TOP > 国内特許検索 > 神経難病のMR画像診断薬 > 明細書

明細書 :神経難病のMR画像診断薬

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年1月19日(2017.1.19)
発明の名称または考案の名称 神経難病のMR画像診断薬
国際特許分類 C07D 263/54        (2006.01)
C07C 235/34        (2006.01)
C07C  69/738       (2006.01)
A61K  49/00        (2006.01)
A61B   5/055       (2006.01)
G01R  33/28        (2006.01)
G01R  33/48        (2006.01)
G01N  24/08        (2006.01)
FI C07D 263/54
C07C 235/34 CSP
C07C 69/738 Z
A61K 49/00 C
A61B 5/05 383
G01N 24/02 B
G01N 24/08 510Y
G01N 24/08 510P
国際予備審査の請求
全頁数 40
出願番号 特願2014-556404 (P2014-556404)
国際出願番号 PCT/JP2014/050005
国際公開番号 WO2014/109296
国際出願日 平成26年1月6日(2014.1.6)
国際公開日 平成26年7月17日(2014.7.17)
優先権出願番号 2013001948
2013202531
優先日 平成25年1月9日(2013.1.9)
平成25年9月27日(2013.9.27)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】遠山 育夫
【氏名】田口 弘康
【氏名】柳沢 大治郎
出願人 【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C056
4C085
4C096
4H006
Fターム 4C056AA01
4C056AB01
4C056AC02
4C056AD03
4C056AE03
4C056CA09
4C056CC01
4C056CD06
4C085HH07
4C085KA11
4C085KA29
4C085KB41
4C085KB56
4C085LL13
4C096AA11
4C096AA13
4C096AA15
4C096DC33
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM71
4H006BN30
4H006BP10
4H006BP30
4H006BR10
4H006BV53
要約 開示されているのは、式(1):
JP2014109296A1_000024t.gif
(式中、Xはアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン及びTDP-43からなる群から選択される少なくとも1種に結合活性を有する化合物の残基であり、mは0~6の整数であり、nは1~5の整数であり、Jは以下の群から選択される基である。
JP2014109296A1_000025t.gif
ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、メチル又はトリフルオロメチルであり、R3はトリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、pは1~4の整数である。但し、JがJ-1の場合はm + n ≧ 5であり、JがJ-2又はJ-3の場合はm + n ≧ 7であるものとする。)で表される化合物又はその塩である。
特許請求の範囲 【請求項1】
式(1):
【化1】
JP2014109296A1_000020t.gif
(式中、Xはアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン及びTDP-43からなる群から選択される少なくとも1種に結合活性を有する化合物の残基であり、mは0~6の整数であり、nは1~5の整数であり、Jは以下の群から選択される基である。
【化2】
JP2014109296A1_000021t.gif
ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、メチル又はトリフルオロメチルであり、R3はトリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、pは1~4の整数である。但し、JがJ-1の場合はm + n ≧ 5であり、JがJ-2又はJ-3の場合はm + n ≧ 7であるものとする。)で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
Xがアミロイドβ蛋白に結合活性を有する化合物の残基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
Xが式(x1):
【化3】
JP2014109296A1_000022t.gif

(式中、R4及びR5はC1~6アルキルである。)で表される基である、請求項2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の画像診断薬。
【請求項5】
前記疾患がアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病、レビー小体病又は筋萎縮性側索硬化症である、請求項4に記載の画像診断薬。
【請求項6】
画像診断がMRIである、請求項4に記載の画像診断薬。
【請求項7】
請求項2に記載の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の画像診断薬。
【請求項8】
アミロイドβ蛋白が蓄積する疾患がアルツハイマー病である、請求項7に記載の画像診断薬。
【請求項9】
画像診断がMRIである、請求項7に記載の画像診断薬。
【請求項10】
請求項4に記載の画像診断薬を用いる、アミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の診断方法。
【請求項11】
請求項7に記載の画像診断薬を用いる、蛋白のβシート構造が病因又は病因の一部となる疾患の診断方法。
【請求項12】
請求項2に記載の化合物又はその塩を有効成分とする脳をはじめとする組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑の染色薬。
【請求項13】
請求項12に記載の染色薬を用いて組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑を染色する方法。
【請求項14】
アミロイドβオリゴマーを検出するために用いられる画像診断薬であって、
(A) 請求項3に記載の化合物又はその塩と
(B) 式(2):
【化4】
JP2014109296A1_000023t.gif
(式中、R6a及びR6bはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アセチル又はメトキシカルボニルであり、R7はそれぞれ独立にフッ素原子、CHF2-、CF3-、CHF2O-又はCF3O-であり、R8はそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、Aはアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル又はR9-(CH2)q-であり、R9はヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アセチルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシ又はCONR10R11であり、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又はアルキルであり、qは1~5の整数である)で表されるクルクミン誘導体又はその塩
とを組み合わせてなる、画像診断薬。
【請求項15】
請求項14に記載の画像診断薬を用いる、アミロイドβオリゴマーの検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、神経難病の画像診断薬、特に、アルツハイマー病の核磁気共鳴(MR)画像診断に有用な新規スチリルベンゾオキサゾール誘導体又はその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、初老期から老年期に起こる進行性の認知症を特徴とする疾患であり、現在、国内の患者数は100万人以上と言われている。今後、人口の高齢化に伴いその数は確実に増加すると予想される。アルツハイマー病の研究の進歩により、根本的治療薬開発が精力的に進められている。これらの新規薬剤を用いてアルツハイマー病治療を行うためには、アルツハイマー病を早期に且つ正確に診断する非侵襲的方法が不可欠である。
【0003】
アルツハイマー病の臨床症状は、記憶障害、高次脳機能障害(失語、失行、失認、構成失行)等である。その症状は他の認知症疾患でも共通して見られることが多く、臨床症状だけでアルツハイマー病と確定診断することは極めて困難である。
【0004】
一方、アルツハイマー病の特徴的な病理組織所見としては、老人斑と神経原線維変化がある。前者の主構成成分はβシート構造をとったアミロイドβ蛋白であり、後者のそれは過剰リン酸化されたタウ蛋白である。アルツハイマー病においては臨床症状が発症するかなり前から、脳内では凝集したアミロイドβ蛋白の蓄積等の上記病理的組織変化が始まっていることが知られている。したがって、凝集したアミロイドβ蛋白をマーカーとして検出することが、アミロイドが蓄積する疾患、特にアルツハイマー病の早期診断方法の1つとなる。
【0005】
このような観点から、近年、脳内アミロイドβ蛋白に選択的に結合するポジトロン断層撮影法(PET)やシングルフォトン断層撮影法(SPECT)用の放射性造影剤の研究が進められている。アミロイドに親和性の高い古典的な化合物としては、アルツハイマー病の病理的確定診断に使用されているコンゴーレッド、チオフラビンS及びチオフラビンTがある。その多くは、血液-脳関門を通過しがたく静脈内投与しても殆ど脳内へは移行しない。
【0006】
そこで、血液-脳関門の透過性を考慮した造影剤の研究が進められ、ISB、PIB(非特許文献1)、BF-168(特許文献1、非特許文献2)、BF-227(非特許文献3)等の造影剤が開発されており、そのいくつかは臨床試験で良好な成績が得られている(非特許文献1,3)。しかし、それらは、11C、13N、15O、18F等の放射性核種を用いるため放射線障害による副作用が懸念されるとともに、近くにサイクロトロン施設を併設する必要であり、試薬の価格も非常に高価であることが問題になっている。そのため、放射性核種を用いない診断方法が望まれている。
【0007】
放射性核種を用いない診断方法の一つとして核磁気共鳴イメージング法(MRI)がある。これまで、フッ素核磁気共鳴画像法(フッ素MR画像法)を用いて老人斑の画像化に成功したとの報告がある(特許文献2~5、非特許文献4)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】国際公開第2003/106439号
【特許文献2】国際公開第2005/042461号
【特許文献3】国際公開第2007/111179号
【特許文献4】特開2009-67762号公報
【特許文献5】国際公開第2010/098502号
【0009】

