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明細書 :配位子、その配位子を含む金属錯体、及びその金属錯体を用いた反応

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6218153号 (P6218153)
登録日 平成29年10月6日(2017.10.6)
発行日 平成29年10月25日(2017.10.25)
発明の名称または考案の名称 配位子、その配位子を含む金属錯体、及びその金属錯体を用いた反応
国際特許分類 C07F   9/58        (2006.01)
C07F   9/6509      (2006.01)
C07F   5/02        (2006.01)
C07C  29/157       (2006.01)
C07C  33/22        (2006.01)
C07C  31/20        (2006.01)
C07C 209/50        (2006.01)
C07C 211/27        (2006.01)
C07C 213/00        (2006.01)
C07C 215/08        (2006.01)
C07C 211/03        (2006.01)
C07C 215/28        (2006.01)
C07C  31/24        (2006.01)
C07C  29/156       (2006.01)
C07C  31/04        (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
C07D 307/33        (2006.01)
C07D 207/33        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
C07F  15/06        (2006.01)
C07F  15/02        (2006.01)
C07F  15/04        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/58 CSPB
C07F 9/6509
C07F 5/02 F
C07C 29/157
C07C 33/22
C07C 31/20 B
C07C 209/50
C07C 211/27
C07C 213/00
C07C 215/08
C07C 211/03
C07C 215/28
C07C 31/24
C07C 29/156
C07C 31/04
B01J 31/24 Z
C07D 307/32 F
C07D 207/33
C07F 15/00 A
C07F 15/06
C07F 15/02
C07F 15/04
C07F 15/00 B
C07F 15/00 E
C07F 15/00 F
C07F 15/00 C
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 25
全頁数 67
出願番号 特願2015-504341 (P2015-504341)
出願日 平成26年3月4日(2014.3.4)
国際出願番号 PCT/JP2014/055510
国際公開番号 WO2014/136795
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権出願番号 2013042385
優先日 平成25年3月4日(2013.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年1月27日(2017.1.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】斎藤 進
【氏名】野依 良治
【氏名】三浦 隆志
【氏名】鳴戸 真之
【氏名】飯田 和希
【氏名】高田 雄貴
【氏名】戸田 勝章
【氏名】二村 聡太
【氏名】アグラワル サントシュ
【氏名】リー スンゴック
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】高橋 直子
参考文献・文献 特開2011-037809(JP,A)
特開2010-215604(JP,A)
国際公開第2012/102247(WO,A1)
米国特許出願公開第2012/0253042(US,A1)
Ziessel, R.,A new family of aromatic polyimine chelates substituted with two diphenylphosphines,Tetrahedron Letters,1989年,30(4),463-466
Langer, R. et al.,Stepwise metal-ligand cooperation by a reversible aromatization/deconjugation sequence in ruthenium,Chemistry - A European Journal,2013年 1月29日,19(10),3407-3414
Liu, X. et al.,Flexible Redox-Active Binuclear Macrocycles Formed via the Weak-Link Approach and Novel Hemilabile L,Inorganic Chemistry,2001年,40(13),2940-2941
調査した分野 C07F 9/58
B01J 31/24
C07C 29/156
C07C 29/157
C07C 31/04
C07C 31/20
C07C 31/24
C07C 33/22
C07C 209/50
C07C 211/03
C07C 211/27
C07C 213/00
C07C 215/08
C07C 215/28
C07D 207/33
C07D 307/33
C07F 5/02
C07F 9/6509
C07B 61/00
C07F 15/00
C07F 15/02
C07F 15/04
C07F 15/06
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1a):
【化1】
JP0006218153B2_000052t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、リン原子と結合する炭素原子上に少なくとも1個の水素原子が存在するアルキル基、又はシクロアルキル基である。
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。
pは同一又は異なって、0又は1である。
で表される化合物。
【請求項2】
一般式(1a):
【化2】
JP0006218153B2_000053t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。
pは、いずれも1である。
但し、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である場合を除く。)
で表される化合物。
【請求項3】
一般式(1a)において、ZがBHである請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(1a)において、Rが同一又は異なって、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、又はC3~8シクロアルキル基である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(1a)において、R及びRが共に水素原子である請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
一般式(1a)において、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成している請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
一般式(2a):
【化3】
JP0006218153B2_000054t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
Mはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。
但し、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である場合を除く。)
で表される化合物。
【請求項9】
一般式(2a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、C3~8シクロアルキル基、又は単環若しくは2環のアリール基である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
一般式(2a)において、R及びRが共に水素原子である請求項8又は9に記載の化合物。
【請求項11】
一般式(2a)において、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成している請求項8又は9に記載の化合物。
【請求項12】
一般式(2a):
【化4】
JP0006218153B2_000055t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
Mはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。
但し、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である場合を除く。)
で表される脱水素反応用の触媒。
【請求項13】
請求項8~11のいずれかに記載の化合物の存在下に、有機化合物を脱水素反応(酸化反応)に供する工程を含むことを特徴とする水素移動反応物の製造方法。
【請求項15】
一般式(2):
【化5】
JP0006218153B2_000056t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。)
で表される水素添加反応用触媒。
【請求項16】
請求項15に記載の水素添加反応用触媒の存在下に、有機化合物を水素添加反応に供する工程を含むことを特徴とする水素移動反応物の製造方法。
【請求項17】
一般式(1a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、又はC3~8シクロアルキル基である請求項2に記載の化合物。
【請求項18】
一般式(1a):
【化6】
JP0006218153B2_000057t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、又はシクロアルキル基である。
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。
pは同一又は異なって、0又は1である。)
で表される化合物。
【請求項19】
一般式(1a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、又はC3~8シクロアルキル基である請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
一般式(2a):
【化7】
JP0006218153B2_000058t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、リン原子と結合する炭素原子上に少なくとも1個の水素原子が存在するアルキル基、又はシクロアルキル基である。
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。)
で表される化合物。
【請求項21】
一般式(2a)において、Rが同一又は異なって、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、又はC3~8シクロアルキル基である請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
一般式(2a):
【化8】
JP0006218153B2_000059t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、リン原子と結合する炭素原子上に少なくとも1個の水素原子が存在するアルキル基、又はシクロアルキル基である。
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。)
で表される脱水素反応用触媒。
【請求項23】
請求項22に記載の脱水素反応用触媒の存在下に、有機化合物を脱水素反応に供する工程を含むことを特徴とする脱水素反応物の製造方法。
【請求項24】
一般式(2a):
【化9】
JP0006218153B2_000060t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、又はシクロアルキル基である。
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。)
で表される化合物。
【請求項25】
一般式(2a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、又はC3~8シクロアルキル基である請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
一般式(2a):
【化10】
JP0006218153B2_000061t.gif
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基、又はシクロアルキル基である。
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
Xは配位子である。
nは0、1又は2である。)
で表される脱水素反応用触媒。
【請求項27】
請求項26に記載の脱水素反応用触媒の存在下に、有機化合物を脱水素反応に供する工程を含むことを特徴とする脱水素反応物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、配位子、その配位子を含む金属錯体、及びその金属錯体を触媒として用いた反応(具体的には水素移動反応)に関する。
【背景技術】
【0002】
水素添加反応及び脱水素反応等の水素移動反応は、低分子及び高分子有機化合物の合成に広く利用されている。
【0003】
しかし、均一系触媒の存在下に分子状水素を用いて水素添加(水素還元)する触媒的水素添加反応では、基質依存性が高いため、基質の種類に応じて触媒の中心金属や配位子、反応条件等をその都度大幅に変える必要があった。特に、エステル、アミド、カーバメート、ウレア、カルボン酸、カルボン酸無水物等を含む基質は、水素添加反応に対し安定な(不活性な)カルボニル基を有するため、一般に水素添加反応は困難とされている。
【0004】
近年、分子内に窒素原子(N)及びリン原子(P)を有する2座配位子2個がルテニウム(Ru)に配位したルテニウム錯体が、アミド、カーバメート、ウレア、カルボン酸等の安定なカルボニル基の水素添加反応に有効な触媒であることが報告されている(特許文献1)。しかし、安定なカルボニル基を有する多様性のある基質に対し、さらに穏和な条件で収率良く水素添加反応等の水素移動反応を進行させる触媒が求められていた。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2012/102247号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より効率的に水素移動反応を促進し得る金属錯体(触媒)を提供することを目的とする。具体的には、安定なカルボニル基等を有する多様性のある基質に対し、穏和な条件で収率良く水素添加反応(水素還元反応、水素化反応)、脱水素反応(酸化反応)等の水素移動反応を進行させることができる金属錯体(触媒)を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、当該金属錯体(触媒)を構成する配位子化合物を提供することをも目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、当該金属錯体(触媒)を用いて水素移動反応物(水素添加反応物、脱水素反応物等、特に、水素添加反応物)を製造する方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、4座配位子である6,6’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メチル-2,2’-ビピリジンとルテニウムとから形成される錯体及びその類似化合物からなる錯体が、エステル、アミド、カーバメート、ウレア、カルボン酸等の安定なカルボニル基を有する化合物に対し、穏和な条件で収率良く水素添加できることを見出した。かかる知見に基づき更に研究を行うことにより、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は以下の化合物(配位子化合物及び金属錯体(触媒))、並びに当該金属錯体を用いた水素移動反応物の製造方法を提供する。
【0011】
項1 一般式(1a):
【0012】
【化1】
JP0006218153B2_000002t.gif

【0013】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0014】
は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基である。
【0015】
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。
【0016】
pは同一又は異なって、0又は1である。
【0017】
但し、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である場合を除く。)
で表される化合物(配位子化合物)。
【0018】
項2 一般式(1a)において、pが1である項1に記載の化合物。
【0019】
項3 一般式(1a)において、ZがBHである項1又は2に記載の化合物。
【0020】
項4 一般式(1a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、C3~8シクロアルキル基、又は単環若しくは2環のアリール基である項1~3のいずれかに記載の化合物。
【0021】
項5 一般式(1a)において、R及びRが共に水素原子である項1~4のいずれかに記載の化合物。
【0022】
項6 一般式(1a)において、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成している項1~4のいずれかに記載の化合物。
【0023】
項7 水素添加反応又は脱水素反応用の触媒を製造するために使用される、項1~6のいずれかに記載の化合物。
【0024】
項8 一般式(2a):
【0025】
【化2】
JP0006218153B2_000003t.gif

【0026】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0027】
は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基である。
【0028】
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
【0029】
Xは配位子である。
【0030】
nは0、1又は2である。
【0031】
但し、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である場合を除く。)
で表される化合物(金属錯体)。
【0032】
項9 一般式(2a)において、Rが同一又は異なって、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、C3~8シクロアルキル基、又は単環若しくは2環のアリール基である項8に記載の化合物。
【0033】
項10 一般式(2a)において、R及びRが共に水素原子である項8又は9に記載の化合物。
【0034】
項11 一般式(2a)において、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成している項8又は9に記載の化合物。
【0035】
項12 水素添加反応又は脱水素反応用の触媒である、項8~11のいずれかに記載の化合物。
【0036】
項13 項8~11のいずれかに記載の化合物の存在下に、有機化合物を水素添加反応(水素還元反応)又は脱水素反応(酸化反応)に供する工程を含むことを特徴とする水素移動反応物の製造方法。
【0037】
項14 一般式(1):
【0038】
【化3】
JP0006218153B2_000004t.gif

【0039】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0040】
は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基である。
【0041】
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。
【0042】
pは同一又は異なって、0又は1である。)
で表される、水素添加反応用触媒を製造するために使用される化合物。
【0043】
項15 一般式(2):
【0044】
【化4】
JP0006218153B2_000005t.gif

【0045】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0046】
は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基である。
【0047】
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。
【0048】
Xは配位子である。
【0049】
nは0、1又は2である。)
で表される水素添加反応用触媒。
【0050】
項16 項14又は15に記載の水素添加反応用触媒の存在下に、有機化合物を水素添加反応に供する工程を含むことを特徴とする水素移動反応物(水素添加反応物)の製造方法。
【発明の効果】
【0051】
本発明の配位子化合物と金属とからなる金属錯体は、効率的に有機化合物の水素移動反応を促進することができる。本発明の金属錯体は、特許文献1に具体的に記載されている金属錯体に比べて、顕著に優れた水素移動反応の触媒活性を示すものである。
【0052】
具体的には、本発明の金属錯体(触媒)を使用すると、例えば、エステル、カーボネート、アミド、カーバメート、ウレア、カルボン酸、カルボン酸無水物等の安定なカルボニル基を有する基質を、より穏和な条件で収率良く水素添加反応(水素還元反応)させることができる。また、本発明の金属錯体を使用すると、例えば、アルコール類を、より穏和な条件で収率良く脱水素反応(酸化反応)させてケトンを製造することができる。特に、本発明によれば、安定な(不活性な)カルボニル基を有する化合物であっても、より緩和な条件で収率良く水素添加反応(水素還元反応)させることができる点で特に有用である。
【0053】
また、従来の金属水素化物を用いたヒドリド還元反応と比べて、水素化後の後処理が簡便である。
【0054】
本発明の金属錯体(触媒)を用いた水素移動反応(水素添加反応、脱水素反応等、特に水素添加反応)では、共存する塩基又は塩の作用により金属錯体の配位子上からプロトンが引き抜かれて、触媒活性種が生成して反応が進行すると考えられる。本発明の金属錯体(触媒)のように分子内に2個のNと2個のPを有する4座配位子を採用することで、この触媒活性種がより活性化されると推測される。
【0055】
また、配位子のリン(P)上の置換基も触媒活性に影響を与える傾向が確認された。一般式(2)において、リン(P)と結合するRが、イソプロピル基やシクロヘキシル基、フェニル基等である金属錯体の方が、Rが嵩高いt-ブチル基である金属錯体よりも触媒活性が高い傾向がある。明確な理由は明らかではないが、Rとしては、嵩高い基であることだけが重要なのではなく、リン(P)と結合する炭素原子(C)上に少なくとも1個の水素原子(H)が存在することが高い触媒活性発現に寄与していると考えられる。ただし、リン(P)と結合する炭素原子(C)上に水素原子(H)が存在する場合及び存在しない場合のいずれにおいても、水素移動反応を進行させることが可能である。
【0056】
本発明の配位子化合物は、調製が極めて簡便であるため経済的である。また、所定の保護基(Z)で保護されている場合には、保存安定性に優れており取扱いが容易となる。
【0057】
本発明の金属錯体(触媒)も、調製が極めて簡便であるため経済的であり、また安定な化合物であるため取扱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】反応例A3で用いたルテニウム錯体(化合物2c)のX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)である。
【図2】反応例A3で用いたルテニウム錯体(化合物2f)のX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)である。
【図3】実施例B1で得られたコバルト錯体(化合物2h)のX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)である。
【図4】実施例C1で得られた鉄錯体(化合物2i)のX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)である。
【図5】実施例C2で得られた鉄錯体(化合物2j)のX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明の化合物(配位子化合物及び金属錯体(触媒))、並びに当該金属錯体を用いた水素移動反応物の製造方法を以下詳細に説明する。

