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明細書 :送信回路、生体分子検出装置、検出データ収集方法、検出データ収集システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-125914 (P2017-125914A)
公開日 平成29年7月20日(2017.7.20)
発明の名称または考案の名称 送信回路、生体分子検出装置、検出データ収集方法、検出データ収集システム
国際特許分類 G02C   7/04        (2006.01)
H03B   5/12        (2006.01)
H04B   1/04        (2006.01)
FI G02C 7/04
H03B 5/12 B
H04B 1/04 P
H04B 1/04 A
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2016-004336 (P2016-004336)
出願日 平成28年1月13日(2016.1.13)
発明者または考案者 【氏名】新津 葵一
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100084412、【弁理士】、【氏名又は名称】永井 冬紀
【識別番号】100078189、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 隆男
審査請求 未請求
テーマコード 2H006
5J081
5K060
Fターム 2H006BB01
2H006BC00
5J081AA02
5J081BB01
5J081BB06
5J081DD04
5J081EE02
5J081EE03
5J081FF16
5J081MM01
5J081MM06
5K060CC04
5K060CC11
5K060DD09
5K060EE05
5K060HH21
5K060JJ03
5K060JJ04
5K060JJ08
5K060MM00
要約 【課題】生体分子の発電の出力電圧を利用して情報を送信する。
【解決手段】送信回路は、固体触媒による生体分子の分解反応を利用して発電を行う発電部と、上記発電による発電量に基づいた信号を送信する送信部と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
固体触媒による生体分子の分解反応を利用して発電を行う発電部と、
前記発電による発電量に基づいた信号を送信する送信部と、を備える送信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の送信回路において、
前記送信部は、前記発電量に基づいた頻度で信号を送信する送信回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の送信回路において、
前記発電量は、前記生体分子の濃度により変化する送信回路。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の送信回路において、
前記送信回路は、集積回路である送信回路。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の送信回路において、
前記信号は、マイクロ波またはミリ波を含む信号である送信回路。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の送信回路において、
前記送信回路は、前記発電部により発電されて得られた電気エネルギーのみにより前記信号を送信する送信回路。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の送信回路を備える生体分子検出装置であって、
前記生体分子検出装置は、生体の一部と接触する接触部を備え、
前記生体分子は、前記生体が生産する生体分子である生体分子検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生体分子検出装置において、
前記生体分子は、少なくとも一種類の、前記生体で生産される糖類である生体分子検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の生体分子検出装置において、
前記固体触媒は、白金を含む生体分子検出装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の生体分子検出装置において、
前記生体分子検出装置は、コンタクトレンズであり、
前記糖類は、前記コンタクトレンズの装着者の涙液に含まれる糖類である生体分子検出装置。
【請求項11】
請求項8または9に記載の生体分子検出装置において、
前記生体分子は、少なくとも一種類の、前記生体の真皮または皮下組織に含まれる糖類である生体分子検出装置。
【請求項12】
請求項8または9に記載の生体分子検出装置において、
前記生体分子検出装置は、前記生体の内部への埋め込み型装置である生体分子検出装置。
【請求項13】
請求項8または9に記載の生体分子検出装置において、
前記生体分子検出装置は、前記生体の口内に固定され、
前記糖類は、前記生体の唾液に含まれる糖類である生体分子検出装置。
【請求項14】
受信装置と、生体分子の検出信号を送信する生体分子検出装置とにより検出データを収集する検出データ収集方法であって、
前記生体分子検出装置が生体分子を利用した発電を行うことと、
前記生体分子検出装置が前記発電による発電量に基づいた前記検出信号を送信することと、
