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明細書 :電源システム及びその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5997845号 (P5997845)
登録日 平成28年9月2日(2016.9.2)
発行日 平成28年9月28日(2016.9.28)
発明の名称または考案の名称 電源システム及びその制御方法
国際特許分類 H02J   7/35        (2006.01)
G05F   1/67        (2006.01)
H02J   3/38        (2006.01)
H02J   3/32        (2006.01)
FI H02J 7/35 K
G05F 1/67 A
H02J 3/38 180
H02J 3/38 130
H02J 3/32
請求項の数または発明の数 15
全頁数 21
出願番号 特願2015-542504 (P2015-542504)
出願日 平成27年3月4日(2015.3.4)
国際出願番号 PCT/JP2015/001149
国際公開番号 WO2015/133136
国際公開日 平成27年9月11日(2015.9.11)
優先権出願番号 2014041764
優先日 平成26年3月4日(2014.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年9月28日(2015.9.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】000004411
【氏名又は名称】日揮株式会社
発明者または考案者 【氏名】中山 知紀
【氏名】石田 政義
【氏名】戸田 雅久
【氏名】高橋 真二
【氏名】長谷川 裕晃
【氏名】平岡 一高
【氏名】柿崎 信郎
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100091513、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 俊夫
審査官 【審査官】吉村 伊佐雄
参考文献・文献 特開2004-023879(JP,A)
特開平06-133462(JP,A)
登録実用新案第3122815(JP,U)
国際公開第2006/112201(WO,A1)
特開平08-237884(JP,A)
調査した分野 G05F1/12-1/44
1/45-7/00
H02J3/00-7/12
7/34-7/36
特許請求の範囲 【請求項1】
出力が変動する発電装置から電力を受電して、受電電力を変換器に出力する電源システムであって、
前記発電装置の電力を蓄電し、及び、蓄電した電力を放電する電力貯蔵デバイスと、
前記発電装置と前記変換器とを接続する配線路に設けられた第1スイッチ部と、
前記配線路における前記発電装置と前記第1スイッチ部との間と、前記電力貯蔵デバイスと、の間に設けられた第2スイッチ部と、
前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部の接続又は開離動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電装置の出力電流が低電流の場合、前記第1スイッチ部を開離すると共に前記第2スイッチ部を接続して、前記発電装置から出力される電力を、前記電力貯蔵デバイスに充電し、且つ
前記充電により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器の運転電圧より大きくなった場合、前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部を各々接続した状態にして、前記電力貯蔵デバイスに蓄電した電力を前記変換器に出力するように、前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部の接続又は開離動作を制御する、ことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記変換器と、前記電力貯蔵デバイスとの間に配置される蓄電デバイスをさらに備え、
前記蓄電デバイスは、前記電力貯蔵デバイスから放電される電力の電圧より低い電圧で、電力を蓄電する蓄電デバイスを、さらに備える請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御部は、電圧センサと、電流センサとによって、前記発電装置の電力を算出し、前記発電装置からの電力を最大にするように、前記第1スイッチ部を制御する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により前記変換器の定格出力範囲の下限値を下回る場合、前記第1スイッチ部を開離し及び前記第2スイッチ部を接続し、且つ
前記第2スイッチ部の接続により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器のMPPT制御電圧内になった場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続して、前記電力貯蔵デバイスに蓄電した電力を放電する制御を行い、
前記電力貯蔵デバイスは、前記放電時に前記電力貯蔵デバイスからの出力電力が、前記変換器の定格出力範囲になるように構成される、請求項1に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電力貯蔵デバイスは、複数の電力貯蔵モジュールから構成され、且つ、前記複数の電力貯蔵モジュールは、並列接続されている、請求項に記載の電源システム。
【請求項6】
前記変換器は、前記電力貯蔵デバイス放電時、当該電力貯蔵デバイスの電圧降下により、前記変換器の定格出力範囲外にならないように、電流制御するように構成される、請求項1に記載の電源システム。
【請求項7】
前記変換器の定格出力範囲は、当該変換器の最大の電力変換効率に対して80~100%である、請求項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により、前記変換器の定格出力範囲の上限を上回る場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続する、請求項4に記載の電源システム。
【請求項9】
前記電力貯蔵デバイスは、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタである、請求項1に記載の電源システム。
【請求項10】
前記電力貯蔵デバイスは、二次電池である、請求項1に記載の電源システム。
【請求項11】
前記発電装置は、太陽光発電装置又は風力発電装置である請求項1に記載の電源システム。
【請求項12】
出力が変動する発電装置から電力を受電して、受電電力を変換器に出力する電源システムの制御方法であって、
前記発電装置の電力を蓄電し、及び、蓄電した電力を放電する電力貯蔵デバイスと、前記発電装置と前記変換器とを接続する配線路に設けられた第1スイッチ部と、前記配線路における前記発電装置と前記第1スイッチ部との間と、前記電力貯蔵デバイスと、の間に設けられた第2スイッチ部と、前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部の接続又は開離動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電装置の出力電流が低電流の場合、前記第1スイッチ部を開離すると共に前記第2スイッチ部を接続して、前記発電装置から出力される電力を、前記電力貯蔵デバイスに充電し、且つ
