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明細書 :フェノール系化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-057177 (P2017-057177A)
公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
発明の名称または考案の名称 フェノール系化合物の製造方法
国際特許分類 C07C  37/60        (2006.01)
C07C  39/04        (2006.01)
C07D 213/38        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07F  15/04        (2006.01)
FI C07C 37/60
C07C 39/04
C07D 213/38
B01J 31/22 Z
C07B 61/00 300
C07F 15/04
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2015-184828 (P2015-184828)
出願日 平成27年9月18日(2015.9.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年9月1日に錯体化学会が発行した「錯体化学会第65回討論会 講演要旨集」にて発表
発明者または考案者 【氏名】小寺 政人
【氏名】アントニウス アンドレ ザオプトラ
【氏名】辻 朋和
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C055
4G169
4H006
4H039
4H050
Fターム 4C055AA01
4C055BA02
4C055BA27
4C055BB10
4C055CA01
4C055DA01
4C055EA03
4C055GA02
4G169BA28A
4G169BA28B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BE14A
4G169BE14B
4G169BE20A
4G169BE20B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169CB07
4G169DA02
4H006AA02
4H006AC42
4H006BA21
4H006BA47
4H006BE32
4H006FC52
4H006FE13
4H039CA60
4H039CC30
4H050AA03
4H050AB40
4H050WB14
4H050WB22
要約 【課題】芳香族化合物を直接酸化してフェノール系化合物を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】下記式(I)または(II)で示される化合物を配位子とする二核ニッケル錯体の存在下で、酸化剤により、芳香族化合物を酸化してフェノール系化合物を製造する。
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【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)または(II)で示される化合物を配位子とする二核ニッケル錯体の存在下で、酸化剤により、芳香族化合物を酸化してフェノール系化合物を製造する方法。
【化1】
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【請求項2】
前記酸化剤が過酸化水素であり、前記芳香族化合物がベンゼンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)または(II)で示される化合物を配位子とする二核ニッケル錯体からなる酸化触媒。
【請求項4】
請求項1に記載の式(II)で示される二核配位子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物からフェノール系化合物を製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、特定の二核ニッケル錯体を用いて芳香族化合物を直接酸化してフェノール系化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノールの製造は、ベンゼンを原料として行われているが、ベンゼンは最もシンプルな構造の芳香族炭化水素であるため、安定性が非常に高く、反応性に乏しい。このため、現在は、ベンゼンの直接酸化ではなく、クメン(イソプロピルベンゼン)を経由して、クメンの酸化によりフェノールを製造しているが、このクメン法は、高温高圧を必要とする多段階方法であるため、フェノールの製造方法としては非効率的である。そのため、ベンゼンを直接的にフェノールに変換(酸化)する方法の開発が望まれている。
【0003】
