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明細書 :温度補償機能付センサ素子とそれを用いた磁気センサおよび電力測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 温度補償機能付センサ素子とそれを用いた磁気センサおよび電力測定装置
国際特許分類 G01R  33/09        (2006.01)
G01R  35/00        (2006.01)
H01L  43/08        (2006.01)
FI G01R 33/06 R
G01R 35/00 M
H01L 43/08 B
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 32
出願番号 特願2015-509914 (P2015-509914)
国際出願番号 PCT/JP2014/001905
国際公開番号 WO2014/162730
国際出願日 平成26年4月1日(2014.4.1)
国際公開日 平成26年10月9日(2014.10.9)
優先権出願番号 2013076469
優先日 平成25年4月1日(2013.4.1)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】辻本 浩章
出願人 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100109841、【弁理士】、【氏名又は名称】堅田 健史
【識別番号】100167933、【弁理士】、【氏名又は名称】松野 知紘
【識別番号】100174137、【弁理士】、【氏名又は名称】酒谷 誠一
審査請求 未請求
テーマコード 2G017
5F092
Fターム 2G017AA01
2G017AB05
2G017AC04
2G017AC09
2G017AD55
2G017AD65
2G017BA05
2G017BA09
5F092AA08
5F092AB01
5F092AC05
5F092BB55
5F092BC42
5F092FA08
要約 磁気抵抗効果型磁気センサにとっては、周囲の温度が上がることによって、磁性膜自身の磁気特性が低下するために、センサとしての感度が低下するという問題があった。
磁気抵抗効果を有する磁性膜と前記磁性膜に電流を流すための前記磁性膜を介して対向した一対の電極と、前記電極の対向方向に第1のバイアス磁界を発生させる縦バイアス磁界付加磁石と、前記縦バイアス磁界付加磁石に直角方向に第2のバイアス磁界を発生させる横バイアス磁界付加磁石を有し、前記縦バイアス磁界付加磁石の温度特性が前記横バイアス磁界付加磁石の温度特性より大きいことを特徴とするセンサ素子。
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気抵抗効果を有する磁性膜と
前記磁性膜に電流を流すための前記磁性膜を介して対向した一対の電極と、
前記電極の対向方向に第1のバイアス磁界を発生させる縦バイアス磁界付加磁石と、
前記縦バイアス磁界付加手段に直角方向に第2のバイアス磁界を発生させる横バイアス磁界付加磁石を有し、
前記縦バイアス磁界付加磁石の温度特性が前記横バイアス磁界付加磁石の温度特性より大きいことを特徴とするセンサ素子。
【請求項2】
前記横バイアス磁界付加磁石は前記磁性膜の表面に設けられた導電体により構成させることを特徴とする請求項1に記載されたセンサ素子。
【請求項3】
前記縦バイアス磁界付加磁石は温感磁性膜で構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載されたセンサ素子。
【請求項4】
前記縦バイアス磁界付加磁石は、永久磁石のN極およびS極の両端に同じ温度特性を有する温感磁性膜を配置させ、前記磁性膜に隣接配置したことを特徴とする請求項1または2に記載されたセンサ素子。
【請求項5】
磁界を検出する磁気センサであって、
請求項1乃至4のいずれかのセンサ素子と、
前記センサ素子の両端電極間に電流を流す電流源と、
前記センサ素子の前記両端電極間の電圧を計測する電圧計を有することを特徴とする磁気センサ。
【請求項6】
磁気抵抗効果を有する磁性膜と
前記磁性膜に電流を流すための前記磁性膜を介して対向した一対の電極と、
前記磁性膜の縦方向に対して斜め方向のバイアス磁界を発生させる温度特性を有する斜めバイアス磁界付加磁石を有することを特徴とするセンサ素子。
【請求項7】
前記斜め方向のバイアス磁界に対して、前記磁性膜と逆方向に傾斜し、
それぞれが並列に接続されるように、前記一対の電極を共有する電極を有した第2の磁性膜を有することを特徴とする請求項6に記載されたセンサ素子。
【請求項8】
前記斜め方向のバイアス磁界に対して、前記磁性膜と前記斜め方向のバイアス磁界がなす角度と同じ角度であって、前記磁性膜と逆方向に傾斜することを特徴とする請求項6または7の何れかに記載されたセンサ素子。
【請求項9】
磁界を検出する磁気センサであって、
請求項7乃至8のいずれかのセンサ素子と、
前記センサ素子の両端電極間に電流を流す電流源と、
前記センサ素子の前記両端電極間の電圧を計測する電圧計を有することを特徴とする磁気センサ。
【請求項10】
電源と負荷が接続線によって接続された回路において前記負荷で消費される電力を計測する電力測定装置であって、
前記接続線に隣接配置される電源請求項1乃至8のいずれかのセンサ素子と、
前記センサ素子の両端電圧を計測する電圧計と、
前記センサ素子の一端に一端が接続されたセンサ抵抗と、
前記電源に対して前記負荷と並列に接続するために、前記センサ素子の他端に設けられた第1の接続端子と、前記センサ抵抗の他端に設けられた第2の接続端子を有することを特徴とする電力測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は温度補償機能が付与されたセンサ素子と、それを用いた磁気センサおよび電力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の磁気センサの用途はますます拡大することが予想される。特に電力測定装置は、石化燃料から電気エネルギー利用を目指す上で、必須のデバイスと考えられる。特許文献1には、磁気センサとセンサ抵抗を直列に接続し、電気回路中の負荷と並列にしかも、電気回路の配線に隣接して設置することで、負荷における消費電力を計測することができる電力測定装置が開示されている。
【0003】
このような電力測定装置は、ほとんど磁性薄膜の大きさで形成することができるため、素子全体が数mm四方程度の大きさで作製することができる。したがって、大規模なシステムの様々な箇所毎に設置することで、細かな消費電力の監視が可能になる。
【0004】
一方、用途が広がれば、使用が予定される環境も苛酷な環境が想定される。特に温度は磁気特性を変化させることが知られており、センサ感度の精度向上のためにも、磁気センサにとって温度補償は不可欠な技術となる。
【0005】
この課題に鑑みて、特許文献2には、温度の異なる環境での磁気抵抗効果が、印加される磁界に対して、所定の関係を有することで、一定の温度補償が可能になる技術が開示されている。
【0006】
磁気を利用した磁気センサの中でも、磁気抵抗効果を利用する磁気センサを特に磁気抵抗効果型磁気センサと呼ぶ。この磁気抵抗効果型磁気センサは、電流を流す方向に対して直角方向に加えられた被測定磁界の大きさを検出するものである。そして、その検出のために被測定磁界と同じ方向に予め加えられる磁界をバイアス磁界と呼ぶ。