前記充電により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器の運転電圧より大きくなった場合、前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部を各々接続した状態にして、前記電力貯蔵デバイスに蓄電した電力を前記変換器に出力するように、前記第1スイッチ部及び第2スイッチ部の接続又は開離動作を制御する、電源システムの制御方法。
【請求項13】
前記制御部は、電圧センサと、電流センサとによって、前記発電装置の電力を算出し、前記発電装置からの電力を最大にするように、前記第1スイッチ部を制御する、請求項12に記載の電源システムの制御方法。
【請求項14】
前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により前記変換器の定格出力範囲の下限値を下回る場合、前記第1スイッチ部を開離し及び前記第2スイッチ部を接続し、且つ
前記第2スイッチ部の接続により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器のMPPT制御電圧内になった場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続して、前記電力貯蔵デバイスに蓄電した電力を放電する制御を行い、
前記電力貯蔵デバイスは、前記放電時に前記電力貯蔵デバイスからの出力電力が、前記変換器の定格出力範囲になるように構成される、請求項12に記載の電源システムの制御方法。
【請求項15】
前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により、前記変換器の定格出力範囲の上限を上回る場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続する、請求項14に記載の電源システムの制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、出力が変動する電源から電力を受電して、外部に電力を供給する電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題を考慮して太陽光、風力、波力、潮力、潮汐等の自然エネルギーの回収を目的とした電源装置の開発が進められている。しかし、自然エネルギーを利用する発電方式は、エネルギー密度が低い他、その発電による出力が気象条件に影響されて、変動し、常時安定した電力供給を行うことができないという欠点がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、太陽電池の出力を電力変換する電力変換器を備え、定電圧を出力する主電源装置とともに、直流供給線路を介して負荷機器に直流電力を供給する直流電源装置が開示されている。また、太陽電池の出力電圧および出力電流を通信により間欠的に取得し、電力変換器の出力電流を調節する電流指令値を通信により間欠的に与える。さらに、電源管理部は、太陽電池の最大出力点に対応する電圧を規定の探索範囲内で探索するメインサーチ部と、メインサーチ部で求めた電圧を目標電圧に用い、太陽電池の出力電圧を目標電圧に維持させるように設定した電流指令値を、上記した直流電源装置に与える電圧維持部とを備えるマイクロコンピュータ(「電源管理部」)が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、車両側接続電極やキャパシタやDC/DCコンバータなどからなる蓄電装置300が搭載される無人搬送車が開示されている。地上側の充電装置には、商用電源の電力がスイッチング電源等を介して充電される地上側の電気二重層キャパシタが配置されている。車両側を充電するため、充電済みの地上側の電気二重層キャパシタと車両側の電気二重層キャパシタを接続すると、極めて短時間で車両側の電気二重層キャパシタの充電が完了する。
【0005】
さらに、下記特許文献2には、「キャパシタの具体例として電気二重層キャパシタを用いているが電気二重層キャパシタの代わりに、リチウムイオンキャパシタを使用することもできる。(特許文献2 段落[0070])」と記載されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2010-231456号公報
【特許文献2】特開2010-004587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の直流電源システムは、「太陽電池11の発電量が電力変換器13が要求する電力を超えるときには、平滑コンデンサ12に余剰電力を蓄電することにより電力変換器13の出力電力の増加を抑制し、また、太陽電池11の発電量では電力変換器13が要求する電力を充足できないときには、平滑コンデンサ12に蓄電した電荷を放電することにより、電力変換器13の出力電力の低下を抑制するのである。平滑コンデンサ12には、電気二重層コンデンサ(EDLC=ELECTRIC DOUBLE LAYER CAPACITOR)を用いる」と記載されるように、余剰電力を蓄電するために、電力変換器前にEDLCを設けている。このように、特許文献1では、太陽電池が高出力時において、平滑化する態様が記載されている。
【0008】
しかし、太陽光発電や風力発電は、再生可能でクリーンな発電源として期待され導入が進められているが、太陽光発電は、朝夕や曇天雨天など低出力となる時間、風力発電は低風速のために低出力となる時間が存在する。
【0009】
パワーコンディショナーは、発電された電気を商用電源に変換する機器であり、インバータの一種である。パワーコンディショナーは、ソーラーパネルなどから発生する電気は通常「直流」であり、これを日本の一般家庭で用いられている「交流」に変換することで、通常利用可能な電気にする。パワーコンディショナーは、設計された定格近傍で効率が上がるように設計されているので、パワーコンディショナーに接続する太陽光発電や風力発電などの発電装置の定格はパワーコンディショナ—の定格近傍が選ばれる。しかし、これら発電装置が低出力になる場合、スイッチング損失又は半導体のドロップ電圧により発生する順方向損失などにより、効率が低下する。このため、年間を通じて多くの発電機会損失と部分負荷状態による電力変換器の電力変換効率低下による損失が発生してしまう。
【0010】
このように、従来提案されている自然エネルギーから発電された電力を充電する装置は、電力が低下する場合に、効率良く電力を回収及び出力することができなかった。
【0011】
一実施形態に係る電源システムは、出力が変動する電源からの低電流出力を電力貯蔵デバイスによって回収し、定格値で出力させることによって未利用エネルギーの利用と高効率な出力が可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する形態は、以下の項目のようなものである。
【0013】
項目A1.出力が変動する発電装置から電力を受電して、受電電力を外部の電力に変換して出力する電源システムであって、
受動素子としてのキャパシタ素子より高い貯蔵電力量及び/又は低い自己放電率を有し、且つ、二次電池より高い充放電効率及び/又は高い応答性を有するとともに、前記発電装置の電力を蓄電し、及び、蓄電した電力を放電する電力貯蔵デバイスと、
前記電力貯蔵デバイスと、外部とを接続又は開離するスイッチ部と、
前記発電装置から出力される電力を、前記外部電力に変換する変換器と、
前記スイッチ部の接続又は開離動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電装置の出力電流が低電流の場合、前記電力貯蔵デバイスと前記外部との接続を開離して、前記発電装置から出力される電力を、前記電力貯蔵デバイスに充電し、且つ