前記受信装置が前記検出信号を受信することと、
を含む検出データ収集方法。
【請求項15】
受信装置と、生体分子の検出信号を送信する生体分子検出装置とにより検出データを収集する検出データ収集システムであって、
前記生体分子検出装置は、
生体分子を利用して発電を行う発電部と、
前記発電による発電量に基づいた前記検出信号を送信する送信部と、を備え、
前記受信装置は、前記検出信号を受信する検出データ収集システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路と、生体分子検出装置と、検出データ収集方法と、検出データ収集システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
生体の状態の観察や、研究に有用なデータの取得等をするため、生体において生体情報を計測しつつ、得られた検出データを送信する装置が提案されている。特許文献1では、コンタクトレンズの着用者に関するそれぞれの特徴を検出するよう構成された複数のセンサと、検出した特徴を示す情報を、ポータブル高周波装置(以下、RF装置と呼ぶ)に伝送するように構成された通信用要素と、を具備する回路を備えるコンタクトレンズが記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表第2015-532445号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンタクトレンズは、コンタクトレンズの外部にあるRF装置により電源供給されるよう構成されている。そのため、コンタクトレンズは、RF装置からの電磁波を受信するためのアンテナを備える必要があり、また、電源供給の必要上、RF装置とコンタクトレンズとの距離に大きな制約を受ける場合があり、日常的な使用に向かない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、送信回路は、固体触媒による生体分子の分解反応を利用して発電を行う発電部と、前記発電による発電量に基づいた信号を送信する送信部と、を備える。
本発明の第2の態様によると、生体分子検出装置は、本発明の第1の態様の送信回路と、生体の一部と接触する接触部と、を備え、前記生体分子は、前記生体が生産する生体分子である。
本発明の第3の態様によると、検出データ収集方法は、受信装置と、生体分子の検出信号を送信する生体分子検出装置とにより検出データを収集する方法であって、前記生体分子検出装置が生体分子を利用した発電を行うことと、前記生体分子検出装置が前記発電による発電量に基づいた前記検出信号を送信することと、前記受信装置が前記検出信号を受信することと、を含む。
本発明の第4の態様によると、検出データ収集システムは、受信装置と、生体分子の検出信号を送信する生体分子検出装置とにより検出データを収集し、前記生体分子検出装置は、前記生体分子を利用して発電を行う発電部と、前記発電による発電量に基づいた前記検出信号を送信する送信部と、を備え、前記受信装置は、前記検出信号を受信する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生体分子をエネルギー源にして、効率よくなおかつ低製造コストで生体分子に関する情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態の生体分子検出装置と、検出データ収集システムと、集団検出データ収集システムを説明するための概念図である。
【図2】一実施形態の送信回路における機能ブロックを説明するための概念図である。
【図3】一実施形態の送信回路から送信される信号を説明するための概念図である。
【図4】一実施形態の送信回路における糖発電素子の構成を例示する概略図である。
【図5】無線送信部の回路構成を例示した、一実施形態の送信回路の概念図である。
【図6】一実施形態における検出データ収集方法の流れを示すフローチャートである。
【図7】一実施形態の生体分子検出装置が動作可能に配置された例を示す概略図である。
【図8】一実施形態の生体分子検出装置が動作可能に配置された例を示す概略図である。
【図9】一実施形態の生体分子検出装置が動作可能に配置された例を示す概略図である。
【図10】一実施形態の送信回路における機能ブロックを説明するための概略図である。
【図11】一実施形態の送信回路における制御信号と送信信号との関係を示す図である。
【図12】一実施形態の送信回路における無線制御部の構成を示した図である。
【図13】一実施形態の送信回路におけるリング発振部の回路を例示する図である。
【図14】一実施形態の送信回路におけるパルス生成部の回路を例示する図である。
【図15】無線送信部の回路構成を例示した、一実施形態の送信回路の概念図である。
【図16】一実施形態における検出データ収集方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、適宜図面を参照しながら、一実施形態の生体分子検出装置について説明する。本実施形態の生体分子検出装置は、コンタクトレンズ型のグルコースセンサであり、装着者の涙液中のグルコース濃度を携帯端末等の外部の装置に送信するものである。涙液中のグルコース濃度と血液中のグルコース濃度(血糖値)とは相関があるので、涙液中のグルコース濃度をモニタすることにより、血糖値をモニタすることができる。
なお、生体分子の分解反応を利用して生体分子検出装置から発信可能な電力が得られれば、酵素反応の基質はグルコースに限定されない。

