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明細書 :アブシジン酸誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年7月13日(2017.7.13)
発明の名称または考案の名称 アブシジン酸誘導体
国際特許分類 C07C 403/20        (2006.01)
A01N  37/14        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
FI C07C 403/20
A01N 37/14
A01P 21/00
国際予備審査の請求
全頁数 29
出願番号 特願2016-550137 (P2016-550137)
国際出願番号 PCT/JP2015/076335
国際公開番号 WO2016/047532
国際出願日 平成27年9月16日(2015.9.16)
国際公開日 平成28年3月31日(2016.3.31)
優先権出願番号 2014193597
優先日 平成26年9月24日(2014.9.24)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】轟 泰司
【氏名】三村 尚毅
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100126653、【弁理士】、【氏名又は名称】木元 克輔
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H011
Fターム 4H006AA01
4H006AA03
4H006AB06
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BN20
4H006BP20
4H006BS10
4H006TA04
4H011AB03
4H011BB06
要約 式(IV)で表される化合物又はその塩は、アブシジン酸受容体の阻害作用を有する。かかる化合物又はその塩は、植物成長調節剤として利用可能である。
【化1】
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[Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基であり、Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基、フェニル基及びペンタフルオロスルファニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
特許請求の範囲 【請求項1】
式(IV)で表される化合物又はその塩。
【化1】
JP2016047532A1_000025t.gif
[Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基であり、Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基、フェニル基及びペンタフルオロスルファニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
【請求項2】
式(I)で表される化合物又はその塩である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【化2】
JP2016047532A1_000026t.gif
[Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
【請求項3】
がフェニル基又は1-ナフチル基である、請求項2記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項記載の化合物又はその塩を含む、アブシジン酸受容体の阻害剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項記載の化合物又はその塩を含む、植物成長調節剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アブシジン酸誘導体に関する。より詳細には、アブシジン酸受容体アンタゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
アブシジン酸は、種子の休眠及び環境ストレス応答において重要な役割を担う植物ホルモンである。アブシジン酸受容体は、アブシジン酸との結合によりその立体構造が変化し、プロテインホスファターゼであるPP2Cと結合してその酵素活性を阻害することにより、それ以降のシグナル伝達を活性化する。
【0003】
アブシジン酸受容体アンタゴニストは、植物の成長の調節剤として農業分野への応用が期待されており、最近、アブシジン酸の3’位にアルキルスルファニル基を導入したアブシジン酸誘導体がアブシジン酸受容体拮抗作用を有することが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Takeuchi et al., "Designed abscisic acid analogs as antagonists of PYL-PP 2C receptor interactions", Nature Chemical Biology, vol.10, pp.477-482 (2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新たなアブシジン酸受容体アンタゴニストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、アブシジン酸の4’位のオキソ基を置換又は非置換の2-プロパニルオキシ基、2-プロペニルオキシ基、もしくは2-プロピニルオキシ基にしたアブシジン酸誘導体は、アブシジン酸受容体拮抗作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、式(IV)で表される化合物又はその塩を提供する。
【化1】
JP2016047532A1_000003t.gif
[Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基であり、Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基、フェニル基及びペンタフルオロスルファニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
【0008】
また、本発明は、式(I)で表される化合物又はその塩を提供する。
【化2】
JP2016047532A1_000004t.gif
[Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]
【0009】
上記化合物又はその塩において、Rはフェニル基又は1-ナフチル基であってよい。
【0010】
上記化合物又はその塩は、アブシジン酸受容体の阻害剤として利用することが可能であり、また、植物成長調節剤としても利用することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
式(IV)又は式(I)で表される化合物又はその塩は、アブシジン酸受容体拮抗作用を有し、種子の発芽の制御などの植物成長調節剤となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の化合物がシロイヌナズナの種子発芽に及ぼす影響を調べた結果を表すグラフである。
【図2】実施例1及び比較例1の化合物がシロイヌナズナの種子発芽に及ぼす影響を比較した結果を表すグラフである。
【図3】実施例1の化合物がアブシジン酸受容体に及ぼす影響を調べた結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書において使用する用語などを説明し、本発明を詳細に説明する。

【0014】
本明細書において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味し、好ましくはフッ素原子、塩素原子である。

【0015】
本明細書において、「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1~6個の直鎖又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。C1-6アルキル基は、より好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基などの、炭素数が1~3個のアルキル基であるC1-3アルキル基である。

【0016】
本明細書において、「ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基」とは、C1-6アルキル基における1個又は複数個の水素原子がハロゲン原子で置換された基を意味し、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロロエチル、1,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロプロピル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピルなどが挙げられる。ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基は、より好ましくは、ハロゲン原子で置換されたC1-3アルキル基である。

