は可能である。

【0063】
また、記録枚数を増やすのであれば、2πに限らず各波長で異なる位相シフト量であっても実施可能である。このとき、複数波長情報の時分割記録では従来、複数の波長のうち1つの波長の光を撮像素子へ照射させ、位相シフト量の異なる複数種類のホログラムを記録し、その後他の波長の光のみを撮像素子へ照射させ同様に位相シフト量の異なる複数種類のホログラムを記録する。これに対し、本実施形態によれば複数の波長の光を同時に撮像素子へ照射させた状態で複数種類のホログラムを記録する点が異なる。そのため、シャッタやレーザ発振のON/OFFの操作など特定の波長の光のみを照射させるために従来必要とされた機構が不要となり、装置構成の簡略化や計測時間の短縮を達成できる。

【0064】
再生装置11は、第1~第4ホログラムH1~H4を用いて、上記のように第1処理および第2処理を行い、各波長の物体光の振幅および位相を特定する。そして、再生装置11は、各波長の物体光の振幅および位相を用いて、再生像を生成する。再生像を求める回折積分(第3処理)、色合成(第4処理)等は公知技術を利用して行うことができるので、説明を省略する。

【0065】
(デジタルホログラフィ装置1の効果)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、モノクロの撮像装置12を用いて複数の波長の干渉縞を含むホログラムを撮像する。位相シフト量の異なる複数のホログラムを用いて、波長毎に精度よく分離された再生像を得ることができる。そのため、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。またデジタルホログラフィ装置1は、カラーフィルタを利用しないので、光の利用効率を高くすることができる。また、インライン型の装置構成であることから、干渉縞の可視度が上がる。そのため、干渉縞を精度よく記録でき、明るい物体の像を再生することができる。

【0066】
また、本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、モノクロの撮像装置12を用いて、被写体の分光された3次元画像情報を得ることができる。

【0067】
なお、波長の数×2の種類のホログラムを記録すれば、上記の方法で波長毎の再生像の再生が可能になる。波長の数が3である場合については後述する。

【0068】
〔実施形態2〕
本実施形態では、複数の撮像装置を用いて、同時に4種類のホログラムを記録する場合について説明する。4種類のホログラムから再生像を生成する方法は実施形態1と同じである。

【0069】
図3は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置2の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置2は、記録装置20を備える。実施形態1とは異なり、記録装置20は、波長板WP1~WP3の代わりに1/2波長板HWPを備え、4つの撮像装置12a~12dを備える。また、デジタルホログラフィ装置2は、撮像装置12a~12dのそれぞれの前に、対応する波長板WP1~WP4、および対応する偏光子LP11~LP14を備える。記録装置20は、位相シフト量の異なる4種類のホログラムを、それぞれ4つの撮像装置12a~12dによって、同時に撮像することができる。

【0070】
参照光の経路に配置された1/2波長板HWPは、低速軸が参照光の偏光方向と45°の角度をなすように配置されている。1/2波長板HWPは、各波長λ1・λ2の参照光の偏光方向を90°回転させ、水平偏光にする。一方、偏光子LP1を通過した物体光は、垂直偏光である。

【0071】
物体光および参照光は、ビームスプリッタBS3~BS5によって、4つの撮像装置12a~12dに対応した4つの経路に分けられる。

【0072】
撮像装置12a~12dの前に配置された波長板WP1~WP4は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP1~WP4の高速軸は、物体光の偏光方向と一致している。

【0073】
波長板WP1は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)π/2遅らせる。ただし、波長板WP1は、波長λ1の光については位相を遅らせない。そのため、波長板WP1は、波長λ2の参照光の位相のみをπ/2遅らせ、波長λ1の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0074】
偏光子LP11~LP14の透過軸は、水平方向に対して45°の角度をなす。偏光子LP11は、参照光および物体光の透過軸方向(斜め方向)の成分のみを通過させ、参照光と物体光とが干渉するようにする。撮像装置12aは、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπ/2である第2ホログラムH2を撮像する。

【0075】
波長板WP2は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相をπ遅らせる。ただし、波長板WP2は、波長λ1の光については位相を遅らせない。そのため、波長板WP2は、波長λ2の参照光の位相のみをπ遅らせ、波長λ1の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0076】
偏光子LP12は、参照光および物体光の透過軸方向(斜め方向)の成分のみを通過させ、参照光と物体光とが干渉するようにする。撮像装置12bは、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπである第3ホログラムH3を撮像する。

【0077】
波長板WP3は、波長λ1の光の低速軸に沿った成分の位相をπ/2遅らせる。ただし、波長板WP3は、波長λ2の光については位相を遅らせない。そのため、波長板WP3は、波長λ1の参照光の位相のみをπ/2遅らせ、波長λ2の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0078】
偏光子LP13は、参照光および物体光の透過軸方向(斜め方向)の成分のみを通過させ、参照光と物体光とが干渉するようにする。撮像装置12cは、波長λ1の位相シフト量がπ/2で波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムH4を撮像する。

【0079】
波長板WP4は、波長λ1・λ2の光については位相を遅らせない。波長板WP4は省略することができる。

【0080】
偏光子LP14は、参照光および物体光の透過軸方向(斜め方向)の成分のみを通過させ、参照光と物体光とが干渉するようにする。撮像装置12dは、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が0である第1ホログラムH1を撮像する。

【0081】
複数の撮像装置12a~12dは、記録した第1~第4ホログラムH1~H4を再生装置11に出力する。

【0082】
本実施形態のデジタルホログラフィ装置2では、必要な複数のホログラムH1~H4を同時に撮像することができる。そのため、被写体が時間変化する場合においても、記録装置20は複数のホログラムを撮像し、再生装置11は記録されたホログラムに基づいて波長毎に像の再生を行うことができる。

【0083】
〔実施形態3〕
本実施形態では、3つの波長の光を用いる場合について説明する。

【0084】
図4は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置3の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置3は、記録装置21および再生装置11を備える。記録装置21は、実施形態1の記録装置に比べて、波長λ3のレーザ光源LS3、ビームスプリッタBS6を備える。記録装置21は、参照光の経路に、5つの波長板WP1~WP5を備える。波長λ3は、波長λ1・λ2とは異なる。

【0085】
レーザ光源LS1~LS3から出射された3つの波長λ1~λ3のレーザ光は、ミラーM1、ビームスプリッタBS1・BS6によって同じ経路に合成される。3つの波長λ1~λ3のレーザ光は、垂直偏光である。3つの波長λ1~λ3のレーザ光は、他の実施形態と同様に、物体照明光および参照光に分けられる。

【0086】
(ホログラムの記録)
撮像面には、波長λ1の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞と、波長λ2の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞と、波長λ3の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞との重ね合わせの干渉縞(ホログラム)が形成される。モノクロ撮像装置である撮像装置12は、複数の波長λ1~λ3の干渉縞が重畳されたホログラムを撮像する。

【0087】
デジタルホログラフィ装置3では、波長板WP1~WP5の配置状態(回転角度)を1つずつ変えて、6回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる6種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1~λ3の参照光をそれぞれ撮像しておく。

【0088】
第1状態では、波長板WP1~WP5は、高速軸が参照光の偏光方向(垂直偏光)と一致している。そのため波長λ1~λ3の参照光は波長板WP1~WP5による位相変化を受けない。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。