最近、特許文献1において、4座のポリピリジン配位子のニッケル錯体を触媒として用いて、安価な過酸化水素(H22)を酸化剤として、ベンゼンからフェノールを直接製造する方法が報告されている。しかしながら、報告された反応では、700回程度の触媒回転数を得るのに200時間以上を必要としているため、より反応速度の速い方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2015, 137(18), pp 5867-5870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題に鑑み、本発明は、ベンゼンのような芳香族化合物をより効率よく直接酸化してフェノール系化合物を製造することができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、特定の二核ニッケル錯体を触媒として用いることにより、芳香族化合物を一原子酸素化してフェノール系化合物を効率よく製造することに成功し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、下記式(I)または(II)で示される化合物を配位子とする二核ニッケル錯体の存在下で、酸化剤により、芳香族化合物を酸化してフェノール系化合物を製造する方法に関する。
【化1】
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【0008】
前記式(I)に示す1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタン(6-hpa)または前記式(II)に示す1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルエチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタン(6-hpea)の二核ニッケル錯体は、100℃未満の温度および常圧下であっても、芳香族化合物の一原子酸素化反応を触媒することができ、且つ溶液中でも二核構造が安定なため、非特許文献1において、最も高い触媒機能を示すと報告されたtepa(トリス[2-(ピリジン-2-イル)エチル]アミン)を配位子とするニッケル錯体よりも、触媒回転数が早く、フェノール系化合物をより速やかに製造することができる。
【0009】
本発明の方法によれば、過酸化水素を酸化剤として、ベンゼンを直接的にフェノールに変換することができる。
【0010】
また、本発明は、前記6-hpaまたは6-hpeaの二核ニッケル錯体からなる酸化触媒に関する。前記6-hpaまたは6-hpeaの二核ニッケル錯体は、強い酸化触媒活性を有し、特に芳香族化合物の酸化触媒として有用である。
【0011】
また、本発明は、新規な配位子である前記式(II)の6-hpeaに関する。
当該配位子は、有機溶媒中において、二核ニッケルコア構造を安定に保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の酸化触媒は、芳香族化合物の一原子酸素化を、高い触媒回転数で行うことができるため、本発明の製造方法によれば、芳香族化合物からフェノール系化合物を速やかに製造することができる。また、本発明で使用される配位子は、安定な二核金属錯体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、6-hpaを合成する好ましい一例を示す図である。
【図2】図2は、6-hpeaを合成する好ましい一例を示す図である。
【図3】図3は、6-hpaの二核ニッケル錯体のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、6-hpaの二核ニッケル錯体の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、6-hpeaの二核ニッケル錯体のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)スペクトルを示す図である。
【図6】図6は、6-hpeaの二核ニッケル錯体の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図7】図7は、6-hpaの二核ニッケル錯体と6-hpeaの二核ニッケル錯体の合成を説明する図である。
【図8】図8は、6-hpaの二核ニッケル錯体を触媒として使用してベンゼンからフェノールを製造する際の触媒回転数(TON)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る二核ニッケル錯体の配位子は6-hpaまたは6-hpeaである。6-hpa、すなわち1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルメチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタン、および、6-hpea、すなわち1,2-ビス(2-(ビス(2-ピリジルエチル)アミノメチル)6-ピリジル)エタンは、2つのトリピリジン化合物をエチレンスペーサーでつないだ構造を有する二核化配位子であり、それぞれ以下の構造を有する。

【0015】
【化2】
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【0016】
上記6-hpaまたは6-hpea配位子は、下記に示すように、ニッケルに配位結合し、二核ニッケル錯体を形成することができる。
【化3】
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【0017】
