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明細書 :カーボンナノケージ及びその中間体、並びにこれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 カーボンナノケージ及びその中間体、並びにこれらの製造方法
国際特許分類 C07C  43/188       (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  15/14        (2006.01)
C07F   5/04        (2006.01)
C07C   1/20        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 43/188 CSP
C07C 41/30
C07C 15/14
C07F 5/04 C
C07C 1/20
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 56
出願番号 特願2015-502708 (P2015-502708)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼配布日 平成24年8月27日 配布先 新聞社、ニュースサイトを運営する新聞社及び通信社 ▲2▼ <その1> 掲載年月日 平成24年8月27日 掲載アドレス http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120827-00000122-jij-soci <その2> 掲載年月日 平成24年8月28日 掲載アドレス http://news.goo.ne.jp/article/mycom/world/ecoscience/mycom_684100.html <その3> 掲載年月日 平成24年8月28日 掲載アドレス http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120828124505493 及び 刊行物名 中日新聞 平成24年8月28日付朝刊 第1面 発行者名 株式会社中日新聞社 <その4> 掲載年月日 平成24年8月28日 掲載アドレス http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20120828-OYT8T00007.htm 及び 刊行物名 読売新聞 平成24年8月28日付朝刊 第28面 発行者名 株式会社読売新聞東京本社 <その5> 発行年月日 平成24年8月28日 刊行物名 日経産業新聞 平成24年8月28日付朝刊 第9面 発行者名 株式会社日本経済新聞社<その6> 掲載年月日 平成24年8月28日 掲載アドレス http://unit.aist.go.jp/kansai/report.html <その7> 発行年月日 平成24年8月29日 刊行物名 化学工業日報 平成24年8月29日付 第4面 発行者名 株式会社化学工業日報社 <その8> 発行年月日 平成24年9月14日 刊行物名 科学新聞 平成24年9月14日付 第2面 発行者名 株式会社科学新聞社 <その9> 掲載年月日 平成24年9月10日 掲載アドレス https://nanonet.go.jp/modules/news/article.php?a_id=1411 <その10> 発行年月日 平成24年8月28日 刊行物名 東京新聞 平成24年8月28日付朝刊 第3面 発行者名 株式会社中日新聞東京本社 ▲3▼放送日 平成24年8月28日 放送番組 FM J-WAVE CUT
国際出願番号 PCT/JP2013/072775
国際公開番号 WO2014/132467
国際出願日 平成25年8月26日(2013.8.26)
国際公開日 平成26年9月4日(2014.9.4)
優先権出願番号 2013037820
優先日 平成25年2月27日(2013.2.27)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】瀬川 泰知
【氏名】松井 克磨
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求
テーマコード 4H006
4H039
4H048
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AB91
4H006AB92
4H006AC12
4H006AC24
4H006AD17
4H006BA21
4H006BA25
4H006BA32
4H006BA37
4H006BA44
4H006BA48
4H006BB11
4H006BB20
4H006BB22
4H006BB25
4H006BB31
4H006GP01
4H006GP02
4H039CA41
4H039CD20
4H039CD90
4H039CH40
4H048AA01
4H048AB84
4H048VA20
4H048VA77
4H048VB10
要約 分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットになり得るカーボンナノケージを簡便に合成する方法を提供することを目的とする。
8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、特定の基を2~4個、置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基を6個、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を0個以上からなる、箱形化合物。当該箱形化合物のシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換して、分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットになり得るカーボンナノケージが得られる。
特許請求の範囲 【請求項1】
8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【化1】
JP2014132467A1_000064t.gif
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物。
【請求項2】
一般式(IIa):
【化2】
JP2014132467A1_000065t.gif
[式中、3個のRは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(IIa-1):
【化3】
JP2014132467A1_000066t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物である、請求項1に記載の箱形化合物。
【請求項3】
8個以上の環が単結合で連結したカゴ形化合物(A)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【化4】
JP2014132467A1_000067t.gif
で示される基が2~4個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が6個以上
からなる、カゴ形化合物の製造方法であって、
8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【化5】
JP2014132467A1_000068t.gif
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物が有するシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換する変換工程
を備える、製造方法。
【請求項4】
前記変換工程の前に、さらに、
一般式(III):
【化6】
JP2014132467A1_000069t.gif
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【化7】
JP2014132467A1_000070t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物(III)をカップリングさせるカップリング工程
を備える、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
8個以上の環が単結合で連結したカゴ形化合物であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【化8】
JP2014132467A1_000071t.gif
で示される基が2~4個、及び
(2)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が6個以上
からなる、カゴ形化合物。
【請求項6】
一般式(Ia):
【化9】
JP2014132467A1_000072t.gif
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(Ia-1):
【化10】
JP2014132467A1_000073t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物である、請求項5に記載のカゴ形化合物。
【請求項7】
が、いずれもパラ位に結合手を有する基である、請求項6に記載のカゴ形化合物。
【請求項8】
環の総数が8~22個である、請求項5~7のいずれかに記載のカゴ形化合物。
【請求項9】
8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【化11】
JP2014132467A1_000074t.gif
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物の製造方法であって、
一般式(III):
【化12】
JP2014132467A1_000075t.gif
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【化13】
JP2014132467A1_000076t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物(III)をカップリングさせるカップリング工程
を備える、製造方法。
【請求項10】
一般式(III):
【化14】
JP2014132467A1_000077t.gif
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【化15】
JP2014132467A1_000078t.gif
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノケージ及びその中間体、並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素原子を含むナノ構造体としては、2次元のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有するカーボンナノチューブ、このカーボンナノチューブからなる輪状カーボンナノチューブ等が知られている。
【0003】
カーボンナノチューブは、機械的強度も極めて高く、高温にも耐えうること、そして、電圧をかけると効率よく電子を放出する等の優れた性質を有していることから、化学分野、電子工学分野、生命科学分野等の様々な分野への応用が期待されている。
【0004】
カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー・ファネス法及び化学気相成長法等が知られている。しかし、これらの製造方法では、様々な太さと長さのカーボンナノチューブが混合物という形でしか得られないという問題がある。
【0005】
近年、カーボンナノチューブのように、炭素原子の連続的な結合により、一定以上の長さを有する管状のナノ構造体ではなく、輪状のナノ構造体が検討されつつある。例えば、シクロパラフェニレン(CPP)は、ベンゼンをパラ位で環状につなげたシンプルで美しい分子であり、近年、非常に特異な構造や性質を有することが明らかになってきている。特に、このCPPは、構成するベンゼン環の数によって径が異なり、その性質も異なり、また、作り分けをすることができれば、異なる径を有するカーボンナノチューブへの展開が期待されるため、ベンゼン環の数の異なるCPPを完全に作り分けることが求められている。しかしながら、CPPは、混合物として得る手法は知られているものの、選択合成に成功した例は非常に少ない。
【0006】
本発明者らは、シクロヘキサン環を屈曲部として用いた輪状のシクロパラフェニレン前駆体として用いる手法により、様々なシクロパラフェニレン化合物の合成に成功した(特許文献1~2、非特許文献1)。このシクロパラフェニレン化合物は、本来平面であるベンゼンがリング状にひずんでいることから合成は困難であったが、独自の手法により合成段階におけるひずみの解消に成功したことで、様々な大きさや形状のシクロパラフェニレン化合物の合成を可能にした。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開第2011/099588号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/111719号パンフレット
【0008】

【非特許文献1】Takaba,H.;Omachi,H.;Yamamoto,Y.;Bouffard,J.;Itami,K. Angew.Chem. Int. Ed.2009, 48, 6112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このシクロパラフェニレン化合物は、直線型カーボンナノチューブの最短部分骨格であり、太さや側面構造を制御した直線型カーボンナノチューブの完全化学合成に向けた理想的なビルディングブロックである。
【0010】
【化1】
JP2014132467A1_000002t.gif

【0011】
一方、上記のシクロパラフェニレン化合物は、直線型カーボンナノチューブの完全化学合成に向けたビルディングブロックであるものの、最小のトランジスタ、論理ゲート等としてエレクトロニクス分野への応用が期待されている分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットになり得るカーボンナノゲージについてはいまだ合成法がなく、分岐型カーボンナノチューブの完全化学合成についてはいまだ指針の目途すら立っていない。
【0012】
【化2】
JP2014132467A1_000003t.gif

【0013】
このような観点から、本発明は、分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットになり得るカーボンナノケージを簡便に合成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、シクロパラフェニレン化合物の合成手法を応用し、出発原料として特定の三叉ユニットを用いることで、カゴ形化合物であるカーボンナノケージを合成できることを見出した。具体的には、特定の三叉ユニットをホモカップリングさせるか、特定の三叉ユニットと他のユニットとをクロスカップリングさせてひずみのない箱状の化合物を合成し、この化合物が有するシクロヘキサン環部を芳香族化することによりひずみを有し、一様に湾曲したアーチを有するカーボンナノケージを合成できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の項1~10の構成を包含する。
【0015】
項1.8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【0016】
【化3】
JP2014132467A1_000004t.gif

【0017】
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物。
【0018】
項2.一般式(IIa):
【0019】
【化4】
JP2014132467A1_000005t.gif

【0020】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(IIa-1):
【0021】
【化5】
JP2014132467A1_000006t.gif

【0022】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物である、項1に記載の箱形化合物。
【0023】
項3.8個以上の環が単結合で連結したカゴ形化合物(A)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【0024】
【化6】
JP2014132467A1_000007t.gif

【0025】
で示される基が2~4個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が6個以上
からなる、カゴ形化合物の製造方法であって、
8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【0026】
【化7】
JP2014132467A1_000008t.gif

【0027】
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物が有するシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換する変換工程
を備える、製造方法。
【0028】
項4.前記変換工程の前に、さらに、
一般式(III):
【0029】
【化8】
JP2014132467A1_000009t.gif

【0030】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【0031】
【化9】
JP2014132467A1_000010t.gif

【0032】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物(III)をカップリングさせるカップリング工程
を備える、項3に記載の製造方法。
【0033】
項5.8個以上の環が単結合で連結したカゴ形化合物であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【0034】
【化10】
JP2014132467A1_000011t.gif