【0089】
第1状態においては、波長λ1~λ3共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。

【0090】
第2状態では、波長板WP2~WP5は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP1は、低速軸(遅相軸)が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP1は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)π/2遅らせる。ただし、波長板WP1は、波長λ1・λ3の光については位相を遅らせない。すなわち、波長λ1・λ3については位相の遅れが2πの倍数である。

【0091】
第2状態においては、波長λ1・λ3の位相シフト量は0であり、波長λ2の位相シフト量はπ/2である。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。

【0092】
第3状態では、波長板WP1・WP3~WP5は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP2は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP2は、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相をπ遅らせる。ただし、波長板WP2は、波長λ1・λ3の光については位相を遅らせない。

【0093】
第3状態においては、波長λ1・λ3の位相シフト量は0であり、波長λ2の位相シフト量はπである。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。

【0094】
第4状態では、波長板WP1・WP2・WP4・WP5は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP3は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP3は、波長λ1の光の低速軸に沿った成分の位相をπ/2遅らせる。ただし、波長板WP3は、波長λ2・λ3の光については位相を遅らせない。

【0095】
第4状態においては、波長λ1の位相シフト量はπ/2であり、波長λ2・λ3の位相シフト量は0である。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。

【0096】
第5状態では、波長板WP1~WP3・WP5は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP4は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP4は、波長λ3の光の低速軸に沿った成分の位相をπ/2遅らせる。ただし、波長板WP4は、波長λ1・λ2の光については位相を遅らせない。

【0097】
第5状態においては、波長λ1・λ2の位相シフト量は0であり、波長λ3の位相シフト量はπ/2である。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。

【0098】
第6状態では、波長板WP1~WP4は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP5は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP5は、波長λ3の光の低速軸に沿った成分の位相をπ遅らせる。ただし、波長板WP5は、波長λ1・λ2の光については位相を遅らせない。

【0099】
第6状態においては、波長λ1・λ2の位相シフト量は0であり、波長λ3の位相シフト量はπである。第6状態において記録されるホログラムを第6ホログラムとする。

【0100】
記録される第1~第6ホログラムの位相シフト量を括弧書きで(波長λ1の位相シフト量、波長λ2の位相シフト量、波長λ3の位相シフト量)と表すと、
第1ホログラム( 0、 0、 0)
第2ホログラム( 0、π/2、 0)
第3ホログラム( 0、 π、 0)
第4ホログラム(π/2、 0、 0)
第5ホログラム( 0、 0、π/2)
第6ホログラム( 0、 0、 π)
となる。

【0101】
(再生方法)
以下に再生方法の詳細について説明する。第1~第6ホログラムの画素の画素値を、IH1~IH6とする。各ホログラムの画素値IH1~IH6は、以下の式で表される。

【0102】
【数6】
JP2015040925A1_000008t.gif

【0103】
ここで、Iλ3(0)は波長λ3の位相シフト量が0の干渉縞の強度を示す。Iλ3(0)の括弧の中は位相シフト量を示す。Aoλ3は波長λ3の物体光の振幅を示し、Arλ3は波長λ3の参照光の振幅を示す。φλ3は位相シフト量が0のときの波長λ3の物体光の位相を示す。Iλ3(0)、Aoλ3、Arλ3、φλ3は、x、yの関数である。

【0104】
式(11)~(14)のIH1~IH4は、実施形態1の式(1)~(4)にIλ3(0)が加わっただけである。そのため、実施形態1と同じようにして、式(11)~(13)から式(5)~(8)を求めることができる。すなわち、波長λ1・λ3の位相シフト量がそれぞれ同じで、波長λ2の位相シフト量のみがそれぞれ異なる3つのホログラムの画素値(IH1~IH3)から、波長λ2の物体光の振幅および位相を求めることができる。なお、波長λ1の位相シフト量と波長λ3の位相シフト量とが同じである必要はなく、用いる3つのホログラムにおいて、波長λ1の位相シフト量が同じであればよい。そのような3つのホログラムのうちの2つのホログラムの画素値の差(例えばIH1-IH3)は、波長λ1・λ3に依存せず、波長λ2にのみ依存するので、波長λ2の振幅および位相を求めることができる。

【0105】
同様にして、波長λ1・λ2の位相シフト量がそれぞれ同じで、波長λ3の位相シフト量のみがそれぞれ異なる3つのホログラムの画素値(IH1・IH5・IH6)から、波長λ3の物体光の振幅および位相を求めることができる。

【0106】
波長λ2・λ3の物体光の振幅Aoλ2・Aoλ3および位相φλ2・φλ3が既知となった。最後に、残る1つの波長λ1の位相シフト量のみが異なり、他の波長λ2・λ3の位相シフト量がそれぞれ同じ2つのホログラムの画素値(IH1・IH4)から、波長λ1の物体光の振幅および位相を求めることができる。すなわち、実施形態1と同じようにして、式(11)(14)から以下の式が求められる。

【0107】
【数7】
JP2015040925A1_000009t.gif

【0108】
式(17)(18)の左辺は既知の値である。そのため式(17)(18)からAoλ1、φλ1を求めることができる。以上により、波長λ1の物体光の振幅および位相が求められる。

【0109】
複数波長の場合についてまとめると、複数の波長のうち、1つの波長λ2の位相シフト量のみが異なる3つのホログラム(IH1~IH3)から、当該1つの波長の物体光の振幅および位相を求めることができる。同様に他の1つの波長λ3の位相シフト量のみが異なる3つのホログラム(IH1・IH5・IH6)から、当該他の1つの波長の物体光の振幅および位相を求めることができる。ここで、2つのホログラム(IH5・IH6)の波長λ1・λ2の位相シフト量が他のいずれか1つのホログラムと同じであれば、1つのホログラム(IH1)は共通のものを使用することができる。最後に残った1つの波長λ1の位相シフト量のみが異なる2つのホログラム(IH1・IH4)から、当該最後に残った1つの波長の物体光の振幅および位相を求めることができる。ここでも、1つのホログラム(IH1)は共通のものを使用することができる。以上のように、波長数が3以上の場合でも、位相シフト量が異なる少なくとも波長の数×2のホログラムから、各波長の物体光の振幅および位相を求めることができる。

【0110】
〔実施形態4〕
本実施形態では、1つの撮像装置で複数種類のホログラムを同時に並列に記録する場合について説明する。

【0111】
図5は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置4の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置4は、記録装置22および再生装置11を備える。記録装置22は、実施形態1の記録装置20とは異なり、波長板WP1~WP3の代わりに1/2波長板HWPを備え、撮像装置12の代わりに撮像装置12eを備える。撮像装置12eは、複数の画素が2次元に配列する撮像面12fに貼り合わせられた偏光素子LPと、偏光素子LPに貼り合わせられた波長板アレイWPAとを備える。撮像装置12eはモノクロ撮像装置である。

【0112】
物体光は垂直偏光であり、参照光は水平偏光である。偏光ビームスプリッタBS3によって合成された物体光および参照光は、波長板アレイWPAおよび偏光素子LPをこの順に通過して、撮像面12fに入射する。