【0017】
本明細書において、「C1-6アルコキシ基」とは、C1-6アルキル基が結合したオキシ基であることを意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-プロピルオキシ基、2-プロピルオキシ基、1-ブチルオキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、1-メチルプロピルオキシ基、1,1-ジメチルエトキシ基などが挙げられる。

【0018】
本明細書において、「ナフチル基」とは、1-ナフチル基又は2-ナフチル基を意味する。

【0019】
本実施形態に係る化合物は、式(IV)で表される。以下、化合物(IV)と表す場合もある。
【化3】
JP2016047532A1_000005t.gif
[Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基であり、Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基、フェニル基及びペンタフルオロスルファニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]

【0020】
化合物(IV)は、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ともいう。)であってもよい。
【化4】
JP2016047532A1_000006t.gif
[Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]

【0021】
又はRが置換基を有するフェニル基又はナフチル基である場合、置換基の位置はいずれでもよく、また置換基の数も1個でも複数個でもよい。R又はRが置換基を有するフェニル基の場合、好ましくは、置換基の数は1であり、置換基の位置はメタ位又はパラ位である。

【0022】
は、好ましくは、水素原子、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アセチルフェニル基、p-トリル基、m-トリル基、p-ヒドロキシフェニル基、p-アミノフェニル基、p-アセチルアミノフェニル基、p-クロロフェニル基、p-ビフェニル基又はp-ペンタフルオロスルファニル基である。

【0023】
は、より好ましくは、水素原子、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アセチルフェニル基、p-トリル基又はp-ペンタフルオロスルファニル基である。

【0024】
は、最も好ましくは、フェニル基、p-トリル基又は1-ナフチル基である。

【0025】
は、好ましくは、水素原子、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アセチルフェニル基、p-トリル基、m-トリル基、p-ヒドロキシフェニル基、p-アミノフェニル基、p-アセチルアミノフェニル基、p-クロロフェニル基又はp-ビフェニル基である。

【0026】
は、より好ましくは、水素原子、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アセチルフェニル基又はp-トリル基である。

【0027】
は、最も好ましくは、フェニル基、p-トリル基又は1-ナフチル基である。

【0028】
Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基のいずれであってもよく、好ましくは、エチレン基又はエチニレン基である。

【0029】
化合物(IV)は塩の形態であってもよい。塩としては、例えば、無機塩基塩及び有機塩基塩が挙げられる。無機塩基塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基塩の例としては、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。

【0030】
化合物(I)は、以下の反応スキームにより製造することができる。
【化5】
JP2016047532A1_000007t.gif
[式中、Tsはトシル基を表す。]

【0031】
工程1は、アブシジン酸(以下、ABAと略す場合がある)を還元して化合物(II)を得る工程である。ケトンからアルコールへの還元を行い得る還元剤を用いて、還元反応に常用されている反応条件(反応溶媒、反応温度、反応時間など)で工程1の反応を行うことが可能である。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられる。具体的な反応条件としては、例えば、製造例1に示した反応条件が挙げられる。

【0032】
工程2は、化合物(II)及び化合物(III)を反応させて、化合物(I)を得る工程である。水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で反応を行う。例えば、実施例1に示した反応条件を参考にして、工程2の反応を行うことが可能である。化合物(I)がフリー体として得られた場合、常法により塩へと変換することができる。また、化合物(I)が塩として得られた場合も、常法によりフリー体へと変換することができる。

【0033】
化合物(III)は、市販の化合物を原料にして、当業者が容易に製造することが可能である。例えば、製造例2に示した反応条件を参考にして、化合物(III)を製造することが可能である。

【0034】
化合物(IV)は、化合物(I)と同様の方法により製造することができる。例えば、化合物(II)及び式(V)で表される化合物(以下、「化合物(V)」ともいう。)を反応させて、化合物(IV)を得ることができる。具体的な反応条件としては、例えば、実施例9に示した反応条件が挙げられる。化合物(IV)がフリー体として得られた場合、常法により塩へと変換することができる。また、化合物(IV)が塩として得られた場合も、常法によりフリー体へと変換することができる。
【化6】
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[Xは、エチレン基、エテニレン基、又はエチニレン基であり、Rは、水素原子、フェニル基又はナフチル基であり、フェニル基及びナフチル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、アセチル基、アミノ基、アセチルアミノ基、フェニル基及びペンタフルオロスルファニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。]

【0035】
化合物(V)は、市販の化合物を原料にして、当業者が容易に製造することが可能である。例えば、製造例3に示した反応条件を参考にして、化合物(V)を製造することが可能である。