【0035】
で示される基が2~4個、及び
(2)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が6個以上
からなる、カゴ形化合物。
【0036】
項6.一般式(Ia):
【0037】
【化11】
JP2014132467A1_000012t.gif

【0038】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(Ia-1):
【0039】
【化12】
JP2014132467A1_000013t.gif

【0040】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物である、項5に記載のカゴ形化合物。
【0041】
項7.Rが、いずれもパラ位に結合手を有する基である、項6に記載のカゴ形化合物。
【0042】
項8.環の総数が8~22個である、項5~7のいずれかに記載のカゴ形化合物。
【0043】
項9.8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:
【0044】
【化13】
JP2014132467A1_000014t.gif

【0045】
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物の製造方法であって、
一般式(III):
【0046】
【化14】
JP2014132467A1_000015t.gif

【0047】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【0048】
【化15】
JP2014132467A1_000016t.gif

【0049】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物(III)をカップリングさせるカップリング工程
を備える、製造方法。
【0050】
項10.一般式(III):
【0051】
【化16】
JP2014132467A1_000017t.gif

【0052】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):
【0053】
【化17】
JP2014132467A1_000018t.gif

【0054】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、市販の化合物を用いて、簡便な手法により、カゴ形化合物であるカーボンナノケージを合成することができる。このカーボンナノケージは、上述のとおり、分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットとして期待されており、分岐型カーボンナノチューブの精密ボトムアップ合成が期待される。
【0056】
また、このカーボンナノケージは、構成する環の数によって内部に存在する空間を変えることができ、ここにゲスト分子を取り込むことができる。例としては、以下のように、環の数によって内部空間のサイズ(直径)を変えることができる。
【0057】
【化18】
JP2014132467A1_000019t.gif

【0058】
さらに、このカーボンナノケージは、取扱い性に優れる(例えば、白色固体でほとんどの有機溶媒によく溶解し、300℃以上という高温でも分解しない)。また、カーボンナノケージは、光をよく吸収し、強い蛍光を有する(例えば、[6,6,6]ケージの場合は1光子吸収、2光子吸収し、強い青色蛍光を有する。また、[4.4.4]ケージ及び[5.5.5]ケージの場合は1光子吸収し、強い青色蛍光を有する。)。カーボンナノケージのサイズを調整することにより、所望の光物性を得ることもできる。
【0059】
このような観点から、本発明で合成されたカーボンナノケージは、分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットとして期待されるのみならず、有機EL材料、有機トランジスタ材料、光記録材料、高密度光ストレージ、生体分子の蛍光イメージング、ゲスト分子の光センサー等様々な用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】異なる入射パワー(上から順に、P = 0.04、0.12、0.21、0.30 mW)を有する573 nmでのクロロホルム(0.57 mM)中、実施例3で得た[6.6.6]カーボンナノケージ(1)のオープンアパーチャーZ-スキャン・トレースである。理論曲線とよくフィットしている。横軸はサンプル位置Zであり、縦軸は焦点(Z = 0)から遠く離れた(|Z| >> ZR)正規化透過率である。各トレースは、読みやすくするために0.02にシフトしている。
【図2】異なる入射パワー(上から順に、Pi = 0.05、0.14、0.24、0.34 mW)を有する510 nmでのクロロホルム中、2''',5'''-ジデシル-p-セプチフェニル(15 mM)のオープンアパーチャーZ-スキャン・トレースである。理論曲線とよくフィットしている。横軸はサンプル位置Zであり、縦軸は焦点(Z = 0)から遠く離れた(|Z| >> ZR)正規化透過率である。各トレースは、読みやすくするために0.02にシフトしている。
【図3】[6.6.6]ケージの溶液のPi対q0のプロットである。q0の値は曲線が図1のカーブフィットから得られた。
【図4】2''',5'''-ジデシル-p-セプチフェニルの溶液のPi対q0のプロットである。q0の値は曲線が図2のカーブフィットから得られた。
【図5】[4.4.4]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[6.6.6]ケージの吸収及び蛍光スペクトルである。実線は、左から順に、[4.4.4]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[6.6.6]ケージの吸収スペクトルであり、破線は、左から順に、[6.6.6]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[4.4.4]ケージの蛍光スペクトルである。
【図6】熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による、実施例1-3で得た保護化したトリブロモベンゼンの3置換体の構造を示す図面である。なお、水素原子は省略されている。
【図7】熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による、実施例3-2で得た[4.4.4]ケージの構造を示す図面である。それぞれ、(a):全体の外観、(b):上から見た概観、(c):パッキングモード構造である。なお、全ての図において、水素原子、テトラヒドロフラン分子、ジエチルエーテル分子は省略されている。
【図8】熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による、実施例3-2で得た[4.4.4]ケージの構造を示す図面である。なお、水素原子は省略されている。
【図9】[4.4.4]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[6.6.6]ケージの構造を示す図面である。
【図10】[6.6.6]ケージのフロンティア分子軌道である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[1]カゴ形化合物(A)
本発明のカゴ形化合物(A)は、8個以上の環が単結合で連結したカゴ形化合物(A)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:

【0062】
【化19】
JP2014132467A1_000020t.gif

【0063】
で示される基が2~4個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が6個以上
からなる、カゴ形化合物である。

【0064】
本発明のカゴ形化合物(A)が有するユニット(1)の数は2~4個であり、2個又は4個が好ましく、2個がより好ましい。ユニット(1)を2個有する場合、本発明のカゴ形化合物(A)は、ひずみを有する一様なアーチを3本有する。

【0065】
本発明のカゴ形化合物(A)が有するユニット(3)としての2価の芳香族炭化水素基は、言い方を変えれば、芳香環を備える2価の基であり、この芳香環を構成する2つの炭素原子に結合する水素原子をそれぞれ、1つずつ脱離させてなる基である。なお、この芳香環を構成する炭素に結合する水素原子が、官能基により置換された誘導体基(2価の誘導体基)であってもよい。なお、本発明のカゴ形化合物(A)は、異なる複数の芳香族炭化水素基を有していてもよい。

【0066】
上記芳香環としては、ベンゼン環だけでなく、複数のベンゼン環を縮合した環(ベンゼン縮合環)、ベンゼン環と他の環を縮合させた環等も挙げられる(以下、複数のベンゼン環を縮合した環及びベンゼン環と他の環を縮合させた環をまとめて、単に「縮合環」と言うことがある)。上記縮合環としては、例えば、ペンタレン環、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、トリフェニレン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環等が挙げられる。

【0067】
また、上記の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、炭化水素のみの環状化合物では付与できない機能を付与できる官能基が好ましく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリール基(4-メトキシフェニル基等)、炭素数1~12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ボリル基、シリル基、アミノ基等が挙げられる。これらのなかでも、ハロゲン原子が好ましい。また、製造原料の時点から導入し、製造工程の途中で特に反応点となりにくい点から塩素原子がより好ましい。

【0068】
本発明のカゴ形化合物(A)が有するユニット(3)としては、上記の環のなかでも、2価の6員芳香環又は2価の6員複素芳香環を備える基であって、いずれも、パラ位に結合手を有する基が好ましい。

【0069】
また、ユニット(3)を形成する環としては、単環又は縮合環が好ましく、単環がより好ましい。

【0070】
これらのなかでも、本発明のカゴ形化合物(A)が有するユニット(3)は、好ましくは2価の芳香族炭化水素基、特に好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)及びナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)であり、より好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)である。

【0071】
なお、本発明のカゴ形化合物(A)が有するユニット(3)として、縮合環を1個以上有する場合、本発明のカゴ形化合物をキラルなカゴ形化合物とすることができる。これにより、より効率的にキラルフラーレンを包摂することができる点で有用である。

【0072】
本発明のカゴ形化合物(A)において、このようなユニット(3)の数は、6個以上、好ましくは6~98個、より好ましくは6~48個、さらに好ましくは6~28個、より好ましくは6~18個、特に好ましくは6個、12個、15個又は18個である。つまり、ユニット(3)の数は3の倍数であることが好ましい。

【0073】
また、本発明のカゴ形化合物(A)において、環の総数は、ユニット(1)とユニット(3)との合計数であり、8個以上、好ましくは8~100個、より好ましくは8~50個、さらに好ましくは8~30個、より好ましくは8~22個、特に好ましくは8個、14個、17個、20個、又は22個である。

【0074】
このような本発明のカゴ形化合物(A)は、取扱い性に優れる(例えば、白色固体でほとんどの有機溶媒によく溶解し、300℃以上という高温でも分解しない)。また、光をよく吸収し、強い蛍光を有する(例えば、[6.6.6]ケージの場合は1光子吸収、2光子吸収し、強い青色蛍光を有する。また、[4.4.4]ケージ及び[5.5.5]ケージの場合は1光子吸収し、強い青色蛍光を有する。)。このため、本発明のカゴ形化合物(A)は、分岐型カーボンナノチューブの接合ユニットとして期待されるのみならず、有機EL材料、有機トランジスタ材料、光記録材料、高密度光ストレージ、生体分子の蛍光イメージング、ゲスト分子の光センサー等様々な用途に用いることができる。

【0075】
このような条件を満たす本発明のカゴ形化合物(A)としては、例えば、一般式(Ia):

【0076】
【化20】
JP2014132467A1_000021t.gif

【0077】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(Ia-1):

【0078】
【化21】
JP2014132467A1_000022t.gif

【0079】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基;nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物(Ia)等が挙げられる。

【0080】
この化合物は、複数の連結している環が一様にひずむことにより、一様に湾曲した3本のアーチを有する。

【0081】
一般式(Ia)において、Rは同じか又は異なり、それぞれ置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基である。2価の芳香族炭化水素基、有していてもよい置換基は上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様とすることができる。つまり、Rは、いずれも、パラ位に結合手を有することが好ましく、また、2価の芳香族炭化水素基、特にフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)及びナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)、さらにフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)が好ましく、置換基を有する場合、置換基としてはハロゲン原子、特に塩素原子が好ましい。

【0082】
一般式(Ia)において、nは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数である。nがいずれも0の場合は、Rをいずれも有さない、つまり、Rが4,4’-ビフェニレン基である。nは、いずれも、0~31の整数が好ましく、0~14の整数がより好ましく、0~8の整数がさらに好ましく、0~4の整数がより好ましく、1~4の整数が特に好ましい。

