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明細書 :プローブおよび超音波画像表示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-074165 (P2017-074165A)
公開日 平成29年4月20日(2017.4.20)
発明の名称または考案の名称 プローブおよび超音波画像表示装置
国際特許分類 A61B   8/08        (2006.01)
FI A61B 8/08
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2015-202627 (P2015-202627)
出願日 平成27年10月14日(2015.10.14)
発明者または考案者 【氏名】眞野 功
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
テーマコード 4C601
Fターム 4C601BB09
4C601BB13
4C601BB21
4C601DD10
4C601DD18
4C601GB05
4C601GB13
4C601GB17
4C601GC02
4C601GC14
4C601KK12
要約 【課題】超音波ビームの方位分解能を改善して、ボケの少ない鮮明なBモード画像を得られるプローブを提供する。
【解決手段】プローブ3は、生体に対して超音波ビームを送信し、かつ生体から受信した超音波を電気信号に変換するトランスデューサ32を備えている。本発明では、トランスデューサ32として、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサを用いており、超音波画像表示装置は、当該プローブ3を用いて生成したエコー信号に基づいてBモード画像を生成している。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
生体に対して超音波ビームを送信し、かつ生体から受信した超音波を電気信号に変換するトランスデューサを備えたプローブであって、
前記トランスデューサとして、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサを用いることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記リング状のトランスデューサの内径は、外径Lの略1/2以上である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記トランスデューサは、薄板状の圧電振動子の両面に電極が形成されたものであり、当該トランスデューサに方形波1波の駆動信号を印加してパルス状の超音波ビームを発生させる、請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項4】
生体に対して超音波ビームを送信し、かつ生体から受信したエコー波を電気信号に変換してエコー信号のデータを生成するトランスデューサを備えたプローブと、
前記プローブから送信される超音波ビームの位置を変える走査部と、
前記走査部により走査され、複数の位置において生成された前記エコー信号のデータを、位置の情報と共に記憶する記憶部と、
前記エコー信号のデータに基づいてBモード画像データを生成するBモード画像データ生成部と、
前記Bモード画像データ生成部で生成されたBモード画像データを表示する表示部と、を備え、
前記トランスデューサとして、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサを用いることを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記リング状のトランスデューサの内径は、外径Lの略1/2以上である、請求項4に記載の超音波画像表示装置。
【請求項6】
前記走査部は、前記プローブを機械的に移動させることによって前記超音波ビームの送信位置を変える、請求項4または5に記載の超音波画像表示装置。
【請求項7】
信号処理部を更に備え、前記エコー信号は、当該信号処理部において、エコー波の距離に応じて減衰の補正が行われた後、前記Bモード画像データの生成に用いられる、請求項4ないし6のいずれかに記載の超音波画像表示装置。
【請求項8】
骨情報算出部を更に備え、当該骨情報算出部は、前記エコー信号のデータのうち生体内の骨の中心付近を通る超音波ビームのエコー信号のデータに基づいて前記骨の外径と厚みを算出する、請求項4ないし7のいずれかに記載の超音波画像表示装置。
【請求項9】
請求項4に記載のプローブに代え、円板状の圧電振動子を同心円状に分割した複数のリング状のトランスデューサでプローブを構成し、
前記それぞれのトランスデューサに位相の異なる方形波1波の駆動信号を印加することで、各トランスデューサから発信される超音波を収束させ、
かつ前記各トランスデューサで受信したエコー波の信号を遅延させることでエコー信号の位相を合わせることを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項10】
複数の圧電振動子を平面上にマトリクス状に配置し、当該複数の圧電振動子を、擬似の複数のリング状のトランスデューサを構成するようにグループ分けし、
請求項9に記載の複数のリング状のトランスデューサに代え、当該グループ分けされた擬似の複数のリング状のトランスデューサを用いて超音波の送受信を行うことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載のプローブを2個用い、当該2個のプローブのうち一方のプローブから超音波ビームを送信し、生体内を通過した超音波を他方のプローブで受信して電気信号に変換することを特徴とする透過波信号の計測装置。
【請求項12】
前記トランスデューサは、薄板状の圧電振動子の両面に電極が形成されたものであり、当該トランスデューサに正弦波1波の駆動信号を印加して超音波ビームを発生させる、請求項11に記載の透過波信号の計測装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の送受信を行うプローブおよび当該プローブを用いて生体内の組織の画像を表示する超音波画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体内の骨の状態を見るのにX線CTが使用されているが、設備が高価であり、また被曝の問題がある。またMRI(Magnetic Resonance Imaging)も使用されているが、極めて高価で、かなりの設置場所をとり、簡便さに欠ける。
【0003】
これに対し、超音波は生体への影響がなく、操作が簡単で比較的安価であることから、生体内の軟部組織の画像診断に広く用いられている。
【0004】
発明者等は、先に、超音波により生体内の骨密度を診断する装置を提案した(非特許文献1)。この装置は、超音波の送受信を行なうトランスデューサを内蔵した一対のプローブを、生体を挟んで対向する位置に配置し、その状態で超音波の送受信を行い、骨面や骨内部で反射したエコー波形の信号を解析することにより、骨密度の診断に必要な情報を得るものである。
