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明細書 :脂質代謝改善剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-095428 (P2017-095428A)
公開日 平成29年6月1日(2017.6.1)
発明の名称または考案の名称 脂質代謝改善剤
国際特許分類 A61K  31/4015      (2006.01)
A61K   9/16        (2006.01)
A61K  47/32        (2006.01)
A61K  47/38        (2006.01)
A61K  47/40        (2006.01)
A61K  47/34        (2017.01)
A61P   3/06        (2006.01)
A61P   1/16        (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61P   3/04        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI A61K 31/4015 ZNA
A61K 9/16
A61K 47/32
A61K 47/38
A61K 47/40
A61K 47/34
A61P 3/06
A61P 1/16
A61P 9/00
A61P 9/10
A61P 3/04
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2015-232296 (P2015-232296)
出願日 平成27年11月27日(2015.11.27)
発明者または考案者 【氏名】塩見 雅志
【氏名】小川 和男
出願人 【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4C076
4C086
Fターム 4B024AA01
4B024AA11
4B024CA04
4B024CA12
4B024HA14
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC21
4C076EE16A
4C076EE23A
4C076EE32A
4C076EE39A
4C076FF02
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC08
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA10
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZC33
要約 【課題】4-置換安息香酸誘導体(I)を含む脂質代謝改善剤の提供。
【解決手段】4-置換安息香酸誘導体(I)及び水溶性高分子物質からなる固体分散体である脂質代謝改善剤。
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【効果】前記脂質代謝改善剤は小腸でコレステロール等の吸収に関与するNPC1L1の発現を抑制し、小腸から肝臓へのコレステロール循環を抑制する。既存の脂質低下剤と作用機序が異なることから、本発明の脂質代謝改善剤はスタチンやMTP阻害剤との併用投与が期待できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I):
【化1】
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(式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン置換低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルコキシ基、又はハロゲン、低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されたアリールオキシ基を意味する)で表される4-置換安息香酸誘導体又は医薬的に許容されるその塩、及び水溶性高分子物質を含む固体分散体を有効成分として含む、脂質代謝改善剤。
【請求項2】
4-置換安息香酸誘導体の医薬的に許容される塩が、アルギニン塩又はリジン塩である、請求項1に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項3】
水溶性高分子物質が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリオキシエチンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択される請求項1又は2に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項4】
一般式(I)におけるRが低級アルキル基である、請求項1~3のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
【請求項5】
低級アルキル基がt-ブチル基である、請求項4に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項6】
4-置換安息香酸誘導体(I)が、4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸、又はS-(+)-4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸である、請求項1~5のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
【請求項7】
脂質代謝改善剤が、高脂血症改善剤、メタボリックシンドローム改善剤、脂肪肝改善剤、脂質代謝改善に伴う心血管疾患改善剤、抗アテローム性動脈硬化剤、抗黄色腫剤、抗肥満剤から選択されるいずれかである、請求項1~6のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
【請求項8】
高脂血症改善剤が、家族性II型高脂血症改善剤、家族性IV型高脂血症改善剤、食後高脂血症改善剤から選択されるいずれかである、請求項7に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項9】
脂肪肝改善剤が、肝臓でのFAS発現抑制剤、肝臓でのCYP7A1発現亢進剤、肝臓含有脂肪量の減少剤から選択されるいずれかである、請求項7に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項10】
メタボリックシンドローム改善剤が、内臓脂肪の蓄積抑制剤である、請求項7に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項11】
脂質代謝改善に伴う心血管疾患改善剤が、心臓周囲脂肪の蓄積抑制剤である、請求項7に記載の脂質代謝改善剤。
【請求項12】
抗肥満剤が、体重減少剤である、請求項7に記載の脂質代謝改善剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、「4-置換安息香酸誘導体又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体」を有効成分として含む脂質代謝改善剤に関する。より詳細には一般式(I):
【化1】
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(式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン置換低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルコキシ基、又はハロゲン、低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されたアリールオキシ基を意味する)で表される4-置換安息香酸誘導体又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体を有効成分として含む脂質代謝改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の一般式(I)で表される4-置換安息香酸誘導体及びその塩は、脂肪酸生合成阻害作用、コレステロール合成阻害作用及びリポプロテイン(a)(Lp(a))低下作用を有しており、高トリグリセライド(TG)血症、高コレステロール血症のような高脂血症、動脈硬化症などの予防・治療剤として有用であり、錠剤やカプセル剤などの医薬製剤が知られている(特許文献1-3)。また、一般に、難水溶性の薬物を水溶性高分子に分散せて固体分散体(solid dispersion: SD)とすることにより、該薬物の水に対する溶解性や吸収性を改善することも知られている。なお、固体分散体とは、不活性担体中に薬物が微細又は非結晶状態で分散した状態になったものをいう。
【0003】
例えば、プランルカスト水和物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体を用いて固体分散体とすることにより、水に対する溶解性及び生物学的利用率を高めることが知られている(特許文献4)。同様に、水溶性高分子物質を用いて、種々の難水溶性薬物を固体分散体とすることにより、該薬物の水に対する溶解性や経口吸収性を改善することも知られている(特許文献5-6、非特許文献1ー2)。しかしながら、上記の4-置換安息香酸誘導体(I)及びその塩については、これらを固体分散体とすることによる、水に対する溶解性を改善することは知られていなかった。
【0004】
また、高コレステロール血症、糖尿病、高血圧症などの因子を有していないにもかわらず、高Lp(a)血症の因子を有する場合には、動脈硬化性疾患の発症率が極めて高くなることが知られており、Lp(a)は動脈硬化を惹き起こす因子の一つであるとされている。例えば、血中総コレステロール値が正常であっても、Lp(a)値が高い場合には、冠動脈疾患の発症率が高くなることが知られている(非特許文献3)。
【0005】
動物モデルとしては、1973年に高脂血症を示す突然変異ウサギとしてWHHLウサギが発見され、その後系統として確立されており、脂質代謝や動脈硬化の研究に大きく貢献した。さらに、WHHLウサギから心筋梗塞を自然発症するモデル動物であるWHHLMIウサギが開発され、加齢による動脈硬化の進行、動脈硬化・心筋梗塞発生予防試験等の各種試験に使用されている(非特許文献4)。
WHHLMIウサギは、高コレステロール血症(LDL受容体の異常)、動脈硬化(冠動脈、大動脈、頸動脈等)、心筋梗塞、黄色腫(皮膚と関節)、メタボリックシンドローム類似所見等の薬効評価に優れており、コレステロール合成阻害剤(スタチン)の開発にも貢献した(非特許文献5)。
【0006】
脳梗塞、心疾患の発症の背景には、内臓脂肪の蓄積を基にして、脂質代謝異常、高血圧症、高血糖など、複数の危険因子が重複して存在している。そのうちの、脂質代謝異常は、血液中に含まれる脂質が過剰、若しくは不足している状態をいう。脂質が過剰となる場合には、食品中のコレステロールや飽和脂肪酸などが誘発因子となるが、遺伝によって発症する原発性、甲状腺機能低下症や肝臓病、腎臓病、糖尿病などが原因になる場合もある。主な脂質異常症治療薬として、スタチン系製剤が挙げられる。低リスク患者群においては、スタチン系製剤のコレステロール降下目標は比較的良好であるが、高リスク患者や心血管イベントの2次予防群では、目標値の達成には不十分と考えられる。新たな薬剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平3-275666号公報
【特許文献2】国際公開WO94/06767号
【特許文献3】国際公開WO99/043318号
【特許文献4】特開2007-169226号公報
【特許文献5】国際公開WO2012/002547 A1号
【特許文献6】特開2011-93849号公報
【0008】