【0083】
このような条件を満たす好ましいRとしては、具体的には、

【0084】
【化22】
JP2014132467A1_000023t.gif

【0085】
等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を採用することができる。

【0086】
以上のような条件を満たす一般式(Ia)で示される本発明のカゴ形化合物(A)としては、具体的には、

【0087】
【化23】
JP2014132467A1_000024t.gif

【0088】
等が好適に挙げられる。

【0089】
このような一般式(Ia)で示される本発明のカゴ形化合物(A)は、中心部に略球状のナノ空間を有しており、内部にゲスト分子を取り込むことができる。例えば、Rがいずれも1,4-フェニレン基が6個連結した[6.6.6]ケージにおいてはその直径は約1.84nm、Rがいずれも1,4-フェニレン基が5個連結した[5.5.5]ケージにおいてはその直径は約1.58nm、Rがいずれも1,4-フェニレン基が4個連結した[4.4.4]ケージにおいてはその直径は約1.30nmであり、必要なナノ空間のサイズに応じて適宜Rを選択することができる。

【0090】
このような本発明のカゴ形化合物は、文献未記載の新規化合物である。

【0091】
[2]カゴ形化合物(A)の製造方法
本発明のカゴ形化合物(A)は、例えば、下記反応式1:

【0092】
【化24】
JP2014132467A1_000025t.gif

【0093】
[式中、Rは後述する;Rは前記に同じである。]
により得られる。

【0094】
つまり、本発明のカゴ形化合物(A)は、本発明の箱形化合物(B)が有するシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換する変換工程を経ることにより得られる。

【0095】
例えば、一般的な酸化反応を施すことができる。その具体例としては、例えば、酸の存在下、本発明の箱形化合物(B)を加熱する(酸処理する)方法の他、酸素存在下(空気雰囲気、酸素雰囲気等)酸化剤等と反応させる方法等も挙げられる。これにより、通常、脱水素反応等が適用され、本発明の箱形化合物(B)が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に化学変化(芳香化)させて、本発明のカゴ形化合物(A)を合成することができる。つまり、変換前の本発明の箱形化合物(B)が有する、シクロヘキサン環部におけるOR(Rは後述する)も脱離され、且つ脱水素反応も進行して、本発明のカゴ形化合物(A)が得られる。

【0096】
また、Rは後述する。Rは上述と同様であり、好ましい具体例も同様である。

【0097】
上記酸処理を行う場合、その具体的な方法等は、特に限定されないが、例えば、以下の方法等が好ましい。
(α)本発明の箱形化合物(B)と酸とを溶媒に溶解させた後、得られた溶液を加熱して反応させる方法。
(β)本発明の箱形化合物(B)を溶媒に溶解させた後、得られた溶液と酸とを混合して得られた混合物を加熱して反応させる方法。

【0098】
なお、上記変換工程を行う場合、無溶媒による酸処理とすることもできる。

【0099】
上記酸は、特に限定されないが、触媒等に使用される強酸又はその塩が好ましい。例えば、硫酸、硫酸水素ナトリウム、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、タングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、三フッ化ホウ素エチラート、四塩化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0100】
また、上記(α)の方法、(β)の方法のいずれの場合においても、上記酸の使用量は、製造条件等により異なるが、本発明の箱形化合物(B)に対して過剰量とすることが好ましく、具体的には、収率の観点から、本発明の箱形化合物(B)1モルに対して、10~100モルが好ましく、20~50モルがより好ましい。

【0101】
この変換工程においては、上述のように、本発明の箱形化合物を酸と反応させるだけでなく、酸化剤を併用することもできる。使用できる酸化剤としては、特に制限されないが、例えば、o-クロラニル、p-クロラニル等のクロラニル類;1,4-ベンゾキノン、3,5-ジ-t-ブチル-1,2-ベンゾキノン、9,10-フェンバントレンキノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン等のキノン類;CuCl、K等の金属酸化剤等が使用できる。これらのなかでも、収率の観点から、クロラニル類が好ましく、o-クロラニルがより好ましい。

【0102】
酸化剤を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、本発明の箱形化合物(B)1モルに対して、1~10モルが好ましく、3~7モルがより好ましい。

【0103】
また、酸処理の反応に用いられる溶媒は、非極性溶媒であっても極性溶媒であってもよい。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン等のハロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(m-キシレン等)、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等のベンゼン類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハロベンゼン類;ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒を用いる場合において、原材料から本発明のカゴ形化合物(A)に至るまでの反応中間体が、使用した1の溶媒に対して低い溶解性となることがあり、この場合、他の溶媒を、予め、又は反応の途中から、添加してもよい。

【0104】
変換工程における加熱温度は、(α)及び(β)のいずれの方法を採用した場合においても、収率の観点から、通常、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。また、溶媒を用いる場合は、使用する上記溶媒の沸点以下とすることが好ましい。

【0105】
加熱手段としては、オイルバス、アルミブロック恒温槽、ヒートガン、バーナー、マイクロ波の照射等が挙げられる。マイクロ波を照射する場合には、マイクロ波反応に使用される公知のマイクロ波反応装置を用いることができる。加熱の際には還流冷却を併用してもよい。

【0106】
また、上記酸処理における反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0107】
更に、本発明のカゴ形化合物の製造方法においては、上記変換工程の後に、必要に応じて、精製工程を備えることができる。即ち、溶媒(溶剤)除去(溶媒を使用した場合)、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。特に変換工程の後、得られる本発明のカゴ形化合物は、通常、アモルファス(非結晶)であるので、従来から公知の有機化合物の再結晶法を利用して、結晶化させることができる。結晶化物においては、結晶化操作において用いた有機溶媒が、分子を構成するカゴの内部に包含されることがある。

【0108】
本発明のカゴ形化合物の製造方法により得られるカゴ形化合物は、[1]で説明したような性質を有する化合物である。この製造方法によれば、原料となる箱形化合物を種々採用することにより、化合物(Ia)等、種々様々なカゴ形化合物を合成することができる。

【0109】
[3]箱形化合物
本発明の箱形化合物は、上記の本発明のカゴ形化合物の製造方法において、変換工程に供する出発原料として位置づけられる中間体であり、具体的には、8個以上の環が単結合で連結した箱形化合物(B)であって、
該環同士は、環中に存在するsp2混成炭素原子又はsp3混成炭素原子同士が結合しており、
(1)式:

【0110】
【化25】
JP2014132467A1_000026t.gif

【0111】
で示される基が2~4個、
(2)置換基を有していてもよい1,4-シクロヘキシレン基が6個、及び
(3)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基が0個以上
からなる、箱形化合物である。

【0112】
つまり、ユニット(2)を有する点、ユニット(3)の数が、本発明のカゴ形化合物との違いである。

【0113】
本発明の箱形化合物(B)が有するユニット(1)の数は2~4個であり、2個又は4個が好ましく、2個がより好ましい。ユニット(1)を2個有する場合、本発明の箱形化合物(B)は、ひずみを有さないアーチを3本有する。

【0114】
本発明の箱型化合物(B)が有するユニット(2)の数は6個である。これにより、ひずみなく箱形化合物が得られる。そして、上述の変換工程に供することにより、本発明のカゴ形化合物が得られる。

【0115】
本発明の箱形化合物(B)が有していてもよいユニット(3)としての2価の芳香族炭化水素基は、上述したものと同様のものを採用できる。好ましい具体例も同様である。つまり、本発明の箱形化合物(B)が有していてもよいユニット(3)としては、2価の6員芳香環又は2価の6員複素芳香環を備える基であって、いずれも、パラ位に結合手を有する基が好ましい。

【0116】
また、ユニット(3)を形成する環としては、単環又は縮合環が好ましく、単環がより好ましい。

【0117】
これらのなかでも、本発明の箱形化合物(B)が有していてもよいユニット(3)は、好ましくは2価の芳香族炭化水素基、特に好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)及びナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)であり、より好ましくはフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)である。

【0118】
本発明の箱形化合物(B)において、このようなユニット(3)の数は、0個以上、好ましくは0~92個、より好ましくは0~42個、さらに好ましくは0~22個、より好ましくは0~12個、特に好ましくは0個、6個、9個又は12個である。つまり、ユニット(3)の数は3の倍数であることが好ましい。

【0119】
また、本発明の箱形化合物(B)において、環の総数は、ユニット(1)~(3)の合計数であり、8個以上、好ましくは8~100個、より好ましくは8~50個、さらに好ましくは8~30個、より好ましくは8~22個、特に好ましくは8個、14個、17個、20個、又は22個である。

【0120】
このような条件を満たす本発明の箱形化合物(B)としては、例えば、一般式(IIa):

【0121】
【化26】
JP2014132467A1_000027t.gif

【0122】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ、一般式(IIa-1):

【0123】
【化27】
JP2014132467A1_000028t.gif

【0124】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;R及びnは前記に同じである。)
で示される2価の基である。]
で示される化合物(IIa)等が挙げられる。

【0125】
この一般式(IIa)のように、2個のシクロヘキサン環を有することにより、ひずみなく、2個のベンゼン環に結合することができ、その結果、化合物(IIa)は、3本のアーチを有する。

【0126】
上記一般式(IIa-1)において、Rは水素原子又は水酸基の保護基である。水酸基の保護基としては、特に制限されるわけではないが、アルコキシアルキル基(メトキシメチル基(-CH-O-CH、以下、「-MOM」と表記する場合がある)等);アルカノイル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基等);シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等);テトラヒドロピラニル基(THP);アルキル基(例えばメチル基、エチル基等);ベンジル基等が挙げられ、アルコキシアルキル基が好ましく、メトキシメチル基がより好ましい。

【0127】
上記保護基(特にアルコキシアルキル基、なかでもメトキシメチル基)は、アルコール(水酸基)を形成する水素原子と置換されて、アルコールの保護基として機能する。

【0128】
また、保護基のなかでも、アルコキシアルキル基、特にメトキシメチル基は、保護基を形成させるアルコールにクロロメチルメチルエーテル(Cl-CH-O-CH)を反応させることにより得られる。

【0129】
また、上記一般式(IIa-1)において、4個のRは同一であっても異なっていてもよい。本発明のカゴ形化合物の製造方法を採用する場合には、Rはアルコキシアルキル基、特にメトキシメチル基が好ましい。

