TOP > 国内特許検索 > 予測値整形システム、制御システム、予測値整形方法、制御方法、及び予測値整形プログラム > 明細書

明細書 :予測値整形システム、制御システム、予測値整形方法、制御方法、及び予測値整形プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年7月27日(2017.7.27)
発明の名称または考案の名称 予測値整形システム、制御システム、予測値整形方法、制御方法、及び予測値整形プログラム
国際特許分類 G05B  11/36        (2006.01)
FI G05B 11/36 505A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 28
出願番号 特願2016-552811 (P2016-552811)
国際出願番号 PCT/JP2015/004670
国際公開番号 WO2016/056176
国際出願日 平成27年9月14日(2015.9.14)
国際公開日 平成28年4月14日(2016.4.14)
優先権出願番号 2014209483
優先日 平成26年10月10日(2014.10.10)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】東 俊一
【氏名】南 裕樹
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100115808、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 真司
【識別番号】100113549、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 守
審査請求 未請求
テーマコード 5H004
Fターム 5H004GA04
5H004GB04
5H004GB12
5H004GB15
5H004HA14
5H004HB14
5H004JA03
5H004JA11
5H004KB32
5H004KC27
要約 予測値の整形によってより精度の高い(目標値に近い)制御値を算出する予測値整形システムを提供する。制御対象(12)を制御するための制御値(v)を算出する予測ガバナ(20)は、制御対象(12)の過去の目標値、すなわち、実績値(r(t-1))を取得する実績値取得部(22)と、制御対象(12)の目標値を予測して得られた予測値(r^(t))を取得する予測値取得部(21)と、実績値(r(t-1))及び予測値(r^(t))を予測値整形アルゴリズム(G)に適用して予測値(r^(t))を補正することで、制御対象(12)を制御するための制御値(v(t))を算出する制御値算出部(23)とを備えている。予測値整形アルゴリズム(G)は、制御対象(12)の制御モデル(P)のパラメタを用いている。
特許請求の範囲 【請求項1】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形システムであって、
前記予測値を取得する予測値取得部と、
前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出部と、
を備え、
前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いていることを特徴とする予測値整形システム。
【請求項2】
前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムであることを特徴とする請求項1に記載の予測値整形システム。
【請求項3】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形システムであって、
前記予測値を取得する予測値取得部と、
前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得部と、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出部と、
を備え、
前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムであることを特徴とする予測値整形システム。
【請求項4】
前記影響は、前記予測誤差がない場合の目標値を適用した場合の出力と実際の出力との出力差であることを特徴とする請求項2又は3に記載の予測値整形システム。
【請求項5】
前記出力差を表現する評価関数を用いて前記影響の大きさを評価する評価部をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の予測値整形システム。
【請求項6】
前記アルゴリズムを決定するアルゴリズム決定部をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の予測値整形システム。
【請求項7】
前記影響の大きさを評価する評価部をさらに備え、
前記アルゴリズム決定部は、前記評価部にて評価された前記影響の大きさが所定の大きさより大きいときに、前記アルゴリズムを決定することを特徴とする請求項6に記載の予測値整形システム。
【請求項8】
前記アルゴリズムは、前記影響を最小にするアルゴリズムであることを特徴とする請求項4に記載の予測値整形システム。
【請求項9】
前記アルゴリズムは、前記影響を所定の値より小さくするアルゴリズムであることを特徴とする請求項4に記載の予測値整形システム。
【請求項10】
前記アルゴリズムは、前記影響が収束したと判定されたときのアルゴリズムであることを特徴とする請求項4に記載の予測値整形システム。
【請求項11】
前記制御モデルの前記パラメタがA、B、Cであり、
前記制御モデルが式(1)で表され、
【数1】
JP2016056176A1_000049t.gif
ここで、v(t)は時刻tにおける前記制御値であり、y(t)は時刻tにおける前記制御対象の出力であり、前記アルゴリズムが式(2)で表され、
【数2】
JP2016056176A1_000050t.gif
ここで、r^(t)は時刻tの前記予測値であり、r^(t-1)は時刻tより過去の前記予測値であり、r(t-1)は前記実績値であり、
【数3】
JP2016056176A1_000051t.gif
であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか一項に記載の予測値整形システム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の予測値整形システムと、
前記制御対象と、
前記予測値整形システムによって算出された前記制御値に従って前記制御対象を制御する制御器と、
を備えたことを特徴とする制御システム。
【請求項13】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形方法であって、
前記予測値を取得する予測値取得ステップと、
前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップと、
を含み、
前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いていることを特徴とする予測値整形方法。
【請求項14】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形方法であって、
前記予測値を取得する予測値取得ステップと、
前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップと、
を含み、
前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムであることを特徴とする予測値整形方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の予測値整形方法によって制御値を算出する制御値算出ステップと、
前記制御値算出ステップで算出された前記制御値によって前記制御対象を制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項16】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形装置のコンピュータに、
前記予測値を取得する予測値取得ステップと、
前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップと、
を実行させ、
前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いていることを特徴とする予測値整形プログラム。
【請求項17】
