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明細書 :磁気研磨装置及び磁気研磨方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-104926 (P2017-104926A)
公開日 平成29年6月15日(2017.6.15)
発明の名称または考案の名称 磁気研磨装置及び磁気研磨方法
国際特許分類 B24B  31/112       (2006.01)
B24B  37/00        (2012.01)
FI B24B 31/112
B24B 37/00 D
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-239787 (P2015-239787)
出願日 平成27年12月8日(2015.12.8)
発明者または考案者 【氏名】鄒 艶華
出願人 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100136504、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 毅彦
審査請求 未請求
テーマコード 3C158
Fターム 3C158AA07
3C158AA09
3C158CA04
3C158CB04
3C158CB07
3C158DA02
3C158DA11
要約 【課題】平面や曲面等の面はもちろん、超微細孔の内面のように狭い空間を形成する面であっても磁気研磨法によって研磨できるようにすることである。
【解決手段】実施形態に係る磁気研磨装置は、第1の磁極、第2の磁極及び移動機構を備える。第1の磁極は、磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒に第1の磁力を与えるための磁極である。第2の磁極は、被研磨物体を間に挟んで配置され、前記磁性粒子又は前記磁性砥粒に第2の磁力を与えるための磁極である。移動機構は、前記被研磨物体に対して前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を相対的に移動させることによって前記磁性を有さない砥粒又は前記磁性砥粒で前記被研磨物体の研磨を行う。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒に第1の磁力を与えるための第1の磁極と、
被研磨物体を間に挟んで配置され、前記磁性粒子又は前記磁性砥粒に第2の磁力を与えるための第2の磁極と、
前記被研磨物体に対して前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を相対的に移動させることによって前記磁性を有さない砥粒又は前記磁性砥粒で前記被研磨物体の研磨を行う移動機構と、
を備える磁気研磨装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記第1の磁極を回転させる回転機構を有し、前記第1の磁極を回転させることによって前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を前記第1の磁極の回転方向に回転させるように構成される請求項1記載の磁気研磨装置。
【請求項3】
前記第2の磁極は変動しない極性を有し、
前記移動機構は、前記第1の磁極の極性をN極とS極との間で変動させる制御回路を有し、前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を、前記第1の磁極と前記第2の磁極との間に形成される磁力線に沿う方向に移動させるように構成される請求項1又は2記載の磁気研磨装置。
【請求項4】
前記第1の磁極に、磁性を有さない前記砥粒、前記磁性粒子及び研磨液を混合して成るスラリ又は前記磁性砥粒及び研磨液を混合して成るスラリを入れるための容器を設け、
前記移動機構は、前記スラリを前記被研磨物体に対して相対的に移動させるように構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気研磨装置。
【請求項5】
前記第2の磁極側の形状が凸面となっている柱状の磁極であって、中心軸上を通らない溝及び中心軸上でない位置に形成される凹みの少なくとも一方を有する柱状の磁極を前記第1の磁極として用いた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気研磨装置。
【請求項6】
磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒に第1の磁極から第1の磁力を与える一方、被研磨物体を間に挟んで配置された第2の磁極から前記磁性粒子又は前記磁性砥粒に第2の磁力を与えるステップと、
前記被研磨物体に対して前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を相対的に移動させ、前記磁性を有さない砥粒又は前記磁性砥粒で前記被研磨物体の研磨を行うことによって被研磨品を製造するステップと、
を有する磁気研磨方法。
【請求項7】
前記被研磨物体に形成される孔の内面、スリットの内面又は溝の内面を研磨することによって前記被研磨品を製造する請求項6記載の磁気研磨方法。
【請求項8】
前記第1の磁極の極性をN極とS極との間で繰返し交互に変動させることによって前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を前記孔、前記スリット又は前記溝の内部に導くようにした請求項7記載の磁気研磨方法。
【請求項9】
モリブテン合金又はタングステン合金から成る前記被研磨物体を研磨することによって前記被研磨品を製造する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の磁気研磨方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気研磨装置及び磁気研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研磨法の1つとして磁気ブラシを用いた磁気研磨法が提案されている。磁気ブラシは、磁極に多数の磁性粒子を吸引させて構成されるブラシである。具体的には、磁気ブラシでは、磁力線に沿って繋がった磁性粒子がブラシの毛として機能する。そして、磁気ブラシの磁性粒子に研磨砥粒を付着させ、被研磨対象物に磁気ブラシを接触させた状態で磁気ブラシを回転又は移動させることによって、被研磨対象物の表面研磨を行うことができる。
【0003】
また、磁極の上にトレーを設置し、磁性粒子、砥粒及び研磨液を混合して成る磁気研磨スラリをトレー内に入れた構成を有する磁気ブラシも提案されている(例えば、非特許文献1乃至5参照)。この磁気ブラシでは、磁気研磨スラリが流動性を有するため、磁気ブラシを柔軟に変形させることが可能である。更に、磁気ブラシを構成する磁極の極性を変動させることによって、磁気研磨スラリを磁力線の向きの変化方向に繰返し往復移動させる技術も提案されている。この変動磁場を与える磁気ブラシによれば、静磁場を与える磁気ブラシに比べて、被研磨対象物に接触させた後に元の状態に復帰させ易いという効果が得られる。
【0004】
一方、磁性砥粒を磁極に吸引させることによってブラシの毛自体を砥粒で構成した磁気ブラシも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、樹脂パイプの内面を研磨するような場合には、磁気ブラシを挿入することが困難となる。そこで、磁気研磨スラリを樹脂パイプの内側に配置する一方、樹脂パイプの外部に磁石を配置することによって磁気研磨を行う方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2007-210073号公報
【特許文献2】特開2015-168029号公報
【0007】