【0130】
このような条件を満たすRとしては、具体的には、

【0131】
【化28】
JP2014132467A1_000029t.gif

【0132】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
等が挙げられる。

【0133】
以上のような条件を満たす一般式(IIa)で示される本発明の箱形化合物(B)としては、具体的には、

【0134】
【化29】
JP2014132467A1_000030t.gif

【0135】
[式中、MOMはメトキシメチル基である。]
等が挙げられる。

【0136】
このような本発明の箱形化合物は、文献未記載の新規化合物である。

【0137】
[4]箱形化合物の製造方法
本発明において、箱形化合物は、
一般式(III):

【0138】
【化30】
JP2014132467A1_000031t.gif

【0139】
[式中、R及びRは前記に同じ;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):

【0140】
【化31】
JP2014132467A1_000032t.gif

【0141】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。]
で示される化合物(III)をカップリングさせるカップリング工程
により得られる。この後、上述の変換工程を経ることにより本発明のカゴ形化合物が得られる。

【0142】
<化合物(III)>
カップリング工程において、原料として使用する化合物(III)において、Rは水素原子又は水酸基の保護基であり、水酸基の保護基は上記と同様とすることができる。また、好ましい具体例も同様とすることができる。つまり、アルコキシアルキル基が好ましく、メトキシメチル基がより好ましい。

【0143】
また、Rは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であり、上記と同様とすることができる。また、好ましい具体例も同様とすることができる。つまり、Rは、いずれも、パラ位に結合手を有することが好ましく、また、2価の芳香族炭化水素基、特にフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)及びナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)、さらにフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)が好ましく、置換基を有する場合、置換基としてはハロゲン原子、特に塩素原子が好ましい。

【0144】
mは、いずれも0以上の整数であり、上記と同様とすることができる。また、好ましい具体例も同様とすることができる。つまり、0~16の整数が好ましく、0~8の整数がより好ましく、0~5の整数がさらに好ましく、0~3の整数がより好ましく、1~3の整数が特に好ましい。

【0145】
Yは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-1):

【0146】
【化32】
JP2014132467A1_000033t.gif

【0147】
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であり、Rは互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。)
で示される基である。

【0148】
一般式(III)の中のYにおけるハロゲン原子は、いずれも制限はなく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、収率等の観点から、臭素原子が好ましい。

【0149】
また、一般式(III-1)で示される基は、以下、「ボロン酸又はそのエステル基」と言うこともあるが、Rは、水素原子又はアルキル基である。このアルキル基の炭素数は、1~10であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~5である。また、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。また、Rがアルキル基である場合には、それぞれのアルキル基を構成する炭素原子が、互いに結合してホウ素原子及び酸素原子とともに環を形成してもよい。

【0150】
このようなボロン酸又はそのエステル基としては、具体的には、

【0151】
【化33】
JP2014132467A1_000034t.gif

【0152】
等が挙げられる。これにより、化合物(III)として末端がボロン酸又はそのエステル基である化合物と、末端がハロゲン原子である化合物とを反応させる際に、鈴木-宮浦カップリング反応により、カップリング反応を、より効率的に進行させることができる。

【0153】
このような条件を満たす化合物(III)としては、具体的には、

【0154】
【化34】
JP2014132467A1_000035t.gif

【0155】
[式中、MOMはメトキシメチル基;B(pin)は

【0156】
【化35】
JP2014132467A1_000036t.gif

【0157】
である]
等が挙げられる。

【0158】
このような化合物(III)は、文献未記載の新規化合物である。

【0159】
このような化合物(III)は、種々多様な方法により合成することができる。例えば、三つ又のベンゼン環とシクロヘキサン環とが、他の環を介して結合している化合物の場合、
一般式(IIIa):

【0160】
【化36】
JP2014132467A1_000037t.gif

【0161】
[式中、Y’は同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又は一般式(III-2):

【0162】
【化37】
JP2014132467A1_000038t.gif

【0163】
(式中、Rは前記に同じである。)
である。]
で示される化合物(IIIa)と、化合物(IV)とを反応させることにより得られる。

【0164】
ただし、化合物(IIIa)の末端がハロゲン原子の場合は化合物(IV)の末端はボロン酸又はそのエステル基が好ましく、逆に化合物(IIIa)の末端がボロン酸又はそのエステル基の場合は化合物(IV)の末端はハロゲン原子が好ましい。

【0165】
なお、化合物(IV)は、公知の化合物であり、公知の方法で合成ずることができる。具体的には、例えば、WO2011/052948号パンフレットに記載の化合物(10)を使用することができ、また、当該化合物(10)の合成方法に従って、又は準じて合成することができる。なお、WO2011/052948号パンフレットに記載の事項は、本明細書において、参照として引用される。

【0166】
化合物(IIIa)と化合物(IV)とを反応させるが、その比は、収率等の観点から、化合物(IIIa)1モルに対して、化合物(IV)は1~100モルが好ましく、2~50モルがより好ましく、5~20モルがさらに好ましい。

【0167】
反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。本発明においては、鈴木-宮浦カップリング反応に使用されるパラジウム系触媒(パラジウム化合物)を用いることができる。具体的には、Pd(PPh(Phはフェニル基)、PdCl(PPh(Phはフェニル基)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、及び(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、Pd(dba)、Pd(PPh、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が好ましい。

【0168】
本工程でパラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(IIIa)1モルに対して、通常、0.001~1モルが好ましく、0.005~0.1モルがより好ましい。

【0169】
また、上記説明したパラジウム系触媒には、配位子が含まれているものもあるが、パラジウム系触媒と別途、パラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することもできる。このリン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-(o,m,p)-トリルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2-(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ-t-ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)、ビス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。本工程では、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)等が好ましい。

【0170】
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(IIIa)1モルに対して、通常、0.001~1モルが好ましく、0.005~0.1モルがより好ましい。

【0171】
また、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基を使用することもできる。この塩基は、鈴木-宮浦カップリング反応において、ホウ素原子上にアート錯体を形成し得る化合物であれば特に限定はされない。具体的には、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、炭酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(IIIa)1モルに対して、通常、0.1~50モル程度が好ましく、0.5~20モルがより好ましい。

【0172】
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、ジメチルホルムアミド等が好ましい。

【0173】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0174】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。

【0175】
また、本発明の化合物(III)は、化合物(IIIa)に対して、一般式(V):

【0176】
【化38】
JP2014132467A1_000039t.gif

【0177】
[式中、R、R、m及びXは前記に同じである。]
で示される化合物(V)を反応させた後に水酸基の保護化を3回繰り返すことによっても得ることができる。

【0178】
この化合物(IIIa)と化合物(V)との反応は、有機アルキル金属化合物の存在下に行うことが好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、特に制限されないが、有機リチウム化合物が好ましく、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられる。これらのうち、n-ブチルリチウム等が好ましい。

【0179】
有機アルカリ金属化合物の使用量は、反応のたびに、化合物(III)1モルに対して、0.8~5モルが好ましく、0.9~3.0モルがより好ましい。

【0180】
また、反応は、通常、いずれも反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、ジエチルエーテル等のエーテル類が好ましい。

【0181】
反応温度は、通常、上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0182】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。

【0183】
この後、シクロヘキサン環が有する水酸基は、公知の方法で保護化することが好ましい。

【0184】
このように、反応及び保護化を3回繰り返すことにより、本発明の化合物(III)を得ることもできる。

【0185】
<カップリング工程>
ホモカップリング
ホモカップリングさせる場合、化合物(III)の末端はハロゲン原子であることが好ましい。

【0186】
ホモカップリングさせる場合において、通常反応は触媒の存在下で行われるが、触媒としてはニッケル触媒が好ましい。

【0187】
ニッケル触媒としては、特に限定されないが、0価のNiの塩又は2価のNiの塩が好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらは、試薬として投入するもの及び反応中で生成するものの両方を意味する。

【0188】
上記0価のNiの塩としては、特に制限されないが、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジカルボニル、ニッケルカルボニル等が挙げられる。

【0189】
また、上記2価のNiの塩としては、酢酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、過塩素酸ニッケル(II)、クエン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミンニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(II)、ビス(4-ジエチルアミノジチオベンジル)ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ホウ酸ニッケル(II)、次亜リン酸ニッケル(II)、硫酸アンモニウムニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、及びこれらの水和物、並びにこれらの混合物等が挙げられる。

【0190】
0価のNiの塩及び2価のNiの塩としては、配位子を事前に配位させた化合物を使用してもよい。

【0191】
上記ニッケル触媒の使用量は、原料の化合物(III)1モルに対して、通常、試薬として投入するニッケル触媒の量が0.01~50モル、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.5~5モルであり、特に好ましくは1~3モルである。

【0192】
本発明の製造方法において、ニッケル触媒とともに、ニッケル(ニッケル原子)に配位し得る配位子を用いることができる。この配位子としては、例えば、カルボン酸系、アミド系、ホスフィン系、オキシム系、スルホン酸系、1,3-ジケトン系、シッフ塩基系、オキサゾリン系、ジアミン系、一酸化炭素、カルベン系の配位子等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記配位子における配位原子は窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子等であり、これらの配位子には配位原子を1箇所のみ有する単座配位子と2箇所以上を有する多座配位子がある。また、一酸化炭素、カルベン系に関しては、炭素原子を配位原子とする配位子である。これらの配位子は、公知又は市販のものをいずれも使用することができる。

【0193】
上記配位子を使用する場合、その使用量は、原料の化合物(III)1モルに対して、通常、0.01~50モル、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.5~5モルであり、特に好ましくは1~3モルである。

【0194】
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N-メチルピロリドン(1-メチル-2-ピロリジノン)(NMP)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0195】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0196】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0197】
クロスカップリング
クロスカップリングさせる場合、末端がハロゲン原子である化合物(III)と、末端がボロン酸又はそのエステル基である化合物(III)とを反応させることが好ましい。

【0198】
クロスカップリングさせる場合、化合物(III)と化合物(IV)とを反応させるが、その比は、収率等の観点から、片方1モルに対して、もう片方は0.8~5.0モルが好ましく、0.9~3.0モルがより好ましい。

【0199】
反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。上記説明したものを使用することができる。本工程では、酢酸パラジウム等が好ましい。