本発明の二核ニッケル錯体は、酸化反応を触媒することができる。本発明の二核ニッケル錯体の酸化触媒活性は非常に高いため、ベンゼンのように安定で反応しにくい芳香族化合物であっても、酸化によりフェノール性水酸基を導入することができる(sp2C-H結合をsp2C-OH結合に変換する)。また、本発明の二核ニッケル錯体を、芳香族化合物の酸化反応の触媒として用いた場合、芳香族環上の炭素原子のうち一つのみを酸化することができるため(選択的一原子酸素化)、水酸基を複数有する芳香族化合物(副生成物)をほとんど生じず、一つの水酸基を有するフェノール系化合物を高収率で製造することができる。なお、本発明において、フェノール系化合物とは、芳香族環に結合された水酸基を有する化合物を意味する。

【0018】
本発明の酸化反応は、アセトニトリル等の極性有機溶媒中で行うことが好ましい。また、塩基性物質(例えば、トリエチルアミン等の3級アミン塩)の共存下で反応を行うことが好ましい。二核ニッケル錯体に対する基質(芳香族化合物)や塩基性物質の量は、使用する原料の種類や酸化条件によって適宜選択すればよいが、例えば、二核ニッケル錯体を1モルとしたとき、基質は10000~30000モル、塩基性物質は10~30モル程度とすることができる。また、酸化剤(好ましくは過酸化水素)の添加量も、基質等の種類や酸化条件によって適宜調節すればよいが、例えば、基質1モルに対して4~8モル、好ましくは5~7モルの割合で添加することができる。
酸化反応を行う温度は50~75℃が好ましく、55~65℃がより好ましい。酸化反応は、常圧下で行うことができる。

【0019】
本発明で使用する好ましい酸化剤として、過酸化水素が挙げられる。過酸化水素は、入手が容易で安価な酸化剤であり、また、反応による副生成物として水しか生じないため、酸素分子以外ではアトムエコノミーが最も高く、最良の酸化剤である。

【0020】
本発明の触媒を用いた方法の例として、下記に示すように、ベンゼンをフェノールに直接変換(酸化)する方法が挙げられる。本発明の触媒によれば、クメン法と異なり高温・高圧を必要とせず、常圧下・60℃程度の温度でベンゼンからフェノールを製造することができる。
【化4】
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【0021】
本発明で使用できる芳香族化合物には、芳香環が炭素のみから構成される単素環式芳香族化合物だけでなく、芳香環が炭素と他の元素(窒素、酸素、または硫黄原子)から構成される複素環式芳香族化合物も含まれる。また、芳香族環を一つ有する化合物だけでなく、複数有する化合物も含まれる。また、本発明の芳香族化合物は、芳香族環に結合された、水酸基以外の置換基(アルキル基、ニトロ基、アミノ基等)を有していてもよい。

【0022】
本発明で使用される二核化配位子6-hpaは、実施例の項において説明するように、1,2-ビス(2-アミノメチル-6-ピリジル)エタンと、2-ハロメチルピリジンを反応させることによって製造することができる。

【0023】
本発明で使用される二核化配位子6-hpeaは、実施例の項において説明するように、1,2-ビス(6-ハロメチル-2-ピリジル)エタンと、ビス(2-ピリジルエチル)アミンを反応させることによって製造することができる。

【0024】
本発明に係る6-hpaまたは6-hpeaの二核ニッケル錯体は、有機溶媒あるいは有機溶媒と水の混合液中で、6-hpaまたは6-hpeaと、ニッケル(II)塩を、約1:2のモル比で混合し、その後、酢酸等のカルボン酸またはその塩を添加することによって、製造することができる。
使用するニッケル(II)塩は特に限定されない。例えば、過塩素酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケルなど様々なニッケル塩やその水和物を使用することができる。また、有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール等が使用できる。カルボン酸としては、カルボキシ基を一つ有する化合物であれば特に限定されず、一般式「RCO2H」のRが水素、アルキル基、アリール基であるもののいずれを使用することもできる。カルボン酸塩としては、酢酸ナトリウム等のナトリウム塩を使用することができる。カルボン酸塩は、6-hpaまたは6-hpeaの添加量1モルに対し、約4~6モルとなる量で添加することが好ましい。

【0025】
本発明で使用される6-hpaおよび6-hpeaは、いずれも溶液中で安定な二核ニッケル錯体を形成することができ、二核構造が安定なために、酸化活性種の生成が加速され、高活性につながると考えられる。特に、6-hpaの錯体は、反応速度が速いため、より好ましい。
【実施例】
【0026】
[製造例1]6-hpaの製造
図1に示す合成ルートにより、6-hpaを製造した。原料である図1の(A)2-amino-6-picolineおよび(F)2-pyridinecarboxaldehydeは、和研薬株式会社から入手した。なお、実施例1では、(F)を原料として(H)2-bromomethylpyridineを製造したが、(H)は市販されているため、市場から入手することもできる。
【実施例】
【0027】
(B)2-bromo-6-methylpyridineの合成
