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明細書 :高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-151372 (P2017-151372A)
公開日 平成29年8月31日(2017.8.31)
発明の名称または考案の名称 高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法
国際特許分類 G02F   1/365       (2006.01)
FI G02F 1/365
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2016-035814 (P2016-035814)
出願日 平成28年2月26日(2016.2.26)
発明者または考案者 【氏名】戸田 裕之
【氏名】山口 剛史
【氏名】森本 裕喜
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2K102
Fターム 2K102AA10
2K102BA22
2K102BA28
2K102BB01
2K102BC02
2K102CA00
2K102CA15
2K102DA06
2K102EB20
2K102EB22
要約 【課題】O/E変換部に入力される光の平均光パワーが制限されているなかで、出力パワーを増加させることが可能な高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法を提供する。
【解決手段】光パルス出力部2と、光パルス伝搬部3と、O/E変換部4とを備えた高周波発生装置1であって、光パルス伝搬部3は、光パルスに対して群速度分散や光カー効果を利用して光パルスのパルス幅を圧縮させ、かつO/E変換部4における高周波出力パワーを増加させる媒質長を有することを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の繰り返し周波数で光パルスを出力する光パルス出力部と、
前記光パルス出力部から出力された前記光パルスを伝搬させる光パルス伝搬部と、
前記光パルス伝搬部で伝搬された前記光パルスを電気信号に変換し、前記電気信号を高周波出力として出力するO/E変換部と、
を備えた高周波発生装置であって、
前記光パルス伝搬部は、群速度分散を利用して、または群速度分散と光カー効果を利用して、前記光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性媒質を含み、
前記分散性媒質は、当該分散性媒質の出力端における前記光パルスのピークパワーを当該分散性媒質の入力端における前記光パルスのピークパワーよりも増加させる媒質長を有する
ことを特徴とする高周波発生装置。
【請求項2】
前記分散性媒質は、当該分散性媒質の媒質長と前記O/E変換部の高周波出力パワーとの関係において、前記高周波出力パワーが最大となる媒質長を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波発生装置。
【請求項3】
前記光パルス伝搬部は、前記光パルスに対して群速度分散を有しない非分散性媒質を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の高周波発生装置。
【請求項4】
前記繰り返し周波数よりも高い中心周波数の帯域を通過させるフィルタ部を、前記O/E変換部の後段に備え、
前記O/E変換部は、応答周波数帯域に前記中心周波数を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波発生装置。
【請求項5】
所定の繰り返し周波数で光パルスを出力する光パルス出力部と、前記光パルスを伝搬させる光パルス伝搬部と、前記光パルス伝搬部で伝搬された前記光パルスを電気信号に変換するO/E変換部と、を備え、前記光パルス伝搬部が群速度分散を利用して、または群速度分散と光カー効果を利用して前記光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性媒質を含む高周波発生装置の設計方法であって、
前記高周波発生装置のシミュレーションモデルを用いて、前記高周波発生装置の出力パワーと前記分散性媒質の媒質長との関係を示すデータを生成し、前記高周波発生装置の出力パワーが増加するように、前記データに基づいて前記分散性媒質の媒質長を決定する
ことを特徴とする高周波発生装置の設計方法。
【請求項6】
前記分散性媒質の媒質長を、前記データにおいて前記高周波発生装置の出力パワーが最大となるときの値に決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の高周波発生装置の設計方法。
【請求項7】
前記データは、
前記分散性媒質の分散パラメータが正で、かつ光カー効果を利用する場合の第1データと、前記分散パラメータが正で、かつ光カー効果を利用しない場合の第2データと、前記分散パラメータが負で、かつ光カー効果を利用する場合の第3データと、前記分散パラメータが負で、かつ光カー効果を利用しない場合の第4データ、を含む