【非特許文献1】Jinzhong Wu and Yanhua Zou, "Study on an ultra-precision plane magnetic abrasive finishing process by use of alternating magnetic field", Applied Mechanics and Materials, 2013, Volume 395-396, p.985-989
【非特許文献2】Yanhua Zou and Jinzhong Wu, "Development of ultra-precision plane magnetic abrasive finishing process by application of varying magnetic field", 2013年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, 2013, p.173-174
【非特許文献3】鄒艶華、呉金忠、「変動磁場を利用した超精密平面磁気研磨法の開発」、2014年度砥粒加工学会学術講演会講演論文集、2014年
【非特許文献4】Jinzhong Wu, Yanhua Zou and Hitoshi Sugiyama, "Study on finishing characteristics of magnetic abrasive finishing process using low-frequency alternating magnetic field", The International Journal of Advanced Manufacturing Technology, 2015.
【非特許文献5】Jinzhong Wu, Yanhua Zou and Hitoshi Sugiyama, "Study on ultra-precision magnetic abrasive finishing process using low frequency alternating magnetic field", Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 2015, Volume 386, p.50-59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、超微細孔の内面が研磨対象となる場合のように狭い空間を形成する面が研磨対象である場合には、磁気研磨スラリを研磨対象となる面まで十分に導くことが困難となる。また、研磨対象となる面まで磁気研磨スラリを導いたとしても、研磨後に砥粒等が残留する場合が多い。その結果、研磨後に被研磨物体の洗浄が必要となったり、洗浄を行っても研磨後に残留する砥粒を除去することが困難となる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、平面や曲面等の面はもちろん、超微細孔の内面のように狭い空間を形成する面であっても磁気研磨法によって研磨できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る磁気研磨装置は、第1の磁極、第2の磁極及び移動機構を備える。第1の磁極は、磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒に第1の磁力を与えるための磁極である。第2の磁極は、被研磨物体を間に挟んで配置され、前記磁性粒子又は前記磁性砥粒に第2の磁力を与えるための磁極である。移動機構は、前記被研磨物体に対して前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を相対的に移動させることによって前記磁性を有さない砥粒又は前記磁性砥粒で前記被研磨物体の研磨を行う。
また、本発明の実施形態に係る磁気研磨方法は、磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒に第1の磁極から第1の磁力を与える一方、被研磨物体を間に挟んで配置された第2の磁極から前記磁性粒子又は前記磁性砥粒に第2の磁力を与えるステップと、前記被研磨物体に対して前記磁性粒子又は前記磁性砥粒を相対的に移動させ、前記磁性を有さない砥粒又は前記磁性砥粒で前記被研磨物体の研磨を行うことによって被研磨品を製造するステップとを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気研磨装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1に示す磁気研磨装置の正面図。
【図3】図1に示す第1の磁極の極性に応じた磁性粒子の挙動を示す図。
【図4】図1に示す第1の磁極の容器に砥粒、磁性粒子及び研磨液を混合して成るスラリを入れた状態を示す概念図。
【図5】第1の磁極の先端形状のバリエーションを示す図。
【図6】図5に示す第1の磁極の各先端形状に対応する磁束密度分布を示すグラフ。
【図7】第1の磁極の先端形状の別のバリエーションを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る磁気研磨装置及び磁気研磨方法について添付図面を参照して説明する。

