TOP > 国内特許検索 > 電気測定装置 > 明細書

明細書 :電気測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年8月10日(2017.8.10)
発明の名称または考案の名称 電気測定装置
国際特許分類 G01N  27/00        (2006.01)
G01N  27/02        (2006.01)
FI G01N 27/00 Z
G01N 27/02 E
国際予備審査の請求
全頁数 28
出願番号 特願2016-555224 (P2016-555224)
国際出願番号 PCT/JP2015/079532
国際公開番号 WO2016/063858
国際出願日 平成27年10月20日(2015.10.20)
国際公開日 平成28年4月28日(2016.4.28)
優先権出願番号 2014214090
2015078223
優先日 平成26年10月20日(2014.10.20)
平成27年4月7日(2015.4.7)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】馬場 嘉信
【氏名】加地 範匡
【氏名】安井 隆雄
【氏名】矢崎 啓寿
【氏名】佐野 麻美子
【氏名】川合 知二
【氏名】柳田 剛
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 2G060
Fターム 2G060AA05
2G060AA15
2G060AA16
2G060AA19
2G060AF02
2G060AF07
2G060AF20
2G060AG04
2G060AG11
2G060AG15
2G060HC11
2G060KA09
要約 定常電流の変化のみではなく過渡電流の発生も読み取ることで、高感度検出ができるように設計した電気測定用チップ、及び該電気測定用チップを含む電気測定装置を提供する。
基板、該基板上に形成したサンプル移動流路及びサンプル測定流路を含み、前記サンプル測定流路は、前記サンプル移動流路に接続する第1測定流路、及び前記第1測定流路とは反対側から前記サンプル移動流路に接続する第2測定流路を含む、電気測定用チップ。
特許請求の範囲 【請求項1】
基板、該基板上に形成したサンプル移動流路及びサンプル測定流路を含み、
前記サンプル測定流路は、前記サンプル移動流路に接続する第1測定流路、及び前記第1測定流路とは反対側から前記サンプル移動流路に接続する第2測定流路を含む、
電気測定用チップ。
【請求項2】
前記第1測定流路及び前記第2測定流路の幅が、前記サンプル移動流路と接続している部分の長さより、前記サンプル移動流路から離れるにしたがって長くなる請求項1に記載の電気測定用チップ。
【請求項3】
前記第1測定流路及び前記第2測定流路が、前記サンプル移動流路を挟んで非対称の位置に形成されている請求項1又は2に記載の電気測定用チップ。
【請求項4】
前記サンプル移動流路に狭窄部が少なくとも1以上形成されている請求項1~3の何れか一項に記載の電気測定用チップ。
【請求項5】
前記サンプル移動流路の一端に形成されたサンプル投入流路、前記サンプル移動流路の他端に形成されたサンプル回収流路を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の電気測定用チップ。
【請求項6】
前記第1測定流路及び前記第2測定流路に換え、第1測定電極及び第2測定電極が形成されている請求項1~5の何れか一項に記載の電気測定用チップ。
【請求項7】
請求項1~5の何れか一項に記載の電気測定用チップ、
サンプルがサンプル移動流路を移動できるようにするための駆動回路、
第1測定流路及び第2測定流路に電圧を印加し、サンプルがサンプル移動回路を移動する際の電流の変化を測定する測定回路、
を含む電気測定装置。
【請求項8】
請求項6に記載の電気測定用チップ、
サンプルがサンプル移動流路を移動できるようにするための駆動回路、
第1測定電極及び第2測定電極に電圧を印加し、サンプルがサンプル移動回路を移動する際の電流の変化を測定する測定回路、
を含む電気測定装置。
【請求項9】
前記測定回路が、前記駆動回路と前記測定回路の抵抗を釣り合った状態にするための可変抵抗を含み、
前記測定回路が、釣り合った状態からの電流の差分を測定する請求項7又は8に記載の電気測定装置。
【請求項10】
前記測定回路が、過渡電流及び定常電流の変化を測定する請求項7~9の何れか一項に記載の電気測定装置。
【請求項11】
蛍光顕微鏡を更に含む請求項7~10の何れか一項に記載の電気測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気測定用チップ、及び電気測定装置に関し、特に、細胞、菌、ウィルス、DNA等のサンプルがマイクロ流路を流れる際に、定常電流の変化のみではなく過渡電流の発生も読み取ることで、高感度検出ができるように設計した電気測定用チップ、及び該電気測定用チップを含む電気測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中に含まれる細胞、菌、花粉、PM2.5等のサンプルの大きさ、個数等を正確に測定することは、健康な生活を送る上で大切な情報であり、近年、ますます測定精度の向上が望まれている。また、生物化学の分野では、DNA断片をそのまま分析する分析チップの開発が望まれている。
【0003】
図1は、サンプルの大きさや個数等の測定方法の従来技術を示しており、シリコン等の基板上に形成した細孔(マイクロポア)にサンプルを通過させ、細孔に印加した電圧によって細孔の内部を流れる定常電流が変化する様子から細胞の大きさ、硬さを解析している(非特許文献1参照)。図1に示す従来の測定方法は、細孔の体積が小さい程感度が向上すことが知られている。細孔の体積を減らすためには直径を小さくするとともに基板を薄くする必要があり、そのため、測定の際には図1に示すように基板は縦置きにして使用されている。
【0004】
また、細孔を通過するサンプルの状態をより詳しく測定するため、マイクロ流路を形成した基板を横置きにすることで細孔部分を蛍光顕微鏡で観察できるようにし、定常電流の測定に加え細孔の周りの事象を直接観察する方法も知られている(非特許文献2参照)。図2は、非特許文献2のFig.1を示している。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Waseem A.et al.,Lab on a Chip, Vol.12, pp.2345-2352 (2012)
【非特許文献2】Naoya.Y et al.,“Tracking single-particle dynamics via combined optical and electrical sensing”, SCIENTIFIC REPORTS, Vol.3, pp.1-7(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図1に示す方法では、得られる情報が定常電流の変化の信号のみであり、細孔を通過したサンプルの判別は電流値の強弱などから推察するに留まる。そのため、複数のサンプルが細孔に流れ込む場合や、測定するサンプルが生体分子等の形状が球体以外又は変化し易い場合などは、詳細な解析が難しいという問題がある(問題1)。
【0007】
また、非特許文献1に記載されている方法は、サンプルを駆動させるための駆動回路と、細孔をサンプルが通過する際の電流変化を測定する測定回路が同じになっている。一般的に、印加電圧を大きくすることで測定感度を上げることができるが、駆動回路と測定回路が同じ場合、印加電圧を大きくすると測定回路の電流計に負荷がかかり過ぎ、高感度検出ができないという問題がある(問題2)。
【0008】
更に、サンプルが細孔を通過する時間は、サンプルの表面電荷、変形能等に影響されるため、特に生体分子解析においては非常に重要な情報である。しかしながら、従来法の感度では、細孔内の定常電流の緩やかな変化を読みとることしか出来ず、印加電圧によって加速されたサンプルが短い細孔を通過する時間を読み取るには誤差が大きかった。加えて、核酸等の細長い形状の生体分子を測定する場合、生体分子を伸長状態で細孔に導入する必要があるが、そのためには、生体分子を伸長状態にするためのガイド流路が必要となる。しかしながら、ガイド流路を設けることは細孔部分の体積を増加することになり、感度の低下が避けられないという問題がある(問題3)。
【0009】
一方、図2に示すように、基板を横置きにして蛍光顕微鏡で観察することで、上記(問題1)を解決することができる。しかしながら、非特許文献2に記載されている方法は、ポンプの圧力により液体中に分散したサンプルが基板上に形成された細孔を通過するように設計されている。ポンプの圧力で液体中に分散したサンプルを流す場合、測定感度を上げる為に細孔のサイズを小さくすればするほど、液体が細孔を流れにくくなる。勿論、ポンプの圧力を大きくすることで液体を流すこともできるが、圧力を大きくし過ぎると、細孔部分が破損する恐れがある。また、非特許文献2に記載されているポンプの圧力でサンプルを流す方法では、核酸やタンパク質を流すことはできないという問題がある。更に、非特許文献2に記載されている方法も、非特許文献1に記載されている方法と同様に、感度を上げる為には細孔の体積を小さくする必要があり、上記(問題3)を解決することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、
(1)サンプルを流すことができるサンプル移動流路を形成し、該サンプル移動流路に接続する第1測定流路及び前記第1測定流路とは反対側から前記サンプル移動流路に接続する第2測定流路を形成することで、サンプルの駆動回路と測定回路を別回路として設計できること、
(2)サンプルの駆動回路と測定回路を別回路とすることで、駆動回路の電圧を高く設定することで検出感度を高めることができ、従来はノイズに埋もれていた過渡電流を測定できること、
