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明細書 :フェナセン化合物、フェナセン化合物の製造方法及び有機発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-154993 (P2017-154993A)
公開日 平成29年9月7日(2017.9.7)
発明の名称または考案の名称 フェナセン化合物、フェナセン化合物の製造方法及び有機発光素子
国際特許分類 C07C  15/56        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07C   5/393       (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C07C 15/56 CSP
C07F 7/08 C
C07C 5/393
C09K 11/06 610
C09K 11/06 660
H05B 33/14 B
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 49
出願番号 特願2016-038216 (P2016-038216)
出願日 平成28年2月29日(2016.2.29)
発明者または考案者 【氏名】山路 稔
【氏名】加藤 真一郎
【氏名】中村 洋介
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 3K107
4H006
4H049
Fターム 3K107AA01
3K107BB01
3K107CC02
3K107CC04
3K107CC23
3K107DD59
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB92
4H006AC28
4H006BA95
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ08
4H049VR24
4H049VS04
4H049VU29
4H049VW01
4H049VW35
4H049VW37
要約 【課題】高い蛍光収率を有するフェナセン化合物の提供。
【解決手段】式(1)で表されるフェナセン化合物。
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〔Aは式(2)で表される基;Z及びZは縮環した0個~2個のベンゼン環;*は式(1)中のベンゼン環との結合位置;XはH、C1~18のアルキル基、C4~10のアリール基又は式(3)で表される基;nは1~2の整数;**は式(2)中の三重結合との結合位置;Y~YはH、C1~8のアルキル基又はC4~10のアリール基;式(2)で表される基はC1~18のアルキル基で置換されていてもよい;Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0~3個;Y~Yから選ばれる1つ以上はC1~8のアルキル基又はC4~10のアリール基〕
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフェナセン化合物。
【化1】
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(一般式(1)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。下記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【化2】
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(一般式(2)中、*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化3】
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(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【請求項2】
下記一般式(4)で表されるフェナセン化合物。
【化4】
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(一般式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数4~12のアルキル基を表す。)
【化5】
JP2017154993A_000076t.gif

(一般式(2)中、*は、前記一般式(4)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~12のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化6】
JP2017154993A_000077t.gif

(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【請求項3】
下記一般式(5)で表されるフェナセン化合物。
【化7】
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(一般式(5)中、R11、R13、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R11、R13、R16、R17、R18及びR19から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R12、R14、R15、R20、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。)
【化8】
JP2017154993A_000079t.gif

(一般式(2)中、*は、前記一般式(5)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化9】
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(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【請求項4】
下記一般式(6)で表されるフェナセン化合物。
【化10】
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(一般式(6)中、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R23、R28、R29、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表す。)
【化11】
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(一般式(2)中、*は、前記一般式(6)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化12】
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(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【請求項5】
下記一般式(7)で表されるフェナセン化合物。
【化13】
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(一般式(7)中、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51及びR52から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。)
【化14】
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(一般式(2)中、*は、前記一般式(7)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化15】
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(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【請求項6】
前記一般式(2)中、nは1である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のフェナセン化合物。
【請求項7】
光縮環反応によって下記一般式(8)で表される化合物に、縮環したベンゼン環を形成し、下記一般式(1)で表される化合物を生成する工程を含むフェナセン化合物の製造方法。
【化16】
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(一般式(8)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうちの少なくとも1つは一般式(2)で表される基で置換され、一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【化17】
JP2017154993A_000088t.gif

(一般式(2)中、*は、前記一般式(8)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【化18】
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(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【化19】
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(一般式(1)中、Aは、前記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの少なくとも一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。前記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【請求項8】
前記工程の前に、下記一般式(9)で表される化合物をアルキニル化することにより、前記一般式(8)で表される化合物を合成するアルキニル化工程をさらに含む請求項7に記載のフェナセン化合物の製造方法。
【化20】
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(一般式(9)中、Lは、脱離基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうちの少なくとも1つは、脱離基で置換されている。脱離基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立して、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【請求項9】
前記脱離基はハロゲン基である請求項8に記載のフェナセン化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のフェナセン化合物を含む有機発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フェナセン化合物、フェナセン化合物の製造方法及び有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子発光デバイスの発光層用材料として、蛍光発光が可能な有機芳香族化合物の開発が世界的にすすめられている。これらの有機芳香族化合物においては、高効率に蛍光発光し、高電圧、酸素、光及び水分等の外部環境に対する堅牢性が求められる。
【0003】
高い蛍光効率を有する有機芳香族化合物としては、アントラセン等の骨格に、さらにπ電子系を拡張する置換基であるアルキニル基を導入した化合物(例えば、非特許文献1参照)、及びトリフェニレン骨格にアルキニル基を導入した化合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、高効率、高輝度かつ高耐久性である有機電子発光(以下、有機ELという)素子に用いられる化合物としては、蛍光発光基を有するフェナントレン誘導体が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、フェナントレンについては、1,2-ジアリルエテンを光縮環反応させることによって、効率的に合成できることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第4392721号公報
【特許文献2】特開2008-308467号公報
【0005】

【非特許文献1】Chem.Rev.2013,Vol.106,5028-5048
【非特許文献2】Chem.Lett.2014,Vol.43,994-996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献1のアルキニル基を有する化合物は、縮環したベンゼン環が直鎖状に配置されたアセン骨格を有する化合物であるために、一般的に化合物としての堅牢性が低い。さらに、非特許文献1や特許文献1のアルキニル基を有する化合物は高い蛍光収率で発光することが知られているが、有機EL素子として利用性が高い400nm付近に蛍光発光(青色発光)を示さない。
一方、ベンゼン環がジグザグに縮環した構造を有するフェナセンは、アセンに比べて、外部因子に対する堅牢性が高く、蛍光発光性を有することが知られているので、有機EL素子として、フェナセンの利用が期待できる。
しかし、フェナセン化合物が有する蛍光に関する物性においては、蛍光収率は高くないことが知られている。従って、アルキニル化したフェナセン化合物は、上記課題を解決しうる化合物として期待でき、同時に、どのようにアルキニル化したフェナセン化合物が蛍光収率を向上させるかの検討、及びそれらの効率的な合成方法が必要になるものと考えられる。
【0007】
しかし、特許文献2には、機能性基を有するフェナセン化合物の合成方法及び機能性基に変換可能な官能基を有するフェナセン化合物の合成方法は何ら記載されていない。さらに、非特許文献2は、官能基を有しないフェナセン化合物を効率的に合成する上では有用な知見ではあるものの、官能基を有するフェナセン化合物の合成方法については記載されていないため、上記のアルキニル基を有したフェナセン化合物が合成できるか否かは不明である。
【0008】
このように、アルキニル基を有するフェナセン化合物及び該フェナセン化合物の効率的な製造方法並びに該フェナセン化合物を用いた有機発光素子の提供が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明では、青色の蛍光発光性を有し、かつ高い蛍光収率を有するフェナセン化合物及び該フェナセン化合物の効率的な製造方法並びに有機発光素子の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための具体的手段には、以下の形態が含まれる。
<1> 下記一般式(1)で表されるフェナセン化合物である。
【0011】
【化1】
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【0012】
(一般式(1)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。下記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【0013】
【化2】
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【0014】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0015】
【化3】
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【0016】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0017】
<2> 下記一般式(4)で表されるフェナセン化合物である。
【0018】
【化4】
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【0019】
(一般式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数4~12のアルキル基を表す。)
【0020】
【化5】
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【0021】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(4)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~12のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0022】
【化6】
JP2017154993A_000007t.gif