【0060】
1.配位子化合物及び金属錯体
(1)配位子化合物
本発明の配位子化合物は、一般式(1):

【0061】
【化5】
JP0006218153B2_000006t.gif

【0062】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。

【0063】
は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換アリール基である。

【0064】
Zは同一又は異なって、リン原子の保護基である。

【0065】
pは同一又は異なって、0又は1である。)
で表される化合物であり、後述する金属に4座(2個の窒素原子及び2個のリン原子)で配位して錯体を形成することができる。

【0066】
~Rで示される置換又は非置換アルキル基におけるアルキル基としては、例えば、鎖状又は分岐状のC1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。このアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等が挙げられる。

【0067】
~Rで示される置換若しくは非置換アルコキシ基におけるアルコキシ基としては、例えば、鎖状又は分岐状のC1-6アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。このアルコキシ基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等が挙げられる。

【0068】
~Rで示される置換若しくは非置換アリール基におけるアリール基としては、例えば、単環又は2環のアリール基が挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。このアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、C1-4アルキル基(メチル基、エチル基、t-ブチル基等)等が挙げられる。

【0069】
とR、RとR、RとR、及びRとRが互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合、当該2価の炭化水素基としては、例えば、-(CH-(は2~5の整数)、-(CH=CH)-、(mは1、2又は3である)、-CH=CH-(CH-(rは1~3の整数)等が挙げられる。

【0070】
当該2価の炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、上記したC1-6アルキル基、上記したアリール基(例えば、フェニル基)、オキソ基(=O)等が挙げられる。2価の炭化水素基上に、これらからなる群より選ばれる1又は2個の置換基を有していてもよい。

【0071】
とRが互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合、当該2価の炭化水素基としては、例えば、式:-(CH-(sは1~3の整数)で示される基、-CH=CH-で示される基、式:

【0072】
【化6】
JP0006218153B2_000007t.gif

【0073】
で表される基等が挙げられる。

【0074】
とRが互いに結合して形成される当該2価の炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、上記したC1-6アルキル基、上記したアリール基(例えば、フェニル基)等が挙げられる。2価の炭化水素基上に、これらからなる群より選ばれる1又は2個の置換基を有していてもよい。

【0075】
で示される置換若しくは非置換アルキル基におけるアルキル基としては、例えば、鎖状又は分岐状のC1~10アルキル基、好ましくはC1~8アルキル基、より好ましくはC2~6アルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。本発明の配位子化合物を用いた金属錯体を触媒として使用した場合の水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、好ましくは、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基等であり、より好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、3-ペンチル基等である。このアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、シリル基(トリメチルシリル基等)、チオール基、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、ピロリル基等が挙げられる。

【0076】
で示される置換若しくは非置換シクロアルキル基におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のC3~8シクロアルキル基が挙げられ、本発明の配位子化合物を用いた金属錯体を触媒として使用した場合の水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、好ましくはシクロペンチル基又はシクロアルキル基、より好ましくはシクロヘキシル基、シクロペンチル基である。このシクロアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、シリル基(トリメチルシリル基等)、チオール基、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、ピロリル基等が挙げられる。

【0077】
で示される置換若しくは非置換アリール基におけるアリール基としては、例えば、単環又は2環のアリール基が挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。このアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、C1-4アルキル基(メチル基、エチル基、t-ブチル基等)等が挙げられる。

【0078】
Zで示されるリン原子の保護基としては、リン原子上の共有電子対を収容できリン原子の酸化を抑制できる基又は化合物が挙げられる。例えは、ボラン(BH)、メチルボラン(MeBH2)、ジメチルボラン(Me2BH)、トリフルオロボラン(BF)等のホウ素化合物;水素化アルミニウム(AlH)、トリメチルアルミニウム(AlMe)、トリエチルアルミニウム(AlEt)、トリブチルアルミニウム(AlBu)、ジイソブチルアルニミウムヒドリド(iBuAlH)等のアルミニウム化合物等が挙げられ、安定性の観点からホウ素化合物が好ましく、ボラン(BH)がより好ましい。

【0079】
pは0又は1である。上記リン原子の保護基を有する場合(p=1)は、リン原子が無保護の場合(p=0)と比べて、一般式(1)で表される化合物のリン原子の酸化を抑制できるため、化合物が安定化し取扱性が向上する。ただし、リン原子が無保護(p=0)の化合物も、本発明の金属錯体を合成する直前の前駆体として有用である。

【0080】
一般式(1)のうち、好ましい例として、R及びRが水素原子であるものが挙げられる。

【0081】
一般式(1)のうち、他の好ましい例として、R、R、R~Rが全て水素原子であるものが挙げられる。

【0082】
一般式(1)のうち、他の好ましい例として、R~Rが全て水素原子であるものが挙げられる。

【0083】
一般式(1)のうち、他の好ましい例として、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成するものが挙げられる。

【0084】
一般式(1)のうち、他の好ましい例として、R、R、R~Rが全て水素原子であり、かつRとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成するものが挙げられる。

【0085】
一般式(1)のうち、他の好ましい例として、Rがアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であって、リン(P)と結合する炭素原子(C)上に少なくとも1個の水素原子(H)が存在するものが挙げられる。具体的には、Rがエチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基等の鎖状又は分岐状のC1~4アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のC5~7シクロアルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等の単環又は2環のアリール基が挙げられ、特に、イソプロピル基、シクロへキシル基又はフェニル基が好ましい。

【0086】
一般式(1)で表される化合物のうち、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である化合物を除いたものは新規な化合物である。当該化合物を一般式(1a)として表記する。この一般式(1a)で示される新規な配位子化合物は、一般式(1)で示される配位子化合物のなかでも、本発明の金属錯体を合成した場合に、特に、水素添加反応、脱水素反応等の水素移動反応を高収率に引き起こすことができる化合物である。

【0087】
このような条件を満たす本発明の配位子化合物としては、本発明の配位子化合物を用いた金属錯体を触媒として使用した場合の水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、一般式(1a1):

【0088】
【化7】
JP0006218153B2_000008t.gif

【0089】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。

【0090】
、Z及びpは前記に同じである。)
で示される化合物が好ましく、一般式(1a1a):

【0091】
【化8】
JP0006218153B2_000009t.gif

【0092】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基である。

【0093】
、Z及びpは前記に同じである。)
で示される化合物がより好ましく、一般式(1a1a1):

【0094】
【化9】
JP0006218153B2_000010t.gif

【0095】
(式中、R、Z及びpは前記に同じである。)
で示される化合物がさらに好ましい。

【0096】
このような本発明の配位子化合物としては、具体的には、

【0097】
【化10】
JP0006218153B2_000011t.gif

【0098】
等が挙げられ、本発明の配位子化合物を用いた金属錯体を触媒として使用した場合の水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、化合物(1a1a1a)、(1a1a1b)、(1a1a1c)、(1a1a1d)、(1a1a1e)、(1a1a1f)等が好ましく、化合物(1a1a1a)、(1a1a1b)、(1a1a1c)、(1a1a1d)等がより好ましい。

【0099】
(2)金属錯体(触媒)
本発明の金属錯体は、一般式(2):

【0100】
【化11】
JP0006218153B2_000012t.gif

【0101】
(式中、
~Rは前記一般式(1)に同じ。

【0102】
Mはルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)又は銅(Cu)である。

【0103】
Xは配位子である。

【0104】
nは0、1又は2である。)
で表すことができ、当該金属錯体は有機化合物の水素移動反応、具体的には水素添加反応(水素還元反応)又は脱水素反応(酸化反応)に用いる触媒として利用できる。特に、安定な(不活性な)カルボニル基を有する有機化合物であっても、より緩和な条件で収率良く反応させることができるため、水素添加反応(水素還元反応)用の触媒として特に有用である。

【0105】
~Rで示される基は、上記「(1)配位子化合物」の項で説明したものが適用できる。

【0106】
Mで示される上記金属のうち、好ましくは、Ru、Ni、Co、Fe、Rh、Ir、Pt、Pd等である。これらの金属は、1~3価の価数をとり得る。水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、Mとして好ましくはRu、Co、Ni、Irであり、より好ましくはRu、Co、Niであり、さらに好ましくはRuである。

【0107】
Xで示される配位子として上記金属(M)に配位し得るものであれば特に限定はない。例えば、水素原子(ヒドリド;H)、ハロゲン原子;低級アルコキシ基(例えば、C1~3アルコキシ基等);一酸化炭素(CO);ホウ素系配位子(例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、アルキルトリフルオロボレート、アリールトリフルオロボレート等);リン系配位子(例えば、ヘキサフルオロフォスフェート等);アンチモン系配位子(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート等);ヒ素系配位子(例えば、ヘキサフルオロアルセネート等);スルホン酸系配位子(例えば、トシラート、メシラート、トリフラート等);スルフェート;パークロレート;ナイトレート;ビス(トリフリル)イミド;トリス(トリフリル)メタン;ビス(トリフリル)メタン;カルボキシレート類(例えば、アセテート等)等が挙げられる。

【0108】
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。好ましくは塩素原子、臭素原子等であり、より好ましくは塩素原子である。

【0109】
Xで示される低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ基等のC1-3アルコキシ基等が挙げられる。

【0110】
Xで示される配位子として好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子等であり、さらに好ましくは塩素原子である。

【0111】
nは、金属(M)の種類や酸化数によって変動し得るが、好ましくは1又は2であり、より好ましくは2である。

【0112】
なお、Mと窒素原子(N)、及びMとリン原子(P)との結合は、一般に配位結合を形成していると考えられるが、一般式(2)において便宜上実線で記載している。

【0113】
一般式(2)で表される金属錯体のうち、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である化合物を除いたものは新規な化合物である。当該化合物を一般式(2a)として表記する。

【0114】
当該一般式(2a)で表される化合物は、R、R、及びR~Rが水素原子であり、RとRが互いに結合して-CH=CH-で示される基を形成し、Rがt-ブチル基である化合物に比べて、水素移動反応(水素添加反応、脱水素反応等、特に、水素添加反応)の触媒活性が顕著に優れている。

【0115】
このような条件を満たす本発明の金属錯体としては、水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、一般式(2a1):

【0116】
【化12】
JP0006218153B2_000013t.gif

【0117】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基であり、或いは、RとR、RとR、RとR、及びRとRはそれぞれ、互いに結合して2価の炭化水素基を形成していてもよく、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。

【0118】
、M、X及びnは前記に同じである。)
で示される化合物が好ましく、一般式(2a1a):

【0119】
【化13】
JP0006218153B2_000014t.gif

【0120】
(式中、
~Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、又は置換若しくは非置換アリール基である。

【0121】
、M、X及びnは前記に同じである。)
で示される化合物がより好ましく、一般式(2a1a1):

【0122】
【化14】
JP0006218153B2_000015t.gif

【0123】
(式中、R、M、X及びnは前記に同じである。)
で示される化合物がさらに好ましい。

【0124】
このような本発明の金属錯体(触媒)としては、具体的には、

【0125】
【化15】
JP0006218153B2_000016t.gif

【0126】
等が挙げられ、水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、化合物(2a1a1a)、(2a1a1b)、(2a1a1c)等が好ましく、化合物(2a1a1a)、(2a1a1b)等がより好ましい。

【0127】
(3)配位子化合物及び金属錯体の製法
一般式(1)で表される配位子化合物及び一般式(2)で表される金属錯体は、例えば次の反応式:

【0128】
【化16】
JP0006218153B2_000017t.gif

【0129】
(式中、R~R、Z、p、M、X及びnは前記に同じ。)
のようにして製造することができる。

【0130】
(4)→(1)の合成:
一般式(4)で表される化合物に、塩基の存在下に、一般式(5):
(RP-Y (5)
(式中、Yは脱離基であり、Rは前記に同じ)
で表されるリン化合物を反応させて、必要に応じ保護基(Z)を導入して、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。

【0131】
一般式(4)で示される化合物は、公知又は市販の化合物を使用することができる。

【0132】
一般式(5)におけるYで示される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキルスルホネート(例えば、メタンスルホネート等)、ハロアルキルスルホネート(例えば、トリフルオロメタンスルホネート等)、アリールスルホネート(例えば、p-トルエンスルホネート等)等が挙げられる。本発明の金属錯体を用いた水素添加反応及び脱水素反応の収率の観点から、好ましくはハロゲン原子(特に、塩素原子)である。

【0133】
塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド等の金属アミド類(特に、アルカリ金属アミド類);メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニヤール反応剤等が挙げられる。収率の観点から、好ましくは、LDA、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム等である。

【0134】
本反応は、通常溶媒中で実施することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF;以下同様)、ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。