【0113】
(ホログラムの記録)
図6は、波長板アレイWPA、偏光素子LP、および撮像面12fの関係を示す模式図である。撮像面12fの各セルA’~D’は、1つの画素を表す。なお、波長板アレイWPA、偏光素子LP、および撮像面12fの一部の範囲のみが図示されている。

【0114】
偏光素子LPは、1つの偏光子であり、透過軸は水平方向に対して45°の方向(斜め方向)に傾いている。偏光素子LPは、参照光および物体光の透過軸方向(斜め方向)の成分のみを通過させ、参照光と物体光とが干渉するようにする。透過軸方向を矢印で図示する。

【0115】
波長板アレイWPAは、複数のセルA~Dが2次元に周期的に配列したアレイである。波長板アレイWPAの1つのセルは、1つの波長板である。なお、波長板アレイWPAは同様の機能を有するフォトニック結晶に置き換えることもできる。図には、波長板アレイWPAの各セルの低速軸の方向を矢印で図示する。セルA~Dの種類の数は、撮像可能なホログラムの種類の数に対応する。波長板アレイWPAのセルA~Dの低速軸は、参照光の偏光方向と同じ水平方向に沿っている。

【0116】
波長板アレイWPAのセルAは、実施形態2の波長板WP4に対応する。すなわち、セルAは、波長λ1・λ2の光については位相を遅らせない。

【0117】
波長板アレイWPAの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が0である第1ホログラムH1を撮像する。

【0118】
波長板アレイWPAのセルBは、実施形態2の波長板WP1に対応する。すなわち、セルBは、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)π/2遅らせる。ただし、セルBは、波長λ1の光については位相を遅らせない。そのため、セルBは、波長λ2の参照光の位相のみをπ/2遅らせ、波長λ1の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0119】
波長板アレイWPAの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπ/2である第2ホログラムH2を撮像する。

【0120】
波長板アレイWPAのセルCは、実施形態2の波長板WP2に対応する。すなわち、セルCは、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相をπ遅らせる。ただし、セルCは、波長λ1の光については位相を遅らせない。そのため、セルCは、波長λ2の参照光の位相のみをπ遅らせ、波長λ1の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0121】
波長板アレイWPAの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπである第3ホログラムH3を撮像する。

【0122】
波長板アレイWPAのセルDは、実施形態2の波長板WP3に対応する。すなわち、セルDは、波長λ1の光の低速軸に沿った成分の位相をπ/2遅らせる。ただし、セルDは、波長λ2の光については位相を遅らせない。そのため、セルDは、波長λ1の参照光の位相のみをπ/2遅らせ、波長λ2の参照光、および波長λ1・λ2の物体光の位相は遅らせない。

【0123】
波長板アレイWPAの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1の位相シフト量がπ/2で波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムH4を撮像する。

【0124】
(再生方法)
図7は、撮像装置12eによって記録されたホログラムH0から、4種類のホログラムを抽出する処理を示す図である。1回の撮像で記録されたホログラムH0において、位相シフト量が同じ画素は、2次元的に規則的に配列している。すなわち、1回の撮像で記録されたホログラムH0には、位相シフト量が異なる4種類のホログラムが並列して含まれている。

【0125】
再生装置11は、記録されたホログラムH0から、位相シフト量が同じ画素を抽出し、位相シフト量が異なる4つのホログラムを抽出する。抽出されたホログラムH1~H4のそれぞれの画素数は、記録されたホログラムH0の画素数の1/4になる。また、抽出されたホログラムH1~H4では、それぞれが有する画素値の座標も異なる。

【0126】
再生装置11は、抽出されたホログラムH1~H4のそれぞれについて、画素値の補間を行う。再生装置11は、補間されたホログラムH1~H4を用いて、上述の実施形態と同様に、各波長の物体光の振幅および位相を求める。

【0127】
本実施形態のデジタルホログラフィ装置4は、1回の撮像で記録されたホログラムH0から、波長毎に分離された像を再生することができる。そのため、被写体13が動く場合であっても被写体13の再生像を生成することができる。

【0128】
〔実施形態5〕
本実施形態では、撮像装置12eの他の構成について説明する。本実施形態のデジタルホログラフィ装置は、実施形態4の構成と同じである。ただし、波長板アレイWPAの構成が、実施形態4とは異なる。

【0129】
図8は、波長板アレイWPA、偏光素子LP、および撮像面12fの関係を示す模式図である。

【0130】
波長板アレイWPAは、複数のセルA~Dが2次元に周期的に配列したアレイである。波長板アレイWPAの1つのセルは、1つの波長板である。図には、波長板アレイWPAの各セルの低速軸の方向を矢印で図示する。

【0131】
本実施形態では、波長板アレイWPAのセルA・Dの低速軸は、参照光の偏光方向と同じ水平方向に沿っているが、波長板アレイWPAのセルB・Cの低速軸は、物体光の偏光方向と同じ垂直方向に沿っている。

【0132】
波長板アレイWPAのセルA・Dは、実施形態4と同じである。よって、波長板アレイWPAの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が0である第1ホログラムH1を撮像する。波長板アレイWPAの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1の位相シフト量がπ/2で波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムH4を撮像する。

【0133】
波長板アレイWPAのセルBは、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)π/2進ませる(3π/2遅らせる)。ただし、セルBは、波長λ1の光については位相を遅らせない。物体光の位相を進ませるということは、相対的に参照光の位相を遅らせることと同じである。そのため、セルBは、結果的に波長λ2の参照光の位相のみをπ/2遅らせることになる。一方、セルBは、波長λ1の参照光の位相は遅らせない。

【0134】
波長板アレイWPAの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπ/2である第2ホログラムH2を撮像する。

【0135】
波長板アレイWPAのセルCは、波長λ2の光の低速軸に沿った成分の位相をπ進ませる(π遅らせる)。ただし、セルCは、波長λ1の光については位相を遅らせない。そのため、セルCは、結果的に波長λ2の参照光の位相のみをπ遅らせることになる。一方、セルCは、波長λ1の参照光の位相は遅らせない。

【0136】
波長板アレイWPAの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπである第3ホログラムH3を撮像する。

【0137】
このように、波長板アレイWPAを図8に示すように構成しても、位相シフト量が異なる複数のホログラムを含むホログラムを1回の撮像で記録することができる。

【0138】
〔実施形態6〕
本実施形態では、撮像装置12eのさらに他の構成について説明する。本実施形態のデジタルホログラフィ装置は、実施形態5の構成と同じである。ただし、波長板アレイWPAの構成が、実施形態5とは異なる。

【0139】
図9は、波長板アレイWPA、偏光素子LP、および撮像面12fの関係を示す模式図である。

【0140】
波長板アレイWPAは、複数のセルA~Dが2次元に周期的に配列したアレイである。波長板アレイWPAの1つのセルは、1つの波長板である。図には、波長板アレイWPAの各セルの低速軸の方向を矢印で図示する。

【0141】
本実施形態では、波長板アレイWPAのセルDの低速軸は、参照光の偏光方向と同じ水平方向に沿っているが、波長板アレイWPAのセルB・Cの低速軸は、物体光の偏光方向と同じ垂直方向に沿っている。さらに、波長板アレイWPAのセルAの低速軸は、物体光の偏光方向に対して45°傾いている。波長板アレイWPAのセルAの低速軸は、偏光素子LPの透過軸と直交している。