【0023】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0024】
<3> 下記一般式(5)で表されるフェナセン化合物である。
【0025】
【化7】
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【0026】
(一般式(5)中、R11、R13、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R11、R13、R16、R17、R18及びR19から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R12、R14、R15、R20、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。)
【0027】
【化8】
JP2017154993A_000009t.gif

【0028】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(5)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0029】
【化9】
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【0030】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0031】
<4> 下記一般式(6)で表されるフェナセン化合物である。
【0032】
【化10】
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【0033】
(一般式(6)中、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R23、R28、R29、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表す。)
【0034】
【化11】
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【0035】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(6)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0036】
【化12】
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【0037】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0038】
<5> 下記一般式(7)で表されるフェナセン化合物である。
【0039】
【化13】
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【0040】
(一般式(7)中、R37~R52は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R37~R52から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。)
【0041】
【化14】
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【0042】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(7)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0043】
【化15】
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【0044】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0045】
<6> 前記一般式(2)中、nは1である<1>~<5>のいずれか1つに記載のフェナセン化合物である。
【0046】
<7> 光縮環反応によって下記一般式(8)で表される化合物に、縮環したベンゼン環を形成し、下記一般式(1)で表される化合物を生成する工程を含むフェナセン化合物の製造方法である。
【0047】
【化16】
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【0048】
(一般式(8)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうちの少なくとも1つは一般式(2)で表される基で置換され、一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【0049】
【化17】
JP2017154993A_000018t.gif

【0050】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(8)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)
【0051】
【化18】
JP2017154993A_000019t.gif

【0052】
(一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。)
【0053】
【化19】
JP2017154993A_000020t.gif

【0054】
一般式(1)中、Aは、前記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの少なくとも一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。前記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。
【0055】
<8> 前記工程の前に、下記一般式(9)で表される化合物をアルキニル化することにより、前記一般式(8)で表される化合物を合成するアルキニル化工程をさらに含む<7>に記載のフェナセン化合物の製造方法である。
【0056】
【化20】
JP2017154993A_000021t.gif

【0057】
(一般式(9)中、Lは、脱離基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうち、少なくとも1つは、脱離基で置換されている。脱離基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立して、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。)
【0058】
<9> 前記脱離基はハロゲン基である<8>に記載のフェナセン化合物の製造方法である。
【0059】
<10> <1>~<6>のいずれか1つに記載のフェナセン化合物を含む有機発光素子である。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、高い蛍光収率を有するフェナセン化合物及び該フェナセン化合物の効率的な製造方法並びに有機発光素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
訂正有り
【図1】2つのフェニルエチニル基を有する各フェナントレンの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
【図2】2つのトリメチルシリルエチニル基を有する各フェナントレンの各溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】1位にフェニルエチニル基を有するフェナントレンの各溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
【図4】3位にフェニルエチニル基を有するフェナントレンの各溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】(1)はフェニルエチニル基を有するフェナントレンの、シクロヘキサン、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中における蛍光の光物理特性を示す図である。(2)はトリメチルエチニル基を有するフェナントレンの、シクロヘキサン、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中における蛍光の光物理特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて示された用語について説明する。
数値範囲を表す「~」はその上限及び下限の数値を含む範囲を表す。

【0063】
「フェナセン化合物」とは、ベンゼン環が3個以上縮環した多環状の芳香族化合物であり、そのベンゼン環の縮環様式が、ジグザグ(zigzag)に縮環した化合物で、フェナントレン骨格を拡張した縮環様式の化合物群の総称である。例えば、[J.Amer.Chem.Soc.,119、2119(1997)、J.Org.Chem.,70、2509(2005)]を参考にすることができる。
本明細書中、フェナセン化合物のうち、1つのアルキニル基(エチニル基とも称する)を有するフェナセン化合物を、モノアルキニルフェナセン化合物、2つのアルキニル基を有するフェナセン化合物を、ジアルキニルフェナセン化合物、と称することがある。また、例えば、1つのアルキニル基を有するフェナントレンを、モノアルキニルフェナントレン、と称することがある。
本明細書中、「蛍光収率」は、蛍光量子収率と同じ意味である。

【0064】
≪フェナセン化合物≫
本発明のアルキニル基を有するフェナセン化合物は、一般式(1)、及び後述する一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)及び一般式(7)でそれぞれ表されるフェナセン化合物である。本発明のフェナセン化合物は、フェナセン骨格であることの優位性、すなわち、高電圧、酸素、光及び水分等の外部因子に対する分子の堅牢性を有し、かつ、アルキル基を有することで優れた光物理特性(蛍光収率、蛍光寿命及び速度定数)を有し、中でも、発光素子や電子材料等の使用時に重要な物性である蛍光収率を高い値で確保することができる。このため、本発明のフェナセン化合物は、従来より知られていたアセン骨格を有する化合物よりも高い実用性を有する電子デバイスとして期待できる。
また、本発明のフェナセン化合物は、いずれも、410nm付近に高い強度の蛍光発光を示すという特徴を有することから、発光素子としての有用性も高い。

【0065】
前記フェナセン化合物の蛍光の光物理特性、すなわち蛍光収率(Φ)、蛍光寿命(τ)及び速度定数(k)は、公知の測定方法によって測定することができる。例えば、蛍光収率は、絶対PL光量子収率測定装置(C9920-02、浜松ホトニクス株式会社製)を用い、前記フェナセン化合物をクロロホルム等の有機溶媒に溶解させた試料として測定することができ、さらに、同測定装置によって、最大励起波長及びモル吸光係数についても測定することができる。
また、蛍光収率としての値は、例えば、出光興産株式会社の2014年公募で提示された蛍光型有機EL素子の青色蛍光発光材料の要求物性によれば、0.2以上であることが好ましい。
蛍光寿命及び速度定数は、単一光子相関測定装置(TAU System、ホトニクス株式会社製)を用いて、各溶媒中における上記化合物の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光量子収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、放射過程における速度定数(k)を算出することができる。

【0066】
本発明のフェナセン化合物における最大励起波長は、特に限定されないが、有機ELとしての使用性の観点から、280nm~600nmであることが好ましい。また、最大蛍光波長も適宜設定されることが好ましいが、外部環境に影響されにくくし、かつ高い蛍光収率をより高めるという観点から、300nm~500nmであることが好ましい。

