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明細書 :ホスホール化合物及びそれを含有する蛍光色素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月23日(2017.3.23)
発明の名称または考案の名称 ホスホール化合物及びそれを含有する蛍光色素
国際特許分類 C07F   9/6568      (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C09B  57/00        (2006.01)
FI C07F 9/6568 CSP
C09K 11/06
C09B 57/00 Z
国際予備審査の請求
全頁数 31
出願番号 特願2015-559100 (P2015-559100)
国際出願番号 PCT/JP2015/051636
国際公開番号 WO2015/111647
国際出願日 平成27年1月22日(2015.1.22)
国際公開日 平成27年7月30日(2015.7.30)
優先権出願番号 2014011473
優先日 平成26年1月24日(2014.1.24)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】山口 茂弘
【氏名】深澤 愛子
【氏名】山口 恵理子
【氏名】王 晨光
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H050
Fターム 4H050AA01
4H050AB92
要約 下記式に、本発明のホスホール化合物の一例を示す。本発明のホスホール化合物は、溶媒の極性が高くなるにつれて蛍光波長が長波長側にシフトする性質に加えて、極性の低い溶媒から高い溶媒まで高い蛍光量子収率を維持するという性質を有する。このような性質を有することから、本発明のホスホール化合物は、例えば、吸収波長及び蛍光波長からその周囲の環境の極性を定量評価したり、新たなタイプの蛍光プローブ用色素として利用したり、高効率発光材料として有機電子デバイスへ応用したりすることが期待される。
【化1】
JP2015111647A1_000023t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表されるホスホール化合物。
【化1】
JP2015111647A1_000021t.gif
(式(1)中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり、R2は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、カルボニル基、イミノ基、シアノ基又はフッ素原子であり、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arは炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環又は置換ヘテロ芳香環であり、nは0又は1であり、π1、π2は同じであっても異なっていてもよいπ共役ユニットであって、該π共役ユニットは、2価のアルケニル基、2価の置換アルケニル基、2価のアルキニル基、2価の置換アルキニル基、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環であり、-NR34はπ1又はπ2のうちホスホール骨格側へ電子を供与可能な位置に結合している)
【請求項2】
1はアリール基又は置換アリール基であり、R2は水素原子、アリール基又は置換アリール基であり、R3及びR4は同じものであって、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arはベンゼン環又はナフタレン環であり、nはゼロであり、π1はベンゼン環であり、-NR34はベンゼン環であるπ1のパラ位に結合している、
請求項1に記載のホスホール化合物。
【請求項3】
3及びR4は、アルキル基又は置換アルキル基であり、ベンゼン環であるπ1に結合してアルキレン鎖又は置換アルキレン鎖を形成している、
請求項2に記載のホスホール化合物。
【請求項4】
下記式(2)で表されるホスホール化合物。
【化1】
JP2015111647A1_000022t.gif
(式(2)中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、R5及びR6は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arは炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環又は置換ヘテロ芳香環であり、nは0又は1であり、π1、π2は同じであっても異なっていてもよいπ共役ユニットであって、該π共役ユニットは、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環であり、-NR34はπ1又はπ2のうちホスホール骨格側へ電子を供与可能な位置に結合している)
【請求項5】
1はアリール基又は置換アリール基であり、R3及びR4は同じものであって、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、R5及びR6は同じものであって、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arはベンゼン環又はナフタレン環であり、nはゼロであり、π1はベンゼン環である、
請求項4に記載のホスホール化合物。
【請求項6】
3及びR4は、アルキル基又は置換アルキル基であり、ベンゼン環であるπ1に結合してアルキレン鎖又は置換アルキレン鎖を形成している、
請求項5に記載のホスホール化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のホスホール化合物を含有する蛍光色素。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホール化合物及びそれを含有する蛍光色素に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光性有機化合物は、有機EL素子の発光材料や生体蛍光イメージングのための蛍光色素として重要であり、これまでに報告された例は、基礎研究や応用の両面で枚挙に暇がない。中でも、周囲の環境によって蛍光色が劇的に変化する色素(例えばアクリロダン)は、蛍光プローブの中でも部位特異的な可視化に実用化されている。このような蛍光特性を実現するためには、電子供与性の高い(ドナー型)π共役ユニットと電子受容性の高い(アクセプター型)π共役ユニットを組み合わせるという分子設計が有効であることが多く示されている。得られる蛍光色素の発光色や発光効率、および溶媒効果の大きさは、ドナーおよびアクセプターにどのようなπ共役ユニットを用いるかに大きく依存する。一方で、近年、新たな電子受容性π共役ユニットとして、ホスホール化合物が注目されつつある。例えば、非特許文献1には、2-アルケニルベンゾ[b]ホスホールオキシドや2-アルキニルベンゾ[b]ホスホールオキシドの合成例と共にそれらの光学データが報告されている。また、非特許文献2には、2-アリールベンゾ[b]ホスホールオキシドの合成例と共にこれらの電気化学特性が報告されている。非特許文献1,2に記載された化合物の一例を以下に示す。
【0003】
【化1】
JP2015111647A1_000003t.gif

【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Organic Letters, 2013, vol.15, No.17, p4458-4461
【非特許文献2】Chem. Asian J., 2009, vol.4, p1729-1740
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶媒の極性に応じて蛍光色が劇的に変化する従来の化合物は、多くが極性の低い溶媒中では強い蛍光を示すものの、極性の高いアルコールなどのプロトン性溶媒中では蛍光がみられない。このため、今までにない光学的性質を有する環境応答性の蛍光化合物の開発が望まれていた。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、今までにない光学的性質を有するホスホール化合物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明者らは、種々の新規なホスホール化合物を合成し、その光物性を調べたところ、ある種のホスホール化合物が今までにない光学的性質を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のホスホール化合物は、下記式(1)又は下記式(2)で表されるものである。
【0009】
【化2】
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【0010】
式(1)中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり、R2は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、カルボニル基、イミノ基、シアノ基又はフッ素原子であり、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arは炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環又は置換ヘテロ芳香環であり、nは0又は1であり、π1、π2は同じであっても異なっていてもよいπ共役ユニットであって、該π共役ユニットは、2価のアルケニル基、2価の置換アルケニル基、2価のアルキニル基、2価の置換アルキニル基、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環であり、-NR34はπ1又はπ2のうちホスホール骨格側へ電子を供与可能な位置に結合している。
【0011】
式(2)中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり、R3及びR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、R5及びR6は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であり、Arは炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環又は置換ヘテロ芳香環であり、nは0又は1であり、π1、π2は同じであっても異なっていてもよいπ共役ユニットであって、該π共役ユニットは、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環であり、-NR34はπ1又はπ2のうちホスホール骨格側へ電子を供与可能な位置に結合している。
【発明の効果】
【0012】
本発明のホスホール化合物は、溶媒の極性が高くなるにつれて蛍光波長が長波長側にシフトする性質に加えて、極性の低い溶媒から高い溶媒まで高い蛍光量子収率を維持するという性質を有する。このような性質を有することから、本発明のホスホール化合物は、例えば、吸収波長及び蛍光波長からその周囲の環境の極性を定量評価したり、新たなタイプの蛍光プローブ用色素として利用したり、高効率発光材料として有機電子デバイスへ応用したりすることが期待される。特に、式(2)のホスホール化合物は、耐光性が非常に高いという特徴を有する。蛍光プローブ用色素は高解像度のレーザ顕微鏡を用いて観察されることがあるが、その場合でも式(2)のホスホール化合物は耐光性が非常に高いため、強力なレーザ光に長時間照射されたとしても発色の程度を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】化合物1~3の配向分極率Δfとストークスシフト値との関係を示すグラフ。
【図2】照射時間と相対吸光度との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のホスホール化合物は、上記式(1)又は上記式(2)で表されるものである。本発明のホスホール化合物では、ホスホール骨格が電子を受け取る能力が高く、アミノ基を有するπ共役系ユニットが電子を供与する能力が高い。

