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明細書 :光変調器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-083626 (P2017-083626A)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 光変調器
国際特許分類 G02F   1/01        (2006.01)
FI G02F 1/01 C
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 39
出願番号 特願2015-211127 (P2015-211127)
出願日 平成27年10月27日(2015.10.27)
発明者または考案者 【氏名】中島 啓幾
【氏名】井筒 雅之
【氏名】川西 哲也
【氏名】山口 祐也
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100133639、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 卓哉
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
審査請求 未請求
テーマコード 2K102
Fターム 2K102AA22
2K102AA24
2K102BA02
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA00
2K102DA04
2K102DB05
2K102DD01
2K102DD03
2K102DD05
2K102EA03
2K102EA16
要約 【課題】一つの電気信号入力で、光信号を所望の応答特性で変調出力することが可能な光変調器を提供する。
【解決手段】第3の導波路33,34を信号電極115と接地電極116との間に配置し、別な信号電極115と接地電極117との間にも第4の導波路43,44を配置する。各々の第3の導波路33,34、第4の導波路43,44で所望の変調深さを有する被変調光を生成して、それらを第1の合波器32、第2の合波器42と第3の合波器12で合波干渉させることで、光電場の振幅領域で所望の変調曲線を得ることができる。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
光が入力される入力導波路と、
前記入力導波路からの光を分波する第一の分波器と、
前記第一の分波器により分波された光をそれぞれ伝搬する第一の導波路及び第二の導波路と、
前記第一の導波路からの光を複数に分波する第二の分波器と、
前記第二の導波路からの光を複数に分波する第三の分波器と、
前記第二の分波器からの複数の光をそれぞれ伝搬する複数の第三の導波路と、
前記第三の分波器からの複数の光をそれぞれ伝搬する複数の第四の導波路と、
複数の前記第三の導波路と複数の前記第四の導波路との間に配置され、出力される光信号を変調するための入力電圧信号を印加する信号電極と、
複数の前記第三の導波路を前記信号電極との間で挟むように配置された第一の接地電極と、
複数の前記第四の導波路を前記信号電極との間で挟むように配置された第二の接地電極と、
複数の前記第三の導波路からの複数の光を合波する第一の合波器と、
複数の前記第四の導波路からの複数の光を合波する第二の合波器と、
前記第一の合波器からの光を伝搬する第五の導波路と、
前記第二の合波器からの光を伝搬する第六の導波路と、
前記第五の導波路からの光と前記第六の導波路からの光とを合波する第三の合波器と、
前記第三の合波器からの光を出力する出力導波路と
を有する光変調器。
【請求項2】
複数の前記第三の導波路のそれぞれの導波路と、複数の前記第四の導波路のそれぞれの導波路は、前記信号電極から生成される電界の強さが所定の比で異なる位置にそれぞれ配置される請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
複数の前記第三の導波路を透過する光信号の、第三の導波路間の光強度の比、及び複数の前記第四の導波路を透過する光信号の、第四の導波路間の光強度の比は、前記電界の強さの所定の比に対応した値である、請求項2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記第一の分波器が対称分波器であり、
前記第二の分波器及び前記第三の分波器が非対称分波器であり、
前記第一の合波器及び前記第二の合波器が非対称合波器であり、
前記第三の合波器が対称合波器である
請求項1~3のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項5】
前記第二の分波器と複数の前記第三の導波路との間に配置され、前記第二の分波器で分波された光信号をさらに分波する、少なくとも一つの第四の分波器と、
前記第三の分波器と複数の前記第四の導波路との間に配置され、前記第三の分波器で分波された光信号をさらに分波する、少なくとも一つの第五の分波器と、
前記第三の導波路と前記第一の合波器との間に配置され、前記第四の分波器で分波された光信号を伝搬する複数の前記第三の導波路からの光信号を合波する、少なくとも一つの第四の合波器と、
前記第四の導波路と前記第二の合波器との間に配置され、前記第五の分波器で分波された光信号を伝搬する複数の前記第四の導波路からの光信号を合波する、少なくとも一つの第五の合波器と、
をさらに有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項6】
前記入力電圧信号に対して、変調出力された前記第三の合波器からの光の出力信号の応答特性が、のこぎり波または三角波形状に近付くように構成した請求項1~5のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項7】
前記入力電圧信号に対して、変調出力された前記第三の合波器からの光の出力信号の応答特性が矩形波形状に近付くように構成した請求項1~5のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項8】
複数の前記第三の導波路及び複数の前記第四の導波路を伝搬する光の強度を調整する光強度調整器をさらに備えた請求項1~7のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項9】
前記信号電極に印加された電圧により変調された前記光信号の位相を調整する、少なくとも1つの光位相調整器をさらに備えた請求項1~8のいずれか1項に記載の光変調器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの電気信号により光信号を変調して出力する光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
中・長距離光ファイバ通信では、高消光比かつ低チャープな光信号が必要となるため、外部信号により光信号を変調して出力する外部変調器が用いられる。外部変調器として代表的なものには、マッハツェンダ干渉計を利用したマッハツェンダ変調器がある。光変調器としてのマッハツェンダ変調器は、光信号を分波器と合波器で二つの導波路に分岐、合成する構成とし、導波路間で光信号の位相などを変化させることで変調を行なうものである。
【0003】
マッハツェンダ変調器を強度変調器もしくは振幅変調器として使用する場合、理論的には無限の消光比かつゼロチャープな変調が可能である。その一方で、マッハツェンダ変調器はその動作原理から、外部からの入力電圧信号に対して正弦(余弦)関数状の透過応答を示し、非線形歪みを含んでいる。この応答関数を制御する方法として、マッハツェンダ変調器を並列や直列もしくはそれらの組み合わせに並べる用いる方法(例えば、非特許文献1を参照)が知られている。また、別な特許文献1や特許文献2では、並列もしくは直列に集積化したマッハツェンダ変調器を用いる方法が報告されている。これらは何れも、用途やリンクに応じて光信号の非線形性を抑圧(若しくは増大)させることが可能である。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】ウィリアム エス. シー. チャン(William S. C. Chang)著、「アールエフ フォトニック テクノロジー イン オプティカル ファイバー リンクス(RF Photonic Technology in Optical Fiber Links)」、ケンブリッジ ユニバーシティ プレス(Cambridge University Press)、2002年、p.111~
【0005】

【特許文献1】特開2012-252260号公報
【特許文献2】特開2014-6389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで一般的なマッハツェンダ変調器を複数個用いた上記の方法は、何れの場合についても高周波の電気信号を、2ポート以上に入力する必要のある構成である。したがって、少なくとも二つの入力する電気信号の電力とスキュー(電圧波形の振幅と位相)を、適切に調節して駆動する必要がある。
【0007】
また特許文献1では、光信号の非線形性を抑制する手段として、光信号を分岐・合成する分波器や合波器の電界強度比と、複数のマッハツェンダ変調器の応答周期比を調整する考えが示されている。しかし、所望の応答周期比を得るには、各々のマッハツェンダ変調器において、電圧信号を入力する信号電極の長さを適切な比率に調節する必要がある。
【0008】
本発明は、本件発明者らの新たな知見に基づくものであり、上記した先行技術とは異なる技術を用いて、例えば、一つの電気信号を入力するだけで、光信号を所望の応答特性で変調出力することが可能な光変調器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するため、光信号を分岐する複数の分波器と、前記複数の分波器で分岐した光信号を合成する複数の合波器と、各々が間隔を隔てて配置され、前記複数の分波器から前記複数の合波器に光信号を導く複数の導波路と、を備え、信号電極と接地電極との間に入力電圧信号を印加することで、光信号を変調して出力する光変調器において、少なくとも二つ以上の前記導波路を、前記信号電極と前記接地電極との間に配置したことを特徴とする。ここで、前記信号電極と前記接地電極との間に配置とは、デバイス断面においては電界が誘起される領域を指し、断面図における位置的な意味での前記信号電極と前記接地電極の間に限定されず、光導波路が該信号電極あるいは該接地電極と接していても良いし、光導波路の一部あるいは全部が該信号電極あるいは該接地電極と重なっていても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、信号電極から生成される電界の分布を利用して、一つの信号電極に対して二つ以上の導波路を誘導移相量が適切な割合になるように配置することで、一つの電気信号入力により、二つ以上の導波路間で光信号の位相を調節する。
【0011】
つまり、一つの電気信号が入力する一つの信号電極に対して、その信号電極と接地電極との間に、光入力部で分波された二つ以上の導波路を配置し、各導波路で所望の変調深さを有する被変調光を生成して、それらを光出力部で合波干渉させることで、光電場の振幅領域で所望の変調曲線を得ることができる。そのため、例えば、信号電極の長さを個々に調節せずに、一つの電気信号を入力するだけで、光信号を所望の応答特性で変調出力する光変調器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的なマッハツェンダ変調器の構造と動作を説明するための図である。
【図2】図1のマッハツェンダ変調器で得られる応答曲線を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における光変調器の構造と動作を説明するための図である。
【図4】信号電極の端面を導波路位置の基準とした場合に、電極と導波路との位置関係を示す縦断面図である。
【図5】信号電極に電気信号を入力したときの等電位線を示す図である。
【図6】図4における基準からの位置と、規格化オーバーラップとの関係を表すグラフである。
【図7】図3の光変調器において、規格化された印加電圧に対する規格化された光信号の振幅の応答曲線(変調度が2倍異なる場合)を示す図である。
【図8】図3の光変調器において、規格化された印加電圧に対する規格化された光信号の振幅の応答曲線(変調度が3倍異なる場合)を示す図である。
【図9】図3の光変調器におけるデバイス構造を示す平面図である。
【図10】図9の光変調器におけるデバイス構造を示すA-A’線縦断面図である。
【図11】図3の光変調器の変形例として、光強度調整器を含むデバイス構造を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2における光変調器の構造と動作を説明するための図である。
【図13】信号電極の端面を導波路位置の基準とした場合に、電極と導波路との位置関係を示す縦断面図である。
【図14】信号電極に電気信号を入力したときの等電位線を示す図である。
【図15】図13における基準からの位置と、規格化オーバーラップとの関係を表すグラフである。
【図16】本発明の実施の形態2における光変調器を示し、線形応答を実現した光変調器の構造と動作を説明するための図である。
【図17】図12,図16及び図19の光変調器におけるデバイス構造を示す縦断面図である。
【図18】図16の光変調器において、規格化された印加電圧に対する規格化された光信号の振幅の応答曲線を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2の他の実施例における光変調器を示し、ディジタル応答を実現した光変調器の構造と動作を説明するための図である。
【図20】図19の光変調器において、規格化された印加電圧に対する規格化された光信号の振幅の応答曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
初めに、一般的なマッハツェンダ変調器200の構造と動作を、図1に基づいて説明する。マッハツェンダ変調器200は、平板状に形成される基板201の主面側に、分波器211と、合波器212と、二つの導波路213,214とによるマッハツェンダ干渉計を備えている。基板201は、例えば強誘電体結晶であるLN(ニオブ酸リチウム)などの電気光学材料が用いられる。