【0142】
波長板アレイWPAのセルB~Dは、実施形態5と同じである。よって、波長板アレイWPAの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπ/2である第2ホログラムH2を撮像する。波長板アレイWPAの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量がπである第3ホログラムH3を撮像する。波長板アレイWPAの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1の位相シフト量がπ/2で波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムH4を撮像する。

【0143】
波長板アレイWPAのセルAは、波長λ1・λ2の光については位相を遅らせない。または、波長板アレイWPAのセルAは、いずれかの波長の光の低速軸に沿った成分の位相を遅らせてもよい。いずれにせよ、偏光素子LPの透過軸に沿った成分について、参照光の位相に対する物体光の相対的な位相は変わらない。

【0144】
波長板アレイWPAの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が0である第1ホログラムH1を撮像する。

【0145】
このように、波長板アレイWPAを図9に示すように構成しても、位相シフト量が異なる複数のホログラムを含むホログラムを1回の撮像で記録することができる。

【0146】
〔実施形態7〕
本実施形態では、撮像装置12eのさらに他の構成について説明する。本実施形態のデジタルホログラフィ装置は、実施形態4の構成と同じである。ただし、偏光素子LPの構成が、実施形態4とは異なる。

【0147】
図10は、波長板アレイWPA、偏光素子LP、および撮像面12fの関係を示す模式図である。

【0148】
波長板アレイWPAは、複数のセルA~Dが2次元に周期的に配列したアレイである。図には、波長板アレイWPAの各セルの低速軸の方向を矢印で図示する。波長板アレイWPAの構成は、実施形態4と同じである。そのため、波長板アレイWPAによって生じる位相の遅れも実施形態4と同じである。

【0149】
本実施形態では、偏光素子LPは、複数の偏光子A”~D”が2次元に周期的に配列した偏光子アレイである。各偏光子のA”~D”の透過軸方向を矢印で図示する。偏光子A”・D”の透過軸は、水平方向に対して45°傾いている。一方、偏光子B”・C”の透過軸は、垂直方向に対して45°傾いており、偏光子A”・D”の透過軸に対して直交している。

【0150】
画素A’・D’にそれぞれ対応する、波長板アレイWPAのセルA・Dおよび偏光子A”・D”の構成は、実施形態4と同じである。そのため、波長板アレイWPAの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が0である第1ホログラムH1を撮像する。波長板アレイWPAの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1の位相シフト量がπ/2で波長λ2の位相シフト量が0である第4ホログラムH4を撮像する。

【0151】
偏光子B”・C”の透過軸は、実施形態4の透過軸に比べて、垂直になっている。そのため、偏光子B”・C”を通過した後の参照光の位相の遅れは、反対になっている。それゆえ、波長板アレイWPAの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が-π/2である第2ホログラムH2’を撮像する。波長板アレイWPAの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1の位相シフト量が0で波長λ2の位相シフト量が-πである第3ホログラムH3’を撮像する。

【0152】
このように、位相シフト量を、波長板アレイWPAだけでなく、偏光子アレイである偏光素子LPによって調節することもできる。

【0153】
〔シミュレーション1〕
本発明の実施形態1に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。ここでは、図1に示すデジタルホログラフィ装置1を使用すると仮定する。すなわち、4種類のホログラムは、4回の撮像によって逐次記録される。

【0154】
シミュレーションの条件は以下の通りである。λ1=632.8nm、λ2=532nmである。撮像装置の画素数は512(横)×512(縦)、画素ピッチは縦横共に5μmである。被写体13と撮像面との間の距離は0.2mである。モノクロの撮像装置12が検出可能な階調数を8bits(階調数256)~12bits(階調数4096)まで変えて複数のシミュレーションを行った。

【0155】
図11は、シミュレーションに用いる被写体の像および記録されたホログラムを示す図である。図11には、被写体の振幅(波長λ1および波長λ2の明暗)と、被写体の位相(被写体の3次元形状)と、記録されるホログラム(モノクロ)の一例とを示す。被写体の位相は、撮像装置12から見た奥行き方向の被写体の形状を表す。図11に示す被写体の位相において、明るい箇所は撮像装置12に近く、暗い箇所は撮像装置12から遠いことを示す。ホログラムにおける明暗は干渉縞の強度を示す。

【0156】
上記の条件の下、計算機によって、物体光と参照光とが撮像面に形成するホログラムを記録し、再生像を計算するシミュレーションを行った。なお、ホログラムの記録も計算機によるシミュレーションによって行っている。

【0157】
図12は、波長λ1に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。図12の(a)は、波長λ1における被写体の明暗を表す。図12の(b)は、撮像装置12の階調数が8bits(階調数256)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。図12の(c)は、撮像装置12の階調数が10bits(階調数1024)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。図12の(d)は、撮像装置12の階調数が12bits(階調数4096)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。

【0158】
図13は、波長λ2に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。図13の(a)は、波長λ2における被写体の明暗を表す。図13の(b)は、撮像装置12の階調数が8bits(階調数256)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。図13の(c)は、撮像装置12の階調数が10bits(階調数1024)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。図13の(d)は、撮像装置12の階調数が12bits(階調数4096)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。

【0159】
図12および図13に示すように、モノクロの撮像装置12で記録された4つのホログラムを用いて、波長毎に被写体の明暗を精度よく再現することができる。これらの再生像ではゴーストが発生していないことが分かる。なお、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを色合成すれば、多色の再生像が得られる。

【0160】
〔シミュレーション2〕
本発明の実施形態4に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。ここでは、図5に示すデジタルホログラフィ装置4を使用すると仮定する。すなわち、4種類のホログラムは、1回の撮像によって並列に記録される。

【0161】
シミュレーションの条件および被写体は、上述のシミュレーション1と同じである。以下にシミュレーション2によって計算された再生像について説明する。

【0162】
図14は、波長λ1に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。図14の(a)は、波長λ1における被写体の明暗を表す。図14の(b)は、撮像装置12の階調数が8bits(階調数256)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。図14の(c)は、撮像装置12の階調数が10bits(階調数1024)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。図14の(d)は、撮像装置12の階調数が12bits(階調数4096)と仮定した場合の、波長λ1の再生像を示す。

【0163】
図15は、波長λ2に関する、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。図15の(a)は、波長λ2における被写体の明暗を表す。図15の(b)は、撮像装置12の階調数が8bits(階調数256)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。図15の(c)は、撮像装置12の階調数が10bits(階調数1024)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。図15の(d)は、撮像装置12の階調数が12bits(階調数4096)と仮定した場合の、波長λ2の再生像を示す。

【0164】
図14および図15に示すように、モノクロの撮像装置12eで記録された1つのホログラムを用いて、波長毎に被写体の明暗を精度よく再現することができる。ただし、シミュレーション1に比べてホログラムの画素数が実質的に1/4になるので、シミュレーション1のように逐次複数回の撮像を行う方が、画質はよい。ただし、被写体が動く(または振動する)場合、1回の撮像で並列にホログラムを記録する形態(シミュレーション2に対応)の方が適している場合がある。

【0165】
〔実施形態8〕
本実施形態では、波長板の代わりにピエゾ素子を用いて位相シフト量を変化させる点が実施形態1と異なる。本実施形態では、5種類のホログラムが、5回の撮像によって逐次記録される。