(3)測定回路に可変抵抗を組み込むと、より高感度検出が可能となり過渡電流をより精度良く測定できること、
(4)過渡電流を読み取ることで、サンプル移動流路へのサンプルの入出タイミングを正確に測定することができ、その結果、サンプルの通過速度を計算することでサンプルの表面電荷及び変形能を測定できること、
(5)過渡電流とは別に、第1測定流路及第2測定流路間の定常電流の変化を測定できることから、従来の細孔と異なりサンプル移動流路を長く設計することができ、サンプル移動流路内でサンプルの伸長状態を作り出して核酸やタンパク質等の生体分子を測定できること、を新たに見出した。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、定常電流の変化のみではなく過渡電流の発生も読み取ることで、高感度検出ができるように設計した電気測定用チップ、及び該電気測定用チップを含む電気測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下に示す、電気測定用チップ、及び該電気測定用チップを含む電気測定装置に関する。
【0013】
(1)基板、該基板上に形成したサンプル移動流路及びサンプル測定流路を含み、
前記サンプル測定流路は、前記サンプル移動流路に接続する第1測定流路、及び前記第1測定流路とは反対側から前記サンプル移動流路に接続する第2測定流路を含む、
電気測定用チップ。
(2)前記第1測定流路及び前記第2測定流路の幅が、前記サンプル移動流路と接続している部分の長さより、前記サンプル移動流路から離れるにしたがって長くなる上記(1)に記載の電気測定用チップ。
(3)前記第1測定流路及び前記第2測定流路が、前記サンプル移動流路を挟んで非対称の位置に形成されている上記(1)又は(2)に記載の電気測定用チップ。
(4)前記サンプル移動流路に狭窄部が少なくとも1以上形成されている上記(1)~(3)の何れか一に記載の電気測定用チップ。
(5)前記サンプル移動流路の一端に形成されたサンプル投入流路、前記サンプル移動流路の他端に形成されたサンプル回収流路を含む、上記(1)~(4)の何れか一に記載の電気測定用チップ。
(6)前記第1測定流路及び前記第2測定流路に換え、第1測定電極及び第2測定電極が形成されている上記(1)~(5)の何れか一に記載の電気測定用チップ。
(7)上記(1)~(5)の何れか一に記載の電気測定用チップ、
サンプルがサンプル移動流路を移動できるようにするための駆動回路、
第1測定流路及び第2測定流路に電圧を印加し、サンプルがサンプル移動回路を移動する際の電流の変化を測定する測定回路、
を含む電気測定装置。
(8)上記(6)に記載の電気測定用チップ、
サンプルがサンプル移動流路を移動できるようにするための駆動回路、
第1測定電極及び第2測定電極に電圧を印加し、サンプルがサンプル移動回路を移動する際の電流の変化を測定する測定回路、
を含む電気測定装置。
(9)前記測定回路が、前記駆動回路と前記測定回路の抵抗を釣り合った状態にするための可変抵抗を含み、
前記測定回路が、釣り合った状態からの電流の差分を測定する上記(7)又は(8)に記載の電気測定装置。
(10)前記測定回路が、過渡電流及び定常電流の変化を測定する上記(7)~(9)の何れか一に記載の電気測定装置。
(11)蛍光顕微鏡を更に含む上記(7)~(10)の何れか一に記載の電気測定装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気測定用チップは、サンプルを流すことができるサンプル移動流路を形成し、該サンプル移動流路に接続する第1測定流路及び前記第1測定流路とは反対側から前記サンプル移動流路に接続する第2測定流路を形成している。
そのため、本発明の電気測定用チップを用いた電気測定装置は、サンプルの駆動回路と測定回路を別回路として設計できるので、駆動回路の電圧を高く設定し、検出感度を高めることができるので過渡電流も正確に読み取ることができる。更に、測定回路に可変抵抗を組み込むと、駆動回路と測定回路が釣り合った状態からの差分を読み取ることができるので、検出感度をより高めることができる。
そして、本発明の電気測定装置は、過渡電流を読み取ることでサンプル移動流路へのサンプルの入出タイミングを正確に測定でき、通過速度からサンプルの表面電荷及び変形能を測定することが可能となる。また、過渡電流とは別に、第1測定流路及び第2測定流路間の定常電流の変化を測定できることから、従来の細孔と異なりサンプル移動流路を長く設計することができ、サンプル移動流路内で核酸やタンパク質等の生体分子の伸長状態を作り出して測定することが可能となる。
更に、本発明の電気測定チップは横置きで使用できることから、蛍光顕微鏡観察と組み合わせて使用することで、より正確な分析をすることができる。
また、サンプル移動流路に狭窄部を設けることで、同種の細胞であっても変形能が異なる細胞を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、サンプルの大きさや個数等の測定方法の従来技術を示している。
【図2】図2は、非特許文献2のFig.1を示している。
【図3】図3は、本発明の電気測定用チップ1の概略を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の電気測定用チップ1の他の実施形態を示している。
【図5】図5は、第1測定流路6及び第2測定流路7に代え、第1電極及び第2電極で形成した電気測定用チップ1の概略を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の電気測定用チップ1の他の実施形態を示している。
【図7】図7は、図4のA-A’断面図で、電気測定用チップ1の製造工程の一例を示している。
【図8】図8は、本発明の電気測定用チップ1の他の製造工程を示す図である。
【図9】図9は、本発明の電気測定用チップ1を用いた電気測定装置10の概略を示す図である。
【図10】図10は、本発明の電気測定装置10を用いてサンプルを測定する際の、電気測定チップ1上のサンプルの位置と測定できる電流値の関係を説明する図である。
【図11】図11は、電気測定用チップ1の他の実施形態を示す図である。
【図12】図12は、図面代用写真で、図12(1)は、実施例1で作製した電気測定用チップ1の写真、図12(2)は、第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真である。
【図13】図13は、図面代用写真で、図13(1)は、実施例2で作製した電気測定用チップ1の第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真、図13(2)は、実施例3で作製した電気測定用チップ1の第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真である。
【図14】図14(1)は、実施例4における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフ、図14(2)は、実施例5における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフ、図14(3)は、実施例6における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフである。
【図15】図15は、実施例3の電気測定用チップ1を用いた場合、ピークを2つ測定した理由を説明する図である。
【図16】図16は、サンプル移動流路3を流れるサンプルの位置の連続写真、及びサンプルが流れる際の定常電流値の変化(シグナル強度)と蛍光強度の変化を示す写真及びグラフである。
【図17】図17は、実施例8で測定した定常電流値の変化(シグナル強度)を示すグラフである。
【図18】図18は、実施例8で測定した結果に基づき作製したサンプルの体積と定常電流値の変化(シグナル強度)を示すグラフである。
【図19】図19は、駆動回路の電圧とサンプルがサンプル移動流路を通過する時間の関係を示す図である。
【図20】図20(1)は、図面代用写真で、実施例12で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路付近の拡大写真、図20(2)は実施例12で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路付近の寸法を説明するための図である。図20(3)は、定常電流値のヒストグラムで、各定常電流値においてカウントされた細胞数の分布を示すグラフである。
【図21】図21(1)は、図面代用写真で、サンプル移動流路3の狭窄部34付近の拡大写真である。図21(2)は、サンプル移動流路3と狭窄部34の長さ及び幅を説明するための図である。
【図22】図22(1)は、図21に示すチップの左から右側にHeLa細胞を流した時の各幅の流路に入った時間(in)と出た時間(out)、及び定常電流値の変化を示すグラフである。図22(2)は、HeLa細胞を逆方向に流した時の各幅の流路に入った時間(in)と出た時間(out)、及び定常電流値を示すグラフである。
【図23】図23(1)は、図面代用写真で、実施例14で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路3の狭窄部34付近の拡大写真である。図23(2)は、実施例14の定常電流値と通過時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の電気測定用チップ、及び電気測定装置について詳しく説明する。先ず、本発明において、「定常電流」とは測定回路に定常的に流れているイオン電流を意味する。また、「過渡電流」とは、測定回路に瞬間的に流れるイオン電流を意味する。

