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明細書 :電磁デバイス回路及び電磁デバイスシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-105283 (P2017-105283A)
公開日 平成29年6月15日(2017.6.15)
発明の名称または考案の名称 電磁デバイス回路及び電磁デバイスシステム
国際特許分類 B60G  17/015       (2006.01)
B60G  13/02        (2006.01)
FI B60G 17/015 A
B60G 13/02
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 37
出願番号 特願2015-239568 (P2015-239568)
出願日 平成27年12月8日(2015.12.8)
発明者または考案者 【氏名】林 隆三
【氏名】松實 良祐
【氏名】福盛 勇人
【氏名】須田 義大
【氏名】中野 公彦
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 3D301
Fターム 3D301AA03
3D301AA04
3D301AA05
3D301AA78
3D301DA29
3D301DA30
3D301DA35
3D301DA50
3D301DA66
3D301DA67
3D301DA68
3D301DB25
3D301EA10
3D301EA34
3D301EA65
3D301EA70
3D301EB05
3D301EB08
3D301EB21
3D301EC01
3D301EC05
3D301EC37
3D301EC45
要約 【課題】車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を各々分離し、各自由度の減衰力を独立に調節可能とする。
【解決手段】第1の電磁デバイス及び第2の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第1閉回路と、第2の電磁デバイス及び第3の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第2閉回路と、第3の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第3閉回路と、第1の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第4閉回路と、を備え、第1の電磁デバイスの一端と第3の電磁デバイスの他端、及び第1の電磁デバイスの他端と第3の電磁デバイスの一端とは各々接続され、第2の電磁デバイスの一端と第4の電磁デバイスの他端、及び第2の電磁デバイスの他端と第4の電磁デバイスの一端とは各々接続されている、電磁デバイス回路。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の電磁デバイス及び第2の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第1閉回路と、
前記第2の電磁デバイス及び第3の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第2閉回路と、
前記第3の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第3閉回路と、
前記第1の電磁デバイス及び前記第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第4閉回路と、
を備え、
前記第1の電磁デバイスの一端と前記第3の電磁デバイスの他端、及び前記第1の電磁デバイスの他端と前記第3の電磁デバイスの一端とは各々接続され、
前記第2の電磁デバイスの一端と前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端と前記第4の電磁デバイスの一端とは各々接続されている、
電磁デバイス回路。
【請求項2】
第1の電磁デバイス、第2の電磁デバイス、第3の電磁デバイス、及び第4の電磁デバイスを接続する電磁デバイス回路であって、
前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端が接続され、前記第4の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの他端が接続され、前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第1の電磁デバイスの他端が接続された第1閉回路と、
前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端が接続され、前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端が接続され、前記第4の電磁デバイスの他端及び前記第2の電磁デバイスの一端が接続された第2閉回路と、
前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの一端が接続され、前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの他端が接続され、前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第1の電磁デバイスの一端が接続された第3閉回路と、
前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端が接続され、前記第4の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端が接続され、前記第3の電磁デバイスの一端及び前記第1の電磁デバイスの他端が接続された第4閉回路と、
を備えた電磁デバイス回路。
【請求項3】
前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの一端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第2の電磁デバイスの他端、前記第3の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端、及び前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端は、各々ロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されている、
請求項1または請求項2に記載の電磁デバイス回路。
【請求項4】
前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端、前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端、及び前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの他端は、各々ピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電磁デバイス回路。
【請求項5】
前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの他端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの一端、前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの一端は、各々バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電磁デバイス回路。
【請求項6】
モータ、及び前記モータの回転軸に連結され、かつ並進運動を回転運動に変換して前記モータの回転軸を回転させる運動変換部を備え、各々車両右側の前後、及び車両左側の前後に対応させて配置される4つの電磁デバイスと、
車両前側左右に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第1閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第1閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第1閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第1の抵抗と、
車両左側前後に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第2閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第2閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第2閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第2の抵抗と、
車両後側左右に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第3閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第3閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第3閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第3の抵抗と、
車両右側前後に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第4閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第4閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第4閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第4の抵抗と、
車両左側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端と、車両右側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端、及び車両左側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端と、車両右側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端とを各々接続する一対の第5の抵抗と、
車両右側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端と、車両左側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端、及び車両右側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端と、車両左側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端とを各々接続する一対の第6の抵抗と、
を含む電磁デバイス回路。
【請求項7】
第1の電磁デバイス及び第2の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第1閉回路と、
前記第2の電磁デバイス及び第3の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第2閉回路と、
前記第3の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が前記ロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第3閉回路と、
前記第1の電磁デバイス及び前記第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第4閉回路と、
を備え、
前記第1の電磁デバイスの一端と前記第3の電磁デバイスの他端、及び前記第1の電磁デバイスの他端と前記第3の電磁デバイスの一端とが各々、バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続され、
前記第2の電磁デバイスの一端と前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端と前記第4の電磁デバイスの一端とが各々、バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されている、電磁デバイス回路と、
前記ロール方向の減衰力調整用抵抗素子、前記ピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子、及び前記バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子の抵抗値を制御する制御部と、
を備えた電磁デバイスシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁デバイス回路及び電磁デバイスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサスペンションには、操縦安定性と乗り心地という相反する要求の両立が求められる。これらの要求に応える手段としてこれまでに油圧式ショックアブソーバによる振動抑制法が種々開発され、構造的工夫により減衰力特性を非線形にするパッシブ制御や、状態量に基づくアクチュエータ力を利用したアクティブ制御等が実用化されてきた。
【0003】
一方、近年では脱オイル化、省エネルギ化、及び高性能化等を目指し、電気モータを利用したアクティブサスペンションシステムが知られており、自動車用の電動サスペンション装置としては、電気モータによる運動と振動の相互エネルギ変換を利用した運動・振動制御デバイス(以下電磁デバイスと呼ぶ)を用いた新たなサスペンションシステムが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
電磁デバイスの例は、この他に能動型船用減揺装置や、鉄道用電磁アクチュエータ等が挙げられ、電磁デバイスは、そのモータに接続する回路により、ダンパ、アクチュエータ、エネルギ回生、センサ、及びばね等様々な機能を持たせることが可能という特徴を持つ。電磁デバイスを用いた自動車用電磁サスペンションとしては、これらの各機能を利用してパッシブ系でありながら性能向上を目指す方法や、省エネルギを考慮したアクティブサスペンション等が提案されている。(例えば、非特許文献2参照)
また、電磁デバイスにはモータ同士を電気的に接続することが容易に可能というもう1つの大きな特徴があり、一方のモータを発電機として利用して逆起電力を発生させ、他方にその電圧を印加して力を発生させたり、複数の電磁デバイスに1つの電源からまとめて電圧を印加したりするといったことが可能になる。
【0005】
油圧システムにおいても複数のショックアブソーバを連携させた例は存在するが、従来の手法では、複雑な配管構造が必要であり、減衰力特性の設計が困難となり、また、自動車搭載時に空間的余裕が必要となる。
【0006】
これに対して、4つの電磁デバイスを連携する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、4つのモータを備え、8個の抵抗を有する回路により車両のバウンス、ピッチ、及びロール方向に対する減衰特性を制御する技術が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、4つの電磁式アブソーバを備え、1個の抵抗を有する回路により車両のバウンス、ピッチ、及びロール方向に対する減衰特性を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】末松啓吾,須田義大,中野公彦,椎葉太一,自動車における電磁サスペンションの研究,自動車技術会学術講演会前刷集,No.4-00,(2000),pp.193-196.
【非特許文献2】川元康裕,須田義大,井上博文,近藤卓宏,消費エネルギを考慮した電磁サスペンションの速度フィードバック制御,日本機会学会2006年度年次大会講演論文集,Vol.7,No.06-1,pp.111-112.
【0009】