【0166】
図16は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置5の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置5は、記録装置23を備える。実施形態1とは異なり、記録装置23は、波長板WP1~WP3の代わりに、ビームスプリッタBS4、ミラーM3、およびピエゾ素子PZTを備える。ミラーM3はピエゾ素子PZTによって支持されている。ミラーM3は、ピエゾ素子PZTによって、参照光の光路に垂直な方向に変位可能である。すなわち、本実施形態では、参照光の光路長を調整することができる。

【0167】
波長λ1・λ2毎に、物体光および参照光の偏光方向は一致している。ただし、波長λ1の光の偏光方向と波長λ2の光の偏光方向とが一致している必要はない。

【0168】
最初にビームスプリッタBS4を通過した参照光は、ミラーM3によって反射される。ミラーM3で反射された参照光は、ビームスプリッタBS4で反射され、撮像装置12に入射する。

【0169】
(ホログラムの記録)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置5では、ピエゾ素子PZTを駆動してミラーM3の位置を変えて、5回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる5種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1の参照光および波長λ2の参照光をそれぞれ撮像しておく。

【0170】
ミラーM3のある位置を基準として、ミラーM3の変位量を0[nm]、±λ1/2[nm]、±λ2/2[nm]に変化させる。例えば、波長λ1が532nmであり、波長λ2が640nmである場合、ミラーM3の変位量を0[nm]、±266[nm]、±320[nm]に変化させる。なお、参照光の光路が長くなる方を、正(+)方向の変位とする。

【0171】
第1状態では、ミラーM3の変位量は0[nm]である。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。

【0172】
第1状態においては、波長λ1・λ2共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。

【0173】
第2状態では、ミラーM3の変位量は+λ1/2[nm]である。往復分の光路長の変化はλ1であるため、波長λ1の参照光は2πだけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は0である。一方、波長λ2の位相シフト量は、(λ1/λ2)×2πである。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。

【0174】
第3状態では、ミラーM3の変位量は-λ1/2[nm]である。波長λ1の参照光は2πだけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は0である。一方、波長λ2の位相シフト量は、-(λ1/λ2)×2πである。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。

【0175】
第4状態では、ミラーM3の変位量はλ2/2[nm]である。波長λ2の参照光は2πだけ位相がずれる。すなわち波長λ2の位相シフト量は0である。一方、波長λ1の位相シフト量は、(λ2/λ1)×2πである。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。

【0176】
第5状態では、ミラーM3の変位量は-λ2/2[nm]である。波長λ2の参照光は2πだけ位相がずれる。すなわち波長λ2の位相シフト量は0である。一方、波長λ1の位相シフト量は、-(λ2/λ1)×2πである。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。

【0177】
第1~第3ホログラムにおいては、波長λ1の位相シフト量は同じで、波長λ2についてのみ、それぞれ位相シフト量が異なる。一方、第1ホログラム、第4ホログラム、および第5ホログラムにおいては、波長λ2の位相シフト量は同じで、波長λ1についてのみ、それぞれ位相シフト量が異なる。

【0178】
そのため、実施形態1と同様に、第1~第3ホログラムを用いて、波長λ2の物体光の振幅および位相を求めることができる。同様に、第1ホログラム、第4ホログラム、および第5ホログラムを用いて、波長λ1の物体光の振幅および位相を求めることができる。本実施形態では、波長λ1の物体光の振幅および位相を3つのホログラム(第1、第4、第5ホログラム)から求めることができるので、2段階位相シフト法を利用する必要がない。そのため、例えば物体光の強度が参照光の強度より大きい場合にも好適に適用することができる。

【0179】
(実施形態8の変形例)
以上では複数の波長を用いる場合について説明したが、本発明は、複数の偏光を用いるデジタルホログラフィ装置にも適用することができる。

【0180】
同じ波長の参照光と物体光とは互いに干渉可能であり、異なる波長の参照光と物体光とは互いに干渉しない。同じように、同じ偏光方向の参照光と物体光とは互いに干渉可能であり、異なる(直交する)偏光方向の参照光と物体光とは互いに干渉しない。

【0181】
そのため、上述の実施形態で説明した波長λ1および波長λ2を、第1偏光および第2偏光に置き換えることができる。第1偏光および第2偏光は、偏光方向が互いに直交する直線偏光である。

【0182】
この場合、光源として、第1偏光(垂直偏光)および第2偏光(水平偏光)を含む、偏光方向が斜め45°の直線偏光のレーザ光を出射する1つのレーザ光源を用いることができる。例えば図16に示すビームスプリッタBS4で、第1偏光の参照光と第2偏光の参照光とを分離する。それぞれの参照光の経路に、ミラーM3およびピエゾ素子PZTを配置すれば、第1偏光の参照光および第2偏光の参照光のそれぞれの位相シフト量を個別に調整することができる。第1偏光の参照光および第2偏光の参照光を、ビームスプリッタBS4または他のビームスプリッタによって再び同じ経路に合成することができる。第1偏光の参照光、第2偏光の参照光、第1偏光の物体光、および第2偏光の物体光は、撮像面上でホログラムを形成する。すなわち、上記の第1ホログラム~第5ホログラムを、5回の撮像によって記録することができる。

【0183】
波長が偏光方向に置き換わっただけで、複数のホログラムからそれぞれの偏光方向の再生像を求める手順は、上述の実施形態と同じである。

【0184】
これによれば、偏光分離機能を有しない撮像装置を用いて得られた複数のホログラムから、それぞれの偏光方向の再生像を個別に再生することができる。ホログラムの記録枚数を減らせるために、計測時間の短縮の効果が期待できる。

【0185】
〔シミュレーション3〕
本発明の実施形態8に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。ここでは、図16に示すデジタルホログラフィ装置5を使用すると仮定する。ここでは、5種類のホログラムが、5回の撮像によって逐次記録される。

【0186】
シミュレーションの条件は以下の通りである。λ1=532nm、λ2=640nmである。撮像装置の画素数は512(横)×512(縦)、画素ピッチは縦横共に5μmである。被写体13と撮像面との間の距離は0.2mである。モノクロの撮像装置12が検出可能な階調数は10bits(階調数1024)である。

【0187】
図17は、シミュレーションに用いる被写体の像および再生像を示す図である。図17の(a)は、被写体の振幅(波長λ1および波長λ2の明暗)を示す。図17の(b)は、被写体の位相分布(被写体の3次元形状)を示す。被写体の位相は、撮像装置12から見た奥行き方向の被写体の形状を表す。図17に示す被写体の位相において、明るい箇所は撮像装置12に近く、暗い箇所は撮像装置12から遠いことを示す。図17の(c)は、波長λ1についての被写体の振幅を示す。図17の(d)は、波長λ2についての被写体の振幅を示す。図17の(e)は、波長λ1の再生像を示す。図17の(f)は、波長λ2の再生像を示す。図17の(g)は、(e)および(f)の再生像を色合成した像を示す。

【0188】
図17に示すように、モノクロの撮像装置12で記録された5つのホログラムを用いて、波長毎に被写体の明暗を精度よく再現することができる。また、図17の(a)に示す被写体と、図17の(g)に示す色合成された再生像を比べても、色のバランスが保たれていることから、各波長の再生像が精度よく再生されていることが分かる。