ことを特徴とする請求項5または6に記載の高周波発生装置の設計方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光技術を用いた高周波発生装置としては、2つのレーザから出力された周波数の異なるレーザ光をフォトカプラで合成し、その合成光をフォトダイオードのようなO/E変換部で高周波の電気信号に変換する構成のものが知られている(例えば、特許文献1の図7参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-62153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光技術を用いた高周波発生装置は、光マイクロ波発振器、W帯レーダー、テラヘルツ波発生技術等、各種方面への応用が期待されている。これらの応用に際しては、高周波発生装置の出力パワーをできるだけ増加させることが望ましく、高周波発生装置の出力パワーを増加させるためには、O/E変換部に入力される光のピークパワーを増加させる必要がある。しかしながら、O/E変換部では入力される光の平均光パワーが制限されているため、従来の高周波発生装置では、出力パワーの増加に限界があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、O/E変換部に入力される光の平均光パワーが制限されているなかで、出力パワーを増加させることが可能な高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る高周波発生装置は、
所定の繰り返し周波数で光パルスを出力する光パルス出力部と、
前記光パルス出力部から出力された前記光パルスを伝搬させる光パルス伝搬部と、
前記光パルス伝搬部で伝搬された前記光パルスを電気信号に変換し、前記電気信号を高周波出力として出力するO/E変換部と、
を備えた高周波発生装置であって、
前記光パルス伝搬部は、群速度分散を利用して、または群速度分散と光カー効果を利用して、前記光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性媒質を含み、
前記分散性媒質は、当該分散性媒質の出力端における前記光パルスのピークパワーを当該分散性媒質の入力端における前記光パルスのピークパワーよりも増加させる媒質長を有する
ことを特徴とする。
【0007】
上記高周波発生装置では、例えば、
前記分散性媒質は、当該分散性媒質の媒質長と前記O/E変換部の高周波出力パワーとの関係において、前記高周波出力パワーが最大となる媒質長を有する
ように構成できる。
【0008】
上記高周波発生装置では、例えば、
前記光パルス伝搬部は、群速度分散を有しない非分散性媒質を含む
ように構成できる。
【0009】
上記高周波発生装置では、例えば、
前記繰り返し周波数よりも高い中心周波数の帯域を通過させるフィルタ部を、前記O/E変換部の後段に備え、
前記O/E変換部は、応答周波数帯域に前記中心周波数を含む
ように構成できる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る高周波発生装置の設計方法は、
所定の繰り返し周波数で光パルスを出力する光パルス出力部と、前記光パルスを伝搬させる光パルス伝搬部と、前記光パルス伝搬部で伝搬された前記光パルスを電気信号に変換するO/E変換部と、を備え、前記光パルス伝搬部が群速度分散を利用して、または群速度分散と光カー効果を利用して前記光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性媒質を含む高周波発生装置の設計方法であって、
前記高周波発生装置のシミュレーションモデルを用いて、前記高周波発生装置の出力パワーと前記分散性媒質の媒質長との関係を示すデータを生成し、前記高周波発生装置の出力パワーが増加するように、前記データに基づいて前記分散性媒質の媒質長を決定する
ことを特徴とする。
【0011】
上記高周波発生装置の設計方法では、
前記分散性媒質の媒質長を、前記データにおいて前記高周波発生装置の出力パワーが最大となるときの値に決定する
ことが好ましい。
【0012】
上記高周波発生装置の設計方法では、例えば、
前記データは、
前記分散性媒質の分散パラメータが正で、かつ光カー効果を利用する場合の第1データと、前記分散パラメータが正で、かつ光カー効果を利用しない場合の第2データと、前記分散パラメータが負で、かつ光カー効果を利用する場合の第3データと、前記分散パラメータが負で、かつ光カー効果を利用しない場合の第4データと、を含む
ように構成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、O/E変換部に入力される光の平均光パワーが制限されているなかで、出力パワーを増加させることが可能な高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る高周波発生装置の構成(シミュレーションモデル)を示す図である。
【図2】光ファイバを伝搬する光パルスのピークパワーとファイバ長との関係を示す図である。
【図3】(A)は、光ファイバの入力端における光パルスのパワーの時間変化を示す図である。(B)は、光ファイバの出力端における光パルスのパワーの時間変化を示す図である。
【図4】ファイバ長に対するフォトダイオードの高周波出力パワーの時間変化を示す図であって、(A)は、分散パラメータが正の場合の図、(B)は、分散パラメータが負の場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法の実施形態について説明する。

