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明細書 :配位高分子化合物、多孔質材料、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年6月29日(2017.6.29)
発明の名称または考案の名称 配位高分子化合物、多孔質材料、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法
国際特許分類 C08G  79/00        (2006.01)
B01J  41/12        (2017.01)
B01J  47/018       (2017.01)
C02F   1/42        (2006.01)
B01J  47/024       (2017.01)
B01J  47/10        (2017.01)
FI C08G 79/00
B01J 41/12
B01J 47/00 160
C02F 1/42 B
B01J 47/02 111
B01J 47/10
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 35
出願番号 特願2016-548860 (P2016-548860)
国際出願番号 PCT/JP2015/075748
国際公開番号 WO2016/043122
国際出願日 平成27年9月10日(2015.9.10)
国際公開日 平成28年3月24日(2016.3.24)
優先権出願番号 2014187979
優先日 平成26年9月16日(2014.9.16)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】近藤 満
【氏名】曽根 絵理子
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 4D025
4J030
Fターム 4D025AA01
4D025AA03
4D025AA09
4D025AA10
4D025AB06
4D025AB11
4D025AB15
4D025AB38
4D025BA13
4D025BA22
4D025BA24
4D025BA28
4D025DA04
4D025DA10
4J030CA02
4J030CA03
4J030CC02
4J030CC04
4J030CC30
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG10
要約 Cu2+等の複数の金属イオンが、式(1)~式(4)のいずれかで表される配位子によって架橋された構造を有する配位高分子骨格と;式(C)で表されるカプセル骨格中に内包イオンとしての陰イオンが内包されてなる、複数のカプセル型化合物と;配位高分子骨格と複数のカプセル型化合物の各々とを架橋する架橋イオンとしての陰イオンと;配位高分子骨格及び複数のカプセル型化合物に対する対イオンとしての陰イオンと;を含む配位高分子化合物。R~R、R21~R28、及びR31~R38は、H、メチル基、メトキシ基を表し、Lは式(1)~式(4)のいずれかで表される配位子を表し、MはCu2+を表す。
JP2016043122A1_000013t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+である複数の金属イオンが、下記式(1)~下記式(4)のいずれか1つで表される二座配位子によって架橋され、かつ、前記複数の金属イオンの各々が、4分子の前記二座配位子によって平面四配位された構造を有するカチオン性配位高分子骨格と、
下記式(C)で表されるカプセル骨格中に、内包イオンとしての陰イオンが内包されてなる、複数のカチオン性カプセル型化合物と、
前記カチオン性配位高分子骨格と前記複数のカチオン性カプセル型化合物の各々とを架橋する架橋イオンとしての陰イオンと、
前記カチオン性配位高分子骨格及び前記複数のカチオン性カプセル型化合物に対する対イオンとしての陰イオンと、
を含む配位高分子化合物。
【化1】
JP2016043122A1_000012t.gif

〔式(1)~式(4)中、R~R、R21~R28、及びR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(C)中、Lは、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子を表し、2つのMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表し、破線は、配位結合を表す。〕
【請求項2】
前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、それぞれ独立に、Cl、Br、又はIである請求項1に記載の配位高分子化合物。
【請求項3】
前記カチオン性配位高分子骨格中の前記複数の金属イオン、及び、
前記式(C)中の2つのMが、
同一種である請求項1又は請求項2に記載の配位高分子化合物。
【請求項4】
前記カチオン性配位高分子骨格中の前記複数の金属イオン、及び、
前記式(C)中の2つのMが、
Cu2+である請求項3に記載の配位高分子化合物。
【請求項5】
前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、
同一種である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
【請求項6】
前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、
Cl又はBrである請求項5に記載の配位高分子化合物。
【請求項7】
前記式(1)中のR~R
前記式(2)中のR~R
前記式(3)中のR25、R26、及びR28、並びに
前記式(4)中のR25、R26、及びR28が、
メチル基である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
【請求項8】
前記式(1)中のR~R及びR31~R35
前記式(2)中のR~R及びR36~R38
前記式(3)中のR21~R24、R27、及びR31~R35、並びに
前記式(4)中のR21~R24、R27、及びR36~R38が、
水素原子である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
【請求項9】
前記カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子、及び、
前記式(C)中の4つのLが、
式(1)で表される二座配位子である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の配位高分子化合物を含む多孔質材料。
【請求項11】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の配位高分子化合物又は請求項10に記載の多孔質材料を有効成分として含む陰イオン除去剤。
【請求項12】
NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料と、請求項11に記載の陰イオン除去剤と、を接触させることにより、前記液体試料中に含まれる前記陰イオンを、前記液体試料から除去する工程を含む陰イオン除去方法。
【請求項13】
前記液体試料が、少なくともNOを含む請求項12に記載の陰イオン除去方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、配位高分子化合物、多孔質材料、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硝酸イオン(NO-)は乳幼児のメトヘモグロビン血漿などを引き起こす有害性のある陰イオンである。硝酸イオンは、肥料などに由来して地下水に混入する。そして、有害とされる濃度の硝酸イオンが検出される井戸水が多く報告されている。
しかし、この硝酸イオンは不溶性の塩を作りにくく、水溶液中からの除去が困難な陰イオンである。
【0003】
水溶液中から硝酸イオンを除去する方法として、M型(Mは金属イオン、Lは配位子をそれぞれ表す)のカプセル型化合物である、[SO⊂Cu(m-bbitrb)]SOを用いる方法が知られている。ここで、m-bbitrbは、1,3-ビス(ベンゾイミダゾール-1-イル-メチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンである(以下、同様である)。
この[SO⊂Cu(m-bbitrb)]SOは、2個の銅イオン(Cu2+)と4分子のm-bbitrbとによって形成されたカプセル骨格に硫酸イオン(SO2-)が内包された構成のカプセル型2価カチオンと、カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての1個の硫酸イオン(SO2-)と、から構成されているカプセル型化合物である。この[SO⊂Cu(m-bbitrb)]SOは、対イオンである硫酸イオン(SO2-)と、液体試料中の硝酸イオン(NO)と、のイオン交換により、液体試料中の硝酸イオンを除去できること(即ち、液体試料中の硝酸イオンの濃度を低下させることができること)が知られている(例えば、国際公開第2012/102356号、及び、錯体化学会第61回討論会講演要旨集1PA-75(2011)参照)。
【0004】
また、[SO⊂Cu(m-bbitrb)]SOよりもさらに高い硝酸イオン除去活性を示すM型のカプセル型化合物として、[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clが知られている。
この[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clは、2個の銅イオン(Cu2+)と4分子のm-bbitrbとによって形成されたカプセル骨格に塩化物イオン(Cl)が内包された構成のカプセル型3価カチオンと、カプセル型3価カチオンに対する対イオンとしての3個の塩化物イオン(Cl)と、から構成されているカプセル型化合物である。
この[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clも、対イオンである塩化物イオン(Cl)と、液体試料中の硝酸イオン(NO)と、のイオン交換により、液体試料中の硝酸イオンを除去できること(即ち、液体試料中の硝酸イオンの濃度を低下させることができること)が知られている(例えば、国際公開第2014/017653号、及び、錯体化学会第63回討論会講演要旨集2PA-106(2013)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、水に対する溶解性が高く水系試料中からの除去が困難な陰イオンとしては、上述した硝酸イオン(NO)の他にも、過塩素酸イオン(ClO)、フッ化ホウ素酸イオン(BF)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF)が挙げられる。
従って、水系試料中における、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることが求められている。
上述したカプセル型化合物([SO⊂Cu(m-bbitrb)]SO又は[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Cl)によれば、これらの陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができる。
【0006】
しかし、本発明者等の検討により、上述したカプセル型化合物([SO⊂Cu(m-bbitrb)]SO又は[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Cl)からなる固体(粒子、塊など)を用いて水系試料中の陰イオンを除去する際、カプセル型化合物からなる固体のサイズの増大に伴い硝酸イオンの除去活性が低下する場合があることが判明した。
この理由は、固体の内部に位置するカプセル型化合物の対イオン(SO2-又はCl)は、水系試料中の陰イオンと接触しにくく、水系試料中の陰イオンとのイオン交換反応を起こしにくいためと考えられる。
【0007】
また、水系試料に限らず、有機系試料も含めた液体試料全般において、上記陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることが求められることもある。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料中の上記陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができ、しかも、固体として用いた場合に、固体のサイズの増大に伴う陰イオン除去活性の低下を起こしにくい配位高分子化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、この配位高分子化合物を用いた陰イオン除去剤及び陰イオン除去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための具体的な手段は以下のとおりである。
<1> Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+である複数の金属イオンが、下記式(1)~下記式(4)のいずれか1つで表される二座配位子によって架橋され、かつ、前記複数の金属イオンの各々が、4分子の前記二座配位子によって平面四配位された構造を有するカチオン性配位高分子骨格と、
下記式(C)で表されるカプセル骨格中に、内包イオンとしての陰イオンが内包されてなる、複数のカチオン性カプセル型化合物と、
前記カチオン性配位高分子骨格と前記複数のカチオン性カプセル型化合物の各々とを架橋する架橋イオンとしての陰イオンと、
前記カチオン性配位高分子骨格及び前記複数のカチオン性カプセル型化合物に対する対イオンとしての陰イオンと、
を含む配位高分子化合物。
【0010】
【化1】
JP2016043122A1_000003t.gif

