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明細書 :磁性流体を利用した流量制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-224835 (P2016-224835A)
公開日 平成28年12月28日(2016.12.28)
発明の名称または考案の名称 磁性流体を利用した流量制御装置
国際特許分類 G05D   7/06        (2006.01)
FI G05D 7/06 Z
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2015-112832 (P2015-112832)
出願日 平成27年6月3日(2015.6.3)
発明者または考案者 【氏名】山口 博司
【氏名】山崎 晴彦
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5H307
Fターム 5H307AA01
5H307AA14
5H307BB01
5H307CC12
5H307DD17
5H307EE02
5H307EE07
5H307GG03
5H307HH04
5H307KK02
要約 【課題】長期にわたる使用が可能で、しかも構造が単純な流量制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る流量制御装置1Aは、管路2の一部を構成する主管路3と、入口端2a側において主管路3に隣接した、主管路3よりも内径が小さい絞り管路4と、主管路3と絞り管路4との境界8に接するように、主管路3内に配置された磁性流体5と、出口端2bの圧力よりも高い圧力で入口端2aから管路2内に非磁性流体を送り込む流体供給源7と、管路2内に磁場を生じさせる磁場印加部6Aと、磁場印加部6Aを制御することにより、境界8における磁場の磁束密度を変化させる制御部10Aとを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
管路内を入口端から出口端に向かって通流する非磁性流体の量を制御する流量制御装置であって、
前記管路の一部を構成する主管路と、
前記入口端側において前記主管路に隣接した前記管路の別の一部を構成する、前記主管路よりも内径が小さい絞り管路と、
前記主管路と前記絞り管路との境界に接するように、前記主管路内に配置された磁性流体と、
前記出口端の圧力よりも高い圧力で前記入口端から前記管路内に前記非磁性流体を送り込む流体供給源と、
前記管路内に磁場を生じさせる磁場印加部と、
前記磁場印加部を制御することにより、前記境界における前記磁場の磁束密度を変化させる制御部と、
を備えたことを特徴とする流量制御装置。
【請求項2】
前記磁場印加部は、前記管路の周囲に配置されたソレノイドコイルであり、
前記制御部は、前記ソレノイドコイルに接続された可変電流源を含み、前記ソレノイドコイルに流れる電流を変化させることにより前記磁束密度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項3】
前記磁場印加部は、前記管路の周囲に配置されたソレノイドコイルであり、
前記制御部は、前記ソレノイドコイルに接続された定電流源と、前記非磁性流体の通流方向に沿って前記ソレノイドコイルを移動させ得るコイル位置制御部とを含み、前記ソレノイドコイルと前記境界との位置関係を変化させることにより前記磁束密度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記磁場印加部は、前記管路の周囲に配置された永久磁石であり、
前記制御部は、前記非磁性流体の通流方向に沿って前記永久磁石を移動させ得る磁石位置制御部を含み、前記永久磁石と前記境界との位置関係を変化させることにより前記磁束密度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記出口端における前記非磁性流体の流量を計測する流量計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記流量計測部によって計測された流量が予め定められた目標流量となるように前記磁場印加部をフィードバック制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の流量制御装置。
【請求項6】
前記非磁性流体は、前記磁性流体と混ざり合わない気体または液体であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の流量制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内における流体の流量を制御するための流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に、従来から使用されている一般的な流量制御装置(マスフローコントローラ)の概略構成を示す。同図に示すように、流量制御装置100は、流路101と、流路101の途中に移動可能に設けられた弁102と、弁102を移動させる電磁式のアクチュエータ103と、アクチュエータ103を駆動する駆動部104と、入力された目標流量に基づいて駆動部104を制御する制御部107とを備える。また、流量制御装置100は、流量制御の精度を上げるために、弁102よりも上流側において流路101から分岐したバイパス流路105と、バイパス流路105内の温度分布に基づいて流量を計測する流量計測部106とをさらに備える。制御部107は、流量計測部106によって計測された実際の流量と目標流量との間にズレがある場合、駆動部104およびアクチュエータ103を介して弁102の位置を微調整し、上記ズレをゼロに近づける。