【0009】
図1は、本実施形態の生体分子検出装置100と、生体分子検出装置100からの検出データを収集する検出データ収集システム10および集団検出データ収集システム1との構成を概念的に示した図である。集団検出データ収集システム1は、複数の検出データ収集システム10と、サーバ52とを備える。検出データ収集システム10は、生体分子検出装置100と、携帯端末50とを備える。生体分子検出装置100は、送信回路11と、レンズ部12と、レンズ部の裏面に相当する接触面13とを備える。

【0010】
送信回路11は、レンズ部12の表面に形成された不図示の微小な凹部等に埋め込まれて固定されている。これにより、送信回路11がレンズ部12から容易に取り外れないよう支持されるとともに、生体分子検出装置100の装着者の涙液が(凹部を通って)感知される。レンズ部12は、送信回路11を固定する構造を備える他は、生体分子検出装置100の装着者がレンズ部12を通して見たときに適当な視力を得ることができれば、その形状、材質等は特に限定されない。接触面13は、生体分子検出装置100の装着者の眼球と生体分子検出装置100とが接触する面であり、接触面13と装着者の眼球の角膜とのベースカーブが適合すること等によって、生体分子検出装置100を安定的に保持するものであれば、その形状等は特に限定されない。

【0011】
送信回路11は、涙液のグルコース濃度をパルス信号16の頻度にコード化して携帯端末50に送信する。図1の例では、パルス列15a、パルス列15b、パルス列15cは、涙液のグルコース濃度がそれぞれ12mg/dL、24mg/dL、6mg/dLの場合のパルス列の例である。パルス列15a、15b、15cを構成するパルスは、マイクロ波を含んで構成される。送信回路11は、検出可能なグルコース濃度の範囲、または関心のあるグルコース濃度の範囲内で、グルコース濃度に応じてパルス信号16の頻度が変化するように構成される。図1のように、涙液のグルコース濃度が高い場合は、低い場合と比べて、より高い頻度でパルス信号を送信する。
なお、パルス列15を構成するパルスは、マイクロ波以外の、ミリ波等の電磁波を含んでもよい。また、涙液のグルコース濃度に応じてパルス信号の頻度が変化するものであれば、パルス列に生体情報をコード化する方法は特に限定されない。さらに、パルス信号の形状や無線送信信号の周波数等に生体情報をコード化してもよい。

【0012】
携帯端末50は、生体分子検出装置100が送信したパルス状の送信信号を受信する。携帯端末50は、生体分子検出装置100の装着者に検出データ等を提示する表示部51を備える。表示部51は、液晶モニタ等の表示モニタで構成される。携帯端末50は、受信した送信信号を少なくとも一時的に保存可能であれば、その構造、機能は特に限定されない。さらに、携帯端末50は、検出データや検出データを解析するアプリケーションを記憶する不図示の端末記憶部と、該アプリケーションの処理等を行う不図示の端末制御部と、サーバ52に検出データを送信する不図示の端末送信部とを備える。端末記憶部はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成され、端末制御部はCPUにより構成され、端末送信部は、アンテナと公知の発振回路等により構成される。

【0013】
サーバ52は、得られた複数の生体分子検出装置100のそれぞれの装着者のデータを解析し、解析結果に基づいて適宜携帯端末50に測定した情報や生活上のアドバイス等を送信する。携帯端末50の表示部51は、サーバ52から送信された生活上のアドバイス等を表示部51に表示する。

【0014】
図2は、送信回路11の機能ブロックを示した図である。送信回路11は、糖発電部20と、無線制御部30と、無線送信部40とを備える。糖発電部20での発電で生じた電荷は、無線制御部30に蓄積され、出力電圧が電源線VDDとVSSとの間に印加される。電源線VDDとVSSとの間に印加された電圧により、無線送信部40が動作する。無線制御部30は、電源管理回路として動作し、糖発電により電子伝達された電荷を蓄積するための不図示の蓄電用コンデンサを備える。無線制御部30は、チャージポンプ回路等の昇圧回路を含むことが好ましい。生体分子検出装置100の装着者の涙液中のグルコースの濃度が低い場合には、糖発電部20での発電側の電子伝達は遅いため、無線制御部30への電荷の蓄積速度は遅い。その結果、無線送信部40の動作頻度は低いので、無線送信部40から送信されるマイクロ波がパルス出力される頻度は低い。一方、生体分子検出装置100の装着者の涙液中のグルコースの濃度が高い場合には、糖発電部20での発電側の電子伝達は速いため、無線制御部30への電荷の蓄積速度は速い。その結果、無線送信部40の動作頻度は高いので、無線送信部40から送信されるマイクロ波がパルス出力される頻度は高い。すなわち、無線送信部40から送信されるマイクロ波のパルスの出力頻度に、糖発電量、および生体分子検出装置100の装着者の涙液中のグルコースの濃度がコードされる(パルス間隔変調)。

