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明細書 :マイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物の解析方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-093359 (P2017-093359A)
公開日 平成29年6月1日(2017.6.1)
発明の名称または考案の名称 マイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物の解析方法
国際特許分類 C12M   1/00        (2006.01)
C12Q   1/04        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
FI C12M 1/00 A
C12Q 1/04
G01N 37/00 102
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-229660 (P2015-229660)
出願日 平成27年11月25日(2015.11.25)
発明者または考案者 【氏名】藤井 輝夫
【氏名】金 秀▲弦▼
【氏名】緒方 謙
出願人 【識別番号】801000049
【氏名又は名称】一般財団法人生産技術研究奨励会
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査請求 未請求
テーマコード 4B029
4B063
Fターム 4B029AA08
4B029AA09
4B029AA27
4B029BB01
4B029DG08
4B029FA01
4B029GB01
4B029GB04
4B029HA02
4B063QA18
4B063QQ01
要約 【課題】 細胞回収効率を飛躍的に上げると同時に、希釈率を大きくすることのできる、反応用マイクロチャンバーを内蔵したマイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物解析方法を提供する。
【解決手段】 マイクロチャンバーアレイ装置において、基板2と電極3とフォトレジスト4が配置される誘電泳動による細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と、この捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と分かれており、前記マイクロチャンバーアレイ1に対向するように配置されるマイクロチャネル7からなる反応用マイクロチャンバー8からなる反応用マイクロチャンバーアレイ6とを具備する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
基板と電極とフォトレジストからなり誘電泳動により細胞を捕捉する細胞捕捉用マイクロチャンバーを備える細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと、
該細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイとは分かれており、該細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと対向するように配置される、マイクロチャネルからなる反応用マイクロチャンバーを備える反応用マイクロチャンバーアレイとを具備することを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーと前記反応用マイクロチャンバーの位置を対応させ、解析時には前記細胞捕捉用マイクロチャンバーと前記反応用マイクロチャンバーによって密閉化されたマイクロチャンバーを形成可能にすることを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと前記反応用マイクロチャンバーアレイ間に細胞懸濁液および解析用の溶液を導入可能であることを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置。
【請求項4】
請求項1~3記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記反応用マイクロチャンバーの寸法は、直径20μm~200μm、高さ10μm~1000μmであることを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置。
【請求項5】
請求項1~4記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞は前記細胞捕捉用マイクロチャンバーに1つずつ捕捉され、前記反応用マイクロチャンバーの高さを高くして解析時の前記細胞の希釈率を高くするとともに、細胞の回収効率を90%以上に保つことができることを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置。
【請求項6】