【0005】
上述した装置では、超音波の照射位置を機械的または電子的に移動させて、生体の断面を表示したBモードの画像を生成し、その画像を見ながら骨の位置を確認すると共に、骨に照射された超音波のエコー波形を解析することによって骨の外径や厚みに関する情報を取得している。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】:Japanese Journal of Applied Physics 52 (2013)07HF05
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、超音波の送受信を行うプローブにおいては、トランスデューサとして、放射面が湾曲した円形の圧電振動子を用いていた。そして圧電振動子の両面に形成された電極間にパルス状の駆動信号を印加することによって超音波を発生させ、生体組織から反射したエコー波を圧電振動子で受信し、エコー波に対応した強さの電気信号を発生させ、その電気信号に基づいてBモードの画像を得ていた。
【0008】
しかし、上述した従来のプローブでは、音軸上において、焦点より近い領域と遠い領域では、送波および受波の感度が低くなり、またビーム幅も太くなるため、十分な方位分解能が得られない(すなわち焦点深度が浅い)。結果として、エコー波によって生成されたBモード画像の輝度が低く、かつボケやすいという問題があった。
【0009】
一方、焦点深度を深くするために、ダイナミック収束、すなわち受波の焦点を近いところから遠いところに変えながらエコー波を受信することも考えられるが、焦点を切り替えるために時間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は上述の状況に鑑みてなされたもので、超音波ビームの方位分解能を改善して、ボケの少ない鮮明なBモード画像を得られるプローブ、およびそれを用いた超音波画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明にかかるプローブは、生体に対して超音波ビームを送信し、かつ生体から受信した超音波を電気信号に変換するトランスデューサを備えたプローブであって、
前記トランスデューサとして、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサを用いることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記リング状のトランスデューサの内径は、外径Lの略1/2以上であることが好ましい。また前記トランスデューサは、薄板状の圧電振動子の両面に電極が形成されたものであり、当該トランスデューサに方形波1波の駆動信号を印加してパルス状の超音波ビームを発生させることが好ましい。
【0013】
また本発明にかかる超音波画像表示装置は、
生体に対して超音波ビームを送信し、かつ生体から受信したエコー波を電気信号に変換してエコー信号のデータを生成するトランスデューサを備えたプローブと、
前記プローブから送信される超音波ビームの位置を変える走査部と、
前記走査部により走査され、複数の位置において生成された前記エコー信号のデータを、位置の情報と共に記憶する記憶部と、
前記エコー信号のデータに基づいて第1のBモード画像データを生成するBモード画像データ生成部と、
前記Bモード画像データ生成部で生成された第1のBモード画像データを表示する表示部と、を備え、
前記トランスデューサとして、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサを用いることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記走査部は、前記プローブを機械的に移動させることによって前記超音波ビームの送信位置を変えることが好ましい。
【0015】
また信号処理部を更に備え、前記エコー信号は、当該信号処理部において、エコー波の距離に応じて減衰の補正が行われた後、前記第1のBモード画像データの生成に用いられることが好ましい。
【0016】
なお、骨情報算出部を更に備え、当該骨情報算出部は、前記エコー信号のデータのうち生体内の骨の中心付近を通る超音波ビームのエコー信号のデータに基づいて前記骨の外径と厚みを算出しても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるプローブを用いれば、超音波ビームの方位分解能が改善され、更には焦点を切り替えることなく、ボケの少ない鮮明なエコー波のBモード画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる超音波画像表示装置のうち生体に対して超音波を送受信する部分の基本的な構成を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかるプローブの外観を示す図である。
【図3】実施の形態1にかかる超音波画像表示装置の信号処理系の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1のプローブを用いて超音波ビームを送信した際の音圧の実測値をグレースケールで表示した図である。
【図5】従来のプローブを用いて超音波ビームを送信した際の音圧の実測値をグレースケールで表示した図である。
【図6】実施の形態1のプローブを用いて生成された円柱のBモード画像を示す図である。
【図7】従来のプローブを用いて生成された円柱のBモード画像を示す図である。
【図8】実施の形態1の超音波画像表示装置を用いて生成された前腕部のBモード画像を示す図である。
【図9】従来の超音波画像表示装置を用いて生成された前腕部のBモード画像を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2において使用するプローブの外観を示す図である。
【図11】実施の形態2のプローブを用いて超音波ビームを送信した際の音圧のシミュレーション結果をグレースケールで表示した図(その1)である。
【図12】実施の形態2のプローブを用いて超音波ビームを送信した際の音圧のシミュレーション結果をグレースケールで表示した図(その2)である。
【図13】実施の形態2のプローブを用いて超音波ビームを送信した際の音圧のシミュレーション結果をグレースケールで表示した図(その3)である。
【図14】プローブを2個用いて透過波による信号を計測する実施の形態3にかかる装置の構成を示す図である。
【図15】実施の形態3において得た透過波のグラフ(その1)である。
【図16】実施の形態3において得た透過波のグラフ(その2)である。
【図17】実施の形態3において得た透過波のグラフ(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態にかかるプローブおよび超音波画像表示装置について、図面を参照して説明する。

