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明細書 :疾患の予防及び/又は治療剤のスクリーニング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-131191 (P2017-131191A)
公開日 平成29年8月3日(2017.8.3)
発明の名称または考案の名称 疾患の予防及び/又は治療剤のスクリーニング方法
国際特許分類 C12Q   1/02        (2006.01)
A61P  37/06        (2006.01)
A61P  37/08        (2006.01)
A61P  17/00        (2006.01)
A61P  13/12        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61P  27/02        (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
A61P  21/04        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  19/02        (2006.01)
A61P  37/02        (2006.01)
A61P  11/06        (2006.01)
A61P  11/02        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
FI C12Q 1/02
A61P 37/06
A61P 37/08
A61P 17/00
A61P 13/12
A61P 9/10
A61P 27/02
A61P 25/28
A61P 21/04
A61P 29/00 101
A61P 19/02
A61P 37/02
A61P 11/06
A61P 11/02
A61K 45/00
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2016-016016 (P2016-016016)
出願日 平成28年1月29日(2016.1.29)
発明者または考案者 【氏名】椛島 健治
【氏名】小野 さち子
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000154、【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B063
4C084
Fターム 4B063QA01
4B063QA07
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR41
4B063QR48
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS03
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA10
4C084ZA152
4C084ZA332
4C084ZA342
4C084ZA362
4C084ZA622
4C084ZA812
4C084ZA892
4C084ZA942
4C084ZA962
4C084ZB072
4C084ZB082
4C084ZB132
4C084ZB152
要約 【課題】疾患の予防及び/又は治療剤の効果的なスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る疾患の予防及び/又は治療剤のスクリーニング方法は、下記工程(1)及び(2)を含む:(1)c-Ablのシグナル伝達系を抑制する1以上の物質を用意する工程;及び(2)前記1以上の物質のうちから、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する1以上の物質を、前記有効成分として選択する工程。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記工程(1)及び(2)を含む、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法:
(1)c-Ablのシグナル伝達系を抑制する1以上の物質を用意する工程;及び
(2)前記1以上の物質のうちから、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する1以上の物質を、前記有効成分として選択する工程。
【請求項2】
前記高分子は、分子量が5kDa以上、1000kDa以下の高分子である、
請求項1に記載のスクリーニング方法。
【請求項3】
前記高分子は、イムノグロブリン、アミロイド、サイトカイン、トランスフェリン、糖鎖及び脂質からなる群より選択される1以上である、
請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記疾患は、自己免疫疾患又はアレルギーである、
請求項1乃至3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記自己免疫疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、膜性腎症、自己免疫性網膜症、自己免疫性脳炎、重症筋無力症、強皮症、リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる群より選択される疾患である、
請求項4に記載のスクリーニング方法。
【請求項6】
前記アレルギーは、アレルギー性じんましん、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及びアナフィラキシーからなる群より選択される疾患である
請求項4に記載のスクリーニング方法。
【請求項7】
前記高分子は、イムノグロブリンであり、
前記疾患は、血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う疾患である、
請求項1乃至6のいずれかに記載のスクリーニング方法。
【請求項8】
前記細胞は、血管内皮細胞である、
請求項1乃至7のいずれかに記載のスクリーニング方法。
【請求項9】
前記工程(2)において下記工程(2a)及び(2b)を実施する、請求項1乃至8のいずれかに記載のスクリーニング方法:
(2a)前記1以上の物質の各々について、前記物質の存在下及び不存在下のそれぞれで、細胞外の前記高分子の前記細胞による取り込み量を評価する工程;及び
(2b)前記1以上の物質の各々について、前記物質の存在下における前記取り込み量が、前記物質の不存在下における前記取り込み量より小さい場合に、前記物質を、前記有効成分として選択する工程。
【請求項10】
前記工程(2)において下記工程(2a)及び(2b)を実施する、請求項1乃至8のいずれかに記載のスクリーニング方法:
(2a)前記1以上の物質の各々について、前記物質を投与された非ヒト動物及び前記物質を投与されていない非ヒト動物のそれぞれで、血液中の前記高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価する工程;及び
(2b)前記1以上の物質の各々について、前記物質を投与された前記非ヒト動物における前記移行量が、前記物質を投与されていない前記非ヒト動物における前記移行量より小さい場合に、前記物質を、前記有効成分として選択する工程。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患の予防及び/又は治療剤のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、肥満細胞を枯渇させることができる化合物を、そのような治療を必要とする哺乳類に投与する段階を含む、自己免疫疾患を治療する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表2004-536097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自己免疫疾患が発症するメカニズムは未だ十分に解明されておらず、その効果的な予防又は治療方法の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、疾患の予防及び/又は治療剤の効果的なスクリーニング方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る疾患の予防及び/又は治療剤のスクリーニン方法は、下記工程(1)及び(2)を含む:(1)c-Ablのシグナル伝達系を抑制する1以上の物質を用意する工程;及び(2)前記1以上の物質のうちから、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する1以上の物質を、前記有効成分として選択する工程。本発明によれば、疾患の予防及び/又は治療剤の効果的なスクリーニング方法を提供することができる。
【0007】
また、前記方法において、前記高分子は、分子量が5kDa以上、1000kDa以下の高分子であることとしてもよい。また、前記方法において、前記高分子は、イムノグロブリン、アミロイド、サイトカイン、トランスフェリン、糖鎖及び脂質からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0008】
また、前記方法において、前記疾患は、自己免疫疾患又はアレルギーであることとしてもよい。また、この場合、前記自己免疫疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、膜性腎症、自己免疫性網膜症、自己免疫性脳炎、重症筋無力症、強皮症、リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる群より選択される疾患であることとしてもよい。また、前記アレルギーは、アレルギー性じんましん、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及びアナフィラキシーからなる群より選択される疾患であることとしてもよい。また、前記方法において、前記高分子は、イムノグロブリンであり、前記疾患は、血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う疾患であることとしてもよい。また、前記方法において、前記細胞は、血管内皮細胞であることとしてもよい。
【0009】
また、前記方法において、前記工程(2)において下記工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい:(2a)前記1以上の物質の各々について、前記物質の存在下及び不存在下のそれぞれで、細胞外の前記高分子の前記細胞による取り込み量を評価する工程;及び(2b)前記1以上の物質の各々について、前記物質の存在下における前記取り込み量が、前記物質の不存在下における前記取り込み量より小さい場合に、前記物質を、前記有効成分として選択する工程。
【0010】
また、前記方法において、前記工程(2)において下記工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい:(2a)前記1以上の物質の各々について、前記物質を投与された非ヒト動物及び前記物質を投与されていない非ヒト動物のそれぞれで、血液中の前記高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価する工程;及び(2b)前記1以上の物質の各々について、前記物質を投与された前記非ヒト動物における前記移行量が、前記物質を投与されていない前記非ヒト動物における前記移行量より小さい場合に、前記物質を、前記有効成分として選択する工程。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、疾患の予防及び/又は治療剤の効果的なスクリーニング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る実施例1において、イムノグロブリンの培養細胞による取り込み量を評価した結果を示す説明図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る実施例2において、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果の一例を示す説明図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る実施例2において、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果の他の例を示す説明図である。
【図2C】本発明の一実施形態に係る実施例2において、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果のさらに他の例を示す説明図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る実施例2において、イマチニブの投与後にイムノグロブリンを投与して、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果の一例を示す説明図である。
【図3B】本発明の一実施形態に係る実施例2において、イマチニブの投与後にイムノグロブリンを投与して、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果の他の例を示す説明図である。
【図3C】本発明の一実施形態に係る実施例2において、ニロチニブの投与後にイムノグロブリンを投与して、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果を示す説明図である。
【図3D】本発明の一実施形態に係る実施例2において、AICARの投与後にイムノグロブリンを投与して、血液中のイムノグロブリンの皮膚組織表皮細胞への移行量を評価した結果を示す説明図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る実施例2において、予めイマチニブを投与され又は投与されることなく、イムノグロブリンを投与されたマウスの写真を示す説明図である。
【図4B】本発明の一実施形態に係る実施例2において、予めニロチニブを投与され又は投与されることなく、イムノグロブリンを投与されたマウスの写真を示す説明図である。
【図4C】本発明の一実施形態に係る実施例2において、予めAICARを投与され又は投与されることなく、イムノグロブリンを投与されたマウスの写真を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。