【非特許文献1】Klunk WE, Engler H, Nordberg A, et al: Imaging brain amyloid in Alzheimer's disease with Pittsburgh Compound-B. Ann Neurol, 55, 306-319, 2004.
【非特許文献2】Okamura N, Suemoto T, Shimadzu H, Suzuki M, Shiomitsu T, Akatsu H, Yamamoto T, Staufenbiel M, Yanai K, Arai H, Sasaki H, Kudo Y, Sawada T: Styrylbenzoxazole derivatives for in vivo imaging of amyloid plaques in the brain. J Neurosci, 24(10), 2535-41, 2004.
【非特許文献3】Furukawa K, Okamura N, Tashiro M, Waragai M, Furumoto S, Iwata R, Yanai K, Kudo Y, Arai H: Amyloid PET in mild cognitive impairment and Alzheimer's disease with BF-227:comparison to FDG-PET. J Neurol, 257, 721-727, 2010.
【非特許文献4】Higuchi M, Iwata N, Matsuba Y, Sato K, Sasamoto K, Saido T: 19F and 1H MRI detection of amylid β plaques in vivo, Nature Neuroscience, 8(4), 527-533, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このうち、特許文献2~4及び非特許文献4に記載されている化合物は、感度が低く、7テスラMR画像装置を使ってモデルマウスの脳内にできた老人斑を生きたまま画像化することは困難である。
【0011】
特許文献5に記載の化合物は、感度が良く、生きたマウスでAβイメージングに成功している。しかしながら、特許文献5に記載の化合物は、βシート構造を取るAβ凝集体に加えてβシート構造を持たないAβオリゴマーにも結合するという特徴がある。
【0012】
このようにβシート構造を取るAβ凝集体に特異的に結合し、7テスラMR画像装置を使ってモデルマウスの脳内にできた老人斑を生きたまま画像化できる試薬はまだない。
【0013】
そこで、本発明の目的は、アルツハイマー病のMRI診断用造影剤として好適な、βシート構造を取るアミロイドβ蛋白に対する高い結合特異性と高い検出感度を併せ持つ物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特許文献3及び4に記載の化合物を改良し、ポリエチレングリコールの長さを一定以上とすることで、感度を格段に上昇させることができ、7テスラMR画像装置を使ってモデルマウスの脳内にできた老人斑を生きたまま画像化できることを見出した。さらに、アミロイドβ蛋白に対する結合部位を他の脳内異常蛋白に結合する化合物に代えることで、アルツハイマー病だけではなく他の神経難病の診断にも応用可能なことを見出した。また、本発明化合物をAβオリゴマーにも結合する特許文献5に記載の化合物と組み合わせることで、Aβオリゴマーの存在部位を検出できることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、式(1):
【0016】
【化1】
JP2014109296A1_000003t.gif

【0017】
(式中、Xはアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン及びTDP-43からなる群から選択される少なくとも1種に結合活性を有する化合物の残基であり、mは0~6の整数であり、nは1~5の整数であり、Jは以下の群から選択される基である。
【0018】
【化2】
JP2014109296A1_000004t.gif

【0019】
ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、メチル又はトリフルオロメチルであり、R3はトリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、pは1~4の整数である。但し、JがJ-1の場合はm + n ≧ 5であり、JがJ-2又はJ-3の場合はm + n ≧ 7であるものとする。)で表される化合物又はその塩に関する。
【0020】
また、本発明は、式(1)の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の画像診断薬に関する。
【0021】
特に、本発明は、以下の式(I)で表される化合物又はその塩に関する。以下の式(I)の化合物は、式(1)の化合物においてXがアミロイドβ蛋白に結合活性を有する化合物の残基であるものである。
【0022】
【化3】
JP2014109296A1_000005t.gif
(式中、m、n及びJは前述の通りであり、R4及びR5はC1~6アルキルである。)
【0023】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の画像診断薬に関する。
【0024】
さらに、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を有効成分とする脳をはじめとする組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑の染色薬に関する。
【0025】
R4及びR5のアルキル基としては、直鎖又は分枝鎖状のC1~6アルキルであればよく、その具体例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが挙げられ、直鎖又は分枝鎖状のC1~3アルキルが好ましい。
【0026】
mは0~6の整数であり、nは1~5の整数である。
【0027】
JがJ-1の場合はm + n ≧ 5、好ましくはm + n ≧ 6、より好ましくはm + n ≧7であり、JがJ-2又はJ-3の場合はm + n ≧ 7、好ましくはm + n ≧ 8、より好ましくはm + n ≧ 9である。
【0028】
pは1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数である。
【0029】
式(1)の化合物の塩としては、医薬上許容される塩であればよく、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸塩;酒石酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、グリコール酸塩、琥珀酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、これらの塩の中で結晶水を持つものもある。
【0030】
本発明は、アミロイドβオリゴマーを検出するために用いられる画像診断薬に関し、該画像診断薬は、
(A) 式(I)の化合物又はその塩と
(B) 式(2):
【0031】
【化4】
JP2014109296A1_000006t.gif

【0032】
(式中、R6a及びR6bはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アセチル又はメトキシカルボニルであり、R7はそれぞれ独立にフッ素原子、CHF2-、CF3-、CHF2O-又はCF3O-であり、R8はそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、Aはアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル又はR9-(CH2)q-であり、R9はヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アセチルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシ又はCONR10R11であり、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又はアルキルであり、qは1~5の整数である)で表されるクルクミン誘導体又はその塩
とを組み合わせてなる。
【0033】
R6a、R6b、A、R9、R10及びR11のアルキル基は、直鎖又は分枝鎖状のC1~6アルキルであればよく、直鎖又は分枝鎖状のC1~3アルキル基が好ましい。当該アルキル基の規定は、式(2)の化合物におけるアルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ及びヒドロキシアルコキシのアルキル基にも適用される。
【0034】
式(2)の化合物の塩としては、医薬上許容される塩であればよく、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩などが挙げられる。また、これらの塩の中で結晶水を持つものもある。
【発明の効果】
【0035】
本発明化合物は、高い検出感度を有しており、アミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の画像診断薬の有効成分として有用である。
【0036】
また、本発明化合物は、βシート構造を持たないアミロイドβ蛋白オリゴマーに結合せずに、βシート構造をとるアミロイドβ蛋白に対して特異的に結合するので、βシート構造をとったアミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の画像診断薬として特に有用である。本発明化合物をAβオリゴマーにも結合する特許文献5に記載の化合物と組み合わせることで、Aβオリゴマーの存在部位を確認することが可能になる。
【0037】
さらに、本発明化合物は電子的に等価なF原子を多く含むため19F-MRI造影剤の有効成分として特に有用である。また、脳をはじめとする組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑染色薬の有効成分、例えば該蛋白の蛍光染色剤として有用である。したがって、本発明化合物を用いれば、アルツハイマー病のようなアミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の早期診断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】200 mg/kgの量の化合物1をアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス(APP/PS1)と正常なワイルドマウス(Wild)に尾静脈から投与し、投与後5時間後から3時間測定したMRIのインビボ脳画像である。AとCは19F-MRI画像、BとDは19F-MRIと1H-MRI画像の合成写真である。
【図2】試験例1で実施したアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス脳切片の染色像である。AはDAPIフィルターでみた化合物の蛍光像を、Bはβアミロイド抗体染色像を示す。
【図3】試験例3で実施したQCM装置を用いたAβオリゴマー及びAβ繊維との結合性の解析結果を示すグラフである。Aは化合物8を加えたときの周波数変化を、Bは化合物1を加えたときの周波数変化を示す。
【図4】試験例4において化合物1と化合物8をAPP/PS1マウスに尾静脈から投与し測定したMRIの脳画像である。AはNMRスベクトル、B及びCは左から1H-MR画像、化合物8の19F-MR画像、化合物1の19F-MR画像、化合物8と化合物1の19F-MR信号の差分を示した画像である。上段は水平断、下段は矢状断の画像である。A及びBは16月齢のAPP/PS1マウスを、Cは11月齢のAPP/PS1マウスを用いた結果である。
【図5】試験例5において化合物1、化合物7及び化合物9をマウスの脳に投与し測定したMRIの脳画像である。Aは左脳に化合物9、右脳に化合物1を投与したマウス頭部のMR画像、Bは左脳に化合物9、右脳に化合物7を投与したマウス頭部のMR画像である。それぞれの図の上段は水平断又は冠状断における1H MR画像及び19F MR画像で、下段が1H MR画像と19F MR画像の重ね合わせ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
式(1)の化合物又はその塩の内で、式(I)及び式(XI)の化合物又はその塩の製造方法を以下に示す。