【0013】
(構成及び機能)
図1は本発明の実施形態に係る磁気研磨装置の構成を示す斜視図であり、図2は図1に示す磁気研磨装置の正面図である。

【0014】
磁気研磨装置1は、磁気ブラシ2を利用して被研磨物体(ワークピース)Wの研磨を行うための装置である。尚、ここで言う研磨には表面仕上げ加工に限らず、バリ取り等の研削加工も含まれる。

【0015】
磁気ブラシ2は、磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子2A又は磁性を有する砥粒である磁性砥粒を磁極に吸引させて構成されるブラシである。従って、被研磨物体Wは、磁気ブラシ2の磁性粒子2Aに付着した砥粒又は磁性砥粒で研磨されることになる。ここでは、磁性を有さない砥粒を付着させた磁性粒子を磁極に吸引させて構成される磁気ブラシ2を用いる場合を例に説明するが、磁性砥粒を磁極に吸引させて構成される磁気ブラシを用いる場合についても同様である。

【0016】
磁気研磨装置1は、磁気ブラシ2を形成させるための磁極として、第1の磁極3及び第2の磁極4を有する。第1の磁極3及び第2の磁極4は、被研磨物体Wを間に挟んで配置される。従って、磁気ブラシ2を構成する磁性粒子2Aには、第1の磁極3から第1の磁力が与えられる一方、第2の磁極4から第2の磁力が与えられる。そして、第1の磁極3と、第2の磁極4との間に形成される磁界に応じた磁気ブラシ2が形成される。

【0017】
図示された例では、平板上のテーブル5に被研磨物体Wを固定するための取付治具6が固定され、取付治具6に微細な貫通孔を有する円筒状の被研磨物体Wが取付けられてる。そして、被研磨物体Wの貫通孔の内面が研磨対象とされている。このため、被研磨物体Wの貫通孔の両側に、対向するように、第1の磁極3及び第2の磁極4が配置されている。

【0018】
磁気研磨装置1には、更に、移動機構7が備えられる。移動機構7は、被研磨物体Wに対して磁性粒子2Aを相対的に移動させるための装置である。被研磨物体Wに対して磁性粒子2Aを相対的に移動させると、磁性粒子2Aに付着した砥粒で被研磨物体Wの研磨を行うことが可能となる。従って、磁性粒子2Aの移動方向は、研磨すべき方向、すなわち被研磨物体Wの被研磨面において平滑度を向上させるべき方向とされる。

【0019】
そのため、移動機構7は、磁性粒子2を必要な方向に移動させることが可能な機能又は構造を有していれば、任意の機能及び構造を有する装置で構成することができる。図示された例では、移動機構7は、送り機構8、回転機構9及び極性制御回路10を有している。

【0020】
送り機構8は、磁性粒子2Aを被研磨物体Wに対して相対的に2次元的にスライドさせる装置である。図示された例では、ステージ11がX方向リニアガイド12及びY方向リニアガイド13によってそれぞれX方向及びY方向に直線的に平行移動できるように構成されている。そして、ステージ11に第1の磁極3及び第2の磁極4が設置されている。このため、被研磨物体Wに対して相対的に第1の磁極3及び第2の磁極4を2次元的に平行移動させることができる。

【0021】
もちろん、被研磨物体Wを取付けたテーブル5側を、第1の磁極3及び第2の磁極4を設置したステージ11に対して平行移動できるようにしてもよい。また、磁性粒子2Aを被研磨物体Wに対して相対的に3次元的にスライドさせる送り機構8を磁気研磨装置1に設けてもよい。更に、第1の磁極3及び第2の磁極4の配置に応じて任意方向の駆動軸を設けるようにしてもよい。例えば、第1の磁極3及び第2の磁極4が水平方向に対向配置される場合であれば、鉛直方向への駆動軸を設けることができる。

【0022】
回転機構9は、磁性粒子2Aを被研磨物体Wに対して相対的に回転移動させる装置である。回転機構9は、例えば、第1の磁極3を回転させるモータ14で構成することができる。第1の磁極3を回転させると、磁性粒子2Aを第1の磁極3の回転方向に回転させることができる。すなわち、磁気ブラシ2自体を被研磨物体Wに対して機械的に回転させることができる。このため、被研磨物体Wの被研磨面を、第1の磁極3の回転方向に研磨することができる。その結果、第1の磁極3の回転方向における被研磨面の平滑度を向上させることができる。

【0023】
図示された例では、モータ14で回転する第1の磁極3は、コイル15で構成される電磁石16の芯となっている。このため、モータ14の出力軸がコイル15内の棒状の第1の磁極3と連結されている。一方、第2の磁極4は、永久磁石17で構成されており、永久磁石17が第2の磁極4を第1の磁極3側に向けて、ステージ11に据付けられた固定フレーム18に固定されている。従って、モータ14で回転するのは、第1の磁極3及び第1の磁極3に吸着する磁性粒子2Aで構成される部分となる。

