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明細書 :燃焼観察実験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-026720 (P2017-026720A)
公開日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 燃焼観察実験装置
国際特許分類 G09B  23/24        (2006.01)
FI G09B 23/24
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2015-143322 (P2015-143322)
出願日 平成27年7月17日(2015.7.17)
発明者または考案者 【氏名】和泉 研二
【氏名】野澤 聖也
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001601、【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】燃焼体周辺のガス濃度にバラツキが生じにくく、かつ、低コストで各種ガス濃度と燃焼体が燃焼するかしないかの関係を容易に観察することのできる燃焼観察実験装置を提供する。
【解決手段】開口部2を有する透明な硬質材料製の容器1(半分に切ったペットボトル)と、開口部2を覆うポリエチレン袋3と、容器1の下部の孔4(ペットボトルの注ぎ口)を塞ぐ薄いポリエチレンフィルム5と、容器1の側面に設けた孔部6と、孔部6と気体排出用ポンプ7及び実験ガス導入用シリンダー8を接続する管9と、孔部6と気体排出用ポンプ7及び実験ガス導入用シリンダー8との間を開閉する開閉部材10を備えている燃焼観察実験装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一つの孔部及び開口部を有する硬質材料製の容器と、
前記孔部を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉部材と、
前記開口部を覆う柔軟な袋状部材とを備え、
前記容器又は前記袋状部材の少なくとも一部が透明であり、前記袋状部材の容積は前記容器の内容積以上になり得る
ことを特徴とする燃焼観察実験装置。
【請求項2】
前記容器は二つの孔部を有し、
一方の孔部は前記容器内の気体排出用又は前記容器内への実験ガス導入用であり、
他方の孔部は前記容器内への燃焼体挿入用である
ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼観察実験装置。
【請求項3】
前記容器内に導入する実験ガスを封入可能な実験ガス貯留容器をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼観察実験装置。
【請求項4】
前記実験ガス貯留容器は、少なくとも一つの通気口を有する柔軟な袋体と、前記通気口を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉体を有している
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃焼観察実験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、理科教材として利用される燃焼観察実験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小学生や大学生を対象に燃焼現象に対する理解度を調査したところ、大学生になっても燃焼現象に対する理解度は低く、密閉された空間で燃焼していたロウソクが消えた後の密閉空間内における気体の酸素濃度は0%と回答するものが多いことなど、火が消える原因を理解できていない児童や学生が多いという結果が得られた。
【0003】
従来、特許文献1(特開2010-145461号公報)に記載されるように、密閉空間内にろうそくと植物とを収納し、燃焼から光合成まで連続した実験を実施するとともに、二酸化炭素や酸素濃度の増減を測定し観察できるようにする装置が提案されている。
【0004】
また、非特許文献1には、任意の濃度の気体の中でロウソクが燃焼するかしないかを実験、観察するための教材であって、気体採取容器(チャック付きポリ袋)、シリコンチューブ、三方活栓、シリンジ、実験用酸素ボンベ、実験用二酸化炭素ボンベ、実験用窒素ボンベ、検知管式気体濃度測定器、ロウソク、ロウソク燃焼実験用燃焼さじを利用したものが紹介されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2010-145461号公報