【0067】
また、本発明のフェナセン化合物のうちのいくつかは、外部環境に影響されることなく高い蛍光収率を有する。ここで、化合物の蛍光の光物理特性が外部環境に影響されやすいか否かは、例えば、化合物を性質の異なる溶媒に溶解させた溶液について、それぞれの溶液の蛍光における各物性を測定し、性質の異なる溶媒での物性値の違いを、他の化合物における物性値の違いと比較することで確かめることができる。ここで、溶媒としては、例えば、非極性溶媒と極性溶媒の組合せ、非プロトン性溶媒とプロトン性溶媒の組合せ、などを挙げることができ、非極性溶媒と極性溶媒の組合せが好ましい。
非極性溶媒としては、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン及びトルエン等を挙げることができ、極性溶媒としては、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、炭素数1~4のアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホオキシド(DMSO)が挙げられる。
以下に、それぞれの化合物について述べる。

【0068】
<モノアルキニルフェナセン化合物>
本発明のモノアルキニルフェナセン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。

【0069】
【化21】
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【0070】
一般式(1)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。下記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示す。一般式(1)中、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。

【0071】
【化22】
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【0072】
一般式(2)中、*は、前記一般式(1)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。

【0073】
【化23】
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【0074】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。

【0075】
一般式(1)中における、アルキニル基が結合する位置は、特に限定されず、いずれの位置にアルキニル基が結合したモノアルキニルフェナセン化合物でも、高い蛍光収率を有する。

【0076】
一般式(1)中、前記一般式(2)で表される基で置換される水素原子は特に限定されず、いずれかの水素原子の一つが前記一般式(2)で表される基で置換されたものであればよい。また、一般式(1)中のアルキル基における炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、1~12が好ましく、1~4がより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、アルキル基の一般式(1)中における数は特に限定されないが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、一般式(1)中のZとZにおけるベンゼン環の総数が0であるフェナセン化合物(以下、フェナントレン化合物と称する場合がある)としては0個~4個が好ましく、総数が1であるフェナセン化合物(以下、クリセン化合物と称する場合がある)としては0個~4個が好ましく、総数が2であるフェナセン化合物(以下、ピセン化合物と称する場合がある)としては0個~4個が好ましく、総数が3であるフェナセン化合物(以下、フルミネン化合物と称する場合がある)としては0個~4個が好ましい。

【0077】
前記一般式(2)中、Xにおけるアルキル基における炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、さらに1~12がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~10であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。

【0078】
一般式(3)中、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であり、さらに、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
~Yにおけるアリール基は炭素数4~10であり、さらにはアリール基の炭素数としては6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることがより好ましい。中でも、Y、Y及びYのすべてが炭素数1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0079】
一般式(2)中、Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~10のアリール基又は前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。

【0080】
一般式(1)中、ベンゼン環の数は、6個以下であることで、フェナセン化合物の製造が容易である。また、3個以上でフェナセン骨格を有することができる。

【0081】
また、一般式(1)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、Phはフェニル基を表す。

【0082】
【化24】
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【0083】
<ジアルキニルフェナセン化合物>
本発明のジアルキニルフェナセン化合物は、下記一般式(4)~(7)で表される化合物である。以下、それぞれの化合物について述べる。

【0084】
(ジアルキニルフェナントレン化合物)
本発明のフェナセン化合物であるジアルキニルフェナントレン化合物は、下記一般式(4)で表される化合物である。

【0085】
【化25】
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【0086】
一般式(4)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数4~12のアルキル基を表す。

【0087】
【化26】
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【0088】
(一般式(2)中、*は、前記一般式(4)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~12のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。)

【0089】
【化27】
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【0090】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基である。

【0091】
本発明のジアルキニルフェナントレン化合物は、一般式(4)中、R、R、R及びRのうちのいずれか2つが、前記一般式(2)で表される基であればよい。また、高い蛍光収率及び外部環境に影響されることなく高い蛍光収率を有するという観点から、一般式(4)中、RとR,RとR、及びRとR、の組合せから選ばれるいずれかが、一般式(2)で表される基であることが好ましい。

【0092】
また、一般式(4)中、R、R、R及びRにおけるアルキル基の炭素数は1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。前記アルキル基としては、さらに炭素数は1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、R、R、R、R、R及びR10におけるアルキル基における炭素数は4~12であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。前記アルキル基としては、さらに炭素数は1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
さらに、一般式(4)中、R~R10のいずれがアルキル基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、R~R10のうちの0~8つがアルキル基であること好ましい。

【0093】
前記一般式(2)中、Xにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。また、アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~12であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。

【0094】
一般式(3)中、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であればよく、さらに、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
アリール基の炭素数としては4~10であればよく、さらに、6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることがより好ましい。中でも、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0095】
Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~12のアリール基及び前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。
また、一般式(4)中、2つの一般式(2)で表される基のそれぞれは、同じ基であっても異なる基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点からは、同じであることが好ましい。

【0096】
また、一般式(4)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0097】
【化28】
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【0098】
(ジアルキニルクリセン化合物)
本発明のフェナセン化合物であるジアルキニルクリセン化合物は、下記一般式(5)で表される化合物である。

【0099】
【化29】
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【0100】
一般式(5)中、R11、R13、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R11、R13、R16、R17、R18及びR19から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R12、R14、R15、R20、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。

【0101】
【化30】
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【0102】
一般式(2)中、*は、前記一般式(5)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。

【0103】
【化31】
JP2017154993A_000032t.gif

【0104】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。

【0105】
本発明のジアルキニルクリセンは、一般式(5)中、R11、R13、R16、R17、R18及びR19のうちのいずれか2つが、前記一般式(2)で表される基であればよい。また、高い蛍光収率及び外部環境に影響されることなく高い蛍光収率を有するという観点からは、一般式(5)中、R11とR13,R11とR16、及びR13とR16、の組合せから選ばれるいずれかが、一般式(2)で表される基であることが好ましい。

【0106】
また、一般式(5)中のR11、R13、R16、R17、R18及びR19におけるアルキル基は、前記一般式(4)中のR、R、R及びRにおけるアルキル基と同義であり、好ましい炭素数及び種類も前記一般式(4)のアルキル基と同様である。また、一般式(5)中、R12、R14、R15、R20、R21及びR22におけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。また、アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
さらに、一般式(5)中、R11~R22のうちのいずれがアルキル基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、R11~R22のうちの1~8つがアルキル基であること好ましい。

【0107】
前記一般式(2)中、Xにおけるアルキル基における炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~10であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。

【0108】
一般式(3)中、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であればよく、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
アリール基の炭素数としては4~10であればよく、さらに、6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることがより好ましく、中でも、Y~Yのすべてが1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0109】
Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~10のアリール基及び前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。
また、一般式(5)中、2つの一般式(2)で表される基のそれぞれは、同じ基であっても異なる基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点からは、同じであることが好ましい。