【0024】
もちろん、被研磨物体Wを取付けたテーブル5側を、第1の磁極3及び第2の磁極4を設置したステージ11に対して回転移動させる回転機構を移動機構7として磁気研磨装置1に設けてもよい。また、第1の磁極3に加えて第2の磁極4を回転させる回転機構を移動機構7として磁気研磨装置1に設けてもよい。

【0025】
極性制御回路10は、電磁石16の芯の一端として形成される第1の磁極3の極性をN極(正極)とS極(負極)との間で変動させる回路である。電磁石16の極性は、コイル15に流す電流の向きによって変化する。従って、コイル15に流す電流の向きを制御することによって第1の磁極3の極性を可変制御することができる。

【0026】
極性制御回路10は、例えば、電磁石16のコイル15に直流電圧を印加する直流電源と、コイル15に印加される直流電圧の向きを切換えるスイッチによって構成することができる。この場合、ユーザがスイッチを切換えることによって第1の磁極3の極性をN極とS極との間で切換えることができる。或いは、スイッチを切換制御回路によって自動的に電子制御するようにしてもよい。その場合には、所望のアルゴリズムに従って切換制御回路により、スイッチを所定のタイミングで自動的に切換えることができる。このため、第1の磁極3の極性を所望のタイミングで自動的にN極とS極との間で切換えることができる。

【0027】
別の例として、図示されるように交流電源19と、特性制御回路20とを用いて極性制御回路10を構成することもできる。交流電源19は、電磁石16のコイル15に交流電圧を印加する電源である。特性制御回路20は、コイル15に印加される交流電圧の振幅や周波数等の特性を制御する回路である。コイル15に、一定の周波数を有する交流電圧を印加すると、一定の周期で第1の磁極3の極性をN極とS極との間で交互に切換えることができる。

【0028】
図3は、図1に示す第1の磁極3の極性に応じた磁性粒子2Aの挙動を示す図である。尚、図3は、第1の磁極3と第2の磁極4との間にテーブル5、取付治具6及び被研磨物体W等の介在物が介在しない場合における磁性粒子2Aの挙動を示している。

【0029】
第1の磁極3の極性をN極とS極との間で交互に切換える一方、第2の磁極4の極性を変動させずにN極等に固定すると第1の磁極3と第2の磁極4との間に形成される磁力線の向きが変化することになる。すなわち、(a)に示すように第1の磁極3の極性が第2の磁極4の極性の逆となった場合には、第1の磁極3及び第2の磁極4の間に磁力線が形成され、第1の磁極3と第2の磁極4との間には引力が作用する。一方、(b)に示すように第1の磁極3の極性が第2の磁極4の極性と同じになった場合には、第1の磁極3と第2の磁極4との間を繋ぐ磁力線は形成されず、第1の磁極3と第2の磁極4との間には斥力が作用する。

【0030】
従って、第1の磁極3の極性をN極とS極との間で交互に切換える一方、第2の磁極4の極性を変動させずに固定すると、磁性粒子2Aを、第1の磁極3と第2の磁極4との間に形成される磁力線に沿う方向に移動させることが可能となる。特に、第1の磁極3の極性をN極とS極との間で繰返し切換えると、磁性粒子2Aを磁力線が変化する方向に振動させることが可能となる。

【0031】
磁性粒子2Aを磁力線の変化方向に振動させると、磁性粒子2Aとともに磁性粒子2Aに付着した砥粒が移動する。このため、被研磨物体Wの被研磨面を、磁性粒子2Aの振動方向に研磨することができる。その結果、磁性粒子2Aの振動方向における被研磨面の平滑度を向上させることができる。

【0032】
加えて、第1の磁極3と第2の磁極4との間における磁力線を変化させることによって磁性粒子2Aを振動させると、孔等の狭い空間であっても磁性粒子2Aを入れることが可能になるという利点がある。すなわち、磁性粒子2Aを振動させながら徐々に狭い空間に挿入していくことが可能となる。このため、具体例として、微細な貫通孔、非貫通孔、スリット又は溝を有する被研磨物体Wの内面に磁性粒子2Aを導くことが可能となる。