【0036】
化合物(IV)は、アブシジン酸受容体拮抗作用を有するため、アブシジン酸受容体の阻害剤として利用することが可能である。アブシジン酸受容体は、PYR/PYL/RCARタンパク質として知られるタンパク質ファミリーに属する任意の受容体を意味する。
通常、植物ではPP2CがプロテインキナーゼSnRK2を脱リン酸化して不活性状態を維持している。植物がストレスを受けると、アブシジン酸が合成され、標的となる器官に輸送された後にアブシジン酸受容体と結合する。アブシジン酸がアブシジン酸受容体に結合すると、アブシジン酸受容体とPP2Cが複合体を形成し、PP2Cによる脱リン酸化が抑制される。その結果、SnRK2が自己リン酸化を起こして活性化状態へと変化し、下流のイオンチャネル及び転写因子などを活性化し、アブシジン酸応答が誘導される。
化合物(IV)を施用された植物は、ストレスによりアブシジン酸が合成されたとしても、化合物(IV)が、アブシジン酸とアブシジン酸受容体の結合及びそれに引き続くPP2Cとの複合体形成を阻害するため、アブシジン酸応答が誘導されなくなる。このため、化合物(IV)は植物の成長を調節することが可能となる。

【0037】
上記の通り、化合物(IV)は、植物の成長を調節することが可能となる。植物の成長は、植物細胞の通常の分化又は増殖を伴う現象であれば特に限定されず、植物体を構成する器官の伸張、拡大のみならず、種子からの発芽、花芽形成、種子形成なども含まれる。

【0038】
対象となる植物は特に限定されず、種子植物、シダ植物又はコケ植物でもよく、種子植物としては裸子植物又は被子植物でもよく、被子植物としては単子葉植物でも双子葉植物でもよい。

【0039】
対象となる植物器官としては、特に限定されず、根、茎、葉、花、生殖器官、種子のいずれでもよく、さらに、培養細胞でもよい。

【0040】
植物に適用する化合物(IV)の濃度及び接触方法は、対象となる植物の種類、その器官及び目的等に応じて適宜調整可能である。例えば、対象植物を双子葉植物とし、対象器官を種子とし、種子を発芽させることを目的とする場合、通常の培養液に化合物(IV)が0.3~300μMとなるように溶解した培養液で栽培することが好ましい。

