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明細書 :ドライバーの触覚改善方法および振動パッド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-138764 (P2017-138764A)
公開日 平成29年8月10日(2017.8.10)
発明の名称または考案の名称 ドライバーの触覚改善方法および振動パッド
国際特許分類 G05G   1/30        (2008.04)
G05G   5/03        (2008.04)
B60T   7/06        (2006.01)
F16H  33/02        (2006.01)
B60K  26/02        (2006.01)
FI G05G 1/30 E
G05G 5/03 B
B60T 7/06 B
F16H 33/02 A
B60K 26/02
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-018747 (P2016-018747)
出願日 平成28年2月3日(2016.2.3)
発明者または考案者 【氏名】イヴァン タネヴ
【氏名】下原 勝憲
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
テーマコード 3D037
3D124
3J070
Fターム 3D037EA01
3D037EA08
3D037EB02
3D037EC07
3D124AA35
3D124BB01
3D124CC31
3D124DD30
3J070AA32
3J070BA17
3J070CA42
3J070CC71
3J070DA01
要約 【課題】少ないエネルギーでドライバーの触覚を改善できる方法を提供する。
【解決手段】ブレーキペダル5の上面に、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を発生させる手段(モータ111およびフライホイール112)を備えた振動パッド10を取り付ける。車を減速させる際、振動パッド10を介してペブレーキペダル5を踏むことにより、ドライバーの足裏の触覚の感度が向上する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
車の運転を制御するペダルを踏む際のドライバーの触覚を改善する方法であって、
前記ペダルの上面に、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を発生させる手段を備えた振動パッドを取り付け、前記ドライバーは、当該振動パッドを介して前記ペダルを踏むことを特徴とするドライバーの触覚改善方法。
【請求項2】
前記振動発生手段として、モータの回転軸に偏芯したフライホイールを取り付けたものを用いる、請求項1に記載のドライバーの触覚改善方法。
【請求項3】
前記振動パッドのうち前記ドライバーの靴と接する面には複数の突起部が形成されている、請求項1または2に記載のドライバーの触覚改善方法。
【請求項4】
前記振動パッドは、振動の伝達を抑制する部材を介して前記ペダルに取り付けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のドライバーの触覚改善方法。
【請求項5】
前記ペダルは、車の制動を行うブレーキぺダルである、請求項1ないし4のいずれかに記載のドライバーの触覚改善方法。
【請求項6】
振動を発生する手段を備え、車の運転を制御するペダルの上面に取り付けて用いられる振動パッドであって、
締結部材により一定間隔を保って保持された2枚のプレートと、
当該プレート間に配置された振動発生手段と、を備え、
当該振動発生手段は、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を発生させることを特徴とする振動パッド。
【請求項7】
前記振動発生手段は、モータの回転軸に偏芯したフライホイールが取り付けられたものである、請求項6に記載の振動パッド。
【請求項8】
前記ペダルは、車の制動を行うブレーキペダルである、請求項6または7に記載の振動パッド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバーの触覚を改善する方法およびその方法の実施に用いる振動パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
車の運転において重要なのは制御快適性(feelings of the controls : FoC)である。良好なFoCはドライバーの精神的ストレスを軽減し、その結果、信号や歩行者にも注意が行き届き、安全性が向上する。
【0003】
良好なFoCを得るには、適度な強度の力(例えばペダルを踏む力)と感覚(具体的には触覚や腱の張り具合)の両方が必要である。
【0004】
しかし、最近の車は、ドライバーの力が油圧や電気で増幅され、弱い力でブレーキやハンドルを制御することができるため、FoCが低下する傾向にある。また、年齢が高くなるに従って受容器の感度が低下し、特に高齢ドライバーについては、神経の変性(neurodegeneration)のために触覚器官の感度が弱くなり、FoCの低下を助長している。
【0005】
触覚の感度を高める方法として確率共鳴(Stochastic Resonance)現象が知られている(非特許文献1)。確率共鳴現象は、非線形な系において、信号に適当なノイズを重畳することによって微弱な信号を検出する能力を高める現象である。人の触覚に対して確率共鳴現象を適用した場合、微小な振動刺激を皮膚に与えることで、触覚の感度を高めることができる。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】"Wearable Sensorimotor Enhancer for Finbertip based on Stochastic Resonance Effect"Journal of Latex Class Files, Vol.6, No.1 January 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した確率共鳴現象を引き起こすために信号に重畳されるノイズは、ランダムな広帯域ノイズ(例えばホワイトノイズ)が好ましいことがわかっている(非特許文献1参照)。
【0008】
しかし、車のブレーキペダルのように靴底を通してドライバーの足裏の触覚に広帯域ノイズ成分を含む振動を加える場合、大出力のノイズ源が必要となるばかりでなく騒音問題も発生する。
【0009】
本発明は上述の状況に鑑みてなされたもので、少ないエネルギーでドライバーの触覚を改善できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明にかかるドライバーの触覚改善方法は、車の運転を制御するペダルを踏む際のドライバーの触覚を改善する方法であって、
前記ペダルの上面に、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を発生させる手段を備えた振動パッドを取り付け、前記ドライバーは、当該振動パッドを介して前記ペダルを踏むことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記振動発生手段として、モータの回転軸に偏芯したフライホイールを取り付けたものを用いることが好ましい。
【0012】
また前記振動パッドのうち前記ドライバーの靴と接する面には複数の突起部が形成されていることが好ましく、更に、前記振動パッドは、振動の伝達を抑制する部材を介して前記ペダルに取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また本発明にかかる振動パッドは、振動を発生する手段を備え、車の運転を制御するペダルの上面に取り付けて用いられる振動パッドであって、
締結部材により一定間隔を保って保持された2枚のプレートと、
当該プレート間に配置された振動発生手段と、を備え、
当該振動発生手段は、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるドライバーの触覚改善方法を採用すれば、ドライバーの足裏の触覚の感度を高めることができ、更に、それに必要なエネルギーを最小限に留めることができる。本発明にかかるドライバーの触覚改善方法は、特に、受容器の感度が低下した高齢ドライバーに対して効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかるドライバーの触覚改善方法の効果を、レーシングカーのシミュレータを用いて確認する実験の様子を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態において、操作者の足裏に振動を付加する振動パッドの構成を示す断面図である。
【図3】本発明にかかるドライバーの触覚改善方法の効果を確認するための実験結果を示すグラフ(その1)である。
【図4】本発明にかかるドライバーの触覚改善方法の効果を確認するための実験結果を示すグラフ(その2)である。
【図5】本発明にかかるドライバーの触覚改善方法の効果を確認するための実験結果を示すグラフ(その3)である。
【図6】本発明にかかるドライバーの触覚改善方法の効果を確認するための実験結果を示すグラフ(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態にかかるドライバーの触覚改善方法について、図面を参照して説明する。