【0020】
(実施の形態1)
<超音波画像表示装置の構成>
図1に、本発明の実施の形態1にかかる超音波画像表示装置1のうち生体に対して超音波を送受信する部分の基本的な構成を示す。

【0021】
本実施の形態では、水平の台(図示せず)の上に固定された人の前腕部100に対し、左右に配置された一対のプローブ3aおよび3bから、水が充填されたウォーターバッグ2aおよび2bを介して、生体に向けてパルス状の超音波ビームUBを放射している。そして、生体内で反射したエコー波を、再度、プローブ3aおよび3bで受信して電気信号に変換して、エコー波の信号を得ている。

【0022】
プローブ3aおよび3b(以降、総称して「プローブ3」とも云う)は水平線上の対向する位置に設置されており、プローブ3aから右向きに超音波ビームUBが送信され、プローブ3bから左向きに超音波ビームUBが送信される。

【0023】
また図1では省略しているが、プローブ3aおよび3bを、移動手段を用いて上下方向(図中破線の矢印で示す)に機械的に走査し、一定の間隔(例えば0.25mm)ずらしながら、超音波ビームの送信とエコー波の受信を繰り返す。このようにして得られたエコー波の信号に基づいて、前腕部手首付近の断面のBモード画像を生成し、液晶ディスプレイ等の画面に表示する。

【0024】
そして、Bモード画像に基づいて生体内の骨の位置を確認し、超音波ビームが骨の中心付近に放射された一対のエコー波の信号を取り出し、その波形を解析することによって骨密度の診断に必要な骨の外径や厚みを算出している。