【0011】
〔式(1)~式(4)中、R~R、R21~R28、及びR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(C)中、Lは、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子を表し、2つのMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表し、破線は、配位結合を表す。〕
【0012】
<2> 前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、それぞれ独立に、Cl、Br、又はIである<1>に記載の配位高分子化合物。
<3> 前記カチオン性配位高分子骨格中の前記複数の金属イオン、及び、
前記式(C)中の2つのMが、
同一種である<1>又は<2>に記載の配位高分子化合物。
<4> 前記カチオン性配位高分子骨格中の前記複数の金属イオン、及び、
前記式(C)中の2つのMが、
Cu2+である<3>に記載の配位高分子化合物。
<5> 前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、
同一種である<1>~<4>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
<6> 前記内包イオンとしての陰イオン、前記架橋イオンとしての陰イオン、及び前記対イオンとしての陰イオンが、
Cl又はBrである<5>に記載の配位高分子化合物。
<7> 前記式(1)中のR~R
前記式(2)中のR~R
前記式(3)中のR25、R26、及びR28、並びに
前記式(4)中のR25、R26、及びR28が、
メチル基である<1>~<6>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
<8> 前記式(1)中のR~R及びR31~R35
前記式(2)中のR~R及びR36~R38
前記式(3)中のR21~R24、R27、及びR31~R35、並びに
前記式(4)中のR21~R24、R27、及びR36~R38が、
水素原子である<1>~<7>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
<9> 前記カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子、及び、
前記式(C)中の4つのLが、
式(1)で表される二座配位子である<1>~<8>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物。
【0013】
<10> <1>~<9>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物を含む多孔質材料。
<11> <1>~<9>のいずれか1項に記載の配位高分子化合物又は<10>に記載の多孔質材料を有効成分として含む陰イオン除去剤。
<12> NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料と、<11>に記載の陰イオン除去剤と、を接触させることにより、前記液体試料中に含まれる前記陰イオンを、前記液体試料から除去する工程を含む陰イオン除去方法。
<13> 前記液体試料が、少なくともNOを含む<12>に記載の陰イオン除去方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料中の上記陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができ、しかも、固体として用いた場合に、固体のサイズの増大に伴う陰イオン除去活性の低下を起こしにくい配位高分子化合物が提供される。
また、本発明によれば、上記配位高分子化合物を用いた陰イオン除去剤及び陰イオン除去方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の配位高分子化合物の一例である配位高分子化合物(A)の構造を示す概略図である。
【図2】配位高分子化合物(A)中のカチオン性配位高分子骨格のうちの1つの構造、及び、このカチオン性配位高分子骨格に対して複数のカチオン性カプセル型化合物が架橋イオンを介して配位結合する位置を示す概略図である。
【図3】配位高分子化合物(A)中のカチオン性配位高分子骨格のうちの1つの構造、及び、このカチオン性配位高分子骨格に対して架橋イオンを介して配位結合している複数のカチオン性カプセル型化合物を示す概略図である。
【図4】配位高分子化合物(A)中のカチオン性カプセル型化合物、及び、カチオン性カプセル型化合物に配位結合している架橋イオンの構造を示す概略図である。
【図5】配位高分子化合物(A)の構造を、原子のファンデルワールス半径を考慮して示した概略図である。
【図6】実施例3において、各試料(20μm試料(A)、2μm試料(A))と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
【図7】比較例1において、各試料(比較10μm試料(X)、比較2μm試料(X))と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
【図8】比較例2において、比較25μm試料(Y)と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪配位高分子化合物≫
本発明の配位高分子化合物は、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+である複数の金属イオンが、下記式(1)~下記式(4)のいずれか1つで表される二座配位子によって架橋され、かつ、前記複数の金属イオンの各々が、4分子の前記二座配位子によって平面四配位された構造を有するカチオン性配位高分子骨格と、下記式(C)で表されるカプセル骨格中に、内包イオンとしての陰イオンが内包されてなる、複数のカチオン性カプセル型化合物と、前記カチオン性配位高分子骨格と前記複数のカチオン性カプセル型化合物の各々とを架橋する架橋イオンとしての陰イオンと、前記カチオン性配位高分子骨格及び前記複数のカチオン性カプセル型化合物に対する対イオンとしての陰イオンと、を含む。
以下の説明では、カチオン性配位高分子骨格及びカチオン性カプセル型化合物を、それぞれ、「配位高分子骨格」及び「カプセル型化合物」と称することがある。
また、以下の説明では、内包イオンとしての陰イオン、架橋イオンとしての陰イオン、及び対イオンとしての陰イオンを、それぞれ、「内包イオン」、「架橋イオン」、及び「対イオン」と称することがある。

【0017】
【化2】
JP2016043122A1_000004t.gif

【0018】
式(1)~式(4)中、R~R、R21~R28、及びR31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(C)中、Lは、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子を表し、2つのMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表し、破線は、配位結合を表す。

【0019】
本発明の配位高分子化合物の一例として、下記構造単位(A1)が高分子状に連結してなる配位高分子化合物(以下、「配位高分子化合物(A)」ともいう)が挙げられる。但し、本発明の配位高分子化合物は、この一例には限定されない。

【0020】
【化3】
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【0021】
構造単位(A1)中、破線は配位結合である。
p-bbitebは、1,4-ビス(ベンゾイミダゾール-1-イル-メチル)2,3,5,6-テトラメチルベンゼンであり、式(1)で表される二座配位子の一例(後述の例示化合物(a))である。p-bbitebは、二座配位子である。
2つの*1は、それぞれ、隣接する構造単位(A1)中のp-bbitebとの結合位置を示し、2つの*2は、それぞれ、隣接する構造単位(A1)中のCu2+との結合位置を示す。

【0022】
構造単位(A1)が高分子状に連結してなる配位高分子化合物(A)は、本発明の配位高分子化合物において、
カチオン性配位高分子骨格中の複数の金属イオン、及び、式(C)中の2つのMが、いずれもCu2+であり、
内包イオンとしての陰イオン、架橋イオンとしての陰イオン、及び対イオンとしての陰イオンが、いずれもClであり、
カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子、及び、式(C)中の4つのLが、いずれも式(1)で表される二座配位子であり、
式(1)中のR~Rが、いずれもメチル基であり、
式(1)中のR~R及びR31~R35が、いずれも水素原子である例である。

【0023】
構造単位(A1)において、4つのp-bbiteb及び2つのCu2+からなる閉じた構造部分は、式(C)で表されるカプセル骨格の一例である。この一例に係るカプセル骨格中には、内包イオンの一例として1つのClが内包されている。構造単位(A1)中では、これらのカプセル骨格及び内包イオンによって、カチオン性カプセル型化合物が構成されている。ここで内包イオンとしてのClは、上記のようにカプセル骨格中のCu2+と配位結合していてもよいし、結合していなくてもよい。

【0024】
また、構造単位(A1)において、1つのCu2+及び2つのp-bbitebからなる開いた構造部分は、カチオン性配位高分子骨格の一部である。配位高分子化合物(A)では、構造単位(A1)が高分子状に連結することにより、カチオン性配位高分子骨格が構成される。