【0017】
<触覚改善の原理>
最初に、本発明にかかるドライバーの触覚改善方法における触覚改善の原理について説明する。

【0018】
前述したように、本発明では、確率共鳴(Stochastic Resonance)現象を利用してドライバーの触覚を改善している。確率共鳴現象は、非線形な系において、信号に適当なノイズを重畳することによって微弱な信号を検出する能力を高める現象である。人の触覚に対して確率共鳴現象を適用した場合、微小な振動刺激を皮膚に与えことで、触覚の感度を高めることができる。この効果は、特に触覚の感度が低下した高齢者に有効である。

【0019】
ところで、確率共鳴現象を引き起こすために信号に重畳されるノイズは、ランダムな広帯域ノイズ(例えばホワイトノイズ)が好ましいことがわかっている。しかし、ブレーキペダルのような靴底を通してドライバーの足裏の触覚に広帯域ノイズ成分を含む振動を加える場合、大出力のノイズ源が必要となり、更に騒音問題が発生する。

【0020】
一方、生物学において、触覚の受容細胞(Tactile corpuscles:触覚小体)が敏感に検知する周波数は10Hz~50Hzであることが知られている。このことは、ドライバーの触覚の感度を高めるために加える振動から、上述の周波数範囲を外れる周波数の振動を除いたとしても、触覚の感度を高める効果にはほとんど影響しないことを意味する。

【0021】
本発明は上述の解析結果に基づき、ドライバーの触覚の感度を高めるために付加する振動として、10Hz~50Hzの範囲に含まれる単一周波数の振動を用いることによって、エネルギーの損失を抑え、更には騒音の発生を抑制している。

【0022】
本発明の方法を採用すれば、ペダル操作時における足裏の触覚の感度を高めることができ、更に、それに必要なエネルギーを最小限に留めることができる。

【0023】
<シミュレータを用いた触覚改善方法の実験>
本実施の形態では、市販されているレーシングカーのシミュレータを用いて、本発明にかかる触覚改善方法の効果を確認した。以下、ブレーキペダルを操作する際の足裏の触覚を改善する場合について説明する。