【非特許文献1】製剤機械技術研究会誌、19 (3) 28-32 (2010)
【非特許文献2】Pharm. Tech. Japan., 27 (10) 57-63 (2011)
【非特許文献3】New England J. Med., 322, (1990)
【非特許文献4】Atherosclerosis 207, 1-7 (2009)
【非特許文献5】Atherosclerosis 231, 39-47 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一般式(I)に示される4-置換安息香酸誘導体(I)又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体(solid dispersion: SD)を有効成分として含む医薬組成物に関し、新規な医薬用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、4-置換安息香酸誘導体(I)又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体の薬理的作用について鋭意研究を重ねた結果、脂質代謝に関連する各種指標に対して有効に作用することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.一般式(I):
【化1】
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(式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン置換低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルコキシ基、又はハロゲン、低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されたアリールオキシ基を意味する)で表される4-置換安息香酸誘導体又は医薬的に許容されるその塩、及び水溶性高分子物質を含む固体分散体を有効成分として含む、脂質代謝改善剤。
2.4-置換安息香酸誘導体の医薬的に許容される塩が、アルギニン塩又はリジン塩である、前項1に記載の脂質代謝改善剤。
3.水溶性高分子物質が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリオキシエチンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択される前項1又は2に記載の脂質代謝改善剤。
4.一般式(I)におけるRが低級アルキル基である、前項1~3のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
5.低級アルキル基がt-ブチル基である、前項4に記載の脂質代謝改善剤。
6.4-置換安息香酸誘導体(I)が、4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸、又はS-(+)-4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸である、前項1~5のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
7.脂質代謝改善剤が、高脂血症改善剤、メタボリックシンドローム改善剤、脂肪肝改善剤、脂質代謝改善に伴う心血管疾患改善剤、抗アテローム性動脈硬化剤、抗黄色腫剤、抗肥満剤から選択されるいずれかである、前項1~6のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
8.高脂血症改善剤が、家族性II型高脂血症改善剤、家族性IV型高脂血症改善剤、食後高脂血症改善剤から選択されるいずれかである、前項7に記載の脂質代謝改善剤。
9.脂肪肝改善剤が、肝臓でのFAS発現抑制剤、肝臓でのCYP7A1発現亢進剤、肝臓含有脂肪量の減少剤から選択されるいずれかである、前項7に記載の脂質代謝改善剤。
10.メタボリックシンドローム改善剤が、内臓脂肪の蓄積抑制剤である、前項7に記載の脂質代謝改善剤。
11.脂質代謝改善に伴う心血管疾患改善剤が、心臓周囲脂肪の蓄積抑制剤である、前項7に記載の脂質代謝改善剤。
12.抗肥満剤が、体重減少剤である、前項7に記載の脂質代謝改善剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脂質代謝改善剤の投与によれば、肝臓で脂肪酸合成酵素の一つであるFAS(Fatty acid synthase)及びコレステロールや中性脂肪をリポ蛋白に組み込む際に働くMTP(microsomal triglyceride transfer protein)が低下し、コレステロールから胆汁酸を合成するCYP7A1(cholesterol-7 alfa-hydroxylase)が増加する。これらの結果から、本発明の脂質代謝改善剤の投与によって、肝臓で合成されたコレステロールはリポ蛋白に組み込まれずに胆汁酸に変換され、中性脂肪及びVLDLの合成が低下すると考えられる。さらに、VLDLは血中に分泌された後、脂肪組織で発現が上昇しているLPLによって中性脂肪を分解される。胆汁酸は十二指腸に分泌されて食事由来の脂質と共に再吸収されて肝臓に運ばれるが、本発明の脂質代謝改善剤は小腸でコレステロール等の吸収に関与するNPC1L1(Niemann-pick C1 Like 1 Protein )の発現を抑制し、小腸から肝臓へのコレステロール循環を抑制する。その結果、肝臓で合成された脂質は肝臓に蓄積されることなく胆汁酸を介して小腸から糞便中に排泄されると考えられる。このように、既存の脂質低下剤と作用機序が異なることから、本発明の脂質代謝改善剤はスタチンやMTP阻害剤との併用投与が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の脂質代謝改善剤の肝臓における脂質低下作用のメカニズムを示す図である。
【図2】本発明の固体分散体の脂質代謝改善作用を確認するための実験デザインを示す図である。(実施例3)
【図3】本発明の固体分散体の脂質代謝改善作用のうち、血清脂質の低下作用を確認した結果を示す図である。(実施例3)
【図4】本発明の固体分散体の脂質代謝改善作用のうち、各リポ蛋白質画分での脂質の低下作用を確認した結果を示す図である。(実施例3)
【図5】本発明の固体分散体の脂質代謝改善作用のうち、血清及び各リポ蛋白質画分での脂質の変化率を確認した結果を示す図である。(実施例3)
【図6】固体分散体の肝臓における脂質代謝関連酵素等のmRNA発現に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。(実施例4)
【図7】固体分散体の小腸、筋肉、脂肪組織における脂質代謝関連酵素等のmRNA発現に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。(実施例4)
【図8】固体分散体の肝臓含有脂質に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。(実施例5)
【図9】固体分散体の体重及び脂肪蓄積に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。(実施例6)
【図10】固体分散体のGOT、GPT、CK値による肝機能を確認した結果を示す図である。(実施例7)
【図11】市販薬のWHHLMIウサギにおける脂質低下作用の結果を示す図である。(比較例1)
【図12】B-Arg-SD-1の投与による脂質低下作用と市販薬の投与による脂質低下作用を確認した結果を示す図である。(比較例1)
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の脂質代謝改善剤における有効成分としての4-置換安息香酸誘導体又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体に関し、4-置換安息香酸誘導体は、以下の一般式(I)で表される:
【化1】
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(式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン置換低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルコキシ基、又はハロゲン、低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されたアリールオキシ基を意味する)