【0014】
分波器211や合波器212は、例えば光方向性結合器や、MMI(Multi Mode Interference:多モード光干渉)素子や、Y分岐カプラなどを用いることができる。分波器211は、入力光信号を受光する一つの入力ポートと、導波路213,214の入力端に各々接続する二つの出力ポートとを備え、入力光信号を光強度比1:1に分岐して導波路213,214に出力する対称分波器として構成される。合波器212は、導波路213,214の出力端に各々接続する二つの入力ポートと、出力信号光を放出する一つの出力ポートとを備え、導波路213,214からの光信号を光強度比1:1に合成して出力する対称合波器として構成される。導波路213,214は、平面視で入力端と出力端の近傍部分を除いて、相互に平行に配置される。

【0015】
マッハツェンダ変調器200は、基板201の主面上で同一平面に配置されたコプレーナ型の進行波電極として、信号電極215と、接地電極216,217と、位相シフト用通電電極225とを各々備えている。信号電極215は、平面視で分波器211から分岐した光信号が伝搬する導波路213,214の間に配置されており、その一方の導波路213は信号電極215と一方の接地電極216との間に配置され、他方の導波路214は信号電極215と他方の接地電極217との間に配置される。また図示しないが、マッハツェンダ変調器200の外部には、変調用の電気信号を生成して信号電極215に入力する信号生成回路が設けられる。これにより、一つの信号電極215に一つの電気信号を入力して、信号電極215と接地電極216,217との間に駆動電圧を印加することで、基板201の電気光学効果により、導波路213,214を通過する光信号に対して、等量で逆相の位相変化を与えるプッシュプル位相変調が行われる構成となっている。

【0016】
位相シフト用通電電極225は、平面視で位相変調された光信号が伝搬する導波路213,214の間に配置される。図示しないが、ここにも接地電極が設けられていて、導波路213,214は位相シフト用通電電極225と接地電極との間に配置される。位相シフト用通電電極225と接地電極との間には直流(DC)電圧が印加され、それに伴う基板201の電気光学効果によって、導波路213,214を各々通過する光信号の位相が所定量シフトする構成となっている。実際のデバイスでは製造誤差等により上記導波路213と214の光波間の位相差は設計値とは異なることとなるため、この位相差を制御するために上記位相シフト用通電電極225が用いられる。

【0017】
次に、上記構造のマッハツェンダ変調器200について、その動作を説明する。分波器211の入力ポートに与えられる入力光信号S1の電場は、次の数1の式で表せる。

【0018】
【数1】
JP2017083626A_000003t.gif

【0019】
分波器211は、入力光信号S1を光強度レベルで1:1の比に分波する。光強度は電場の二乗に比例することから、分波器211の各出力ポートに分岐する光信号S2,S3の電場は、次の数2,3の式で各々表せる。

【0020】
【数2】
JP2017083626A_000004t.gif

【0021】
【数3】
JP2017083626A_000005t.gif

【0022】
分波器211で分岐された光信号S2,S3は、信号電極215に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板201の電気光学効果により各々が位相変調される。この電気信号によって、導波路213を伝搬する光信号S2の位相が+θ変化し、導波路214を伝搬する光信号S3の位相が-θ変化したとすると、位相変調された光信号S4,S5の電場は、次の数4,5の式で各々表せる。

【0023】
【数4】
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【0024】
【数5】
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【0025】
位相変調された光信号S4,S5は、位相シフト用通電電極225に入力する直流電圧レベルに応じて、基板201の電気光学効果により各々が位相シフトされる。この直流電圧によって、導波路213を伝搬する光信号S4の位相が-π/2シフトし、導波路214を伝搬する光信号S5の位相が+π/2シフトしたとすると、合波器212の入力ポートに与えられる光信号S6,S7の電場は、次の数6,7の式で各々表せる。

【0026】
【数6】
JP2017083626A_000008t.gif

【0027】
【数7】
JP2017083626A_000009t.gif

【0028】
合波器212は、その入力ポートに与えられる光信号S6,S7を光強度レベルで1:1の比に結合する。ここでも光強度は電場の二乗に比例することから、最終的に合波器212の出力ポートに生成される出力光信号S8の電場は、次の数8の式で表せる。

【0029】
【数8】
JP2017083626A_000010t.gif

【0030】
数1で示した入力光信号S1の電場の式と、数8で示した出力光信号S8の電場の式とを比較すると、位相変調のために印加した電気信号の駆動電圧に対し、変調された出力光信号S8の電場はsinθ、すなわち正弦波状の非線形な応答曲線となる。図2は、図1で示したマッハツェンダ変調器200について、その応答曲線をグラフで示したものである。同図横軸は、-1~+1の範囲で規格化された電気信号の印加電圧であり、縦軸は同じく-1~+1の範囲で規格化された出力光信号S8の電場の振幅である。このように、一般的なマッハツェンダ変調器200では、入力電圧信号に対して出力光信号の信号レベルが非線形に応答し、例えば変調方式として多値変調を採用した際には動作範囲が狭められてしまう。また、アナログ信号を入力とするアナログリンクでは、主として相互変調ひずみに代表される非線形歪みが問題となる場合がある。

【0031】
次に、図3~図20を基に本発明の実施の形態について説明する。

【0032】
図3~図11は、本発明における光変調器1の実施の形態1を説明する図である。図3は実施の形態1の光変調器1の構成を模式的に表す図である。上述した一般的なマッハツェンダ変調器200では信号電極と接地電極との間に1つの導波路が配置されていたが、実施の形態1の光変調器1では、進行波電極である信号電極と接地電極の間に2つの導波路が配置されたマッハツェンダ変調器となっている。なお、ここで、信号電極と接地電極との間に配置、又は後述する信号電極と接地電極とで挟むように配置とは、デバイス断面においては電界が誘起される領域を指し、断面図における位置的な意味での前記信号電極と前記接地電極の間に限定されず、光導波路が該信号電極あるいは該接地電極と接していても良いし、光導波路の一部あるいは全部が該信号電極あるいは該接地電極と重なっていても良い。

【0033】
図3において、光変調器1は、平板状に形成される基板101の主面側に、第1の分波器11、第2の分波器31、第3の分波器41、第1の合波器32、第2の合波器42、及び第3の合波器12を有する。そして、第1の分波器11と第2の分波器31の間は第1の導波路13で、第1の分波器11と第3の分波器41との間は第2の導波路14で接続されている。第2の分波器31と第1の合波器32との間は2本の第3の導波路33、34で、第3の分波器41と第2の合波器42の間は2本の第4の導波路43、44で接続されている。そして、第1の合波器32と第3の合波器12との間は第5の導波路15で、第2の合波器42と第3の合波器12との間は第6の導波路16で接続されている。第3の導波路34と第4の導波路43の間に信号電極115が配置されている。接地電極116が、信号電極115と接地電極116で第3の導波路33と34を挟むように配置され、接地電極117が、信号電極115と接地電極117で第4の導波路43と44を挟むように配置される。第3の導波路33と34の間、第4の導波路43と44の間、及び第5の導波路13と14の間にはそれぞれ位相シフト用通電電極35,45、及び25が配置されている。

【0034】
第1の分波器11、第2の分波器31、第3の分波器41、第1の合波器32、第2の合波器42、及び第3の合波器12は、例えば光方向性結合器や、MMI(Multi Mode Interference:多モード光干渉)素子や、Y分岐カプラなどを用いることができる。

【0035】
第1の分波器11は、入力導波路17から入力光信号を受光する一つの入力ポートと、第1の導波路13と第2の導波路14の入力端に各々接続する二つの出力ポートとを備え、入力光信号を光強度比1:1に分岐して第1の導波路13と第2の導波路14に出力する対称分波器として構成される。第3の合波器12は、第5の導波路15と第6の導波路16の出力端に各々接続する二つの入力ポートと、出力信号光を放出する一つの出力ポートとを備え、第5の導波路15と第6の導波路16からの光信号を光強度比1:1に合成して出力導波路18に出力する対称合波器として構成される。

【0036】
第2の分波器31は、第1の分波器11の一方の出力ポートに接続する第1の導波路13からの入力光信号を受光する一つの入力ポートと、2つの第3の導波路33,34の入力端に各々接続する二つの出力ポートとを備え、入力光信号を光強度比N:Mに分岐して2つの第3の導波路33,34に出力する非対称分波器として構成される。第3の分波器41は、第1の分波器11の他方の出力ポートに接続する第2の導波路14からの入力光信号を受光する一つの入力ポートと、2つの第4の導波路43,44の入力端に各々接続する二つの出力ポートとを備え、入力光信号を光強度比N:Mに分岐して2つの第4の導波路43,44に出力する非対称分波器として構成される。これらの第2の分波器31,第3の分波器41と、第1の分波器11とにより、光変調器1に入力する光信号を適切な光強度比で複数の第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44に分岐する光入力部が構成される。

