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明細書 :マニピュレータ、処理用ロボット、および分散協働型処理システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-087404 (P2017-087404A)
公開日 平成29年5月25日(2017.5.25)
発明の名称または考案の名称 マニピュレータ、処理用ロボット、および分散協働型処理システム
国際特許分類 B25J   9/06        (2006.01)
A01D  46/24        (2006.01)
FI B25J 9/06 D
A01D 46/24 B
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2015-224947 (P2015-224947)
出願日 平成27年11月17日(2015.11.17)
発明者または考案者 【氏名】尾崎 功一
出願人 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100100077、【弁理士】、【氏名又は名称】大場 充
【識別番号】100136010、【弁理士】、【氏名又は名称】堀川 美夕紀
【識別番号】100130030、【弁理士】、【氏名又は名称】大竹 夕香子
審査請求 未請求
テーマコード 2B075
3C707
Fターム 2B075JF05
2B075JF09
2B075JF10
3C707AS22
3C707BS15
3C707CS08
3C707CT02
3C707CT04
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY39
3C707ES03
3C707KT01
3C707KT05
3C707WA16
要約 【課題】分散協働型処理システムにおいて、幅方向の両側の栽培棚に処理作業を行うことができるとともに、前後の搬送用ロボットに処理した果実を無理なく受け渡すことのできるマニピュレータと、当該マニピュレータを備える処理用ロボットを用いる分散協働型の処理用システムを提供すること。
【解決手段】本発明のマニピュレータは、広い可動範囲を得ることが容易であり、既存の腕型マニピュレータに比べれば、より少ない関節で構成できるので低コストであり、重量物の扱いも容易で、かつ、省エネである。
本発明の処理用ロボットによれば、栽培棚60で挟まれた狭い通路を移動しながら通路の両側の果実を処理することができ、栽培棚60等に接触することなく前後の搬送用ロボットに処理した果実を引き渡すことができる。当該処理用ロボットを用いれば、稼働効率の高い分散協働型処理システムが実現できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
所定方向の移動成分を有して軸J1に沿って往復運動可能な第一リンクと、
前記第一リンクから上向きに立ち上がる第二リンクと、
前記第二リンクに連なり、前記第二リンクとともに前記軸J1と垂直な軸J2を中心に旋廻可能であるか、又は、前記第二リンクに対して旋廻可能であるとともに、前記第一リンクに対して前記軸J1と垂直な軸J2に沿って昇降可能な第三リンクと、
前記第三リンクに連なり、前記第三リンクとの接続部分を中心に前記軸J2に平行な軸J3を中心に旋廻可能な第四リンクと、
前記第四リンクの先端に設けられる作業ハンドと、
を備えることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
前記第二リンクは、前記第一リンクの移動方向と直交する前記軸J2を中心に水平方向に旋廻可能であり、
前記第三リンクは、前記軸J2に沿って昇降可能である、
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第二リンクは、前記第一リンクの移動方向と直交する軸J2に沿って昇降可能であり、
前記第三リンクは、前記軸J2を中心に旋廻可能である、
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記第四リンクの中間に、前記軸J3と垂直をなす軸J4を中心に旋廻可能なH1リンク及び前記第四リンクと平行である軸を中心にねじり旋廻可能なH2リンク、の少なくとも一方又は双方が備えられる、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記第一リンクは、
所定方向の移動成分のみを含んで往復直線運動可能である、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
前記第一リンクは、
所定方向の移動成分と前記所定方向の移動成分を含んで、X字状の軌跡を往復運動可能である、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項7】
所定方向に走行する走行ユニットと、
前記走行ユニットに搭載されて、前記走行ユニットとともに走行する請求項1~請求項6の何れか一項に記載のマニピュレータと、を備え、
前記マニピュレータが処理対象物を処理する、
ことを特徴とする処理用ロボット。
【請求項8】
前記処理用ロボットの進行方向に直交する幅方向の寸法をWとし、
前記第三リンクの長さをr1、前記第四リンクの長さをr2とすると、
1/2×W>r1、r2が成り立つ、
請求項7に記載の処理用ロボット。
【請求項9】
前記処理用ロボットと、
前記処理用ロボットの進行方向の前後の所定位置に配置され、前記処理用ロボットから前記処理対象物を受け渡される搬送用ロボットと、を備え、
前記処理用ロボットと前記搬送用ロボットは、前記進行方向に直交する幅方向の両側に設けられる栽培棚の間の通路を進行し、
前記処理用ロボットは、請求項7記載の処理用ロボットからなり、
前記搬送用ロボットは、受け渡された前記処理対象物を所定の集荷場所に移動して搬送する、
ことを特徴とする分散協働型処理システム。
【請求項10】
待機状態の前記搬送ロボットを備え、
先行して前記処理用ロボットの前又は後に配置されていた前記搬送用ロボットが、所定の前記集荷場所に移動すると、待機状態の前記搬送ロボットが、前記所定位置に移動する、
請求項9に記載の分散協働型処理システム。
【請求項11】
前記処理用ロボットの前記進行方向の前の所定位置に配置されている前記搬送用ロボットへの前記処理対象物の受け渡しが定量になると、
前記処理用ロボットは、前記マニピュレータの向きを反転させて、
前記進行方向の後の所定位置に配置されている前記搬送用ロボットへの前記処理対象物の受け渡しを始め、
前記マニピュレータが向きを反転させる際に、前記第三リンク、前記第四リンクは、前記処理対象物を栽培する栽培棚と干渉しない、
請求項9又は請求項10に記載の分散協働型処理システム。
【請求項12】
前記処理用ロボットの進行方向に直行する前記栽培棚と前記栽培棚に挟まれる通路の幅の寸法をW’とし、
前記処理用ロボットが備える前記マニピュレータの前記第三リンクの長さをr1、前記第四リンクの長さをr2とすると、
1/2×W’ >r1、r2が成り立つ、
請求項9~請求項11の何れかに記載の分散協働型処理用システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培施設で栽培された果実、野菜などの処理対象物を処理するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、イチゴ、トマト、ナス、キュウリ等の処理対象物を作業がしやすい高さの栽培棚を用い、水耕栽培や土耕等の方法で栽培を行い、処理作業も全て人手により行うのが一般的であった。ところが、近年、農業経営における人手不足や人件費の高騰により処理作業の自動化が望まれるようになってきた。
【0003】
果実や野菜等の処理対象物の摘み取りなどの各種作業を、ロボットで自動的に実行させるためには、まず処理対象物の存在位置を認識しなければならない。そこで本発明者らは、果実類を茎や葉の中から機械的に認識して自動的に摘み取ることを可能にした作業用ロボットを特許文献1に開示した。この作業用ロボットは外部から電源供給を受けずに、内部に搭載するバッテリによって自律的に走行する自律走行型のロボットである。特許文献1では、上述の位置認識技術とともに処理用ロボットのマニピュレータの機構についても開示した。
【0004】
特許文献1に開示されているマニピュレータ101を図8に示す。マニピュレータ101は三次元方向に互いに独立して直線往復運動できる3つのリンク101a、101b、リンク101cを備え、先端のリンク101cに取り付けられた作業ハンド103によって処理対象物、例えば果実を摘み取ることができる。このマニピュレータ100は、進行方向に直交する幅方向の一方の側(図中の左側)の栽培棚に対しては処理が可能であるが、他方の側(図中の右側)の栽培棚に対して処理するときは、処理用ロボット1が、一旦、栽培棚の間の通路を抜け出て180°だけ方向転換する必要があるので作業効率が悪かった。
【0005】