【0015】
上記の一般式(I)において、Rで表されるハロゲン原子としてはフルオル、クロル、ブロム、ヨードが挙げられ、低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1~6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が例示され、低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1~6の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基が例示される。これらの低級アルキル基及び低級アルコキシ基は、1~3のハロゲンで置換されていてもよい。

【0016】
また、一般式(I)において、Rで表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフトキシなどが挙げられ、これらのアリールオキシ基は、1~3のハロゲン、低級アルキル及び/又は低級アルコキシで置換されていてもよい。そのような置換アリールオキシ基としては、例えば2-クロロフェノキシ、3-クロロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、2-フルオロフェノキシ、3-フルオロフェノキシ、4-フルオロフェノキシ、4-ブロモフェノキシ、4-メチルフェノキシ、2-メチルフェノキシ、4-イソプロピルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、2-メトキシフェノキシ、4-イソプロポキシフェノキシ、4-t-ブトキシフェノキシ、4-クロロナフトキシなどが挙げられる。

【0017】
4-置換安息香酸誘導体(I)の医薬的に許容される塩としては、アルギニン塩(L-アルギニン塩、D-アルギニン塩、DL-アルギニン塩)、リジン塩(L-リジン塩、D-リジン塩、DL-リジン塩)などの塩基性アミノ酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩、エタノールアミン塩などの有機アミン塩などが例示され、特に好ましいのはアルギニン塩及びリジン塩及びナトリウム塩である。

【0018】
なお、4-置換安息香酸誘導体(I)において、メチレン鎖が結合したピロリドン骨格の4位は不斉炭素原子であるため、4-置換安息香酸誘導体(I)はその光学異性体として存在するが、本発明においてはR体、S体又はそれらの混合物のいずれであってもよい。また、本発明における4-置換安息香酸誘導体(I)には、その溶媒和物、例えば水和物、アルコール付加物なども包含される。

【0019】
これらの4-置換安息香酸誘導体(I)及びその塩は、例えば前記の特許文献1又は特許文献2に記載の方法により製造することができ、これらの特許文献の記載は本明細書の記載に含まれるものとする。

【0020】
本発明における4-置換安息香酸誘導体(I)で特に好ましいのは、4-[1-(4t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸及びS-(+)-4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸であり、これらの安息香酸類の好ましい塩としてはアルギニン塩、リジン塩及びナトリウム塩が挙げられる。

【0021】
本発明における4-置換安息香酸誘導体(I)の塩基性アミノ酸塩は、例えば遊離の4-置換安息香酸誘導体(I)1.0当量と塩基性アミノ酸0.8~1.5当量、好ましくは1.0~1.2当量とを、溶媒中で、室温~溶媒の沸点程度の温度、好ましくは約40~80℃で反応させることにより製造することができる。

【0022】
溶媒としては、塩基性アミノ酸塩の形成に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイドなどの極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。

【0023】
上記の反応により生成する4-置換安息香酸誘導体(I)の塩基性アミノ酸塩は、例えば反応混合物から溶媒を留去するか、あるいはエーテル、n-ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチルなどの貧溶媒を反応混合物に加えることにより、単離される。

【0024】
本発明における固体分散体は、4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩1重量部に対して水溶性高分子物質0.1~10重量部、好ましくは前者1重量部に対して後者0.25~5重量部を用いて、次の(a)~(d)のいずれかの方法により製造することができる。

