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明細書 :歩行支援機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6021124号 (P6021124)
登録日 平成28年10月14日(2016.10.14)
発行日 平成28年11月9日(2016.11.9)
発明の名称または考案の名称 歩行支援機
国際特許分類 A61H   3/00        (2006.01)
B25J  11/00        (2006.01)
FI A61H 3/00 B
B25J 11/00 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 42
出願番号 特願2014-552088 (P2014-552088)
出願日 平成25年12月12日(2013.12.12)
国際出願番号 PCT/JP2013/083370
国際公開番号 WO2014/092162
国際公開日 平成26年6月19日(2014.6.19)
優先権出願番号 2012273612
2013150182
優先日 平成24年12月14日(2012.12.14)
平成25年7月19日(2013.7.19)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成27年6月19日(2015.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】佐野 明人
個別代理人の代理人 【識別番号】110001036、【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
審査官 【審査官】今井 貞雄
参考文献・文献 特開2012-147944(JP,A)
調査した分野 A61H 3/00
B25J 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
利用者の脚に装着されて、前記利用者の歩行を支援する歩行支援機であって、
前記利用者の腰側部に宛がわれるパッド部を含み、前記利用者の腰の周りに巻かれる形で装着される腰装着ベルトと、
前記利用者の大腿の側方に配される長手状をなした大腿リンク部と、
前記利用者の下腿の側方に配される長手状をなした下腿リンク部と、
前記利用者の下腿に装着されると共に、前記下腿リンク部に取り付けられる下腿装着部と、
前記利用者の前後方向で前記大腿リンク部が揺動自在となるように前記大腿リンク部の上端を保持し、前記腰装着ベルトのパッド部に取り付けられる腰関節部と、
前記大腿リンク部の下端を保持すると共に前記下腿リンク部の上端を保持し、前記大腿リンク部と前記下腿リンク部とを互いに揺動自在な状態で接続する膝関節部と、を備え、
前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、前後方向及び上下方向における剛性が、左右方向における剛性よりも高くなっており、それぞれ、長手方向に沿った軸線を中心として弾性的にねじれることが可能であり、
前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、長手方向に沿った軸線を中心として+70°~-70°の範囲で弾性的にねじれることを特徴とする歩行支援機。
【請求項2】
前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、互いに間隔を保ちつつ互いに平行に並ぶ形で配され、かつ内側に中空部を含む一対の筒柱部と、前記一対の筒柱部の間に配され、前記筒柱部同士を連結する板状の連結部とを有する請求項1に記載の歩行支援機。
【請求項3】
前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、長手方向の長さが伸縮可能である請求項1又は2に記載の歩行支援機。
【請求項4】
前記腰関節部は、前記大腿リンク部の上端を着脱可能な状態で保持し、
前記膝関節部は、前記大腿リンク部の下端、及び前記下腿リンク部の上端を、それぞれ着脱可能な状態で保持する請求項1~3の何れか一項に記載の歩行支援機。
【請求項5】
前記大腿リンク部は、長手方向の長さ等の条件が互いに異なる複数種の大腿リンク部群から選択され、
前記下腿リンク部は、長手方向の長さ等の条件が互いに異なる複数種の下腿リンク部群から選択される請求項1~4の何れか一項に記載の歩行支援機。
【請求項6】
前記下腿装着部は、周長等の条件が互いに異なる複数種の下腿装着部群から選択される請求項1~5の何れか一項に記載の歩行支援機。
【請求項7】
前記大腿リンク部及び/又は前記下腿リンク部に対して着脱可能に取り付けられる重りを備える請求項1~6の何れか一項に記載の歩行支援機。
【請求項8】
前記重りは、重さ等の条件が互いに異なる複数種の重り群から選択される請求項7に記載の歩行支援機。
【請求項9】
前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、板状部材からなる1組の長手状の加工部材を、互いに向かい合わせの状態で組み合わせたものからなる請求項1~8の何れか一項に記載の歩行支援機。
【請求項10】
前記腰関節部は、腰軸と、この腰軸の一端が固定され、前記大腿リンク部の上端を保持する保持部と、前記保持部に接続し、前記腰軸を中心として前記大腿リンク部を前後方向に揺動させる本体部と、前記腰軸に対して回転自在な状態で軸支されると共に前記本体部に固定される回転プレートと、前記回転プレートと共に回転できるように前記回転プレートに固定され、前記パッド部を介して腰装着ベルトに取り付けられる取付板とを有し、
圧縮バネと、
前記圧縮バネの一端と当接し、前記一端の位置を決定する決定部と、
前記圧縮バネの他端と当接し、前記圧縮バネの伸縮に応じて変位する変位部と、
前記変位部に接続されるカムフォロアと、前記圧縮バネが圧縮されるように前記カムフォロアが圧接されると共に、前記腰軸からの距離が周方向に沿って変化する外周面を含み、前記回転プレートの周縁部に形成されるカム部とを有するトルク発生装置を備える請求項1~9の何れか一項に記載の歩行支援機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人の脚に装着されて、歩行を支援する歩行支援機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、人の脚に装着させて歩行を支援する歩行支援機が知られている。この歩行支援機は、受動歩行と呼ばれる歩行原理を基礎としており、本願発明者によって研究開発されたものである。受動歩行は、人の自然な歩行に最も近い歩行原理として知られており、この原理が応用された歩行支援機が近年、特に注目されている。
【0003】
また、上述の歩行支援機は、例えば、特許文献2に示される他の歩行支援機とは異なり、電動モータ等のアクチュエータを必要としない構造となっている。受動歩行の原理に基づく特許文献1に記載の歩行支援機は、歩行支援機が装着されていない方の脚(健脚)の動きが、利用者(装着者)の腰(骨盤)を介して歩行支援機に伝わることによって、歩行支援機が自然に作動して利用者の歩行を支援するように構成されている。そのため、このような歩行支援機は、軽量化や低コスト化等を図ることが可能であり、利用者の使用上の、及び経済的な、負担軽減が期待されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開2012/002078号
【特許文献2】特開2012-50718号公報
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
近年、受動歩行を基礎とした歩行支援機の更なる歩行支援機能の向上が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、受動歩行を基礎とした歩行支援機における歩行支援機能等の諸機能を更に向上させる技術を提供することである。
【0007】
(課題を解決するための手段)
本発明に係る歩行支援機は、利用者の脚に装着されて、前記利用者の歩行を支援する歩行支援機であって、前記利用者の腰側部に宛がわれるパッド部を含み、前記利用者の腰の周りに巻かれる形で装着される腰装着ベルトと、前記利用者の大腿の側方に配される大腿リンク部と、前記利用者の下腿の側方に配される下腿リンク部と、前記利用者の下腿に装着されると共に、前記下腿リンク部に取り付けられる下腿装着部と、前記利用者の前後方向で前記大腿リンク部が揺動自在となるように前記大腿リンク部の上端を保持し、前記腰装着ベルトのパッド部に取り付けられる腰関節部と、前記大腿リンク部の下端を保持すると共に前記下腿リンク部の上端を保持し、前記大腿リンク部と前記下腿リンク部とを互いに揺動自在な状態で接続する膝関節部と、を備え、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、前後方向及び上下方向における剛性が、左右方向における剛性よりも高くなっており、それぞれ、長手方向に沿った軸線を中心として弾性的にねじれることが可能であることを特徴とする。前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、上記構成を備えることにより、前後方向及び上下方向における剛性が、左右方向における剛性よりも高くなっている。そのため、前記歩行支援機では、長手方向に沿った軸線(回転軸)を中心としてねじるような力が加えられると、ねじれるように容易に弾性変形することができる。したがって、前記歩行支援機を装着した利用者は、比較的、狭いスペースにおいて、腰を回転させながら容易に方向転換を行うことが可能となる。
【0008】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、互いに間隔を保ちつつ互いに平行に並ぶ形で配され、かつ内側に中空部を含む一対の筒柱部と、前記一対の筒柱部の間に配され、前記筒柱部同士を連結する板状の連結部とを有してもよい。前記歩行支援機は、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部が、それぞれ、互いに間隔を保ちつつ互いに平行に並ぶ形で配され、かつ内側に中空部を含む一対の筒柱部と、前記一対の筒柱部の間に配され、前記筒柱部同士を連結する連結部とを有する構成を備えるため、軽量化が図れる。
【0009】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、長手方向の長さが伸縮可能であってもよい。このように前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部が長手方向の長さが伸縮可能であると、利用者の体格等に応じて、適宜、歩行支援機の大きさを調節することができる。
【0010】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部の上端を着脱可能な状態で保持し、前記膝関節部は、前記大腿リンク部の下端、及び前記下腿リンク部の上端を、それぞれ着脱可能な状態で保持するものであってもよい。前記腰関節部及び前記膝関節部が、このような構成を備えることにより、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部を、それぞれ他のものに交換することが可能となる。
【0011】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部は、長手方向の長さ等の条件が互いに異なる複数種の大腿リンク部群から選択され、前記下腿リンク部は、長手方向の長さ等の条件が互いに異なる複数種の下腿リンク部群から選択されるものであってもよい。このように、前記歩行支援機では、大腿リンク部が及び下腿リンク部が、それぞれ複数種のものから選択されることにより、利用者の要求(例えば、利用者の身体サイズ)に応じて適宜、大腿リンク部が及び下腿リンク部の長さ等を、設定することが可能となる。
【0012】
前記歩行支援機において、前記下腿装着部は、周長等の条件が互いに異なる複数種の下腿装着部群から選択されるものであってもよい。このように、前記歩行支援機では、前記下腿装着部が、周長等の条件が互いに異なる複数種の下腿装着部群から選択されることにより、利用者の要求(例えば、利用者の身体サイズ)に応じて、適宜、下腿装着部の周長等を、設定することが可能となる。
【0013】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び/又は前記下腿リンク部に対して着脱可能に取り付けられる重りを備えるものであってもよい。前記歩行支援機が、このような構成を備えていると、前記歩行支援機の前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部の揺動パターンを変化させることができる。
【0014】
前記歩行支援機において、前記重りは、重さ等の条件が互いに異なる複数種の重り群から選択されるものであってもよい。このように、前記重りが、複数のものから選択されることにより、前記歩行支援機の前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部の揺動パターンを、利用者の要求に応じて適宜、設定することが可能となる。
【0015】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、板状部材からなる1組の長手状の加工部材を、互いに向かい合わせの状態で組み合わせたものからなるものであってもよい。前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部が、上記構成を備えることにより、ねじれる方向に弾性変形可能な状態を確保しつつ、前記大腿リンク部の剛性を確保することができる。
【0016】
前記歩行支援機において、前記腰関節部は、腰軸と、この腰軸の一端が固定され、前記大腿リンク部の上端を保持する保持部と、前記保持部に接続し、前記腰軸を中心として前記大腿リンク部を前後方向に揺動させる本体部と、前記腰軸に対して回転自在な状態で軸支されると共に前記本体部に固定される回転プレートと、前記回転プレートと共に回転できるように前記回転プレートに固定され、前記パッド部を介して腰装着ベルトに取り付けられる取付板とを有し、圧縮バネと、前記圧縮バネの一端と当接し、前記一端の位置を決定する決定部と、前記圧縮バネの他端と当接し、前記圧縮バネの伸縮に応じて変位する変位部と、前記変位部に接続されるカムフォロアと、前記圧縮バネが圧縮されるように前記カムフォロアが圧接されると共に、前記腰軸からの距離が周方向に沿って変化する外周面を含み、前記回転プレートの周縁部に形成されるカム部とを有するトルク発生装置を備えるものであってもよい。前記歩行支援機は、上記構成を備えることにより、トルク発生装置の部品点数の削減や、トルク発生装置の小型化・薄型化等を図ることができる。
【0017】
前記歩行支援機において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部は、それぞれ、長手方向に沿った軸線を中心として+70°~-70°の範囲で弾性的にねじれるものであってもよい。前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部が前記範囲で弾性的にねじれると、利用者の歩行時において、前記大腿リンク部及び前記下腿リンク部が適度にねじれ、かつ適度にねじれが戻り易い特性を備え、歩行支援機を装着する利用者の旋回を含めた歩行動作を拘束せず、かつ矯正することができる。
【0018】
(発明の効果)
本発明によれば、受動歩行を基礎とした歩行支援機における歩行支援機能等の諸機能を更に向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1の歩行支援機の側面図
【図2】歩行支援機が備える腰装着ベルトの説明図
【図3】利用者に装着された状態の歩行支援機の説明図
【図4】大腿リンク部の側面図
【図5】図4のA-A’線断面図
【図6】内側から見た腰関節部の側面図
【図7】図6のC-C’線断面図
【図8】膝関節部の断面図
【図9】後方から見た状態の大腿接触部の拡大図
【図10】歩行支援機を装着して利用者が歩行する様子を模式的に表した説明図
【図11】トルク発生装置のトルク特性を示す説明図
【図12】中空脚部材におけるねじり角θ(°)と、発生するねじりトルクτ(Nm)との関係を示すグラフの説明図
【図13】実施形態2の歩行支援機における後方から見た状態の大腿接触部の拡大図
【図14】実施形態3の歩行支援機で利用される下腿装着部を前方から見た説明図
【図15】実施形態3の歩行支援機で利用される下腿装着部を上方から見た説明図
【図16】実施形態4の歩行支援機で利用されるカム調節装置を示した斜視図
【図17】実施形態4の歩行支援機で利用されるカム調節装置を内側から見た側面図
【図18】実施形態5の歩行支援機の側面図
【図19】実施形態5の大腿リンク部の側面図
【図20】実施形態5の歩行支援機における膝関節部付近の分解斜視図
【図21】重りを装着した歩行支援機の側面図
【図22】大腿リンク部に取り付けられる重りの拡大図
【図23】図22のC-C’線断面図
【図24】歩行支援機を模擬した2リンクモデルの説明図
【図25】腰軸を中心に揺動する大腿リンク部と、膝軸の中心を通る鉛直線との間の角度(絶対角度)θ10の経時的な変化を示すグラフと、膝軸を中心に互いに揺動する大腿リンク部と下腿リンク部との間の角度(相対角度)θ20の経時的な変化を示すグラフの説明図
【図26】歩行サイクルを模式的に表した説明図
【図27】歩行支援機(重りあり、及び重りなし)における角度θ10、及び角度θ20の経時的な変化を示すグラフ
【図28】大腿リンク部の変形例の断面図
【図29】大腿リンク部の変形例の断面図
【図30】大腿リンク部の変形例の断面図
【図31】他の実施形態に係る歩行支援機の説明図
【図32】腰装着ベルトの変形例の説明図
【図33】取付板の変形例の説明図
【図34】両脚に歩行支援機を装着した状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
(歩行支援機1)
本発明の一実施形態に係る歩行支援機1を、図1乃至図11を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1の歩行支援機1の側面図あり、図2は、歩行支援機1が備える腰装着ベルト2の説明図(斜視図)であり、図3は、利用者Uに装着された状態の歩行支援機1の説明図である。本実施形態の歩行支援機1は、受動歩行型であって、主として、腰装着ベルト2と、大腿リンク部3と、下腿リンク部4と、下腿装着部5と、腰関節部6と、膝関節部7と、大腿接触部8と、トルク発生装置9とを備えている。本実施形態の歩行支援機1は、右脚用であり、利用者Uの右脚U1に装着されて使用される。右脚用の歩行支援機1は、例えば、利用者Uの右脚U1が患脚であり、左脚U2が健脚である場合に利用される。なお、他の実施形態においては、右脚用の歩行支援機1を、右脚が健脚であり、左脚が患脚である場合にも、利用者の右脚に装着して使用されてもよい。図1における右側が前方であり、同図左側が後方であり、同図上側が上方であり、同図下側が下方であるとして、歩行支援機1を説明する。また、図3における紙面手前側が前方であり、同図の紙面奥側が後方であり、同図上側が上方であり、同図下側が下方であるとする。