細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと反応用マイクロチャンバーアレイとの間に細胞懸濁液を導入し、誘電泳動による細胞捕捉を行い、解析用の溶液を導入して試薬の交換を行い、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと前記反応用マイクロチャンバーアレイとで捕捉された細胞のシーリングを行い、該細胞の解析を行うことを特徴とするマイクロチャンバーアレイ装置を用いた検査対象物の解析方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物の解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞集団において、個々の細胞における遺伝子発現には大きなばらつきがあることが指摘されており、1細胞単位で遺伝子発現量を解析する研究が行われている。これに伴い、細胞集団を単一細胞レベルで同時に遺伝子発現解析することが強く求められている。細胞の遺伝子発現解析を行うため、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Reverse transcription polymerase chain reaction, RT-PCR)がよく用いられる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2012-34641号公報
【特許文献2】特表2004-535176号公報
【0004】

【非特許文献1】Soo Hyeon Kim et al.,High-efficiency rare cell trapping at the single-cell level using electroactive microwell array,Proceedings of the 6th International Symposium of Microchemistry and Microsystem(ISMM),p.206-207,July 2014
【非特許文献2】Soo Hyeon Kim et al.,Highly efficient single cell arraying by integrating acoustophoretic cell pre-concentration and dielectric cell trapping,Lab on a Chip,October 2015
【非特許文献3】金秀▼弦▲他、希少細胞解析のためのElectroactive microwell arrayの開発、化学とマイクロ・ナノシステム学会第30回研究会、2014年10月
【非特許文献4】金秀▼弦▲他、Electroactive double-Well Arrayを用いた希少細胞の1細胞解析、2015年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、p.783-784、2015年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単一細胞を密閉空間(マイクロチャンバー)に閉じ込め細胞破砕の後、RT-PCRによる1細胞の遺伝子発現解析を行うためには、細胞から取り出した細胞内物質を希釈(1000倍以上)する必要がある。これは、細胞内物質がRT-PCRを阻害するためである。
【0006】
図8は直径を大きくしたマイクロチャンバーの模式図、図9はマイクロチャンバーの直径を大きくした場合の問題点を示す図、図10は高さを高くしたマイクロチャンバーの模式図、図11はマイクロチャンバーの高さを高くした場合の問題点を示す図、図12は電場のシミュレーション結果を示す図である。
【0007】
上記特許文献1のマイクロチャンバーアレイ装置の構造において、図8に示すようにマイクロチャンバーの直径を大きくすると、図9に示すように1つのチャンバーに2つ以上の細胞が入ってしまい、単一細胞の解析が難しくなってしまう。また、図10に示すように、同構造においてマイクロチャンバーの高さを高くすると、図11に示すように回収率(細胞回収効率)が大幅に小さくなる。これは、図12に示すように、電界強度勾配(▽Ee 2 )のベクトル方向が内部を向いており、電極から離れる(つまり、マイクロチャンバーの高さが高くなる)ほどその強度が弱まるため、上記特許文献1のように誘電泳動力を用いた発明では細胞を捕捉することが難しくなるからである。
【0008】
また、上記特許文献2のようにチャネルを有しない装置では、細胞懸濁液を流して回収効率を高めること自体が困難である。
【0009】
このように、効率のよい単一細胞解析のためには高い回収効率が必要であるが、希釈率を上げるためにマイクロチャンバーを大きくすると、複数の細胞を捕捉したり、誘電泳動力を用いて細胞を捕捉できないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、細胞回収効率を飛躍的に上げると同時に、希釈率を大きくすることのできるマイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕マイクロチャンバーアレイ装置において、基板と電極とフォトレジストからなり誘電泳動により細胞を捕捉する細胞捕捉用マイクロチャンバーを備える細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと、この細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイとは分かれており、この細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと対向するように配置される、マイクロチャネルからなる反応用マイクロチャンバーを備える反応用マイクロチャンバーアレイとを具備することを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーと前記反応用マイクロチャンバーの位置を対応させ、解析時には前記細胞捕捉用マイクロチャンバーと前記反応用マイクロチャンバーによって密閉化されたマイクロチャンバーを形成可能にすることを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕または〔2〕記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと前記反応用マイクロチャンバーアレイ間に細胞懸濁液および解析用の溶液を導入可能であることを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕~〔3〕の何れか一項記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記反応用マイクロチャンバーの寸法は、直径20μm~200μm、高さ10μm~1000μmであることを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔1〕~〔4〕の何れか一項記載のマイクロチャンバーアレイ装置において、前記細胞は前記細胞捕捉用マイクロチャンバーに1つずつ捕捉され、前記反応用マイクロチャンバーの体積を大きくして解析時の前記細胞の希釈率を高くするとともに、細胞の回収効率を90%以上に保つことができることを特徴とする。
【0016】
〔6〕マイクロチャンバーアレイ装置を用いた検査対象物の解析方法において、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと反応用マイクロチャンバーアレイとの間に細胞懸濁液を導入し、誘電泳動による細胞捕捉を行い、解析用の溶液を導入して試薬の交換を行い、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと前記反応用マイクロチャンバーアレイとで捕捉された細胞のシーリングを行い、この細胞の解析を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、細胞の捕捉はチャンバーに1つずつ捕捉され、チャンバー高さが高くなっても、高い細胞の回収率を維持することができる。例えば、細胞の回収効率を飛躍的にあげる(90%以上)と同時に、細胞の希釈率を大きくする(1000倍以上)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置の図面代用写真である。
【図3】本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置を用いた検査対象物解析ステップを示す図である。
【図4】本発明の実施例を示す反応用マイクロチャンバーの高さが30μmの場合の流速及び流線を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す反応用マイクロチャンバーの高さが80μmの場合の流速及び流線を示す図である。
【図6】本発明の実施例を示す細胞捕捉の状態を示す図である。
【図7】本発明の実施例を示す反応用マイクロチャンバーの高さ(μm)と単一細胞の回収効率(%)の関係を示す図である。
【図8】直径を大きくしたマイクロチャンバーの模式図である。
【図9】マイクロチャンバーの直径を大きくした場合の問題点を示す図である。
【図10】高さを高くしたマイクロチャンバーの模式図である。
【図11】マイクロチャンバーの高さを高くした場合の問題点を示す図である。
【図12】電場のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のマイクロチャンバーアレイ装置は、基板と電極とフォトレジストからなり誘電泳動により細胞を捕捉する細胞捕捉用マイクロチャンバーを備える細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと、この細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイとは分かれており、この細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと対向するように配置される、マイクロチャネルからなる反応用マイクロチャンバーを備える反応用マイクロチャンバーアレイとを具備する。

【0020】
また、マイクロチャンバーアレイ装置を用いた検査対象物解析方法は、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと反応用マイクロチャンバーアレイとの間に細胞懸濁液を導入し、誘電泳動による細胞捕捉を行い、解析用の溶液を導入して試薬の交換を行い、前記細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイと前記反応用マイクロチャンバーアレイとで捕捉された細胞のシーリングを行い、この細胞の解析を行う。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置の模式図、図2は本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置の図面代用写真であり、図2(a)はマイクロチャンバーアレイ装置の斜視図を示す図面代用写真、図2(b)は図2(a)のマイクロチャンバーアレイ装置のアレイ部分の上面拡大図を示す図面代用写真である。
【実施例】
【0023】
まず、図1を参照して、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置の概要を説明する。