【0014】
本実施形態に係る疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法(以下、「本方法」という。)は、下記工程(1)及び(2)を含む:(1)c-Ablのシグナル伝達系を抑制する1以上の物質を用意する工程;及び(2)当該1以上の物質のうちから、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する1以上の物質を、前記有効成分として選択する工程。

【0015】
すなわち、本方法の工程(1)では、まず、c-Ablのシグナル伝達系を抑制する1以上の物質(以下、「c-Abl抑制物質」という。)を用意する。本実施形態において、「c-Abl」は、チロシンキナーゼ活性を有するc-Ablタンパク質である。また、「c-Ablのシグナル伝達系」は、c-Ablを発現している細胞において、c-Ablが関与するシグナル伝達系である。そして、c-Abl抑制物質は、c-Abl発現細胞において、c-Ablが関与するシグナル伝達系を抑制する物質である。

【0016】
具体的に、工程(1)は、例えば、下記(i)~(v)からなる群より選択される1以上の物質をc-Abl抑制物質として用意する:(i)c-Ablとの相互作用によりc-Ablのチロシンキナーゼ活性を阻害する物質;、(ii)c-Ablのシグナル伝達に関与する、c-Abl以外のタンパク質の酵素活性を阻害する物質;、(iii)c-Ablの遺伝子発現、又はc-Ablのシグナル伝達に関与する、c-Abl以外のタンパク質の遺伝子発現を阻害する物質;、(iv)c-Ablとc-Abl受容体との相互作用を阻害する物質;及び(v)c-Abl受容体を含む複合体の形成を阻害する物質。

【0017】
なお、上記(i)におけるc-Ablとの相互作用は、例えば、c-Ablとの結合であることとしてもよい。また、上記(ii)におけるc-Ablのシグナル伝達に関与するタンパク質は、例えば、c-Ablのシグナル伝達系の上流又は下流に存在し、当該c-Ablの活性化に関与するシグナル伝達タンパク質であることとしてもよい。また、上記(ii)におけるタンパク質の酵素活性の阻害は、例えば、当該タンパク質との相互作用による阻害であることとしてもよく、当該タンパク質との結合による阻害であることとしてもよい。また、上記(iii)における遺伝子発現の阻害は、例えば、当該遺伝子のプロモーター領域への転写抑制因子及び/又は転写活性化因子の結合抑制による阻害であることとしてもよい。また、上記(iv)におけるc-Ablとc-Abl受容体との相互作用の阻害は、例えば、当該c-Abl及び/又はc-Abl受容体との結合による阻害であることとしてもよい。また、上記(v)におけるc-Abl受容体を含む複合体は、例えば、当該c-Abl受容体と、そのリガンド分子とを含む複合体であることとしてもよい。また、上記(v)における複合体の形成の阻害は、例えば、c-Abl受容体及び/又は当該複合体を形成するc-Abl受容体以外の物質との相互作用による阻害であることとしてもよく、c-Abl受容体及び/又は当該複合体を形成するc-Abl受容体以外の物質との結合による阻害であることとしてもよい。

【0018】
工程(1)においては、既にc-Ablのシグナル伝達系を抑制することが知られている物質を、c-Abl抑制物質として用意することとしてもよい。また、工程(1)においては、c-Ablのシグナル伝達系を阻害することは知られていない物質が、c-Ablのシグナル伝達系を阻害するか否かを評価し、その結果、当該物質がc-Ablのシグナル伝達系を阻害することが新たに確認された場合に、当該物質を、c-Abl抑制物質として用意することとしてもよい。また、工程(1)においては、複数の物質の中から、1以上のc-Abl抑制物質を選択することにより、1以上のc-Abl抑制物質を用意することとしてもよい。

【0019】
次に、本方法の工程(2)においては、上記工程(1)で用意された1以上のc-Abl抑制物質のうちから、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する1以上の物質を選択する。なお、工程(2)における高分子の細胞による取り込みは、例えば、当該細胞のエンドサイトーシス及び/又はトランスサイトーシスによる当該高分子の取り込みであることとしてもよい。