【0040】
式(I)の化合物又はその塩は、下記の方法により製造することができる。

【0041】
前記式(I)において、JがJ-1、J-2又はJ-3である式(I)の化合物は、通常溶媒の存在下で式(II)の化合物と式(III)の化合物とを反応させることにより製造することができる。

【0042】
【化5】
JP2014109296A1_000007t.gif
(式中、R4、R5、m及びnは前述の通りであり、JはJ-1、J-2又はJ-3であり、Tsはp-トルエンスルホニル基である。)

【0043】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホリルアミドなどのリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0044】
本反応を促進するために塩基を添加することが望ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、N,N-ジメチルアニリンなどの有機塩基;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなどの金属アルコキシドなどを挙げることができる。塩基は式(III)の化合物に対して1~5倍モル、望ましくは1~3倍モル使用することができる。

【0045】
本反応は、通常、0~150℃、望ましくは20~100℃で行うことができ、その反応時間は、通常1~170時間程度である。

【0046】
式(III)の化合物は、式(II)の化合物に対して1~10倍モル、望ましくは1~5倍モル使用することができる。

【0047】
式(II)の化合物のうち、m=0のものは公知の方法(特許文献3)により製造でき、m≧1のものについては、公知の製造方法により、式(IV)の化合物をp-トルエンスルホニル化することによって製造することができる。

【0048】
【化6】
JP2014109296A1_000008t.gif
(式中、R4、R5、m、n及びTsは前述の通りである。)

【0049】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0050】
本反応を促進するために塩基を添加することが望ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、N,N-ジメチルアニリンなどの有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩などを挙げることができる。塩基は式(V)の化合物に対して1~5倍モル、望ましくは1~3倍モル使用することができる。

【0051】
本反応は、通常-20~100℃、望ましくは0~50℃で行うことができ、反応時間は通常1~48時間程度である。

【0052】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物に対して1~10倍モル、望ましくは1~5倍モル使用することができる。

【0053】
式(IV)の化合物は、式(VI)の化合物を加水分解することにより製造することができる。この加水分解には酸を用いる。

【0054】
【化7】
JP2014109296A1_000009t.gif
(式中、R4、R5、m及びnは前述の通りである。)

【0055】
本反応の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類;含水テトラヒドロフラン、含水ジオキサンなどのエーテル類;含水ジメチルホルムアミド、含水ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;含水アセトニトリル、含水プロピオニトリルなどのニトリル類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0056】
本反応を促進するために酸を添加することが望ましく、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの鉱酸を挙げることができる。

【0057】
本反応は、通常-20~100℃、望ましくは0~50℃で行うことができ、その反応時間は通常1~50時間程度である。用いる酸は式(VI)の化合物に対して1~20倍モル、望ましくは1~5倍モル使用することができる。

【0058】
式(VI)の化合物は、式(VII)の化合物に式(VIII)の化合物を反応させることにより製造することができる。

【0059】
【化8】
JP2014109296A1_000010t.gif
(式中、R4、R5、m、n及びTsは前述の通りである。)

【0060】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドなどのリン酸アミド類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0061】
本反応を促進するために塩基を添加することが望ましく、その塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなどの金属アルコキシドなどを挙げることができる。塩基は、式(VIII)の化合物に対して1~5倍モル、望ましくは1~3倍モル使用することができる。

【0062】
本反応は、通常-10~100℃、望ましくは0~60℃で行うことができ、反応時間は通常1~36時間程度である。

【0063】
式(VIII)の化合物は、式(VII)の化合物に対して1~10倍モル、望ましくは1~5倍モル使用することができる。

【0064】
式(VII)の化合物は、公知の類似化合物の製造方法(特許文献3)又はそれらに準じた方法によって製造することができる。例えば、下記の製造方法に従い、通常、溶媒中トリフェニルホスフィン及びアゾジカルボン酸ジイソプロピルの存在下で、式(IX)の化合物と式(X)の化合物とを反応させることにより式(VII)の化合物を製造することができる。なお、式(IX)の化合物は、公知の方法で製造できる。

【0065】
【化9】
JP2014109296A1_000011t.gif
(式中、R4、R5、m及びTsは前述の通りである。)

【0066】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類:アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドなどのリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0067】
本反応は、通常-20~100℃、望ましくは0~50℃で行うことができ、反応時間は通常1~36時間程度である。

【0068】
式(X)の化合物は、式(IX)の化合物に対して、1~10倍モル、望ましくは1~5倍モル使用することができる。

【0069】
式(XI)の化合物又はその塩は、下記の方法により製造することができる。なお、式(XI)の化合物は、式(1)の化合物においてXがアミロイドβ蛋白に結合活性を有する化合物の残基であるものである。

【0070】
式(XI)の化合物は、通常溶媒の存在下で式(XII)の化合物と(XIII)の化合物を反応させることにより製造することができる。

【0071】
【化10】
JP2014109296A1_000012t.gif
(式中、m、n及びJは前述の通りであり、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子又はC1~6アルキル基である。)

【0072】
R12及びR13のアルキル基としては、直鎖又は分枝鎖状のC1~6アルキルであればよく、直鎖又は分枝鎖状のC1~3アルキルが好ましい。

【0073】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭素類;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;水、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0074】
本反応を進行させるには脱水縮合剤を添加することが望ましく、その縮合剤としては、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、メチルプロピルカルボジイミド、ヘキサメチレンカルボジイミド、ジ-p-ジメチルアミノフェニルカルボジイミド、1-t-ブチル-3-(3-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド、1-シクロヘキシル-3-(3-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミドなどの1,3-ジアルキルカルボジイミド類又は1,3-ジアリールカルボジイミド類及びその塩を挙げることができる。また、反応を促進させるために1-ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの補助剤を加えることも有効である。縮合剤及び補助剤は、式(XII)の化合物に対して1~5倍モル、望ましくは1~3倍モル使用することができる。さらに、原料の式(XIII)の化合物及び縮合剤のカルボジイミドが塩酸塩などの塩の場合には塩基を加える必要があるが、その塩基としてはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどの有機塩基が挙げられ、その使用量は原料や試薬の塩を中和するのに十分な量を用いるのが望ましい。