【0007】
特許文献2は、バイアス磁界の大きさと磁気抵抗効果の関係について言及はしている。しかしながら、特許文献2でのバイアス磁界とは、測定対象物の回転子の凹部が接近したときは、磁気センサに加えられる磁界が小さくなり、凸部が接近したときには、磁気センサに加えられる磁界が大きくなる。つまり、特許文献2でいうところのバイアス磁界は、実質的に磁気センサに対する印加磁界(被測定磁界)のことであって、磁気センサの動作点を決めるためのバイアス磁界ではない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】WO2012/105459
【特許文献2】特開2005-049262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁気抵抗効果型磁気センサにとっては、周囲の温度が上がることによって、磁性膜自身の磁気特性が低下するために、センサとしての感度が低下するという問題を解決しなければならない。通常はこれを温度補償回路が行っていた。しかしながら、温度補償回路は磁気センサが配設されている箇所の温度情報を得る必要があり、磁気センサの設置箇所に何らかの温度センサを取り付ける必要がある。
【0010】
これは装置の大型化および設置の手間の増大につながる。磁気センサ自体が温度変化をキャンセルできるような温度補償(自律的補償)手段が、磁気抵抗効果型磁気センサを初めとする磁気センサには必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、磁気センサを構成するセンサ素子に温度補償機能を付与したものである。より具体的に本発明に係るセンサ素子は、
磁気抵抗効果を有する磁性膜と
前記磁性膜に電流を流すための前記磁性膜を介して対向した一対の電極と、
前記電極の対向方向に第1のバイアス磁界を発生させる縦バイアス磁界付加磁石と、
前記縦バイアス磁界付加磁石に直角方向に第2のバイアス磁界を発生させる横バイアス磁界付加磁石を有し、
前記縦バイアス磁界付加磁石の温度特性が前記横バイアス磁界付加磁石の温度特性より大きいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るセンサ素子は、
磁気抵抗効果を有する磁性膜と
前記磁性膜に電流を流すための前記磁性膜を介して対向した一対の電極と、
前記磁性膜の縦方向に対して斜め方向のバイアス磁界を発生させる温度特性を有する斜めバイアス磁界付加磁石を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る磁気センサは上記のセンサ素子を用いたものである。具体的に本発明に係る磁気センサは、上記のセンサ素子と、
前記センサ素子の両端電極間に電流を流す電流源と、
前記センサ素子の前記両端電極間の電圧を計測する電圧計を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電力測定装置は、上記のセンサ素子を用いたものである。より具体的には、
電源と負荷が接続線によって接続された回路において前記負荷で消費される電力を計測する電力測定装置であって、
前記接続線に隣接配置される上記のセンサ素子と、
前記センサ素子の両端電圧を計測する電圧計と、
前記センサ素子の一端に一端が接続されたセンサ抵抗と、
前記電源に対して前記負荷と並列に接続するために、前記センサ素子の他端に設けられた第1の接続端子と、前記センサ抵抗の他端に設けられた第2の接続端子を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るセンサ素子は、予め磁気抵抗効果を抑制するような縦バイアス磁界を素子に印加しておく。そして、この縦バイアス磁界付加磁石は、磁性膜同様に温度特性を有しており、温度の上昇とともに、縦バイアス磁界が減少するように働く。その結果、磁性膜の磁気抵抗効果は、温度上昇によって感度が低下するが、抑制要因であった縦バイアスも低下するため、感度を維持することができる。
【0016】
また、本発明に係るセンサ素子は、磁性膜の磁気抵抗効果と縦バイアス磁界の温度特性を打ち消し合わせるだけでなく、磁気抵抗効果と縦バイアス磁界と横バイアス磁界を打ち消し合わせることで、より細かく温度による感度の変化を抑制することができる。
【0017】
特に、斜めバイアス磁界を利用したセンサ素子は、磁性膜を磁性膜だけを用いて作製することができるので、インピーダンスを大きくできる、作製が容易、感度を斜めバイアス磁界との角度で調節できるといった効果を有する。
【0018】
また、この磁気センサを用いた磁気センサおよび電力測定装置は、過酷な温度変化下であっても、感度の精度を維持することができ、信頼性の高いシステム構築に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】センサ素子の構成および磁気抵抗効果を表す図である。
【図2】温度および縦バイアス磁界が磁気抵抗効果に表す影響を示すグラフである。
【図3】本発明に係るセンサ素子の温度補償の原理を説明する図である。
【図4】本発明に係るセンサ素子の構成を示す図である。
【図5】本発明に係るセンサ素子の他の実施形態を示す図である。
【図6】温度補償される際の、磁界を示す図である。
【図7】他の温度補償の方法を説明するための磁気抵抗効果を示す図である。
【図8】斜めバイアス磁界を使うセンサ素子の構成を示す図である。
【図9】斜めバイアス磁界を用い、磁性膜を一対使用する場合の構成を示す図である。
【図10】C型磁石を斜めバイアス磁界付加磁石としたセンサ素子の構成を示す図である。
【図11】本発明に係るセンサ素子を用いた電力測定装置の構成を示す図である。
【図12】一対のセンサ素子をブリッジ回路に組み込んだものを用いた電力測定装置の構成を示す図である。
【図13】斜めバイアス磁界を使うセンサ素子を用いた電力測定装置の構成を示す図である。
【図14】斜めバイアス磁界を使うセンサ素子を一対用いた電力測定装置の構成を示す図である。
【図15】実施例の実験装置の構成を示す図である。
【図16】磁気抵抗効果素子の感度と温度の関係を示す実験結果を示す図である。
【図17】縦バイアス磁界が変化した時の感度の変化を示す図である。
【図18】温度補償を行う際に必要な縦バイアス磁界の温度に対する変化分を示す図である。
【図19】実際に温度補償を測定した実験結果を示すグラフである。
【図20】斜めバイアス磁界を用いる一対のセンサ素子を斜めバイアス磁界に対して対称に配置し、角度を変化させた時の動作点の動きを調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明のセンサ素子の原理について説明し、次に具体的な構成などを説明する。図1には、まず、磁気抵抗効果を利用した磁気センサ1の原理を示す。図1(a)を参照して、基板10上に設けられた磁性膜12を短冊状に成形する。両端は電極14a、14bが設けられる。この対向する電極14a、14b間に電源9によって電流が流される。対抗する電極14a、14b間の方向または、短冊の長手方向を「縦方向」と呼ぶ。また、縦方向に直角な方向を「横方向」と呼ぶ。短冊状の磁性膜12の場合は、短冊の幅方向が「横方向」となる。