【0020】
高分子は、疾患に関与する高分子であって、細胞により、その細胞内に取り込まれ得るものであれば特に限られない。高分子は、例えば、分子量が5kDa以上、1000kDa以下の高分子であることとしてもよい。具体的に、高分子は、例えば、イムノグロブリン、アミロイド、サイトカイン、トランスフェリン、糖鎖及び脂質からなる群より選択される1以上であってもよい。また、高分子は、例えば、蛍光色素、ラジオアイソトープ(RI)、非蛍光色素、又は酵素で標識された高分子であることとしてもよい。

【0021】
細胞は、上記高分子を取り込み得る細胞であれば特に限られない。細胞は、動物の細胞であることが好ましく、哺乳類の細胞であることが特に好ましい。具体的に、上記細胞は、ヒト、サル、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター及びモルモットからなる群より選択されるげっ歯類)、ウサギ、イヌ及びブタからなる群より選択される哺乳類の細胞であることとしてもよく、ヒト、サル及びげっ歯類からなる群より選択される哺乳類の細胞であることが好ましく、ヒトの細胞であることが特に好ましい。

【0022】
細胞は、初代細胞であってもよいし、株化細胞であってもよい。細胞は、体細胞であってもよいし、幹細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞及び間葉系幹細胞からなる群より選択される)であってもよいし、当該幹細胞から誘導された分化細胞であってもよい。

【0023】
細胞が体細胞、又は幹細胞から誘導された分化細胞である場合、当該細胞は、例えば、血管内皮細胞であることが好ましい。血管内皮細胞は、血管に由来する細胞であれば特に限られないが、例えば、臍帯静脈、皮膚組織内血管、脳微小血管、網膜微小血管及び腎血管からなる群より選択される血管に由来する細胞であることが好ましい。

【0024】
工程(2)において、c-Abl抑制物質が、高分子の細胞による取り込みを抑制するか否かを評価する方法は、特に限られず、例えば、当該高分子の当該細胞による取り込みを直接的に評価する方法であってもよいし、間接的に評価する方法であってもよい。

【0025】
すなわち、工程(2)においては、例えば、次の工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい:(2a)工程(1)で用意された1以上のc-Abl抑制物質の各々について、当該c-Abl抑制物質の存在下及び不存在下のそれぞれで、細胞外の高分子の細胞による取り込み量を評価する工程;及び(2b)当該1以上のc-Abl抑制物質の各々について、当該c-Abl抑制物質の存在下における当該取り込み量が、当該c-Abl抑制物質の不存在下における当該取り込み量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する工程。この場合、本方法は、上記工程(1)及び(2)に代えて、上記工程(1)、(2a)及び(2b)を含むこととしてもよい。

【0026】
より具体的に、例えば、工程(2a)においては、c-Abl抑制物質の存在下及び不存在下のそれぞれで、培養液中の高分子の培養細胞による取り込み量を評価することとしてもよい。すなわち、この場合、工程(2a)では、細胞、c-Abl抑制物質及び高分子を含む培養液中(当該c-Abl抑制物質の存在下)における当該高分子の当該細胞による取り込み量を評価するとともに、当該細胞及び当該高分子を含み当該c-Abl抑制物質を含まない培養中(当該c-Abl抑制物質の不存在下)における当該高分子の当該細胞による取り込み量を評価する。培養細胞は、上述のとおり特に限られないが、培養血管内皮細胞であることが好ましい。

【0027】
また、例えば、工程(2a)においては、c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物及び当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物のそれぞれで、体液中の高分子の細胞による取り込み量を評価することとしてもよい。

【0028】
すなわち、この場合、工程(2a)では、c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物(当該c-Abl抑制物質の存在下)における、体液中の高分子の細胞による取り込み量を評価するとともに、当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物(当該c-Abl抑制物質の存在下)における、当該体液中の当該高分子の当該細胞による取り込み量を評価する。

【0029】
体液は、上述した高分子を含むものであれば、特に限られず、例えば、血液又は組織間質液であることとしてもよい。細胞は、上述のとおり特に限られないが、血管内皮細胞であることが好ましい。すなわち、例えば、上記体液が血液である場合、上記細胞は血管内皮細胞であることが好ましい。非ヒト動物は、ヒト以外の哺乳類であれば特に限られず、例えば、サル、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター及びモルモットからなる群より選択されるげっ歯類)、ウサギ、イヌ及びブタからなる群より選択される哺乳類であることとしてもよく、げっ歯類であることが特に好ましい。

【0030】
工程(2a)において高分子の細胞による取り込み量を評価する方法は、工程(2b)においてc-Abl抑制物質の存在下での当該取り込み量と、当該c-Abl抑制物質の不存在下での当該取り込み量とを比較できる方法であれば特に限られないが、フローサイトメトリーにより当該取り込み量を評価することが好ましい。

【0031】
すなわち、この場合、蛍光色素で標識された高分子を細胞に取り込ませ、又は細胞に取り込まれた高分子を蛍光色素で標識し、当該細胞に取り込まれた高分子の蛍光色素に由来する蛍光量をフローサイトメトリーで定量することにより、当該高分子の当該細胞による取り込み量を評価する。

【0032】
なお、工程(2a)においては、例えば、ラジオアイソトープ(RI)、非蛍光色素、又は酵素で標識された高分子を使用し、当該RIに由来する放射線量、当該非蛍光色素に由来する染色量、又は当該酵素と基質との化学反応生成物に由来する蛍光量又は染色量に基づき、当該高分子の細胞による取り込み量を評価することとしてもよい。

【0033】
そして、工程(2b)においては、c-Abl抑制物質の存在下における第一の取り込み量と、当該c-Abl抑制物質の不存在下における第二の取り込み量とを比較し、当該第一の取り込み量が当該第二の取り込み量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。

【0034】
すなわち、例えば、高分子の細胞による取り込み量をフローサイトメトリーで評価する場合、c-Abl抑制物質の存在下における取り込み量に対応して測定される第一の蛍光量(例えば、第一の平均蛍光強度)と、当該c-Abl抑制物質の不存在下における取り込み量に対応して測定される第二の蛍光量(例えば、第二の平均蛍光強度)とを比較し、当該第一の蛍光量が当該第二の蛍光量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。