【0016】
[高周波発生装置]
図1に、本発明の一実施形態に係る高周波発生装置1を示す。高周波発生装置1は、光パルス出力部2と、光ファイバ(本発明の「光パルス伝搬部」に相当)3と、フォトダイオード(本発明の「O/E変換部」に相当)4と、バンドパスフィルタ(本発明の「フィルタ部」に相当)5とを備える。

【0017】
光パルス出力部2は、所定の繰り返し周波数fで光パルスを出力する。光パルス出力部2は、連続光を出力するレーザ10と、レーザ10の連続光に対して強度変調を行うプッシュプル駆動のマッハ-ツェンダー光変調器11と、マッハ-ツェンダー光変調器11に周波数f/2、振幅がマッハ-ツェンダー光変調器11の半波長電圧に等しい高周波信号を供給する発振回路12と、マッハ-ツェンダー光変調器11に直流のバイアス電圧を供給するバイアス回路13とを備える。バイアス回路13は、発振回路12が動作していない時に、マッハ-ツェンダー光変調器11の出力が最小となるように設定されている。

【0018】
光ファイバ3は、光パルス出力部2に接続された入力端3aと、フォトダイオード4に接続された出力端3bとを有し、光パルス出力部2から出力された光パルスをフォトダイオード4に伝搬させる。光ファイバ3は、群速度分散や光カー効果を利用して光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性の光ファイバ(本発明の「分散性媒質」に相当)であり、出力端3bにおける光パルスのピークパワーを入力端3aにおける光パルスのピークパワーよりも増加させるファイバ長(本発明の「媒質長」に相当)を有する。より詳しくは、光ファイバ3のファイバ長は、フォトダイオード4に入力される光パルスのピークパワーが増加するように設定されている。

【0019】
フォトダイオード4は、光ファイバ3で伝搬された光パルスを、当該光パルスのパワーに応じた電気信号に変換し、当該電気信号の高周波成分を高周波出力として出力する。フォトダイオード4に入力される光パルスのピークパワーと、フォトダイオード4の高周波出力パワーとは、概ね比例関係にある。また、フォトダイオード4は、応答周波数帯域に周波数fを含み、入力される光パルスの平均光パワーが制限されている。

【0020】
バンドパスフィルタ5は、中心周波数fの帯域の電気信号を通過させる。

【0021】
本実施形態に係る高周波発生装置1によれば、上記のとおり、光ファイバ3が分散性を有するとともに、光ファイバ3のファイバ長がフォトダイオード4に入力される光パルスのピークパワーが増加するように設定されているので、フォトダイオード4に入力される光パルスの平均光パワーを増加させることなく、フォトダイオード4の高周波出力パワーを増加させることができる。すなわち、本実施形態では、フォトダイオード4に入力される光パルスの平均光パワーが制限されているなかで、高周波発生装置1の出力パワーを増加させることができる。

【0022】
[高周波発生装置の設計方法]
次に、高周波発生装置1の設計方法について説明する。

【0023】
本実施形態に係る高周波発生装置1の設計方法の一形態は、光ファイバ3の出力端3bにおける光パルスのピークパワーと光ファイバ3のファイバ長との関係を示すデータ(本実施形態では、図2または図4に示すデータ)を生成する第1ステップと、上記データに基づいて光ファイバ3のファイバ長を決定する第2ステップとを含む。第1ステップおよび第2ステップは、例えば、コンピュータにインストールされたソフトウェアにより実行される。なお、上記データは、本発明の「高周波発生装置の出力パワーと分散性媒質の媒質長との関係を示すデータ」に相当する。

【0024】
第1ステップでは、図1に示すシミュレーションモデルを用いて上記データを生成する。生成された上記データは、例えば、コンピュータの記憶部に格納される。

【0025】
本実施形態では、マッハ-ツェンダー光変調器11から出力される光パルスの波長を1550[nm]、周波数f/2を20[GHz]、入力端3aにおける光パルスのピークパワーを200[mW]、光ファイバ3の分散パラメータDを17[ps/nm/km]、光ファイバ3で発生する損失を0.2[dB/km]、光ファイバ3の実効断面積を80[μm]、光ファイバ3のカー係数を2.2×10-20[m/W]とした。光ファイバ3を伝搬する光パルスの振幅は、一般化された非線形シュレディンガー方程式をスプリットステップフーリエ法で解いて求めた。