【0189】
〔実施形態9〕
本実施形態では、3つの波長の光を用いる点が実施形態8と異なる。本実施形態では、7種類のホログラムが、7回の撮像によって逐次記録される。

【0190】
図18は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置6の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置6は、記録装置24を備える。実施形態8とは異なり、記録装置24は、波長λ3のレーザ光源LS3、ビームスプリッタBS6を備える。波長λ3は、波長λ1・λ2とは異なる。

【0191】
ミラーM3は、ピエゾ素子PZTによって、参照光の光路に垂直な方向に変位可能である。すなわち、本実施形態では、参照光の光路長を調整することができる。波長λ1・λ2・λ3毎に、物体光および参照光の偏光方向は一致している。ただし、波長が異なる光の偏光方向が互いに一致している必要はない。

【0192】
レーザ光源LS1~LS3から出射された3つの波長λ1~λ3のレーザ光は、ミラーM1、ビームスプリッタBS1・BS6によって同じ経路に合成される。3つの波長λ1~λ3のレーザ光は、他の実施形態と同様に、ビームスプリッタBS2によって物体照明光および参照光に分けられる。ここでは、物体照明光が被写体13に照射され、被写体13の反射光が物体光としてモノクロの撮像装置12に入射する。

【0193】
(ホログラムの記録)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置6では、ピエゾ素子PZTを駆動してミラーM3の位置を変えて、7回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる7種類のホログラムを逐次記録する。

【0194】
第1状態では、ミラーM3の変位量は0[nm]である。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。

【0195】
第1状態においては、波長λ1・λ2・λ3共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。第1ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(0、0、0)とする。括弧の中の値は、位相シフト量を表す。

【0196】
第2状態では、ミラーM3を変位させ、波長λ2・λ3において参照光の位相がそれぞれ2πL、2πSだけずれるようにする。ここで、L、Sはそれぞれ整数である。例えば、Lは、λ2とλ3との最小公倍数をλ2で割った値とすることができ、Sは、λ2とλ3との最小公倍数をλ3で割った値とすることができる。位相のずれが2πの整数倍であるので、波長λ2・λ3の位相シフト量は0である。このときの波長λ1の位相シフト量をα1とする。α1≠2π、πである。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。第2ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(α1、0、0)とする。

【0197】
第3状態では、ミラーM3を逆側に変位させ、波長λ2・λ3において参照光の位相がそれぞれ-2πL、-2πSだけずれるようにする。すなわち波長λ2・λ3の位相シフト量は0である。このときの波長λ1の位相シフト量は-α1である。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。第3ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(-α1、0、0)とする。

【0198】
第4状態では、ミラーM3を変位させ、波長λ1・λ3において参照光の位相がそれぞれ2πの整数倍だけずれるようにする。位相のずれが2πの整数倍であるので、波長λ1・λ3の位相シフト量は0である。このときの波長λ2の位相シフト量をα2とする。α2≠2π、πである。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。第4ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(0、α2、0)とする。

【0199】
第5状態では、ミラーM3を逆側に変位させ、波長λ1・λ3の位相シフト量が0、波長λ2の位相シフト量が-α2となるようにする。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。第5ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(0、-α2、0)とする。

【0200】
第6状態では、同様にミラーM3を変位させ、波長λ1・λ2の位相シフト量が0、波長λ3の位相シフト量がα3となるようにする。第6状態において記録されるホログラムを第6ホログラムとする。第6ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(0、0、α3)とする。

【0201】
第7状態では、同様にミラーM3を逆側に変位させ、波長λ1・λ2の位相シフト量が0、波長λ3の位相シフト量が-α3となるようにする。第7状態において記録されるホログラムを第7ホログラムとする。第7ホログラムの画素(x、y)における画素値をI(0、0、-α3)とする。

【0202】
(再生方法)
波長λ1、λ2、λ3の位相シフト量をそれぞれα1、α2、α3とすると、撮像されたホログラムの画素(x、y)における画素値I(α1、α2、α3)の一般式は式(19)になる。ここで、0thλ1は波長λ1の0次回折光の強度であり、Uλ1(x、y)は、座標(x、y)における物体光の複素振幅である。波長λ2・λ3についても同様である。式(19)から、第1ホログラム~第7ホログラムを用いて各波長の物体光の複素振幅U(x、y)を表すと、式(20)~(22)のようになる。

【0203】
【数8】
JP2015040925A1_000010t.gif

【0204】
波長λ1の物体光の複素振幅Uλ1(x、y)は、3つのホログラム(第1ホログラム~第3ホログラム)の画素値から求めることができる。ここで各波長の参照光の振幅Arλ1、Arλ2、Arλ3は、あらかじめ参照光のみの強度を記録しておくことで既知となる。なお、各波長の参照光の振幅Arλ1、Arλ2、Arλ3は色(波長)のバランスに関わってくるだけであるので、各波長の参照光の振幅を仮定することによっても各波長の再生像は得ることができる。同様に、波長λ2の物体光の複素振幅Uλ2(x、y)は、3つのホログラム(第1ホログラム、第4ホログラム、第5ホログラム)の画素値から求めることができる。波長λ3の物体光の複素振幅Uλ3(x、y)は、3つのホログラム(第1ホログラム、第6ホログラム、第7ホログラム)の画素値から求めることができる。

【0205】
このように、モノクロの撮像装置12で記録された波長数×2+1のホログラムから、各波長の物体光の複素振幅分布(振幅および位相)を求めることもできる。なお、実施形態3のように、波長数×2のホログラムから各波長の物体光の複素振幅分布を求めることもできる。各波長の物体光の複素振幅分布から各波長の再生像を得ることができるので、それらを合成することでカラーの再生像を得ることができる。

【0206】
なお、レーザ光源を増やして波長数をさらに増やすことも可能である。実施形態3のように記録された少なくとも波長数×2のホログラムから(または実施形態9のように少なくとも波長数×2+1のホログラムから)、各波長の物体光の複素振幅分布を求めることができる。また、例えばレーザ光源LS1・LS2・LS3の代わりに、複数の発振波長数を有する1つのレーザ光源を用いることもできる。

【0207】
〔実施形態10〕
本実施形態では、3つの波長の光を用いる点、および、参照光の光路のみに位相差を生じさせるアレイが配置されている点が実施形態4と異なる。本実施形態では、1つの撮像装置で複数種類のホログラムを同時に並列に記録する。

【0208】
図19は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置7の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置7は、記録装置25および再生装置11を備える。記録装置25は、実施形態9の記録装置24とは異なり、ビームスプリッタBS4およびピエゾ素子PZTの代わりに、参照光の経路に空間光変調器SLMおよび結像光学系LNを備える。空間光変調器SLMを通過した参照光は、結像光学系LNを通過し、撮像装置12に入射する。

【0209】
空間光変調器SLMは、2次元に配列した複数のセルを有する。空間光変調器SLMは、例えば7種類のセル(セルA~G)のセットを複数含む。空間光変調器SLMのセルA~Gのそれぞれは、特定の波長の参照光に特定の位相のずれを生じさせる。ここでは液晶等の透過型の空間光変調器を用いているが、反射型の空間光変調器を用いることもできる。