制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形装置のコンピュータに、
前記予測値を取得する予測値取得ステップと、
制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、
前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップと、
を実行させ、
前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムであることを特徴とする予測値整形プログラム。
発明の詳細な説明
【関連する出願】
【0001】
本出願では、2014年10月10日に日本国に出願された特許出願番号2014-209483の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、制御対象を制御するための制御値を算出する予測値整形システム及びそれを含む制御システム、予測値整形方法及びそれを含む制御方法、並びに予測値整形プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
制御される対象(制御対象)に対して制御器を用いてフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御システムがある。理想的なフィードフォワード制御システムでは、システムに制御対象を制御するための制御値として目標値が与えられ、制御対象からは、目標値に合う物理量の出力がされる。
【0004】
図12は、理想的なフィードフォワード制御システムの構成を示すブロック図である。制御器及び制御対象を含むシステム101の制御器には目標値rが与えられ、制御器が目標値rに従った駆動信号で制御対象を駆動することで、システム101からは目標値rに見合う出力yが得られている。
【0005】
例えば、発電システムでは、発電機とその制御器を含む発電システムがシステム101となり、上記のフィードフォワード制御システムが構成される。発電機の発電量を制御する制御器に、目標値rとして電力需要量が入力されると、発電機からは電力需要にほぼ等しい量の電力yが出力される。
【0006】
実際の状況では、システムに与えるべき目標値(すなわち、現時点で必要とされる制御対象の出力量)は未知であり、所定の予測モデルによって目標値を予測して得られた予測値をシステムに与えざるを得ない場合が多い。
【0007】
例えば、上述の発電システムの場合には、現時点の電力需要量(実際に必要な電力量)を正確に得ることはできないので、発電システムには、所定の予測モデルによって得られた予測値を与える必要がある。
【0008】
図13は、予測値によって制御する制御システムの構成を示すブロック図である。システム102には、所定の予測モデルによって得られた予測値
【数1】
JP2016056176A1_000003t.gif
が与えられる。なお、以下では、
【数2】
JP2016056176A1_000004t.gif
を「r^」とも表記する。システム102からは、その予測値r^に応じた出力yr^が得られる。
【0009】
しかしながら、予測値で制御する場合には、予測誤差(すなわち、予測値と実際の目標値との差)の分だけ、制御対象の出力にも誤差が生じることになる。そこで、予測誤差の影響がシステムの出力に影響しないようにするために、過去の時点の目標値(すなわち、過去の時点において実際に必要であった制御値)を実績値として利用し、システムに与える予測値を補正(整形)する予測ガバナ(予測値整形器)を設けたフィードフォワード制御システムが知られている。ここで、実績値は、過去の出力値ではなく、実際に使用された制御値であり、実績値は出力値とは独立している。
【0010】
図14は、予測ガバナを設けた制御システムの構成を示すブロック図である。予測ガバナ201には、予測値r^に加えて、過去の時点の目標値(実績値)rが与えられる。予測ガバナ201は、これらの予測値r^及び実績値rに基づいて制御値vを算出して、システム103に出力する。システム103では、制御値vに見合う出力yが得られる。
【0011】
例えば、上述の発電システムの場合には、天候、気温等を予測モデルに適用して得られた電力需要量の予測値r^を、予測ガバナ201において、例えば数分前の実績値r(すなわち、数分前に実際に使用された制御値)を用いて補正して、システム103に与えることができる。このようなフィードフォワード制御システムによって、同時同量の制御が行われる。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特開2006-288151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、予測値の整形によってより精度の高い(目標値に近い)制御値を算出する予測値整形システム、制御値算出方法、及び制御値算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様の予測値整形システムは、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形システムであって、前記予測値を取得する予測値取得部と、前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出部とを備えた構成を有し、前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いている。
【0015】
この構成により、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0016】
上記の予測値整形システムにおいて、前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムであってよい。
【0017】
この構成により、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするよう予測値を補正するアルゴリズムが提供される。
【0018】
本発明の別の態様の予測値整形システムは、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形システムであって、前記予測値を取得する予測値取得部と、前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得部と、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出部とを備えた構成を有し、前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムである。
【0019】
この構成により、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするように、予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0020】
上記の予測値整形システムにおいて、前記影響は、前記予測誤差がない場合の目標値を適用した場合の出力と実際の出力との出力差であってよい。
【0021】
この構成により、理想的な出力(即ち、予測誤差がない場合の目標値を適用した場合の出力)と実際の出力との出力差を小さくするように、予測値が補正される。
【0022】
上記の予測値整形システムは、さらに、前記出力差を表現する評価関数を用いて前記影響の大きさを評価する評価部を備えていてよい。
【0023】
この構成によれば、監視部が過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響の大きさを監視するので、影響が大きくなった場合に、そのことを検知して、アルゴリズムを再計算する等の対応を採ることができる。
【0024】
上記の予測値整形システムは、さらに、前記アルゴリズムを決定するアルゴリズム決定部を備えていてよい。
【0025】
この構成により、予測値を補正するためのアルゴリズムを動的に決定できる。
【0026】
上記の予測値整形システムは、前記影響の大きさを評価する評価部をさらに備えていてよく、前記アルゴリズム決定部は、前記評価部にて評価された前記影響の大きさが所定の大きさより大きいときに、前記アルゴリズムを決定してよい。
【0027】
この構成により、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響が大きくなったときに、アルゴリズムを決定し直すことができる。
【0028】
上記の予測値整形システムにおいて、前記アルゴリズムは、前記影響を最小にするアルゴリズムであってよい。
【0029】