【0025】
(a)4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と共に有機溶媒中に溶解又は分散させた後、該溶液又は分散液から有機溶媒を除去する方法(溶媒法)。
(b)4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、加熱下に水溶性高分子物質に溶解又は分散させた後、該溶融物を冷却する方法(溶融法)。
(c)4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質に加熱及び加圧下に溶解又は分散させた後、該溶融物を冷却する方法(加熱加圧溶融法)。
(d)4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と混合・溶融した後、該溶融物を粉砕する方法(混合粉砕法)。

【0026】
本発明の固体分散体の製造に用いられる水溶性高分子物質としては、水溶性であり、かつ4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を溶解又は分散できるものであればよく、特に限定されない。

【0027】
具体的には、セルロース類及びその誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロースなど)、合成高分子(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテートジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリルコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーなど)、天然高分子及び糖類(例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プピレングリコールエステル、寒天、ゼラチンなど)などが挙げられる。

【0028】
これらの水溶性高分子物質の中で好ましいのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリオキシエチンポリオキシプロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーなどである。
これらの水溶性高分子物質は、2種以上を混合して用いることもできる。

【0029】
4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩と水溶性高分子の組合せとして、4-置換安息香酸誘導体(I)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとの組合せ、又は4-置換安息香酸誘導体(I)の塩と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの組合せが好ましい。さらに、4-置換安息香酸誘導体(I)と2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとの組合せ、又は4-置換安息香酸誘導体(I)の塩と、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの組合せが好適である。

【0030】
前記の固体分散体の製造方法の一つである溶媒法(a)は、4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と共に有機溶媒中に、又は含水有機溶媒中に溶解又は分散させた後、該有機溶媒又は含水有機溶媒を常法により除去する方法により行われる。また、この溶媒法は、4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を有機溶媒に溶解又は分散させた後、該溶液又は分散液を、賦形剤、崩壊剤などの助剤と混合するか、又は助剤とともに造粒し、得られる混合物又は粒状物から、該有機溶媒を除去する方法によっても行われる上記の混合は、例えばポーレコンテナミキサー、V型混合装置などを用いて行われ、また上記の造粒は、たとえば撹拌造粒装置、流動層造粒装置、噴霧乾燥装置などを用いて行われる。この溶媒法で用いられる有機溶媒としては、例えば脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)などが挙げられ、これらの溶媒のうち、特に好ましいのはジクロロメタン、メタノール及びエタノールである。上記の有機溶媒は2種以上の混合溶媒、あるいは水との混合溶媒として用いることもできる。

【0031】
前記の固体分散体の製造方法の一つである溶融法(b)は、例えば4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と共に、例えば加熱器付き撹拌造粒装置を用いて、撹拌下に両成分の軟化点もしくは融点以上に加熱して溶融又は分散させた後、該溶融物又は分散溶融物を冷却する方法により行なわれる。また、前記の加熱加圧溶融法(c)は、例えば4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と共に、加熱・加圧下に混合し、得られる溶融物を冷却することにより行われる。この方法は、例えば二軸エクストルーダー、混練機などを用いて行うことができ、添加剤を適宜加えて行うこともできる。さらに、前記の混合粉砕法(d)は、4-置換安息香酸誘導体(I)又はその塩を、水溶性高分子物質と混合した後、該混合物をカッターミル、ボールミル、ハンマーミル、乳鉢などで粉砕することにより行われる。

【0032】
このようにして得られる固体分散体は、そのまま散剤、細粒剤、顆粒剤などの医薬製剤として用いることもできるが、常法に従って錠剤、カプセル剤などの医薬製剤として用いることもできる。これらの医薬製剤の製造に際して、賦形剤、着色剤、矯味剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤などの通常の添加剤を、必要に応じて適宜用いることもできる。

【0033】
本発明は、上記「4-置換安息香酸誘導体又はその医薬的に許容される塩及び水溶性高分子物質を含む固体分散体」を有効成分として含む、各種脂質代謝改善剤に関する。脂質代謝改善剤としては、具体的には、高脂血症改善剤、メタボリックシンドローム改善剤、脂肪肝改善剤、脂質代謝改善に伴う心血管疾患改善剤、抗アテローム性動脈硬化剤、抗黄色腫剤、抗肥満剤等が挙げられる。