また、従来の処理用ロボットは、処理する作業と搬送する作業を1台の処理用ロボットが行う1台完結型システムであったのに対し、近年の先端農業用ロボットシステムは、作業効率の高い分散協働型ロボットによる処理システムが指向されている。分散協働型処理システムは、処理用ロボットが処理した処理対象物を、処理用ロボットとは独立して移動できる搬送用ロボットに渡す。この搬送用ロボットは、作業通路において処理用ロボットの前後に一台ずつ縦列に配置され、処理用ロボットで摘み取った処理対象物を一方(仮に、前方)の搬送用ロボットに予定量だけ受け渡すと、次は、処理対象物を他方(仮に、後方)の搬送用ロボットに予定量だけ受け渡す。はじめに予定量の処理対象物が受け渡された前方の搬送用ロボットは、作業通路から退避するとともに、交代の搬送用ロボットが処理用ロボットの前方に移動してきて待機する。このように、分散協働型システムの搬送用ロボットが備えるマニピュレータは、少なくとも、摘み取り及び受け渡しを行うリンクが、その向きを180°に亘り旋回する機能と、処理した果実を渡すのに必要な長さのリンクを備えることが必須の条件である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許4961555号(図9、図10、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の事情に鑑み、本発明は、分散協働型処理システムにおいて、幅方向の両側の栽培棚に処理作業を行うことができるとともに、前後の搬送用ロボットに、例えば収穫対象物である果実等を無理なく受け渡すことのできるマニピュレータを提供することを目的とする。
また、本発明は、当該マニピュレータを備える処理用ロボットを用いることにより、分散協働型の処理用システム及びその運用方法を提供することを目的とする。
なお、処理用ロボットが実施する処理の具体的な内容としては、収穫対象物である果実類、野菜類等を摘み取って搬送用ロボット等に渡す収穫作業、不定形な果実の実や花を成長前に除去する間引き作業、不要な葉を切り落とす伐採作業等が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のマニピュレータは、所定方向の移動成分を有して軸J1に沿って往復運動可能な第一リンクと、第一リンクから上向きに立ち上がる第二リンクと、第二リンクに連なり、第二リンクとともに軸J1と垂直な軸J2を中心に旋廻可能であるか、又は、第二リンクに対して旋廻可能であるとともに、第一リンクに対して軸J1と垂直な軸J2に沿って昇降可能な第三リンクと、第三リンクに連なり、第三リンクとの接続部分を中心に軸J2に平行な軸J3を中心に旋廻可能な第四リンクと、第四リンクの先端に設けられる作業ハンドと、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
上述の第二リンクは、第一リンクの移動方向と直交する軸J2を中心に水平方向に旋廻可能であり、第三リンクは、軸J2に沿って昇降可能であることが好ましく、或いはまた、第一リンクの移動方向と直交する軸J2に沿って昇降可能であり、第三リンクは、軸J2を中心に旋廻可能であることが好ましい。
なお、軸を表す符号として用いている(J1,J2,J3,J4)は物理的実体を有する機械部品としての軸ではなく、仮想直線としての言わば仮想軸線を表すものであるが、本明細書の記載においては、説明を簡素化するために一貫して、単に「軸」と表現している。また、用語「リンク」は、マニピュレータを構成する各部分、即ち、機素という意味で用いるものとする。
【0010】
本発明のマニピュレータでは、第四リンクの中間に、軸J3と垂直をなす軸J4を中心に旋廻可能なH1リンク及び第四リンクと平行である軸を中心にねじり旋廻可能なH2リンクの少なくとも一方、又は、双方が備えられることで、作業ハンドの自由度が増し制御性がよくなるので好ましい。また、第一リンクを、所定方向の移動成分のみを含んで往復直線運動可能とすることで、所定方向に対する可動範囲を移動成分の分だけ拡大するので好ましい。
更にまた、第一リンクを、所定方向の移動成分と所定方向の移動成分を含んで、X字状の軌跡を往復運動可能とすることで、可動範囲をX字状の軌跡に沿って拡大するので更に好ましい。
【0011】
本発明の処理用ロボットは、本願発明のマニピュレータが、所定方向に走行する走行ユニットに搭載され移動可能としたことを特徴とする、例えばイチゴ等の果実類等の処理対象物、を摘み取る処理をする処理用ロボットである。
本願発明の処理用ロボットでは、進行方向に直交する幅方向の寸法をWとし、第三リンクの長さをr1、第四リンクの長さをr2とした場合に、1/2×W>r1、r2が成り立つように、各寸法の長さを備えることで、マニピュレータが方向を180°転換するときに、第四リンクを旋回運動させて、第三リンクに対して折り畳むことにより、第三リンクと第四リンクが処理用ロボット自らの幅Wを超えて、はみ出すことがないので、両側の栽培棚に干渉させることなく処理作業を行うことができるので好ましい。
【0012】
本願発明の分散協働型処理システムは、本願発明の処理用ロボットと、処理用ロボットの進行方向の前後の所定位置に配置され、処理用ロボットから処理対象物が受け渡される搬送用ロボットを備え、処理用ロボットと搬送用ロボットは、進行方向に直交する幅方向の両側に設けられる栽培棚の間の通路を進行しながら、搬送用ロボットは、受け渡された処理対象物を所定の集荷場所に移動して搬送する、ことを特徴とする分散協働型処理システムである。
【0013】
本願発明の分散協働型処理システムでは、待機状態の搬送ロボットを備え、先行して処理用ロボットの前又は後に配置されていた搬送用ロボットが、所定の集荷場所に移動すると、待機状態の搬送ロボットが所定位置に移動して、処理用ロボットが処理した処理対象物を継続して切れ目なく受け取るように連携を図りながら処理作業をすることが好ましい。
【0014】
本願発明の分散協働型処理システムでは、進行方向の前の所定位置に配置されている搬送用ロボットへの処理対象物の受け渡しが定量になると、搬送ロボットのマニピュレータは、向きを反転させて、進行方向の後の所定位置に配置されている搬送用ロボットへの処理対象物の受け渡しを始めることができるので、稼働効率の高い処理作業を実現することができる。また、マニピュレータが向きを反転させる際には、第三リンク及び第四リンクが対象物を栽培する栽培棚と干渉することがないので処理対象物を痛めることが極めて稀で、信頼性の高い分散協働型の処理システムを実現できることになる。
【0015】
本願発明の分散協働型処理システムでは、進行方向に直行する栽培棚と栽培棚に挟まれる通路の幅の寸法をW’とし、処理用ロボットが備えるマニピュレータの第三リンクの長さをr1、第四リンクの長さをr2とすると、1/2×W’ >r1、r2が成り立つように各寸法の長さを備えることが好ましい。
このように備えれば、リンクが処理用ロボットの自らの幅Wからはみ出すことはあっても、少なくとも栽培棚には干渉させることなく処理作業を行うことができるので好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の処理用ロボットによれば、栽培棚60で挟まれた狭い通路を移動しながら通路の両側の果実を処理することができ、栽培棚60等に接触することなく前後の搬送用ロボットに処理した果実を引き渡すことができる。
【0017】
本発明のマニピュレータによれば、広い可動範囲を得ることが容易であり、また、既存の腕型マニピュレータ(6軸-6関節)に比べれば、より少ない関節で構成できるので低コストであり、重量物の扱いも容易で、かつ、省エネである。
本発明の処理用ロボットシステムによれば、処理した果実類を搬送するために処理作業を中断する必要がない、稼働効率の高い分散協働型処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る処理用ロボットの構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【図2】本実施形態に係るマニピュレータの構成を示す模式的な斜視図と可動範囲を示し、(a)は本発明のマニピュレータの模式的な斜視図、(b)は比較のために示した旋廻軸で構成されるマニピュレータの模式的な斜視図、(c)は本発明のマニピュレータの可動範囲を示す図、(d)は比較のために示したマニピュレータの可動範囲を示す図である。
【図3】本実施形態の分散協働型処理システムの基本構成を示す配置図であり、(a)は平面図であり、(b)は平面図の寸法を示した図である。
【図4】本実施形態の分散協働型処理システムの運用方法を示す図である。
【図5】本実施形態のマニピュレータの異なる構成を示す模式的な斜視図である。
【図6】本実施形態のマニピュレータの更に異なる構成の可動範囲を示す図である。
【図7】本実施形態のマニピュレータの更に異なる構成の模式的な斜視図であり、(a)はH1リンクを備えた場合の図であり、(b)はH2リンクを備えた場合の図であり、(c)はH1リンクとH2リンクの両方を備えた場合の図である。
【図8】特許文献1のマニピュレータの構成を示す模式的な斜視図である。
【図9】旋廻軸で構成されるマニピュレータの構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【図10】(a)は比較のために示した分散協働型処理システムの構成を示す配置図であり、(b)は比較のために示した他の分散協働型処理システムの構成を示す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る処理用ロボット1は、図1及び図2に示すように、処理対象物であるイチゴ62を摘み取るマニピュレータユニット10と、マニピュレータユニット10を搭載して自律走行する走行ユニット30と、を備える。処理用ロボット1は、図3に示すように、隣接する栽培棚60の間の通路S1を走行しながら、栽培棚60からイチゴ62を摘み取り、前後に待機する搬送用ロボット40に受け渡す。処理用ロボット1は、搬送用ロボット40とともに、分散協働型処理システム70を構成する。
以下、処理用ロボット1の構成を説明し、次いで、処理用ロボット1を用いた分散協働型処理システム70に言及する。