【0035】
また、工程(2)においては、例えば、次の工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい:(2a)工程(1)で用意された1以上のc-Abl抑制物質の各々について、当該c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物及び当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物のそれぞれで、血液中の高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価する工程;及び(2b)当該1以上のc-Abl抑制物質の各々について、当該c-Abl抑制物質を投与された当該非ヒト動物における当該移行量が、当該c-Abl抑制物質を投与されていない当該非ヒト動物における当該移行量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する工程。この場合、本方法は、上記工程(1)及び(2)に代えて、上記工程(1)、(2a)及び(2b)を含むこととしてもよい。

【0036】
すなわち、まず工程(2a)では、c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物における、血液中の高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価するとともに、当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物における、血液中の当該高分子の血管内皮細胞を介した当該血管周囲組織への移行量を評価する。

【0037】
具体的に、工程(2a)では、例えば、非ヒト動物の血管内の血液中から、当該血管の内壁を構成する当該血管内皮細胞を介して、当該血管の周囲の組織に移行した当該高分子の量を評価する。この場合、非ヒト動物の血管内の血液中から、当該血管の周囲の組織に含まれる細胞に移行した高分子の量を評価することとしてもよい。

【0038】
血管周囲組織は、血管を含む組織であれば特に限られず、例えば、皮膚、脳、眼、腎臓、筋肉、関節及び甲状腺からなる群より選択される1以上の血管周囲組織であることとしてもよく、皮膚の血管周囲組織であることが好ましい。

【0039】
すなわち、例えば、工程(2a)では、非ヒト動物の皮膚の血管内の血液中から、当該血管の内壁を構成する血管内皮細胞を介して、当該血管の周囲の組織(例えば、当該皮膚の表皮組織及び/又は真皮組織)に移行した当該高分子の量を評価することとしてもよい。この場合、例えば、非ヒト動物の皮膚の血管内の血液中から、当該血管の周囲の組織に含まれる細胞(例えば、当該皮膚の表皮細胞及び/又は真皮細胞)に移行した高分子の量を評価することとしてもよい。

【0040】
また、工程(2a)においては、恒常的条件(homeostatic condition)下で非ヒト動物おける血液中の高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価することとしてもよい。この場合、高分子としては、非病原性の高分子(例えば、非病原性のイムノグロブリン)を使用することが好ましい。

【0041】
工程(2a)において高分子の移行量を評価する方法は、工程(2b)においてc-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物での当該移行量と、当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物での当該移行量とを比較できる方法であれば特に限られないが、フローサイトメトリーにより当該移行量を評価することが好ましい。

【0042】
すなわち、この場合、蛍光色素で標識された高分子を非ヒト動物に投与し、又は血管周囲組織から採取された細胞に移行した高分子を蛍光色素で標識し、当該細胞に移行した高分子の蛍光色素に由来する蛍光量をフローサイトメトリーで定量することにより、当該高分子の当該細胞への移行量を評価する。

【0043】
なお、工程(2a)においては、例えば、ラジオアイソトープ(RI)、非蛍光色素、又は酵素で標識された高分子を非ヒト動物に投与し、当該RIに由来する放射線量、当該非蛍光色素に由来する染色量、又は当該酵素と基質との化学反応生成物に由来する蛍光量又は染色量に基づき、血管周囲組織中の細胞への当該高分子の移行量を評価することとしてもよい。

【0044】
そして、工程(2b)においては、c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物における第一の移行量と、当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物における第二の移行量とを比較し、当該第一の移行量が当該第二の移行量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。

【0045】
すなわち、例えば、血管周囲組織中の細胞への高分子の移行量をフローサイトメトリーで評価する場合、c-Abl抑制物質を投与された非ヒト動物における移行量に対応して測定される第一の蛍光量(例えば、第一の平均蛍光強度)と、当該c-Abl抑制物質を投与されていない非ヒト動物における移行量に対応して測定される第二の蛍光量(例えば、第二の平均蛍光強度)とを比較し、当該第一の蛍光量が当該第二の蛍光量より小さい場合に、当該c-Abl抑制物質を、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。

【0046】
なお、血管内の血液中の高分子の血管周囲組織への移行が、まず当該血液中の高分子が当該血管の内壁を構成する血管内皮細胞の細胞内に取り込まれ、次いで、当該高分子が当該血管内皮細胞から当該血管周囲組織へ放出されることにより起こる場合(すなわち、当該血管内皮細胞のトランスサイトーシスによって当該高分子が当該血液中から当該血管周囲組織へ移行する場合)、当該血液中の高分子の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価することで、当該高分子の当該血管内皮細胞による取り込みを間接的に評価することとなる。

【0047】
本方法によれば、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分を効果的にスクリーニングすることができる。本方法に係る疾患は、細胞外の高分子の細胞による取り込みが関与する疾患であれば特に限られない。

【0048】
すなわち、本方法に係る疾患は、自己免疫疾患又はアレルギーであることとしてもよい。本方法に係る自己免疫疾患は、特に限られないが、例えば、天疱瘡、類天疱瘡、膜性腎症、自己免疫性網膜症、自己免疫性脳炎、重症筋無力症、強皮症、リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる群より選択される疾患であることとしてもよい。また、本方法に係るアレルギーは、特に限られないが、例えば、アレルギー性じんましん、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及びアナフィラキシーからなる群より選択される疾患であることとしてもよい。

【0049】
また、本方法に係る疾患に関与する高分子はイムノグロブリンであり、当該疾患は、血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う疾患であることとしてもよい。

【0050】
この場合、本方法は、血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法であって、工程(2)において、1以上のc-Abl抑制物質のうちから、細胞外のイムノグロブリンの細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込みを抑制する1以上の物質を、当該有効成分として選択する。

【0051】
具体的に、工程(2)においては、上述した工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい。すなわち、上述した工程(2a)において、細胞外のイムノグロブリンの細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込み量を評価することとしてもよいし、血液中のイムノグロブリンの血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価することとしてもよい。

【0052】
血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う疾患は、例えば、血管内から血管周囲組織への血管内皮細胞を介した抗体の移行を伴う自己免疫疾患又はアレルギーであることとしてもよく、自己抗体介在疾患(自己抗体の過剰な産生に関連して発症する疾患)であることとしてもよい。

【0053】
この場合、本方法は、自己免疫疾患又はアレルギーの予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法であって、工程(2)において、1以上のc-Abl抑制物質のうちから、細胞外のイムノグロブリンの細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込みを抑制する1以上の物質を、当該有効成分として選択することとしてもよい。