【0015】
1は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基である。

【0016】
アルキル基としては、例えば、炭素数1~20の分岐を有していてもよいアルキル基や環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、イソアミル基、sec-アミル基、tert-アミル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。置換アルキル基としては、例えば炭素数1~20の分岐を有していてもよいアルキル基や環状のアルキル基のいずれか1つ以上の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基などで置換されたものが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。

【0017】
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などのほか、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。置換アリール基としては、例えば、アリール基の1つ以上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基などで置換されたものが挙げられる。アルキル基の例示については、既に記載したとおりである。アルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基などが挙げられる。

【0018】
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。アルコキシ基は、-ORで表される基であり、ここではRはアルキル基のみならずアルキル鎖が酸素原子を介してエーテル結合した基も含むものとする。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基などのほか、-O((CH2pO)qCH3 (pは1~3の整数、qは1~10の整数)などが挙げられる。

【0019】
カルボニル基は、例えば、フォルミル基やアシル基(メチルカルボニル基やエチルカルボニル基など)などが挙げられる。

【0020】
アミノ基は、-NH2である。置換アミノ基としては、アミノ基の1つ以上の水素原子がアルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基で置換されたものなどが挙げられる。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基の例示については、既に記載したとおりである。

【0021】
2は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、カルボニル基、イミノ基、シアノ基又はフッ素原子である。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、カルボニル基の例示については、既に記載したとおりである。イミノ基としては、例えば、アルキルイミノ基、置換アルキルイミノ基、アリールイミノ基、置換アリールイミノ基、スルホニルイミノ基などが挙げられる。スルホニルイミノ基は、イミノ基の窒素原子に-SO2Rが結合したものであり、Rとしてはアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基などが挙げられる。イミノ基中のアルキルや置換アルキル等の例示は、既に記載したアルキル基や置換アルキル基等と同様である。

【0022】
3及びR4は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基である。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基の例示については、既に記載したとおりである。

【0023】
5及びR6は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基である。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基の例示については、既に記載したとおりである。

【0024】
Arは炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環又は置換ヘテロ芳香環である。

【0025】
炭化水素芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環などが挙げられる。置換炭化水素芳香環としては、例えば、炭化水素芳香環の1つ以上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基などで置換されたものが挙げられる。パーフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。その他の置換基の例示は既に記載したとおりである。

【0026】
ヘテロ芳香環としては、例えば、チオフェン環、チアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、フラン環、オキサゾール環、ピリジン環などのほか、ヘテロ芳香環と炭化水素芳香環との縮合環やヘテロ芳香環同士の縮合環などが挙げられる。置換ヘテロ芳香環としては、例えば、ヘテロ芳香環の1つ以上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基などで置換されたものが挙げられる。これらの置換基の例示は既に記載したとおりである。

【0027】
π1、π2は同じであっても異なっていてもよいπ共役ユニットであって、該π共役ユニットは、上記式(1)では、2価のアルケニル基、2価の置換アルケニル基、2価のアルキニル基、2価の置換アルキニル基、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環であり、上記式(2)では、2価の炭化水素芳香環、2価の置換炭化水素芳香環、2価のヘテロ芳香環又は2価の置換ヘテロ芳香環である。

【0028】
アルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基などが挙げられる。置換アルケニル基としては、アルケニル基のいずれか1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたものなどが挙げられる。

【0029】
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。置換アルキニル基としては、アルキニル基のいずれか1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたものなどが挙げられる。

【0030】
炭化水素芳香環、置換炭化水素芳香環、ヘテロ芳香環及び置換ヘテロ芳香環の例示については、既に記載したとおりである。

【0031】
-NR34はπ1又はπ2のうちホスホール骨格側へ電子を供与可能な位置に結合している。例えば、式(1)では、nがゼロでπ1がベンゼン環の場合、-NR34はベンゼン環のパラ位に結合していることが好ましい。また、nが1でπ1及びπ2がベンゼン環の場合には、π2のベンゼン環はπ1のベンゼン環のパラ位に結合し、-NR34はπ2がベンゼン環のパラ位に結合していることが好ましい。

【0032】
1はアリール基又は置換アリール基であることが好ましい。R2は水素原子、アリール基又は置換アリール基であることが好ましい。R3及びR4は同じものであって、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であることが好ましい。R5及びR6は同じものであって、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であることが好ましい。Arはベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましい。式(1)では、nはゼロであり、π1はベンゼン環であり、-NR34はベンゼン環であるπ1のパラ位に結合していることが好ましい。式(2)では、nはゼロであり、π1はベンゼン環であり、-NR34はインデン環の5位又は6位に結合していることが好ましい。これらの場合、R3及びR4は、アルキル基又は置換アルキル基であり、ベンゼン環であるπ1に結合してアルキレン鎖又は置換アルキレン鎖を形成していてもよい。特に、本発明のホスホール化合物は、下記式(1’)又は(2’)で表されるものが好ましい。

【0033】
【化3】
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【0034】
本発明のホスホール化合物は、蛍光色素に利用可能である。例えば、このホスホール化合物を含有する蛍光色素をある環境に添加し、その後、その環境のストークスシフト値を測定すれば、ストークスシフト値からその蛍光色素の周囲の環境がどのような極性に変化したかを知ることができる。また、こうした蛍光色素で生細胞を染色した後、染色した細胞の発光色を調べれば、その発光色から細胞の周囲の環境の極性を知ることができ、細胞内環境のイメージングが可能になる。その他に、高効率発光材料として有機電子デバイスへ応用したりすることも可能である。
【実施例】
【0035】
1.一般操作
1H,13Cおよび31P NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置A-400 spectrometer(JEOL)を用いて測定した(共鳴周波数1H:400MHz,13C:100MHz,31P:162MHz)。1H NMRのケミカルシフト値は、重クロロホルムあるいは重ジクロロメタンの残留プロトンのシグナル(δ7.26ppm,δ5.30ppm)を内部標準として決定した。また、13C NMRのケミカルシフト値は重クロロホルムあるいは重ジクロロメタンのシグナル(δ77.16ppm,δ53.8ppm)を内部標準として用いた。31P NMRのケミカルシフト値は、H3PO4のシグナル(δ0.0ppm)を外部標準として用いた。薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲル60F254(Merck)を塗布したガラス板を用いて行った。カラムクロマトグラフィーは、PSQ 100B(富士シリシア)を用いて行った。分取リサイクルHPLCには、シリカゲルカラム(和光純薬、Wakosil-II 5-Prep)を備えたLC-918(日本分析工業)を用いた。分取リサイクル型ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、ポリスチレンゲルカラム(JAIGEL 1H,日本分析化学工業,移動層:クロロホルム)を備えたLC-918(日本分析化学工業)を使用した。脱水溶媒は、関東化学から購入した溶媒を、有機溶媒精製装置(Glass Contour社製)を用いて精製したものを用いた。脱気した溶媒として、溶媒にアルゴンガスを20分以上吹き込んだものを使用した。反応は特に記述のない限り、アルゴン雰囲気下で行った。
【実施例】
【0036】
2.合成
(1)2-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]-1,3-ジフェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(化合物1)の合成
以下のスキームに従って、化合物1を合成した。
【実施例】
【0037】
【化4】
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【実施例】
【0038】
文献記載の公知化合物である1-ブロモ-2-[(4-クロロフェニル)エチニル]ベンゼン(Org. Lett. 2012, vol.14, No.23, p6032-6035)(0.508g,1.74mmol)を脱水THF(3mL)に溶解させた。-78℃にてt-BuLiのペンタン溶液(1.65M,2.10mL,3.48mmol)を3分間かけて滴下し、そのまま45分間撹拌した。PhP(NEt2)Cl(0.350mL,392mg,1.75mmol)を加え、1.5時間後にPBr3(0.164mL,471mg,1.74mmol)を加えた。その後、反応溶液を室温まで昇温し、19時間撹拌した。続いて、0℃で30%H22溶液(1mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に0℃で飽和Na2SO3水溶液を加えた後、減圧下で溶媒を濃縮し、クロロホルムで抽出した。有機層をあわせて飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 20:1,Rf=0.28)で精製することにより、3-ブロモ-2-(4-クロロフェニル)-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(合成中間体M1)を無色固体として358mg(0.861mmol,収率49%)得た。合成中間体M1のスペクトルデータは以下のとおり。
【実施例】
【0039】
1H NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.74(dd, JCP = 8.0 Hz, 3.2 Hz, 1H), 7.68-7.60 (m, 6H), 7.52-7.45 (m, 2H), 7.39 (dt, JCP = 7.6 Hz, 3.2 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13C[1H] NMR (100MHz, CD2Cl2): δ 141.91 (d, JCP = 22.2 Hz, C), 136.16 (d, JCP = 87.3 Hz, C), 135.31 (C), 133.94 (d, JCP = 1.6 Hz, CH), 133.28 (d, JCP = 36.2Hz, C), 133.08 (d, JCP = 2.4 Hz, CH), 131.61 (d, JCP = 105.4 Hz, C), 131.29 (d,JCP = 10.7 Hz, CH), 131.23 (d, JCP = 8.3 Hz, C), 130.83 (d, JCP = 11.5 Hz, CH),130.32 (d, JCP = 5.0 Hz, CH), 129.42 (d, JCP = 20.6 Hz, CH), 129.24 (s, CH), 129.18 (d, JCP = 103.2 Hz, C), 128.82 (d, JCP = 9.1 Hz, CH), 125.41 (d, JCP = 9.9 Hz, CH). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 34.20. HRMS (APCI): m/z calcd. for C20H1479BrClOP: 414.9654 ([M+H]+); found. 414.9670.
【実施例】
【0040】
合成中間体M1(358mg,0.861mmol)とフェニルボロン酸(115mg,0.947mmol),Pd2(dba)3・CHCl3(22mg,0.022mmol),S-Phos(18mg,0.043mmol),K3PO4(270mg,1.27mmol)の混合物に脱気したトルエン(8.5mL)と脱気した水(1.7mL)を加え、12時間、80℃で加熱した。クロロホルムを用いて抽出した後、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 10:1,Rf=0.40)で精製することにより無色固体として合成中間体M2を338mg(0.819mmol,収率95%)得た。合成中間体M2のスペクトルデータは以下のとおり。
【実施例】
【0041】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.73-7.63 (m, 6H), 7.51-7.37 (m, 8H), 7.33-7.31 (m, 2H), 7.22 (dd, J = 8.0, 3.2 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.07 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13C[1H] NMR (100 MHz, CD2Cl2): δ 150.94 (d, Jcp = 20.6 Hz, C), 143.89 (d, Jcp = 26.4 Hz, C), 134.33 (d, Jcp = 14.0 Hz, C), 134.07 (s, C), 133.59 (d,Jcp = 94.7 Hz, C), 133.40 (d, Jcp = 1.6 Hz, CH), 132.66 (d, Jcp = 2.4 Hz, CH), 132.60 (d, Jcp = 103.7 Hz, C), 132.03 (d, Jcp = 9.9 Hz, C), 131.27 (d, Jcp = 10.7 Hz, CH), 130.71 (d, Jcp = 5.8 Hz, CH), 130.40 (d, Jcp = 98.8 Hz, C), 129.74 (d, Jcp = 10.7 Hz, CH), 129.48 (s, CH), 129.39 (s, CH), 129.33 (d, Jcp = 13.2 Hz, CH), 129.28 (s, CH), 129.18 (d, Jcp = 9.1 Hz, CH), 128.87 (s, CH), 124.66 (d, Jcp = 10.7 Hz, CH). 31P[1H] NMR (38.16 MHz, CD2Cl2): δ 38.16. HRMS (APCI): m/z calcd. for C26H19ClOP: 413.0857 ([M+H]+); found. 413.0854.
【実施例】
【0042】