【実施例】
【0024】
本発明にかかるマイクロチャンバーアレイ装置は、下部構造として細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と、上部構造として反応用マイクロチャンバーアレイ6を備えており、上部構造と下部構造は別体として構成され、互いに対向するように配置されている。
【実施例】
【0025】
細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1には、基板2、電極3、フォトレジスト4からなる細胞捕捉用マイクロチャンバー5がアレイ状に形成されている。また、反応用マイクロチャンバーアレイ6はマイクロチャネル7からなり、細胞捕捉用マイクロチャンバー5と対応する位置に凹形状の反応用マイクロチャンバー8がアレイ状に形成されている。細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と反応用マイクロチャンバーアレイ6の間を流路とし、細胞を効率良くデバイスに捕捉できるようにしている。この流路に細胞懸濁液が導入され、細胞は誘電泳動により細胞捕捉用マイクロチャンバー5に捕捉される。細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と反応用マイクロチャンバーアレイ6を接触させることにより、反応用マイクロチャンバー8と細胞捕捉用マイクロチャンバー5で密閉化されたマイクロチャンバーを構成できるように位置決めされている。捕捉された細胞はこの密閉化されたマイクロチャンバーで解析を行うことができる。
【実施例】
【0026】
このように、細胞捕捉用のマイクロチャンバーと反応用のマイクロチャンバーを別体として構成することにより、誘電泳動による細胞の回収効率を向上するとともに、解析時には密閉化されたマイクロチャンバーを構成して高い(1000倍以上)希釈率を実現することができる。
【実施例】
【0027】
なお、本明細書において、細胞の「回収効率」とは、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1上を流れる細胞のうち、どれだけ捕捉できたかを示す割合を指している。例えば、1000個の細胞が流れるうち、95個の細胞を捕捉することができるような場合、細胞回収効率は9.5%である。他方、上記特許文献1における細胞の「捕捉効率」は、マイクロチャンバーアレイ上のマイクロチャンバーがどれだけ細胞で埋まっているかを示す割合を指している。例えば、100個のマイクロチャンバーからなるマイクロチャンバーアレイ上を1000個の細胞が流れるうち、95個のマイクロチャンバーが細胞を捕捉した場合、マイクロチャンバーアレイの細胞捕捉率は95%である。このように、両者は定義が異なることを明記しておく。
【実施例】
【0028】
次に、図2を参照して、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置の各部の構成を説明する。
【実施例】
【0029】
この図において、20は基板、21は電極、22は細胞捕捉用マイクロチャンバー、23は反応用マイクロチャンバー、24はマイクロチャネル、25はアレイ部分、26は導入口、27は導出口である。
【実施例】
【0030】
基板20は例えばガラス基板であり、基板20上に電極21を形成する。電極21はたとえばITO電極であり、櫛型状ITO電極を互いに噛み合うように配置してもよい。この電極21をまたぐように形成される細胞捕捉用マイクロチャンバー22の直径は細胞一つと同程度の大きさとする。また、細胞捕捉率を上げるためにチャンバー高さを低く形成する(例えば、4μm)。解析対象物としての細胞を含んだ細胞懸濁液や解析用の溶液は導入口26からマイクロチャンバーアレイ装置に導入され、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と反応用マイクロチャンバーアレイ6間の流路を流れて、導出口27から排出される。図2(b)に示されるアレイ部分25が図1に示した構造を有しており、マイクロチャネル24はPDMS製である。
【実施例】
【0031】
このように、細胞捕捉用マイクロチャンバー22の直径を細胞と同程度とすることで、1つのマイクロチャンバーに2つ以上の細胞は捕捉されない。また、細胞の捕捉後は流路を閉じて、細胞捕捉用マイクロチャンバー22と反応用マイクロチャンバー23で密閉化されたマイクロチャンバーを形成して細胞を区画化することができる。
【実施例】
【0032】
図3は本発明の実施例を示すマイクロチャンバーアレイ装置を用いた検査対象物の解析ステップを示す図である。なお、ここでは解析がRT-PCRの場合で説明する。
【実施例】
【0033】
この図において、9は細胞懸濁液、10は検査対象物としての細胞、11は解析用の溶液、12は密閉化されたマイクロチャンバー、13は細胞内物質、14は増幅されたDNAである。なお、図1と同じ部分の符号は一部省略しているが、下記説明中で引用する。
【実施例】
【0034】
まず、図3(a)に示すように、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と反応用マイクロチャンバーアレイ6の間に細胞懸濁液9が導入される。
【実施例】
【0035】
次に、図3(b)に示すように、電極3を用いた誘電泳動により、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1の細胞捕捉用マイクロチャンバー5で細胞10の捕捉を行う。
【実施例】
【0036】