【0003】
流量制御装置100の構成および動作原理は、例えば、非特許文献1および非特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】“マスフローコントローラーの原理と構造について”、[online]、エフコン株式会社、[平成27年4月30日検索]、インターネット<URL:http://www.fcon-inc.jp/MFC/Principle/Principle.html>
【非特許文献2】“マスフローコントローラとは”、[online]、株式会社堀場エステック、[平成27年4月30日検索]、インターネット<URL:http://www.horiba.com/jp/horiba-stec/products/mass-flow-technology/what-is-a-mass-flow-controller/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の流量制御装置100は、弁102の移動により機械的に流量を制御するため、弁102およびその周辺部が損耗して比較的早期に機械的寿命が訪れてしまうという問題があった。また、流量制御装置100は、構造が複雑なので、小型化および製造コストの低減が困難であるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、長期にわたる使用が可能で、しかも構造が単純な流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る流量制御装置は、管路内を入口端から出口端に向かって通流する非磁性流体の量を制御する流量制御装置であって、前記管路の一部を構成する主管路と、前記入口端側において前記主管路に隣接した前記管路の別の一部を構成する、前記主管路よりも内径が小さい絞り管路と、前記主管路と前記絞り管路との境界に接するように、前記主管路内に配置された磁性流体と、前記出口端の圧力よりも高い圧力で前記入口端から前記管路内に前記非磁性流体を送り込む流体供給源と、前記管路内に磁場を生じさせる磁場印加部と、前記磁場印加部を制御することにより、前記境界における前記磁場の磁束密度を変化させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記磁場印加部は、例えば、前記管路の周囲に配置されたソレノイドコイルによって構成することができる。
この場合、上記制御部は、例えば、以下に示すいずれかの構成をとり得る。
(1)前記ソレノイドコイルに接続された可変電流源を含み、前記ソレノイドコイルに流れる電流を変化させることにより前記磁束密度を変化させる。
(2)前記ソレノイドコイルに接続された定電流源と、前記非磁性流体の通流方向に沿って前記ソレノイドコイルを移動させ得るコイル位置制御部とを含み、前記ソレノイドコイルと前記境界との位置関係を変化させることにより前記磁束密度を変化させる。
【0009】
上記磁場印加部は、前記管路の周囲に配置された永久磁石によって構成することもできる。
この場合、上記制御部は、以下に示す構成をとり得る。
(3)前記非磁性流体の通流方向に沿って前記永久磁石を移動させ得る磁石位置制御部を含み、前記永久磁石と前記境界との位置関係を変化させることにより前記磁束密度を変化させる。
【0010】
上記流量制御装置は、前記出口端における前記非磁性流体の流量を計測する流量計測部をさらに備え、前記制御部は、前記流量計測部によって計測された流量が予め定められた目標流量となるように前記磁場印加部をフィードバック制御することが好ましい。
【0011】
なお、上記流量制御装置は、前記磁性流体と混ざり合わない任意の気体または液体の流量を制御することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期にわたる使用が可能で、しかも構造が単純な流量制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施例に係る流量制御装置の概略構成図である。
【図2】第1実施例に係る流量制御装置による流量制御の原理を示す図である。
【図3】第1実施例に係る流量制御装置において発生する磁場の分布を示すグラフである。
【図4】第1実施例に係る流量制御装置による流量制御の結果を示すグラフである。
【図5】第1実施例における、印加電流と磁束密度の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施例に係る流量制御装置の概略構成図である。
【図7】第2実施例に係る流量制御装置による流量制御の原理を示す図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る流量制御装置の概略構成図である。
【図9】本発明の変形例に係る流量制御装置の概略構成図である。
【図10】従来の流量制御装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る流量制御装置の実施例および変形例について説明する。