前記充電により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器の運転電圧より大きくなった場合、前記電力貯蔵デバイスと前記変換器とを接続して、蓄電した電力を外部出力するように、前記スイッチ部の接続又は開離動作を制御する、ことを特徴とする電源システム。
項目A2.前記変換器と、前記電力貯蔵デバイスとの間に配置される蓄電デバイスをさらに備え、
前記蓄電デバイスは、前記電力貯蔵デバイスから放電される電力の電圧より低い電圧で、電力を蓄電する蓄電デバイスを、さらに備える項目A1に記載の電源システム。
項目A3.前記制御部は、第1電圧センサと、第2電流センサとによって、前記発電装置の電力を算出し、前記発電装置からの電力を最大にするように、前記スイッチを制御する、項目A1~3の何れか1項に記載の電源システム。
項目A4.前記電力貯蔵デバイスは、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタである、項目A1~3の何れか1項に記載の電源システム。
A5.前記発電装置は、太陽光発電装置又は風力発電装置である項目A1~4の何れか1項に記載の電源システム。
【0014】
項目B1.出力が変動する発電装置から電力を受電して、受電電力を外部の電力に変換して出力する電源システムであって、
受動素子としてのキャパシタ素子より高い貯蔵電力量及び/又は低い自己放電率を有するとともに、前記発電装置の電力を蓄電し、及び、蓄電した電力を放電する電力貯蔵デバイスと、
前記電力貯蔵デバイスと、外部とを接続又は開離する第1スイッチ部と、
前記発電装置から出力される電力を、前記外部電力に変換する変換器と、
前記第1スイッチ部の接続又は開離動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電装置の出力電流が低電流の場合、前記電力貯蔵デバイスと前記外部との接続を開離して、前記発電装置から出力される電力を、前記電力貯蔵デバイスに充電し、且つ
前記充電により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器の運転電圧より大きくなった場合、前記電力貯蔵デバイスと前記変換器とを接続して、蓄電した電力を外部出力するように、前記第1スイッチ部の接続又は開離動作を制御する、ことを特徴とする電源システム。
項目B2.前記変換器と、前記電力貯蔵デバイスとの間に配置される蓄電デバイスをさらに備え、
前記蓄電デバイスは、前記電力貯蔵デバイスから放電される電力の電圧より低い電圧で、電力を蓄電する蓄電デバイスを、さらに備える項目B1に記載の電源システム。
項目B3.前記制御部は、第1電圧センサと、第2電流センサとによって、前記発電装置の電力を算出し、前記発電装置からの電力を最大にするように、前記第1スイッチ部を制御する、項目B1又は2に記載の電源システム。
項目B4.前記変換器と前記発電装置とを接続又は開離する第2スイッチ部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により前記変換器の定格入力範囲の下限値を下回る場合、又は、前記変換器の電力変換効率が大きく低下する場合、前記第1スイッチ部を開離し及び前記第2スイッチ部を接続し、且つ
前記第1スイッチの接続により、前記電力貯蔵デバイスの電圧が、前記変換器のMPPT制御電圧範囲内になった場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続して、前記電力貯蔵デバイスに蓄電した電力を放電する制御を行い、
前記電力貯蔵デバイスは、前記放電時に前記電力貯蔵デバイスからの出力電力が、前記変換器の定格入力範囲になるように構成される、項目B1~3の何れか1項に記載の電源システム。
項目B5.前記電力貯蔵デバイスは、前記放電時、当該電力貯蔵デバイスの電圧降下により、前記変換器の定格出力範囲外にならないような内部抵抗で構成される、項目B1~4の何れか1項に記載の電源システム。
項目B6.前記電力貯蔵デバイスは、複数の電力貯蔵モジュールから構成され、且つ、前記複数の電力貯蔵モジュールは、並列接続されている、項目B5に記載の電源システム。
項目B7.前記変換器は、前記電力貯蔵デバイス放電時、当該電力貯蔵デバイスの電圧降下により、前記変換器の定格入力範囲外にならないように、電流制御するように構成される、項目B1~6の何れか1項に記載の電源システム。
項目B8.前記定格出力範囲は、前記変換器の最大の電力変換効率を1とした場合に対して、前記変換器の電力変換効率が80~100%となる範囲である、項目B1~7の何れか1項に記載の電源システム。
項目B9.前記制御部は、前記放電後、前記電力貯蔵デバイスからの出力電力の電圧が、前記変換器の定格入力範囲の下限値になる前に、前記第1スイッチ部を開離し、前記第2スイッチ部を接続して、放電を停止する、項目B1~8の何れか1項に記載の電源システム。
項目B10.前記制御部は、
前記発電装置の電力変化により、前記変換器の定格入力範囲の上限を上回る場合、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部を接続する、項目B4~9に記載の電源システム。
項目B11.前記電力貯蔵デバイスは、二次電池より高い充放電効率及び/又は高い応答性を有する、項目B1~10の何れか1項に記載の電源システム。
項目B12.前記電力貯蔵デバイスは、リチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタである、項目B1~10の何れか1項に記載の電源システム。
項目B13.前記電力貯蔵デバイスは、二次電池である、項目B1~10の何れか1項に記載の電源システム。
項目B14.前記発電装置は、太陽光発電装置又は風力発電装置である項目B1~13の何れか1項に記載の電源システム。
【0015】
一実施形態に係る電源システムは、出力が変動する電源からの低電流出力を電力貯蔵デバイスによって回収し、定格値で出力させることによって未利用エネルギーの利用と高効率な出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る電源システムの一例を示す単線結線図である。
【図2】“ししおどし”を説明する図である。
【図3A】エネルギーを貯蔵する様々なデバイスを示す図である。
【図3B】日射強度と、発電曲線の関係を示す図である。
【図4】制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図5A】本実施形態に係る電力貯蔵デバイスの充放電カーブの一例を示す図である。
【図5B】本実施形態に係る電力貯蔵デバイスの放電時の出力の一例を示す図である。
【図5C】従来の電池の放電時の出力の一例を示す図である。
【図5D】高負荷時回収モードを説明する図である。
【図6】本実施形態に係る電力貯蔵デバイスの電池構成の一例である。
【図7】本実施形態に係る電源システムの一例を示す単線結線図である。
【図8】風力発電機に適用した電源システムの詳細例を示す電気回路図である。
【図9】風力発電と風速の関係を示す図である。
【図10】風力発電の発電電力と、電源システムの受電能力の一例を示す図である。
【図11】日射計から得られた日射強度を示す図である。
【図12】日射強度に応じた変換効率の測定結果を示す図である。
【図13】変換器の部分負荷時の変換効率改善試験の結果を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電源システムの実施形態の詳細を、図面を参照して説明する。出力が変動する発電装置として、太陽光発電装置、風力発電装置、水力発電装置、波力発電装置、潮力発電装置、潮汐発電装置、振動発電装置がある。