【0135】
塩基の使用量は、収率の観点から、一般式(4)で表される化合物1モルに対し、通常、2~20モル程度、好ましくは3~10モル程度である。

【0136】
一般式(5)で表されるリン化合物の使用量は、収率の観点から、一般式(4)で表される化合物1モルに対し、通常、2~10モル程度、好ましくは2~5モル程度である。

【0137】
反応は、一般式(4)で表される化合物に塩基を-20~20℃程度(特に-5~5℃程度)で反応させて、これに一般式(5)で表されるリン化合物を0~30℃程度で加えて反応させることができる。本反応は無水条件下で実施することが好ましい。さらに、必要に応じ、この反応液に、リン原子の保護を目的としてボラン(BH)等の保護基(Z)を導入してp=1である本発明の配位子化合物を得ることができる。

【0138】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、一般式(1)で表される本発明の配位子化合物を得ることができる。

【0139】
(1)→(2)の合成:
一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)に、金属(M)化合物を反応させて、一般式(2)で表される金属錯体(本発明の金属錯体)を製造することができる。なお、一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)が保護基(Z)で保護されている場合は、その脱保護を行った後、上記の反応を行うことができる。

【0140】
一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)がボラン(BH)等の保護基で保護されている場合には、例えば、脱保護剤を反応させてボランの脱保護を行うことができる。

【0141】
脱保護剤としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン等の2級アミン化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、キヌクリジン等の3級アミン化合物等が挙げられる。

【0142】
脱保護剤は、一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)に対し大過剰用いることができる。脱保護反応は、通常、無水条件下かつ不活性ガス(アルゴン等)雰囲気下で、25~160℃程度で行うことができる。反応後、モルホリン等の脱保護剤を除去することにより、ボラン等の保護基が除去されたp=0である一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(p=0である本発明の配位子化合物)が調製される。

【0143】
上記処理の後、p=0である一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(p=0である本発明の配位子化合物)を単離した後、次の金属(M)化合物との反応に供することができる。或いは、単離することなく次の金属(M)化合物との反応に供することもできる。この場合、ビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)の酸化を防止する観点から後者が好ましい。

【0144】
続いて、一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(p=0)(p=0である本発明の配位子化合物)に、金属(M)化合物を反応させて、一般式(2)で表される金属錯体(本発明の金属錯体)を得ることができる。

【0145】
金属(M)化合物としては、得ようとする金属錯体が有する金属の種類等によって適宜選択すればよく、例えば、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(RuCl(PPh)、RuCl水和物、RuBr水和物、RuI水和物、RuCl(DMSO)、[Ru(cod)Cl、[Ru(nbd)Cl、(cod)Ru(2-メタリル)、[Ru(ベンゼン)Cl、[Ru(ベンゼン)Br、[Ru(ベンゼン)I、[Ru(p-シメン)Cl、[Ru(p-シメン)Br、[Ru(p-シメン)I、[Ru(メシチレン)Cl、[Ru(メシチレン)Br、[Ru(メシチレン)I、[Ru(ヘキサメチルベンゼン)Cl、[Ru(ヘキサメチルベンゼン)Br、[Ru(ヘキサメチルベンゼン)I、RuBr(PPh、RuI(PPh、RuH(PPh、RuH(OAc)(PPh、RuH(PPh等のルテニウム化合物;NiCl、NiF、NiBr、NiI、Ni(BF・6HO、Ni(OAc)・4HO、Ni(acac)、NiCl(PPh、NiBr(PPh、NiCl(PCy等のニッケル化合物;CoCl、CoBr、CoI、Co(OAc)、安息香酸コバルト(II)、コバルト(II)イソプロポキシド、Co(acac)二水和物、Co(BF・6HO、シュウ酸コバルト(II)、CoBr(PPh、CoCl(PPh等のコバルト化合物;FeCl、FeF、FBr、FeI等の無機鉄化合物や、Fe(OAc)、Fe(BF・6HO、Fe(OTf)、シュウ酸鉄(II)二水和物、Fe(ClO・6HO、Fe(NH(SO・6HO等の鉄化合物;三塩化ロジウム・3水和物(RhCl・6HO)、シクロオクタジエンロジウムクロリドダイマー([Rh(cod)Cl])、RhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、Rh(cod)(BF、Rh(cod)(CHCN)(BF、RhH(CO)(PPh、RhH(PPh、Rh(acac)(cod)、Rh(acac)(nbd)等のロジウム化合物;シクロオクタジエンイリジウムクロリドダイマー([Ir(cod)Cl])、ビス(シクロオクテン)イリジウムクロリドダイマー([IrCl(C14)])、IrCl(CO)(PPh、Ir(cod)(BF、Ir(cod)(acac)、Ir(CO)(acac)、IrH(CO)(PPh等のイリジウム化合物;ジクロロシクロオクタジエン白金(Pt(cod)Cl)、PtCl、PtBr、PtI、Pt(cod)Br、Pt(acac)、PtCl(PPh、PtCl(PEt)、Pt(cod)I等の白金化合物;ジクロロシクロオクタジエンパラジウム(Pd(cod)Cl)、PdCl(PPh、PdCl(PCy、Pd(cod)Cl、Pd(nbd)Cl、Pd(OAc)、PdCl(CHCN)、アリルパラジウムクロリドダイマー([PdCl(C)])等のパラジウム化合物;AuCl、AuCl、AuCl(PBu)、AuCl(PEt)、AuCl(PMe)、AuCl(PPh)、Au(CH(OAc)等の金化合物;CuCl、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、CuOAc、Cu(OAc)、Cu(acac)、Cu(PPh(NO)等の銅化合物等が挙げられる(例示中、DMSOはジメチルスルホキシド、codは1,5-シクロオクタジエン、nbdはノルボルナジエン、Phはフェニル基、Acはアセチル基、acacはアセチルアセトナート、Cy基はシクロヘキシル基、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基、Etはエチル基、Buはtert-ブチル基、Meはメチル基をそれぞれ表す。以下同様である。)。

【0146】
金属(M)化合物の使用量は、一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)1モルに対し、通常、0.1~5モル程度であり、好ましくは1~3モル程度、より好ましくは1~1.5モル程度である。

【0147】
必要に応じ、金属錯体を安定化させる等の目的で、金属塩等の添加剤を加えることもできる。金属塩としては、例えば、アルカリ金属低級(特にC1~4)アルコキシド、アルカリ金属テトラフェニルボレート、アルカリ金属テトラフルオロボレート、アルカリ金属テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、アルカリ金属テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルカリ金属アルキル(特にC1~4アルキル)トリフルオロボレート、アルカリ金属アリール(特に単環又は2環アリール)トリフルオロボレート、アルカリ金属ヘキサフルオロフォスフェート、アルカリ金属ヘキサフルオロアンチモネート、アルカリ金属ヘキサフルオロアルセネート、アルカリ金属トシラート、アルカリ金属メシラート、アルカリ金属トリフラート、アルカリ金属スルフェート、アルカリ金属パークロレート、アルカリ金属ナイトレート、アルカリ金属ビス(トリフリル)イミド、アルカリ金属トリス(トリフリル)メチル、アルカリ金属ビス(トリフリル)メチル、アルカリ金属カルボキシレート等が挙げられる。上記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。また、上記列挙された金属塩においてアルカリ金属を銀に代えた金属塩(即ち、上記金属塩と同じ対アニオンをもつ銀塩)等も同様に使用できる。

【0148】
添加剤の使用量は、一般式(1)で表されるビスホスフィン化合物(本発明の配位子化合物)1モルに対し、通常、1~4モル程度、好ましくは1~2モル程度である。

【0149】
本反応は溶媒を用いてもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、t-アミルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。

【0150】
本反応は、通常、無水条件下かつ不活性ガス(アルゴン等)雰囲気下で、25~150℃程度で行うことができる。

【0151】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、一般式(2)で表される金属錯体(本発明の金属錯体)を得ることができる。

【0152】
2.水素移動反応
本発明の金属錯体(触媒)は、効果的に水素移動反応(水素添加反応又は脱水素反応)を促進し得るため水素移動反応用触媒(特に水素添加反応又は脱水素反応用触媒)として有用である。本発明の金属錯体(触媒)は、触媒活性が高いため、多様な基質を原料に用いて水素移動反応(水素添加反応及び脱水素反応のいずれも)を行うことができる。

【0153】
(1)水素添加反応(水素還元反応)
本反応は、本発明の金属錯体(触媒)及び水素の存在下、有機化合物を反応させて水素添加物を製造することができる(水素還元反応)。具体的には、溶媒中、塩基又は塩、本発明の金属錯体、及び水素の存在下に、基質(有機化合物等)を反応させることができる。

【0154】
溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素;イソプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール等の分岐状C3~6アルコール等が挙げられる。これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用できる。このうち、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は単特で又は2種以上を組み合わせて使用できる。

【0155】
本発明の金属錯体(触媒)の使用量は、基質の種類(反応部位の数、酸化状態等)により適宜選択することが可能であり、例えば、基質1モルに対し、通常、0.0001~0.9モル程度、好ましくは0.0005~0.5モル程度、より好ましくは0.001~0.3モル程度、特に好ましくは0.005~0.1モル程度である。

【0156】
塩基又は塩は、本発明の金属錯体からプロトン(H)を引き抜いて活性種を調製するために用いられる。

【0157】
塩基としては、例えば、リチウムハイドライド(LiH)、ナトリウムハイドライド(NaH)等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド(CaH)等のアルカリ土類金属水素化物;リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド等の金属アミド類(特に、アルカリ金属アミド類);メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム(特に、分岐状C3又は4アルキルリチウム);ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、ナトリウムアダマントキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属フェノキシド;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニヤール反応剤等が挙げられる。このうち、空気中での取り扱いの容易さの観点から、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムアダマントキシド等のアルカリ金属アルコキシド等が好ましい。

【0158】
塩としては、例えば、アルカリ金属低級(特にC1~4)アルコキシド、アルカリ金属テトラフェニルボレート、アルカリ金属テトラフルオロボレート、アルカリ金属テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、アルカリ金属テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルカリ金属アルキル(特にC1~4アルキル)トリフルオロボレート、アルカリ金属アリール(特に単環又は2環アリール)トリフルオロボレート、アルカリ金属ヘキサフルオロフォスフェート、アルカリ金属ヘキサフルオロアンチモネート、アルカリ金属ヘキサフルオロアルセネート、アルカリ金属トシラート、アルカリ金属メシラート、アルカリ金属トリフラート、アルカリ金属スルフェート、アルカリ金属パークロレート、アルカリ金属ナイトレート、アルカリ金属ビス(トリフリル)イミド、アルカリ金属トリス(トリフリル)メチル、アルカリ金属ビス(トリフリル)メチル、アルカリ金属カルボキシレート等が挙げられる。上記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、上記列挙された金属塩においてアルカリ金属を銀に代えた金属塩(即ち、上記金属塩と同じ対アニオンをもつ銀塩)等も同様に使用できる。

【0159】
塩基又は塩の使用量は、本発明の金属錯体(触媒)1モルに対し、通常、1~50モル、好ましくは1~20モル、より好ましくは2~10モルである。

【0160】
本反応では、水素還元を促進するために、アルコールを添加することもできる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。好ましくは、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。

【0161】
アルコールの使用量は、基質1モルに対し、通常、0.01~2モル程度、好ましくは1~0.5モル程度である。

【0162】
水素は水素ガスを用いることができ、反応中の水素の分圧は、通常、0.1~20MPa程度、好ましくは0.5~10MPa程度、より好ましくは0.5~8MPa程度である。

【0163】
反応に供される基質としては、分子内に水素で還元され得る部位を有する基質であれば特に限定はない。例えば、還元され得る部位としては、炭素-炭素不飽和結合、炭素-窒素不飽和結合、炭素-酸素不飽和結合、窒素-酸素不飽和結合、硫黄-酸素不飽和結合等の部位が挙げられる。具体的には、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、ケトン、アルデヒド、アルキン、エステル、ラクトン、アミド、ラクタム、カーバメート、ウレア、カルボン酸、カルボン酸無水物、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。基質としては、上記の部位を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。基質は、上記の部位を有する化合物であれば、鎖状、分岐状、環状等のいずれでもよい。

【0164】
本発明の反応では、一般的に水素還元反応に安定な(不活性な)部位をもつ基質において、効率的に還元反応が進行するという特徴をも有している。具体的には、エステル、ラクトン、アミド、ラクタム、カーバメート、ウレア、カルボン酸、カルボン酸無水物、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾチオフェン等の部位を有する基質が挙げられる。

【0165】
基質が上記部位を複数有する場合には、反応条件を適宜設定することにより、反応性の差異に基づいて、反応性の低い部位を残し反応性の高い部位を選択的に還元することもできる。

【0166】
また、基質の酸化状態によっては、反応条件を適宜設定することにより、段階的に還元する(基質の酸化状態を段階的に低くする)こともできる。

【0167】
反応温度及び時間は、基質の種類により変動し得るが、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~160℃程度である。反応時間は、通常、10分~50時間程度、好ましくは1~20時間程度である。本反応では、通常、オートクレーブ等を用いることができる。

【0168】
本反応では、水素の存在下又は非存在下に本発明の金属錯体と塩基又は塩とを反応させた後、水素の存在下に基質(有機化合物等)を反応させることもできる。金属錯体と塩基又は塩との反応により、一旦水素化還元能の高い触媒活性種が調製されるため、これと基質を反応させることにより効率よく水素添加反応物を得ることができる。

【0169】
金属錯体と塩基又は塩との反応において、水素圧は、通常、0~50MPa程度、好ましくは0.1~20MPa程度、より好ましくは0.5~10MPa程度、さらに好ましくは0.5~8MPa程度である。通常、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~160℃程度である。反応時間は、通常、10分~10時間程度、好ましくは1~7時間程度である。