【0034】
本発明の脂質代謝改善剤の投与によれば、肝臓で脂肪酸合成酵素の一つであるFAS(Fatty acid synthase)及びコレステロールや中性脂肪をリポ蛋白に組み込む際に働くMTP(microsomal triglyceride transfer protein)が低下し、コレステロールから胆汁酸を合成するCYP7A1(cholesterol-7 alfa-hydroxylase)が増加する。これらの結果から、本発明の脂質代謝改善剤の投与によって、肝臓で合成されたコレステロールはリポ蛋白に組み込まれずに胆汁酸に変換され、中性脂肪及びVLDLの合成が低下すると考えられる。さらに、VLDLは血中に分泌された後、脂肪組織で発現が上昇しているLPLによって中性脂肪を分解される。胆汁酸は十二指腸に分泌されて食事由来の脂質と共に再吸収されて肝臓に運ばれるが、本発明の脂質代謝改善剤は小腸でコレステロール等の吸収に関与するNPC1L1(Niemann-pick C1 Like 1 Protein )の発現を抑制し、小腸から肝臓へのコレステロール循環を抑制する。その結果、肝臓で合成された脂質は肝臓に蓄積されることなく胆汁酸を介して小腸から糞便中に排泄されると考えられる。このように、既存の脂質低下剤と作用機序が異なることから、本発明の脂質代謝改善剤はスタチンやMTP阻害剤との併用投与が期待できる(図1参照)。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)4-置換安息香酸誘導体(I)の医学的に許容される塩の製造
本実施例では、4-置換安息香酸誘導体(I)の医学的に許容される塩に関し、7種の製造例を示す。本実施例及び以降に示す各実施例において、4-置換安息香酸誘導体(I)として用いられる化合物を以下のように、「化合物A」及び「化合物B」と略称する。
化合物A:4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸
化合物B:S-(+)-4-[1-(4-t-ブチルフェニル)-2-ピロリドン-4-イル]メトキシ安息香酸
【実施例】
【0037】
1-1.化合物AのL-アルギニン塩の製造
化合物A(2.0g、5.4mmol)及びL-アルギニン(0.94g、5.4mmol)を、メタノール(70ml)に加熱下に溶解した後、溶媒を留去した。残留物にエーテルを加えて結晶化させ、析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量:2.9g、収率:98%)。
融点:220~223℃
【実施例】
【0038】
1-2.化合物Aのナトリウム塩の製造
水酸化ナトリウム(40mg、1mmol)をメタノール(10ml)に溶解した後、これに化合物A(367mg、1mmol)を加え、加温下に溶解した。この溶液から減圧下に溶媒を留去し、残留物にエーテルを加えて結晶化させ、析出した結晶を濾取した(収量:0.4g、収率:98%)。
【実施例】
【0039】
1-3.化合物BのL-アルギニン塩の製造
L-アルギニン(174mg、1mmol)を水(1ml)に加熱下に溶解し、この溶液に化合物B(367mg、1mmol)を加温下に徐々に加え、水(0.5ml)を追加して、加温下に溶解した。この溶液を4日間放置した後、微小の結晶が析出し始めたとき、イソプロピルアルコール(15ml)を加えて結晶を析出させた。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量: 0.45g、収率:83%)。
【実施例】
【0040】
1-4.化合物BのL-アルギニン塩の製造
L-アルギニン(174mg、1mmol)を水(0.5ml)及びイソプロピルアルコール(1ml)の混液に加え、60℃以上に加熱撹拌下に、化合物B(367mg、1mmol)を加えて溶解した。冷後、イソプロピルアルコール(5ml)及び種晶(少量)を加えて、冷所に放置する。結晶が析出し始めたら、イソプロピルアルコール(10ml)を追加して放置する。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量:0.53g、収率:97.9%)。
【実施例】
【0041】
1-5.化合物BのL-アルギニン塩の製造
化合物B(200mg、0.54mmol)及びL-アルギニン(100mg、0.57mmol)をメタノール(10ml)に加え、加熱下に溶解した後、結晶が析出し始めるまで溶媒を減圧下に留去した。エーテルを加えて結晶化を促進させ、析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量:0.29g、収率:97%)。
【実施例】
【0042】
1-6.化合物BのL-リジン塩の製造
L-リジン(146mg、1mmol)を水(1.2ml)に加え、これに加熱下に化合物B(367mg, 1mmol)を加え、完全に溶解させた後、イソプロピルアルコール(5ml)を加えて、冷所に放置した。結晶が析出し始めた後、イソプロピルアルコール(10ml)を加えて放置した。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量:0.49g、収率:96%)。
【実施例】
【0043】
1-7.化合物BのL-リジン塩の製造
化合物B(100mg、0.2724mmol)及びL-リジン(40.8mg、0.2736mmol)をメタノール(15ml)に加え、加熱撹拌下に溶解させた。この溶液を1/3程度になるまで減圧下に濃縮し、濃縮液にエーテルを加えて放置した。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥した(収量:77mg、収率:74%)。
【実施例】
【0044】
(実施例2)化合物A及び化合物Bの各種固体分散体の作製
本実施例では、実施例1に示す化合物A及び化合物Bについて、固体分散体(solid dispersion: SD)及び固体分散体を用いた製剤の作製例を36種について示す。
【実施例】
【0045】
2-1.化合物Aの固体分散体(A-SD-1)
化合物A(0.1g、1重量部)をメタノール/ジクロロメタン(1:1、15ml)に加熱下に溶解し、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5RW、信越化学工業(株)製、0.2g、2重量部)を加えて溶解する。この溶液から減圧下に溶媒を留去した。残留物にエーテルを加えて掻き取り、減圧下に乾燥して、化合物Aの固体分散体を得た(収量:0.16g、収率:53%)。
【実施例】
【0046】
2-2.化合物Aの固体分散体(A-SD-2)
HPMC(2重量部)の代わりに、HPMC(5重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約91%)。
【実施例】
【0047】
2-3.化合物Aの固体分散体(A-SD-3)
HPMC(2重量部)の代わりに、HPMC(3重量部)及び軽質無水ケイ酸(アエロジル、0.2重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約75%)。
【実施例】
【0048】
2-4.化合物Aの固体分散体(A-SD-4)
HPMCの代わりに、酢酸コハク酸ヒプロメロース(AQOAT、信越化学工業(株)製、3重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約75%)。
【実施例】
【0049】
