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明細書 :リン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法及びリン酸銀担持多孔性炭素材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-189730 (P2017-189730A)
公開日 平成29年10月19日(2017.10.19)
発明の名称または考案の名称 リン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法及びリン酸銀担持多孔性炭素材料
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
C01B  32/30        (2017.01)
B01J  27/18        (2006.01)
B01J  35/10        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  20/28        (2006.01)
A62D   3/178       (2007.01)
B01J  20/32        (2006.01)
A61L   9/00        (2006.01)
A61L   9/01        (2006.01)
B01J  20/20        (2006.01)
FI B01J 35/02 J
C01B 31/08 Z
B01J 27/18 M
B01J 35/10 301J
B01J 37/08
B01J 37/02 101D
B01J 20/28 Z
A62D 3/178
B01J 20/32 Z
A61L 9/00 C
A61L 9/01 B
B01J 20/20 B
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2016-079355 (P2016-079355)
出願日 平成28年4月12日(2016.4.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年12月2日 第42回炭素材料学会年会 ポスター発表にて公開 平成27年12月2日 第42回炭素材料学会年会 要旨集 第98頁にて公開
発明者または考案者 【氏名】浅田 隆志
【氏名】渡辺 郁哉
出願人 【識別番号】505089614
【氏名又は名称】国立大学法人福島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100087767、【弁理士】、【氏名又は名称】西川 惠清
【識別番号】100155745、【弁理士】、【氏名又は名称】水尻 勝久
【識別番号】100143465、【弁理士】、【氏名又は名称】竹尾 由重
【識別番号】100155756、【弁理士】、【氏名又は名称】坂口 武
【識別番号】100161883、【弁理士】、【氏名又は名称】北出 英敏
【識別番号】100167830、【弁理士】、【氏名又は名称】仲石 晴樹
【識別番号】100162248、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 豊
審査請求 未請求
テーマコード 4C180
4G066
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4G169
Fターム 4C180AA02
4C180CC03
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要約 【課題】多孔性炭素材料の表面にリン酸銀を担持させることができるリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得、凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得、前記凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離するリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法。
【請求項2】
木質バイオマスを400~1000℃で加熱処理して前記多孔性炭素材料を得る請求項1に記載のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法。
【請求項3】
前記リン酸イオン含有溶液がリン酸水素二ナトリウム水溶液であり、その濃度が3~20g/lである請求項1又は2に記載のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法。
【請求項4】
前記銀イオン含有溶液が硝酸銀水溶液であり、その濃度が3~5g/lである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法。
【請求項5】
多孔性炭素材料を含む担体と、前記担体に担持された、リン酸銀を含む光触媒成分とを含むリン酸銀担持多孔性炭素材料。
【請求項6】
BET比表面積が、100~1000m/gである請求項5に記載のリン酸銀担持多孔性炭素材料。
【請求項7】
リン酸銀の担持量が、銀換算で5~25質量%である請求項5又は6に記載のリン酸銀担持多孔性炭素材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法及びリン酸銀担持多孔性炭素材料に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸銀(AgPO)は、可視光照射下で高い酸化分解力を発揮し、有機物を分解できることが知られている(特許文献1)。一方、木質バイオマスは再生可能なバイオマス資源であり、木質バイオマスを炭素化して得られる多孔性炭素化物は吸着剤として利用されている。
【0003】
特許文献2には、活性炭を含む多孔性無機物担体の細孔内に、AgPO又はAgで表されるリン酸銀化合物を担持させる方法として、粒状シリカ担体をリン酸二水素アンモニウム水溶液に浸漬し、余剰のリン酸二水素アンモニウム水溶液を吸引除去して前駆複合体試料を得、得られた前駆複合体試料を硝酸銀水溶液に浸漬し、余剰のリン酸二水素アンモニウム水溶液を吸引除去してリン酸銀(AgPO)-シリカ担体からなる粒状複合殺菌剤試料を得たことが具体的に開示されている。
【0004】
特許文献3には、銀含有化合物及びリン酸含有化合物を共存させる方法として、活性炭と硝酸銀溶液を反応させ、銀を担持させ、乾燥させたものとリン酸アンモニウムを混合したことが具体的に開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平10-033990号公報
【特許文献2】特開2002-104909号公報
【特許文献3】特開平03-038504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2,3に記載の方法では、多孔性炭素化物の表面にリン酸銀(AgPO)を担持させることができなかった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)を担持させることができるリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法及びリン酸銀担持多孔性炭素材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下によって前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得、前記凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離する。
【0010】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、木質バイオマスを400~1000℃で加熱処理して前記多孔性炭素材料を得るのが好ましい。
【0011】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、前記リン酸イオン含有溶液がリン酸水素二ナトリウム水溶液であり、その濃度が、3~20g/lであるのが好ましい。
【0012】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、前記銀イオン含有溶液が硝酸銀水溶液であり、その濃度が、3~5g/lであるのが好ましい。
【0013】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料は、多孔性炭素材料を含む担体と、前記担体に担持された、リン酸銀を含む光触媒成分とを含む。
【0014】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料は、BET比表面積が、100~1000m/gであるのが好ましい。
【0015】
本発明のリン酸銀担持多孔性炭素材料は、リン酸銀の担持量が、銀換算で5~25質量%であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)を担持させたリン酸銀担持多孔性炭素材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例1、比較例1~3の試料の粉末X線回折パターン測定結果を示す図である。縦軸は回折強度を示し、横軸は回折角(2θ/degree)を示す。
【図2】図2は、実施例1の試料を倍率500倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施例1の試料を倍率10,000倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、実施例1、実施例2、実施例3の試料の粉末X線回折パターン測定結果を示す図である。縦軸は回折強度を示し、横軸は回折角(2θ/degree)を示す。
【図5】図5は、実施例1の試料のメチレンブルー分解実験(実施例5)の結果を示す図である。縦軸はメチレンブルー濃度(μmol/l)を示し、横軸は可視光照射時間(分)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。