【0200】
本工程でパラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料のいずれかの化合物(III)1モルに対して、通常、0.01~1モルが好ましく、0.05~0.5モルがより好ましい。

【0201】
また同様に、リン配位子を使用することもできる。このリン配位子としては、上記説明したものを使用できるが、本工程では、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)等が好ましい。

【0202】
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(III)1モルに対して、通常、0.01~2モルが好ましく、0.05~1.0モルがより好ましい。

【0203】
また同様に、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基を使用することもできる。この塩基は、上記説明したものを使用できるが、好ましくは、水酸化ナトリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(III)1モルに対して、通常、0.1~50モル程度が好ましく、0.5~20モルがより好ましい。

【0204】
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、化合物(III)の合成方法において使用できるものをそのまま使用できるが、ジオキサン、トルエン等が好ましい。

【0205】
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。

【0206】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。
【実施例】
【0207】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0208】
特に断りのない限り、乾燥溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF)とジメチルスルホキシド(DMSO))を含むすべての材料は、商業的供給業者から入手し、さらに精製することなく用いた。ただし、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、及びm-キシレンは、溶媒精製システム(ガラス輪郭)でろ過することにより精製した。全ての反応は、標準真空ライン及びシュレンク技法を用いて行った。後処理及び精製手順は、空気中で試薬グレードの溶媒を用いて行った。1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンとシス-1,4-ビス(4-フェニル)-1-2,4-ビス(メトキシメチル)シクロヘキサンは、既報(Liu, Y.; Niu, F.; Lian, J.; Zheg, P.; Niu, H. Synth. Mat. 2010, 160, 2055.及びOmachi, H.; Matsuura, S.; Segawa, Y.; Itami, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 10202.)に従って合成した。
【実施例】
【0209】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いて行った。クロマトグラムは、UVランプ(254 nm)で分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)を用いて行った。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)は、和光ゲル(登録商標)B5-Fシリカコートプレート(0.75 mm)を用いて行った。リサイクル分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、溶出液としてクロロホルムを用いJAIGEL-1H/JAIGEL-2H列装備JAI LC-9204測定器を用いて行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)はマトリックスとして9-ニトロアントラセンを用いて、JEOL JMS700(高速原子衝撃質量分析法、FAB-MS)又はブルカーダルトニクスウルトラフレックスIIIのTOF / TOF(MALDI-TOF-MS)から得た。融点はMPA100 Optimelt自動融点測定システムで測定した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECA-600(1H 600 MHz、13C 150MHz)分光計で記録した。1H NMRの化学シフトはCHCl3(δ7.26 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.0 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。
【実施例】
【0210】
合成例1:1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンの合成
【実施例】
【0211】
【化39】
JP2014132467A1_000040t.gif
【実施例】
【0212】
[式中、Phはフェニル基;KOAcは酢酸カリウム;DMFはジメチルホルムアミド;dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;DMSOはジメチルスルホキシド;B(pin)は4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルである。]
上記の反応式に従い、常法により、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンを合成した(条件1:83%、条件2:78%)。
【実施例】
【0213】
実施例1-1:三つ又化合物(その1)
【実施例】
【0214】
【化40】
JP2014132467A1_000041t.gif
【実施例】
【0215】
磁気攪拌子付きの500 mLの丸底フラスコに、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン(2)(1.82 g、3.99 mmol)、シス-1,4-ビス(4-ブロモフェニル)-1,4-ビス(メトキシメトキシ)シクロヘキサン(3)(20.6 g、40.1 mmol)、PdCl2(dppf)・CH2Cl2(dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである)(32.2 mg、39.4μmol)、及びK2CO3(5.53 g、40.0 mmol)を加え、フラスコを排気及びアルゴン充填を3回繰り返した。次に、このフラスコに乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)(200 mL)を加えた。反応混合物を24時間90℃で攪拌した。室温まで冷却後、混合物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 5:1~1:1)により精製し、目的物である三ツ又化合物(4)を白色固体として得た(2.91 g、53%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 2.10 (brs, 12H), 2.35 (brs, 12H), 3.41 (s, 9H), 3.43 (s, 9H), 4.44 (s, 6H), 4.48 (s, 6H), 7.33 (d, J = 8.6 Hz, 6H), 7.45 (d, J = 8.6 Hz, 6H), 7.52 (d, J = 8.1 Hz, 6H), 7.63 (d, J = 8.1 Hz, 6H), 7.73 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.9 (CH2), 56.0 (CH3), 77.8 (4°), 78.0 (4°), 92.1 (CH2), 92.2 (CH2), 121.6 (4°), 125.0 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.7 (CH), 131.5 (CH), 140.2 (4°), 141.7 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C72H81Br3O12Na [M+Na]+: 1397.3170, found 1397.3158; mp: 103.4-120.0℃。
【実施例】
【0216】
なお、各成分を以下のように変更した場合も同様に反応が進行した。
【実施例】
【0217】
【表1】
JP2014132467A1_000042t.gif
【実施例】
【0218】
合成例2:4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサノンの合成
【実施例】
【0219】
【化41】
JP2014132467A1_000043t.gif
【実施例】
【0220】
[式中、n-BuLiはn-ブチルリチウム;THFはテトラヒドロフランである。]
磁気攪拌子を含む500mLの丸底フラスコに1-ブロモ-4-クロロベンゼン(31.6 g、165 mmol)を加え、乾燥テトラヒドロフラン(THF)(250 mL、600 mM)を加えた。n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(103 mL、1.6 M、165 mmol)を-78℃で30分間かけて加えた。-78℃で1時間撹拌した後、1,4-シクロヘキサンジオンモノエチレンケタール(23.4 g、150 mmol)を固体で添加し、さらに-78℃で1時間撹拌し、中間化合物(25)を得た。室温まで温めた後、3Mの塩酸溶液(100mL)を添加し、1日間攪拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液で中和し、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物を得た3回再結晶(CHCl3)で精製し、4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサノン(26)を白色固体として得た(29.9 g、89%)。
化合物25のデータ:
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.58 (s, 1H), 1.67-1.72 (m, 2H), 1.76-1.81 (m, 2H), 2.04-2.18 (m, 4H), 3.95-4.02 (m, 4H), 7.30 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.45 (d, 8.4 Hz, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 30.7 (CH2), 36.6 (CH2), 64.2 (CH2), 64.4 (CH2), 72.2 (4°), 108.2 (4°), 126.1 (CH), 128.3 (CH), 132.7 (4°), 147.0 (4°); mp: 153.3-155.2℃。
化合物26のデータ:
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 2.03 (s, 1H), 2.11-2.19 (m, 2H), 2.20-2.29 (m, 2H), 2.31-2.39 (m, 2H), 2.85-2.95 (m, 2H), 7.34 (d, 9.0 Hz, 2H), 7.45 (d, 8.4 Hz, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 37.2 (CH2), 38.5 (CH2), 71.8 (4°), 125.9 (CH), 128.6 (CH), 133.3 (4°), 145.6 (4°), 211.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C12H12ClO2[M-H]-: 223.0526, found ; 223.0530; mp: 139.7-140.5℃。
【実施例】
【0221】
合成例3:4-クロロフェニル-4-メトキシメトキシシクロヘキサノンの合成
【実施例】
【0222】
【化42】
JP2014132467A1_000044t.gif
【実施例】
【0223】
[式中、i-Pr2NEtはジイソプロピルエチルアミン;MOMはメトキシメチル基である。]
磁気攪拌子を含む200mLの丸底フラスコに合成例2で得た4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサノン(26)(15.7 g、69.9 mmol)、乾燥CH2Cl2(70 mL、1 M)、ジイソプロピルエチルアミン(24.4 mL、140 mmol)、クロロメチルメチルエーテル(10.6 mL、140 mmol)を添加した。混合物を48時間室温で攪拌した後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル(EtOAc)= 10:1~5:1)により精製し、4-(4-クロロフェニル)-4-メトキシメトキシシクロヘキサノン(27)を白色固体として得た(16.1 g、85%)。なお、シス及びトランス同位体は、1H NMRスペクトルにより同定した。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 2.12-2.20 (m, 2H), 2.32-2.38 (m, 2H), 2.39-2.46 (m, 2H), 2.86-2.95 (m, 2H), 3.43 (s, 3H), 4.52 (s, 2H), 7.35 (d, 9.0 Hz, 2H), 7.40 (d, 9.0 Hz, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 36.3 (CH2), 37.2 (CH2), 56.6 (CH3), 92.9 (CH2), 127.4 (CH), 128.7 (CH), 133.7 (4°), 142.3 (4°), 211.0 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C14H17ClO3Na [M+Na]+: 291.0764, found; 291.0768; mp: 66.2-67.8℃。