【0110】
また、一般式(5)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0111】
【化32】
JP2017154993A_000033t.gif

【0112】
(ジアルキニルピセン化合物)
本発明のフェナセン化合物であるジアルキニルピセン化合物は、下記一般式(6)で表される化合物である。

【0113】
【化33】
JP2017154993A_000034t.gif

【0114】
一般式(6)中、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。R23、R28、R29、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表す。

【0115】
【化34】
JP2017154993A_000035t.gif

【0116】
一般式(2)中、*は、前記一般式(6)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。

【0117】
【化35】
JP2017154993A_000036t.gif

【0118】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。

【0119】
本発明のジアルキニルピセンは、一般式(6)中、R24、R25、R26、R27、R30、R31、R32及びR33のうちのいずれか2つが、前記一般式(2)で表される基であればよい。また、高い蛍光収率及び外部環境に影響されることなく高い蛍光収率を有するという観点から、一般式(6)中、R25とR32、R26とR31、R26とR33、R27とR30及びR27とR32、の組合せから選ばれるいずれかが、一般式(2)で表される基であることが好ましい。

【0120】
また、一般式(6)のR23~R36のアルキル基は、前記一般式(4)中のR、R、R及びRのアルキル基と同義であり、好ましい炭素数及び種類も前記一般式(4)のアルキル基と同様である。さらに、一般式(5)中、R23~R36のうちのいずれがアルキル基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、R23~R36のうちの0~6つがアルキル基であること好ましい。

【0121】
前記一般式(2)中、Xにおけるアルキル基の炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~10であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。

【0122】
一般式(3)中、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であればよく、さらに1~6がより好ましく、1~2が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
アリール基の炭素数としては4~10であればよく、さらに、6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることが特に好ましく、中でも、Y~Yのすべてが1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0123】
Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~10のアリール基及び前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。
また、一般式(6)中、2つの一般式(2)で表される基のそれぞれは、同じ基であっても異なる基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点からは、同じであることが好ましい。

【0124】
また、一般式(6)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0125】
【化36】
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【0126】
(ジアルキニルフルミネン化合物)
本発明のフェナセン化合物であるジアルキニルフルミネン化合物は、下記一般式(7)で表される化合物である。

【0127】
【化37】
JP2017154993A_000038t.gif

【0128】
一般式(7)中、R37~R52は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R37~R52から選ばれる2つは一般式(2)で表される基である。

【0129】
【化38】
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【0130】
一般式(2)中、*は、前記一般式(7)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~18のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。

【0131】
【化39】
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【0132】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。

【0133】
本発明のジアルキニルフルミネンは、一般式(7)中、R37~R52のうちのいずれか2つが、前記一般式(2)で表される基であればよい。また、高い蛍光収率及び外部環境に影響されることなく高い蛍光収率を有するという観点から、一般式(7)中、R37とR45、R38とR46、及びR39とR47、の組合せから選ばれるいずれかが、一般式(2)で表される基であることが好ましい。

【0134】
また、一般式(7)中のR37~R52のアルキル基は、前記一般式(4)中のR、R、R及びRのアルキル基と同義であり、好ましい炭素数及び種類も前記一般式(4)のアルキル基と同様である。さらに、一般式(5)中、R37~R52のうちのいずれがアルキル基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、R37~R52のうちの0~6つがアルキル基であること好ましい。

【0135】
前記一般式(2)中、Xにおけるアルキル基における炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~10であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
また、Xにおける一般式(3)で表される基は、下記の一般式(3)で表される基であればよい。

【0136】
一般式(3)中、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であればよく、さらに、1~6がより好ましく、1~2が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
アリール基の炭素数としては4~10であればよく、さらに、6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基であることが特に好ましく、中でも、Y~Yのすべてが1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0137】
Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~10のアリール基及び前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。
また、一般式(7)中、2つの一般式(2)で表される基のそれぞれは、同じ基であっても異なる基であってもよいが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点からは、同じであることが好ましい。

【0138】
また、一般式(7)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0139】
【化40】
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【0140】
≪フェナセン化合物の製造方法≫
本発明のフェナセン化合物の製造方法は、光縮環反応によって下記一般式(8)で表される化合物に、縮環したベンゼン環を形成し、下記一般式(1)で表される化合物を生成する工程を含む。なお、前記工程を、「光縮環工程」と称することがある。
また、一般式(8)で表される化合物を、1,2-ジアリールエテン化合物と称することがある。

【0141】
【化41】
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【0142】
一般式(8)中、Aは、下記一般式(2)で表される基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうち、少なくとも1つは一般式(2)で表される基で置換され、一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。

【0143】
【化42】
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【0144】
一般式(2)中、*は、前記一般式(8)中のベンゼン環との結合位置を示す。Xは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~10のアリール基又は下記一般式(3)で表される基を示す。nは、1~2の整数を示す。

【0145】
【化43】
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【0146】
一般式(3)中、**は、前記一般式(2)中の三重結合との結合位置を示す。Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基を表し、Y、Y及びYから選ばれる少なくとも1つは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数4~10のアリール基である。

【0147】
【化44】
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【0148】
一般式(1)中、Aは、前記一般式(2)で表される基を表し、ベンゼン環に結合する水素原子のうちの一つは、一般式(2)で表される基で置換されている。前記一般式(2)で表される基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立に、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示す。一般式(1)中、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0~3個である。

【0149】
本発明のフェナセン化合物の製造方法では、アルキニル基を導入したジアリールエテン化合物をそのまま光縮環反応によって環化させることにより、アルキニル基を有するフェナセン化合物を高効率で合成できるという特徴を有する。

【0150】
縮環したベンゼン環とは、一般式(8)で表される化合物中のエテン基が結合する一方のアリール基の2位あるいは6位の炭素と、他方のエテン基が結合するアリール基の2位あるいは6位の炭素との結合によって形成されるベンゼン環をいう。
光縮環反応とは、酸化剤存在下、1,2-ジアリールエテン化合物に光を照射することで、1,2-ジアリールエテン化合物の2つのベンゼン環の間に新たな縮環したベンゼン環を形成する反応をいう。

【0151】
光の種類は、本工程における光縮環反応によって、前記フェナセン前駆体化合物を合成することができれば特に限定されないが、合成操作の容易さの観点さから、例えば紫外線及び可視光線が挙げられ、中でも紫外線が好ましい。紫外線領域としては、280nm~390nmが好ましく、さらに300nm~330nmが好ましい。
紫外線を発生させる光源の種類は特に限定されないが、例えば、水銀ランプやメタルハライドランプなどが挙げられる。
酸化剤としては、ヨウ素、酸素及び塩化鉄が挙げられ、中でも合成操作の容易さの観点さからヨウ素が好ましい。
光縮環工程に用いる光縮環反応としては特に限定されないが、合成操作の容易さの観点から、「マロリー光環化反応」が好ましく挙げられる。また、前記マロリー光環化反応を行う場合には、本発明者らの文献[Chem.Lett.(2014),43,994-996]に記載されたフローリアクターを用いることで、効率よく前記フェナセン前駆体化合物を合成することができる。