【特許文献1】国際公開WO2011/145226号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/049633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性が完全には分離されておらず、ロール及びピッチの減衰特性は、バウンスの減衰特性の影響を受けてしまう。そのため、各自由度の減衰力を独立に調整することができなかった。
【0011】
本発明は、車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を各々分離し、各自由度の減衰力を独立に調節可能とすることができる、電磁デバイス回路及び電磁デバイスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電磁デバイス回路は、第1の電磁デバイス及び第2の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第1閉回路と、前記第2の電磁デバイス及び第3の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第2閉回路と、前記第3の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第3閉回路と、前記第1の電磁デバイス及び前記第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が接続された第4閉回路と、を備え、前記第1の電磁デバイスの一端と前記第3の電磁デバイスの他端、及び前記第1の電磁デバイスの他端と前記第3の電磁デバイスの一端とは各々接続され、前記第2の電磁デバイスの一端と前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端と前記第4の電磁デバイスの一端とは各々接続されている。
【0013】
また、本発明の電磁デバイス回路は、第1の電磁デバイス、第2の電磁デバイス、第3の電磁デバイス、及び第4の電磁デバイスを接続する電磁デバイス回路であって、前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端が接続され、前記第4の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの他端が接続され、前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第1の電磁デバイスの他端が接続された第1閉回路と、前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端が接続され、前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端が接続され、前記第4の電磁デバイスの他端及び前記第2の電磁デバイスの一端が接続された第2閉回路と、前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの一端が接続され、前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの他端が接続され、前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第1の電磁デバイスの一端が接続された第3閉回路と、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端が接続され、前記第4の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端が接続され、前記第3の電磁デバイスの一端及び前記第1の電磁デバイスの他端が接続された第4閉回路と、を備える。
【0014】
本発明の電磁デバイス回路は、前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第2の電磁デバイスの一端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第2の電磁デバイスの他端、前記第3の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端、及び前記第3の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端は、各々ロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されていてもよい。
【0015】
本発明の電磁デバイス回路は、前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの一端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの他端、前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの一端、及び前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの他端は、各々ピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されていてもよい。
【0016】
本発明の電磁デバイス回路は、前記第1の電磁デバイスの一端及び前記第3の電磁デバイスの他端、前記第1の電磁デバイスの他端及び前記第3の電磁デバイスの一端、前記第2の電磁デバイスの一端及び前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端及び前記第4の電磁デバイスの一端は、各々バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されていてもよい。
【0017】
また、本発明の電磁デバイス回路は、モータ、及び前記モータの回転軸に連結され、かつ並進運動を回転運動に変換して前記モータの回転軸を回転させる運動変換部を備え、各々車両右側の前後、及び車両左側の前後に対応させて配置される4つの電磁デバイスと、車両前側左右に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第1閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第1閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第1閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第1の抵抗と、車両左側前後に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第2閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第2閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第2閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第2の抵抗と、車両後側左右に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第3閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第3閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第3閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第3の抵抗と、車両右側前後に配置される一対の電磁デバイスのモータのコイルと共に第4閉回路を形成し、前記回転軸の回転により前記第4閉回路内のモータのコイルに励起された誘導起電力による電流が流れて前記第4閉回路内のモータに減衰力を発生させる一対の第4の抵抗と、車両左側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端と、車両右側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端、及び車両左側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端と、車両右側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端とを各々接続する一対の第5の抵抗と、車両右側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端と、車両左側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端、及び車両右側前方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの他端と、車両左側後方に配置される電磁デバイスのモータのコイルの一端とを各々接続する一対の第6の抵抗と、を備える。
【0018】
また、本発明の電磁デバイスシステムは、第1の電磁デバイス及び第2の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第1閉回路と、前記第2の電磁デバイス及び第3の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第2閉回路と、前記第3の電磁デバイス及び第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士が前記ロール方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第3閉回路と、前記第1の電磁デバイス及び前記第4の電磁デバイスの一端同士及び他端同士がピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続された第4閉回路と、を備え、前記第1の電磁デバイスの一端と前記第3の電磁デバイスの他端、及び前記第1の電磁デバイスの他端と前記第3の電磁デバイスの一端とが各々、バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続され、前記第2の電磁デバイスの一端と前記第4の電磁デバイスの他端、及び前記第2の電磁デバイスの他端と前記第4の電磁デバイスの一端とが各々、バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子を介して接続されている、電磁デバイス回路と、前記ロール方向の減衰力調整用抵抗素子、前記ピッチ方向の減衰力調整用抵抗素子、及び前記バウンス方向の減衰力調整用抵抗素子の抵抗値を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を各々分離し、各自由度の減衰力を独立に調節可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】自動車用の電磁ダンパである電磁デバイスの一例の概念図である。
【図2】図1に示した電磁ダンパの一例の外観写真を表す図である。
【図3】本実施形態の電磁デバイス(モータ)の端子間に外部抵抗を接続した状態を示す回路図である。
【図4】3自由度を有するバウンス・ロール・ピッチサスペンションモデルの一例の構成図である。
【図5】本実施形態の電磁デバイス回路の回路図である。
【図6】本実施形態の電磁デバイス回路における閉回路を図示した回路図である。
【図7】本実施形態の電磁デバイス回路における閉回路を図示した回路図である。
【図8】本実施形態の電磁デバイス回路における閉回路を図示した回路図である。
【図9】電磁デバイス及び定置試験モデルの諸元を示す図である。
【図10】物体の加振条件を示す図である。
【図11】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性の実験結果を示すグラフである。
【図13】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性の実験結果を示すグラフである。
【図15】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図16】電磁ダンパを電磁デバイス回路で連携させ、抵抗R、Rの抵抗値を固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合のバウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性の実験結果を示すグラフである。
【図17】本実施形態の電磁デバイス回路を用いた電磁デバイスシステムの一例の概略構成図である。
【図18】フルビークルモデルの一例を示す概略図である。
【図19】車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を独立に調節するシミュレーションにおける諸元を示す図である。
【図20】ノーマルダンパを用いた場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示すグラフである。
【図21】電磁デバイスを電磁デバイス回路で連携し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示すグラフである。
【図22】電磁デバイスを電磁デバイス回路で連携し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示すグラフである。
【図23】電磁デバイスを電磁デバイス回路で連携し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示すグラフである。
【図24】車体振動の時系列シミュレーションにおける外乱として入力した路面変位を示すグラフである。
【図25】車体振動の時系列シミュレーションにおける外乱として入力した強制モーメントを示すグラフである。
【図26】車体モデルを用いたシミュレーションにおける抵抗R、R、及びR各々の抵抗値の時系列変化を示すグラフである。
【図27】車体モデルを用いたシミュレーションにおける車体のバウンス加速度の時刻歴図である。
【図28】車体モデルを用いたシミュレーションにおける車体のロール角の時刻歴図である
【図29】車体モデルを用いたシミュレーションにおける車体のピッチ角の時刻歴図である。
【図30】比較例1の電磁デバイス回路の回路図の立体図である。
【図31】図30に示した電磁デバイス回路の回路図の平面図である。
【図32】比較例1の電磁デバイス回路においてバウンス方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【図33】比較例1の電磁デバイス回路においてロール方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【図34】比較例1の電磁デバイス回路においてピッチ方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【図35】抵抗Rが0よりも大きい場合について、本実施形態の電磁デバイス回路、及び比較例1の電磁デバイス回路における、バウンス、ロール、及びピッチの調整可能範囲を示す図である。
【図36】抵抗Rが0の場合について、本実施形態の電磁デバイス回路、及び比較例1の電磁デバイス回路における、バウンス、ロール、及びピッチの調整可能範囲を示す図である。
【図37】比較例2の電磁デバイス回路の回路図である。
【図38】比較例2の電磁デバイス回路においてバウンス方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【図39】比較例2の電磁デバイス回路においてロール方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【図40】比較例2の電磁デバイス回路においてピッチ方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。