【0075】
本反応は、通常、0~100℃、望ましくは10~50℃で行うことができ、その反応時間は1~170時間程度である。また、式(XII)の化合物1モルに対して式(XIII)の化合物は1~5当量、望ましくは1~2当量の割合で使用することができる。

【0076】
前記式(XII)の化合物は式(XIV)の化合物と式(XV)の化合物を縮合させることにより、次のようにして製造することができる。

【0077】
【化11】
JP2014109296A1_000013t.gif
(式中、m、n及びJは前述の通りである。)

【0078】
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアルデヒドなどの酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;ピリジン、2-ピコリン、4-ピコリンなどの芳香族塩基類;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;水、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。

【0079】
本反応を促進させるためには触媒を添加することが望ましく、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドなどの金属アルコキシド類;ナトリウムアミドなどの金属アミド類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン、ジエチルアミン、モルホリン、ピぺリジン、ニコチン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機塩基類;アンモニアなどの無機塩基類が挙げられる。酸性触媒としては、無水酢酸、氷酢酸中塩化亜鉛などを挙げることができる。また、酢酸アンモニウム、ピぺリジン酢酸塩、ピぺリジン安息香酸塩などの塩、あるいはグリシン、アラニンなどのアミノ酸も有効な触媒となる。触媒は式(XIV)の化合物に対して、0.5~5倍モル、望ましくは1~3倍モル使用することができる。

【0080】
本反応は、通常0~100℃で、望ましくは、0~50℃の反応温度で行われる。また、反応時間は、一般に0.5~72時間である。式(XIV)の化合物に対して式(XV)の化合物は1~20当量、望ましくは、1~10当量の割合で使用することができる。

【0081】
前記式(XIV)の化合物は次の工程で合成できる。

【0082】
【化12】
JP2014109296A1_000014t.gif
(式中、m、n及びJは前述の通りであり、Bnはベンジル基を示す)

【0083】
まず、化合物(XVII)のエタノール溶液にオルトギ酸エチル及び触媒量の酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)を加え、公知の方法によりアセタール化し、化合物(XVI)を得る。得られるアセタールをメタノールに溶かし、触媒の存在下に加水素分解して脱ベンジル化反応を行い、フェノール誘導体とする。この化合物を鉱酸で処理することにより、式(XIV)の化合物を得る。

【0084】
前記式(XVII)の化合物は式(XIX)の化合物と式(XVIII)の化合物を反応させることにより得ることができる。

【0085】
【化13】
JP2014109296A1_000015t.gif
(式中、Bn 、m、n及びJは前述の通りである。)

【0086】
本反応は、フェノール類の一般的なアルキル化反応であり、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリのような弱塩基の存在下で容易に進行する。

【0087】
前記式(XVIII)の化合物は、式(XXI)の化合物から、次のようにして製造することができる。

【0088】
【化14】
JP2014109296A1_000016t.gif
(式中、m、n、J及びTsは前述の通りである。)

【0089】
すなわち、式(XXI)の化合物の式(XX)の化合物への変換は、上記の式(II)の化合物と式(III)の化合物とを反応させる方法を用いて行う。続いて、式(XX)の化合物を鉱酸で処理することにより、テトラヒドロピラニル保護基の脱離を行い、得られるアルコール体をトシル化して式(XIX)の化合物を得る。この工程は、既に記載した方法(式(II)の化合物の製造法及び式(IV)の化合物の製造法)により行うことができる。また、式(XVIII)の化合物は、式(XIX)の化合物から公知の方法で製造できる。すなわち、式(XIX)の化合物をジメチルホルムアミドのような溶媒に溶かしておき、臭化アンモニウムを作用させることにより、トシルオキシ基の臭素への置換が起こり、式(XVIII)の化合物が得られる。

【0090】
上記した製法及びそれに付随した方法で得られる前記式(I)又は(XI)の化合物は、公知の手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、転溶、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより単離、精製することができる。

【0091】
前記式(I)又は(XI)の化合物がフリー体で得られる場合、通常の方法で塩を形成させることができる。

【0092】
式(I)又は(XI)の化合物のいくつかの例を第1表に示す。
第1表

【0093】
【表1】
JP2014109296A1_000017t.gif

【0094】
式(1)の化合物又はその塩は、アミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の画像診断薬として使用することができる。

【0095】
式(1)の化合物としては、好適には、Xがアミノロイドβ蛋白に結合活性を有する化合物の残基であるものである。以下、当該化合物を式(1a)の化合物と称する。式(1a)の化合物としては、前述する式(I)、式(XI)の化合物等が挙げられる。

【0096】
式(1)の化合物におけるタウ蛋白に結合活性を有する化合物としては、タウ蛋白に結合でき且つ血液脳関門を通過できる化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、N. Okamura et al., J Nucl Med, vol. 54, no. 8, 1420-1427 (2013)に結合活性について記載されている2-フェニルキノリン誘導体(18F-THK-5105、18F-THK-5117)、D.T. Chien et al., Journal of Alzheimer's Disease, DOI 10.3233/JAD-130098に結合活性について記載されているピリミド[1,2-a]ベンゾイミダゾール誘導体([F18]-T808)等が挙げられる。

【0097】
式(1)の化合物におけるα-シヌクレインに結合活性を有する化合物としては、α-シヌクレインに結合でき且つ血液脳関門を通過できる化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、K.L. Neal et al., Mol Imaging Biol (2013) DOI: 10.1007/s11307-013-0634-yに結合活性について記載されているLDS-722、LDS-759、LDS-798、LDS-730、Nile Blue 690、HITC、Stilbene 420 (Exciton, Dayton, OH)、Nile Red (Life Technologies, Invitrogen, Grand Island, NY)、RD-1、NIAD-1等が挙げられる。

【0098】
式(1)の化合物におけるTDP-43に結合活性を有する化合物としては、TDP-43に結合でき且つ血液脳関門を通過できる化合物であれば特に限定されない。

【0099】
式(I)の化合物又はその塩は、アミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の画像診断薬として使用することができる。また、式(I)の化合物又はその塩は、脳をはじめとする組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑染色薬として使用することができる。

【0100】
本発明の望ましい実施形態は、次のものである。
(1)式(1)の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の画像診断薬。
(2)前記疾患がアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病、レビー小体病又は筋萎縮性側索硬化症である、(1)に記載の画像診断薬。
(3)式(1a)若しくは式(I)の化合物又はその塩を有効成分とするアミロイドβ蛋白が蓄積する疾患の画像診断薬。
(4)アミロイドβ蛋白が蓄積する疾患がアルツハイマー病である、(3)に記載の画像診断薬。
(5)画像診断がMRIである、(1)~(4)のいずれかに記載の画像診断薬。
(6)式(1a)若しくは式(I)の化合物又はその塩を有効成分とする脳をはじめとする組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑の染色薬。
(7)アミロイドβ蛋白の蛍光染色薬である、(6)に記載の染色薬。
(8)(1)に記載の画像診断薬を用いる、アミロイドβ蛋白、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の診断方法。
(9)(3)に記載の画像診断薬を用いる、蛋白のβシート構造が病因又は病因の一部となる疾患の診断方法。
(10)(6)に記載の染色薬を用いて組織中のアミロイドβ蛋白又は老人斑を染色する方法。
(11)アミロイドβオリゴマーを検出するために用いられる画像診断薬であって、(A) 式(I)の化合物又はその塩と(B) 式(2)の化合物又はその塩とを組み合わせてなる、画像診断薬。
(12)画像診断がMRIである、(11)に記載の画像診断薬。
(13)(11)に記載の画像診断薬を用いる、アミロイドβオリゴマーの検出方法。

