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明細書 :繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-008237 (P2017-008237A)
公開日 平成29年1月12日(2017.1.12)
発明の名称または考案の名称 繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料及びその製造方法
国際特許分類 C08J   5/04        (2006.01)
B29C  43/34        (2006.01)
C08L 101/00        (2006.01)
C08L  23/26        (2006.01)
C08K   7/04        (2006.01)
C08L   1/00        (2006.01)
B29K 101/12        (2006.01)
B29K 105/12        (2006.01)
FI C08J 5/04 CER
C08J 5/04 CEZ
B29C 43/34
C08L 101/00
C08L 23/26
C08K 7/04
C08L 1/00
B29K 101:12
B29K 105:12
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2015-126344 (P2015-126344)
出願日 平成27年6月24日(2015.6.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人日本複合材料学会 第6回複合材料会議講演予稿集「炭素繊維/PP複合材料の面外衝撃損傷部への微細ガラス繊維添加樹脂小片の溶融充填による補修」 WEB公開日:平成27年2月17日 WEB公開者:一般社団法人 日本複合材料学会
発明者または考案者 【氏名】藤井 透
【氏名】大窪 和也
【氏名】大谷 龍平
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
テーマコード 4F072
4F204
4J002
Fターム 4F072AA02
4F072AA08
4F072AB03
4F072AB09
4F072AB10
4F072AB27
4F072AD04
4F072AD05
4F072AD37
4F072AD44
4F072AG03
4F072AG20
4F072AH21
4F072AJ04
4F072AK14
4F072AL02
4F072AL09
4F204AA11
4F204AA13
4F204AA24
4F204AA29
4F204AB25
4F204AD16
4F204AG03
4F204FA01
4F204FB01
4F204FF01
4F204FF05
4F204FG02
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4J002AA011
4J002AB013
4J002BB121
4J002BB212
4J002BN151
4J002CF001
4J002CL001
4J002DA016
4J002DL006
4J002FB046
4J002FD016
4J002GF00
4J002GN00
要約 【課題】低コストで母材樹脂と補強繊維との接着性が高く強度的に優れたものとすることができる繊維強化熱可塑性樹脂材料及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物からなる母材樹脂と、この母材樹脂を補強する補強長繊維を備える繊維強化熱可塑性樹脂材料であって、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中に、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、鉱物繊維などの直径3μm以下の微細繊維が分散されていることを特徴としている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物からなる母材樹脂と、この母材樹脂を補強する補強長繊維を備える繊維強化熱可塑性樹脂材料であって、
前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中に、直径3μm以下の微細繊維が分散されていることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項2】
微細繊維は、平均直径が500μm以下である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる請求項1又は請求項2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項4】
微細繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、鉱物繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種である請求項1~請求項3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項5】
熱可塑性樹脂が、重量比でポリプロピレン:マレイン酸変性ポリプロピレン=90~97:10~3であるポリプロピレン樹脂からなる請求項4に記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項6】
熱可塑性樹脂組成物は、微細繊維が、ガラス繊維であって、ガラス繊維の配合割合が、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維の合計量の0.1~2.0重量%である請求項5に記載の繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項7】
補強長繊維が、炭素繊維である請求項1~請求項6のいずれかに記載の繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料。
【請求項8】
熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、補強長繊維からなるシートと積層状態で熱プレスする請求項1~請求項7のいずれかに記載の繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維強化樹脂(以下、「CFRP」と記す)は自動車をはじめとして構造物の軽量化の切り札となっている。
CFRPは、母材が熱硬化性樹脂であるため、成形性(成形速度)やリサイクル性の点で問題がある。
【0003】
そこで、成形性(成形速度)及びリサイクル性を考慮するとともに、加工性にも優れていることから、母材が熱可塑性樹脂の炭素繊維強化熱可塑性樹脂(以下、「CFRTP」と記す)が有望視されている。
また、CFPTPの母材となる熱可塑性樹脂としては、炭素繊維(CF)との接着性とCFRTP 性能を考慮してポリアミド樹脂(以下、「PA」樹脂)が一般的に用いられている(特許文献1)。
【0004】
しかし、PAでは(1)成形温度が高い、(2)高価格,(3)吸水・劣化する、などの問題がある。
そこで、ポリプロピレン(PP)が母材樹脂として注目されつつある。しかし、PPは、PAと比べ,(1)CFとの接着性が弱い、(2)低剛性により応力再配分性が悪い、(3)耐熱性が低い。したがって、PPを母材樹脂として用いたCFRTP(以下「CFRPP」と記す)は、その性能がPAを用いたCFRTP(以下、「CFRPA」と記す)より格段に低い。
一方、PPにマレイン酸変性ポリプロピレンを配合することによって、PPのみに比べ、炭素繊維との接着性が向上することが報告されているが、まだまだ十分な強度を備えたものを得ることができない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2014-141582号公報
【0007】

