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明細書 :ドーム型結合力維持具を備えたアンカースクリュー装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-093627 (P2017-093627A)
公開日 平成29年6月1日(2017.6.1)
発明の名称または考案の名称 ドーム型結合力維持具を備えたアンカースクリュー装置
国際特許分類 A61C   7/12        (2006.01)
FI A61C 7/12
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2015-226756 (P2015-226756)
出願日 平成27年11月19日(2015.11.19)
発明者または考案者 【氏名】宮脇 正一
【氏名】友成 博
【氏名】國則 貴玄
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査請求 未請求
テーマコード 4C052
Fターム 4C052AA04
4C052JJ02
4C052JJ06
4C052JJ10
要約 【課題】アンカースクリューを埋入させる骨の表面に凹凸や傾きがあるときにも、結合力維持具の各脚部の先端を皮質骨に均一に食い込ませられるようにする。
【解決手段】ドーム型結合力維持具2は、アンカースクリュー1のスクリュー部4を挿通させる穴10が形成され、穴10の周囲が円弧面11をなすように下がるドーム形状の座部9と、座部9につながってアンカースクリュー1のねじ込み方向に延伸する複数本の脚部12とを有する。シリコーンリング3は、アンカースクリュー1のフランジ部7とドーム型結合力維持具2の座部9との間に挟み込むように配置される。アンカースクリュー1を骨にねじ込むと、フランジ部7がシリコーンリング3を介して座部9で受け止められて、脚部12の先端が骨に圧接して皮質骨に食い込み、その状態から、シリコーンリング3の付勢力が座部9の円弧面11に作用することにより、脚部12の先端が皮質骨にさらに食い込む。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
骨に埋入させるスクリューと、
前記スクリューを前記骨に埋入させた状態で該スクリューの維持力を増強するためのドーム型結合力維持具と、
前記ドーム型結合力維持具に付勢力を与える付勢部材とを備え、
前記ドーム型結合力維持具は、前記スクリューのスクリュー部を挿通させる穴が形成され、前記穴の周囲が円弧面をなすように下がるドーム形状の座部と、前記座部につながって前記スクリューのねじ込み方向に延伸する複数本の脚部とを有し、
前記付勢部材は、前記スクリューのスクリュー部を挿通させることのできる円環形状であり、前記スクリューの前記スクリュー部の上部に位置する大径部と、前記ドーム型結合力維持具の前記座部との間に挟み込むように配置され、
前記スクリューの前記スクリュー部を前記ドーム型結合力維持具の前記穴に挿通させた状態で前記骨にねじ込むと、前記大径部が前記付勢部材を介して前記座部で受け止められて、前記複数本の脚部の先端が前記骨に圧接して皮質骨に食い込み、その状態から、前記付勢部材の付勢力が前記座部の前記円弧面に作用することにより、前記各脚部の先端が前記皮質骨にさらに食い込むようにしたことを特徴とするアンカースクリュー装置。
【請求項2】
前記付勢部材は樹脂製のリング、又はバネ部材であることを特徴とする請求項1に記載のアンカースクリュー装置。
【請求項3】
前記ドーム型結合力維持具の前記各脚部は外側に広がるように延伸する形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカースクリュー装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歯科矯正治療に利用して好適なドーム型結合力維持具を備えたアンカースクリュー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科矯正治療において、矯正力により目的の歯を移動させるためには、その矯正力に抗する固定源が必要となる。通常、固定源として、他の歯(大臼歯等)、頭部や頸部等が用いられてきた。
しかしながら、他の歯を固定源とする場合、動かしたくない歯が移動してしまうことがあるという欠点があった。また、頭部や頸部を固定源とする場合は、ヘッドギア等の装置を装着しなければ効果がないため、患者の協力が不可欠であるという欠点があった。
【0003】
Bra・・nemark(a・・はaの上に・・がある表記とする)らによって強固な骨結合(osseo-integration)を示す生体親和性の高いチタン製の人工歯根(デンタルインプラント)が開発されて以降、それを絶対的固定源として用いた歯科矯正治療が1960年代に考案され、利用されるようになってきた。
しかしながら、チタン製のデンタルインプラントは、極めて高価であり埋入部位が限られていることに加え、外科的侵襲が大きく、さらに、強固に骨と結合しているので埋入後には撤去が難しく、一時的に用いるための加強固定としては使用しにくい等の理由から、近年では、骨折等の治療で骨片の固定に用いられていたスクリューを固定源に用いた歯科矯正治療が行われるようになってきた(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。この技術は、口腔内の例えば顎骨、歯槽骨、頬骨、口蓋骨(以下、「顎骨等」と記す)に歯科矯正用アンカースクリュー(以下、アンカースクリューと呼ぶ)を埋入、固定して、このアンカースクリューにプレートやワイヤーを支持させて固定するものである。
アンカースクリューを用いることにより、外科的侵襲が小さく、患者の不快症状も少なくすることができる。最近では、埋入がより容易に行えるセルフドリリング(予め骨に穴をあけず、直接スクリューを埋入できるもの)タイプが主流となってきている。
【0004】
しかしながら、アンカースクリューは埋入時、歯槽骨内の歯根と歯根の狭いスペースに正確に埋入する必要があるため、常に歯根に接触する危険性をはらんでいる。また、埋入部位や適応症例の制限、歯根への損傷、高度な診断と埋入技術の必要性、約15%は脱落する等の欠点がある。アンカースクリューが脱落する原因として、アンカースクリューの形態や熟練を要する埋入時の操作等に加え、顎骨等内でのアンカースクリューと歯根との接触が挙げられている。特にアンカースクリューの長さを長くすると、顎骨等の皮質骨(骨の表面1~3mm程度の部分)を貫通して海綿骨に入っていく部分が長くなるため、脱落の主な原因となる歯根に接触する危険性が増す。
また、埋入の成功率を高めるためには、アンカースクリューと顎骨等の皮質骨との間の物理的な接触面積を増加させて結合力を増加させることが考えられるが、アンカースクリューの直径を大きくすると、脱落の主な原因となる歯根に接触する危険性が増すことに加え、セルフドリリングの際の埋入時のトルクが増して、皮質骨に亀裂が走るおそれもある。