1000 mLの4口丸底フラスコにアルカリトラップ、等圧滴下漏斗、温度計、メカニカルスターを取り付けた。この反応容器に(A)2-amino-6-picoline(27.0g 0.25mol)と48% HBr(125mL 2.31mol)を入れた。反応容器を氷浴に浸し、0℃まで冷却した。Br2(37.5mL 0.72mol)を等圧滴下漏斗に移し、反応溶液の温度を0℃に保ち、メカニカルスターラーで激しくかき混ぜながら90分かけてゆっくりと反応容器に滴下した。NaNO2(42.5g 0.62mol)を秤量し、約100 mLの蒸留水に溶解させた。これを等圧滴下漏斗にうつし、メカニカルスターラーで激しくかき混ぜながら約2時間かけて滴下した。このとき反応溶液の温度が10℃を越えない様に注意した。反応を完結させるために、さらにNaNO2(2.50g 0.036mol)を約10mLの蒸留水に溶解して加え、反応容器から窒素ガスが発生していないことを確認した。氷浴で冷やしながらNaOH(95.0g 2.4mol)を約300mLの蒸留水に溶解し、十分冷却した後に、少しずつ溶液に加えて中和させた。このとき反応溶液の温度が20℃を越えない様に注意した。反応混合物をEt2O (200mL×4)で抽出し、有機層を集めた。無水Na2SO4を加えて乾燥し、濃縮すると褐色の油状物質が得られた。この油状物質を精留管で減圧蒸留し、減圧度7.00mmHgにおいて55-60℃の分留を取り、黄色の油状物質を得た。この物質は-40℃で保存した。
収率:61%(27.0g)
【実施例】
【0028】
(C)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethaneの合成
500mLの三口反応容器に回転子を入れ、三方コック,等圧滴下漏斗(50mL),セプタムキャップ,バルーンを付け、真空乾燥した。反応容器をN2雰囲気下にした後にdiisopropylamine (19.2mL 0.137mol)をシリンジで加えた。反応容器にdry THF (300mL)をシリンジで加え、反応容器内をN2置換した後、エタノール浴で-78℃まで冷却した。この後、1.6M n-BuLi (85.6mL 0.137 mol)をシリンジで加えた。20分間反応させた後、50mL等圧滴下漏斗より(B)2-bromo-6-methylpyridine (23.4g 0.136 mol)を20分かけて滴下した。-78℃で2時間反応させた後、1,2-dibromoethane (11.8mL 0.069mol)をシリンジで加えた。反応容器をエタノール浴から外し、室温で一晩かき混ぜた。蒸留水を加え反応を停止させた。THFを濃縮後,分液漏斗を用いてCHCl3(100mL×3)で分液し、有機層を抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると赤紫色の固体が得られた。この固体をMeOHで洗浄して淡赤色の固体を得た。ろ液を濃縮しMeOHで洗浄する操作を4回繰り返した。得られた淡赤色の固体をHexaneに溶かし、70℃まで加熱した後に熱時濾過し、濾液を冷却すると、淡黄色の固体が得られた。
収率:60%(14.0g)
【実施例】
【0029】
(D)1,2-bis(2-cyano-6-pyridyl)ethaneの合成
100mLの二口反応容器に三方コック、バルーン、セプタムキャップを取り付け真空乾燥した。(C)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethane(4.4g 12.8mmol)、Pd/C (49.84% water, 1.1g)、dppf (0.6g 1.01mmol)、Zn(CN)2 (1.8g 15.3mmol)を二口反応容器に入れ、Pd/Cに含まれる水分をラインでのぞいた。その後、dimethylacetamide (DMA)(50mL)をシリンジで加え、脱気窒素置換した後、窒素フロー化でZn(HCO2)2・2H2O(98.00%)(0.4g、2.04mmol)を加えた後、110℃で加熱しながら、1時間撹拌した。その後、80℃で加熱しながら、2時間撹拌し、撹拌終了後、酢酸エチル(150mL)を加えて、Pd/Cを沈殿させ、濾過で取り除いた。その後、水(200mL×2)、5%アンモニア水(200mL×1)で分液後、有機層を抽出した。抽出した有機層を、エバポレーターで濃縮した。Na2SO4で脱水した後、エバポレーターで濃縮し、茶色の固体を得た。これを、CHCl3:Hexane (50 mL:300 mL) で再結晶し肌色の固体を得た。
収率:88%(2.6g)
【実施例】
【0030】
(E)1,2-bis(2-aminomethyl-6-pyridyl)ethane・4hydrochrolideの合成
300mL三口反応容器に回転子を入れ、三方コック、バルーン、玉栓を取り付け、(D)1,2-bis(2-cyano-6-pyridyl)ethane (1.0g 4.27mmol)、dry THF 200mLを加え攪拌した。反応容器を氷浴につけ十分に冷却後、LiAlH4 (1.1g 21.9mmol)を加え、30分間氷浴下で攪拌した後、室温で5時間攪拌した。再び反応容器を氷浴につけ20% NaOHaqを溶液が黄色になるまで滴下した。析出した塩をTHFで洗浄しながらセライト濾過で除き、濾液をエバポレーターで濃縮後、適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3(50mL×4)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると黄色の油状物質が得られた。油状物質をCHCl3に溶解させ、12M HClをpHが1になるまで加え、10分間攪拌した後、分液ロートを用いて抽出した。アルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮すると、黄色の固体が塩酸塩として得られた。得られた固体をC3H6O、MeOHを用いて洗浄しながら濾集して黄色固体を得た。