【0037】
第1の合波器32は、2つの第3の導波路33,34の出力端に各々接続する二つの入力ポートと、第3の合波器12の一方の入力ポートに接続する第5の導波路15に光信号を放出する一つの出力ポートとを備え、2つの第3の導波路33,34からの光信号を光強度比N:Mに合成して出力する非対称合波器として構成される。第2の合波器42は、2つの第4の導波路43,44の出力端に各々接続する二つの入力ポートと、第3の合波器12の他方の入力ポートに接続する第6の導波路16に光信号を放出する一つの出力ポートとを備え、2つの第4の導波路43,44からの光信号を光強度比N:Mに合成して出力する非対称合波器として構成される。これらの第1の合波器32,第2の合波器42と、第3の合波器12とにより、複数の第3の導波路33,34と第4の導波路43,44からの光信号を、適切な光強度比で合成して出力する光出力部が構成される。また、第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44は、平面視で入力端と出力端の近傍部分を除いて、相互に平行に配置される。

【0038】
図4~図6を基に、実施の形態1における複数の第3の導波路33,34、あるいは複数の第4の導波路43,44の配置方法について説明する。
図4は、信号電極20の端面を導波路位置の基準とした場合に、その信号電極20と、導波路23との位置関係を、断面図で模式的に示したものある。ここでは信号電極20の幅t1を21μmとし、信号電極20の端面と接地電極22の端面との間の距離t2を40μmとし、導波路の幅t3を6μmとしている。しかしながら、これらのt1~t3は適宜設計変更可能である。尚、図4では、信号電極20に対し接地電極21と22は対称的な配置としており、信号電極20の他端面と接地電極21の端面との間の距離もt2と同じ長さにしている。また、導波路23は、信号電極20に向かう端縁が、信号電極20の端面と一致する位置を、基準の0μmとする。図4では、導波路23が基準位置に形成されている状態を示している。

【0039】
図5は、図4の構成で、信号電極20に電圧信号を入力したときに表れる等電位線を示している。等電位線の間隔が狭く密であるほど、その位置での電場が大きいと言える。

【0040】
図6は、図5に示すデータを用いて、前述の基準を0μmとして、そこから接地電極22に向かう導波路23の配置位置を変化させた場合の、オーバーラップ(変調効率)の違いのシミュレーション結果をグラフで示したものである。オーバーラップの値は、各位置での電場の大きさから算出され、基準の位置での値を1として、0~1の範囲になるように規格化されている。図4の例では、信号電極20と導波路23の配置位置により、オーバーラップの値として約0.3から1の間の値をとることができる。

【0041】
図3で示した光変調器1は、第3の導波路34と33を伝搬する光信号の間の変調度、及び第4の導波路43と44を伝搬する光信号の間の変調度が、それぞれN:Mとなるように、これらの第3の導波路34と33、及び第4の導波路43と44が配置される。図6に示す例では、信号電極115と接地電極117との間で、信号電極115に近いX1の位置と、接地電極117に近いX2の位置に、第3の導波路34と33、及び第4の導波路43と44を各々配置すれば、規格化オーバーラップの値が概ね2倍異なるため、変調度を2:1とすることができる。同様に、信号電極115に近いX1の位置と、接地電極117の直下のX3の位置に、第3の導波路34と33、及び第4の導波路43と44を各々配置すれば、規格化オーバーラップの値が概ね3倍異なるため、変調度を3:1とすることができる。このように規格化オーバーラップの値を任意に選択し、導波路を配置することで、変調深さが任意に異なる二つ以上の被変調光を、一つの電気信号の入力で取得できる。

【0042】
オーバーラップの制御方法として、導波路の幅(径)t3や実効屈折率といったパラメータはすべて同じである必要はなく、例えば導波路の幅t3を変えることで実効的なオーバーラップを変えた場合も含む。導波路を複数配置する場合には、導波路間の結合が信号を劣化させる要因(クロストーク)となる問題が生じる場合がある。しかしながら、各導波路の実効屈折率を変える等の技術により、導波路間の結合を低減することもできる。実行屈折率を変える技術としては、例えば導波路に導入する不純物の拡散量を変化させるなどの技術を用いることができる。

【0043】
次に、図3の光変調器1について、その動作を説明する。初めに、規格化オーバーラップの値が概ね2倍異なる位置に第3の導波路34,33,及び第4の導波路43,44を配置した例について示す。第1の分波器11の入力ポートに与えられる入力光信号S9の電場は、次の数9の式で表せる。

【0044】
【数9】
JP2017083626A_000011t.gif

【0045】
第1の分波器11は、入力光信号S9を光強度レベルで1:1の比に分波する。第1の分波器11の各出力ポートに分岐する光信号S10,S11の電場は、次の数10,11の式で各々表せる。

【0046】
【数10】
JP2017083626A_000012t.gif

【0047】
【数11】
JP2017083626A_000013t.gif

【0048】
第2の分波器31は、第1の分波器11で分岐された光信号S10を光強度レベルで5:1の比に分波する(図3でN=5、M=1となるように第2の分波器31を設定)。第2の分波器31の各出力ポートに分岐する光信号S12,S13の電場は、次の数12,13の式で各々表せる。

【0049】
【数12】
JP2017083626A_000014t.gif

【0050】
【数13】
JP2017083626A_000015t.gif

【0051】
第3の分波器41は、第1の分波器11で分岐された光信号S11を光強度レベルで5:1の比に分波する(図3でN=5、M=1となるように第3の分波器41を設定)。第3の分波器41の各出力ポートに分岐する光信号S14,S15の電場は、次の数14,15の式で各々表せる。

【0052】
【数14】
JP2017083626A_000016t.gif

【0053】
【数15】
JP2017083626A_000017t.gif

【0054】
第2の分波器31で分岐された光信号S12,S13は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調される。特にここでは、電気信号によって一方の第3の導波路33を伝搬する光信号S12の位相が+θ変化すると、他方の第3の導波路34を伝搬する光信号S13の位相が+2θ変化するように、第3の導波路33,34が信号電極115と接地電極116との間に配置される。また、位相変調された光信号S12,S13は、位相シフト用通電電極35に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。特にここでは、一方の第3の導波路33を伝搬する光信号S12の位相がシフトせず、他方の第3の導波路34を伝搬する光信号S13の位相だけが、直流電圧によって+πシフトしたとすると、第1の合波器32の入力ポートに与えられる光信号S16,S17の電場は、次の数16,17の式で各々表せる。

【0055】
【数16】
JP2017083626A_000018t.gif

【0056】
【数17】
JP2017083626A_000019t.gif

【0057】
第3の分波器41で分岐された光信号S14,S15は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調される。特にここでは、電気信号によって一方の第4の導波路44を伝搬する光信号S15の位相が-θ変化すると、他方の第4の導波路43を伝搬する光信号S14の位相が-2θ変化するように、第4の導波路43,44が信号電極115と接地電極117との間に配置される。また、位相変調された光信号S14,S15は、位相シフト用通電電極45に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。特にここでは、一方の第4の導波路44を伝搬する光信号S15の位相がシフトせず、他方の第4の導波路43を伝搬する光信号S14の位相だけが、直流電圧によって-πシフトしたとすると、第2の合波器42の入力ポートに与えられる光信号S18,S19の電場は、次の数18,19の式で各々表せる。

【0058】
【数18】
JP2017083626A_000020t.gif

【0059】
【数19】
JP2017083626A_000021t.gif

【0060】
第1の合波器32は、その入力ポートに与えられる光信号S16,S17を光強度レベルで5:1の比に結合する(図3でN=5、M=1となるように第1の合波器32を設定)。第2の合波器42は、その入力ポートに与えられる光信号S18,S19を光強度レベルで5:1の比に結合する(図3でN=5、M=1となるように第2の合波器42を設定)。第1の合波器32,第2の合波器42から出力する各光信号は、位相シフト用通電電極25に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。この直流電圧によって、第1の合波器32から出力して第5の導波路15を伝搬する光信号の位相が-π/2シフトし、第2の合波器42から出力して第6の導波路16を伝搬する光信号の位相が+π/2シフトしたとすると、第3の合波器12の入力ポートに与えられる光信号S20,S21の電場は、次の数20,21の式で各々表せる。

【0061】
【数20】
JP2017083626A_000022t.gif

【0062】
【数21】
JP2017083626A_000023t.gif

【0063】
第3の合波器12は、その入力ポートに与えられる光信号S20,S21を光強度レベルで1:1の比に結合する。最終的に第3の合波器12の出力ポートに生成される出力光信号S22の電場は、次の数22の式で表せる。

【0064】
【数22】
JP2017083626A_000024t.gif

【0065】
数9で示した入力光信号S9の電場の式と、数22で示した出力光信号S22の電場の式とを比較すると、電気信号の駆動電圧に対し、変調された出力光信号S22の電場は((5/6)*sinθ-(1/6)*sin2θ)、すなわち図1に示すマッハツェンダ変調器200よりものこぎり波状に近付いた応答曲線となる。図7は、図3で示した光変調器1で変調度の比を2:1とした場合について、その応答曲線をグラフで示したものである。図中、実線(合計)が出力光信号S22の振幅の応答曲線を示しており、図2と比較して線形となる光振幅の範囲が拡大しているのがわかる。従って、例えば変調方式として多値変調を採用した際には動作範囲が広がり、また、アナログリンクでは、主として相互変調ひずみに代表される非線形歪みを低減することができる。

【0066】
次に、規格化オーバーラップの値が概ね3倍異なる位置に第3の導波路34,33,及び第4の導波路43,44を配置した例について説明する。第2の分波器31は、第1の導波路13からの入力光信号を光強度比9:1に分岐して第3の導波路33,34に出力する非対称分波器であり、第3の分波器41は、第2の導波路14からの入力光信号を光強度比9:1に分岐して第4の導波路43,44に出力する非対称分波器である。また第1の合波器32は、第3の導波路33,34からの光信号を光強度比9:1に合成して出力する非対称合波器であり、第2の合波器42は、第4の導波路43,44からの光信号を光強度比9:1に合成して出力する非対称合波器である。