【非特許文献1】田村 学、 高橋 淳、 大澤 勇、 金井 誠、 鵜沢 潔、田原 正夫「炭素繊維強化ポリプロピレンにおける界面改質効果」48th FRP ON-EX2003(2003.10.28-29)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、低コストで母材樹脂と補強繊維との接着性が高く強度的に優れたものとすることができる繊維強化熱可塑性樹脂材料及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂組成物からなる母材樹脂と、この母材樹脂を補強する補強長繊維を備える繊維強化熱可塑性樹脂材料であって、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中に、直径3μm以下の微細繊維が分散されていることを特徴としている。
【0010】
本発明において、微細繊維は、直径3μm以下に限定されるが、その理由は、3μmを超えると、熱可塑性樹脂と補強長繊維との間の接着性向上の効果が認められない。
なお、微細繊維の直径を3μm以下にするには、平均直径が500nm以下の微細繊維を用いることが好ましい。すなわち、平均500nm以下の場合、最大でもほぼ3μm以下の微細繊維とすることができる。
【0011】
微細繊維の長さは、特に限定されないが、アスペクト比(長さ/直径)が20以上となる好ましい。
【0012】
本発明において、熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂としては、特に限定されないが、より補強長繊維との接着性を向上させることができることから、重量比でポリプロピレン:マレイン酸変性ポリプロピレン=90~97:10~3であるポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
微細繊維としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、カーボンナノチューブなどの炭素繊維、セルロース繊維、鉱物繊維が挙げられ、これらが単独であるいは複合して用いられる。
【0013】
また、微細繊維が、ガラス繊維であるとき、ガラス繊維の配合割合が、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維の合計量の0.1~2.0重量%であることが好ましい。
すなわち、0.1重量%未満では、微細繊維混入の効果が無く,2.0重量%を超えると、混練された樹脂の粘度が極めて高くなり,2軸混練押し出し機等で,微細繊維を容易に樹脂に均一に混ぜることができないおそれがある。
【0014】
補強長繊維としては、特に限定されないが、炭素繊維が好適である。
なお、熱可塑性樹脂中には、必要に応じて顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を加えるようにしても構わない。
【0015】
本発明にかかる繊維強化繊維強化熱可塑性樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、補強長繊維からなるシートと積層状態で熱プレスすることによって得ることができる。
また、上記のように熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、補強長繊維からなるシートとからなるプリプレグを成形し、このプリプレグを更に積層しても構わない。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂材料は、以上のように熱可塑性樹脂組成物からなる母材樹脂と、この母材樹脂を補強する補強長繊維を備える繊維強化熱可塑性樹脂材料であって、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中に、直径3μm以下、の微細繊維が分散されているので、母材樹脂と補強繊維との接着性が高く強度的に優れたものとすることができる。
しかも、従来、強度的に問題があり、強度が要求される場所への使用に問題のあった低コストの熱可塑性樹脂も従来の特定の高コストの熱可塑性樹脂のみしか用いられない用途にも使用できるようになり、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ガラス繊維改質ペレットの製造方法の1例を概略的に説明する図である。
【図2】引張試験に用いる試験片を説明する図である。
【図3】積層板1~5の引張試験の結果を対比してあらわすグラフである。
【図4】引抜試験方法を説明する図である。
【図5】ペレット1~3及び6の引抜試験によって得られた界面せん断強度を対比してあらわすグラフである。
【図6】衝撃損傷付与方法を説明する図であって、同図(a)は試験機の正面図、同図(b)は試験片を治具に固定した状態の平面図である。
【図7】補修材による補修後の引張強度を対比してあらわすグラフである。
【図8】じん性試験片を説明する図である。
【図9】破壊じん性値を対比してあらわすグラフである。
【図10】界面せん断強度と衝撃損傷を受けていない試験片の引張強度の値を用いて無次元化した引張強度および衝撃損傷を受けていない試験片の破壊じん性値を用いて無次元化した破壊じん性値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を、その実施例を参照しつつ詳しく説明する。

【0019】
(ガラス繊維改質PPペレット1の作製)
微細繊維である繊維径平均500nm,繊維長200μm~1200μmのガラス繊維(日本無機社:極細グラスウール、トミクタFM1700(フィルター用に実用されているナノ・サブミクロンガラス繊維),比重2.5,引張強度3.4GPa,弾性率75GPa)をポリプロピレン繊維不織布(日本バイリーン社製帯状不織布、幅100mm,比重0.91,引張強度50MPa,弾性率2GPa))にて図1に示すように包み、直径20mmの筒状体を作製した。