【0021】
なお、本発明においては磁性膜12は成膜法によって形成された膜状磁性体だけでなく、縦方向と横方向が識別できれば、バルク材料であってもよい。すなわち、断面が円であっても、方形であってもよい。

【0022】
この短冊状の磁気センサ1は、横方向から磁界Hが印加されると、電極14a、14b間の抵抗値Rmrが変化する。これを磁気抵抗効果とよび、磁気抵抗効果を用いたセンサを磁気抵抗効果型磁気センサと呼ぶ。図1(b)には、磁気抵抗効果をグラフで表す。横軸は横方向から加えられる磁界Hの強さで、縦軸は磁性膜12の縦方向における抵抗値Rmrである。

【0023】
図1(b)のグラフの左半分を参照して、よく知られているように、磁気抵抗効果は、横方向からの磁界Hが増える(H1)と、磁性膜12の縦方向の抵抗値Rmr(Rmr1)が減少する。なお、増加するものもあるが、ここでは横方向磁界Hの増加とともに抵抗値Rmrは減少するとして説明する。

【0024】
磁気抵抗効果型磁気センサは、横方向からの磁界Hに対しては、方向に係らず、同じだけの抵抗値変化量ΔRmr(ΔRmr1)を生ずる。つまり、横方向で右から左に磁界Hがかかっても、左から右に磁界Hがかかっても、抵抗値変化量ΔRmrは同じである。つまり、磁気抵抗効果は、横方向から加えられる磁界Hに対しては偶関数の特性を有する。

【0025】
しかし、これでは、磁気センサ1は、磁界Hの方向に関する情報を検出することができない。そこで、図1(b)のグラフの右半分を参照して、横方向に、ある程度のバイアス磁界Hbiasを加える。これを横バイアス磁界Htbと呼ぶ。横バイアス磁界Htbは、磁気抵抗効果の動作点Hpを偶関数の傾斜部分に沿ってずらすので、磁気センサ1は、バイアス磁界Hbiasと同じ方向(H2)か、逆方向(-H2)かといった、印加された磁界Hの方向の抵抗値変化量の情報(ΔRmr2、-ΔRmr2)まで検出することができる。

【0026】
ここで、磁性膜12の温度が上がったとする。磁性体は、一般的にキュリー温度になると磁性を失う。そして、磁性体はキュリー温度までは温度が上がるに従って、飽和磁化、保磁力といった磁気特性が低下する。磁気抵抗効果は、磁性膜12の磁化が関係すると考えられるので、温度の上昇によって磁気抵抗効果は低下する。

【0027】
図2(a)には、磁気抵抗効果の温度変化を示している。磁気抵抗効果を表すグラフの右半分だけを示す。横軸は横方向からの磁界Hであり、縦軸は磁性膜12の縦方向の抵抗値Rmrである。低温t0から高温t2に向かうに従って、特性曲線は、急峻な山形からブロードな山形に変わる。横バイアス磁界Htbが変化しないとすると、磁気センサ1のダイナミックレンジSは、温度の上昇に従い、S0からS2に減少する。すなわち、感度が低下する。

【0028】
ところで、磁性膜12の縦方向に加えるバイアス磁界Hbiasを縦バイアス磁界Hobと呼ぶ。磁性膜12に縦バイアス磁界Hobを印加すると、縦バイアス磁界Hobが大きくなるに従って、磁気抵抗効果が抑制される。

【0029】
図2(b)に縦バイアス磁界Hobを変えた時の磁気抵抗効果を示す。横軸は横方向の磁界Hであり、縦軸は磁性膜12の縦方向の抵抗値Rmrである。縦バイアス磁界HobがHob0からHob2と大きくなると、磁気抵抗効果は、急峻な山形からブロードな山形に変わる。すなわち、磁気センサ1の感度がS0からS2に低下する。

【0030】
磁気抵抗効果は、磁性膜12の磁化の向きと電流の向きに依存すると考えられる。縦バイアス磁界Hobは、磁性膜12の磁化を縦方向に拘束する働きがある。したがって、横方向から印加された磁界Hによって磁化の方向が変化しにくく、その結果磁気抵抗効果が抑制されると考えられる。

【0031】
縦バイアス磁界Hobを、温度特性を有する磁石で印加すると、周囲の温度が上昇すると縦バイアス磁界Hobは減少する。縦バイアス磁界Hobを発生する磁石自体が温度の上昇とともに、磁気特性を低下させるからである。すなわち、磁気抵抗効果のダイナミックレンジSは大きくなる。

【0032】
そこで、温度が上昇すると感度が低下する磁性膜12と、温度が上昇すると感度を上げることができる縦バイアス磁界Hobを組み合わせることで、磁気センサ1の温度補償を行うことができる。

【0033】
図3を参照する。図3は、磁気抵抗効果の半分だけを示した。温度t0の時に、C1の磁気抵抗効果を有する磁性膜12に対して、予め縦バイアス磁界Hob2を印加し、磁気抵抗効果をブロードな山形C1にしておく。この磁気センサ1の温度がt1に上がると、磁性膜12の特性により磁気抵抗効果はさらにブロードになろうとする(C2)。しかし、このとき、温度上昇に応じて縦バイアス磁界もHob2からHob1に減少するので、磁気抵抗効果は急峻な山形に戻る(C3)。すなわち、温度が変化しても、磁気抵抗効果は変化しない。

【0034】
ここで、重要なのは、横バイアス磁界Htb(Hbias)は、磁性膜12および縦バイアス磁界Hobの変化に対して、ほぼ一定であることが必要である。すなわち、縦バイアス磁界Hobは横バイアス磁界Htbよりも大きな温度特性を有している。

【0035】
(実施の形態1)
次に図4を参照して、この原理に基づく温度補償機能付磁気センサの構成を示す。図4(a)は、温度補償機能付磁気センサ2の構成を示し、図4(b)は、センサ素子13の組立図を示す。温度補償機能付磁気センサ2は、基板10上に形成された短冊状の磁性膜12と、磁性膜12の両端に設けられた電極14a、14bと、電極14a、14b間に電流を流す電流源16と、横バイアス磁界付加磁石18と、縦バイアス磁界付加磁石20と、電極14a、14b間の電圧を計測する電圧計22を含む。

【0036】
磁性膜12は、ガラスやセラミックといった基板10上に形成されてよい。材質は磁気抵抗効果を発現する材料であれば、特に限定されない。大きさは、磁気センサとして設置される箇所に応じて変更することができる。例えば、回路基板上での使用をする場合、回路パターンと共に回路基板上若しくは回路基板内に作り込んでもよい。

【0037】
形状は短冊状であるのが好ましい。磁気抵抗効果は電流を流す距離(抵抗値)によって感度が高くなるので、電流を流す方向(縦方向)にはある程度の長さがあるのが好ましい。一方、電流を流す方向に直角な方向(横方向)は、短くてもよいからである。なお、電流が流れる方向に長ければ、短冊状を折り返して直列に接合した九十九折れ状であってもよい。

