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明細書 :Mn-Al永久磁石の製造方法及びMn-Al永久磁石

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-157738 (P2017-157738A)
公開日 平成29年9月7日(2017.9.7)
発明の名称または考案の名称 Mn-Al永久磁石の製造方法及びMn-Al永久磁石
国際特許分類 H01F  41/02        (2006.01)
C22F   1/16        (2006.01)
H01F   1/04        (2006.01)
C22C  22/00        (2006.01)
C22F   1/00        (2006.01)
FI H01F 41/02 G
C22F 1/16 C
H01F 1/04 Z
C22C 22/00
C22F 1/00 623
C22F 1/00 624
C22F 1/00 660D
C22F 1/00 691B
C22F 1/00 691C
C22F 1/00 692A
C22F 1/00 682
C22F 1/00 691Z
C22F 1/00 601
C22F 1/00 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2016-041157 (P2016-041157)
出願日 平成28年3月3日(2016.3.3)
発明者または考案者 【氏名】三井 好古
【氏名】小林 領太
【氏名】小山 佳一
【氏名】梅津 理恵
【氏名】水口 将輝
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100177149、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 浩義
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査請求 未請求
テーマコード 5E040
5E062
Fターム 5E040AA20
5E040CA01
5E040HB06
5E040HB11
5E040NN01
5E040NN18
5E062CD04
5E062CG02
要約 【課題】C元素の添加を不要とするMn-Al永久磁石の製造方法を提供する。また、上記製造方法により製造されたMn-Al永久磁石を提供する。
【解決手段】Mn、Al及び不可避的不純物からなる材料を溶解、鋳造により作製する。作製された材料に、Mn-Al系のε相が生成される温度で第1の熱処理を施す。第1の熱処理によってε相が生成された材料に、磁場を印加しながら第2の熱処理を施す。その後、仕上げ加工を行い、Mn-Al永久磁石を製造する。第2の熱処理の温度は、材料のキュリー温度以下の温度であることが好ましい。さらに、有限の熱処理時間で十分に相変態を進行させるため、300~350℃とすることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
Mn、Al及び不可避的不純物からなる材料にMn-Al系のε相が生成される温度で第1の熱処理を施す工程と、
前記ε相が生成された前記材料に磁場を印加しながら第2の熱処理を施し、τ相を生成する工程と、を備える、
ことを特徴とするMn-Al永久磁石の製造方法。
【請求項2】
前記第2の熱処理の温度は、前記材料のキュリー温度以下の温度である、
ことを特徴とする請求項1に記載のMn-Al永久磁石の製造方法。
【請求項3】
前記第2の熱処理の温度は、300~350℃である、
ことを特徴とする請求項2に記載のMn-Al永久磁石の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の永久磁石の製造方法により製造されたMn-Al永久磁石。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Mn-Al永久磁石の製造方法及びMn-Al永久磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッドカーのモータ等の用途に、ネオジム磁石(Nd-Fe-B磁石)と呼ばれる永久磁石が等に広く使用されている。ネオジム磁石は、保磁力が高いものの、モータ等の使用に伴う温度上昇とともに保磁力が低下する問題点を有する。この問題点に対し、高温高保磁力の要求を満たすために希少元素であるDy元素をNd元素に添加することが行われている。
【0003】
このようなネオジム磁石の代替として、希少元素を添加することなく、特に高温で高い磁石特性を有する材料が求められている。この点について、Mn基の永久磁石材料は、元素的に優位性が高いために各種材料について実用化に向けた研究が進められている。
【0004】
Mn基の永久磁石材料は、例えば特許文献1のようなMnBiが挙げられる。
【0005】
この他、Mn-Alは、合金系磁石として知られており、加工性に優れることが長所として挙げられる。磁力としての特徴は、フェライト磁石とネオジム磁石との中間に位置する。
【0006】
しかしながら、Mn-Alは、永久磁石となるτ相が非平衡相であるため安定化させることが困難である。従って、Mn-Al永久磁石として実際に得られる磁力は微量であった。
【0007】
これに対し、τ相を安定化させるために、特許文献2のように数重量%程度のC元素を加えてMn-Al-C永久磁石とすることが行われている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2015-63725号公報
【特許文献2】特開平10-270224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
Mn基の永久磁石材料については種々の研究がなされているが、上述のように高温高保磁力を満たす材料の要求がますます強くなっている。また、需要の増大に伴いより容易に製造可能なことも求められている。
【0010】
従って、Mn-Al系の永久磁石についても従来のようなMn-Al-Cの製造方法に代わる新たな製造方法及び永久磁石を提供することが期待されている。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、C元素の添加を不要とするMn-Al永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記製造方法により製造されたMn-Al永久磁石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るMn-Al永久磁石の製造方法は、
Mn、Al及び不可避的不純物からなる材料にMn-Al系のε相が生成される温度で第1の熱処理を施す工程と、
前記ε相が生成された前記材料に磁場を印加しながら第2の熱処理を施し、τ相を生成する工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0013】
前記第2の熱処理の温度は、前記材料のキュリー温度以下の温度である、
こととしてもよい。
【0014】
前記第2の熱処理の温度は、300~350℃である、
こととしてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るMn-Al永久磁石は、
上記の永久磁石の製造方法により製造される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、C元素の添加を不要とするMn-Al永久磁石の製造方法が得られる。また、本発明によれば、上記製造方法により製造されたMn-Al永久磁石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るMn-Al永久磁石の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】Mn-Alの二元系平衡状態図である。
【図3】本発明の実施形態に係るMn-Al永久磁石の製造過程の相変態を模式的に示す図である。
【図4】熱処理時に磁場を印加しない場合のMn-Al永久磁石の製造過程の相変態を模式的に示す参考図である。
【図5】(a)及び(b)は、MnBi焼結体の永久磁石の製造過程の相変態を模式的に示す参考図である。
【図6】互いに熱処理時の温度及び磁場を異ならせた場合の磁化曲線を示すグラフ図である。
【図7】(a)~(c)は、互いに熱処理時の温度を異ならせた場合の磁化曲線を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る永久磁石の製造方法を図1のフローチャートに従って説明する。