【0152】
前記フローリアクターを用いて、保護化されたフェナセン前駆体化合物を合成する場合の条件、すなわち、原料の濃度、酸化剤の濃度、原料の供給速度、溶解させる溶媒の種類、用いる光源の種類や設定する波長等は上記文献に記載の条件を参考に、適宜調整されることが好ましい。

【0153】
一般式(8)中、少なくとも一つの前記一般式(2)で表される基で置換される水素原子は、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子であればよい。また、一般式(8)中における一般式(2)で表される基の数は特に限定されないが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、一般式(8)中のZとZにおけるベンゼン環の総数が0であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が1であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が2であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が3であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましい。

【0154】
また、一般式(8)中の波線は、一般式(8)で表される化合物には、エテン基が有するシス/トランス異性によって、前記エテン基に結合する2つのアリール基同士の位置関係が異なった2種の異性体、すなわちトランス体(E体)とシス体(Z体)が存在することを示す。

【0155】
また、一般式(8)において、アルキル基における炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。炭素数1~18のアルキル基としては、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、アルキル基の一般式(1)中における数は特に限定されないが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、一般式(1)中のZとZにおけるベンゼン環の総数が0であるフェナセン化合物としては0個~8個が好ましく、総数が1であるフェナセン化合物としては0個~8個が好ましく、総数が2であるフェナセン化合物としては0個~8個が好ましく、総数が3であるフェナセン化合物としては0個~8個が好ましい。

【0156】
前記一般式(8)が有する一般式(2)で表される基のうち、Xにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、さらに1~6がより好ましく、1~4が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
Xにおけるアリール基の炭素数は、4~10であれば構造は限定されない。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。

【0157】
前記一般式(2)が有する一般式(3)において、Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は、1~8であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。Y~Yにおけるアルキル基の炭素数は1~8であればよく、さらに、1~6がより好ましく、1~2が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
アリール基の炭素数としては4~10であればよく、さらに、6~10であることが好ましい。アリール基としては、例えば、シクロブタジエン基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
フェナセン化合物の蛍光収率の観点から、前記一般式(3)中、Y~Yの少なくとも2つが炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~10のアリール基であることが好ましく、Y~Yのすべてが炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であることがより好ましい。中でも、Y~Yのすべてが1~8のアルキル基であることが特に好ましい。

【0158】
Xとしては、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、炭素数6~10のアリール基及び前記一般式(3)で表される基であることが好ましい。さらに、フェナセン化合物の合成操作の容易さ及び蛍光収率の観点から、nは1であることが好ましい。

【0159】
前記一般式(1)中、前記一般式(2)で表される基で置換される水素原子は特に限定されず、いずれかの水素原子の少なくとも一つが前記一般式(2)で表される基で置換されたものであればよい。また、アルキル基における炭素数は、1~18であれば、直鎖構造であっても分岐した構造であってもよい。アルキル基の炭素数としては、1~6が好ましく、1~4がより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、前記一般式(1)中における一般式(2)で表される基の数は特に限定されないが、フェナセン化合物の製造の容易さの観点から、一般式(1)中のZとZの総数が0であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が1であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が2であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましく、総数が3であるフェナセン化合物としては1個~8個が好ましい。

【0160】
また、一般式(8)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0161】
【化45】
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【0162】
本発明のフェナセン化合物の製造方法においては、前記光縮環工程の前に、下記一般式(9)で表される化合物をアルキニル化することにより、前記一般式(8)で表される化合物を合成するアルキニル化工程をさらに含むことが好ましい。なお、前記工程を、「アルキニル化体合成工程」と称することがある。

【0163】
【化46】
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【0164】
一般式(9)中、Lは、脱離基を表し、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子のうち、少なくとも1つは、脱離基で置換されている。脱離基で置換されていない水素原子は炭素数1~18のアルキル基で置換されていてもよい。Z及びZは、それぞれ独立して、縮環した0個~2個のベンゼン環であることを示し、Z及びZにおけるベンゼン環の総数は0個~3個である。

【0165】
アルキニル化体合成工程では、アルキニル基を導入することで前記一般式(8)で表される化合物を調製することができればよく、例えば、アルキニル化合物を用いて、脱離基Lと置換反応させることによって、アルキニル基が導入された一般式(9)で表される化合物を得ることができる。アルキニル基を導入する方法としては、公知の一般的な置換反応が利用でき、例えば、文献[Tetrahedron Lett.(1975),Vol.50,4467]に記載の方法が挙げられる。また、前記アルキニル化合物としては、フェナセン化合物の製造し易さの観点から、前記一般式(2)で表される構造を含む化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、前記文献に記載された方法等を用いることを前提とした場合には、単に前記一般式(2)で表される構造の三重結合の末端に水素原子が一つ付加した構造を有する化合物を、前記一般式(9)と反応させることにより、高効率で一般式(8)で表される化合物を合成することができる。
また、前記置換反応における溶媒の種類、反応温度、反応時間及び前記置換反応に用いる化合物や触媒の前記溶媒中での濃度は、一般式(9)で表される化合物の種類によって適宜調整されることが好ましい。

【0166】
また、一般式(9)中の波線は、一般式(9)で表される化合物には、エテン基が有するシス/トランス異性によって、前記エテン基に結合する2つのアリール基同士の位置関係が異なった2種の異性体、すなわちトランス体(E体)とシス体(Z体)が存在することを示す。

【0167】
また、一般式(9)中のアルキル基は、前記一般式(8)中のアルキル基と同義であり、好ましい炭素数及び種類も前記一般式(8)のアルキル基と同様である。

【0168】
前記一般式(9)中、脱離基Lとしては、アルキニル基を導入させることができれば特に限定されないが、アルキニル基を容易にかつ効率的に脱離基Lと置換させる観点から、ハロゲン原子、スルホニルオキシ基、ホスホリルオキシ基等を挙げることができる。具体的には、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、スルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、m-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、フルオロスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等であり、ホスホリルオキシ基としては、メチルホスホリルオキシ基、エチルホスホリルオキシ基、フェニルホスホリルオキシ基等などであるが、これらに限定されるものではない。好ましくはハロゲン原子であり、さらに好ましくはヨウ素原子又は臭素原子であり、特に好ましくはヨウ素原子である。

【0169】
前記一般式(9)中、脱離基Lで置換される水素原子は、Ha及びHbで示される水素原子以外であって、ベンゼン環及びエテン基に結合する水素原子であればよい。
また、前記一般式(9)中の脱離基Lの数は特に限定されず、前記一般式(8)で表される化合物に導入したい前記一般式(2)の数に応じて適宜調整される。