合成中間体M2(74.7mg,0.181mmol)とジフェニルアミン(31.5mg,0.186mmol),Pd(dba)2(2.3mg,0.0040mmol),Q-Phos(5.0mg,0.0069mmol),t-BuONa(18.0mg,0.187mmol)の混合物に脱水トルエン(1mL)を加え、80℃で24時間撹拌した。続いて、1N NH4Cl水溶液を加え、トルエンで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 20:1,Rf=0.35)にて分離した後、HPLCで精製することにより、43.4mg(0.0795mmol,収率44%)の化合物1を黄色固体として得た。化合物1のスペクトルデータは以下のとおり。
【実施例】
【0043】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.76 (ddd, J = 12.0, 7.8, 1.2 Hz, 2H), 7.59 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.51-7.30 (m, 10H), 7.21-7.17 (m, 4H), 7.10 (dd, J = 7.6, 2.8 Hz, 1H), 7.05-6.96 (m, 8H), 6.67 (d, J = 8.8 Hz, 2H). 13C[1H] NMR (100MHz, CD2Cl2): δ 148.38 (d, JCP = 21.4 Hz, C), 147.27 (s, C), 147.48 (s, C), 144.61 (d, JCP = 27.2 Hz, C), 135.43 (d, JCP = 14.8 Hz, C), 134.05 (d, JCP = 94.6 Hz, C), 133.29 (s, CH), 132.59 (d, JCP = 104.6 Hz, C), 132.47 (d, JCP = 2.5 Hz, CH), 131.50 (d,JCP = 98.0 Hz, C), 131.29 (d, JCP = 10.7 Hz, CH), 130.24 (d, JCP = 5.7 Hz, CH),129.71 (s, CH), 129.52 (s, CH), 129.42 (s, CH), 129.31 (d, JCP = 12.3 Hz, CH), 129.14 (d, JCP = 10.7 Hz, CH), 128.98 (s, CH), 128.88 (d, JCP = 9.8 Hz, CH), 126.31 (d, JCP = 10.7 Hz, C),125.57 (s, CH), 124.13 (d, JCP = 10.7 Hz, CH), 124.02(s, CH), 121.71 (s, CH). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 38.29. HRMS (APCI): m/z calcd. for C38H29NOP: 546.1981 ([M+H]+); found. 546.1990.
【実施例】
【0044】
(2)2-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(化合物2)の合成
以下のスキームに従って、化合物2を合成した。
【実施例】
【0045】
【化5】
JP2015111647A1_000007t.gif
【実施例】
【0046】
文献記載の公知化合物である2-ブロモ-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(Chem. Eur. 2012, vol.18, p15972-15983)(60.3mg,0.198mmol)とジフェニルアミノフェニルボロン酸(88.6mg,0.306mmol),Pd2(dba)3・CHCl3(5.4mg,0.0052mmol),S-Phos(4.3mg,0.011mmol),K3PO4(62.9mg,0.296mmol)の混合物に、脱気したトルエン(4mL)と脱気した水(1mL)を加え、80℃で1.5時間撹拌した。その後、1N NH4Cl水溶液を加え、トルエンで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを瀘別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/Et3N 20:1,Rf=0.45)にて分離した後、HPLCおよびGPCを用いて精製することにより53.3mg(114mmol,収率58%)の化合物2を黄色固体として得た。化合物2のスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0047】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.71 (ddd, J = 12.4, 7.2, 1.2 Hz, 2H), 7.53-7.44 (m,6H), 7.42-7.37 (m, 3H), 7.31-7.22 (m, 5H), 7.06-7.02 (m, 6H), 6.93 (d, J = 8.4 Hz, 2H). 13C[1H] NMR (100MHz, CD2Cl2): δ 148.92 (s, C), 147.49 (s, C), 142.57 (d, JCP = 28.0 Hz, C), 138.62 (d, JCP = 93.0 Hz, C), 134.36 (d, JCP = 19.8 Hz, CH), 133.57 (d, JCP = 1.7 Hz, CH), 133.15 (d, JCP = 107.8 Hz, C), 132.52 (d, JCP =2.4 Hz, CH), 131.14 (d, JCP = 96.4 Hz, C), 131.09 (d, JCP = 10.7 Hz, CH), 129.77 (s, CH), 129.29 (d, JCP = 11.5 Hz, CH), 128.96 (d, JCP = 9.9 Hz, CH), 127.79 (d, JCP = 6.6 Hz, CH), 126.20 (d, JCP = 10.7 Hz, C), 125.53 (s, CH), 124.76 (d, JCP = 9.1 Hz, CH), 124.09 (s, CH), 122.62 (s, CH). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 38.44. HRMS (APCI): m/z calcd. for C32H25NOP: 470.1674 ([M+H]+); found. 470.1681.
【実施例】
【0048】
(3)2-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(化合物3)の合成
以下のスキームに従って、化合物3を合成した。
【実施例】
【0049】
【化6】
JP2015111647A1_000008t.gif
【実施例】
【0050】
文献記載の公知化合物である2-ブロモ-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(Chem. Eur. J. 2012, vol.18, p15972.)(61.5mg,0.202mmol)とジメチルアミノフェニルボロン酸(51.6mg,0.313mmol),Pd2(dba)3・CHCl3 (6.1mg,0.0059mmol),S-Phos(4.7mg,0.011mmol),K3PO4(63.7mg,0.300mmol)の混合物に、脱気したトルエン(4mL)と脱気した水(1mL)を加え、80℃で1時間撹拌した。その後、蒸留水を加え、トルエンで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを瀘別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/Et3N 20:1,Rf=0.50)にて分離した後、HPLCを用いて精製し、クロロホルムとヘキサンから二回再結晶することにより6.6mg(0.0191mmol,収率9.5%)で化合物3を黄色固体として得た。化合物3のスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0051】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.71 (dd, J = 12.4, 7.2 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.53-7.45 (m, 4H), 7.40-7.35 (m, 3H), 7.26 (td, J = 7.2, 4.0 Hz, 1H), 6.77 (s, br, 2H), 2.95 (s, 6H). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 38.84. HRMS (APCI): m/z calcd. for C22H21NOP: 346.1361 ([M+H]+); found. 346.1371.
【実施例】
【0052】
(4)2-[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]-1,3-ジフェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(化合物4)の合成
以下のスキームに従って、化合物4を合成した。
【実施例】
【0053】
【化7】
JP2015111647A1_000009t.gif
【実施例】
【0054】