【0041】
化合物(IV)を含む植物成長調節剤は、化合物(IV)の他に、殺菌剤、防黴剤、殺虫剤、或いは、化合物(IV)以外の植物成長調節作用を有する化合物を含有していてもよい。さらに、公知の製剤用添加剤を含有していてもよい。このような製剤用添加剤としては、例えば、賦形剤、乳化剤、湿潤剤を使用することができる。また、本発明の植物成長調節剤の剤型は特に限定されないが、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、液剤、粒剤、粉剤、マイクロカプセル、燻蒸剤、燻煙剤、エアゾール、フロアブル剤、ペースト剤、錠剤、塗布剤、微量散布用剤、油剤、複合肥料とすることができ、対象となる植物、その器官及び目的等に応じて、使用者が適宜選択することができる。このような剤型の植物成長調節剤は、公知の方法により製造することができる。
【実施例】
【0042】
製造例1:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1,4-ジヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化7】
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S-アブシジン酸(純度90%)11.2g(S-アブシジン酸として10g,37.8mmol)をメタノール400mLに溶解した。塩化セリウム(III)・7水和物42.9g(115.1mmol)を加え,溶解した後に,氷浴下水素化ホウ素ナトリウム14.7g(389mmol)をゆっくり加えた。室温に昇温し,15分間撹拌した後に,氷浴下,飽和塩化アンモニウム水溶液200mLを加えて反応を終了させ,反応液をエバポレーターで減圧濃縮し,メタノールを除いた。これに2M塩酸200mLを加え,pH試験紙を用いて反応液のpHが1-2であることを確認し,蒸留水400mLを加え,酢酸エチル600mLで3回分配抽出した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,白色固体16.87gを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-30-50%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(365g,4cm内径×30cm長さ)に供し,目的物(白色固体,4.35g)と,目的物と不純物の混合物(白色固体,6.58g)を得た後に,不純物との混合物のみを,更にヘキサン-酢酸エチル(0-30-65%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(995g,3cm内径×33cm長さ)に供し,標記化合物を1.38g(合計5.73g,収率56%)得た。
1H NMR (270 MHz, CD3OD):δ 0.81 (3H, s), 0.92 (3H, s), 1.51 (1H, dd, J = 13.2 and 9.9 Hz), 1.55 (3H, d, J = 1.65 Hz), 1.63 (1H, ddd, J = 13.2, 6.6 and 1.3 Hz), 1.92 (3H, d, J = 1.3 Hz), 4.09 (1H, m), 5.43 (1H, m), 5.60 (1H, q, J = 1.0 Hz), 6.12 (1H, dd, J = 16.2 and 0.7 Hz), 7.58 (1H, dd, J = 16.2 and 0.7 Hz)
【実施例】
【0043】
製造例2:4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの合成
【化8】
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ヨードベンゼン8.0g(39.2mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し,氷浴下にてトリエチルアミン7.93g(78.4mmol),ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド566mg(0.784mmol),およびヨウ化銅(I)519mg(2.74mmol)を加え,30分間撹拌した。これにプロパルギルアルコール2.20g(39.2mmol)のテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下漏斗を用いて加えた後に,室温に昇温し,30分間撹拌して,ショートカラム(シリカゲル64-210μm径,1.5cm内径×25cm高さ)に通して反応を終了した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,褐色油状物質6.29gを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-20-100%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(289g,2.1cm内径×40cm長さ)に供し,3-フェニルプロパ-2-イン-1-オール(褐色油状物質,4.56g)を得た(収率88%)。3-フェニルプロパ-2-イン-1-オール4.00g(30.3mmol)をテトラヒドロフラン8mLに溶解した。これを-10℃条件下,トリエチルアミン12.3g(121mmol)とp—トルエンスルホン酸クロリド11.8g(60.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mLを加えた。0℃に昇温し,90分間撹拌した後に,酢酸エチル400mLを入れた分液漏斗に反応液を加え,1M塩酸20mLを加え,よく振り,トリエチルアミンを除いた。この操作をもう一度繰り返した後,飽和塩化ナトリウム水溶液で4回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,褐色油状物質10.0gを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-10%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(995g,4.1cm内径×38cm長さ)に供し,標記化合物を3.60g(収率42%)得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3):δ 2.39 (3H, s), 4.95 (2H, s), 7.24-7.37 (7H, m), 7.85 (2H, m)
【実施例】
【0044】
製造例3:4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパン-1-イルの合成
【化9】
JP2016047532A1_000011t.gif
3-フェニル-1-プロパノール200mg(1.47mmol)をジクロロメタン2mLに溶解し,塩化パラトルエンスルホニル339.6mg(1.78mmol)とトリエチルアミン178.1mg(1.76mmol)を加えた。室温で2時間撹拌後,蒸留水8mLと1M塩酸2mLを加え,酢酸エチル10mLで3回分配抽出した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥後,綿ろ過してろ液を減圧濃縮し,無色透明の油状物質475mgを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(1:9)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakosil C-200 9.21g,16mm内径×95mm長さ)に供し,標記化合物を339.3mg(収率79%)得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ 1.91 (2H, m), 2.45 (3H, s), 2.60 (2H, t, J=7.6 Hz), 4.00 (2H, t, J=6.3 Hz), 7.04-7.23 (5H, m), 7.43 (2H, m), 7.78 (2H, m)