【0021】
(腰装着ベルト2)
腰装着ベルト2は、歩行支援機1のリンク機構部分を利用者Uに固定するために利用され、腰U3の周りに巻かれる形で利用者Uに装着される。腰装着ベルト2は、全体的には、腰U3の後方から腰U3の左右の側部(腰側部)に亘って配される概ね扁平な円弧状の本体部21と、この本体部21の左右の前端部間を繋ぐ形で配され、腰装着ベルト2の締め付け具合を調節する調節部22とを備えている。本体部21の内側のうち、腰U3の右側の腰側部U31に宛がわれる部分には、樹脂製の独立気泡発泡体等からなるクッション性を有するパッド部21aが設けられている。なお、本体部21の内側のうち、腰U3の左側の腰側部U32に宛がわれる部分にも、クッション性を有するパッド部21bが設けられている。利用者Uが腰装着ベルト2を装着した際、一方のパッド部21aは右側の腰側部U31に対して密着し、他方のパッド部21bは左側の腰側部U32に対して密着する。その際、右側のパッド部21aは、腰U3(骨盤)を介して左側のパッド部21b(左側の腰側部U32)と向かい合う形となる。

【0022】
本体部21の内部には、樹脂製の扁平な芯材が含まれている。そのため、本体部21は、上述した各パッド部21a,21bを内側で支持する機能を備えている。また、本体部21は、可撓性を備えており、左右の前端部同士が互いに近付くように、又は互いに離れるように変形することができる。本体部21のうち、右側のパッド部21aの外側には、下方に開放した袋状(ポケット状)の収容部23が設けられている。収容部23は、歩行支援機1の腰関節部6を構成する板状(プレート状)の取付板60の上端側を収容する部分である。なお、後述するように取付板60は、腰関節部6が備える腰軸61に対して回転(揺動)自在な状態となっている。取付板60の上端側の表面のうち、少なくとも外側を向く表面(図1の紙面手前側を向く表面)には、面ファスナー60dが設けられている。また、この面ファスナー60dに対して着脱可能なように相手側の面ファスナー(不図示)が収容部23の内側(内面)に設けられている。取付板60は、面ファスナー同士の接着力を利用して、上端部分が収容部23内に挿入された形で腰装着ベルト2に取り付けられる。また、取付板60は、その上端部分が収容部23内に収容された状態で、腰装着ベルト2のパッド部21aと対向する形となる。つまり、パッド部21aと取付板60の上端部分とは互いに重なった状態となっている。

【0023】
調節部22は、本体部21の右側の前端部に延設される帯状の右側帯部22aと、本体部21の左側の前端部に延設される帯状の左側帯部22bとを備えている。右側帯部22a及び左側帯部22bは、本体部21の各前端部に対して、長さを調節可能な状態でそれぞれ取り付けられている。また、右側帯部22aと左側帯部22bとは、互い着脱可能な状態で嵌合接続される接続部24(24a,24b)をそれぞれ備えている。

【0024】
腰装着ベルト2は、収容部23に取付板60が取り付けられた状態で、歩行支援機1が装着されていない左脚(健脚)U2の動き(力)を主にパッド部21aを利用して受け取り、その受け取った動き(力)を取付板60を介して、腰関節部6や大腿リンク部3等に伝える機能を備えている。パッド部21aは、クッション性を有する弾性材料からなり、腰U3(腰側部U31)の表面形状に追従する形で弾性変形することができる。また、パッド部21aは、適度な強度及び追従性(弾性)を備えており、パッド部21aと腰側部U31との間に隙間が形成され難く、歩行支援機1の大腿リンク部3等に確実に力を伝えることができる。なお、パッド部21aの大きさ、強度、弾性(クッション性)等の諸条件は、利用者Uの腰側部U31の大きさ、形状等を考慮して適宜、設定される。

【0025】
(大腿リンク部3)
図4は、大腿リンク部3の側面図である。大腿リンク部3は、主として、右脚U1の大腿U11の側方(外側)に配される部分であり(図3参照)、全体的には、細長く延びた柱状(長手状)の外観形状を備えている。大腿リンク部3は、電気亜鉛めっき鋼板(SECC)等の金属板(金属製板状部材)を所定形状に加工したものからなる。図5は、図4のA-A’線断面図である。図5に示されるように、大腿リンク部3は、2つの長手状の部材を向かい合わせの状態で組み合わせて(重ね合せて)筒状に形成されたものからなる。大腿リンク部3を構成する2つの部材(加工部材)のうち、一方の部材は、大腿U11側に配される大腿内側部材31であり、他方の部材は、大腿内側部材31に向かい合った状態で大腿内側部材31の外側に配される大腿外側部材32である。本実施形態の場合、大腿内側部材31及び大腿外側部材32に利用される各金属板(金属製板状部材)の厚みは、0.4mmである。大腿内側部材31及び大腿外側部材32に利用される各金属板(金属製板状部材)としては、最終的に大腿リンク部3の形状となった際に、弾性力を発揮できるように、適度は強度と共に、可撓性(柔軟性)を備えるものが利用される。なお、図5において、大腿内側部材31は、右側に示され、大腿外側部材32は、左側に示されている。

【0026】
大腿内側部材31は、主として、細長く延びた概ね矩形状の板状部分からなる内側本体部31aと、内側本体部31aの中央部分が大腿U11側から大腿外側部材32側に向かって凸状に膨出した部分からなり大腿外側部材32と接触する内側凸部(第1内側凸部)31bと、内側本体部31aの長手方向(図5の紙面手前側から奥側に向かう方向)に沿った端部が大腿U11側から大腿外側部材32側に向かって近づく形で段差状に加工された部分であって、相手側の大腿外側部材32における長手方向に沿った各端部と係合する内側係合部31c,31cとを備えている。内側凸部31bは、大腿内側部材31(内側本体部31a)の長手方向に沿って直線状に設けられている。なお、大腿内側部材31を大腿U11側から見た際、内側凸部31bは、細長く延びた凹状の溝のような形をなしている。内側凸部31bには、複数の貫通孔31dが互いに間隔を保ちつつ一列に並ぶ形で設けられている。大腿内側部材31は、細長く延びた矩形状の金属製板状部材を、例えば、絞り加工の一種である「プレスレスフォーミング工法(登録商標)」等を利用して形成することができる。

【0027】
大腿外側部材32は、主として、細長く延びた概ね矩形状の板状部分からなる外側本体部32aと、外側本体部32aの中央部分が外側から大腿内側部材31(大腿U11)側に向かって凸状に膨出した部分からなり大腿内側部材31と接触する外側凸部(第1外側凸部)32bと、外側本体部32aの長手方向に沿った各端部が大腿内側部材31(大腿U11)側に向かって立ち上がった部分からなり、内側係合部31c,31cと重なるように係合する外側被係合部32c,32cとを備えている。大腿外側部材32の長さ(長手方向における長さ)は、相手側の大腿内側部材31の長さ(長手方向における長さ)と同じに設定されている。外側凸部32bは、大腿外側部材32(外側本体部32a)の長手方向に沿って直線状に設けられている。なお、大腿外側部材32を外側から見た際、外側凸部32bは、細長く延びた凹状の溝のような形をなしている。外側凸部32bにも、内側凸部31bと同様、複数の貫通孔32dが互いに間隔を保ちつつ一列に並ぶ形で設けられている。なお、外側凸部32bに設けられている各貫通孔32dと、内側凸部31bに設けられている各貫通孔31dとは、それぞれ互いに重なるように設けられており、大腿接触部8を固定する際に利用される。また、貫通孔32dの大きさは、貫通孔31dの大きさと同じに設定されている。大腿外側部材32は、大腿内側部材31よりも幅が広い(短手方向における長さが長い)矩形状の金属製板状部材を、上述した「プレスレスフォーミング工法(登録商標)」等を利用して形成することができる。

【0028】
大腿リンク部3を構成する大腿外側部材32の外側凸部32bは、図5に示されるように、相手側の大腿内側部材31における内側凸部31bに密着されている。そして、大腿外側部材32の各外側被係合部32c,32cは、大腿内側部材31を外側本体部32a側に引き付けるように、それぞれ内側係合部31c,31cに係合している。そのため、大腿外側部材32は、大腿内側部材31を抱きかかえるような状態となっている。なお、内側凸部31bと外側凸部32bとが互いに密着した部分と、各内側係合部31c,31cと各外側被係合部32c,32cとがそれぞれ互いに係合した部分との間に、大腿リンク部3の長手方向に沿って配される空間が形成されている。大腿内側部材31と大腿外側部材32とを互いに組み合わせる際、大腿内側部材31は、大腿外側部材32の内側にある空間に対して、大腿外側部材32の一端から他端に向かって滑らせながら挿し込まれる。

【0029】
このように、大腿リンク部3は、全体的には、2つの長手状の加工部材(大腿内側部材31及び大腿外側部材32)が内部に空間を有する筒状(柱状)に組み合わさった形をなしている。そして、各部材の内側凸部31bと外側凸部32bとが、特に、大腿リンク部3の強度を向上させる補強部材として機能している。そのため、大腿リンク部3は、歩行支援機1の利用時等に受ける長手方向に沿った力(例えば、大腿リンク部3を長手方向に沿って引っ張るように働く力や、長手方向に沿って圧縮するように働く力)に対して、十分な剛性を備えており、大腿リンク部3の破断や折れ曲がりが防止される。また、大腿リンク部3の長手方向における両端部が互いに近付くように歩行支援機1の利用時等において力が加えられても、大腿リンク部3は、剛性を備えているため、折れ曲がりが防止される。つまり、大腿リンク部3は、腰軸61を中心として働くトルクの向きや、膝軸71を中心として働くトルクの向きにおいて、歩行支援機1として十分な剛性を備えている。

【0030】
ただし、本実施形態の大腿リンク部3は、長手方向に沿った軸線(回転軸)を中心としてねじるような力が大腿リンク部3に加えられると、大腿リンク部3は若干、ねじれるように変形することができる。大腿リンク部3を構成する大腿内側部材31と大腿外側部材32とは、共に弾性を備えた金属製板材を加工したものからなり、しかもこれらは互いに完全に固定されていないため、大腿リンク部3にねじりが加えられた際に、そのねじり方向に大腿リンク部3が全体的に弾性変形することができる。例えば、大腿内側部材31の内側係合部31cと、大腿外側部材32の外側被係合部32cとは、互いに重なり合った状態で係合しているものの、互いに完全に固定されている訳ではない。

【0031】
なお、大腿リンク部3の剛性、及びねじり方向への弾性変形の程度等は、大腿リンク部3を構成する各部材31,32の板厚や金属の種類、更には、大腿外側部材32の外側凸部32bや大腿内側部材31の内側凸部31bの大きさや形状、大腿リンク部3の内部の中空部分の大きさ、内側係合部31c,31cと外側被係合部32c,32cとの係合強さ等を適宜、設定することによって、調節することができる。例えば、各部材31,32を構成する材料を、通常のSECCから高強度のステンレス材、ばね鋼に変更することで、大腿リンク部3の強度を向上させることができる。また、大腿リンク部3の内部の中空部の大きさ(径)を大きくすると、円筒軸方向の強度が向上し、断面2次モーメントが大きくなることで曲げ強度も向上する。但し、ねじり強度も増すので、利用者の脚力にあわせて設定する。

【0032】
大腿リンク部3の一方の端部(上端部)3aは、後述するように、腰関節部6に接続され、他方の端部(下端部)3bは、膝関節部7に接続される。

【0033】
大腿リンク部3の長さ(長手方向における長さ)は、上端部3aを腰関節部6に接続し、かつ下端部3bを膝関節部7に接続した状態で、腰関節部6の腰軸61の中心を、利用者Uの腰側部U31に対して、大転子の位置よりも若干上方の位置(例えば、大転子から数センチ上方の位置。つまり、利用者Uの略股関節の位置)に宛がった際に、膝関節部7の膝軸71の中心が、例えば、利用者Uの膝関節の位置よりも若干上方にくるように、設定される。なお、膝関節部7の膝軸71の中心位置は、利用者Uの膝関節部分の上端から下端までの範囲内(つまり、膝関節部分の範囲内)において、適宜、設定されてもよい。本実施形態の場合、大腿リンク部3の長さは、300mmに設定されている。

【0034】
なお、上述した大腿リンク部3は、互いに間隔を保ちつつ互いに平行に並ぶ形で配され、かつ内側に中空部33a,34aを含む一対の筒柱部33,34と、前記一対の筒柱部33,34の間に配され、前記筒柱部33,34同士を連結する板状の連結部35とを有する。筒柱部33,34は、大腿内側部材31と、大腿外側部材32とによって形成されている。また、連結部35も、大腿内側部材31と、大腿外側部材32とによって形成されている。

【0035】
(下腿リンク部4)
下腿リンク部4は、主として、右脚U1の下腿U12の側方(外側)に配される部分であり(図3参照)、全体的には、上述した大腿リンク部3と同様、細長く延びた柱状(長手状)の外観形状をなしている。ただし、下腿リンク部4は、大腿リンク部3よりも長手方向における長さ、幅(短手方向における長さ)、及び厚みが、若干、小さく設定されている。下腿リンク部4についても、大腿リンク部3と同様、電気亜鉛めっき鋼板(SECC)等の金属板(金属製板状部材)を所定形状に加工したものからなる。具体的には、下腿リンク部4は、大腿リンク部3と同様、2つの長手状の部材を向かい合わせの状態で組み合わせて(重ね合せて)筒状に形成されたものからなる。