【0022】
本実施形態では、電磁デバイスの一例として自動車用の電磁ダンパを用いた。図1には、本実施形態で用いた自動車用の電磁ダンパである電磁デバイス10の一例の概念図を示す。また、図2には、図1に示した電磁ダンパの一例の外観写真を表す図を示す。

【0023】
図1に示すように、電磁デバイス10はナット11にねじ込まれたボールねじ12及び回転軸13に連結された直流モータ14を備える。車輪ストロークによる並進運動はボールねじ12により回転運動へと変換される。回転によりモータ14からは誘導電圧が生じ、この誘導電圧を利用しモータ14自身を駆動することで並進方向の減衰力が発生する。

【0024】
なお、並進運動と回転運動とを変換する変換機構はボールねじ12に限らず、ラックとピニオン等でもよい。また、回転モータを用いずリニアモータにより並進運動から直接電磁力を発生させるものも電磁デバイス10として同様に扱うことができる。本実施形態では、自動車のショックアブソーバとして図1に示した電磁デバイスを適用する場合について説明する。

【0025】
本実施形態では、電磁デバイス10のモータ14として直流モータを用いた。電磁デバイス10のストロークをz、モータ14の誘導電圧をe、モータ14に流れる電流をi、モータ14の出力(電磁力)をfとすると、下記の(1)式及び(2)式に示す関係が成立する。なお、下記(1)式において、zは並進方向の変位を表す。また、z上のドットは1次の時間微分であること、すなわち、ストローク速度であることを表す。

【0026】
【数1】
JP2017105283A_000003t.gif
ここで、Gは、モータ14に固有の定数を電磁デバイス10のストローク方向に変換したものであり、電磁デバイス10に固有の定数である。モータ14の内部抵抗をrとすると、図3に示したようにモータ14の端子間に抵抗R(抵抗値もRとする)を接続した場合、出力fは上記(1)式及び(2)式より下記の(3)式で表される。

【0027】
【数2】
JP2017105283A_000004t.gif
上記(3)式に示すように、端子間に抵抗Rを接続した場合、電磁デバイス10は、線形な減衰力特性をもつダンパとして機能する。

【0028】
なお、電磁デバイス10が発生する減衰力には、モータ14が発生する電磁力の他に、回転子の慣性モーメントに起因する慣性力や、摺動部分の摩擦力が存在することが知られている。しかしながら、これらの力は本実施形態の電磁デバイス10の連携に関しては影響が少ないと考えモータ14の電磁力のみを電磁デバイス10の出力として考える。

【0029】
図4には、本実施形態の電磁デバイス10を使用した3自由度を持つサスペンションモデル(定置試験モデル)の一例を表す構成図を示す。本実施形態の電磁デバイス回路(図5、電磁デバイス回路20参照)を説明する前に、まず、各電磁デバイス10を連携させずそれぞれ独立して用いた場合の減衰力特性について図4を参照して説明する。