【0170】
次いで、系中で調製された触媒活性種と基質との反応は、水素圧は、通常、0.1~20MPa程度、好ましくは0.5~10MPa程度、より好ましくは0.5~8MPa程度である。通常、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~160℃程度である。反応時間は、通常、10分~96時間程度、好ましくは1~48時間程度である。

【0171】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、水素添加反応物を得ることができる。

【0172】
(2)脱水素反応(酸化反応)
本反応は、本発明の金属錯体(触媒)の存在下、有機化合物を反応させて脱水素反応物を製造することができる(脱水素化反応)。具体的には、溶媒中、塩基又は塩、本発明の金属錯体(触媒)の存在下に、基質(有機化合物等)を反応させることができる。

【0173】
溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素;t-ブチルアルコール等の第3級C4~6アルコール;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド等が挙げられる。これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用できる。このうち、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;THF、ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテルが好ましい。これらの溶媒は単特で又は2種以上を組み合わせて使用できる。

【0174】
本発明の金属錯体(触媒)の使用量は、基質の種類(反応部位の数、酸化状態等)により適宜選択することが可能であり、例えば、基質1モルに対し、通常、0.0001~0.9モル程度、好ましくは0.0005~0.5モル程度、より好ましくは0.001~0.3モル程度、特に好ましくは0.005~0.1モル程度である。

【0175】
塩基としては、例えば、リチウムハイドライド(LiH)、ナトリウムハイドライド(NaH)等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド(CaH)等のアルカリ土類金属水素化物;リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド等の金属アミド類(特に、アルカリ金属アミド類);メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム(特に、分岐状C3又は4アルキルリチウム);ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、ナトリウムアダマントキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属フェノキシド;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニヤール反応剤等が挙げられる。このうち、空気中での取り扱いの容易さの観点から、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド(特にアルカリ金属t-ブトキシド)が好ましい。

【0176】
塩としては、例えば、アルカリ金属低級(特にC1~4)アルコキシド、アルカリ金属テトラフェニルボレート、アルカリ金属テトラフルオロボレート、アルカリ金属テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、アルカリ金属テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルカリ金属アルキル(特にC1~4アルキル)トリフルオロボレート、アルカリ金属アリール(特に単環又は2環アリール)トリフルオロボレート、アルカリ金属ヘキサフルオロフォスフェート、アルカリ金属ヘキサフルオロアンチモネート、アルカリ金属ヘキサフルオロアルセネート、アルカリ金属トシラート、アルカリ金属メシラート、アルカリ金属トリフラート、アルカリ金属スルフェート、アルカリ金属パークロレート、アルカリ金属ナイトレート、アルカリ金属ビス(トリフリル)イミド、アルカリ金属トリス(トリフリル)メチル、アルカリ金属ビス(トリフリル)メチル、アルカリ金属カルボキシレート等が挙げられる。上記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。また、上記列挙された金属塩においてアルカリ金属を銀に代えた金属塩(即ち、上記金属塩と同じ対アニオンをもつ銀塩)等も同様に使用できる。

【0177】
塩基又は塩の使用量は、本発明の金属錯体(触媒)1モルに対し、通常、1~50モル、好ましくは1~20モル、より好ましくは2~10モルである。

【0178】
反応に供される基質としては、分子内に脱水素されて酸化され得る部位を有する基質であれば特に限定はない。例えば、酸化され得る部位としては、第1級水酸基、第2級水酸基等が挙げられる。基質としては、上記の部位を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。基質は、上記の部位を有する化合物であれば、鎖状、分岐状、環状等のいずれでもよい。

【0179】
基質が上記部位を複数有する場合には、反応条件を適宜設定することにより、反応性の差異に基づいて、反応性の低い部位を残し反応性の高い部位を選択的に脱水素化(酸化)することもできる。

【0180】
また、基質の酸化状態によっては、反応条件を適宜設定することにより、段階的に脱水素化(酸化)する(基質の酸化状態を段階的に高くする)こともできる。

【0181】
反応圧は、通常、0.05~1MPa程度、好ましくは常圧である。

【0182】
反応温度及び時間は、基質の種類により変動し得るが、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~160℃程度である。反応時間は、通常、10分~50時間程度、好ましくは1~20時間程度である。本反応では、通常、オートクレーブ等を用いることができる。

【0183】
本反応は、無水条件下で行うことが好ましい。本反応は、不活性ガス雰囲気下でも水素雰囲気下でも実施することができるが、不活性ガス(アルゴン等)雰囲気下で行うことが好ましい。

【0184】
本反応では、本発明の金属錯体と塩基又は塩とを反応させた後、基質(有機化合物等)を反応させることもができる。金属錯体と塩基又は塩との反応により、一旦脱水素化還元能の高い触媒活性種が調製されるため、これと基質を反応させることにより効率よく脱水素化反応物を得ることができる。

【0185】
金属錯体と塩基又は塩との反応において、反応圧は、通常、0.05~1MPa程度、好ましくは常圧である。通常、反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~160℃程度である。反応時間は、通常、10分~10時間程度、好ましくは1~7時間程度である。

【0186】
次いで、系中で調製された触媒活性種と基質との反応は、反応圧は、通常、0.05~1MPa程度、好ましくは常圧である。反応温度は、通常、0~200℃程度、好ましくは10~180℃程度、より好ましくは20~165℃程度である。反応時間は、通常、10分~72時間程度、好ましくは1~48時間程度である。