【0067】
上述したように、第3の導波路33,34を伝搬する光信号の間と、第4の導波路43,44を伝搬する光信号の間で、何れも変調度が3倍異なるように、これらの第3の導波路33,34,及び第4の導波路43,44が各々配置される。

【0068】
このとき、第1の分波器11の入力ポートに与えられる入力光信号S23の電場は、次の数23の式で表せる。

【0069】
【数23】
JP2017083626A_000025t.gif

【0070】
第1の分波器11は、入力光信号S23を光強度レベルで1:1の比に分波する。第1の分波器11の各出力ポートに分岐する光信号S24,S25の電場は、次の数24,25の式で各々表せる。

【0071】
【数24】
JP2017083626A_000026t.gif

【0072】
【数25】
JP2017083626A_000027t.gif

【0073】
第2の分波器31は、第1の分波器11で分岐された光信号S24を光強度レベルで9:1の比に分波する。第2の分波器31の各出力ポートに分岐する光信号S26,S27の電場は、次の数26,27の式で各々表せる。

【0074】
【数26】
JP2017083626A_000028t.gif

【0075】
【数27】
JP2017083626A_000029t.gif

【0076】
第3の分波器41は、第1の分波器11で分岐された光信号S25を光強度レベルで9:1の比に分波する。第3の分波器41の各出力ポートに分岐する光信号S28,S29の電場は、次の数28,29の式で各々表せる。

【0077】
【数28】
JP2017083626A_000030t.gif

【0078】
【数29】
JP2017083626A_000031t.gif

【0079】
第2の分波器31で分岐された光信号S26,S27は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調され、光信号S26の位相が+θ変化すると、光信号S27の位相が+3θ変化する。また、位相変調された光信号S26,S27は、位相シフト用通電電極35に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。ここで光信号S26の位相がシフトせず、光信号S27の位相だけが、直流電圧によって+πシフトしたとすると、第1の合波器32の入力ポートに与えられる光信号S30,S31の電場は、次の数30,31の式で各々表せる。

【0080】
【数30】
JP2017083626A_000032t.gif

【0081】
【数31】
JP2017083626A_000033t.gif

【0082】
第3の分波器41で分岐された光信号S28,S29は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調され、光信号S28の位相が-θ変化すると、光信号S29の位相が-3θ変化する。また、位相変調された光信号S28,S29は、位相シフト用通電電極35に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。ここで光信号S29の位相がシフトせず、光信号S28の位相だけが、直流電圧によって-πシフトしたとすると、第1の合波器32の入力ポートに与えられる光信号S32,S33の電場は、次の数32,33の式で各々表せる。

【0083】
【数32】
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【0084】
【数33】
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【0085】
第1の合波器32は、光信号S30,S31を光強度レベルで9:1の比に結合し、第2の合波器42は、光信号S32,S33を光強度レベルで9:1の比に結合する。第1の合波器32,第2の合波器42から出力する各光信号は、位相シフト用通電電極25に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。この直流電圧によって、第1の合波器32から出力して第5の導波路15を伝搬する光信号の位相が-π/2シフトし、第2の合波器42から出力して第6の導波路16を伝搬する光信号の位相が+π/2シフトしたとすると、第3の合波器12の入力ポートに与えられる光信号S34,S35の電場は、次の数34,35の式で各々表せる。

【0086】
【数34】
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【0087】
【数35】
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【0088】
第3の合波器12は、その入力ポートに与えられる光信号S34,S35を光強度レベルで1:1の比に結合する。最終的に第3の合波器12の出力ポートに生成される出力光信号S36の電場は、次の数36の式で表せる。

【0089】
【数36】
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【0090】
数23で示した入力光信号S23の電場の式と、数36で示した出力光信号S36の電場の式とを比較すると、電気信号の駆動電圧に対し、変調された出力光信号S36の電場は((9/10)*sinθ-(1/10)*sin3θ)、すなわち図1に示すマッハツェンダ変調器100や、図3に示す光変調器1よりも三角波状に近付いた応答曲線となる。図12は、図11で示した光変調器1について、その応答曲線をグラフで示したもので、実線(合計)が出力光信号S36の振幅の応答曲線を示しており、図7よりも線形となる光振幅の範囲が拡大しているのがわかる。

【0091】
次に、図9および図10に基づいて、光変調器1の構造を説明する。図9は光変調器の平面図であり、図10はA-A’部分での断面構造を模式的に表す図である。図9及び図10において、マッハツェンダ変調器は、共通する基板101の主面側に、導波路や電極等の各構成を備えている。基板101やマッハツェンダ変調器は、光を伝搬できるものであれば特に材料は限定されない。例えば、LNの基板101上に、Ti拡散のニオブ酸リチウム導波路を形成してもよいし、シリコン(Si)の基板101上に、二酸化シリコン(SiO)導波路を形成してもよい。なお、InPやGaAsの基板101上に、InGaAsPやGaAlAsの導波路を形成した光半導体導波路を用いることも考えられる。

【0092】
基板101は、XカットY軸伝搬となるように切り出されたLNが好ましい。このとき、電気信号により誘起される電界はZ軸方向(結晶のc軸)となり、大きな電気光学効果を利用できるため低電力駆動が可能であり、かつ優れた応答速度が得られるためである。この基板101のXカット面(YZ面)の表面に導波路や電極等が形成され、導波光はY軸に沿って伝搬することとなる。基板101は、Xカット以外のLNとしてもよい。また基板101として、ポッケルス効果やカー効果といった電気光学効果を有する三方晶系や六方晶系といった一軸性結晶、結晶の点群がC3V,C,D,C3h,D3hである材料を用いることができる。これらの材料は、電界の印加によって屈折率変化が伝搬光のモードによって異符号となるような屈折率調整機能を有する。具体例としては、LNの他に、タンタル酸リチウム(LiT:LT)、β-BaB(略称BBO)、LiIO3などを用いることができる。

【0093】
基板101の材料は、メトロネットワークやコアネットワークといった中長距離光通信にLNを用いられるが、近年では主としてメトロネットワークを対象に、InPのような半導体の基板101を用いた光変調器1が検討されている。また、EO(電気光学)ポリマーも基板101として使用が検討されている。基板101の大きさや形状は、所定のマッハツェンダ干渉計や導波路、電極を形成できるものであれば、特に限定されない。

【0094】
基板101の主面上には、電極金属による光波の伝播損失を防ぐために、SiOのバッファ層102(図10を参照)を形成するのが好ましい。バッファ層102は基板101と電極との間に設けられるが、必須のものではない。

【0095】
図9に示すような形で、前述した進行波電極の信号電極115、接地電極116,117、位相シフト用通電電極25及び対となる位相シフト用接地電極26,27、位相シフト用通電電極35,45及びそれぞれに対となる位相シフト用接地電極36,37、及び46,47が形成される。これらは、基板101の主面上で同一平面に配置されるコプレーナ型の電極に相当する。これらの電極は、何れも第1の導波路13,第2の導波路14や第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44の光信号が伝搬する方向に沿って配置される印加部と、他の部位との電気的接続を図るために、印加部に連結して配置される接続部と、により構成される。

【0096】
具体的には、信号電極115は、印加部115Aの一端と他端に接続部115B,115Cを備えており、一方の接続部115Bを変調用の電気信号の入力端子とし、他方の接続部115Cを電気信号の終端としている。また、一方の接地電極116は、印加部116Aの一端に接続部116Bを備え、他方の接地電極117は、印加部117Aと、その印加部117Aに沿って直線状に配置された接続部117Bとにより構成される。信号電極115の印加部115Aと、接地電極116の印加部116Aと、接地電極117の印加部117Aは、何れも直線状で間隔を隔てて並んで配置される。そして、印加部115A,116Aの間に、二つの第3の導波路33,34が配置され、印加部115A,117Aの間に、二つの第4の導波路43,44が配置される。

【0097】
位相シフト用通電電極25は、印加部25Aの一端に接続部25Bを備えており、当該接続部25Bを直流電圧の入力端子としている。位相シフト用接地電極26は、印加部26Aに接続部26Bを連続形成して構成され、間隔を隔てて配置した印加部25A,26Aの間に、第1の合波器32の出力ポートに接続する第5の導波路15が配設される。同様に、別な位相シフト用接地電極27は、印加部27Aに接続部27Bを連続形成して構成され、間隔を隔てて配置した印加部25A,27Aの間に、第2の合波器42の出力ポートに接続する第6の導波路16が配設される。位相シフト用接地電極26,27は、接続部26B,27Bが基板101を横断して連結することで、互いに電気的導通が図られている。

【0098】
位相シフト用通電電極35は、印加部35Aの一端に接続部35Bを備えており、当該接続部35Bを直流電圧の入力端子としている。同様に、別な位相シフト用通電電極45は、印加部45Aの一端に接続部45Bを備えており、当該接続部45Bを直流電圧の入力端子としている。位相シフト用接地電極36は、印加部36Aに接続部36Bを連続形成して構成され、間隔を隔てて配置した印加部35A,36Aの間に、位相変調された光信号が伝搬する一方の第3の導波路33が配設される。同様に、別な位相シフト用接地電極47は、印加部47Aに連続して接続部47Bを備えて構成され、間隔を隔てて配置した印加部35A,47Aの間に、位相変調された光信号が伝搬する一方の第4の導波路44が配設される。位相シフト用接地電極36,47は、接続部36B,47Bが基板101を横断して連結することで、互いに電気的導通が図られている。

【0099】
さらに、別な位相シフト用接地電極37,46は一体的に形成され、印加部37A,46の両端を、位相シフト用接地電極36,47や位相シフト用接地電極26,27との接続部としている。そして、間隔を隔てて配置した印加部35A,37Aの間に、位相変調された光信号が伝搬する他方の第3の導波路34が配設され、間隔を隔てて配置した印加部45A,46Aの間に、位相変調された光信号が伝搬する他方の第4の導波路43が配設される。