【0054】
すなわち、例えば、工程(2)において、1以上のc-Abl抑制物質のうちから、IgG、IgM及びIgAからなる群より選択される1以上の細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込みを抑制する1以上の物質を、自己免疫疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。また、例えば、工程(2)において、1以上のc-Abl抑制物質のうちから、IgE及び/又はIgGの細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込みを抑制する1以上の物質を、アレルギーの予防及び/又は治療剤の有効成分として選択する。

【0055】
具体的に、工程(2)においては、上述した工程(2a)及び(2b)を実施することとしてもよい。すなわち、本方法が自己免疫疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法である場合、上述した工程(2a)において、細胞外のIgG、IgM及びIgAからなる群より選択される1以上の細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込み量を評価することとしてもよいし、血液中のIgG、IgM及びIgAからなる群より選択される1以上の血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価することとしてもよい。また、本方法がアレルギーの予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法である場合、上述した工程(2a)において、細胞外のIgE及び/又はIgGの細胞(好ましくは血管内皮細胞)による取り込み量を評価することとしてもよいし、血液中のIgE及び/又はIgGの血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行量を評価することとしてもよい。

【0056】
また、本方法に係る疾患に関与する高分子はアミロイドであり、当該疾患は、アミロイドーシスであることとしてもよい。また、本方法に係る疾患に関与する高分子はサイトカイン、糖鎖及び脂質からなる群より選択される1以上であり、当該疾患は、動脈硬化症であることとしてもよい。また、本方法に係る疾患に関与する高分子は脂質であり、当該疾患は、脂質異常症であることとしてもよい。

【0057】
本方法は、疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分のスクリーニング方法であるが、例えば、当該疾患の予防及び/又は治療剤の有効成分の候補物質のスクリーニング方法であることとしてもよい。また、本方法は、細胞外の高分子の細胞による取り込みを抑制する物質のスクリーニング方法であることとしてもよい。この場合、本方法は、細胞外のイムノグロブリンの血管内皮細胞による取り込みを抑制する物質のスクリーニング方法であることとしてもよいし、血液中のイムノグロブリンの血管内皮細胞を介した血管周囲組織への移行を抑制する物質のスクリーニング方法であることとしてもよいし、血管内の血液中から、当該血管の周囲の組織に含まれる細胞へのイムノグロブリンの移行を抑制する物質のスクリーニング方法であることとしてもよい。

【0058】
なお、本方法に係る疾患の予防及び/又は治療剤は、当該疾患の予防のため、及び/又は治療のために使用される医薬組成物である。具体的に、本方法に係る疾患の予防及び/又は治療剤は、例えば、当該疾患の予防のため、及び/又は治療のために、当該疾患を発症し得る患者又は当該疾患を既に発症している患者に投与される医薬組成物である。

【0059】
本方法に係る予防及び/又は治療剤は、本方法により選択される1以上のc-Abl抑制物質を有効成分として含む。本方法に係る予防及び/又は治療剤は、本方法により選択される1以上のc-Abl抑制物質からなる医薬組成物であることとしてもよいし、当該1以上のc-Abl抑制物質(有効成分)と、薬理学的に許容される担体とを含む医薬組成物であることとしてもよい。

