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明細書 :触覚提示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-084337 (P2017-084337A)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 触覚提示装置
国際特許分類 G06F   3/01        (2006.01)
G06F   3/0354      (2013.01)
B25J  19/02        (2006.01)
FI G06F 3/01 560
G06F 3/0354 432
B25J 19/02
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-163247 (P2016-163247)
出願日 平成28年8月24日(2016.8.24)
優先権出願番号 2015213500
優先日 平成27年10月29日(2015.10.29)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】ホ アンヴァン
出願人 【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121337、【弁理士】、【氏名又は名称】藤河 恒生
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
5B087
5E555
Fターム 3C707DS01
3C707ES03
3C707KS32
3C707KS33
3C707KW01
3C707KX08
5B087AB12
5B087BC11
5E555AA08
5E555AA16
5E555BA90
5E555BB40
5E555BC01
5E555DA24
5E555FA00
要約 【課題】ロボットの指部に接触する物体がその指部から滑りそうな状態を提示できる触覚提示装置を提供する。
【解決手段】この触覚提示装置1は、触覚提示装置フレーム体2と、それに取り付けられた移動体駆動制御器3と、移動体駆動制御器3によって駆動される移動体4と、移動体4とともに移動する触覚提示ピン支持体5と、小径の棒状をなす複数個の触覚提示ピン60から成り、触覚提示ピン60は第1端部が触覚提示ピン支持体5に支持され第2端部が指FIに接し得る触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン60が通過する貫通孔を有してその中間部を揺動可能に拘束し触覚提示装置フレーム体2に固定される触覚提示ピン拘束シート体7と、を備えてなり、触覚提示ピン集合体6における触覚提示ピン60は、移動体4が移動するとき、第2端部の移動量が中央部よりも周辺部の方が大きい。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
触覚提示装置フレーム体と、
該触覚提示装置フレーム体に取り付けられた移動体駆動制御器と、
該移動体駆動制御器によって駆動されて移動する移動体と、
該移動体とともに移動する触覚提示ピン支持体と、
小径の棒状をなす複数個の触覚提示ピンから成るものであり、該複数個の触覚提示ピンは各々の第1端部が前記触覚提示ピン支持体に支持され、各々の第2端部が指に接し得る触覚提示ピン集合体と、
前記複数個の触覚提示ピンの各々が通過する貫通孔を有してそれらの中間部を揺動可能に拘束し、前記触覚提示装置フレーム体に固定される触覚提示ピン拘束シート体と、
を備えてなり、
前記触覚提示ピン集合体における前記触覚提示ピンは、前記移動体が移動するとき、前記第2端部の移動量が中央部よりも周辺部の方が大きいことを特徴とする触覚提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚提示装置において、
前記複数個の触覚提示ピンの各々の第2端部は、球状に丸まっていることを特徴とする触覚提示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の触覚提示装置において、
前記触覚提示ピン支持体は、前記複数個の触覚提示ピンの各々の前記第1端部を支持する支持穴を有することを特徴とする触覚提示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の触覚提示装置において、
前記触覚提示ピン支持体の複数個の前記支持穴は凹面に形成されており、該凹面の周辺部の前記触覚提示ピンは、中央部の前記触覚提示ピンよりも短いことを特徴とする触覚提示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の触覚提示装置において、
前記凹面は、球面状の曲面の一部であることを特徴とする触覚提示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の触覚提示装置において、
前記触覚提示ピン集合体における前記複数個の第2端部は、1つの球面状の曲面の一部上に位置するようになっていることを特徴とする触覚提示装置。
【請求項7】
請求項4に記載の触覚提示装置において、
前記凹面は、円錐の周面であることを特徴とする触覚提示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の触覚提示装置において、
前記触覚提示ピン集合体における前記複数個の第2端部は、1つの円錐の周面上に位置するようになっていることを特徴とする触覚提示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの指部に接触する物体がその指部から滑りそうな状態を提示できる触覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作者がロボットを遠隔操作するとき、ロボットが物体を保持し続ける場合、操作者にはロボットの指部と物体との接触状態が提示され、操作者はそれに対応する適正な遠隔操作を行わなければならない。そのため、ロボットには、その指部と物体との接触状態を検知する検知手段が設けられ、ロボットを制御するロボットコントローラには、その接触状態を操作者に提示する触覚提示装置が設けられる。ロボットの指部における接触状態の検知手段は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