【0024】
図1に、レーシングカーのシミュレータを用いた実験の様子を示す。レーシングカーのシミュレータは、コンピュータを用いてレーシングカーの模擬運転を実現するもので、運転席から見える景色を映すモニター、実車に似せたハンドル、アクセルペダルおよびブレーキペダルを備えている。

【0025】
椅子2に座った、ドライバーに相当する操作者Mの前にテーブル3が設置されており、テーブル3の端には、ハンドル11を備えたレーシングカーのシミュレータ1が設置されている。またテーブル3の上には、レーシングカーの運転において運転席から見える景色を表示するモニター4が設置されている。

【0026】
また操作者Mの足元には、レーシングカー(以降、単に「車」という)の動作を制御するブレーキペダル5とアクセルペダル6が取り付けられた制御ユニット7が置かれている。またシミュレータ1、モニター4および制御ユニット7は、電力を供給し、かつ信号を伝送するケーブル8で相互に接続されている。

【0027】
モニター4の画面には、道路41、車の前部の車体42および停止線43が表示されており、操作者Mがアクセルペダル6を踏むと、実際に車を運転している際に見えるのと同じような景色がモニター4の画面に表示され、更に景色が手前に移動する。同様に、操作者Mがハンドル11を回すと、モニター4の画面に表示された景色が、ハンドル11を回した方向とは反対方向に移動する。

【0028】
車を減速させるブレーキペダル5の上面には振動パッド10が取り付けられており、操作者Mがブレーキペダル5を踏むと、靴9のソール(靴底)を介して操作者Mの足裏に振動が伝わる。振動パッド10の構成と機能については、後に図2を参照して詳述する。

【0029】
シミュレータ1を用いた模擬運転時の操作について説明する。実験は、ブレーキペダル5を踏んだときの操作者Mの足裏の触覚の感度を調べることを目的としているため、ブレーキペダル5の操作に関係しない加速時の操作については、シミュレータ1が自動的に行うように設定されている。

【0030】
具体的には、車は、まっすぐで乾いた道路の上を、秒速25m(時速90km)になるまで自動的に加速する。車が秒速25mまで加速した後、ブレーキペダル5による制動が可能なブレーキゾーンに入る。操作者Mは、ブレーキペダル5を操作して、モニター4の画面上に明示された停止線43の前で車42を停止させる。

【0031】
本実施の形態では、振動による触覚の改善効果を確認するため、2つのケースに分けて車を停止させている。第1のケースでは、振動パッド10が取り付けられていない通常のブレーキペダルを用いて車を停止させ、第2のケースでは、上面に振動パッド10を取り付けたブレーキペダルを用いて車を停止させている。

【0032】
<振動パッドの構成と動作>
図2に、本実施の形態において、操作者Mの足裏に振動を付加する振動パッド10の構成を示す。

【0033】
振動パッド10は、支持部材であるプレート101、102および103、締結部材であるボルト104、107、ナット105、106および108、直流モータ111ならびにダイアフラム112で構成されている。

【0034】
一対のプレート101および102は、ボルト104および長尺のナット105によって互いに平行に保持されている。プレート101および102は、操作者Mが靴9で踏みつけたときに変形しない程度の硬さを有するエポキシ樹脂で作製されている。図示しないが、プレート101の下面には、モータ111の回転を制御する電子回路が取り付けられている。

【0035】
またプレート101の上面には、複数のボルト104が取り付けられ、それぞれナット106によってプレート101に固定されている。ボルト104は突起部を構成するもので、操作者Mがブレーキペダル5を踏み込んだ時に、ソール91のうちボルト104の頭部(突起部)に接する部分が強く圧縮されることによって他の部分より剛性が高まり(すなわち硬くなり)、振動パッド10からの振動が足裏に伝わり易くなる。

【0036】
直流モータ111およびフライホイール112は振動発生手段を構成し、単一周波数の振動を発生させる。図示しない制御回路によって直流モータ111に印加する電圧を変えると、その値に比例して回転数が変化する。直流モータ111の回転軸には金属性のフライホイール112が取り付けられており、円の一部が切り取られて偏芯しているため、回転に伴って振動が発生する。

【0037】
振動パッド10は、直流モータ111に印加する電圧を変えることによって、10Hz~50Hzの範囲に含まれる振動を発生させることができる。直流モータ111は、プレート103、ボルト107およびナット108によって、挟まれた状態でプレート101に固定されているため、フライホイール112によって発生した振動は、プレート101に伝わり、更に、靴9のソール91を介して操作者Mの足裏に伝わる。

