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明細書 :検査・診断装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年7月27日(2017.7.27)
発明の名称または考案の名称 検査・診断装置
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
FI A61B 10/00 V
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 16
出願番号 特願2017-515371 (P2017-515371)
国際出願番号 PCT/JP2016/001819
国際公開番号 WO2016/174819
国際出願日 平成28年3月29日(2016.3.29)
国際公開日 平成28年11月3日(2016.11.3)
優先権出願番号 2015090299
優先日 平成27年4月27日(2015.4.27)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】花之内 健仁
出願人 【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
【識別番号】100108523、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 雅博
【識別番号】100187931、【弁理士】、【氏名又は名称】澤村 英幸
審査請求
要約 検査・診断装置は、プローブ、応力検出部および把持部を含む。プローブは、長身部および先端部を有し、先端部は長身部の一端部から屈曲するように設けられる。応力検出部は、プローブの先端部に加わるX方向の力、Y方向の力およびZ方向の力を検出可能に構成される。プローブの先端部は、X方向およびZ方向に平行な面内で屈曲してもよい。使用者は、把持部を把持しつつプローブの先端部を検査および診断の対象である関節部に接触させる。
特許請求の範囲 【請求項1】
関節部の状態を検査または診断するための検査・診断装置であって、
使用者により把持される把持部と、
前記把持部から第1の方向に延びるように設けられ、屈曲された先端部を有するプローブと、
前記プローブの前記先端部に対して前記第1の方向に加わる力を検出するとともに、前記プローブの前記先端部に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に加わる力を検出する検出部とを備える、検査・診断装置。
【請求項2】
前記プローブの前記先端部は、前記第1の方向および前記第2の方向に平行な面内で屈曲するように設けられる、請求項1記載の検査・診断装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記プローブの前記先端部に対して前記第1の方向および前記第2の方向に交差する第3の方向に加わる力を検出する、請求項1または2記載の検査・診断装置。
【請求項4】
前記把持部を前記第1の方向に移動可能に支持するとともに、使用者により前記把持部とともに把持される支持部材と、
前記把持部に対する前記支持部材の移動量の計測のための移動量計測部とをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の検査・診断装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、関節部の状態を検査または診断する検査・診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科手術として、関節内およびその周囲の組織の治療を行う関節鏡手術がある。関節鏡手術では、関節鏡が関節内に挿入され、病態が確認されつつ施術が行われる。
【0003】
関節鏡手術において、プローブを用いて組織の損傷の確認が行われることがある(非特許文献1および2等参照)。例えば、股関節鏡手術の対象となる股関節疾患の代表例として、変形性股関節症がある。近年、変形性股関節症の前駆症状が股関節辺縁部の関節唇に現れることが認知されつつあり、症状が進行して軟骨に障害が生じることも判明している。そこで、股関節部の病態把握において、プローブを用いて関節唇の牽引または軟骨の押圧等が行われ、関節唇および軟骨の損傷の有無および損傷の程度が定性的に評価される。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】岩本幸英編、「股関節疾患の治療」、別冊整形外科、南江堂、2010年、No.57、p.105-108
【非特許文献2】J.W. Thomas Byrd and Carlos A. Guanche “AANA Advanced Arthroscopy: The Hip”、(米国)、Elsevier Inc.、2010年、p.39、41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなプローブを用いた関節部の状態の検査および診断は、医師がプローブから手に加わる感覚に基づいて自らの感覚で行う。それにより、適切な評価を行うためには、豊富な知識および経験が必要となる。そのため、経験の浅い医師がプローブを用いて適切に検査および診断を行うことは難しい。また、経験を積んだ医師であっても、手術手技の結果として損傷部位がどの程度改善されたかを定量的に評価することができない。