【0020】
[マニピュレータユニット10]
マニピュレータユニット10は、走行ユニット30に載せられると水平方向に沿うベース11と、ベース11に設けられ、前後方向(所定方向)に移動成分を有して延びる軸J1に沿って直線往復運動可能な第一リンク12と、第一リンク12から鉛直方向の上向きに立ち上がり、軸J2を中心にして水平方向に旋廻可能な第二リンク14と、を備える。軸J1と軸J2は互いに垂直をなしている(「軸」とは、直線運動や旋廻運動の運動軸を表す架空の直線を意味するものであるが、以後の説明では、簡便化のため単に「軸」と表記することにする)。

【0021】
また、マニピュレータユニット10は、第二リンク14に連なり、軸J2に沿って昇降可能な第三リンク16と、第三リンク16に連なり、軸J3を中心に水平方向に旋回可能な第四リンク18と、を備える。第三リンク16と第四リンク18は、関節20(接続部分)により連結されており、第四リンク18はこの関節20に設けられる軸J3を中心にして旋回運動を行うことができる。第四リンク18の先端には、作業ハンド22が取り付けられている。
なお、第一リンク12を直線往復運動させる駆動機構、第二リンク14を旋廻運動させる駆動機構、第三リンク16を昇降運動させる駆動機構及び第四リンク18を旋回運動させる駆動機構は、任意であり、公知の種々の駆動機構を用いることができる。