【0006】

【非特許文献1】寺田光宏、菱田美歩、「ロウソクの燃焼における消火条件の特性及び教材の研究」岐阜聖徳学園大学紀要〈教育学部編〉、2014年、第53集、通巻第66号、p.155-165
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1記載の実験装置では、ろうそくが燃焼した前後における二酸化炭素及び酸素濃度の増減は観察できるものの、酸素、二酸化炭素、窒素等のガス濃度とろうそくが燃焼するかしないかの関係を観察することはできず、濃度測定器やファンを備えているため装置が高価になるという問題がある。
また、非特許文献1の教材では、点火したロウソクをロウソク燃焼実験用燃焼さじに立て、混合気体容器のチャックを開け、素早くロウソクを入れて燃焼・消火の確認をするため、混合気体容器内にロウソクを入れた時点におけるロウソク周辺のガス濃度にバラツキが出易い、チャック付きポリ袋は柔軟性がありすぎて取り扱いにくい、ロウソクの燃焼を観察しにくいといった問題がある。
この発明は、これら従来技術の問題点を解決し、燃焼体周辺のガス濃度にバラツキが生じにくく、かつ、低コストで各種ガス濃度と燃焼体が燃焼するかしないかの関係を容易に観察することのできる燃焼観察実験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の燃焼観察実験装置は、少なくとも一つの孔部及び開口部を有する硬質材料製の容器と、前記孔部を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉部材と、前記開口部を覆う柔軟な袋状部材とを備え、前記容器又は前記袋状部材の少なくとも一部が透明であり、前記袋状部材の容積は前記容器の内容積以上になり得ることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の燃焼観察実験装置において、前記容器は二つの孔部を有し、一方の孔部は前記容器内の気体排出用又は前記容器内への実験ガス導入用であり、他方の孔部は前記容器内への燃焼体挿入用であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の燃焼観察実験装置において、前記容器内に導入する実験ガスを封入可能な実験ガス貯留容器をさらに備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の燃焼観察実験装置において、前記実験ガス貯留容器は、少なくとも一つの通気口を有する柔軟な袋体と、前記通気口を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉体を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、少なくとも一つの孔部及び開口部を有する硬質材料製の容器と、孔部を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉部材を備えるとともに、硬質材料製の容器の開口部は柔軟な袋状部材で覆われ、かつ、袋状部材の容積は容器の内容積以上になり得ることから、孔部を通じて容器内部にある気体を排出すれば、袋状部材が容器内に入り込んで容器の内面側に張り付き、容器と袋状部材で仕切られる空間の容積を容易にほぼ0にすることができる。
そして、容器と袋状部材で仕切られる空間の容積がほぼ0になったら孔部を閉鎖状態とし、実験ガスを導入する準備を行った後に、孔部を開放状態として実験ガスを導入すれば、容器と袋状部材で仕切られる空間に実験ガスのみが封入されている状態を容易に作り出すことができる。
その後、孔部を通して燃焼体を実験ガスのみが封入されている容器内部に差し込めば、酸素濃度のバラツキが小さい実験ガス中に燃焼体を配置できるので、酸素濃度の高低及び実験ガスの種類と燃焼体の燃焼時間との関係を、少なくとも一部が透明な硬質材料製の容器又は袋状部材を通して容易に観察することができる。