【0006】
本発明の目的は、プローブを用いた関節部の検査および診断を使用者の熟練度に依存せずに効率良くかつ適切に行うことが可能な検査・診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る検査・診断装置は、関節部の状態を検査または診断するための検査・診断装置であって、使用者により把持される把持部と、把持部から第1の方向に延びるように設けられ、屈曲された先端部を有するプローブと、プローブの先端部に対して第1の方向に加わる力を検出するとともに、プローブの先端部に対して第1の方向と交差する第2の方向に加わる力を検出する検出部とを備える。
【0008】
この検査・診断装置においては、使用者により把持部が把持されつつプローブの先端部が関節部に接触される。プローブによって関節部が牽引または押圧されることにより、関節部からプローブの先端部に反力が加わる。関節部からプローブの先端部に対して第1の方向に加わる力および第2の方向に加わる力がそれぞれ検出部により検出される。
【0009】
プローブは第1の方向に延びるので、牽引または押圧に対する関節部の反力は、第1の方向の力に対応する。そのため、検出される第1の方向の力に基づいて、牽引または押圧による関節部の状態の評価を適切にかつ定量的に行うことができる。また、他の要因によって関節からプローブに第1の方向と異なる方向の反力が加わることがある。上記の構成では、第1の方向と交差する第2の方向の力が検出されるので、検出される第2の方向の力に基づいて、他の要因によりプローブの先端部に加わる力を把握することができる。それにより、関節部に対する多様な評価が可能となる。これらにより、プローブを用いた関節部の検査および診断を使用者の熟練度に依存せずに効率良くかつ適切に行うことが可能となる。
【0010】
(2)プローブの先端部は、第1の方向および第2の方向に平行な面内で屈曲するように設けられてもよい。この場合、プローブによる関節部の牽引または押圧時に、プローブの先端部に第2の方向に加わる力が比較的大きくなる。それにより、検出される第2の方向の力に基づいて、プローブの先端部に加わる力を適切に把握することができる。
【0011】
(3)検出部は、プローブの先端部に対して第1の方向および第2の方向に交差する第3の方向に加わる力を検出してもよい。この場合、検出される第3の方向の力に基づいて、関節部に対するより多様な評価を行うことができる。
【0012】
(4)検査・診断装置は、把持部を第1の方向に移動可能に支持するとともに、使用者により把持部とともに把持される支持部材と、把持部に対する支持部材の移動量の計測のための移動量計測部とをさらに備えてもよい。
【0013】
この場合、使用者は、第1の方向への把持部の移動量を把握することができるので、プローブを引っ張る距離および押し出す距離を容易に一定に調整することができる。それにより、検査時および診断時のプローブの移動量の再現性を確保しつつプローブの先端部に加わる力を把握することができる。その結果、牽引および押圧による関節部の状態の評価をより正確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プローブを用いた関節部の検査および診断を使用者の熟練度に依存せずに効率良くかつ適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は第1の実施の形態に係る検査・診断装置の外観斜視図である。
【図2】図2は図1の検査・診断装置の側面図である。
【図3】図3はプローブの取付について説明するための図である。
【図4】図4は検査・診断装置に接続される外部装置について説明するための図である。
【図5】図5は股関節およびその周辺部について説明するための図である。
【図6】図6は検査・診断装置による関節部の検査および診断の例について説明するための模式図である。
【図7】図7は計測画面の一例を示す図である。
【図8】図8はプローブの先端部の他の形状の例を示す図である。
【図9】図9は第2の実施の形態に係る検査・診断装置の外観斜視図である。
【図10】図10は検査・診断装置の装置本体部が支持部材に嵌め合わされた状態を示す外観斜視図である。
【図11】図11は使用者により検査・診断装置が把持された状態の一例を示す外観斜視図である。
【図12】図12は使用者により検査・診断装置が把持された状態の他の例を示す外観斜視図である。
【図13】図13は把持部および支持部材の一部の拡大平面図である。
【図14】図14は移動量計測部の他の例を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る検査・診断装置について、図面を参照しながら説明する。

