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明細書 :基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年8月31日(2017.8.31)
発明の名称または考案の名称 基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラム
国際特許分類 G01N  27/416       (2006.01)
G01N  27/327       (2006.01)
G01N  21/41        (2006.01)
FI G01N 27/416 336B
G01N 27/416 338
G01N 27/327 357
G01N 27/327 353J
G01N 21/41 101
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 23
出願番号 特願2016-548838 (P2016-548838)
国際出願番号 PCT/JP2015/075310
国際公開番号 WO2016/043078
国際出願日 平成27年9月7日(2015.9.7)
国際公開日 平成28年3月24日(2016.3.24)
優先権出願番号 2014191697
優先日 平成26年9月19日(2014.9.19)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】馬場 暁
【氏名】ジャンマニー ラピパン
【氏名】山本 格
【氏名】新保 一成
【氏名】加藤 景三
【氏名】金子 双男
出願人 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100089118、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 宏明
審査請求 未請求
テーマコード 2G059
Fターム 2G059AA05
2G059BB13
2G059CC17
2G059EE02
2G059EE05
2G059GG01
2G059GG04
2G059JJ12
2G059KK02
2G059MM01
要約 本発明は、酵素および抗体が固定された導電性高分子における酵素反応に基づく、導電性高分子上での電流値の変化を検出し、導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、作用電極により反射される光の反射率の変化を検出する。
特許請求の範囲 【請求項1】
酵素および抗体が固定された導電性高分子を堆積させた作用電極と、
前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出手段と、
前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記作用電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出手段と、
を備えたことを特徴とする、基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項2】
前記導電性高分子に接する液体を満たした溶液漕、
を更に備えたことを特徴とする、請求項1に記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項3】
前記液体は、
体液を含むことを特徴とする、請求項2に記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項4】
前記体液は、
尿、生体液、または、血液であることを特徴とする、請求項3に記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項5】
前記酵素は、
グルコースオキシダーゼ、または、クレアチナーゼであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項6】
抗原は、
アルブミン、前記アルブミン以外のタンパク質、または、タンパク質の分解産物であるペプチドであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項7】
前記導電性高分子は、
ポリピロールカルボン酸であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項8】
前記反射率検出手段は、
表面プラズモン共鳴法を用いて、前記導電性高分子における前記抗原抗体反応に基づく、前記作用電極により反射される前記光の前記反射率の変化を検出することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項9】
前記電流値検出手段は、
電気化学測定法を用いて、前記導電性高分子における前記酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での前記電流値の変化を検出することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項10】
前記電流値の変化、および、前記反射率の変化に基づく解析結果を取得する解析手段と、
前記解析結果を出力させる解析結果出力手段と、
を更に備えたことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の基質抗原同時検出バイオセンサ。
【請求項11】
酵素および抗体が固定された導電性高分子を堆積させたことを特徴とする、電極。
【請求項12】
基質抗原同時検出バイオセンサにおいて実行される基質抗原同時検出方法であって、
酵素および抗体が固定された導電性高分子を堆積させた作用電極上の前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出ステップと、
前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記作用電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出ステップと、
を含むことを特徴とする、基質抗原同時検出方法。
【請求項13】
基質抗原同時検出バイオセンサに実行させるためのプログラムであって、
酵素および抗体が固定された導電性高分子を堆積させた作用電極上の前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出ステップと、
前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記作用電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バイオセンサに関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の酵素-免疫化学的試験方法においては、内在性キャリブレーターを用いるアナライトの連結された酵素-免疫化学的検出方法による、酵素反応および免疫反応を検出することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2に記載のフローセルにおいては、表面プラズモン共鳴測定と電気化学測定を同一金属表面で同時に測定することが開示されている。
【0005】
また、非特許文献1に記載のキャピラリセンサにおいては、酵素結合免疫吸着(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay:ELISA)を用いて酵素と抗原とを同時に蛍光で検出することが開示されている。
【0006】
また、非特許文献2に記載の電気化学的バイオセンサにおいては、導電性高分子を用いて抗原およびグルコースを検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2009-536023号公報
【特許文献2】特開2010-025681号公報
【0008】