【0036】
本実施形態の下腿リンク部4は、大腿リンク部3と同様、長手方向に沿った軸線(回転軸)を中心としてねじるような力が下腿リンク部4に加えられると、下腿リンク部4は若干、ねじれるように変形することができる。

【0037】
下腿リンク部4の一方の端部(上端部)4aは、大腿リンク部3側に配されており、後述するように、膝関節部7に接続される部分となっている。下腿リンク部4の他方の端部(下端部)4bは、利用者Uの足首側に配される部分となっており、下端部4bには、図1及び図2に示されるように、保護キャップ10が被せられる。なお、保護キャップ10は、下腿リンク部4等の折れ曲がり防止にも効果がある。

【0038】
保護キャップ10は、アルミニウム、マグネシウム等の金属材料を所定形状に加工されたものからなる。保護キャップ10には、下腿リンク部4の下端部4bが挿し込まれる挿し込み孔が設けられている。下腿リンク部4の下端部4bは、保護キャップ10の挿し込み孔に対して、接着剤等を利用して固定される。このように、下端部4bが挿し込み孔に対して固定されることにより、下腿リンク部4の下端部4bが保護キャップ10により保護される。

【0039】
下腿リンク部4の長さ(長手方向における長さ)は、上述したように、大腿リンク部3の長さ(長手方向における長さ)よりも、短く設定されている。下腿リンク部4の長さは、下腿リンク部4に取り付けられる下腿装着部5(後述)が利用者Uの下腿U12に装着できるように、確保されている。本実施形態の場合、下腿リンク部4の長さは、250mmに設定されている。なお、他の実施形態における下腿リンク部4の長さは、これよりも短いものであってもよい。なお、図3に示されるように、歩行支援機1が装着された際、下腿リンク部4の下端部4bの位置は、利用者の足首よりも上方に配されている。また、図3に示されるように、下腿リンク部4は、大腿リンク部3よりも内側に配される部分となっている。

【0040】
(下腿装着部5)
下腿装着部(脛カフ)5は、図1、図3等に示されるように、利用者Uの右脚U1の下腿U12に装着される部分であり、全体的には、略U字状をなすと共に、下腿U12を前後方向から抱き込むような形状をなしている。下腿装着部5は、下腿リンク部4の動き(力)を、利用者Uの下腿U12に伝える(出力する)機能を備えている。下腿装着部5は、下腿リンク部4に固定される外側(右側方)から平面視した際に、数字の8の字を横倒ししたような形状であって、その前方部分が後方に向かって湾曲すると共に、その後方部分が前方に向かって湾曲した形状となっている。下腿装着部5には、軽量化や、弾性力の向上等の目的で、開口部5aが設けられている。なお、下腿装着部5は、上方から下方に向かって若干、先細り状(テーパー状)をなしている。下腿装着部5の前方部分の端部と、後方部分の端部との間には、上下方向に沿った隙間があり、この隙間から下腿U12が下腿装着部5に対して着脱される。下腿装着部5は、合成樹脂を所定形状に加工したものからなり、適度な強度と共に適度な弾性を備えている。そのため、下腿装着部5は、適度に若干、押し広げられた状態で下腿U12に密着させることができる。なお、下腿装着部5が下腿U12に対して大き過ぎる場合や、下腿装着部5が押し広げられ過ぎる場合(柔らかすぎる場合)等では、下腿リンク部4の動きを、下腿装着部5を介して下腿U12に上手く伝えることができなくなってしまう。そのため、下腿装着部5の大きさ、強度、弾性等の諸条件は、利用者Uの下腿U12の大きさ、形状、位置等を考慮して、適宜、設定される。下腿装着部5は、下腿リンク部4の内側に、取り外し可能な状態でネジ状の固定部材51を利用して固定される。ネジ状の固定部材51は、下腿リンク部4に設けられている貫通孔42d,41dに挿通されて下腿リンク部4に固定される。なお、下腿リンク部4に設けられている貫通孔42d,41dの位置を変更すれば、下腿装着部5の高さ方向における取り付け個所を適宜、調節することができる。また、固定部材51に対する取付角度を前後方向に変更すれば、下腿装着部5の前後方向の傾きを適宜、調節することもできる。

【0041】
(腰関節部6)
腰関節部6は、大腿リンク部3の上端(上端部3a)を保持し、大腿リンク部3を利用者Uの前後方向に揺動自在な状態で支持し、パッド部21aと対向する形で腰装着ベルト2に取り付けられる構成となっている。図6は、内側から見た腰関節部6の側面図であり、図7は、図6のC-C’線断面図である。図7には、図6に示される腰軸61の中心Oで交わる2つの線分からなるC-C’線によって切断された腰関節部6付近の断面構造が示されている。腰関節部6は、図6及び図7に示されるように、略円柱状をなした腰軸61と、この腰軸61に対して回転自在な状態で軸支される回転プレート62と、腰軸61の一端が固定され回転プレート62を収容するハウジング(本体部)63と、腰軸61の他端に固定され、腰軸61に軸支された回転プレート62を抜け止めする抜け止め部64と、ハウジング63に対して一体的に形成され、腰関節部6と大腿リンク部3とを接続するために、大腿リンク部3の上端部3aを保持する保持部65と、回転プレート62と共に回転できるように回転プレート62に固定され、パッド部21aと対向する形で腰装着ベルト2に取り付けられる取付板60とを備えている。腰関節部6を構成する各部材は、アルミニウム、マグネシウム等の金属材料を、公知の加工技術(例えば、削り出し加工)を利用して所定形状に加工されたものからなる。なお、他の実施形態においては、エンジニアリングプラスチック等の他の材料から、腰関節部6を構成する各部材を形成してもよい。

【0042】
腰軸61は、上述したように、一端がハウジング63に対して固定されている。ハウジング(本体部)63は、全体的には、円形型の浅底の器状をなしており、ハウジング63の内側の略中央部分に、腰軸61が立設されている。なお、腰軸61の周面には、回転プレート62の軸孔62bの周面との摩擦を低減等するための樹脂層61bが形成されている。回転プレート62は、図6に示されるように、略円盤状をなしており、金属材料から構成されている。回転プレート62は、略円盤状の本体部62aと、この本体部62aの略中央部分に設けられ、腰軸61が挿通される貫通孔状の軸孔62bと、略円盤状の本体部62aに設けられる少なくとも1組の貫通孔からなり、軸孔62bを間に置きつつ互いに対向する個所に配される固定孔62c,62cとを備えている。なお、固定孔62cは、図6に示されるように、回転プレート62の本体部62aにおいて、5組(つまり、合計10個)設けられている。本実施形態の場合、回転プレート62の周方向に沿って隣り合った固定孔62c,62c同士において、中心Oと各固定孔62cの中心とを結ぶ直線の間に形成される角度θxは、15°に設定されている。固定孔62cは、回転プレート62に対して、取付板60をネジ状の固定部材(不図示)を利用して固定する際に利用される。

【0043】
腰軸61の他端には、腰軸61の直径よりも大きな直径を備える円盤状の抜け止め部64が取り付けられる。腰軸61及び抜け止め部64の各中心には、ネジ状の固定部材(不図示)が挿通されるネジ孔61a,64aがそれぞれ設けられている。各ネジ孔61a,64aにネジ状の固定部材(不図示)が挿通されつつ螺着されることによって、抜け止め部64が腰軸61の他端に固定される。抜け止め部64により、腰軸61に軸支されている回転プレート62が、腰軸61から歩行支援機1の使用中等において不要に外れることが防止されている。

【0044】
ここで、取付板60について説明する。取付板60は、上述したように、上端側が腰装着ベルト2に取り付けられる。そして、取付板60の下端側は、腰軸61に対して回転自在な状態で軸支されている回転プレート62に対して固定される。取付板60は、全体的には、概ね矩形状をなしているものの、その下端側は、ハウジング63の円弧状の周縁形状に倣った形(つまり、円弧状)をなしている。取付板60は、プラスチック材料や金属材料から形成される。本実施形態の場合、取付板60は、アクリル、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート等の樹脂材料から形成されている。取付板60は、板状(プレート状)の本体部60aと、腰軸61に固定されている抜け止め部64を露出させる貫通孔状の露出部60bと、取付板60を回転プレート62に対して固定する際に利用される固定孔60cとを備えている。

【0045】
取付板60を回転プレート62に対して固定する際、取付板60の固定孔60cと、回転プレート62の固定孔62cとが互いに重なるように、取付板60と回転プレート62とが重ねられる。なお、図7において図示されていないが、取付板60には、少なくとも1組の固定孔60c(つまり、2つの固定孔60c)が、露出部60bを間に置きつつ互いに向かい合う形で設けられている。本実施形態の場合、図6に示される回転プレート62の固定孔62cのうち、1組の固定孔62c1,62c1に対して、取付板60が備える2つの固定孔60cがそれぞれ重なるように、回転プレート62と取付板60とが重ねられている。

【0046】
そして、互いに重なり合った固定孔62c(62c1)及び固定孔60cに対して、ボルト状の固定部材(不図示)が挿通される。なお、回転プレート62に設けられている固定孔62cには、ナット状の固定部材(不図示)を収容するための空間62gが設けられている。そのため、前記空間62g内にナット状の固定部材を収容した上で、ボルト状の固定部材を、取付板60の固定孔60cと、回転プレート62の固定孔62cとに挿通しつつ前記ナット状の固定部材に螺着することによって、取付板60が回転プレート62に対して固定される。つまり、取付板60は、腰軸61に対して、回転プレート62と同様、前後方向に回転(揺動)自在な状態で取り付けられている。なお、回転プレート62には、後述するように、トルク発生装置9を構成するカム部62dが設けられている。また、回転プレート62の外側面(ハウジング63と対向する面)には、軸孔62bの周りを囲むような円環状をなす樹脂製の滑り部62fが形成されており、この滑り部62fによって、回転プレート62とハウジング63との間の摩擦や、回転プレート62等の摩耗が低減されている。

【0047】
保持部65は、ハウジング(本体部)63の下端部分に一体的に形成されている。保持部65は、全体的には、下方に向かって開口した角筒状をなしている。保持部65の下端には、大腿リンク部3の上端部3aが挿し込まれる挿し込み孔65aが設けられている。大腿リンク部3の上端部3aは、保持部65の挿し込み孔65aに対して、接着剤等を利用して固定される。このように、上端部3aが挿し込み孔65aに対して固定されることにより、保持部65は、大腿リンク部3を保持することができる。

【0048】
以上のように、腰関節部6は、腰装着ベルト2に取り付けられた状態で、大腿リンク部3を、腰軸61を中心として前後方向に回転(揺動)自在な状態で保持することができる。

【0049】
(膝関節部7)
図8は、膝関節部7の断面図であり、図1のL-L’線断面図に相当する。膝関節部7は、大腿リンク部3と下腿リンク部4とを、互いに回転(揺動)自在な状態で、接続する部分である。膝関節部7は、略円柱状をなした膝軸71と、下腿リンク部4の上端部4aを保持する下腿側膝関節部72と、大腿リンク部3の下端部3bを保持する大腿側膝関節部73と、膝軸71を大腿側膝関節部73に対して固定するネジ状の固定部材74とを備えている。下腿側膝関節部72と大腿側膝関節部73とは、互いに重なりつつ膝軸71を介して互いに回転(揺動)自在な状態となっている。本実施形態の下腿側膝関節部72及び大腿側膝関節部73は、共にアルミニウム等の金属材料を所定形状に公知の加工技術(例えば、削り出し加工)を利用して形成される。

【0050】
膝軸71の中心(軸線P上)には、図8に示されるように、ネジ状の固定部材74が挿通される挿通孔71aが設けられている。膝軸71は、大腿側膝関節部73側に配される一端よりも、反対側の他端の方が直径が大きく設定されている。この直径が大きく設定されている部分71bによって、膝軸71で軸支された下腿側膝関節部72が膝軸71から外れて抜けることが防止される。なお、直径が小さく設定されている膝軸71の前記一端の周面には、摩擦低減等の目的で、樹脂層71cが形成されている。

【0051】
下腿側膝関節部72は、主として大腿側膝関節部73に対して重なる部分であって略円盤状をなす本体部72aと、この本体部72aの下端に接続する部分であって下腿リンク部4の上端部4aを保持する保持部72bとを備えている。本体部72aには、膝軸71が挿通される貫通孔状の軸孔72dが設けられている。この軸孔72dは、大腿側膝関節部73側よりもその反対側の方が、内径が大きく設定されており、その内径が大きく設定された軸孔72dの部分に、膝軸71の直径が大きく設定された部分71bが収容される。そして、大腿側膝関節部73側に配される内径が小さく設定された軸孔72dの部分に、膝軸71の直径が小さく設定された部分が挿入されることになる。

【0052】
保持部72bは、全体的には、下方に開口した角筒状をなしており、本体部72aに対して一体的に形成されている。保持部72bの下端には、下腿リンク部4の上端部4aが挿し込まれる挿し込み孔72cが設けられている。下腿リンク部4の上端部4aは、保持部72bが備える挿し込み孔72cに対して、接着剤等を利用して固定される。このように、上端部4aが挿し込み孔72cに対して固定されることにより、下腿側膝関節部72の保持部72bは、下腿リンク部4を保持することができる。

【0053】
大腿側膝関節部73は、主として下腿側膝関節部72に対して重なる部分であって略円盤状をなす本体部73aと、この本体部73aの上端に接続する部分であって大腿リンク部3の下端部3bを保持する保持部73bとを備えている。本体部73aには、ネジ状の膝軸71の先端部分が挿し込まれて螺着される有底の軸孔73dが設けられている。この軸孔73dは、膝軸71の軸線P上に設けられている。

【0054】
保持部73bは、全体的には、上方に開口した角筒状をなしており、本体部73aに対して一体的に形成されている。保持部73bの上端には、大腿リンク部3の下端部3bが挿し込まれる挿し込み孔73cが設けられている。大腿リンク部3の下端部3bは、保持部73bが備える挿し込み孔73cに対して、接着剤等を利用して固定される。このように、下端部3bが挿し込み孔73cに対して固定されることにより、大腿側膝関節部73の保持部73bは、大腿リンク部3を保持することができる。

【0055】
以上より、膝関節部7は、大腿リンク部3と下腿リンク部4とを、膝軸71を介して(膝軸71を中心として)互いに回転(揺動)自在な状態で、接続する部分となっている。なお、膝関節部7の下腿側膝関節部72と大腿側膝関節部73とが接触する部分には、それらの間の摩擦や摩耗を低減等する目的で、樹脂製の滑り部が設けられてもよい。