【0033】
第1の磁極3の極性を変動させながら磁性粒子2Aを被研磨物体Wの被研磨面に徐々に導く場合には、研磨開始時点において、磁気ブラシ2が第1の磁極3側と第2の磁極4側に分離することになる。換言すれば、磁性粒子2Aを吸引する第1の磁極3側と、磁性粒子2Aを吸引する第2の磁極4側の双方に磁気ブラシ2が形成される。そして、第1の磁極3の極性を変動させると、第1の磁極3に吸着した磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸着した磁性粒子2Aが互いに接近するタイミングが生じることになる。従って、第1の磁極3と第2の磁極4との間における距離を適切な距離に決定すれば、第1の磁極3に吸着した磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸着した磁性粒子2Aを繋げることが可能となる。すなわち、第1の磁極3と第2の磁極4との間に磁力線に沿って磁性粒子2Aが存在する磁気ブラシ2を形成することが可能となる。

【0034】
第1の磁極3と第2の磁極4との間に斥力が働いている間は、第1の磁極3に吸着した磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸着した磁性粒子2Aが互いに離れる方向に磁力を受けることになる。しかしながら、特に狭い空間に磁性粒子2Aが入り込んでいる場合には、被研磨面と磁性粒子2Aとの間における摩擦力によって磁性粒子2Aが瞬時に移動することができない状態となる。このため、第1の磁極3の極性の変動の周波数、すなわち交流電源19の周波数を十分に大きく設定すれば、磁性粒子2Aを被研磨物体Wの被研磨面近傍に留めることができる。

【0035】
これは、コイル15に直流電圧を印加する直流電源と、コイル15に印加される直流電圧の向きを切換えるスイッチによって極性制御回路10を構成する場合においても同様である。すなわち、スイッチを切換える周期を十分に短く設定すれば、磁性粒子2Aを狭い空間に徐々に導きながら被研磨面近傍に留めることができる。

【0036】
第1の磁極3と第2の磁極4との間における距離及び第1の磁極3の極性を変動させる周波数は、被研磨物体Wのサイズ及び構造並びに磁力の強さ等の条件に応じて経験的に決定することができる。或いは、シミュレーションによって決定してもよい。

【0037】
第1の磁極3と第2の磁極4との間における磁力線を変化させると、上述したように、磁性粒子2Aの振動方向における研磨が可能となるという利点並びに狭い空間に磁性粒子2Aを挿入することが可能となる利点が得られるが、更に、磁性粒子2Aに付着した砥粒の凝集を抑止できるという利点と、磁気ブラシ2の変形を防止して元の状態に戻すことができるという利点も得られる。すなわち、磁性粒子2Aとともに砥粒も振動するため、砥粒同士が集まって固まることがない。また、磁性粒子2Aが繋がって形成される磁気ブラシ2の毛が振動することになるため、磁気ブラシ2の繰返しの使用によって磁気ブラシ2が変形するといった事態も回避することができる。

【0038】
尚、図示された例では、被研磨物体Wの構造が円筒状であるため第1の磁極3と第2の磁極4とが対向配置されているが、被研磨物体Wの被研磨面の構造に応じて任意の位置に第1の磁極3と第2の磁極4とを配置することができる。例えば、L字型の管状物の内面が被研磨面であれば、第1の磁極3と第2の磁極4との間にL字型の磁力線が形成されるように第1の磁極3と第2の磁極4とを互いに垂直となる向きで配置するようにしてもよい。

【0039】
また、被研磨物体Wの被研磨面の構造によっては、第1の磁極3と第2の磁極4との間に静磁場が形成されるようにしてもよい。その場合には、第2の磁極4に限らず第1の磁極3についても永久磁石で構成することができる。例えば、被研磨面が微細孔の内面のような狭い空間の壁面でない場合や研磨すべき方向が第1の磁極3と第2の磁極4との間を結ぶ磁力線に沿う方向でない場合には、回転機構9で第1の磁極3を回転させるのみでも被研磨物体Wの被研磨面を研磨することができる。

【0040】
第1の磁極3と第2の磁極4との間に静磁場を形成する場合には、第1の磁極3と第2の磁極4との間に、変化しない磁力線に沿って磁性粒子2Aが配置されることになる。このため、安定した磁気ブラシ2を形成することができる。例えば、第1の磁極3と第2の磁極4との間において磁性粒子2Aが繋がるようにすれば、送り機構8による磁気ブラシ2の移動によって被研磨物体Wの側面の研磨が可能となる。もちろん、第1の磁極3及び第2の磁極4の双方に別々に磁性粒子2Aを吸着させて、それぞれ磁気ブラシ2を形成するようにしてもよい。

【0041】
また、第1の磁極3と第2の磁極4との間には、引力に限らず斥力が働くようにしてもよい。すなわち、第1の磁極3と第2の磁極4との間に、所望の磁力線を形成することによって様々な形状を有する磁気ブラシ2を形成することができる。