【0015】
図3は、電源線VDDとVSSとの間に印加する電圧をグラフで概念的に示したものである。無線制御部30は、糖発電の発電量に応じて電源線VDDおよびVSSに印加する電圧を変化させる。具体的には、無線制御部30では、糖発電部20での糖発電により伝達された電荷が蓄積され、VDDとVSSとの間に印加する電圧が一定以上の電圧(例えば、図中V)になると、無線送信部40のLC回路からマイクロ波による送信信号16が送信される。マイクロ波が一定時間発振すると、糖発電により無線制御部30に蓄積された電荷は減少し出力電圧が小さくなる(例えば、図中のVに戻る)ため、無線送信部40のLC回路における発振は止まる。VDDとVSSとの間に印加する電圧がVの場合には、LC回路42からマイクロ波は発振されないか、または、携帯端末50が、無線送信部40のLC回路においてマイクロ波が発振しているとは識別できない程度に弱い。上記の通り、無線制御部30に電荷が蓄積する速度と糖発電部20におけるグルコースの濃度との間には正の相関があるため、無線制御部30において一定以上の出力電圧となるために必要な電荷蓄積時間とグルコースの濃度との間には負の相関がある。従って、マイクロ波のパルスの発振間隔により、グルコース濃度を定量することができる。

【0016】
図4は、糖発電部20の物理的構成を例示した図である。本実施形態の糖発電部20は、ラポポートらの報告(Rapoport BI, Kedzierski JT, Sarpeshkar R (2012) A Glucose Fuel Cell for Implantable Brain-Machine Interfaces. PLoS ONE 7(6): e38436. Doi:10.1371/journal.pone.0038436)において開示された内容に基づく糖発電素子を含んで構成される。糖発電部20は、アノード21と、陽イオン選択性透過膜22と、カソード23と、基板24とを備える。本実施形態の糖発電部20、および送信回路11は、CMOS集積回路またはその他の集積回路により物理的に構成され、フォトリソグラフィ技術を用いてクリーンルーム内で製造可能である。

【0017】
本実施形態の糖発電部20では、アノード21が備える白金触媒による、以下のグルコース分解反応が起こり、それにより発電が行われる。
アノード21:C6H12O6+ 2OH → C6H12O7+ H2O + 2e
カソード23:(1/2) O2 + H2O + 2e → 2OH
全体:C6H12O6+ (1/2) O2 → C6H12O7
グルコース濃度により、白金触媒が接するグルコースの量が変化するため、糖発電の発電量は、糖発電部20の接するグルコース濃度に応じて変化する。すなわち、グルコース濃度が高い程、電子伝達効率が高く、発電量も多くなる。また、1分子のグルコースが二酸化炭素と水に分解される過程のそれぞれの分解反応を利用することもできる。

【0018】
アノード21は、白金と、アルミニウム等の他の金属との合金から、当該他の金属を溶解して表面に凹凸を備えて構成された白金触媒を備えることが好ましい。このような白金触媒では、1分子のグルコースから17個以上の電子を生成する電子伝達能を得ることができ、グルコース1分子からの発電量を上げることができる。その結果、生体分子検出装置は、より正確にグルコース濃度を定量することができる。

【0019】
陽イオン選択性透過膜22は、ナフィオン(登録商標)等のイオン交換膜を用いて構成され、アノード21とカソード23との間の短絡的な電子の移動を制限する。カソード23は、カーボンナノチューブ等の炭素電極等により構成される。上記のグルコース分解反応において酸素を分解するカソード23と、SiO等により構成される基板24とがアノード21を囲んで構成することにより、アノード21の付近において涙液中の酸素濃度が低くなり、酸素による短絡的な反応が起きにくくなる構成となっている。アノード21およびカソード23が接するグルコース濃度と酸素濃度とが最適化されるように、アノード21およびカソード23の大きさは適宜調整される。このとき、測定の可能範囲(ダイナミックレンジ)は糖発電素子と送信回路11が含む回路のインピーダンスによって決定されるため、回路のインピーダンスを考慮して適宜調整する。