【0060】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0061】
c-Abl抑制物質が、培養液中のイムノグロブリンの培養細胞による取り込みを抑制することを確認した。c-Abl抑制物質としては、c-Ablのチロシンキナーゼ活性を阻害することが知られているイマチニブ(イマチニブメシル酸塩、和光純薬工業株式会社)又はニロチニブ(Caymane Chemical)を使用した。血管内皮細胞としては、ヒト皮膚血管内皮細胞(HDBEC、PromoCell)を使用した。イムノグロブリンとしては、蛍光色素で標識したIgGであるAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch社)を使用した。
【実施例1】
【0062】
まずHDBECを、内皮細胞増殖培地MV(PromoCell)中、37℃、5%CO雰囲気下で70%~80%コンフルエントに到達するまで培養した。次いで、培地を、5μMのイマチニブ又はニロチニブを含む培地に交換し、当該イマチニブ又はニロチニブを含む培地中でHDBECを24時間培養した。なお、イマチニブ又はニロチニブを含む培地は、当該イマチニブ又はニロチニブをPBSに溶解して添加剤を調製し、当該添加剤を新たな培地に添加することにより調製した。その後、イマチニブ又はニロチニブを含む培地に、10μg/mLのAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgGを添加し、当該培地中でHDBECを1時間インキュベートした。
【実施例1】
【0063】
一方、対照例1では、イマチニブ及びニロチニブは添加せず、イマチニブ及びニロチニブを含まない溶媒(PBS)のみを添加した。また、対照例2では、イマチニブ、ニロチニブ、溶媒及びAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgGのいずれも添加しなかった。
【実施例1】
【0064】
そして、蛍光顕微鏡(BZ-900、KEYENCE社)下で、HDBECの蛍光画像を取得し、当該蛍光画像に基づいて、当該HDBECに取り込まれたIgGの量を評価した。すなわち、コンピュータにインストールされた画像処理ソフトウェアImageJを使用して、取得された蛍光画像中の10個の細胞の各々の細胞質領域を手動で特定し、当該細胞質領域内のAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgGに由来するシグナルの平均蛍光強度(Mean Fluorescent Intensity:MFI)(A594-MFI)を測定した。さらに、A594-MFIからバックグラウンドのMFIを差し引くことで、ΔA594-MFIを算出した。
【実施例1】
【0065】
図1には、ΔA594-MFIの算出結果を示す。図1の横軸において、左端の「Veh」は対照例2を示し、「Veh/A594-IgG」は対照例1を示し、「Imatinib/A594-IgG」はイマチニブを添加した例を示し、「Nilotinib/A594-IgG」はニロチニブを添加した例を示す。
【実施例1】
【0066】
図1に示すように、IgGとの接触前に予め血管内皮細胞をイマチニブ又はニロチニブで処理した例のΔA594-MFIは、対照例1のそれより顕著に低く、対照例2のそれと同程度であった。すなわち、イマチニブ及びニロチニブのそれぞれが、血管内皮細胞によるIgGの取り込みを抑制することが確認された。
【実施例1】
【0067】
なお、HDBECによるIgGの取り込みは、当該HDBECを、カベオラ介在性エンドサイトーシス(caveolae-mediated endocytosis)の選択的阻害剤であるナイスタチンで処理することによっても抑制された。
【実施例1】
【0068】
すなわち、まずHDBECを、内皮細胞増殖培地MV(PromoCell社)中、37℃、5%CO雰囲気下で70%~80%コンフルエントに到達するまで培養した。次いで、HDBECを、50μg/mLのナイスタチン(Sigma Aldrich)を含む培地中で30分培養した。なお、培地へのナイスタチンの添加は、当該ナイスタチンをPBSに溶解して添加剤を調製し、当該添加剤を培地に添加することにより行った。その後、HDBECを、10μg/mLのAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgGを含む培地中で1時間インキュベートした。一方、対照例では、ナイスタチンの添加に代えて、ナイスタチンを含まない溶媒のみを添加した。
【実施例1】
【0069】
そして、上述のイマチニブ及びニロチニブの例と同様に、HDBECに取り込まれたIgGの量を評価した。その結果、ナイスタチンによってHDBECによるIgGの取り込みが顕著に抑制されることが確認された。
【実施例1】
【0070】
また、HDBECを、10μg/mLのAlexa Fluor(登録商標) 594標識ヒトIgGを含む培地中で1時間インキュベートし、次いで、当該HDBECを固定化し、さらに透明化処理し、その後、当該HDBECを抗マウスカベオリン-1抗体(Abcam)とともに4℃で一晩インキュベートした。さらに翌日、HDBECを抗ウサギAlexa Fluor(登録商標) 488標識抗体とともに室温で30分インキュベートし、次いで、退色防止用封入材(ProLong(登録商標) Diamond Antifade Mountant with DAPI)で封入した。そして、HDBECを蛍光顕微鏡(BZ-900、KEYENCE)下で観察した。その結果、HDBECの細胞内のIgGの多くはカベオリン-1に隣接して観察された。
【実施例1】
【0071】
ここで、公知文献“Takeuchi, K., et al. AMP-dependent kinase inhibits oxidative stress-induced caveolin-1 phosphorylation and endocytosis by suppressing the dissociation between c-Abl and Prdx1 proteins in endothelial cells. J Biol Chem 288, 20581-20591 (2013)”及び“Sanguinetti, A.R. & Mastick, C.C. c-Abl is required for oxidative stress-induced phosphorylation of caveolin-1 on tyrosine 14. Cell Signal 15, 289-298 (2003)”では、カベオリン-1のリン酸化は、カベオリン介在性エンドサイトーシスにおける重要なステップであること、及びc-Ablチロシンキナーゼは、その過程で主要な役割を果たしていることが報告されている。
【実施例1】
【0072】
したがって、上述したHDBECによるIgGの取り込みには、c-Ablを介したカベオリン介在性エンドサイトーシスが関与しており、当該c-Ablのチロシンキナーゼ活性を阻害するイマチニブ及びニロチニブが、当該HDBECによるIgGの取り込みを阻害したものと考えられた。
【実施例2】
【0073】
c-Abl抑制物質が、非ヒト動物において、血液中から血管周囲組織へのイムノグロブリンの移行を抑制すること、及び自己免疫疾患の発症を抑制することを確認した。非ヒト動物としては、8週齢~9週齢の雌のC57BL/6Nマウス(SLC)を使用した。
【実施例2】
【0074】
そして、非ヒト動物の自己免疫疾患モデルとして、マウス天疱瘡モデルを作製した。ここで、天疱瘡は、自己免疫疾患の一つ(より具体的には、自己抗体介在疾患(autoantibody-mediated disorder)の一つ)であり、自己の細胞が有するデスモグレイン(Dsg)3に対する抗体(抗Dsg3自己抗体)の大量産生により発症する疾患である。天疱瘡患者においては、明らかな局所的炎症なしに自己抗体の血管周囲組織への沈着が認められる。抗Dsg3自己抗体は表皮細胞の解離を引き起こし、その結果、天疱瘡患者の皮膚においては、水泡形成や脱毛が発生する。
【実施例2】
【0075】
マウス天疱瘡モデルは、抗Dsg3自己抗体を使用して作製した。すなわち、まず、マウスIgG1サブタイプに属する、抗Dsg3モノクローナル抗体を作製した。具体的に、公知文献”Tsunoda, K., et al. Induction of pemphigus phenotype by a mouse monoclonal antibody against the amino-terminal adhesive interface of desmoglein 3. J Immunol 170, 2170-2178 (2003)”の記載に従って、病原性抗マウスDsg3モノクローナル抗体(AK23)を産生するハイブリドーマ細胞と、非病原性抗マウスDsg3モノクローナル抗体(AK18)を産生するハイブリドーマ細胞とを作製した。