【0005】
そのため、従来のアンカースクリューを用いる場合、歯根との接触を避けるために、埋入時に安全な位置や挿入角度を決定する必要があり、CT等の高額な画像検査やこれに伴う放射線被爆、さらに、高度な診断技術や高度な治療技術が必要となる欠点もあった。
また、混合歯列期の患者(子供)に対しては、永久歯の歯胚が歯槽骨内に存在することから、通常の術式でアンカースクリューを埋入すると歯胚を傷つけるため、従来のアンカースクリューを用いることができなかった。そのため、平成24年9月に日本矯正歯科学会が作成した歯科矯正用アンカースクリューのガイドラインでは、適応年齢については、原則として成人又は永久歯列完成後の成長晩期の若年者に限定されている。
アンカースクリューの安定性を獲得するために、例えば顎骨等の皮質骨と海綿骨に触れるネジの部分のピッチを変えたアンカースクリュー等も考案されている。このように成功率を向上させる試みが行われてきているが、口蓋以外の部位において約15%は脱落するというデータもあり、未だ解決方法は得られていない。
以上のようにアンカースクリューの埋入後の安定性を得るためには、ある程度の長さと直径が求められるが、その反面、歯根との接触や結合力の低下を招くおそれがあり、これらはトレードオフの関係にある。そのため、従来のアンカースクリューは改良が進んでいるにもかかわらず、未だ埋入可能領域の制限があり、脱落や破折のリスクが払拭できないでいるのが現状である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平11-164843号公報
【特許文献2】特開2001-187071号公報
【特許文献3】特開2015-165958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人は、安全性とスクリューの結合力を飛躍的に高めて、スクリューの脱落を大幅に減らすことと、埋入可能領域の適用範囲を広げることを目的として、特許文献3において、スクリューの結合力維持具及び結合力維持具付きスクリューを提案している。
特許文献3では、座部201及び3本の脚部202を備え、アンカースクリュー100のスクリュー部101を座部201に形成された穴に挿通させることのできる結合力維持具200が開示されており、次のような使用方法が記載されている。すなわち、アンカースクリュー100を口腔内の顎骨等に埋入、固定するときには、図5(a)に示すように、スクリュー部101を結合力維持具200に挿通させた状態で顎骨等にねじ込む。これにより、図5(b)に示すように、付勢部材300が圧縮されてフランジ部102が座部201で受け止められて、脚部202の先端が顎骨等の表面に圧接して皮質骨に食い込む。そして、図5(b)の状態から時間が経過すると、図5(c)に示すように、付勢部材300により、各脚部202の先端が皮質骨に徐々にさらに食い込んだ状態となり、強固な維持力を発揮する。
【0008】
ここで、特許文献3では、結合力維持具200の座部201が平坦面となっており、その平坦面に付勢部材300の付勢力が作用する構造となっている。その一方で、顎骨等の表面は必ずしも平坦ではなく、凹凸や傾きを有することが多い。
この場合、図6に示すように、最初は顎骨等の表面に接触した脚部202を支点として結合力維持具200が傾き、他の脚部202の先端が顎骨等の表面に近づくか接触する。しかしながら、結合力維持具200が傾くと、付勢部材300から与えられる付勢力に偏りが生じて付勢力が減少するため、その後、3本の脚部202の先端が皮質骨に均一に食い込まず、維持力が損なわれるおそれがある。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、アンカースクリューを埋入させる骨の表面に凹凸や傾きがあるときにも、結合力維持具の各脚部の先端を皮質骨に均一に食い込ませられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアンカースクリュー装置は、骨に埋入させるスクリューと、前記スクリューを前記骨に埋入させた状態で該スクリューの維持力を増強するためのドーム型結合力維持具と、前記ドーム型結合力維持具に付勢力を与える付勢部材とを備え、前記ドーム型結合力維持具は、前記スクリューのスクリュー部を挿通させる穴が形成され、前記穴の周囲が円弧面をなすように下がるドーム形状の座部と、前記座部につながって前記スクリューのねじ込み方向に延伸する複数本の脚部とを有し、前記付勢部材は、前記スクリューのスクリュー部を挿通させることのできる円環形状であり、前記スクリューの前記スクリュー部の上部に位置する大径部と、前記ドーム型結合力維持具の前記座部との間に挟み込むように配置され、前記スクリューの前記スクリュー部を前記ドーム型結合力維持具の前記穴に挿通させた状態で前記骨にねじ込むと、前記大径部が前記付勢部材を介して前記座部で受け止められて、前記複数本の脚部の先端が前記骨に圧接して皮質骨に食い込み、その状態から、前記付勢部材の付勢力が前記座部の前記円弧面に作用することにより、前記各脚部の先端が前記皮質骨にさらに食い込むようにしたことを特徴とする。
また、本発明のアンカースクリュー装置の他の特徴とするところは、前記付勢部材は樹脂製のリング、又はバネ部材である点にある。
また、本発明のアンカースクリュー装置の他の特徴とするところは、前記ドーム型結合力維持具の前記各脚部は外側に広がるように延伸する形状である点にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、付勢部材の付勢力がドーム型結合力維持具の座部の円弧面に作用するようにしたので、スクリューを埋入させる骨の表面に凹凸や傾きがあるときにも、ドーム型結合力維持具の各脚部の先端を皮質骨に均一に食い込ませることができ、維持力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るアンカースクリューを示す図である。
【図2】実施形態に係るドーム型結合力維持具を示す図である。
【図3】実施形態に係るアンカースクリュー装置の使用方法を説明するための模式図である。
【図4】骨の表面に凹凸や傾きがあるときの実施形態に係るアンカースクリュー装置を説明するための模式図である。
【図5】従来のアンカースクリュー装置の使用方法を説明するための模式図である。
【図6】骨の表面に凹凸や傾きがあるときの従来のアンカースクリュー装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係るアンカースクリュー装置は、本発明でいうスクリューに相当するアンカースクリュー1と、ドーム型結合力維持具2と、本発明でいう付勢部材に相当するシリコーン樹脂製のリング3(以下、シリコーンリングと呼ぶ)とを備える。