【実施例】
【0045】
実施例1:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化10】
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水素化ナトリウム(油性60%)2.78g(水素化ナトリウムとして1.67g,64.8mmol)をヘキサン100mLに溶解し,上清を除去した。これにテトラヒドロフラン50mLを加え,上清を除いた後に,テトラヒドロフラン200mLを加えた。氷浴下,(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1,4-ジヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸 5.72g(21.5mmol)を加え,30分撹拌し,更に4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イル 3.09g(10.8mmol)のテトラヒドロフラン溶液40mLを加えた。室温まで昇温して,44時間撹拌した後に,氷浴下2M塩酸 100mLを加えて反応を終了させ,反応液を蒸留水900mLに入れて,酢酸エチル600mLで3回分配抽出した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,褐色油状物質8.34gを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-20-40%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1039g,4.1cm内径×39cm長さ)に供し,不純物と目的物の混合物(褐色油状物質,2.34g)を得た後に,更にジクロロメタン-酢酸エチル(30%)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(398g,2.5cm内径×40cm長さ)に供し,標記化合物を1.375g(収率33%)得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3):δ 0.92 (3H, s, H3-9'), 1.06 (3H, s, H3-8'), 1.67 (3H, m, H3-7'), 1.72 (1H, dd, J = 13.1 and 9.5 Hz, H-5'), 1.90 (1H, m, H-5'), 2.01 (3H, d, J = 0.6 Hz, H3-6), 4.27 (1H, m, H-4'), 4.42 (1H, d, J = 15.9 Hz, H-1"), 4.47 (1H, d, J = 15.9 Hz, H-1"), 5.68 (1H, brs, H-3'), 5.71 (1H, s, H-2), 6.21 (1H, d, J = 15.9 Hz, H-5), 7.31 (3H, m, H-6", 7" and 8"), 7.44 (2H, m, H-5" and 9"), 7.74 (1H, d, J = 15.9 Hz, H-4)
13C NMR (125 MHz, CDCl3):δ 17.7 (C7'), 21.5 (C6), 22.7 (C8'), 25.3 (C9'), 39.7 (C6'), 40.7 (C5'), 56.1 (C1"), 72.3 (C4'), 79.3 (C1'), 85.5 (C2"), 86.0 ( C3"), 117.0 (C2), 122.7 (C4"), 124.6 (C3'), 126.5 (C4), 128.3 (C6" and 8"), 128.4 (C7"), 131.7 (C5" and 9"), 139.1 (C2'), 140.3 (C5), 152.2 (C3), 170.6 (C1)
UVλmax (MeOH) nm(ε): 242.4 (27600), 250.4 (29000)
HRMS (m/z): [M+Na]+ calc'd. for C24H28O4Na, 403.1885; found, 403.1880.
【実施例】
【0046】
実施例2:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(ナフタレン-1-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化11】
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S-アブシジン酸のかわりに,S-アブシジン酸-メチルを用いて製造例1と同様に反応させ,メチル(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1,4-ジヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸を865.9mg(収率75.5%)得た。メチル(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1,4-ジヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸30.0mg(0.107mmol)をテトラヒドロフラン1.0mLに溶解し,氷浴下水素化ナトリウム(油性60%)8.6mg(水素化ナトリウムとして5.22mg,0.214mmol)を加えて30分間撹拌した。これに1-(3-ブロモプロパ-1-イン-1-イル)ナフタレン26.2mg(0.107mmol)を加え,室温に昇温した。4時間撹拌した後に,飽和塩化アンモニウム水溶液30mLに反応液を加えて反応を終了し,これを酢酸エチル30mLで3回分配抽出した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,淡黄色油状物質55.4mgを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-20-30-100%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5g,0.5cm内径×28cm長さ)に供し,メチル(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(ナフタレン-1-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸(淡黄色油状物質,3mg)を得た(収率3%)。これをメタノール1.5mLに溶解し,氷浴下,1M水酸化ナトリウム1.8mLを加え,3.5時間撹拌した。これに1M塩酸2mLを加えて反応を終了させ,蒸留水30mLを加え,酢酸エチル20mLで3回分配抽出し,飽和塩化ナトリウムで3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,淡黄色油状物質5.6mgを得た。これをヘキサン-酢酸エチル(0-30-40%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2g,0.5cm内径×15cm長さ)に供し,標記化合物を0.8mg(収率27.5%)得た。