【0015】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る流量制御装置1Aを示す。同図に示すように、流量制御装置1Aは、入口端2aおよび出口端2bを有する管路2と、管路2内に配置された磁性流体5と、管路2内に制御対象となる非磁性流体を送り込む流体供給源7と、管路2内に磁場を生じさせるソレノイドコイル6Aと、ソレノイドコイル6Aを制御する制御部10Aとを備えている。

【0016】
管路2は、円形の断面を有するアクリル製のパイプによって構成されている。管路2は、その一部分が内径φを有する主管路3となっている。また、管路2は、入口端2a側において主管路3に隣接した一部分が内径φ(ただし、φ<φ)を有する絞り管路4となっている。

【0017】
本実施例では、主管路3よりも肉厚を厚くすることによって絞り管路4が形成されるとともに、主管路3および絞り管路4が縦方向に並んで配置されている。また、本実施例では、管路2の出口端2bは大気開放されているので、出口端2bにおける圧力POUTは大気圧(≒100[kPa])である。また、本実施例では、主管路3および絞り管路4以外の部分の管路2の内径がφとなっているが、これは任意に変更可能である。

【0018】
磁性流体5は、主管路3と絞り管路4との境界8に接するように、主管路3内に配置されている。本実施例では、磁性流体5として、株式会社フェローテック製のポリα-オレフィンベースの磁性流体“MSGP50”を使用した。また、本実施例では、絞り管路4を通じて磁性流体5が流れ落ちるのを防ぐために、境界8に逆止弁を設けた。

【0019】
流体供給源7は、管路2の入口端2aに接続されている。流体供給源7は、出口端2bの圧力POUTよりも高い圧力で、入口端2aから管路2内に非磁性流体を送り込む。すなわち、本発明では、入口端2aの圧力PINと出口端2bの圧力POUTとの間に、PIN>POUTの関係が成立していなければならない。本実施例では、流体供給源7によって、非磁性流体としての空気が管路2内に送り込まれる。

【0020】
ソレノイドコイル6Aは、本発明の「磁場印加部」に相当するものである。ソレノイドコイル6Aは、管路2の周囲において複数回巻回された1本の導線によって構成されている。この導線に電流が流れると、当該電流に応じた磁場が管路2内に発生する。

【0021】
ソレノイドコイル6Aは、発生した磁場の磁束が境界8を通過するような位置に配置されている。本実施例では、ソレノイドコイル6Aの上端が境界8よりもやや下方にくるように、ソレノイドコイル6Aが配置されている。以下、本実施例の説明においては、ソレノイドコイル6Aの上端の高さを高さ方向の基準位置(Z=0[mm])とする。

【0022】
制御部10Aは、定電圧源11と、可変抵抗素子12と、入力された目標流量に基づいて可変抵抗素子12の抵抗値を制御する抵抗値制御部13とを備えている。抵抗値制御部13が可変抵抗素子12の抵抗値を変化させると、それに応じてソレノイドコイル6Aに向かって流れていく電流(以下、「印加電流I」という)が変化する。具体的には、抵抗値制御部13が可変抵抗素子12の抵抗値を減少させると印加電流Iは増加し、抵抗値制御部13が可変抵抗素子12の抵抗値を増加させると印加電流Iは減少する。このように、定電圧源11、可変抵抗素子12および抵抗値制御部13は、可変電流源として機能する。

【0023】
印加電流Iが0[A]である場合、すなわち、ソレノイドコイル6Aが磁場を発生させていない場合、流体供給源7から供給された空気は、入口端2aの圧力PINと出口端2bの圧力POUTとの差ΔPに応じた大きさの気泡となって磁性流体5中を通過し、出口端2bに到達する(図2(A)参照)。圧力差ΔPを大きくすると、気泡が大きくなるとともに当該気泡の発生頻度が増加し、空気の流量Qは増加する。一方、圧力差ΔPを小さくすると、気泡が小さくなるとともに当該気泡の発生頻度が減少し、流量Qは減少する。

【0024】
圧力差ΔPを図2(A)における圧力差ΔPと同一としつつ、印加電流IをI(ただし、I>0[A])まで増加させると、ソレノイドコイル6Aが生じさせた磁場によって境界8近傍における磁性流体5の磁気体積力が増加し、境界8近傍において磁性流体5の圧力が高まる。言い換えると、入口端2aと出口端2bとの間に、出口端2bよりも圧力の高い領域が現れる。これにより、空気の流量Qは、入口端2aの圧力PINと出口端2bの圧力POUTとの差ΔPではなく、入口端2aの圧力PINと磁性流体5の境界8近傍における圧力との差ΔP’(ただし、ΔP’<ΔP)によって定まることとなる。すなわち、印加電流Iを増加させると、圧力差ΔPが少なくなったかのような状態が作り出され(図2(B)参照)、その結果、流量Qは減少する。

【0025】
圧力差ΔPを図2(A),(B)における圧力差ΔPと同一としつつ、印加電流IをI(ただし、I>I)まで増加させると、ソレノイドコイル6Aが生じさせた磁場によって境界8近傍における磁性流体5の磁気体積力がさらに増加し、圧力差ΔPがさらに少なくなったかのような状態となる(図2(C)参照)。その結果、流量Qはさらに減少する。