【0038】
一方、下側のプレート102とブレーキペダル5との間には一対のゴム部材121が挿入され、その状態で、プレート102は、マジックテープ(登録商標)131を用いてブレーキペダル5に取り付けられている。

【0039】
フライホイール112によって発生した振動は、モータ111、プレート101、ナット105、プレート102およびゴム部材121を介してブレーキペダル5に伝わるが、ゴム部材121によってブレーキペダル5への振動の伝達が抑制される。このため、振動のエネルギーの大半は、プレート101を介して靴9のソール91に伝わり、足裏を刺激する。

【0040】
なお、図2において、マジックテープ(登録商標)131を用いて振動パッド10をブレーキペダル5に取り付けているのは、ブレーキペダル5の大きさや形状の違いを吸収するためである。マジックテープ(登録商標)131を用いれば、既存の車のブレーキペダル5に振動パッド10を簡単に取り付けることができる。

【0041】
また本実施の形態では、フライホイール112を回転させる手段として直流モータ111を用いているが、ステッピングモータ等を用い、コントローラによって回転数を制御するようにしてもよい。また、同様の周波数の振動を発生させることができるのであれば、電歪振動子等の他の手段を用いてもよい。

【0042】
<実験結果の説明>
次に、上述のシミュレータ1を用いて行ったドライバーの触覚改善方法の実験結果について、グラフを参照して説明する。なお、実験では、モータ111の回転数を40Hzに設定し、フライホイール112によって40Hzの周波数の振動を発生させた。

【0043】
最初に、ブレーキペダル5を踏んで車42を停止線43で止めたときに、足裏に振動を加えない場合と加えた場合で、どれだけの違いがあるかについて説明する。

【0044】
操作者Mは、モニター4の画面に表示された車42の速度が秒速25m(時速90km)に達してブレーキゾーンに入った後、ブレーキペダル5を踏んで車42を減速させ、停止線43の直前で停止させる。

【0045】
図3は、停止線43に対する車42の停止位置(車42の前部から停止線43までの距離)のばらつきを示したものであり、横軸は車42の前部から停止線43までの距離を示し、縦軸は走行回数を示す。

【0046】
図3(a)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けていない状態、すなわち足裏に振動を加えない状態において、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。一方、図3(b)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けた状態、すなわち足裏に振動を加えた状態において、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。

【0047】
図3(a)に示すように、振動を加えない状態においては、停止線の前(-)6m以上から停止線の後ろ(+)1m未満まで1m毎に示した停止位置は、1回、2回、1回、3回、1回、1回、0回および1回であり、最も多かったのは、停止線の前3m以上4m未満(3回)であった。

【0048】
これに対し、図3(b)に示すように、振動を加えた状態においては、停止位置は、停止線の前4m~5mが3回、停止線の前2m~3mが6回、停止線の後ろ1m未満が1回であり、最も多かったのは、停止線の前2m~3m(6回)であった。

【0049】
図3に示した実験結果から明らかなように、振動パッド10によって操作者Mの足裏に振動を加えた場合、停止線に対して車をより正確かつばらつきなく停止させることができる。

【0050】
図4は、自動車が一定速度(秒速25m)になった後、操作者Mがプレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの速度の変化を示したものである。図において、横軸はブレーキペダルを踏んでからの時間を示し、縦軸は速度を示す。

【0051】
図4(a)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けていない状態で、操作者Mが10回、ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。一方、図4(b)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けた状態で、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。図中、各実験における速度変化の様子を異なる線a~jで表示している。以後も同様である。

【0052】
図4(a)に示すように、振動を加えない状態においては、ブレーキゾーンに入った後、車の速度が秒速15mになるまでに1.3秒~1.9秒かかった。これに対し、図4(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ速度になるまでに1.5秒~1.9秒かかり、0.6秒の幅でばらついていたのが0.4秒の幅に縮まった。

【0053】
また図4(a)に示すように、振動を加えない状態においては、ブレーキゾーンに入った後、車が停止する(秒速0m)までに2.1秒~2.6秒かかった。これに対し、図4(b)に示すように、振動を加えた状態では、同じ速度になるまでに2.1秒~2.35秒かかり、0.5秒の幅でばらついていたのが0.25秒の幅に縮まった。

【0054】
更に、図4(a)に示すように、振動を加えない状態においては、ブレーキゾーンに入った後、車の速度が秒速0mになるまでに2.4秒~3.5秒かかった。これに対し、図4(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ速度になるまでに2.4秒~2.6秒かかり、1.1秒の幅でばらついていたのが0.2秒の幅に縮まった。