【0017】
図3は、本発明の電気測定用チップ1の概略を説明する図である。図3に示す電気測定用チップ1は、基板2、基板2上に形成されたサンプル移動流路3、サンプル移動流路3の一端に接続するサンプル投入流路4、サンプル移動流路3の他端に接続するサンプル回収流路5、サンプル移動流路3に接続する第1測定流路6、及び第1測定流路6とは反対側からサンプル移動流路3に接続する第2測定流路7を含んでいる(以下、基板上に形成した流路を纏める場合は、単に「流路」と記載することがある。)。第1測定流路6及び第2測定流路7でサンプル測定流路を形成する。

【0018】
サンプル移動流路3の幅及び深さは、サンプルのサイズより大きければ特に制限は無いが、測定感度を上げる為には、サンプルのサイズより大き過ぎないように適宜調整することが好ましい。例えば、空気中のPM2.5の直径は約2.5μmであるので、サンプル移動流路3の幅及び深さは、3μm程度の大きさであればよい。また、スギ花粉の直径は約20~40μm、ヒノキ花粉の直径は28μm~45μm程度と言われているので、幅及び深さは約50μm程度であればよい。勿論、上記の数値は目安であって、サンプルがさらに大きな場合は、幅及び深さを100μ、150μm、200μm等、サンプルのサイズに応じて大きくしてもよい。幅及び深さの下限値は、現在の微細加工技術では約4nmが限界であるが、技術の進歩により、更に小さくしてもよい。

【0019】
サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5は、サンプル駆動回路の電極を投入できる大きさであって、サンプルを含む液体(以下、サンプルを含む液体を「サンプル液」と記載することがある。)を投入及び回収できれば大きさ及び形状に特に制限は無いが、深さはサンプル移動流路3と同じにすることが望ましい。なお、サンプル移動回路3にサンプルが効率よく流入できるようにするため、サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5は、サンプル移動回路3に向かって幅が狭くなるテーパー状にしてもよい。

【0020】
第1測定流路6及び第2測定流路7は、後述するサンプル測定回路の電極を夫々に投入して測定回路を構成し、定常電流の変化及び過渡電流を測定(以下、定常電流の変化及び過渡電流を測定することを「電流の変化を測定」と記載することがある。)するために用いられる。第1測定流路6及び第2測定流路7の大きさ及び形状は、サンプル測定回路の電極を投入できる大きさであれば特に制限は無いが、測定感度を高くするためには、抵抗を少なくすることが好ましい。サンプル液で満たされた流路の抵抗値は、サンプル液の抵抗率と流路の長さの積を、流路の断面積で割った値となる。したがって、流路の幅を大きくするほど面積が大きくなり、抵抗を少なくすることができる。そのため、第1測定流路6及び前記第2測定流路7の幅は、サンプル移動流路3と接続している部分の長さLより、サンプル移動流路3から離れるにしたがって長くなることが好ましい。第1測定流路6及び第2測定流路7の形状は同じであっても異なっていてもよいが、第1測定流路6及び第2測定流路7の形状が異なると、測定して得られるシグナルも非対称となる。そのため、測定したシグナルから物の形状等、より精度の高い測定をする場合は、第1測定流路6及び第2測定流路7を同じ形状にすることが好ましい。