2-5.化合物Aの固体分散体(A-SD-5)
HPMCの代わりに、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(ソルプラス、BASFジャパン(株)製、3重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約60%)。
【実施例】
【0050】
2-6.化合物Aの固体分散体(A-SD-6)
HPMCの代わりに、メタクリル酸コポリマー(オイドラギッドL100、エボニック社製、3重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約50%)。
【実施例】
【0051】
2-7.化合物Aの固体分散体(A-SD-7)
HPMCの代わりに、ポリビニルピロリドン(ポビドン30、3重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約62%)。
【実施例】
【0052】
2-8.化合物Aの固体分散体(A-SD-8)
ポビドン30(3重量部)に加えて軽質無水ケイ酸(アエロジル、1重量部)を用い、2-7と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約60%)。
【実施例】
【0053】
2-9.化合物Aの固体分散体(A-SD-9)
HPMCの代わりに、コポビドン(コリドンVA64、BASFジャパン(株)製、3重量部)を用い、2-7.と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率:約58%)。
【実施例】
【0054】
2-10.化合物Aの固体分散体(A-SD-10)
HPMCの代わりに、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(セルデックスHPB-EC;日本食品化工(株)製、3重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率50%)。
【実施例】
【0055】
2-11.化合物Aの固体分散体(A-SD-11)
HPMCの代わりに、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(セルデックスHPB-EC;日本食品化工(株)製、5重量部)を用い、2-1と同様に処理して、化合物Aの固体分散体を得た(収率90%)。
【実施例】
【0056】
2-12.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-1)
化合物AのL-アルギニン塩(0.15g、1重量部)をメタノール(12ml)に加熱下に溶解し、この溶液にポビドン30(3重量部)を加えて溶解した後、この溶液から減圧下に溶媒を留去した。残留物を掻き取って、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(0.29g)を得た(収率:約64%)。
【実施例】
【0057】
2-13.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-2)
ポビドン30(3重量部)に加えてアエロジル(1重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率55%)。
【実施例】
【0058】
2-14.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-3)
ポビドン30の代わりに、HPMC(TC-5RW、3重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率47%)。
【実施例】
【0059】
2-15.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-4)
ポビドン30の代わりに、HPMC(TC-5RW、3重量部)及びアエロジル(1重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率75%)。
【実施例】
【0060】
2-16.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-5)
ポビドン30の代わりに、ソルプラス(3重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率92%)。
【実施例】
【0061】
2-17.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-6)
ポビドン30の代わりに、ソルプラス(3重量部)及びAQOAT(1.5重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率50%)。
【実施例】
【0062】
2-18.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-7)
ポビドン30の代わりに、セルデックス(HPB-EC、3重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率78%)。
【実施例】
【0063】
2-19.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-8)
ポビドン30の代わりに、セルデックス(HPB-EC、3重量部)及びAQOAT(1.5重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率70%)。
【実施例】
【0064】
2-20.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-9)
ソルプラス(3重量部)の代わりに、ソルプラス(0.1重量部)を用い、2-16と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率75%)。
【実施例】
【0065】
2-21.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-10)
ソルプラス(3重量部)の代わりに、ソルプラス(0.25重量部)を用い、2-16と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率80%)。
【実施例】
【0066】
2-22.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-11)
ソルプラス(3重量部)の代わりに、ソルプラス(0.5重量部)を用い、2-16と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率75%)。
【実施例】
【0067】
2-23.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-12)
ソルプラス(3重量部)の代わりに、ソルプラス(1重量部)を用い、2-16と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率90%)。
【実施例】
【0068】
2-24.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体(A-Arg-SD-13)