【0025】
構造単位(A1)において、カチオン性カプセル型化合物とカチオン性配位高分子骨格とは、架橋イオンとしてのClによって架橋されている。詳細には、カチオン性カプセル型化合物とカチオン性配位高分子骨格とは、架橋イオンとしてのClを介した配位結合によって結合されている。

【0026】
更に、構造単位(A1)中には、カチオン性カプセル型化合物及びカチオン性配位高分子骨格に対する対イオンとしてのClが4つ含まれている。

【0027】
上記配位高分子化合物(A)を、本明細書中では、{μ-Cl-[Cl⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Clともいう。
配位高分子化合物(A)の構造は、元素分析及び単結晶構造解析によって確認することができる。

【0028】
次に、元素分析及び単結晶構造解析によって確認された、配位高分子化合物(A)の構造を、図1~図5を参照しながら説明する。

【0029】
図1~図3中では、構造を見やすくするために、二座配位子p-bbitebについて、分子中央のベンゼン環に置換するメチル基、全ての水素原子、及び2つのベンゾイミダゾリル基中のベンゼン環の図示を省略している。
また、図1~図3中では、配位高分子化合物(A)中の対イオン(Cl)も省略している。
また、図1及び図3中の破線は、配位結合を示す。

【0030】
図1は、配位高分子化合物(A)の構造を簡略化して示す概略図であり、配位高分子化合物(A)を、a軸、b軸、及びc軸からなる結晶軸(以下、単に結晶軸ともいう)のb軸の方向から見た概略図である。

【0031】
図1に示すように、配位高分子化合物(A)100は、複数のカチオン性配位高分子骨格10と、複数のカチオン性カプセル型化合物20と、を含む。図1では、一部のカチオン性カプセル型化合物のみに、符号20を付している。
カチオン性配位高分子骨格10の各々と複数のカチオン性カプセル型化合物20とは、架橋イオンであるClによって架橋されている。言い換えれば、カチオン性配位高分子骨格10の各々には、複数のカチオン性カプセル型化合物20が、架橋イオンであるClを介した配位結合によって結合されている。

【0032】
また、図1中では、カチオン性カプセル型化合物20同士が連結して見える部分が存在するが、これらのカチオン性カプセル型化合物20同士の配置は、b軸方向についてずれた配置となっている。図1中で連結しているように見えるカチオン性カプセル型化合物20同士は、ファンデルワールス力によって相互作用していると考えられる。

【0033】
図2は、配位高分子化合物(A)100中の複数のカチオン性配位高分子骨格10のうちの1つの構造、及び、この1つのカチオン性配位高分子骨格に対し、カチオン性カプセル型化合物20が結合している位置を簡略化して示す概略図であり、カチオン性配位高分子骨格10のうちの1つを結晶軸のc軸の方向からみた概略図である。
ここで、「カチオン性配位高分子骨格に対し、カチオン性カプセル型化合物が結合している」とは、カチオン性配位高分子骨格に対し、架橋イオンを介した配位結合により、カチオン性カプセル型化合物が結合していることを意味する。

【0034】
図2に示すカチオン性配位高分子骨格は、複数のCu2+がp-bbitebによって架橋され、かつ、複数のCu2+が4分子のp-bbitebによって平面四配位された構造の高分子骨格である。
カチオン性配位高分子骨格の構造については、例えば、国際公開第2008/029804号の段落0064及び0111~0113、並びに図5及び図6の記載を適宜参照することができる。

【0035】
また、図2中、カチオン性配位高分子骨格の実線の丸で囲った部分には、c軸方向のプラス側(図2の紙面に対し手前側)にカチオン性カプセル型化合物が結合している。一方、図2中、カチオン性配位高分子骨格10の破線の丸で囲った部分には、c軸方向のマイナス側(図2の紙面に対し奥側)にカチオン性カプセル型化合物が結合している。

【0036】
図3は、図1に示した配位高分子化合物(A)100中の複数のカチオン性配位高分子骨格10のうちの1つと、この1つのカチオン性配位高分子骨格10に対して結合している複数のカチオン性カプセル型化合物20と、からなる構造単位を、結晶軸のb軸の方向からみた概略図である。

【0037】
図3に示すように、カチオン性配位高分子骨格10は、c軸方向に波打った構造となっている。
カチオン性配位高分子骨格10中、c軸のプラス方向の頂点には、Cu2+が存在している。このCu2+の更に上方(c軸のプラス方向。以下同じ。)には、カチオン性カプセル型化合物20が配置されている。カチオン性配位高分子骨格10中のc軸のプラス方向の頂点に存在するCu2+と、カチオン性配位高分子骨格10からみてc軸のプラス方向に配置されたカチオン性カプセル型化合物20中のCu2+とは、架橋イオンであるClを介した配位結合によって結合されている。
カチオン性配位高分子骨格10中、c軸のマイナス方向の頂点にも、Cu2+が存在している。このCu2+の更に下方(c軸のマイナス方向。以下同じ。)には、カチオン性カプセル型化合物20が配置されている。カチオン性配位高分子骨格10中のc軸のマイナス方向の頂点に存在するCu2+と、カチオン性配位高分子骨格10からみてc軸のマイナス方向に配置されたカチオン性カプセル型化合物20中のCu2+とは、架橋イオンであるClを介した配位結合によって結合されている。

【0038】
カチオン性配位高分子骨格10の上方に存在する複数のカチオン性カプセル型化合物20は、空間30を隔てて配置されている。
更に、カチオン性配位高分子骨格10の下方に存在する複数のカチオン性カプセル型化合物20は、空間30を隔てて配置されている。
これらの空間30は、個々のカチオン性カプセル型化合物20の大きさと、個々のカチオン性カプセル型化合物20のカチオン性配位高分子骨格10に対する結合位置と、の関係によって生じる空間である。
配位高分子化合物(A)100では、この複数のカチオン性カプセル型化合物20間の空間30が、後述する細孔40に対応する。

【0039】
また、図1に示した通り、配位高分子化合物(A)100の構造は、図3に示した構造単位が、c軸方向に複数積み重なった構造となっている。

【0040】
次に、図2を参照し、図3に示した構造単位が複数積み重なる際の配置について説明する。
端的に言えば、配位高分子化合物(A)100の構造は、図2に示した配置の構造単位が、この配置のままc軸方向(図2の紙面に対し垂直方向)に複数積み重なった構造となっている。以下、より詳細に説明する。
図2中のカチオン性配位高分子骨格の破線の丸で囲った部分には、図2に対し紙面の手前側に配置されている別のカチオン性配位高分子骨格の紙面奥側に結合しているカチオン性カプセル型化合物が配置される。そして図2中のカチオン性配位高分子骨格の実線の丸で囲った部分に結合しているカチオン性カプセル型化合物(紙面手前側)と、紙面の手前側に配置されている別のカチオン性配位高分子骨格の紙面奥側に結合しているカチオン性カプセル型化合物とが、前述のとおり、ファンデスワールス力によって相互作用していると考えられる。

【0041】
同様にして、図2中のカチオン性配位高分子骨格の実線の丸で囲った部分には、図2に対し紙面の奥側に配置されている別のカチオン性配位高分子骨格の紙面手前側に結合しているカチオン性カプセル型化合物が配置される。そして図2中のカチオン性配位高分子骨格の破線の丸で囲った部分に結合しているカチオン性カプセル型化合物(紙面奥側)と、紙面の奥側に配置されている別のカチオン性配位高分子骨格の紙面手前側に結合しているカチオン性カプセル型化合物とが、前述のとおり、ファンデスワールス力によって相互作用していると考えられる。

【0042】
また、配位高分子化合物(A)100は、図1~図3中では図示を省略したが、複数の対イオン(Cl)を含んでいる。
配位高分子化合物(A)100に含まれる対イオン(Cl)の具体的な個数は、例えば、配位高分子化合物(A)100に含まれるカチオン性配位高分子骨格10、カチオン性カプセル型化合物20、及び架橋イオン(Cl)の総イオン価を中和する数とすることができる。
また、複数の対イオン(Cl)は、カチオン性カプセル型化合物20間の空間30内(即ち、後述の細孔40内)に配置されている。
空間30内(即ち、後述の細孔40内)に対イオン(Cl)が配置されていることは、単結晶構造解析によって実際に確認されているが、図1~図3では、配位高分子化合物(A)の構造を見やすくするために、対イオン(Cl)の図示を省略した。
なお、空間30内(即ち、後述の細孔40内)には、対イオンに加え、中性の小分子(例えば、水分子、アセトニトリル分子等の分子量150以下の中性分子)が配置されて(取り込まれて)いてもよい。対イオンの具体例(Cl以外の具体例)、及び、中性の小分子の具体例については後述する。

【0043】
図4は、配位高分子化合物(A)中のカチオン性カプセル型化合物、及び、カチオン性カプセル型化合物に配位結合している架橋イオンの構造を簡略化して示す概念図である。これらの構造も、元素分析及び単結晶構造解析によって得られたものである。
図4中では、構造を見やすくするために、全ての水素原子の図示を省略している。
図4は、構造単位(A1)中における以下の部分に対応する概念図である。

【0044】
【化4】
JP2016043122A1_000006t.gif

【0045】
配位高分子化合物(A)中のカチオン性カプセル型化合物の構造については、例えば、国際公開第2014/017653号の記載を適宜参照できる。

【0046】
次に、配位高分子化合物(A)中に存在する細孔(チャンネル)について、図5を参照しながら説明する。
図5は、配位高分子化合物(A)の構造を、原子のファンデルワールス半径を考慮して表した概略図であり、結晶軸のb軸方向からみた概略図である。
詳細には、図5は、Cu、C、N、Cl、及びHの各原子のファンデルワールス半径を、それぞれ、1.40Å(Cu)、1.70Å(C)、1.55Å(N)、1.75Å(Cl)、及び1.20Å(H)とし、配位高分子化合物(A)の構造の一部を図示したものである。
図5に示すように、配位高分子化合物(A)100中には、細孔(チャンネル)40が存在することがわかった。この細孔40は、図1及び図3中の複数のカチオン性カプセル型化合物20間の空間30に対応するものである。
即ち、細孔40の壁面の一部は、カチオン性カプセル型化合物20のカプセル骨格によって構成されている。
細孔40のサイズは、c軸方向長さが8.3Å程度であり、a軸方向の長さが、最大2Å程度、最小で4Å程度であった。なお、細孔40は、複数のカチオン性カプセル型化合物の配列からみて、原理的にはb軸方向について貫通している。

【0047】
また、配位高分子化合物(A)は、図示は省略したが、結晶軸のa軸方向からみた場合にも、細孔(不図示ではあるが、以下では、便宜上「細孔41」とする)を有している。この細孔41のサイズは、c軸方向長さが8.3Å程度であり、b軸方向の長さが、最大2Å程度、最小で4Å程度であった。なお、この細孔41は、複数のカチオン性カプセル型化合物の配列からみて、原理的にはa軸方向について貫通している。

【0048】
前述のとおり、配位高分子化合物(A)の対イオン(Cl)は、細孔40及び細孔41の内部に存在している。

【0049】
以上、本発明の配位高分子化合物の一例である、配位高分子化合物(A)について説明したが、本発明の配位高分子化合物は、配位高分子化合物(A)に限定されることはない。
例えば、配位高分子化合物(A)において、カチオン性配位高分子骨格中のCu2+を、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+に置き換えても、本発明の効果が得られる。本発明の効果については後述する。
また、配位高分子化合物(A)において、二座配位子であるp-bbitebを、p-bbiteb以外の式(1)で表される二座配位子に置き換えても、本発明の効果が得られる。更には、配位高分子化合物(A)において、式(1)で表される二座配位子を、式(2)~式(4)で表される二座配位子に置き換えても、本発明の効果が得られる。
また、配位高分子化合物(A)において、カチオン性カプセル型化合物中の内包イオン(Cl)を、その他の陰イオン(具体例は後述する)に置き換えても、本発明の効果が得られる。
また、配位高分子化合物(A)において、架橋イオン(Cl)を、その他の陰イオン(具体例は後述する)に置き換えても、本発明の効果が得られる。
また、配位高分子化合物(A)において、対イオン(Cl)を、その他の陰イオン(具体例は後述する)に置き換えても、本発明の効果が得られる。

【0050】
次に、本発明の効果について説明する。
本発明の配位高分子化合物によれば、一つ目の効果として、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料(好ましくは水系試料。以下同じ。)中の上記陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができるという効果が奏される。
かかる一つ目の効果が奏される理由は、以下のように推測される。

【0051】
本発明の配位高分子化合物は、硝酸イオン(NO)、過塩素酸イオン(ClO)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、及びヘキサフルオロリン酸イオン(PF)からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料と接触すると、上記液体試料中の上記陰イオンと、配位高分子化合物中の対イオンと、が速やかにイオン交換する。これにより、配位高分子化合物中の対イオンが液体試料中に放出され、その代わりに、液体試料中の前記陰イオンが配位高分子化合物に対イオンとして取り込まれる。
このようにして、液体試料中の陰イオンが配位高分子化合物によって速やかに除去(捕捉)される。
従って、本発明の配位高分子化合物によれば、液体試料中の陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる(即ち、液体試料中の陰イオンを短時間で効率よく除去できる)。

【0052】
また、本発明の配位高分子化合物、及び、イオン交換後の配位高分子化合物は、いずれも水に不溶であり、このことも、短時間かつ効率のよい陰イオンの除去に寄与していると考えられる。
ここで、「水に不溶」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解度が0.1質量部以下であることを指す。

【0053】
以上で説明した本発明の配位高分子化合物による陰イオン除去の原理は、国際公開第2014/017653号に記載されている、カプセル型化合物[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clによる陰イオン除去の原理と同様である。
しかし、本発明者等の検討により、上述したカプセル型化合物[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clからなる固体を用いて液体試料中の陰イオンを除去する際、カプセル型化合物からなる固体のサイズの増大に伴い、硝酸イオンの除去活性が低下する場合があることが判明した。
この理由は、固体の内部に位置するカプセル型化合物の対イオン(Cl)は、液体試料中の陰イオンと接触しにくく、このため、液体試料中の陰イオンとのイオン交換反応を起こしにくいためと考えられる。

【0054】
カプセル型化合物に対し、本発明の配位高分子化合物によれば、二つ目の効果として、固体(粒子、塊など)として用いた場合に、固体のサイズの増大に伴う陰イオン除去活性の低下を起こしにくい、という効果が奏される。
かかる二つ目の効果が奏される理由は、本発明の配位高分子化合物の構造が、上述した構造、即ち、カプセル骨格を壁面の一部とする細孔(例えば細孔40、41)を有し、この細孔の内部に対イオンを有する構造であるためと考えられる。詳細には、本発明の配位高分子化合物を固体(粒子、塊など)として用いる場合において、固体の表面に位置する配位高分子化合物中の対イオンだけでなく、固体の内部に位置する配位高分子化合物中の対イオンも、細孔を通じて、液体試料中の陰イオンと効果的に接触できるため(即ち、細孔を通じ、液体試料中の陰イオンとのイオン交換を効果的に行うことができるため)と考えられる。このため、本発明の配位高分子化合物からなる固体のサイズが増大しても、この固体による陰イオン除去活性の低下は起こりにくいと考えられる。
なお、液体試料中の陰イオン(除去対象)は、配位高分子化合物の細孔の内部に存在していた対イオンと置き換わり、配位高分子化合物の細孔の内部に捕捉されると考えられる。

【0055】
上述した国際公開第2014/017653号に記載のカプセル型化合物[Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Clを、本明細書中では、比較カプセル型化合物(X)ともいう。
比較カプセル型化合物(X)([Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Cl)の構造は以下のとおりである。

【0056】
【化5】
JP2016043122A1_000007t.gif

【0057】
比較カプセル型化合物(X)のカプセル骨格の構造は、配位高分子化合物(A)中のカプセル型化合物の構造と同様である。
しかし、比較カプセル型化合物(X)は、配位高分子化合物に組み込まれたカプセル型化合物ではなく、単体のカプセル型化合物である点で、カプセル型化合物と配位高分子骨格とを含む複合体である配位高分子化合物(A)と相違する。