【0021】
なお、図3では、第1測定流路6及び第2測定流路7を略台形状にすることで、第1測定流路6及び第2測定流路7の幅をLより長くしているが、第1測定流路6及び第2測定流路7の幅がサンプル移動流路3から離れるにしたがって長くなれば形状に特に限定は無い。例えば、図4は、本発明の電気測定用チップ1の他の実施形態を示しており、図4に示すように、半円形状とすることで、サンプル移動流路3から離れるにしたがって長くするようにしてもよい。

【0022】
第1測定流路6及び第2測定流路7の深さは、サンプル移動流路3の深さと同じにすればよい。また、長さLは、短い程感度が良くなることから、微細加工技術で作製可能な程度まで短くすればよい。一方、長さLが長すぎると、サンプルがサンプル移動流路3から第1測定流路6又は第2測定流路7に流れ込む恐れがあるので、長さLはサンプル移動流路3の幅より短い方が好ましく、測定対象サンプルのサイズより短くすることがより好ましい。

【0023】
図5は、第1測定流路6及び第2測定流路7に代え、第1測定電極61及び第2測定電極71を形成した電気測定用チップ1の概略を説明する図である。第1測定電極61及び第2測定電極71を形成する場合は、第1測定流路6及び第2測定流路7を形成する必要は無く、サンプル移動流路3が形成された基板2上に、導電性の材料をサンプル移動流路3に接する位置まで塗布すればよい。電気測定用チップ1の使用時にはガラス板等で蓋をすることから、サンプル移動流路3の中はサンプル液で満たされる。そのため、基板2上に第1測定電極61及び第2測定電極71を形成してもサンプル液に導通できる。

【0024】
第1測定電極61及び第2測定電極71の材料としては、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン等の公知の導電性金属を用いればよい。また、第1測定電極61及び第2測定電極71は基板2上をマスクして前記材料を蒸着することで作製すればよい。第1測定流路6及び第2測定流路7を形成して電極を挿入する形態と比較して、第1測定電極61及び第2測定電極71を形成する場合は抵抗を少なくできる。そのため、サンプル移動流路3に印加する電圧を低くすることができる。サンプル移動流路3と電極との接続部分の長さは第1測定流路6及び第2測定流路7と同様にすればよい。また、相対する第1測定電極61及び第2測定電極71の形状は同じにすることが望ましい。上記のとおり第1測定電極61及び第2測定電極71の場合は抵抗を少なくできることから、図3及び図4に示すようにサンプル移動流路3から離れるにしたがって第1測定電極61及び第2測定電極71の幅を長くしてもよいが、長方形等、同じ幅であってもよい。

【0025】
ところで、がん細胞の転移は、細胞の変形能が重要な役割を果たしていることが知られている。また、寿命や血中のコレステロールにより赤血球の変形能が低下すること、分化前の幹細胞は変形しやすいことが知られている。図6は、本発明の電気測定用チップ1の他の実施形態を示しており、サンプル移動流路3に狭窄部34を形成している。サンプルが狭窄部34を通過する際に、サンプルの変形能が異なると、狭窄部34を通過する際の細胞の変形具合が異なる。そのため、同種のサンプルであっても、通過時間や波形を調べることで、サンプルの変形能を測定することができる。図3~5に示す電気測定用チップ1においても、サンプルの変形能が高ければ、サンプル移動流路3を変形しながら流れる為、サンプルの通過時間や波形を調べることで変形能を測定することはできるが、図6に示す電気測定用チップ1の方が、サンプルの変形能をより詳しく測定できる。狭窄部34の幅は、測定対象サンプルの変形能を測定することから、少なくとも測定対象サンプルより小さくすることが好ましく、測定対象サンプルの大きさの50%~90%とすることが好ましく、60%~80%程度とすることがより好ましい。また、狭窄部34の深さは特に制限はなく、サンプル移動流路3と同様とすればよい。なお、狭窄部34は、幅及び/又は深さをサンプルより小さくすればよいので、例えば、幅はサンプル移動流路3と同じにして、深さを測定対象サンプルの大きさの50%~90%、より好ましくは60%~80%程度としてもよい。或いは、幅及び深さの両方を、測定対象サンプルの大きさの50%~90%、より好ましくは60%~80%程度としてもよい。

【0026】
なお、図6に示す電気測定用チップ1は狭窄部34を一か所形成した例を示しているが、狭窄部34は2カ所以上形成してもよい。また、狭窄部34を2か所以上形成する場合は、各々の狭窄部34の幅は同じであっても異なっていてもよい。また、図6に示す電気測定用チップ1は第1測定流路6及び第2測定流路7を設けているが、図5に示す第1測定電極61及び第2測定電極71としてもよい。

【0027】
電気測定用チップ1は、微細加工技術を用いて製造することができる。図7は、図4のA-A’断面図で、電気測定チップ1の製造工程の一例を示している。
(1)基板2の上に、エッチング可能な材料8を化学蒸着で塗布する。
(2)ポジ型フォトレジスト9をスピンコータで塗布する。
(3)流路を形成する個所に光が照射するように、フォトマスクを用いて露光・現像処理し、流路を形成する部分のポジ型フォトレジスト9を除去する。なお、図3、図5及び図6に示す電気測定用チップ1を作製する際には、フォトマスクの形状を変えればよい。
(4)流路を形成する個所の材料8をエッチングし、流路を形成する。
(5)ポジ型フォトレジスト9を除去する。

【0028】
基板2は、半導体製造技術の分野で一般的に用いられている材料であれば特に制限は無い。基板2の材料としては、例えば、Si、Ge、Se、Te、GaAs、GaP、GaN、InSb、InP等が挙げられる。

【0029】
ポジ型フォトレジスト9としては、TSMR V50、PMER等、半導体製造分野で一般的に使用されているものであれば特に制限はない。また、ポジ型に代え、ネガティブ型フォトレジストを用いてもよく、SU-8、KMPR等、半導体製造分野で一般的に使用されているものであれば特に制限はない。フォトレジストの除去液は、ジメチルホルムアミドとアセトン等、半導体分野で一般的な除去液であれば特に制限はない。

【0030】
基板2の上に堆積し、流路及び流路以外を形成する材料8としては、絶縁性の材料であれば特に制限は無く、例えば、SiO2、Si34、BPSG、SiON等が挙げられる。なお、図7に示す製造工程は、エッチング可能な材料8を用いて流路を形成しているが、材料8として、上記のポジ型フォトレジストやネガティブ型フォトレジスト等の感光性樹脂を用いてもよい。感光性樹脂を用いる場合は、基板2上に感光性樹脂を塗布し、流路を形成できる形状のフォトマスクを用い、露光・現像により、感光性樹脂で流路を形成すればよい。