【実施例2】
【0076】
次いで、これらのハイブリドーマ細胞をGIT培地(和光純薬工業株式会社)中、37℃で14日培養し、Protein G HiTrap column(GE Healthcare)を使用して培養上清中に産生されたIgGを精製することにより、AK23及びAK18を得た。
【実施例2】
【0077】
病原性のAK23を100μg、マウスの尾静脈に投与すると、投与後10日の当該マウスの背中には顕著な脱毛が認められた。一方、局所炎症を引き起こす表皮細胞の解離を回避して、恒常的条件(homeostatic condition)下で血管周囲組織へのIgGの移行動態を正確に評価する上では、非病原性のAK18が有用であった。
【実施例2】
【0078】
すなわち、PBSに溶解した100μgのAK18をマウスの尾静脈に投与し、当該投与の24時間後に当該マウスの耳の皮膚組織を採取した。次いで、この皮膚組織を5mg/mLのディスパーゼII(合同酒精株式会社)及び10%のウシ胎仔血清を含むRPMI1640培地(Invitrogen)中、37℃で30分インキュベートした。その後、ピンセットを使用して、皮膚組織から表皮を分離した。さらに、表皮を0.25% trypsin-EDTA溶液中、37℃で8分インキュベートし、70μmナイロンメッシュでろ過した。
【実施例2】
【0079】
得られた細胞懸濁液に、APC標識抗マウスIgG1抗体、PB標識抗マウスCD45抗体及びFITC標識抗マウスE-カドヘリン抗体(BD Bioscience)を添加した。そして、フローサイトメトリーを行った。フローサイトメトリーには、フローサイトメーター(LSR Fortessa、BD Bioscience)を使用し、コンピュータにインストールされた解析ソフト(FlowJo、Tree Star)により分析した。
【実施例2】
【0080】
一方、対照例1では、AK18に代えて、Dsg3には結合しない非病原性のマウスIgG1(Ctrl IgG1)をマウスに投与した。また、対照例2では、AK18に代えて、PBSのみをマウスに投与した。
【実施例2】
【0081】
図2Aには、フローサイトメトリーによって、CD45/E-カドヘリン細胞(表皮細胞)のIgG1に由来する平均蛍光強度(IgG1-MFI)を測定した結果を示す。図2Aの横軸において、「PBS」は対照例2を示し、「Ctrl IgG1」は対照例1を示し、「AK18」はAK18を投与した例を示す。
【実施例2】
【0082】
図2Aに示すように、AK18を投与した例のIgG1-MFIは、対照例1及び対照例2のそれらに比べて顕著に大きかった。すなわち、AK18の投与から24時間後のマウスの耳の表皮には、対照例1,2に比べて顕著な量のIgG1が沈着していることが確認された。
【実施例2】
【0083】
図2Bには、同様にして、AK18の投与直後、投与から1時間後、3時間後、6時間後及び24時間後のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図2Bに示すように、表皮のIgG1-MFIレベルは、投与後1時間以内に上昇し始め、投与後6時間にはほぼプラトーに達した。
【実施例2】
【0084】
図2Cには、同様にして、AK18の投与量を変えて、投与から24時間後のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図2Cに示すように、表皮のIgG1-MFIレベルと、AK18の投与量とには強い正の相関が認められた。
【実施例2】
【0085】
次に、AK18の投与前に、c-Abl抑制物質としてイマチニブを投与した。すなわち、マウスに対するAK18の投与前に、イマチニブ(5~150mg/kg-body weight/day)を1日2回、2日続けて尾静脈に投与した。イマチニブの投与は、イマチニブメシル酸塩をPBSで溶解して調製した溶液を投与することにより行った。
【実施例2】
【0086】
図3Aには、イマチニブの投与量を変えて、AK18の投与から24時間後のマウス耳表皮のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図3Aの横軸において、「PBS」はイマチニブを投与せず、溶媒(PBS)のみを投与し、AK18も投与しなかった例を示し、「-/AK18」はイマチニブ及び溶媒のいずれも投与せず、AK18を100μg投与した例を示し、「200/Imatinib(μg)/AK18」、「600/Imatinib(μg)/AK18」、「2000/Imatinib(μg)/AK18」及び「6000/Imatinib(μg)/AK18」は、それぞれ予めイマチニブを200μg、600μg、2000μg及び6000μg投与し、その後、AK18を100μg投与した例を示す。
【実施例2】
【0087】
図3Aに示すように、イマチニブの投与量の増加に伴って、IgG1-MFIレベルは低下した。すなわち、予めイマチニブを投与することによって、AK18のマウス耳表皮への沈着が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0088】
図3Bには、AK18の投与量を変えて、AK18の投与から24時間後のマウス耳表皮のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図3Bの横軸において、「PBS」はイマチニブを投与せず、溶媒(PBS)のみを投与し、AK18も投与しなかった例を示し、「50/AK18(μg)」、「100/AK18(μg)」及び「200/AK18(μg)」の白抜き丸印(「Vehicle」)は、それぞれ予め溶媒(PBS)のみを投与し、その後AK18を50μg、100μg及び200μg投与した例を示し、「50/AK18(μg)」、「100/AK18(μg)」及び「200/AK18(μg)」の黒塗り丸印(「Imatinib」)は、予めイマチニブを6000μg投与し、その後、それぞれAK18を50μg、100μg及び200μg投与した例を示す。
【実施例2】
【0089】
図3Bに示すように、PBSの投与後にAK18を投与した例(「Vehicle」)では、AK18の投与量の増加に伴って、IgG1-MFIレベルも増加したのに対し、イマチニブの投与後にAK18を投与した例(「Imatinib」)では、AK18の投与量にかかわらず、IgG1-MFIレベルは低く抑えられた。すなわち、予めイマチニブを投与することによって、AK18のマウス耳表皮への沈着が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0090】
また、AK18の投与前に、c-Abl抑制物質としてニロチニブを投与した。すなわち、マウスに対するAK18の投与前に、ニロチニブ(200mg/kg-body weight/day)を1回、経口投与した。
【実施例2】
【0091】
図3Cには、AK18の投与から24時間後のマウス耳表皮のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図3Cの横軸において、「PBS」はニロチニブを投与せず、溶媒(PBS)のみを投与し、AK18も投与しなかった例を示し、「Veh/AK18」はニロチニブを投与せず、予め溶媒(PBS)のみを投与し、その後AK18を100μg投与した例を示し、「Nilotinib/AK18」は、予めニロチニブを投与し、その後AK18を100μg投与した例を示す。
【実施例2】
【0092】
図3Cに示すように、AK18の投与前にニロチニブを投与した例のIgG1-MFIレベルは、AK18の投与前にニロチニブを投与しなかった例のそれより顕著に低かった。すなわち、予めニロチニブを投与することによって、AK18のマウス耳表皮への沈着が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0093】
また、AK18の投与前に、c-Abl抑制物質としてAICAR(5-aminoimidazole-4-carboxamide ribonucleotide)を投与した。すなわち、マウスに対するAK18の投与前に、AICAR(Tronto Research Chemicals)(0.5-0.75mg/kg-body weight/day)を1回、皮下投与した。なお、AICARは、AMP(adenosine monophosphate)活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化することによりc-Ablリン酸化反応を阻害することが知られている。