【非特許文献1】Single-step ELISA capillary sensor based on surface-bonded glucose oxidase, antibody, and physically-adsorbed PEG membrane containing peroxidase-labeled antibody. Terence G. Henares, Erina Tsutsumi, Hiromi Yoshimura, Kunio Kawamura, Toshio Yao, Hideaki Hisamoto, Sensors and Actuators B, Vol. 149, pp.319-324, 2010
【非特許文献2】Highly sensitive electrochemical biosensor for glucose, DNA and protein using gold-polyaniline nanocomposites as a common matrix. Ankan Dutta Chowdhury, Rupali Gangopadhyay, Amitabha De, Sensors and Actuators B, Vol. 190, pp.348-356, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の試験方法においては、事前の試料調整等の処理を必要とするため、測定に時間がかかり作業の手間がかかるという問題点を有していた。
【0010】
また、特許文献2に記載のフローセルにおいては、抗原と酵素の基質とを同時に検出することや、導電性高分子上に抗体と酵素とを同時に固定化することができないという問題点を有していた。
【0011】
また、非特許文献1に記載の従来のキャピラリセンサにおいては、蛍光の情報からのみ2つの情報を得ようとするため、一種類の測定による両方の定量化が困難であるという問題点を有していた。
【0012】
また、非特許文献2に記載の従来の電気化学的バイオセンサにおいては、抗原およびグルコースの検出が別々の電気化学的測定であるため、同時にそれぞれの情報を定量的に検出することが困難であるという問題点を有していた。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、体液等の液体中の糖等の基質とタンパク質等の抗原とを同時に定量的、且つ、簡便に測定することができる基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するため、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、酵素と、抗体と、が固定された導電性高分子を堆積させた電極と、前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出手段と、前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記導電性高分子に接する液体を満たした溶液漕、を更に備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記液体は、体液を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記体液は、尿、生体液、または、血液であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記酵素は、グルコースオキシダーゼ、または、クレアチナーゼであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、抗原は、アルブミン、前記アルブミン以外のタンパク質、または、タンパク質の分解産物であるペプチドであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記導電性高分子は、ポリピロールカルボン酸であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記反射率検出手段は、表面プラズモン共鳴法を用いて、前記導電性高分子における前記抗原抗体反応に基づく、前記電極により反射される前記光の前記反射率の変化を検出することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記電流値検出手段は、電気化学測定法を用いて、前記導電性高分子における前記酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での前記電流値の変化を検出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の基質抗原同時検出バイオセンサは、上記記載の基質抗原同時検出バイオセンサにおいて、前記電流値の変化、および、前記反射率の変化に基づく解析結果を取得する解析手段と、前記解析結果を出力させる解析結果出力手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電極は、酵素と、抗体と、が固定された導電性高分子を堆積させたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の基質抗原同時検出方法は、酵素と、抗体と、が固定された導電性高分子を堆積させた電極上の前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出ステップと、前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明のプログラムは、酵素と、抗体と、が固定された導電性高分子を堆積させた電極上の前記導電性高分子における酵素反応に基づく、前記導電性高分子上での電流値の変化を検出する電流値検出ステップと、前記導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、前記電極により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、導電性高分子における酵素反応に基づく、導電性高分子上での電流値の変化を検出し、導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、電極により反射される光の反射率の変化を検出するので、これまでは別々に測定する必要があった別の情報である酵素の基質と抗原とを、同時に定量的に測定することができ、測定時間も短縮することができるという効果を奏する。
【0028】
この発明によれば、導電性高分子に接する液体を満たした溶液漕を備えるので、簡便な測定をすることができるという効果を奏する。
【0029】
この発明によれば、液体は、体液を含むので、これまで別々で測定していた体液中の主要成分を同時に測定することが可能となり、今後の簡便な体液センサに応用することができるという効果を奏する。
【0030】
この発明によれば、体液は、尿、生体液、または、血液であるので、今後の簡便な尿センサ、生体液センサ、または、血液センサ等の利用目的に合致したバイオセンサに応用することができるという効果を奏する。
【0031】
この発明によれば、酵素は、グルコースオキシダーゼ、または、クレアチナーゼであるので、尿中の主要成分である尿糖などの糖量を定量的に測定することができるという効果を奏する。
【0032】
この発明によれば、抗原は、アルブミン、アルブミン以外のタンパク質、または、タンパク質の分解産物であるペプチドであるので、尿中の主要成分である尿タンパク質などタンパク質量を定量的に測定することができるという効果を奏する。
【0033】
この発明によれば、導電性高分子は、ポリピロールカルボン酸であるので、安定性があるだけでなく、電気化学反応を促進して定量測定を容易にするという効果を奏する。
【0034】
この発明によれば、表面プラズモン共鳴法を用いて、導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、電極により反射される光の反射率の変化を検出するので、光学的測定を簡便に行えるという効果を奏する。
【0035】
この発明によれば、電気化学測定法を用いて、導電性高分子における酵素反応に基づく、導電性高分子上での電流値の変化を検出するので、電気化学的測定を簡便に行えるという効果を奏する。
【0036】
この発明によれば、電流値の変化、および、反射率の変化に基づく解析結果を取得し、解析結果を出力させるので、迅速な病気の診断およびセンシング等への活用を促進することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本実施形態の基本原理を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施形態の基質抗原同時検出バイオセンサの処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態における抗体・グルコースオキシダーゼ固定化の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態におけるプリズム/金薄膜界/誘電体10nm界面における、表面プラズモンの分散関係、および、フレネル式を用いた反射率理論計算カーブの一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施形態における抗原・グルコース同時検出の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態における同時検出される電流値変化の一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態における同時検出される反射率変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明にかかる基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