【0017】
(1)第1の実施の形態の構成
図1は、第1の実施の形態に係る検査・診断装置10の外観斜視図であり、図2は、図1の検査・診断装置10の側面図である。図1および図2に示すように、検査・診断装置10は、プローブ1、応力検出部2および把持部3を含む。

【0018】
プローブ1は、長身部1a、先端部1bおよび取付部1cを有する。長身部1aは直線状に延びる。先端部1bは、長身部1aの一端部から屈曲するように設けられる。取付部1cは長身部1aの他端部に設けられる。プローブ1は、防食性が高い材料により形成されることが好ましく、例えばステンレス鋼により形成される。他の金属または樹脂等の他の材料によりプローブ1が形成されてもよい。

【0019】
本実施の形態では、長身部1aに平行な方向がZ方向と定義され、Z方向に垂直でかつ互いに直交する2方向がX方向およびY方向とそれぞれ定義される。図1、図2ならびに後述する図3および図6には、X方向、Y方向およびZ方向をそれぞれ表す矢印が付される。本例において、先端部1bは、X方向に沿うように長身部1aの一端部から垂直に屈曲される。この場合、先端部1bは、X方向およびZ方向に平行な面内で屈曲している。

【0020】
プローブ1の先端部1bが、検査および診断の対象である関節部に接触される。関節部とは、関節内および関節周囲の組織を意味する。関節部の具体例については後述する。先端部1b近傍の長身部1aの部分には、複数の目盛SCが一定の間隔で刻印される。目盛SCの間隔は、例えば5mmである。例えば、関節鏡を用いて関節部を観察しつつ検査・診断装置10による検査および診断を行う場合に、使用者は、プローブ1に付された目盛SCを目安として関節部における実際の寸法を把握しやすくなる。

【0021】
図2に示すように、応力検出部2は、X方向およびY方向に平行な受圧面2aおよび固定面2bを有する。プローブ1は、板状の接続部材C1を介して応力検出部2の受圧面2aの中心部に取り付けられる。応力検出部2から延びるようにケーブル2cが設けられる。

【0022】
応力検出部2は、プローブ1の先端部1bに加わるX方向の力Fx、Y方向の力FyおよびZ方向の力Fzを検出可能に構成される。本実施の形態では、応力検出部2は、3分力歪みゲージ式ロードセルであり、起歪体ならびに第1、第2および第3の歪みゲージを含む。第1の歪みゲージはX方向に沿って起歪体に貼り付けられ、第2の歪みゲージはY方向に沿って起歪体に貼り付けられ、第3の歪みゲージはZ方向に沿って起歪体に貼り付けられる。プローブ1に力が加わると、接続部材C1を介して受圧面2aに力が加わり、起歪体に歪みが生じる。その歪みに基づいて第1、第2および第3の歪みゲージによりX方向、Y方向およびZ方向の力が検出され、アナログの電気信号としてケーブル2cを通して出力される。ケーブル2cに出力されるアナログの電気信号は、プローブ1の先端部1bに加わるX方向の力Fx、Y方向の力FyおよびZ方向の力Fzを表すように予め校正されている。

【0023】
把持部3は、Z方向に延びるように円柱状に設けられ、接続部材C2を介して応力検出部2の固定面2bに固定される。本例では、把持部3の軸心とプローブ1の長身部1aの軸心とが共通の直線上に位置する。使用者は、把持部3を把持しつつプローブ1の先端部1bを関節部に接触させる。なお、把持部3の形状は円柱状に限定されず、扁平状または湾曲形状等の他の形状であってもよい。また、使用者が把持しやすいように把持部3の表面に凹凸等が形成されてもよい。

【0024】
図3は、プローブ1の取付について説明するための図である。図3に示すように、接続部材C1は、応力検出部2の受圧面2aに固定される。接続部材C1の中心部には、Z方向に突出するように雄ねじS1が形成される。プローブ1の取付部1cには、雄ねじS1に対応する雌ねじS2が形成される。取付部1cの雌ねじS2に接続部材C1の雄ねじS1が螺合されることにより、プローブ1が接続部材C1に固定される。