1H NMR (500 MHz, CD3OD):δ 0.95 (3H, s, H3-9'), 1.07 (3H, s, H3-8'), 1.70 (3H, dd, J = 1.5 and 1.5 Hz, H3-7'), 1.76 (1H, dd, J = 13.1 and 9.8 Hz, H-5'), 1.92 (1H, ddd, J = 13.1, 6.4 and 1.5 Hz, H-5'), 2.01 (3H, d, J = 1.2 Hz, H3-6), 4.41 (1H, m, H-4'), 4.60 (2H, d, J = 1.5 Hz, OCH2-), 5.70 (1H, brs, H-2), 5.73 (1H, m, H-3'), 6.22 (1H, d, J = 16.2 Hz, H-5), 7.44 (1H, dd, J = 8.2 and 7.3 Hz, H-6''), 7.54 (2H, m, H-10'' and 11''), 7.65 (1H, dd, J = 7.3 and 1.2 Hz, H-5''), 7.73 (1H, d, J = 16.2 Hz, H-4), 7.88 (2H, m, H-7'' and 12''), 8.30 (1H, d, J = 8.2 Hz, H-9'')
13C NMR(125 MHz, CD3OD):δ 18.4 (C7'), 21.4 (C6), 23.3 (C8'), 25.7 (C9'), 40.9 (C6'), 41.7 (C5'), 56.8 (C1''), 74.1 (C4'), 80.2 (C1'), 84.8 (C2''), 91.9 (C3''), 118.8 (C2), 121.5 (C8''), 125.6 (C3'), 126.3 (C6''), 126.9 (C9''), 127.5 (C11''), 127.9 (C10''), 128.2 (C4), 129.4 (C12''), 130.0 (C7''), 131.5 (C5''), 134.6 (C4'‘ or 13''), 134.7 (C4'‘ or 13''), 141.1 (C5), 141.2 (C2'), 151.4 (C3), 169.8 (C1)
UVλmax (MeOH) nm(ε): 226.8 (59700), 262.2 (18000), 297.0 (13700), 310.4 (8410)
HRMS (m/z): [M+Na]+ calc'd. for C28H30O4Na, 453.2042; found 453.2045.
【実施例】
【0047】
実施例3:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化12】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに、4-メチルベンゼンスルホン酸 プロパ-2-イン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ、標記化合物を得た(収率9%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3):δ 0.92 (3H, s, H3-8’ or 9'), 1.05 (3H, s, H3-8' or 9’), 1.63-1.71 (4H, m, H3-7' and H-5’), 1.86 (1H, ddd, J = 13.2, 6.6 and 1.3 Hz, H-5’), 2.02 (3H, d, J = 1.0 Hz, H3-6), 2.43 (1H, t, J = 2.3 Hz, H-3’’), 4.16-4.23 (3H, m, H-4’ and H2-1’’), 5.64 (1H, m, H-3’), 5.72 (1H, s, H-2), 6.19 (1H, d, J = 16.2 Hz, H-5), 7.35 (1H, d, J = 16.2 Hz, H-4)
【実施例】
【0048】
実施例4:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(4-トリフルオロメチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化13】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに、4-メチルベンゼンスルホン酸 3-(4-トリフルオロメチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ、標記化合物を得た(収率18%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3):δ 0.93 (3H, s), 1.07 (3H, s), 1.63-1.73 (4H, m), 1.82-1.93 (1H, m), 2.02 (3H, s), 4.14-4.29 (3H, m), 5.68 (1H, m), 5.71 (1H, s), 6.20 (1H, d, J = 16.1 Hz), 7.52-7.60 (4H, m), 7.74 (1H, d, J = 16.1 Hz)
【実施例】
【0049】
実施例5:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(4-メトキシ)フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化14】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに、4-メチルベンゼンスルホン酸 3-(4-メトキシ)フェニルプロパ-2-イン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ、標記化合物を得た(収率3%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3):δ 0.90 (3H, s), 1.04 (3H, s), 1.65 (3H, s), 1.70 (1H, dd, J = 12.5 and 9.6 Hz), 1.89 (1H, dd, J = 12.5 and 6.6 Hz), 1.99 (3H, s), 3.85 (3H, s), 4.24 (1H, m), 4.36-4.48 (2H, m), 5.66 (1H, s), 5.71 (1H, s), 6.16 (1H, s), 6.81-6.87 (2H, m), 7.35-7.41 (2H, m), 7.73 (1H, s)
【実施例】
【0050】
実施例6:(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(4-アセチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化15】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに、4-メチルベンゼンスルホン酸 3-(4-アセチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ、標記化合物を得た(収率0.5%)。