【0039】
[本発明の実施の形態の概要]
以下、本発明の実施の形態の概要について図1を参照して説明し、その後、本実施形態の構成および処理等について詳細に説明する。図1は、本実施形態の基本原理を示すフローチャートである。本実施形態は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。

【0040】
すなわち、本実施形態において、ユーザは、図1に示すように、基質抗原同時検出バイオセンサに検体(サンプル)となる液体を注入(セット)する(ステップSA-1)。

【0041】
そして、基質抗原同時検出バイオセンサは、酵素と、抗体と、が固定された導電性高分子を堆積させた電極上の導電性高分子における酵素反応に基づく、導電性高分子上での電流値の変化を検出(電気化学的検出)する(ステップSA-2)。

【0042】
そして、基質抗原同時検出バイオセンサは、導電性高分子における抗原抗体反応に基づく、電極により反射される光の反射率の変化を検出(光学的検出)し(ステップSA-3)、処理を終了する。なお、ステップSA-2と、ステップSA-3と、は同時に実行されてもよく、どちらが先に実行されてもよい。

【0043】
以上で、本実施形態の概要の説明を終える。

【0044】
[基質抗原同時検出バイオセンサ100の構成]
次に、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の構成の詳細について、図2および図3を参照して以下に説明する。図2は、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。

【0045】
図2に示すように、基質抗原同時検出バイオセンサ100は、概略的に、基板10、作用電極20、ポテンショスタット30、対電極31、参照電極32、溶液槽40、ガラスプリズム50、レーザ発振器51、偏光子52、および、ディテクタ53を備える。

【0046】
ここで、基板10は、表面に作用電極20を形成するものであり、金属、ガラス、プラスチック、または、金属酸化物等から構成される。

【0047】
作用電極20は、酵素22と、抗体23と、が固定された導電性高分子21を堆積させた電極である(図5参照)。ここで、酵素22は、グルコースオキシダーゼ、または、クレアチナーゼ等であってもよい。また、抗体23に作用する抗原は、アルブミン、アルブミン以外のタンパク質、タンパク質の分解産物であるペプチド、または、クレアチニン等であってもよい。また、導電性高分子21は、ポリピロールカルボン酸(PP3C)等であってもよい。また、作用電極20は、金薄膜等から構成されてもよい。また、作用電極20上の導電性高分子21は、溶液槽40中の液体と接していてもよい。

【0048】
ポテンショスタット30は、作用電極20、対電極31、および、参照電極32に接続され、作用電極20と対電極31との間の電流(電流値)を測定する電流検出器である。ここで、ポテンショスタット30は、作用電極20の電位を参照電極32に対して一定にしてもよい。また、ポテンショスタット30は、参照電極32に電流を流さないようにしてもよい。