この構成により、予測値を補正するためのアルゴリズムとして、過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響である出力差を最小にするアルゴリズムを得ることができる。
【0030】
上記の予測値整形システムにおいて、前記アルゴリズムは、前記影響を所定の値より小さくするアルゴリズムであってよい。
【0031】
この構成により、過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響である出力差がある所定値より小さくなったときに、予測値を補正するためのアルゴリズムを得ることができる。
【0032】
上記の予測値整形システムにおいて、前記アルゴリズムは、前記影響が収束したと判定されたときのアルゴリズムであってよい。
【0033】
この構成により、過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響である出力差が収束したときに、予測値を補正するためのアルゴリズムを得ることができる。
【0034】
上記の予測値整形システムにおいて、前記制御モデルの前記パラメタをA、B、Cとして、前記制御モデルが式(1)で表されてよい。
【数3】
JP2016056176A1_000005t.gif
ここで、v(t)は時刻tにおける前記制御値であり、y(t)は時刻tにおける前記制御対象の出力である。また、前記アルゴリズムが式(2)で表されてよい。
【数4】
JP2016056176A1_000006t.gif
ここで、r^(t)は時刻tの前記予測値であり、r^(t-1)は時刻tより過去の前記予測値であり、r(t-1)は前記実績値であり、
【数5】
JP2016056176A1_000007t.gif
である。
【0035】
この構成により、予測値を補正するためのアルゴリズムが最適化される。
【0036】
本発明の一態様の制御システムは、上記のいずれかの予測値整形システムと、前記制御対象と、前記予測値整形システムによって算出された前記制御値に従って前記制御対象を制御する制御器とを備えた構成を有している。
【0037】
この構成によっても、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、あるいは、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするように、予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0038】
本発明の一態様の制御値算出方法は、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形方法であって、前記予測値を取得する予測値取得ステップと、前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップとを含む構成を有し、前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いている。
【0039】
この構成によっても、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0040】
本発明の別の態様の制御値算出方法は、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形方法であって、前記予測値を取得する予測値取得ステップと、前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップとを含む構成を有し、前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムである。
【0041】
この構成によっても、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするように、予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0042】
本発明の一態様の制御方法は、上記のいずれかの態様の予測値整形方法によって制御値を算出する制御値算出ステップと、前記制御値算出ステップで算出された前記制御値によって前記制御対象を制御する制御ステップとを含む構成を有している。
【0043】
この構成によっても、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、あるいは、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするように、予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0044】
本発明の一態様の制御値算出プログラムは、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形装置のコンピュータに、前記予測値を取得する予測値取得ステップと、前記制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップとを実行させる構成を有し、前記アルゴリズムは、前記制御対象の制御モデルのパラメタを用いている。
【0045】
この構成によっても、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【0046】
本発明の別の態様の予測値整形プログラムは、制御対象を制御するための目標値を予測して得られた予測値を補正する予測値整形装置のコンピュータに、前記予測値を取得する予測値取得ステップと、制御対象の過去の目標値である実績値を取得する実績値取得ステップと、前記実績値及び前記予測値をアルゴリズムに適用して前記予測値を補正することで、前記制御対象を制御するための制御値を算出する制御値算出ステップとを実行させる構成を有し、前記アルゴリズムは、過去の前記予測値と前記実績値との差分である過去の予測誤差が前記制御対象の出力に与える影響を小さくするように、前記予測値を補正するアルゴリズムである。
【0047】
この構成によっても、過去の予測値と実績値との差分(過去の予測誤差)が制御対象の出力に与える影響を小さくするように、予測値が補正されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より目標値に近い制御値を得ることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正(整形)されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より理想の出力に近い出力を得ることができる。
【0049】
以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の開示は、本発明の一部の提供を意図しており、ここで記述され請求される発明の範囲を制限することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る予測値整形システムを含む制御システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御システムの構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態に係る評価関数を説明するためのブロック図
【図4】本発明の実施の形態に係る評価関数を説明するためのグラフ
【図5】本発明の実施の形態の数値例における目標値を示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態の数値例における予測値を示すグラフ
【図7】予測値を用い、予測ガバナを用いない場合の比較例を示すグラフ
【図8】本発明の実施の形態に係る予測ガバナを用いて予測値を補正した場合の数値例を示すグラフ
【図9】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御システムによる効果を説明するための図
【図10】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御システムを実現する手順を示すフローチャート
【図11】本発明の実施の形態に係る予測値整形アルゴリズムを動的に決定する予測値整形システムの構成を示すブロック図
【図12】従来の理想的なフィードフォワードの制御システムの構成を示すブロック図
【図13】従来の予測値によって制御する制御システムの構成を示すブロック図
【図14】従来の予測ガバナを設けた制御システムの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態の予測値整形システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。