【0018】
1.電源システム
図1は、本実施形態に係る電源システムの一例を示す単線結線図である。図1に示される本電源システム100は、出力が変動する発電装置5から電力を受電し、及び外部に電力を供給する電源システムであって、電力貯蔵デバイス20と、スイッチ60と、制御部80と、変換器90とを備える。

【0019】
電源システム100はさらに、電力貯蔵デバイス20の電圧を計測する電圧センサ62Aと、電力貯蔵デバイス20の入出力電流を計測する電流センサ62Bと、発電装置の出力電流を計測する電流センサ63と、を備える。電流センサ63は、必須の構成ではなく、発電装置の出力電流を計測する他のユニットがあれば、それに代替される。例えば、図示されるように、発電装置が太陽光発電(以下、「PV」ともいう)の場合は日射計である。

【0020】
以下、電源システム100の各構成要素について説明する。

【0021】
2.電力貯蔵デバイス
図3Aは、エネルギーを貯蔵する様々なデバイスを説明する図である。表1には、リチウムイオンキャパシタ、超電導磁気エネルギー貯蔵(SMES)、電気二重層キャパシタ、又は、二次電池としてのニッケル水素電池、リチウムイオン電池、及び鉛蓄電池等が示される。破線500の左側は、直流抵抗が小さく、且つ、充放電効率が高いデバイスであり、破線500の右側は、直流抵抗が大きく、且つ、充放電効率が低いデバイスである。

【0022】
図示されるように、これらのデバイスは、貯蔵電力量[WH]と、最大出力[W]で分類される。また、これらのデバイスは、以下のように、入出力応答性又は充放電効率で分けられる。

【0023】
A.入出力応答性
周知のように、電力貯蔵デバイスの入出力応答性と電力貯蔵デバイスの定格電気出力との間には正の相関関係がある。言い換えれば、電力貯蔵デバイスの定格電気出力が大きいほど、電力貯蔵デバイスの入出力応答性が高くなり、電力貯蔵デバイスの定格電気出力が小さいほど、電力貯蔵デバイスの入出力応答性が低くなる。

【0024】
B.充放電効率
また、周知のように、電力貯蔵デバイスの充放電効率と電力貯蔵デバイスの直流抵抗の間には負の相関関係がある。言い換えれば、電力貯蔵デバイスの直流抵抗が小さければ電力貯蔵デバイスの充放電効率は高くなり、電力貯蔵デバイスの直流抵抗が大きければ電力貯蔵デバイスの充放電効率は低くなる。なお、電気回路で用いられる受動素子としてのキャパシタは、貯蔵電力量が極めて低いので、図示できない。

【0025】
表1は、第1実施例に係る電力貯蔵デバイスの応答性、充放電効率、自己放電率を示す表である。本電源システムに適用される電力貯蔵デバイスは、出力が変動する複数の電源のうち、1つの電源の出力が低下しても、他の電源がその最大電力点で動作するように、電源の出力が落ちても、貯蔵電力により電力を維持するように構成される。また、電源の電力変化が頻繁であると、充放電効率が低いと、電源により生じた電力をロスしてしまう。そこで、本電源システムに適用される電力貯蔵デバイスは、高い充放電効率を有する。

【0026】
【表1】
JP0005997845B2_000002t.gif

【0027】
なお、第2実施例にかかる電力貯蔵デバイスは、表1より、同じ貯蔵容量なら安価で、且つ、エネルギー貯蔵量が多く、よりコンパクトな二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池(LIB)である。LiBは、例えば、リチウムイオンキャパシタ(LiC)と同じ貯蔵容量のとき、満充電時と放電終止時の電圧の変化が小さい。低日射時、低風速時だけなど発電機から出力される電圧範囲がある程度狭い場合には、LiBの方が制御が、容易である。

【0028】
一方、第1実施例に係るデバイスより、低い充放電効率及び/又は低い応答性を有する。この欠点は、LiBを、電源システム100用に構成すること、及び、図4を用いて後述する制御によって緩和される。

【0029】
C.貯蔵電力量及び自己放電率
また、電気回路で用いられる受動素子としてのコンデンサ(「キャパシタ素子」とも言う)のように、貯蔵電力量が小さく且つ自己放電率[%/月]が高いと、放電により、速やかに電圧が低下するので、他の電力貯蔵デバイスが、長時間最大電力点で動作することはできない。そのため、本電源システムに適用される電力貯蔵デバイスは、貯蔵電力により電圧を維持し、実質的に自己放電が無いような、低い自己放電率が要求される。

【0030】
上記のように、「リチウムイオンキャパシタ」及び「電気二重層キャパシタ」は、受動素子としてのキャパシタ素子より高い貯蔵電力量及び/又は低い自己放電率を有し、且つ、二次電池より高い充放電効率及び/又は高い応答性を有する。

【0031】
本電源システムに適用される電力貯蔵デバイスは、高い入出力応答性、高い充放電効率、貯蔵電力により電圧を維持する貯蔵電力量、及び低い自己放電率が求められるので、図3Aに示す「リチウムイオンキャパシタ」、「SMES」に相当する。

【0032】
ただし、本電源システムにおける発電装置が低い電力で発電する状態が予想されるような環境では、電気二重層キャパシタの自己放電程度であれば適用できる。たとえば、発電装置が低い電力で発電する状態が予想されるような環境とは、太陽光発電や風力発電の発電において朝夕や曇天雨天、風速の出現頻度が既知の場合である。

【0033】
3.スイッチ部
スイッチ60(「第1スイッチ」、「PCSスイッチ」ともいう)は、制御部80の指示に従い、電力貯蔵デバイス20と、外部とを接続又は開離する。スイッチ61(「第2スイッチ」、「LIスイッチ」ともいう)は、制御部80の指示に従い、発電装置5からの出力電力に対して変化する変換器90の電力変換効率に応じて電力貯蔵デバイス20と変換器90とを接続又は開離する。

【0034】
4.変換器
変換器90は、直流から交流への変換器、及び/又は、電圧を変換する電力変換器であり、外部出力される電流を制御する。変換器90は、例えば、PCS(POWER CONDITIONING SYSTEM)である。変換器90は、例えば、電流制御用のスイッチング素子、昇圧回路、降圧回路、回路制御部を備える。電流制御用スイッチング素子は、例えば、MOSFET(METAL—OXIDE—SEMICONDUCTOR FIELD—EFFECT TRANSISTOR)等から構成され、回路制御部が、制御部80から供給される制御信号に従ってPWM(PULSE WIDTH MODULATION)制御して、出力電流量を制御する。昇圧回路は、電力貯蔵デバイス20が、外部電圧より低い場合、昇圧し、降圧回路は、電力貯蔵デバイス20が外部電圧より高い場合、降圧する。