【0019】
〔第一実施形態に係るリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法〕
第一実施形態に係るリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得(以下、蒸発乾固工程)、凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離する(以下、固液分離工程)。

【0020】
このように、第一実施形態に係る製造方法では、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液、銀イオン含有溶液の順で浸漬し、かつ、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させる。そのため、従来の製造方法では作製することができなかった、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)が担持したリン酸銀担持多孔性炭素材料が得られる。これは、蒸発乾固工程において、リン酸イオン含有溶液をろ過せずに蒸発乾固することにより、表面の大部分が無機リン酸塩で覆われた多孔性炭素材料が得られ、固液分離工程において、これを銀イオン含有溶液と接触させることで、多孔性炭素材料の表面を覆っている無機リン酸塩と銀イオンとが反応し、リン酸銀(AgPO)が生成するためと推測される。

【0021】
<蒸発乾固工程>
蒸発乾固工程では、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、溶媒を蒸発乾固させて凝固物を得る。すなわち、多孔性炭素材料とリン酸イオン含有溶液を混合してリン酸イオン混合液を得、得られるリン酸イオン混合液を蒸発乾固させて凝固物を得る。

【0022】
第一実施形態に係る製造方法において、リン酸イオン混合液を蒸発乾固させることが重要である。例えば、リン酸イオン混合液をろ過やデカンテーションにより固液分離すると、表面にリン酸銀(AgPO)ではなく、金属銀(Ag)が担持した多孔性炭素材料が得られる。これは、リン酸イオン混合液をろ過やデカンテーションにより固液分離すると、無機リン酸塩がほとんど担持していない多孔性炭素材料が得られ、これを銀イオン含有溶液と接触させると、銀イオン含有溶液中の大部分の銀イオン(Ag)が多孔性炭素材料の表面で金属銀(Ag)に還元されるためと推測される。また、リン酸イオン混合液を固液分離せず、銀イオン含有溶液をリン酸イオン混合液に添加すると、リン酸イオン混合液中にリン酸銀(AgPO)が生成するが、表面にリン酸銀(AgPO)が担持した多孔性炭素材料が得られないおそれがある。