【0100】
上述した通電電極25,35,45や、接地電極26,27,36,37,46,47は、何れも光位相調整器48の電極として構成される。この光位相調整器48に前述した直流電圧の供給源(図示せず)を接続することで、導波路となる第1の導波路13,第2の導波路14や第3の導波路33,34,第4の導波路43,44を伝搬する光信号の位相を光位相調整器48で調整できる。

【0101】
なお、図9に示す光位相調整器48の電極構成はあくまでも一例に過ぎない。例えば図9において、第3の導波路33,第4の導波路44を伝搬する光信号の位相をシフトさせたくない場合は、位相シフト用接地電極36,47を省略すればよい。また、各導波路にそれぞれ通電電極を独立して配置し、その通電電極に直流電圧を個別に供給/遮断できるように供給源を構成すれば、特定の導波路を通過する光信号だけを、位相シフトさせることが可能になる。

【0102】
次に、上記光変調器1の製造方法について説明する。上述のマッハツェンダ干渉計を構成する光導波路の形成方法としては、チタン拡散法など等の内拡散法やプロトン交換法など公知の形成方法を利用できる。これはまず、基板101となるLNのウエハー上に、フォトリソグラフィー法によってチタンをパターニングし、熱拡散法によってチタンを拡散させ、光導波路を形成する。次に、基板101の主面に二酸化シリコンの絶縁バッファ層102を形成し、これらの上に金属メッキからなる電極を形成する。次いでウエハーを切断する。このようして、チタン拡散導波路が形成された光変調器1が形成される。

【0103】
光変調器1は、例えば以下のようにして製造できる。先ず基板101上に、第1の導波路13,第2の導波路14や第3の導波路33,34,第4の導波路43,44となる導波路を形成する。導波路は、LN基板101の表面にプロトン交換法やチタン熱拡散法を施して設けることができる。例えば、フォトリソグラフィー技術によってTi金属のストライプを、LN基板101上に列をなした状態で作製する。その後、LN基板101を1000℃近辺の高温にさらしてTi金属を当該基板101の内部に拡散させる。このようにすれば、LN基板101に導波路を形成できる。

【0104】
また、光変調器1の電極は金が好ましいが、特に限定されるものではない。金を使用する場合は、例えば、金を全面に蒸着した後、レジストを厚めに塗布し、フォトリソグラフィー技術により電極部分のレジストを剥離し、その部位にメッキで金を圧膜(例えばアスペクト比4~5程度)に形成した後に、ウェットエッチングにより全てのレジストを除去して、所望のパターン形状と厚さを有する金電極を得る。このようにして、当該電極は、光導波路の形成と同様にフォトリソグラフィー技術によって、同一幅で形成した多数の導波路の両脇に対して、電極間にギャップを設けて形成することができる。

【0105】
なお、基板101としてシリコンを用いる場合は、例えば以下のようにして製造できる。シリコンの基板101上に、火炎堆積法によって二酸化シリコンを主成分とする下部クラッド層を堆積し、次に二酸化ゲルマニウム(GeO)をドーパントとして添加した二酸化シリコンを主成分とするコア層を堆積する。その後、電気炉で透明ガラス化する。次に、エッチングで光導波路部分を作製し、再び二酸化シリコンを主成分とする上部クラッド層を堆積する。そして、薄膜ヒータ型熱光学強度変調器及び薄膜ヒータ型熱光学位相変調器を上部クラッド層に形成する。

【0106】
以上のように、本実施の形態1における光変調器1は、光信号を分岐する光入力部としての第1の分波器11や第2の分波器31,第3の分波器41と、光入力部で分岐した光信号を合成する光出力部としての第3の合波器12や第1の合波器32,第2の合波器42と、各々が間隔を隔てて配置され、第2の分波器31,及び第2の分波器41から第1の合波器32,第2の合波器42に光信号を導く複数の導波路としての第1の導波路13,第2の導波路14や第3の導波路33,34,第4の導波路43,44と、を備え、信号電極115と接地電極116,117との間に入力電圧信号を印加することで、光信号を変調して出力するものである。また、少なくとも二つ以上の第3の導波路33,34を、信号電極115と接地電極116との間に配置し、別な信号電極115と接地電極117との間にも、二つ以上の第4の導波路43,44を配置している。

【0107】
この場合、信号電極115から生成される電界の分布を利用して、一つの信号電極115に対して二つ以上の第3の導波路33,34や第4の導波路43,44を、誘導移相量が適切な割合になるように配置することで(デバイス領域で作りこむことで)、一つの電気信号入力により、二つ以上の第3の導波路33,34間や第4の導波路43,44間で光信号の位相を調節することが可能になる。

【0108】
つまり、一つの電気信号が入力する一つの信号電極115に対して、その信号電極115と接地電極116,117との間に、第1の分波器11と第2の分波器31,第3の分波器41で分波された二つ以上の第3の導波路33,34や第4の導波路43,44を配置し、各々の第3の導波路33,34,第4の導波路43,44で所望の変調深さを有する被変調光を生成して、それらを第3の合波器12と第1の合波器32,第2の合波器42で合波干渉させることで、光電場の振幅領域で所望の変調曲線を得ることができる。そのため、信号電極115の長さを個々に調節せずに、一つの電気信号を入力するだけで、光信号を所望の応答特性で変調出力する光変調器1を提供できる。

【0109】
また本実施の形態1では、二つ以上の第3の導波路33,34と、二つ以上の第4の導波路43,44が、何れも信号電極15から生成される電界の強さが異なる位置に各々配置される。

【0110】
この場合、信号電極115に対する第3の導波路33,34や第4の導波路43,44の位置によるオーバーラップの違いを利用することで、二つ以上の第3の導波路33,34および第4の導波路43,44で、変調深さの異なる被変調光を簡単に生成することが可能となる。

【0111】
また本実施の形態1では、信号電極115に入力する電気信号に対して、第1の合波器12から変調出力された光信号の応答特性が正弦波状からのこきり波形状または三角波形状に近付くように、光変調器1が構成される。

【0112】
この場合、信号電極115に入力する電気信号に対して、第3の合波器12から変調出力された光信号の応答特性が正弦波状からのこぎり波形状または三角波形状に近付くように、信号電極115に対する各第3の導波路33,34,第4の導波路43,44の位置や、第2の分波器31,第3の分波器41や第1の合波器32,第2の合波器42における光強度比を工夫することで、光信号の非線形性を抑制して変調出力することが可能になる。

【0113】
また本実施の形態1では、第1の導波路13,第2の導波路14や第3の導波路33,34,第4の導波路43,44を伝搬する光信号の位相を調整する光位相調整器48をさらに備えている。

【0114】
この場合、光変調器1に光位相調整器48を取り入れて、第1の導波路13、第2の導波路14や第3の導波路33,34、第4の導波路43,44を各々伝搬する光信号の位相をシフトさせることで、設計した所望の応答特性で光信号を変調出力することが可能になる。

【0115】
図11は、本実施の形態1の変形例として、図9で示した光変調器の構成に光強度調整器50を組み込んだ光変調器1のデバイス構造を示している。光強度調整器50は、第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44のそれぞれの途中に各々挿入接続されたマッハツェンダ干渉計51A,51B,51C,51Dと、マッハツェンダ干渉計51A,51B,51C,51Dに各々対応して、制御電極52A,52B,52C,52Dと、接地電極53A,53B,53C,53Dによる光強度調整用電極を備える。また図示しないが、制御電極52A,52B,52C,52Dに各々直流電圧を供給する電圧供給源が設けられる。

【0116】
マッハツェンダ干渉計51A,51B,51C,51Dは、何れも二つの導波路の入力端と出力端に、分波器と合波器を各々接続した構成を有する。この並列に配置した二つの導波路の間に、制御電極52A,52B,52C,52Dが各々配置される。接地電極53A,53B,53C,53Dは、前述の接地電極116と一体で構成されるが、別体で構成してもよい。

【0117】
図11で示した光変調器1は、光強度調整器50の各制御電極52A,52B,52C,52Dと接地電極53A,53B,53C,53Dとの間に、適切な値の直流電圧を印加することで、第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44を伝搬する光信号の強度を任意に調節できる。したがって、第2の分波器31、第3の分波器41や第1の合波器32、第2の合波器42を、第1の分波器11や第3の合波器12と同様に光強度比が1:1の対称なもので構成できる。それ以外のデバイス構造や動作は、図9の光変調器1と共通する。

【0118】
以上のように、図11に示す光変調器1では、第3の導波路33,34、及び第4の導波路43,44を伝搬する光信号の強度を調整する光強度調整器50をさらに備えている。つまり、光強度調整器50を光変調器1のデバイス構造に取り入れることで、第1の分波器11、第2の分波器31、第3の分波器41や第3の合波器12、第1の合波器32、第2の合波器42を光強度比が1:1の対称なものだけで構成し、各第3の導波路33,34、第4の導波路43,44を伝搬する光信号を所望の光強度比で合成することができる。また、光変調器1を設計・製造する上で、製造誤差などによる光強度分配の設計値のズレや歪みを補償でき、設計値通りの動作特性を得ることができる。さらに、例えば変調度の比が1:2とした設計したのに対し、実際の製品がは1:1.9になるなど、変調度の比の関係が設計とずれた場合についても、光強度の関係をそれに応じた比に調節することで、その変調度の比の関係の下で線形性向上の効果を最大化することができる。光量の分配の関係がずれても、変調度(光の誘導位相)の関係がずれても、どちらも光量分配の調節で最適化することができる。なお、光強度調整器50は、図11に示す位置だけに限られず、第1の合波器32と第2の合波器42の近傍など、光強度調整の効果が得られる他の場所に配置しても構わない。