さらに、硬質材料製の容器にはペットボトル等、袋状部材にはポリエチレン袋等の安価で加工の容易な材料を利用することができるので、低コストで容易に燃焼観察実験装置を製作することができ、教育現場において利用し易いという効果も奏する。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、容器内の気体排出用又は容器内への実験ガス導入用の孔部と、容器内への燃焼体挿入用の孔部を有しているので、容器内に実験ガスを導入した後、実験ガス導入用の装置を外すことなく容器内へ燃焼体を挿入することができるので、実験の手順を簡素化することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明の効果に加え、容器内に導入する実験ガスを封入可能な実験ガス貯留容器をさらに備えているので、予め酸素ガス及び酸素ガスに混合されるヘリウムガス等を計量して実験ガス貯留容器に封入しておけば、容器内の気体を排出した後すぐに実験ガスを容器内に導入することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項3に係る発明の効果に加え、実験ガス貯留容器が、少なくとも一つの通気口を有する柔軟な袋体と、通気口を開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能な開閉体を有しているので、袋体内部の気体を排出した後に、酸素ガス及び酸素ガスに混合されるヘリウムガス等を計量して袋体内部に導入すれば、実験ガス貯留容器内に計量された酸素ガス及びヘリウムガス等のみが混合されている実験ガスを容易に封入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る燃焼観察実験装置の斜視図。
【図2】燃焼観察実験装置内部の気体を排出した状態の斜視図。
【図3】燃焼観察実験装置に実験ガスを導入した状態の斜視図。
【図4】燃焼観察実験装置に燃焼体を挿入した状態の斜視図。
【図5】各種実験ガスの酸素濃度と燃焼体の燃焼時間の関係を示すグラフ。
【図6】実験ガス貯留容器に各種ガスを計量して封入する装置を示す図。
【図7】図5の酸素濃度を対数で表したグラフ。
【図8】実施例2に係る燃焼観察実験装置の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は実施例1に係る燃焼観察実験装置の斜視図である。
実施例1に係る燃焼観察実験装置は、市販の容量500~2000ml程度のペットボトルを半分程度に切ってなる透明な硬質材料製の容器1と、ペットボトルを切った部分に形成される円形の開口部2と、開口部2を覆うとともに膨らんだ時に容器1の内容積以上の容積となるポリエチレン袋等の柔軟な袋状部材3と、ペットボトルの注ぎ口にあたる第1孔部4を塞ぐ薄いポリエチレンフィルム5と、容器1の側面に設けた第2孔部6と、第2孔部6と気体排出用ポンプ7及び実験ガス導入用シリンダー8を接続する第1管路9と、第2孔部6と気体排出用ポンプ7及び実験ガス導入用シリンダー8との間を開閉する第1開閉部材10(3方コック)を備えている。
また、予め濃度調整された実験ガスを封入しておくことのできる実験ガス貯留容器11を有している。実験ガス貯留容器11は、2つの通気口11a、bを有する柔軟な袋体11cからなり、各通気口11a、bは開放状態及び閉鎖状態のいずれかに変更可能とするための開閉体(図示せず)を有し、実験ガス導入用シリンダー8と通気口11aとの間は第2管路12及び第2管路12を開閉する第2開閉部材13(2方コック)を介して接続している。
なお、薄いポリエチレンフィルム5は、輪ゴム等を用いて固定しても良いが、本実施例1では第1孔部4に被せた状態で燃焼体が貫通可能な穴をあけたペットボトルの蓋14をねじ込んで固定している。
【実施例1】
【0019】
次に、このような構成の燃焼観察実験装置を利用して、燃焼体が酸素ガス濃度が調整された実験ガスの中で燃焼するかしないかを観察する方法を、図2~4を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
(1)第1開閉部材10を操作して容器1と気体排出用ポンプ7との間を開放状態に、容器1と実験ガス導入用シリンダー8との間を閉鎖状態とした後、気体排出用ポンプ7を作動させると容器1内の気体が排出され、図2に示すように袋状部材3は容器1の内面側に張り付く。
(2)容器1内の気体が排出される間又は前後において、第2開閉部材13を開状態とし、ピストン15を引いて実験ガス貯留容器11に封入されている実験ガスを実験ガス導入用シリンダー8に移す。