【0022】
[走行ユニット30]
走行ユニット30は、それぞれ2つの車輪からなる径の大きい大輪32と、径の小さい小輪34とを備え、栽培棚60と栽培棚60の間の通路S1を前後(所定方向)に走行する。下部収納部36には、駆動用モータ、バッテリ、制御部、等のシステム統合モジュールが組み込まれる。取り付けベース38の下部には、画像処理のためのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、カラー画像入力装置、位置を特定するコンピュータシステム、駆動を制御するコンピュータシステム、等が収納される。なお、システム統合モジュールやコンピュータシステム等の図示は省略されている。

【0023】
[マニピュレータユニット10の可動範囲]
マニピュレータユニット10の可動範囲について図2を参照しながら説明する。また、図2では、軸J2は、第二リンク14の旋廻軸と第三リンク16の直線往復運動軸を兼ねる。
はじめに、図2(a)に示すように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が直線往復運動できるので、第二リンク14の旋廻軸J2の位置が、前端C1から後端C2までの距離Sを移動することができる。なお、この例では、旋廻軸J2と旋廻軸J3の距離及び旋廻軸J3から作業ハンド22の先端までの距離は、等しくrとなるように構成されている。
図2(c)は、第三リンク16が旋回運動することを加味したマニピュレータユニット10の可動範囲を示している。図2(c)に示すように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が前端C1から後端C2までの距離Sを移動できるので、破線で示すように、円弧部分が半径2rのトラック形状の軌跡に沿って移動することができる。
例えば、図2(b)に示すように、第二リンク14が中央に固定されているとすれば、その可動範囲は半径2rの単純な円形の領域に過ぎない。これに対し、マニピュレータユニット10の可動範囲は、水平移動体12がC1からC2の位置まで距離Sを移動することができるので、その分だけ拡張され水平方向に延伸した形状になっている。
このように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が直線往復運動できるので、可動範囲が広い。