【0031】
図8は、本発明の電気測定用チップ1の他の製造工程を示す図である。図7に示す製造工程は、エッチングにより流路を形成しているが、図8に示す製造工程では、鋳型を転写することで電気測定用チップ1を作製できる。
(1)フォトマスクの形状を変えることで、転写後に流路を形成する凸部8を基板2上に形成し、鋳型を作製する。
(2)鋳型を、転写用の材料21に転写する。
(3)鋳型を剥離することで、流路が形成された電気測定用チップ1を作製する。

【0032】
鋳型を転写する材料21としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、硬質ポリエチレン製等のプラスチック等の絶縁性材料が挙げられる。なお、転写して作製した電気測定用チップ1は、取扱いの利便性を向上するため、ガラス、プラスチック等の補助基板に貼り付けてもよい。

【0033】
図7及び図8に示す製造工程で作製した電気測定用チップ1を用いて測定する際に、蛍光顕微鏡で観察する場合には、基板2、材料8、鋳型を転写する材料21、補助基板は、光透過性材料で形成することが望ましい。

【0034】
また、電気測定用チップ1は、サンプル液が流れやすくするために親水化処理をしてもよい。親水化処理方法としては、プラズマ処理、界面活性剤処理、PVP(ポリビニルピロリドン)処理、光触媒等が挙げられ、例えば、電気測定用チップ1の流路が形成されている面を10~30秒間プラズマ処理することで、表面に水酸基を導入することができる。

【0035】
図9は、本発明の電気測定用チップ1を用いた電気測定装置10の概略を示す図である。電気測定装置10は、電気測定用チップ1に加え、駆動回路30、及び測定回路40を含んでいる。

【0036】
駆動回路30は、サンプル投入流路4に挿入する第1電極31及びサンプル回収流路5に挿入する第2電極32、電圧印加手段33を含んでいる。第1電極31及び第2電極32は、電気を通す材料であれば特に制限は無く、例えば、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン等の公知の導電性金属を用いればよい。なお、図9に示す例では、第1電極31をサンプル投入流路4に、第2電極をサンプル回収流路5に挿入しているが、第1電極31及び第2電極32は、サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5に形成し、電線で繋いでもよい。電圧印加手段33は、駆動回路30に電圧を印加してサンプルを移動できれば特に制限は無いが、電池ボックス等、ノイズを出しにくいものが好ましい。

【0037】
なお、図9に示す実施形態では、電気測定用チップ1のサンプル投入流路4及びサンプル回収流路5に電極31及び32を投入してサンプルを移動させているが、サンプルが移動できれば他の実施形態であってもよい。例えば、サンプル回収流路5の一部に孔をあけ、シリコンチューブの一端をサンプル回収流路5に接続し他端をシリンジポンプ等の吸引器に接続することで、駆動回路30に加え、吸引力によりサンプルを移動させてもよい。細胞等の大きなサンプルを用いる場合に有用である。また、サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5を設けなくてもよい。その場合、サンプル移動流路3の両端に孔を形成し、駆動回路30の第1電極31及び第2電極32もサンプル移動回路3に挿入すればよい。更に、必要に応じて、サンプル移動流路3の一端の孔には上記と同様の吸引器を設け、他端の孔にはシリコンチューブの一端を接続し、当該シリコンチューブの他端をサンプル液容器に接続することで、駆動回路30に加え、吸引力によりサンプルを移動してもよい。

【0038】
測定回路40は、第1測定流路6に挿入する第3電極41及び第2測定流路7に挿入する第4電極42、電流計43を少なくとも含んでおり、第3電極41及び第4電極42からの電流を電流計43で測定すればよい。また、駆動回路30と測定回路40の電圧を釣り合わせた状態にし、釣り合った状態からの電流の差分を検出することでより高感度検出を行う場合は、測定回路40に電圧印加手段44、可変抵抗45、抵抗46、更に、必要に応じて増幅手段を含ませることで、電流の差分のみを測定できるようにしてもよい。

【0039】
第3電極41及び第4電極42は、第1電極31及び第2電極32と同様の材料で作製すればよく、また、第1測定流路6及び第2測定流路7に形成して電線で繋いでもよい。電圧印加手段44は、電圧印加手段33と同様に、電池ボックス等を用いればよい。電流計43も一般的に使用されている電流計を用いればよい。増幅手段も、一般的に使用されているアンプを用いればよい。第1測定電極61及び第2測定電極71を形成する場合は第3電極41及び第4電極42は不要で、第1測定電極61及び第2測定電極71と電流計43を電線で接続すればよい。

【0040】
本発明では、可変抵抗45及び抵抗46を用いることで、サンプル移動流路3中の第1測定流路6及び第2測定流路7に挟まれている部分の電位差と、抵抗46の電位差を釣り合った状態にし、サンプルがサンプル移動流路3に入った際の過渡電流の発生及び定常電流の変化を、釣り合った状態からのズレとして測定することができるので、検出感度を高めることができる。本発明に使用できる可変抵抗45及び抵抗46は、市販されているものを用いればよい。

【0041】
図10は、本発明の電気測定装置10を用いてサンプルを測定する際の、電気測定チップ1上のサンプルの位置と測定できる電流値の関係を説明する図である。先ず、測定の前に、PBS、リン酸バッファー、TBEバッファー等の緩衝液を毛管現象で流路に導入し、次いで、サンプル液をサンプル投入流路4に投入する。次に、駆動回路30に電圧を印加すると、サンプルが、サンプル回収流路5に向けて移動する。サンプル投入流路4とサンプル移動流路3の境界付近(図10中のaの位置)にサンプルが移動すると、測定回路40は先ず過渡電流を測定する。次に、サンプルが、aの位置からサンプル移動流路3と第1測定流路6の接続部分(図10中のbの位置)の付近に移動するまで、定常電流の変化を読み取る。そして、サンプルが、bの位置からサンプル移動流路3と第2測定流路7の接続部分(図10中のcの位置)から出るまでの間は、より大きな定常電流の変化を測定する。そして、サンプルが、cの位置からサンプル移動流路3とサンプル回収流路5の境界付近(図10中のdの位置)に移動するまで、定常電流の変化を読み取り、そして、サンプルがサンプル回収回路5に出る際に、測定回路40は過渡電流を測定する。

【0042】
図10に示すように、本発明の電気測定チップ1を用いてサンプルを測定すると、サンプルがサンプル移動流路3に入る時と出る時の過渡電流を測定することで、サンプルがサンプル移動流路3を移動(図10中のa~d)する時間を正確に測定することができる。したがって、サンプルの表面電荷や変形能を測定することができる。なお、サンプル移動流路3に狭窄部34を設けた場合の波形は、後述する実施例において説明する。