文献記載の公知化合物である3-ブロモ-1-フェニル-2-トリメチルシリルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド (Chem. Asian J. 2009, vol.4, p1729.) (0.490g,1.30mmol)とフェニルボロン酸(0.174g,1.43mmol),Pd(PPh34(0.149g,0.129mmol),K3PO4(0.408g,1.92mmol)の混合物に脱気したトルエン(10mL)と脱気した水(2.5mL)を加え、80℃で25時間加熱した。その後、蒸留水を加え、トルエンで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 10:1,Rf=0.30)にて精製し、0.413g(1.10mmol,収率85%)の1,3-ジフェニル-2-トリメチルシリルベンゾ[b]ホスホール[P]オキシド(合成中間体M3)を白色固体として得た。
【実施例】
【0055】
続いて空気中で、合成中間体M3(0.413g,1.10mmol)とNBS(0.217g,1.22mmol)の混合物にアセトニトリル(10mL)を加えた。加熱還流を8時間行った後、蒸留水を加え、クロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムと濾別し、減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 10:1,Rf=0.40)にて精製し、0.393g(1.03mmol,収率94%)の2-ブロモ-1,3-ジフェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(合成中間体M4)を白色固体として得た。
【実施例】
【0056】
合成中間体M4(0.194g,0.509mmol)とジメチルアミノフェニルボロン酸(0.102g,0.619mmol),Pd2(dba)3・CHCl3(15.6mg,0.0151mmol),S-Phos(12.3mg,0.0300mmol),K3PO4(0.159g,0.750mmol)の混合物に、脱気したトルエン(4mL)と脱気した水(1mL)を加え、80℃で12時間撹拌した。その後、蒸留水を加え、トルエンを取り除き、クロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで、化合物4を含む粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 10:1,Rf=0.25)にて分離した後、HPLCおよびGPCを用いて精製することにより、化合物4を黄色固体として得た。
【実施例】
【0057】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.75 (ddd, J = 12.4, 7.6, 1.2 Hz, 2H), 7.58 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.49-7.35 (m, 9H), 7.28 (td, J = 7.2, 4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.07 (dd, J = 7.6, 2.8 Hz, 1H), 6.41 (s, br, 2H), 2.83 (s, 6H). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 38.67. HRMS (APCI): m/z calcd. for C28H25NOP: 422.1674 ([M+H]+); found. 422.1691.
【実施例】
【0058】
(5)2-[(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)-3-[4-(メチルトリエチレングリコキシ)フェニル]-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(化合物5)の合成
以下のスキームに従って、化合物5を合成した。
【実施例】
【0059】
【化8】
JP2015111647A1_000010t.gif
【実施例】
【0060】
(4-ヒドロキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステル(Sigam-Aldrich社製,1.68g,7.61mmol)とトリエチレングリコールメチルエーテルトシラート(2.42g,7.61mmol),K2CO3(1.05g,7.61mmol)の混合物に脱水DMF(11mL)を加え、80℃で16時間撹拌した。その後、クロロホルムを加えて濾過し、濾液を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 1:1,Rf=0.35)にて精製することで、2.49g(7.12mmol,収率94%)の4-(メチルトリエチレングリコキシ)フェニルボロン酸ピナコールエステル(合成中間体M5)を薄黄色液体として得た。
【実施例】
【0061】
文献記載の公知化合物である3-ブロモ-1-フェニル-2-トリメチルシリルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(Chem. Asian J. 2009, vol.4, p1729)(1.11g,3.00mmol)と合成中間体M5(1.32g,3.60mmol),Pd2(dba)3・CHCl3(103.5mg, 0.100mmol),S-Phos(49.9mg,0.122mmol),K3PO4(1.91g,9.00mmol)の混合物に脱気したトルエン(24mL)と脱気した水(6mL)を加え、80℃で12.5時間撹拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/AcOEt 5:1 +0.5%Et3N,Rf=0.25)にて分離した後、GPCおよびHPLCを用いて精製することにより、3-[4-(メチルトリエチレングリコキシ)フェニル]-1-フェニル-2-トリメチルシリルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(合成中間体M6)を無色液体として得た。
【実施例】
【0062】
合成中間体M6(0.116g,0.216mmol)とNBS(40.9mg,0.230mmol)の混合物にアセトニトリル(2.5mL)を加え、80℃で5時間撹拌した。この実験は空気中で行った。亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt,Rf=0.30)で精製し、97.3mg(0.179mmol,収率83%)の2-ブロモ-3-[4-(メチルトリエチルグリコキシ)フェニル]-1-フェニルベンゾ[b]ホスホール-P-オキシド(合成中間体M7)を無色液体として得た。
【実施例】
【0063】
合成中間体M7(51.0mg,93.9μmol)とジメチルアミノフェニルボロン酸(27.1mg,0.164mmol),Pd2(dba)3・CHCl3(2.1mg,0.0020mmol),S-Phos(1.8mg,0.0044mmol),K3PO4(30.3mg,0.143mmol)の混合物に、脱気したトルエン(2mL)と脱気した水(0.5mL)を加え、80℃で2.5時間撹拌した。その後、蒸留水を加え、トルエンを取り除き、クロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。硫酸ナトリウムを瀘別し、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/AcOEt 1:10 +1%Et3N,Rf=0.30)にて精製することにより、化合物5を黄色固体として得た。化合物5のスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0064】
1H NMR (400MHz, CD2Cl2): δ 7.74 (dd, J = 12.0, 7.6 Hz, 2H), 7.58 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 7.49-7.36 (m, 4H), 7.32-7.27 (m, 3H), 7.17-7.15 (m, 3H), 7.01 (d, J = 8.4Hz, 2H), 6.49 (s, br, 2H), 4.16 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 3.84 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 3.70-3.67 (m, 2H), 3.63-3.58 (m, 4H), 3.51-3.48 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 2.86 (s, 6H). 31P[1H] NMR (161.70MHz, CD2Cl2): δ 38.28. HRMS (APCI): m/z calcd. for C35H39NO5P: 584.2566 ([M+H]+); found. 584.2570.
【実施例】
【0065】
(6)化合物6a-6dの合成
以下のスキームに従って、化合物6a-6dを合成した。但し、化合物6aは、合成方法は異なるものの化合物2と同じであるため、以下には代表例として化合物6bの合成方法を詳しく説明する。
【実施例】
【0066】
【化9】
JP2015111647A1_000011t.gif
【実施例】
【0067】
・化合物6b