【0056】
(大腿接触部8)
図9は、後方から見た状態の大腿接触部8の拡大図である。大腿接触部8は、図3等に示されるように、利用者の右脚U1の大腿U11に宛がわれて、大腿U11を支える部分である。大腿接触部8の大きさは、上述した下腿装着部5よりも小さく、全体的には、前後方向に扁平状に広がった形をなすと共に、大腿U11の側面形状に沿って湾曲した形をなしている。また、大腿接触部8は、下腿装着部5と同様、合成樹脂を所定形状に加工したものからなる。大腿接触部8は、大腿U11に宛がわれる湾曲した扁平状の接触部81と、この接触部81に立設されると共に、大腿リンク部3の本体部3cに固定される円柱状の固定部83とを備えている。なお、接触部81には、軽量化等の目的で、開口部82が設けられている。

【0057】
大腿接触部8は、接触部81が大腿U11に宛がわれる形で、大腿リンク部3と大腿U11との間に介在されるように、大腿リンク部3に固定部83を利用して固定されている。大腿リンク部3には、貫通孔32d,31dが設けられており、この貫通孔32d,31dにネジ状の固定部材84(図1参照)が挿通されると共に、この固定部材84が大腿接触部8の固定部83に螺着されることによって、大腿接触部8が大腿リンク部3の所定個所に固定される。本実施形態の場合、大腿接触部8は、高さ方向(上下方向)において、大腿U11の中央部分よりも上側にある大腿U11の部分に宛がわれるように、大腿リンク部3に取り付けられている。また、大腿接触部8は、前後方向において、大腿U11の略中央部分に宛がわれるように、設定されている。大腿接触部8の接触部81の角度は、固定部83の固定角度を変更すれば、適宜、調節することができる。なお、他の実施形態においては、大腿接触部8が、大腿U11の中央部分よりも下側の部分に宛がわれるように、大腿リンク部3に対する大腿接触部8の取付位置が設定されてよいし、或いは、大腿接触部8が、大腿U11のうち最も外側に張り出している部分に宛がわれるように、大腿リンク部3に対する大腿接触部8の取付位置が設定されてもよい。大腿接触部8の大腿リンク部3に対する取付位置は、大腿接触部8が大腿U11に対して少なくとも宛がわれるように設定されればよい。

【0058】
大腿接触部8が、歩行支援機1に設けられていると、歩行支援機1を装着した利用者Uは、起立時に、起立姿勢を保ち易くなる。腰装着ベルト2、下腿装着部5及び大腿接触部8からなる3点の支持効果によって、利用者Uは、歩行支援機1を装着した右脚U1での片足立ち時のバランス(左右方向のバランス)を保ち易くなる。なお、このような右脚U1における左右方向のバランスの安定化は、歩行支援機1を装着して利用者Uが歩行する場合においても、右脚U1が支持脚(着地側の脚)となる時に得られていると考えられる。また、利用者Uは、歩行時に、下腿装着部5と共に大腿接触部8を介して歩行支援機1から右脚U1に力が伝わり易くなっている。

【0059】
(トルク発生装置9)
トルク発生装置9は、カム-バネ機構を利用して、腰軸61周りに、関節トルクを発生させる装置である。トルク発生装置9は、図6及び図7に示されるように、主として、圧縮バネ91と、圧縮バネ91の一端と当接し、前記一端の位置を決定する円柱状の決定部92と、圧縮バネ91の他端と当接し、圧縮バネ91の伸縮に応じて変位する変位部93と、この変位部93に接続されるカムフォロア(ローラフォロア)94と、圧縮バネ91が圧縮されるようにカムフォロア94が圧接されると共に、腰軸61からの距離が周方向に沿って変化する外周面62eを含み、回転プレート62の周縁の一部に形成されるカム部62dと、決定部92、圧縮バネ91及び変位部93を収容する筒状収容部95と、この筒状収容部95に接続し、圧縮バネ91の伸縮方向に沿って変位するカムフォロア94を収容するカムフォロア収容部96とを備えている。

【0060】
圧縮バネ91は、所定のバネ係数を備えたコイル状のもの(圧縮コイルバネ)からなり、筒状収容部95に収容されている。筒状収容部95に収容されている圧縮バネ91の一端には、金属製の円柱状の決定部92が配されている。決定部92は、圧縮バネ91の一端と当接するように、筒状収容部95内に配されている。決定部92の外周面には、螺旋状のネジ外周面92aが形成されており、このネジ外周面92aが、筒状収容部95の内周面に形成されている螺旋状のネジ内周面95eと螺合することによって、決定部92が筒状収容部95内で固定される。なお、決定部92の端面には、マイナス溝(不図示)が形成されており、この溝にマイナスドライバ等の工具が差し込まれて、決定部92が回転されると、決定部92が筒状収容部95内を上昇又は下降して、圧縮バネ91の端部位置(つまり、圧縮バネ91のバネ圧縮量)が調節される。なお、筒状収容部95の一方の端部(先端部)には、蓋部97が筒状収容部95に対して着脱可能な状態で取り付けられている。蓋部97は、筒状収容部95の先端部にある開口部95bを塞ぐものであり、ネジ内周面95eと螺合可能なネジ面を外周面に備えている。決定部92の位置(つまり、圧縮バネ91の端部位置)を調節する際は、適宜、蓋部97が、筒状収容部95から取り外され、調節後は、再度、筒状収容部95の開口部95bを塞ぐように取り付けられる。なお、歩行支援機1に利用されるトルク発生装置9では、比較的、頻繁に、発生トルクを調節する機会がある。例えば、利用者Uの体調(患脚の機能回復の程度や疲労度等)や、歩行する場所(平坦な地面や、傾斜のある地面等)に応じて、適宜、発生させるトルクを微調整する必要がある。そのため、本実施形態のように、圧縮バネ91の圧縮量を決める決定部92の位置を、上述したような構成で、適宜、調節する必要がある。

【0061】
変位部93は、筒状収容部95の他方の端部側(根元側)に配されおり、圧縮バネ91の他端と当接して、決定部92との間で圧縮バネ91を挟む構成となっている。また、変位部93は、筒状収容部95内を圧縮バネ91の伸縮方向(筒状収容部95の軸方向)に沿って変位する部分となっている。この変位部93には、カム部62dの外周面62eに圧接されるローラ部94aを備えたカムフォロア94が取り付けられている。ローラ部94aは、変位部93に固定されている軸部94bに対して、回転自在な状態で取り付けられている。ローラ部94aの位置が、カム部62dの外周面62eの形状によって押し上げられると、カムフォロア94と共に変位部93が上昇して、圧縮バネ91が圧縮される。これに対して、ローラ部94aの位置が、カム部62dの外周面62eの形状に応じて下降する際、カムフォロア94と共に変位部93が圧縮バネ91の伸長によって、押し下げられる。なお、筒状収容部95の根元側に、カムフォロア94のローラ部94aを収容するカムフォロア収容部96が設けられている。このカムフォロア収容部96には、カムフォロア94のローラ部94aが、筒状収容部95の軸方向(圧縮バネ91の伸縮方向)に沿って変位(昇降)できるように収容されている。

【0062】
カム部62dは、回転プレート62に対して一体的に形成されており、回転プレート62と同様の金属材料から構成されている。回転プレート62は、上述したように略円盤状であり、その周縁部分が円弧状をなしている。この回転プレート62の円弧状の周縁部分に割り当てられる形で、カム部62dの外周面(カム面)62eが形成されている。カム部62dは、図6に示されるように、略半円形状をなしているものの、概ね、腰軸61の中心Oから外周面62eまでの距離が、前方から後方にかけて周方向に亘って漸次、大きくなるように設定されている。また、本実施形態では、図6に示されるように、カム部62dが前方の斜め下方を向く形で、回転プレート62が腰軸61に軸支されている。例えば、図6に示されるように、カム部62dの前側の半径r1と、それよりも後側の半径r2とを比べると、半径r2の方が大きくなっている。カム部62dの半径が大きくなるにしたがって、圧縮バネ91のバネ圧縮量が大きくなり、その結果、腰軸61周りに発生するトルクも大きくなる。カム部62dは、腰軸61に対して回転自在な状態で軸支されている回転プレート62に設けられており、更に、回転プレート62は、上述のように取付板60に固定されている。つまり、カム部62dは、取付板60に対して取付位置(角度)が位置決めされた状態で固定されている。

【0063】
なお、カム部62dの取付角度は、取付板60に対する回転プレート62の取付角度を適宜、調節することによって、変更することができる。具体的には、回転プレート62に設けられている複数組(本実施形態の場合、5組)の固定孔62c,62cから、取付板60の固定孔60c,60cに重ねられる固定孔62c,62cを適宜、選択し、更に選択された固定孔62c,62c及び取付板60の固定孔60c,60cと共に、所定の固定部材を利用することによって、回転プレート62と取付板60とを固定しつつ、カム部62dの取付角度を変更することができる。このように、カム部62dの取付角度が変更されると、カムフォロア94のローラ部94aと、カム部62dの外周面62eとの相対的な位置関係が変更されることになる。また、カムフォロア94のローラ部94aは、腰軸61を中心として前後方向に回転(揺動)する大腿リンク部3の動きに伴って、カム部62dの外周面62eに沿って前後方向に移動できる構成となっている。

【0064】
また、図6に示されるように、カム部62dの前端62d1及び後端62d2は、それぞれ凸状に隆起した形をなしている。つまり、カム部62dの外周面62eは、前端62d1と後端62d2との間で挟まれた区間においては、上述したように、腰軸61の中心Oから外周面62eまでの距離が、前方から後方にかけて漸次、大きくなっている。ただし、前端62d1及び後端62d2は、それ以外の部分よりも、前記距離が大きく設定されており、カムフォロア94のローラ部94aが、前端62d1及び後端62d2を乗り越えないようにしている。

【0065】
トルク発生装置9によって発生したトルクは、大腿リンク部3を前方へ移動させるように大腿リンク部3に作用する。本実施形態の歩行支援機1は、トルク発生装置9を備えることによって、大腿リンク部3及び下腿リンク部4を前方へ振り出し易くなっており、そして、それと共に、利用者Uの膝関節が屈曲し易くなっている。その結果、利用者Uは、歩行時につまずき難くなる。

【0066】
本実施形態の歩行支援機1は、大腿リンク部3の上端部3aが、腰軸61を有する腰関節部6に接続されており、大腿リンク部3の下端部3bが、膝軸71を有する膝関節部7に接続されている。そして、下腿リンク部4の上端部4aが、膝軸71を有する膝関節部7に接続されている。そのため、本実施形態の歩行支援機1は、大腿リンク部3と下腿リンク部4とを有する2リンクシステムとなっている。歩行支援機1は、受動歩行を基礎としており、腰関節部6の腰軸61及び膝関節部7の膝軸71は、共に単軸(ピッチ軸)となっている。

【0067】
(使用方法)
ここで、歩行支援機1の使用方法を説明する。先ず、歩行支援機1の装着方法の一例を説明する。歩行支援機1は、図3に示されるように、一方のパッド部21aが右側の腰側部U31に宛がわれ、かつ他方のパッド部21bが左側の腰側部U32に宛がわれるように、腰装着ベルト2が利用者Uの腰U3に装着される。腰装着ベルト2は、利用者Uの腰U3の周りに巻かれる形で装着される。腰装着ベルト2は、各パッド部21a,21bが、各腰側部U31,U32にそれぞれ密着するように、締め付け具合が調節される。なお、腰装着ベルト2の締め付け具合は、調節部22の右側帯部22a及び左側帯部22bの長さを適宜、変更することにより、調節することができる。なお、利用者Uは、このような腰装着ベルト2の装着を、椅子等に腰掛けた状態で行ってもよいし、起立した状態で行ってもよい。

【0068】
また、腰装着ベルト2は、腰軸61の位置が、利用者Uの骨盤の大転子の位置よりも、若干、上方にずれるように装着されることが好ましい。上述したように、腰装着ベルト2と、腰関節部6とは、面ファスナーを利用して互いに着脱可能な状態で固定されている。そのため、腰装着ベルト2(収容部23)に対する、腰関節部6の取付板60の取付位置を適宜、調節することによって、腰軸61の位置を所望の位置に調節することができる。例えば、利用者Uによっては極端に腰U3が曲がっている場合もあり、予め腰装着ベルト2に対する腰関節部6の取付位置を定めておくことが難しい場合もある。このような場合であっても、本実施形態の歩行支援機1では、腰装着ベルト2に対して腰関節部6が着脱可能であるため、腰軸61の位置を適宜、調節することができる。上述のように、腰軸61の位置を、大転子の位置よりも若干、上方にずらした状態で、利用者Uが歩行支援機1を装着すると、右脚U1に力が伝わり易くなり、右脚U1がより自然な形で振り出されることが本願発明者の研究によって確かめられている。

【0069】
次いで、利用者Uは、やや屈んだ状態で、下腿装着部5内に足首付近を挿し入れる。その後、利用者Uが、下腿装着部5に下腿U12を挿し入れた状態で上体を起こして起立した姿勢を維持すると、下腿装着部5が上方に移動し、下腿装着部5の内面が利用者Uの下腿U12の前後側と適合して、下腿装着部5が下腿U12に装着される。以上のようにして、歩行支援機1が利用者に装着される。なお、大腿接触部8は、腰装着ベルト2と下腿装着部5の装着が完了すれば、自動的に、利用者Uの大腿U11の所定個所に宛がわれることになる。このように、歩行支援機1の装着は、非常に容易であり、数秒程度で装着を完了させることも可能である。なお、他の装着方法としては、例えば、歩行支援機1を予め腰装着ベルト2と、それ以外の部分とを分離しておき、それらを別々に利用者Uに装着した上で、それらを互いに面ファスナーで固定する方法も挙げられる。

【0070】
(起立時)
利用者Uが、歩行支援機1を装着した状態で、水平な地面X上で起立すると、大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、鉛直方向に沿って概ね真っ直ぐに配される。本実施形態の歩行支援機1を装着すれば、腰装着ベルト2、下腿装着部5及び大腿接触部8からなる3点の支持効果によって、利用者Uは、患脚である右脚U1での片足立ち時のバランス(左右方向のバランス)を保ち易くなり、安定した状態で起立することができる。本実施形態の歩行支援機1は、上述したように、大腿リンク部3に、大腿U11を外側から支える大腿接触部8が設けられている。この大腿接触部8を備えることによって、右脚U1の安定性が向上すると共に、上述した3点の支持効果が得られることになり、歩行支援機1を装着した右脚U1での片足立ち時のバランスを保ち易くし、安定した状態で起立することを可能としている。なお、大腿接触部8を大腿リンク部3から取り外した状態で、右脚U1のみで片脚立ちすると、利用者Uの姿勢が不安定となることが、本願発明者によって確かめられている。ただし、他の実施形態においては、大腿接触部8を取り外した状態で歩行支援機1を必要に応じて利用してもよい。