【0049】
対電極31は、白金、金、カーボン、または、水銀等であってもよい。

【0050】
参照電極32は、水素電極、または、銀‐塩化銀電極等であってもよい。

【0051】
溶液槽40は、作用電極20に接する液体を満たした容器である。ここで、液体は、体液を含んでもよい。また、体液は、尿、生体液、または、血液であってもよい。また、溶液槽40中の液体は、対電極31、および、参照電極32と接していてもよい。

【0052】
ガラスプリズム50は、基板10の作用電極20が設けられていない面に接している。ここで、図2に示すように、ガラスプリズム50の誘電率(εp)は、溶液槽40中の液体の誘電率(εd)よりも大きくてもよい。

【0053】
レーザ発振器51は、レーザ光を発生させる機器である。ここで、レーザ発振器51は、作用電極20にレーザを照射してもよい。

【0054】
偏光子52は、自然光や円偏光から直線偏光を作り出すものである。ここで、偏光子52は、レーザ発振器51とガラスプリズム50との間に設置されてもよい。

【0055】
ディテクタ53は、作用電極20により反射される光、および/または、光の反射率を検出する反射光検出器である。

【0056】
また、図2では省略しているが、基質抗原同時検出バイオセンサ100は、更に、制御部102、記憶部106、入出力部112、入出力インターフェース部、および、通信インターフェース部を備えていてもよい。これら基質抗原同時検出バイオセンサ100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。

【0057】
ここで、図3を参照して、本実施形態における制御部102の構成について説明する。図3は、本実施形態における制御部102の構成の一例を示すブロック図である。

【0058】
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。なお、制御部102は、入出力部112、入出力インターフェース部、および、通信インターフェース部を制御してもよい。

【0059】
図3に示すように、制御部102は、機能概念的に、電流値検出部102a、反射率検出部102b、解析部102c、および、解析結果出力部102dを備える。

【0060】
このうち、電流値検出部102aは、導電性高分子21における酵素反応に基づく、導電性高分子21上での電流値の変化を検出する電流値検出手段である。ここで、電流値検出部102aは、電気化学測定法を用いて、導電性高分子21における酵素反応に基づく、導電性高分子21上での電流値の変化を検出してもよい。なお、電流値検出部102aは、ポテンショスタット30に備えられていてもよい。

【0061】
反射率検出部102bは、導電性高分子21における抗原抗体反応に基づく、作用電極20により反射される光の反射率の変化を検出する反射率検出手段である。ここで、反射率検出部102bは、表面プラズモン共鳴法を用いて、導電性高分子21における抗原抗体反応に基づく、作用電極20により反射される光の反射率の変化を検出してもよい。なお、反射率検出部102bは、ディテクタ53に備えられていてもよい。

【0062】
解析部102cは、電流値の変化、および、反射率の変化に基づく解析結果を取得する解析手段である。ここで、解析部102cは、電流値の変化に基づく酵素22の基質、および、反射率の変化に基づく抗原の量に関する解析結果を取得してもよい。

【0063】
解析結果出力部102dは、解析結果を出力させる解析結果出力手段である。ここで、解析結果出力部102dは、解析結果を入出力部112を介して出力させてもよい。

【0064】
また、記憶部106は、各種のデータベースやテーブルなどを格納する装置である。

【0065】
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブルは、固定ディスク装置等のストレージ手段である。例えば、記憶部106は、各種処理に用いる各種のプログラム、テーブル、ファイル、データベース、および、ウェブページ等を格納する。

【0066】
ここで、記憶部106は、電流値、電流値の変化、光の反射率、光の反射率の変化、および/または、解析結果等を記憶してもよい。

【0067】
また、入出力部112は、データの入出力(I/O)を行う。ここで、入出力部112は、例えば、キー入力部、タッチパネル、コントロールパッド(例えば、タッチパッド、および、ゲームパッド等)、マウス、キーボード、および、マイク等であってもよい。また、入出力部112は、アプリケーション等の表示画面を表示する表示部(例えば、液晶または有機EL等から構成されるディスプレイ、モニタ、および、タッチパネル等)であってもよい。また、入出力部112は、音声情報を音声として出力する音声出力部(例えば、スピーカ等)であってもよい。