【0210】
結像光学系LNは、複数のレンズ等の光学素子を含み、空間光変調器SLMの各セルを通過した参照光を、撮像装置12の撮像面12fに結像させる。

【0211】
(ホログラムの記録)
図20は、撮像面12fの一部の画素を示す模式図である。撮像面12fの各セルA’~G’は、1つの画素を表す。

【0212】
空間光変調器SLMのセルA~Gを通過した光は、それぞれ、対応する画素A’~G’に入射する。ここでは、同じ種類の画素は、桂馬飛びで周期的に配置されている。ただし、同じ種類の画素は、図20のように周期的な配置になっていなくてもよく、ランダムに分布していてもよい。

【0213】
空間光変調器SLMのセルAは、波長λ1・λ2・λ3の参照光については位相を遅らせない。空間光変調器SLMの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、0、0)である第1ホログラムを撮像する。セルAにおける物体光と参照光との位相の関係を基準とする。

【0214】
空間光変調器SLMのセルBは、波長λ1の参照光については位相をα1遅らせる。ただし、波長λ2・λ3の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(α1、0、0)である第2ホログラムを撮像する。

【0215】
空間光変調器SLMのセルCは、波長λ1の参照光については位相を-α1遅らせる。ただし、波長λ2・λ3の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(-α1、0、0)である第3ホログラムを撮像する。

【0216】
空間光変調器SLMのセルDは、波長λ2の参照光については位相をα2遅らせる。ただし、波長λ1・λ3の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、α2、0)である第4ホログラムを撮像する。

【0217】
空間光変調器SLMのセルEは、波長λ2の参照光については位相を-α2遅らせる。ただし、波長λ1・λ3の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルEに対応する複数の画素E’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、-α2、0)である第5ホログラムを撮像する。

【0218】
空間光変調器SLMのセルFは、波長λ3の参照光については位相をα3遅らせる。ただし、波長λ1・λ2の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルFに対応する複数の画素F’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、0、α3)である第6ホログラムを撮像する。

【0219】
空間光変調器SLMのセルGは、波長λ3の参照光については位相を-α3遅らせる。ただし、波長λ1・λ2の参照光については位相を遅らせない、もしくは位相の遅れは2πの整数倍である。空間光変調器SLMの複数のセルGに対応する複数の画素G’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、0、-α3)である第7ホログラムを撮像する。

【0220】
1回の撮像で記録されたホログラムには、位相シフト量が異なる7種類のホログラムが並列して含まれている。画素を種類毎に抽出することで、第1ホログラム~第7ホログラムがそれぞれ得られる。なお、抽出されたホログラムの各画素の間の画素値は、実施形態4のように、補間することができる。その後、実施形態9と同様の方法で、7つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることができる。なお、実施形態3と同様の方法を用いて、撮像された6つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることもできる。

【0221】
本実施形態では、撮像面に特殊な光学素子を貼り付けた特殊な撮像装置を用いることなく、1回の撮像で位相シフト量が異なる複数種類のホログラムを得ることができる。そのため、被写体13が動く場合であっても被写体13の再生像を生成することができる。

【0222】
なお、空間光変調器SLMの代わりに、セル毎に光路差または光学厚さの異なる素子アレイ、または、セル毎に偏光方向に応じた光路差が発生する素子アレイを用いることもできる。これらの素子アレイは透過型および反射型のいずれであってもよい。

【0223】
〔実施形態11〕
本実施形態では、干渉性の低い光(蛍光)を物体光として用いる点が、上述の実施形態とは異なる。

【0224】
図21は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置8の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置8は、記録装置26および再生装置11を備える。記録装置26は、光源31、波長フィルタ32、ビームスプリッタBS1、顕微鏡対物レンズ34、レンズ35を、蛍光顕微鏡の構成要素として備える。さらに記録装置26は、偏光子LP1、空間光変調器SLM、波長板アレイWPA(位相変調素子)、偏光子LP2、およびモノクロの撮像装置12を備える。ビームスプリッタBS1は、励起光の一部を通過させかつ蛍光の一部を反射するように、例えば2色性ミラーまたはハーフミラー等を有する。

【0225】
観察対象である被写体13には、蛍光標識として複数種類の蛍光分子が含まれる。複数種類の蛍光分子は、互いに波長の異なる蛍光を発生させる。デジタルホログラフィ装置8は、被写体13内の蛍光標識された物質を観察することができる。被写体13は、例えば生体試料である細胞等である。

【0226】
光源31は、蛍光分子を励起させるための励起光を発生させる。波長フィルタ32は、励起に必要ない波長の光を遮蔽する。波長フィルタ32を通過した励起光は、ビームスプリッタBS1および顕微鏡対物レンズ34を通過し、被写体13に照射される。

【0227】
被写体13の中の複数種類の蛍光分子は、励起光によって励起し、複数の波長の蛍光を発生させる。被写体13から出射された蛍光は、顕微鏡対物レンズ34によって拡大され、ビームスプリッタBS1によって反射される。レンズ27は、蛍光が拡がって蛍光の強度が小さくなるのを防ぐために、通過した蛍光を平行光に近づける。レンズ27を通過した蛍光は、さらに偏光子LP1、空間光変調器SLM、波長板アレイWPA、および偏光子LP2を通過し、撮像装置12に入射する。

【0228】
偏光子LP1は、透過軸の方向の成分のみを通過させる。偏光子LP1の透過軸は、垂直方向と水平方向の間の方向に設定する。偏光子LP1を通過した光は、透過軸方向に偏光している。偏光子LP1を通過した光は、垂直方向成分の光のうちの透過軸方向成分と、水平方向成分の光のうちの透過軸方向成分との重ね合わせである。ここでは、垂直方向成分の光(第1成分光)を物体光と見なし、水平方向成分の光(第2成分光)を参照光と見なす。

【0229】
空間光変調器SLMは、本実施形態では、垂直方向成分の光(物体光)の位相を変調させ、垂直方向成分の光を球面波に変換する。空間光変調器SLMは、水平方向成分の光(参照光)に対しては位相の変調を行わない。そのため、水平方向成分の光は、空間光変調器SLMの通過前と通過後とで進行方向および波面形状は変わらない。

【0230】
波長板アレイWPAは、本実施形態では、偏光感受性を有する波長板アレイである。波長板アレイWPAは、2次元に配列した複数のセルを有す。各セルは、垂直方向成分の光(物体光)に対して、水平方向成分の光(参照光)の位相をずらす。例えば波長板アレイWPAのセルAを基準とすると、各波長λ1・λ2・λ3の水平方向成分の光(参照光)の位相シフト量は(0、0、0)である。一方で、セルBを通過した各波長λ1・λ2・λ3の水平方向成分の光(参照光)の位相シフト量は(α1、0、0)である。同様に、セルCでは参照光の位相シフト量は(-α1、0、0)である。実施形態10と同様に、7種類のセルがあれば、7種類の位相シフト量の組み合わせを得ることができる。

【0231】
偏光子LP2の透過軸の方向は、偏光子LP1と同じである。波長板アレイWPAの1つのセルを通過した光は、撮像装置12の1つの画素に入射する。このように対応するように、波長板アレイWPAおよび偏光子LP2は撮像装置12の撮像面に貼り合わせられている構成とすることができる。または、波長板アレイWPAと撮像面との間に、結像光学系を配置することもできる。