【0035】
変換器90は、入力定格電圧の幅を有し、この電圧幅の電圧を印加しないと出力されないという特徴を有し、この特徴により、入力定格電圧以外の入力電圧の時に出力されず、機会損失が生じる。MOSFETなどのスイッチング素子は制御回路(ON/OFFのための電源回路)の損失もあり、これが主回路の電流・電圧に比べてある程度一定であるため主回路が低出力の時に損失の割合が増えることになる。このように、変換器90は、その定格電力に対して低い入出力電力の時に電力変換時の損失が大きくなる。

【0036】
例えば、PV用のPCSなどにおいては、出力電力に対する変換効率曲線がデータシートなどによって公開されているが、PVの根源入力である太陽光の日射強度に対する変換効率曲線は、PCSに接続する太陽光パネルの構成や諸元などに応じて変化するため、知られた特性ではない。

【0037】
本実施形態では、上記のような変換器損失を低減するため、変換器90の動作電力が定格電力付近となるように、制御部がスイッチを制御する。

【0038】
5.制御部
制御部80は、発電装置5の出力電流が低電流の場合(例えば、電流センサ63で低電流が検出されたとき)、スイッチ60を制御して、電力貯蔵デバイス20と外部との接続を開離して、発電装置5から出力される電力を、電力貯蔵デバイス20に充電する。制御部80はさらに、充電により、電力貯蔵デバイス20の電圧が、変換器90の運転電圧より大きくなった場合(図4で後述する「低負荷時電力回収モード」)、電力貯蔵デバイス20と変換器90とを接続して、蓄電した電力を外部出力するように、スイッチ60の接続又は開離動作を制御する。

【0039】
図2は、ししおどしを説明する図である。出願人は、上記のような制御動作を、「ししおどし」制御と命名している。
なお、「ししおどし」は、1001に示すように、中央付近に支点を設けて支えられ、上向きに一端を開放した竹筒に水を注ぎこみ、1002に示すように、水が満杯になるとその重みで、竹筒が傾き、水がこぼれて内部が空になり、そして竹筒が元の傾きに戻る際に支持台(石など)を叩き、音響を生ずる。この例では、竹筒が電力貯蔵デバイス20であり、水を電気とすると、上記制御は、ししおどしの動作に似ているためである。

【0040】
また、上記の制御において、スイッチ60、61の動作は、電力貯蔵デバイス20と発電装置5とを接続し同時に外部と開離する場合、スイッチ60がオフ、スイッチ61がオンになり、電力貯蔵デバイス20と外部とを接続する場合、スイッチ60、61がオンになる。よって、スイッチ61は、発電装置5から電力貯蔵デバイス20を充電又は電力貯蔵デバイス20から変換器90への放電による電力貯蔵デバイス20の動作電圧を所定の幅に保つために、発電装置5及び変換器90と接続又は開離する。

【0041】
また、制御部80は、電流センサ62B、63、電圧センサ62A、日射計等のアナログ入力を有し、スイッチ60、61へのアナログ出力を有する。

【0042】
さらに、制御部80は、発電装置5の発電量が最大になるように、電力貯蔵デバイスの充放電を行い、発電装置の電流及び電圧を制御する。

【0043】
制御部80は、データや制御プログラムを格納する記憶部、数値演算処理を行う処理部を有する。記憶部には、上述したスイッチの制御を行ったり、後述するMPPT(MAXIMUM POWER POINT TRACKING)処理を行う制御プログラムや、後述するテーブル参照法で用いる発電データが格納される。制御部80は、例えば、パソコン又はマイコン又はシーケンサ及びA/Dボードである。

【0044】
制御部80は、制御プログラムを実行して、各種センサ62A、62B、63から受信した電流または電圧を示す電気信号をもとに、スイッチ60、61に制御信号を出力して、電力貯蔵デバイス20の電力貯蔵量を制御し、さらに、発電装置からの電力が最大になるように、MPPT処理を実現する。

【0045】
MPPT処理に関して、制御部80は、発電装置5の電力と電力貯蔵デバイス20の電力とをそれぞれ分けて算出する。例えば、太陽光発電が10A出力時に、外部へ5A供給、電力貯蔵デバイスへ5A充電していて、電圧を下げた方が、MPPT効率が上がると判断した場合、制御部80は、電力貯蔵デバイスから放電して電力貯蔵デバイスの電圧を下げなければならないので、スイッチ60によって電力貯蔵デバイス20への充電電流を超える電流(放電させるために5A以上の電流)を外部側へ出力しなくてはならない。そのため、電流センサは、電力貯蔵デバイス側のセンサ62Bと、発電装置側のセンサ63が必要になる。

【0046】
A.MPPT処理
MPPT処理について説明する。電力は電流と電圧の積で求められ、電圧と電流を適切なバランスで制御することによって取り出せる電力の値を最大化することができる。そのため、制御部80は、発電装置が、最大電力点で動作できるように、電圧と電流を変えるMPPT制御(最大電力点追従制御)を行う。

【0047】
制御部80は、MPPT制御として、「山登り法」及び/又は「テーブル参照法」を行う。

【0048】
山登り制御方式は、実際に発電装置から出力される電圧又は電流を検出し電流を小刻みに変動させ、制御前と制御後の電力を比較し、動作点を最大電力点まで追従させる方式である。

【0049】
図3Bを用いて、太陽光発電制御における山登り法を説明する。図3Bは、日射強度と、発電曲線の関係を示す図である。図3Bの中で、山なりになっているものが電力の曲線でこの頂上を目指して出力電流の値を変えることで、電圧点が動き、結果山を登っているように見えるので「山登り法」という名前がついている。日射強度や気温がまず決まり、その条件の中で電流を変更することで電圧も決まる。例えば、パネル温度25℃、600W/M2の日射強度があるとき、電流を流せない場合(負荷や、二次電池がない場合)、電圧は開放電圧約28V、電流は0Aになる。ここで、負荷を接続して電流を4A流せるようになると電圧は26Vか17Vになる。次に5Aにすると電圧は22V程度になり、最大電力点になる。このように太陽電池から出力される電流を変化させて最大電力点を常に探して制御することができる。