【0068】
また、入出力インターフェース部は、入出力部112に接続されるインターフェースである。入出力インターフェース部は、制御部102と入出力部112とを接続し、入出力部112の制御を行う。

【0069】
また、通信インターフェース部は、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置に接続されるインターフェースである。通信インターフェース部は、基質抗原同時検出バイオセンサ100とネットワーク(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信インターフェース部は、外部システム、および、他の端末等と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。更に、この基質抗原同時検出バイオセンサ100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク(インターネット等)に通信可能に接続されている。

【0070】
以上で、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の構成の一例の説明を終える。

【0071】
[基質抗原同時検出バイオセンサ100の処理]
次に、このように構成された本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の処理の詳細について、以下に図4乃至図9を参照して詳細に説明する。図4は、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の処理の一例を示すフローチャートである。

【0072】
まず、図4に示すように、ユーザは、作用電極20上の導電性高分子21に接する液体(緩衝溶液)で満たされた基質抗原同時検出バイオセンサ100の溶液槽40に、検体(サンプル)となる体液を注入する(ステップSB-1)。ここで、体液は、尿、生体液、または、血液であってもよい。

【0073】
ここで、図5を参照して、本実施形態における抗体・グルコースオキシダーゼ固定化の一例について説明する。図5は、本実施形態における抗体・グルコースオキシダーゼ固定化の一例を示す図である。

【0074】
図5に示すように、本実施形態における抗原・グルコース同時検出のための試料作製においては、作用電極(金薄膜)20上に、電解重合法により導電性高分子(ポリピロールカルボン酸(PP3C)薄膜)21の堆積を行った(ステップSC-1)。すなわち、本試料作製においては、電解重合法により、カルボキシル基をもつ導電性高分子21を作用電極20上に堆積させている。

【0075】
ここで、電解重合は、サイクリックボルタンメトリー法により行ってもよい(例えば、0.5M硫酸水溶液中で0.1Mピロールカルボン酸(P3C)を、0V-0.8Vの電位範囲且つ掃引速度20mV/sで5サイクル行ってもよい)。

【0076】
そして、本試料作製においては、PBS溶液中でPP3C薄膜21上のカルボキシル基を0.4MEDC/0.1MNHSを用いて活性化したのち、1mg/mLの酵素(グルコースオキシダーゼ(GOx))22を、活性化したPP3C薄膜21表面に反応吸着(固定化)させる(ステップSC-2)。すなわち、本試料作製においては、グルコース検出用に、グルコースオキシダーゼ22の固定化をさせている。

【0077】
そして、本試料作製においては、その上にもう一度PP3C薄膜21を、同様の条件で電解重合法により堆積させた(ステップSC-3)。すなわち、本試料作製においては、電解重合法によりカルボキシル基をもつ導電性高分子21をさらに堆積させている。

【0078】
そして、本試料作製においては、新たに堆積したPP3C薄膜21のカルボキシル基を0.4MEDC/0.1MNHSを用いて活性化し、活性化した部位に抗体(Anti-IgG)23を固定化させている(ステップSC-4)。すなわち、本試料作製においては、抗原検出用に、抗体23の固定化を行っている。

【0079】
更に、本試料作製においては、抗体23が固定化されずに残った活性化部位に抗原(IgG)が吸着することを防ぐため、エタノールアミンを用いて残った活性化部位を不活性化させ、抗原-グルコース同時検出のための試料としてもよい。

【0080】
このように、本試料作製においては、導電性高分子21中に、抗原と特異的に吸着反応を起こす抗体23と、グルコースの検出に必要なグルコースオキシダーゼ22と、を同時に固定化している。

【0081】
すなわち、本実施形態における作用電極(金電極)20上の導電性高分子21へのグルコースオキシダーゼ22と抗体23との固定化法においては、カルボキシル基を有するピロールを電解質溶液中で電解重合させ、金電極上へポリピロール誘電体を堆積させてもよい。その後、本実施形態における固定化法においては、カルボキシル基を活性化させ、グルコースオキシターゼを固定化させ、ポリピロール誘電体を堆積・活性化した後、抗体23を固定化させてもよい。