【0101】
式(I)の化合物の多くは疎水性の化合物であり、水に対する溶解度は低い。生体に投与する化合物としては水溶解度が高いことが望ましく、式(I)の化合物の内、塩を持つ化合物がより望ましい。

【0102】
式(I)の化合物又はその塩を画像診断薬として使用する場合、本化合物により脳内の老人斑を特異的に検出することができる。特に、19F-MRIを用いて非侵襲的にアミロイドβ蛋白を検出する場合、その検出感度は、フッ素原子の数に依存している。

【0103】
式(I)の化合物はβシート構造を取るAβ凝集体のみに結合するのに対して、式(2)の化合物はAβ凝集体とAβオリゴマーの両方に結合するので、式(I)の化合物と式(2)の化合物により得られた画像の差分を算出することにより、Aβオリゴマーの存在部位を検出することが可能となる。

【0104】
式(1)若しくは式(2)の化合物又はその塩を画像診断薬として使用する場合、その投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、腹腔内、静脈、動脈又は脊髄液への注射、点滴等が挙げられる。

【0105】
式(1)若しくは式(2)の化合物又はその塩を含む画像診断薬は、ヒトへの投与に適した医薬上許容される形態であって、生理学的に許容し得る添加剤を含む。かかる組成物は、適宜、医薬として許容し得る希釈剤、緩衝剤、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、プルロニック、Tween、クレモフォール又はリン脂質のような界面活性剤)、無痛化剤等を添加してもよく、更に必要に応じて、医薬として許容し得る溶剤、安定化剤又は酸化防止剤(例えばアスコルビン酸等)のような成分を含んでもよい。本発明化合物の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜選択される。

【0106】
アミロイドβ蛋白が蓄積する疾患としては、アルツハイマー病の他、ダウン症候群が挙げられ、蛋白のβシート構造が病因又は病因の一部となる疾患しては、アルツハイマー病、ダウン症候群の他、前頭側頭型痴呆症、ピック病、進行核上性麻痺(PSP)、プリオン病等が挙げられる。

【0107】
タウ蛋白が蓄積する疾患としては、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺等が挙げられる。