【0030】
なお、図4に示したサスペンションモデルを車両に適用した場合、電磁デバイス10frは車両前方の右側、電磁デバイス10flは車両前方の左側、電磁デバイス10rrは車両後方の右側、及び電磁デバイス10rlは車両後方の左側に対応している。以下では、電磁デバイス10fr、10fl、10rr、及び10rlの個々を区別せずに総称する場合は、「電磁デバイス10」という。同様に、各電磁デバイス10が備えるモータ14fr、14fl、14rr、及び14rlの個々を区別せずに総称する場合は、「モータ14」という。

【0031】
なお、電磁デバイス10frが本発明の第1の電磁デバイスに対応し、電磁デバイス10flが本発明の第2の電磁デバイスに対応し、電磁デバイス10rrが本発明の第4の電磁デバイスに対応し、電磁デバイス10rlが本発明の第3の電磁デバイスに対応する。

【0032】
図4に示したサスペンションモデルにおいて、下記(4)式~(7)式が成り立つ。

【0033】
【数3】
JP2017105283A_000005t.gif
上記(4)式~(7)式より、電磁デバイス10fr、10fl、10rr、及び10rlの各々が発生する力Ffr、Ffl、Frr、及びFrlは、下記(8)式~(11)式で表される。

【0034】
【数4】
JP2017105283A_000006t.gif
従って、物体に入力されるバウンス方向の力F、ロール方向のモーメントM、及びピッチ方向のモーメントMは、各々下記(12)式~(14)式で表される。

【0035】
【数5】
JP2017105283A_000007t.gif
なお、上記(12)式~(14)式において、c、c、c、及びcの各々は、モータ14fr、14fl、14rr、及び14rlの各々において端子間に接続する抵抗の抵抗値を抵抗値Rfr、Rfl、Rrr、及びRrlとした場合に、下記(15)式~(18)式で表される定数である。

【0036】
【数6】
JP2017105283A_000008t.gif
上記(15)式~(18)式において、Rfr=Rfl=Rrr=Rrl=Rexとした場合、c=4G/(r+Rex)、c=c=c=0となる。従って、上記(12)式~(14)式は、下記(19)式~(21)式のように表される。

【0037】
【数7】
JP2017105283A_000009t.gif
これらの式より、懸架された物体にはバウンス、ロール、及びピッチの各動きに対して4本分の電磁デバイス10の減衰力が発生し、各電磁デバイス10に接続する抵抗Rの抵抗値を変化させると、バウンス、ロール、及びピッチ全ての方向の減衰力特性に影響することが分かる。電磁デバイス10に接続する抵抗Rの抵抗値を同じにする場合は、抵抗値Rexによってバウンス、ロール、及びピッチの減衰力特性が全て従属的に変化する。したがって、上記の場合では、バウンス、ロール、及びピッチのいずれかの方向の減衰力特性のみを変化させることは不可能である。

【0038】
そこで、本実施形態では、4本の電磁デバイス10の接続にあたり、図5に示した電磁デバイス回路20を用いることにより、バウンス、ロール、及びピッチのいずれかの方向の減衰力特性のみを変化させることを可能とする。

【0039】
図5には、本実施形態の電磁デバイス回路20の回路図を示す。図5に示すように本実施形態の電磁デバイス回路20は、4つの電磁デバイス10fr、10fl、10rr、及び10rlを連携接続する回路である。

【0040】
電磁デバイス10fr及び電磁デバイス10flは、+側端子同士及び-側端子同士が図6に示した閉回路30により接続されている。なお、具体的には、閉回路30等に電磁デバイス10を接続する場合、電磁デバイス10のコイルが接続されるが、本実施形態では単に、電磁デバイス10が接続されると称している。

【0041】
電磁デバイス10fl及び電磁デバイス10rlは、+側端子同士及び-側端子同士が図6に示した閉回路32により接続されている。電磁デバイス10rl及び電磁デバイス10rrは、+側端子同士及び-側端子同士が図6に示した閉回路34により接続されている。電磁デバイス10rr及び電磁デバイス10frは、+側端子同士及び-側端子同士が図6に示した閉回路36により接続されている。なお、閉回路30が本発明の第1閉回路に対応し、閉回路32が本発明の第2閉回路に対応し、閉回路34が本発明の第3閉回路に対応し、閉回路36が本発明の第4閉回路に対応する。

【0042】
また、電磁デバイス10frの+側端子と電磁デバイス10rlの-側端子とは接続されており、電磁デバイス10frの-側端子と電磁デバイス10rlの+側端子とは接続されている。電磁デバイス10flの+側端子と電磁デバイス10rrの-側端子とは接続されており、電磁デバイス10flの-側端子と電磁デバイス10rrの+側端子とは接続されている。

【0043】
電磁デバイス10frの+側端子と電磁デバイス10rlの-側端子、電磁デバイス10rlの+側端子と電磁デバイス10frの-側端子、電磁デバイス10flの+側端子と電磁デバイス10rrの-側端子、及び電磁デバイス10rrの+側端子と電磁デバイス10flの-側端子は、各々バウンス方向の減衰力特性の調節用の抵抗R(抵抗値もRとする)を介して接続されている。

【0044】
また、電磁デバイス10frの+側端子と電磁デバイス10flの+側端子、電磁デバイス10frの-側端子と電磁デバイス10flの-側端子、電磁デバイス10rrの+側端子と電磁デバイス10rlの+側端子、及び電磁デバイス10rrの-側端子と電磁デバイス10rlの-側端子は、各々ロール方向の減衰力特性の調節用の抵抗R(抵抗値もRとする)を介して接続されている。

【0045】
また、電磁デバイス10frの+側端子と電磁デバイス10rrの+側端子、電磁デバイス10frの-側端子と電磁デバイス10rrの-側端子、電磁デバイス10flの+側端子と電磁デバイス10rlの+側端子、及び電磁デバイス10flの-側端子と電磁デバイス10rlの-側端子は、各々ピッチ方向の減衰力特性の調節用の抵抗R(抵抗値もRとする)を介して接続されている。

【0046】
なお、図5に示した電磁デバイス10において、電磁デバイス10fr、10fl、10rl、及び10rrに流れる電流を、各々電流ifr、ifl、irl、及びirrとする。