【0025】
このように、プローブ1は、応力検出部2に対して容易に着脱可能である。それにより、プローブ1の洗浄、滅菌および消毒等を容易に行うことができる。また、使用後のプローブ1を洗浄、滅菌および消毒等が施されたプローブ1と容易に交換することができる。さらに、後述のように複数種類のプローブ1を選択的に用いることも可能である。

【0026】
図4は、検査・診断装置10に接続される外部装置について説明するための図である。図4に示すように、検査・診断装置10は、ケーブル2cを介してA/D(アナログ/デジタル)変換器20に接続され、A/D変換器20は、ケーブル2dを介して表示部30に接続される。

【0027】
A/D変換器20は、応力検出部2から出力されるアナログの電気信号をデジタル信号に変換し、表示部30に与える。表示部30は、例えば液晶ディスプレイを含み、A/D変換器20から与えられるデジタル信号に基づいて、検査・診断装置10により検出された力Fx,Fy,Fzを表示する。

【0028】
(2)関節部
関節部の具体例として、股関節およびその周辺部について説明する。図5は、股関節およびその周辺部について説明するための図である。図5(a)は、左右の股関節を含む骨格を示す。図5(b)は、左股関節の拡大図である。

【0029】
図5(a)に示すように、骨盤B1と左大腿骨B2との間に左股関節J1があり、骨盤B1と右大腿骨B3との間に右股関節J2がある。以下、代表的に左股関節J1について説明する。図5(b)に示すように、左股関節J1は、骨盤B1の寛骨臼B11および左大腿骨B2の大腿骨頭B21により構成される。寛骨臼B11の辺縁に関節唇31がある。左股関節J1内およびその周囲には、大腿骨靭帯32および軟骨33等の他の種々の組織がある。

【0030】
検査・診断装置10は、例えば、股関節J1,J2内の組織である関節唇31の状態の検査および診断を行うために用いられる。検査および診断の対象は、関節唇31に限定されず、靭帯および軟骨等の股関節J1,J2内または股関節J1,J2の周囲にある種々の組織であってもよい。また、検査および診断の対象となる関節部は、股関節J1,J2内およびその周囲の組織に限定されず、膝関節または肩関節等の他の関節内もしくはその周囲の組織であってもよい。

【0031】
(3)検査および診断
図6は、検査・診断装置10による関節部の検査および診断の例について説明するための模式図である。図6の例では、関節部に相当する部位PSに対する検査および診断が行われる。部位PSは、図5(b)の関節唇31および軟骨33を含み、凹状に湾曲した形状を有する。

【0032】
図6(a)の例では、プローブ1の先端部1bが関節唇31に掛止された状態で、プローブ1が使用者側に引っ張られる。それにより、関節唇31が牽引される。図6(b)の例では、プローブ1の先端部1bが軟骨33に押し当てられる。それにより、軟骨33が押圧される。また、プローブ1によって関節唇31が押圧されてもよい。通常、関節唇31の外側の面にプローブ1の先端部1bが押し当てられることによって関節唇31が押圧される。

【0033】
このように、プローブ1によって部位PSが牽引または押圧されることにより、部位PSからプローブ1の先端部1bに反力が加わる。部位PSからの反力は、X方向、Y方向およびZ方向の力Fx,Fy,Fzに分解される。

【0034】
図6(a)の例では、関節唇31の牽引に対して、Z方向において応力検出部2の受圧面2a(図2)から遠ざかる方向への力Fzが働く。また、先端部1bを関節唇31に掛止するために、先端部1bが関節唇31の縁部に押し当てられる。そのため、X方向において先端部1bの屈曲方向と逆の方向への力Fxが働く。また、関節唇31の形状およびプローブ1の引張方向等に起因して、Y方向の力Fyが働く。図6(b)の例では、軟骨33の押圧に対して、Z方向において応力検出部2の受圧面2a(図2)に向かう方向への力Fzが働く。また、軟骨33の形状およびプローブ1の押し当て方向等に起因して、X方向およびY方向の力Fx,Fyが働く。このようにして関節部からプローブ1の先端部1bに加わる力Fx,Fy,Fzが、図2の応力検出部2により検出される。