1H NMR (270 MHz, CDCl3):δ 0.93 (3H, s), 1.07 (3H, s), 1.68 (3H, s), 1.72 (1H, dd, J = 13.5 and 9.6 Hz), 1.90 (1H, dd, J = 13.5 and 6.9 Hz), 2.02 (3H, s), 2.60 (3H, s), 4.25 (1H, m), 4.46 (2H, m), 5.69 (1H, s), 5.72 (1H, s), 6.21 (1H, d, J = 16.2 Hz), 7.50-7.53 (2H, m), 7.74 (1H, d, J = 16.2 Hz), 7.89-7.92 (2H, m)
【実施例】
【0051】
実施例7:(2Z,4E)-5-(1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(4-メチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化16】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに,4-メチルベンゼンスルホン酸 3-(4-メチル)フェニルプロパ-2-イン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ,標記化合物を得た(収率18%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 0.91 (3H, s), 1.05 (3H, s), 1.66 (3H, m), 1.71 (1H, dd, J = 13.1 and 9.8 Hz), 1.89 (1H, m), 2.00 (3H, s), 2.34 (3H, s), 4.26 (1H, m), 4.41(1H, d, J = 15.9 Hz), 4.45(1H, d, J = 15.9 Hz), 5.67 (1H, s), 5.71 (1H, s), 6.19 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.10-7.12 (3H, m), 7.32-7.34 (2H, m), 7.74 (1H, d, J = 15.9 Hz)
【実施例】
【0052】
実施例8:(2Z,4E)-5-(1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-(4-ペンタフルオロスルファニル)フェニルプロパ-2-イン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化17】
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(2Z,4E)-5-((1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸72.0mg(237nmol)のテトラヒドロフラン溶液2mLに,ヨウ化銅(I)3.2mg(17nmol),トランス-ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)3.2mg(4.6 nmol),トリエチルアミン1.0mLと,4-ヨードフェニルサルファーペンタフルオライド75.6mg(229nmol)のテトラヒドロフラン溶液1mLを加えた。室温で6時間撹拌した後,1M塩酸水溶液5mLを加え,反応液を酢酸エチル20mLで3回分配抽出した。これを飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥させ,濃縮し,褐色油状物質114mgを得た。これをジクロロメタン-酢酸エチル(0-20%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12g,14mm内径×160mm長さ)に供し,目的物と不純物の混合物53mgを得た。さらにこれを77%メタノールを溶離液とした高速液体クロマトグラフィー(Hydrosphere C 18,20mm内径×150mm長さ)に供し,標記化合物を30.3 mg(収率25%)得た。
1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 0.94 (3H, s), 1.04 (3H, s), 1.68 (3H, m), 1.69 (1H, dd, J = 13.0 and 9.3 Hz), 1.84 (1H, ddd, J = 13.0, 6.4 and 1.5 Hz), 2.01 (3H, d, J = 0.9 Hz), 4.27 (1H, m), 4.45 (1H, d, J = 16.4 Hz), 4.49 (1H, d, J = 16.4 Hz), 5.66 (1H, m), 5.71 (1H, m), 6.17 (1H, d, J = 16.1 Hz), 7.58-7.60 (2H, m), 7.68 (1H, d, J = 16.1 Hz), 7.79-7.82 (2H, m)
【実施例】
【0053】
実施例9:(2Z,4E)-5-(1S,4S)-1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-((3-フェニルプロパン-1-イル)オキシ)シクロヘキス-2-エン-1-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン酸の合成
【化18】
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4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパ-2-イン-1-イルの代わりに,4-メチルベンゼンスルホン酸 3-フェニルプロパン-1-イルを用いて実施例1と同様に反応させ,標記化合物を得た(収率44%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 0.91 (3H, s), 1.00 (3H, s), 1.62 (1H, dd), 1.66 (3H, s), 1.75 (1H, ddd, J=13.2, 6.3 and 1.0 Hz), 1.85 (2H, m), 2.01 (3H, s), 2.68 (2H, t, J=7.3 Hz), 3.49 (2H, m), 3.96 (1H, m), 5.58 (1H, m), 5.73 (1H, brs), 6.17 (1H, d, J=15.2 Hz), 7.20 (5H, m), 7.68 (1H, d, J=15.2 Hz)
【実施例】
【0054】
比較例1:3’-ヘキシルスルファニル-アブシジン酸の合成
【化19】
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非特許文献1に記載の方法に従い、標記化合物を合成した。
【実施例】
【0055】
試験例1:シロイヌナズナ種子発芽試験(1)
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana,Col-0)種子を70%エタノール水溶液500μLに30分,続いて100%エタノール溶液500μLに1分浸漬し,蒸留水1mLで5回洗浄した後に,種子を蒸留水に浸漬させ,暗所下,4℃で3日間春化処理した。試料のメタノール溶液を1.5mL容マイクロチューブに入れ,減圧下にてメタノールを除去し,70℃の0.5%寒天水溶液(含1/2MS培地無機塩類)を加え,撹拌した後に96穴プレートに入れ,試料を含む培地とした。試料は,実施例1~9及び比較例1の濃度はいずれも3μMになるように調製した。また,ABAを投与する場合,ABAの濃度が0.3μMになるように調製した。ここに春化処理済みのシロイヌナズナ種子を20-30粒ずつ播種し,22℃,連続光下で培養して,その発芽数を経時的に観察した。下記式(1)にしたがって発芽率を計算した。なお,メタノールを用いて同様に培地を調製したものをコントロールとして用いた。結果を表1に示す。実施例1~9の化合物をABAと共投与すると、ABAにより低下した種子の発芽率が回復することが明らかとなった。