2-ブロモ-3-ヨードナフタレン(5mmol), 4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルアセチレン(5.25mmol),Pd(PPh34(0.10mmol),CuI(0.10mmol),トルエン(10mL)及びi-Pr2NH(5mL)の懸濁液を室温で20時間攪拌した。その後、濾過により無機塩を除去し、すべての揮発性物質を減圧下で蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィ(溶出液はヘキサン/CH2Cl2=4/1)により分離したあと、 得られた粗生成物をMeOHから再結晶することにより精製し、白色粉末である合成中間体M8bを収率96%で得た。
【実施例】
【0068】
合成中間体M8b(2.4mmol)を無水THF(30mL)に溶かした溶液へ、t-BuLi(4.92mmol)のn-ペンタン溶液を-78℃で滴下して加えた。その後、混合液を-40℃まで4時間かけてゆっくり温めた。その混合液を-78℃に冷やした後、PhP(NEt2)Cl(2.40mmol)を加え、その混合液を2時間かけて室温までゆっくり温めた。その混合液を再び-78℃に冷やした後、PBr3(2.40mmol)を加え、得られた混合液を室温まで温めた。室温で36時間攪拌した後、反応混合液をH22水溶液(2mL,30%)を用いて0℃で1時間攪拌して酸化させた。Na2SO3水溶液(50mL,10%)を用いて0℃で反応をクエンチした後、 混合液をEtOAc(100mL)で2回抽出した。合わせた有機層をH2O(50mL), ブライン(50mL)で洗浄し、その後、無水Na2SO4で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮後、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液はCH2Cl2 からCH2Cl2/EtOAc=10/1へ切り替えた)で精製し、MeOHから再結晶し、黄色の粉末である合成中間体M9bを収率47%で得た。
【実施例】
【0069】
合成中間体M9b(0.418mmol)を無水トルエン(3mL)に懸濁させた懸濁液へ、HSiCl3(2.1mmol)を室温で一度に加えた。1時間攪拌後、揮発性物質を減圧下で除去した。その後、トルエン(2mL)を加え、得られた懸濁液をアルゴン雰囲気下、セライトプラグを通して濾過し、トルエン(4mL)でリンスした。濾液を濃縮後、生じた固体を無水THF(15mL)に溶かした。この溶液へt-BuLiのペンタン溶液(1.77M,0.70mL,1.24mmol)を-78℃で加え、1時間攪拌した。NH4Clの飽和水溶液(1mL)で反応をクエンチし、室温になるまで放置した。その後、混合液を0℃でH22水溶液(1mL,30%)を用いて酸化し、1時間攪拌した。0℃でNa2SO3水溶液(20mL,10%)を用いて反応をクエンチした後、混合液をEtOAc(50mL)で2回抽出した。合わせた有機層をH2O(20mL),ブライン(20mL)で洗浄し、その後無水Na2SO4で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮後、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液はCH2Cl2 からCH2Cl2/EtOAc=5/1へ切り替えた)で精製し、MeOH(10mL)から再結晶し、黄色の粉末である化合物6bを収率84%で得た。化合物6bのスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0070】
Rf = 0.30 (CH2Cl2/EtOAc = 20/1); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.06 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.84・7.73 (m, 5H), 7.65 (d, J = 35.6 Hz, 1H), 7.57・7.38 (m, 7H), 7.27・7.23 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 7.09・7.03 (m, 6H), 6.97 (d, J = 7.6 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 148.18 (s, C), 146.77 (s, C), 138.66 (d, J = 93.9 Hz, C), 137.88 (d, J = 28.0 Hz, C), 135.56 (d, J = 1.6 Hz, C), 134.86 (d, J = 19.0 Hz, CH), 132.75 (d, J = 11.5 Hz, C), 131.91 (d, J = 2.5 Hz, CH), 130.84 (d, J = 98.8 Hz, C), 130.72 (d, J = 109.5 Hz, C), 130.65 (d, J = 10.7 Hz, CH), 130.51 (d, J = 9.9 Hz, CH), 129.16 (s, CH), 128.94 (s, CH), 128.66 (d, J = 12.3 Hz, CH), 128.26 (s, CH), 127.46 (d, J = 7.4 Hz, CH), 126.67 (s, CH), 125.78 (d, J = 10.7 Hz, C), 124.79 (s, CH), 123.41 (s, CH), 123.00 (d, J = 9.1 Hz, CH), 122.23 (s, CH),CH炭素に対応する一重線のうち1つが他のシグナルと重なっており、特定できない;31P NMR (162 MHz, CDCl3): δ = 38.24; HRMS (APCI): m/z calcd. for C36H27NOP: 520.1825 ([M+H]+); found. 520.1831.
【実施例】
【0071】
・化合物6c
合成中間体M8cは、4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニルアセチレンの代わりに2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)アセチレンを用いた以外は、合成中間体M8bの合成方法に準じて合成した。また、合成中間体M9cは、合成中間体M8bの代わりに合成中間体M8cを用いた以外は、合成中間体M9bの合成方法に準じて合成した。更に、化合物6cは、合成中間体M9bの代わりに合成中間体M9cを用いた以外は、化合物6bの合成方法に準じて合成した。この化合物6cは、N上のアルキル基がアニリンのベンゼン環に結合してアルキレン鎖(プロピレン鎖)を形成した化合物の一例といえる。化合物6cのスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0072】
Rf = 0.21 (CH2Cl2/EtOAc = 20/1); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.07 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.89・7.78 (m, 4H), 7.66 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.57・7.32 (m, 8H), 3.20 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 2.82・2.67 (m, 4H), 1.98・1.93 (m, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 143.70 (s, C), 139.76 (d, J = 93.9 Hz, C), 138.90 (d, J = 28.8 Hz, C), 136.11 (s, C), 132.84 (d, J = 11.5 Hz, C), 131.90 (d, J = 2.5 Hz, CH), 131.81 (d, J = 98.8 Hz, C), 131.56 (d, J = 18.9 Hz, CH), 131.41 (d, J = 108.7 Hz, C), 131.01 (d, J = 10.7 Hz, CH), 130.62 (d, J = 9.8 Hz, CH), 129.31 (s, CH), 128.80 (d, J = 11.5 Hz, CH), 128.33 (s, CH), 128.29 (s, CH), 126.42 (s, CH), 125.75 (d, J = 7.5 Hz, CH), 121.82 (d, J = 9.1 Hz, CH), 121.31 (s, C), 119.73 (d, J = 10.7 Hz, C), 49.98 (s, CH), 27.80 (s, CH), 21.82 (s, CH); 31P NMR (162 MHz, CDCl3): δ = 38.51; HRMS (APCI): m/z calcd. for C30H27NOP: 448.1825 ([M+H]+); found. 448.1831.
【実施例】
【0073】
・化合物6d
合成中間体M8dは、2-ブロモ-3-ヨードナフタレンの代わりに1-ブロモナフタレン-2-イルトリフレートを用いた以外は、合成中間体M8bの合成方法に準じて合成した。また、合成中間体M9dは、合成中間体M8bの代わりに合成中間体M8dを用いた以外は、合成中間体M9bの合成方法に準じて合成した。更に、化合物6dは、合成中間体M9bの代わりに合成中間体M9dを用いた以外は、化合物6bの合成方法に準じて合成した。化合物6dのスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0074】