【0050】
風力発電では、風力発電の電気出力は風力発電の発電機にとって機械的な負荷になる。つまり、電流を無限大にとれるような設計をする(風力発電機の出力端を短絡する、負荷へ超大電流を流せる状態にする)と、風によって発電機を回すために必要な回転力も無限大になる。つまり、風車は回らなくなり、電気出力は0Wになる。要するに、強い風があっても取り出す電流(電力)次第では回転数は0(出力端短絡)にも非常によく回るようにもなる(出力端開放)。

【0051】
ここで、太陽光発電と同様に、風力発電機から取り出す電流を少しずつ上げたり下げたりするとそれに応じて、風力発電機の発電電圧が下がったり上がったりする。この時、電流と電圧を計測しておいて最大の電力となるような電流を探せば山登り法となる。

【0052】
テーブル参照法はあらかじめ太陽光発電や風力発電の各種状況における発電データを集めておいて、テーブル化しそれをMPPT制御器にインプットしておきそれを参照する制御法である。テーブル参照法は、データが細かく取ってあれば、楽にMPPT制御できる利点があるが、あらかじめ取っておくデータが膨大になる点が欠点となる。太陽光発電の場合、設置角度による日射光の種類の違い、気温、日射強度、直並列数などパラメータが多すぎてテーブル参照法は利用が難しい。風力発電は、風速と電力の関係をあらわすデータがあれば比較的よく最大電力点を推定できるので、テーブル参照法が用いられることもある。

【0053】
風力発電の場合、風速計を設置し、その風速からテーブルを参照して最大電力となる電流を決定する。その結果、風力発電の電気出力と風による機械入力が釣り合って最大電力を出力する。

【0054】
B.制御処理
図11の日射計からの日射強度を測定し、これが350W/M2以上ある場合は変換器90(PCS)が十分な変換効率を発揮するとしてスイッチ61をOFF、スイッチ60をONにして発電装置5(PV)からの発電電力をすべて変換器90(PCS)で変換して出力する。日射強度が350W/M2以下になった際には、スイッチ61をON、スイッチ60をOFFにして発電装置5(PV)からの出力電力をすべて電力貯蔵デバイス20(LIC)で蓄電する。電力貯蔵デバイス20(LIC)が蓄電し電力貯蔵デバイス20(LIC)電圧が十分高くなった後、スイッチ61をONのまま、スイッチ60をONにして発電装置5(PV)、電力貯蔵デバイス20(LIC)の双方から変換器90(PCS)に電力を供給できる状態にして変換器90(PCS)から出力する。この際、変換器90(PCS)は電力貯蔵デバイス20(LIC)から十分な入力電力を受け取ることができるので、最大電力点追従(MPPT)制御を行い変換器90(PCS)の定格電力値で出力が可能となり高効率な電力変換を期待できる。

【0055】
図4は、上記の説明をより詳細に示す、制御部の制御処理を示すフローチャートであり、S101~S122で構成され、全ステップは、制御部90の制御処理によってなされる。

【0056】
まず、発電装置5が、変換器90の定格容量内の電力を出力状態で、制御を開始する。その場合、PCSスイッチは“ON”であり、LIスイッチは“OFF”である(S101)。次に、制御部80は、PCSが定格容量範囲内か否か判断する(S102)。これは、電流計及び電圧計により判断できる。PCSが定格容量範囲内である場合、S101に戻る。PCSが定格容量範囲外である場合、S103に進む。

【0057】
制御部80は、PCSが定格容量以下か以上かを判断する(S103)。制御部80は、PCSが定格容量以下の場合、低負荷時の電力回収モード(S111)に進み、制御部80は、PCSが定格容量以上の場合、高負荷時の電力回収モード(S121)に進む。

【0058】
B1.低負荷時電力回収モード
発電装置5の低出力時は、制御部80は、PCSスイッチを“OFF”に、LIスイッチを“ON”にする(S111)。これにより、発電装置5の低い発電電力は、PCSではなく、電力貯蔵デバイスに蓄電される。

【0059】
図5Aは、本実施形態に係る電力貯蔵デバイスの充放電カーブの一例を示す図である。図示されるカーブは、リチウムイオン電池のものであり、LICの場合、SOCは電圧の二乗に比例した形になる。

【0060】
図5Bは、本実施形態に係る電力貯蔵デバイスの放電時の出力の一例を示す図である。図5Cは、従来の電池の放電時の出力の一例を示す図である。従来の電池とは、発電システム用に構成されていない電池である。本実施形態に係る電力貯蔵デバイスは、放電時に電力貯蔵デバイスからの出力電力が、従来の電池と比して、迅速に変換器の定格出力範囲になるように構成される。そのため、変換器が高い変換効率を示す範囲で動作が可能になるため、図5Cに示す低出力により生じる変換器電力ロスを、図5Bでは、抑えることができる。

【0061】
なお、第1実施形態に係る電力貯蔵デバイスは、二次電池より高い充放電効率及び/又は応答性を有するため、図5Bのような効果を奏する。一方、第2実施形態に係る電力貯蔵デバイスは、図5Aに示すように、放電カーブを変換器動作電圧内にするように電池設計される。

【0062】
図6は、第2実施形態に係る電力貯蔵デバイスの構成例を示す図である。電力貯蔵デバイス20は複数の電力貯蔵モジュール20—1、20—2、20—3から構成され、並列化される。各電力貯蔵モジュールは、図5Aに示す充放電特性を有するように電池設計されているが、各々が互いに並列接続されているため、電力貯蔵デバイス20全体としての内部抵抗を小さくすることができる。

【0063】
なお、このような電池設計に加えて、又は、単独で、PCSにおける電流制御を、電圧降下が生じて、出力が落ちない電流値としてもよい。

【0064】
再び、図4に戻ると、制御部は、電力貯蔵デバイス20の電圧が過充電電圧より高いか否かを判断する(S112)。低い場合、再度S111に戻る。

【0065】
電力貯蔵デバイス20の電圧が過充電電圧より高くなると(S112)、PCSスイッチを“ON”、LIスイッチも“ON”して、電力貯蔵デバイス20に蓄電した電力を放電する(S113)。