ソルプラス(3重量部)の代わりに、ソルプラス(5重量部)を用い、2-16と同様に処理して、化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収率95%)。
【実施例】
【0069】
2-25.化合物Aのナトリウム塩の固体分散体(A-Na-SD-1)
化合物Aのナトリウム塩(1重量)及びソルプラス(3重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物Aのナトリウム塩の固体分散体を得た(収率:96%)。
【実施例】
【0070】
2-26.化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(B-Arg-SD-1)
化合物BのL-アルギニン塩(1重量)及びソルプラス(3重量部)を用い、2-12と同様に処理して、化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(C28H38N5O6, MW: 540)を得た(収率:98%)。以下の実施例において、本件化合物について各試験を行った。
【実施例】
【0071】
2-27.化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(B-Arg-SD-2)
化合物BのL-アルギニン塩(1.0g、1重量部)及びソルプラス(2重量部)をメタノール(100ml)に加熱下に溶解した後、この溶液から減圧下に溶媒を留去した。得られた粉末を減圧下に乾燥して、化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体を得た(収量:3.4g、収率:97%)。生成物は粉末X線にて非晶質形を示すハローパターンを示した。
【実施例】
【0072】
2-28.化合物Aのナトリウム塩の固体分散体(A-Na-SD-2)
化合物Aのナトリウム塩(1重量部)及びソルプラス(3重量部)を用い、2-27と同様に処理して、化合物Aのナトリウム塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0073】
2-29.化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(B-Arg-SD-3)
化合物BのL-アルギニン塩(1重量部)及びソルプラス(3重量部)を用い、2-27と同様に処理して、化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0074】
2-30.化合物BのL-リジン塩の固体分散体(B-Lys-SD-1)
化合物BのL-リジン塩(0.2g)及びソルプラス(0.2g)をメタノール(10ml)に加温下に溶解した後、この溶液から減圧下に溶媒を留去した。残留物にエーテルを加え、不溶物を濾取し、減圧下に乾燥して、化合物BのL-リジン塩の固体分散体を得た(収量:0.47g、収率:96%)。生成物は粉末X線にて非晶質形を示すハローパターンを示した。
【実施例】
【0075】
2-31.化合物Bのナトリウム塩の固体分散体(B-Na-SD-1)
化合物Bのナトリウム塩(1重量部)及びソルプラス(1重量部)を用い、2-30と同様に処理して、化合物Bのナトリウム塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0076】
2-32.化合物Bのナトリウム塩の固体分散体(B-Na-SD-2)
化合物Bのナトリウム塩(1重量部)及びソルプラス(2重量部)を用い、2-30と同様に処理して、化合物Bのナトリウム塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0077】
2-33.化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(B-Arg-SD-4)
化合物BのL-アルギニン塩(1重量部)及びソルプラス(1重量部)を用い、2-30と同様に処理して、化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0078】
2-34.化合物BのL-リジン塩の固体分散体(B-Lys-SD-2)
化合物BのL-リジン塩(1重量部)及びソルプラス(2重量部)を用い、2-30と同様に処理して、化合物BのL-リジン塩の固体分散体を得た。
【実施例】
【0079】
2-35.化合物Aの固体分散体11のカプセル剤
2-11で得られた固体分散体(3g、化合物Aの含量500mg)、乳糖(2g)及びステアリン酸マグネシウム(20mg)を均一に混合した後、2号ゼラチンカプセル10個に均等に充填してカプセル剤を得た。
【実施例】
【0080】
2-36.化合物AのL-アルギニン塩の固体分散体5のカプセル剤
2-16で得られた固体分散体(900mg、化合物AのL-アルギニン塩含量300mg)、乳糖500mgを均一に混合した後、2号ゼラチンカプセル3個に均等に充填してカプセル剤を得た。
【実施例】
【0081】
(実施例3)固体分散体の脂質代謝改善作用(脂質)
本実施例では、本発明の固体分散体の脂質代謝改善作用として、血清脂質の低下作用を確認した。被検薬として実施例2の2-26に示す化合物BのL-アルギニン塩の固体分散体(以下、「B-Arg-SD-1」)を用いた。B-Arg-SD-1は飼料に添加し、コントロール1(Control-1)は通常飼料とした。飼料として120g/日給与し、B-Arg-SD-1は30mg/kgとなるように与えた。
【実施例】
【0082】
WHHLMIウサギを用い、図2に示す実験デザインに従い血清脂質量として総コレステロール(mg/dL)、中性脂肪(mg/dL)及びリン脂質(mg/dL)を投与後毎週測定した。血清脂質量は酵素法により測定した。また薬剤投与後0週と4週に、リポ蛋白量を超遠心法に従い分画し、各リポ蛋白質画分における脂質量も同様に測定した。薬剤投与群(n=6)及びコントロール群(n=5)にて実験を行った。各々について統計検定はStudent t-testで実施した。
【実施例】
【0083】
血清全体の脂質値は統計的に有意に低下し、中性脂肪がコントロール1に比べて40%低下し、総コレステロールが23%低下した(図3)。各リポ蛋白質画分における脂質量の結果は図4に示した。VLDL画分では、第4週目で被検薬投与群がコントロール1に比べて総コレステロール、中性脂肪及びリン脂質の量が、有意に抑制された。IDL+LDL画分では、第4週目で被検薬投与群がコントロール1に比べて中性脂肪及びリン脂質の量が、有意に抑制された。HDL画分では、第4週目で被検薬投与群がコントロール1に比べて有意差は認められなかった(図4)。
【実施例】
【0084】
本実施例の測定結果について、各々について、実験開始時点と第4週目について、総コレステロール、中性脂肪及びリン脂質の量の変化率を確認した。その結果、総コレステロール、中性脂肪及びリン脂質のすべてについて、被検薬投与群がコントロール1に比べて脂質低下率が高いことが確認された(図5)。
【実施例】
【0085】
(実施例4)固体分散体の脂質代謝関連酵素等のmRNA発現に及ぼす影響
本実施例では、B-Arg-SD-1の脂質低下作用の機序を確認するために、肝臓の脂質代謝関連酵素等のmRNA発現をリアルタイムPCRで検討した。実施例3の図2に示す実験デザインに従い、B-Arg-SD-1投与後5週目に、肝臓、小腸、筋肉、内臓脂肪の脂質代謝関連酵素のmRNAを測定した。mRNAの発現解析はリアルタイムPCR法(SYBRR(R) Green I)を用いたインターカーレーター法により測定した。各遺伝子発現の確認のために使用したプライマーは、表1に示した。