【0170】
前記一般式(9)で表される化合物の調製方法は特に限定されず、公知の一般的な合成方法によって調製してもよいし、市販のものを用いてもよい。

【0171】
合成方法による調製方法としては、例えば、一般的なウィッティッヒ反応による方法や右田-小杉-スチレンカップリング法などを挙げることができる。一般的なウィッティッヒ反応としては、例えば、ブロモベンジルトリアリルホスホニウム塩とハロゲン化ベンズアルデヒドとを反応させることによって、所望の位置にハロゲン基を有する1,2-ジアリルエテン化合物を得ることができる。また、右田-小杉-スティルカップリング法としては、例えば、ハロゲン化アレンとトランス-1,2-ビス(トリブチルスタニル)エテンとを用いる方法によっても、同様に1,2-ジアリールエテン化合物を得ることができる。

【0172】
≪有機発光素子≫
本発明のフェナセン化合物及び本発明のフェナセン化合物の製造方法によって得られたフェナセン化合物は、外部環境に影響されにくいために堅牢性を有し、かつ高い発光収率を有することから、広い分野への応用が期待できる。具体的には、例えば、二光子吸収材料、共役ポリマー材料、半導体材料、フォトクロミック材料、近赤外検出デバイス、酸素センサー及び有機発光素子等への応用が期待できる。有機発光素子としては、有機発光素子の電荷輸送層及び発光層の構成材料が挙げられ、好ましくは発光層の構成材料として用いることができる。これにより、高い発光効率を有し、かつ高電圧、酸素、光及び水分等の外部環境に対して堅牢なデバイスとして期待できる。
【実施例】
【0173】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、収率の「%」は、原料が理論上、所望の生成物にすべて変換された場合に対する実際に得られた生成物の量の比率(質量基準)である。
≪フェナセン化合物の調製≫
(試薬及び化合物の同定方法)
フェナセン化合物の調製に試薬は、すべて市販のものを用いた。また、合成した生成物については、薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと称する)及びNMR測定によって確認した。薄層クロマトグラフィーはミリポア社製のTLCシリカゲル60F254(製品番号:1.05715.0001)を用いUV検出器にて確認した。NMR測定においては日本電子社製のECS400及びECS600を用いた。
【実施例】
【0174】
(光反応装置)
光縮環工程に用いる光反応装置は、上記非特許文献2に記載の反応装置(マイクロリアクター)を用いた。条件を以下に示す。
<条件>
光源:中圧水銀(Hg)燈
波長:314nm
流速:1ml/min~3ml/min
温度:20℃
溶媒:シクロヘキサン
【実施例】
【0175】
<化合物A-1~化合物A-3の合成>
本発明のフェナセン化合物である化合物A-1~化合物A-3は、まず、脱離基を有する芳香族化合物同士のウィッティッヒ反応によってエテン誘導体(スティルベン誘導体)を得た後、フェニルエチニル基を導入し、さらに光縮環反応させることによって合成した。詳細を以下に示す。
【実施例】
【0176】
<α-ブロモ-4-ヨウ化トルエンホスホニウム塩(化合物1a)の合成>
パラ-ヨウ化ベンズブロミド2.12g(7.15mmol)と、トリフェニルホスフィン1.87g(7.15mmol)と、をキシレン70mlに加え、5分間撹拌した後、12時間還流した。室温まで放冷後に吸引ろ過をし、乾燥後に化合物1a(3.5g)を収率75%で得た。
【実施例】
【0177】
【化47】
JP2017154993A_000048t.gif
【実施例】
【0178】
<化合物1bの合成>
オルト-ヨウ化ベンズブロミド2.1g(7.15mmol)と、トリフェニルホスフィン1.9g(7.15mmol)と、をキシレン70mlに加え、5分間撹拌した後、12時間還流した。室温まで放冷後に吸引ろ過をし、乾燥後に化合物1b(3.6g)を収率88%で得た。
【実施例】
【0179】
【化48】
JP2017154993A_000049t.gif
【実施例】
【0180】
<化合物2aの合成>【実施例】
【0181】
【化49】
JP2017154993A_000050t.gif
【実施例】
【0182】
<化合物2bの合成>
化合物1b1.29g(2.3mmol)と、オルト-ヨウ化ベンズアルデヒド0.53g(2.3mmol)と、を60mlのCFに加え、撹拌しながら50%KOH水溶液を20ml滴下した。滴下終了後、室温で0.5時間撹拌し、さらに2時間還流した。反応終了後、CFで抽出して塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.57に新たなスポットを確認した。シリカカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物2b(649mg)を収率92%で得た。
【実施例】
【0183】
【化50】
JP2017154993A_000051t.gif
【実施例】
【0184】
<化合物2cの合成>
化合物1a1.29g(2.3mmol)と、パラ-ヨウ化ベンズアルデヒド0.54g(2.3mmol)と、を60mlのCFに加え、撹拌しながら50%KOH水溶液を20ml滴下した。滴下終了後、室温で0.5時間撹拌し、さらに2時間還流した。反応終了後、CFで抽出して塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.75及び0.61に新たなスポットを確認した。シリカカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物2c(0.63g)を収率63%で得た。
【実施例】
【0185】
【化51】
JP2017154993A_000052t.gif
【実施例】
【0186】
<化合物3aの合成>
化合物2a500mg(1.15mmol)と、エチニルベンゼン354mg(3.45mmol)と、を20mlのトリエチルアミン(以下、TEAと称することがある)に加えた。ヨウ化銅(I)40mg(0.103mmol)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム59mg(0.05mmol)と、を加え、5分間撹拌した後、24時間還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.20付近に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムグラフィーにより分離精製することで、化合物3a(387mg)を収率88%で得た。
【実施例】
【0187】
【化52】
JP2017154993A_000053t.gif
【実施例】
【0188】
<化合物A-1の合成(光縮環工程)>
化合物3a300mgを500mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(3:1,v/v)を展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.4に新たなスポットを確認した。エタノールを用いて再結晶させることにより精製し、112mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):7.36-7.42(7H,m),7.61-7.63(2H,m),7.65-7.68(2H,m),7.75(1H, dd,J=8.13,1.5Hz),7.83(1H,d,J=9.2Hz),7.87-7.90(2H,m),8.42(1H,d,J=8.9Hz),8.70(1H,d,J=8.5Hz),8.88(1H,s).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位と6位にフェニルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物A-1を収率37%で得た。
【実施例】
【0189】
【化53】
JP2017154993A_000054t.gif
【実施例】
【0190】
<化合物3bの合成>
化合物2b0.92g(2.1mmol)と、エチニルベンゼン460mg(1.5mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)の40mg(0.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム100mg(0.1mmol)を加え、5分間撹拌した後、24時間還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.314に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物3b(700mg)を収率86%で得た。
【実施例】
【0191】
【化54】
JP2017154993A_000055t.gif
【実施例】
【0192】
<化合物A-2の合成(光縮環工程)>
化合物3b300mgを500mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(5:1,v/v)を展開溶媒として用いたTLC上により、Rf値が0.5に新たなスポットを確認した。溶媒留去後、ヘキサンを用いて再結晶させることにより精製し、38mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):7.36-7.43(6H,m),7.63-7.69(6H,m),7.89(2H,d,J=7.10Hz),8.53(2H,s),8.70(2H,d,J=8.47Hz).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位と8位にアルキニル基を有するフェナセン化合物である化合物A-2を収率13%で得た。
【実施例】