【0119】
次に図12~図20を基に実施の形態2について説明する。実施の形態1では信号電極115と接地電極116、117との間に2つの導波路を配置した例を示したが、実施の形態2では4つの導波路を配置した例を示す。なお、ここで、信号電極と接地電極との間に配置とは、デバイス断面においては電界が誘起される領域を指し、断面図における位置的な意味での前記信号電極と前記接地電極の間に限定されず、光導波路が該信号電極あるいは該接地電極と接していても良いし、光導波路の一部あるいは全部が該信号電極あるいは該接地電極と重なっていても良い点は実施の形態1と同様である。

【0120】
図12は実施の形態2の光変調器1の構成を模式的に表す図である。図3に示した実施の形態1の構成と同一または同等の構成について、同じ符号を付している。ただし、第2の分波器31、第3の分波器41、第1の合波器32、及び第2の合波器42の光強度比は、N:Mと表記している。実施の形態1との違いは、2つの第3の導波路33と34が第4の分波器61と第5の分波器71によってそれぞれ分波され、2つの第4の導波路43と44が第6の分波器81と第7の分波器91によってそれぞれ分波されている点である。それぞれの分波器に対応して、第4の合波器62、第5の合波器72、第6の合波器82及び第7の合波器92が設けられている。第4の分波器と第4の合波器の間は2つの第7の導波路63,64により、第5の分波器と第5の合波器の間は2つの第8の導波路73,74により、第6の分波器と第6の合波器の間は2つの第9の導波路83,84により、第7の分波器と第7の合波器の間は2つの第10の導波路93,94により接続されている。第7の導波路63,64と第8の導波路73,74は、信号電極115と一方の接地電極116の間に配置されており、第9の導波路83,84と第10の導波路93,94は、信号電極115と他方の接地電極117の間に配置されている。第7の導波路63と64の間、第8の導波路73と74の間、第9の導波路83と84の間、及び第10の導波路93と94の間には、それぞれ位相シフト用通電電極65,75,85、及び95が配置されている。第4の分波器61と第5の分波器71は、それぞれ、入力光信号を光強度比N:MとN:Mに分岐して出力する。第6の分波器81と第7の分波器91は、それぞれ、入力光信号を光強度比N:MとN:Mに分岐して出力する。第4の合波器62と第5の合波器72は、それぞれ光信号を光強度比N:MとN:Mに合成して出力する。第6の合波器82及び第7の合波器92は、それぞれ光信号を光強度比N:MとN:Mに合成して出力する。第7導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、及び第10の導波路93,94は、平面視で入力端と出力端の近傍部分を除いて、相互に平行に配置される。図示しないが、位相シフト用通電電極65,75,85,95には、前述したような位相シフト用接地電極が設けられ、これらも光位相調整器48の電極を構成している。

【0121】
図13~図15を基に、実施の形態2における複数の第7の導波路63,64、及び第8の導波路73,74、あるいは複数の第9の導波路83,84、及び第10の導波路93,94の配置方法について説明する。図13は、信号電極20の端面を導波路位置の基準とした場合に、その信号電極20と、導波路23との位置関係を、断面図で模式的に示したものある。ここでは信号電極20の幅t1を21μmとし、信号電極20の端面と接地電極22の端面との間の距離t2を70μmとし、導波路の幅t3を6μmとしている。しかしながら、これらのt1~t3は適宜設計変更可能である。尚、図13では、信号電極20に対し接地電極21と22は対称的な配置としており、信号電極20の他端面と接地電極21の端面との間の距離もt2と同じ長さにしている。また、導波路23は、信号電極20に向かう端縁が、信号電極20の端面と一致する位置を、基準の0μmとする。図13では、導波路23が基準位置に形成されている状態を示している。

【0122】
図14は、図13の構成で、信号電極20に電圧信号を入力したときに表れる等電位線を示している。等電位線の間隔が狭く密であるほど、その位置での電場が大きいと言える。

【0123】
図15は、図14に示すデータを用いて、前述の基準を0μmとして、そこから接地電極20に向かう導波路23の配置位置を変化させた場合のオーバーラップ(変調効率)の違いのシミュレーション結果をグラフで示したものである。オーバーラップの値は、各位置での電場の大きさから算出され、基準の位置での値を1として、0~1の範囲になるように規格化されている。図15の例では、信号電極20と導波路23の配置位置により、オーバーラップの値として約0.05から1の間の値をとることができ、実施の形態1よりも広い範囲でオーバーラップの値を利用できる。

【0124】
例えば、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94で、伝搬する光信号の間で、変調度が3倍,5倍,7倍異なるように、信号電極115と接地電極117との間に配置することを考えてみる。この場合、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94を伝搬する光信号の間で、変調度の比は7:5:3:1≒1:0.71:0.43:0.14であるから、図15に示す例では、信号電極115と接地電極117との間で、規格化オーバーラップの値が概ね1,0.71,0.43,0.14となる4つの位置、すなわち信号電極115に近いX4の位置と、その近傍のX5の位置と、少し離れたX6の位置と、接地電極117に近いX7の位置に、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94を各々配置すればよい。また図示しないが、第7の導波路63,64、第8の導波路73,74も同様に、光信号の間で変調度の比が7:5:3:1≒1:0.71:0.43:0.14となるように、すなわち規格化オーバーラップの値が概ね1,0.71,0.43,0.14となるように、信号電極115と接地電極116との間の適切な位置に各々配置される。

【0125】
オーバーラップの制御方法として、導波路の幅(径)t3や実効屈折率といったパラメータはすべて同じである必要はなく、例えば導波路の幅t3を変えることで実効的なオーバーラップを変えた場合も含む。導波路を複数配置する場合には、導波路間の結合が信号を劣化させる要因(クロストーク)となる問題が生じる場合がある。しかしながら、各導波路の実効屈折率を変える等の技術により、導波路間の結合を低減することもできる。実行屈折率を変える技術としては、例えば導波路に導入する不純物の拡散量を変化させるなどの技術がある。

【0126】
次に図16を基に実施の形態2の具体的な例について説明する。図16は図12と同じ構成であるが、説明のために非対称分波器の光強度比を表すN、M、N、M、N、及びMの各値として具体的な数値を明記したものである。

【0127】
図16において、第4の分波器61は、第3の導波路33からの入力光信号を光強度比11025:1225に分岐して、2つの第7の導波路63,64に各々出力する非対称分波器として構成される。第5の分波器71は、第3の導波路34からの入力光信号を光強度比441:225に分岐して、第8の導波路73,74に各々出力する非対称分波器として構成される。第6の分波器81は、第4の導波路43からの入力光信号を光強度比441:225に分岐して、第9の導波路83,84に各々出力する非対称分波器として構成される。第7の分波器91は、第4の導波路44からの入力光信号を光強度比11025:1225に分岐して、第10の導波路93,94に各々出力する非対称分波器として構成される。

【0128】
さらに第2の分波器31は、第1の導波路13からの入力光信号を光強度比12250:666に分岐して、2つの第3の導波路33,34に出力する非対称分波器として構成される。また第3の分波器41は、第2の導波路14からの入力光信号を光強度比12250:666に分岐して、2つの第4の導波路43,44に出力する非対称分波器として構成される。これらの第2の分波器31、第3の分波器41、第4の分波器61、第5の分波器71、第6の分波器81、第7の分波器91と、第1の分波器11とにより、光変調器1に入力する光信号を適切な光強度比で複数の第7の導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94に分岐する光入力部が構成される。

【0129】
第4の合波器62は、第7の導波路63,64からの光信号を光強度比11025:1225に合成して、第3の導波路33に出力する非対称合波器として構成される。第5の合波器72は、第8の導波路73,74からの光信号を光強度比441:225に合成して、第3の導波路34に出力する非対称合波器として構成される。第6の合波器82は、第9の導波路83,84からの光信号を光強度比441:225に合成して、第4の導波路43に出力する非対称合波器として構成される。第7の合波器92は、第10の導波路93,94からの光信号を光強度比11025:1225に合成して、第4の導波路44に出力する非対称合波器として構成される。

【0130】
さらに第1の合波器32は、第3の導波路33,34からの光信号を光強度比12250:666に合成して、第5の導波路15に出力する非対称合波器として構成される。また第2の合波器42は、第4の導波路43,44からの光信号を光強度比12250:666に合成して、第6の導波路16に出力する非対称合波器として構成される。これらの第1の合波器32、第2の合波器42、第4の合波器62、第5の合波器72、第6の合波器82、第7の合波器92と、第3の合波器12とにより、複数の第7の導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94からの光信号を適切な光強度比で合成して出力する光出力部が構成される。また第7の導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94は、平面視で入力端と出力端の近傍部分を除いて、相互に平行に配置される。

【0131】
図示しないが、位相シフト用通電電極65,75,85,95には、前述したような位相シフト用接地電極が設けられ、これらも光位相調整器48の電極を構成している。

【0132】
図17は、図16の光変調器1における縦断面を示したものである。同図において、基板101の主面側には第7の導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94が設けられ、バッファ層102を介して信号電極115や接地電極116,117が形成される。第7の導波路63,64、第8の導波路73,74は、伝搬する光信号の間で、変調度が3倍,5倍,7倍異なるように、信号電極115と接地電極116との間に配置される。また第9の導波路83,84、第10の導波路93,94も、伝搬する光信号の間で、変調度が3倍,5倍,7倍異なるように、信号電極115と接地電極117との間に配置される。その他の構成は、実施の形態1で説明したものと共通する。

【0133】
次に、図16の光変調器1について、その動作を説明する。第1の分波器11の入力ポートに与えられる入力光信号S37の電場は、次の数37の式で表せる。

【0134】
【数37】
JP2017083626A_000039t.gif

【0135】
第1の分波器11は、入力光信号S37を光強度レベルで1:1の比に分波する。第1の分波器11の各出力ポートに分岐する光信号S38,S39の電場は、次の数38,39の式で各々表せる。

【0136】
【数38】
JP2017083626A_000040t.gif

【0137】
【数39】
JP2017083626A_000041t.gif

【0138】
第2の分波器31は、第1の分波器11で分岐された光信号S38を光強度レベルで12250:666の比に分波する。第2の分波器31の各出力ポートに分岐する光信号S40,S41の電場は、次の数40,41の式で各々表せる。