【0014】
図1に、本実施形態に係るアンカースクリュー1を示す。
アンカースクリュー1は、歯科矯正治療において口腔内の顎骨等に埋入して、歯の移動のための矯正力を付与するときの固定源(アンカー)として用いられる。
アンカースクリュー1は、スクリュー部4と、ヘッド部5とを有する。スクリュー部4が顎骨等に埋入される。ヘッド部5は、上端側の係合部6と、スクリュー部4の上部に位置するフランジ部7とを有する。係合部6は略六角柱形状であり、その上面には十字溝が形成されている。係合部6の側面にドライバー等のツールを嵌め、又は十字溝にツールを係合させた状態でツールを回すことにより、スクリュー部4をねじ込むことができる。ヘッド部5において、係合部6とフランジ部7との間には括れ部8が形成されており、例えばこの括れ部8に、矯正用器具・材料を接続、支持させて固定する。

【0015】
図2に、本実施形態に係るドーム型結合力維持具2を示す。
ドーム型結合力維持具2は、アンカースクリュー1のスクリュー部4を顎骨等に埋入させた状態でアンカースクリュー1の維持力を増強するために用いられる。
ドーム型結合力維持具2は、アンカースクリュー1のヘッド部5を受け止める座部9を有する。座部9は、その中央にアンカースクリュー1のスクリュー部4を挿通させる穴10が形成されており、穴10の周囲が円弧面11をなすように下がるドーム形状を有する。なお、穴10の径には、アンカースクリュー1のスクリュー部4に対して適宜な余裕(遊び)を持たせる。
また、ドーム型結合力維持具2は、座部9の周囲からアンカースクリュー1のねじ込み方向に延伸する3本の脚部12を有する。各脚部12は、外側に円弧状に膨らんで広がるように、かつ、徐々に細くなるように延伸する。隣り合う脚部12間は、内側に凹むようにした円弧面部13でつながっており、この円弧面部13が脚部12の補強部として機能する。