【0038】
電極14a、14bは、磁性膜12よりも導電性が高い材料であるのが望ましい。例えば、銅、アルミニウム、銀、金といった良導電性物質若しくはこれらの合金が好適に利用できる。なお、電極14a、14bも磁性膜12で形成してもよい。

【0039】
電流源16は、磁性膜12に電流を流すための電源である。磁気抵抗効果は、電気抵抗値が変化するので、電流を流し、磁性膜12の両端電圧で検出するためである。電流源16は、定電圧源であってもよいし、定電流源であってもよい。電流源16は、磁性膜12の両電極14a、14bに接続され、磁性膜12の縦方向に電流を流す。

【0040】
横バイアス磁界付加磁石18は、磁性膜12の横方向(電流を流す方向と直角方向)に横バイアス磁界Htbを印加する磁石である。磁性膜12の横方向に磁極18a、18bを有するC字型の永久磁石が好適に利用することができる。永久磁石の磁界強度は予め磁性膜12の磁気抵抗効果の大きさに応じた横バイアス磁界Htbの大きさに調節される。より具体的には、永久磁石の組成を変えて発生磁界を調節することができる。また、厚みを薄くするなど体積を小さくするといった方法でも調節が可能である。もちろん、これらを併用してもよい。

【0041】
なお、横バイアス磁界付加磁石18は、磁性膜12の縦方向の磁化と磁性膜12に流れる電流の向きを変えることができればよい。したがって、永久磁石であっても、電磁石であってもよい。また、磁性膜12上のパターン形成によって、実質的に横バイアス磁界Htbがかかった状況をつくり出せる構造であってもよい。すなわち、横バイアス磁界付加磁石18は、磁界発生源以外の構成を含む。ただし、後述する縦バイアス磁界付加磁石20よりも温度特性が小さいことが必要である。

【0042】
温度特性が小さいとは、温度の変化によって磁界強度が変化しないということである。例えば、使用される温度範囲において、温度特性の小さい永久磁石、定電流源に接続された電磁石、横バイアス磁界Htbがかかった状況をつくり出せる構造などである。

【0043】
特に、横バイアス磁界Htbがかかった状況をつくり出せる構造は、温度特性はゼロであり、横バイアス磁界付加磁石18としてのスペースも小さくてよいので、好適に利用できる。具体的な構造は特許文献1に紹介されているバーバーポール構造であるが、詳細は改めて後述する。

【0044】
縦バイアス磁界付加磁石20は、磁性膜12の縦方向に磁界を付加する磁石である。図4では、電極14a、14bより外側に磁極20a、20bを有するC字型磁石である。縦バイアス磁界付加磁石20は、磁性膜12の温度特性と共に変化する必要がある。従って磁性膜12程度若しくはそれ以上の温度特性を有するものが好ましい。

【0045】
通常バルクの磁性体の温度特性は小さく、キュリー温度付近で急激に磁化を喪失する特性が多い。しかし、磁気抵抗効果自体が数パーセント程度の変化であるため、磁性膜12の磁気特性の微小変化の補償が必要であること、また縦バイアス磁界Hob自体は、数十Oe程度の発生磁界を数十Oe程度変化させる必要があることから、比較的小さな出力磁界に対して、大きな温度特性を有する永久磁石等が望ましい。

【0046】
例えば、フェライトの組成比を変えたり、添加物を入れる等することによって、数Oe/℃の変化が可能な感温磁性体が好適に利用できる。また、感温磁性体は複数の種類を用いても良い。少なくとも、磁性膜12、横バイアス磁界付加磁石18、縦バイアス磁界付加磁石20を含めてセンサ素子13と呼ぶ。センサ素子13には、基板10が含まれていても良い。

【0047】
電圧計22は、磁性膜12の両端の電圧を計測するためのものである。電圧計であれば、特に構成に限定されるものはない。単にアンプ回路が接続されるだけであってもよい。なお、磁気抵抗効果は電気抵抗値の変化で横方向に印加される被測定磁界の大きさを測定するものであるので、被測定磁界がない時の磁性膜12の両端の電圧値を保持する手段があるのが望ましい。例えば、MPU(Micro Processor Unit)を用いた制御部が計測結果を表示する表示部を伴ってさらに付加されているのが望ましい。

【0048】
また、磁性膜12の両端の電圧を計測するとは、複数の磁性膜12が直列若しくは並列に接続されている場合の両端電圧であってもよい。また、抵抗を介した両端であってもよい。さらに、磁性膜12がブリッジ回路の一部に組み込まれている場合は、ブリッジ回路のバランス点(図12の符号53、54参照)であってもよい。ブリッジ回路のバランス点は、抵抗若しくは磁性膜12を介した両端と言えるからである。

【0049】
以上の構成を有する温度補償機能付磁気センサ2は、被測定磁界中に感応部であるセンサ素子13を入れると、被測定磁界の磁性膜12の横方向成分の強さに応じて、磁性膜12の電気抵抗値Rmrが変化するため、被測定磁界の大きさを直接的に検知することができる。この被測定磁界は、永久磁石からの磁界だけでなく、流れる電流が発生する磁界でも検出することができるため、温度補償機能付磁気センサ2は、電力測定装置にも好適に利用することができる。

【0050】
また、周囲の温度が変化すると、磁性膜12の磁気抵抗効果は、図2(a)に示したようにブロードな方向に変化する。しかし、同様に縦バイアス磁界付加磁石20も温度の変化によって、発生磁界が減少する。これによって、図3で示したように、磁気抵抗効果は急峻な山形の形状に戻り、結果として磁気センサの感度は温度が変わってもほぼ同じ状態を維持することができる。

【0051】
(実施の形態2)
図5に、本実施の形態に係る温度補償機能付磁気センサ3の構成を示す。実施の形態1で示した温度補償機能付磁気センサ2と同じ部分については、同じ符号を付し、説明は省略する。温度補償機能付磁気センサ3は、横バイアス磁界付加磁石18が磁性膜12上の導電体24のパターンによって構成される。

【0052】
磁性膜12上には、電極14a、14b間にストライプ状の導電体24のパターンが形成されている。導電体24は電極14a、14b同様、磁性膜12より導電性の高い材料が用いられる。電極14a、14b間に流された電流はストライプ状の導電体24間を最短距離で流れるため、ストライプの角度θだけ磁性膜12中に流れる電流Iの角度は電極14a、14b間(縦方向)の軸からずれる。

【0053】
言い換えると、縦バイアス磁界Hobによって磁化Mは縦方向に向いているので、電流Iと磁化Mの向きが異なる。結果、横バイアス磁界Htbが付加されているのと同等の効果を生みだす。このように磁性膜12の磁化Mと流れる電流Iの向きを磁性膜12上に設けられた導電体24のパターンによって変更する構造であっても、横バイアス磁界付加磁石18と呼ぶのは、すでに説明した通りである。