【0052】
図1は、本発明の実施の形態に係る予測値整形システムを含む制御システムの構成を示すブロック図である。制御システム100は、予測ガバナ(予測値整形システム)20と、システム10とを備えたフィードフォワード制御システムである。システム10は、制御対象12と、それを制御する制御器11とを備えたフィードバック制御システムである。すなわち、制御システム100では、フィードバック制御システム10に対して予測ガバナ20が直列に接続され、全体としてフィードフォワード制御システムが構成されている。制御器11は、制御対象12の出力値のフィードバックを受けて、これに基づいて制御対象12の出力を予測ガバナ20から指定された制御値にするためのフィードバック制御を行う。具体的には、制御器11は、制御対象12を制御するために、制御信号である駆動信号を制御対象12に出力する。制御対象12は、制御器11から受けた駆動信号に従って駆動し、その結果、駆動信号に応じた物理量を出力する。

【0053】
本実施の形態では、制御対象12を制御するための目標値は未知である。そのような制御対象12として、例えば、発電機がある。発電機から出力される(発電される)電力は、電気のまま貯めておくことが難しく、また需要に対して供給が下回ると停電してしまうという特性がある。このため、時々刻々と変動する電力需要量に合わせ、ある程度のマージンを確保した電力量の発電をするように発電量制御が行われる。しかし、このマージンが大きすぎるとエネルギーの浪費になるため、需要量を正確に見積もって同時同量の発電量制御を行うことが望ましい。したがって、発電量制御には、本実施の形態による制御値算出の技術が好適に適用される。

【0054】
予測値整形システムとしての予測ガバナ20は、予測値取得部21と、実績値取得部22と、制御値算出部23と、出力部24とを備えている。予測値整形システムとしての予測ガバナ20の構成要素である予測値取得部21、実績値取得部22、制御値算出部23、及び出力部24は、一部または全部がネットワーク上に分散して配置されていてもよいし、一部または全部が同一の装置(予測値整形装置)に備えられていてもよい。

【0055】
予測値取得部21は、所定の予測モデルによって制御対象12の目標値を予測することで得られた予測値r^を取得する。実績値取得部22は、制御対象12の過去の目標値である実績値rを取得する。制御値算出部23は、実績値r及び予測値r^を所定の予測値整形アルゴリズムに適用して予測値r^を補正(整形)することで、制御対象12を制御するための制御値vを算出する。出力部24は、予測値算出部23で算出された制御値vをシステム10の制御器11に出力する。

【0056】
予測ガバナ20を用いて実績値rによって予測値r^を補正すると、予測の精度が向上して、より目標値に近い予測値r^が得られる。しかしながら、従来の予測ガバナにおける予測値整形アルゴリズムは、制御対象の情報を用いておらず、したがって、個別の制御対象に対して最適化されていない。換言すれば、従来の予測ガバナにおける予測値整形アルゴリズムは、どのような制御対象にも一定程度の効果をもって適用できる汎用的なものに過ぎなかった。

【0057】
そこで、本実施の形態の予測ガバナ20は、システム10におけるフィードバック制御の制御モデル(以下、「制御対象12の制御モデル」ともいう。)に基づいて得られた予測値整形アルゴリズムを用いて、予測値の補正を行う。以下、そのような予測値整形アルゴリズムを具体的に説明する。