触覚提示装置は、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示される触覚提示装置は、複数の触知ピンを備え、それぞれの触知ピンがそれぞれのアクチュエータにより操作者の指の表面に対してせん断方向に移動することにより、物体のトルク間に相当する触覚(回転触覚)を提示することができる、としている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2006-297542号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2007/119603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2を含め従来の触覚提示装置では、ロボットの指部に接触する物体がその指部から滑りそうな状態(物体がまさに動こうとする状態)を操作者に提示することは難しい。滑りそうな状態が提示できれば、操作者は遠隔操作により、ロボットがより強い力で物体を保持して滑りを抑えるようにすることが可能になる。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロボットの指部に接触する物体がその指部から滑りそうな状態を提示できる触覚提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の触覚提示装置は、触覚提示装置フレーム体と、該触覚提示装置フレーム体に取り付けられた移動体駆動制御器と、該移動体駆動制御器によって駆動されて移動する移動体と、該移動体とともに移動する触覚提示ピン支持体と、小径の棒状をなす複数個の触覚提示ピンから成るものであり、該複数個の触覚提示ピンは各々の第1端部が前記触覚提示ピン支持体に支持され、各々の第2端部が指に接し得る触覚提示ピン集合体と、前記複数個の触覚提示ピンの各々が通過する貫通孔を有してそれらの中間部を揺動可能に拘束し、前記触覚提示装置フレーム体に固定される触覚提示ピン拘束シート体と、を備えてなり、前記触覚提示ピン集合体における前記触覚提示ピンは、前記移動体が移動するとき、前記第2端部の移動量が中央部よりも周辺部の方が大きいことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の触覚提示装置は、請求項1に記載の触覚提示装置において、前記複数個の触覚提示ピンの各々の第2端部は、球状に丸まっていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の触覚提示装置は、請求項1又は2に記載の触覚提示装置において、前記触覚提示ピン支持体は、前記複数個の触覚提示ピンの各々の前記第1端部を支持する支持穴を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の触覚提示装置は、請求項3に記載の触覚提示装置において、前記触覚提示ピン支持体の複数個の前記支持穴は凹面に形成されており、該凹面の周辺部の前記触覚提示ピンは、中央部の前記触覚提示ピンよりも短いことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の触覚提示装置は、請求項4に記載の触覚提示装置において、前記凹面は、球面状の曲面の一部であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の触覚提示装置は、請求項5に記載の触覚提示装置において、前記触覚提示ピン集合体における前記複数個の第2端部は、1つの球面状の曲面の一部上に位置するようになっていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の触覚提示装置は、請求項4に記載の触覚提示装置において、前記凹面は、円錐の周面であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の触覚提示装置は、 請求項7に記載の触覚提示装置において、前記触覚提示ピン集合体における前記複数個の第2端部は、1つの円錐の周面上に位置するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の触覚提示装置は、ロボットの指部に接触する物体がその指部から滑りそうな状態を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る触覚提示装置を示す模式的な正面図である。
【図2】同上の触覚提示装置に対応するロボットを示す模式的な正面図である。
【図3】同上の触覚提示装置の各部材の左側面図であって、(a)が触覚提示ピン支持体、(b)が触覚提示ピン拘束シート体である。
【図4】同上の触覚提示装置の触覚提示ピン集合体の中央で切断した拡大端面図であって、(a)は触覚提示ピン集合体とその近傍の部材を示すもの、(b)は触覚提示ピンを更に拡大して示すものである。
【図5】同上の触覚提示装置の触覚提示ピン集合体の中央で切断した拡大端面図であって、ストッパ部を設けた場合の触覚提示ピン集合体とその近傍の部材を示すものである。
【図6】同上の触覚提示装置の触覚提示ピンの第2端部の移動を示す説明図であって、(a)が第2端部の拡大左側面図、(b)が触覚提示ピン集合体(及び触覚提示ピン拘束シート体)の拡大端面図である。
【図7】同上の触覚提示装置の触覚提示ピン集合体と触覚提示ピン支持体の2つの変形例を示す拡大端面図である。
【図8】同上の触覚提示装置の触覚提示ピンの第2端部の移動量を濃淡で示す図であって、図4(a)の形状に対応するものである。
【図9】同上の触覚提示装置の触覚提示ピンの第2端部の移動量を濃淡で示す図であって、(a)が図7(a)の形状に対応するもの、(b)が図7(b)の形状に対応するものである。
【図10】同上の触覚提示装置の実験用に試作したものの正面図である。
【図11】同上の触覚提示装置の実験用に試作したものの左側面図である。
【図12】同上の触覚提示装置の実験用に試作した他のものの斜視図である。
【図13】同上の触覚提示装置の実験用に試作した他のものの正面図である。
【図14】同上の触覚提示装置の実験用に試作したものの使用例図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る触覚提示装置1は、図1に示すように、触覚提示装置フレーム体2の両側に、移動体駆動制御器3と、移動体4と、触覚提示ピン支持体5と、触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン拘束シート体7と、圧力検出器8と、が設けられたものである。触覚提示装置1は、図2に示すようなロボットROを制御するロボットコントローラにおいて用いられ、ロボットROの2本の指部RF、RFの間に保持される物体Mとの接触状態を、ロボットROを遠隔操作する操作者に提示するものである。なお、ロボットROの指部RF及び物体Mは、硬いものであっても柔らかいものであってもよい。