【0019】
まず、永久磁石の原料を合成する(ステップS10)。本実施形態における永久磁石の原料は、MnとAlとの2種類である。なお、製造過程で混入し得る微量の不可避的不純物を含むことは許容される。

【0020】
本実施形態に係る永久磁石は、Mn-Alの二元系材料であり、永久磁石となるCuAu構造のτ相が形成されたものである。従って、原料におけるMnの割合は、Mn-Al系のτ相となり得る範囲である。

【0021】
Mn-Alの二元系平衡状態図を図2に示す(出典:無機材料データベース(AtomWork、http://crystdb.nims.go.jp/)及びBinary Alloy Phase Diagrams, II ed. (1990))。なお、本明細書の説明のために、引用した二元系平衡状態図に追記を行った。

【0022】
図2において、Mnの割合が概ね48.5~59.5at%の範囲内で、840℃以下の略矩形の領域が磁石になるτ相となり得る領域(τ相生成領域)である。しかしながら、τ相は非平衡相であるため通常の熱処理によっては生成できない。τ相生成領域では、Mn11Al15(γ相)とMn(β相)とが平衡相となる。

【0023】
従って、原料の配合はτ相生成領域の範囲内で行われる。但し、後述のように製造過程において熱処理によってhcp(hexagonal close-packed)構造のε相(Mn0.55Al0.45)を生成させるため、概ね55at%前後である。

【0024】
続いて、上記原料を炉中で溶解する(ステップS20)。溶解時の温度は、図2の二元系平衡状態図で液相(L)となる温度であり、例えば1400℃である。溶解の時間は、原料が十分に溶解されるよう、原料の量及び炉の設備等の条件に基づき決定される。

【0025】
続いて、溶解後の原料を所定の鋳型内で鋳造し、鋳塊を製造する(ステップS30)。鋳塊の製造方法は、公知のMn-Al-C永久磁石に用いる方法でよいが、その他にも後述の熱処理に供するために適するものであればよい。

【0026】
続いて、鋳塊に溶体化熱処理(第1の熱処理)を行い、ε相が生成された材料とする(ステップS40)。熱処理の温度は、ε相が生成され得る温度であり、例えば1000~1100℃である。熱処理の時間は、ε相が十分に生成されるよう、鋳塊の量及び炉の設備等の条件に基づき決定される。所定の熱処理が終了したら、ε相が生成された材料を焼入れ等により急冷する。