収率:62%(1.0g)
【実施例】
【0031】
(G)2-hydroxymethylpyridineの合成
原料である(F)2-pyridinecarboxaldehydeは使用する前に減圧蒸留し、精製したものを15分以内に使用した。200mL反応容器に回転子を入れdry THF (90mL)、蒸留水(10mL)の混合溶媒中に2-pyridinecarboxaldehyde (1.6g 14.6mmol)を加え攪拌した。反応容器を氷浴につけ十分に冷却後、NaBH4 (1.2g 31.7mmol)を加えた。室温で90分間攪拌した後、氷浴で冷却しながら4M HCl を加え、NaBH4 を完全に溶解させた。pH試験紙によりpHが2まで下がったことを確認した。THFをアルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮後、これにCHCl3 50mLを加え、氷浴で冷却しながらNa2CO3を少しずつ加えて中和した。適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3 (50mL×4)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮すると1.0gの無色の油状物質が得られた。
収率:60%(1.0g)
【実施例】
【0032】
(H)2-bromomethylpyridine・dihydrobromideの合成
30mL反応容器に回転子を入れ、(G)2-hydroxymethylpyridine (5.5g 50.4mmol)を量り入れた。35% HBr/AcOH (140mL)を加え20℃の油浴で攪拌した。還流管を取り付け、徐々に10℃ずつ油浴の温度を上げ、100℃とした。油浴を100℃に保ちながら20時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻した後、少量の酢酸エチルを加えてしばらく放置すると、白色固体が析出した。これを酢酸エチルで洗浄しながら濾集、真空乾燥すると白色の固体が得られた。
収率:74%(9.6g)
【実施例】
【0033】
(I)1,2-bis(2-(bis(2-pyridylmethyl)aminomethyl)6-pyridyl)ethane (6-hpa)の合成
100mL反応容器に回転子を入れ、(E)1,2-bis(2-aminomethyl-6-pyridyl)ethane (0.20g 0.51mmol)を量り入れ、dry MeCN(25mL)、diisopropylethylamine (1.3mL 7.62mmol)を加え、加熱して溶解させた。そこに(H)2-bromomethylpyridine・dihydrobromide (0.55g 2.18mmol)を加え、反応容器内をN2置換した後、18時間攪拌した。18時間後、MeCNをエバポレーターで濃縮後、系中に残存しているdiisopropylethylamineの塩を除くためNa2CO3を加え、適量のH2O、CHCl3を加え、分液ロートを用いてCHCl3 (30mL×3)で抽出した。Na2SO4を加え脱水した後、濃縮し、真空ラインで減圧し残留しているdiisopropylethylamineを完全に除去すると茶色の固体が析出した。その固体を最低限のMeCNで洗浄しながら濾集、真空乾燥すると肌色の固体が得られた。
収率:55%(0.17g)
【実施例】
【0034】
得られた生成物(I)が、6-hpaであることは、核磁気共鳴スペクトル(1H NMRスペクトル)によって確認した。
【実施例】
【0035】
[製造例2]6-hpaの二核ニッケル錯体;[Ni2(6-hpa)(μ-OAc)2](ClO4)2の合成
5 mLサンプル管に回転子を入れ、秤量した6-hpa (0.1 g, 0.15 mmol)を1.0 mL MeCNに溶解させ、ここに蒸留水 1.0 mLを加えた。Ni(ClO4)2・6H2O (0.12 g, 0.33 mmol)を粉末のまま加え、30分撹拌した。この溶液に無水Na(OAc) (0.062 g, 0.76 mmol)を粉末のまま加えて溶かし、しばらく撹拌すると薄い紫色の沈殿が生じた。この溶液を5時間撹拌した後、薄い紫色の沈殿を吸引濾過で回収し、少量の蒸留水で洗浄し、真空乾燥した。得られた粉末をMeCN/CH2Cl2/Benzeneから再結晶して、単結晶X線構造解析に適した紫色の単結晶を得た。
【実施例】
【0036】
得られた結晶について、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を行った(図3参照)。その結果、[Ni2(6-hpa)(μ-OAc)2]2+がメインピークとして確認できた。また、得られた結晶について、赤外分光分析(IR)を行った(図4)。その結果、架橋アセテイト(μ-OAc)の存在が確認できた。
【実施例】
【0037】
[製造例3]6-hpeaの製造