【0066】
さらに、制御部は、電力貯蔵デバイス20の電圧を監視し、その電圧が過放電電圧より高いか低いか判断する(S114)。放電により、電圧が下がり、電力貯蔵デバイス電圧20が過放電電圧より低くなると、S101に戻り、PCSスイッチを“ON”にし、LIスイッチを“OFF”にして、「ししおどし」制御の一連の処理を終了し、再度処理を開始する。

【0067】
なお、「ししおどし」制御の特徴は、LIスイッチのON/OFFにより電力貯蔵デバイスを常に充電したり放電したりする状態を回避できる点にある。電力貯蔵デバイス20は、常に充電したり放電したりしていると、充放電損失が大きく問題になる。この点、「ししおどし」制御にすることで、二次電池の充放電効率が低い問題を緩和することができる。

【0068】
B2.高負荷時電力回収モード
制御部80は、発電装置5の発電電力が高く、PCSの定格容量以上の場合、高負荷時の電力回収モード(S121)に進み、PCSスイッチを“ON”に維持し、LIスイッチを“ON”にする(S121)。

【0069】
図5Dは、高負荷が生じる状態を示す図である。発電装置5の最大電力と、変換器90の最大電力が同じに設計されていない場合が多い。これは、発電装置5の設計マージンが、発電機90の定格値より大きく取られていること等が原因となる。しかし、これにより、例えば太陽光発電などは、夏場の日射量が多い時に、変換器90の最大電力を超える場合がある。この時、発電装置5の発電電力の一部が損失する。図5Dに示す、高負荷時動作モードを超える電力が損失に相当する。このような問題を回避するために、電源システム100は、低負荷時動作モードに加えて、高負荷時発電モードを実行する。

【0070】
ステップ121に続き、電力貯蔵デバイス電圧が過充電電圧より高いか否かを判断し(S122)は高い場合、スイッチの状態を維持する(S121)。なお、電力貯蔵デバイス20の蓄電量は、高負荷時の電力を十分回収できる蓄電量を有することが好ましい。このような電力貯蔵デバイス20としては、LiCより、LiBの方が好ましく、そのため、高負荷時電力回収モードでは、二次電池の採用が好ましい。

【0071】
電力貯蔵デバイス電圧が過充電電圧より低くなると、ステップS101に戻り、当該モードを終了する。

【0072】
図7は、電源システム100はさらに、蓄電デバイス40を有する電源システムの一例を示す単線結線図である。この場合、電源システム100は、変換器90の前段にさらに接続又は開離するスイッチ62を有する。

【0073】
C.外部負荷制御
電源システム100が、蓄電デバイス40を有している場合の負荷制御について説明する。太陽光発電などの発電電力が、負荷の消費電力より大きい場合、変換器90及びスイッチ62は常に負荷に電力を供給し続け、余った電力によって電力貯蔵デバイス20を充電するか、スイッチ60を接続することによって蓄電デバイス40に充電する。このとき、電力貯蔵デバイス20の電圧が上昇すると、発電装置5の最大電力点から逸脱してしまいMPPT効率が低くなる。他方で、変換器90及びスイッチ62を用いて外部に電力を供給すると、変換器90の効率及び蓄電デバイス40の充放電効率の分だけ電気エネルギーを損失する。また、低電流を輸送するために、変換器90を動作させるとその変換効率自体が大きく低下する。

【0074】
そこで、変換効率の低下による損失分(風や日射があるにもかかわらず発電できないという機会損失)と、変換器90による外部への出力の損失分(輸送電流によって変換効率が変動することまで考慮した変換器効率と蓄電デバイス充放電効率)を演算及び比較して、制御部80は、損失が少ない方を選択する。

【0075】
太陽光発電などの発電電力より、負荷の消費電力が高い場合は、風力や太陽光発電などの出力があるとき、変換器90及びスイッチ62は、常に太陽光発電などの出力に等しい電力を負荷に電力を供給し続け、足りない電力は変換器90及びスイッチ62を通じて電力貯蔵デバイスから追加で放電する。電力貯蔵デバイスの電圧低下によるMPPT効率の低下と変換器90及びスイッチ62での変換損失(上記と違って、蓄電デバイスの充放電効率が含まれない。蓄電デバイスが放電している状態であるので、スイッチ60で運ばれてきた電力は二次電池に充電されない)を演算及び比較してより損失が少ない方を、制御部80は選択する。

【0076】
6.蓄電池
蓄電デバイス40は、例えば、表1に示したリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池である。蓄電デバイス40は、電力貯蔵デバイスが放電した電力を蓄える。蓄電デバイス40は、外部の電力需要に応じて、充放電動作する。

【0077】
7.風力発電機から受電する電源システム
図8は、風力発電機から受電する電源システムの構成例を示す図である。風力発電機は、交流電源であるので、図8に示す電源システム100は、変圧器及び整流器7を介して、風力発電機としての交流電源の発電装置5と接続する。図8に示す変圧器及び整流器7は、4タップ切替トランス7A、タップ切替用電磁開閉器7B、整流器7Cを有する。4タップ切替トランス7Aは、発電装置5の出力電圧が電力貯蔵デバイス20の上限及び下限電圧の範囲内になるように電圧変換を行うものである。タップ切替用電磁開閉器7Bは、発電装置5の出力電圧に応じて電力貯蔵デバイス20へ印加する電圧の切替を行うものである。整流器7Cは、交流出力の発電装置5からの交流電力を直流電力へと電力変換するものである。

【0078】
図8に示すように、電力貯蔵デバイス20は、風力発電機の電圧に対応して、直列で接続してもよい。

【0079】
図9は、風力発電と風速の関係を示す図である。陸地では、一般に風速2~4Mの風が多い。これらの低風速の風から発電できる風力発電機は、近年多々開発されているが、風力発電機に接続される電力変換器の電力変換効率が著しく低下してしまうため、風力発電機からの発電電力を利用することができない。そのため、出現する頻度が高く年間を通じた発電量のうち、多くの割合を占める0~4Mの風から発電した電力を利用することができなかった。