【0016】
図3に示すように、シリコーンリング3は、アンカースクリュー1のフランジ部7と、ドーム型結合力維持具2の座部9との間に挟みこむように配置される。

【0017】
以下、図3を参照して、実施形態に係るアンカースクリュー装置の使用方法を説明する。
アンカースクリュー1を口腔内の顎骨等に埋入、固定するときは、図3(a)に示すように、スクリュー部4をドーム型結合力維持具2の穴10に挿通させた状態で顎骨等の海綿骨までねじ込む。これにより、フランジ部7がシリコーンリング3を介して座部9で受け止められて、3本の脚部12の先端が顎骨等の表面14に圧接して皮質骨に食い込む。このとき、図3(b)に示すように、シリコーンリング3は圧縮されて、ドーム型結合力維持具2に付勢力を与える。本実施形態では、各脚部12の先端を例えば包丁や釘の先端のように三角形錐状或いは円錐状に尖った鋭利な刃や針のような形状とする。そして、各脚部12の先端を、皮質骨に埋入する時のトルクが5~30N程度になった場合0.1~0.9mm程度食い込ませることを想定している。なお、食い込ませる量は限定されるものではなく、必要に応じて0.1mmより小さくてもよいし、0.9mmより大きくてもよい。

【0018】
図3(b)の状態から時間が経過すると(例えば4~8週間後)、シリコーンリング3が元の形状に復帰しようとして付勢力が座部9の円弧面11に作用することにより、図3(c)に示すように、各脚部12の先端が皮質骨に徐々にさらに食い込んだ状態となり、強固な維持力を発揮する。
その後、図3(d)に示すように、シリコーンリング3を取り除いてアンカースクリュー1をさらにねじ込むようにしてもよい。

【0019】
以上のように、ドーム型結合力維持具2を用いることによりアンカースクリュー1の結合力を飛躍的に向上させることができ、硬度の高い皮質骨との接触面積が増加し機械的嵌合力が高まることから、アンカースクリュー1の脱落を大幅に減らすことができる。
すなわち、ドーム型結合力維持具2の脚部12が顎骨等の表面14(緻密で強度の高い皮質骨)に圧接し、皮質骨に食い込むので、ドーム型結合力維持具2に圧接するアンカースクリュー1の維持力を飛躍的に高めることができる。
また、アンカースクリュー1には矯正用器具が接続するため、一径方向への引っ張り力が作用する。この場合にも、ドーム型結合力維持具2の脚部12が引っ張り力に対する抗力を発揮する。特に本実施形態のように各脚部12が外側に広がるように、すなわちアンカースクリュー1の径方向に広がるように延伸する形状とすることで、引っ張り力に対する大きな抗力を発揮することができる。したがって、治療中の矯正力の負荷に対してアンカースクリュー1が傾いたり、脱落したりするのを防ぐことができる。