【0054】
また、ストライプ状の導電体24は、傾斜の方向が異なるパターンが磁性膜12状に形成されている。これらのパターンの会合部には、共通電極24cが形成される。これは、方向が異なる横バイアス磁界付加磁石18を持つセンサ素子が、直列に接続されたのと同じである。共通電極24cを接地し、センサ素子同士の両端電極14a、14bを出力とすると、2つのセンサ素子の出力を合成することができ、感度が倍になる。

【0055】
また、接地されていることで、出力のドリフトが抑制される。このように、実質的に複数のセンサ素子が1つのパターンとして一体的に作製されているものもセンサ素子13と呼んでよい。

【0056】
なお、電圧計22は、このようなセンサ素子13に対応するため、両端電極14a、14bを合成するための抵抗22r1、22r2を介する入力と、共通電極24cを接地して入力とする2つの入力を有するアンプ22Aで構成された例を示す。

【0057】
また、縦バイアス磁界付加磁石20は、薄い永久磁石20cに感温磁性体20d、20eを連結したものである。ここで薄い永久磁石20cとは、面方向に磁極が形成されている磁石であって、磁極間が、磁極面を構成する縦横の少なくともいずれかの長さより短いものをいう。感温磁性体20d、20eは、透磁率が高く、温度特性が異なるものを複数種類使用し、薄い永久磁石20cに近い方から遠い方に向かって温度特性が大きくなるように設定する。

【0058】
図5では2種類の感温磁性体20d、20eを使用した。薄い永久磁石20cに近い感温磁性体20dの温度特性は、遠い感温磁性体20eの温度特性より小さい。また、薄い永久磁石20cは温度特性が、温度補償機能付磁気センサ3が用いられる温度領域で小さくてよい。

【0059】
以上の構成の温度補償機能付磁気センサ3の動作について図6を参照して説明する。図6(a)を参照して、薄い永久磁石20cは、反磁界の影響で、もれ磁界は小さい。この薄い永久磁石20cを高透磁率の感温磁性体20d、20eで挟持すると、磁極N、Sは、感温磁性体20e側(20a、20b)に発現する。

【0060】
図6(b)を参照して、ここで周囲の温度が上がると、磁性膜12の磁気抵抗効果はブロードとなる。一方、温度特性の大きな感温磁性体20d、20eは、薄い永久磁石20cに遠い感温磁性体20eから透磁率を喪失する。すると、磁極N、Sは、次の感温磁性体20dの端部20da、20db間に発現する。この時の磁界は、磁性膜12から見ると、磁極20a、20b間に発現していた縦バイアス磁界Hobが小さくなったのと同様になる。

【0061】
また磁界が発生しなくなった磁極20a、20b付近の磁性膜12a、12bには縦バイアス磁界Hobが印加されなくなったと見ることもできる。結果、磁性膜12の磁気抵抗効果は、磁化Mの縦バイアス磁界Hobによる拘束が小さくなり、急峻な山形へと移行し、磁気センサとしての感度は変化しない(図4参照)。

【0062】
なお、図6(c)を参照して、縦バイアス磁界Hobを発生させるのは、実施の形態1でも説明した感温磁性体の磁石であってもよい。この場合は、磁極の移動はないが、磁石の発する磁界自体が減少する。

【0063】
(実施の形態3)
実施の形態1および2では、縦バイアス磁界付加磁石20の温度特性を横バイアス磁界付加磁石18の温度特性より大きくすることで、センサ素子13全体としての温度特性を一定にする構成を説明した。これは、磁性膜12の温度特性と縦バイアス磁界付加磁石20の温度特性を打ち消し合わせるという技術思想である。本発明に係るセンサ素子13は、これだけに限定されるものではなく、磁性膜12の温度特性と、縦バイアス磁界付加磁石20および横バイアス磁界付加磁石18の温度特性を打ち消し合わせるように構成してもよい。

【0064】
図7には、その原理を示す。図7には、磁気抵抗効果のグラフを示す。横軸は、磁性膜12の横方向に印加される磁界Hであり、縦軸は磁性膜12の抵抗値Rmrである。すでに述べたように、最初に曲線C10であった磁気抵抗効果は、磁性膜12の温度特性により、温度が上がると、はブロードになる方向に変化する(C11)。一方、縦バイアス磁界Hobが温度上昇によって、小さくなると、磁気抵抗効果は、急峻になる方向に変化する。実施の形態1および2はこれらの効果を打ち消し合わせる。

【0065】
しかし、後述する実施例に示すように、縦バイアス磁界Hobが減少すると、磁気抵抗効果は指数関数的に急峻な方向に変化する(C12)。つまり、磁性膜12の磁気抵抗効果が温度上昇によってブロードになる程度(C11)より、縦バイアス磁界Hobが減少することによる磁気抵抗効果が急峻になる程度(C12)が大きい場合がある。

【0066】
このような場合、動作点Hpは、磁気抵抗効果を示す曲線C15の裾野の部分Hp15になってしまい、センサ素子13としての感度は著しく減少する。そこで、横バイアス磁界Htbも同時に減少させ(Htb16)、動作点Hpをより感度が高い部分Hp16に移動させる。なお、図7では、感度を磁気抵抗効果を表す曲線の接線として示した。すなわち、動作点Hpにおける傾き(矢印で示した。)は、動作点Hp15における傾きより急な傾斜であり、動作点Hp16での傾きは、動作点Hpでの傾きとほぼおなじである。

【0067】
図8には、具体的な方法を示す。図8(a)を参照して、磁性膜12に対して斜め方向のバイアス磁界(斜めバイアス磁界Hsb)を印加する。この斜めバイアス磁界Hsbを磁性膜12に印加する磁石を斜めバイアス磁界付加磁石40と呼ぶ。斜めバイアス磁界付加磁石40は、温度特性が同じ程度の磁石を複数個組み合わせても良いし、電磁石であってもよい。

【0068】
すなわち、温度上昇と共に磁気特性が低下する縦バイアス磁界付加磁石20と、縦バイアス磁界付加磁石20の磁気特性の変化に伴って、動作点Hpでの感度があまり変化しないように横バイアス磁界を低下させる横バイアス磁界付加磁石18を組み合わせて使用してもよい。また、温度によって、出力磁界を変化させるように制御された、電磁石を用いてもよい。また、これらの永久磁石および、電磁石を組み合わせて斜めバイアス磁界付加磁石40を構成してもよい。

【0069】
例えば、一対の磁極によって発生する磁界を磁性膜12の縦方向に対して斜めの方向に印加すれば構成として単純で好適である。例えば、図2で示したC字型磁石(縦バイアス磁界付加磁石20)を磁性膜12に対して斜めに配置するなどである。