Rf = 0.44 (CH2Cl2/EtOAc = 20/1); 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ = 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.86・7.81 (m, 3H), 7.65・7.56 (m, 4H), 7.50・7.37 (m, 5H), 7.30・7.26 (m, 4H), 7.10・7.06 (m, 6H), 6.98 (d, J = 8.8 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 148.57 (s, C), 147.20 (s, C), 141.74 (d, J = 27.1 Hz, C), 139.42 (d, J = 93.9 Hz, C), 134.20 (d, J = 1.6 Hz, CH), 133.57 (d, J = 8.3 Hz, C), 133.36 (d, J = 21.4 Hz, CH), 132.21 (d, J = 2.4 Hz, CH), 132.01 (d, J = 9.1 Hz, C), 130.80 (d, J = 10.7 Hz, CH), 130.65 (d, J = 95.5 Hz, C), 129.48 (s, CH), 129.15 (d, J = 12.3 Hz, CH), 128.90 (s, CH), 128.50 (s, CH), 127.63 (d, J = 6.5 Hz, CH), 127.54 (d, J = 106.2 Hz, C), 126.47 (s, CH), 125.95 (d, J = 11.6 Hz, C), 125.32 (d, J = 4.1 Hz, CH), 125.22 (s, CH), 123.73 (s, CH), 122.58 (s, CH), 122.28 (d, J = 10.7 Hz, CH); 31P NMR (162 MHz, CDCl3): δ = 40.52; HRMS (APCI): m/z calcd. for C36H27NOP: 520.1825 ([M+H]+); found. 520.1822.
【実施例】
【0075】
(7)化合物7a,7bの合成
以下のスキームに従って、化合物7a,7bを合成した。
【実施例】
【0076】
【化10】
JP2015111647A1_000012t.gif
【実施例】
【0077】
・化合物7a
合成中間体M9a(1.24mmol)を無水トルエン(5mL)に懸濁させた懸濁液へ、HSiCl3(6.24mmol)を室温で一度に加えた。1時間攪拌後、すべての揮発性物質を減圧下で除去した。その後、トルエン(5mL)を加え、得られた懸濁液をアルゴン雰囲気下、セライトプラグを通して濾過し、トルエン(5mL)でリンスした。濾液を濃縮後、得られた固体を無水THF(15mL)に溶かした。この溶液へt-BuLiのペンタン溶液(1.77M,1.47mL,2.60mmol)を-78℃で10分かけて添加した。1時間攪拌後、ベンゾフェノン(2.74mmol)を一度に加え、得られた混合液を室温まで6時間かけてゆっくり温めた。その後、NH4Clの飽和水溶液(2mL)を用いて0℃で反応をクエンチし、続いてH22水溶液(1mL,30%)で酸化し、室温で1時間攪拌した。Na2SO3水溶液(20mL,10%)で反応をクエンチした後、混合液をEtOAc(50mL)で2回抽出した。合わせた有機層をH2O(20mL),ブライン(20mL)で洗浄し、その後無水Na2SO4で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮後、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィ(溶出液はCH2Cl2 からCH2Cl2/EtOAc=2/1へ切り替えた)及びGPC(CHCl3)で精製し、薄黄色の固体である合成中間体M10aを収率51%で得た。
【実施例】
【0078】
次に、合成中間体M10a(0.422mmol)の無水CH2Cl2(15mL)の溶液へBF3・OEt2(0.844mmol)を室温で添加した。1時間攪拌後、EtOH(1mL)とH2O(30mL)で反応をクエンチし、混合液をCH2Cl2(50mL)で2回抽出した。合わせた有機層をH2O(20mL)で洗浄し、その後無水Na2SO4で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮後、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィ(溶出液はCH2Cl2 からCH2Cl2/EtOAc=5/1へ切り替えた)及びMeOH(20mL)からの再結晶で精製し、黄色の粉末である化合物7aを収率65%で得た。化合物7aのスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0079】
Rf = 0.23 (CH2Cl2/EtOAc = 20/1); 1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ = 7.78・7.73 (m, 2H), 7.62・7.54 (m, 2H), 7.45 (td, J = 7.2 Hz, J = 2.0 Hz, 2H), 7.30・7.17 (m, 18H), 7.12 (dd, J = 7.6 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 7.02・6.98 (m, 6H), 6.87 (dd, J = 8.4 Hz, J = 1.6 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 165.75 (d, J = 20.6 Hz, C), 158.35 (d, J = 9.9 Hz, C), 147.43 (s, C), 147.26 (s, C), 141.14 (s, C), 140.59 (s, C), 138.75 (d, J = 103.7 Hz, C), 138.51 (d, J = 19.8 Hz, C), 137.09 (d, J = 108.6 Hz, C), 132.41 ( br m, CH), 131.18 (d, J = 11.6 Hz, C), 130.81 (d, J = 10.7 Hz, CH), 130.04 (d, J = 102.9 Hz, C), 129.49 (d, J = 9.9 Hz, CH), 129.19 (s, CH), 128.98 (d, J = 12.3 Hz, CH) 128.67 (s, CH), 128.57 (s, CH), 128.51 (s, CH), 128.24 (d, J = 11.6 Hz, CH), 127.41 (s, CH), 124.46 (s, CH), 123.19 (s, CH), 122.45 (s, CH), 122.28 (s, CH), 120.05 (s, CH), 66.31 (d, J = 11.9 Hz, C),CH炭素の二重線のうち123.07ppmのシグナルと対をなす1つと、CH炭素の1つの二重線及び2つの一重線が他のシグナルと重なっており、特定できない;31P NMR (162 MHz, CD2Cl2): δ = 24.81; HRMS (APCI): m/z calcd. for C45H33NOP: 634.2294 ([M+H]+); found. 634.2302.
【実施例】
【0080】
・化合物7b
合成中間体M10bは、合成中間体9b(0.500mmol)と4,4’-ビス(トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル)ベンゾフェノン(0.600mmol)を出発原料として、合成中間体M10aと同様にして合成した。また、化合物7bは、合成中間体M10aの代わりに合成中間体M10bを用いた以外は、化合物7aと同様にして合成した。化合物7aのスペクトルデータは以下の通り。
【実施例】
【0081】