【0024】
[処理用ロボット1の動作]
処理用ロボット1は、マニピュレータユニット10と走行ユニット40を備える。処理用ロボット1は、マニピュレータユニット10が第一リンク12を旋廻させることにより、作業の方向に向けてハンド24の向きを自在に換えながら、左右両方の栽培棚60に対して処理作業を行う。特許文献1に記載されているマニピュレータユニットAのように、他方の栽培棚60に対する作業のためにいちいち通路を抜け出て180°方向転換する必要がない。また、マニピュレータユニット10が備える第一リンク12が処理用ロボット1の進行の前後方向に自在に移動できるので可動範囲が広くなり、前後に配置される搬送用ロボットに対して摘み取った果実を容易に渡すことができる。したがって、分散協働型の処理システムを構築するのに好適である。

【0025】
処理用ロボット1が処理の作業を行う際には、栽培棚60にあるイチゴ62の位置や熟度を判断したり、作業ハンド22の位置やストッカー42の中のイチゴ62の収納位置を判断したりして行う。その判断を可能とするには、図1に示すように、第四リンク18の上部にデジタルカメラ24を取り付け、デジタルカメラ24によって撮影された情報に基づいて上記判断を行うことができる。デジタルカメラ24で撮影されたデジタル画像データは、取り付けベース38の下部に収納された画像入力装置に送られてコンピュータシステムによって対象物の位置の特定や成熟度が判断される。判断や制御の具体的な手法は、例えば、特許文献1に記載されているので、ここでの説明は省略する。

【0026】
[処理用ロボット1の処理作業]
次に、図3を参照して、処理用ロボット1の幅方向の両側に設けられる栽培棚60から、マニピュレータユニット10により、例えばイチゴ62を摘み取る作業を説明する。
この作業は、図3(a)に示すように、通路S1の幅方向の両側に設けられる一対の栽培棚60からイチゴ62を摘み取る。通路S1に配置される処理用ロボット1は、通路S1を走行する過程で停止して、イチゴ62を摘み取る。処理用ロボット1の前後には、処理用ロボット1が摘み取ったイチゴ62を受け取る搬送用ロボット40が、各1台ずつ縦列に配置されている。分散協働型処理システム70は、1台の処理用ロボット1と前後の所定位置に配置される計2台の搬送用ロボット40で構成される。搬送用ロボット40は、受け取ったイチゴ62を、栽培区域S0内の所定の集荷場所100に搬送する。栽培棚60で育成されているイチゴ62は、栽培棚60の範囲内に収まることもあれば、通路S1の側にはみ出すこともある。

【0027】
ここで、図3(b)に示すように、通路S1の幅はW’とし、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40の幅をともにWとする。なお、幅W’、幅Wは、処理用ロボット1の移動する方向Fに直交する向きで定義される。なお、通路S1の幅W’は処理用ロボット1の幅Wより大きく設定されることは言うまでもない。
また、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40(分散協働型処理システム70)が通路S1を通過するときに、栽培棚60からはみ出したイチゴ62に干渉して傷つけることのないように、幅W’は幅Wよりも余裕をもって大きく設定されている。つまり、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40が通路S1の幅方向の中央に配置されているものとすると、分散協働型処理システム70の幅方向の両側に距離gずつ、つまり左右合わせて2gに等しい距離の空きスペースが確保される。
また、処理用ロボット1の全長(進行方向の長さ)はLであり、摘み取ったイチゴ62を搬送用ロボット40に渡すために必要とされる最大リーチはRである。最大リーチRは、第三リンク16と第四リンク18が一直線状に伸びた状態で得られる。

【0028】
[分散協働型処理システム70]
以下に、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40を用いた分散協働型処理システム70の例を、具体的な数値を用いて説明する。なお、リーチRは、搬送用ロボット40の荷台の進行方向の奥行きL’と、処理用ロボット1と搬送用ロボット40が運行中に接触することのないように必要な車間距離Gが設けられている。
[数値例]
通路S1の幅W’ = 80cm
搬送ロボット40の幅W = 60cm
フリースペースFの幅g = 10cm
W’,W,gの関係式 W’= W +2g
処理用ロボット1の幅W = 60cm
処理用ロボット1の全長L = 90cm
必要なリーチR = 85cm
第一リンク12の可動範囲S=60cm(第一リンクの長さの中央から±30cm)