【0035】
図4の表示部30は、検出された力Fx,Fy,Fzを表す計測画面を表示する。図7は、計測画面の一例を示す図である。図7の計測画面MIは、波形表示部D1,D2,D3を含む。波形表示部D1~D3の各々において、横軸は時間を表し、縦軸は、力の大きさを表す。波形表示部D1には、力Fxの時間変化を表す波形が表示され、波形表示部D2には、力Fyの時間変化を表す波形が表示され、波形表示部D3には、力Fzの時間変化を表す波形が表示される。

【0036】
波形表示部D1の上側には、力Fxを表す数値が表示され、波形表示部D2の上側には、力Fyを表す数値が表示され、波形表示部D3の上側には、力Fzを表す数値が表示される。これらの数値は、最新の検出時点での数値であってもよく、使用者が指定した任意の時点での数値であってもよい。

【0037】
例えば、受圧面2aに向かう方向の力Fz(図6(b)の力Fz)が正の値で表され、その逆の方向の力Fz(図6(a)の力Fz)が負の値で表される。また、先端部1bの屈曲方向の力Fxが正の値で表され、その逆の方向の力Fx(図6(a)の力Fx)が負の値で表される。また、Y方向の一方に向かう力Fyが正の値で表され、他方に向かう力Fyが負の値で表される。

【0038】
図7の例では、プローブ1により関節部の牽引が行われる場合の力Fx,Fy,Fzが表示される。この場合、上記のように、受圧面2aから遠ざかる方向の力Fz、および先端部1bの屈曲方向と逆の方向の力Fxが働くので、力Fz,Fxがそれぞれ負の値になる。

【0039】
関節部が牽引または押圧される場合において、Z方向の力Fzと関節部の状態との間には一定の相関がある。例えば、関節部の損傷の程度が大きい場合には、牽引または押圧に対する関節部の反力が小さくなり、力Fzが小さくなりやすい。したがって、力Fzに基づいて、関節部の損傷の有無または損傷の程度を評価することができる。また、表示される力Fx,Fyに基づいて、他の要因によって関節部からプローブ1の先端部1bに加わる力を把握することができる。

【0040】
波形表示部D1~D3の各々の左側に、上限値設定部ULおよび下限値設定部LLが表示される。上限値設定部ULにおいて、波形表示部D1~D3に表示される力Fx,Fy,Fzの上限値が設定され、下限値設定部LLにおいて、波形表示部D1~D3に表示される力Fx,Fy,Fzの下限値が設定される。これらの上限値および下限値を変更することにより、波形表示部D1~D3に表示される波形のダイナミックレンジを変更することができる。

【0041】
(4)効果
従来のプローブを用いた検査および診断では、使用者が手で知覚する力は種々の方向の力の合力であり、かつ関節部からプローブに加わる各方向の反力を定量的に表していない。これに対して、本実施の形態に係る検査・診断装置10においては、プローブ1の先端部1bに加わるX方向の力Fx、Y方向の力FyおよびZ方向の力Fzがそれぞれ検出される。この場合、検出されるZ方向の力Fzに基づいて、関節部の損傷の有無および損傷の程度を適切にかつ定量的に評価することができる。また、検出されるX方向の力FxおよびY方向の力Fyに基づいて、牽引および押圧以外の要因により関節部からプローブ1の先端部1bに働く力を把握することができる。そのため、関節部に対する多様な評価が可能となる。これらにより、プローブ1を用いた関節部の検査および診断を使用者の熟練度に依存せずに効率良くかつ適切に行うことが可能となる。

【0042】
(5)先端部の他の形状
プローブ1の先端部1bの形状は、上記の例に限定されない。図8は、プローブ1の先端部1bの他の形状の例を示す図である。図8(a)の例では、先端部1bが長身部1aに対して鈍角をなすように設けられる。また、図8(b)の例では、先端部1bがU字状に湾曲するように設けられる。このような多様な形状のプローブ1を選択的に用いることにより、種々の形状の関節部に対して適切な検査および診断を行うことが可能となる。