【0043】
また、サンプルの粒径、形状は、サンプルが、第1測定流路6とサンプル移動流路3の接続部分から第2測定流路7とサンプル移動流路3の接続部分までの間(図10中のb~c)の定常電流の変化の大きさで測定することができる。したがって、サンプル移動流路3の長さに比較して、サンプルの定常電流の変化を測定する長さが短いことから、測定感度を維持することができる。更に、第1測定流路6と第2測定流路7の間以外のサンプル移動流路3はガイド流路として利用することができることから、測定感度を維持したまま、DNA等の細長い分子を伸長状態で測定することが可能となる。

【0044】
上記のとおり、本発明の電気測定装置10は、サンプルがサンプル移動流路3を通過する間の定常電流の変化を測定し、特に、サンプルが第1測定流路6及び第2測定流路7の間を移動している時の定常電流のより大きな変化を測定している。したがって、第1測定流路6及び第2測定流路7は、サンプル移動流路3の両端部に近い非対称となる位置に形成してもよいが、その場合、後述する実施例で示すとおりピーク時の波形は線状となることから第1測定流路6及び第2測定流路7を形成する位置のズレを小さくすることが好ましい。なお、本発明において、位置の「ズレ」とは、第1測定流路6とサンプル移動流路3の接続部分の中間点と第2測定流路7とサンプル移動流路3の接続部分の中間点(図10中の⇔)を意味する。一方、後述する実施例で示すとおり、サンプル移動流路3を挟んだ対称となる位置に第1測定流路6及び第2測定流路7を形成しても定常電流を測定することはできるが、定常電流の波形が割れることから、上記のとおり、非対称となる位置に形成することが好ましく、位置のズレを、第1測定流路6とサンプル移動流路3の接続部分の長さの半分+第2測定流路7とサンプル移動流路3の接続部分の長さの半分+サンプルの大きさ、とすることがより好ましい

【0045】
図11は、電気測定用チップ1の他の実施形態を示す図である。図3~図6に示す電気測定用チップ1のサンプル投入流路4及びサンプル回収流路5は単一の流路となっているが、図11に示すよう、サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5を、複数の流路として形成してもよい。サンプル投入流路4を複数の流路とすることで、例えば、異なるサンプルを夫々の流路に入れ、駆動回路の第1電極31及び第2電極32も夫々の流路に入れ、電圧を印加する電極を切り替えることで、異なるサンプルを連続分析して、サンプル回収流路に回収することができる。

【0046】
なお、複数の流路は、サンプル投入流路4又はサンプル回収流路5の一方のみに形成してもよい。サンプル投入流路4のみを複数の流路とした場合は、異なるサンプル液を連続的に分析することができる。

【0047】
また、サンプル液中に表面電荷が異なるサンプルが含まれる場合、サンプル移動流路3を流れるサンプルの移動速度が異なる。したがって、サンプル回収流路5のみを複数の流路を形成し、夫々の流路に挿入する電極を切り替えることで、サンプル液中の異なるサンプルを分離・回収することができ、更に別の分析に用いることができる。