図2に示す合成ルートにより、6-hpeaを製造した。原料である図2の(J)2-amino-6-picolineおよび(P)Vinylpyridineは、市販品を利用した。
【実施例】
【0038】
(K)2-bromo-6-methylpyridineの合成
1000 ml四口反応容器にメカニカルスターラー、アルカリトラップ、二つの200 ml等圧滴下ロートを取り付け、(J)2-amino-6-picoline (27.0 g 0.25 mol) を加え、48 % HBr (125 ml 2.31 mol)に溶解させ、メカニカルスターラーで激しく攪拌した。反応容器を食塩水を入れた氷浴に浸し、-10℃まで冷却した。以下の中和までの操作は氷浴下で行った。メカニカルスターラーで激しく攪拌しながらBr2 (37.5 ml 0.72 mol)を等圧滴下ロートに移し、反応溶液の温度を0℃に保ちながら2時間程度かけてゆっくりと反応容器に滴下した。溶液は薄い黄色からオレンジ色を経て茶色に変化した。NaNO2 (42.5 g 0.615 mol)を量り取り、約100 ml蒸留水に溶解させた。これを等圧滴下ロートから約3時間程度かけて滴下した。このとき、反応溶液の温度が10℃を越えない様に注意した。反応を完結させるため、さらにNaNO2 (2.50 g 0.036 mol)を約10 mlの蒸留水に溶解させて加え、反応溶液から気泡が発生していないことを確認した。この溶液を氷浴で低温に保ちながら、NaOH (95 g 2.35 mol)を約300mlの蒸留水に溶解し、十分冷却した後、少しずつ等圧滴下ロートを用いて溶液に加えて中和した。このとき、反応溶液の温度が20℃を越えない様に注意した。pHが中性になると溶液の色は蛍光イエローになった。pH試験紙でpH 8程度になったのを確認後、滴下をやめて、反応溶液を分液ロートに移し、Et2O (300 ml×5)で抽出し、有機層を集め、Na2SO4で乾燥した後、濃縮すると褐色の油状物質が得られた。この油状物質を精留管を取り付けた蒸留装置を用いて減圧蒸留(油浴温度55℃)し、28.4 gの透明な黄色油状物質を得た。この物質は脱気及び窒素置換した後、-40℃で保存した。
収率:66%
【実施例】
【0039】
(L)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethaneの合成
dry THFは蒸留直後のものを使用した。500 mlの三口反応容器に回転子を入れて、三方コック、50 mlの等圧滴下ロート、セプタムキャップ、バルーンを付け、真空乾燥した。(K)2-bromo-6-methylpyridine (23.4 g 0.136 mol)を50 ml等圧滴下ロートに入れた後、反応容器内を窒素雰囲気下にして、diisopropylamine (20 ml 0.137 mol)、dry THF 300 mlをセプタムキャップからシリンジで加え、反応容器内を再度脱気及び窒素置換した後、EtOH浴で-80℃まで冷却した。EtOH浴の温度を-80℃に保ちながら1.6 Mn-BuLi (86 ml 0.137 mol)をシリンジで加えて-60℃に昇温して20分間攪拌した後、再び-80℃に冷却して50 ml等圧滴下ロートより(K)2-bromo-6-methylpyridineを20分かけて滴下し、-80℃で2時間反応させた。この時、反応溶液は淡赤色に変化し、徐々に黒赤色に変化した。2時間後、1,2-dibromoethane (11.8 ml 0.139 mol)をシリンジで加えた。反応溶液は赤紫色に変化した。反応容器をEtOH浴から外し、窒素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。これに蒸留水20 mlを加え5分ほど撹拌し反応を終了させた。反応溶液を1000 mlナスフラスコに移しTHFをエバポレーターで濃縮後、分液ロートを用いてCHCl3 (100 ml×5)で分液した。有機層をNa2SO4で脱水した後、濃縮すると赤紫色の固体が得られた。この固体をMeOHで洗浄しながら桐山ロートでろ集すると桃白色の固体が得られた。ろ液を濃縮し、MeOHで洗浄する一連の操作を数回繰り返し、桐山ロート上の桃白色沈殿を回収した。集めた固体を真空乾燥した後、桃白色の固体をHexane:CHCl3=5 : 1の混合溶液に懸濁させ、油浴で加熱しながら溶解させた(油浴温度80℃)後、とけ残った赤色の不純物を熱時濾過し除去した。ろ液をエバポレーターで濃縮すると黄白色の固体が析出した。またMeOHで洗浄したろ液を濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィー(elunt:CH2Cl2)で精製し、目的物の入ったフラクションを集め、エバポレーターで濃縮すると黄色の固体が得られた。この固体を合わせてHexaneで洗浄しながらろ集、真空乾燥すると18.1 gの白色の固体が得られた。
収率:78%
【実施例】
【0040】
(M)1,2-bis(2-formyl-6-pyridyl)ethaneの合成