【0058】
また、本発明の配位高分子化合物と同様に、細孔を有し、細孔内部のClによるイオン交換を利用して、液体試料中のClOの濃度を低下させる高分子錯体として、下記式(Y1)で表される構造単位を有する比較配位高分子化合物(以下、「比較配位高分子化合物(Y)」ともいう)も知られている(例えば、錯体化学会第62回討論会講演要旨集1Aa-08(2012)、および特開2014-046234の段落0101(合成例3)参照)。

【0059】
【化6】
JP2016043122A1_000008t.gif

【0060】
構造単位(Y1)を有する比較配位高分子化合物(Y)は、化合物の構造中にカチオン性カプセル型化合物が含まれない点、及び、細孔の壁面が、カチオン性カプセル型化合物のカプセル骨格ではなく、二座配位子(m-bitrb;1,3-ビス(イミダゾール-1-イル-メチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン)で構成されている点で、本発明の配位高分子化合物と相違する。

【0061】
本発明の配位高分子化合物(例えば配位高分子化合物(A))は、上記比較配位高分子化合物(Y)と比較しても、液体試料中の陰イオンの除去活性に優れる。この理由は以下のように推測される。
即ち、本発明の配位高分子化合物の細孔は、m-bitrbと比較して分子サイズが大きいカチオン性カプセル型化合物間の空間に起因して形成されている。一方、本発明の配位高分子化合物中の複数の金属イオン間の距離は、比較配位高分子化合物(Y)におけるCo2+間の距離とあまり違いがない。その結果、本発明の配位高分子化合物の細孔のサイズは、比較配位高分子化合物(Y)中の細孔のサイズよりも小さいと考えられる。このため、本発明の配位高分子化合物を用いた場合には、比較配位高分子化合物(Y)を用いた場合と比較して、配位高分子化合物の細孔の壁面と、この細孔に捕捉される陰イオン(除去対象)と、のファンデルワールス相互作用が強く働くと考えられる。
以上の理由により、本発明の配位高分子化合物を用いた場合には、比較配位高分子化合物(Y)を用いた場合と比較して、液体試料中の陰イオンを細孔内部により効果的に捕捉でき、液体試料中の陰イオンをより効果的に除去できると考えられる。

【0062】
更に、本発明の配位高分子化合物(例えば配位高分子化合物(A))は、上記比較配位高分子化合物(Y)と比較して、特に、硝酸イオンの除去活性の点で優れている。この理由は以下のように推測される。
即ち、比較配位高分子化合物(Y)において、細孔の壁面はm-bitrb単体によって構成されているため、細孔内部が非常に疎水的な空間となっている。この疎水的な空間は、過塩素酸イオン、フッ化ホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンなどの疎水性の強い陰イオンの捕捉には適している一方、硝酸イオンのような疎水性が比較的低い陰イオンの捕捉には適していない。
これに対し、本発明の配位高分子化合物において、細孔の壁面の一部は、カチオン性カプセル型化合物によって構成されている。カチオン性カプセル型化合物は内部に内包イオンを含んでいるため、二座配位子単体と比較して、疎水性が低下している。従って、本発明の配位高分子化合物の細孔内部は、疎水性が低い空間となっており、疎水性が比較的低い硝酸イオンの捕捉に適した空間となっている。
以上の理由により、本発明の配位高分子化合物を用いた場合には、比較配位高分子化合物(Y)を用いた場合と比較して、液体試料中の硝酸イオンを細孔内部により効果的に捕捉できるので、液体試料中の硝酸イオンをより効果的に除去できると考えられる。

【0063】
本発明における「液体試料」としては、本発明の効果がより効果的に奏される点で、溶媒として少なくとも水を含む水系試料が好適である。
水系試料としては、溶媒中における水の比率が30質量%以上である水系試料が好ましく、溶媒中における水の比率が50質量%以上である水系試料がより好ましく、溶媒中における水の比率が80質量%以上である水系試料が更に好ましい。
水系試料は必要に応じ、水以外にも、溶媒として、極性プロトン性溶媒(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、酢酸、ギ酸、等)、極性非プロトン性溶媒(テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、等)、及び非極性溶媒(ベンゼン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン等)の少なくとも1種を含んでいてもよい。

【0064】
本発明における「水系試料」の具体例としては、例えば、上水、下水、各種廃水(工業廃水等)、液状の中間生成物、工業用水、飲料水(硬水、地下水、ミネラルウォーター等を含む)、各種水溶液、医薬用水溶液、コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含む懸濁液、等が含まれる。
中でも、牛乳、飲料水(硬水、地下水、ミネラルウォーター等)、医療用の水、工業廃水が好適である。

【0065】
また、本発明の配位高分子化合物の構造は、高分子構造であるため、有機溶媒にも溶けにくい。そのため、メタノール、アセトニトリル、アセトンなどの有機溶媒を含む有機系試料中に含まれる陰イオンの除去にも用いることが可能である。

【0066】
次に、本発明の配位高分子化合物の各構成要素について説明する。

【0067】
<カチオン性配位高分子骨格>
本発明の配位高分子化合物は、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+である複数の金属イオンが、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子によって架橋され、かつ、複数の金属イオンの各々が、4分子の前記二座配位子によって平面四配位された構造を有するカチオン性配位高分子骨格を少なくとも1つ含む。
カチオン性配位高分子骨格と式(C)で表されるカプセル骨格とは、複数の金属イオン(例えばCu2+)が、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子によって架橋され、かつ、複数の金属イオンの各々が、4分子の二座配位子によって平面四配位された構造を有する点で共通する。
しかし、カチオン性配位高分子骨格の構造が、1つの金属イオンと2つの二座配位子とから構成される構造単位が高分子状(無限鎖状)に連結した構造であるのに対し、式(C)で表されるカプセル骨格の構造は、2つの金属イオンと4つの二座配位子とによる閉じた構造である。両者の構造は、この点で異なる。
式(C)で表されるカプセル骨格は、このカプセル骨格中に内包イオンが存在することによって構築される骨格である。言い換えれば、式(C)で表されるカプセル骨格は、カチオン性カプセル型化合物の構成要素のうちの1つとして存在している骨格である。

【0068】
カチオン性配位高分子骨格中の複数の金属イオンは、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+であるが、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、又はZn2+が好ましく、Cu2+が特に好ましい。

【0069】
カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子は、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子であるが、式(1)で表される二座配位子が特に好ましい。

【0070】
<カチオン性カプセル型化合物>
本発明の配位高分子化合物は、式(C)で表されるカプセル骨格中に、内包イオン(陰イオン)が内包されてなる、カチオン性カプセル型化合物を複数個(複数分子)含む。

【0071】
【化7】
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【0072】
式(C)中、Lは、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子を表し、2つのMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表し、破線は、配位結合を表す。

【0073】
Lは、式(1)で表される二座配位子であることが好ましい。
2つのMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、又はZn2+が好ましく、Cu2+が特に好ましい。
また、2つのMは、合成容易性の観点から、同一種であることが好ましい。

【0074】
内包イオンとしては、Cl、Br、I、SO2-、ClO、BF、CFSO等が挙げられる。
内包イオンとしては、Cl、Br、又はIが好ましく、Cl又はBrがより好ましい。

【0075】
また、本発明の配位高分子化合物はカチオン性カプセル型化合物を複数(複数分子)含むが、本発明の配位高分子化合物に含まれるカチオン性カプセル型化合物の種類は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
合成容易性の観点からは、本発明の配位高分子化合物に含まれるカチオン性カプセル型化合物の種類は、1種のみであることが好ましい。

【0076】
また、本発明の配位高分子化合物は、カチオン性配位高分子骨格中の複数の金属イオン、及び、式(C)中の2つのMが、同一種であることが好ましく、Cu2+であることが特に好ましい。

【0077】
<二座配位子>
カチオン性配位高分子骨格及びカチオン性カプセル型化合物は、それぞれ、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子を含む。

【0078】
上記二座配位子は、カチオン性配位高分子骨格中及びカチオン性カプセル型化合物中において、二つの金属原子を架橋配位する架橋配位子として機能する。
式(1)又は式(3)で表される二座配位子が金属原子に配位する位置は、一分子中に2つ存在する、置換されていてもよいベンゾイミダゾール-1-イル基のそれぞれの中の窒素原子であることが好ましく、一分子中に2つ存在する、置換されていてもよいベンゾイミダゾール-1-イル基のそれぞれの中の3位の窒素原子であることがより好ましい。
式(2)又は式(4)で表される二座配位子が金属原子に配位する位置は、一分子中に2つ存在する、置換されていてもよいイミダゾール-1-イル基のそれぞれの中の窒素原子であることが好ましく、一分子中に2つ存在する、置換されていてもよいイミダゾール-1-イル基のそれぞれの中の3位の窒素原子であることがより好ましい。