【0071】
なお、トルク発生装置9の筒状収容部95は、前方の斜め下方を向くように、腰関節部6のハウジング63に接続する形で設けられている。そのため、起立状態の利用者Uが、椅子等に腰掛けた場合において、筒状収容部95が椅子等に干渉することが防止されている。また、歩行状態の利用者Uが、前後に手を振った場合において、手が筒状収容部95に干渉することが防止されている。

【0072】
(歩行時)
次いで、歩行支援機1を装着した状態での利用者Uの歩行について、説明する。人(利用者U)の歩行では、一方の脚が地面に着地する支持脚として機能すると共に、他方の脚が地面から離れる遊脚として機能する動作が、右脚U1と左脚U2との間で交互に入れ替わって行われる。図10は、歩行支援機1を装着して利用者Uが歩行する様子を模式的に表した説明図である。図10には、左脚(健脚)U2が支持脚として地面Xに着地し、歩行支援機1を装着した右脚(患脚)U1が遊脚として地面Xから離れる状態が示されている。本実施形態の歩行支援機1は、受動歩行を基礎としており、利用者の左脚U2が、腰U3(骨盤)を介して右脚U1に装着されている歩行支援機1に対して連結されているとみなされる。つまり、腰装着ベルト2のパッド部21aは、左脚(健脚)U2の動き(力)を、パッド部21aに対向する形で取り付けられている取付板60(腰関節部6)を介して、大腿リンク部3や下腿リンク部4等に伝える機能を備えている。その結果、左脚(健脚)U2の動きによって、右脚U1に装着されている歩行支援機1が自然に、遊脚の動きと支持脚の動きとを交互に繰り返す脚運動を行う。つまり、利用者Uは、健脚である左脚U2の動きが右脚U1に装着されている歩行支援機1に伝えられることによって、右脚U1の歩行動作における脚運動が歩行支援機1によって支援(アシスト)される。

【0073】
また、本実施形態の歩行支援機1は、上述したようにカム-バネ機能に基づくトルク発生装置9を備えている。そのため、右脚U1の遊脚時に、右脚U1の振り出しが、トルク発生装置9が発生したトルクによってより強く促進される。これは、圧縮バネ91に蓄えられた弾性エネルギーを使用したことになる。なお、右脚U1の支持脚時後半に、圧縮バネ91に弾性エネルギーが蓄えられる。このとき、右脚U1は前方に倒れることを抑制されるが、その結果、遊脚時の左脚U2が地面Xに着地する際の衝撃が緩和される。

【0074】
なお、右脚U1の振り出しの初期には、膝関節が屈曲して地面Xとの接触を回避し、つまずかないようにする必要がある。下腿装着部5が下腿リンク部4の長手方向に対して後傾した状態で取り付けられていると、歩行支援機1の膝関節部7は右脚U1の膝関節よりも先行して屈曲することになる。その結果、歩行支援機1が右脚U1の脚運動をリードし得る状態となり、右脚U1に力(トルク)が効率的に伝えられて、右脚U1の膝関節が屈曲し易くなることが、本願発明者の研究によって確かめられている。このとき、利用者Uは、足が持ち上げられる(膝関節が大きく屈曲する)感覚を強く抱くことも確かめられている。なお、下腿装着部5が下腿リンク部4の長手方向に対して後方に傾けられる角度は、特に限定されないが、例えば、15°~30°が好ましい。

【0075】
また、本実施形態の歩行支援機1は、トルク発生装置9の使用トルク領域を変更することが可能である。図11は、トルク発生装置9のトルク特性を示す説明図である。図11に示されるグラフの横軸(カムフォロア角度θ1)は、腰軸61の中心Oを通るカム部62dの中心線Mと、カムフォロア94の中心と腰軸61の中心Oとを通る直線C’とがなす角θ1(°)を示す(図6参照)。また、前記グラフの縦軸は、腰軸61の周りに発生するトルク(Nm)を示す。

【0076】
例えば、歩行時において、上体(腰U3)が直立している状態では、腰U3に装着された腰装着ベルト2に取り付けられている取付板60も同じく略鉛直方向Gに直立する状態となる。この状態において、カムフォロア94は、鉛直方向Gに対して前方に20°の角度に配されている。更に、この状態において、カムフォロア94がカム部62dの中心線Mから後方に-20°の角度に配されるように、カム部62dの取付位置(回転プレート62の取付位置)が設定されていると、大腿リンク部3が鉛直方向に対して後方の-20°(絶対角度)から前方の20°まで振り出された際、カムフォロア94は、-40°から0°までを動くことになり、θ1の当該角度区間のトルクが発生することになる。

【0077】
これに対して、カムフォロア94がカム部62dの中心線Mから後方に-35°の角度に配されるように、カム部62dの取付位置(回転プレート62の取付位置)が設定されていると、大腿リンク部3が鉛直方向に対して後方の-20°(絶対角度)から前方の20°まで振り出された際、カムフォロア94は、-55°から-15°までを動くことになり、θ1の当該角度区間のトルクが発生し、前記発生トルクよりも高トルク域を使うことになる。このように、外周面62eに対するカムフォロア94の移動区間を変更することによって、トルク発生装置9の使用トルク領域を変更することができる。したがって、利用者Uは、使用状況等に応じて、カムフォロア94の移動区間を適宜、変更して、トルク発生装置9の使用トルク領域を適宜、調節することができる。

【0078】
また、本実施形態の歩行支援機1は、筒状収容部95内における決定部92の位置を、ドライバ等の工具を利用して、圧縮バネ91のバネ圧縮量を、適宜、変更することができる。つまり、決定部92の位置を変更することによって、容易に、圧縮バネ91のバネ圧縮量を調節することができ、ひいては、トルク発生装置9の発生トルクを調節することができる。

【0079】
また、本実施形態の歩行支援機1は、利用者Uに正しい歩行動作を教示する機能を備えている。本実施形態の歩行支援機1は、人の歩行動作に最も近いとされる受動歩行の原理を基礎としている。本実施形態の利用者Uのように、例えば、片脚(右脚U1)が患脚の場合、正しく歩行動作を行おうとしても、患脚である右脚U1が、遊脚時に、外側に広がるような円弧を描きながら後方から前方に向かって動いてしまうことが知られている。しかしながら、本実施形態の歩行支援機1を装着すれば、利用者Uの患脚(右脚U1)の動きは、歩行支援機1によって、患脚(右脚U1)が外側に広がることが防止されると共に、前後方向に正しく誘導される。

【0080】
(効果)
本実施形態の歩行支援機1において、大腿リンク部3は、上述したように、金属製板状部材が所定形状に加工されてなる一対の部材(大腿内側部材31及び大腿外側部材32)が筒状に組み合わされたものからなる。このような大腿リンク部3は、例えば、金属製の棒状部材からなる大腿リンク部と比べて、軽量であり、利用者Uの負担を大きく低減することができる。また、本実施形態の歩行支援機1では、下腿リンク部4についても、大腿リンク部3と同様な構成が採用されている。そのため、下腿リンク部4も、例えば、金属製の棒状部材からなる下腿リンク部と比べて、軽量であり、利用者Uの負担を大きく低減することができる。また、このように大腿リンク部3及び下腿リンク部4が軽量化されているため、本実施形態の歩行支援機1は、持ち運びにも便利である。

【0081】
また、本実施形態の歩行支援機1において、大腿リンク部3は、上述したように、各部材の内側凸部31bと外側凸部32bとが、特に、大腿リンク部3の強度を向上させる補強部材として機能している。そのため、このような大腿リンク部3は、歩行支援機1に十分な強度を確保しつつ、薄型化することが可能な構造となっている。また、本実施形態の歩行支援機1では、下腿リンク部4についても大腿リンク部3と同様な構成が採用されているため、同様な理由により、下腿リンク部4は、歩行支援機1に十分な強度を確保しつつ、薄型化することが可能な構造となっている。

【0082】
また、本実施形態の歩行支援機1は、上述したような構成の大腿リンク部3及び下腿リンク部4を備えるため、利用者Uが歩行支援機1を装着したままの状態で、腰U3を回転させながら利用者Uの向き(前後方向)を変更することができる。例えば、利用者Uが歩行支援機1を装着した状態で、左肩が後方へ移動すると共に右肩が前方へ移動するように(反時計回りに)、体(腰U3)を回転しようとした場合(ねじろうとした場合)、右脚U1の大腿U11の側方に配されている大腿リンク部3や、右脚U1の下腿U12の側方に配されている下腿リンク部4に対しても、それぞれねじるような力が加えられる。ただし、本実施形態の大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、共に、ある程度、ねじれる方向に弾性変形することが可能な構造となっているため、利用者Uが体(腰U3)を回転しようとする(ねじろうとする)動きを妨げ難くなっている。したがって、利用者Uは、体(腰U3)を上記のように回転させる動きに連動させて、歩行支援機1が装着されている右脚U1も移動させることができる。その結果、利用者Uは、歩行支援機1を装着したままの状態で、狭いスペース(例えば、キッチンの通路スペースや、御手洗の個室スペース等)で、体をねじるように回転移動することができる。また、上述した場合とは逆回り(つまり、時計回り)に、利用者U1が歩行支援機1を装着したままの状態で、回転することも可能である。

【0083】
また、本実施形態の歩行支援機1は、利用者Uに正しい歩行動作を教示する機能が高いと言える。上述したように、本実施形態の歩行支援機1は、人の歩行動作に最も近いとされる受動歩行の原理を基礎としている。そして、更に、本実施形態の歩行支援機1は、上述のように、ねじる方向に弾性変形可能な構造を備えた大腿リンク部3及び下腿リンク部4を備えている。そのため、例えば、歩行支援機1を装着した利用者Uが、患脚である右脚U1が、遊脚時に、外側に広がるような円弧を描きながら後方から前方に向かって動こうとしても、大腿リンク部3及び下腿リンク部4が備える弾性力によって、その動きは、受動歩行を基礎とした正しい動きに修正(規制)されることになる。したがって、歩行支援機1は、利用者Uに正しい歩行動作を教示する機能が高いと言える。

【0084】
また、本実施形態の歩行支援機1において、トルク発生装置9が備えるカム部62dは、腰関節部6が備える腰軸61に対して、前後方向に回転(揺動)可能な状態で軸支されると共に、取付板60に固定される回転プレート62に設けられている。このように、カム部62dを、単独の部品としてではなく、大腿リンク部3が接続される腰関節部6と、腰装着ベルト2に取り付けられる取付板60とを、互いに回転(揺動)可能な状態で接続する部品(回転プレート62)に対して、一体的に形成することによって、トルク発生装置9の部品点数の削減や、トルク発生装置9の小型化・薄型化等を図ることができる。

【0085】
また、本実施形態の歩行支援機1において、トルク発生装置9が備えるカム部62dは、金属製であるため、カムフォロア94のローラ部94aが、カム部62dに対してめり込むことが抑制される。その結果、樹脂製のカム部等からなる場合と比べて、トルク発生装置9によって発生するトルクがカム部62dによって減少することが抑制されている。また、カム部62dが金属製からなることにより、カム部62dが摩耗され難くもなっている。

【0086】
また、本実施形態の歩行支援機1において、トルク発生装置9が備えるカム部62dのカムフォロア94に対する取付角度は、回転プレート62の取付板60に対する取付角度を適宜、変更することにより、調節することが可能である。上述したように、本実施形態の場合、回転プレート62には、5組の固定孔62c,62cが設けられており、各組同士は、回転プレート62の周方向において互いに15°ずれた状態で配置されている。そのため、本実施形態の場合、カム部62dのカムフォロア94に対する取付角度は、15°毎調節することができる。

【0087】
また、本実施形態の歩行支援機1において、膝関節部7を構成する下腿側膝関節部72と大腿側膝関節部73とは、歩行支援機1の非装着時において、膝軸71を介して(膝軸71を中心として)、互いに最大360°回転することができる。そのため、例えば、下腿リンク部4と大腿リンク部3とが互いに重なるように、下腿リンク部4と大腿リンク部3とを配置することも可能となっている。したがって、本実施形態の歩行支援機1は、小さく折り畳むことも可能である。

【0088】
また、本実施形態の歩行支援機1において、腰装着ベルト2は、利用者Uの腰U3の周りに巻かれる形で、装着される構成となっている。そして、腰装着ベルト2は、利用者Uの腰U3が、左右方向から各パッド部21a,21bを介して挟み付けられるような構造を備えている。また、腰関節部6が備えている取付板60が、面ファスナーを利用して腰装着ベルト2の収容部23に取り付けられている。このような構成を備える本実施形態の歩行支援機1は、腰装着ベルト2のみによって、歩行支援機1の大腿リンク部3や下腿リンク部4等を支えることができる。なお、他の実施形態においては、腰装着ベルト2に両端が接続される帯状部材であって、利用者Uの肩を利用して吊り下げる肩ベルトを補助的に利用してもよい。

【0089】
(ねじり特性)
ここで、本実施形態の歩行支援機1の大腿リンク部3及び下腿リンク部4におけるねじり特性について説明する。大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、上述のように、薄手の金属製板材からなる2つの長手状の加工部材が、内部に空間を有するように、筒状(柱状)に組み合わさったもの(以下、「中空脚部材」と称する場合がある)からなる。

【0090】
ヒト(利用者U)の下肢は、通常、正面を向いた状態から外側及び内側にそれぞれ約40~50°の範囲でひねる(ねじる)ことができる。また、ヒトの下肢は、通常、1Nm程度のねじりトルクを発生できる。歩行支援機1の大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、このようなヒト(利用者U)の下肢のねじり範囲において、長手方向に沿った軸線(回転軸)を中心として左右両方向にねじるように弾性変形することができる。

【0091】
図12は、中空脚部材におけるねじり角θ(°)と、発生するねじりトルクτ(Nm)との関係を示すグラフの説明図である。図12のグラフの横軸がねじり角θ(°)を示し、その縦軸がねじりトルクτ(Nm)を示す。図12に示される直線X1が、中空脚部材におけるねじり角θ(°)と、発生するねじりトルクτ(Nm)との関係に対応する。中空脚部材としては、大腿リンク部3に使用するもの(長さ40cm)を用いた。

【0092】
ところで、中空脚部材は、ねじり角θ(°)が0≦θ≦70の範囲であれば、弾性変形可能であり、その範囲を超えると塑性変形してしまう。図12に示されるように、通常ヒトが発生するねじりトルクの範囲(≦1Nm)より、中空脚部材をねじれる角度(ねじり角)θ(°)は、0≦θ≦50の範囲となる。バラツキを考慮すると弾性変形可能な範囲、即ち中空剛部材を長手方向に沿った軸線を中心として弾性的に捩じれることが可能なねじり角θ(°)は0≦θ≦70の範囲である。よって、この範囲であれば、中空脚部材を弾性変形可能な状態で使用することができる。