【0029】
分散協働型処理システム70においては、例えば、前方の搬送用ロボット40にイチゴ62を定量まで受け渡すと、次は、後方の搬送用ロボット40にイチゴ62を受け渡すことになる。この受け渡しの対象を変更する際に、マニピュレータユニット10は、第三リンク16及び第四リンク18の向きを前方から後方へ反転させる必要があるので、第二リンク14をおよそ180°だけ旋廻させる。このとき、第四リンク18を折りたたむことになるが、関節20の部分が栽培棚60に届くこと、好ましくはフリースペースFにはみ出すことを避ける必要がある。イチゴ62を傷つけてしまうおそれがあるからである。そのためには、第三リンク16と第四リンク18の長さを互いに等しくするとともに、当該長さを搬送用ロボット40の幅Wの半分、つまりW/2以下に押さえればよい。
そうすれば、第四リンク18を第三リンク16の側に折りたたんで第二リンク14を旋廻させれば、関節20がフリースペースFにはみ出すことはない。この条件を満たすには、第三リンク16の長さ=第四リンク18の長さ=搬送用ロボット40の幅Wの1/2=r=30cmとすればよい。

【0030】
ところが、第二リンク16と第三リンク18のみの動作では、摘み取ったイチゴ62を搬送用ロボット40に受け渡すことができない。つまり、旋廻軸J2から作業ハンド22の先端までの距離は最長でもW=60cmであるのに対して、イチゴ62を受け渡すのに必要なリーチR=85cmであるから、作業ハンド22は搬送用ロボット40に届かない。
しかし、マニピュレータユニット10は、第一リンク12を可動範囲の中心C(図3(b))の位置からC’の位置まで約25cm移動させることで、作業ハンド22が搬送用ロボット40に届くようになりイチゴ62を受け渡すことができる。

【0031】
以上の本実施形態による分散協働型処理システム70によれば、処理用ロボット1が摘み取ったイチゴ62を搬送用ロボット40に受け渡す際には、第三リンク16と第四リンク18がなす角度を適宜調整しながら作業ハンド22の向きを、搬送用ロボット40に備えられるストッカー42の中の目標位置に狙いを定める。そして、第一リンク12を前進させれば、イチゴ62をストッカー42に受け渡すことができる。

【0032】
処理用ロボット1がイチゴ62を摘み取る作業を行っている間に、例えば、先行して前方に配置されていた搬送用ロボット40の全てのストッカー42が満杯になれば、当該搬送用ロボットは集荷場所100に向けて搬送を開始する。それと同時に待機状態にしていた別の搬送用ロボット40が処理用ロボット1からイチゴ62を受け取ることができる所定位置に向けて移動を開始する。一方、処理用ロボット1はマニピュレータユニット10の第三リンク16及び第四リンク18の向きを反転させて、渡す相手を後方にいる搬送用ロボット40に換えることができる。このように分散協働型処理システム70を1台の処理用ロボット1と2台の搬送用ロボット40とで構成することで、切れ目の少ない処理作業を実現することができるようになる。

【0033】
以上、分散協働型処理システム70の主要部の寸法を決定する一例を示したが、これらは栽培棚60の間隔を含む栽培条件、処理用ロボット1の仕様などに応じて適宜決定することが望ましい。その場合であっても、前後に配置される搬送用ロボット40に対してイチゴ62を渡すのに必要とされるリーチRを確実に確保するとともに、マニピュレータユニット10の作業ハンド22の向きを180°旋廻するときに関節20がフリースペースFにはみ出してイチゴ62を傷つけないようにすべきことは言うまでもない。また、上述の数値は、本発明の処理システムを実施する場合の一例を示しているに過ぎず、栽培区域S0の中での栽培棚60の配置に応じて、適宜、調節されるべきものである。

【0034】
[マニピュレータユニットBを備えた場合の比較]
図9に示すマニピュレータユニットBは、第一リンク12に相当する部分を備えない点を除けば、マニピュレータユニット10と同じリンク構成を備えている。
このマニピュレータBにおいて、図10(a)に示すように第三リンク16の長さ(30cm)と第四リンク18の長さ(30cm)は互いに等しく、かつ、走行ユニット30の幅W(60cm)の1/2に等しいものとする。この寸法では、二つのリンクの長さを加えても60cmにしかならないので、必要とされるリーチR(85cm)に満たないので、イチゴ62を搬送用ロボット40に受け渡すことができないことになる。

【0035】
次に、図10(b)は、必要とされるリーチR(85cm)を確保するために、第三リンク16と第四リンク18の長さをR/2(42.5cm)の長さにした例である。この例は、第三リンク16と第四リンク18を一直線上に延ばすことによって必要な長さのリーチを確保できるのでイチゴ62を搬送用ロボット40に渡すことができる。ところが、第三リンク16と第四リンク18の長さをこのように設定した場合には、第三リンク16と第四リンク18の向きを反転させようとするときに、第四リンク18を折り畳んだとしても、関節20がフリースペースFを超えて栽培棚60にまで届いてしまい、イチゴ62を傷つけかねない。