発芽率(%)=発芽数(個)/播種数(個)×100…(1)
【実施例】
【0056】
【表1】
JP2016047532A1_000022t.gif
【実施例】
【0057】
試験例2:シロイヌナズナ種子発芽試験(2)
実施例1の化合物の処理濃度を0.3μMから30μMまで変化させて、試験例1と同様の試験を行った。結果を図1に示す。この濃度範囲でも、実施例1の化合物をABAと共投与すると、ABAにより低下した種子の発芽率が回復することが確認された。
【実施例】
【0058】
同様に、実施例2の化合物の処理濃度を0.3μMから3μMまで変化させて、同様の試験を行った。この濃度範囲でも、実施例2の化合物をABAと共投与すると、ABAにより低下した種子の発芽率が回復することが確認された。
【実施例】
【0059】
試験例3:レタス及びチンゲンサイ種子発芽試験
また,シロイヌナズナに代えて、レタス(Lactuca sativa)及びチンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)を用いて、試験例2と同様の試験を行った。レタス及びチンゲンサイの種子に対しても、実施例1及び2の化合物はABA共投与により、ABAにより低下した種子の発芽率が回復した。
【実施例】
【0060】
試験例4:実施例1の化合物と比較例1の化合物の比較
実施例1の化合物と比較例1の化合物の種子発芽率の回復効果を比較するため、化合物の処理濃度を0.3μMから3μMまで変化させて、試験例2と同様の試験を行った。結果を図2に示す。実施例1の化合物は、比較例1の化合物よりも種子発芽率の回復効果に優れることが明らかとなった。
【実施例】
【0061】
試験例5:タンパク質脱リン酸化酵素活性試験
シロイヌナズナのPYR/PYL/RCARタンパク質(PYL,アブシジン酸受容体)又はタンパク質脱リン酸化酵素HAB1がコードされたプラスミド(pGex-2T-GST-HAB1又はpET28-6xHis-PYL)を大腸菌(HAB1:BL21(DE3)pLysS,PYL:BL21-codonplus(DE3)-RIPL)に形質転換した。前培養(30℃,180rpm,15時間)と本培養(30℃,180rpm,4時間)を行った培養液に,イソプロピル-β-チオガラクトピラノシドを加え,タンパク質発現(16℃,150rpm,18時間)した粗酵素液を,FPLCを用いて精製し,組換PYL(PYR1,PYL1-6,PYL8-10)及びHAB1を調製した。96穴プレートにβ-メルカプトエタノール,塩化マンガン水溶液,HAB1,PYL,試料のジメチルスルホキシド溶液,超純水を順に加え,22℃で30分静置した後に,HAB1の人口基質であるp-ニトロフェニルホスフェートを加えて反応を開始し,マイクロプレートリーダー(TECAN,インフィニットTM N200 NanoQuant)に入れた。p-ニトロフェニルホスフェートの加水分解産物であるp-ニトロフェノールの405nmの吸光度を反応開始3分後に測定し,下記式(2)にしたがってHAB1の活性を計算した。なお,ジメチルスルホキシドのみを加えた画分をコントロールとして,その時の活性を100%とした。その結果を図3及び表2に示す。実施例1及び4~9の化合物は、ABA受容体のアンタゴニストとして作用することが明らかとなった。
HAB1比活性(%)=サンプル添加時の吸光度/コントロールの吸光度×100…(2)
【実施例】
【0062】
【表2】
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【実施例】
【0063】
試験例6:等温滴定型カロリメーターを用いた結合親和性測定試験
試験例5と同様の手順で,組換PYL5のリン酸ナトリウムバッファー溶液を調製し,これを等温滴定型カロリメーター(GE Healthcare,MicroCal iTC200)の反応セルに入れ,実施例1の化合物のリン酸ナトリウムバッファー溶液をシリンジ内に入れた。その後,上記のカロリメーターを20℃に設定し,測定を行った。実施例7~9の化合物についても上記と同様の測定を行った。比較対象としてABAおよび比較例1の化合物のリン酸ナトリウムバッファー溶液を用いた結果を表3に示す。実施例1及び7~9の化合物の解離定数KはABA及び比較例1の化合物よりも低く、ABA受容体へ親和性が強いことが明らかとなった。
【実施例】
【0064】
【表3】
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【実施例】
【0065】
試験例7:シロイヌナズナ生育試験
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana,Col-0)種子を5%ブリーチ+1%SDS水溶液500mL,70%エタノール水溶液500μL,70%エタノール水溶液500μLにそれぞれ1分間ずつ順に浸漬し,滅菌水1mLで5回洗浄した後に,0.1%寒天水溶液に懸濁した。オートクレーブで滅菌した発芽培地(含1/2MS培地無機塩類)を滅菌プラスチックシャーレに25mLずつ加え,ここに0.1%寒天水溶液に懸濁した種子を60-80粒ずつ播種し,暗所下,4℃で3日間春化処理した。これを22℃,連続光下で10日間培養した。滅菌した土(有機培養土:バーミキュライト=1:1)をプラスチックポット(50mm×50mm×50mm,35mm底面×35mm高さ)に40gずつ加えた。このプラスチックポット6個を3000mL容トレーにいれ,1000倍希釈HYPONeX(商品名(登録商標),株式会社ハイポネックスジャパン製)水溶液300mLを加え(深さ10mm),シロイヌナズナ実生を5株ずつプラスチックシャーレから移植した。これを22℃,16時間明期-8時間暗期下で培養し,0.1%DMSO(実施例7の化合物を含む)+0.1%アプローチBI(商品名(登録商標),花王株式会社製)水溶液1mL(実施例7の化合物の最終濃度が50μMになるように調製)を1日1回噴霧した。また,1週間ごとに2000倍希釈HYPONEX水溶液300mLを加えた。上記と同様の処理を比較例1の化合物を用いて行った。なお,上記化合物を含まない0.1%DMSO+0.1%アプローチBI水溶液1mLを1日1回噴霧したものをコントロールとして用いた。さらに,上記と同様の条件で,0.1%DMSO(実施例7の化合物を含む,比較例1の化合物を含む,又はこれらの化合物を含まない)+0.1%アプローチBI水溶液1mL(化合物を含む場合には、その最終濃度が50μMになるように調製)に,ABAを添加しABAの最終濃度が5μMになるように調製し,これを1日1回噴霧する試験を行った。3週間培養後のシロイヌナズナの生育状態を比較したところ,ABAのみを投与した場合,シロイヌナズナの生育が顕著に抑制された。これに対し,比較例1の化合物とABAを共投与した場合,ABAの生育抑制効果はほとんど改善されなかった。他方で,実施例7の化合物とABAを共投与した場合,ABAによる生育抑制効果が著しく改善され,コントロールと同程度までシロイヌナズナの生育が回復した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2