【0026】
このように、本実施例に係る流量制御装置1Aによれば、圧力差ΔPを一定に保ちつつ印加電流Iを増減させることにより、非磁性流体である空気の流量Qを制御することができる。特に、流量制御装置1Aによれば、機械的な弁102(図10参照)によって流量を制御する従来の流量制御装置が苦手とする広い範囲での非磁性流体の流量制御が可能となり、さらに、機械的なリークが起こり得ないため、高精度な流量制御が可能となる。

【0027】
また、流量制御装置1Aによれば、機械的な弁102が不要で、しかも構造が単純なので、長寿命化および低コスト化を図ることができる。また、流量制御装置1Aによれば、磁性流体5を通過する際に非磁性流体に含まれる不純物が該磁性流体5によって捕えられるので、非磁性流体を高純度化することもできる。

【0028】
次に、本実施例に係る流量制御装置1Aを用いた実験の結果について説明する。なお、本実験では、流量制御装置1Aの各部の寸法等を以下の通りとした。

・境界8の高さ:Z=20[mm]
・磁性流体5の液面の高さ:Z=150[mm](=20[mm]+130[mm])
・主管路3の内径φ:10[mm]
・絞り管路4の内径φ:1.0[mm]
・ソレノイドコイル6Aの材質:ポリアミドイミド銅線
・ソレノイドコイル6Aの巻回数:5856巻


【0029】
まず、高さZおよび印加電流Iを変えながら、ガウスメータによって管路2内の磁束密度Bを計測し、図3に示すグラフを得た。このグラフは、高さZを大きくするにつれて磁束密度Bが小さくなること、および印加電流Iを大きくするにつれて磁束密度Bが大きくなることを示している。上記の通り、境界8の高さはZ=20[mm]である。図3によれば、印加電流Iを0.2[A]~1.4[A]の範囲で変化させることにより、境界8における磁束密度Bを2.61[mT]~18.16[mT]の範囲で変化させることができることが分かる。

【0030】
続いて、印加電流Iおよび圧力差ΔPを変えながら、出口端2b近傍における空気の流量Qを計測し、図4に示すグラフを得た。このグラフは、どの圧力条件においても、印加電流Iを増加させるにつれて流量Qが減少し、印加電流Iを減少させるにつれて流量Qが増加することを示している。また、このグラフは、印加電流Iを増減させるだけで、流量Qを広範囲にわたって制御できることを示している。

【0031】
なお、印加電流Iと境界8における磁束密度Bとの間には、図5に示す通り、比例関係がある。したがって、図4のグラフは、境界8における磁束密度Bを増減させるだけで、流量Qを広範囲にわたって制御できることを示しているとも言える。

【0032】
[第2実施例]
図6に、本発明の第2実施例に係る流量制御装置1Bを示す。同図に示すように、流量制御装置1Bは、管路2内に磁場を生じさせるソレノイドコイル6Bを備えている点、およびソレノイドコイル6Bを制御する制御部10Bを備えている点において流量制御装置1Aと相違しているが、その他の点については流量制御装置1Aと同一の構成を有している。

【0033】
ソレノイドコイル6Bは、ソレノイドコイル6Aと同様、管路2の周囲において複数回巻回された1本の導線によって構成されている。この導線に電流が流れると、当該電流に応じた磁場が管路2内に発生する。

【0034】
ソレノイドコイル6Bは、不図示のスライド機構を有し、当該スライド機構によって上下に移動することができる。以下、本実施例の説明においては、図6に示す位置にあるときのソレノイドコイル6Bの上端の高さ方向の位置をZ=0[mm]とする。

【0035】
制御部10Bは、定電圧源11と、抵抗素子14と、入力された目標流量に基づいてソレノイドコイル6Bの位置を制御するコイル位置制御部15とを備えている。定電圧源11および抵抗素子14は、ソレノイドコイル6Bに一定の印加電流Iを印加する、定電流源として機能する。

【0036】
ソレノイドコイル6Bの上端の位置がZ=-Z[mm]である場合(図7(A)参照)、すなわち、Z=±0[mm]である場合(図7(B)参照)よりもソレノイドコイル6Bの高さ方向の中心が境界8から遠ざかると、境界8における磁束密度Bは、図7(B)における磁束密度Bよりも減少する。その結果、境界8近傍における磁性流体5の磁気体積力が減少し、圧力差ΔPが大きくなったかのような状態となり、流量Qは増加する。