【0139】
【数40】
JP2017083626A_000042t.gif

【0140】
【数41】
JP2017083626A_000043t.gif

【0141】
第2の分波器41は、第1の分波器11で分岐された光信号S39を光強度レベルで12250:666の比に分波する。第2の分波器41の各出力ポートに分岐する光信号S42,S43の電場は、次の数42,43の式で各々表せる。

【0142】
【数42】
JP2017083626A_000044t.gif

【0143】
【数43】
JP2017083626A_000045t.gif

【0144】
第4の分波器61は、第2の分波器31で分岐された光信号S40を光強度レベルで11025:1225の比に分波する。第4の分波器61の各出力ポートに分岐する光信号S44,S45の電場は、次の数44,45の式で各々表せる。

【0145】
【数44】
JP2017083626A_000046t.gif

【0146】
【数45】
JP2017083626A_000047t.gif

【0147】
第5の分波器71は、第2の分波器31で分岐された光信号S41を光強度レベルで441:225の比に分波する。第5の分波器71の各出力ポートに分岐する光信号S46,S47の電場は、次の数46,47の式で各々表せる。

【0148】
【数46】
JP2017083626A_000048t.gif

【0149】
【数47】
JP2017083626A_000049t.gif

【0150】
第6の分波器81は、第2の分波器41で分岐された光信号S42を光強度レベルで441:225の比に分波する。第6の分波器81の各出力ポートに分岐する光信号S48,S49の電場は、次の数48,49の式で各々表せる。

【0151】
【数48】
JP2017083626A_000050t.gif

【0152】
【数49】
JP2017083626A_000051t.gif

【0153】
第7の分波器91は、第3の分波器41で分岐された光信号S43を光強度レベルで11025:1225の比に分波する。第7の分波器91の各出力ポートに分岐する光信号S50,S51の電場は、次の数50,51の式で各々表せる。

【0154】
【数50】
JP2017083626A_000052t.gif

【0155】
【数51】
JP2017083626A_000053t.gif

【0156】
第4の分波器61で分岐された光信号S44,S45と、第5の分波器71で分岐された光信号S46,47は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調され、光信号S44の位相が+θ変化すると、光信号S45の位相が+3θ変化し、光信号S46の位相が+5θ変化し、光信号S47の位相が+7θ変化する。位相変調された光信号S44,S45は、位相シフト用通電電極65に入力する直流電圧レベルに応じて、また位相変調された光信号S46,S47は、位相シフト用通電電極75に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。ここで第7の導波路63を伝搬する光信号S44の位相が-π/2シフトし、第7の導波路64を伝搬する光信号S45の位相が+π/2シフトしたとすると、第4の合波器62の入力ポートに与えられる光信号S52,S53の電場は、次の数52,53の式で各々表せる。

【0157】
【数52】
JP2017083626A_000054t.gif

【0158】
【数53】
JP2017083626A_000055t.gif

【0159】
また、第8の導波路73を伝搬する光信号S46の位相が-π/2シフトし、第8の導波路74を伝搬する光信号S47の位相が+π/2シフトしたとすると、第5の合波器72の入力ポートに与えられる光信号S54,S55の電場は、次の数54,55の式で各々表せる。

【0160】
【数54】
JP2017083626A_000056t.gif

【0161】
【数55】
JP2017083626A_000057t.gif

【0162】
第6の分波器81で分岐された光信号S48,S49と、第7の分波器91で分岐された光信号S50,51は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相変調され、光信号S51の位相が-θ変化すると、光信号S50の位相が-3θ変化し、光信号S49の位相が-5θ変化し、光信号S48の位相が-7θ変化する。位相変調された光信号S48,S49は、位相シフト用通電電極85に入力する直流電圧レベルに応じて、また位相変調された光信号S50,S51は、位相シフト用通電電極95に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトされる。ここで第9の導波路83を伝搬する光信号S48の位相が-π/2シフトし、第9の導波路84を伝搬する光信号S49の位相が+π/2シフトしたとすると、第6の合波器82の入力ポートに与えられる光信号S56,S57の電場は、次の数56,57の式で各々表せる。

【0163】
【数56】
JP2017083626A_000058t.gif

【0164】
【数57】
JP2017083626A_000059t.gif

【0165】
また、第10の導波路93を伝搬する光信号S50の位相が-π/2シフトし、第10の導波路94を伝搬する光信号S51の位相が+π/2シフトしたとすると、第7の合波器92の入力ポートに与えられる光信号S58,S59の電場は、次の数58,59の式で各々表せる。

【0166】
【数58】
JP2017083626A_000060t.gif

【0167】
【数59】
JP2017083626A_000061t.gif

【0168】
第4の合波器62は、光信号S52,S53を光強度レベルで11025:1225の比に結合し、第5の合波器72は、光信号S54,S55を光強度レベルで441:225の比に結合する。第4の合波器62、第5の合波器72から出力する各光信号は、位相シフト用通電電極35に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトすることができるが、ここでは直流電圧を入力せず、位相シフトさせない。この場合、第1の合波器32の入力ポートに与えられる光信号S60,S61の電場は、次の数60,61の式で各々表せる。

【0169】
【数60】
JP2017083626A_000062t.gif

【0170】
【数61】
JP2017083626A_000063t.gif

【0171】
第6の合波器82は、光信号S56,S57を光強度レベルで441:225の比に結合し、第7の合波器92は、光信号S58,S59を光強度レベルで11025:1225の比に結合する。第6の合波器82、第7の合波器92から出力する各光信号は、位相シフト用通電電極45に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトすることができるが、ここでは直流電圧を入力せず、位相シフトさせない。この場合、第2の合波器42の入力ポートに与えられる光信号S62,S63の電場は、次の数62,63の式で各々表せる。

【0172】
【数62】
JP2017083626A_000064t.gif

【0173】
【数63】
JP2017083626A_000065t.gif

【0174】
第1の合波器32は、光信号S60,S61を光強度レベルで12250:666の比に結合し、第2の合波器42は、光信号S62,S63を光強度レベルで12250:666の比に結合する。第1の合波器32、第2の合波器42から出力する各光信号は、位相シフト用通電電極25に入力する直流電圧レベルに応じて、基板101の電気光学効果により各々が位相シフトすることができるが、ここでは直流電圧を入力せず、位相シフトさせない。この場合、第3の合波器12の入力ポートに与えられる光信号S64,S65の電場は、次の数64,65の式で各々表せる。

【0175】
【数64】
JP2017083626A_000066t.gif

【0176】
【数65】
JP2017083626A_000067t.gif

【0177】
第3の合波器12は、その入力ポートに与えられる光信号S64,S65を光強度レベルで1:1の比に結合する。最終的に第3の合波器12の出力ポートに生成される出力光信号S66の電場は、次の数66の式で表せる。

【0178】
【数66】
JP2017083626A_000068t.gif

【0179】
数37で示した入力光信号S37の電場の式と、数66で示した出力光信号S66の電場の式とを比較すると、電気信号の駆動電圧に対し、変調された出力光信号S66の電場は、図11に示す光変調器1よりもさらに三角波状に近付いた応答曲線となる。図18は、図13で示した光変調器1について、その応答曲線をグラフで示したもので、実線(合計)が出力光信号S66の振幅の応答曲線を示しており、図12よりもさらに線形となる光振幅の範囲が拡大しているのがわかる。

【0180】
図19は、実施の形態2の他の実施例を示している。光変調器1の構造について、図16に示した、実施の形態2の先の実施例との相違点を説明すると、ここでは入力電圧信号に対して、出力光信号が矩形波形状のディジタル応答特性を示すように、第2の分波器31、第3の分波器41、第4の分波器61、第5の分波器71、第6の分波器81、第7の分波器91と、第1の合波器32、第2の合波器42、第4の合波器62、第5の合波器72、第6の合波器82、第7の合波器92の光強度比を各々調節している。

【0181】
具体的には、第2の分波器31、第3の分波器41は、光信号を光強度比140:36に分岐して出力する非対称分波器を用い、第4の分波器61、第7の分波器91は、光信号を光強度比105:35に分岐して出力する非対称分波器を用い、第5の分波器71、第6の分波器81は、光信号を光強度比21:15に分岐して出力する非対称分波器を用いる。また、第1の合波器32、第2の合波器42は、二つの光信号を光強度比140:36に合成して出力する非対称合波器を用い、第4の合波器62、第7の合波器92は、二つの光信号を光強度比105:35に合成して出力する非対称合波器を用い、第5の合波器72、第6の合波器82は、二つの光信号を光強度比21:15に合成して出力する非対称合波器を用いる。それ以外のデバイス構造は、図16で説明したものと共通する。

【0182】
次に、図19の光変調器1について、その動作を説明する。第1の分波器11の入力ポートに与えられる入力光信号S67の電場は、次の数67の式で表せる。

【0183】
【数67】
JP2017083626A_000069t.gif

【0184】
第1の分波器11は、入力光信号S67を光強度レベルで1:1の比に分波する。第1の分波器11の各出力ポートに分岐する光信号S68,S69の電場は、次の数68,69の式で各々表せる。

【0185】
【数68】
JP2017083626A_000070t.gif

【0186】
【数69】
JP2017083626A_000071t.gif

【0187】
第2の分波器31は、第1の分波器11で分岐された光信号S68を光強度レベルで140:36の比に分波する。第2の分波器31の各出力ポートに分岐する光信号S70,S71の電場は、次の数70,71の式で各々表せる。

【0188】
【数70】
JP2017083626A_000072t.gif

【0189】
【数71】
JP2017083626A_000073t.gif

【0190】
第3の分波器41は、第1の分波器11で分岐された光信号S69を光強度レベルで140:36の比に分波する。第3の分波器41の各出力ポートに分岐する光信号S72,S73の電場は、次の数72,73の式で各々表せる。