【0025】
人の前腕部100について簡単に説明すると、前腕部100は、皮膚、筋肉等の軟組織130がとう骨110と尺骨120で支持されている。骨密度の診断に必要な情報を取得する際には、検査のやり易さから、とう骨110に超音波を照射する場合が多い。図示するように、とう骨110は、軟組織を含む海綿骨112を中心にして皮質骨111がそれを取り巻くように配置されている。

【0026】
<プローブの構造と駆動方法>
図2に本実施の形態にかかるプローブ3の外観を示す。プローブ3は、生体内に超音波ビームを送信し、また生体から超音波エコーを受信して電気信号に変換するもので、円筒状のプローブ本体31の前部に、前面が湾曲した円柱状のダンパー33を配置し、その表面に、湾曲した円形の圧電振動子から切り出されたリング状のトランスデューサ32を取り付けたものである。

【0027】
本実施の形態では、トランスデューサ32として、PVDF(polyvinylidene difluoride)製の薄板状の圧電振動子の両面に電極を形成したものを、直径約20mmのダンパー33の表面に貼り付けている。トランスデューサ32の外径は20mm、内径は14.4mmである。またトランスデューサ32の焦点距離は約40mm、トランスデューサ32から送信される超音波の中心周波数は約10MHzである。

【0028】
ダンパー33は、後方への超音波の伝播を抑制するものであり、パルス幅を短くするのに寄与している。また図示しないが、トランスデューサ32の表面は防水のためポリイミド膜で覆われている。

【0029】
上述したトランスデューサ32の電極に、パルス状の駆動信号を送って電圧を印加すると圧電振動子が伸縮し、この伸縮によってパルス状の超音波が発生して超音波ビームUBが形成される。また圧電振動子は、生体組織から反射したエコー波を受信することによって伸縮し、エコー波に対応した強さの電気信号を発生させる。

【0030】
<超音波画像表示装置の信号処理系の構成>
次に、図3に基づいて、本実施の形態にかかる超音波画像表示装置1の信号処理系の構成を説明する。超音波画像表示装置1は、前述したプローブ3a、3b以外に、制御部11、操作部12、駆動信号発生部13、プローブ走査部14、モータ15、エンコーダ16、信号処理部17、第1記憶部18、Bモード画像データ生成部19、第2記憶部20、画像処理部21、表示部22、骨情報算出部23および第3記憶部24で構成されている。これらのうちプローブ3a、3bの構造および駆動方法については、後に図面を参照して詳述する。

【0031】
構成部材のうち、制御部11、Bモード画像データ生成部19、画像処理部21および骨情報算出部23のそれぞれの機能は、図示しないマイクロプロセッサにより実現される。マイクロプロセッサは、CPU、ROM、RAMおよび不揮発性メモリで構成され、不揮発性メモリに格納されたソフトウェア(プログラム)を読み出してCPUで実行することにより、上記各部材の機能を実現する。

【0032】
また第1記憶部18、第2記憶部20および第3記憶部24の機能は、ハードディスクドライブやメモリカード等の外部記憶装置によって実現される。

【0033】
なお、図では、1台のモータ15を用いて、超音波プローブ3aおよび3bを垂直方向に走査、すなわち一定間隔で移動させているが、超音波プローブ3aおよび3bを、それぞれ専用のモータを用いて移動させるようにしてもよい。

【0034】
制御部11は、操作部12から入力されたデータに従って、超音波画像表示装置1の各部の動作を制御する。なお、制御部11と各構成部材の間は制御用の配線で結ばれているが、図では、煩雑さを避けるために省略している。

【0035】
操作部12は、操作者が、Bモード画像の生成に必要なデータ(例えば、プローブ3の1回の移動距離)や画像生成の指示等を入力するのに用いられ、キーボードやスイッチで構成されている。

【0036】
駆動信号発生部13は、プローブ3の駆動信号を発生させるもので、本実施の形態では、電圧50V、幅0.25μsの方形波1波を発生させ、トランスデューサの電極間に印加している。