【0079】
また、本発明の配位高分子化合物において、カチオン性配位高分子骨格中に含まれる二座配位子と、カチオン性カプセル型化合物中に含まれる二座配位子と、は同一種であっても異種であってもよいが、合成容易性の観点からは、同一種であることが好ましい。
更に、本発明の配位高分子化合物において、合成容易性の観点から、カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子、及び、式(C)中の4つのLが、式(1)で表される二座配位子であることが特に好ましい。

【0080】
【化8】
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【0081】
式(1)中、R~R及びR31~R35は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(1)中、R~R及びR31~R35は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、メチル基又はメトキシ基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

【0082】
式(2)中、R~R及びR36~R38は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(2)中、R~R及びR36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、メチル基又はメトキシ基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

【0083】
式(3)中、R21~R28及びR31~R35は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(3)中、R21~R24、R27、及びR31~R35は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(3)中、R25、R26、及びR28は、それぞれ独立に、メチル基又はメトキシ基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

【0084】
式(4)中、R21~R28及びR36~R38は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はメトキシ基を表す。
式(4)中、R21~R24、R27、及びR36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(4)中、R25、R26、及びR28は、それぞれ独立に、メチル基又はメトキシ基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

【0085】
本発明の配位高分子化合物において、カチオン性配位高分子骨格中に含まれる二座配位子と、カチオン性カプセル型化合物中に含まれる二座配位子と、は同一種であっても異種であってもよいが、合成容易性の観点からは、同一種であることが好ましい。

【0086】
式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子の合成方法としては、例えば、Liu, H.-K.; Hu, J.; Wang, T.-W.; Yu, X.-L.; Liu, J.; Kang, B. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 2001, 359.に記載の合成方法が挙げられる。

【0087】
以下、式(1)~式(4)のいずれか1つで表される二座配位子の例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【0088】
【化9】
JP2016043122A1_000011t.gif

【0089】
<架橋イオン>
本発明の配位高分子化合物は、カチオン性配位高分子骨格と複数のカチオン性カプセル型化合物の各々とを架橋する架橋イオン(陰イオン)を含む。
本発明の配位高分子化合物中には、カチオン性カプセル型化合物の数と同数の架橋イオンが存在する。

【0090】
架橋イオンとしては、1価の陰イオンが好ましく、Cl、Br、I、N、又はOHがより好ましい。架橋イオンとしては、Cl、Br、又はIが更に好ましく、Cl又はBrが特に好ましい。

【0091】
本発明の配位高分子化合物中に存在する架橋イオンは、1種のみであっても2種以上であってもよいが、合成容易性の観点から、1種のみであることが好ましい。

【0092】
<対イオン>
本発明の配位高分子化合物は、カチオン性配位高分子骨格及び複数のカチオン性カプセル型化合物に対する対イオン(陰イオン)を含む。
前述のとおり、対イオンは、本発明の配位高分子化合物の細孔中に存在する。この対イオンが、液体試料中の陰イオン(除去対象)とイオン交換することで、液体試料中の陰イオン(除去対象)が配位高分子化合物の細孔中に捕捉され、液体試料から陰イオン(除去対象)が除去されると考えられる。

【0093】
対イオンとしては陰イオンであれば特に制限なないが、例えば、Cl、Br、I、N、OH、ClO、BF、NO、CFSO、PF、SO2-、HCO、CO2-等が挙げられる。
対イオンとしては、Cl、Br、I、又はSO2-が好ましく、Cl、Br、又はIがより好ましく、Cl又はBrが特に好ましい。

【0094】
本発明の配位高分子化合物中における対イオンの種類は、1種のみであっても2種以上であってもよいが、合成容易性の観点から、1種のみであることが好ましい。

【0095】
また、本発明の配位高分子化合物は、合成容易性の観点から、架橋イオン及び対イオンが同一種であることが好ましく、内包イオン、架橋イオン、及び対イオンが、同一種であることが特に好ましい。

【0096】
<その他の要素>
本発明の配位高分子化合物は、必要に応じ、上述した成分以外のその他の要素(原子又は分子)を含んでいてもよい。
その他の要素としては、例えば、合成過程または合成後の保管時に、配位高分子化合物の細孔内及び外表面の少なくとも一方に取り込まれる分子(有機分子、無機分子)が挙げられる。
配位高分子化合物の細孔内に取り込まれる分子としては、中性の小分子(例えば、分子量150以下の中性分子)が好ましく、水分子、アセトニトリル分子、メタノール分子、エタノール分子、1-プロパノール分子、2-プロパノール分子、アセトン分子、尿素分子、アンモニア分子、又はクロロホルム分子がより好ましい。
なお、上記のより好ましい分子は、配位高分子化合物の細孔内だけでなく外表面に取り込まれてもよい。
また、本発明の配位高分子化合物は、合成過程で配位高分子化合物中に取り込まれる不純物を含んでいてもよい。

【0097】
<合成方法>
本発明の配位高分子化合物の合成方法としては、例えば、
(i)カチオン性配位高分子骨格とカチオン性カプセル型化合物とを別個に合成し、次いで両者を架橋イオン及び対イオンの存在下で接触させることにより、配位高分子化合物を形成させる方法、
(ii)金属イオンと架橋イオン及び対イオンとからなる塩と、二座配位子と、を接触させることにより、カチオン性配位高分子骨格及びカチオン性カプセル型化合物の形成、並びに配位高分子化合物の形成を同時に行う方法、
が挙げられる。
(i)の方法において、カチオン性配位高分子骨格の合成、及び、カチオン性カプセル型化合物の合成については、公知の手法に従って行うことができる。
(ii)の方法は、カチオン性配位高分子骨格中の二座配位子及びカチオン性カプセル型化合物中の二座配位子(式(C)中のL)として、式(1)で表される二座配位子を選択することによって可能である。

【0098】
いずれの方法においても、反応溶媒としては、水(又は水を含む水性溶媒)を用いることが好ましい。
また、いずれの方法においても、反応温度は、例えば、5℃~80℃とすることが好ましい。
また、いずれの方法においても、反応時間は10分以上とすることが好ましい。

【0099】
また、前述のとおり、本発明の配位高分子化合物は、水和物等の形態で合成されてもよい。

【0100】
≪多孔質材料≫
本発明の多孔質材料は、本発明の配位高分子化合物を含む。
本発明の多孔質材料は、上述した配位高分子化合物中の細孔(例えば、細孔40及び41)を含む固体材料(粒子、塊など)である。
このため、本発明の多孔質材料によれば、本発明の配位高分子化合物と同様の効果が奏される。
本発明の多孔質材料は、本発明の配位高分子化合物からなる材料であってもよいし、本発明の配位高分子化合物とその他の成分との混合材料であってもよい。

【0101】
多孔質材料が粒子である場合、この粒子の数平均粒子径には特に制限はない。
多孔質材料が粒子である場合の粒子の数平均粒子径は、本発明の効果がより効果的に奏される点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。
特に、粒子の数平均粒子径が大きい場合に、「固体のサイズの増大に伴う除去活性の低下が抑制される」という効果が顕著に奏される。
また、粒子の数平均粒子径が大きいことは、液体試料中での粒子の凝集を抑制でき、その結果、粒子の凝集に伴う除去活性の低下を抑制できる点でも有利である。
粒子の数平均粒子径の上限には特に限定はなないが、粒子の製造容易性の観点などから、粒子の数平均粒子径は、3000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく100μm以下が更に好ましく、30μm以下が特に好ましい。

【0102】
≪陰イオン除去剤≫
本発明の陰イオン除去剤は、本発明の配位高分子化合物又は本発明の多孔質材料を有効成分として含む。
このため、本発明の陰イオン除去剤によれば、本発明の配位高分子化合物と同様の効果が奏される。