【0020】
図5は、無線送信部40の回路構成を例示する、送信回路11の概略図である。無線送信部40は、コイル401と、コンデンサ402と、MOSFET403とを備えるLC回路41を含んで構成される。LC回路41は、パワーアンプ、またはパワーオシレータ等の増幅回路、発振回路として動作する。無線制御部30が、一定以上の出力電圧を電源線VDDおよびVSSに印加すると、LC回路41は、一定時間マイクロ波を発振する。LC回路41は、近距離無線で汎用されている、2.4GHz帯~数十GHz周波数帯のマイクロ波を発振することが好ましい。
なお、LC回路41は、携帯端末50で受信可能なマイクロ波が発振可能であれば、特に回路構成は限定されない。また、LC回路41は、コイル401のインダクタンスやコンデンサ402のキャパシタンスを調節するか、またはその他回路構成を適宜調節し、ミリ波等のマイクロ波以外の位相周波数の電磁波を発振する構成としてもよい。

【0021】
図6は、本実施形態の生体分子検出装置100を利用して、生体分子検出装置100の装着者の血糖値の情報を収集する流れを示すフローチャートである。

【0022】
ステップS1001において、糖発電部20は、生体分子検出装置100であるコンタクトレンズの装着者の涙液中のグルコースを、白金触媒により分解して発電を行う。発電が開始されたら、ステップS1003に進む。ステップS1003において、糖発電の出力電圧が一定の値を超えると、電源線に出力電圧が印加され、LC回路41からマイクロ波がパルス出力される。マイクロ波のパルス出力による送信信号16が出力されたら、ステップS1005に進む。

【0023】
ステップS1005において、携帯端末50が、LC回路41からのマイクロ波を含む送信信号16を受信する。送信信号16を受信したら、ステップS1007に進む。ステップS1007において、携帯端末50のアプリケーションにおいて送信信号16のパルス出力頻度を測定し、生体分子検出装置100の装着者の涙液中のグルコース濃度および血糖値を算出する。血糖値が算出されたら、ステップS1009に進む。なお、血糖値は、携帯端末50のアプリケーションに保持された、涙液中のグルコース濃度と血糖値との相関のデータに基づいて算出される。

【0024】
ステップS1009において、携帯端末50の端末制御部は、ステップS1007において算出した血糖値が緊急的な値か否かを判定する。ここで、血糖値が緊急的な値か否かは、予め携帯端末50のアプリケーションにおいて設定された基準値に基づいて判断する。基準値は、例えば、一般的な血糖値の高低によるリスクに基づいた値を用いてもよいし、生体分子検出装置100の装着者のデータに基づいて適宜調節した値を用いてもよい。血糖値が緊急的な値の場合、ステップS1009を肯定判定してステップS1020に進む。血糖値が緊急的な値でない場合、ステップS1009を否定判定してステップS1011に進む。ステップS1020において、携帯端末50は、血糖値が緊急的な値であることを受けて警報を鳴らし、また、表示部51に現在の状態を示すメッセージを表示する。これにより、生体分子検出装置100の装着者が、例えば低血糖で意識障害に陥っていることを、周囲の人間に伝えることができる。
なお、警報の態様は、周囲に注意を喚起したり、血糖の状態を伝えるものであれば、特に限定されない。また、異常血糖値を検出する機能を送信回路11に組み込むこともできる。

【0025】
ステップS1011において、携帯端末50の端末送信部は、算出した血糖値のデータを、サーバ52に送信する。血糖値のデータが送信されたら、ステップS1017に進む。ステップS1013において、サーバ52は、生体分子検出装置100の装着者からのデータを受信し、サーバ52の記憶装置に保存する。