【0018】
触覚提示装置フレーム体2は、触覚提示装置1を構成する前述した各部材が取り付けられる基材である。触覚提示装置フレーム体2は、図1に示すような方向に限らず、ロボットROの指部RFが接触する物体Mの傾きに応じて様々な方向に変わるようにすることができる。

【0019】
移動体駆動制御器3は、触覚提示装置フレーム体2に取り付けられて固定される。移動体駆動制御器3は、サーボモータ等の回転を回転直動変換機構等によって直動に変換して次に述べる移動体4を駆動するものを用いることができる。

【0020】
移動体4は、移動体駆動制御器3によって駆動されて移動する部材である。移動体4は、直線的な往復運動(図1においては上下方向の往復運動)が可能な部材、或いは移動体駆動制御器3の数を増やすことにより2次元平面の運動が可能な部材とすることができる。

【0021】
触覚提示ピン支持体5は、移動体4とともに移動するものである。触覚提示ピン支持体5は、後述する複数個の触覚提示ピン60の各々の揺動を可能とするように、図3(a)に示すように、その後述する第1端部60aを支持する支持穴51を複数個形成することができる。図3(a)に示す凹面52については、後に詳述する。

【0022】
触覚提示ピン集合体6は、図4(a)に示すように、複数個の触覚提示ピン60から成るものである。触覚提示ピン60は、小径の棒状をなしている。また、触覚提示ピン60は、剛性を有している。触覚提示ピン60は、図4(b)に示すように、各々の第1端部60aが触覚提示ピン支持体5(詳しくは、その各々の支持穴51)に支持され、各々の第2端部60bが指F1に接し得る(図1参照)。この触覚提示ピン60は、触覚提示ピン支持体5と指F1と後述する触覚提示ピン拘束シート体7とにより揺動(スウィング)させられる。触覚提示ピン60の第2端部60bは、球状に丸まっているのが好ましい。そうすると、第2端部60bが指FIに対してすべり方向(剪断方向に対して垂直方向)(図1、図4(a)(b)においては下方向)に移動する際に、操作者の指FIに引っ掛かるのを防止することができる。触覚提示ピン60は、例えば、直径1mm程度の銅製のものを用いることができる。図4(a)に示す複数個の触覚提示ピン60の長さが互いに異なることについては、後に詳述する。

【0023】
触覚提示ピン拘束シート体7は、図3(b)に示すように、複数個の触覚提示ピン60の各々が通過する貫通孔71を有しており、触覚提示ピン60の中間部60cを揺動可能に拘束する。触覚提示ピン拘束シート体7は、触覚提示装置フレーム体2に固定されている(図1参照)。触覚提示ピン拘束シート体7は、移動体駆動制御器3等を介して触覚提示装置フレーム体2に固定されてもよい。

【0024】
貫通孔71は、その内径が触覚提示ピン60の外径とほぼ等しくなっている。触覚提示ピン60の中間部60cは、貫通孔71の周縁に密着しているのが好ましい。この場合、貫通孔71の周縁は、触覚提示ピン60の中間部60cの動きに対してある程度の弾性を有するようにする。そうすると、触覚提示ピン60の第2端部60bが水平方向よりも下方に傾いても、触覚提示ピン拘束シート体7から第2端部60b側にずれないようにできる。貫通孔71の周縁と触覚提示ピン60の中間部60cとの間の摩擦力が小さい(或いは、ない)場合、触覚提示ピン60の中間部60cが触覚提示ピン拘束シート体7から第2端部60b側にずれないようにするため、ストッパ部61を設けることも可能である。ストッパ部61は、例えば、触覚提示ピン拘束シート体7の触覚提示ピン支持体5側において、図5に示すように触覚提示ピン60に装着する部材とすることができる。