【0042】
一方、上述したように変動磁界によって磁性粒子2Aを動的に移動させる場合には、第1の磁極3及び第2の磁極4の少なくとも一方を電磁石で構成し、磁界を制御できるようにすることが必要となる。図1及び図2は、変動磁界によって磁性粒子2Aを振動させることができるように、第1の磁極3を電磁石16で構成する一方、第2の磁極4を変動しない極性を有する永久磁石17で構成した例を示している。

【0043】
また、変動磁界によって磁性粒子2Aを動的に移動させる場合には、磁性粒子2Aに流動性を持たせることが効果的である。そこで、図1及び図2に示すように、第1の磁極3に容器3Aを取付け、磁性を有さない砥粒、磁性粒子2A及び研磨液を混合して成るスラリを容器3Aに入れるようにすることができる。

【0044】
図4は、図1に示す第1の磁極3の容器3Aに砥粒、磁性粒子2A及び研磨液を混合して成るスラリを入れた状態を示す概念図である。

【0045】
図4に示すように砥粒21、磁性粒子2A及び研磨液22を混合してスラリ23を作成することができる。研磨液22としては、油性の切削油等の任意の液体を用いることができる。そして、スラリ23を容器3Aに入れることができる。そうすると、移動機構7によって砥粒21を含む磁性粒子2Aのスラリ23を被研磨物体Wに対して相対的に移動させることができる。

【0046】
このように磁性粒子2Aに流動性を持たせると、磁性粒子2Aからの砥粒21の脱落を防止し、かつ磁気ブラシ2を柔軟に変形させることが可能となる。加えて、第1の磁極3に容器3Aを設置すると、流動性を有する磁性粒子2Aの可動範囲を規制することができる。すなわち、磁性粒子2Aの移動範囲を、概ね第1の磁極3と容器3Aが接触しているエリアに制限することができる。このため、研磨に寄与しない不要な位置への磁性粒子2Aの吸着を防止し、磁気ブラシ2の毛の向きを被研磨物体Wに向かう方向に規制することができる。

【0047】
流動性を有する磁性粒子2Aに変動する磁力を作用させて振動させると、被研磨物体Wの狭い空隙に砥粒21を含む磁性粒子2Aを入れることが一層容易となる。例えば、図4に示す例であれば、下側の第1の磁極3の極性を変動させることによって砥粒21を含む磁性粒子2Aのスラリ23を上下方向に振動させながら被研磨物体Wの孔に入れることが可能となる。そうすると、被研磨物体Wの孔の内部において磁性粒子2Aとともに砥粒21が孔の軸方向に往復移動する。しかも、磁性粒子2Aを吸着した第1の磁極3は、回転機構9によって回転する。このため、被研磨物体Wの孔の内部において磁性粒子2Aは、砥粒21とともに回転移動する。その結果、被研磨物体Wの孔の内面を砥粒21で研磨することができる。

【0048】
磁気ブラシ2の毛を被研磨物体Wの被研磨面に向かうように適切な位置に適切な向きで形成するためには、第1の磁極3の形状を好適化することが重要である。例えば、図示されるように円柱状の第1の磁極3と第2の磁極4が同軸上に対向配置され、第1の磁極3と第2の磁極4との間に設置された円筒状の被研磨物体Wの内面が被研磨面であれば、第1の磁極3及び第2の磁極4の中心軸における磁束密度が大きくなるようにすることが砥粒21を含む磁性粒子2Aのスラリ23を被研磨物体Wの孔の付近に集中する観点から望ましい。

【0049】
図5は、第1の磁極3の先端形状のバリエーションを示す図であり、図6は図5に示す第1の磁極3の各先端形状に対応する磁束密度分布を示すグラフである。

【0050】
図5に示すようにタイプ1からタイプ6までの様々な先端形状を有する第1の磁極3を試作し、磁束密度分布を調べた。図6において横軸は、第1の磁極3の中心位置からの距離(mm)を示し、縦軸は相対磁束密度を示す。図6によれば、先端形状が凸面となっているタイプ2及びタイプ6の第1の磁極3では、中心に近い程、磁束密度が大きくなることが分かる。従って、円筒状の被研磨物体Wの内面を研磨する場合には、第1の磁極3を、第2の磁極4側の形状が凸面となっている柱状の磁極とすることが良好な磁力線を形成する観点から好ましい。

【0051】
但し、第1の磁極3に磁性粒子2Aが固まって局所的に吸着することを回避することも重要である。そのためには、第1の磁極3によってある程度不均一な磁場分布を形成し、磁性粒子2Aを分散させることが重要である。一方、円筒状の被研磨物体Wの内面を研磨する場合には、第1の磁極3の中心部分における磁束密度を最大にすることが望ましい。そこで、第1の磁極3の先端の形状を単純な球面の一部とせずに、第1の磁極3の中心軸上を通らない溝及び中心軸上でない位置に形成される凹みの少なくとも一方を凸面に設けた形状とすることが有効である。