【0103】
本発明の陰イオン除去剤の第1の態様としては、固体状態(粉末状、結晶状など)の本発明の配位高分子化合物単体の態様が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第2の態様としては、固体状態の本発明の配位高分子化合物と、バインダー成分等の他の成分と、の混合物の態様(錠剤状など)が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第3の態様としては、本発明の配位高分子化合物が水系媒体中に懸濁された懸濁液の態様が挙げられる。

【0104】
本発明の陰イオン除去剤は、前述したとおり、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料(好ましくは水系試料)中の上記陰イオンの除去に用いられる陰イオン除去剤であることが好ましい。

【0105】
≪陰イオン除去方法≫
本発明の陰イオン除去方法は、NO、ClO、BF、CFSO、及びPFからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む液体試料(好ましくは水系試料)と、上記本発明の陰イオン除去剤と、を接触させて上記液体試料から上記陰イオンを除去する工程を含む。
本発明の陰イオン除去方法によれば、本発明の配位高分子化合物と上記陰イオンとを接触させることができるので、本発明の配位高分子化合物と同様の効果が奏される。

【0106】
液体試料は、本発明の効果がより効果的に奏される点から、少なくともNOを含むことが好ましい。

【0107】
液体試料と前記本発明のカプセル型化合物との接触は、例えば、本発明の陰イオン除去剤を液体試料中に添加することにより行うことができる。また、本発明の陰イオン除去剤を予め容器に入れておき、そこに上記液体試料を添加することにより行ってもよい。
また、上記接触は、本発明の陰イオン除去剤を固定したフィルターまたは本発明の陰イオン除去剤を充填したカートリッジ(カラム)に、液体試料を通過させることによって行うことも好ましい。

【0108】
本発明の陰イオン除去方法では、本発明の陰イオン除去剤と上記陰イオンとの接触頻度を高める観点から、液体試料を加熱してもよい。
接触時の温度は、0~100℃とすることができ、5~80℃とすることが好ましい。

【0109】
また、本発明の陰イオン除去方法では、本発明の陰イオン除去剤と上記陰イオンとの接触後、液体試料を撹拌してもよく、撹拌せずにそのまま放置してもよく、液体試料を入れた容器を振盪してもよいが、接触頻度を高める観点からは、液体試料を入れた容器を振盪することが好ましい。
接触頻度を高めるためには、攪拌器、容器の振盪、超音波の照射、マイクロウェーブの照射、加熱による対流、などの手段を用いることができる。

【0110】
本発明の陰イオン除去方法において、液体試料として水系試料を用いた場合、以下の利点がある。即ち、イオン交換後の配位高分子化合物が水に不溶であるため、水系試料中から陰イオンを容易に分離できる。
分離の方法としては、沈殿物を溶液中から分離する通常の方法をそのまま適用することができ、例えば、上澄み液のデカントによる分離、フィルターによる濾過、遠心分離操作による分離等を挙げることができる。

【0111】
なお、本発明の陰イオン除去方法において、配位高分子化合物中の対イオンとして、Cl、Br、又はI(以下、「特定ハロゲン化物イオン」とする)を用い、かつ、液体試料として水系試料を用いた場合には、以下の利点がある。
即ち、配位高分子化合物中の対イオンである特定ハロゲン化物イオンと、除去対象である上記陰イオンと、のイオン交換により、水系試料中に、環境及び人体への影響が少ない特定ハロゲン化物イオンが放出される。
このため、陰イオン除去後の水系試料は、後処理をすることなくそのまま排水する、あるいは使用することができる。また、陰イオン除去後の水系試料中に放出された特定ハロゲン化物イオンは、必要に応じ、イオン交換樹脂によるイオン交換法、銀イオンによる沈殿除去法、あるいは電気分解による分解除去法(例えば特開平11-99391参照)等、公知の方法により、水系試料中から除去してもよい。

【0112】
また、本発明の陰イオン除去方法では、陰イオン除去により生じたイオン交換後の配位高分子化合物を分解して二座配位子を生成し、生成した二座配位子を用いて本発明の配位高分子化合物を合成(再生)することができる。上記分解の方法としては、上記イオン交換後の配位高分子化合物と、金属錯体の分解を促進する試薬(例えば、炭酸ナトリウム、硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基性試薬)と、を有機溶媒(例えば、メタノール、アセトニトリル、等)中で反応させる方法などが挙げられる。