【0048】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0049】
〔電気測定用チップ1の作製〕
<実施例1>
以下の手順により、電気測定用チップ1を作製した。
(1)厚さ600μmのシリコン基板2(フェローテックシリコン社製 直径76mm)を準備した。
(2)ネガ型フォトレジストSU-8 3005(MICRO CHEM社製)をスピンコータにより塗布した。
(3)フォトリソグラフィにより、流路を形成する個所に光が照射するように、フォトマスクを用いて露光した。露光後は、SU-8 developer(MICRO CHEM社製)を用いてレジストを現像した。現像後は、超純水を用いてリンスし、スピンドライヤーで水分を飛ばし乾燥させ、鋳型を作製した。
(4)作製した鋳型に、ポリジメチルシロキサン(東レ社製、SILPOT184)を流し込み、硬化させた。
(5)硬化したPDMSを鋳型から取り外し、次いで、市販のカバーガラス(厚み:0.17mm)をPDMSに密着させて電気測定用チップ1を作製した。
【実施例】
【0050】
図12(1)は、実施例1で作製した電気測定用チップ1の写真で、図12(2)は、第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真である。サンプル移動流路3の長さは150μm、幅は4μm、深さは7.5μmであった。第1測定流路6及び第2測定流路7の深さは7.5μm、サンプル移動流路3との接続部分の長さは10.5μmで、サンプル移動流路と第1測定流路の角度は約45°であった。また、サンプル移動流路3を挟んだ第1測定流路6と第2測定流路7の位置のズレは、40μmであった。サンプル投入流路4及びサンプル回収流路5の深さは7.5μmであった。
【実施例】
【0051】
<実施例2>
実施例1のフォトマスクの形状を換え、第1測定流路6と第2測定流路7の位置のズレを5μmとした以外は、実施例1と同様の手順で電気測定用チップ1を作製した。図13(1)は、実施例2で作製した電気測定用チップ1の第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真である。
【実施例】
【0052】
<実施例3>
実施例1のフォトマスクの形状を換え、サンプル移動流路3を挟んで対称の位置に第1測定流路6と第2測定流路7を形成した以外は、実施例1と同様の手順で電気測定用チップ1を作製した。図13(2)は、実施例3で作製した電気測定用チップ1の第1測定流路6及び第2測定流路7付近の拡大写真である。
【実施例】
【0053】
〔電気測定装置10の作製〕
<実施例4>
(1)駆動回路30の作製
第1電極31及び第2電極32は、電線(オヤイデ電気社製FTVS-408)の皮を剥いで金属部分を露出させて作製した。電圧印加手段33は、電池ボックス(誠南工業社製)を用いた。
(2)測定回路40の作製
第3電極41及び第4電極42は、電線(オヤイデ電気社製FTVS-408)の皮を剥いで金属部分を露出させて作製した。増幅手段は、FEMTO社製Variable Gain Low Noise Current Amplifierを用いた。電圧印加手段44は、電池ボックス(誠南工業社製)を用いた。可変抵抗45は、BI Technologies社製精密ポテンションメーターを用いた。電流計43は、増幅手段で増幅したシグナルをUSB-DAQ(National Instruments社製)を用いてPC用の電気信号に変換し、Lab View(National Instruments社製)を用いて作成したソフトウェアで読み取った。抵抗46は、金属皮膜抵抗(1kΩ パナソニック製)を用いた。
(3)実施例1で作製した電気測定用チップ1の、サンプル投入流路4に第1電極31、サンプル回収流路5に第2電極32、第1測定流路6に第3電極41、第2測定流路7に第4電極42を挿入することで、本発明の電気測定装置10を作製した。
【実施例】
【0054】
〔電気測定装置10を用いた測定〕
<実施例5>
超純水にサンプルとして蛍光マイクロビーズ(Polyscience社製Fluoresbrite)を分散することで、サンプル液を作製した。次に、5×TBEバッファーを毛管現象により流路に導入し、作製したサンプル液30μlをサンプル投入流路4に投入し、駆動回路30に53Vの電圧を印加した。また、測定回路40には、18Vの電圧を印加した。可変抵抗45を操作し、駆動回路30及び測定回路40の見かけ上の抵抗を釣り合った状態にした。サンプルがサンプル移動流路3を流れた際の定常電流の変化と過渡電流の発生を計測した。図14(1)は、実施例5における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフである。
【実施例】
【0055】
<実施例6>
実施例2で作製した電気測定用チップ1を用いた以外は、実施例5と同様の手順で測定を行った。図14(2)は、実施例6における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフである。
【実施例】
【0056】
<実施例7>
実施例3で作製した電気測定用チップ1を用いた以外は、実施例5と同様の手順で測定を行った。図14(3)は、実施例7における測定時間と測定された定常電流値の関係を示すグラフである。
【実施例】
【0057】
図14(1)~(3)に示すように、実施例1~3の何れの電気測定用チップ1を用いた場合でも、過渡電流の2つのピークが確認され、ピークの間隔はほぼ同じであった。実施例1~3は同じサンプルを使用していることから、表面電荷は同じである。したがって、第1測定流路6及び第2測定流路7の位置関係によらず、サンプルの表面電荷に応じて、サンプルがサンプル移動流路3を移動する時間を正確に測定することができる。
【実施例】
【0058】
また、実施例1の電気測定用チップ1を用いた場合、図14(1)に示すように、定常電流値の変化量は一番大きかったが、ピーク時の波形は線状となった。これは、第1測定流路6及び第2測定流路7のズレが大きいことから、第1測定流路6及び第2測定流路7の間でサンプルが移動しても、体積変化が起こらず定常状態が続いたためと考えられる。
【実施例】
【0059】
一方、図14(2)に示すように、実施例2の電気測定用チップ1を用いた場合、実施例1の電気測定用チップ1と比較して、定常電流値の変化は少なくなるものの、定常電流値の波形は明確なピークを示した。
【実施例】
【0060】
更に、実施例3の電気測定用チップ1を用いた場合、図14(3)に示すようにピークを2つ測定した。これは、図15に示すように、
(1)第1測定流路6及び第2測定流路7が対称となる位置関係に配置されているため、実施例1及び実施例2の配置のチップより測定回路40の電流が流れやすい、
(2)第1測定流路6及び第2測定流路7の端にサンプルが流れて来た時に定常電流の変化を測定するが、上記のとおり、実施例3の電気測定用チップ1は電気が流れやすいため、サンプルがサンプル移動流路3との接続部分の中間に来た時に定常電流値がベース値に近い値に戻り、
(3)そして、接続部分からサンプルが流れ出る際に、定常電流値の変化を測定した、
為と考えられる。
【実施例】
【0061】
以上の結果より、第1測定流路6及び第2測定流路7は、サンプル移動流路3を挟んで非対称の位置に形成することが好ましく、サンプルの大きさに応じてピーク値の値が線状にならない程度にズラして配置(第1測定流路6の端部と第2測定流路7の端部がサンプル移動流路3を挟んで重ならず、且つ離れすぎない位置)することが好ましい。
【実施例】
【0062】
〔電気測定装置10及び蛍光顕微鏡を用いた測定〕
<実施例8>
サンプルとして蛍光マイクロビーズ(Polyscience社製Fluoresbrite)を用い、電気測定用チップ1の第1測定流路6と第2測定流路7の間が観察できるように蛍光顕微鏡(Nikon社製TE300)を配置して蛍光強度を測定した以外は、実施例5と同様の手順で測定を行った。図16は、電気測定用チップ1の写真及び第1測定流路6~第2測定流路7の間を流れる蛍光マイクロビーズの写真、並びに、蛍光マイクロビーズが流れる際の定常電流値の変化(シグナル強度)と蛍光強度の変化を示すグラフ(グラフ中の線で囲った部分が、蛍光マイクロビーズが第1測定流路6~第2測定流路7の間を流れた際の測定結果)である。図16に示すように、本発明の電気測定装置10を用いることで、過渡電流及び定常電流値の変化を測定しつつ、蛍光顕微鏡で電気測定用チップ1のサンプル移動流路3を流れるサンプルを観察することができるので、電気測定用チップ1の測定部位で起こっている事象を正確に観察することができる。
【実施例】
【0063】
<実施例9>
サンプルとして、粒径が約3.1μm、2.08μm、1μmの蛍光マイクロビーズ(Polyscience社製Fluoresbrite)を用いた以外は、実施例8と同様の手順で測定を行った。図17は実施例9で測定した定常電流値の変化(シグナル強度)を示すグラフである。従来の定常電流値の変化の測定のみでは、同じ大きさの物質が重なったものであるのか、又は、大きさの異なる物質であるのか判別が困難であったが、蛍光顕微鏡と併せて観察することで、サンプルを正確に判別できた。なお、蛍光顕微鏡は異なる色を判別できることから、例えば、グラム陰性菌と陽性菌を染色して蛍光顕微鏡で観察しつつ、過渡電流及び定常電流値の変化を測定することで、大凡の種類の判別も可能となる。