【0191】
【数72】
JP2017083626A_000074t.gif

【0192】
【数73】
JP2017083626A_000075t.gif

【0193】
第4の分波器61は、第2の分波器31で分岐された光信号S70を光強度レベルで105:35の比に分波する。第4の分波器61の各出力ポートに分岐する光信号S74,S75の電場は、次の数74,75の式で各々表せる。

【0194】
【数74】
JP2017083626A_000076t.gif

【0195】
【数75】
JP2017083626A_000077t.gif

【0196】
第5の分波器71は、第2の分波器31で分岐された光信号S71を光強度レベルで21:15の比に分波する。第5の分波器71の各出力ポートに分岐する光信号S76,S77の電場は、次の数76,77の式で各々表せる。

【0197】
【数76】
JP2017083626A_000078t.gif

【0198】
【数77】
JP2017083626A_000079t.gif

【0199】
第6の分波器81は、第3の分波器41で分岐された光信号S72を光強度レベルで21:15の比に分波する。第6の分波器81の各出力ポートに分岐する光信号S78,S79の電場は、次の数78,79の式で各々表せる。

【0200】
【数78】
JP2017083626A_000080t.gif

【0201】
【数79】
JP2017083626A_000081t.gif

【0202】
第7の分波器91は、第3の分波器41で分岐された光信号S73を光強度レベルで105:35の比に分波する。第7の分波器91の各出力ポートに分岐する光信号S80,S81の電場は、次の数80,81の式で各々表せる。

【0203】
【数80】
JP2017083626A_000082t.gif

【0204】
【数81】
JP2017083626A_000083t.gif

【0205】
第4の分波器61で分岐された光信号S74,S75と、第5の分波器71で分岐された光信号S76,77は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて各々が位相変調され、光信号S74の位相が+θ変化すると、光信号S75の位相が+3θ変化し、光信号S76の位相が+5θ変化し、光信号S47の位相が+7θ変化する。位相シフト用通電電極65に入力する直流電圧により、第7の導波路63を伝搬する光信号S74の位相が-π/2シフトし、第7の導波路64を伝搬する光信号S75の位相が+π/2シフトしたとすると、第4の合波器62の入力ポートに与えられる光信号S82,S83の電場は、次の数82,83の式で各々表せる。

【0206】
【数82】
JP2017083626A_000084t.gif

【0207】
【数83】
JP2017083626A_000085t.gif

【0208】
また、位相シフト用通電電極75に入力する直流電圧により、第8の導波路73を伝搬する光信号S76の位相が-π/2シフトし、第8の導波路74を伝搬する光信号S77の位相が+π/2シフトしたとすると、第5の合波器72の入力ポートに与えられる光信号S84,S85の電場は、次の数84,85の式で各々表せる。

【0209】
【数84】
JP2017083626A_000086t.gif

【0210】
【数85】
JP2017083626A_000087t.gif

【0211】
第6の分波器81で分岐された光信号S78,S79と、第7の分波器91で分岐された光信号S80,81は、信号電極115に入力する電気信号の電圧レベルに応じて各々が位相変調され、光信号S81の位相が-θ変化すると、光信号S80の位相が-3θ変化し、光信号S79の位相が-5θ変化し、光信号S78の位相が-7θ変化する。位相シフト用通電電極85に入力する直流電圧により、第9の導波路83を伝搬する光信号S78の位相が-π/2シフトし、第9の導波路84を伝搬する光信号S79の位相が+π/2シフトしたとすると、第6の合波器82の入力ポートに与えられる光信号S86,S87の電場は、次の数86,87の式で各々表せる。

【0212】
【数86】
JP2017083626A_000088t.gif

【0213】
【数87】
JP2017083626A_000089t.gif

【0214】
また、位相シフト用通電電極95に入力する直流電圧により、第10の導波路93を伝搬する光信号S80の位相が-π/2シフトし、第10の導波路94を伝搬する光信号S81の位相が+π/2シフトしたとすると、第7の合波器92の入力ポートに与えられる光信号S88,S89の電場は、次の数88,89の式で各々表せる。

【0215】
【数88】
JP2017083626A_000090t.gif

【0216】
【数89】
JP2017083626A_000091t.gif

【0217】
第4の合波器62は、光信号S82,S83を光強度レベルで1105:35の比に結合し、第5の合波器72は、光信号S84,S85を光強度レベルで21:15の比に結合する。ここでは位相シフト用通電電極35に直流電圧を入力せず、位相シフトさせないので、第2の合波器32の入力ポートに与えられる光信号S90,S91の電場は、次の数90,91の式で各々表せる。

【0218】
【数90】
JP2017083626A_000092t.gif

【0219】
【数91】
JP2017083626A_000093t.gif

【0220】
第6の合波器82は、光信号S86,S87を光強度レベルで21:15の比に結合し、第7の合波器92は、光信号S88,S89を光強度レベルで105:35の比に結合する。ここでは位相シフト用通電電極45に直流電圧を入力せず、位相シフトさせないので、第2の合波器42の入力ポートに与えられる光信号S92,S93の電場は、次の数92,93の式で各々表せる。

【0221】
【数92】
JP2017083626A_000094t.gif

【0222】
【数93】
JP2017083626A_000095t.gif

【0223】
第1の合波器32は、光信号S90,S91を光強度レベルで140:36の比に結合し、第2の合波器42は、光信号S92,S93を光強度レベルで140:36の比に結合する。ここでは位相シフト用通電電極25に直流電圧を入力せず、位相シフトさせないので、第3の合波器12の入力ポートに与えられる光信号S94,S95の電場は、次の数64,65の式で各々表せる。

【0224】
【数94】
JP2017083626A_000096t.gif

【0225】
【数95】
JP2017083626A_000097t.gif

【0226】
第3の合波器12は、その入力ポートに与えられる光信号S94,S95を光強度レベルで1:1の比に結合する。最終的に第3の合波器12の出力ポートに生成される出力光信号S96の電場は、次の数96の式で表せる。

【0227】
【数96】
JP2017083626A_000098t.gif

【0228】
数67で示した入力光信号S67の電場の式と、数96で示した出力光信号S96の電場の式とを比較すると、電気信号の駆動電圧に対し、変調された出力光信号S96の電場は、矩形波波状に近付いたディジタル応答曲線となる。図20は、図19で示した光変調器1について、その応答曲線をグラフで示したもので、実線(合計)が出力光信号S96の振幅の応答曲線を示しており、矩形波波状に近付いたディジタル応答曲線が得られている。

【0229】
以上のように、本実施例では、信号電極115に入力する電気信号に対して、第3の合波器12から変調出力された光信号の応答特性が正弦波状から矩形波形状に近付くように、光変調器1が構成される。

【0230】
この場合、信号電極115に入力する電気信号に対して、第3の合波器12から変調出力された光信号の応答特性が正弦波形状から矩形波形状に近付くように、信号電極115に対する第7の導波路63,64、第8の導波路73,74、第9の導波路83,84、第10の導波路93,94の位置や、第2の分波器31、第3の分波器41、第4の分波器61、第5の分波器71、第6の分波器81、第7の分波器91や第1の合波器32、第2の合波器42、第4の合波器62、第5の合波器72、第6の合波器82、第7の合波器92における光強度比を工夫することで、光信号を矩形波形状のディジタル応答特性で変調出力することが可能になる。本実施例は、主としてディジタルな変調方式やAD変換器といったものに適用した場合に有効であり、また、分波器及び合波器を方向性結合器に変えた場合には光スイッチとして好適である。

【0231】
また、上記実施の形態1、2に共通して、本発明の光変調器1は、従来のような二信号入力ではなく、一信号入力で異なる変調度の光信号を得ることができる。そのため、光共振器1周辺の付帯構造を簡略化でき、低コスト化が実現できる。

【0232】
さらに、被変調光の受信方法として、従来の直接検波(二乗検波)からコヒーレント検波(ヘテロダイン検波やホモダイン検波など)が主流となりつつあり、直接検波では得られる電圧(電流)信号が光強度(振幅の二乗)に比例するのに対し、コヒーレント検波では得られる電圧信号が光の振幅に比例する。この点、本発明の光変調器1は、光の振幅に対応した応答特性の被変調光が得られるので好適である。

【0233】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、実施の形態1の変形例として説明した光強度調整器50を、実施の形態2の光変調器1に適用させてもよい。信号電極と接地電極との間に配置する導波路の数も、実施の形態1や実施の形態2で説明した数に限られるわけではなく、所望の特性に応じて変更してもよい。このとき、適宜、分波器や合波器の数を増減することも可能である。また、分波器や合波器の光強度比は、例えば導波路の幅(径)を変えたり、光カプラを使用したりすることで実現でき、光スイッチの集積により可変合分波器を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0234】
1 光変調器
11 第1の分波器(第一の分波器)
12 第3の合波器(第三の合波器)
13 第1の導波路(第一の導波路)
14 第2の導波路(第二の導波路)
15 第5の導波路(第五の導波路)
16 第6の導波路(第六の導波路)
17 入力導波路
18 出力導波路
31 第2の分波器(第二の分波器)
32 第1の合波器(第一の合波器)
33,34 第3の導波路(第三の導波路)
41 第3の分波器(第三の分波器)
42 第2の合波器(第二の合波器)
43,44 第4の導波路(第四の導波路)
48 光位相調整器
50 光強度調整器
61 第4の分波器(第四の分波器)
62 第4の合波器(第四の合波器)
63,64 第7の導波路(第三の導波路)
71 第5の分波器(第四の分波器)
72 第5の合波器(第四の合波器)
73,74 第8の導波路(第三の導波路)
81 第6の分波器(第五の分波器)
82 第6の合波器(第五の合波器)
83,84 第9の導波路(第四の導波路)
91 第7の分波器(第五の分波器)
92 第7の合波器(第五の合波器)
93,94 第10の導波路(第四の導波路)
115 信号電極
116 接地電極(第一の接地電極)
117 接地電極(第二の接地電極)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19