【0043】
(6)第2の実施の形態
図9は、第2の実施の形態に係る検査・診断装置10Aの外観斜視図である。図9の検査・診断装置10Aは、装置本体部10aおよび支持部材50により構成される。装置本体部10aは、プローブ1、応力検出部2および把持部3を含む。装置本体部10aの把持部3の外周面には1つまたは複数の凹部11が形成されている。装置本体部10aの他の部分の構成は、第1の実施の形態に係る検査・診断装置10の構成と同様である。装置本体部10aは、図4に示されるA/D変換器20および表示部30に接続される。以下、装置本体部10aのプローブ1に向かう方向を前方と呼び、プローブ1と反対側に向かう方向を後方と定義する。

【0044】
支持部材50は、合成樹脂またはアルミニウム等の軽量の材料により形成されている。この支持部材50は、半円筒状のスライド部51および略半円形状のストッパ部52を有する。スライド部51は、装置本体部10aの把持部3の外周面に対応する半円筒状の内周面を有する。スライド部51の一端は開放され、ストッパ部52の他端にはスライド部51が設けられている。支持部材50のスライド部51は、装置本体部10aの把持部3をZ方向に移動可能に支持する。なお、スライド部51の形状は、半円筒状に限らず、装置本体部10aの把持部3をZ方向に移動可能に支持することができる形状であれば、他の形状であってもよい。

【0045】
支持部材50は、スライド部51の内周面が上を向いた状態で用いられる。スライド部51の上端面51aにおいてストッパ部52の近傍には、1対の移動量計測部53が設けられている。本実施の形態では、各移動量計測部53は、複数の目盛からなる。支持部材50に1つの移動量計測部53が設けられてもよい。

【0046】
図10は、検査・診断装置10Aの装置本体部10aが支持部材50に嵌め合わされた状態を示す外観斜視図である。図10に示すように、装置本体部10aの把持部3が支持部材50のスライド部51に嵌め合わされる。それにより、把持部3の外周面が支持部材50の内周面に接触する。この状態で、装置本体部10aは支持部材50に対してZ方向に移動可能である。

【0047】
図11は、使用者により検査・診断装置10Aが把持された状態の一例を示す外観斜視図である。図11に示すように、使用者は、手Hの人差し指、中指、薬指および小指で支持部材50を保持し、親指で装置本体部10aの把持部3を押さえることにより、装置本体部10aおよび支持部材50を一体的に把持することができる。この場合、親指を凹部11に掛けることにより装置本体部10aに対する親指の滑りを防止することができる。この状態で、使用者は、親指を前後に動かすことにより装置本体部10aを支持部材50に対してZ方向の前後に移動させることができる。装置本体部10aの後方への移動はストッパ部52により規制される。

【0048】
図12は、使用者により検査・診断装置10Aが把持された状態の他の例を示す外観斜視図である。図12に示すように、使用者は、手Hの親指、薬指および小指で支持部材50を保持し、人差し指および中指で装置本体部10aの把持部3を押さえることにより、装置本体部10aおよび支持部材50を一体的に把持することができる。この場合、人差し指および中指を凹部11に掛けることにより装置本体部10aに対する人差し指および中指の滑りを防止することができる。この状態で、使用者は、人差し指および中指を前後に動かすことにより装置本体部10aを支持部材50に対してZ方向の前後に移動させることができる。

【0049】
図13は、把持部3および支持部材50の一部の拡大平面図である。図13において、移動量計測部53の前端の目盛を第1の基準目盛R1と呼び、後端の目盛を第2の基準目盛R2と呼ぶ。