【0047】
電磁デバイス10rlの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10frの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10frの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rlの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10flの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rrの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10rrの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10flの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10frの+側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10flの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10flの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10frの-側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10rrの+側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rlの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10rlの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rrの-側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10frの+側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rrの+側端子に流れる電流を電流iとする。電磁デバイス10rrの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10frの-側端子に流れる電流を電流i10とする。電磁デバイス10flの+側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10rlの+側端子に流れる電流を電流i11とする。電磁デバイス10rlの-側端子から抵抗Rを介して電磁デバイス10flの-側端子に流れる電流を電流i12とする。

【0048】
図5に示した電磁デバイス回路20のA点~G点の各々では、キルヒホッフの法則により、下記(22)式~(28)式が成り立つ。

【0049】
【数8】
JP2017105283A_000010t.gif
また、各電磁デバイス10に発生している逆起電力を考慮すると、図6に示した電磁デバイス回路20における閉回路30、32、34、及び36の各々について、下記(29)式~(32)式が成り立つ。なお、図6は、図5に示した電磁デバイス回路20を平面的に図示したものである。

【0050】
【数9】
JP2017105283A_000011t.gif
また、図6に示した電磁デバイス回路20における閉回路38について、下記(33)式が成り立つ。

【0051】
【数10】
JP2017105283A_000012t.gif
同様に、図7に示した電磁デバイス回路20における閉回路40及び閉回路42の各々について、下記(34)式及び(35)式が成り立つ。なお、閉回路40が本発明の第1閉回路に対応し、閉回路42が本発明の第2閉回路に対応する。

【0052】
【数11】
JP2017105283A_000013t.gif
また同様に、図8に示した電磁デバイス回路20における閉回路44及び閉回路46の各々について、下記(36)式及び(37)式が成り立つ。なお、閉回路44が本発明の第3閉回路に対応し、閉回路46が本発明の第4閉回路に対応する。

【0053】
【数12】
JP2017105283A_000014t.gif
上記(22)式~(37)式を連立方程式として解くと、電流i~i12の各々は、下記(38)式~(40)式で表される。

【0054】
【数13】
JP2017105283A_000015t.gif
また、電流ifr、ifl、irr、及びirlの各々は下記(41)式~(44)式で表される。

【0055】
【数14】
JP2017105283A_000016t.gif
そして、上記(38)式~(44)式について、上記(4)式~(7)式を用いて座標変換を行うと、下記(45)式~(51)式が得られる。

【0056】
【数15】
JP2017105283A_000017t.gif
上記(45)式から、電流i、i、i、及びiは、バウンス方向の運動に対してのみ流れる電流であることがわかる。また、上記(46)式から、電流i、i、i、及びiは、ロール方向の運動に対してのみ流れる電流であることがわかる。また、上記(47)式から、電流i、i10、i11、及びi12は、ピッチ方向の運動に対してのみ流れる電流であることがわかる。

【0057】
上記(48)式~(51)式から、縣架された物体に入力されるバウンス方向の力F、ロール方向のモーメントM、及びピッチ方向のモーメントMは、下記(52)式~(54)式のように表される。

【0058】
【数16】
JP2017105283A_000018t.gif
上記(52)式より、バウンス方向の減衰力特性は、抵抗Rの抵抗値を制御することにより調節可能であることがわかる。また、上記(53)式より、ロール方向の減衰力特性は、抵抗Rの抵抗値を制御することにより調節可能であることがわかる。また、上記(54)式より、ピッチ方向の減衰力特性は、抵抗Rの抵抗値を制御することにより調節可能であることがわかる。

【0059】
このように、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、バウンス方向の減衰力特性、ロール方向の減衰力特性、及びピッチ方向の減衰力特性が各々独立に調整することができる。従って、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、抵抗R、R、及びRの抵抗値を各々制御することにより、3自由度の減衰特性を個別に制御することが可能となる。

【0060】
本実施形態の電磁デバイス回路20における電磁デバイス10の連携によるバウンス、ロール、及びピッチの減衰特性を独立に制御する効果を確認するために、図4に示したバウンス、ロール、及びピッチサスペンションモデルを用いて電磁デバイス10が物体に発生させる減衰力を求める数値シミュレーション及び実験を行った。

【0061】
図9には、電磁デバイス10及びサスペンションモデルの諸元を示す。また、図10には、物体の加振条件を示す。なお、電磁デバイス回路20のシミュレーションはMatlab(登録商標)のSimPowerSystems toolboxを用いて行い、上記(22)式~(25)式を直接用いずに検証した。

【0062】
電磁デバイス10を電磁デバイス回路20で連携させ、抵抗R及びRの抵抗値を1.0Ωに固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合における、バウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を図11に示し、実験結果を図12に示す。

【0063】
図11及び図12のうち、バウンス方向の速度(Velocity)とバウンス方向の力F(Force)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rの変化に応じて、減衰力特性も変化する。

【0064】
一方、図11及び図12のうち、ロール方向の角速度(Angular rate)とロール方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。なお、当該グラフでは、抵抗Rに応じた複数の線が重なり合っているため、線が1つしか記載されていないように見えている。以下、当該グラフと同様に、線が重なり合っているために1つしか記載されていないように見える場合がある。

【0065】
同様に、図11及び図12のうち、ピッチ方向の角速度(Angular rate)とピッチ方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。

【0066】
従って、シミュレーション結果及び実験結果のいずれにおいても、抵抗Rのみを変化させた場合、ロール方向及びピッチ方向に影響を与えずにバウンス方向の減衰力特性のみが調整可能であることがわかる。

【0067】
また、電磁デバイス10を電磁デバイス回路20で連携させ、抵抗R及びRの抵抗値を1.0Ωに固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合における、バウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を図13に示し、実験結果を図14に示す。

【0068】
図13及び図14のうち、ロール方向の角速度(Angular rate)とロール方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rの変化に応じて、減衰力特性も変化する。一方、図13及び図14のうち、バウンス方向の速度(Velocity)とバウンス方向の力F(Force)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。同様に、図13及び図14のうち、ピッチ方向の角速度(Angular rate)とピッチ方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。

【0069】
従って、シミュレーション結果及び実験結果のいずれにおいても、抵抗Rのみを変化させた場合、バウンス方向及びピッチ方向に影響を与えずにロール方向の減衰力特性のみが調整可能であることがわかる。