【0055】
図4に示した実験結果から明らかなように、振動パッド10によって操作者の足裏に振動を加えた場合、車をよりスムーズに減速させることができる。

【0056】
図5は、車が一定速度(秒速25m)から、操作者Mがプレーキペダル5を踏んで車を停止線で停止させたときの減速度の変化を示したものである。

【0057】
図5(a)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けない状態で、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。一方、図5(b)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けた状態で、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。

【0058】
図5(a)に示すように、振動を加えない状態においては、ブレーキゾーンに入った後0.8秒経過したときの車の減速度は-2m/s2~-15m/s2であった。これに対し、図5(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ時間における車の減速度は-2m/s2~-11m/s2であり、13m/s2の幅でばらついていたのが9m/s2の幅に縮まった。

【0059】
また図5(a)に示すように、振動を加えない状態においては、ブレーキゾーンに入った後2秒経過したときの車の減速度は-4m/s2~-22m/s2であった。これに対し、図5(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ時間における車の減速度は-12m/s2~-21m/s2であり、18m/s2の幅でばらついていたのが9m/s2の幅に縮まった。

【0060】
図5に示した実験結果から明らかなように、振動パッドを用いて操作者の足裏に振動を加えた場合、ブレーキゾーンの大半の時間において、よりスムーズな減速を実現できる。

【0061】
図6は、車が一定速度(秒速25m)から、操作者Mがプレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの減速度変化率(jerk)の変動、すなわち時間の経過に対する減速度の変化の割合を示したものである。

【0062】
図6(a)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けない状態で、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。一方、図6(b)は、ブレーキペダル5に振動パッド10を取り付けた状態で、操作者Mが10回ブレーキペダル5を踏んで車を停止させたときの結果を示す。

【0063】
図6(a)に示すように、振動を加えない状態においては、減速度変化率が瞬間的に500m/s3以上となるケースが4回あった。これに対し、図6(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ強さの減速度変化率となるケースが1回あり、振動を加えない場合に比べ3回少なかった。

【0064】
また図6(a)に示すように、振動を加えない状態においては、減速度変化率が瞬間的に300m/s3以上となるケースが6回あった。これに対し、図6(b)に示すように、振動を加えた状態においては、同じ強さの減速度変化率となるケースが4回あり、振動を加えない場合に比べ2回少なかった。

【0065】
図6に示した実験結果から明らかなように、振動パッド10を用いて操作者Mの足裏に振動を加えた場合、ブレーキゾーンの大半の時間において、振動を加えない場合に比較してよりスムーズに減速できる。

【0066】
以上、実験結果に基づいて説明したように、ブレーキペダル5を操作する際に、操作者の足裏に振動を加えることにより、振動を加えない場合に比べ、より正確かつスムーズな制動動作を実現できる。このことは、振動を加えることによって、ブレーキペダルを操作する際の足裏の触覚の感度が向上したことを意味している。

【0067】
なお、上述の実験では、振動パッド10から40Hzの周波数の振動を発生させたが、前述したように、10Hz~50Hzの範囲に含まれる周波数の振動であれば、同様の効果が得られる。

【0068】
また、本実施の形態では、車の運転を制御するペダルのうち、ブレーキペダルに対して本発明にかかるドライバーの触覚改善方法を適用した場合について説明したが、アクセルペダルに適用しても、同様の効果を発揮できることは云うまでもない。

【0069】
なお、アクセルペダルに対して本発明にかかるドライバーの触覚改善方法を適用する場合、10Hz~50Hzの範囲に含まれる周波数であれば、ブレーキペダルの場合に用いた周波数(40Hz)とは異なる周波数の振動を足裏に加えることにより、ブレーキペダルとアクセルペダルとの踏み間違いを防止することもできる。

【0070】
また、本実施の形態では、レーシングカーのシミュレータを用いてドライバーの触覚を改善する効果を確認したが、振動パッドを車のブレーキペダルに取り付けて実際に走行したときに、シミュレータを用いた場合と同様の効果が得られることは、実験で確認するまでもなく明らかである。
【符号の説明】
【0071】
M 操作者
1 シミュレータ
2 椅子
3 テーブル
4 モニター
5 ブレーキペダル
6 アクセルペダル
7 制御ユニット
8 ケーブル
9 靴
10 振動パッド
11 ハンドル
41 道路
42 車
43 停止線
101、102、103 プレート
104、107 ボルト
105、106、108 ナット
111 直流モータ
112 フライホイール
121 ゴム部材
131 マジックテープ(登録商標)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5