【0058】
1.記号の準備
予測値整形アルゴリズムの説明に先立ち、まず、以下のとおりに各記号を定義する。
【数6】
JP2016056176A1_000008t.gif
は、それぞれ、実数の集合、正の実数の集合、自然数の集合を表わす。

【0059】
【数7】
JP2016056176A1_000009t.gif
で表されるベクトルx及び行列Mの∞ノルムをそれぞれ
【数8】
JP2016056176A1_000010t.gif
と定義する。

【0060】
離散時間信号eの∞ノルムを
【数9】
JP2016056176A1_000011t.gif
とする。

【0061】
【数10】
JP2016056176A1_000012t.gif
で表される行列Mに対し、abs(M)は、行列Mの各要素の絶対値で構成される行列であるとする(abs(M)={Mij}とする)。

【0062】
2.問題設定
図2は、本実施の形態のフィードフォワード制御システムの構成を示すブロック図である。図2には、予測値整形アルゴリズムGを採用する予測ガバナ20と、制御モデルPでフィードバック制御を行うシステム10とで構成されるフィードフォワード制御システムΣが示されている。ここで、制御モデルPは、離散時間線形モデルである。また、「z-1」は一定時刻前の情報を取得する操作を表わしている。

【0063】
制御モデルPは、下式(1)で表される。
【数11】
JP2016056176A1_000013t.gif
ここで、v(t)は、予測ガバナ20が出力する制御値であり、y(t)は、システム10の出力である。また、(A、B、C)は、制御モデルPのパラメタであり、入出力データから従来のシステム同定手法(例えば、最小二乗法)を用いて決定される。

【0064】
また、
【数12】
JP2016056176A1_000014t.gif
は、離散時刻を表し、
【数13】
JP2016056176A1_000015t.gif
は状態を表し、
【数14】
JP2016056176A1_000016t.gif
は入力を表し、
【数15】
JP2016056176A1_000017t.gif
は出力を表し、
【数16】
JP2016056176A1_000018t.gif
は定数行列である。Aの固有値は複素平面上の単位円内に存在するものとする(Pが安定であるとする)。 また、初期状態は、
【数17】
JP2016056176A1_000019t.gif
によって
【数18】
JP2016056176A1_000020t.gif
と与えられる。

【0065】
一方、予測ガバナ20の予測値整形アルゴリズムGは、以下の式(2)で表される。
【数19】
JP2016056176A1_000021t.gif
ここで、r(t-1)は実績値(一定時刻前の目標値)であり、r^(t-1)は、所定の予測モデルによって得られた一定時刻前の予測値であり、r^(t)は、現在の予測値である。また、v(t)は現在の制御値(予測値を整形して得られた値)である。また、(A,B,C,D)は、予測値整形アルゴリズムの設計パラメタである。

【0066】
また、
【数20】
JP2016056176A1_000022t.gif
はGの状態(ξ(0)=0)であり、
【数21】
JP2016056176A1_000023t.gif
は入力であり、
【数22】
JP2016056176A1_000024t.gif
は出力であり、
【数23】
JP2016056176A1_000025t.gif
は定数行列である。

【0067】
信号rは、実際の目標値である。現在の値r(t)は取得できないが、実績値r(t-1)は取得可能である。一方、信号r^は予測値であるため、現在の値r^(t)及び過去の値r^(t-1)のいずれも利用可能である。このrとr^に対して、次の仮定(A1)を設ける。
【数24】
JP2016056176A1_000026t.gif
この仮定(A1)は、予測誤差が
【数25】
JP2016056176A1_000027t.gif
以下、すなわち、予測値rが何らかの推定手法を用いてΔ以下の精度で得られていることを意味している。

【0068】
ここで、制御値算出部23がより目標値rに近い制御値vを算出する予測値整形アルゴリズムを得るために、図3、図4及び式(3)に示す評価関数J(G)を考える。図3は、評価関数J(G)を説明するためのブロック図であり、図4は、評価関数J(G)を説明するためのグラフである。評価関数J(G)は、フィードフォワード制御システムΣにおいて、制御対象12の制御モデル
【数26】
JP2016056176A1_000028t.gif
が任意に与えられたときの評価関数であり、下式で与えられる。
【数27】
JP2016056176A1_000029t.gif
ここで、yは、本実施の形態の予測ガバナ20で算出された制御値vによって制御したときのシステム10の出力であり、yは、目標値rによって制御したときのシステム10の出力である。