【0108】
α-シヌクレインが蓄積する疾患としては、パーキンソン病、レビー小体病等が挙げられる。

【0109】
TDP-43 (TAR DNA-binding protein 43 kDa)が蓄積する疾患としては、前頭側頭型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等が挙げられる。
【実施例】
【0110】
次に本発明に係わる合成例及び試験例を記載するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0111】
[合成例1] 6-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物1)の合成
(1)2-(4-ジメチルアミノスチリル)-6-ヒドロキシベンゾオキサゾール430 mg (1.53 mmol)、トリフェニルホスフィン960 mg (3.67 mmol)、17-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカン-1-オール1.60 g (3.67 mmol)をDMF (10 mL)に溶解し、氷冷中、攪拌しながらアゾジカルボン酸イソプロピルの1.9Mトルエン溶液を2.25 mL滴下した。滴下終了後、反応液を室温で6時間攪拌した後、反応液を水にあけて、酢酸エチル(150 mL)で抽出した。抽出液を水洗した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ついで飽和食塩水で洗浄してから無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製すると、6-[3',6',9',12',15'-ペンタオキサ-17'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ヘプタデカニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール780 mgが油状物として得られた。
【実施例】
【0112】
(2)窒素気流中、60%水素化ナトリウム20 mg (0.5 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら2-(2',2',2'-トリフルオロエトキシ)エタノール80 mg (0.55 mmol)のDMF (0.5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を0.5時間、室温で攪拌した。ついで、前記工程(1)で得られた6-[3',6',9',12',15'-ペンタオキサ-17'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ヘプタデカニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール280 mg (0.4 mmol)のDMF (0.5 mL)溶液を滴下して、室温で5時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(50 mL)で抽出した。抽出液を水洗後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:n-ヘキサン=2:1)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール160 mgを油状物(trans体、cis体の混合物)として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (3H, s), δ3.04 (3H, s), δ3.6~4.0 (26H), δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ4.17 (2H, q, J=5Hz), 6.2~7.1 (5H), δ7.4~7.9 (4H)
19FNMR (CDCl3):δ-75.55 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0113】
[合成例2] 6-(3',6',9',12',15',18',21',24'-オクタオキサ-25'-トリフルオロメチル-26',26',26'-トリフルオロヘキサコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物2)の合成
(1)窒素気流中、60%水素化ナトリウム48 mg (1.2 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら17-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカン-1-オール440 mg (1.2 mmol)のTHF (1 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温に0.5時間攪拌した。ついで、6-[3'-オキサ-5'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ペンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(特許文献3)522 mg (1.0 mmol)のTHF (2.5 mL)溶液を滴下して、室温で5時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(100 mL)で抽出し、抽出液を少量の水、ついで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)トリコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール580 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ1.4~1.9 (6H), δ3.03 (6H, s), δ4.63 (1H, t J=3Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0114】
(2)前記工程(1)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)トリコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール560 mg (0.78 mmol)のエタノール(5 mL)溶液に濃塩酸(0.2 mL)を加えて室温に12時間放置した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。析出する不溶物を濾別したあと、減圧下に濃縮乾固して得られる残渣をジクロロメタンで抽出した。ロータリーエバポレーターでジクロロメタンを留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-ヒドロキシトリコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール380 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.5~3.8 (28H), δ3.90 (2H, m), δ4.17 (2H, m), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0115】
(3)前記工程(2)で得られた6-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-ヒドロキシトリコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール370 mg (0.58 mmol)と塩化p-トルエンスルホニル130 mg (0.68 mmol)のジクロロメタン(2 mL)溶液にトリエチルアミン0.14 mL (1.0 mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下に濃縮乾固し、残渣を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)トリコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール420 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ2.44 (3H, s), δ3.03 (3H, s), δ3.5~3.8 (26H), δ3.89 (2H, m), δ4.20 (4H, m), δ6.6~7.9 (13H, arom.)
【実施例】
【0116】
(4)窒素気流中、60%水素化ナトリウム30 mg (0.78 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら、1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール130 mg (0.78 mmol)のTHF (0.5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で0.5時間攪拌した。ついで、前記工程(3)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)トリコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール125 mg (0.156 mmol)のTHF (0.5 mL)溶液を滴下して、55℃で1時間、攪拌しながら加熱した。反応液を酢酸エチル(50 mL)で希釈して、酢酸エチル溶液を少量の水で洗った後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:100)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21',24'-オクタオキサ-25'-トリフルオロメチル-26',26',26'-トリフルオロヘキサコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(trans体、cis体の混合物) 100 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.5~3.8 (26H), δ3.89 (2H, m), δ3.99 (2H, m), δ4.17 (2H, m), δ4.51 (1H, sep. J=6Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
19FNMR (CDCl3): δ-75.52 (d, J=6Hz)
【実施例】
【0117】
[合成例3] 6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29',29',29'-トリフルオロノナコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物3)の合成
窒素気流中、60%水素化ナトリウム30 mg (0.73 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら2-(2',2',2'-トリフルオロエトキシ)エタノール105 mg (0.73 mmol)のTHF (0.5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を1時間、室温で攪拌した。ついで、[合成例2]の(3)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)トリコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール115 mg (0.146 mmol)のTHF (0.5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で16時間攪拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチル(50 mL)で希釈し、酢酸エチル溶液を少量の水で洗った後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製して、6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29',29',29'-トリフルオロノナコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(trans体、cis体の混合物) 80 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H,s), δ3.5~3.8 (32H), δ3.88 (2H, m), δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ4.17 (2H, q, J=5Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
19FNMR (CDCl3):δ-75.55 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0118】
[合成例4] 6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35',35',35'-トリフルオロペンタトリアコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物4)の合成
(1)窒素気流中、60%水素化ナトリウム70 mg (1.75 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら、11-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)-3,6,9-トリオキサウンデカン-1-オール490 mg (1.75 mmol)のDMF (2 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を1時間室温で攪拌した。ついで、[合成例1]の(1)で得られた6-[3',6',9',12',15'-ペンタオキサ-17'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ヘプタデカニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール820 mg (1.17 mmol)のDMF (2 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で12時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を少量の水で洗った後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:酢酸エチル=1:50)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)ノナコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール514 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ1.4~1.9 (6H), δ3.03 (6H, s), δ4.63 (1H, m), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0119】
(2)前記工程(1)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)ノナコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール500 mg (0.62 mmol)のエタノール(4 mL)溶液に濃塩酸(0.2 mL)を加え、室温に14時間放置した後、反応液に飽和炭酸水素水溶液を加えて中和した。析出する不溶物を濾別した後、減圧下に濃縮乾固して得られた残渣をジクロロメタンで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-ヒドロキシノナコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール390 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.90 (2H, m), δ4.17 (2H, m), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0120】