【0187】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、脱水素反応物を得ることができる。
【実施例】
【0188】
次いで、実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0189】
A.ルテニウム錯体
実施例A1(化合物2bの合成:RUPIP2)
【実施例】
【0190】
【化17】
JP0006218153B2_000018t.gif
【実施例】
【0191】
(式中、Prはイソプロピル基;以下同様である。)
(1)化合物5の合成
乾燥後、アルゴンガスで置換された200 mLの二口フラスコに、撹拌子、6,6’-ビ-2-ピコリン(184.2 mg,1.0 mmol)及びTHF(10 mL)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却して6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0192】
一方、乾燥後、アルゴンガスで置換された300 mLの二口フラスコに、THF(10 mL)及びジイソプロピルアミン(0.85 mL,6.0 mmol)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。この溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(4.0 mL,1.5 Mヘキサン溶液,6.0 mmol)を徐々に滴下しながら反応させた。次いで、反応溶液の温度を0℃に保ちながら、さらに10分間撹拌を続け、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0193】
次に、キャニュラーを用いて、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を、6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を含む二口フラスコに内に滴下して反応させたところ、反応溶液の色が無色透明から青紫色に変化した。なお、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液の滴下中、フラスコ内の温度を0℃に保持した。滴下終了後、フラスコを冷媒から出し、反応溶液の撹拌を続けながら、室温(25℃)に戻した。1時間後、反応溶液にクロロジイソプロピルホスフィン(314.6μL,2.0 mmol)を滴下し、更に4時間撹拌した。次いで、ボランのTHF溶液(10 mL,1.0 M THF溶液,10 mmol)を加え、一晩撹拌した。その後、フラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。冷却後、反応溶液に水を加え、溶液全体をエバポレーターで濃縮した。得られた残さを500 mLの分液漏斗に移し、更に100 mLの蒸留水、50 mLのジクロロメタン及び少量の飽和食塩水を加えた。この混合物に対して、分液及び抽出操作を合計5回行い、所望の有機化合物を有機層(ジクロロメタン層)に抽出した。ここで得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水処理し、濾過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮後、シリカゲルを短く積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン / ヘキサン = 8/1)に供した。次いで、得られた精製物を含むジクロロメタン及びヘキサンの溶液を減圧条件(0.1~2 mmHg)で濃縮して、6,6’-ビスジイソプロピルホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体(化合物5)の白色粉末244.3 mg(0.55 mmol)を55%の単離収率で得た。
【実施例】
【0194】
化合物5のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.24 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.76 (t, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.34 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 3.33 (d, 4H, J = 11.0 Hz, PCH2), 2.12-2.23 (m, 4H, CH(CH3)2), 1.17-1.27 (m, 24H, CH(CH3)2), 0.10-0.70 (br, 6H, BH3). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 155.3, 154.2 (d, 2JPC = 7.2 Hz), 137.3, 124.9, 118.8, 30.6 (d, 1JPC= 26.0 Hz), 21.8 (d, 1JPC= 31.8 Hz), 17.0 (d, 2JPC= 5.8 Hz). 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ36.0, 36.3, HRMS (ESI, (M+H)+) Calcd for C24H44B2N2P2+: 445.3247, Found m/z = 445.3247。
【実施例】
【0195】
(2)化合物2bの合成
化合物5(300.0 mg,0.68 mmol)及び脱気したモルホリン(10 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0196】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(648.6 mg,0.68 mmol)及び脱水トルエン(15 mL)を加え、オイルバスを用いて110℃に加熱し、反応させた。2時間後に、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0197】
次に、アルゴンガス雰囲気下、上記反応液に、脱水ヘキサン(40 mL)を加えた。その後、ヤングシュレンク容器のヘキサン層及びトルエン層を含むすべてを撹拌し、完全に混合させた。1時間静置した後、生成した紫色物質を脱水ジエチルエーテルで洗浄しながらアルゴン雰囲気下で濾取し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0198】
次いで、得られた粗生成物を、シリカゲルを10 cm程度積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / 酢酸エチル = 5/1)に供して極性の高い化合物を取り除いた。流出液は、流出する紫色の液体の色が、やや淡くなるまでフラスコで回収し続けた。この操作の後、ナスフラスコ内の回収溶液を迅速にエバポレーターで濃縮し、紫色物質であるほぼ純品の化合物2b(RUPIP2)204.3 mg(0.35 mmol,51%)を得た。
【実施例】
【0199】
化合物2b(RUPIP2)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 7.89 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 7.69 (t, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.59 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 3.89 (d, 4H, J = 7.6 Hz, PCH2), 2.67-2.78 (m, 4H, CH(CH3)2), 1.35-1.43 (m, 24H, CH(CH3)2). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 163.3, 158.3, 134.4, 121.9, 120.0, 42.1 (d, 1JPC = 20.2 Hz), 25.4, 20.5, 19.4. 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ60.6. HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C24H38ClN2P2Ru+: 553.1242. Found m/z = 553.1240。
【実施例】
【0200】
実施例A2(化合物2cの合成:RUPCY2)
【実施例】
【0201】
【化18】
JP0006218153B2_000019t.gif
【実施例】
【0202】
(1)化合物6の合成
乾燥後、アルゴンガスで置換された1000 mLの二口フラスコに、撹拌子、6,6’-ビ-2-ピコリン(1850.0 mg,10 mmol)及びTHF(60 mL)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却して6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0203】
一方、乾燥後、アルゴンガスで置換された300 mLの二口フラスコに、THF(30 mL)及びジイソプロピルアミン(8.4 mL,60 mmol)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。この溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(40 mL,1.5 Mヘキサン溶液,60 mmol)を徐々に滴下しながら反応させた。反応溶液の温度を0℃に保ちながら、さらに10分間撹拌を続け、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0204】
次に、キャニュラーを用いて、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を、6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を含む二口フラスコに内に滴下して反応させたところ、反応溶液の色が無色透明から青紫色に変化した。なお、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液の滴下中、フラスコ内の温度を0℃に保持した。滴下終了後、フラスコを冷媒から出し、反応溶液の撹拌を続けながら、室温(25℃)に戻した。1時間後、反応溶液にクロロジシクロヘキシルホスフィン(4.4 mL,20 mmol)を滴下し、更に2時間半撹拌した。次いで、ボランのTHF溶液(100 mL,1.0 M THF溶液,100 mmol)を加え、一晩撹拌した。その後、フラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。冷却後、反応溶液に水を加え、溶液全体をエバポレーターで濃縮した。得られた残さを1000 mLの分液漏斗に移し、更に100 mLの蒸留水、50 mLのジクロロメタン及び少量の飽和食塩水を加えた。この混合物に対して、分液及び抽出操作を合計4回行い、所望の有機化合物を有機層(ジクロロメタン層)に抽出した。ここで得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水処理し、濾過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮後、得られた残さに、少量のTHFを加えて懸濁させ濾取し、白色粉末を得た。この白色粉末を、THFで数回洗浄することで6,6’-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体(化合物6)の白色粉末2417.6 mg(4.0 mmol)を40%の単離収率で得た。
【実施例】
【0205】
化合物6のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.29 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 7.75 (t, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.31 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 3.31 (d, 4H, J = 11.0 Hz, PCH2), 1.60-2.00 (m, 24H, C6H11), 1.11-1.50 (m, 20H, C6H11). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 155.2, 154.5 (d, 2JPC = 7.2 Hz), 137.2, 125.0, 118.7, 31.5 (d, 1JPC= 30.3 Hz), 30.5 (d, 1JPC= 27.5 Hz), 27.01, 26.94, 26.86, 26.75, 26.63, 25.97. 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ 28.6, HRMS (ESI, (M+H)+) Calcd for C36H60B2N2P2+: 605.4502. Found m/z = 605.4502。
【実施例】
【0206】
(2)化合物2cの合成
化合物6(604.4 mg,1.0 mmol)及び脱気したモルホリン(20 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0207】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(958.8 mg,1.0 mmol)及び脱水トルエン(20 mL)を加え、オイルバスを用いて110℃に加熱し、反応させた。3時間後に、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0208】
次に、アルゴンガス雰囲気下、上記反応液に、脱水ヘキサン(40 mL)を加えた。その後、ヤングシュレンク容器のヘキサン層及びトルエン層を含むすべてを撹拌し、完全に混合させた。15分静置した後、生成した紫色物質を脱水ジエチルエーテルで洗浄しながらアルゴン雰囲気下で濾取し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0209】
次いで、得られた粗生成物を、シリカゲルを10 cm程度積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / 酢酸エチル = 5/1)に供して極性の高い化合物を取り除いた。流出液は、流出する紫色の液体の色が、やや淡くなるまでフラスコで回収し続けた。この操作の後、ナスフラスコ内の回収溶液を迅速にエバポレーターで濃縮し、紫色物質であるほぼ純品の化合物2c(RUPCY2)435.1 mg(0.58 mmol,58%)を得た。
【実施例】
【0210】
化合物2c(RUPCY2)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (500MHz, CDCl3): δ 7.86 (d, 2H, J = 7.4 Hz, C10H6N2), 7.66 (t, 2H, J = 7.5 Hz, C10H6N2), 7.56 (d, 2H, J = 7.5 Hz, C10H6N2), 3.87 (d, 4H, J = 8.1 Hz, PCH2), 2.41 (br, 4H, C6H11), 2.18 (d, 4H, J = 12.1 Hz, C6H11), 2.05 (d, 4H, J = 10.9 Hz, C6H11), 1.54-1.81 (m, 20H, C6H11), 1.20-1.34 (m, 20H, C6H11). 13C NMR (150MHz, CDCl3): δ 163.3, 158.3, 134.1, 122.0, 119.9, 40.5 (d, 1JPC = 13.0 Hz), 36.3, 30.3, 29.4, 27.7, 27.5, 26.4. 31P{1H} NMR (241MHz, CDCl3): δ 54.1. HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C36H54ClN2P2Ru+: 713.2494. Found m/z = 713.2476。
【実施例】
【0211】
なお、化合物2cのX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を図1に示す。
【実施例】
【0212】
実施例A3(化合物2dの合成:RUPTBU2)
【実施例】
【0213】
【化19】
JP0006218153B2_000020t.gif
【実施例】
【0214】
(1)化合物7の合成
乾燥後、アルゴンガスで置換された300 mLの二口フラスコに、撹拌子、6,6’-ビ-2-ピコリン(557.6 mg,3.0 mmol)及びTHF(30 mL)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却して6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0215】
一方、乾燥後、アルゴンガスで置換された200 mLの二口フラスコに、THF(20 mL)及びジイソプロピルアミン(2.52 mL,18.0 mmol)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。この溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(12.0 mL,1.5 Mヘキサン溶液,18.0 mmol)を徐々に滴下しながら反応させた。次いで、反応溶液の温度を0℃に保ちながら、さらに10分間撹拌を続け、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0216】
次に、キャニュラーを用いて、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を、6,6’-ビ-2-ピコリンのTHF溶液を含む二口フラスコに内に滴下して反応させたところ、反応溶液の色が無色透明から青紫色に変化した。なお、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液の滴下中、フラスコ内の温度を0℃に保持した。滴下終了後、フラスコを冷媒から出し、反応溶液の撹拌を続けながら、室温(25℃)に戻した。1時間後、反応溶液にクロロジt-ブチルホスフィン(1.20 mL,6.3 mmol)を滴下し、更に2時間撹拌した。次いで、ボランのTHF溶液(35 mL,1.0 M THF溶液,35 mmol)を加え、一晩撹拌した。その後、フラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。冷却後、反応溶液に水を加え、溶液全体をエバポレーターで濃縮した。得られた残さを500 mLの分液漏斗に移し、更に100 mLの蒸留水、50 mLのジクロロメタン及び少量の飽和食塩水を加えた。この混合物に対して、分液及び抽出操作を合計5回行い、所望の有機化合物を有機層(ジクロロメタン層)に抽出した。ここで得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水処理し、濾過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮後、得られた残さに、少量の酢酸エチルを加えて懸濁させ濾取し、淡い赤色固体を得た。この固体を、酢酸エチルで数回洗浄することで6,6’-ビスジt-ホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体(化合物7)の淡い赤色粉末540 mg(1.08 mmol)を36%の単離収率で得た。
【実施例】
【0217】
化合物7のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.22 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 7.73 (t, 2H, J = 7.8 Hz, C10H6N2), 7.56 (d, 2H, J = 7.8 Hz, C10H6N2), 3.43 (d, 4H, J = 12.0 Hz, PCH2), 1.321 (s, 18H, C(CH3)3), 1.30 (s, 18H, C(CH3)3), 0.20-0.80 (br, 6H, BH3). 13C NMR (149MHz, CDCl3): δ 154.9 (d, 1JPC = 11.3 Hz), 136.8, 125.9, 118.8, 32.8 (d, 1JPC = 25.6 Hz), 29.4 (d, 1JPC = 22.9 Hz), 28.2, 31P{1H} NMR (241MHz, CDCl3): δ 48.1, 47.8, (ESI, (M+H)+) Calcd for C28H52B2N2P2+: 501.3874, Found m/z = 501.3869。
【実施例】
【0218】
(2)化合物2dの合成
化合物7(250.2 mg,0.50 mmol)及び脱気したモルホリン(10 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0219】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(479.5 mg,0.50 mmol)及び脱水トルエン(10 mL)を加え、オイルバスを用いて110℃に加熱し、反応させた。5時間後に、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0220】
次に、アルゴンガス雰囲気下、上記反応液に、脱水ヘキサン(40mL)を加えた。その後、ヤングシュレンク容器のヘキサン層及びトルエン層を含むすべてを撹拌し、完全に混合させた。1時間静置した後、生成した紫色物質を脱水ジエチルエーテルで洗浄しながらアルゴン雰囲気下で濾取し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0221】
次いで、得られた粗生成物を、シリカゲルを10 cm程度積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / 酢酸エチル = 5/1)に供して極性の高い化合物を取り除いた。流出液は、流出する紫色の液体の色が、やや淡くなるまでフラスコで回収し続けた。この操作の後、ナスフラスコ内の回収溶液を迅速にエバポレーターで濃縮し、紫色物質であるほぼ純品の化合物2d(RUPTBU2)64.5 mg(0.1 mmol,20%)を得た。
【実施例】
【0222】
化合物2d(RUPTBU2)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 7.83 (d, 2H, J = 6.8 Hz, C10H6N2), 7.58 (t, 2H, J = 7.9 Hz, C10H6N2), 7.55 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 3.86 (d, 4H, J = 8.3 Hz, PCH2), 1.46 (s, 18H, C(CH3)3), 1.44 (s, 18H, (C(CH3)3). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 166.4, 159.4, 133.9, 122.2, 120.3, 39.1 (d, 1JPC= 13 Hz), 37.3, 30.6, 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ 66.8, HRMS (FAB, M+) Calcd for C28H46Cl2N2P2Ru+: 644.1557. Found m/z = 644.1344。