【0025】
圧力検出器8は、操作者の指FIから触覚提示ピン集合体6を介して触覚提示ピン支持体5にかかる圧力を検出する。圧力検出器8は、移動体4とともに移動するものとすればよい。検出された圧力に応じて、ロボットROの指部RFの力が制御される。

【0026】
このような構成の触覚提示装置1では、操作者の指FIが複数個の触覚提示ピン60の第2端部60bに接して触覚提示ピン集合体6に適切な圧力をかけているとき、物体MがロボットROの指部RFにより滑らないように保持されている状態である。もし物体Mが重く、ロボットROの2本の指部RF、RFの間に掛る力が十分に強くなければ、物体Mは滑りそうになる。この滑りそうになる挙動は、ロボットROにおいて、所定の方法(例えば、カメラ又は圧力センサなど)で検知される。

【0027】
ロボットROにおいて検知された滑りそうになる挙動に応じて、ロボットコントローラは、滑りそうな感覚を生じさせるために必要とされる運動を計算し、移動体駆動制御器3を作動させる。移動体駆動制御器3により移動体4が一方向(図1では上方向)に僅かに移動し触覚提示ピン支持体5が一方向に僅かに移動する。そして、触覚提示ピン集合体6の複数個の触覚提示ピン60は、揺動する。すなわち、触覚提示ピン集合体6の複数個の触覚提示ピン60おいては、第1端部60aは一方向に僅かに移動し、触覚提示ピン拘束シート体7の貫通孔71の内側の中間部60cは触覚提示ピン拘束シート体7に拘束されて移動せず、操作者の指FIが接する第2端部60bは他方向(一方向の逆方向)(図1では下方向)に僅かに移動する。

【0028】
このとき、図6(a)に示すように、触覚提示ピン集合体6における触覚提示ピン60は、移動体4が移動するとき、第2端部60bの移動量Dbが中央部の触覚提示ピン60よりも周辺部の触覚提示ピン60の方が大きくなるようにしてある。そうすると、局所的な滑り現象を効率的に発生させることができる。局所的な滑り現象は、人間の指FIから物体が滑りそうになると、その接触面の周辺部の位置の皮膚の伸びが局所的に先ず検知され、次に、中央部に向かって検知が伝播する現象である。それにより、人間は、滑りそうな状態とその方向を感知することができる。従って、周辺部の触覚提示ピン60を、中央部の触覚提示ピン60よりも、第2端部60bの移動量Dbが大きくなるようにすれば、滑りそうな状態とその方向などを的確に検知するようにできる。

【0029】
触覚提示ピン集合体6における周辺部の触覚提示ピン60が、中央部の触覚提示ピン60よりも、第2端部60bの移動量Dbが大きくなるようにするには、図6(b)に示すように、第1端部60aから触覚提示ピン拘束シート体7までの長さLaに対する第2端部60bから触覚提示ピン拘束シート体7までの長さLbの比率(Lb/La)を、触覚提示ピン集合体6における周辺部の触覚提示ピン60では大きく、中央部の触覚提示ピン60では小さくすればよい。例えば、図3(a)及び図4(a)に示したように、触覚提示ピン支持体5に中央部が最も深い凹面52を設け、複数個の支持穴51を凹面52の表面に形成されるようにする。そして、凹面52の周辺部の触覚提示ピン60は、中央部の触覚提示ピン60よりも短くする。そうすると、容易に、第1端部60aから触覚提示ピン拘束シート体7までの長さLaに対する第2端部60bから触覚提示ピン拘束シート体7までの長さLbの比率を、触覚提示ピン集合体6における周辺部の触覚提示ピン60では大きく、中央部の触覚提示ピン60では小さくすることができる。なお、図6(b)におけるDaは、第1端部60aの移動量を示している。