【0052】
図7は、第1の磁極3の先端形状の別のバリエーションを示す図である。

【0053】
図7に示すように先端が凸面となっている(A),(B),(C)及び(D)の4通りの第1の磁極3を試作した。すなわち、凸面の中心を除く部分に2本又は4本の溝を設けた第1の磁極3を試作した。その結果、円筒状の被研磨物体Wの内面を研磨する場合には、(C)に示すように、2組の2本の平行な溝を互いに直交するように凸面上に設けた第1の磁極3が、好適な磁気ブラシ2の毛を形成する観点から有効であることが確認された。

【0054】
(動作及び作用)
次に磁気研磨装置1を用いた磁気研磨方法について説明する。

【0055】
図1及び図2に例示されるような円筒状の被研磨物体Wの内面を磁気研磨装置1で研磨しようとする場合には、事前に砥粒21、磁性粒子2A及び研磨液22を混合することによって、磁性を有するスラリ23が作成される。作成されたスラリ23は、第1の磁極3に取付けられた容器3Aに入れられる。他方、静磁場を形成する第2の磁極4には、砥粒21を付着させた磁性粒子2Aが吸引される。

【0056】
一方、平板上のテーブル5に取付治具6を介して円筒状の被研磨物体Wが取付けられる。そして、送り機構8の駆動によってステージ11が移動し、第1の磁極3と第2の磁極4との間に被研磨物体Wの孔が配置されるように被研磨物体Wの位置決めが行われる。

【0057】
次に、特性制御回路20による制御下において、交流電源19から所定の特性を有する交流電流が電磁石16のコイル15に供給される。これにより、コイル15の芯である第1の磁極3に交流電流の周波数に応じて変動する極性が生じる。その結果、第1の磁極3上の容器3A内における砥粒21を付着させた磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸引された磁性粒子2Aに第1の磁極3から第1の磁力が与えられる。一方、被研磨物体Wを間に挟んで配置された第2の磁極4から第1の磁極3上の容器3A内における磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸引された磁性粒子2Aに第2の磁力が与えられる。

【0058】
第1の磁極3の極性は、N極とS極との間で交互に変化する。従って、第1の磁極3と第2の磁極4との間における磁力線は、引力に対応する磁力線と、斥力に対応する磁力線との間で交互に変化する。その結果、第1の磁極3上の容器3A内における磁性粒子2A及び第2の磁極4に吸引された磁性粒子2Aが磁力線の変化方向に振動することになる。これにより、被研磨物体Wの貫通孔の内部に両端側から徐々に磁性粒子2Aを導くことができる。

【0059】
一方、回転機構9のモータ14が駆動し、第1の磁極3が回転する。このため、第1の磁極3上の容器3A内における磁性粒子2Aも回転運動することになる。従って、被研磨物体Wの貫通孔内に導かれた磁性粒子2Aは、磁力線の変動によって振動しながら回転運動することになる。被研磨物体Wの貫通孔内では、磁性粒子2Aの移動方向が概ね貫通孔の軸方向に規制される。従って、磁力線の変動による磁性粒子2Aの振動方向は、概ね貫通孔の軸方向となる。

【0060】
このため、被研磨物体Wに対して磁性粒子2Aが貫通孔の軸方向及び第1の磁極3の回転方向に相対的に移動することになる。その結果、磁性粒子2Aに付着した砥粒21で被研磨物体Wの研磨を行うことができる。すなわち、円筒状の被研磨物体Wの内面を砥粒21で研磨することができる。そして、要求される研磨後の面精度が得られるように経験的に決定された所定の時間だけ研磨を実行することによって被研磨品を製造することができる。

【0061】
尚、送り機構8の駆動によって研磨加工中にステージ11をX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に2次元的に移動させることもできる。従って、被研磨物体Wに形成される孔の内面に限らず、被研磨物体Wに形成されるスリットの内面又は溝の内面を研磨することによって被研磨品を製造することもできる。例えば、キー溝の内面や複雑な形状をしたスリットの内面であっても研磨することができる。或いは、被研磨物体Wの外側の側面の研磨を行うことも可能である。

【0062】
特に、孔、スリット又は溝等の狭い空間を形成する面が被研磨面である場合には、第1の磁極3の極性をN極とS極との間で繰返し交互に変動させることによって磁性粒子2Aを孔、スリット又は溝の内部に導くことができる。