【0093】
また、図12には、比較対象として、アルミニウム材を削り出して形成した中実脚部材の場合のグラフX2も示されている。図12に示されるように、中実脚部材をねじれる角度(ねじり角)θ(°)は、ヒトが発生するねじりトルクの範囲(≦1Nm)より、略0となる。ねじり角θ(°)がこのような範囲であると、中実脚部材からは、ねじりによる効果が得られないことが分かる。

【0094】
つまり、歩行支援機1の大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、ヒト(利用者U)の歩行時(方向転換も含む)において、適度にねじれ易く、かつ適度にねじれが戻り易い特性(ねじり剛性)を備えている。その結果、歩行支援機1を装着する利用者Uの歩行動作を拘束せず、かつ矯正することができる。

【0095】
なお、上述した比較対象(中実脚部材)の場合のように、大腿リンク部及び下腿リンク部のねじり剛性が高過ぎると、1Nm程度のトルクでは、十分に脚(下肢)をねじることができず、ねじり動作が拘束されてしまう。これに対し、大腿リンク部及び下腿リンク部のねじり剛性が低過ぎると、ヒト(利用者U)の脚(下肢)を正規の位置に戻すのに適切なトルクが発生せず、ねじれたままとなってしまう。

【0096】
以上のことより、歩行支援機1の大腿リンク部3及び下腿リンク部4は、それぞれ、長手方向に沿った軸線を中心として+70°~-70°の範囲で弾性的にねじれることが好ましい。なお、ここでは、脚(下肢)の外側にねじる場合を+と表し、内側にねじる場合を-と表す。

【0097】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、図13を参照しつつ説明する。図13は、実施形態2の歩行支援機における後方から見た状態の大腿接触部8Aの拡大図である。本実施形態の歩行支援機では、利用者Uの大腿U11に宛がわれる部分が、弾性体からなる大腿接触部8Aが用いられている。この大腿接触部8Aは、例えば、実施形態1の大腿接触部8の表面を覆うように弾性体を取り付けたものからなる。この大腿接触部8Aに利用される弾性体としては、大腿U11の表面形状に追従し易い遅延弾性型の樹脂発泡体からなる弾性体が特に好ましい。例えば、テンピュール(登録商標)に利用されている弾性体を所定形状に加工したものを、本実施形態の弾性体として利用してもよい。このような弾性体からなる大腿接触部8Aは、歩行支援機の装着時に、大腿U11に対して力が集中し過ぎることが抑制される。したがって、利用者Uは、大腿接触部8Aが大腿U11に接触していても、接触による痛みを感じ難くなっている。なお、他の実施形態においては、実施形態1の大腿接触部8を一回り小さく形成した物等からなり、大腿リンク部3に固定される芯材に上述した弾性体を取り付けたものを、大腿接触部として利用してもよい。なお、本実施形態の歩行支援機は、大腿接触部8A以外の構成は、実施形態1と同様である。

【0098】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を、図14及び図15を参照しつつ説明する。図14は、実施形態3の歩行支援機で利用される下腿装着部5Aを前方から見た説明図である。また、図15は、実施形態3の歩行支援機で利用される下腿装着部5Aを上方から見た説明図である。なお、本実施形態の歩行支援機は、下腿装着部5A以外の構成は、実施形態1と同様である。下腿装着部(脛カフ)5Aは、利用者Uの右脚U1の下腿U12に装着される部分であり、全体的には、略U字状をなすと共に、下腿U12を前後方向から抱き込むような筒形状をなしている。このように筒形状をなす部分を、下腿装着部5Aの本体部50Aと称する。本体部50Aは、上方から下方に向かって若干、先細り状(テーパー状)をなしている。また、この下腿装着部5Aの本体部50Aを、下腿リンク部4に固定される外側(右側方)から平面視した際、本体部50Aは、内側に開口5Aaを有する環状(ループ状)部材が、利用者の下腿U12を前後方向から抱きかかえるように、湾曲した形をなしているとも言える。そして、本体部50Aは、開口5Aaを間において上下2段に分かれて配される部分を備えている。上下2段に分かれて配されている環状をなした本体部50Aのうち、下段部分50A2のみが下腿リンク部4に固定される基部52Aに接続されており、上段部分50A1は、基部52Aから分離された状態となっている。そのため上段部分50A1と基部52Aとの間には、隙間5Acが形成されている。

【0099】
図15に示されるように、筒形状をなしている本体部50Aの内側には、上下方向に延びた空間5Abがあり、この空間5Ab内に下腿U12が収容される。なお、体部50Aの前方部分の端部と、後方部分の端部との間には上下方向に沿った隙間5Adがあり、この隙間から下腿U12が下腿装着部5Aの本体部50A(つまり、空間5Ab)に対して着脱される。本実施形態の下腿装着部5Aは、合成樹脂を所定形状に加工したものからなり、適度な強度と共に適度な弾性を備えている。更に、本実施形態の下腿装着部5Aでは、本体部50Aのうち、上段部分50A1は、下腿リンク部4に固定される基部52Aに対して分離されており、ある程度、前後左右及び上下に移動できる構造となっている。そのため、下腿装着部5Aの本体部50Aは、適度に若干、押し広げられた状態で下腿U12に密着させることができると共に、本体部50Aの上段部分50A1が、下腿U12の動きに応じて、ある程度、前後左右に移動することができる。本実施形態の下腿装着部5Aでは、利用者Uの下腿U12(特に、下腿U12の上方部分)が下腿リンク部4に対して、ある程度、前後左右に動くことが許容されている。その結果、本実施形態の歩行支援機では、利用者Uの下腿U12(前方の脛部分や、後方の脹脛部分)に下腿装着部5Aが強く当たり過ぎて、下腿U12に痛みが発生することが抑制される。

【0100】
なお、下腿装着部5Aの大きさ、強度、弾性等の諸条件は、利用者Uの下腿U12の大きさ、形状、位置等を考慮して、適宜、設定される。下腿装着部5Aは、下腿リンク部4の内側に、取り外し可能な状態で2つのネジ状の固定部材51A,51Aを利用して固定される。各ネジ状の固定部材51A,51Aは、下腿リンク部4に設けられている貫通孔42d,41dに挿通されて下腿リンク部4に固定される。各ネジ状の固定部材51A,51Aの先端は、下腿装着部5Aの基部52Aに挿し込まれる形で螺着されている。

【0101】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4を、図16及び図17を参照しつつ説明する。図16は、実施形態4の歩行支援機で利用されるカム調節装置100を示した斜視図であり、図17は、実施形態4の歩行支援機で利用されるカム調節装置100を内側から見た側面図である。本実施形態の歩行支援機は、回転プレート62Bに形成されているカム部62Bdと、カムフォロア94Bのローラ部94Baとの相対的な位置関係を、調節するカム調節装置100を備えている。カム調節装置100は、主として、サーボモータ101と、第1プーリー102と、タイミングベルト103と、第2プーリー104とを備えている。

【0102】
本実施形態の歩行支援機において、腰関節部6Bが備える腰軸61Bの一端は、実施形態1と同様、ハウジング63Bに固定されている。ただし、本実施形態の場合、腰軸61Bの他端は、取付板60Bに対して固定されている。本実施形態の取付板60Bも、実施形態1と同様、上端部分が腰装着ベルト2の収容部23に収容される形で取り付けられる。また、本実施形態の回転プレート62Bは、実施形態1と同様、腰軸61Bによって前後方向に回転(揺動)可能な状態で軸支されるものの、取付板60Bには固定されない。そして、本実施形態の腰軸61Bには、更に、第2プーリー(歯付プーリー)104が軸支されている。第2プーリー104は、回転プレート62Bと取付板60Bとの間に配されている。また、第2プーリー104は、回転プレート62Bに対して固定されている。つまり、第2プーリー104が腰軸61B上を回転すると、回転プレート62Bも同時に回転することになる。なお、回転プレート62Bの本体部62Baの外観形状は、実施形態1と同様である。つまり、本実施形態の回転プレート62Bにも、実施形態1と同様な、カム部62Bd、外周面(カム面)62Be等が形成されている。第2プーリー104には、タイミングベルト(歯付ベルト)103が架けられている。

【0103】
サーボモータ101は、図16に示されるように、腰装着ベルト2の後方部分(本体部21の後方部分)に取り付けられている。サーボモータ101は、図示されない電源装置から供給される電力を利用して駆動軸(不図示)を回転させる。また、サーボモータ101は、図示されない制御装置からの指令に基づいて、駆動軸の回転が制御されている。サーボモータ101が備える駆動軸の先端には、第1プーリー102が取り付けられている。この第1プーリー102の直径は、第2プーリー104の直径よりも小さく設定されている。そして、第1プーリー102にも、タイミングベルト103が架けられている。つまり、サーボモータ101の駆動軸が回転駆動して、第1プーリー102が回転すると、第1プーリー102に架けられているタイミングベルト103が連動して回転し、更にタイミングベルト103が架けられている第2プーリー104が回転することになる。つまり、第2プーリー104が回転すると、第2プーリー104に固定されている回転プレート62Bも回転して、回転プレート62Bに設けられているカム部62Bdのカムフォロア94B(ローラ部94Ba)に対する位置が、変更されることになる。

【0104】
例えば、利用者Uから入力された所定の信号を受けて、制御装置(不図示)がサーボモータ101に対して駆動信号を送信すると、カム部62Bdが、カムフォロア94B(ローラ部94Ba)に対して所定角度だけ位置がずれるように、サーボモータ101の駆動軸が回転駆動して、タイミングベルト103を利用して第2プーリー104を回転させる。このようにして、本実施形態の歩行支援機においても、トルク発生装置9Bの使用トルク領域を、カム調節装置100を利用して変更することができる。つまり、本実施形態では、歩行支援機の腰関節部6Bを分解せずに、使用トルク領域を変更させることができる。

【0105】
なお、本実施形態のトルク発生装置9Bのトルク特性は、図11に示される実施形態1のトルク特性と同様である。トルク発生装置9Bのトルク特性は、図11に示されるグラフの横軸(カムフォロア角度θ1)を、カムフォロア角度θ2(腰軸61Bの中心Oを通るカム部62Bdの中心線Mと、カムフォロア94Bの中心と腰軸61Bの中心Oとを通る直線とがなす角(°))に置き換えたグラフで示される。

【0106】
本実施形態においても、例えば、歩行時において、上体(腰U3)が直立している状態では、腰U3に装着された腰装着ベルト2に取り付けられている取付板60Bも同じく略鉛直方向に直立する状態となる。この状態において、カムフォロア94Bは、実施形態1と同様、鉛直方向Gに対して前方に20°の角度に配されている。更に、この状態において、カムフォロア94Bがカム部62Bdの中心線Mから後方に-20°の角度に配されるように、カム部62Bdの取付位置(回転プレート62の取付位置)が設定されていると、大腿リンク部3が鉛直方向に対して後方の-20°(絶対角度)から前方の20°まで振り出された際、カムフォロア94Bは、実施形態1と同様、0°から-40°までを動くことになり、θ2の当該角度区間のトルクが発生することになる。

【0107】
これに対して、カムフォロア94Bがカム部62Bdの中心線Mから後方に-40°の角度に配されるように、サーボモータ101を駆動させて、第2プーリー104を回転させて、カム部62Bdの取付位置(回転プレート62Bの取付位置)が変更されると、大腿リンク部3が鉛直方向に対して後方の-20°(絶対角度)から前方の20°まで振り出された際、カムフォロア94Bは、-20°から-60°までを動くことになり、θ2の当該角度区間のトルクが発生し、前記発生トルクよりも高トルク域を使うことになる。このように、カム調節装置100を利用して、外周面62Beに対するカムフォロアB94の移動区間を変更することによって、トルク発生装置9Bの使用トルク領域を歩行中でも自動的に、かつ容易に変更することができる。

【0108】
<実施形態5>
次いで、本発明の実施形態5を、図18乃至図20を参照しつつ説明する。図18は、実施形態5の歩行支援機1Aの側面図である。本実施形態の歩行支援機1Aは、主として、腰装着ベルト2と、大腿リンク部3Aと、下腿リンク部4Aと、下腿装着部5Aと、腰関節部6Aと、膝関節部7Aと、大腿接触部8Aと、トルク発生装置9とを備えている。なお、歩行支援機1Aが備えている腰装着ベルト2及びトルク発生装置9は、実施形態1のものと同じである。

【0109】
本実施形態の歩行支援機1Aは、大腿リンク部3A、及び下腿リンク部4Aが、モジュール化された腰関節部6Aや膝関節部7Aから取り外せるように構成されている。図19は、実施形態5の大腿リンク部3Aの側面図である。大腿リンク部3A及び下腿リンク部4Aは、実施形態1と同様、金属板を所定形状に加工したものからなる。具体的には、大腿リンク部3Aは、大腿内側部材31Aと、大腿外側部材32Aとが互いに向かい合わせの状態で組み合わされたものからなる。大腿リンク部3Aは、一対の筒柱部33A、34Aと、これらの間に配され、筒柱部33A,34A同士を連結する板状の連結部35Aとを備えている。また、下腿リンク部4Aは、下腿内側部材41Aと、下腿外側部材42Aとが互いに向かい合わせの状態で組み合わされたものからなる。下腿リンク部4Aは、一対の筒柱部43A、44Aと、これらの間に配され、筒柱部43A、44A同士を連結する板状の連結部45Aとを備えている。

【0110】
大腿リンク部3Aの上端部3Aaは、腰関節部6Aの保持部65Aに対して、取り外し可能な状態で取り付けられている。また、大腿リンク部3Aの下端部3Abは、膝関節部7Aの大腿側膝関節部73Aに対して、取り外し可能な状態で取り付けられている。また、下腿リンク部4Aの上端部4Aaは、膝関節部7Aの下腿側膝関節部72Aに対して、取り外し可能な状態で取り付けられている。なお、膝関節部7Aが備える膝軸71及び固定部材74の構造は、実施形態1のものと同様である。

【0111】
図20は、実施形態5の歩行支援機1Aにおける膝関節部7A付近の分解斜視図である。ここで、図20等を参照しつつ、大腿リンク部3Aの下端部3Abと、膝関節部7Aの大腿側膝関節部73Aとの取付構造を説明する。大腿側膝関節部73Aは、主として下腿側膝関節部72Aに対して重なる部分であって略円盤状をなす本体部73Aaと、この本体部73Aaの上端に接続する部分であって大腿リンク部3Aの下端部3Abを保持する保持部73Abとを備えている。