【0082】
図4に戻り、電流値検出部102aは、電気化学測定法を用いて、ポテンショスタット30にて測定された作用電極20と対電極31との間の電流(電流値)を用いて、抗体23が固定された導電性高分子21における酵素反応に基づく、導電性高分子21上での電流値の変化を検出(電気化学的検出)する(ステップSB-2)。

【0083】
そして、反射率検出部102bは、表面プラズモン共鳴法を用いて、レーザ発振器51から偏光子52を介してガラスプリズム50を通して作用電極20に照射され、且つ、作用電極20により反射されてガラスプリズム50を通して到達した光に基づいて、ディテクタ53にて検出された光の反射率を用いて、酵素22が固定された導電性高分子21における抗原抗体反応に基づく、作用電極20により反射される光の反射率の変化を検出(光学的検出)する(ステップSB-3)。

【0084】
ここで、酵素22は、グルコースオキシダーゼ、または、クレアチナーゼ等であってもよい。なお、ステップSB-2と、ステップSB-3と、は同時に実行されてもよく、どちらが先に実行されてもよい。

【0085】
ここで、図2および図6を参照して、本実施形態における表面プラズモン共鳴励起測定法の一例について説明する。図6は、本実施形態におけるプリズム/金薄膜界/誘電体10nm界面における、表面プラズモンの分散関係、および、フレネル式を用いた反射率理論計算カーブの一例を示す図である。

【0086】
表面プラズモン共鳴励起測定法(表面プラズモン共鳴法)は、金属薄膜/誘電体界面の光学情報を高感度に得ることのできる測定法である。そして、本実施形態における電気化学測定と組み合わせた表面プラズモン共鳴法は、表面プラズモン励起のために利用される金属薄膜が、同時に電気化学測定での作用電極としても用いることができるため、金属薄膜表面の光学情報と電気化学情報とを同時に得ることができる。

【0087】
このような本実施形態における電気化学測定法と組み合わせた表面プラズモン共鳴法は、導電性高分子を媒介としたセンシングにおいては、光と電気化学信号の両方を高感度に検出できる非常に有効な測定法でもある。

【0088】
図2に示すように、本実施形態においては、光が、屈折率の大きい媒質であるガラスプリズム(プリズム)50から、屈折率の小さい媒質に、入射角θ=臨界角θc以上で入射した場合、光は全反射される。この際、プリズム50表面近傍には、z方向に指数関数的に減衰し、x方向へ伝搬する電磁波,エバネッセント波(表面プラズモン波)1が存在する。

【0089】
このエバネッセント波1は、近接場顕微鏡を用いて実験的に検出することができ、マクスウェルの方程式からも理論的にも導出することができる。ここで、プリズム50底面に十分に薄い貴金属薄膜(45~50nm)が存在する時、このエバネッセント波1は金属/液体界面に浸み出す。

【0090】
金属中の表面プラズモンの分散関係から得られる波数ベクトルは、空気中からの入射光の波数ベクトルよりも常に大きいが、屈折率の大きなプリズム50を通すことにより入射光の波数ベクトルを大きくすることが可能となる。

【0091】
ここで、本実施形態においては、入射角度を変化させ、入射光の波数ベクトルのx成分が金属中に局在する表面プラズモンの波数ベクトルと一致する場合、表面プラズモンが共鳴励起される。

【0092】
この際、入射光のエネルギーは、表面プラズモンのエネルギーとして奪われるために、ディテクタ(フォトディテクタ)53により反射光が検出されると、図6に示すように、反射率の鋭い減衰として観測される。

【0093】
また、図6に示すように、導電性高分子(誘電体薄膜)21が作用電極(金属薄膜)20上に存在する場合、表面プラズモンの分散関係が変化し、これに対応してディップ角度は高角度へシフトする。

【0094】
更に、図2に示すように、3電極の電気化学セルを取り付けた場合、金属薄膜は、作用電極20として働く。そして、導電性高分子21の薄膜は、バイオセンサまたは化学センサへの応用も盛んに行われている。