【0070】
磁界はベクトルであるので、斜めバイアス磁界Hsbは、縦バイアス磁界成分と横バイアス磁界成分に分けて考えることができる。ここでは、縦バイアス磁界成分を等価縦バイアス磁界Hsbvと呼び、横バイアス磁界成分を等価横バイアス磁界Hsbhと呼ぶ。

【0071】
等価横バイアス磁界Hsbhは、磁性膜12の横方向(縦方向に直角な方向)に印加されたとみなせる磁界である。すなわち、磁気抵抗効果の動作点Hpを移動させる効果を有する。図5で示したバーバーポール構造を同じ効果を示すといってもよい。斜めバイアス磁界付加磁石40は、等価縦バイアス磁界Hsbvと等価横バイアス磁界Hsbhによって、縦バイアス磁界付与磁石20と横バイアス磁界付与磁石18を有していると同等と考えられる。したがって、図8のような構成もセンサ素子13と呼んでよい。

【0072】
図8(b)には、斜めバイアス磁界Hsbに対して縦方向が傾斜した磁性膜であって、互いに斜めバイアス磁界Hsbの方向を線対称軸として対称な位置に配置された第1磁性膜12と第2磁性膜42を示す。それぞれの磁性膜12、42において、等価縦バイアス磁界Hsbvと等価横バイアス磁界Hsbhを考える。第1磁性膜12および第2磁性膜42が、斜めバイアス磁界Hsbが印加されている方向とのなす角はそれぞれφであるとする。

【0073】
磁性膜12の等価縦バイアス磁界Hsbvを符号12(Hsbv)、等価横バイアス磁界Hsbhを符号12(Hsbh)とする。また、磁性膜42の等価縦バイアス磁界Hsbvと等価横バイアス磁界Hsbhをそれぞれ符号42(Hsbv)、42(Hsbh)とする。

【0074】
第1磁性膜12と第2磁性膜42の等価縦バイアス磁界Hsbvと等価横バイアス磁界Hsbhは、斜めバイアス磁界Hsbの方向を対称軸として線対称の関係にあることがわかる。つまり、第1磁性膜12と第2磁性膜42の縦バイアス磁界Hobに対して、第1磁性膜12と第2磁性膜42の横バイアス磁界Htbの方向は互いに逆向きに印加されている。

【0075】
図8では第1磁性膜12の横バイアス磁界とは、等価横バイアス磁界12(Hsbh)であり、第2磁性膜42の横バイアス磁界とは、等価横バイアス磁界42(Hsbh)である。これらは、それぞれの縦バイアス磁界(12(Hsbv)と42(Hsbv))に対してそれぞれ右側と左側になっている。

【0076】
図9(a)には、図8(b)の第1磁性膜12と第2磁性膜42を並列に接続した構成を示す。この時の第1磁性膜12と第2磁性膜42の磁気抵抗効果を図9(b)に示す。図9(b)において、横軸は、斜めバイアス磁界Hsb方向に直角な方向から印加された磁界Hであり、縦軸は電極14a、14b間の抵抗値Rmrである。

【0077】
第1磁性膜12の磁気抵抗効果CMR12は、等価横バイアス磁界12(Hsbh)によって、マイナス方向にバイアスされている。また、第2磁性膜42の磁気抵抗効果CMR42は、等価横バイアス磁界42(Hsbh)によって、プラス方向にバイアスされている。

【0078】
電極14a、14b間の抵抗値Rmrはこれらの差分として観測される。すなわち、外部から斜めバイアス磁界Hsb方向に直角な方向に外部磁界ΔHが印加されると、抵抗値の変化ΔRmrは、それぞれの磁気抵抗効果の曲線の差分の分として得られる。もし、磁性膜12だけであれば、ΔHによる抵抗変化は、動作点Hpから磁気抵抗効果CMR12の点までの変化ΔRmr12でしかない。したがって、出力のゲインが高くなる。

【0079】
このような構成の利点として、出力のゲインが高くなるという効果に加えて、バーバーポール構造のように、磁性膜12の縦方向に対して斜め方向に流れる電流が部分的でないため、インピーダンスを大きく取れる。インピーダンスを大きく取れると、大きな出力電圧を得ることができる。斜めバイアス磁界Hsbの方向に対する磁性膜12の傾斜角度φ(図9(a)、図8(b)参照)を調節することで、センサ素子13自体としての感度を調節することができる。

【0080】
また、導電体24を形成する必要がないので、製造が簡単になるといった効果がある。また、斜めバイアス磁界付加磁石40が温度特性を有していれば、センサ素子13自体の温度特性を補償することもできる。

【0081】
図10には、C型磁石を斜めバイアス磁界付加磁石40としたセンサ素子13の構成を示す。符号4a、40bは斜めバイアス磁界付加磁石40の磁極である。なお、ここでは磁性膜12はそれぞれ複数個ずつ配置した例を示す。このように、磁性膜は複数個であることを排除しない。隣接する磁性膜(例えば磁性膜12mと磁性膜12n)の接続箇所12jは、導電体で接続してもよいが、短い磁性膜自体で直列に接続してもよい。

【0082】
接続箇所12jの磁性膜は、短くすることで、センサ素子13全体への影響はほとんどない。電極14a、14bは、基本的に図1、図4と同様に設けられる。なお、図10(a)において、磁性膜12の長さをMrL、幅をMrW、磁性膜12同士のすきまをMeS、磁性膜と斜めバイアス磁界Hsbとのなす角度をφとする。

【0083】
磁性膜12は斜めバイアス磁界Hsbの方向に対して、全て同じ角度で傾斜している。そのため、斜めバイアス磁界付加磁石40はセンサ素子13の全ての磁性膜12の磁化を同じ方向に傾ける。つまり、図10(a)の全ての磁性膜12は、同じ方向に横バイアス磁界が印加されているのに等しい。

【0084】
図10(b)には、斜めバイアス磁界Hsbの方向に対して対称の位置に配置した第1磁性膜12と第2磁性膜42を有する構成例を示す。第1磁性膜12と第2磁性膜42は、それぞれの磁性膜が並列に接続されるように電極14a、14bを共有しているといってよい。

【0085】
このようなセンサ素子13は、斜めバイアス磁界Hsbの向きが、測定対象とする電流と同じ方向になるように配置するのが好適である。斜めバイアス磁界Hsbに直角方向に測定対象から外部磁界がセンサ素子13に印加されるからである。なお、磁性膜12および磁性膜42がそれぞれ別のセンサ素子と考えれば、図10(b)には、センサ素子13とセンサ素子43が形成されていると言ってもよい。また、10(a)、(b)のセンサ素子とも、図4に示すように、電流源16と電圧計22を付加することで、磁気センサとなる。