【実施例】
【0224】
合成例4:トリブロモベンゼンの1置換体の合成
【実施例】
【0225】
【化43】
JP2014132467A1_000045t.gif
【実施例】
【0226】
[式中、MOM、n-BuLi及びi-Pr2MEtは前記に同じ;Et2Oはジエチルエーテルである。]
磁気攪拌子を含む500 mLの丸底フラスコに、1,3,5-トリブロモベンゼン(7.87 g、25.0 mmol)、及び乾燥ジエチルエーテル(Et2O)(200 mL、75 mM)を加えた。この混合物にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(15.6 mL、1.6 M、25.0 mmol)を-78℃で加えた。-78℃で1時間撹拌した後、合成例3で得た4-クロロフェニル-4-メトキシメトキシシクロヘキサノン(27)(7.15 g、26.6 mmol)のジエチルエーテル(Et2O)溶液(25 mL)を添加し、得られた混合物をさらに-78℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで温めた後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮し,、中間化合物(28)を混合物として得た。
【実施例】
【0227】
磁気攪拌子を含む100 mLの丸底フラスコに、前記中間化合物(28)を含む混合物、乾燥CH2Cl2(50 mL、500 mM)、ジイソプロピルエチルアミン(17.4 mL、100 mmol)、及びクロロメチルメチルエーテル(7.6 mL、100 mmol)添加した。混合物を室温で48時間攪拌した後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン / 酢酸エチル(EtOAc)= 10:1~8:1)により精製し、トリブロモベンゼンの1置換体(29)を白色固体として得た(8.64 g、2ステップで63%)。また、目的物のトランス異性体も28%の収率で得た。なお、シス及びトランス同位体は、1H NMRスペクトルにより同定した。
化合物28のデータ
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.75-2.03 (m, 5H, include OH), 2.18-2.41 (m, 4H), 3.34 (s, 3H), 4.37 (s, 2H), 7.38 (d, 9.0 Hz, 2H), 7.44 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.45 (s, 2H), 7.54 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.5 (CH2), 35.4 (CH2), 55.9 (CH3), 72.1 (4°), 77.7 (4°), 92.0 (CH2), 123.1 (4°), 127.1 (CH), 128.7 (CH), 128.8 (CH), 132.8 (CH), 133.9 (4°), 139.3 (4°), 151.0 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C20H20Br2ClO3[M-H]-: 502.9447, found ; 502.9444; mp: 158.0-159.2℃。
化合物29のデータ
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.71-2.45 (m, 8H), 3.37 (s, 3H), 3.41 (s, 3H), 4.39 (s, 2H), 4.44 (s, 2H), 7.32 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.39 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.47 (s, 2H), 7.56 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.6 (CH2), 32.9 (CH2), 55.9 (CH3), 56.2 (CH3), 77.4 (4°), 77.6 (4°), 92.1 (CH2), 92.3 (CH2), 123.1 (4°), 128.4 (CH), 128.7 (CH), 133.3 (CH), 133.7 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C22H25Br2ClO4Na [M+Na]+: 568.9706, found ; 568.9703; mp: 77.0-80.6℃。
【実施例】
【0228】
合成例5:トリブロモベンゼンの2置換体の合成(その1)
【実施例】
【0229】
【化44】
JP2014132467A1_000046t.gif
【実施例】
【0230】
[式中、MOM、n-BuLi及びEt2Oは前記に同じである。]
合成例4と同様に、合成例4で得たトリブロモベンゼンの1置換体(29)(8.23 g、15.0 mmol)と、合成例2で得た4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサノン(26)(4.43 g、16.5 mmol)とを反応させ、トリブロモベンゼンの2置換体(30)を白色固体として得た(6.77 g、61%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2) δ 1.62-2.28 (m, 16H), 2.37 (s, 1H), 3.20 (s, 3H), 3.21 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 4.26 (s, 2H), 4.275 (s, 2H), 4.284 (s, 2H), 7.21 (d, 9.0 Hz, 2H), 7.25 (d, 9.0 Hz, 4H), 7.28 (d, 8.4 Hz, 4H), 7.31-7.37 (m, 5H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 33.1 (CH2), 33.2 (CH2), 35.8 (CH2), 55.9 (CH3), 56.0 (CH3), 56.1 (CH3), 72.3 (4°), 77.8 (4°), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 92.26 (CH2), 92.28 (CH2), 122.8 (4°), 122.9 (CH), 127.8 (CH), 128.7 (CH), 128.8 (CH), 129.2 (CH), 133.6 (4°), 133.8 (4°), 140.4 (4°), 141.4 (4°), 145.8 (4°), 150.0 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C36H43BrCl2O7Na [M+Na]+: 759.1467, found; 759.1474。
【実施例】
【0231】
また、溶媒をテトラヒドロフランに変えたところ、同様に反応が進行した(18%)。
【実施例】
【0232】
合成例6:トリブロモベンゼンの2置換体の合成(その2)
【実施例】
【0233】
【化45】
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【実施例】
【0234】
[式中、MOM及びi-Pr2NEtは前記に同じである。]
合成例4と同様に、合成例5で得たトリブロモベンゼンの2置換体(30)(6.65 g、9.00 mmol)を用いて保護化し(乾燥CH2Cl2:333 mM、ジイソプロピルエチルアミン:60 mmol、クロロメチルメチルエーテル:60 mmol)、保護化したトリブロモベンゼンの2置換体(31)を白色固体として得た(6.56 g、93%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.59-2.50 (m, 16H), 3.34 (s, 6H), 3.36 (s, 6H), 4.36 (s, 4H), 4.38 (s, 4H), 7.28 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.34 (d, 8.4 Hz, 2H), 7.40 (s, 2H), 7.46 (s, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.7 (CH2), 32.9 (CH2), 55.9 (CH3), 56.0 (CH3), 77.6 (4°), 77.7 (4°), 92.00 (CH2), 92.03 (CH2), 122.8 (4°), 124.1 (CH), 128.2 (CH), 128.5 (CH), 129.0 (CH), 133.5 (4°), 140.5 (4°), 145.3 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C38H47BrCl2O8Na [M+Na]+: 805.1710, found ; 805.1698; mp: 129.8-132.5℃。
【実施例】
【0235】
実施例1-2:トリブロモベンゼンの3置換体の合成(その1)
【実施例】
【0236】
【化46】
JP2014132467A1_000048t.gif
【実施例】
【0237】
[式中、MOM、n-BuLi、Et2O及びTHFは前記に同じである。]
合成例4及び5と同様に、合成例6で得た保護化したトリブロモベンゼンの2置換体(31)(6.26 g、8.00 mmol)と、合成例1で得た4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサノン(27)(2.29 g、8.52 mmol)とを、ジエチルエーテル(Et2O):テトラヒドロフラン(THF)=2:1の混合溶媒中で反応させ(溶媒合計:50 mM、n-ブチルリチウム:8.00 mmol)、トリブロモベンゼンの3置換体(32)を白色固体として得た(5.62 g、72%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2) δ 1.53-2.34 (m, 25H, include OH), 3.16 (s, 6H), 3.21 (s, 3H), 3.35 (s, 6H), 4.20 (s, 4H), 4.28 (s, 2H), 4.29 (s, 4H), 7.13-7.36 (m, 15H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 33.2 (CH2), 35.9 (CH2), 56.0 (CH3), 56.1 (CH3), 72.7 (4°), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 123.1 (CH), 124.7 (CH), 128.66 (CH), 128.72 (CH), 129.0 (CH), 133.5 (4°), 133.6 (4°), 140.8 (4°), 141.8 (4°), 143.0 (4°), 147.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C52H65Cl3O11Na [M+Na]+: 995.3476, found ; 995.3488。
【実施例】
【0238】
また、溶媒をテトラヒドロフラン単独にしたところ、同様に反応が進行した(21%)。
【実施例】
【0239】
実施例1-3:トリブロモベンゼンの3置換体の合成(その2)
【実施例】
【0240】
【化47】
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【実施例】
【0241】
[式中、MOM及びi-Pr2NEtは前記に同じである。]
合成例4及び6と同様に、実施例1-2で得たトリブロモベンゼンの3置換体(32)(5.35 g、5.50 mmol)を用いて保護化し(乾燥CH2Cl2:250 mM、ジイソプロピルエチルアミン:22.0 mmol、クロロメチルメチルエーテル:22.0 mmol)、保護化したトリブロモベンゼンの3置換体(33)を白色固体として得た(5.23 g、94%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2) δ 1.60-2.32 (br, 24H), 3.14 (s, 9H), 3.25 (s, 9H), 4.20 (s, 6H), 4.29 (s, 6H), 7.16 (d, 8.4 Hz, 6H), 7.21 (d, 7.2 Hz, 6H),7.32 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD2Cl2) δ 33.26 (CH2), 33.32 (CH2), 56.0 (CH3), 56.1 (CH3), 77.9 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.4 (CH2), 125.1 (CH), 128.7 (CH), 133.5 (4°), 142.1 (4°), 142.7 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C54H69Cl3O12Na [M+Na]+: 1037.3752, found ; 1037.3751; mp: 115.8-117.2℃。
【実施例】
【0242】
実施例1-4:トリブロモベンゼンの3置換体の合成(その3)
【実施例】
【0243】
【化48】
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【実施例】
【0244】
[式中、MOM、B(pin)、KOAcは前記に同じ;dbaはジベンジリデンアセトン;X-Phosは2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニルである。]