【0026】
上述の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)本実施形態の送信回路11は、固体触媒による生体分子の分解反応を利用して発電を行う糖発電部20と、糖発電による発電量に基づいた送信信号16を送信する無線送信部40と、を備える。これにより、生体分子をエネルギー源として無線信号を送信可能な送信回路を、フォトリソグラフィ技術により安価に量産することができ、このような送信回路は、タンパク質を用いた酵素電極より長寿命である。

【0027】
(2)本実施形態の送信回路11において、無線送信部40は、糖発電の発電量に基づいた頻度で送信信号16を送信する。これにより、糖発電の発電量に関する情報を、送信信号16にコード化することができる。

【0028】
(3)本実施形態の送信回路11において、糖発電の発電量は、涙液中のグルコースの濃度により変化する。これにより、涙液中のグルコースの濃度により、送信信号16を変化させる構成にすることができる。

【0029】
(4)本実施形態の送信回路11において、送信回路11は、集積回路である。これにより、小型化し、生体に埋め込んだり、コンタクトレンズ等の生体に接する物に設置することができる。

【0030】
(5)本実施形態の送信回路11において、送信信号16は、マイクロ波またはミリ波を含む信号である。これにより、携帯端末等の汎用されている受信装置により好適に受信される。

【0031】
(6)本実施形態の送信回路11において、送信回路11は、糖発電部20により発電されて得られた電気エネルギーのみにより送信信号16を送信する。これにより、RF装置からの信号受信アンテナ等のエネルギーを受け取る機構を省略したよりコンパクトな構成で、自律的に発電し発振する送信回路を構成することができる。

【0032】
(7)本実施形態の生体分子検出装置100は、着用者の眼球と接触する接触面13を備え、その着用者が生産するグルコースの分解反応を利用して発電を行う。これにより、生体分子検出装置100は、生体の周囲環境からエネルギーを得つつ、接触する生体についての情報を取得し送信することができる。

【0033】
(8)本実施形態の生体分子検出装置100は、少なくとも一種類の、生体で生産される糖類であるグルコースを利用して発電を行う。これにより、糖類のエネルギーを利用して効率的に発電することができる。

【0034】
(9)本実施形態の生体分子検出装置100において、固体触媒は、白金を含む。これにより、グルコースの分解反応を促進し、一定の発電効率が得られるとともに、フォトリソグラフィ技術により量産化が可能である。

【0035】
(10)本実施形態の生体分子検出装置100は、コンタクトレンズであり、コンタクトレンズの装着者の涙液に含まれるグルコースを利用して発電を行う。これにより、日常的に使用されるコンタクトレンズを利用して、ランセット等を用いることなく非侵襲的に涙液から装着者の情報を取得することができる。

【0036】
(11)本実施形態の検出データ収集方法は、携帯端末50と、涙液中のグルコースの検出信号を送信する生体分子検出装置100とにより血糖値に関する検出データを収集する検出データ収集方法であって、生体分子検出装置100が涙液中のグルコースを利用した発電を行うことと、生体分子検出装置100が糖発電による発電量に基づいた送信信号16を送信することと、携帯端末50が送信信号16を受信することと、を含む。これにより、生体分子による発電量に応じた送信信号16を収集することができる。

【0037】
(12)本実施形態の検出データ収集システム10は、携帯端末50と、涙液中のグルコースの検出信号16を送信する生体分子検出装置100とにより血糖値に関する検出データを収集する検出データ収集システムであって、生体分子検出装置100は、涙液中のグルコースを利用して発電を行う発電部と、糖発電による発電量に基づいた送信信号16を送信する無線送信部40と、を備え、携帯端末50は、送信信号16を受信する。これにより、生体分子による発電量に応じた送信信号16を収集することができる。

【0038】
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。
(変形例1)
上述の実施形態において、生体分子検出装置100は、コンタクトレンズとして構成したが、生体分子検出装置100は、生体の口内に固定され、生体の唾液に含まれるグルコース等の糖類の分解反応により発電を行う構成にしてもよい。これにより、コンタクトレンズを着用しない場合でも、唾液を利用して日常的かつ非侵襲的に血糖値に関するデータを得ることができる。