【0026】
図2に、光ファイバ3を伝搬する光パルスのピークパワーと光ファイバ3のファイバ長との関係を示す。図2から、光ファイバ3を伝搬する光パルスのピークパワーは、光ファイバ3のファイバ長が2.3[km]以下の場合はファイバ長が2.3[km]に近づくにつれて増加するが、光ファイバ3のファイバ長が2.3[km]よりも大きい場合はファイバ長が2.3[km]から離れるにつれて減少することが分かる。

【0027】
すなわち、群速度分散を利用して、または群速度分散と光カー効果を利用して、光パルスのパルス幅を圧縮させる分散性の光ファイバ3を用いたとしても、光ファイバ3のファイバ長によっては、出力端3bにおける光パルスのピークパワーを十分に増加させることができなかったり、出力端3bにおける光パルスのピークパワーが入力端3aにおける光パルスのピークパワーよりも減少したりすることがある。

【0028】
図3(A)に、ファイバ長を2.3[km]としたときの入力端3aにおける光パルスのパワーの時間変化を示し、図3(B)に、ファイバ長を2.3[km]としたときの出力端3bにおける光パルスのパワーの時間変化を示す。図3(A)および図3(B)から、光パルスをファイバ長が2.3[km]の光ファイバ3に伝搬させることで、光パルスが圧縮されるとともに、光パルスのピークパワーが200[mW]から344[mW]に増加することが分かる。また、出力端3bにおける光パルスの平均光パワー(光パルスのパワーを積分して周期で除算したもの)は、入力端3aにおける光パルスの平均光パワーと比べると、光ファイバ3で発生する損失だけ減少していることが分かる。

【0029】
図4(A)に、光ファイバ3の分散パラメータDが17[ps/nm/km]の場合のファイバ長に対するフォトダイオード4の出力の40[GHz]成分のパワー変化を示す。また、図4(B)に、光ファイバ3の分散パラメータDを-17[ps/nm/km]とした場合のファイバ長に対するフォトダイオード4の出力の40[GHz]成分のパワー変化を示す。なお、図4(A)および図4(B)の縦軸は、光ファイバ3のファイバ長を0とした場合に対するフォトダイオード4の高周波出力パワーの増加率である。

【0030】
図4(A)から、分散パラメータDが正でかつ光ファイバ3の光カー効果を利用する(本実施形態では、入力端3aにおける光パルスのピークパワーを200[mW]とした)場合、フォトダイオード4の高周波出力パワーは、ファイバ長が2.3[km]のときに4.6[dB]増加することが分かる。一方、入力端3aにおける光パルスのピークパワーが十分小さく光ファイバ3の光カー効果を利用しない場合、フォトダイオード4の高周波出力パワーは、ファイバ長が2.3[km]のときに3.4[dB]増加することが分かる。すなわち、分散パラメータDが正の場合、第2ステップにおいてファイバ長を2.3[km]に決定することで、光カー効果利用の有無にかかわらずフォトダイオード4の高周波出力パワーを増加させることができる。そして、光カー効果を利用してファイバ長2.3[km]の光ファイバ3を用いることで、フォトダイオード4の高周波出力パワーの増加率を最大化することができる。