【0113】
本発明の陰イオン除去方法において、液体試料は、Ca2+及びBa2+を含まない軟水系試料であっても、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含む硬水系試料であっても構わない。
【実施例】
【0114】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において、「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。以下の実施例において、溶液の調製、または測定に用いた水はすべてイオン交換水を用いた。
【実施例】
【0115】
〔実施例1〕
<1,4-ビス(ベンゾイミダゾール-1-イル-メチル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン(p-bbiteb)の合成>
Liu, H.-K.; Hu, J.; Wang, T.-W.; Yu, X.-L.; Liu, J.; Kang, B. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 2001, 359.に記載の合成方法に従い、1,4-ビス(ベンゾイミダゾール-1-イル-メチル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン(p-bbiteb)を合成した。
【実施例】
【0116】
<配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物({μ-Cl-[Cl⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Cl・CHCN})の合成>
塩化銅2水和物(0.0176g,0.10mmol)を水20mLに、p-bbiteb(0.0788g,0.20mmol)をアセトニトリル2mLに、それぞれ溶解させて2つの溶液を得た。次いで、これら2つの溶液を混合し数週間静置することで青色の結晶を得た(収率82.1%)。
得られた結晶の構造を、元素分析及び単結晶構造解析によって確認した。
【実施例】
【0117】
ここで、元素分析は、Euro Vector社製Euro EA3000を用いて行った。
また、単結晶構造解析は、(株)リガク製の構造解析装置(サターン二次元検出器システム)を用い、低温(-100℃)でモリブデンKαの線源を用いてX線の反射データを収集し、収集した反射データを(株)リガク製の Crystal Structure プログラムを用いて解析することにより行った。
【実施例】
【0118】
~元素分析結果~
理論値: C, 63.43; H, 6.03; N, 11.70.
実測値: C, 63.31; H, 6.04; N, 11.69.
【実施例】
【0119】
~単結晶構造解析結果~
Tetragonal, a = 16.315(2) Å, c = 30.680(6) Å, V = 8167(2) Å, Space Grope: P4/n (#85), Z = 2, R1 = 0.0755, wR2= 0.1521
【実施例】
【0120】
以上の結果、得られた結晶は、配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物({μ-Cl-[Cl⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Cl・CHCN})であることが確認された。
配位高分子化合物(A)の構造は、前述したとおりである(図1~図5参照)。
【実施例】
【0121】
〔実施例2〕
<配位高分子化合物(B)のアセトニトリル付加物({μ-Br-[Br⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Br・CHCN})の合成>
配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物において、内包イオン、架橋イオン、及び対イオンとしてのClを、それぞれBrに変更したこと以外は配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物と同様の構造の、配位高分子化合物(B)のアセトニトリル付加物({μ-Br-[Br⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Br)を合成した。以下、詳細を示す。
臭化銅(0.0220g,0.10mmol)を水20mLに、p-bbiteb(0.0394g,0.10mmol)をアセトニトリル20mLにそれぞれ溶解させて2つの溶液を得た。次いで、これら2つの溶液を混合し約1ヶ月静置することで青色の結晶を得た。
得られた結晶の構造を、実施例1と同様の条件の単結晶構造解析によって確認した。
【実施例】
【0122】
~単結晶構造解析結果~
Tetragonal, a = 16.6009(6) Å, c = 30.749(2) Å, V = 8167(2) Å, Space Grope: P4/n (#85), Z = 2, R1 = 0.0861, wR2= 0.1735
【実施例】
【0123】
以上の結果から、得られた結晶は、配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物と同様の構造を持つ、配位高分子化合物(B)のアセトニトリル付加物({μ-Br-[Br⊂Cu(p-bbiteb)][Cu(p-bbiteb)]Br・CHCN})であることが確認された。
【実施例】
【0124】
〔実施例3〕
<配位高分子化合物(A)からなる固体試料(20μm試料(A)、2μm試料(A))による硝酸イオン(NO)の除去>
実施例1で得られた配位高分子化合物(A)のアセトニトリル付加物の固体試料を光学顕微鏡(オリンパス(株)製の実体顕微鏡「SZ61」、倍率45倍)で観察し、固体試料中の粒子50個をランダムに選んだ。選んだ粒子50個の粒子径を光学顕微鏡像に基づいて各々測定した。
粒子の粒子径は、円相当径とした。
個々の粒子の粒子径の測定結果から、粒子50個についての平均粒子径を求めたところ、平均粒子径は20μmであった。以下、この固体試料を、「20μm試料(A)」ともいう。
【実施例】
【0125】
次に、上記の「20μm試料(A)」を乳鉢ですり潰し、次いで、すり潰し後の試料について、上記と同様の方法で平均粒子径を求めた。その結果、すり潰し後の試料の平均粒子径(粒子50個分の平均粒子径)は、2μmであった。以下、このすり潰し後の試料を、「2μm試料(A)」ともいう。
【実施例】
【0126】
「20μm試料(A)」及び「2μm試料(A)」の各々について、硝酸イオンの除去実験を行った。
以下、詳細を示す。
【実施例】
【0127】
-20μm試料(A)による硝酸イオンの除去-
硝酸ナトリウム(0.0212g,0.25mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水250mLに溶解させ、硝酸イオンを1mmol/L(=1mM)含む硝酸イオン水溶液を調製した。
続いて、20μm試料(A)(0.1496g,0.05mmol)を正確に量り取り、そこに先ほど調製した硝酸イオン水溶液を100mL添加し、硝酸イオン水溶液と20μm試料(A)とを接触させ、反応溶液とした。
得られた反応溶液を、恒温震盪装置を用いて100rpmの速度で震盪し、かつ、温度を30℃に保ちながら、硝酸イオン水溶液の添加後(即ち、硝酸イオン水溶液と20μm試料(A)との接触後)180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
【実施例】
【0128】
ここで、反応溶液中の硝酸イオン濃度は、反応溶液から200μL採取し、採取した反応溶液に超純水4800μLを加えて25倍希釈測定用溶液を作製し、作製した25倍希釈測定用溶液中の硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて測定し、得られた測定結果(25倍希釈測定用溶液中の硝酸イオン濃度)に基づいて求めた。イオンクロマトグラフィーはメトローム社製のMetrohm Compact IC 861 ion chromatographyを用いて行った。
また、ブランクとして硝酸イオン1mmol/L(=1mM)水溶液を調製し、このブランク中における硝酸イオン濃度を、上記の反応溶液中の硝酸イオン濃度と同様の手法によって求めた。
【実施例】
【0129】
-2μm試料(A)による硝酸イオンの除去-
次に、20μm試料(A)を2μm試料(A)に変更したこと以外は上記と同様にして、硝酸イオン水溶液の添加後(即ち、硝酸イオン水溶液と2μm試料(A)との接触後)180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
【実施例】
【0130】
以上の測定結果を図6に示す。
図6は、各試料(20μm試料(A)、2μm試料(A))と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
図6中、横軸(Time(min))は、各試料に対する硝酸イオン水溶液の添加(即ち、各試料と硝酸イオン水溶液との接触)からの経過時間(分)を示し、縦軸は、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)を示す。経過時間0分における硝酸イオン濃度(mM)は、ブランク中における硝酸イオン濃度である(後述の図7及び図8についても同様である)。
図6に示すように、20μm試料(A)及び2μm試料(A)のいずれを用いた場合においても、短時間(180分間)で反応溶液中の硝酸イオン濃度を低下させることができた。
より詳細には、2μm試料(A)と比較して粒子径が大きい20μm試料(A)を用いた場合においても、反応溶液中の硝酸イオン濃度を低下させる効果(硝酸イオンの除去活性)は低下しなかった。この理由は、粒子径が大きい20μm試料(A)においても、粒子内部に位置する配位高分子化合物(A)の対イオンが、配位高分子化合物(A)の細孔を通じ、反応溶液中の硝酸イオンと効果的にイオン交換できたためと考えられる。
更に詳細には、むしろ、20μm試料(A)の方が2μm試料(A)よりも硝酸イオンの除去活性に優れていた。この理由は明らかではないが、20μm試料(A)では、2μm試料(A)と比較して、粒子同士の凝集がより抑制されることにより、硝酸イオンの除去活性がより向上したため、と考えられる。
【実施例】
【0131】
〔比較例1〕
<比較カプセル型化合物(X)の2水和物([Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Cl・2HO)の合成>
国際公開第2014/017653号の段落0079~0080に記載された方法と同様の方法により、比較カプセル型化合物(X)の2水和物([Cl⊂Cu(m-bbitrb)]Cl・2HO)を合成した。
比較カプセル型化合物(X)の構造は、実施例1と同様に、元素分析及び単結晶構造解析によって確認した。
【実施例】
【0132】
比較例1の合成操作は、実施例1の合成操作において、二座配位子の種類を、
p-bbitebからm-bbitrb(1,3-ビス(ベンゾイミダゾール-1-イル-メチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン)に変更したこと、及び、
二座配位子溶液の溶媒の種類を、アセトニトリルからエタノールに変更したこと
以外は実施例1の合成操作と実質的に同一である。それにもかかわらず、実施例1では、配位高分子骨格とカプセル型化合物とが架橋イオンを介して配位結合した構造の配位高分子化合物(A)が得られたのに対し、比較例1では、カプセル型化合物単体が得られた。
【実施例】
【0133】
上記で得られた比較カプセル型化合物(X)の2水和物の固体試料について、実施例3で示した方法と同様の方法により、粒子50個についての平均粒子径を求めたところ、平均粒子径は10μmであった。以下、この固体試料を、「比較10μm試料(X)」ともいう。
【実施例】
【0134】
次に、上記の「比較10μm試料(X)」を乳鉢ですり潰し、次いで、すり潰し後の試料について、上記と同様の方法で平均粒子径を求めた。その結果、すり潰し後の試料の平均粒子径(粒子50個分の平均粒子径)は、2μmであった。以下、このすり潰し後の試料を、「比較2μm試料(X)」ともいう。
【実施例】
【0135】
<比較カプセル型化合物(X)からなる固体試料(10μm試料(X)、2μm試料(X))による硝酸イオン(NO)の除去>
実施例3において、20μm試料(A)及び2μm試料(A)を、それぞれ比較10μm試料(X)及び比較2μm試料(X)に変更したこと以外は実施例3と同様の操作を行った。
【実施例】
【0136】
以上の測定結果を図7に示す。
図7は、各比較試料(比較10μm試料(X)、比較2μm試料(X))と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
図7に示すように、粒子径が大きい比較10μm試料(X)では、粒子径が小さい比較2μm試料(X)と比較して、硝酸イオンの除去活性が低下した。
この理由は、前述したとおり、比較10μm試料(X)では、比較2μm試料(X)と比較して、粒子内部に位置する比較カプセル型化合物(X)の対イオン(Cl)が、硝酸イオン水溶液と接触しにくく、硝酸イオンとのイオン交換を起こしにくいためと考えられる。
【実施例】
【0137】
〔比較例2〕
<比較配位高分子化合物(Y)の合成>
特開2014-046234の段落0101(合成例3)に従い、前述した構造の比較配位高分子化合物(Y)を合成した。
得られた比較配位高分子化合物(Y)からなる固体試料について、実施例3で示した方法と同様の方法により、粒子50個についての平均粒子径を求めたところ、平均粒子径は25μmであった。以下、この固体試料を、「比較25μm試料(Y)」ともいう。
【実施例】
【0138】
<比較配位高分子化合物(Y)からなる固体試料による硝酸イオン(NO)の除去>
実施例3において、20μm試料(A)を、比較25μm試料(Y)に変更したこと以外は実施例3と同様の操作を行った。
【実施例】
【0139】
以上の測定結果を図8に示す。
図8は、比較25μm試料(Y)と硝酸イオン水溶液との接触後180分間における、各反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
図8に示すように、比較25μm試料(Y)を用いても硝酸イオン濃度を低下させることができた。しかし、硝酸イオン濃度の低下速度は、20μm試料(A)を用いた場合及び2μm試料(A)を用いた場合よりも低かった。即ち、比較25μm試料(Y)は、20μm試料(A)及び2μm試料(A)と比較して、硝酸イオンの除去活性に劣っていた。
【実施例】
【0140】
2014年9月16日に出願された日本国特許出願2014-187979の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
7