【0037】
プローブ走査部14は、超音波ビームUBの送信位置を走査するもので、プローブ3aおよび3bを一定間隔で垂直方向に移動させる。図示しないが、プローブ3aおよび3bは、それぞれボールネジに取り付けられたフレームに支持されており、モータ15を回転すると、フレームおよびこれに支持されたプローブ3aおよび3bが垂直方向に移動する。

【0038】
プローブ3aおよび3bの移動距離は、モータ15の回転軸に取り付けられたエンコーダ16によってモータ15の回転数を数えることにより制御される。プローブ走査部14は、エンコーダ16からの信号に基づいてプローブ3aおよび3bの移動量を制御し、プローブ3aおよび3bからの超音波ビームUBの送信とエコー波の受信を終える毎に、プローブ3aおよび3bを一定距離(本実施の形態では0.25mm)垂直方向に移動させる。

【0039】
プローブ3aおよび3bで発生したエコー波の受信信号は信号処理部17に入力される。図示しないが、信号処理部17は、ノイズ除去フィルター、信号増幅器およびA/D変換器で構成されており、ノイズ除去フィルターおよび信号増幅器で不要なノイズの除去と信号の増幅がなされた後、A/D変換器によってデジタル信号に変換されてエコー信号となる。

【0040】
なお、A/D変換器のサンプリング周波数としては、少なくともエコー波に含まれる周波数の10倍程度の周波数が必要であり、エコー波の周波数の16倍程度の周波数が好ましい。

【0041】
第1記憶部18は、信号処理部17によってデジタル信号に変換されたエコー信号を、プローブ3の駆動毎に、エンコーダ16から出力されたモータ15の回転数、すなわちプローブ3の垂直方向の位置情報と共に記憶する。

【0042】
第1記憶部18へのエコー信号のデータの記憶は、図1においてプローブ3が上端から移動を開始し、下端において移動を終了するまで続けられ、最終的にBモードの1画面分のデータが第1記憶部18に記憶される。

【0043】
Bモード画像データ生成部19は、第1記憶部18に記憶された1画面分のエコー信号のデータを読み出し、それぞれのエコー信号に対してSTC(sensitivity time control)機能を用いて距離による減衰の補正を行った後、包絡線検波処理を施して、Bモード画像データを生成する。生成されたBモード画像データは、第2記憶部20に記憶される。

【0044】
画像処理部21は、第2記憶部20に記憶されたBモード画像データに各種の画像処理(例えば、画像に寸法確認用のスケールをスーパーインポーズする)を施す。画像処理が施されたBモード画像データは、LCDディスプレイ等で構成された表示部22に転送された後、表示部22の画面に表示される。

【0045】
図4に、本実施の形態にかかるプローブ3を用いて超音波ビームを送信したときの音圧を、ニードル型ハイドロフォンを用いて計測した値をグレースケールで表示した画像を示す。

【0046】
音圧の計測に際しては、プローブ3を水槽中に沈めて水平方向に超音波ビームを放射し、ニードル型ハイドロフォンを、音軸を含む鉛直面内で二次元に移動させながら行った。

【0047】
図4(a)は、音圧の実測値をグレースケールで表示したものであり、音圧が高い程、白色の輝度が強くなる。図中、横軸はプローブの超音波放射面からの距離、縦軸は音軸からの距離を示す。図4(b)は、図4(a)に示す画像において、超音波放射面からの距離ごとに、最大音圧(概ね音軸上が音圧最大)に対して1/2以上となるエリアを白色で表示したものである。図4(b)の画像は図4(a)の画像に比べて超音波ビームの広がりが把握し易い。

【0048】
図5(a)(b)は、比較のため、従来のプローブ、すなわち湾曲した円形の圧電振動子(直径20mm)を用いて超音波ビームを送信したときの音圧をグレースケールで表示した画像と、超音波放射面からの距離ごとに、最大音圧に対して1/2以上となるエリアを白色で表示した画像である。図5(a)に示す音圧のピーク値は、トランスデューサ32の面積が大きいことから、図4(a)に示す音圧のピーク値の1.2倍となっている。