(3)容器1内の気体が排出され、かつ、実験ガスを実験ガス導入用シリンダー8に移し終えたら第2開閉部材13を閉状態とし、図3に示すように第1の開閉部材10を操作して容器1と気体排出用ポンプ7との間を閉鎖状態に、容器1と実験ガス導入用シリンダー8との間を開放状態とした後、ピストン15を押して実験ガス導入用シリンダー8に移された実験ガスを容器1内に送り込む。
なお、実験ガスの実験ガス導入用シリンダー8への移動と、実験ガス導入用シリンダー8から容器1内への送り込みは、実験ガス導入用シリンダー8の容積が小さい場合には複数回繰り返す必要がある。
【実施例1】
【0021】
(4)図4に示すように、プレート16の中央部に粘土17を盛り、第1の孔部4より大きな直径の円盤状とした後、粘土17の中央に線香18を立てて先端部に火を付けておく。
(5)容器1を持ち上げ、線香18の先端を第1の孔部4を塞いでいるポリエチレンフィルム5に近づけてポリエチレンフィルム5が溶けてポリエチレンフィルム5に穴が形成されたら容器1をまっすぐに降ろし、第1の孔部4を粘土17に押し付ける。上記穴は燃焼体が貫通できる最小の径とすることや、上記穴が形成された後にすみやかに孔部4を粘土17に押し付けることで、容器1の内部の実験ガスが容器1の外部に漏れることをより確実に防ぐことが可能となる。
(6)線香18が容器1内に挿入された時点でストップウォッチを作動させ、容器1の透明な側面を通して線香18の燃焼状態を観察し、線香18の火が消えた時点でストップウォッチを止めて燃焼時間を記録する。
【実施例1】
【0022】
図5は上記の観察を各種実験ガスについて行い記録した燃焼時間をグラフ化したもの、すなわち、各種実験ガスの酸素濃度と燃焼体の燃焼時間の関係を示すグラフである。
このグラフからヘリウムと酸素の混合気体では酸素濃度が24%程度以上、二酸化炭素と酸素の混合気体では酸素濃度が18%程度以上、窒素と酸素の混合気体では酸素濃度が15%程度以上でないと燃焼が継続しないことが分かり、アルゴンと酸素の混合気体では酸素濃度が9%程度でもある程度燃焼が継続することが分かる。
このように、学校等において、上記のような観察を繰り返し、グラフを作成してみることで物が燃焼するのに必要な酸素濃度についての理解や、消火に役立つガスの種類についての理解を深めることができる。
【実施例1】
【0023】
実施例1において、実験ガス貯留容器11に各種の混合気体を封入するには、酸素ガスボンベ、ヘリウムガスボンベ、二酸化炭素ガスボンベ等と実験ガス貯留容器11とを流量計を有する適宜の管で接続し、実験ガス貯留容器11に所望の量のガスを送り込んだ後、実験ガス貯留容器11の接続部に蓋をしておけば良い。
しかし、流量計がない場合には、図6に示す実験ガス貯留容器11に各種ガスを計量して封入する装置を用いる。
図6に示すガス計量封入装置を用いて、実験ガス貯留容器11に混合気体を封入する手順を以下に説明する。
【実施例1】
【0024】
(1)内部の気体を排出してある実験ガス貯留容器11及び1種類のガス(例えば酸素ガス)を封入してあるテドラーバッグ19とシリンジ20とを、図6のように3方コック21を有する管路22により接続する。
(2)3方コック21を操作して実験ガス貯留容器11とシリンジ20との間を閉鎖状態に、テドラーバッグ19とシリンジ20との間を開放状態とする。
(3)ピストンを引いて酸素を所定量シリンジ20に取り込む。
(4)3方コック21を操作してテドラーバッグ19とシリンジ20との間を閉鎖状態に、実験ガス貯留容器11とシリンジ20との間を開放状態とする。
(5)ピストンを押して酸素を所定量実験ガス貯留容器11に送り込む。
(6)1種類のガスを封入してあるテドラーバッグ19を他の種類のガス(例えばヘリウムガス)を封入してあるテドラーバッグに交換する。
(7)(2)~(5)と同じ手順で所定量のヘリウムガスを実験ガス貯留容器11に送り込む。
(8)酸素ガス及びヘリウムガス(酸素・ヘリウム混合気体)が封入された実験ガス貯留容器11を外し、実験ガス貯留容器11の接続部に蓋をする。
【実施例1】
【0025】
上記の作業を酸素ガスとヘリウムガスの量を変えて行うことによって、実験ガス貯留容器11に様々な酸素濃度の酸素・ヘリウム混合気体を封入することができる。
さらに、酸素ガスとヘリウムガスだけでなく、酸素ガスと炭酸ガス、酸素ガスと窒素ガス、酸素ガスとアルゴンガスについて同様の作業を繰り返すことで、実験ガス貯留容器11に様々な酸素濃度の各種混合気体を予め封入しておくことができる。
そして、事前に様々な酸素濃度の各種混合気体を用意しておくことで、実験を短時間で行うことが可能となる。