磁気攪拌子を含む100 mLのシュレンク管に、実施例1-3で得た保護化したトリブロモベンゼンの3置換体(33)(4.08 g、4.01 mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(3.70 g、14.6 mmol)、Pd2(dba)3・CHCl3(dbaはジベンジリデンアセトン)(62.1 mg、60.0μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-イソプロピル-1,1’-ビフェニル(X-Phos)(144.3 mg、303μmol)、及び酢酸カリウム(KOAc)(3.54 g、36.1μmol)を添加し、フラスコの排気及び窒素充填を3回繰り返した。次に、このフラスコに乾燥ジオキサン(40 mL)を加えた。反応混合物を110℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をGPCにより精製し、ボロン化したトリブロモベンゼンの3置換体(34)(4.81 g、93%)を白色固体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.33 (s, 36H), 1.73-2.45 (br, 24H), 3.25 (s, 9H), 3.37 (s, 9H), 4.27 (s, 6H), 4.38 (s, 6H), 7.36 (s, 3H), 7.39 (d, 7.2 Hz, 6H), 7.75 (d, 8.4 Hz, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 24.8 (CH3), 32.7 (CH2), 33.0 (CH2), 55.9 (CH3), 78.1 (4°), 78.2 (4°), 83.7 (4°), 91.9 (CH2), 92.1 (CH2), 124.4 (4°), 126.1 (CH), 128.2 (4°), 134.8 (CH); HRMS (FAB) m/z calcd for C72H105B3O18Na [M+Na]+: 1313.7509, found ; 1313.7521。
【実施例】
【0245】
実施例1-5:トリブロモベンゼンの3置換体の合成(その4)
【実施例】
【0246】
【化49】
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【実施例】
【0247】
[式中、MOM及びB(pin)は前記に同じである。]
磁気攪拌子を含む50 mLのシュレンク管に、実施例1-4で得たボロン化したトリブロモベンゼンの3置換体(34)(642 mg、497μmol)を加えた後、1,4-ジブロモベンゼン(1.08 g、4.58 mmol)、PdCl2(dppf)(dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)(36.3 mg、44.5μmol)、K2CO3(432 mg、3.13 mmol)、及びAg2O(349 mg、1.51 mmol)を添加し、フラスコの排気及び窒素充填を3回繰り返した。次に、このフラスコに乾燥テトラヒドロフラン(THF)(22 mL)及び脱気水(2 mL)を加えた。反応混合物を60℃で36時間撹拌した。混合物を室温まで冷却後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をGPCにより精製し、目的化合物(35)を白色固体として得た(391 mg、57%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.75-2.61 (br, 14H), 3.28 (s, 9H), 3.41 (s, 9H), 4.33 (s, 6H), 4.44 (s, 6H), 7.33 (d, 8.4 Hz, 6H), 7.40 (s, 15H), 7.50 (d, 8.4 Hz, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.9 (CH2), 33.0 (CH2), 55.8 (CH3), 56.0 (CH3), 78 (4°), 78 (4°), 91.8 (CH2), 92.2 (CH2), 121.6 (4°), 124.7 (4°), 126.7 (CH), 127.1 (CH), 128.4 (CH), 131.8 (CH), 138.9 (4°), 139.1 (4°), 142.1 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C72H81Br3O12Na [M+Na]+: 1401.3158, found ; 1401.3131; mp: 177.1-179.3℃。
【実施例】
【0248】
なお、各成分を以下のように変更した場合も同様に反応が進行した。
【実施例】
【0249】
【表2】
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【実施例】
【0250】
実施例2-1:箱形化合物の合成(その1)
【実施例】
【0251】
【化50】
JP2014132467A1_000053t.gif
【実施例】
【0252】
[式中、MOMは前記に同じである。]
磁気攪拌子付きの100mLの丸底フラスコに、実施例1-1で得た三つ又化合物(4)(139 mg、101μmol)、Ni(cod)2(codは1,5-シクロオクタジエン)(91.1 mg、331μmol)、及び2,2’-ビピリジル(52.6 mg、337μmol)を加えた。次に、このフラスコに乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)(50 mL、2 mM)を加えた。反応混合物を24時間90℃で攪拌した。室温まで冷却後、混合物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をGPC及びPTLC(CHCl3)により精製し、[6.6.6]ケージ前駆体である箱形化合物(5)を白色固体として得た(13.6 mg、12%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 50℃) δ 2.13 (brs, 12H), 2.20 (brs, 12H), 2.35-2.48 (m, 24H), 3.41 (s, 18H), 3.43 (s, 18H), 4.47 (s, 24H), 7.48 (d, J = 8.4 Hz, 24H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 12H), 7.55 (d, J = 8.4 Hz, 12H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 12H), 7.76 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.8 (CH2), 56.0 (CH3), 56.1 (CH3), 78.0 (4°), 92.17 (CH2), 92.24 (CH2), 124.7 (CH), 126.8 (CH), 127.0 (CH), 127.2 (CH), 127.5 (CH), 139.6 (4°), 139.9 (4°), 141.5 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C144H162O24Na [M+Na]+: 2298.1348, found 2298.1353; mp: partially decomposed at 300℃。
【実施例】
【0253】
なお、各成分を以下のように変更した場合も同様に反応が進行した。
【実施例】
【0254】
【表3】
JP2014132467A1_000054t.gif
【実施例】
【0255】
実施例2-2:箱形化合物の合成(その2)
【実施例】
【0256】
【化51】
JP2014132467A1_000055t.gif
【実施例】
【0257】
[式中、MOMは前記に同じである。]
磁気攪拌子を含む50 mLのシュレンク管に、実施例1-3で得たトリブロモベンゼンの3置換体(33)(103 mg、101μmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)(83.4 mg、303μmol)、1,10-フェナントロリン(phen)(55.8 mg、310μmol)を添加した。次に、このフラスコに乾燥テトラヒドロフラン(THF)(25 mL)を加えた。反応混合物を還流下に40時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物をセライト(EtOAc)の短いパッドでろ過し、減圧濃縮した。粗生成物をGPC及びPTLC(酢酸エチル(EtOAc))で精製し、[4,4,4]ケージ前駆体である箱形化合物(36)を白色固体として得た(8.1 mg、8%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.28-1.50 (br, 12H), 2.06 (d, 12.0 Hz, 12H), 2.43 (td, 12.0 Hz, 2.4 Hz, 12H), 2.52-2.66 (br, 12H), 3.28 (s, 18H), 3.48 (s, 18H), 4.46 (s, 12H), 4.49 (s, 12H), 6.92 (br, 12H), 7.02 (br, 12H), 7.77 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 32.2 (CH2), 34.2 (CH2), 55.4 (CH3), 56.5 (CH3), 77.8 (4°), 78.5 (4°), 91.3 (CH2), 92.6 (CH2), 125.6 (CH), 126.5 (CH), 127.5 (CH), 138.6 (4°), 128.8 (4°), 144.1 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C108H138O24Na [M+Na]+: 1842.9509, found 1842.9461; mp: 237.3℃。
【実施例】
【0258】
なお、各成分を以下のように変更した場合も同様に反応が進行した。
【実施例】
【0259】
【表4】
JP2014132467A1_000056t.gif
【実施例】
【0260】
実施例2-3:箱形化合物の合成(その3)
【実施例】
【0261】
【化52】
JP2014132467A1_000057t.gif
【実施例】
【0262】
[式中、MOM及びB(pin)は前記に同じ;Pd(OAc)2は酢酸パラジウム(II);S-Phosは2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニルである。]
磁気攪拌子を含む100 mLの丸底フラスコに実施例1-3で得たトリブロモベンゼンの3置換体(33)(104 mg、102μmol)、実施例1-4で得たボロン化したトリブロモベンゼンの3置換体(34)(157 mg、122μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)(2.4 mg、11μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(S-Phos)(8.8 mg、21μmol)、及びK3PO4(209 mg、985μmol)を添加し、フラスコの排気及び窒素充填を3回繰り返した。次に、このフラスコに乾燥ジオキサン(47 mL)及び脱気水(3mL)を加えた。反応混合物を100℃で40時間撹拌した。混合物を室温まで冷却後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をGPC及びPTLCで精製し、[4,4,4]ケージ前駆体である箱形化合物(36)を白色固体として得た(13.7 mg、7%)。
【実施例】
【0263】
実施例2-4:箱形化合物の合成(その4)
【実施例】
【0264】
【化53】
JP2014132467A1_000058t.gif
【実施例】
【0265】
[式中、MOM及びB(pin)は前記に同じである。]
実施例2-3と同様に、実施例1-4で得たボロン化したトリブロモベンゼンの3置換体(34)(139 mg、101μmol)と、実施例1-5で得たトリブロモベンゼンの3置換体(35)(159 mg、123μmol)とを、触媒としてPdCl2(dppf)・CH2Cl2(dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである)(7.7 mg、9.4μmol)、K2CO3(85.4 mg、618μmol)、乾燥トルエン(45 mL)及び脱気水(5 mL)の存在下、80℃で40時間反応させ、[5,5,5]ケージ前駆体である箱形化合物(37)を白色固体として得た(22.5 mg、11%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ1.45 (t, 13.2 Hz, 12H), 2.13 (d, 12.6 Hz, 12H), 2.49 (t, 12.6 Hz, 12H), 2.69 (t, 12.6 Hz, 12H), 3.29 (s, 18H), 3.52 (s, 18H), 4.48 (s, 12H), 4.51 (s, 12H), 6.92 (d, 8.4 Hz, 12H), 6.99 (s, 12H), 7.07 (d, 8.4 Hz, 12H), 7.86 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ31.9 (XH2), 34.2 (CH2), 55.3 (CH3), 56.6 (CH3), 77.9 (4°), 78.5 (4°), 91.6 (CH2), 92.7 (CH2), 125.7 (CH), 126.7 (CH), 127.3 (CH), 127.5 (CH), 138.3 (4°), 139.0 (4°), 139.1 (4°), 144.3 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C126H150O24Na [M+Na]+: 2071.0443, found 2071.0492; mp: 269.0℃。
【実施例】
【0266】
実施例3-1:[6.6.6]ケージの合成
【実施例】
【0267】
【化54】
JP2014132467A1_000059t.gif
【実施例】
【0268】
[式中、MOM及びDMSOは前記に同じである。]