【0193】
【化55】
JP2017154993A_000056t.gif
【実施例】
【0194】
<化合物3cの合成>
化合物2c649mg(1.5mmol)と、エチニルベンゼン460mg(1.5mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)の20mg(0.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム59mg(0.05mmol)と、を加え、5分間撹拌した後、24時間還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.20に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物3c(530mg)を収率93%で得た。
【実施例】
【0195】
【化56】
JP2017154993A_000057t.gif
【実施例】
【0196】
<光種縮環法による化合物A-3の合成(光縮環工程)>
化合物3c300mgを500mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)を展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.35に新たなスポットを確認した。エタノールを用いて再結晶させることにより精製し、179mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):7.42(2H,m),7.53(4H,m),7.79(6H,m),7.85(1H,d,J=1.83Hz),7.87(1H,d,J=1.8Hz),7.98(2H,d,J=8.0Hz),8.94(2H,d,J=1.6Hz).
以上の測定結果によって、フェナントレンの3位と6位にアルキニル基を有するフェナセン化合物である化合物A-3を収率26%で得た。
【実施例】
【0197】
【化57】
JP2017154993A_000058t.gif
【実施例】
【0198】
<化合物A-4及び化合物A-5の合成>
本発明のフェナセン化合物である化合物A-4及び化合物A-5は、まず、脱離基を有する芳香族化合物同士のウィッティッヒ反応によって、一つのハロゲン基を有するエテン誘導体(スティルベン誘導体)を得た後、フェニルエチニル基を導入し、さらに光縮環反応させることによって合成した。詳細を以下に示す。
【実施例】
【0199】
<化合物2dの合成>
ベンズアルデヒド(57mg、0.5mmol)と、化合物1b(0.30g、0.5mmol)と、を20mlのCFに加え、撹拌しながら50%KOH水溶液を10ml滴下した。滴下終了後、室温で0.5時間撹拌し、さらに2時間還流した。反応終了後、CFで抽出して飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。ヘキサンの展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物2d(160mg)を収率96%で得た。
【実施例】
【0200】
【化58】
JP2017154993A_000059t.gif
【実施例】
【0201】
<化合物3dの合成>
化合物2d(160mg、0.5mmol)と、エチニルベンゼン(100mg、1.5mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)9mgと、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの28mgと、を加え、5分間撹拌した後、12時間還流した。室温まで放冷後、チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:酢酸エチル(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物3d(124mg)を収率90%で得た。
【実施例】
【0202】
【化59】
JP2017154993A_000060t.gif
【実施例】
【0203】
<化合物A-4の合成(光縮環工程)>
化合物3d124mgを200mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約10mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離後、ヘキサンを用いて再結晶させることにより精製し、10mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):7.38-7.41(3H,m),7.63-7.68(5H,m),7.85(2H,d,J=6.3Hz),7.93(1H,d,J=7.79Hz),8.41(1H,d,J=9.16Hz),8.70(2H,d,J=8.70Hz).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位にフェニルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物A-4を収率8%で得た。
【実施例】
【0204】
【化60】
JP2017154993A_000061t.gif
【実施例】
【0205】
<化合物2eの合成>
ベンズアルデヒド(235mg、2.1mmol)と、化合物1a(1.2g、2.1mmol)と、を40mlのCFに加え、撹拌しながら50%KOH水溶液を20ml滴下した。滴下終了後、室温で0.5時間撹拌し、さらに2時間還流した。反応終了後、CFで抽出して飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。ヘキサンの展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物2e(546mg)を収率84%で得た。
【実施例】
【0206】
【化61】
JP2017154993A_000062t.gif
【実施例】
【0207】
<化合物3eの合成>
化合物2e(546mg,1.8mmol)と、エチニルベンゼン(273mg,2.7mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)30mgと、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム100mgと、を加え、5分間撹拌した後、12時間還流した。室温まで放冷後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物3e(444mg)を収率89%で得た。
【実施例】
【0208】
【化62】
JP2017154993A_000063t.gif
【実施例】
【0209】
<化合物A-5の合成(光縮環工程)>
化合物3e444mgを500mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。溶媒留去後、ヘキサンを用いて再結晶させることにより精製し、20mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):7.50-7.54(4H,m),7.69(1H,dd,J=8.36,1.5Hz),8.15-8.20(4H,m),8.49(1H,d,J=8.47Hz),8.83(1H,d,J=7.3Hz),8.95(1H,d,J=7.8Hz),9.30(1H,d,J=8.7Hz),9.43(1H,s).
以上の測定結果によって、フェナントレンの3位にフェニルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物A-5を収率5%で得た。
【実施例】
【0210】
【化63】
JP2017154993A_000064t.gif
【実施例】
【0211】
<化合物B-1及び化合物B-2の合成>
本発明のフェナセン化合物である化合物B-1及び化合物B-2は、まず、上記で得られたハロゲン化したエテン誘導体(スティルベン誘導体)に、トリメチルシリルエチニル基を導入し、さらに光縮環反応させることによって合成した。詳細を以下に示す。なお、トリメチルシリルをTMSと称することがある。
<化合物4aの合成>
化合物2a440mg(1.0mmol)と、トリメチルシリルアセチレン300mg(3.1mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)20mg(0.103mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム59mg(0.05mmol)を加え、5分間撹拌した後、24時間還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.27付近に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物4a(283mg)を収率72%で得た。
【実施例】
【0212】
【化64】
JP2017154993A_000065t.gif
【実施例】
【0213】
<化合物B-1の合成(光縮環工程)>
化合物4a283mgを、500mlのシクロヘキサンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)を展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.35付近に新たなスポットを確認した。エタノールを用いて再結晶させることにより精製し、97mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):0.317(18H,d,J=7.4Hz),7.58(1H,t,J=7.45Hz),7.66(1H,dd,J=8.13,1.5Hz),7.77-7.83(3H,m),8.30(1H,d,J=8.93Hz),8.65(1H,d,J=8.24Hz),8.79(1H,s).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位と6位にトリメチルシリルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物B-1を収率34%で得た。