【0095】
また、導電性高分子21の可逆的なドーピング-脱ドーピングは、電気化学的に行われ、電極との間の電子の授受が行われることにより金属-絶縁体転移を起こし、その誘電率が大きく変化し、光学特性が大きく変化する場合が多い。

【0096】
このように、本実施形態における作用電極20は、特性変化を利用して表面プラズモン共鳴特性のセンシング高感度化材料としても用いることができ、電気(化学)信号および光信号の両方での検出に使用可能である。

【0097】
また、図7を参照して、本実施形態における抗原・グルコース同時検出の一例について説明する。図7は、本実施形態における抗原・グルコース同時検出の一例を示す図である。

【0098】
図7に示すように、本実施形態においては、抗体23と酵素(グルコースオキシダーゼ)22とを、カルボキシル基を有する導電性高分子21を堆積させた金電極上に固定化して、この金電極を電気化学測定の作用電極20として使用し、同時に、表面プラズモン共鳴(SPR)用基板として使用している。

【0099】
そして、本実施形態においては、作用電極20且つ表面プラズモン共鳴用基板である金電極上で生じる2つの現象を、電流値、および、光の反射率変化として検出している。

【0100】
また、図8および図9を参照して、本実施形態における同時検出される測定値の一例について説明する。図8は、本実施形態における同時検出される電流値変化の一例を示す図である。図9は、本実施形態における同時検出される反射率変化の一例を示す図である。

【0101】
図8および図9に示す測定においては、最初に抗原(5μg/mL)とグルコース(20mM)とを同時にPBS(Phosphate Buffered Saline)の満たされた溶液槽(セル)40に注入し、電流値と表面プラズモン共鳴反射率とを測定している。

【0102】
続いて、本測定においては、PBSでリンス後、グルコース(20mM)のみをPBSの満たされた溶液槽(セル)40に注入し、電流値と表面プラズモン共鳴反射率とを測定している。

【0103】
更に続いて、本測定においては、PBSでリンス後、抗原(5μg/mL)のみをPBSの満たされた溶液槽(セル)40に注入し、電流値と表面プラズモン共鳴反射率とを測定している。

【0104】
図8に示すように、グルコースと抗原とを同時に注入した場合、および、グルコースのみを注入した場合は、電流値が変化しており、抗原のみを注入した場合は、電流値が反応していない。これにより、電流値変化は、グルコースによるもの(グルコースオキシダーゼとの酸化還元反応)であることが確認された。

【0105】
一方、図9に示すように、導電性高分子の形状変化によるベースラインの上昇はあるが、グルコースと抗原とを同時に注入した場合は、反射率が増加している。ここで、PBSでのリンス後は、吸着物質の脱離による反射率の減少が観測されるが、吸着前に比べて反射率が増加しているため、リンスされずに抗原が残っていることが確認された。

【0106】
次に、図9に示すように、グルコースのみを注入した場合は、反射率が一旦上昇しているが、PBSでのリンス後に反射率が元に戻っている。すなわち、一旦、グルコースとグルコースオキシダーゼとが物理吸着するが、リンスにより完全に洗い流されて表面に残っていないことが確認された。

【0107】
そして、図9に示すように、抗原のみを入れた場合は、反射率が増加している。すなわち、PBSでのリンス後もほとんど洗い流されずに残っており、抗原が抗体に特異的に吸着していることが確認された。これらの結果から、PBSでのリンス後は、抗原のみ光学的検出(SPR)により検出することができることが確認された。

【0108】
すなわち、図8および図9に示すように、セル40へのグルコースおよび抗原の同時注入の場合は、電流(電気化学的検出)およびSPR(光学的検出)がともに増加することが測定された。

【0109】
また、図8および図9に示すように、セル40へのグルコースの注入の場合は、電流(電気化学的検出)が増加することが測定され、SPR(光学的検出)が変化しないことが測定された。

【0110】
また、図8および図9に示すように、セル40への抗原の注入の場合は、電流(電気化学的検出)が変化しないことが測定され、SPR(光学的検出)が増加することが測定された。

【0111】
このように、本実施形態においては、電流変化によるグルコース検出と、SPR反射率による抗原検出と、に関するそれぞれの情報を分離して検出できることが示された。