次に、図3(c)に示すように、解析用の溶液11を導入して試薬交換を行う。
【実施例】
【0037】
次に、図3(d)に示すように、細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1と反応用マイクロチャンバーアレイ6間の流路を閉じ、細胞捕捉用マイクロチャンバー5と反応用マイクロチャンバー8を接触させることで密閉化されたマイクロチャンバー12を形成し、捕捉された細胞10のシーリングを行う。
【実施例】
【0038】
次に、図3(e)に示すように、密閉化されたマイクロチャンバー12内で電極に強い電圧を印加することで捕捉された細胞10を電気穿孔法(electroporation)により破砕する。これにより、細胞内物質13が密閉化されたマイクロチャンバー12内に開放され、解析用の溶液11で希釈される。
【実施例】
【0039】
次に、図3(f)に示すように、密閉化されたマイクロチャンバー12内で解析を行う。例えば、RT-PCRの場合、増幅されたDNA14の解析を行う。反応用マイクロチャンバーの体積を細胞内物質13を1000倍以上に希釈できる体積とすることで、細胞内物質13によるRT-PCRの阻害が起こらないようにすることができる。
【実施例】
【0040】
このように、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置によれば、反応用マイクロチャンバーアレイ6とは分離した状態の細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ1で細胞を捕捉することで高い回収効率を実現できるとともに、細胞捕捉後は、解析用の溶液で満たされた反応用マイクロチャンバー5と細胞捕捉用マイクロチャンバー8により密閉化されたマイクロチャンバー12を形成することで、高い希釈率(1000倍以上)での解析を行うことができる。
【実施例】
【0041】
図4は本発明の実施例を示す反応用マイクロチャンバーの高さが30μmの場合の流速及び流線を示す図、図5は高さが80μmの場合の流速及び流線を示す図である。なお、図4、5において、縦軸はX軸方向の距離(μm)を示し、横軸はY軸方向の距離(μm)を示す。また、図6は本発明の実施例を示す細胞捕捉の状態を示す図であり、図7は本発明の実施例を示す反応用マイクロチャンバーの高さ(μm)と単一細胞の回収効率の関係を示す図である。図7において、縦軸は単一細胞の回収効率(%)を示し、横軸は反応用マイクロチャンバーの高さ(μm)を示している。
【実施例】
【0042】
これらの図から明らかなように、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置によれば、反応用マイクロチャンバーの高さを変化させても、細胞の回収効率には大きな変化が見られず、高い回収効率を維持していることがわかる。これは、流路内の流れが層流であるため、上部に反応用マイクロチャンバーがあっても流れの乱れが小さく、流速分布に大きな影響を与えないためである。また、マイクロチャンバーを大きくしても、単一細胞の捕捉が行われていることが見てとれる。
【実施例】
【0043】
なお、反応用マイクロチャンバーは、直径20μm~200μm、高さ10μm~1000μmの寸法で製作可能である。また、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置で測定された細胞回収効率は92±2%である。
【実施例】
【0044】
ちなみに上記特許文献1においては、マイクロチャンバーの直径は25~35μm、高さ(深さ)は15μm、体積は7.3~14.4pLであり、上記非特許文献3に示したように回収効率は実験結果で10%であった。
【実施例】
【0045】
このように、本発明のマイクロチャンバーアレイ装置によれば、90%以上の細胞回収効率を保ちつつ、密閉化されたマイクロチャンバー12の体積を大きくして、細胞内物質を1000倍以上に希釈することができる。
【実施例】
【0046】
現在、市販されている1細胞RT-PCR装置であるC1(Fluidigm社製)の同時解析可能な最大細胞数は96である。本発明のマイクロチャンバーアレイ装置は構造が単純で集積化が容易なため、超並列一細胞解析が可能となる。例えば、1平方センチメートル内に高い希釈率で希釈可能な反応用マイクロチャンバーを10000個形成可能であるため、10000細胞の同時解析が実現できる。これによって、細胞の不均一性の状態を把握する基礎研究のみならず、希少ガン細胞の検出等の医療への応用も期待される。
【実施例】
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、細胞回収効率を飛躍的に上げると同時に、希釈率を大きくすることのできる、反応用マイクロチャンバーを内蔵したマイクロチャンバーアレイ装置およびそれを用いた検査対象物解析方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 細胞捕捉用マイクロチャンバーアレイ
2、20 基板
3、21 電極
4 フォトレジスト
5、22 細胞捕捉用マイクロチャンバー
6、23 反応用マイクロチャンバーアレイ
7、24 マイクロチャネル
8、25 反応用マイクロチャンバー
9 細胞懸濁液
10 細胞
11 解析用の溶液
12 密閉化されたマイクロチャンバー
13 細胞内物質
14 増幅されたDNA
25 アレイ部分
26 導入口
27 導出口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11