【0070】
また、電磁デバイス10を電磁デバイス回路20で連携させ、抵抗R及びRの抵抗値を1.0Ωに固定し、抵抗Rの抵抗値のみを変化させた場合における、バウンス、ロール、及びピッチ各々の減衰力特性のシミュレーション結果を図15に示し、実験結果を図16に示す。

【0071】
図15及び図16のうち、ピッチ方向の角速度(Angular rate)とピッチ方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rの変化に応じて、減衰力特性も変化する。一方、図15及び図16のうち、バウンス方向の速度(Velocity)とバウンス方向の力F(Force)との対応関係を表すグラフが示すように、抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。同様に、図15及び図16のうち、ロール方向の角速度(Angular rate)とロール方向のモーメントM(Moment)との対応関係を表すグラフが示すように抵抗Rが変化しても、減衰力特性は変化しない。

【0072】
従って、シミュレーション結果及び実験結果のいずれにおいても、抵抗Rのみを変化させた場合、バウンス方向及びロール方向に影響を与えずにピッチ方向の減衰力特性のみが調整可能であることがわかる。

【0073】
次に、本実施形態の電磁デバイス回路20を用いた電磁デバイスシステムについて説明する。図17には、本実施形態の電磁デバイス回路20を用いた電磁デバイスシステム50の一例の概略構成図を示す。

【0074】
図17に示すように本実施形態の電磁デバイスシステム50は、電磁デバイス10を含む電磁デバイス回路20、制御部52、及びセンサ54を備える。

【0075】
電磁デバイス回路20が備える抵抗R、R、及びRは可変抵抗であり、制御部52により抵抗値が制御される。

【0076】
センサ54は、ステアリング角及びブレーキ圧を検出するセンサである。図17では、センサ54を1つのみ図示したが、ステアリング角を検出するセンサ54とブレーキ圧を検出するセンサ54を別々に設けてもよい。また、車両の各部に配置されるセンサ54の数は、特に限定されるものではない。なお、センサ54は、ステアリング角及びブレーキ圧を検出できるものであればよく、検出方法等は特に限定されるものではない。

【0077】
センサ54の出力は、制御部52に入力される。本実施形態の制御部52は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及び不揮発性の記憶部(いずれも図示省略)を備えている。

【0078】
制御部52は、センサ54から入力される情報に基づいて、電磁デバイス回路20の抵抗R、R、及びRの抵抗値を制御することにより、車両の挙動を制御する。例えば、車両がバウンス方向に運動する場合は、路面の振動がドライバ等に伝わらないように、抵抗Rの抵抗値を制御して減衰力を小さくして乗り心地性を向上させる。また例えば、車両のロール方向の運動やピッチ方向の運動に対しては、車両の姿勢変化を極力抑えるために、抵抗RやRの抵抗値を制御して減衰力を大きくする。

【0079】
本実施形態の電磁デバイスシステム50(電磁デバイス回路20)が車両に与える作用について説明する。

【0080】
図18に一例を示したフルビークルモデルを用いて、電磁デバイスシステム50(電磁デバイス回路20)により車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を独立に調節するシミュレーションを行うことにより検証を行った。なお、車両は一般的な乗用車を想定し、図19に示す諸元を用いた。また、電磁デバイス10を車両に取り付ける場合はノーマルダンパと置き換えるものとし、その場合、ノーマルダンパの減衰係数は0として計算した。電磁デバイス10の諸数値は上述した図9に示した数値を用いた。

【0081】
まず、図20には、電磁デバイス10は用いずにノーマルダンパを用いた場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示す。ダンパ減衰係数は前輪右側のみcfr=1200[N/m/sec]から8000[N/m/sec]まで変化させ、その他をcfl=crr=crl=2400[N/m/sec]で一定とし、合計5通りについてシミュレーションを行った。図20に示すように、通常のダンパ(ノーマルダンパ)を用いた場合はダンパの減衰係数を変化させるとバウンス、ロール、及びピッチの減衰特性が同時に変化することがわかる。

【0082】
次に、図21~図23には、電磁デバイス10を電磁デバイス回路20で連携した場合の路面入力に対する車体バウンス加速度、ロール角加速度、及びピッチ角加速度の周波数応答の一例を示す。図21は、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合を示している。図22は、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合を示している。図23は、抵抗Rの抵抗値のみを変化させ、抵抗R及びRの抵抗値を一定とした場合を示している。

【0083】
図21~図23に示されるように、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、抵抗Rによりバウンス方向、抵抗Rによりロール方向、及び抵抗Rによりピッチ方向の減衰特性が独立に調節可能である。

【0084】
さらに、本実施形態の電磁デバイス回路20によるショックアブソーバを用いた車両姿勢制御の一例として、ステアリング及びブレーキ操作(センサ54で検出したステアリング角及びブレーキ圧)と連動してロール及びピッチ方向の減衰特性を変化させる車両制御を例に、4輪連携ショックアブソーバの車両運動制御手法としての有効性について説明する。
ワインディング路における制駆動及び旋回時の前後、及び左右加速度を模擬したピッチ・ロールモーメントを強制モーメントとして車体に直接入力し、車体振動の時系列シミュレーションを行った。図24及び図25には、外乱として入力した路面変位及び強制モーメントを示す。

【0085】
電磁デバイス回路20の抵抗値の条件は、バウンス方向の減衰力特性の調整用抵抗Rの抵抗値は常にR=5.34Ωとし、抵抗Rにはノーマルダンパ使用時と同じ減衰特性が得られるようにした。ロール方向及びピッチ方向の減衰力特性の調整用抵抗R及びRの各抵抗値についてはステアリング操作角やブレーキ操作、または、前後加速度合や横加速度等に応じて減衰特性を変化させることを想定し、車体に強制モーメントが加わる間のみ減衰抵抗を0とし、その他の時間はノーマル時と同じ特性となるようにした。図26には、抵抗R、R、及びR各々の抵抗値の時系列変化を示す。

【0086】
図27に車体バウンス加速度、図28にロール角の時刻歴図、及び図29にピッチ角の時刻歴図を示す。図27~図29に示すように、本実施形態の電磁デバイス回路20により、バウンス、ロール、及びピッチの減衰特性を分離してそれぞれ独立に変化させることが可能となり、状況に応じ抵抗値を切り替えることにより加減速旋回時などのロール各及びピッチ角を抑制できる。