【0050】
最初に、使用者は、点線で示すように、把持部3の後端面12を移動量計測部53の第1の基準目盛R1に合わせる。この状態で、使用者は、矢印で示すように、支持部材50に対して装置本体部10aを後方に移動させることにより、プローブ1を後方に引っ張ることができる。それにより、プローブ1で関節部を牽引することができる。このとき、使用者は、装置本体部10aの後端面12が移動量計測部53のどの目盛と合っているかを確認することによりプローブ1の移動量を把握することができる。また、使用者は、把持部3の後端面12を移動量計測部53の第2の基準目盛R2に合わせる。この状態で、使用者は、支持部材50に対して装置本体部10aを前方に移動させることにより、プローブ1を前方に押し出すことができる。それにより、プローブ1で関節部を押圧することができる。このとき、使用者は、装置本体部10aの後端面12が移動量計測部53のどの目盛と合っているかを確認することによりプローブ1の移動量を把握することができる。したがって、使用者は、プローブ1を引っ張る距離および押し出す距離を容易に一定に調整することができる。それにより、検査時および診断時のプローブ1の移動量の再現性を確保しつつプローブ1の先端部1bに加わる力を把握することができる。その結果、牽引および押圧による関節部の状態の評価をより正確に行うことが可能となる。

【0051】
また、使用者は、装置本体部10aを移動させる際に装置本体部10aに加わる力を指で感じながらプローブ1の先端部1bに加わる力およびプローブ1の移動量を把握することができる。それにより、患者ごとにプローブ1の適切な移動量を認識することができる。

【0052】
図14は、移動量計測部53の他の例を示す拡大平面図である。図14の移動量計測部53は、変位センサ53aおよび表示部53bにより構成される。変位センサ53aは、把持部3の後端面12の移動量(変位)を計測する。表示部53bとしては、例えば液晶表示装置が用いられる。表示部53bは、変位センサ53aにより計測された移動量を数値で表示する。それにより、使用者は、表示部53bを視認することによりプローブ1の移動量を認識することができる。

【0053】
なお、図14の例では、移動量計測部53の表示部53bが支持部材50に取り付けられているが、表示部53bが支持部材50に取り付けられていなくてもよい。例えば、図4の表示部30が変位センサ53aにより計測された移動量を表示してもよい。

【0054】
(7)他の実施の形態
上記第1および第2の実施の形態では、A/D変換器20および表示部30がそれぞれ検査・診断装置10と別個に設けられるが、本発明はこれに限らない。A/D変換器20が検査・診断装置10に設けられてもよく、A/D変換器20および表示部30の両方が検査・診断装置10に設けられてもよい。

【0055】
また、上記第1および第2の実施の形態では、プローブ1の先端部1bに対してZ方向に加わる力Fzが検出されるとともに、プローブ1の先端部1bに対してZ方向に垂直なX方向およびY方向に加わる力Fx,Fyがそれぞれ検出されるが、本発明はこれに限らない。力Fx,Fyの代わりに、プローブ1の先端部1bに対してZ方向に交差する他の方向に加わる力が検出されてもよい。例えば、図8(a)のように、先端部1bが長身部1aに対して垂直でない方向に屈曲する場合、先端部1bの屈曲方向に平行な方向に働く力が検出されてもよい。

【0056】
上記第1および第2の実施の形態では、Z方向の力Fz以外にX方向およびY方向の2方向の力Fx,Fyがそれぞれ検出されるが、本発明はこれに限らない。Z方向の力Fz以外に1方向の力のみが検出されてもよく、またはZ方向の力Fz以外に3方向以上の力が検出されてもよい。

【0057】
上記第2の実施の形態では、支持部材50と装置本体部10aとが互いに分離可能であるが、装置本体部10aがZ方向に移動可能に支持部材50に取り付けられてもよい。

【0058】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。

【0059】
上記実施の形態においては、検査・診断装置10,10Aが検査・診断装置の例であり、把持部3が把持部の例であり、応力検出部2が検出部の例であり、プローブ1がプローブの例であり、先端部1bが先端部の例であり、Z方向が第1の方向の例であり、X方向が第2の方向の例であり、Y方向が第3の方向の例である。

【0060】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、種々の関節部の検査および診断に有効に利用することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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