【0039】
図7は、生体の歯に生体分子検出装置100が固定される点を示す図である。歯62は、歯茎61に支持されており、セラミック等で構成される詰め物63が被せられている。生体分子検出装置100は、送信回路11と保護層14とを含んで構成され、詰め物63に一部または全部が覆われ固定されている。保護層14は、送信回路11を保護しつつ、唾液が送信回路11に接触可能に構成されている。
なお、生体分子検出装置100は、日常的に食される糖類の分解反応を利用して発電する構成としてもよい。これにより、食事している時間を検出し、血糖値との関係を算出することができる。

【0040】
(変形例2)
また、生体分子検出装置100は、生体の皮膚と接する腕時計や眼鏡の鼻パッドとして構成し、汗等の生体からの分泌液中に含まれるグルコース等の糖類の分解反応を利用して発電する構成とすることができる。これにより、皮膚から日常的かつ非侵襲的に血糖値に関するデータを得ることができる。

【0041】
図8は、生体分子検出装置100を眼鏡の鼻パッドとして構成した図である。眼鏡70は、鼻パッド71と、レンズ72とを備える。鼻パッド71は、生体分子検出装置100として動作し、送信回路11を備える。鼻パッド71は、送信回路11を保護しつつ、生体の汗を送信回路11に接触可能に構成されている。

【0042】
(変形例3)
また、生体分子検出装置100は、生体への埋め込み型の装置として構成することができる。好ましくは、生体分子検出装置100は、生体の真皮または皮下組織に埋め込まれ、少なくとも一種類の、生体の真皮または皮下組織に含まれる糖類の分解反応を利用して発電する構成にすることができる。これにより、コンタクトレンズや眼鏡等を着用しないときでも、生体分子の情報を送信することができる。

【0043】
図9は、生体の皮膚の断面図を示した図である。生体の内部構造は、皮膚表面から順に、表皮81と、真皮82と、皮下組織83とを含んで構成される。このうち、真皮82および皮下組織83は、血管が通っており、間質液中のグルコース濃度は、血糖値と相関することが知られている。図12中では、真皮82の内部に保護層14に覆われた送信回路11が埋め込まれている。保護層14と送信回路11とが、生体分子検出装置100を構成する。保護層14は、送信回路11を保護しつつ、間質液等の真皮82に存在する液体成分を送信回路11に接触可能に構成されている。
なお、本変形例において、生体分子検出装置100は、不図示の細胞外電位記録電極を備え、筋電位や皮膚の感覚神経の電気信号を計測する構成としてもよい。これにより、神経活動の変化に関する情報を送信する構成とすることができる。

【0044】
(変形例4)
上述の実施形態においては、無線制御部30が、無線送信部40の電源線VDDおよびVSSに出力電圧を印加することにより、LC回路41からの送信信号16を制御する構成とした。しかし、無線制御部30からの制御信号34により、送信信号16のパルス頻度を制御する構成としてもよい。

【0045】
図10は、本変形例の送信回路11の機能ブロックを示した図である。糖発電部20での発電で生じた電圧は、電源線VDDとVSSとの間に印加される。電源線VDDとVSSとにより、無線制御部30および無線送信部40が動作する。無線制御部30は、無線送信部40がオン状態か、またはオフ状態かを制御する制御信号34を無線送信部40の制御端子に出力する。無線送信部40は、オン状態にマイクロ波を発振し、オフ状態には、マイクロ波を発振しないか、オン状態とは識別可能な微弱なマイクロ波を発振する。

【0046】
図11は、無線送信部40からの送信信号16が発振するタイミングを説明するための概念図である。無線制御部30は、糖発電の発電量に応じて制御信号34のパルスの出力頻度を変化させる。言い換えると、無線制御部30は、糖発電の発電量に応じて制御信号34のパルスの出力間隔Δtを変化させる。図11下部には、送信信号16を、マイクロ波の波形の包絡線を模した形式で概念的に示した。無線送信部40は、制御信号34の電圧のVからVの立ち上がりをトリガーとして、一定時間(Δt)マイクロ波を発振する。

【0047】
図12は、本変形例の無線制御部30の機能ブロックの構成を例示した図である。無線制御部30は、リング発振部31と、パルス生成部32とを備える。リング発振部31で生成された信号が、パルス生成部32に出力される。パルス生成部32から無線送信部40に制御信号34が出力される。