【0049】
図4と図5の画像を比較して分かるように、本実施の形態にかかるプローブ(図2参照)を用いた場合、焦点より近い位置でも遠い位置でも、音軸上で高い音圧を維持し、また従来のプローブを用いた場合に比べて細いビーム幅を維持している。

【0050】
図6(a)は、本実施の形態にかかるプローブ3を水槽内に沈め、超音波放射面から水平方向にlだけ離れた位置に直径1.5mmの鉄製の円柱の断面を超音波放射面に向けて設置した状態において、プローブ3を上下方向に移動させた時に得られるBモード画像である。図6(a)では、プローブ3を0.2mmピッチで上下方向に移動させながら12mm幅のBモードエコー画像を得た。

【0051】
図6(a)において上下方向に配置された5枚のBモード画像は、プローブの超音波放射面と円柱との間の距離lを32mm~52mmの範囲で変えたときの画像である。また図6(b)は、それぞれの画像において、エコー波の振幅値を示したグラフである。

【0052】
一方、図7(a)(b)は、円形のトランスデューサを用いた従来のプローブについて、上下方向に走査しながら超音波ビームを送受信したときのBモード画像と振幅値を示すグラフである。

【0053】
図6と図7を比較してわかるように、リング状のトランスデューサを用いて超音波ビームを送受信した場合、特に遠距離(l=52mm)においてエコー波の振幅が改善され、1/10帯域幅も狭く、方位分解能が向上している。これに伴い、遠距離において金属柱の断面が認識しやすい。

【0054】
図8に、図1に示す構成において、本実施の形態にかかるプローブを用いたときの前腕部のBモード画像を示す。図8(a)は、左側に設置されたプローブ3aによるエコー信号の画像、図8(b)は、右側に設置されたプローブ3bによるエコー信号の画像である。

【0055】
図1に示したように、プローブ3aと3bは同じ水平線上に位置し、かつ超音波ビームの放射方向も水平方向に一致するため、図8(a)(b)により前腕部全体の断層画像が得られる。なお、図8(a)(b)の横軸は、それぞれプローブの超音波放射面からの距離を示している。

【0056】
比較のため、図9に、円形の圧電振動子を用いた従来のプローブについて、図8と同様の条件で作成したBモード画像を示す。

【0057】
図8に示す本実施の形態のプローブを用いたBモード画像は、図9の従来のプローブを用いたBモード画像に比較して上下方向の分解能(すなわち方位分解能)が改善されている。特に骨面や骨面より深い領域において、図9の画像では上下方向にボケているのに対し、図8の画像ではボケが改善されていることが分かる。

【0058】
なお、図8および図9において、画像の左右の表面に表れた2本の線は、ウォーターバックの樹脂膜の内側と外側で超音波が反射したことにより生じた画像であり、前腕部の画像とは関係がない。

【0059】
図3の説明に戻り、骨情報算出部23および第3記憶部24の機能について説明する。図8の画像から骨の中心付近を通るエコー信号の位置が分かるため、操作者は、操作部12を操作して、骨情報の算出に用いるエコー信号のデータ抽出を制御部11に指示する。

【0060】
制御部11は、操作部12に入力されたデータに基づいて、第1記憶部18に記憶された第1のエコー信号から骨の中心付近を通るエコー信号のデータを読み出し、そのデータを骨情報算出部23に転送する。骨情報算出部23は、転送されたエコー信号のデータから、とう骨の表面および皮質骨と海綿骨との境界からのエコー波の位置を特定する。

【0061】
とう骨110の外径については、予め、プローブ3aおよび3bの水平方向の位置情報が与えられているため、とう骨110の骨面からのエコー波の位置情報および超音波の速度情報を用いて算出できる。またとう骨110の皮質骨111の厚みについても、とう骨110の骨面および皮質骨111と海綿骨112との境界からのエコー波の位置情報および超音波の速度情報を用いて算出できる。