【0020】
そして、図1に示すように、二軸押出機(Coperion社製ZSK18、スクリュー径:15mm、バレル温度180℃、メインスクリュー回転数:150rpm、サイドフィーダースクリュー回転数:150rpm)のメインフィーダーから、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社:J708UG) ペレット、マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)樹脂(三洋化成工業社:ユーメックス1001)ペレットを投入するとともに、上記筒状体をサイドフィーダーから投入し、混練押出しして、ポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンとの配合比が重量比で95:5、ガラス繊維が0.2重量%含まれるガラス繊維改質PPペレット1(以下、「ペレット1」とのみ記す)を得た。

【0021】
(ガラス繊維改質PPペレット2の作製)
ポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンと筒状体の投入量を変更した以外は、上記ペレット1と同様にしてポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンとの配合比が重量比で95:5、ガラス繊維が0.5重量%含まれるガラス繊維改質PPペレット2(以下、「ペレット2」とのみ記す)を得た。

【0022】
(ガラス繊維改質PPペレット3の作製)
ポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンと筒状体の投入量を変更した以外は、上記ペレット1と同様にしてポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンとの配合比が重量比で95:5、ガラス繊維が1.0重量%含まれるガラス繊維改質PPペレット3(以下、「ペレット3」とのみ記す)を得た。

【0023】
(ガラス繊維改質PPペレット4の作製)
ポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンと筒状体の投入量を変更した以外は、上記ペレット1と同様にしてポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンとの配合比が重量比で95:5、ガラス繊維が2.0重量%含まれるガラス繊維改質PPペレット4(以下、「ペレット4」とのみ記す)を得た。

【0024】
(改質PPペレット5の作製)
筒状体を投入しなかった以外は、上記ペレット1と同様にしてポリプロピレンとマレイン酸変性ポリプロピレンとの配合比が重量比で95:5の改質PPペレット5(以下、「ペレット6」とのみ記す)を得た。

【0025】
上記ペレット1~4をそれぞれヒートプレス機(河中産業社:HB200HB)に投入し、温度200℃、無圧の状態で10分間保持した後、温度200℃、圧力5MPaの状態で1分間保持して、厚さ0.2mmのガラス繊維改質PPからなるガラス繊維改質PPシート1~4及び改質PPからなる改質PPシート1をそれぞれ得た。
また、ポリアミド樹脂ペレット(三菱化学社PA6)を、ヒートプレス機(河中産業社:HB200HB)に投入し、温度200℃、無圧の状態で10分間保持した後、温度200℃、圧力5MPaの状態で1分間保持して、厚さ0.2mmのPAシートを得た。
PPペレット(プライムポリマー社:J708UG) ペレット)をヒートプレス機(河中産業社:HB200HB)に投入し、温度200℃、無圧の状態で10分間保持した後、温度200℃、圧力5MPaの状態で1分間保持して、厚さ0.2mmの非改質の未変性PPシートを得た。

【0026】
(炭素繊維プリプレグシート1の作製)
上記ガラス繊維改質シート1の上下に平織り炭素繊維クロス(三菱レイヨン社パイロフィルTR3110-MS、重さ200g/m2,厚さ0.23mm、比重1.79,引張強度4.1GPa,弾性率234GPa)及びフッ素樹脂シート(商品名テフロン)を積層した状態で上記ヒートプレス機にセットし、圧力10MPa、温度180℃、保持時間5分でプレスして、厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート1を得た。

【0027】
(炭素繊維プリプレグシート2の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記ガラス繊維改質シート2を用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート2を得た。

【0028】
(炭素繊維プリプレグシート3の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記ガラス繊維改質シート3を用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート3を得た。

【0029】
(炭素繊維プリプレグシート4の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記ガラス繊維改質シート4を用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート4を得た。

【0030】
(炭素繊維プリプレグシート5の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記改質シート1を用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート5を得た。

【0031】
(炭素繊維プリプレグシート6の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記PAシート1を用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート6を得た。

【0032】
(炭素繊維プリプレグシート7の作製)
ガラス繊維改質シート1に代えて上記未変性PPシートを用いた以外は、上記炭素繊維プリプレグシート1と同様にして厚さ0.5mmの炭素繊維プリプレグシート7を得た。