【0048】
図13は、リング発振部31の主要な回路を示す図である。リング発振部31は、奇数個のNOTゲート301を含んで構成される。各NOTゲート301を構成するインバータ素子は、糖発電部20の出力電圧を電源電圧として動作する。リング発振部31は、一定の時間間隔で、その時の糖発電による出力電圧に基づいた周波数で発振する。インバータ素子は、電源電圧が高ければ高い程高速に動作するため、糖発電量が大きい、つまり糖発電部20が接するグルコース濃度が高ければ、一定の時間間隔で検出される糖発電部20からの出力電圧が高くなるため、リング発振部31の出力信号の発振周波数は高くなる。リング発振部31の出力信号はパルス生成器32に出力される。
なお、糖発電部20の出力電圧に基づいた発振周波数で発振可能であれば、リング発振部31の構成は特に限定されない。

【0049】
図14は、パルス生成部32の主要な回路を示す図である。パルス生成部32は、複数のNOTゲート301と、ANDゲート302とを含んで構成される。パルス生成部32は、NOTゲート301から出力され、ANDゲート302に入力される信号に対する、NOTゲート301を通過せずにANDゲート302に入力される信号に対する遅延時間を利用して、低オン・オフ比のパルス列を生成する。生成されたパルス列は、制御信号34として無線送信部40に出力される。低オン・オフ比のパルス列により、送信回路11での消費電力量を節約でき、糖発電からの出力電圧のみを電気エネルギーとした信号の送信が実現される。
なお、送信回路11の消費電力を節約することができれば、パルス生成部32の具体的な構成は特に限定されない。

【0050】
図15は、本変形例の無線送信部40の回路構成を例示する、送信回路11の概略図である。無線送信部40は、コイル401と、コンデンサ402と、MOSFET403とを備えるLC回路42を含んで構成される。制御信号34は、LC回路42の制御端子404に入力される。LC回路42は、単安定のクロスカップル回路として動作し、制御信号34の立ち上がりに応じて一定時間マイクロ波を発振する。
なお、LC回路42は、携帯端末50で受信可能なマイクロ波が発振可能であれば、特に回路構成は限定されない。また、マイクロ波以外の位相周波数の電磁波を発振する構成としてもよい。

【0051】
図16は、本変形例の生体分子検出装置100を利用して、生体分子検出装置100の装着者の血糖値の情報を収集する流れを示すフローチャートである。なお、ステップS2009からステップS2017まで、およびステップS2020は、電源線VDDの電圧を直接調節する上述の実施形態のフローチャート(図6)のステップS1005からステップS1013まで、およびステップS1020と同様なので、説明を省略する。

【0052】
ステップS2001において、糖発電部20は、生体分子検出装置100であるコンタクトレンズの装着者の涙液中のグルコースを、白金触媒により分解して発電を行う。発電が開始されたら、ステップS2003に進む。ステップS2003において、一定時間ごとに、その時の糖発電の出力電圧に基づいた周波数でリング発振器31が発振信号をパルス生成器32に出力する。リング発振器31から発振信号が出力されたら、ステップS2005に進む。

【0053】
ステップS2005において、パルス生成器32がリング発振器31からの発振信号を低オン・オフ比の信号になるよう切り分けて、制御信号34を生成し、LC回路42に出力する。制御信号34が出力されたら、ステップS2007に進む。ステップS2007において、LC回路42は、制御信号34のそれぞれのパルスに合わせた所定のタイミングでマイクロ波を発振する。マイクロ波が発振されたら、ステップS2009に進む。

【0054】
本変形例の送信回路11の構成によっても、上述の実施形態と同様に、糖発電部20を電源として、生体分子の情報をコードした情報を送信することができる。また、制御信号34とLC回路42の構成を適宜調節することにより、様々な形式で情報をパルス列にコードし送信することができる。

【0055】
本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…集団検出データ収集システム、10…検出データ収集システム、11…送信回路、12…レンズ部、13…接触面、16…送信信号、20…糖発電部、21…アノード、23…カソード、30…無線制御部、34…制御信号、40…無線送信部、41、42…LC回路、50…携帯端末、52…サーバ。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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