【0062】
算出されたとう骨110の外径と厚みを示すデータは、第3記憶部24に記憶され、骨密度を診断する際に基礎データとして用いられる。

【0063】
上述したように、本実施の形態にかかるプローブを用いれば、超音波ビームの方位分解能が改善され、ボケの少ない鮮明なBモード画像が得られるため、超音波のエコー波形を解析することによって骨の外径や厚みに関する情報を取得する際の精度が向上する。

【0064】
(実施の形態2)
実施の形態1では、一つのリング状のトランスデューサ32を用いて超音波ビームを送受信する場合について説明したが、円形の圧電振動子を同心円状に分割し、それらを単独、もしくは複数用いて超音波ビームを送受信することもできる。本実施の形態では、このような場合について説明する。

【0065】
図10に、前面が湾曲したダンパー33の表面に円形のPVDFの薄板を貼り付け、それを同心円状に分割したプローブ3Aの外観を示す。本実施の形態では、直径20mmの円形の圧電振動子を、外径に対して2の1/2乗で割った値となる位置で切断して4分割した。

【0066】
具体的には、外側からリング状のトランスデューサ32の外径は20mm、リング状のトランスデューサ34の外径は14.1mm、リング状のトランスデューサ35の外径は10mmおよび円形のトランスデューサ36の外径は7.1mmであり、それぞれのトランスデューサ間の隙間を0.15mmに設定した。

【0067】
図11(a)、図12(a)および図13(a)に、このようにして作製したプローブ3Aのうち、最外周のリング状のトランスデューサ32を用いて超音波を送信した場合、トランスデューサ32および34を用いて超音波を送信した場合、ならびに全てのトランスデューサ32、34、35、36を用いて超音波を送信した場合の、それぞれの音圧の分布を算出したシミュレーション画像を示す。

【0068】
シミュレーションに際しては、トランスデューサを微小点に分割し、微小点から被測定点へ音波が伝搬したと仮定し、それぞれの波形を加算することで音圧を算出した。

【0069】
なお、図11(b)、図12(b)および図13(b)は、図4(b)に示す画像を作成した場合と同じ条件で作成した、超音波放射面からの距離ごとに、最大音圧の1/2以上の画像を白で表した画像である。図11(b)および図12(b)において、音軸の上下に斜めに表示された線は、サイドローブによって生じた画像である。

【0070】
図11~図13の画像から分かるように、全ての振動子を駆動する従来のプローブに近い駆動方法を採用した場合に比較し、リング状のトランスデューサを1つもしくは2つ駆動する場合、方位分解能が明らかに改善されている。

【0071】
結果として、振動子の内径が外径Lの略1/2以上のリング状のトランスデューサを用いれば、Bモード画像の方位分解能が改善され、ボケの少ない鮮明な画像が得られることが分かる。

【0072】
なお、リング状のトランスデューサの幅をどこまで狭くすかについては、受信したエコー信号の強度によって変わるため、必要とする信号の強さに応じてリングの幅を決定することになる。

【0073】
また、本実施の形態では、湾曲した複数のリング状のトランスデューサを用いて超音波の送受信を行ったが、これに代えて、湾曲のない円板状の圧電振動子を同心円状に分割して複数のリング状のトランスデューサでプローブを構成してもよい。

【0074】
この場合、それぞれのトランスデューサに位相の異なる方形波1波の駆動信号を印加することで、各トランスデューサから発信される超音波を収束させ、かつ各トランスデューサで受信したエコー波の信号を遅延させることでエコー信号の位相を合わせる。

【0075】
更に、複数の圧電振動子をマトリクス上に配置し、当該複数の圧電振動子を、擬似のリング状のトランスデューサを構成するようにグループ分けし、上述のリング状のトランスデューサの代わりに、当該擬似のリング状のトランスデューサを用いて超音波の送受信を行うようにしてもよい。

【0076】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図10に示したプローブ3Aを2個用い、一方のプローブから送信された超音波を他方のプローブで受信して、生体内を透過した信号を計測する装置について説明する。