【0086】
(実施の形態4)
実施の形態1及び2で示した磁気センサは、電力測定装置として応用できる。まず、電力測定装置における測定原理を図11を参照しつつ説明する。この回路構成は、電源91(Vin)からの電流を電流IとIとに分けた並列回路である。電源91(Vin)からの電流は、消費電力が測定される負荷92(R)に電流Iを流す搬送経路と、センサ素子13とセンサ抵抗34(R)とに電流Iを流す計測経路に並列に流される。なお、ここでセンサ抵抗34(R)は、磁性膜12の抵抗値Rmrより十分に大きいとする。センサ抵抗34は、センサ素子13の磁性膜12に定電流を流すための抵抗である。

【0087】
負荷92に流れる電流Iは導線の周囲に磁界Hを発生させる。この磁界Hによって、磁性膜12は、磁気抵抗効果を示し、磁性膜12両端の電圧Vmrも変化する。この出力電圧Vmrは、負荷92での消費電力に比例する。したがって、出力電圧Vmrを測定すれば、負荷92での消費電力を測定することができる。

【0088】
磁性膜12両端の電圧Vmrが、負荷92の消費電力を表すのは、以下のように説明できる。まず、負荷92に流れる電流Iによって発生する磁界Hは、比例定数をαとして(1)式のように表される。
H=αI ・・・(1)

【0089】
磁気抵抗効果によって変化する抵抗値ΔRmrは、この磁界Hに比例するので、比例定数をβとして(2)式のように表される。
ΔRmr=βH=β(αI) ・・・(2)

【0090】
磁性膜12の全抵抗値Rmrは、磁界Hが印加されていない時の抵抗をRmr0とすると(3)式のように表される。
Rmr=Rmr0+ΔRmr=Rmr0+αβI ・・・(3)

【0091】
磁性膜12に電流Iが流れた時の磁性膜12の両端電圧Vmrは(4)式のように表される。
Vmr=Rmr*I=(Rmr0+ΔRmr)*I
=(Rmr0+αβI)*I ・・・(4)

【0092】
電源91の交流出力をVinとし、振幅をV、各周波数をω、時間をtとすると、電源91の出力は(5)式のようになる。また、負荷92に流れる電流Iおよびセンサ素子に流れる電流Iは(6)式、(7)式のように表される。

【0093】
【数1】
JP2014162730A1_000003t.gif

【0094】
磁性膜12に電流Iが流れた時の磁性膜12の両端電圧Vmrは、(8)式のように求められる。

【0095】
【数2】
JP2014162730A1_000004t.gif

【0096】
(8)式は、AC成分とDC成分の和となっている。つまり、磁性膜12の縦方向の出力電圧Vmrには、交流電圧と直流電圧とが重畳されて現れる。したがって、磁性膜12の縦方向の直流電圧成分のみを計測すれば電源91に対する負荷92の消費電力(P=I*V=V/R)を測定することができる。なお、上記最終式中のDC成分は(V/R)cosθに比例している。つまり、Vmrを測定することは、力率cosθを含んだ有効電力を測定することになる。

【0097】
以上のような測定原理に基づき、電力測定装置4の構成を説明する。図11を参照して、磁性膜12を含むセンサ素子13とセンサ抵抗34とセンサ素子13の電圧を計測する電圧計27とを含む。電圧計27は、アンプ25とフィルタ26で構成されている。フィルタ26でアンプ25の出力の直流成分だけを計測することができる。さらに、これらの構成を電力が計測される搬送回路に接続するための一対の接続端子(30a、30b)を有する。なお、被測定回路が直流の場合は、磁性膜12の両端は直流電圧しか生じないので、フィルタ26はなくてもよい。

【0098】
センサ素子13は、実施の形態1および2で説明したセンサ素子13であり、横バイアス磁界付加磁石18(図示せず)と縦バイアス磁界付加磁石20を有する。図11のセンサ素子13の横バイアス磁界付加磁石18は、1種類のストライプ状の導電体24が形成された構造として実現されている。縦バイアス磁界付加磁石20は、永久磁石であり、図4で示したように温度特性を有する。

【0099】
電力測定装置4は、センサ素子13が温度補償機能を有しているので、使用される箇所での温度が変化し、磁性膜12の磁気抵抗効果が変化しても、安定した精度を維持することができる。

【0100】
図12には、センサ素子13、43を2つブリッジ回路に組み込んだものを用いた例を示す。電圧計27は、センサ素子13、43がブリッジ抵抗51、52との接続点54、55(バランス点)に接続される。このようにセンサ素子を2つ、並列にブリッジ回路に組み込み、バランス点から出力を取ることで、出力の感度を上げることができる。

【0101】
センサ素子43は、センサ素子13と同様の構造で、縦バイアス磁界付加磁石20の縦バイアス磁界の方向(縦方向)に対して逆向きの傾斜に導電体27が形成されているものを用いる。このように構成すると図9(b)に示したように、センサ素子13とセンサ素子43の磁気抵抗効果は、逆方向にバイアスされ、出力のゲインが高くなる。

【0102】
なお、センサ素子13、43の縦バイアス磁界付加磁石20は同じ温度特性を有するものを用いる。また、このように接続しても、電圧計27は、センサ素子13の両端の電圧を測定すると言って良い。電圧計27は、センサ素子13の両端電圧をセンサ素子43を介して測定しているからである。

【0103】
(実施の形態5)
実施の形態4で示した電力測定装置5には、斜めバイアス磁界付加磁石40を有するセンサ素子13を搭載することができる。図13には、そのような構成の電力測定装置5の構成例を示す。図11のバーバーポール型構造を有するセンサ素子の代わりに図10(a)で示した斜めバイアス磁界付加磁石40を有するセンサ素子を用いた例である。なお、符号40a、40bは斜めバイアス磁界付加磁石40の磁極を表す。

【0104】
また、図14には、第1磁性膜12と第2磁性膜42を有するセンサ素子13、43を用いた場合について例示する。なお、斜めバイアス磁界付加磁石40は、センサ13、14で共有している。センサ素子13、43はそれぞれブリッジ抵抗51、52を介して電極14aを共有している。また電極14bは直接共有している。また、電圧計27は、センサ素子13、43とブリッジ抵抗51、52との接続点53、54の電圧を測定する。図12で述べたように、この場合も電圧計27はセンサ素子の両端電圧を計測していると言っても良い。