【0023】
(多孔性炭素材料)
多孔性炭素材料は、炭素を主成分として構成される。そのため、多孔性炭素材料は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)などの無機酸化物を担体に用いる場合よりも、耐熱性、耐酸性、耐塩基性に優れる。多孔性炭素材料としては、例えば、黒炭、白炭などの木炭;活性炭、活性炭素繊維、メゾ気孔炭素などのナノ空間炭素などを用いることができる。

【0024】
多孔性炭素材料は、無数の細孔を有する。そのため、比表面積が大きく、可視光照射下で高い酸化分解力を発揮するリン酸銀(AgPO)を分散させるのに適している。

【0025】
多孔性炭素材料のBET比表面積は、好ましくは100~1000m/g、より好ましくは300~700m/gである。多孔性炭素材料の全細孔容積は、好ましくは0.05~0.50mL/gである。なお、多孔性炭素材料のBET比表面積及び全細孔容積は、実施例に記載の方法と同様にして測定することができる。

【0026】
(リン酸イオン含有溶液)
リン酸イオン含有溶液は、リン酸イオンを含有する溶液であればよく、リン酸がイオンとして溶解していれば、溶質や溶媒は限定されない。なかでも、リン酸イオン含有溶液として、リン酸水素二ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。

【0027】
リン酸イオン含有溶液の濃度は、好ましくは3~20g/l、より好ましくは3~5g/lである。リン酸イオン含有溶液の濃度が上記範囲内であれば、リン酸イオン混合液中に多孔性炭素材料に担持しない白い析出物の生成を抑制することができ、金属銀(Ag)の担持量がより少なく、リン酸銀(AgPO)がより分散して担持したリン酸銀担持多孔性炭素材料とすることができる。

【0028】
用いるリン酸イオン含有溶液の量は、リン酸イオン含有溶液の濃度などに応じて適宜調整すればよい。リン酸イオン含有溶液としてリン酸水素二ナトリウム水溶液を用いる場合、リン酸水素二ナトリウム水溶液に含まれているリン酸水素二ナトリウムの量は、NaHPO・12HOの質量として、多孔性炭素材料の総質量に対して、好ましくは0.6~4.0g/gである。

【0029】
リン酸イオン含有溶液としてリン酸水素二ナトリウム水溶液を用いる場合、リン酸水素二ナトリウム水溶液を調製する方法としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(NaHPO・12HO)を純水に溶かして調製することができる。リン酸水素二ナトリウム水溶液中のアニオンはHPO2-が主成分となる。

【0030】
(蒸発乾固)
蒸発乾固させる方法としては、例えば、ホットプレート上でリン酸イオン混合液を加熱し水分を蒸発させ、水分がほとんどなくなった後、乾燥する第一の方法;リン酸イオン混合液を常温・常圧下で放置して、リン酸イオン混合液の溶媒を蒸発させる第二の方法;リン酸イオン混合液を溶媒が沸騰しない程度の温度に加熱して、リン酸イオン混合液の溶媒を蒸発させる第三の方法などが挙げられる。第一の方法において、ホットプレートの設定温度は、ホットプレートと加熱容器の大きさなどに応じて適宜調整すればよく、リン酸イオン混合液を沸騰させない温度に調整することが好ましく、具体的には80~200℃であることが好ましい。第一の方法における、乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥;風乾;乾燥剤を備えた真空デシケータ内に凝固剤を静置し、油回転真空ポンプで真空デシケータ内を減圧することで、凝固剤を減圧乾燥する方法などが挙げられる。第三の方法において、リン酸イオン混合液を加熱する方法として、例えば、エバポレーターなどを用いることができる。

【0031】
リン酸イオン混合液を蒸発乾固させた後、必要により、凝固物を乾燥させてもよい。凝固物を乾燥させる方法としては、例えば、加熱乾燥;風乾;乾燥剤を備えた真空デシケータ内に凝固剤を静置し、油回転真空ポンプで真空デシケータ内を減圧することで、凝固剤を減圧乾燥する方法などが挙げられる。

【0032】
<固液分離工程>
固液分離工程では、凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離する。すなわち、凝固物と銀イオン含有溶液を混合して銀イオン混合液を得、得られる銀イオン混合液を固液分離する。これにより、リン酸銀担持多孔性炭素材料が得られる。