【0020】
以上のようにアンカースクリュー1の維持力を飛躍的に向上させることができるので、従来あるアンカースクリュー(直径1.2~2.0mm程度、長さ4.0~8.0mm程度)はもちろん、従来は使用できなかった長さの短いアンカースクリューを使用することも可能になる。これにより、顎骨等内での歯根との接触を回避できるようになるだけでなく、CT等の高額な画像検査や放射線被爆、高度な診断技術や高度な治療技術も不要となる。さらに、乳歯列期や混合歯列期の若年者に対してもアンカースクリューを使用できる適応症例の拡大が、従来技術と比較して極めて優位性の高い点である。

【0021】
また、ドーム型結合力維持具2は、複数本の脚部12の先端が顎骨等の表面14に圧接して皮質骨に食い込む構成としているが、これは次のような理由からである。
すなわち、顎骨等の表面14は平坦面とは限らず、凹凸のある複雑な形状である。そのため、例えば円板形状の座金を用いることを考えた場合、座金と顎骨等の表面14との間に隙間ができてしまう。それに対して、ドーム型結合力維持具2では、顎骨等の表面14が凹凸のある複雑な形状であっても、脚部12の先端が鋭利であるため、各脚部12の食い込みが異なることで3本の脚部12の先端を確実に顎骨等の表面14に接触させることができる。
また、口腔内において顎骨等は歯肉で覆われている。そのため、例えば円板形状の座金を用いることを考えた場合、座金が歯肉を圧迫して血流の遮断による壊死等が起こる可能性がある。或いは、広い面積(座金の面積分)で歯肉を剥離するという外科的侵襲の大きな処置が必要となる。それに対して、ドーム型結合力維持具2では、3本の脚部12の先端を顎骨等の表面14に圧接させれば良いので、このような問題は生じない。

【0022】
さらに、ドーム型結合力維持具2の座部9が円弧面11をなすように下がるドーム形状を有し、シリコーンリング3の付勢力が円弧面11に作用するようにしたので、顎骨等の表面14に凹凸や傾きがあるときにも、ドーム型結合力維持具2の各脚部12の先端を皮質骨に均一に食い込ませることができる。
すなわち、図4に示すように、最初は顎骨等の表面14に接触した脚部12を支点としてドーム型結合力維持具2が傾き、他の脚部12の先端が表面14に近づくか接触する。このようにドーム型結合力維持具2が傾いたときにも、シリコーンリング3の付勢力は円弧面11に略均一に作用するので、その後、3本の脚部12の先端が皮質骨に均一に食い込み、維持力を確保することができる。

【0023】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えばアンカースクリュー、ドーム型結合力維持具及びシリコーンリングの具体的な形状やサイズ等は、本発明の要旨の範囲内であれば変形及び変更が可能である。
また、上記実施形態では、本発明でいう付勢部材としてシリコーンリング3を挙げたが、円環形状で、座部9の円弧面11に付勢力を作用させるものであれば、コイルバネや板バネ等を用いてもかまわない。
また、上記実施形態では、アンカースクリュー1に矯正用器具・材料を接続、支持するとしたが、ドーム型結合力維持具2に、歯を牽引するためのベンダブルアーム、すなわち曲げたり、捻ったりすることのできるアームがろう付けや溶接等により結合されていてもよい。ベンダブルアームの先端は例えばフック状となっており、歯に固定されたブラケットに掛けられるチェーンやスプリングを係止することができる。
なお、上記実施形態では、口腔内の顎骨等を対象としたが、それに限られるものではなく、動物の骨等を対象としてもよい。また、本発明は、スクリューの埋入の長さが十分に確保できないような部位にも使用できるので、顎骨に対してはデンタルインプラントの代替品として、また、神経の走行に十分な配慮が必要な脊椎やその他の整形外科領域にも応用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1:アンカースクリュー、2:ドーム型結合力維持具、3:シリコーンリング、4:スクリュー部、5:ヘッド部、6:係合部、7:フランジ部、9:座部、10:穴、11:円弧面、12:脚部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5