【0087】
以上説明したように、本実施形態の電磁デバイス回路20は、電磁デバイス10fr及び電磁デバイス10flの+側端子同士及び-側端子端同士が抵抗Rを介して接続された閉回路30と、電磁デバイス10fl及び電磁デバイス10rlの+側端子同士及び-側端子同士が抵抗Rを介して接続された閉回路32と、電磁デバイス10rl及び電磁デバイス10rrの+側端子同士及び-側端子同士が抵抗Rを介して接続された閉回路34と、電磁デバイス10fr及び電磁デバイス10rrの+側端子同士及び-側端子同士が抵抗Rを介して接続された閉回路36と、を備える。

【0088】
また、電磁デバイス回路20は、電磁デバイス10frの+側端子と電磁デバイス10rlの-側端子、及び電磁デバイス10frの-側端子と電磁デバイス10rlの+側端子とは各々抵抗Rを介して接続され、電磁デバイス10flの+側端子と電磁デバイス10rrの-側端子、及び電磁デバイス10flの-側端子と電磁デバイス10rrの-+側端子とは各々抵抗Rを介して接続されている。

【0089】
これにより、本実施形態の電磁デバイス10によれば、上述したように、車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を各々分離し、各自由度の減衰力を独立に調節可能とすることができる。

【0090】
さらに、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、ロール及びピッチ方向の減衰特性がバウンス方向の減衰特性の影響を受けないため、従来技術の電磁デバイス回路に比べて、減衰係数が調整可能な範囲が広くなる。

【0091】
以下、本実施形態の電磁デバイス回路20において減衰係数の調整可能な範囲が広くなる効果について従来技術の電磁デバイス回路と比較して説明する。

【0092】
(比較例1)
特許文献1として上述した国際公開WO2011/145226号公報に記載の技術と同様の電磁デバイス回路を比較例として挙げる。図30には、比較例の電磁デバイス回路100の立体図を示す。また、図31には、比較例の電磁デバイス回路100の平面図を示す。

【0093】
図30及び図31において抵抗Rがバウンス方向の減衰特性調整用の抵抗である。また、抵抗Rがロール方向の減衰特性調整用の抵抗である。また、抵抗Rがピッチ方向の減衰特性調整用の抵抗である。

【0094】
ここで、上述したサスペンションモデル(図4参照)を考慮すると、電磁デバイス10fr、10fl、10rr、及び10rl各々のモータ14が発生する誘導電圧Vfr、Vfl、Vrr、及びVrlは、下記(55)式~(58)式で表される。

【0095】
【数17】
JP2017105283A_000019t.gif
さらに、上記(55)式~(58)式を以下の(59)式~(63)式で表現する。

【0096】
【数18】
JP2017105283A_000020t.gif
この場合、回路の電圧源は12個(3種類×4個)とみなすことができる。この状態で、バウンス、ロール、及びピッチ方向の運動に起因する各電圧V、V、及びVの内、いずれか1種類のみが存在する場合の回路の方程式を解いてモータ14に流れる電流を求める。そして、各場合における電流の総和を求めることで、各電磁デバイス10に取り付けられたモータ14に流れる電流の理論値を、回路における重ね合わせの原理により求める。

【0097】
まず、バウンス方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、図32に示すように、従来の電磁デバイス回路100は、4つの閉回路(閉回路102、104、106、及び108)に分割される。閉回路102~108のいずれかに、キルヒホッフの法則を適用すると下記(64)式が成り立つ。

【0098】
【数19】
JP2017105283A_000021t.gif
上記(64)式を電流iについて解くと、下記(65)式が得られる。

【0099】
【数20】
JP2017105283A_000022t.gif
次に、ロール方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、図33に示すように、従来の電磁デバイス回路100は、2つの閉回路(閉回路110及び112)に分割される。閉回路110及び112のいずれかに、キルヒホッフの法則を適用すると下記(66)式が成り立つ。

【0100】
【数21】
JP2017105283A_000023t.gif
上記(66)式を電流iについて解くと、下記(67)式が得られる。

【0101】
【数22】
JP2017105283A_000024t.gif
次に、ピッチ方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、図34に示すように、従来の電磁デバイス回路100は、2つの閉回路(閉回路114及び116)に分割される。閉回路114及び116のいずれかに、キルヒホッフの法則を適用すると下記(68)式が成り立つ。

【0102】
【数23】
JP2017105283A_000025t.gif
上記(68)式を電流iについて解くと、下記(69)式が得られる。

【0103】
【数24】
JP2017105283A_000026t.gif
上記(65)式、(67)式、及び(69)式より、各電磁デバイス10に流れる電流は下記(70)式~(73)式のようになる。

【0104】
【数25】
JP2017105283A_000027t.gif
一方、各電磁デバイス10が発生する力Ffr、Ffl、Frr、及びFrlは、下記(74)式~(77)式で表される。

【0105】
【数26】
JP2017105283A_000028t.gif
従って、サスペンションモデル(図4参照)の物体に入力されるバウンス方向の力F及びロール及びピッチ方向のモーメントM、Mは、下記(78)~(80)式で表される。

【0106】
【数27】
JP2017105283A_000029t.gif
上記(78)式は、本実施形態の電磁デバイス回路20において上述した式(19)と同様である。従って、本実施形態の電磁デバイス回路20と、比較例の電磁デバイス回路100とでは、バウンス方向の力Fについては同様となっている。

【0107】
一方、上記(79)式及び(80)式では、バウンスの減衰抵抗Rが、減衰係数の部分に混在していることが示されている。

【0108】
上記(78)式~(80)式に示されるように、比較例の電磁デバイス回路100では、バウンス方向の減衰力特性については抵抗Rの抵抗値によって独立に調節可能である。しかしながら、ロール及びピッチ方向の減衰力特性を調節する際は、抵抗Rの影響を受けるため、抵抗Rの関与無しに独立に調節することができない。

【0109】
従って、電磁デバイス回路100では、バウンス方向の減衰係数を抵抗Rの抵抗値によってまず調節し、その後でロール及びピッチ方向の減衰係数を抵抗R及びRの抵抗値によって調節するという手順を踏まなければならない。