【実施例】
【0214】
【化65】
JP2017154993A_000066t.gif
【実施例】
【0215】
<化合物4bの合成>
化合物2b220mg(0.65mmol)と、トリメチルシリルアセチレン150mg(1.5mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)10mg(0.15mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム30mg(0.026mmol)を加え、5分間撹拌した後、12時間、90℃で還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.33付近に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物4b(135mg)を収率71%で得た。
【実施例】
【0216】
【化66】
JP2017154993A_000067t.gif
【実施例】
【0217】
<化合物B-2の合成(光縮環工程)>
化合物4b283mgを、500mlのシクロヘキサンに溶解させ、ヨウ素(I)約50mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(10:1,v/v)を展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.35付近に新たなスポットを確認した。エタノールを用いて再結晶させることにより精製し、97mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ(ppm):0.317(18H,d,J=7.4Hz),7.58(1H,t,J=7.45Hz),7.66(1H,dd,J=8.13,1.5Hz),7.77-7.83(3H,m),8.30(1H,d,J=8.93Hz)8.65(1H,d,J=8.24Hz),8.79(1H,s).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位と8位にトリメチルシリルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物B-2を収率34%で得た。
【実施例】
【0218】
【化67】
JP2017154993A_000068t.gif
【実施例】
【0219】
<化合物B-3の合成>
本発明のフェナセン化合物である化合物B-3は、上記で得られた一つハロゲン基を有するエテン誘導体(スティルベン誘導体)に、トリメチルシリルエチニル基を導入し、さらに光縮環反応させることによって合成した。詳細を以下に示す。
【実施例】
【0220】
<化合物5aの合成>
化合物2d(745mg、2.4mmol)と、エチニルトリメチルシラン(300mg,3mmol)と、をTEA20mlに加えた。ヨウ化銅(I)9mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム28mgを加え、5分間撹拌した後、12時間還流した。ヘキサンを展開溶媒として用いたTLCにより、Rf値が0.25付近に新たなスポットを確認した。室温まで放冷後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、純水及び飽和食塩水で洗浄した。ヘキサン:CF(10:1、v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物5a(550mg)を収率87%で得た。
【実施例】
【0221】
【化70】
JP2017154993A_000069t.gif
【実施例】
【0222】
<
化合物5a400mgを、500mlのベンゼンに溶解させ、ヨウ素(I)約10mgを加え、マイクロ光リアクターで反応させた。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、純水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。ヘキサン:CF(10:1、v/v)の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製後、ヘキサンを用いて再結晶させることにより精製し、90mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。
H-NMR δ:0.45(9H,t),7.57-7.69(3H,m), 7.86-7.89(2H,m),7.94(1H,d,J=8.24Hz),8.40(1H,d,J=8.93Hz),8.67(2H,dd,J=8.70,2.98Hz).
以上の測定結果によって、フェナントレンの1位にトリメチルシリルエチニル基を有するフェナセン化合物である化合物B-3を収率23%で得た。
【実施例】
【0223】
【化71】
JP2017154993A_000070t.gif
【実施例】
【0224】
<比較化合物の合成>
比較化合物として、置換基が導入されていないフェナセンであるフェナントレン(コダック社製)をそのまま用いた。
【実施例】
【0225】
≪評価≫
上記にて調製した化合物のそれぞれを含む各溶液(シクロヘキサン及びアセトニトリル)に対する蛍光の光物理特性(蛍光収率、蛍光寿命及び速度定数)を測定した。なお、表1にあるように、上記のそれぞれの化合物を含む溶液を、実施例1~8、比較例1とした。
【実施例】
【0226】
<各物性の測定方法>
(蛍光収率の測定)
絶対PL光量子収率測定装置(C9920-02、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、シクロヘキサン、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中における化合物A-1~A-5、化合物B-1~B-3及び比較化合物、の300nmより長波長にある吸光度が最大の吸収極大波長で励起を行った際の最大励起波長(λabs/nm)、モル吸光定数、最大蛍光波長及び蛍光収率(Φ)を測定した。
また、図1に、シクロヘキサン中における化合物A-1~A-3の励起スペクトル及び蛍光スペクトルを示し、図2に化合物B-1及び化合物B-2の励起スペクトル及び蛍光スペクトルを示す。また、図3及び図4に、シクロヘキサン(CH)、クロロホルム(CF)及びアセトニトリル(ACN)の各溶媒中における化合物A-4及び化合物A-5における励起スペクトル及び蛍光スペクトルをそれぞれ示す。図1~図4中、励起スペクトルを実線で示し、蛍光スペクトルを破線でそれぞれ示す。
【実施例】
【0227】
(蛍光寿命の測定)
単一光子相関測定装置(TAU System、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、シクロヘキサン、クロロホルム中及びアセトニトリルの各溶媒中における上記化合物の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、放射過程における速度定数(k)を算出した。蛍光収率、すなわち蛍光量子収率(Φ)とは、物質が吸収した光子のうち、蛍光として放出される光子の割合を表す。このため、蛍光収率が高いほど発光効率が良く、発光強度が強いことを示す。
また、蛍光寿命(τ)の値は分子固有の値を有し、放射過程における速度定数(k)の値は蛍光収率(Φ)を蛍光寿命(τ)で除した値である。
【実施例】
【0228】
各化合物を溶解した溶液に対する上記の物性の測定結果を表1に示す。
また、化合物A-1~A-5、化合物B-1~B-3及び比較化合物1のシクロヘキサン(CH)、クロロホルム(CF)及びアセトニトリル(ACN)の各溶媒中における蛍光収率(Φ)、蛍光寿命(τ)及び速度定数(k)の値を、図5に示す。図5(1)は化合物A-1~A-5及び比較化合物1(Phe)の上記溶媒中での蛍光物性を示し、図5(2)は化合物B-1~B-3及び比較化合物1(Phe)の上記溶媒中での蛍光の光物理特性を示す。図5中の括弧内の数字は、各フェナントレン化合物におけるフェニルエチニル基又はTMSエチニル基のフェナントレンへの結合位置を示すし、Pheは比較化合物であるフェナントレンを示す。なお、表1中のCHはシクロヘキサンを表し、CFはクロロホルムを表し、ACNはアセトニトリルを表す。
【実施例】
【0229】
【表1】
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【実施例】
【0230】
表1の結果から、実施例1~8のフェナセン化合物は、比較化合物である無置換のフェナントレンに比べて明らかに高い蛍光収率を有することが示された。
また、実施例1~4及び7は、シクロヘキサン、アセトニトリル及びクロロホルムの各溶媒中のいずれでも同じように高い蛍光収率を有することから、化合物A-1~化合物A-4及び化合物B-2は、外部環境に影響されにくく、かつ高い蛍光収率を有することが示された。
また、図示しないが、化合物B-3は380nm付近に強い蛍光を示すことがわかった。従って、図1~4の結果を参照すると、表1中の実施例に用いられているいずれの化合物も、380nm付近に強い蛍光が得られたことから、これらの化合物は、青色蛍光を有する有機発光素子として応用可能であることが示された。
このように、本発明のフェナセン化合物は、高い蛍光収率を有し、有機発光素子として応用可能であることが示された。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4