【0069】
図3、図4、及び式(3)に示すように、評価関数J(G)は、本実施の形態のフィードフォワード制御システムΣの出力yと、目標値rが利用できる場合の理想的なフィードフォワード制御システムΣの出力yとの最大の差、すなわち、最悪な予測値が与えられたときの最大の出力差を表している。換言すれば、評価関数J(G)は、最悪ケースの評価指標である。したがって、評価関数J(G)を最小化する予測値整形アルゴリズムGが最適な予測値整形アルゴリズムとなる。以下では、評価関数J(G)を最小化する予測値整形アルゴリズムGを求める、予測ガバナの最適設計について説明する。

【0070】
3.予測ガバナの最適設計
3-1.性能解析
評価関数J(G)の値を小さくする予測ガバナ20の予測値整形アルゴリズムGの解を与える前に、与えられた予測値整形アルゴリズムGの性能を解析する。そして、その結果をもとに、最適な予測値整形アルゴリズムGを与える。

【0071】
まず、式(1)と式(2)をまとめると、
【数28】
JP2016056176A1_000030t.gif
となる。したがって、
【数29】
JP2016056176A1_000031t.gif
とすれば、フィードフォワード制御システムΣは、次のように表現できる。
【数30】
JP2016056176A1_000032t.gif

【0072】
次に、時刻
【数31】
JP2016056176A1_000033t.gif
におけるΣの出力yとΣの出力yとの差は、
【数32】
JP2016056176A1_000034t.gif
で表わされる。ここで、
【数33】
JP2016056176A1_000035t.gif
とする。

【0073】
仮定(A1)より
【数34】
JP2016056176A1_000036t.gif
である。このとき、w(t)=0(t≦0)に注意すれば、
【数35】
JP2016056176A1_000037t.gif
となる。これより、
【数36】
JP2016056176A1_000038t.gif
であるので、次式を得る。
【数37】
JP2016056176A1_000039t.gif
さらに、上式の等号が成立する予測値r^が存在するので、
【数38】
JP2016056176A1_000040t.gif
となる。

【0074】
この式(3)より、予測誤差Δによって、システム10の出力にどの程度の影響が出るかをあらかじめ見積もることができる。さらに、式(3)の第1項の値はPのパラメタのみで決まり、第2項の値は制御モデルPと予測値整形アルゴリズムGのパラメタで決まる。したがって、すべての項が非負の値なので、第2項の値をできるだけ小さくするように予測値整形アルゴリズムGを決定すれば、評価関数J(G)の値を小さくする予測値整形アルゴリズムGを得ることができる。

【0075】
3-2.最適予測ガバナ
式(3)の第2項をゼロにする予測値整形アルゴリズムを得ることができる。実際、最適な予測値整形アルゴリズムGは、
【数39】
JP2016056176A1_000041t.gif
となり、そのときの評価関数の値は、
【数40】
JP2016056176A1_000042t.gif
となる。この式(4)はGの性能限界である。

【0076】
このように、本実施の形態の予測ガバナ20の予測値整形アルゴリズムGは、システム10の制御モデルPのパラメタで特徴づけられている。すなわち、予測値整形アルゴリズムGは、制御モデルPに対して決定されたオーダーメード型の予測値整形アルゴリズムである。これにより、過去に生じた予測誤差r^(t-1)-r(t-1)が制御モデルPで表されるシステム10の出力に与える影響を正確に見積もることができ、そして、その影響をできるだけ小さくするような補正を行うことができる。

【0077】
また、式(4)より、予測誤差Δが小さくなれば、J(G)の値が小さくなり、つまり、出力誤差が小さくなることがわかる。さらに、
【数41】
JP2016056176A1_000043t.gif
が小さい制御モデルPほど、J(G)が小さい。上述のように、制御モデルPは離散時間システムであるので、連続時間システムPを離散化する際のサンプリング周期が短いほど、
【数42】
JP2016056176A1_000044t.gif
が小さくなる。このことから、サンプリング周期が短いほど、予測ガバナ20の性能が向上することがわかる。

【0078】
4.数値例
次に、以下の制御モデルPによって制御されるフィードフォワード制御システム(最小位相系)についての数値例を示す。
【数43】
JP2016056176A1_000045t.gif
但し、初期値は
【数44】
JP2016056176A1_000046t.gif
である。

【0079】
図5は、目標値を示すグラフであり、図6は、図5の目標値に対する予測値を示すグラフである。目標値としては、
r(t)=0.5sin(0.1πt)+0.5cos(0.03πt)
を用いた。図6に示す予測値の予測誤差はΔ=1.6429とした。

【0080】
図7は、予測値r^を用いるが予測ガバナ20を用いない場合の結果(制御対象12の出力)yr^を示すグラフであり、図8は、最適化された予測値整形アルゴリズムGを採用した予測ガバナ20を用いて予測値r^を補正して制御値vを算出し、その制御値vで制御対象12を制御して得られた結果(制御対象12の出力)yを示すグラフである。図7及び図8において、破線yは目標値rを用いたときの理想的な出力である。なお、J(G)=0.0049、
【数45】
JP2016056176A1_000047t.gif
であった。図8を参照すると、最適化された予測値整形アルゴリズムGで予測値r^の補正をした場合には、システム10の出力yは、目標値rで制御した場合のシステム10の出力yとほぼ一致している。