【実施例1】
【0026】
図7は図5の酸素濃度を対数で表したグラフである。
時間変化が拡散燃焼による線香の周囲の酸素濃度の変化に対応するものと仮定し、図7の燃焼時間500秒に対する切片から燃焼が持続するために必要な酸素濃度を決定した。
その結果、必要酸素濃度は次のとおりとなった。
(1)酸素・ヘリウム混合気体 :切片1.706=23.2%
(2)酸素・二酸化炭素混合気体:切片1.459=16.4%
(3)酸素・窒素混合気体 :切片1.409=14.9%
(4)酸素・アルゴン混合気体 :切片1.318=12.0%
【実施例1】
【0027】
このように、実験結果を分析して燃焼が持続するために必要な酸素濃度が、酸素と混合するガスの種類によって異なることを理解することによって、消火における二酸化炭素の役割や、消火時の酸素濃度・二酸化炭素濃度に関する誤った概念を的確に払拭することができる。
さらに、酸素以外の気体が燃焼において果たす役割は、可燃物と酸素の結合(燃焼)によって生じる熱を奪い、温度を下げることであると解説することによって、気体の熱容量と熱伝導の違いを実験結果から的確に把握してもらうことができるので、気体の熱容量や熱伝導といった性質を学習するための実験教材としても有効である。
【実施例2】
【0028】
図8は実施例2に係る燃焼観察実験装置の一部を示す斜視図である。
実施例2に係る燃焼観察実験装置は、実施例1の容器1を、市販の容量1000~2000ml程度のペットボトルの胴体部分を切り取ってなる透明な硬質材料製の上部容器23と、市販の容量500~2000ml程度のペットボトルを切ってなる透明な硬質材料製の下部容器24を組み合わせたものに代え、上部容器23の両側にある開口部25を覆うポリエチレン袋等の柔軟な袋状部材26を設けるとともに、ペットボトルの注ぎ口にあたる孔部27に開閉部材28を取付けてあるところが、実施例1と異なる点である。
なお、開口部25を覆う2つの袋状部材26は、膨らんだ時の容積の和が上部容器23と下部容器24の内容積の和以上となるものである。
また、下部容器24の容積は小さい方が、容器内の気体を排出する際に袋状部材26が下部容器24の内面に張り付き易く、容器内の空気をより良く排出できる点で好ましい。
そして、実施例1では第1管路9が第2孔部6に常時接続されていたが、実施例2において第1管路9は容器内の気体を排出する時と容器内に実験ガスを送り込む時に接続され、孔部27から燃焼体を挿入するときには外すことができるようになっている。
【実施例2】
【0029】
以下、実施例2の燃焼観察実験装置を利用して、燃焼体が濃度調整された実験ガスの中で燃焼するかしないかを観察する方法を説明する。
【実施例2】
【0030】
(1)孔部27と第1管路9を接続し、開閉部材28を操作して孔部27を開放状態に、第1の開閉部材10を操作して下部容器24と気体排出用ポンプ7との間を開放状態に、下部容器24と実験ガス導入用シリンダー8との間を閉鎖状態とした後、気体排出用ポンプ7を作動させると上部容器23及び下部容器24内部の気体が排出され、袋状部材26は上部容器23及び下部容器24の内面側に張り付く。
(2)上部容器23及び下部容器24内部の気体が排出される間又は前後において、第2開閉部材13を開状態とし、ピストン15を引いて実験ガス貯留容器11に封入されている実験ガスを実験ガス導入用シリンダー8に移す。(実施例1と同じ。)
(3)上部容器23及び下部容器24内部の気体が排出され、かつ、実験ガスを実験ガス導入用シリンダー8に移したら第2開閉部材13を閉状態とし、第1の開閉部材10を操作して下部容器24と気体排出用ポンプ7との間を閉鎖状態に、下部容器24と実験ガス導入用シリンダー8との間を開放状態とした後、ピストン15を押して実験ガス導入用シリンダー8に移された実験ガスを上部容器23及び下部容器24内に送り込む。(実施例1と同じ。)
【実施例2】
【0031】
(4)開閉部材28を操作して孔部27を閉鎖状態とした後、第1管路9を孔部27から外す。また、プレートの中央部に粘土17を盛り、孔部27より大きな直径の円盤状とした後、粘土の中央部にロウソクを立てて火を付けておく。
なお、実施例1では燃焼体の真上にポリエチレン袋が位置するため線香18を用いたが、実施例2では燃焼体の真上がペットボトルなのでロウソクをはじめ、線香より火力の強い燃焼性の有機固形物を用いることができる。
(5)上部容器23及び下部容器24を持ち上げ、孔部27をロウソクの上部に位置させた後、開閉部材28を操作して孔部27を開放状態にし、素早く孔部27をまっすぐに降ろして孔部27を粘土に押し付ける。