【実施例2】
【0094】
図3Dには、AK18の投与から24時間後のマウス耳表皮のIgG1-MFIを測定した結果を示す。図3Dの横軸において、「PBS」はAICARを投与せず、溶媒(PBS)のみを投与し、AK18も投与しなかった例を示し、「Veh/AK18」はAICARを投与せず、予め溶媒(PBS)のみを投与し、その後AK18を100μg投与した例を示し、「10/AICAR(mg)/AK18」及び「15/AICAR(mg)/AK18」は、それぞれ予めAICARを10mg及び15mg投与し、その後AK18を100μg投与した例を示す。
【実施例2】
【0095】
図3Dに示すように、AK18の投与前にAICARを投与した例のIgG1-MFIレベルは、AK18の投与前にAICARを投与しなかった例のそれより顕著に低かった。また、AICARの投与量の増加に伴って、IgG1-MFIレベルは低下した。すなわち、予めAICARを投与することによって、AK18のマウス耳表皮への沈着が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0096】
次に、AK23の投与前に、c-Abl抑制物質としてイマチニブを投与した。すなわち、マウスに対するAK23の投与前に、イマチニブ(5~150mg/kg-body weight/day)を1日2回、2日続けて尾静脈に投与した。
【実施例2】
【0097】
図4Aには、AK23を投与してから10日後のマウスを背中側から撮影した写真を示す。図4Aにおいて、「-」の3匹は、予めイマチニブを投与することなくAK23を投与されたマウスであり、「+」の3匹は、イマチニブを投与した後にAK23を投与されたマウスである。
【実施例2】
【0098】
図4Aに示すように、イマチニブを投与しなかったマウスの背中には顕著な脱毛が生じたのに対し、予めイマチニブを投与したマウスには脱毛が認められなかった。すなわち、予めイマチニブを投与することによって、AK23によってマウスに引き起こされる脱毛が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0099】
また、AK23の投与前に、c-Abl抑制物質としてニロチニブを投与した。すなわち、マウスに対するAK23の投与前に、ニロチニブ(200mg/kg-body weight/day)を1日1回、7日続けて経口投与した。
【実施例2】
【0100】
図4Bには、AK23を投与してから10日後のマウスを背中側から撮影した写真を示す。図4Bにおいて、「-」の4匹は、予めニロチニブを投与することなくAK23を投与されたマウスであり、「+」の4匹は、ニロチニブを投与した後にAK23を投与されたマウスである。
【実施例2】
【0101】
図4Bに示すように、ニロチニブを投与しなかったマウスの背中には顕著な脱毛が生じたのに対し、予めニロチニブを投与したマウスにはほとんど脱毛が認められなかった。すなわち、予めニロチニブを投与することによって、AK23によってマウスに引き起こされる脱毛が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0102】
また、AK23の投与前に、c-Abl抑制物質としてAICARを投与した。すなわち、マウスに対するAK18の投与前に、AICAR(0.5-0.75mg/kg-body weight/day)を1日1回、4日続けて皮下投与した。
【実施例2】
【0103】
図4Cには、AK23を投与してから10日後のマウスを背中側から撮影した写真を示す。図4Cにおいて、「-」の3匹は、予めAICARを投与することなくAK23を投与されたマウスであり、「+」の3匹は、AICARを投与した後にAK23を投与されたマウスである。
【実施例2】
【0104】
図4Cに示すように、AICARを投与しなかったマウスの背中には顕著な脱毛が生じたのに対し、予めAICARを投与したマウスには僅かな脱毛しか認められなかった。すなわち、予めAICARを投与することによって、AK23によってマウスに引き起こされる脱毛が顕著に抑制された。
【実施例2】
【0105】
なお、イマチニブ及びニロチニブは、Pdgfr-α、Pdgfr-β及びc-Kitといった他のチロシンキナーゼをも阻害することが知られているため、当該他のチロシンキナーゼの関与についても確認した。
【実施例2】
【0106】
まず抗マウスPdgfr-α抗体、抗マウスPdgfr-β抗体及び抗マウスc-Kit抗体(BD Bioscience)を使用して、フローサイトメトリーにより、マウス耳の皮膚血管内皮細胞を分析した結果、当該血管内皮細胞は、Pdgfr-αを発現していたが、Pdgfr-β及びc-Kitは発現していなかった。
【実施例2】
【0107】
そこで、マウスにAK18を投与する前に、抗Pdgfr-α阻害抗体であるAP5(公知文献“Sano, H., et al. Functional blockade of platelet-derived growth factor receptor-beta but not of receptor-alpha prevents vascular smooth muscle cell accumulation in fibrous cap lesions in apolipoprotein E-deficient mice. Circulation 103, 2955-2960 (2001)”)を投与し、IgG1-MFIを測定した。しかしながら、AP5を投与した例のIgG1-MFIと、AP5を投与しなかった例のIgG1-MFIとで、AK18の沈着量は変わらなかった。
【実施例2】
【0108】
また、培養HDBECを無血清培地中で5時間培養し、次いで、50ng/mLのPDGF(Sigma Aldrich)を含む培地中で1時間培養し、Δ594-MFIを測定した。しかしながら、PDGFの存在下におけるΔ594-MFIと、PDGFの不存在下におけるΔ594-MFIとで、HDBECによるIgGの取り込み量は変わらなかった。したがって、IgGの取り込みにおけるPdgfr-αの関与は小さいと考えられた。
【実施例2】
【0109】
また、c-Kitの関与を確認するため、血管に沿って存在し、活性化によって血管の透過性を制御することのできる肥満細胞について検討した。すなわち、Mas-TRECKマウスの腹腔内に250ngのジフテリア毒素を5日続けて投与することにより、肥満細胞欠損マウスを作製した(公知文献“Otsuka, A., et al. Requirement of interaction between mast cells and skin dendritic cells to establish contact hypersensitivity. PLoS One 6, e25538 (2011)”)。
【実施例2】
【0110】
しかしながら、肥満細胞欠損マウスにおける皮膚へのAK18の沈着は、ジフテリア毒素を投与されていないマウスのそれに比べて、僅かに抑制されただけであった。したがって、IgGの沈着における肥満細胞の関与は小さいと考えられた。
【実施例2】
【0111】
以上より、イマチニブ及びニロチニブは、主に血管内皮細胞におけるc-Ablのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、血管を介した血液中から血管周囲組織へのIgGの移行を抑制していると考えられた。
【実施例2】
【0112】
また、上述の結果は、c-Abl抑制物質であるイマチニブ、ニロチニブ及びAICARの、自己免疫疾患(例えば、自己抗体介在疾患、又は天疱瘡、類天疱瘡、膜性腎症、自己免疫性網膜症、自己免疫性脳炎、重症筋無力症、強皮症、リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる群より選択される疾患)の予防及び/又は治療剤の有効成分としての使用を裏付けるものであるともいえる。
図面
【図1】
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【図2A】
1
【図2B】
2
【図2C】
3
【図3A】
4
【図3B】
5
【図3C】
6
【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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