【0030】
図4(a)に示したものは、凹面52が、球面状の曲面の一部であるもの、すなわちその断面形状が円弧状の曲線となるものとし、触覚提示ピン集合体6の複数個の第2端部60bが1つの平面上に位置するようにしたものである。凹面52は、図7(a)に示すように、円錐の周面であるもの、すなわちその断面形状が三角形の2辺となるものとすることができる。更には、触覚提示ピン集合体6における複数個の第2端部60bは、図7(b)に示すように、1つの円錐の周面上に位置するようにすることができる。図4(a)に示したものについて、触覚提示ピン集合体6における複数個の第2端部60bを、1つの球面状の曲面の一部上に位置するようにすることも可能である。触覚提示ピン集合体6における複数個の第2端部60bを1つの円錐の周面上又は1つの球面状の曲面の一部上に位置するようにすると、操作者の指FIの表面の曲面に相応し、指FIを複数個の第2端部60bに広く接触させ易くなる。

【0031】
図4(a)、図7(a)、図7(b)に示したものは互いに、触覚提示ピン集合体6の中央部から周辺部にかけての第2端部60bの移動量Dbの変化が異なる。図8及び図9(a)、図9(b)は、計算により導出した触覚提示ピン集合体6における第2端部60bの移動量Dbを濃淡で示したものである。最も濃い部分は移動量Dbが約1mm、最も薄い部分は移動量Dbが約0.3mmである。第1端部60aの移動量Daは、3mmとした。図8は、図4(a)に示した形状において凹面52が半径30mmの球面の一部となるようにしたものに対応している。図9(a)は、図7(a)に示した形状において凹面52が角度110度の円錐の周面となるようにしたものに対応している。図9(b)は、図7(b)に示した形状において、凹面52が角度110度の円錐の周面となるようにするとともに、触覚提示ピン集合体6における複数個の第2端部60bが角度130度の1つの円錐の周面上に位置するようにしたものに対応している。

【0032】
図8では、触覚提示ピン集合体6の周辺部において移動量Dbが急激に増加していることが分かる。図9(a)では、触覚提示ピン集合体6の中央部から周辺部にかけて徐々に移動量Dbが増加している。図9(b)では、図9(a)に比べ、触覚提示ピン集合体6の中央部から周辺部にかけての移動量Dbの増加の程度が緩やかになっている。このように、凹面52の形状又は触覚提示ピン集合体6の複数個の第2端部60bが形成する形状によって、触覚提示ピン集合体6の中央部から周辺部にかけての第2端部60bの移動量Dbの変化パターンが異なるので、ロボットROの指部RF及び物体Mの状況(硬さなど)に応じた触覚の調整が可能になる。

【0033】
操作者は、滑りそうな状態とその方向などを検知したら、それに基づいて、触覚提示ピン集合体6にかけている圧力を増加する。圧力検出器8は、増加した圧力を検出する。ロボットコントローラは、触覚提示装置1の圧力検出器8が検出した圧力に応じて、ロボットROの2本の指部RF、RFの間の力を増加する。このようにして、ロボットROの2本の指部RF、RFの間から滑りそうになった物体Mをしっかり保持するよう、遠隔操作でロボットROの2本の指部RF、RFを制御することができるようになる。

【0034】
以上説明した触覚提示装置1は、様々に変形可能である。例えば、触覚提示装置フレーム体2の片側のみに、移動体駆動制御器3と、移動体4と、触覚提示ピン支持体5と、触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン拘束シート体7と、圧力検出器8と、を設けることも可能である。こうすると、操作者の1本の指FIのみにロボットROの1本の指部RFと物体の接触状態を提示することになり、遠隔操作でロボットROの1本の指部RFを制御することになる。このように変形した触覚提示装置1は、ロボットROのもう1本の指部RFを連動させるなどして物体Mの保持に適用できる。また、物体Mを人間の器官としそれをロボットROの1本の指部RFによって触診する場合などにも適用可能である。