【0112】
保持部73Abは、本体部73Aa上に立設されている第1保持部173Abと、この第1保持部173Abとは別体の第2保持部273Abとを備えている。保持部73Abは、第1保持部173Abと、第2保持部273Abとの間で大腿リンク部3Aの下端部3Abを挟み付ける形で保持する。大腿リンク部3Aの下端部3Ab(下端面)は、第1保持部173Abが立設されている本体部73Aaの上面73Aa1と当接する状態で保持される。

【0113】
第1保持部173Abと第2保持部273Abとの間には、大腿リンク部3Aの下端部3Abを収容する隙間73Acがある。この隙間73Acの大きさは、下端部3Abの厚み分に相当する。第1保持部173Abには、凸部173Ab1が設けられている。凸部173Ab1は、大腿リンク部3Aの筒柱部33A,34Aと、板状の連結部35Aとで形成される溝状の部分に嵌められる。また、第2保持部273Abにも、凸部273Ab1が設けられており、凸部273Ab1が、大腿リンク部3Aの筒柱部33A,34Aのと、板状の連結部35Aとで形成される溝状の部分に嵌められる。

【0114】
第1保持部173Abは、凸部173Ab1を貫通する貫通孔173Ab2を備えている。また、第2保持部273Abは、凸部273Ab1を貫通する螺子穴273Ab2を備えている。そして、大腿リンク部3Aの下端部3Abには、連結部35Aを貫通する貫通孔232Adが設けられている。貫通孔173Ab2、貫通孔232Ad及び螺子穴273Ab2には、螺子273が差し通される形で螺着される。このように、大腿リンク部3Aの下端部3Abは、螺子273を利用しつつ、第1保持部173Abと第2保持部273Abとの間で挟み付けられる形で、保持部73Abにより保持されている。なお、螺子273を緩めて、貫通孔173Ab2、貫通孔232Ad及び螺子穴273Ab2から螺子273を抜くことにより、大腿リンク部3Aを保持部73Abから容易に取り外すことができる。

【0115】
次いで、図20等を参照しつつ、下腿リンク部4Aの上端部4Aaと、膝関節部7Aの下腿側膝関節部72Aとの取付構造を説明する。下腿側膝関節部72Aは、主として大腿側膝関節部73Aに対して重なる部分であって略円盤状をなす本体部72Aaと、この本体部72Aaの下端に接続する部分であって下腿リンク部4Aの上端部4Aaを保持する保持部72Abとを備えている。

【0116】
下腿側膝関節部72Aにおける保持部72Abの基本的な構成は、上述した大腿側膝関節部73Aにおける保持部73Abと同様である。具体的には、保持部72Abは、本体部72Aaの下端に設けられている第1保持部172Abと、この第1保持部172Abとは別体の第2保持部272Abとを備えている。保持部72Abは、第1保持部172Abと、第2保持部272Abとの間で下腿リンク部4Aの上端部4Aaを挟み付ける形で保持する。下腿リンク部4Aの上端部4Aa(上端面)は、第1保持部172Abが下向きに立設されている本体部72Aaの下面72Aa1と当接する状態で保持される。

【0117】
第1保持部172Abは、凸部172Ab1と、貫通孔172Ab2とを備えており、第2保持部272Abは、凸部272Ab1と、螺子穴272Ab2とを備えている。また、第1保持部172Abと第2保持部272Abとの間には、下腿リンク部4Aの上端部4Aaを収容する隙間72Acがある。この隙間72Acの大きさは、上端部4Aaの厚み分に相当する。そして、下腿リンク部4Aの上端部4Aaには、連結部45Aを貫通する貫通孔142Adが設けられている。

【0118】
貫通孔172Ab2、貫通孔142Ad及び螺子穴272Ab2には、螺子272が差し通される形で螺着される。このように、下腿リンク部4Aの上端部4Aaは、螺子272を利用しつつ、第1保持部172Abと第2保持部272Abとの間で挟み付けられる形で、保持部72Abにより保持されている。なお、螺子272を緩めて、貫通孔172Ab2、貫通孔142Ad及び螺子穴272Ab2から螺子272を抜くことにより、下腿リンク部4Aを保持部72Abから容易に取り外すことができる。

【0119】
また、腰関節部6Aの保持部65Aは、上述した下腿側膝関節部72Aの保持部72Abと同様の構造を備えており、大腿リンク部3Aの上端部3Aaを取り外し可能な状態で保持する。大腿リンク部3Aの上端部3Aaには、腰関節部6Aの保持部65Aに対して取り付けられる際に利用される貫通孔132Adが設けられている。

【0120】
なお、下腿リンク部4Aの下端部4Abには、図18に示されるように、実施形態1と同種の保護キャップ10Aが被せられている。保護キャップ10Aは、下腿リンク部4Aの下端部4Abに対して、着脱可能(自在)な状態となっている。

【0121】
本実施形態の歩行支援機1Aは、大腿リンク部3A、及び下腿リンク部4Aを、それぞれ他のものに取り換えることが可能である。例えば、大腿リンク部3Aとしては、長手方向の長さが20mm間隔で異なる7種類のもの(大腿リンク部群の一例)が予め用意されている。具体的には、全長が、200mm、220mm、240mm、260mm、280mm、300mm、及び320mmである各大腿リンク部3Aが予め用意されている。また、下腿リンク部4Aとしては、長手方向の長さが60mm間隔で異なる2種類のもの(下腿リンク部群の一例)が予め用意されている。具体的には、全長が、200mm、及び260mmである各下腿リンク部4Aが予め用意されている。上記のように、予め用意される大腿リンク部3A及び下腿リンク部4Aの種類は、要求される利用者の体格に応じて、適宜、設定される。これは日本人の体格をベースに設定したもので、ほとんどの日本人の利用者に対応できる。日本人以外でも上記全長の最大値、最小値の見直しで対応可能である。

【0122】
利用者や、医師、理学療法士等の施術者等は、複数種の大腿リンク部3Aの中から1種を選択し、その選択された大腿リンク部3Aが歩行支援機1Aに適用される。また、利用者や、前記施術者等は、複数種の下腿リンク部4Aの中から1種を選択し、その選択された下腿リンク部4Aが歩行支援機1Aに適用される。

【0123】
(モジュール化)
本実施形態のように、大腿リンク部3A、及び下腿リンク部4Aが、モジュール化された腰関節部6A、及び膝関節部7Aに対して着脱可能(自在)に構成されることにより、利用者の要求(例えば、利用者の身体サイズ)に応じて適宜、大腿リンク部が及び下腿リンク部の長さを、設定することが可能となる。

【0124】
なお、他の実施形態においては、歩行支援機1Aの大腿リンク部3Aや下腿リンク部4Aを、それぞれ同種のもの(例えば、同じ種類(サイズ)の新品の大腿リンク部3Aや下腿リンク部4A)に取り換えることを行ってもよい。

【0125】
また、下腿装着部5Aは、利用者の下腿(下肢装具を含む場合もある)の大きさ、形状等を考慮して、周長等が異なる複数種のもの(下腿装着部群)から適宜、選択される。

【0126】
<実施形態6>
次いで、本発明の実施形態6を、図21乃至図27を参照しつつ説明する。本実施形態では、重り(ウエイト)を装着した歩行支援機を説明する。図21は、重り200を装着した歩行支援機1Aの側面図である。図21には、上述した実施形態5の歩行支援機1Aに、重り200が装着された状態が示されている。

【0127】
重り200は、歩行支援機1Aの大腿リンク部3Aと、下腿リンク部4Aに対して、それぞれ取り付けられている。大腿リンク部3Aに取り付けられる重り200を、特に重り200aと表し、下腿リンク部4Aに取り付けられる重り200を、特に重り200bと表す場合がある。

【0128】
図22は、大腿リンク部3Aに取り付けられる重り200aの拡大図であり、図23は、図22のC-C’線断面図である。重り200aは、全体的には、細長く延びた棒状をなしており、大腿リンク部3Aの筒柱部33A,34Aと、連結部35Aとで形成される溝状の部分に嵌る形で取り付けられる。重り200aには、大腿リンク部3Aの溝状の部分に嵌められる凸部201が設けられている。

【0129】
重り200aは、主として、真鍮等の金属系材料からなる。本実施形態の場合、重り200aは、磁石(不図示)を内蔵しており、金属製の大腿リンク部3Aに対して磁力で付着している。そして、重り200aは、略半円弧状をなした固定部材210a(210)を利用して、大腿リンク部3Aに対して固定されている。固定部材210a(210)は、プラスチック材料や金属材料等からなる。固定部材210a(210)の両端部211,211は、図23に示されるように、互いに向かい合うように、それぞれ鉤状に湾曲した形をなしている。固定部材210a(210)は、両端部211,211が、大腿リンク部3Aの端部に弾性変形して引っ掛かることにより、大腿リンク部3Aに対して固定されている。そして、重り200aは、固定部材210a(210)と大腿リンク部3Aとの間で挟み付けられる形となる。また、固定部材210a(210)を大腿リンク部3Aから引き離す力を加えると、端部211が外側に弾性変形して、固定部材210a(210)を容易に取り外すことができる。このようにして、重り200aが、大腿リンク部3Aに対して、着脱自在な状態で取り付けられている。

【0130】
また、下腿リンク部4Aに取り付けられる重り200bの基本的な構成は、上述した大腿リンク部3A用の重り200aと同様であり、重り200bは固定部材210b(210)を利用して下腿リンク部4Aに対して取り付けられる。

【0131】
なお、他の実施形態においては、重り200に磁石が設けられていなくてもよく、例えば、上述した固定部材210のみで重り200が大腿リンク部3Aや下腿リンク部4Aの所定個所に取り付けられてもよい。

【0132】
本実施形態の場合、大腿リンク部3Aに取り付けられる重り200aの重さは、130gであり、下腿リンク部4Aに取り付けられる重り200bの重さは、60gである。大腿リンク部3Aに取り付けられる重り200aの重さ、及び下腿リンク部4Aに取り付けられる重り200bの重さは、利用者の要求に応じて、適宜、変更可能である。例えば、歩行支援機を装着する利用者の患脚の状態に応じて、利用者自身、又は医師や理学療法士等の施術者により利用者の症状、歩行状態に合わせて、重さが異なる複数種のもの(重り群)から適宜、選択される。なお、重り200は、大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの双方に取り付けられてもよいし、大腿リンク部3A、又は下腿リンク部4Aのみに取り付けられてもよい。

【0133】
また、重り200aの大腿リンク部3Aにおける取付位置は、大腿リンク部3Aの上端部3Aa側であってもよいし、大腿リンク部3Aの下端部3Ab側であってもよい。また、重り200aの前記取付位置は、大腿リンク部3Aの中央部分に取り付けられてもよい。つまり、重り200aの前記取付位置は、特に限定されるものではなく、利用者自身、又は医師や理学療法士等の施術者により利用者の症状、歩行状態に合わせて、適宜、設定される。

【0134】
(重り付き歩行支援機の挙動のシミュレーション)
ここで、重りを装着した歩行支援機における大腿リンク部、及び下腿リンク部の各動きを、コンピュータを用いてシミュレーションした。シミュレーションの条件は、以下の通りである。

【0135】
図24は、歩行支援機を模擬した2リンクモデルの説明図である。図24中には、腰軸61の中心Oの周りに揺動する大腿リンク部3Aと、膝軸71の中心Pを通る鉛直線G1との間の角度(絶対角度)θ10と、膝軸71の中心Pの周りに互いに揺動する大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aとの間の角度(相対角度)θ20が示されている。なお、図24中に示される矢印Fの向きが、歩行支援機の前方である。図24に示されるように、歩行支援機1Aの大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aを模擬した2リンクモデル(2重振子モデル)を用いてシミュレーションした。2リンクモデルの大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの長さは、それぞれ320mmと260mmである。大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの重さは、それぞれ100gと70gである。大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aに取り付けられる重りの重さは、それぞれ130gと60gである。シミュレーションでは、大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aとが真っ直ぐな状態であって、かつその真っ直ぐな状態の大腿リンク部3A及び下腿リンク部4Aが鉛直方向から後方に10°傾けられた初期状態から、腰軸61の中心Oの周りにトルクを掛けて2重振子運動を行わせた。ここで、トルクは大腿リンク部3Aが30°揺動する間、1Nm~0Nmまで減少する(図25参照)。なお、シミュレーションは、大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aのそれぞれ上端側、中央部分、及び下端側に重りを設定した3通りで行った。

【0136】
図25は、腰軸61の中心Oの周りに揺動する大腿リンク部3Aと、膝軸71の中心Pを通る鉛直線G1との間の角度(絶対角度)θ10の経時的な変化を示すグラフと、膝軸71の中心Pの周りに互いに揺動する大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aとの間の角度(相対角度)θ20の経時的な変化を示すグラフの説明図である。なお、腰軸61の中心Oの周りに揺動する大腿リンク部3Aと、膝軸71の中心Pを通る鉛直線G1との間の角度(絶対角度)θ10については、大腿リンク部3Aが鉛直線G1に対して前方にある場合をプラスで表し、反対に鉛直線G1に対して後方にある場合をマイナスで表す(図24参照)。さらに、図25中のL1は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各上端側に設定されている場合であり、L2は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各中央部分に設定されている場合であり、L3は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各下端側に設定されている場合である。

【0137】
また、膝軸71の中心Pの周りに互いに揺動する大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aとの間の角度(相対角度)θ20については、大腿リンク部3A及び下腿リンク部4Aが一直線上に並ぶ場合が0°である。そして、大腿リンク部3A及び下腿リンク部4Aが互いに近付くと、θ20の値が0°よりも大きくなる。図25中のL11は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各上端側に設定されている場合であり、L12は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各中央部分に設定されている場合であり、L13は、重りが大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aの各下端側に設定されている場合である。

【0138】
図25に示されるように、重りが上端側ならびに中央部分にあると、大腿リンク部3Aの揺動角度θ10の経時的な変化(グラフの傾き)が若干大きくなり、さらに膝角度θ20の最大値が大きくなり、歩行のピッチ(時間)が短くなる。一方、重りが下端側にあると、膝角度θ20の最大値が小さくなり、歩行のピッチ(時間)が長くなる。歩行支援機は、このように無動力でありながら、重りの設置個所によって揺動パターンを変化させることが可能である。したがって、利用者の症状や歩行状態に合わせて、歩行支援機における適切な重量バランス(重りの重さや、重りの取付位置のバランス)を図ることで、歩行の改善効果が期待できる。

【0139】
(重り付き歩行支援機の挙動の実測)
次いで、重り付きの歩行支援機を利用者が装着した状態で歩行し、その歩行時の歩行支援機における大腿リンク部及び下腿リンク部の動きを、以下に示す手順により解析した。