【実施例】
【0223】
実施例A4(化合物2eの合成:RUPIP3)
【実施例】
【0224】
【化20】
JP0006218153B2_000021t.gif
【実施例】
【0225】
(1)化合物9の合成
乾燥後、アルゴンガスで置換された1000 mLの二口フラスコに、撹拌子、ネオクプロイン0.5水和物(1041.5 mg,5.0 mmol)及びTHF(100 mL)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却してネオクプロインのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0226】
一方、乾燥後、アルゴンガスで置換された300 mLの二口フラスコに、THF(50 mL)及びジイソプロピルアミン(4.2 mL,30 mmol)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。この溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(20 mL,1.5 Mヘキサン溶液,30 mmol)を徐々に滴下しながら反応させた。次いで、反応溶液の温度を0℃に保ちながら、さらに10分間撹拌を続け、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0227】
次に、キャニュラーを用いて、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を、ネオクプロインのTHF溶液を含む二口フラスコ内に滴下して反応させたところ、反応溶液の色が無色透明から青紫色に変化した。なお、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液の滴下中、フラスコ内の温度を0℃に保持した。滴下終了後、フラスコを冷媒から出し、反応溶液の撹拌を続けながら、室温(25℃)に戻した。1時間後、反応溶液にクロロジイソプロピルホスフィン(1.59 mL,10 mmol)を滴下し、一晩撹拌した。次いで、ボランのTHF溶液(50 mL,1.0 M THF溶液,50 mmol)を加え、更に一晩撹拌した。その後、フラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。冷却後、反応溶液に水を加え、溶液全体をエバポレーターで濃縮した。得られた残さを1000 mLの分液漏斗に移し、更に100 mLの蒸留水、50 mLのジクロロメタン及び少量の飽和食塩水を加えた。この混合物に対して、分液及び抽出操作を合計5回行い、所望の有機化合物を有機層(ジクロロメタン層)に抽出した。ここで得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水処理し、濾過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮後、シリカゲルを短く積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / 酢酸エチル / ヘキサン = 1/1/3)に供した。次いで、得られた精製物を含むクロロホルム、酢酸エチル及びヘキサンの溶液を減圧条件(0.1~2 mmHg)で濃縮して、2,9-ビスジイソプロピルホスフィノメチル-1,10-フェナンスロリンボラン錯体(化合物9)の淡い黄色の粉末1248 mg(2.7 mmol)を53%の単離収率で得た。
【実施例】
【0228】
化合物9のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.19 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 7.76 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C12H6N2), 7.76 (s, 2H, C12H6N2), 3.63 (d, 4H, J = 11.7 Hz, PCH2), 2.18-2.26 (m, 4H, CH(CH3)2), 1.16-1.24 (m, 24H, CH(CH3)2). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 155.3 (d, 2JPC = 4.3 Hz), 145.3, 136.2, 127.5, 126.1, 124.7, 31.9 (d, 1JPC= 24.6Hz), 22.2 (d, 1JPC= 31.8 Hz), 17.1 (d, 2JPC= 4.3 Hz). 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ36.2, 36.4. (ESI, (M+H)+) Calcd for C26H44B2N2P2+: 469.3247, Found m/z = 469.3235。
【実施例】
【0229】
(2)化合物2eの合成
化合物9(362.2 mg,0.77 mmol)及び脱気したモルホリン(15 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0230】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(738.2 mg,0.77 mmol)及び脱水トルエン(15 mL)を加え、オイルバスを用いて110℃に加熱し、一晩反応させた。その後、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0231】
次に、アルゴンガス雰囲気下、上記反応液に、脱水ヘキサン(40 mL)を加えた。その後、ヤングシュレンク容器のヘキサン層及びトルエン層を含むすべてを撹拌し、完全に混合させた。1時間静置した後、生成した紫色物質を脱水ジエチルエーテルで洗浄しながらアルゴン雰囲気下で濾取し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0232】
次いで、得られた粗生成物を、シリカゲルを10 cm程度積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / アセトン = 3/1)に供して極性の高い化合物を取り除いた。流出液は、流出する紫色の液体の色が、やや淡くなるまでフラスコで回収し続けた。この操作の後、ナスフラスコ内の回収溶液を迅速にエバポレーターで濃縮し、紫色物質であるほぼ純品の化合物2e(RUPIP3)180.4 mg(0.29 mmol,38%)を得た。
【実施例】
【0233】
化合物2e(RUPIP3)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.13 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 7.88 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 7.81 (s, 2H, C12H6N2), 4.07 (d, 4H, J = 8.2 Hz, PCH2), 2.75-2.85 (m, 4H, CH(CH3)2), 1.38-1.52 (CH(CH3)2). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 163.6, 149.3, 132.9, 128.7, 125.4, 121.7 (d, JPC = 5.8 Hz), 43.0 (d, 1JPC = 24.6 Hz), 25.6 (t, 1JPC= 7.2 Hz), 20.9, 19.4. 31P{1H} NMR (202MHz, CDCl3): δ 62.9. HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C26H38ClN2P2Ru+: 577.1242. Found m/z = 577.1210。
【実施例】
【0234】
実施例A5(化合物2fの合成:RUPCY3)
【実施例】
【0235】
【化21】
JP0006218153B2_000022t.gif
【実施例】
【0236】
(1)化合物10の合成
乾燥後、アルゴンガスで置換された1000 mLの二口フラスコに、撹拌子、ネオクプロイン0.5水和物(1041.5 mg,5.0 mmol)及びTHF(100 mL)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却してネオクプロインのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0237】
一方、乾燥後、アルゴンガスで置換された300 mLの二口フラスコに、THF(50 mL)及びジイソプロピルアミン(4.2 mL,30 mmol)を収容し、十分に撹拌した。その後、撹拌しながらフラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。この溶液にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(20 mL,1.5 Mヘキサン溶液,30 mmol)を徐々に滴下しながら反応させた。次いで、反応溶液の温度を0℃に保ちながら、さらに10分間撹拌を続け、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を得た。
【実施例】
【0238】
次に、キャニュラーを用いて、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液を、ネオクプロインのTHF溶液を含む二口フラスコに内に滴下して反応させたところ、反応溶液の色が無色透明から赤褐色に変化した。なお、リチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液の滴下中、フラスコ内の温度を0℃に保持した。滴下終了後、フラスコを冷媒から出し、反応溶液の撹拌を続けながら、室温(25℃)に戻した。1時間後、反応溶液にクロロジシクロヘキシルホスフィン(2.2 mL,10 mmol)を滴下し、一晩撹拌した。次いで、ボランのTHF溶液(50 mL,1.0 M THF溶液,50 mmol)を加え、更に一晩撹拌した。その後、フラスコを0℃の冷媒(氷水)に浸し、十分に冷却した。冷却後、反応溶液に水を加え、溶液全体をエバポレーターで濃縮した。得られた残さを1000 mLの分液漏斗に移し、更に100 mLの蒸留水、50 mLのジクロロメタン及び少量の飽和食塩水を加えた。この混合物に対して、分液及び抽出操作を合計5回行い、所望の有機化合物を有機層(ジクロロメタン層)に抽出した。ここで得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水処理し、濾過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。濃縮後、得られた残さに、少量の酢酸エチルを加えて懸濁させ濾取し、淡い赤色粉末を得た。この粉末を、アセトンで数回洗浄することで2,9-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-1,10-フェナンスロリンボラン錯体(化合物10)の淡い赤色粉末1580.0 mg(2.5 mmol)を50%の単離収率で得た。
【実施例】
【0239】
化合物10のスペクトルデータは以下の通りであった
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.16 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 7.75 (s, 2H, C12H6N2), 7.7 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 3.57 (d, 4H, J = 11.3 Hz, PCH2), 1.60-2.03 (m, 24H, C6H11), 1.13-1.57 (m, 20H, C6H11). 13C NMR (149MHz, CDCl3): δ 155.3 (d, 1JPC = 5.8 Hz), 145.5, 136.0, 127.4, 126.1, 124.6, 31.9 (d, 1JPC = 31.8 Hz), 31.5 (d, 1JPC= 26.1 Hz), 27.13, 27.05, 27.02, 26.94, 26.81, 26.64, 25.9. 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ 28.5, (ESI, (M+H)+) Calcd for C38H60B2N2P2+: 629.4503, Found m/z = 629.4503。
【実施例】
【0240】
(2)化合物2fの合成
化合物10(628.5 mg,1.0 mmol)及び脱気したモルホリン(15 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0241】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)(958.8 mg,1.0 mmol)及び脱水トルエン(20 mL)を加え、オイルバスを用いて110℃に加熱し、反応させた。2時間後に、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0242】
次に、アルゴンガス雰囲気下、上記反応液に、脱水ヘキサン(40 mL)を加えた。その後、ヤングシュレンク容器のヘキサン層及びトルエン層を含むすべてを撹拌し、完全に混合させた。1時間静置した後、生成した紫色物質を脱水ジエチルエーテルで洗浄しながらアルゴン雰囲気下で濾取し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0243】
次いで、得られた粗生成物を、シリカゲルを10 cm程度積んだカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム / THF = 10/1)に供して極性の高い化合物を取り除いた。流出液は、流出する紫色の液体の色が、やや淡くなるまでフラスコで回収し続けた。この操作の後、ナスフラスコ内の回収溶液を迅速にエバポレーターで濃縮し、紫色物質であるほぼ純品の化合物2f(RUPCY3)563.7 mg(0.73 mmol,73%)を得た。
【実施例】
【0244】
化合物2f(RUPCY3)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.12 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C12H6N2), 7.86 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C12H6N2), 7.80 (s, 2H, C12H6N2), 4.05 (d, 4H, J = 7.6 Hz, PCH2), 2.42-2.51 (br, 4H, C6H11), 2.31 (d, 4H, J = 11.0 Hz C6H11), 2.12 (d, 4H, J = 12.4 Hz, C6H11), 1.61-1.94 (m, 20H, C6H11), 1.18-1.37 (m, 12H, C6H11). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 163.6, 149.3, 132.6, 128.6, 125.3, 121.8, 41.4, (d, 1JPC= 23.1 Hz) 36.6 (t, 1JPC= 7.2 Hz), 30.7, 29.4, 27.8, 27.6, 26.4. 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ 56.8. HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C38H54ClN2P2Ru+: 737.2494. Found m/z = 737.2483。
【実施例】
【0245】
なお、化合物2fのX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を図2に示す。
【実施例】
【0246】
実施例A6(化合物2gの合成:RUPTBU3)
【実施例】
【0247】
【化22】
JP0006218153B2_000023t.gif
【実施例】
【0248】
実施例A5において、クロロジシクロヘキシルホスフィンに代えて、クロロジt-ブチルホスフィンを用いること以外は、実施例A5と同様にして反応を行い、化合物2g(RUPTBU3)を得た。
【実施例】
【0249】
化合物2g(RUPTBU3)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CDCl3): δ 8.11 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C12H6N2), 7.87 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C12H6N2), 7.80 (s, 2H, C12H6N2), 4.04 (d, 4H, J = 8.2 Hz, PCH2), 1.48 (d, 36H, J = 11.7 Hz, C(CH3)3). 13C NMR (151MHz, CDCl3): δ 166.4, 150.1, 132.7, 128.7, 125.3, 125.3, 121.7,39.5 (d, 1JPC = 17.4 Hz), 37.5, 30.7. 31P{1H} NMR (243MHz, CDCl3): δ70.7. HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C30H46ClN2P2Ru+: 633.19. Found m/z = 633.19。
【実施例】
【0250】
反応例A1(アミドの還元)
【実施例】
【0251】
【化23】
JP0006218153B2_000024t.gif
【実施例】
【0252】
アルゴンガス雰囲気下、乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、攪拌子、ルテニウム錯体(化合物2b;RUPIP2)(2.9 mg,0.005 mmol)、水素化ナトリウム(1.3 mg,0.03 mmol)、N-ベンジルベンズアミド(105.63 mg,0.5 mmol)及びトルエン(1.5 mL)を収容した。その後、この化合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガスを1 MPaに設定し、恒温槽を用いて110℃で15時間反応させた。
【実施例】
【0253】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そしてオートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次にオートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。H NMR解析のために、この溶液に、内部標準物質(1,1,2,2-テトラクロロエタン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量を基準として、反応生成物の収率を算出した。結果、ベンジルアルコール及びベンジルアミンの収率は、それぞれ、81%及び81%であった(後述する表1のエントリー2に相当する)。
【実施例】
【0254】
反応例A2(アミドの還元)
【実施例】
【0255】
【化24】
JP0006218153B2_000025t.gif
【実施例】
【0256】
(1)触媒のプレアクチベーション
アルゴンガス雰囲気下、乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、攪拌子、ルテニウム錯体(化合物2b;RUPIP2)(3.9 mg,0.0067 mmol)、水素化ナトリウム(1.7 mg,0.04 mmol)及びトルエン(2.0 mL)を収容した。その後、この化合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガスを1 MPaに設定し、恒温槽を用いて160 ℃で1時間反応させた。
【実施例】
【0257】
(2)基質の水素化反応
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そしてオートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次にアルゴンガス雰囲気下、ガスタイトシリンジを用いオートクレーブから反応溶液を採取し(1.5 mL)、もう一方のオートクレーブ(アルゴンガス雰囲気下、乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、攪拌子、N-ベンジルベンズアミド(105.63 mg,0.5 mmol)を収容した。その後、この化合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入し、内部をアルゴンで置換した)に収容した。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガスを1 MPaに設定し、恒温槽を用いて110℃で15時間反応させた。H NMR解析のために、この溶液に、内部標準物質(1,1,2,2-テトラクロロエタン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量を基準として、反応生成物の収率を算出した。結果、ベンジルアルコール及びベンジルアミンの収率は、それぞれ、83%及び81%であった(後述する表1のエントリー8に相当する)。
【実施例】
【0258】
反応例A3(種々の基質の水素化反応)
上記反応例A1及びA2において、表1に記載された条件を採用すること以外は、反応例A1及びA2と同様にして水素化反応を行った。その結果を表1に示す。
【実施例】
【0259】
反応例A1は、触媒のプレアクチベーションをせずに実施した例であり、反応例A2は触媒のプレアクチベーションを実施した例である。反応例A2の工程は下記のように表すことができる。
【実施例】
【0260】
【化25】
JP0006218153B2_000026t.gif
【実施例】
【0261】
【表1】
JP0006218153B2_000027t.gif
【実施例】
【0262】
【化26】
JP0006218153B2_000028t.gif
【実施例】
【0263】
なお、化合物2c及び2fのX線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を、それぞれ図1及び2に示す。
【実施例】
【0264】
上記表1より、特許文献1(国際公開第2012/102247号パンフレット)に記載された化合物2a(エントリー1)では、アミド化合物1aに対して水素化反応は全く進行しなかった。しかし、化合物2b~2g(エントリー2~7)では水素化反応が進行し、なかでも化合物2b、2c及び2d(エントリー2~4)、特に化合物2b及び2c(エントリー2及び3)を用いた場合には、高収率で水素化反応が進行することが分かった。
【実施例】
【0265】
また、エントリー8~16より、本発明の金属錯体を用いることにより、種々の基質を効率的に水素化できることが確認された。
【実施例】
【0266】
反応例A4(脱水素化反応)
上記実施例A2で得られた化合物2cを用いて、以下の脱水素化反応(酸化反応)を実施した。リピトールのピロール骨格を合成した。
【実施例】
【0267】
【化27】
JP0006218153B2_000029t.gif
【実施例】
【0268】