【0232】
被写体13から出射された蛍光は単一の光路を経て撮像面に到達するので、蛍光の一部である物体光と参照光とは自己干渉する。球面波と平面波とが干渉すると、フレネルゾーンパターン(干渉縞)が形成される。偏光子LP2を通過した物体光と参照光とは、偏光方向が同じであるので、撮像面上において、干渉縞(フレネルゾーンパターン)を形成する。撮像装置12は、形成された干渉縞をホログラムとして記録する。撮像装置12は、実施形態10と同様に、空間分割された第1ホログラム~第7ホログラムを1回の撮像によって記録することができる。その後、実施形態9、10と同様の方法で、7つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることができる。なお、実施形態3と同様の方法を用いて、撮像された6つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることもできる。本実施形態では、モノクロの撮像装置12を利用して複数波長の情報を多重記録するので、光の利用効率が高い。

【0233】
なお、物体光と参照光とは、厳密に球面波と平面波とである必要は無い。物体光および参照光の波面形状(波面の曲率)が異なっていれば干渉縞が形成される。そのため、空間光変調器SLMは、垂直方向成分の光と水平方向成分の光との波面形状(波面の曲率)を異ならせる働きをすればよい。なお、偏光子LP1は省略することもできる。また、蛍光だけでなく、物体(被写体)によって反射、回折または散乱された干渉性の低い光を利用することもできる。また、空間光変調器の代わりに、波長板によって一方の偏光を変調させることもできる。

【0234】
また、蛍光の光路の任意の位置に、各波長について、通過させる波長幅を制限する波長バンドパスフィルタを配置してもよい。これにより蛍光(物体光および参照光)の干渉性を高めることができる。

【0235】
〔ソフトウェアによる実現例〕
再生装置11は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

【0236】
後者の場合、再生装置11は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

【0237】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像装置は、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像する。

【0238】
上記第1参照光および上記第1物体光は、第1波長であり、上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1波長とは異なる第2波長であってもよい。

【0239】
または、上記第1参照光および上記第1物体光は、第1偏光方向の偏光であり、上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1偏光方向に直交する第2偏光方向の偏光であってもよい。

【0240】
上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムから、第2物体光の振幅および位相を特定することができる。また、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第1ホログラムおよび第4ホログラムと、特定された第2物体光の振幅および位相とから、第1物体光の振幅および位相を特定することができる。

【0241】
上記の構成によれば、第1物体光および第2物体光の振幅および位相の特定に必要な、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを記録することができる。それゆえ、モノクロの撮像装置を用いて、波長または偏光方向毎に精度よく分離された再生像を得るために必要な複数のホログラムを記録することができ、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。また、光の利用効率を高くすることができる。

【0242】
上記デジタルホログラフィ装置は、上記撮像装置が撮像したホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、上記再生装置は、上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、および上記第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定し、上記第1ホログラムおよび上記第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する構成であってもよい。

【0243】
上記の構成によれば、各波長または各偏光方向の物体光の振幅および位相を特定することができる。それゆえ、被写体の分光された3次元画像情報または偏光状態の情報を得ることができる。

【0244】
上記再生装置は、上記第1ホログラムと上記第3ホログラムとの画素値の差分を求め、上記第2物体光のみの振幅および位相に依存する上記差分を用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定する構成であってもよい。

【0245】
上記第1ホログラムと上記第3ホログラムとは、第1参照光および第1物体光については位相シフト量が同じである。そのため、上記第1ホログラムと上記第3ホログラムとの差分は、上記第2物体光のみの振幅および位相に依存する。それゆえ、上記第1ホログラムと上記第3ホログラムとの差分を用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定することができる。

【0246】
上記撮像装置は、上記第1参照光、上記第1物体光、上記第2参照光、上記第2物体光、第3参照光、および第3物体光により形成されるホログラムを撮像し、上記第3参照光と上記第3物体光とは互いに干渉可能であり、上記第3参照光と、上記第1物体光および上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、上記第3ホログラム、および上記第4ホログラムでは、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量は同じであり、上記撮像装置は、さらに、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれかに対して、上記第1参照光および上記第1物体光について位相シフト量は同じで、上記第2参照光および上記第2物体光について位相シフト量は同じで、かつ、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第5ホログラムおよび第6ホログラムを撮像する構成であってもよい。

【0247】
第3参照光および第3物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、3つのホログラムから、第3物体光の振幅および位相を特定することができる。該3つのホログラムは、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれか1つと、第5ホログラムおよび第6ホログラムとを含む。

【0248】
上記の構成によれば、第1波長、第2波長、第3波長の物体光の振幅および位相の特定に必要な、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、第4ホログラム、第5ホログラム、および第6ホログラムを記録することができる。

【0249】
上記撮像装置は、それぞれ上記撮像装置の画素に対応した、第1セル、第2セル、第3セル、および第4セルが配列した波長板アレイを備え、上記第1セルの位相シフト量を基準として、上記第2セルは上記第2波長について第1量の位相シフト量を生じさせ、上記第3セルは上記第2波長について第2量の位相シフト量を生じさせ、上記第4セルは上記第1波長について第3量の位相シフト量を生じさせる構成であってもよい。

【0250】
上記の構成によれば、波長板アレイの第1セルから第4セルに対応して、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを生成することができる。それゆえ、撮像装置は、1回の撮像で第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像することができる。

【0251】
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生装置は、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定し、上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する。

【0252】
上記の構成によれば、第2参照光および第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムから、第2物体光の振幅および位相を特定することができる。また、第1参照光および第1物体光についての位相シフト量が異なる第1ホログラムおよび第4ホログラムと、特定された第2物体光の振幅および位相とから、第1物体光の振幅および位相を特定することができる。それゆえ、モノクロの撮像装置を用いて記録可能な複数のホログラムから、波長毎または偏光方向毎に精度よく分離された再生像を得ることができる。そのため、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。

【0253】
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを、モノクロの撮像装置を用いて撮像する撮像ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像ステップにおいては、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムと、上記第1ホログラムに対して、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、を撮像する。

【0254】
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生ステップは、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、および第3ホログラムを用いて、上記第2物体光の振幅および位相を特定する第1ステップと、上記第1ホログラムと、上記第1ホログラムに対して上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量は同じで、かつ、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なる第4ホログラムと、特定された上記第2物体光の振幅および位相とを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する第2ステップとを含む。

【0255】
本発明の各態様に係る再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記再生装置として動作させることにより上記再生装置をコンピュータにて実現させる再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。

【0256】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0257】
本発明は、デジタルホログラフィ装置、分光3次元動画顕微鏡、ハイスピード3Dカラー動画カメラ等に利用することができる。また、本発明は、ロボットビジョン、マン-マシンインターフェース、計測・分析装置に利用することができる。そのため、本発明は、工学のみならず、生命化学等の分野においても利用が可能である。
【符号の説明】
【0258】
1~8 デジタルホログラフィ装置
10、20~26 記録装置
11 再生装置
12、12a~12e 撮像装置
12f 撮像面
13 被写体
H0~H4 ホログラム
HWP 1/2波長板
LP 偏光素子
LP1、LP2、LP11~LP14 偏光子
LS1~LS3 レーザ光源
WP1~WP5 波長板
WPA 波長板アレイ
SLM 空間光変調器
図面
【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図16】
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【図2】
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【図15】
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【図17】
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