【0063】
このため、ステンレス等の加工が容易な材料から成る被研磨物体Wはもちろん、放電加工等が困難な従来難削材と言われるモリブテン合金又はタングステン合金等から成る被研磨物体Wを研磨することによって被研磨品を製造することも可能となる。

【0064】
つまり以上のような磁気研磨装置1及び磁気研磨方法は、第1及び第2の2つの磁極3、4を用いて形成される磁界に砥粒21を付着させた磁性粒子2Aを配置し、磁性粒子2Aとともに砥粒21を移動させることによって被研磨物体Wの被研磨面を研磨するようにしたものである。また、砥粒21を付着させた磁性粒子2Aを機械的又は変動磁界によって電磁的に移動させることができるようにしたものである。

【0065】
(効果)
このため、磁気研磨装置1及び磁気研磨方法によれば、被研磨物体Wの構造に適した磁気ブラシ2を形成するために、単一の磁極で磁界を形成する場合に比べて、より適切な磁界を形成することができる。特に、磁界を変動させることによって磁性粒子2Aを振動させることができる。その結果、平面や曲面等の面はもちろん、超微細孔の内面のように狭い空間を形成する面であっても磁気研磨法によって研磨することができる。

【0066】
具体例として、テーパする孔や直径が一定の孔を有する円筒の内面及び外面の精密仕上げ加工やバリ取りはもちろん、湾曲した管の内面或いは毛細管の内面の精密仕上げ加工やバリ取りのように目視が困難で作業者の手や研削工具が入らないような位置にある面の研磨加工が可能となる。バリ取りの場合には、ドリル等の穿孔工具によって形成された孔の縁に生じるバリはもちろん、溶接後のビードを除去することも可能である。このため、航空宇宙関連部品、医療機器部品、自動車部品、半導体部品等の精密部品の研磨を行うことが可能となる。

【0067】
また、第1及び第2の磁極3、4の表面に磁力で半固定した磁性粒子2Aに付着させた砥粒21によって研磨が実行されるため、砥石を用いた研磨のような目詰まりが生じない。しかも、変動磁極によって磁性粒子2Aを振動させれば、研磨後における磁気ブラシ2の変形を防止し、容易に元の状態に戻すことができる。また、マイクロメートルオーダのサイズを有する微小な砥粒21を使用する場合であっても、砥粒21の凝集を回避することができる。

【0068】
その結果、研磨後の面精度を改善することができる。具体的には、マイクロメートルオーダはもちろん、ナノメートルオーダの精度で表面の仕上げ加工を行うことができる。加えて、砥粒21が被研磨面に残留することも回避することができる。

【0069】
実際に、直径が3μmの微細な孔を有するノズルを被研磨物体Wとして磁気研磨装置1により上述した磁気研磨方法で内面の研磨を行った。より具体的には、磁性粒子2Aとして粒径の平均が30μmの電解鉄粉を、砥粒21として粒径の平均が2μmから4μmのダイヤモンド粉を、研磨液として市販の不水溶性の切削油剤を、それぞれ使用してスラリ23を作成した。そして、第1及び第2の磁極3、4とノズルとの間における距離が概ね2mmとなるようにノズルを配置した。

【0070】
続いて、交流電源19から周波数が3Hzで3.5Aの交流電流をコイル15に供給することによってノズルの軸方向に変動磁場を付与した。更に、変動磁場によって磁性粒子2Aを振動させながら350rpmの回転速度で第1の磁極3を回転させたところ、磁性粒子2Aをノズルの孔の中に十分に導くことができることが確認された。すなわち、磁気ブラシ2を直径が3μmのノズルの孔の中に挿入することが可能となった。

【0071】
そして、60分間研磨加工を行ったところ、ノズルの孔の先端まで十分な精度で研磨できることが確認できた。しかも、単一の磁極を用いた従来の磁気研磨法に比べて砥粒21の残留量を目視では確認できない程、飛躍的に低減できることも確認された。

【0072】
尚、変動磁極の周波数を、1Hz以上30Hz以下とすれば、良好な精度で被研磨物体Wを研磨できることが他の加工試験によって確認できた。

【0073】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0074】
1...磁気研磨装置、2...磁気ブラシ、2A...磁性粒子、3...第1の磁極、3A...容器、4...第2の磁極、5...テーブル、6...取付治具、7...移動機構、8...送り機構、9...回転機構、10...極性制御回路、11...ステージ、12...X方向リニアガイド、13...Y方向リニアガイド、14...モータ、15...コイル、16...電磁石、17...永久磁石、18...固定フレーム、19...交流電源、20...特性制御回路、21...砥粒、22...研磨液、23...スラリ、W...被研磨物体。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6