減圧乾燥させ、窒素で置換した10 mL ヤングシュレンク容器に、撹拌子、ルテニウム錯体(化合物2c;RUPCY2)(7.5 mg,0.01 mmol)、カリウムtert-ブトキシド(44.9 mg,0.4 mmol)、ベンジル-4-フルオロフェニルケトン(429 mg, 2.0 mmol)、トルエン(1.0 mL)、及びL-バリノール(0.11 mL,1.0 mmol)を加え、その後、165℃の恒温槽で24時間反応させた。反応終了後、1.5 M塩化水素のメタノール溶液(400μL)を添加した後、標準物質として1-フェニル-1-プロパノールを加え、重クロロホルム溶媒で1H NMR測定を行った。その結果、目的の生成物である2-(4-フルオロフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-1H-ピロールがNMR収率41%で得られた。
【実施例】
【0269】
反応例A5(アミドの還元)
【実施例】
【0270】
【化28】
JP0006218153B2_000030t.gif
【実施例】
【0271】
(1)触媒のプレアクチベーション
アルゴンガス雰囲気下、乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、攪拌子、ルテニウム錯体(化合物2b;RUPIP2)(0.0067 mmol,3.98 mg)、ナトリウム-2-メチル-2-アダマントキシド(0.067 mmol, 12.6 mg)を収容した。その後、この化合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入し、アルゴン雰囲気下でトルエン(2.0 mL)を加えた。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガスを1 MPaに設定し、恒温槽を用いて160℃で5時間反応させた。
【実施例】
【0272】
(2)基質の水素化反応
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そしてオートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次にアルゴンガス雰囲気下、ガスタイトシリンジを用いオートクレーブから反応溶液を採取し(1.5 mL)、もう一方のオートクレーブ(アルゴンガス雰囲気下、乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、攪拌子、N-ベンジルベンズアミド(0.5 mmol,105.63 mg)を収容した。その後、この化合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入し、内部をアルゴンで置換した)に収容した。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガスを1 MPaに設定し、恒温槽を用いて110℃で24時間反応させた。1H NMR解析のために、この溶液に、内部標準物質(メシチレン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量を基準として、反応生成物の収率を算出した。解析の結果、ベンジルアルコールが86%、ベンジルアミンが86%の収率で得られた(後述する表2のエントリー8に相当する)。
【実施例】
【0273】
反応例A6(種々の基質の水素化反応)
上記反応例A5において、表2に記載された条件を採用すること以外は、反応例A5と同様にして水素化反応を行った。その結果を表2~3に示す。
【実施例】
【0274】
【表2】
JP0006218153B2_000031t.gif
【実施例】
【0275】
【表3】
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【実施例】
【0276】
B.コバルト錯体
実施例B1(化合物2hの合成:COPCY2)
【実施例】
【0277】
【化29】
JP0006218153B2_000033t.gif
【実施例】
【0278】
化合物2hの合成
上記実施例A2(1)と同様にして製造した化合物6(6,6’-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体)(302.2 mg,0.50 mmol)及び脱気したモルホリン(12.5 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のモルホリンを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0279】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、無水塩化コバルト(II)(65.0 mg,0.50 mmol)及び2-プロパノール(25 mL)を加え、オイルバスを用いて83℃に加熱し、一晩反応させた。その後、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0280】
次いで、室温(25℃)に戻した反応溶液を、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上、沈殿物が生成し、反応溶液が懸濁するまで溶媒を除去した。その後、再びオイルバスを用いて83℃に加熱し、沈殿物を溶解させた。沈殿物が全て溶解したことを確認した後、ヤングシュレンク容器をオイルバスに浸した状態でオイルバスの電源を切り、放冷した。生じた赤褐色結晶を濾取し、乾燥させ赤褐色結晶の化合物2h(COPCY2)247.8 mg(0.35 mmol,70%)を得た。
【実施例】
【0281】
化合物2h(COPCY2)のスペクトルデータは以下の通りであった。
HRMS (FAB, (M-Cl)+) Calcd for C36H54ClN2P2Co+: 670.2783. Found m/z = 670.2707。
【実施例】
【0282】
X線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を図3に示す。
【実施例】
【0283】
反応例B1(ケトンの還元)
【実施例】
【0284】
【化30】
JP0006218153B2_000034t.gif
【実施例】
【0285】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、コバルト錯体(化合物2h;COPCY3)(6.71 mg,0.010 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(9.6 mg,0.10 mmol)、脱水及び脱気したエタノール(3 mL)を収容した。その後、この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。次いで、オートクレーブをアースした状態で密閉し、このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に0.8 MPaの水素ガス圧をかけ、その後、リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作(置換及び脱置換)を10回繰り返した。最後に、オートクレーブ内の水素ガス圧を1 MPaに設定し、恒温槽を用いて、160℃で22時間反応させた。
【実施例】
【0286】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを静かに開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に、塩化水素のジエチルエーテル溶液(0.05 mL,2 Mジエチルエーテル溶液,0.10 mmol)を加えた後、エバポレーターで減圧濃縮した。1H NMRのために、この溶液に、内部標準物質(メシチレン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。その結果、ジフェニルメタノールの収率は>99%であった。
【実施例】
【0287】
C.鉄錯体
実施例C1(化合物2iの合成:FEPCY2)
【実施例】
【0288】
【化31】
JP0006218153B2_000035t.gif
【実施例】
【0289】
化合物2iの合成
上記実施例A2(1)と同様にして製造した化合物6(6,6’-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体)(147.3 mg,0.21 mmol)及び蒸留したジエチルアミン(5.0 mL)とTHF(8 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、60℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、4日後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中の溶媒を、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0290】
溶媒を十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、無水塩化鉄(II)(25.6 mg,0.20 mmol)及び脱水及び脱気したエタノール(5 mL)を加え、オイルバスを用いて80℃に加熱し、一晩反応させた。その後、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0291】
次いで、室温(25℃)に戻した反応溶液を、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上、沈殿物が生成し、反応溶液が懸濁するまで溶媒を除去した。その後、再びオイルバスを用いて80℃に加熱し、沈殿物を溶解させた。沈殿物が全て溶解したことを確認した後、ヤングシュレンク容器をオイルバスに浸した状態でオイルバスの電源を切り、放冷した。生じた赤褐色結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄した後、乾燥させると赤褐色結晶の化合物2i(FEPCY2)35.2 mg(0.05 mmol,25%)を得た。
【実施例】
【0292】
化合物2i(FEPCY2)のスペクトルデータは以下の通りであった。
HRMS (ESI, (M-Cl)+) Calcd for C36H54ClFeN2P2+: 667.2796. Found m/z = 667.2724。
【実施例】
【0293】
X線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を図4に示す。
【実施例】
【0294】
実施例C2(化合物2jの合成:FEPCY3)
【実施例】
【0295】
【化32】
JP0006218153B2_000036t.gif
【実施例】
【0296】
化合物2jの合成
上記実施例A5(1)と同様にして製造した化合物10(2,9-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-1,10-フェナンスロリンボラン錯体)(604.4 mg,1.0 mmol)及び脱気したモルホリン(15.0 mL)をアルゴンガスで置換した100 mLのヤングシュレンク容器に収容した。その後、ヤングシュレンク容器を、オイルバス内に配置し、ヤングシュレンク容器内の成分を撹拌しながら、120℃に加熱し、反応させた。反応の進行をTLCで確認し、2時間後に加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中の溶媒を、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上除去した。このとき、反応液を十分に撹拌するとともに、気化熱によりヤングシュレンク容器が冷えることを防ぐため、室温(25℃)の水にヤングシュレンク容器を浸しておいた。
【実施例】
【0297】
モルホリンを十分に除去した後、アルゴンガスを容器内に導入しながら、無水臭化鉄(II)(215.7 mg,1.0 mmol)及び脱水及び脱気したエタノール(25 mL)を加え、オイルバスを用いて80℃に加熱し、一晩反応させた。その後、加熱を終了し、反応液を室温(25℃)に戻した。
【実施例】
【0298】
次いで、室温(25℃)に戻した反応溶液を、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集の上、沈殿物が生成し、反応溶液が懸濁するまで溶媒を除去した。その後、再びオイルバスを用いて80℃に加熱し、沈殿物を溶解させた。沈殿物が全て溶解したことを確認した後、ヤングシュレンク容器をオイルバスに浸した状態でオイルバスの電源を切り、放冷した。生じた赤褐色結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄した後、乾燥させると赤褐色結晶の化合物2j(FEPCY3)444.3 mg(0.54 mmol,54%)を得た。
【実施例】
【0299】
化合物2j(FEPCY3)のスペクトルデータは以下の通りであった。
HRMS (ESI, (M-Br)+) Calcd for C38H54BrFeN2P2+: 735.2292. Found m/z = 735.2325。
【実施例】
【0300】
X線単結晶構造解析の結果(ORTEP)を図5に示す。
【実施例】
【0301】
上記で合成した鉄錯体を用いても、他の反応例と同様に、水素移動反応を進行させることができる。
【実施例】
【0302】
D.ニッケル錯体
実施例D1(化合物2kの合成:NIPCY2)
【実施例】
【0303】
【化33】
JP0006218153B2_000037t.gif
【実施例】
【0304】
化合物2kの合成
アルゴンガスで置換した100 mLヤングシュレンク容器に、上記実施例A2(1)と同様にして製造した化合物6(6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’ビピリジン-ジボラン錯体)(140.9 mg,0.23 mmol)、ジエチルアミン(8 mL)、THF(10 mL)を収容した。その後、シュレンク容器をオイルバス内に配置し、シュレンク容器内の成分を撹拌しながら、65℃に加熱し、反応させた。45時間後に、加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のジエチルアミン及びTHFを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集のうえ除去した。
【実施例】
【0305】
ジエチルアミンを十分に除去した後、アルゴンガスをシュレンク容器内に導入しながら、ニッケル(II)クロライド(30.7 mg,0.24 mmol)、脱水メタノール(10 mL)を加え、オイルバスを用いて70℃に加熱し、反応させた。3時間後、加熱を終了し、混合液中の沈殿物を、アルゴン雰囲気下セライトろ過により除去した。
【実施例】
【0306】
別のシュレンク容器にテトラフェニルホウ酸ナトリウム(398.9 mg,1.17 mmol)と脱水メタノール(5 mL)を収容した。室温(25℃)で30分間撹拌し溶解させた。この溶液を上記の反応後の溶液にアルゴンガスを導入しながら加えると、直ちに肌色の沈殿物が生じた。4時間撹拌した後、生成した肌色の沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取することにより、ニッケル錯体(化合物2k)211.3 mg(0.166 mmol,71 %)を得た。
【実施例】
【0307】
ニッケル錯体(化合物2k)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CD3CN): δ 8.15 (t, 2H, J = 7.9 Hz, C10H6N2), 7.98 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C10H6N2), 7.67 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C10H6N2), 7.25 (br, 16H, B(C6H5)4), 6.97 (t, 16H, J = 7.2 Hz, B(C6H5)4), 6.81 (t, 8H, J = 7.2 Hz, B(C6H5)4), 3.80 (t, 4H, J = 6.2 Hz, PCH2), 1.24-2.30 (m, 44H, C6H11). 13C NMR (151MHz, CD3CN): δ 164.8, 164.4, 164.1, 163.8, 161.9, 155.4, 143.1, 136.2, 126.1, 122.2, 121.9, 35.8, 35.2, 29.8, 28.2, 27.0, 26.6, 25.7. 31P NMR (243MHz, CD3CN): δ 55.2。
【実施例】
【0308】
反応例D1(ケトンの還元)
以下の方法により、ケトンの水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0309】
【化34】
JP0006218153B2_000038t.gif
【実施例】
【0310】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、ニッケル錯体(化合物2k)(12.7 mg,0.01 mmol)、水素化ナトリウム(2.4 mg,0.1 mmol)、ベンゾフェノン(182.2 mg,1.0 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(2 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を1 MPaに設定し、恒温槽を用いて、140℃で18時間反応させた。
【実施例】
【0311】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に塩化水素のメタノール溶液(2.0 M,50μL,0.1 mmol)を加えて中和した。その後、この溶液に、内部標準物質(N,N-ジメチルホルムアミド)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。ジフェニルメタノールの収率は96%であった。
【実施例】
【0312】
E.ロジウム錯体
実施例E1(化合物2lの合成:RHPCY2(III))
【実施例】
【0313】
【化35】
JP0006218153B2_000039t.gif
【実施例】
【0314】
化合物2lの合成
上記実施例A2(1)と同様にして製造した化合物6(6,6’-ビスジシクロヘキシルホスフィノメチル-2,2’-ビピリジンボラン錯体)(120 mg,0.2 mmol)及び脱気したモルホリン(5 mL)をアルゴンガス下でシュレンク容器に収容し、120℃で2時間撹拌した。透明な溶液を室温まで冷却し、モルホリンを減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集して除去した。得られた白色固体に、乾燥し脱気したエタノール(3 mL)及び三塩化ロジウム・3水和物(RhCl3・3H2O)(0.2 mmol,53 mg,乾燥し脱気したエタノール2 mL中に溶解させて添加した)を加えた。反応混合物を80℃で3時間撹拌し、室温まで冷却した後、黄色の沈殿物が確認された。これをアルゴン雰囲気下セライトで濾別した。ナトリウムテトラフェニルボレート(NaBPh4)(0.2 mmol,68 mg,乾燥し脱気したメタノール2 mL中に溶解させて添加した)の溶液を濾液に加えて、すぐに黄色の沈殿物の形成が確認された。室温で30分撹拌後、沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取し、乾燥エタノールで洗浄し、減圧下乾燥して淡黄色固体のロジウム(III)錯体(化合物2l)(90 mg,42%)を得た。
【実施例】
【0315】
ロジウム(III)錯体(化合物2l)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600 MHz, CD3CN): δ = 8.20 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.12 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.21 (br s, 8H), 6.93 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 6.82 (t, J =6.8 Hz, 4H), 4.13 (d, J = 5.5 Hz, 4H), 2.62-2.61 (m, 4H), 1.76-1.65 (m, 28H), 1.25-1.19 (m, 12H); 13C{1H} NMR (150.78 MHz, CD3CN) δ = 164.8, 164.6, 164.3, 164.0, 160.5, 155.9, 140.6, 135.7, 125.6, 122.0, 121.7, 39.4 (t, JP-C = 10.1 Hz) 36.9 (t, JP-C = 10.1 Hz), 29.6, 28.7, 27.1, 27.0, 25.5; 31P{1H} NMR (242.75 MHz, CD3CN): δ = 43.24, 42.83 (d, JRh-P = 98.6 Hz); HRMS (ESI, (M-BPh4)+) Calcd for C36H54Cl2N2P2Rh+: 749.2189. Found m/z = 749.2232。
【実施例】
【0316】
実施例E2(化合物2mの合成:RHPCY2(I))
【実施例】
【0317】
【化36】
JP0006218153B2_000040t.gif
【実施例】
【0318】
化合物2mの合成
上記実施例A2(1)と同様にして製造した化合物6(120 mg,0.2 mmol)及び脱気したモルホリン(5 mL)をアルゴンガス下でシュレンク容器に収容し、120℃で2時間撹拌した。透明な溶液を室温まで冷却し、モルホリンを減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集して除去した。得られた白色固体に、乾燥し脱気したエタノール(4 mL)及びシクロオクタジエンロジウムクロリドダイマー([Rh(cod)Cl]2)(0.1 mmol,49 mg)を加えた。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、50℃まで冷却した後、ナトリウムテトラフェニルボレート(NaBPh4)(0.2 mmol,68 mg,乾燥し脱気したメタノール2 mL中に溶解させて添加した)の溶液を濾液に加えて、室温まで冷却し、さらに30分撹拌した。沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取し、乾燥エタノールで洗浄し、減圧下乾燥して濃緑色固体のロジウム(I)錯体(化合物2m)(96 mg,48%)を得た。
【実施例】
【0319】
ロジウム(I)錯体(化合物2m)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6): δ = 8.28 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 8.17 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 7.84 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.21 (br s, 8H), 6.95 (t, J = 7.6 Hz, 8H), 6.82 (t, J =6.8 Hz, 4H), 3.71 (s, 4H), 1.80-1.70 (m, 24H), 1.43-1.17 (m, 20H); 13C{1H} NMR (150.78 MHz, DMSO-d6) δ = 164.3, 164.0, 163.6, 163.3, 162.0, 155.4, 137.8, 136.0, 125.7, 125.1, 122.0, 121.1, 38.06 (t, JP-C = 10.1 Hz) 34.8 (t, JP-C = 10.1 Hz), 28.7, 28.0, 26.7, 26.6, 26.1; 31P{1H} NMR (242.75 MHz, DMSO-d6): δ = 60.22, 59.55 (d, JRh-P = 164.4 Hz): HRMS (ESI+): m/z calcd for C36H54N2P2Rh (M-BPh4): 679.2812; found 679.2783。