【0105】
これらの電力測定装置5も、それぞれのセンサ素子13、43が温度特性補償機能を有しているので、使用される箇所での温度が変化し、第1磁性膜12および第2磁性膜42の磁気抵抗効果が変化しても、安定した精度を維持することができる。
【実施例】
【0106】
以下に磁気抵抗効果の温度補償に関する実施例を示す。図15に実験回路を示す。磁性膜12は79パーマロイのスパッタ膜をガラス基板上に成膜した。膜厚は0.3μmであった。この膜を、長さ10mm、幅1mmの短冊状にフォトリソグラフィで形成した。両端には、厚さ0.1μmの銅膜を蒸着で電極14a、14bを形成した。
【実施例】
【0107】
ガラス基板上の磁性膜12は、ペルチェ素子上に載置した熱伝導板60上に配置させ、真空チャンバー62中に入れた。外部磁界発生用磁石65および縦バイアス磁界付加磁石20として電磁石を真空チャンバー62の外側に配置した。磁性膜12の端子電圧14a、14bはデジタルマルチメータ64で抵抗値を測定した。
【実施例】
【0108】
熱伝導版60の温度はデータロガーで測定し記録した。熱伝導板60の温度を磁性膜12の温度とした。測定は、まず真空チャンバー中を0.1気圧まで減圧し、熱伝導板60の温度をペルチェ素子で変化させ、磁性膜12の温度を変化させた。測定する温度で熱伝導板の温度が安定したのを確認し、縦バイアス磁界付加磁石20で所定の縦バイアス磁界を印加した後、外部磁界発生用磁石65で磁性膜12にかかる外部磁界を変えながら、電気抵抗値をデジタルマルチメータ64で測定した。
【実施例】
【0109】
この測定によって、所定温度、所定縦バイアス磁界における磁気抵抗効果のグラフを得ることができた。得られた磁気抵抗効果のグラフより、ピーク値の半分の抵抗値となる点を動作点Hpとし、動作点Hpにおける傾き(Ω/Oe)を求めた。感度は、この傾きをピーク値の抵抗値で規格化し、磁界をSI単位系(A/m)に換算することで、「%/(A/m)」の単位で表した。
【実施例】
【0110】
測定結果を図16に示す。横軸は磁性膜12の温度(℃)で、縦軸は感度(%/(A/m))である。磁性膜12の温度が上昇するに従い、感度は直線的に減少した。
【実施例】
【0111】
次に磁性膜の温度を25℃一定とし、縦バイアス磁界を変化させながら、磁気特性効果を測定した。図17に結果を示す。図17(a)は磁気抵抗効果の測定結果の一例を示す。横軸は外部磁界の強度(Oe)であり、縦軸は磁性膜12の両端の抵抗値(Ω)である。
【実施例】
【0112】
縦バイアス磁界Hobが0、40、80(Oe)と変化するに従い、磁気抵抗効果の形状は大きく変化した。図17(b)には、縦バイアス磁界と感度の関係を示す。横軸は縦バイアス磁界(Oe)であり、縦軸は感度(%/(A/m))である。縦バイアス磁界の強度に対して感度は指数関数的に変化した。
【実施例】
【0113】
これらのことから、磁性膜12の感度は温度が上昇すると低下し、(温度が上昇して)縦バイアス磁界が減少すると上昇することが確認された。また磁性膜12自体の温度特性による感度の低下の程度が直線的であるのに対して、縦バイアス磁界の減少による感度の上昇の程度は指数関数的であることが確認された。
【実施例】
【0114】
図18に、上記の結果を基に、センサ感度を一定にするために必要な縦バイアス磁界の変化を計算したグラフを示す。横軸は室温からの温度変化量Δt(℃)であり、縦軸は縦バイアス磁界ΔH(Oe)である。室温から±100℃の範囲でおよそ±4(Oe)の縦バイアス磁界の変化が必要である。なお、グラフの原点は室温(20℃)で、縦バイアス磁界として40Oeの磁界を印加しているとした。
【実施例】
【0115】
図18の結果より-20℃では縦バイアス磁界を40.75(Oe)にし、120℃では36.5(Oe)の縦バイアス磁界を印加すれば温度補償ができる。これに基づいて実際に温度補償を確認した。
【実施例】
【0116】
図19に測定結果を示す。横軸は磁性膜の温度であり、縦軸は感度(%/(A/m))である。図16で示した特性を有する磁性膜12に図18で求めた補償のための縦バイアス磁界を印加することで、感度の温度特性をほぼゼロにすることができた。つまり、温度によって変化した感度は、縦バイアス磁界を変更することで、補償されていることが確認できた。
【実施例】
【0117】
図20には、図10(b)に示したタイプのセンサ素子13についての磁気抵抗効果について測定した結果を示す。作製したセンサ素子13は、第1磁性膜12および第2磁性膜42をパーマロイのスパッタ膜でガラス基板上に膜厚0.3μmの厚さで成膜した。これを図10(b)のように形成した。より詳しくは磁性膜12の長さMrLは、400μm、幅MrWは20μmである。第1磁性膜12および第2磁性膜とも17本の磁性膜を直列に接続した形状になっている。
【実施例】
【0118】
なお、斜めバイアス磁界との角度(図10(a)のφ)は35、45、55度の3種類を作製した。図20(a)~(c)を参照して、横軸は斜めバイアス磁界に対して直角方向の外部磁界強度H(Oe)であり、縦軸は電極14a、14b間の抵抗(Ω)である。測定時の縦バイアス磁界は25(Oe)、温度は25℃であった。
【実施例】
【0119】
それぞれのグラフには、第1磁性膜12による磁気抵抗効果と、第2磁性膜42による磁気抵抗効果の測定結果を示した。第1磁性膜12はマイナス方向にバイアスされているのに対して、第2磁性膜42は、プラス方向にバイアスされているのが分かる。それぞれの会合点(外部磁界がゼロの時の点)は、角度φが小さい時は高いにあり、角度が大きくなると低くなった。ちょうど45度の時に、磁気抵抗効果の全幅MrDに対する中間の位置になった。つまり、会合点は、磁気抵抗効果の振幅に対して変化するのが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に係る磁気センサは、使用環境の温度が変化して磁性素子の磁気抵抗効果が変化しても、安定した精度を維持することができる。したがって、さまざまな場所に利用する電力計や電池システム等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 磁気センサ
2、3 温度補償機能付磁気センサ
4 電力測定装置
9 電源
10 基板
12 磁性膜
12a、12b (磁極付近の)磁性膜
12j 磁性膜同士の接続箇所
13 センサ素子
14a、14b 電極
16 電流源
18 横バイアス磁界付加磁石
18a、18b 磁極
20 縦バイアス磁界付加磁石
20a、20b 磁極
20c 薄い永久磁石
20d、20e 感温磁性体
22 電圧計
22A アンプ
22r1、22r2 抵抗
24 導電体
24c 共通電極
25 アンプ
26 フィルタ
27 電圧計
30a、30b 接続端子
34 センサ抵抗
40斜めバイアス磁界付加磁石
51、5ブリッジ抵抗2
91 電源
92 負荷
I 電流
M 磁化
Rmr 磁性膜の縦方向の抵抗値
ΔRmr 抵抗変化量
Htb 横バイアス磁界
Hob 縦バイアス磁界
S ダイナミックレンジ
Hsb 斜めバイアス磁界
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
19