dry THF及びdry DMFは蒸留直後のものを使用した。500 ml三口反応容器に(L)1,2-bis(2-bromo-6-pyridyl)ethane (5.13 g 15 mmol)を入れ、セプタムキャップ、三方コック、50 ml等圧滴下ロートを取り付け真空乾燥を行った。シリンジを用いてdry THF 300 mlを反応容器に入れ、反応容器内を再度N2置換した後、EtOH浴で-80℃まで冷却した。-80℃に保ちながら反応容器にn-BuLi (22 ml 35 mmol)をシリンジで加えた。この時、溶液は薄黄色から赤色に変化した。1時間攪拌した後、dry DMF (5 ml 55 mmol)をdry THF 45 mlで希釈した溶液を50 ml等圧滴下漏斗に入れ、-80℃に保ったまま、1時間かけて滴下した。溶液は徐々に赤からオレンジ色に変化した。EtOH浴を外し、室温にまで戻し、5時間攪拌した。反応の進行につれて溶液の色はオレンジから薄い黄色になった。5時間後、2M HCl 40 mlを反応容器に加え、30分撹拌し反応を完結させた。THFをアルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮後、1000 mlビーカーに溶液を開け、これにCH2Cl2 200 mlとH2O 100 mlおよび氷を加えた。氷浴で発熱を防ぎながら水層をNa2CO3で慎重に中和し(pH7~8)、分液ロートを用いてCH2Cl2 (100 ml×5)で抽出した。Na2SO4で脱水した後、エバポレーターで濃縮すると茶褐色の固体が得られた。得られた固体をMeCNで洗浄しながらろ集すると2.72 gの白色固体が得られた。
収率:75%
【実施例】
【0041】
(N)1,2-bis(2-hydroxymethyl-6-pyridyl)ethaneの合成
200 ml反応容器に回転子を入れて、dry THF 90 ml、蒸留水15 mlの混合溶媒中に(M)1,2-bis(2-formyl-6-pyridyl)ethane (1.20 g 5.01 mmol) を加え攪拌し溶解させた。反応容器を氷浴につけ十分に冷却した後、NaBH4 (0.405 g 10.7 mmol) を加えた。室温で90分間攪拌した後、氷浴で冷却しながら12 M HClをパスツールを用いてゆっくり少しずつ加え、NaBH4を完全に分解させた。pH試験紙によりpHが2付近まで下がったことを確認した。THFをアルカリトラップ存在下においてエバポレーターで濃縮後、これに最少量のH2O を加え、氷浴で冷却しながらNa2CO3を少しずつ加えて中和すると白色固体が析出した。得られた固体を少量のH2Oで洗浄しながらろ集し、真空乾燥すると1.12 gの白色の固体が得られた。
収率:91%
【実施例】
【0042】
(O)1,2-bis(6-bromomethyl-2-pyridyl)ethane・dihydrobromide
30 ml反応容器に回転子を入れて、(N)1,2-bis(2-hydroxymethyl-6-pyridyl)ethane (1.08 g 4.41 mmol)を量り入れた。35% HBr/AcOHを20 ml加え、20℃の油浴で攪拌した。この時溶液は懸濁していた。還流管を取り付け、4時間かけて10℃ずつ油浴の温度を上げ、100℃とした。この時、50℃でしばらく反応させると懸濁していた溶液は徐々に溶解し均一になった。油浴を100℃に保ちながら20時間加熱還流(油浴温度100℃)した。反応溶液を室温に戻した後、少量の酢酸エチルを加えてしばらく静置すると、白色固体が析出した。これを酢酸エチルで洗浄しながらろ集、真空乾燥すると2.16 gの白色固体が得られた。
収率:92%
【実施例】
【0043】
(Q)bis(2-pyridylethyl)hydroxylamineの合成
(P)Vinylpyridineは使用直前に減圧蒸留したものを使用した。100 mLナスフラスコに回転子を入れ、そこに(P)Vinylpyridine (25 g, 0.235 mol)を量りいれ、続いてNH2OH・HCl (12.3 g, 0.18 mol)を粉末のまま加え、15時間撹拌した。この時、溶液は徐々に粘性のあるゲル状に変化した。15時間後、このゲル状物質を飽和NaHCO3水溶液で中和し、CHCl3で分液し、有機層を抽出した(100 mL×5)。抽出した有機層をNa2SO4で脱水後、エバポレーターで濃縮すると黄色の粘性のある固体が得られた。得られた固体をCH2Cl2 / n-hexaneから再結晶すると31.1 gの白色固体が得られた。
収率:92%
【実施例】
【0044】
(R)bis(2-pyridylethyl)amineの合成
2N HCl水溶液 150 mLが入った300 mLナスフラスコに回転子を入れた後、(Q)bis(2-pyridylethyl)hydroxylamine (30 g, 0.126 mol)とZn powder (40.4 g, 0.60 mol)を加え、90℃で2時間加熱還流を行った。2時間後、反応溶液を室温にし、亜鉛粉末を吸引濾過で除去した。ろ液を氷浴で冷却しながら、10%NH3水溶液を加えpHを10にし、CHCl3で分液し、有機層を抽出した(100 mL×5)。抽出した有機層をNa2SO4で脱水後、エバポレーターで濃縮すると黄色の油状物質が得られた。得られた油状物質をEtOH 150 mLに溶解させ、NH4Cl水溶液と濃H2SO4から発生させたHCl gasと反応させることで黄色の固体の塩酸塩とし、これをEtOHで洗浄しながらろ集すると、38.2gの白色固体が得られた。
収率:92%
【実施例】
【0045】
(S)1,2-bis(2-(bis(2-pyridylethyl)aminomethyl)6-pyridyl)ethane (6-hpea)の合成