磁気攪拌子付きの20 mLのシュレンク管に実施例2-1で得た箱形化合物(5)(13.0 mg、5.71μmol)、NaHSO4・H2O(23.7 mg、172μmol)、o-クロラニル(6.96 mg、28.3μmol)、乾燥m-キシレン(2.5 mL)、及び乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)(0.5 mL)を加えた。反応混合物を空気下で24時間150℃で撹拌した。室温まで冷却後、混合物をCHCl3で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をPTLC(ヘキサン / CH2Cl2= 1:1)により精製し、目的化合物である[6.6.6]ケージ(1,8(1,3,5)2,3,4,5,6,7,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20(1,4)-イコサベンゼナビシクロ[6.6.6]イコサフェン;1, 8 (1, 3, 5) 2, 3, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20 (1, 4)-icosabenzenabicyclo[6. 6. 6] icosaphane)(1)を白色固体として得た(6.0 mg、69%)。
【実施例】
【0269】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.590 (d, J = 8.4 Hz, 12H), 7.593 (d, J = 8.6 Hz, 24H), 7.67 (d, J = 8.6 Hz, 12H), 7.69 (d, J = 8.6 Hz, 12H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 12H), 7.85 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ124.6 (CH2), 127.08 (CH2), 127.13 (CH2), 127.4 (CH2), 127.5 (CH2), 127.7 (CH2), 127.8 (CH2), 138.3 (4°), 138.4 (4°), 138.8 (4°), 139.0 (4°), 139.3 (4°), 139.6 (4°), 141.5 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C120H78 [M]+: 1518.6104, found 1518.6111; mp: not decomposed nor melted over 300 ℃。
【実施例】
【0270】
実施例3-2:[4.4.4]ケージの合成
【実施例】
【0271】
【化55】
JP2014132467A1_000060t.gif
【実施例】
【0272】
[式中、MOM及びDMSOは前記に同じである。]
実施例3-1と同様に、実施例2-2又は実施例2-3で得た箱形化合物(36)(10.5 mg、5.77μmol)を用いて、NaHSO4・H2O(26.9 mg、195μmol)、o-クロラニル(10.7 mg、43.5μmol)、乾燥m-キシレン(2.5 mL)、及び乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)(0.5 mL)の存在下、150℃で48時間反応させ、目的化合物である[4.4.4]ケージを白色固体として得た(1.8 mg、29%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.468 (d, 8.4 Hz, 12H), 7.470 (d, 9.0 Hz, 12H), 7.52 (d, 9.0 Hz, 12H), 7.63 (d, 8.4 Hz, 12H), 7.65 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ124.9 (CH), 127.25 (CH), 127.30 (CH), 127.7 (CH), 127.8 (CH), 138.1 (4°), 138.2 (4°), 138.5 (4°), 139.0 (4°), 141.6 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C84H54 [M]+: 1062.4220, found ; 1062.4251。
【実施例】
【0273】
実施例3-3:[5.5.5]ケージの合成
【実施例】
【0274】
【化56】
JP2014132467A1_000061t.gif
【実施例】
【0275】
[式中、MOM及びDMSOは前記に同じである。]
実施例3-1及び実施例3-2と同様に、実施例2-4で得た箱形化合物(37)(13.2 mg、6.44μmol)を用いて、NaHSO4・H2O(27.6 mg、200μmol)、o-クロラニル(11.7 mg、47.6μmol)、乾燥m-キシレン(3.0 mL)、及び乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)(0.5 mL)の存在下、150℃で48時間反応させ、目的化合物である[5.5.5]ケージを白色固体として得た(4.3 mg、52%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ7.53 (d, 9.0 Hz, 12H), 7.54 (d, 8.4 Hz, 36H), 7.60 (s, 12H), 7.61 (d, 9.0 Hz, 12H), 7.79 (s, 6H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 124.6 (CH), 127.1 (CH), 127.3 (CH), 127.7 (CH), 127.8 (CH), 138.2 (4°), 138.3 (4°), 138.5 (4°), 139.0 (4°), 139.4 (4°), 141.4 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C102H66[M]+: 1290.5159, found ; 1290.5200。
【実施例】
【0276】
実験例1:光物性
UV/VIS吸収スペクトルは0.5 nmの分解能を持つShimadzu UV-3510分光計で記録した。発光スペクトルは、0.2 nmの分解能を持つHitachi F-4500分光計を用いて測定した。1 cm角の石英セル内の脱気したスペクトルグレードのクロロホルムで溶液を希釈して使用した。絶対蛍光量子収率は、マルチチャンネル分光器(PMA-11)を搭載したHamamatsu C9920-02キャリブレーション積分球システムで測定した。蛍光寿命は、USHOパルス窒素レーザー(10 Hzの繰り返し率の励起波長は337 nm)を搭載したピコ秒蛍光測定システムHamamatsu C4780で測定した。
【実施例】
【0277】
[二光子吸収]
二光子吸収(TPA)のスペクトルを、オープンアパーチャーZ-スキャン法を用いて測定した。previously.SAフェムト秒光パラメトリック増幅器(スペクトラ・フィジックスOPA-800)を、1kHzの繰り返し率で、光源として励起波長(484~692 nm)の広い範囲をスキャンした。パラメトリック増幅器の出力ビームを小さなアイリス(iris)を通過させ、ほぼガウス空間プロファイルが得られた。パルス幅は、自己相関器(一般的にはガウスパルスの半値幅で118 fs)により測定した。光学セットアップのレーリーレンジ(Rayleigh range)ZRは採用波長に応じて7~14 mmであった。試料溶液は、石英キュベット(経路長L = 2 mm)中に留まり、つまり、Zrより短く、「光学的に薄い状態」L << Zを満足した(Sheik-Bahae, M.; Said, A. A.; Wei, T.-H.; Hagan, D. J.; Van Stryland, E. W. IEEE J. Quantum Electron. 1990, 26, 760.)。測定は、入射レーザーパワーPを各波長において0.05~0.35 mWの範囲内で変化させることによって、少なくとも4回繰り返した。測定の各セット前に、溶剤(分光等級のクロロホルム)を同じ条件下で測定し、Z-スキャン・トレースの鋭いディップとして現れる誘導ラマン効果等の不要な非線形光学効果の有無を確認した。軸上のピーク強度Iは焦点において180 GW cm-2未満であった。
【実施例】
【0278】
典型的な記録されたZ-スキャントレースを図1及び2に示す。全ての記録されたZ-スキャントレースは、二光子吸収媒体(Kamada, K.; Matsunaga, K.; Yoshino, A.; Ohta, K. J. Opt. Soc. Am. B 2003, 20, 529.)を通して空間的及び時間的にガウスパルスの透過率の理論モデルとカーブフィッティングの手順で分析した。カーブフィッティングから、サンプルの二光子吸収q0= α(2)I0Lが得られた(α(2)はTPA係数である)。TPA処理から生じた観測信号を確認し、I0に対するq0の比例関係、つまりPiを確認した(図3及び4)。TPA断面σ(2)はσ(2)=Ephα(2)/Nの規則に基づいて算出した(Nはモル濃度から計算した試料中の分子の数密度であり、Ephは入射レーザー光の光子エネルギーである。最後に、σ(2)スペクトルは異なる波長の測定を繰り返すことで得た。
【実施例】
【0279】
得られたσ(2)値は、同じ条件(クロロホルム溶液、20 mM)で測定された標準物質として既報(Kennedy, S. M.; Lytle, F. E. Anal. Chem. 1986, 58, 2643.)の1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(bis-MSB)の値に基づいて校正した。537 nmより短波長での値の報告がないため、bis-MSBの溶液とともに、GaN単結晶(新陽(株)製の厚さ280μm、半絶縁性)を測定した。まず、既報のGaNのα(2)スペクトル形状を、GaNのTPAスペクトル形状の理論式(Sheik-Bahae, M.; Hutchings, D. C.; Hagan, D. J.; Van Stryland, E. W. IEEE J. Quantum Electron. 1991, 27, 1296.)を用いて校正した後、波長484~537 nmでのbis-MSBのσ(2)の値を、既報(Detailed procedure is in preparation to be presented elsewhere.)の540~600 nmにおけるbis-MSBのσ(2)の値の平均と整合を取るようにしながらGaNの校正したスペクトルに基づいて校正した。さらに、600 nmより長い波長では、標準化合物として、1,4-ビス(2,5-ジメトキシ-4-{2-[4-(N-メチル)ピリジン-1-イウミル]エテニル}フェニル)ブタジイントリフラート(MPPBT)(Kamada, K.; Iwase, Y.; Sakai, K.; Kondo, K.; Ohta, K. J. Phys. Chem. C 2009, 113, 11469.)も参照のσ(2)値の整合性をチェックするために測定した。
【実施例】
【0280】
分光等級クロロホルムの[6.6.6]カーボンナノケージの試料溶液(0.57 mM)を大気雰囲気下で調製した。直線状のオリゴパラフェニレン(oligoparaphenylene)である2''',5'''-ジデシル-1,1':4',1'':4'',1''':4''',1'':4'''',1''':4''''',1''''''-セプチフェニル(2''',5'''-ジデシル-p-セプチフェニル)のクロロホルム溶液(15 mM)をまた大気雰囲気下で調製した。劣化の兆候は、TPA測定の後、両方のサンプルに認められなかった。
【実施例】
【0281】
[吸収及び蛍光]
実施例3-2で得た[4.4.4]ケージ、実施例3-3で得た[5.5.5]ケージ、実施例3-1で得た[6.6.6]ケージについて、吸収及び蛍光スペクトルを測定した。シクロパラフェニレンはサイズに関わらず同程度の吸収波長(特許文献1;338~339nm程度)を有するのに対し、カーボンナノケージの吸収波長は、ケージのサイズが大きくなるとともに、赤色シフトした。一方、興味深いことに、最大蛍光は、ケージのサイズが大きくなるとともに、青色シフトした。最大ピーク間のエネルギー差は、パラ置換ベンゼンの振動子強度(約1400~1500 cm-1)に対応していた。また、[6.6.6]ケージは、非常に高い蛍光量子収率(ΦF=0.87)で強い青色蛍光を示した。[6.6.6]ケージにおいて、蛍光寿命(τs=1.4 ns)と式(ΦF=kr×τs及びkr+knr=τs-1)とから求められる放射性(kr)及び非放射性(knr)の減衰速度定数は、それぞれ6.2×108 s-1及び9.4×107 s-1であった。これらの値は、12個のベンゼン環を有するシクロパラフェニレン([12]CPP)(4.0×108 s-1及び5.0×107 s-1)と匹敵する。結果を表5及び図5に示す。なお、図5において、実線は、左から順に、[4.4.4]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[6.6.6]ケージの吸収スペクトルであり、破線は、左から順に、[6.6.6]ケージ、[5.5.5]ケージ及び[4.4.4]ケージの蛍光スペクトルである。
【実施例】
【0282】
【表5】
JP2014132467A1_000062t.gif
【実施例】
【0283】
実験例2:X線結晶構造解析
リガク社製CCD単結晶自動X線構造解析装置「Saturn」(商品名)を用いて、本発明のカゴ形化合物の前駆体である実施例1-3で得た保護化したトリブロモベンゼンの3置換体と、実施例3-2で得た[4,4,4]ケージのX線構造解析を行った。単結晶は、THF溶液に、室温で、ジエチルエーテル(Et2O)蒸気をゆっくり添加することで得た。その結果、実施例1-3で得た保護化したトリブロモベンゼンの3置換体は、全てシス構造を有することが示された(図6)。また、本発明のカゴ形化合物は、美しいケージ型構造を有していた(図7(a))。また、2個のTHF分子と1個のジエチルエーテル(Et2O)分子がケージ内部に取り込まれていた(図8)。また、ベンゼン環のわずかなずれが、上から見た外観に示された(図7(b))。パッキング構造からは、[4.4.4]ケージ密接に充填されていることが示された(図7(c))。また、その結果を表6及び図6~7に示す。
【実施例】
【0284】
【表6】
JP2014132467A1_000063t.gif
【実施例】
【0285】
実験例3:計算機による研究
SGI Altix4700システム上で実行したGaussian 09プログラムは、最適化、TD-DFT(B3LYP/6-31G(d))のために使用した。
【実施例】
【0286】
その結果、実施例3-1で得た[6.6.6]ケージ、実施例3-3で得た[5.5.5]ケージ、実施例3-2で得た[4.4.4]ケージの結果を図9に示す。また、[6.6.6]ケージのフロンティア分子軌道を図10に示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9