【実施例】
【0064】
〔粒径と定常電流値の大きさの関係〕
<実施例10>
サンプルとして、粒径が約3.1μm、2.08μm、1.75μm、1.1μm、1μm、0.75μmの蛍光マイクロビーズ(Polyscience社製Fluoresbrite)を用いて実施例8と同様の手順で測定を行った。図18はサンプルの体積と定常電流値の変化(シグナル強度)を示すグラフである。図18に示すように、シグナル強度とサンプルの体積は相関関係があることが確認できた。
【実施例】
【0065】
〔印加電圧と、シグナル強度及び通過時間の関係〕
<実施例11>
実施例5において、駆動回路30の電圧を、53V、32V、12Vの3種類に代えて測定した以外は実施例5と同様の手順で測定を行った。図19は、駆動回路の電圧とサンプルがサンプル移動流路を通過する時間の関係を示す図である。図19に示すように、駆動電圧30の電圧を大きくすることで、測定感度を上げることができる一方で、サンプルの表面電荷により、通過時間が短くなることが明らかとなった。また、12Vの場合は、シグナル強度のバラツキは少なかったものの、通過時間のバラツキが大きかった。一方、駆動電圧を32V以上にした場合、通過時間のバラツキはほとんどなかったが、シグナル強度のバラツキが見られた。これは、低電圧下では、電荷を持つサンプルへの駆動力が小さくなり、壁面から受ける摩擦力によってサンプルの移動速度に影響を与えたためと考えられる。
本発明においては、サンプル移動流路3の長さ、及び第1測定流路6及び第2測定流路7の間隔を任意に設定できる。したがって、駆動回路30の電圧を高くしても、定常電流の変化を読み取るのに必要で且つ最短となる時間となるようにサンプル移動流路3の長さ、及び第1測定流路6及び第2測定流路7を設定できることから、短時間で高感度検出を行うことができる。
【実施例】
【0066】
〔細胞を用いた際の粒径と定常電流値の大きさの関係〕
<実施例12>
上記実施例10では、形状が一定の蛍光マイクロビーズを用いたが、形状が変化する細胞を用いた場合のシグナル強度とサンプル体積の相関関係を調べた。
先ず、実施例1のフォトマスクの形状を変えることで、サンプル移動流路3の幅が20μm、第1測定流路6の端部と第2測定流路7の端部の距離が20μmの電気測定用チップ1を作製した。図20(1)は、実施例12で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路付近の拡大写真、図20(2)は実施例12で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路付近の寸法を説明するための図である。その他のサイズは、実施例1と同様である。
そして、駆動回路30に加え、作製した電気測定用チップ1のPDMSのサンプル投入流路4及びサンプル回収流路5の一部に孔をあけ、シリコンチューブの一端をサンプル回収流路5の形成した孔に接続し他端をシリンジポンプ(kd Scientific,KDS210)に接続した以外は、実施例4と同様の手順で電気測定装置10を作製した。
次に、サンプルとして、
・HeLa細胞(ヒト子宮頸がん由来細胞):約15μm(ATCC,CCL-2)
・Jurkat細胞(ヒトT細胞)浮遊系 :約10μm(ATCC,TIB-152)、
を用いた。なお、HeLa細胞は、HeLa用細胞培地であるMEM(Sigma aldrich,M4655)を用いて培養した。また、Jurkatは、Jurkat用細胞培地であるRPMI1640(gibco,11875-093)を用いて培養した。
そして、蛍光マイクロビーズに変え上記の細胞を用い、駆動回路30に印加する電圧を3V、シリンジポンプでサンプル溶液を5~10μL/minで吸引した以外は、実施例10と同様の手順で実験を行った。
図20(3)は、定常電流値のヒストグラムで、各定常電流値においてカウントされた細胞数の分布を示すグラフである。図20(2)に示すように、細胞等の形状が変化し易いサンプルを用いた場合でも、定常電流値の強度とサンプルの体積には相関関係があることが確認できた。
【実施例】
【0067】
〔狭窄部34を有する電気測定用チップ1の作製〕
<実施例13>
実施例1のフォトマスクの形状を変えることで、狭窄部34を有する電気測定用チップ1を作製した。図21(1)は、実施例13で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路3の狭窄部34付近の拡大写真である。また、図21(2)は、実施例13で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路3と狭窄部34の長さ及び幅を示す図である。サンプル移動流路3の幅は25μmで、幅15μmの狭窄部及び幅10μmの狭窄部を、間隔を設けて形成した。幅15μmの狭窄部及び幅10μmの狭窄部、並びに両狭窄部の間のサンプル移動流路3の長さは30μmであった。また、幅15μmの狭窄部及びサンプル移動流路3は約45°の角度で接続し、接続部分の長さは約5μmであった。幅10μmの狭窄部及びサンプル移動流路3は約45°の角度で接続し、接続部分の長さは約7.5μmであった。
次に、作製した電気測定用チップ1を用い、実施例12と同様の手順で電気測定装置10を作製した。
次に、サンプルとして実施例12に記載のHeLa細胞を用い、シリンジポンプで5μl/minの量で吸引した。
図22(1)は、図21に示すチップの左から右側(流路幅は、15μm→25μm→10μm)にHeLa細胞を流した時の各幅の流路に入った時間(in)と出た時間(out)、及び定常電流値の変化を示すグラフである。図22(2)は、HeLa細胞を逆方向(流路幅は、10μm→25μm→15μm)に流した時の各幅の流路に入った時間(in)と出た時間(out)、及び定常電流値を示すグラフである。上記のとおりHeLa細胞の大きさは約15μmである。図22(1)及び(2)から明らかなように、同じ長さの流路であっても、流路幅が狭くなるに従ってHeLa細胞が通過する時間が長くなった。特に、HeLa細胞が変形しないと通過できない幅である10μmの狭窄部を通過する時には、15μm及び25μmの幅の時より非常に長い時間を要した。以上の結果より、サンプル移動流路3に狭窄部34を形成することで、サンプルの変形能を測定することができた。
【実施例】
【0068】
<実施例14>
上記実施例13において、狭窄部34を設けることでサンプルの変形能を測定できたことから、本実施例では、変形能が異なる同種の細胞を準備し測定を行った。
先ず、フォトマスクの形状を変えることで、幅が10μm、長さが40μmの狭窄部34を1つ有する電気測定用チップ1を作製した。図23(1)は、実施例14で作製した電気測定用チップ1のサンプル移動流路3の狭窄部34付近の拡大写真である。次に、作製した電気測定用チップ1を用いて、実施例13と同様の手順で電気測定装置を作製した。
次に、アクチンの重合を阻害することで細胞骨格を作ることを阻害する物質であるラトランクリンA(wako,125-04363)を、上記実施例12のHeLa細胞に0.5μMの濃度で作用させた。なお、ラトランクリンAをHeLa細胞に作用させると細胞骨格の形成が阻害されることから、ラトランクリンAを作用しないHeLa細胞と比較して、細胞は変形能が異なる。
そして、作製した電気測定装置を用い、ラトランクリンAを作用したHeLa細胞(LatA)及びラトランクリンAを作用していないHeLa細胞(Without LatA)を、シリンジポンプを用いて10μl/minの量で吸引した以外は、実施例12と同様の手順で実験を行った。
図23(2)は、定常電流値と通過時間の関係を示すグラフである。図23(2)から明らかなように、同じ定常電流値、つまり、細胞の大きさが同じ場合、ラトランクリンAを作用していないHeLa細胞(Without LatA)の方が明らかに狭窄部を通過する時間が長かった。
以上の結果から、同種の細胞であっても、狭窄部を通過する時間を測定することで細胞の変形能の違いを測定することができた。がん化した細胞は正常細胞と比較して変形能が高くなることから、例えば、狭窄部を設けた電気測定用チップに同じ細胞集団の溶液を流すことで、細胞集団の中から、がん化した細胞を区別・選別する装置(セルソーター)を作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の電気測定用チップ1を用いることで、駆動回路と測定回路を別回路として設計できるので、駆動回路の電圧を高く設定し、検出感度を高めることができる。更に、過渡電流も正確に読み取ることができることから、サンプルの表面電荷を読み取ることができ、また、サンプル移動流路内でサンプルの伸長状態を作り出して核酸やタンパク質等の生体分子の測定が可能となる。
したがって、企業、研究機関等において、サンプルを正確に分析するための測定機器の開発に有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22