【0077】
図14に、透過波による信号を計測するために本実施の形態で採用した構成を示す。図10に示した一対のプローブ3A(3A1、3A2)を、一定の間隔(80mm)を隔てて水槽中に沈め、それぞれの超音波放射面を対向させた状態で水平方向に配置した。更に、プローブ3A1の超音波放射面からlだけ離れた位置に、被検物として1mmφの金属線4を鉛直方向に3本、3mm間隔で配置した。

【0078】
上述した状態において、プローブ3A1および3A2を、破線の矢印で示すように、それぞれ上下方向に0.25mmピッチで移動させながらプローブ3A1に1MHz、100V(peak to peak)の正弦波1波を印加して超音波ビームを放射し、水中を伝搬した超音波をプローブ3A2で受信して透過波信号を計測した。

【0079】
図15~図17に、このようにして得られた透過波のグラフを示す。図15は、図10に示したプローブ3Aにおいて、最外周のリング状のトランスデューサ32を用いて超音波を送受信した場合、図16は、トランスデューサ32および34を用いて超音波を送受信した場合、図17は全てのトランスデューサ32、34、35、36を用いて超音波を送受信した場合のグラフである。

【0080】
各図において、(a)~(e)は、送信側プローブ3A1から金属線4までの距離lを30mmから50mmまで変えたときのグラフを示している。図において、横軸は音軸からの垂直方向の距離を示し、縦軸は透過波の振幅値(peak to peak)を示す。振幅値は、それぞれの最大値(すなわち水のみの部分を通過したときの値)を0dBとした。従って、金属線4により減衰した部分はマイナスの値となる。

【0081】
各図において、横軸の-3mm、0mmおよび+3mmの位置にディップが形成されているが、これは、金属線4によって透過波が減衰したためである。一般的に、ピークとディップの差(振幅差)が大きい程、被検物の細かな変化を捉えることが可能であり、方位分解能が高くなる。

【0082】
図15と図17のグラフを比較すると、焦点付近(l=40mm)の振幅差は、2.3dB対2.1dBとほぼ同じであるが、距離l=30mmでは3.4dB対1.9dB、距離l=50mmにおいても3.4dB対1.9dBと、焦点から離れた位置では、リング状のトランスデューサ32を用いた図15の方が振幅差が大きくなり、方位分解能が改善されていることが分かる。

【0083】
一方、リング状のトランスデューサ32および34を用いて超音波を送受信した場合、図16に示すように、図15と図17に示した値の中間の値を示している。

【0084】
図15~図17のグラフから分かるように、全ての振動子を駆動する従来のプローブに近い駆動方法を採用して透過波信号を計測した場合(図17)に比較し、リング状のトランスデューサを1つもしくは2つ駆動する場合(図15、図16)、方位分解能が改善されている。

【0085】
なお、本実施の形態では、被検物として鉛直方向に配置された3本の金属線を用いたが、被検物として生体を用い、生体内を通過した透過波信号を計測しても、同様の効果が得られることは云うまでもない。

【0086】
発明者等は、先に、透過波信号のデータを用いて骨強度の測定を行うことを提案したが(特開2006-14979号公報参照)、本実施の形態にかかる透過波信号の計測装置を用いることにより、骨強度測定の際の精度を高めることができる。

【0087】
更に、このようにして得られたデータから透過波の減衰や音速を解析し、その結果を、実施の形態1や2で得たエコー波の信号データと組み合わせることにより、骨密度の診断に必要な情報、例えば骨の密度や弾性的性質に関する情報を算出することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 超音波画像表示装置
2a、2b ウォーターバッグ
3、3a、3b、3A プローブ
4 金属線
11 制御部
12 操作部
13 駆動信号発生部
14 プローブ走査部
15 モータ
16 エンコーダ
17 信号処理部
18 第1記憶部
19 Bモード画像データ生成部
20 第2記憶部
21 画像処理部
22 表示部
23 骨情報算出部
24 第3記憶部
100 前腕部
110 とう骨
120 尺骨
130 軟組織
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図10】
3
【図14】
4
【図15】
5
【図16】
6
【図17】
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【図4】
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【図5】
9
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
15
【図13】
16