【0033】
(銀イオン含有溶液)
銀イオン含有溶液は、銀イオンを含有する溶液であればよく、銀がイオンとして溶解していれば、溶質や溶媒は限定されない。なかでも、銀イオン含有溶液として、硝酸銀水溶液を用いることが好ましい。また、銀イオン含有溶液は、リン酸イオン含有溶液とは別の溶媒を用いた溶液であってもよい。例えば、リン酸イオン含有溶液及び銀イオン含有溶液として、リン酸水素二ナトリウム水溶液と硝酸銀のエタノール溶液との組み合わせを用いることもできる。

【0034】
銀イオン含有溶液の濃度は、リン酸イオン含有溶液の濃度に応じて適宜調整すればよく、好ましくは3~5g/lである。銀イオン含有溶液の濃度が上記範囲内であれば、金属銀(Ag)の担持量がより少なく、リン酸銀(AgPO)がより分散して担持したリン酸銀担持多孔性炭素材料とすることができる。また、銀イオン含有溶液の濃度は、リン酸イオン含有溶液の濃度に対して、好ましくは0.5~1.0倍、より好ましくは0.8~1.0倍である。リン酸イオン含有溶液の濃度及び銀イオン含有溶液の濃度が上記範囲内で、かつ銀イオン含有溶液の濃度がリン酸イオン含有溶液の濃度に対して上記範囲内であれば、凝固物に担持しないリン酸銀等の生成をより抑制することができる。

【0035】
用いる銀イオン含有溶液は、pHを3~8に調整することが好ましい。pHが3より小さいとリン酸銀が生成しないおそれがある。

【0036】
用いる銀イオン含有溶液の量は、銀イオン含有溶液の濃度などに応じて適宜調整すればよい。また、銀イオン含有溶液として硝酸銀水溶液を用いる場合、硝酸銀水溶液に含まれる硝酸銀の量は、多孔性炭素材料の総質量に対して、好ましくは0.6~1.0g/gである。

【0037】
(接触)
凝固物を銀イオン含有溶液と接触させる方法は、イオン交換反応が可能なように銀イオンと接触することができれば特に限定されず、例えば、凝固物を硝酸銀水溶液に浸漬する方法などが挙げられる。

【0038】
凝固物を銀イオン含有溶液と接触させてから、銀イオン混合液を固液分離するまでに、銀イオン含有溶液を15~25℃で数分以上保持することが好ましい。すなわち、凝固物表面に存在するリン酸塩のカチオンと銀のイオン交換反応が起こるように、つまり数分以上保持することが好ましい。

【0039】
(固液分離)
固液分離する方法としては、特に限定されず、例えば、ろ過法、遠心分離法、沈殿分離法、減圧濃縮などの公知の方法が挙げられる。

【0040】
銀イオン混合液を固液分離させた後、必要により、リン酸銀担持多孔性炭素材料を乾燥させてもよい。凝固物を乾燥させる方法としては、例えば、加熱乾燥;風乾;乾燥剤を備えた真空デシケータ内に凝固剤を静置し、油回転真空ポンプで真空デシケータ内を減圧することで、凝固剤を減圧乾燥する方法などが挙げられる。

【0041】
〔第二実施形態に係るリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法〕
第二実施形態に係るリン酸銀担持多孔性炭素材料の製造方法は、第一実施形態において、蒸発乾固工程の前に、木質バイオマスを400~1000℃で加熱処理して多孔性炭素材料を得る工程(以下、加熱処理工程)を有する他は、第一実施形態と同様である。すなわち、第二実施形態に係る製造方法は、加熱処理工程、蒸発乾固工程及び固液分離工程をこの順で行う。以下、蒸発乾固工程及び固液分離工程については説明を省略する。

【0042】
<加熱処理工程>
加熱処理工程では、木質バイオマスを400~1000℃で加熱処理して多孔性炭素材料を得る。この加熱処理によって得られる多孔性炭素材料を用いれば、リン酸銀(AgPO)の担持量がより多く、金属銀(Ag)の担持量がより少ないリン酸銀担持多孔性炭素材料とすることができる。