Rf = 0.38 (EtOAc); 1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ = 8.07 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 7.84・7.80 (m, 2H), 7.73 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.52 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.46・7.39 (m, 5H), 7.30・7.26 (m, 3H), 7.21・7.18 (m, 7H), 7.02・6.98 (m, 6H), 6.85・6.80 (m, 5H), 4.11・4.08 (m, 4H), 3.85・3.83 (m, 4H), 3.74・3.71 (m, 4H), 3.68・3.62 (m, 8H), 3.54・3.51 (m, 4H), 3.36 (s, 3H), 3.35 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ = 166.78 (d, J = 18.5 Hz, C), 159.12 (d, J = 9.9 Hz, C), 158.10 (s, C), 158.07 (s, C), 147.55 (s, C), 147.37 (s, C), 139.55 (d, J = 103.6 Hz, C), 135.22 (s, C), 134.25 (d, J = 21.0 Hz, C), 133.61 (s, C), 133.07 (s, C), 132.64 (d, J = 12.3 Hz, C), 132.37 (d, J = 2.5 Hz, CH), 131.06 (d, J = 9.9 Hz, CH), 131.04 (d, J = 11.1 Hz, C), 129.91 (s, CH), 129.75 (s, CH), 129.26 (s, CH), 129.08 (s, CH), 129.01 (d, J = 12.5 Hz, CH), 128.92 (s, CH), 128.34 (s, CH), 127.04 (s, CH), 124.58 (s, CH), 123.24 (s, CH), 122.60 (s, CH), 122.23 (d, J = 8.6 Hz, CH), 122.17 (s, CH), 119.85 (s, CH), 114.61 (s, CH), 114.54 (s, CH), 71.97 (s, CH), 70.86 (s, CH), 70.85 (s, CH), 70.71 (s, CH), 70.62 (s, CH), 69.73 (s, CH), 69.71 (s, CH), 67.43 (s, CH), 65.11 (d, J = 9.9 Hz, C), 59.07 (s, CH),4級炭素に対応する二重線のうち135.94ppmのシグナルと対をなす1つのシグナルと、130.35ppmのシグナルと対をなす1つと、芳香族CH炭素に対応する二重線のうち131.18ppmのシグナルと対をなす1つと、脂肪族CH炭素に対応する5つの一重線が他のシグナルと重なっており、特定できない; 31P NMR (162 MHz, CDCl3): δ = 24.83; HRMS (APCI): m/z calcd. for C63H63NO9P: 1008.4235 ([M+H]+); found. 1008.4217.
【実施例】
【0082】
3.光物性
化合物1~3,6b~6d,7a及び7bにつき、光物性を測定した。紫外可視吸収スペクトルは紫外可視近赤外分光光度計UV-3150(島津製作所)を、蛍光スペクトルは分光蛍光光度計F-4500(日立)を用いて測定した。絶対蛍光量子収率の測定には、絶対PL量子収率測定装置C9920-02あるいはC11347-01(浜松ホトニクス)を用いた。全ての試料は,ナカライテスク製の蛍光スペクトル測定用溶媒を用いて試料溶液を調製し、1cm角の石英セルを用いて測定した。試料濃度は、吸収スペクトル測定時は約10-5M、蛍光スペクトル測定時は消光が生じないことを確認した濃度の範囲内に設定した。絶対蛍光量子収率を測定する際には、アルゴンを数分間吹き込むことで溶存酸素を除いた。その結果を表1~表8に示す。なお、表には示さなかったが、ヘキサン、酢酸エチル及びメタノールの配向分極率△fは、それぞれ-0.000518、0.201及び0.309であった。
【実施例】
【0083】
表1より、化合物1は、溶媒の極性が増大すると、絶対蛍光量子収率を高い値に維持したまま蛍光波長が長波長シフトした。また、エタノール中でも高い絶対蛍光量子収率が得られた。このことは、従来のホスホール化合物の光物性と大きく異なる。すなわち、従来のホスホール化合物は、極性の低い溶媒中では強い蛍光を示すものの、極性の高いエタノールなどのプロトン性溶媒中では蛍光がみられなかった。これに対して、化合物1は、極性の低い溶媒から高い溶媒まで強い蛍光を示した。化合物2は、化合物1のベンゾホスホールの3位にフェニル基を有さない構造であるが、表1,2より化合物1,2の光物性はほぼ同等の結果であったことから、3位の置換基は光物性に大きな影響を与えないことがわかった。化合物3は、化合物2のベンゾホスホールの2位の4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル基を、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル基に置換した構造であるが、表2,3より化合物2に比べて化合物3の方が絶対蛍光量子収率が高い傾向にあるものの、全体的に化合物2,3の蛍光特性は類似していた。また、表4~6より化合物6b~6dも化合物1と同様の蛍光特性を示した。表7,8より化合物7a,7bのようにアニリンのベンゼン環とホスホール環とが縮合環で連結されている場合には化合物1と同様あるいはそれを凌ぐ蛍光特性を示した。
【実施例】
【0084】
【表1】
JP2015111647A1_000013t.gif
【実施例】
【0085】
【表2】
JP2015111647A1_000014t.gif
【実施例】
【0086】
【表3】
JP2015111647A1_000015t.gif
【実施例】
【0087】
【表4】
JP2015111647A1_000016t.gif
【実施例】
【0088】
【表5】
JP2015111647A1_000017t.gif
【実施例】
【0089】
【表6】
JP2015111647A1_000018t.gif
【実施例】
【0090】
【表7】
JP2015111647A1_000019t.gif
【実施例】
【0091】
【表8】
JP2015111647A1_000020t.gif
【実施例】
【0092】
4.光物性における溶媒効果
化合物1~3につき、表1~3の結果を用いて、溶媒の配向分極率Δfとストークスシフト値との関係を求めた。その結果を図1に示す。配向分極率Δfは、溶媒の誘電率εと屈折率nを用いて図1に示した式にしたがって算出した。ストークスシフト値は、吸収極大波長λmaxを単位cm-1となるように換算した値から、発光極大波長λexを単位cm-1となるように換算した値を引いた値とした。図1から明らかなように、化合物1~3は、いずれもストークスシフト値と配向分極率Δfとの関係は直線関係(1次関数)に近似できた。このことから、化合物1~3を蛍光色素として利用した場合、λmaxとλexを測定してストークスシフト値を求めれば、それに対応した配向分極率Δfを一義的に導くことができる。つまり、ストークスシフト値から、その蛍光色素の周囲の環境がどのような極性であるかを知ることができる。
【実施例】
【0093】
5.細胞染色実験
(1)化合物1を用いた細胞染色実験
ジメチルスルホキシドを0.1%含む化合物1の10mM水溶液中でHeLa細胞を37℃で24時間培養したのち、3%スクロース水溶液で細胞を洗浄し、顕微鏡観察を行った。観察には、ZEISS社の共焦点顕微鏡システム(LSM780)を用いた。その結果、核を除く細胞全体の染色が認められた。ピクセル毎の蛍光スペクトルを取得した結果、530nm、550nm、および565nmに発光極大をもつ3種類のスペクトルに分類できた。細胞の表層付近は主に530nm、細胞質の部分は565nmに極大をもつ発光を示し、細胞質中には550nmに発光極大をもつ箇所が点在していることが認められた。染色された細胞組織の極性環境に依存して発光色が異なることを反映しているものと考えられ、同一の化合物1を用いて細胞内環境のイメージングが可能であることが示された。
【実施例】
【0094】
(2)化合物3を用いた細胞染色実験
ジメチルスルホキシドを0.001%含む化合物3の100nM水溶液中で、HeLa細胞を37℃で1時間培養したのち、3%スクロース水溶液で細胞を洗浄し、顕微鏡観察を行った。観察には、ZEISS社の共焦点顕微鏡システム(LSM780)を用いた。その結果,核を除く細胞全体の染色が認められた。ピクセル毎の蛍光スペクトルを取得した結果、520nmおよび570nmに発光極大波長をもつ2種類のスペクトル分類された。この結果より、染色されている部位に応じて発光波長が異なることが分かった。
【実施例】
【0095】
6.耐光性
化合物1,2(6a),6b,7a,7b及び公知の蛍光色素Alexa-430の各々につき、吸光度が同程度(0.39~0.44)になるようにアセトニトリル溶液を調製した。溶液中の化合物の濃度は、化合物1:2.35×10-5M,化合物2(6a):2.17×10-5M,化合物6b:1.25×10-5M,化合物7a:3.30×10-5M,化合物7b:2.04×10-5Mであった。Alexa-430は耐光性の高い蛍光色素として知られている。各アセトニトリル溶液につき、溶液調製直後にモル吸光係数を測定した。その後、各アセトニトリル溶液に403nmのレーザ光を20分、60分、120分照射した後のモル吸光係数を測定し、レーザ光照射前(溶液調製直後)のモル吸光係数に対する相対吸光度を求めた。その結果を図2に示す。図2から明らかなように、化合物1,2(6a),6b及び蛍光色素Alexa-430と比べて、化合物7a,6bはレーザ光を120分照射した後も相対吸光度はほぼ1のままであり、非常に高い耐光性を示した。
【実施例】
【0096】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0097】
本出願は、2014年1月24日に出願された日本国特許出願第2014-11473号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、化学産業に利用可能であり、例えば、有機EL素子の発光材料や生体蛍光イメージングのための蛍光色素などに利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1