【0036】
マニピュレータBを旋廻させるときに、リンクや関節がイチゴ62や栽培棚60に干渉するのを、回避するために、第三リンク16、第四リンク18、関節20、作業ハンド22等を栽培棚60の上方に一旦退避させてから反転させることもできる。しかしながらそうすると、作業効率が悪化するとともに、昇降にともないエネルギが浪費される。また、この際の負荷重量は、昇降に関わる構造物の重量とデジタルカメラ重量を合わせて数kgにもなるため、反転の都度にエネルギが消費されるのでバッテリの消耗が激しくなる。バッテリの消耗は一度の充電で作業できる継続可能時間の短縮をもたらし、引いては分散協働型処理システム全体の効率の悪化をもたらすので好ましくない。

【0037】
[分散協働型処理システムの運用]
次に、分散協働型処理システム70の運用方法を、図4を参照して説明する。
図4は、栽培区域S0において、分散協働型処理システム70が運用されている様子を示した図である。図4では(a)~(f)にしたがって時間が経過している。
図4(a)は、処理用ロボット1が図面に向かって右側の搬送用ロボット40に対して摘み取ったイチゴ62を渡していたところ、全てのストッカー42が満杯になった様子を表している。以下、満杯になった搬送用ロボット40は黒く塗りつぶして表示することにする。
図4(b)は、満杯になった右側の搬送用ロボット40が、処理用ロボット1の元を離れて栽培区域S0の角に設けられた集荷場所100に処理用ロボット1から渡されたイチゴ62を降ろしに向かうとともに、処理用ロボット1が作業ハンド22の向きを180°転回しようとしている様子を表す。処理用ロボット1は、180°転回すると直ちにイチゴ62を摘み取る処理を行い、図面に向かって左側の搬送用ロボット40に対する受け渡しを始める。

【0038】
図4(c)は、イチゴ62を降ろしに行った右側の搬送用ロボット40が道程R1を通って戻ってくるまでの間にも処理用ロボット1の作業が続けられ、この間に摘み取ったイチゴ62は左側の搬送用ロボット40に対して渡されてストッカー42が徐々に満たされている様子を示す。
図4(d)は、左側の搬送用ロボット40に切換えてイチゴ62を渡している間に、右側の搬送用ロボット40がイチゴ62を降ろして元の位置で戻り待機している様子を示す。

【0039】
図4(e)は、満杯になった左側の搬送用ロボット40が、処理用ロボット1の元を離れて栽培区域S0の外に設けられた集荷場所100にイチゴ62を降ろしに向かうと同時に、処理用ロボット1が、作業ハンド22の向きを180°転回している様子を表す。
図4(f)は、イチゴ62を降ろしに行った左側の搬送用ロボット40が道程R2を通って戻ってくるまでの間にも処理用ロボット1が作業を続け、右側の搬送用ロボット40に対して摘み取ったイチゴ62を渡すことにより、ストッカー42が渡されたイチゴ62で徐々に満たされている様子を示す。

【0040】
このように複数のロボットが連携して運用される分散協働型処理システム70では、搬送用ロボット40がイチゴ62を収容できる最大収容能力を、もう一方の搬送用ロボット40が集荷場所100に行って運搬したイチゴ62を降ろして戻って来るまでの間に処理用ロボット1が摘み取ることができる量よりも、少なくとも大きく備えることで全く切れ目のない処理作業を実現することが可能となる。

【0041】
以上の説明では前後に配置される搬送用ロボット40が1台ずつであることを想定したが、栽培区域S0が広く集荷場所100までの往復時間が相当に長い場合には、一方の搬送用ロボット40が荷降ろしに行っている間に摘み取られるイチゴ62をもう一方の1台の搬送用ロボット40だけでは積み切れない状況も起こり得る。そのような場合には、前後の各側の搬送用ロボット40を1台に限らず複数台が担当するようにして運用させても良い。何れにしても、切れ目のない処理作業が実現されることが望ましい。

【0042】
[マニピュレータユニット10の効果作用]
また、マニピュレータユニット10では、一般に市販されている6軸、6関節のマニピュレータに比べると、4軸の構成であるため部品点数が少なく低コストに製作することができる。それとともに、マニピュレータユニット10を構成する要素には鉛直方向に対して斜めに傾斜するリンクがないので、一般のマニピュレータに比べて対象物と干渉することが少なく広い可動範囲を実現できる。
マニピュレータユニット10が重量物を支える場合は、一般のマニピュレータのようにトルク維持のための通電が必要でない箇所が多く、例えば、第一リンクがどの位置にいたとしても第一リンク12にかかる全荷重は、第一リンクを下方で支えるガイドレールが機構的に支えるので停止状態で電力を消費することがない。第二リンク14、及びア第四リンク18についても同様である。このような意味において、本実施形態のマニピュレータユニット10はエネルギ消費の少ない装置である。