【0035】
触覚提示装置1について本願発明者が実験用に試作したものを図10及び図11に示す。この触覚提示装置1は、触覚提示装置フレーム体2の上側に、移動体駆動制御器3と、移動体4と、触覚提示ピン支持体5と、触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン拘束シート体7と、圧力検出器8と、が設けられている。また、ヒンジ部9が設けられており、ヒンジ部9に形成された孔9aの位置に載せられた操作者の1本の指FI(図10参照)を、触覚提示ピン集合体6の位置(詳しくは、複数個の第2端部60bの位置)に誘導することができる。凹面52は球面の一部であるものとし、触覚提示ピン集合体6の複数個の第2端部60bは1つの平面上に位置するようにしている。触覚提示ピン拘束シート体7は、移動体駆動制御器3を介して触覚提示装置フレーム体2に固定している。移動体4は、直線的な往復運動(図10においては左右方向の往復運動)が可能な部材としている。移動体駆動制御器3は、回転直動変換機構としてボールねじ機構を設け、また、移動体4をガイドするレール3aを設けている。図10中の符号3bは、ボールねじ機構のねじ軸を示している。この実験用の触覚提示装置1について、触覚提示ピン集合体6の複数個の第2端部60bの移動量Dbを測定して確認し、また、滑りそうな状態とその方向の検知が可能であることを確認した。

【0036】
以上、本発明の実施形態に係る触覚提示装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での様々な設計変更が可能である。例えば、触覚提示装置フレーム体2は、3次元力覚入出力デバイスに取り付けるための部位を有するようにすることができる。3次元力覚入出力デバイスは、ロボットROの腕などを制御したり、それが受ける力覚を操作者に提示したりできるものであり、例えば、3D Systems社のGeomagic Touchなどである。また、触覚提示装置フレーム体2の片側に、操作者の指FIに滑りそうな状態を提示するように、移動体駆動制御器3と、移動体4と、触覚提示ピン支持体5と、触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン拘束シート体7と、を設け、他の片側に、他の指FIの圧力を検出する圧力検出器8を設けることも可能である。

【0037】
触覚提示装置1について本願発明者が実験用に試作したものを図12及び図13に示す。この触覚提示装置1は、触覚提示装置フレーム体2の上側に、移動体駆動制御器3と、移動体4と、触覚提示ピン支持体5と、触覚提示ピン集合体6と、触覚提示ピン拘束シート体7と、が設けられ、触覚提示装置フレーム体2の下側に圧力検出器8が設けられている。また、触覚提示装置フレーム体2の一部としてフレーム体直立部分2aを有しており、それに、触覚提示装置フレーム体2の一部としてのヒンジ部9と3次元力覚入出力デバイス取付体10が固定されている。3次元力覚入出力デバイス取付体10は、3次元力覚入出力デバイスDEの棒体を通して固定するための棒体挿通孔10aと下端部に操作者の指FIを挿入するための凹み部10bが設けられている。触覚提示装置1は、3次元力覚入出力デバイス取付体10により、図14に示すように、3次元力覚入出力デバイスDEに取り付けることができる。

【0038】
この触覚提示装置1の移動体4、触覚提示ピン支持体5、触覚提示ピン集合体6は、上記の図10及び図11を用いて説明したものと基本的に同様のものである。触覚提示ピン拘束シート体7は、触覚提示装置フレーム体2の一部としてのヒンジ部9の下面に形成された突起9aに固定されている。ヒンジ部9は、上記の図10及び図11を用いて説明したものと基本的に同様のものであるが、揺動はしないようになっている。移動体駆動制御器3は、ギアモータ3bが触覚提示装置フレーム体2に取り付けられ、回転直動変換機構としてクランクリンク体3cがギアモータ3bと移動体4の間に設けられている。また、移動体4をガイドするスライダ3dが設けられている。圧力検出器8は、平板状のものであり、触覚提示ピン集合体6に接する指FI(例えば、人差し指)とともに触覚提示装置1を挟んで押し当てられる他の指FI(例えば、親指)の圧力を検出することができる。この触覚提示装置1についてもまた、滑りそうな状態とその方向の検知が可能であることを確認した。
【符号の説明】
【0039】
1 触覚提示装置
2 触覚提示装置フレーム体
3 移動体駆動制御器
4 移動体
5 触覚提示ピン支持体
51 触覚提示ピン支持体の支持穴
52 触覚提示ピン支持体の凹面
6 触覚提示ピン集合体
60 触覚提示ピン
60a 触覚提示ピンの第1端部
60b 触覚提示ピンの第2端部
60c 触覚提示ピンの中間部
7 触覚提示ピン拘束シート体
71 触覚提示ピン拘束シート体の貫通孔
8 圧力検出器
9 ヒンジ部
10 3次元力覚入出力デバイス取付体
FI 操作者の指
RO ロボット
RF ロボットの指部
M 物体
DE 3次元力覚入出力デバイス
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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