【0033】
(CFRTP積層板1の作製)
上記炭素繊維プリプレグシート1を4枚重ねにして上記ヒートプレス装置を用いて真空吸引下で圧力10MPa,温度180℃で10分間保持して、長さ240mm,幅270mm,厚さ2mmのCFRTP積層板1(以下、「積層板1」と記す)を得た。

【0034】
(CFRTP積層板2の作製)
炭素繊維プリプレグシート1に代えて上記炭素繊維プリプレグシート2を用いた以外は、上記積層板1と同様にして長さ240mm,幅270mm,厚さ2mmのCFRTP積層板2(以下、「積層板2」と記す)を得た。

【0035】
(CFRTP積層板3の作製)
炭素繊維プリプレグシート1に代えて上記炭素繊維プリプレグシート3を用いた以外は、上記積層板1と同様にして長さ240mm,幅270mm,厚さ2mmのCFRTP積層板3(以下、「積層板3」と記す)を得た。

【0036】
(CFRTP積層板4の作製)
炭素繊維プリプレグシート1に代えて上記炭素繊維プリプレグシート5を用いた以外は、上記積層板1と同様にして長さ240mm,幅270mm,厚さ2mm野CFRTP積層板4(以下、「積層板4」と記す)を得た。

【0037】
(CFRTP積層板5の作製)
炭素繊維プリプレグシート1に代えて上記炭素繊維プリプレグシート6を用いた以外は、上記積層板1と同様にして長さ240mm,幅270mm,厚さ2mmのCFRTP積層板5(以下、「積層板5」と記す)を得た。

【0038】
(CFRTP積層板6の作製)
炭素繊維プリプレグシート1に代えて上記炭素繊維プリプレグシート7を用いた以外は、上記積層板1と同様にして長さ240mm,幅270mm,厚さ2mmのCFRTP積層板6(以下、「積層板6」と記す)を得た。

【0039】
上記のようにして得られた積層板1~6をそれぞれ炭素繊維の配向方向が試験片の長手方向に対して0°、90°となるように、長さ200mm、幅25mmの短冊状に切り出して引張試験片を作製した。
そして、試験片の両端には、図2に示すように、エポキシ系接着剤を用いてアルミタブTを接着したのち、引張速度:1mm/分で各引張試験片の引張試験を行い(n数:5)、積層板1~5については、その引張強度を図3に対比して示した。また、積層板6は引張強度が400MPaであった。

【0040】
上記のように未変性PPを用いた積層板6では、引張強度が400MPaであったのに対し、図3に示すように、GFを加えることによって引張強度をPAに近づけることができることがわかる。特に、1%GF変性PPを用いた積層板3の場合,500MPaと25%向上し、PAを用いた積層板5の引張強度は530MPaにかなり近づくことがわかる。したがって、安価なPPにより高価なPAに近い物性を有する成形体を得ることができることがわかる。

【0041】
図4に示す形状寸法の型紙にエポキシ系接着剤を用いて、炭素繊維の両端を固定した後、上記ペレット1~3、ペレット5のそれぞれについてドロップレットを炭素繊維に付着させて、試験速度0.12mm/分で引抜試験を行い、下式により界面せん断強度(Interfacial Shear Strength)τを求め、その結果を図5に示した。

【0042】
【数1】
JP2017008237A_000003t.gif

【0043】
図5から、ペレット1(GF0.2重量%)がペレット5(GF0%)に比べ約1.9倍、ペレット1(GF0.5重量%)がペレット5(GF0%)に比べ約2.1倍、ペレット3(GF0.2重量%)がペレット5(GF0%)に比べ約1.2倍それぞれ界面せん断強度の向上が見られることがわかる。
すなわち、ガラス繊維によって改質されたPPを用いれば、ガラス繊維を加えない場合に比べ界面せん断強度が向上することがわかる。

【0044】
(補修材の作製)
上記ガラス繊維改質PPシート1~3及び改質PPシート1をそれぞれ幅10mm、長さ25mmの長方形に切り出し、補修材1(GF0.2%)、補修材2(GF0.5%)、補修材3(GF1.0%)、補修材4(GF0%)を作製した。
(衝撃試験)
上記積層板5を炭素繊維の長手方向に対して0°、90°となるように、長さ200mm、幅25mmの短冊状に切り出して衝撃試験片を作製した。
衝撃試験片を、図6(b)に示すように、治具で中央部まで固定したのち、図6(a)に示すように、自作の振り子型衝撃試験機を用いて試験片の固定されていない部分を試験機のハンマーで衝撃吸収エネルギーが0.2~0.4Jになるように衝撃損傷を与えた。