【0043】
(木質バイオマス)
木質バイオマスは、再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)であって木材からなるものである。木質バイオマスの具体例としては、樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹の剪定枝などを挙げることができる。このような木質バイオマスは、あらかじめ100~120℃で8~48時間乾燥させることによって水分を除去しておくことが好ましい。加熱処理の処理時間は、0.5~3.0時間であることが好ましい。

【0044】
木質バイオマスを加熱処理して得られる加熱処理物は、放冷後、ふるいにかけるなどして所定の大きさに整えるようにしてもよい。

【0045】
(加熱処理)
木質バイオマスの加熱処理の温度は、400~1000℃、好ましくは550~850℃である。木質バイオマスの加熱処理の時間は、木質バイオマスの加熱処理の温度が所望の温度に到達すれば特に限定されない。木質バイオマスを加熱処理する方法としては、例えば、電気炉を用いる方法、炭窯を用いる方法、バーナー等を備えた工業炉を用いる方法などが挙げられる。

【0046】
〔リン酸銀担持多孔性炭素材料〕
本実施形態に係るリン酸銀担持多孔性炭素材料は、多孔性炭素材料を含む担体と、担体に担持された、リン酸銀を含む光触媒成分とを含む。すなわち、リン酸銀担持多孔性炭素材料は、多孔性炭素材料の吸着性能と、可視光照射下におけるリン酸銀(AgPO)の酸化分解力(光触媒性能)とを有する。そのため、例えば、光化学オキシダントの原因となる揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)を除去することができる。

【0047】
リン酸銀担持多孔性炭素材料のBET比表面積は、好ましくは100~1000m/g、より好ましくは300~700m/gである。リン酸銀担持多孔性炭素材料のBET比表面積が上記範囲内であれば、多孔性炭素材料由来の優れた吸着性能を発揮するリン酸銀担持多孔性炭素材料とすることができる。

【0048】
リン酸銀担持多孔性炭素材料のリン酸銀の担持量は、銀換算で、好ましくは5~25質量%、より好ましくは5~10質量%である。リン酸銀の担持量が上記範囲内であれば、可視光照射下におけるリン酸銀(AgPO)の酸化分解力がより発揮されやすいリン酸銀担持多孔性炭素材料とすることができる。リン酸銀担持多孔性炭素材料のリン酸銀の担持量は実施例に記載の方法と同様にして測定することができる。