【0027】
続いて、ε相が生成された材料に対し磁場を印加しながら熱処理(第2の熱処理)を行う(ステップS50)。

【0028】
熱処理の温度は、ε相から相変態したτ相が生成される温度であればよく、例えば350℃である。但し、熱処理の温度が高すぎると、一旦はτ相が生成されるものの、経時的な熱処理に伴い、ε相及び非平衡相であるτ相から平衡相のβ相及びγ相が生成されてしまう。また、ε相からβ相及びγ相が生成される割合も増加する。従って、これらの相変態のため、十分な磁力、即ち十分な分率のτ相を有する永久磁石を製造することが困難となるおそれがある。また、熱処理の温度が低すぎると、τ相の生成のために時間がかかり過ぎてしまうため好ましくない。有限の熱処理時間で十分に相変態が進行するためには、300℃以上であることが望ましい。

【0029】
従って、永久磁石の製造のために好ましい熱処理温度は、磁場による磁石相の安定化を有効とするため、キュリー温度(380℃)以下であり、熱処理においてτ相の十分な生成に必要な時間を考慮し、例えば350℃とすることができる。熱処理の時間は、当該熱処理の温度との兼ね合いで決定されるが、例えば48hである。

【0030】
印加する磁場の強さは、τ相の生成に対して好ましい値とすればよく、例えば15Tとすることができる。

【0031】
所定の熱処理が終了したら、τ相が生成された材料を炉冷又は液冷等によって冷却する。この場合、τ相からβ相及びγ相への相変態が抑制される方法であることが好ましい。

【0032】
その後、τ相が生成された材料を仕上げ加工する(ステップS60)ことによって、所望の永久磁石の製品が完成する。

【0033】
次に、本実施形態において第2の熱処理中に磁場を印加する理由について説明する。

【0034】
Mn-Al系の材料において、生成されたε相に対して第2の熱処理に相当する温度で磁場を印加しないで熱処理すると、図3に示すように、非平衡相であるτ相に相変態する。また、ε相から平衡相であるβ相及びγ相にも相変態する。この場合、生成されるτ相の割合がβ相及びγ相の割合よりも多かったとしても、τ相は時間の経過とともにさらにβ相及びγ相に相変態することで減少してしまう。そのため、Mn-Al永久磁石は、通常の熱処理によっては高磁力の実用的な永久磁石として利用することが困難であった。

【0035】
これに対し、本実施形態のように第2の熱処理中に磁場を印加するのは、強磁性を有する非平衡相のτ相を選択的に生成させ、且つ安定化させることが可能になるためである。この第2の熱処理での挙動を図4に模式的に示す。

【0036】
磁場を印加する第2の熱処理では、ε相から生成されるτ相の割合は、β相及びγ相に比べて著しく大きくなる。また、τ相からβ相及びγ相への相変態が図3の場合に比べて抑制されるため、材料中にτ相として残存する量を従来の製造方法に比べて多量に確保することができる。

【0037】
但し、図4に示すような低い割合であってもτ相からβ相及びγ相への変化が起こることから、過大な長時間の熱処理を行うとτ相は次第に減少していくものと考えられる。

【0038】
ここで、先行技術であるMnBi永久磁石(特許文献1)との違いについて説明する。

【0039】
図5(a)に示すように、Mn粉末とBi粉末との混合物を例えば280℃で焼結することで、化合物としてのMnBiが生成される。また、図5(b)に示すように、焼結の温度をより低くし例えば250℃とした場合、通常MnBiは生成されない。特許文献1では、図5(b)の温度の条件でさらに磁場を印加しながら混合物を焼結することで、図5(a)のようにMnBiへの化学反応を促進するものである。また、焼結時の磁場の方向に従ってMnBiに磁気異方性が得られる。

【0040】
これに対し、本実施形態のMn-Alは合金であるため、化合物の反応に対する磁場の印加とは意味が大きく異なる。hcp構造のε相から磁場を印加せずに熱処理を行うと、非強磁性のβ相及びγ相が生成されるため、磁石とはならない。本実施形態は、磁場を印加することで、上述のように非平衡相の強磁性τ相を選択的に生成させ且つ安定化させるものである。

【0041】
また、広く用いられているMn-Al-C永久磁石の製造方法との違いについて説明する。

【0042】
Mn-Al-C永久磁石の場合、ε相を生成させる第1の熱処理(図1のステップS40に相当)の後に、約700℃での押出加工を行う。永久磁石に一軸の磁気異方性を与える場合にはさらに押出軸方向に約700℃で据込加工を行う。その後、仕上げ加工(図1のステップS60に相当)を行い、永久磁石を製造する。

【0043】
このように、Mn-Al-C永久磁石では本実施形態の場合よりも高い700℃程度の温度で機械的な加工を施す必要がある。これに対し、本実施形態では、炭素の添加を省略し、且つ、熱間の機械的な加工に代えてキュリー温度以下の比較的低い温度の炉で処理することが可能となるため、製造方法として大きく簡易化することができる。