【0037】
ソレノイドコイル6Bの上端の位置がZ=+Z[mm]である場合(図7(C)参照)、すなわち、Z=±0[mm]である場合よりもソレノイドコイル6Bの高さ方向の中心が境界8に接近すると、境界8における磁束密度Bは、図7(B)における磁束密度Bよりも増加する。その結果、境界8近傍における磁性流体5の磁気体積力が増加し、圧力差ΔPが小さくなったかのような状態となり、流量Qは減少する。

【0038】
このように、本実施例に係る流量制御装置1Bによれば、圧力差ΔPおよび印加電流Iを一定に保ちつつソレノイドコイル6Bの位置を変化させることにより、非磁性流体である空気の流量Qを制御することができる。もちろん、流量制御装置1Bによれば、流量制御装置1Aと同様、長寿命化、低コスト化、および非磁性流体の高純度化を図ることもできる。

【0039】
[第3実施例]
図8に、本発明の第3実施例に係る流量制御装置1Cを示す。同図に示すように、流量制御装置1Cは、出口端2bにおける流量Qを計測する流量計測部17と、ソレノイドコイル6Aを制御する制御部10Cを備えている点において流量制御装置1Aと相違しているが、その他の点については流量制御装置1Aと同一の構成を有している。

【0040】
制御部10Cは、定電圧源11と、可変抵抗素子12と、入力された目標流量および流量計測部17によって計測された実際の流量Qに基づいて可変抵抗素子12の抵抗値を制御する抵抗値制御部16とを備えている。第1実施例と同様、定電圧源11、可変抵抗素子12および抵抗値制御部16は、可変電流源として機能する。

【0041】
目標流量のみに基づいて可変抵抗素子12の抵抗値を制御する場合は、温度等の影響で、実際の流量Qと目標流量との間にズレが生じる場合がある。しかしながら、本実施例に係る流量制御装置1Cによれば、流量計測部17によって計測された実際の流量Qに基づいてこのズレを修正することができるので、より高精度に非磁性流体である空気の流量Qを制御することができる。

【0042】
[変形例]
以上、本発明の第1~第3実施例について説明してきたが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。

【0043】
例えば、各実施例の絞り管路4は、図9に示すように、管路2内に固定されたオリフィス18によって形成されていてもよい。

【0044】
また、第2実施例の制御部10Bは、入力された目標流量および流量計測部によって計測された実際の流量Qに基づいてソレノイドコイル6Bの位置を制御してもよい。

【0045】
また、第2実施例では、ソレノイドコイル6Bの代わりに円筒形の永久磁石を用いてもよい。この場合は、定電圧源11および抵抗素子14からなる定電流源が不要となるため、装置構成が単純化され、さらに低コスト化を図ることができる。

【0046】
また、磁性流体5としての“MSGP50”、および非磁性流体としての空気は単なる一例であり、適宜変更することができる。ただし、本発明では、非磁性流体が磁性流体5中を通過する際に、両者が混ざり合わないことが必要である。このような非磁性流体と磁性流体5との組み合わせとしては、MSGP50と有機系以外の気体(例えば、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン)との組み合わせ、タイホーコーザイ製の水ベースの磁性流体“W-40”と有機系の気体との組み合わせ等がある。

【0047】
また、主管路3および絞り管路4の隣接方向は縦方向に限定されない。

【0048】
また、非磁性流体の温度は、磁性流体5を沸騰および凝固させない限りにおいて、特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、医療分野における各種医療用ガス(酸素等)の流量制御、半導体製造および液晶パネル製造等のエレクトロニクス分野にける各種ガス(窒素、アルゴン等)の流量制御等に適用することができる。また、本発明は、機械的なリークが起こり得ないことから、宇宙空間における各種気体・液体の流量制御にも適している。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B,1C,1D 流量制御装置
2 管路
2a 入口端
2b 出口端
3 主管路
4 絞り管路
5 磁性流体
6A,6B ソレノイドコイル(磁場印加部)
7 流体供給源
8 境界
10A,10B,10C 制御部
11 定電圧源
12 可変抵抗素子
13 抵抗値制御部
14 抵抗素子
15 コイル位置制御部
16 印加電流調整部
17 流量計測部
18 オリフィス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9