(3)前記工程(2)で得られた6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-ヒドロキシノナコサニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール380 mg (0.53 mmol)と塩化p-トルエンスルホニル130 mg (0.68 mmol)のジクロロメタン(2 mL)溶液にトリエチルアミン0.14 mL (1.0 mmol)を加え、室温で21時間攪拌した。反応液を減圧下に濃縮乾固し、残渣を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ノナコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール420 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ2.44 (3H, s), δ3.03 (6H, s), δ3.89 (2H, m), δ4.12 (2H,q,J=7Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.34 (2H, d, J=8Hz), δ7.80 (2H, d, J=8Hz), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0121】
(4)窒素気流中、60%水素化ナトリウム95 mg (2.37 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら、2-(2',2',2'-トリフルオロエトキシ)エタノール345 mg (2.40 mmol)のDMF (1 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で0.5時間攪拌した。ついで、前記工程(3)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27'-ノナオキサ-29'-(p-トルエンスルホニルオキシ)ノナコサニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール410 mg (0.47 mmol)のDMF (1 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で12時間攪拌した。反応液を減圧下にロータリーエバポレーターを用いて、濃縮乾固して得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、抽出液を少量の飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:酢酸エチル=1:50)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35',35',35'-トリフルオロペンタトリアコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(trans体、cis体の混合物) 250 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.90 (2H, m),δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ4.17 (2H, q, J=5Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
19NMR (CDCl3):δ-75.56 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0122】
[合成例5] 6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物5)の合成
(1)窒素気流中、60%水素化ナトリウム45 mg (1.1 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら、3,6,9,12,15-ペンタオキサ-17-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)ヘプタデカン-1-オール410 mg (1.1 mmol)のDMF (1.5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌した。ついで、[合成例1]の(1)で得られた6-[3',6',9',12',15'-ペンタオキサ-17'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ヘプタデカニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール650 mg (0.93 mmol)のDMF (1.5 mL)溶液を滴下して、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧下にロータリーエバポレーターで濃縮乾固して得られた残渣を酢酸エチルで抽出した。不溶物を濾過して除き、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:40)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール580 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ1.4~1.9 (6H), δ3.03 (6H, s), δ4.63 (1H, t, J=3Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0123】
(2)前記工程(1)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イルオキシ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール570 mg (0.64 mmol)のエタノール(4 mL)溶液に濃塩酸(0.2 mL)を加えて、室温に3時間放置した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。析出する不溶物を濾過して除き、濾液を減圧下に濃縮乾固して得られた残渣をジクロロメタンで抽出した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:40)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-ヒドロキシペンタトリアコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール380 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.90 (2H, m), δ4.18 (2H, m), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0124】
(3)前記工程(2)で得られた6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-ヒドロキシペンタトリアコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール370 mg (0.46 mmol)と塩化p-トルエンスルホニル115 mg (0.60 mmol)のジクロロメタン(2 mL)溶液にトリエチルアミン0.13 mL (0.93 mmol)を加えて、室温で18時間攪拌した。反応液を減圧下に濃縮乾固し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出した。不溶物を濾別して除いた後、濾液を濃縮乾固して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール370 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ2.45 (3H, s), δ3.03 (6H, s), δ6.6~7.9 (13H, arom.)
【実施例】
【0125】
(4)前記工程(3)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール360 mg (0.37 mmol)と3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン460 mg (1.89 mmol)のDMF (3.5 mL)溶液に炭酸カリウム310 mg (2.24 mmol)を加えて、90℃に9時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(50 mL)を加え、不溶物を濾過して除いた。濾液を濃縮乾固して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:30)により精製し、6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(trans体、cis体の混合物) 250 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ2.81 (2H, t, J=5Hz), δ3.03 (6H, s), δ3.89 (2H, m), δ3.94 (2H, s), δ4.17 (2H, m), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.76 (1H, s), δ7.83 (2H, s), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0126】
[合成例6] 6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33',36',39'-トリデカオキサ-41',41',41'-トリフルオロヘンテトラコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(化合物6)の合成
窒素気流中、60%水素化ナトリウム15 mg (0.38 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら、2-(2',2',2'-トリフルオロエトキシ)エタノール55 mg (0.38 mmol)のDMF (0.2 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌した。ついで、[合成例5]の(3)で得られた6-[3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33'-ウンデカオキサ-35'-(4'-p-トルエンスルホニルオキシ)ペンタトリアコンタニルオキシ]-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール73 mg (0.076 mmol)のDMF (0.2 mL)溶液を滴下して、反応液を室温で21時間攪拌した。減圧下に反応液を濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。ロータリーエバポレーターで減圧下に酢酸エチルを留去した後、真空ポンプでDMFを留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、6-(3',6',9',12',15',18',21',24',27',30',33',36',39'-トリデカオキサ-41',41',41'-トリフルオロヘンテトラコンタニルオキシ)-2-(4'-ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール(trans体、cis体の混合物) 44 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3):δ3.03 (6H, s), δ3.73 (2H, q, J=9Hz), δ4.17 (2H, q, J=4.5Hz), δ6.6~7.1 (5H, arom.), δ7.4~7.9 (4H, arom.)
【実施例】
【0127】
[合成例7] (2E)-N-[2'-(3',4'-ジヒドロキシフェニル)エチル]-3-[4'-ヒドロキシ-3'-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)フェニル]-2-プロペンアミド(化合物7)の合成
(1)窒素気流中、60%水素化ナトリウム1.20 g (30 mmol)をフラスコに量り取り、氷冷しながら2-(2',2',2'-トリフルオロエトキシ)エタノール3.31 g (23 mmol)のDMF (5 mL)溶液を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で1時間攪拌した。ついで、1-p-トルエンスルホニルオキシ-17-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イル)オキシ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカン5.98 g (11.5 mmol)のDMF (10 mL)溶液を滴下して、室温で18時間攪拌した。反応液を濃縮乾固して得られる残渣を酢酸エチルに溶かし、酢酸エチル溶液を少量の飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで、減圧化に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、1,1,1-トリフルオロ-23-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イル)オキシ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン4.76 gを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ4.63 (1H, m)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.56 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0128】
(2)前記工程(1)で得られた1,1,1-トリフルオロ-23-(2H-テトラヒドロピラン-2'-イル)オキシ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン4.74 g (9.6 mmol)のエタノール(60 mL)溶液に濃塩酸0.1 mLを加えて、室温で16時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて中和し、濃縮乾固して得られた残渣をジクロロメタンで抽出した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣3.87 g (約9.5 mmol)をジクロロメタン(30 mL)に溶かし、塩化p-トルエンスルホニル2.35 g (12.3 mmol)を加えた後、トリエチルアミン2.5 mL (18 mmol)を加えて、[合成例2]の工程(3)に従い、反応液を室温で15時間攪拌した。反応液を少量の飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、1,1,1-トリフルオロ-23-p-トルエンスルホニルオキシ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン4.87 gを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ2.45 (3H, s), δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ7.34 (2H, d, J=8Hz), δ7.80 (2H, d, J=8Hz)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.55 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0129】
(3)前記工程(2)で得られた1,1,1-トリフルオロ-23-p-トルエンスルホニルオキシ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン2.20 gと臭化アンモニウム0.77 gをDMF 9.0 mL中、80-85℃に6時間加熱攪拌した。反応液を減圧下に濃縮して得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、抽出液を少量の水と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:100)により精製し、1,1,1-トリフルオロ-23-ブロモ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン1.71 gを油状物として得た。