【0049】
多孔性炭素材料を含む担体は、上述した多孔性炭素材料を含むものであれば特に限定されない。光触媒成分は、リン酸銀を含むものであれば特に限定されない。光触媒成分は、リン酸銀を含むので、可視光照射下で高い酸化分解力を発揮し、ほとんどすべての有機物を分解し、最終的に二酸化炭素と水にすることができる。そのため、リン酸銀担持多孔性炭素材料は、脱臭剤、抗菌剤、有害ガス除去剤、水浄化剤などとして利用することができる。可視光とは波長が380nm~830nmの領域の光を指すものである。可視光は、例えば、白色蛍光灯、太陽光、白色LED、電球、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の一般照明;青色発光ダイオード;青色レーザ等を光源とする光であってもよい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【実施例】
【0051】
[実施例1]
(加熱処理工程)
115℃で24時間乾燥したスギのおが屑をるつぼに入れ、電気炉(株式会社いすゞ製作所製、「EPDS-7.2R」)内で加熱処理した。700℃で1時間加熱処理した後、炉内放冷して、加熱処理物を得た。得られた加熱処理物を、ふるいにかけて粒径106~1000μmの多孔性炭素材料を得た。得られた多孔性炭素材料の全細孔容積は、相対圧力0.98における窒素吸着量から求めたところ、0.24mL/gであった。
【実施例】
【0052】
(蒸発乾固工程)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物(NaHPO・12HO)2gを純水 100mlに溶かしてリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)(以下、リン酸イオン含有溶液という場合がある)を調整した。
【実施例】
【0053】
得られた多孔性炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これにリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)100mlを添加してリン酸イオン混合液を得た。リン酸イオン混合液を24時間撹拌後、200℃に設定したホットプレート上で加熱して、リン酸イオン混合液が沸騰していない状態で水分を蒸発させ、水分がほとんどなくなった後、乾燥機(アズワン株式会社製、「ONW-450S」)で乾燥して(蒸発乾固させて)、粉末状の凝固物を得た。
【実施例】
【0054】
(固液分離工程)
得られた凝固物 0.5gを200mlの三角フラスコにとり、これに硝酸銀(AgNO)水溶液(濃度:5g/l)(以下、銀イオン含有溶液という場合がある)100mlを添加し、20℃・常圧下で60分間保持し、ろ過して、純水で洗浄し、115℃で24時間乾燥して試料を得た。
【実施例】
【0055】
<粉末X線回折測定>
得られた試料の粉末X線回折測定を下記の測定条件で行った。測定結果を図1に示す。
測定条件:
測定装置 :X線回折装置(株式会社リガク製、「RINT-UltimaIII」)
X線の照射線源 :Cu-Kα線
管電圧 :40kV
管電流 :40mA
走査速度 :0.4degree/min
測定範囲 :回折角2θ=20~90
<走査型電子顕微鏡観察>
電解放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「SU8000」)を用いて得られた試料を観察した。試料を倍率500倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。試料を倍率10,000倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
【実施例】
【0056】
<BET比表面積測定>
BET比表面積測定装置(Quantachrome製、「AUTOSORB-1-C」)を用いて、吸着温度77.4K、相対圧力0.01~1.0の範囲で窒素の吸着等温線を作成し、BETプロットから、得られた多孔性炭素材料及び試料のBET比表面積を測定した。測定結果を表1に示す。
【実施例】
【0057】
<Ag含有量測定>
エネルギー分散型蛍光X線測定装置(株式会社リガク製、「EDXL 300」)を用いて、蛍光X線元素分析法により、得られた試料のAg含有量を測定した。測定結果を表1に示す。
【実施例】
【0058】
[比較例1]
115℃で24時間乾燥したスギのおが屑20gと、リン酸水素二ナトリウム水和物(NaHPO・12HO) 1.7gと、硝酸銀(AgNO)2.4gと、ボール(直径:10mmと20mm)とをボールミル容器に入れて混合し、卓上ボールミル装置(アズワン株式会社製の「PM-001」)を用いて、100rpmの条件で5時間、混合攪拌し、混合物を得た。
【実施例】
【0059】
得られた混合物をるつぼに入れ、電気炉(株式会社いすず製作所、「EPDS-7.2R」)内で加熱処理した。700℃で1時間加熱処理した後、炉内放冷して、加熱処理物を得た。得られた加熱処理物を、ふるいにかけて粒径106~1000μmの試料を得た。
【実施例】
【0060】
得られた試料の粉末X線回折測定を実施例1と同様にして行った。測定結果を図1に示す。
【実施例】
【0061】
[比較例2]
実施例1と同様にして多孔性炭素材料及びリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)を得た。
【実施例】
【0062】
得られた多孔性炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これに硝酸銀(AgNO)水溶液(濃度:5g/l)100mlを添加し、20℃・常圧下で24時間保持し、ろ過し、純水で洗浄し、115℃で24時間乾燥して炭素材料を得た。
【実施例】
【0063】