30 mLナスフラスコに回転子を入れ、(R)bis(2-pyridylethyl)amine 3HCl (1.39 g, 4.14 mmol)とMeCN 10 mLを加えた後、N,N-diisopropylethylamine (20.0 mmol)を加えて撹拌した。この溶液に対して、(O)1,2-bis(6-bromomethyl-2-pyridyl)ethane・dihydrobromide (1.0 g, 1.88 mmol)を粉末のまま加え、12時間撹拌した。12時間後、MeCNをエバポレーターで濃縮し、CHCl3 30 mLに溶解させ、飽和Na2CO3水溶液で3回洗浄した。洗浄した有機層を集め、Na2SO4で脱水後、エバポレーターで濃縮すると茶色の油状物質が得られた。得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液CHCl3:MeOH=50:1~20:1)で精製し、目的物のみが含まれるフラクションを集め濃縮すると0.93 gの黄色の油状物質が得られた。
収率:75%
【実施例】
【0046】
得られた生成物(S)が、6-hpeaであることは、核磁気共鳴スペクトル(1H NMRスペクトル)によって確認した。
【実施例】
【0047】
[製造例4]6-hpeaの二核ニッケル錯体;[Ni2(6-hpea)(μ-OAc)2](ClO4)2
5 mLサンプル管に回転子を入れ、秤量した6-hpea (0.1 g, 0.15 mmol)を1.0 mL MeCNに溶解させ、ここに蒸留水 1.0 mLを加えた。Ni(ClO4)2・6H2O (0.12 g, 0.33 mmol)を粉末のまま加え、30分撹拌した。この溶液に無水Na(OAc) (0.062 g, 0.76 mmol)を粉末のまま加えて溶かし、しばらく撹拌すると薄い紫色の沈殿が生じた。この溶液を5時間撹拌した後、薄い紫色の沈殿を吸引濾過で回収し、少量の蒸留水で洗浄し、真空乾燥した。得られた粉末をMeCN/CH2Cl2/Benzeneから再結晶して、単結晶X線構造解析に適した紫色の単結晶を得た。
【実施例】
【0048】
得られた結晶について、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を行った(図5参照)。その結果、[Ni2(6-hpea)(μ-OAc)2]2+がメインピークとして確認できた。また、得られた結晶について、赤外分光分析(IR)を行った(図6参照)。
【実施例】
【0049】
6-hpaおよび6-hpeaを配位子とする、二核ニッケル錯体の合成を図7にまとめる。図7に示すように、6-hpaおよび6-hpea配位子の二核ニッケル錯体として、[Ni2(6-hpa)(μ-OAc)2]2+、 [Ni2(6-hpea)(μ-OAc)2]2+の生成が確認された。
【実施例】
【0050】
[ベンゼンの酸化によるフェノールの生成反応(1)]触媒:6-hpaの二核Ni(II)錯体
以下の手順により、酸化剤として過酸化水素を用いて、ベンゼンをフェノールに変換した:
30mlの二口反応容器に、錯体[NiII2(6-hpa)(μ-OAc)2](ClO4)2(0.26mg、0.25μmol)を入れ、5.0 mL のMeCNに溶解させた。これに、ベンゼン(0.39 g, 5 mmol)をアルミナカラムに通してから加えた。反応容器にバルーンが付いた三方コックやセプタムキャップを取り付け、Et3N(5.0μmol)を入れた。反応容器を60℃の水浴につけてから、H2O2 30% (2.5 mL, 30 mmol)を入れ、酸化反応を開始した。生成したフェノールの定量は、GC やGC-MS によって行った。このとき、反応溶液を一部取り、これに一定量のニトロベンゼンを内部標準として加えた。反応条件を以下の表にまとめる。
【実施例】
【0051】
【表1】
JP2017057177A_000006t.gif
【実施例】
【0052】
[ベンゼンの酸化によるフェノールの生成反応(2)]触媒:6-hpeaの二核Ni(II)錯体
触媒として[NiII2(6-hpea)(μ-OAc)2](ClO4)2(0.27mg 0.25μmol)を使用した以外は、上記と同じ方法により、ベンゼンをフェノールに変換した。
【実施例】
【0053】
上記実験の結果、反応時間24時間後のフェノール収率は、6-hpaの二核Ni錯体を触媒とした場合、用いたベンゼンあたり、約4%となり、6-hpeaの二核Ni錯体を触媒とした場合、約2%となり、本発明の二核ニッケル触媒を使用すれば、温和な条件(約60℃・常圧)であっても、ベンゼンからフェノールが製造できることが分かった。
また、ジフェノール等の不純物はほとんど検出されず、本発明の触媒が芳香族環上の一つのC-H結合のみを選択的にC-OH結合に変換することが分かった。
【実施例】
【0054】
また、反応時間24時間後のフェノール生成の触媒回転数は、6-hpaの二核Ni錯体を触媒とした場合、約150回となり、6-hpeaの二核Ni錯体を触媒とした場合、約100回となり、本発明の二核ニッケル触媒を使用すれば、温和な条件(約60℃・常圧)であっても、24時間で約100回以上の触媒回転数が得られることが分かった。
【実施例】
【0055】
図8に、6-hpaの二核Ni錯体の触媒回転数のグラフを示す。図8に示すように、ベンゼンの酸化反応において、6-hpaの二核ニッケル錯体の触媒回転数は、50時間で400回程度に達した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7