【0080】
図10は、風力発電の発電電力と、電源システムの受電能力の一例を示す図である。電力貯蔵デバイスには、リチウムイオンキャパシタを用いている。図9に示すように、電源システム100は、低風速でも蓄電可能であるため、図9に示す年間総発電量に対して多くの割合を占めることが期待できる0~4Mの風速の発電電力も蓄電できる。
【実施例】
【0081】
図1の構成により、電源システム100の変換器レスによる低電流での高効率エネルギー回収機能により、PCSの変換効率が低下する日射強度350W/M2以下での低電流での発電状態の電力回収を図る試験を行った。試験装置は発電装置5としてPV、変換器90としてPCS、電力貯蔵デバイス20として部分負荷時の低出力電力回収用のリチウムイオンキャパシタ(LIC)、日射計、計測制御用PCからなる。LICはJMエナジー(登録商標)製ULTIMO 2200 F セルを40直列化したものを用いた。
【実施例】
【0082】
図11は、日射計から得られた日射強度を示す図である。図11の日射計からの日射強度を測定し、これが350W/M2以上ある場合は変換器90(PCS)が十分な変換効率を発揮するとしてスイッチ61をOFF、スイッチ60をONにして発電装置5(PV)からの発電電力をすべて変換器90(PCS)で変換して出力する。日射強度が350W/M2以下になった際には、スイッチ61をON、スイッチ60をOFFにして発電装置5(PV)からの出力電力をすべて電力貯蔵デバイス20(LIC)で蓄電する。電力貯蔵デバイス20(LIC)が蓄電し電力貯蔵デバイス20(LIC)電圧が十分高くなった後、スイッチ61をONのまま、スイッチ60をONにして発電装置5(PV)、電力貯蔵デバイス20(LIC)の双方から変換器90(PCS)に電力を供給できる状態にして変換器90(PCS)から出力する。この際、変換器90(PCS)は電力貯蔵デバイス20(LIC)から十分な入力電力を受け取ることができるので、最大電力点追従(MPPT)制御を行い変換器90(PCS)の定格電力値で出力が可能となり高効率な電力変換を期待できる。
【実施例】
【0083】
PCSの変換効率
SHARP(登録商標)製PVパネル「NU-180」を8直列1並列の構成で、SMA製SUNNY BOY 3500TL JPの日射強度-変換効率(=AC出力電力/DC入力電力)曲線を測定した。
【実施例】
【0084】
図12は、日射強度に応じた変換効率の測定結果を示す図である。図12に示すように、日射強度が600~900W/M2のとき85~90%程度の変換効率となるが、約350W/M2以下(変換効率80%程度)の部分負荷時において急激に変換効率が低下することが分かる。これより、PCSの定格出力範囲を、前記変換器の最大の電力変換効率を1とした場合に対して、前記変換器の電力変換効率が80~100%となる範囲とし、80%未満となると、PCS定格容量以下と判断して、低負荷時モードに移行することが好ましいことがわかる。
【実施例】
【0085】
試験結果
図13は、変換器の部分負荷時の変換効率改善試験の結果を示す図である。図13より、夕方に近づき日射強度が低下し、それに合わせて変換器90(PCS)の変換効率が低下していることが分かる。15:20前ごろに日射強度が350W/M2を下回り、図1で示したスイッチ60がOFF、スイッチ61がONになり、変換器90(PCS)の入力・出力が停止し、代わりに発電装置5(PV)出力を電力貯蔵デバイス20(LIC)が蓄電している様子が分かる。この時、発電装置5(PV)は発電を停止することなくそれまでの出力と遜色ない出力を継続していることが分かる。これは電力貯蔵デバイス20(LIC)の99.4%という高い充放電効率によるものである。この状態のまま、15:25までにかけて電力貯蔵デバイス20(LIC)電圧が上昇し電力貯蔵デバイス20(LIC)が十分に蓄電した後にスイッチ60をONにして発電装置5PV)と電力貯蔵デバイス20(LIC)を変換器90(PCS)に接続してから、変換器90(PCS)の出力動作開始を待って変換器90(PCS)が約92%以上の高い変換効率で出力していることが分かる。この時、変換器90(PCS)にとって電力貯蔵デバイス20(LIC)は最大限に電流を引き出せる電源として機能する。このため、電力貯蔵デバイス20(LIC)に蓄えられた電気エネルギーが変換器90(PCS)のMPPT動作によって大出力化されて出力されることで変換器90(PCS)の定格に近い効率で出力が可能となった。また、このとき発電装置5(PV)は出力を継続しており、発電装置5(PV)の発電能力と機会を余すところなく利用できていることが分かる。
【実施例】
【0086】
その後、低電流発電状態の発電装置5(PV)から電力貯蔵デバイス20(LIC)を充電、変換器90(PCS)で一気に高効率出力するという、いわば”ししおどし”的な動作を日没まで繰り返し、変換器90(PCS)が出力動作を継続できなくなる100~200W/M2程度以下の低日射強度環境下でも電力回収と高効率出力が可能であることが分かった。
【実施例】
【0087】
これまでの電力変換器では利用が難しかった太陽光発電の低電流出力をキャパシタによって回収し、電力変換器の定格値で出力させることによって未利用エネルギーの利用と高効率な出力が可能になるバッテリ-キャパシタハイブリッド蓄電システムの機能を応用した、太陽電池パネルと太陽光発電用パワーコンディショナサブシステムの出力アシスト試験装置を作製した。
【実施例】
【0088】
キャパシタを用いた低出力電力回収と大出力化による電力変換器の部分負荷時の変換効率改善試験の結果、パワーコンディショナサブシステムの変換効率が80%以下に低下する350W/M2以下の低日射強度での太陽電池パネルの発電をリチウムイオンキャパシタによって99.4%という高効率で回収・蓄電し、パワーコンディショナサブシステムの定格出力で出力させることで約92%以上という高い変換効率で出力を可能にすることを実験的に確認した。
【実施例】
【0089】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素の組合せ、変形及びバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理及び請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【符号の説明】
【0090】
5 発電装置
20 電力貯蔵デバイス
40 蓄電デバイス
60~62 スイッチ部
80 制御部
90 変換器
100 電源システム

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4】
4
【図5A】
5
【図5B】
6
【図5C】
7
【図5D】
8
【図6】
9
【図7】
10
【図8】
11
【図9】
12
【図10】
13
【図11】
14
【図12】
15
【図13】
16