【実施例】
【0086】
【表1】
JP2017095428A_000006t.gif
【実施例】
【0087】
B-Arg-SD-1の投与により、肝臓でFASが51%低下、MTP(microsomal triglyceride transfer protein)が24%低下した。一方、CYP7A1(cholesterol-7 alfa-hydroxylase)が4.4倍に増加した(図6)。B-Arg-SD-1の投与により、コレステロールから胆汁酸を合成するCYP7A1の発現が増加し、コレステロールや中性脂肪をリポ蛋白に組み込む際に働くMTPの発現が低下し、脂肪酸合成酵素の一つであるFASの発現が低下した。これらの結果から、B-Arg-SD-1の投与によって、肝臓で合成されたコレステロールはリポ蛋白に組み込まれずに胆汁酸に変換され、中性脂肪及びVLDLの合成が低下したことを示唆している。
【実施例】
【0088】
また、他の臓器における脂質代謝関連構想等の発現については、B-Arg-SD-1の投与により小腸でコレステロールの吸収に関わるNPC1L1(Niemann-pick C1 Like 1 Protein)が20%低下傾向を示した。筋肉(ひらめ筋)では統計的な有意差は認められなかったがVLDLRが25%低値を示した(図7)。内臓脂肪組織(腸管膜脂肪組織)では、さらに、統計的な有意は認められなかったが、アディポネクチン(ADPOQ)の発現が55%高値を、レプチン(Leptin)の発現が34%低値を示した(図7)。これらの結果は、腸管膜における脂肪蓄積の減少を示唆している。
【実施例】
【0089】
(実施例5)固体分散体の肝臓含有脂質に及ぼす影響
本実施例では、固体分散体の肝臓含有脂質に及ぼす影響を確認した。実施例4の結果、B-Arg-SD-1の投与により肝臓でMTPの発現抑制が認められたことから、肝臓に脂質が蓄積することが考えられるため、実施例3の図2に示す実験デザインに従い、B-Arg-SD-1投与後5週目における肝臓の脂質含量を測定した。その結果、B-Arg-SD-1の投与によって、コレステロール、中性脂肪とも含有量が有意に減少した。すなわち、B-Arg-SD-1でMTPの発現が抑制されても肝臓では脂質の蓄積が増加しないことが明らかとなった(図8)。また、肝臓における脂質の蓄積を抑制することは、脂肪肝の抑制に繋がると期待される。B-Arg-SD-1の脂質低下作用のメカニズムは、図1に示すスキームが考えられる。
【実施例】
【0090】
(実施例6)固体分散体投与による体重や脂肪組織重量に及ぼす影響
本実施例では、B-Arg-SD-1の投与による体重や脂肪組織重量に及ぼす影響を確認した。実施例3の図2に示す実験デザインに従い、B-Arg-SD-1投与後5週目の体重、脂肪組織重量及び心臓周囲脂肪を観察した。B-Arg-SD-1の投与によって、飼料の摂餌量に変化は認められなかったが、体重は薬剤投与前に比較して有意に低下し、腸間膜及び心臓周囲の脂肪の蓄積が減少した(図9)。このことより、B-Arg-SD-1には抗肥満効果があることが期待できる。
【実施例】
【0091】
5週間の投与で腸間膜脂肪の蓄積が減少傾向を示した。この結果は、実施例4の腸間膜脂肪組織のLPL、ADPOQ及びLeptinのmRNA発現の変化と一致することから、長期投与によって内臓脂肪が減少し、メタボリックシンドローム改善薬になる可能性があると思われる。
また、心臓周囲の脂肪蓄積が心血管疾患の発症に関与していることを示唆する報告が複数あり、心血管疾患改善効果も期待できる。
【実施例】
【0092】
(実施例7)固体分散体の投与による血清GOT、GPT、CK値に及ぼす影響
本実施例では、B-Arg-SD-1の投与による血清GOT(glutamic oxaloacetic transaminase)、GPT(Glutamic Pyruvate Transaminase)、CK(creatine kinase)値に及ぼす影響を確認した。実施例3の図2に示す実験デザインに従い、B-Arg-SD-1投与後5週目のGOT、GPT、CK値を測定した。B-Arg-SD-1は、5週間の投与で肝毒性の指標である血清GOT, GPTの有意な変化を示さず、スタチンの副作用の指標の一つである血清CKも有意な変化を示さなかった。したがって、B-Arg-SD-1はスタチンとの併用により、相乗的/相加的な脂質低下作用が期待できる(図10)。
【実施例】
【0093】
(比較例1)市販薬の投与による脂質低下作用
本比較例では、WHHLMIウサギ(各群:n=6)を用いて、各市販薬剤であるピタバスタチン(Pitavastatin:0.5mg/kg)、エイコサペンタエン酸(EPA:300mg/kg)、ベザフィブラート(Bezafibrate:50mg/kg)を投与したときの脂質低下作用を確認した。図2に示すように、各市販薬は0.5% カルボキシメチルセルロース(CMC)懸濁液に懸濁し、コントロール2(Control-2)は0.5% CMC懸濁液とした。
【実施例】
【0094】
実施例3と同手法により、図2に示す実験デザインに従い血清脂質量として総コレステロール(mg/dL)、中性脂肪(mg/dL)及びリン脂質(mg/dL)を投与後毎週測定した。各々について統計検定はDunnett-testで実施した。Control-2との比較において、総コレステロール低下作用はピタバスタチンがもっとも強く、EPAも有意な低下作用を示した。中性脂肪はいずれの群も有意な変化を示さなかった(図11)。
【実施例】
【0095】
B-Arg-SD-1の投与による脂質低下作用と市販薬の投与による脂質低下作用を図12にまとめて示した。その結果、B-Arg-SD-1の投与による脂質低下作用が市販品と比較しても最も優れていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上詳述したように、本発明の脂質代謝改善剤の投与によれば、肝臓で脂肪酸合成酵素の一つであるFAS及びコレステロールや中性脂肪をリポ蛋白に組み込む際に働くMTPが低下し、コレステロールから胆汁酸を合成するCYP7A1が増加する。これらの結果から、本発明の脂質代謝改善剤の投与によって、肝臓で合成されたコレステロールはリポ蛋白に組み込まれずに胆汁酸に変換され、中性脂肪及びVLDLの合成が低下すると考えられる。さらに、VLDLは血中に分泌された後、脂肪組織で発現が上昇しているLPLによって中性脂肪を分解される。胆汁酸は十二指腸に分泌されて食事由来の脂質と共に再吸収されて肝臓に運ばれるが、本発明の脂質代謝改善剤は小腸でコレステロール等の吸収に関与するNPC1L1の発現を抑制し、小腸から肝臓へのコレステロール循環を抑制する。その結果、肝臓で合成された脂質は肝臓に蓄積されることなく胆汁酸を介して小腸から糞便中に排泄されると考えられる。
【0097】
このように、既存の脂質低下剤と作用機序が異なることから、本発明の脂質代謝改善剤はスタチンやMTP阻害剤との併用投与が期待できる。また、本発明の脂質代謝改善剤は、肝毒性の指標である血清GOT, GPTの有意な変化を示さず、スタチンの副作用の指標の一つである血清CKも有意な変化を示さなかった。したがって、スタチンとの併用により、相乗的/相加的な脂質低下作用が期待できる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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