【0045】
上記衝撃試験後に、衝撃付与部の表面を観察したところ、白濁していた。また、X線撮影を行い、試験片に生じた損傷を観察するとともに。X線撮影後、電気炉を用いて、試験片の母材のみを取り除き、炭素繊維に生じた損傷も観察したところ、層間剥離があるものの、炭素繊維自体に損傷は見られなかった。

【0046】
(補修評価)
上記衝撃試験後の衝撃試験片の中央の衝撃損傷部分に上記のようにして得た補修材1~4を当て、ヒートプレス機を用いて、試験片全体を温度180℃、圧力10MPaの状態で5分間保持することで損傷部周辺の母材と補修材とを一体化させて、各補修材で補修された補修サンプルをそれぞれ得た。
得られた各補修サンプル及び衝撃試験後の未補修の試験片の両端にそれぞれ図2と同様にしてアルミニウムタブを取り付けたのち、クロスヘッドスピード1mm/分で静的引張試験(各N数5)を行い、その結果を積層板6の試験結果とともに、図7に示した。なお、引張強度は、補修材の厚みを考慮し、補修後の試験片の断面積を用いて算出した。

【0047】
図7に示すように、衝撃損傷が生じた試験片の引張強度は、損傷が生じていない試験片の引張強度の約86%まで低下した。一方、補修材に微細ガラス繊維を添加しない場合には、衝撃損傷を与えていない試験片の引張強度の約90%までしか回復させることができなかった。また、微細ガラス繊維を樹脂の重量に対して0.2重量%添加した改質PP樹脂を補修材として用いて補修した場合では、補修をしない試験片の引張強度と同程度の強度となった。他方、微細ガラス繊維を樹脂の重量に対して0.5重量%、1.0重量%添加した改質PP樹脂を補修材として用いた場合、引張強度を94~97%まで回復させることができた。これらのことから、衝撃損傷を与えたCFRTPに対して、微細ガラス繊維を樹脂の重量に対して0.5重量%以上添加した改質PP樹脂を補修材として用いて補修を行えば、高い補修効果を得られることがわかる。

【0048】
(じん性評価)
上記改質プリプレグ1を炭素繊維の配向方向が試験片の長手方向に対して0°、90°となるように、長さ100mm、幅25mの短冊状試験片を切り出した。
この短冊状試験片に上記のようにして衝撃損傷を与えたのち、上記各補修材で上記補修評価と同様にして補修を行った。

【0049】
その後、補修された短冊状試験片、補修されていない短冊状試験片、衝撃損傷を与えていない短冊状試験片に、卓上ダイヤモンドカッター(ホーザン社、K-110 PCBカッター)を用いてそれぞれ図8に示すように試験片側面中央両側に長さ6mmとなるように予き裂を設けるとともに、レーザー刃を用いて予き裂の先端に切欠も設けたのち、試験片の両端にアルミニウムタブを接着してじん性試験片を作製した。

【0050】
つぎに、各じん性試験片について、クロスヘッドスピード1mm/分で静的引張試験(各N数5)を行い、その結果を図9に示した。
なお、破壊じん性値は、以下の式を用いて算出した。

【0051】
【数2】
JP2017008237A_000004t.gif

【0052】
図9に示すように、微細ガラス繊維をMAPP/PP樹脂の重量に対して0.2重量%、0.5重量%添加した補修材を用いて補修を行うと、衝撃損傷を与えていない試験片の破壊じん性値の約65~70%まで回復させることができた。なお、微細ガラス繊維を1.0重量%添加した補修材を用いて補修した場合、衝撃損傷を与えていない試験片の破壊じん性値の約60%まで回復するが、MAPP/PP樹脂のみの補修材を用いて補修した場合の破壊じん性値と同程度であった。これらのことから、微細ガラス繊維をMAPP/PP樹脂に少量添加した補修材を用いて補修を行うことで、十分に破壊じん性値を回復できることがわかる。

【0053】
また、図10に、界面せん断強度と衝撃損傷を受けていない試験片の引張強度の値を用いて無次元化した引張強度および衝撃損傷を受けていない試験片の破壊じん性値を用いて無次元化した破壊じん性値との関係を示した。
図10から、界面せん断強度が高くなるにつれて、破壊じん性値も高くなっていることがわかる。また、界面せん断強度約10MPaのときに、引張強度復元率が約10%となることがわかる。これらのことから、補修材への微細ガラス繊維の適切率の添加による界面せん断強度の向上は、引張強度に対してよりも、特に破壊じん性値に対して直接的な効果があると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の複合材料は、例えば、振動コンベヤ用スプリング,自在継手のプレート,自動車のサイドパネルやフェンダー等に用いることができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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