【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、原料にC元素を用いることなく、Mn及びAlの2種類で高磁力の永久磁石を製造できる。また、τ相を生成するために高温での押出加工等をすることなく、キュリー温度以下の比較的低温であり、押出加工等の設備を要しない熱処理装置で対応することが可能である。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
Mn元素及びAl元素の原料をMnが全体の55at%として用意した。これらの原料を配合し高周波溶解した後、直径10mmのロッド状の鋳型で急冷した。これにより得られたロッド状試料を厚さ2mmのディスク状に切断し、ディスク状試料とした。ディスク状試料に対し1100℃で1日の溶体化処理後、氷水中で急冷した(第1の熱処理)。
【実施例】
【0047】
その後、ディスク状試料に対し、磁石相(τ相)を生成させる熱処理を300℃及び350℃の熱処理温度において、それぞれ15T、10T及び0Tの磁場中で行った(第2の熱処理)。熱処理時間は12h、24h、48h、及び96hとした。
【実施例】
【0048】
第2の熱処理の後、各試料について、磁化測定を最大1.5Tの外部磁場に対して、それぞれ27℃にて行った。その結果を図6に示す。
【実施例】
【0049】
図6において、横軸は熱処理時間(Annealing time(hour))を表し、縦軸は1.5Tにおける磁化(Magnetization (emu/g))を表す。図6から、10T中、15T中のいずれの磁場中熱処理した試料においても、τ相の選択生成の効果が明確に現れ、磁力が向上した。また、熱処理温度が低く、生成に時間がかかることから磁場によるτ相の選択生成の効果が低いと考えられる300℃の熱処理においても、48hを超える長時間の熱処理により、磁場(15T)を印加した場合は磁場を印加しない(0T)場合に比べて明確に永久磁石としての性能(磁力)が向上していることが分かる。
【実施例】
【0050】
(実施例2)
実施例1と同様の、第1の熱処理によってε相が生成されたディスク状試料を用意した。これらのディスク状試料に対し、ε相からτ相への相変態初期である4hの第2の熱処理を行った。熱処理の温度は、300℃、350℃及び400℃である。また、各温度について、熱処理中に印加する磁場強度を0Tと15Tとの2ケースとした。
【実施例】
【0051】
第2の熱処理の後、各試料について、磁化曲線を取得した。外部磁場は最大1.2Tとし、室温で測定した。その結果を図7(a)~(c)に示す。
【実施例】
【0052】
図7(a)~(c)の各グラフの横軸は外部磁場(Magnetic field(T))を表し、縦軸は磁化(Magnetization(emu/g))を表す。また、図7(a)は300℃、図7(b)は350℃、及び、図7(c)は400℃の測定結果を示し、各図において、熱処理時に印加される磁場を0Tと15Tとの2ケースとして記載している。
【実施例】
【0053】
図7(a)の300℃の場合、0Tと15Tとではいずれも直線状となり、相変態初期(4h)の段階では明確な磁場効果が現れないことが分かる。即ち、いずれの場合もτ相はほとんど生成されていないと言える。
【実施例】
【0054】
図7(b)の350℃の場合、0Tの磁化曲線は直線状に近いのに対し、15Tでは明確な強磁性の磁化曲線が現れている。つまり、15Tの磁場を印加することで、τ相が選択的に生成されたと言える。また、350℃がMn-Alのキュリー温度(380℃)付近の温度であるため、0Tとの違いがより顕著に現れたものと考えられる。
【実施例】
【0055】
図7(c)の400℃の場合、大きな磁化が観測されたが、0Tと15Tとではいずれもほぼ重なった磁化曲線となっている。これは、τ相の生成が磁場の印加に起因するものよりも、温度によって生成されるものが支配的であることを示している。但し、温度の要因が支配的であることから、キュリー温度よりも高い温度では、磁場を印加したとしてもτ相からβ相及びγ相に相変態する割合が高くなるため、長時間の熱処理を経ると残存するτ相が減少してしまい、磁力が減少すると考えられる。
【実施例】
【0056】
図7(a)~(c)の比較から、磁場中の熱処理によって、明確に磁化が向上していることが分かる。また、熱処理の温度として、本実施例の3種類の中ではキュリー温度よりやや低く、磁気エネルギーによるτ相の安定化が見込まれる温度の350℃の例が好ましいと言える。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6