【実施例】
【0320】
反応例E1(エステルの還元)
上記で得られたロジウム(III)錯体(化合物2l)及びロジウム(I)錯体(化合物2m)を用いて、エステル化合物(メチル-3-フェニルプロピオネート)を水素添加反応に供した結果を以下に示す。
【実施例】
【0321】
<触媒のプレアクチベーション(pre-activation)>
撹拌子を備えたオートクレーブテフロンチューブにロジウム錯体及び水素化ナトリウムを入れて、そのチューブをオートクレーブに固定しアルゴン置換した。アルゴン雰囲気下、トルエンを加えた後、水素圧を8 MPaとし、160℃で表示した時間撹拌した。その後、オートクレーブを室温まで冷却した。
【実施例】
【0322】
<基質(エステル)との反応>
オートクレーブからアルゴン雰囲気下で水素ガスを注意深く放出し、メチル-3-フェニルプロピオネート(0.5 mmol,0.079 mL)を加えた。その後、オートクレーブを水素圧8 MPaに加圧し、160℃で表示した時間撹拌した。その後、オートクレーブを室温まで冷却し、水素ガスを注意深く放出した。反応混合物を塩酸でクエンチし、溶媒を除去した後、反応物を1H NMRで分析した。
【実施例】
【0323】
(1)ロジウム(III)錯体(化合物2l)を用いた反応
【実施例】
【0324】
【化37】
JP0006218153B2_000041t.gif
【実施例】
【0325】
(2)ロジウム(I)錯体(化合物2m)を用いた反応
【実施例】
【0326】
【化38】
JP0006218153B2_000042t.gif
【実施例】
【0327】
F.イリジウム錯体
実施例F1(化合物2nの合成:Ir(I)PCY2)
以下の方法により、テトラフェニルホウ酸6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’ビピリジン-イリジウム錯体を得た。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0328】
【化39】
JP0006218153B2_000043t.gif
【実施例】
【0329】
乾燥後、アルゴンガスで置換した100 mLヤングシュレンク容器に、6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’-ビピリジン-ジボラン錯体(60.4 mg,0.10 mmol)、ジエチルアミン(5 mL)、THF(5 mL)を収容した。その後、シュレンク容器をオイルバス内に配置し、シュレンク容器内の成分を撹拌しながら、70℃に加熱し、反応させた。48時間後に、加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のジエチルアミン及びTHFを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集のうえ除去した。
【実施例】
【0330】
ジエチルアミンを十分に除去した後、アルゴンガスをシュレンク容器内に導入しながら、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)ダイマー(33.6 mg,0.05 mmol)、脱水メタノール(5 mL)を加え、オイルバスを用いて75℃に加熱し、反応させた。6時間後、加熱を終了し、混合液中の沈殿物を、アルゴン雰囲気下セライトろ過により除去した。
【実施例】
【0331】
別のシュレンク容器にテトラフェニルホウ酸ナトリウム(68.4 mg,0.2 mmol)と脱水メタノール(5 mL)を収容した。室温(25℃)で30分間撹拌し溶解させた。この溶液を上記の反応後の溶液にアルゴンガスを導入しながら加えると、直ちに黄色の沈殿物が生じた。1時間撹拌した後、生成した黄色の沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取することにより、イリジウム(I)錯体(化合物2n)55.5 mg(0.051 mmol,51%)を得た。
【実施例】
【0332】
イリジウム(I)錯体(化合物2n)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) : δ 8.47 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C10H6N2), 8.26 (t, 2H, J = 8.2 Hz, C10H6N2), 7.89 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 7.17 (m, 8H, B(C6H5)4), 6.97 (m, 8H, B(C6H5)4), 6.78 (m, 4H, B(C6H5)4), 4.11 (m, 2H, PCH2), 3.86 (m, 2H, PCH2), 0.97-2.46 (m, 44H, C6H11). 13C NMR (151MHz, DMSO-d6) : δ 161.3, 155.7, 135.4, 129.1, 128.8, 127.3, 126.5, 125.2, 121.3, 115.1, 34.5, 27.7, 27.1, 26.5, 25.4. 31P NMR (243MHz, DMSO-d6): δ 19.6。
【実施例】
【0333】
実施例F2(化合物2oの合成:Ir(I)PPH2)
以下の方法により、テトラフェニルホウ酸6,6’-ビス((ジフェニルホスフィノ)メチル)-2,2’ビピリジン-イリジウム錯体を得た。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0334】
【化40】
JP0006218153B2_000044t.gif
【実施例】
【0335】
乾燥後、アルゴンガスで置換した100 mLヤングシュレンク容器に、6,6’-ビス((ジフェニルホスフィノ)メチル)-2,2’-ビピリジン-ジボラン錯体(116.1 mg,0.20 mmol)、ジエチルアミン(10 mL)、THF(10 mL)を収容した。その後、シュレンク容器をオイルバス内に配置し、シュレンク容器内の成分を撹拌しながら、75℃に加熱し、反応させた。48時間後に、加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のジエチルアミン及びTHFを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集のうえ除去した。
【実施例】
【0336】
ジエチルアミンを十分に除去した後、アルゴンガスをシュレンク容器内に導入しながら、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)ダイマー(67.2 mg,0.10 mmol)、脱水メタノール(12 mL)を加え、オイルバスを用いて75℃に加熱し、反応させた。7時間後、加熱を終了し、混合液中の沈殿物を、アルゴン雰囲気下セライトろ過により除去した。
【実施例】
【0337】
別のシュレンク容器にテトラフェニルホウ酸ナトリウム(136.9 mg,0.4 mmol)と脱水メタノール(5 mL)を収容した。室温(25℃)で30分間撹拌し溶解させた。この溶液を上記の反応後の溶液にアルゴンガスを導入しながら加えると、直ちに黄色の沈殿物が生じた。1時間撹拌した後、生成した黄色の沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取することにより、イリジウム(I)錯体(化合物2o)91.5 mg(0.086 mmol,43%)を得た。
【実施例】
【0338】
イリジウム(I)錯体(化合物2o)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) : δ 8.62 (d, 2H, J = 8.2 Hz, C10H6N2), 8.37 (t, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 8.07 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.66-7.29 (m, 20H, C6H5), 7.17 (br, 8H, B(C6H5)4), 6.92 (t, 8H, J = 6.9 Hz, B(C6H5)4), 6.78 (t, 4H, J = 6.9 Hz, B(C6H5)4), 5.10 (m, 2H, PCH2), 4.83 (m, 2H, PCH2). 13C NMR (151MHz, DMSO-d6) : δ 163.8, 163.5, 163.2, 162.9, 160.9, 156.1, 140.2, 135.5, 133.3, 132.0, 131.4, 129.3, 128.9, 128.5, 128.3, 127.4,126.7, 125.3, 123.2, 121.5, 115.2. 31P NMR (243MHz, DMSO-d6): δ 5.1。
【実施例】
【0339】
反応例F1(カルボン酸の還元)
以下の方法により、ギ酸の水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0340】
【化41】
JP0006218153B2_000045t.gif
【実施例】
【0341】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、イリジウム(I)錯体(化合物2n)(10.9 mg,0.01 mmol)、水素化ナトリウム(1.4 mg,0.06 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(1 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を1 MPaに設定し、恒温槽を用いて、160℃で1時間撹拌した。その後オートクレーブを氷浴に浸して冷却した。ほぼ室温となったオートクレーブのバルブをあけて水素ガスを空気中に放出し、直ちにオートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながらギ酸(37.7 mL,1 mmol)、エタノール(1 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、上記と同様の方法で水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を6 MPaに設定し、恒温槽を用いて、160℃で18時間撹拌した。
【実施例】
【0342】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に、内部標準物質(メシチレン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。メタノールの収率は31%であった。
【実施例】
【0343】
反応例F2(カルボン酸の還元)
以下の方法により、コハク酸の水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0344】
【化42】
JP0006218153B2_000046t.gif
【実施例】
【0345】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、イリジウム(I)錯体(化合物2o)(21.3 mg,0.02 mmol)、水素化ナトリウム(2.8 mg,0.12 mmol)、コハク酸(118.1 mg,1 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(2 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を6 MPaに設定し、恒温槽を用いて、180℃で72時間撹拌した。
【実施例】
【0346】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に、内部標準物質(メシチレン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。1,4-ブタンジオール、γ-ブチロラクトンがそれぞれ収率81%、5%で得られた。
【実施例】
【0347】
反応例F3(カルボン酸の還元)
以下の方法により、コハク酸の水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0348】
【化43】
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【実施例】
【0349】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、イリジウム(I)錯体(化合物2n)(10.9 mg,0.01 mmol)、水素化ナトリウム(1.4 mg,0.06 mmol)、コハク酸(118.1 mg,1 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(2 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を6 MPaに設定し、恒温槽を用いて、180℃で18時間撹拌した。
【実施例】
【0350】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に、内部標準物質(メシチレン)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。1,4-ブタンジオール、γ-ブチロラクトンがそれぞれ収率95%、5%で得られた。
【実施例】
【0351】
G.白金錯体
実施例G1(化合物2pの合成:Pt(II)PCY2)
以下の方法により、ビステトラフェニルホウ酸6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’ビピリジン-白金錯体を得た。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0352】
【化44】
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【実施例】
【0353】
乾燥後、アルゴンガスで置換した100 mLヤングシュレンク容器に、6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’-ビピリジン-ジボラン錯体(60.4 mg,0.10 mmol)、ジエチルアミン(5 mL)、THF(5 mL)を収容した。その後、シュレンク容器をオイルバス内に配置し、シュレンク容器内の成分を撹拌しながら、70℃に加熱し、反応させた。48時間後に、加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のジエチルアミン及びTHFを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集のうえ除去した。
【実施例】
【0354】
ジエチルアミンを十分に除去した後、アルゴンガスをシュレンク容器内に導入しながら、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(37.4 mg,0.10 mmol)、脱水メタノール(5 mL)を加え、オイルバスを用いて75℃に加熱し、反応させた。6時間後、加熱を終了し、混合液中の沈殿物を、アルゴン雰囲気下セライトろ過により除去した。
【実施例】
【0355】
別のシュレンク容器にテトラフェニルホウ酸ナトリウム(68.4 mg,0.2 mmol)と脱水メタノール(5 mL)を収容した。室温(25℃)で30分間撹拌し溶解させた。この溶液を上記の反応後の溶液にアルゴンガスを導入しながら加えると、直ちに淡い黄色の沈殿物が生じた。1時間撹拌した後、生成した黄色の沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取することにより、白金(II)錯体(化合物2p)63.5 mg(0.045 mmol,45%)を得た。
【実施例】
【0356】
白金(II)錯体(化合物2p)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (500MHz, CD3CN) : δ 8.28 (t, 2H, J= 8.0 Hz, C10H6N2), 8.07 (d, 2H, J = 8.0 Hz, C10H6N2), 7.89 (d, 2H, J = 8.1 Hz, C10H6N2), 7.24 (br, 16H, B(C6H5)4), 6.96 (t, 16H, J = 7.5 Hz, B(C6H5)4), 6.81 (t, 8H, J = 7.5 Hz, B(C6H5)4), 4.05 (m, 4H, PCH2), 1.23-2.36 (m, 44H, C6H11). 31P NMR (179MHz, CD3CN) : δ 35.3 (t, J = 1556 Hz)。
【実施例】
【0357】
反応例G1(ケトンの還元)
以下の方法により、ケトンの水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0358】
【化45】
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【実施例】
【0359】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、Pt(II)PCY2(14.1 mg,0.01 mmol)、水素化ナトリウム(2.4 mg,0.1 mmol)、ベンゾフェノン(182.2 mg,1.0 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(2 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を1 MPaに設定し、恒温槽を用いて、120℃で18時間反応させた。
【実施例】
【0360】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に塩化水素-メタノール溶液(2.0 M,50μL,0.1 mmol)を加えて中和した。その後、この溶液に、内部標準物質(N,N-ジメチルホルムアミド)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。ジフェニルメタノールの収率は92 %であった。
【実施例】
【0361】
H.パラジウム錯体
実施例H1(化合物2qの合成:Pd(II)PCY2)
以下の方法により、ビステトラフェニルホウ酸6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’ビピリジン-パラジウム錯体を得た。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0362】
【化46】
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【実施例】
【0363】
乾燥後、アルゴンガスで置換した100 mLヤングシュレンク容器に、6,6’-ビス((ジシクロへキシルホスフィノ)メチル)-2,2’-ビピリジン-ジボラン錯体(60.4 mg,0.10 mmol)、ジエチルアミン(5 mL)、THF(5 mL)を収容した。その後、シュレンク容器をオイルバス内に配置し、シュレンク容器内の成分を撹拌しながら、70℃に加熱し、反応させた。48時間後に、加熱を終了した。次いで、室温(25℃)に戻した反応液中のジエチルアミン及びTHFを、減圧条件(0.1~2 mmHg)で、液体窒素トラップを用いて捕集のうえ除去した。
【実施例】
【0364】
ジエチルアミンを十分に除去した後、アルゴンガスをシュレンク容器内に導入しながら、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)(28.6 mg,0.10 mmol)、脱水メタノール(7 mL)を加え、オイルバスを用いて75℃に加熱し、反応させた。14時間後、加熱を終了し、混合液中の沈殿物を、アルゴン雰囲気下セライトろ過により除去した。
【実施例】
【0365】
別のシュレンク容器にテトラフェニルホウ酸ナトリウム(68.4 mg,0.2 mmol)と脱水メタノール(5 mL)を収容した。室温(25℃)で30分間撹拌し溶解させた。この溶液を上記の反応後の溶液にアルゴンガスを導入しながら加えると、直ちに淡い黄緑色の沈殿物が生じた。1時間撹拌した後、生成した黄緑色の沈殿物をアルゴン雰囲気下で濾取することにより、パラジウム(II)錯体(化合物2q)93.8 mg(0.071 mmol,71%)を得た。
【実施例】
【0366】
パラジウム(II)錯体(化合物2q)のスペクトルデータは以下の通りであった。
1H NMR (600MHz, CD3CN) : δ 8.24 (t, 2H, J= 7.6 Hz, C10H6N2), 8.13 (d, 2H, J = 8.3 Hz, C10H6N2), 7.80 (d, 2H, J = 7.6 Hz, C10H6N2), 7.27 (br, 16H, B(C6H5)4), 6.99 (t, 16H, J = 6.9 Hz, B(C6H5)4), 6.84 (t, 8H, J = 6.8 Hz, B(C6H5)4), 4.13 (m, 4H, PCH2), 1.23-2.34 (m, 44H, C6H11). 31P NMR (179MHz, CD3CN) : δ 61.9。
【実施例】
【0367】
反応例H1(ケトンの還元)
以下の方法により、ケトンの水素還元反応を行った。反応スキームを以下に示す。
【実施例】
【0368】
【化47】
JP0006218153B2_000051t.gif
【実施例】
【0369】
乾燥したフッ素樹脂製のチューブ(30 mL)に、撹拌子、Pd(II)PCY2(13.2 mg,0.01 mmol)、水素化ナトリウム(2.4 mg,0.1 mmol)、ベンゾフェノン(182.2 mg,1.0 mmol)を収容した。この混合物を含むチューブを、迅速にオートクレーブ内に挿入した。その後、オートクレーブ内にアルゴンガスを導入しながら脱水トルエン(2 mL)をチューブ内の混合物に加え、迅速にオートクレーブを密閉した。このオートクレーブに、ステンレス管を介して接続した水素ガスボンベから水素ガスを導入し、オートクレーブ内を水素ガスで置換した。すなわち、オートクレーブ内に1 MPaの水素ガス圧をかけ、その後リークバルブから水素ガス圧を抜いた。この操作を3回繰り返した。最後にオートクレーブ内の水素ガス圧を1 MPaに設定し、恒温槽を用いて、120℃で18時間反応させた。
【実施例】
【0370】
反応終了後、オートクレーブを氷浴に浸して冷却し、ほぼ室温とした。そして、オートクレーブのリークバルブを開放し、内部にある水素ガスを空気中に放出した。次に、オートクレーブからチューブを取り出し、反応生成物(溶液)を得た。この溶液に塩化水素-メタノール溶液(2.0 M,50μL,0.1 mmol)を加えて中和した。その後、この溶液に、内部標準物質(N,N-ジメチルホルムアミド)を加えた。この内部標準物質の水素原子量の積分値を基準として、反応生成物の収率を算出した。ジフェニルメタノールの収率は27 %であった。
【産業上の利用可能性】
【0371】
本発明の4座配位子とルテニウム等の金属とから形成される錯体は、水素移動反応を効率よく触媒し得る。そのため、水素移動反応用触媒として極めて有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4