次いで、得られた炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これにリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)100mlを添加し、20℃・常圧下で60分間保持し、ろ過し、純水で洗浄し、115℃で24時間乾燥して試料を得た。
【実施例】
【0064】
得られた試料の粉末X線回折測定を実施例1と同様にして行った。測定結果を図1に示す。
【実施例】
【0065】
[比較例3]
実施例1と同様にして多孔性炭素材料及びリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)を得た。
【実施例】
【0066】
得られた多孔性炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これにリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)100mlを添加し、20℃・常圧下で24時間保持し、ろ過し、純水で洗浄し、115℃で24時間乾燥して炭素材料を得た。
【実施例】
【0067】
次いで、得られた炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これに硝酸銀(AgNO)水溶液(5g/l)100mlを添加し、20℃・常圧下で60分間保持し、ろ過し、純水で洗浄し、115℃で24時間乾燥して試料を得た。
【実施例】
【0068】
得られた試料の粉末X線回折測定を実施例1と同様にして行った。測定結果を図1に示す。
【実施例】
【0069】
[実施例2]
スギのおが屑の加熱処理を700℃から、400℃に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法で試料を得た。多孔性炭素材料のBET比表面積は、141m/g、全細孔容量は0.074ml/gであった。そして、実施例1と同様に、得られた試料の粉末X線回折測定を行った。測定結果を図4に示す。
【実施例】
【0070】
[実施例3]
スギのおが屑の加熱処理を700℃から、1000℃に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法で試料を得た。多孔性炭素材料のBET比表面積は、944m/g、全細孔容量は0.47ml/gであった。そして、実施例1と同様に、得られた試料の粉末X線回折測定を行った。測定結果を図4に示す。
【実施例】
【0071】
[比較例4]
実施例1と同様にして多孔性炭素材料及びリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)を得た。
【実施例】
【0072】
得られた多孔性炭素材料 0.5gを200mLの三角フラスコにとり、これにリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液(濃度:20g/l)100mlを添加し、24時間撹拌した。
【実施例】
【0073】
次いで、これに硝酸銀(AgNO)水溶液(5g/l)100mlを滴下したところ、滴下すると同時に溶液中に黄色の結晶が生成した。生成した黄色の結晶のみをろ過、洗浄、乾燥し、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った結果、黄色の結晶は、リン酸銀(AgPO)であることを確認した。
【実施例】
【0074】
【表1】
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【実施例】
【0075】
実施例1~3では、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得、凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離したので、図1、図4に示すように、得られた試料の粉末X線回折測定の測定結果において、リン酸銀(AgPO)に帰属する幾つかの回折ピークが検出された。この結果から、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)が存在することが確認できた。さらに、図2及び図3に示すように、試料の走査型電子顕微鏡による観察により、多孔性炭素材料の表面に、数十nmから数μmほどに凝集した粒子が担持していることが確認できた。これらの結果から、多孔性炭素材料表面に担持されている、数十nmから数μmほどに凝集した粒子は、リン酸銀(AgPO)の粒子であると考えられる。
【実施例】
【0076】
これに対し、比較例1~3では、多孔性炭素材料をリン酸イオン含有溶液に浸漬し、蒸発乾固させて凝固物を得、凝固物を銀イオン含有溶液と接触させその後、固液分離しなかったので、図1に示すように、得られた試料の粉末X線回折測定の測定結果において、リン酸銀(AgPO)に帰属する回折ピークが検出されなかった。この結果から、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)が存在しないか、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)が存在するとしても、リン酸銀(AgPO)の結晶の質量濃度が、銀(Ag)の結晶の質量濃度に比べて極めて低いことが確認できた。これにより、比較例1~3の多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)がほぼ存在しないと評価できる。一方、得られた試料の粉末X線回折測定の測定結果において、金属銀(Ag)に帰属する幾つかの回折ピークが検出された。この結果から、多孔性炭素材料の表面には、金属銀(Ag)が存在することが確認できた。
【実施例】
【0077】