【0081】
以上のように、本実施の形態のフィードフォワード制御システム100では、予測ガバナ20の制御値算出部23で採用する予測値整形アルゴリズムGが、制御対象12の制御モデルPのパラメタを用いているので、制御対象12に応じて予測値を補正することができる。

【0082】
図9は、本実施の形態のフィードフォワード制御システム100による効果を説明するための図である。本実施の形態の予測ガバナ20の制御値算出部23で採用する予測値整形アルゴリズムGは、過去に生じた予測誤差(すなわち、過去の予測値r^(t-1)と実績値r(t-1)との差分r^(t-1)-r(t-1))が制御対象12の出力に与える影響を正確に見積もることができ、その影響を小さくするように、現時点の予測値r^(t)を補正することができる。

【0083】
予測ガバナ20では、予測値r^(t)、過去の予測値r^(t-1)、実績値(過去の目標値)r(t-1)を用いて、予測値整形アルゴリズムGで過去に生じた予測誤差r^(t-1)-r(t-1)をフィルタリングすることで、予測値r^(t)を補正して制御値v(t)を算出するが、この制御値v(t)として、目標値r(t)に近い値の制御値v(t)を得ることができ、システム10の出力の誤差
【数46】
JP2016056176A1_000048t.gif
を小さくすることができる。なお、図9に示すように、予測ガバナ20を用いても1ステップ先の影響は改善できないが、それ以降の影響は小さくすることができる。

【0084】
次に、本実施の形態のフィードフォワード制御システム100を実現する手順について説明する。図10は、本実施の形態のフィードフォワード制御システム100を実現する手順を示すフローチャートである。まず、システム同定によって、システム10の制御モデルPのパラメタ(A、B、C)を求める(ステップS101)。

【0085】
次に、制御モデルPのパラメタ(A、B、C)を用いて、予測値整形アルゴリズムGのパラメタ(A、B、C、D)を求める(ステップS102)。そして、予測値整形アルゴリズムGのパラメタ(A、B、C、D)を用いて、予測値整形アルゴリズムGを採用した予測ガバナ20を計算機にプログラムとして実装する(ステップS103)。

【0086】
上記の実施の形態では、予測ガバナの最適設計を行い、評価関数J(G)を最小化する予測値整形アルゴリズムGを求めたが、予測値整形アルゴリズムGとしては、必ずしも、評価関数J(G)を最小にするものを採用しなくてもよい。例えば、評価関数J(G)を最小にする予測値整形アルゴリズムGを、数式の変形による解析的な方法、一般的な最適化の方法(勾配法、ニュートン法等)、あるいはヒューリスティックスと呼ばれる発見的な方法によって求める場合において、評価関数J(G)が所定の閾値値より小さなったときの予測値整形アルゴリズムGを採用してもよい。あるいは、上記の勾配法、ニュートン法等の最適化方法で予測値整形アルゴリズムGを求める場合において、評価関数J(G)が収束したと判定されたときの予測値整形アルゴリズムGを採用してもよい。即ち、予測値整形アルゴリズムGの候補をG、G、・・・と更新していくと、評価関数J(G)の値もJ(G)、J(G)、・・・と変化していくが、このときのJ(G)の値の変化量の絶対値(| J(G)-J(G(i+1))| )がε以下(εは事前に決定された小さい正の値)となった段階で収束とみなして、そのときの予測値整形アルゴリズムGを採用してもよい。

【0087】
また、上記の実施の形態では、評価関数J(G)として、実際のフィードフォワード制御システムΣの出力yと、目標値rが利用できる場合の理想的なフィードフォワード制御システムΣの出力yとの最大の差、すなわち、最悪な予測値が与えられたときの最大の出力差を用いたが、この評価関数J(G)とされる出力差は、グラフの線y-yの0への近さを定量化した任意の関数であってよく、例えば、出力yと出力yとの差の二乗ノルムであってもよい。

【0088】
上記の実施の形態では、予測値整形アルゴルイズムを求めてそれを採用した予測ガバナ20を用いること説明したが、予測値整形システムが、予測値整形アルゴリズムを動的に決定するための構成を追加してもよい。即ち、予測値整形システムは、上記の予測ガバナ20の構成に加えて、評価部とアルゴリズム決定部とを備えていてよい。