【実施例】
【0130】
(4)4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒド0.82 gと前記工程(3)で得られた1,1,1-トリフルオロ-23-ブロモ-3,6,9,12,15,18,21-ヘプタオキサトリコサン1.71 gをアセトン20 mLに溶かした溶液に炭酸カリウム1.0 gとヨウ化ナトリウム50 mgを加えて、室温で46時間攪拌した。不溶物を濾別した後、濾液を濃縮して得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、抽出液を少量の水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:100)により精製し、4-ベンジルオキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-ベンズアルデヒド1.97 gを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ3.90 (2H, q, J=9Hz), δ5.22 (2H, s), δ9.83 (1H, s)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.54 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0131】
(5)前記工程(4)で得られた4-ベンジルオキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-ベンズアルデヒド1.97 gをエタノール16 mLに溶かし、この溶液にオルトギ酸エチル1.60 mLとDLショウノウ-10-スルホン酸74 mgを加えて室温で2時間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加えて、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製し、4-ベンジルオキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-α,α-ジエトキシトルエン2.01 gを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ1.23 (6H, t, J=7Hz), δ3.91 (2H, q, J=9Hz), δ5.11 (2H, s), δ5.41 (1H, s), δ6.88 (1H, d, J=8Hz), δ6.97 (1H, dd, J=8Hz, 2Hz), δ7.06 (1H, d, J=2Hz), δ7.3-7.5 (5H)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.55 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0132】
(6)前記工程(5)で得られた4-ベンジルオキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-α,α-ジエトキシトルエン2.01 gをメタノール40 mLに溶かした溶液に10%パラジウム炭素200 mgを加え、水素気流中、室温で10時間攪拌した。触媒を濾別した後、濾液を濃縮乾固して得られた残渣をアセトン6 mLに溶かした溶液に、1M-塩酸1 mLを加えて1時間室温に放置した。反応液を酢酸エチルでうすめ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ついで飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:100)により精製し、4-ヒドロキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-ベンズアルデヒド1.42 gを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ3.90 (2H, q, J=9Hz), δ7.00 (1H, d, J=8Hz), δ7.4-7.5 (2H), δ9.79 (1H, s)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.55 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0133】
(7)前記工程(6)で得られた4-ヒドロキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-ベンズアルデヒド710 mgをピリジン7 mLに溶かし、この溶液にマロン酸840 mgとピぺリジン2.3 mLを加えて、55-60℃に加熱攪拌した。反応液を氷冷し、2M-塩酸を加えてpH2に調整し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてカルボン酸を抽出し、水溶液をジエチルエーテルで洗浄した。水溶液に2M-塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去すると、4-ヒドロキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)-trans-桂皮酸620 mgが油状物として得られた。
1HNMR (CDCl3) : δ3.90 (2H, q, J=9Hz), δ6.25 (1H, d, J=16Hz), δ6.91 (1H, d, J=8Hz), δ7.12 (1H, dd, J=8Hz, 2Hz), δ7.27 (1H, d, J=2Hz), δ7.68 (1H, d, J=16Hz)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.52 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0134】
(8)前記工程(7)で得られた4-ヒドロキシ-3-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ-trans-桂皮酸480 mg、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール230 mg及び1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩320 mgのDMF (2 mL)溶液を氷冷し、攪拌しながらドーパミン塩酸塩320 mgを加え、さらにトリエチルアミン0.7 mLのジクロロメタン(2 mL)溶液を加えて、室温で24時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、抽出液を水、1M-塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:ジクロロメタン=1:50)により精製し、(2E)-N-[2'-(3',4'-ジヒドロキシフェニル)エチル]-3-[4'-ヒドロキシ-3'-(3',6',9',12',15',18',21'-ヘプタオキサ-23',23',23'-トリフルオロトリコサニルオキシ)フェニル]-2-プロペンアミド290 mgを油状物として得た。
1HNMR (CDCl3) : δ3.87 (2H, q, J=9Hz), δ6.19 (1H, d, J=16Hz), δ6.57 (1H,dd, J=8Hz, 2Hz), δ6.75 (1H, d, J=2Hz), δ6.81 (1H, d, J=8Hz), δ6.84 (1H, d, J=8Hz), δ6.9-7.1 (2H), δ7.46 (1H, d, J=16Hz)
19FNMR (CDCl3) : δ-75.50 (t, J=9Hz)
【実施例】
【0135】
なお、以下の試験例で使用している化合物8と9は、それぞれ以下の構造を有している。
化合物8
【実施例】
【0136】
【化15】
JP2014109296A1_000018t.gif
化合物9
【実施例】
【0137】
【化16】
JP2014109296A1_000019t.gif
【実施例】
【0138】
[試験例1] 19F-MR画像測定
化合物1を10 mg量り取り、80%のTween-80を0.125 ml加え、温めながら硝子棒で溶解した。ついで生理食塩水を0.875 ml加えて投与溶液(10 mg/ml)を調製した。本投与液をペントバルビタールナトリウム麻酔をかけたアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス(APP/PS1)と正常なワイルドマウス(Wild)に、尾静脈から0.2 kg/ml/minで総量200 mg/kg投与した。アルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス(APP/PS1)は、アミロイド前駆体蛋白とプレセニリン1のダブルトランスジェニックマウス(APP/PS1, Jackson研究所から購入して繁殖した)を用いた。
【実施例】
【0139】
投与終了後に麻酔下、MRI装置を用いてマウス頭部を1時間づつ連続測定し、後にそれぞれのデータを加算して画像を作成した。19F-MRIの脳画像はChemical Shift imaging法(CSI法)によって得た。なお、使用したMRI装置は、7T Unity Inova MR Scanner (Varian製)であった。
【実施例】
【0140】
化合物1をアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス(APP/PS1)と正常なワイルドマウス(Wild)に投与し、投与後5時間後から3時間測定したMRIの脳画像を図1に示す。図中、AとCは19F-MRI画像、BとDは19F-MRIと1H-MRI画像の合成写真である。上段のアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウスの19F-MR画像において、老人斑と推定される信号が脳内から検出されたが、下段のワイルドマウスからは、信号は検出されなかった。
【実施例】
【0141】
[試験例2] 脳組織染色
上記試験例1で実施した19F-MRIスキャンしたマウス脳を採取し、4%-ホルマリン溶液で2日間固定した後、15%-ショ糖溶液に移してクリオプロテクションし、クリオスタットで厚さ20μmの切片を作成した。次に、本切片をウサギ抗ヒトアミロイドβポリクローナル抗体(IBL社, 0.2μg/ml)と4℃で一晩反応させた。さらに、本検体をPBS-Tで10分間3回洗浄した後、Alexa647抗ウサギIgG抗体(Molecular Probes社、500倍希釈)と室温下4時間反応した。本検体をPBS-Tで10分間3回洗浄した後、Cresyl Violetで1分間対比染色し、更に蒸留水で洗浄後グリセロール封入を行なったものを検体とし、倒立型蛍光顕微鏡にて老人斑への化合物の結合能を観察した。なお、化合物像はDAPIフィルターで、アミロイドβ蛋白像はCy5フィルターで測定した。また、正常マウスに対しても同様の処理を実施した。
【実施例】
【0142】
得られたアルツハイマー病遺伝子改変モデルマウス脳切片の染色像を図2に示す。図中、AはDAPIフィルターでみた化合物の蛍光像で、Bはβアミロイド抗体染色像を示す。Bで認められる老人斑を形成するアミロイドβの斑点とAで認められる化合物の蛍光染色像が一致しており、化合物が老人斑に結合していることを示している。
【実施例】
【0143】
[試験例3] QCM装置を用いたAβオリゴマー及びAβ線維との結合性の解析
QCM装置のセンサー部にAβオリゴマー又はAβ線維を固定し、ガラス容器に入れたPBSに浸漬した。次に、化合物8又は化合物1を終濃度10μMになるように加え、その直後から周波数の変化を記録した。
【実施例】
【0144】
得られた結果を図3に示す。図中Aは化合物8を加えたときの周波数変化、Bは化合物1を加えたときの周波数変化を示す。化合物8を加えるとAβオリゴマーを固定したセンサー(Oligomer)及びAβ線維を固定したセンサー(Fibrillar)の両方で、なにも固定していないセンサー(Control)に比べて、周波数の著しい減少が認められた。一方、化合物8を加えたときは、Aβ線維を固定したセンサー(Fibrillar)では周波数の減少が認められたが、Aβオリゴマーを固定したセンサー(Oligomer)では、なにも固定していないセンサー(Control)とほとんど同じ周波数の変化を示した。以上の結果から、化合物8はAβオリゴマーとAβ線維の両方と結合する特性を持つが、化合物1はAβ線維とは結合するがAβオリゴマーとは結合しないことが示された。
【実施例】
【0145】
[試験例4] 化合物1と化合物8の19F-MR画像化試験
化合物1と化合物8をそれぞれ10 mg量り取り、80%のCremophor-ELを0.25 ml加え、温めながら溶解した。ついで生理食塩水を0.75 ml加えて投与溶液(10 mg/ml)を調製した。本投与液をペントバルビタールナトリウムで麻酔をかけたAPP/PS1マウスに、尾静脈から0.2 kg/ml/minで総量200 mg/kg投与した。
【実施例】
【0146】
投与終了後3時間経過時点でペントバルビタールナトリウムを過剰投与してマウスを安楽死させた。そしてMR装置を用いてマウス頭部の19F-MR信号を測定した。測定はまずNMRスペクトルを取得するためのシングルパルス測定を10分間実施し、次いでChemical Shift imaging法(CSI法)による画像化のための50分間の測定を繰り返し、測定終了後にデータを加算して画像を作成した。
【実施例】
【0147】
得られた結果を図4に示す。図中、Aは16月齢のAPP/PS1マウスにおけるNMRスペクトル、Bは16月齢のAPP/PS1マウスにおける1H-MR画像、化合物8の19F-MR画像、化合物1の19F-MR画像、化合物8と化合物1の19F-MR信号の差分を示した画像である。上段は水平断、下段は矢状断の画像である。NMRスペクトルにおいて化合物8と化合物1は完全に分かれたピークとして検出された。そしてそれぞれのピークのケミカルシフトを用いて画像を作成することにより、同時に投与した化合物8と化合物1を別々に画像化することに成功した。また、両者の画像の差分を算出することにより、2つの化合物の信号の分布や強度の違いを描写することに成功した。Cは11月齢のAPP/PS1マウスにおいて得られた画像である。より若年のマウスにおいても同時に投与した化合物8と化合物1を別々に画像化することに成功した。
【実施例】
【0148】
[試験例5] 化合物1、化合物7及び化合物9によるMR画像の比較
化合物1、化合物7及び化合物9を10 mMとなるようにDMSOに溶解した。ペントバルビタールナトリウムで麻酔をかけたマウスを脳定位固定装置に固定して、頭皮を切開し、頭蓋骨を露出させた。次にブレグマから前方0.1 mm、左方及び右方2.3 mmにドリルで穴をあけた。続いて、薬液を満たしたハミルトンシリンジのニードルを上記の穴から硬膜下2.5 mmに挿入し、薬液を2μL注入した。10分間静置した後、ニードルを引き抜いた。左の穴には化合物9を、右の穴には化合物1又は化合物7を注入した。直後にペントバルビタールナトリウムを過量投与することによりマウスを安楽死させ、MR装置を用いて化合物の画像化試験を実施した。画像化にはCSI法による20分間の測定によって得られたデータを使用した。
【実施例】
【0149】
得られた結果を図5に示す。図中Aは左脳に化合物9、右脳に化合物1を投与したマウス頭部のMR画像、Bは左脳に化合物9、右脳に化合物7を投与したマウス頭部のMR画像である。それぞれの図の上段は水平断又は冠状断における1H MR画像及び19F MR画像で、下段が1H MR画像と19F MR画像の重ね合わせ画像である。化合物9を投与した左脳では化合物9の19F MR信号は検出されなかったが、化合物1又は化合物7を投与した右脳ではそれぞれの化合物の19F MR信号が検出され(矢頭)、画像化に成功した。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の化合物は、βシート構造を取るアミロイドβ蛋白に対する高い結合特異性と高い検出感度を併せ持つためMRI造影剤として機能し、医療機関に広く普及しているMRI装置を用いてアルツハイマー病をはじめとするアミロイド蓄積性疾患の生前非侵襲診断に利用できる。
【0151】
さらに、本発明の化合物は、高い検出感度を有しているため、アルツハイマー病以外の、タウ蛋白、α-シヌクレイン又はTDP-43が蓄積する疾患の生前非侵襲診断にも応用可能性がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4