(6)ロウソクが上部容器23内に挿入された時点でストップウォッチを作動させ、下部容器24又は上部容器23の透明な側面を通してロウソクの燃焼状態を観察し、ロウソクの火が消えた時点でストップウォッチを止めて燃焼時間を記録する。
【実施例2】
【0032】
上記の観察や記録を各種実験ガスについて行い、記録した燃焼時間をグラフ化することにより物が燃焼するのに必要な酸素濃度についての理解や、消火に役立つガスの種類についての理解を深めることができる点、酸素濃度を対数で表したグラフを作成して、燃焼が持続するために必要な酸素濃度を決定する点等については、実施例1と同様である。
【実施例2】
【0033】
実施例1及び2の燃焼観察実験装置に関する変形例を列記する。
(1)実施例1及び2では、透明な硬質材料製の容器を、入手及び加工のし易いペットボトルを切って製作したが、ペットボトルに限らずガラス瓶や樹脂製の筒等を加工して製作しても良い。
なお、容器には、気体濃度計のニードルを刺すための開閉可能な穴を備えていても良い。
また、実施例2では、上部容器23及び下部容器24をいずれも透明なペットボトルを加工して製作したが、上部容器23と下部容器24の材質は異なっていても良く、いずれか一方が透明であれば他方は不透明なものであっても良い。
特に、燃焼体の火力が強い場合、上部容器23は難燃性で耐熱性の高い材質のものを用いて製作した方が良い。
(2)実施例1及び2では、開口部2、25を覆う柔軟な袋状部材3、26として、入手し易いポリエチレン袋を用いたが、柔軟な袋状部材としては気体を容易に透過させない材質のものであれば、ポリエチレン袋に限らず、ゴム袋や樹脂コーティングの施された布袋等を用いても良い。
(3)実施例1及び2においては、実験ガス貯留容器11に封入されている実験ガスを実験ガス導入用シリンダー8に移した後、容器内に実験ガスを送り込んだが、流量を正確に計測できる流量計を用い、各種ガスボンベから直接容器内に各種のガスを所定量送り込むようにしても良い。
(4)実施例1及び2の実験ガス貯留容器11は、実験ガス導入用シリンダー8を接続したまま、次の実験ガスを袋体11c内に導入することができるように、2つの通気口11a、bを有しているが、第2管路12を外せば実験ガスを通気口11aから袋体11cに導入できるので、通気口11bは設けなくても良い。
(5)実施例1では円形の開口部2を1つ、実施例2では円形の開口部25を2つ設けたが、開口部の形状や数は容器の容量と袋状部材が膨らんだ時の容積との関係や容器内面への張り付き易さ等とを考慮して適宜決定すれば良い。
(6)実施例1においては、第2孔部6と気体排出用ポンプ7及び実験ガス導入用シリンダー8を第1管路9で接続したが、第2孔部6とは別に第3孔部を追加して、第2孔部6には気体排出用ポンプ7だけを接続し、第3孔部には実験ガス導入用シリンダー8だけを接続しても良い。
そうした場合、第2孔部6と気体排出用ポンプ7は、開閉部材を設けた管路で接続することとなり、第3孔部と実験ガス導入用シリンダー8及び実験ガス貯留容器11は実施例1と同様の構成により接続することとなる。
(7)実施例1においては、第1孔部4を塞ぐためにポリエチレンフィルム5を用いたが、燃焼体の熱によって融解可能な他のプラスチック製シートを用いても良い。
(8)実施例2の下部容器においては、第1孔部4を塞ぐためにポリエチレンフィルム5を用いたが、燃焼体の熱によって融解可能な他のプラスチック製シートを用いても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 容器 2 開口部 3 袋状部材 4 第1孔部
5 ポリエチレンフィルム 6 第2孔部 7 気体排出用ポンプ
8 実験ガス導入用シリンダー 9 第1管路 10 第1開閉部材
11 実験ガス貯留容器 11a、b 通気口 11c 袋体
12 第2管路 13 第2開閉部材 14 蓋 15 ピストン
16 プレート 17 粘土 18 線香 19 テドラーバッグ
20 シリンジ 21 3方コック 22 管路
23 上部容器 24 下部容器 25 開口部
26 袋状部材 27 孔部 28 開閉部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図8】
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【図5】
6
【図7】
7