【0089】
図11は、予測値整形アルゴリズムを動的に決定する予測値整形システムの構成を示すブロック図である。予測値整形システム20´は、上記の予測ガバナ20の構成に加えて、評価部25及びアルゴリズム決定部26とを備えている。予測値整形システム20´においても、一部または全部の構成がネットワーク上に分散して配置されていてもよいし、一部または全部の構成が同一の装置(予測値整形装置)に備えられていてもよい。

【0090】
評価部25は、実際のフィードフォワード制御システムΣの出力yを入力し、かつ、目標値rを用いた理想的なフィードフォワード制御システムΣの出力yとの出力差を表現する評価関数J(G)の大きさを評価することで、過去の予測誤差が制御対象12の出力に与える影響の大きさを評価する。評価部25は、評価関数J(G)が所定の閾値より大きい場合には、予測値整形アルゴリズムを決定し直す必要があると判断して、アルゴリズム決定部26に予測値整形アルゴリズムを再決定させる。

【0091】
アルゴリズム決定部26は、評価部25から予測値整形アルゴリズムの再決定の指示を受けた場合に、上記で説明したように、評価関数J(G)を最小化する予測値整形アルゴリズムGを求める。なお、この場合にも、必ずしも評価関数J(G)を最小にしなくてもよく、評価関数J(G)を所定の閾値より小さくするGを予測値整形アルゴリズムとしてもよいし、評価関数J(G)が収束したと判定されたときのGを予測値整形アルゴリズムとしてもよい。

【0092】
(応用例)
上記では、本実施の形態のフィードフォワード制御システム100が、電力需要量を予測する発電システムに適用できることを説明したが、本発明の制御システムは、発電システムに限らず、他のシステムにも適用可能である。システムの目標値が未知である場合には、本発明を有効に適用できる。

【0093】
目標値が未知であるシステムとして、上述した発電システムのほか、例えば、太陽光発電システムにおける日射量予測をするシステム、応答性の悪いセンサを用いたシステム(例えば、エンジンを制御するシステム)、センサ情報がネットワーク通信で送信されるシステム、センサ情報を処理して用いるシステム(例えば、ロボット制御や自動車の自動運転制御のように、取得した画像の処理に時間がかかるシステム)があり、これらのシステムにも本発明を適用できる。

【0094】
また、人工すい臓システムにも本発明を適用できる。人工すい臓システムでは、皮下組織に装着されたセンサCGM(持続血糖測定)を行っている。CGMは、組織間質液中の糖濃度を測定するものであり、糖濃度と血糖値には一定の相関があるが、糖濃度は実際には血糖値より10~15分遅れることが分かっている。

【0095】
また、例えば、制御対象をサプライチェーンとして、制御目標を倉庫の在庫管理として、ロジスティクスの分野にも本発明を適用できる。この場合は、目標値ないし予測値として、満足度を用いることができ、実績情報(過去の値)として、顧客アンケートによる満足度を用いることができる。

【0096】
また、例えば、制御対象をインスリン投与として、制御目標を血糖値の制御として、医療の分野にも本発明を適用できる。この場合は、目標値ないし予測値として、血糖値を用いることができ、実績情報(過去の値)として、体液計測による10分前の血糖値を用いることができる。

【0097】
また、例えば、制御対象を自動車の運転アシストないし自動運転として、制御目標を軌道追従制御として、ITSの分野にも本発明を適用できる。この場合は、目標値ないし予測値として、環境情報(障害物、信号等の情報)を用いることができ、実績情報(過去の値)として、時間をかけて得られる精細な情報を用いることができる。

【0098】
また、例えば、制御対象を植物の計画生産として、制御目標を生育環境の制御として、農業の分野にも本発明を適用できる。この場合は、目標値ないし予測値として、植物の生育の状況を用いることができ、実績情報(過去の値)として、実際の生育状況の情報を用いることができる。

【0099】
また、例えば、制御対象を空調制御として、制御目標を運転時間及び運転台数の決定として、建築の分野にも本発明を適用できる。この場合は、目標値ないし予測値として、環境情報(温度、天気等の情報)を用いることができ、実績情報(過去の値)として、実際の環境情報を用いることができる。

【0100】
以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形態に対して多様な変形が可能であり、そして、本発明の真実の精神と範囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、制御対象の制御モデルのパラメタを用いたアルゴリズムによって予測値が補正(整形)されるので、制御対象に適した補正を行うことができ、より理想の出力に近い出力を得ることができるという効果を有し、制御対象を制御するための制御値を算出する予測値整形システム等として有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 フィードフォワード制御システム(制御システム)
10 システム
11 制御器
12 制御対象
20 予測ガバナ(予測値整形システム)
21 予測値取得部
22 実績値取得部
23 制御値算出部
24 出力部
25 評価部
26 アルゴリズム決定部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13