【0110】
また、比較例の電磁デバイス回路100では、ロール及びピッチ方向の減衰係数に抵抗Rが混在するため、ロール及びピッチ方向の減衰係数の調節可能範囲に限界が生じる。一方、本実施形態の電磁デバイス回路20では、ロール及びピッチ方向の減衰係数は、抵抗Rの影響を受けない。

【0111】
図35には、抵抗Rが0よりも大きい(R>0)場合について、本実施形態の電磁デバイス回路20、及び比較例の電磁デバイス回路100における、バウンス、ロール、及びピッチの調整可能範囲を示す。

【0112】
また、図36には、抵抗Rが0(R=0)の場合について、本実施形態の電磁デバイス回路20、及び比較例の電磁デバイス回路100における、バウンス、ロール、及びピッチの調整可能範囲を示す。

【0113】
図35及び図36に示すように、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、比較例の電磁デバイス回路100に比べて、ロール及びピッチ方向の減衰係数の調整可能範囲が広い。
(比較例2)
特許文献2として上述した国際公開WO2007/049633号公報に記載の技術と同様の電磁デバイス回路を比較例として挙げる。図37には、比較例の電磁デバイス回路200の回路図を示す。

【0114】
比較例1と同様に、サスペンションモデル(図4参照)に電磁デバイス回路200を適用した際に各電磁デバイス10のモータ14に流れる電流の論理式を求めた。導出方法は、比較例1と同様に、バウンス、ロール、及びピッチ方向の運動に起因する各電圧V、V、及びVの内、いずれか1種類のみが存在する場合にモータ14に流れる電流の理論値を、回路における重ね合わせの原理により求めた。

【0115】
まず、バウンス方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、電磁デバイス回路200に流れる電流を図38に示すように定義する。図38に示した電磁デバイス回路200にキルヒホッフの法則を適用すると下記(81)式が成り立つ。

【0116】
【数28】
JP2017105283A_000030t.gif
上記(81)式を電流i及びiについて解くと、下記(82)式及び(83)式が得られる。

【0117】
【数29】
JP2017105283A_000031t.gif
次に、ロール方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、電磁デバイス回路200に流れる電流を図39に示すように定義する。図39に示した電磁デバイス回路200にキルヒホッフの法則を適用すると下記(84)式が成り立つ。

【0118】
【数30】
JP2017105283A_000032t.gif
上記(84)式を電流i及びiについて解くと、下記(85)式及び(86)式が得られる。

【0119】
【数31】
JP2017105283A_000033t.gif
次に、ピッチ方向の運動に起因する電圧Vのみが発生している場合を考える。この場合、電磁デバイス回路200に流れる電流を図40に示すように定義する。図40に示した電磁デバイス回路200にキルヒホッフの法則を適用すると下記(87)式が成り立つ。

【0120】
【数32】
JP2017105283A_000034t.gif
上記(87)式を電流i及びiについて解くと、下記(88)式及び(89)式が得られる。

【0121】
【数33】
JP2017105283A_000035t.gif
上記(82)式、(83)式、(85)式、(86)式、(88)式、及び(89)式より、各電磁デバイス10に流れる電流は下記(90)式~(93)式のようになる。

【0122】
【数34】
JP2017105283A_000036t.gif
比較例1と同様に、サスペンションモデル(図4参照)の物体に入力されるバウンス方向の力F及びロール及びピッチ方向のモーメントM、Mは、下記(94)~(96)式で表される。

【0123】
【数35】
JP2017105283A_000037t.gif
上記(94)式~(96)式によれば、電磁デバイス回路200により4つの電磁デバイス10を連携させ、パッシブ制御として使用する場合は、抵抗値Rによってバウンス方向の減衰特性が調節可能ではあるが、本実施形態の電磁デバイス回路200と異なり、ロール及びピッチ方向の減衰特性を調節することは不可能であることがわかる。

【0124】
以上、説明したように、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、車両のバウンス、ロール、及びピッチ方向の減衰特性を各々分離し、各自由度の減衰力を独立に調節することができる。

【0125】
また、比較例の電磁デバイス回路100、200を用いて説明したように、本実施形態の電磁デバイス回路20によれば、従来の電磁デバイス回路に比べて、減衰係数の調整可能な範囲が広くなる。

【0126】
なお、本実施形態では、電磁デバイスシステム50として、センサ54が検出したステアリング角及びブレーキ圧に基づいて、制御部52が電磁デバイス回路20(減衰力特性)を制御する形態について説明したが電磁デバイス回路20の制御方法は本実施形態に限定されない。例えば、センサ54を、車両の各部に配置された車両の上下方向の加速度、前後方向の加速度、及び左右方向の加速度を検出するセンサとし、メモリ54が検出したこれらの加速度に応じて制御部52電磁デバイス回路20を制御してもよい。

【0127】
また、例えば、センサ54を使用せずに、整備士や運転手等がチューニングつまみ等を用いて手動で電磁デバイス回路20に対して指示することにより運転手の好みの減衰力特性に調整するようにしてもよい。

【0128】
さらに、車両の走行中に減衰力(電磁デバイス回路20)を調節するのではなく、車両として適正な減衰力特性になるように予め電磁デバイス回路20の抵抗R、R、及びR毎に、抵抗値を決定し、決定した抵抗値を固定とした抵抗を電磁デバイス回路20に用いてもよい。

【0129】
なお、本実施形態では、電磁デバイス10を自動車の電磁ダンパとして用いる場合について説明したが、電磁デバイス10はこれに限定されるものではない。また、電磁デバイス回路20及び電磁デバイスシステム50は、自動車の車両のサスペンションに限らず、鉄道車両等のサスペンション、船舶減振装置、及び建築減揺装置等に適用してもよい。

【0130】
また、その他、上記各実施形態で説明した電磁デバイス10、電磁デバイス回路20、及び電磁デバイスシステム50等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0131】
10 電磁デバイス
14 モータ
20 電磁デバイス回路
30、32、34、36、38、40、42、44、46 閉回路
50 電磁デバイスシステム
52 記憶部
バウンス方向の減衰力特性の調節用の抵抗
ロール方向の減衰力特性の調節用の抵抗
ピッチ方向の減衰力特性の調節用の抵抗
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39