【0140】
図21に示される重り付きの歩行支援機1Aにおいて、腰関節部(腰軸)、膝関節部(膝軸)、及び下腿リンク部4Aの下端部(保護キャップ10A)に、それぞれマーカーを取り付けた。マーカーが取り付けられた前記歩行支援機1Aを、利用者(被験者)の右脚に装着し、利用者を歩行させた。なお、歩行支援機1Aの大腿リンク部3Aの長さは、320mmであり、大腿リンク部3Aの上端側の位置に、重さ190gの重りが取り付けられている。また、下腿リンク部4Aの長さは、260mmであり、下腿リンク部4Aの上端側の位置に、重さ190gの重りが取り付けられている。

【0141】
次いで、前記歩行支援機1Aを装着して歩行する利用者を、高速度カメラを利用して撮影して、前記歩行支援機1Aの動画を取得した。取得された動画(画像データ)より、各マーカーの軌跡データを抽出し、その抽出結果から、腰軸61の中心Oの周りに揺動する大腿リンク部3Aと、膝軸71の中心Pを通る鉛直線G1との間の角度(絶対角度)θ10の経時的なデータと、膝軸71の中心Pの周りに互いに揺動する大腿リンク部3Aと下腿リンク部4Aとの間の角度(相対角度)θ20の経時的なデータを取得した。なお、角度θ10,及び角度θ20の取り方は、上述したシミュレーションにおける角度の取り方と同様である(図24参照)。

【0142】
また、前記角度θ10、及び前記角度θ20としては、歩行の1サイクル分のデータを取得した。また、本実施形態の場合、前記歩行支援機1Aを装着した右脚が後方床面上に配され、かつ左脚が前方床面上に配される状態の両脚支持期(DS:Double support phase)を、歩行サイクルのスタートとした。図26は、歩行サイクルを模式的に表した説明図である。取得された前記角度θ10、及び前記角度θ20のデータは、図27にグラフとして示した。また、比較対象として、重りを取り外した状態の歩行支援機1Aにおける前記角度θ10及び前記角度θ20のデータも、同様に取得した。これらのデータも、図27にグラフとして示した。

【0143】
図27中のL21(実線)は、重り有りの状態の歩行支援機1Aにおけるθ20(膝角度)のデータ(グラフ)であり、L22(破線)は、重り無しの状態の歩行支援機1Aにおけるθ20(膝角度)のデータ(グラフ)である。また、図27中のL31(実線)は、重り有りの状態の歩行支援機1Aにおけるθ10(大腿リンク部の揺動角度)のデータ(グラフ)であり、L32(破線)は、重り無しの状態の歩行支援機1Aにおけるθ10(大腿リンク部の揺動角度)のデータ(グラフ)である。なお、図27中に示される期間t1は、重り有りの場合の両脚支持期を示し、期間t2は、重り無しの場合の両脚支持期を示す。

【0144】
図27に示されるように、歩行支援機1Aが遊脚期のとき、重り無しの場合と比べて重り有りの場合は、角度θ20(膝角度)の最大値が若干小さくなり(図27の0.2~0.4秒の辺り参照)、また角度θ10(大腿リンク部の揺動角度)の経時的な変化(グラフの傾き)が若干大きくなっている(図27の0.2秒前後)。体感的には、重り有りの場合、足が持ち上がるよりは前方に振られて歩幅が広がる感じである。なお、このときの足の移動量は、重り無しの場合が123cm、重り有りの場合が134cmであった。また、重り無しの場合に比べて重り有りの場合は、歩行のピッチ(時間)は短くなる。歩行支援機1Aを装着することにより、歩幅が広がり、テンポ良く歩けることは、一つの歩行改善効果である。

【0145】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。

【0146】
(1)上記実施形態では、右脚に装着する方式の歩行支援機を例示したが、他の実施形態においては、反対に、左脚に装着するものであってもよい。

【0147】
(2)上記実施形態では、片脚(右脚)のみに歩行支援機が装着されるものであったが、他の実施形態においては、例えば、1つの腰装着ベルトにおける左右に、それぞれ左右の歩行支援機を取り付けたものを使用してもよい。

【0148】
(3)上記実施形態の歩行支援機では、大腿リンク部と下腿リンク部とが膝関節部を介して互いに接続された構成となっていたが、他の実施形態においては、例えば、実施形態1の歩行支援機から、膝関節部、下腿リンク部、下腿装着部等を省略した構成のものを、歩行支援機として利用してもよい。このような歩行支援機であっても、歩行支援機を装着する利用者の脚(例えば、右脚)に対して、歩行動作における脚運動が支援(アシスト)される。なお、この場合、大腿接触部8にベルトを架け、大腿U11に巻き付けることが好ましい。

【0149】
(4)上記実施形態では、大腿リンク部に大腿接触部を取り付けた構成となっていたが、他の実施形態においては、大腿接触部は省略させてもよい。

【0150】
(5)上記実施形態では、取付板が腰装着ベルトに対して、面ファスナーを利用して取り付けられていたが、他の実施形態においては、他の公知の取付手段を利用して取り付けられてもよい。なお、上記実施形態のように、取付板は腰装着ベルトに対して、着脱可能に取り付けられることが好ましい。

【0151】
(6)上記実施形態3の下腿装着部5Aでは、下腿装着部5Aを下腿リンク部4に固定するための基部52Aと、本体部50Aの上段部分50A1との間には、隙間5Acが形成されていた。他の実施形態においては、例えば、基部52Aと上段部分50A1とを繋ぐ形で、ヒンジ部が設けられてもよい。このようにヒンジ部を設けて、下腿装着部5Aの本体部50Aにおける上段部分50A1が、主として、前後方向に移動することが許容されつつ、上下方向に移動することが抑制される。つまり、ヒンジ部を設けることによって、下腿装着部の上下方向の移動が抑制されて、下腿リンク部の動きが、利用者の下腿に効率的に伝わり易くなる。

【0152】
(7)上記実施形態では、大腿リンク部及び下腿リンク部を構成する各部材は、それぞれ金属製の板状部材から構成されていたが、他の実施形態においては、大腿リンク部及び下腿リンク部を構成する各部材が、例えば、樹脂部材(例えば、樹脂成型品)から構成されてもよい。

【0153】
(8)上記実施形態では、トルク発生装置は、大腿リンク部を利用者の前方に向かって移動させるトルクを発生させる構成であったが、他の実施形態においては、トルク発生装置によって発生させるトルクパターンは、適宜、変更されてもよい。例えば、トルク発生装置が、実施形態1とは反対に、大腿リンク部を利用者の方向に向かって移動させるトルクを発生させる構成であってもよい。

【0154】
(9)上記実施形態1では、取付板60において、1組の固定孔60c,60cが設けられていたが、他の実施形態においては、2組以上の固定孔60c,60cが取付板60に設けられてもよい、その際、例えば、隣り合った組同士の間隔を、10°に設定した場合(つまり、腰軸61を中心として固定孔60cを10°刻みで設定した場合)、回転プレート62に設けられている各組の固定孔62c,62c(15°間隔で隣接)との組み合わせにより、回転プレート62に設けられているカム部62d(外周面62e)の取付位置(カムフォロア94(ローラ部94a)に対する位置)を、5°刻みで変更することができる。このように、回転プレート62の各固定孔62c,62cのみならず、取付板60側に設けた各固定孔60c,60cを利用して、カム部62dの取付位置(角度)を調節してもよい。

【0155】
(10)図28は、大腿リンク部3Bの変形例の断面図である。この大腿リンク部3Bは、円筒状(パイプ状)の金属部材を板状に押し潰して連結部35Bを形成すると共に、その連結部35Bを両側から挟むように長手状の筒柱部33B,34Bを形成したものからなる。なお、図28には、大腿リンク部3Bの上端部に形成される貫通孔132Bdが示されている。このように、一本の円筒状部材を加工して製造される大腿リンク部3Bを利用してもよい。なお、大腿リンク部3Bと同様の構造を、下腿リンク部に適用してもよい。また、大腿リンク部3Bの筒柱部33B,34Bは、断面形状が円形のみに限られず、楕円形や多角形状(例えば四角形状)であってもよい。

【0156】
(11)図29は、大腿リンク部3Cの変形例の断面図である。この大腿リンク部3Cは、一枚の金属製板材の両端部分を円筒状に加工したものからなる。大腿リンク部3Cは、中央部分に配される板状の連結部35Cと、この連結部35Cを両側から挟む一対の筒柱部33C,34Cを備えている。連結部35Cの厚みは、大腿リンク部3Cに要求される強度等に応じて、適宜、設定される。また、筒柱部33C,34Cを構成する部分の前記板材は、適宜、溶接等の接続処理が施されてもよい。なお、図29には、大腿リンク部3Cの上端部に形成される貫通孔132Cdが示されている。このように、一枚の金属製板材を加工して製造される大腿リンク部3Cを利用してもよい。なお、大腿リンク部3Cと同様の構造を、下腿リンク部に適用してもよい。

【0157】
(12)図30は、大腿リンク部3Dの変形例の断面図である。この大腿リンク部3Dは、一枚の金属製板材の両端部分を角筒状に加工したものからなる。大腿リンク部3Dは、中央部分に配される板状の連結部35Dと、この連結部35Dを両側から挟む一対の筒柱部33D,34Dを備えている。連結部35Dの厚みは、大腿リンク部3Dに要求される強度等に応じて、適宜、設定される。また、筒柱部33D,34Dを構成する部分の前記板材は、適宜、溶接等の接続処理が施されてもよい。なお、図30には、大腿リンク部3Dの上端部に形成される貫通孔132Ddが示されている。このように、一枚の金属製板材を加工して製造される大腿リンク部3Dを利用してもよい。なお、大腿リンク部3Dと同様の構造を、下腿リンク部に適用してもよい。

【0158】
(13)大腿リンク部に利用される部材としては、SECC以外に、冷間圧延鋼板(SPCC)、熱間圧延鋼板(SPHC)等の公知の金属製部材が利用されてもよい。また、前記金属製部材には、亜鉛メッキや塗装等の表面処理が施されてもよい。

【0159】
(14)図31は、他の実施形態に係る歩行支援機1Bの背面図である。この歩行支援機1Bの大腿リンク部3A、及び下腿リンク部4Bは、上述した実施形態5の歩行支援機1Aのものと同様であり、また、腰関節部6A及び膝関節部7Aについても、実施形態5のものと同様である。この歩行支援機1Bの下腿リンク部4Aには、下腿装着部が取り付けられておらず、下腿リンク部4Aの下端を保護する保護キャップ10Aが上方を向くように、下腿リンク部4Aが大腿リンク部3Aに図31における左右方向で重ねられている。そして、大腿接触部8Bが、下腿リンク部4Aの内側(利用者の大腿部を向く側)に取り付けられている。なお、大腿接触部8Bは、ネジ状の固定手段80を利用して、下腿リンク部4Aと共に大腿リンク部3Aにも固定されている。このとき、更に大腿接触部8Bにベルト(不図示)を掛けて、そのベルトを利用者の大腿部に巻き付けて固定される。このように、下腿リンク部4Aを大腿リンク部3Aに重ねた状態の歩行支援機1Bが利用されてもよい。

【0160】
(15)図32は、腰装着ベルト2Cの変形例の説明図である。この腰装着ベルト2Cの基本的な構成は、上述した実施形態1のものと同様である。ただし、腰装着ベルト2Cの収容部23Cは、実施形態1の袋状のものとは異なり、開閉式となっている。具体的には、収容部23Cは、腰関節部6の取付板60の裏側に宛がわれる収容本体部23C1と、取付板60の表側を覆う収容蓋部23C2とを備えている。収容蓋部23C2の後方側の端部は、収容本体部23C1に対して一体的に接続されている。これに対し、収容蓋部23C2の前方側の端部は、収容本体部23C1に対して着脱自在な状態となっている。収容蓋部23C2には、凸状の係合部25が複数個設けられており、収容本体部23C1には、前記係合部25との係合により、前記係合部25に固定される凹状の被係合部26が複数個設けられている。収容蓋部23C2は、係合部25が被係合部26と係合することにより、収容本体部23C1に取り付けられ、また、前記係合が解消されることにより、収容本体部23C1から取り外される。収容本体部23C1の表面には、面ファスナー27が取り付けられており、その面ファスナー27が、取付板60に設けられている相手側の面ファスナー(不図示)と接着する。この腰装着ベルト2Cの収容部23Cは、上述したように開閉式であるため、収容蓋部23C2を開いた状態で取付板60を収容部27C(面ファスナー27)に取り付ける作業を行うことができる。また、それとは反対に、収容蓋部23C2を開いた状態で、取付板60を収容部27C(面ファスナー27)から取り外す作業を行うこともできる。したがって、この腰装着ベルト2Cでは、取付板60の着脱作業が行い易くなっている。

【0161】
(16)図33は、取付板60Dの変形例の説明図である。この取付板60Dは、上述した実施形態1と同様、腰装着ベルト2に取り付けられる。ただし、取付板60Dは、実施形態1とは異なり、板状の本体部60Daが、上部側本体部60Da1と、下部側本体部60Da2とに分割されており、それらが互いにヒンジ部Hによって接続されている。本体部60Daにおけるヒンジ部Hの位置は、腰関節部6と腰装着ベルト2の収容部23の間に配されるように設定されている。取付板60Dは、ヒンジ部Hが外側に移動しつつ、上部側本体部60Da1と下部側本体部60Da2とが互いに近付くように折れ曲がることができる。このように、取付板60Dにヒンジ部Hを設ければ、利用者Uの腰側部の形状に沿うように、取付板60Dを折り曲げることが可能となり、その結果、歩行支援機の大腿リンク部及び下腿リンク部の下肢に対する装着角度を調節することができる。

【0162】
(17)図34は、両脚に歩行支援機1を装着した状態を示す説明図である。本発明の歩行支援機1は、図34に示されるように、利用者Uの両脚にそれぞれ1つずつ装着してもよい。右脚の歩行支援機1と左脚の歩行支援機1とは、互いに左右対称の関係となっているものの、基本的な構造は同じである。このように、歩行支援機1を両脚に装着した場合でも、利用者Uの歩行動作の支援及び改善(矯正)が可能である。
【符号の説明】
【0163】
1…歩行支援機、2…腰装着ベルト、21a…パッド部、3…大腿リンク部、3a…上端部、3b…下端部、4…下腿リンク部、4a…上端部、4b…下端部、5…下腿装着部、6…腰関節部、61…腰軸、7…膝関節部、71…膝軸、8…大腿接触部、9…トルク発生装置、U…利用者(装着者)、U1…右脚(患脚)、U11…大腿、U12…下腿、U2…左脚(健脚)、U3…腰、U31…右側の腰側部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33