【0112】
図4に戻り、解析部102cは、電流値の変化に基づく酵素22の基質、および、反射率の変化に基づく抗原の量に関する解析結果を取得する(ステップSB-4)。ここで、基質は、グルコース、または、クレアチニンであってもよい。また、抗原は、アルブミン、アルブミン以外のタンパク質、タンパク質の分解産物であるペプチド、または、クレアチニン等であってもよい。

【0113】
そして、解析結果出力部102dは、解析結果を入出力部112を介して出力させ(ステップSB-5)、処理を終了する。そして、本実施形態において、医師(または獣医師)などは、出力された解析結果を参照することで、検体を提供したヒト(または動物)に対する、種々の病気等(例えば、糖尿病、痛風、妊娠、心臓病、または、種々の生活習慣病など)、または、健康状態の診断を行ってもよい。

【0114】
このように、本実施形態においては、タンパク質と糖とを別々に測定していた従来の手法の課題を解決するために、導電性高分子上に抗原を検出するための抗体とグルコースとを検出するためのグルコースオキシダーゼを同時に固定化している。

【0115】
ここで、グルコースとグルコースオキシダーゼとの反応は、導電性高分子表面での屈折率は変化しないが、電子の移動を伴う。これに対して、抗原抗体反応は、電子の移動は伴わないが、導電性高分子表面に化学的に結合するため屈折率の変化を伴う。

【0116】
そこで、本実施形態においては、これらのそれぞれ異なる現象を利用して、電気化学測定と表面プラズモン共鳴分光法とを組み合わせた電気化学-表面プラズモン共鳴分光法で電気化学的情報と光学的情報とをそれぞれ同時に別々で検出している。

【0117】
すなわち、電気化学-表面プラズモン共鳴分光法を用いることにより、導電性高分子により促進されたグルコース-グルコースオキシダーゼの反応を電流検出により行い、抗原抗体反応を表面プラズモン共鳴法による光検出により行うことで、それぞれ情報を分けて取得することを可能としている。

【0118】
このように、本実施形態においては、同じ基板上での抗原とグルコースとの同時検出を可能としている。これは、尿中の主要な物質である尿糖、アルブミン、および、クレアチニンの情報をそれぞれ分けて検出する尿センサに応用可能となる。

【0119】
以上で、本実施形態における基質抗原同時検出バイオセンサ100の処理の一例の説明を終える。

【0120】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。

【0121】
例えば、基質抗原同時検出バイオセンサ100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、基質抗原同時検出バイオセンサ100は、クライアント端末(基質抗原同時検出バイオセンサ100とは別筐体である)からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するようにしてもよい。

【0122】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。

【0123】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。

【0124】
また、基質抗原同時検出バイオセンサ100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。

【0125】
例えば、基質抗原同時検出バイオセンサ100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する、コンピュータに本発明に係る方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて基質抗原同時検出バイオセンサ100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。

【0126】
また、このコンピュータプログラムは、基質抗原同時検出バイオセンサ100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。

【0127】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、MO、DVD、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。

【0128】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。

【0129】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。

【0130】
また、基質抗原同時検出バイオセンサ100は、既知の装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、基質抗原同時検出バイオセンサ100は、既知の装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。

【0131】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施の形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施の形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
以上詳述に説明したように、本発明によれば、体液等の液体中の糖等の基質とタンパク質等の抗原とを同時に定量的、且つ、簡便に測定することができる基質抗原同時検出バイオセンサ、電極、基質抗原同時検出方法、および、プログラムを提供することができるので、特に医療、製薬、創薬、および、生物学研究等の様々な分野において極めて有用である。
【符号の説明】
【0133】
1 エバネッセント波
10 基板
20 作用電極
21 導電性高分子
22 酵素
23 抗体
30 ポテンショスタット
31 対電極
32 参照電極
40 溶液槽
50 ガラスプリズム
51 レーザ発振器
52 偏光子
53 ディテクタ
100 基質抗原同時検出バイオセンサ
102 制御部
102a 電流値検出部
102b 反射率検出部
102c 解析部
102d 解析結果出力部
106 記憶部
112 入出力部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8