比較例1において、リン酸銀(AgPO)に帰属する回折ピークが検出されなかったのは、混合物の加熱処理時に発生するガス(CO、CO、CH等)によって、リン酸銀(AgPO)の大部分が金属銀(Ag)に還元されたためと考えられる。
【実施例】
【0078】
比較例2において、リン酸銀(AgPO)に帰属する回折ピークが検出されなかったのは、硝酸銀(AgNO)水溶液を添加した際に、多孔性炭素材料表面で硝酸銀(AgNO)水溶液中の銀イオン(Ag)が金属銀(Ag)に還元されて、表面に金属銀(Ag)が担持した炭素材料が得られ、その後、この炭素材料をリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液に浸漬しても、炭素材料の表面に担持した金属銀(Ag)とリン酸水素イオン(HPO2-)とがほとんど反応しなかったためと考えられる。
【実施例】
【0079】
比較例3において、リン酸銀(AgPO)に帰属する回折ピークが検出されなかったのは、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液を添加した際、表面の大部分にリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)がほとんど担持してない炭素材料が得られ、その後、この炭素材料を硝酸銀(AgNO)水溶液に浸漬すると、硝酸銀(AgNO)水溶液中の大部分の銀イオン(Ag)が炭素材料表面で金属銀(Ag)に還元されて、金属銀(Ag)が炭素材料表面に担持したためと考えられる。
【実施例】
【0080】
比較例4において、リン酸イオン混合液を固液分離せずに、そのまま硝酸銀(AgNO)水溶液を添加すると、硝酸銀(AgNO)水溶液中の大部分の銀イオン(Ag)が炭素材料表面に到達する前に溶媒中でリン酸水素二ナトリウムと反応してリン酸銀が生成してしまった。
【実施例】
【0081】
一方、実施例1~3において、リン酸銀(AgPO)に帰属する幾つかの回折ピークが検出されたのは、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)溶液をろ過せずに蒸発乾固したことにより、表面の大部分がリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)で覆われた多孔性炭素材料が得られ、その後、この多孔性炭素材料を硝酸銀(AgNO)水溶液に浸漬することで、多孔性炭素材料表面を覆っているリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)とリン酸銀(AgNO)とが反応し、リン酸銀(AgPO)が生成したためと考えられる。
【実施例】
【0082】
そして、図4の粉末X線回折の結果から、実施例1~3のうち実施例1(炭素化の加熱温度が700℃)の試料が、最もリン酸銀のピーク強度が大きく、リン酸銀が最もよく生成していると考えられる。
【実施例】
【0083】
実施例1において、表1に示すように、リン酸銀担持多孔性炭素材料のBET比表面積は、多孔性炭素材料のBET比表面積よりも小さかった。これは、図2に示すように、多孔性炭素材料の細孔がリン酸銀(AgPO)によって覆われたためと考えられる。
【実施例】
【0084】
[実施例4]
リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液の濃度を20g/lから3g/l、5g/l又は10g/lにかえて、硝酸銀(AgNO)水溶液の濃度を5g/l又は3g/lにした以外は、実施例1と同様の方法で試料を得た。そして、実施例1と同様に、得られた試料の粉末X線回折測定を行った。
【実施例】
【0085】
その結果、いずれの場合にも、リン酸銀(AgPO)に帰属する幾つかの回折ピークが検出された。この結果から、多孔性炭素材料の表面にリン酸銀(AgPO)が存在することが確認できた。
【実施例】
【0086】
中でも、(リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液の濃度,硝酸銀(AgNO)水溶液の濃度)=(5g/l,5g/l)、(10g/l,5g/l)の場合が、もっとも金属銀が生成することなくリン酸銀が生成していることが確認できた。さらに、(リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)水溶液の濃度、硝酸銀(AgNO)水溶液の濃度)=(5g/l,5g/l)が最もリン酸銀がよく生成していることが確認できた。
【実施例】
【0087】
[実施例5]
実施例1で得られた試料 0.1gとメチレンブルー水溶液 30mlを100mLの三角フラスコに入れ、20℃の暗室内に静置した。水溶液の色の変化がなくなり、試料への吸着が飽和してから、水溶液をサンプリングし、その吸光度を測定した。その後、ハロゲンランプ(Schott社製、「MegaLight100」)を用いて、可視光を試料に照射し、一定時間ごとに水溶液サンプルを採取し、その吸光度を測定することによってメチレンブルーの分解について測定を行った。その結果を図5に示す。図5では、試料への吸着が飽和し、ハロゲンランプの照射を開始した時点を0分としている。そして、横軸はハロゲンランプの照射時間を示し、縦軸は水溶液中のメチレンブルーの濃度を示す。なお、図5において、-30分とはハロゲンランプの照射を開始した時点の30分前を意味し、-60分とはハロゲンランプの照射を開始した時点の60分前を意味する。
【実施例】
【0088】
メチレンブルーの濃度は、予め求めておいた、吸光度と水溶液中のエチレンブルーの濃度の検量線から算出している。図5より、実施例1で得られた試料に可視光を照射することによりメチレンブルーの濃度が低下、すなわち、ハロゲンランプによりメチレンブルーが分解されており、リン酸銀の可視光光触媒効果を確認することができた。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4