【0043】
マニピュレータユニット10では、所定方向の移動成分を有する直線往復運動と旋廻運動の組み合わせによって作業ハンド22を可動範囲内の処理対象物であるイチゴ62の位置に導き、幅方向の両側の栽培棚60のイチゴ62を処理することができる。
つまり、第一リンクの移動方向と直交する軸J2を中心に水平方向に第二リンク14を旋廻運動させることにより、幅方向の両側の栽培棚60に作業ハンド22を向けることができ、第三リンク16を昇降させることにより、作業ハンド22を栽培棚60のイチゴ62に高さ方向の位置合わせをすることができる。また、第四リンク18を旋回運動させて、第三リンク16に対して折り畳むことにより、第三リンク16と第四リンク18を両側の栽培棚60に干渉させることなく、旋廻させることができる。さらに、第一リンク12を、前進及び後退させることにより、摘み取った処理対象物を搬送用ロボット40に受け渡すことができる。

【0044】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、図5に示すように、図1の第二リンク14と第三リンク16の取り付ける順序を変えて、第一リンク12(所定方向の軸J1に沿った移動成分で直線往復運動可能)、第三リンク16(第一リンクの移動方向である軸J1と直行する軸J2に沿って昇降運動可能)、第二リンク14(軸J2を中心に水平方向に旋廻運動可能)、第四リンク18(軸J3に中心に水平方向に旋廻運動可能)の順に設けたとしても、同様の可動範囲を有するマニピュレータユニット10を実現することができる。

【0045】
また、図7(a)に示されるように第四リンク18の中間には軸J3と垂直をなす軸J4を中心に鉛直方向に旋廻可能なH1リンク18aが設けられるものであってもよい。H1リンク18aが設けられることで、例えば、イチゴ62等の果実類が葉に隠れているような場合であっても、葉を上下に掻き分けることによって摘み取り処理を容易にすることができる。

【0046】
また、図7(b)に示されるように第四リンク18の中間には、第四リンク18と平行を成す軸を中心にねじり旋廻可能なH2リンク18bが設けられてもよい。H2リンク18bが設けられることで、例えば、イチゴ62等の果実類が栽培棚60から吊り下がる方向が鉛直方向でない場合であっても、作業ハンド22にねじり旋廻を与えることによって摘み取り処理を容易にすることができる。

【0047】
また、図7(c)に示されるように第四リンク18の中間にH1リンクとH2リンクの双方が設けられることで、イチゴ62等の様々な状況への対応が容易になり処理能力を一段と向上させることができる。なお、リンク(H1,H2)は、連結される順序を問わず、関節20に対してH1,H2の順に備えられてもよいし、逆にH2,H1の順であってもよい。何れの場合であっても同様の機能を得ることができる。

【0048】
また、第一リンク12は、図6に示すように、所定方向の移動成分を複数含むX字状(2本の直線が交差)の軌道(軸G1,軸G2)を、往復運動可能なように設けられるものであってもよい。第一リンク12をこのように設けることで、幅方向の可動範囲を図中のYに相当する距離だけ拡大することができる。

【0049】
また、走行ユニット30が自律走行ではなく、栽培棚60同士の間の通路S1にレールが設けられてレールの上を走行するものである場合は、軸J1は当該レールの上を往復運動する方向と一致すると見なすことができ、マニピュレータユニット10の第一リンク12の可動範囲Sを栽培棚60の長さに匹敵するように備えることでも、自律走行の場合と同様の効果を得ることができる。その場合には搬送用ロボット40もまた自律走行ではなく、同じレールの上を走行するものであったとしても、自律走行の場合と同様の効果を得ることができる。

【0050】
また、栽培区域S0の配置はイチゴ生産者によって異なる場合がある。例えば、処理用ロボット1の幅Wの寸法に対して栽培棚60と栽培棚60の間の通路の幅W’の寸法が大きく異なるようなとき(例えば、フリースペースFの寸法gが第1実施形態で示した10cmより大きく35cmなどに備えられるときにはW=60cmに対して、W’=130cmにもなり両者の差が大きく拡大する)には、作業ハンド22をイチゴ62に対して届けることができない状況が起きることがある。このため本願発明の分散共同方処理システム70では、マニピュレータユニット10の第三リンクの長さr1と第四リンクの長さr2の長さを、1/2×W’ >r1、r2が成り立つように各部の寸法を備える。これにより作業ハンド22によるイチゴ62に対する無理のない処理が可能となる。しかも第三リンク、第四リンクとともに栽培棚60に干渉することはない。
【符号の説明】
【0051】
1 処理用ロボット
10 マニピュレータユニット
11 ベース
12 第一リンク
14 第二リンク
16 第三リンク
18 第四リンク
18a H1リンク
18b H2リンク
20 関節
22 作業ハンド
24 デジタルカメラ
J1,J2,J3,J4 軸
30 走行ユニット
32 大輪
34 小輪
36 下部収納部
38 取り付けベース
40 搬送用ロボット
42 ストッカー
60 栽培棚
62 イチゴ
70 分散協働型処理システム
100 集荷場所
S0 栽培区域
S1 通路
F フリースペース
W’ 通路の幅
W 処理用ロボットの幅
L 処理用ロボットの長さ
C 第一リンクの可動範囲の中心位置
R 位置Cを基準した必要なリーチの長さ
S 第一リンクの可動範囲
Y 拡張される可動範囲
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9