【0031】
図4(B)から、分散パラメータDが負でかつ光ファイバ3の光カー効果を利用する(本実施形態では、入力端3aにおける光パルスのピークパワーを200[mW]とした)場合、フォトダイオード4の高周波出力パワーは、ファイバ長が2.3[km]のときに2.2[dB]増加することが分かる。一方、入力端3aにおける光パルスのピークパワーが十分小さく光ファイバ3の光カー効果を利用しない場合、フォトダイオード4の高周波出力パワーは、分散パラメータDが正の場合と同様に、ファイバ長が2.3[km]のときに3.4[dB]増加することが分かる。すなわち、分散パラメータDが負の場合も、第2ステップにおいて光ファイバ3のファイバ長を2.3[km]に決定することで、光カー効果利用の有無にかかわらずフォトダイオード4の高周波出力パワーを増加させることができる。そして、分散パラメータDが負の場合は、光カー効果を利用しない条件でファイバ長2.3[km]の光ファイバ3を用いることで、フォトダイオード4の高周波出力パワーの増加率を最大化することができる。

【0032】
本実施形態に係る高周波発生装置1の設計方法によれば、上記のとおり、出力端3bにおける光パルスのピークパワーが増加するように光ファイバ3のファイバ長を決定するので、フォトダイオード4に入力される光パルスの平均光パワーを増加させることなく、フォトダイオード4の高周波出力パワーを増加させることができる。すなわち、本実施形態では、フォトダイオード4に入力される光パルスの平均光パワーが制限されているなかで、高周波発生装置1の出力パワーを増加させることができる。

【0033】
また、本実施形態に係る高周波発生装置1の設計方法によれば、図4に示すデータ、すなわち、分散パラメータDが正でかつ光カー効果ありの第1データと、分散パラメータDが正でかつ光カー効果なしの第2データと、分散パラメータDが負でかつ光カー効果ありの第3データと、分散パラメータDが負でかつ光カー効果なしの第4データとを生成することで、第2ステップにおいてこれらのデータに基づいて光ファイバ3のファイバ長、分散パラメータDの正負、および光カー効果利用の有無を決定することができる。これにより、フォトダイオード4の高周波出力パワーをより大きく増加させることができる。

【0034】
なお、出力端3bにおける光パルスのピークパワーとフォトダイオード4の高周波出力パワーとは概ね比例関係にあるが、出力端3bにおける光パルスのピークパワーとフォトダイオード4の高周波出力パワーとの間に若干のズレが生じる場合がある(例えば、出力端3bにおける光パルスのピークパワーが最大のときに、フォトダイオード4の高周波出力パワーが最大にならない場合がある)。この点、例えば図4に示すような、フォトダイオード4の高周波出力パワーと光ファイバ3のファイバ長との関係を示すデータに基づいてファイバ長を決定することで、高周波発生装置1の出力パワーをより高精度に増加させることができる。

【0035】
以上、本発明に係る高周波発生装置および高周波発生装置の設計方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。

【0036】
[変形例]
例えば、本発明の光パルス出力部は、2つのレーザで構成することができる。2つのレーザで構成した場合、2つのレーザから出力されるレーザ光(光パルス)の周波数の差分をfとすることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。

【0037】
本発明の光パルス伝搬部は、分散性を有する光ファイバと、ゼロ分散の光ファイバ(本発明の「非分散性媒質」に相当)とで構成することができる。例えば、上記実施形態において、光パルス伝搬部を3.5[km]にする必要がある場合、分散性の光ファイバ3のファイバ長と、ゼロ分散の光ファイバのファイバ長の合計を3.5[km]とし、光ファイバ3のファイバ長をフォトダイオード4の高周波出力パワーがより大きく増加するように設定することが好ましい。

【0038】
上記実施形態では、一例として、フォトダイオード4の高周波出力パワーが最大化するように光ファイバ3のファイバ長を2.3[km]に決定しているが、フォトダイオード4の高周波出力パワーの増加率が所定の閾値(例えば、3.0[dB])以上になるファイバ長の範囲を決定し、その範囲内でユーザが任意にファイバ長を決定してもよい。

【0039】
本発明の分散性媒質は、光パルスに対して群速度分散や光カー効果を利用して光パルスのパルス幅を圧縮させることができ、フォトダイオード4の高周波出力パワーを増加させる性質を有するのであれば、光ファイバ3以外のものを使用することができる。

【0040】
本発明のO/E変換部は、光パルス伝搬部で伝搬された光パルスを電気信号に変換し、当該電気信号の高周波成分を高周波出力として出力することができるのであれば、適宜その構成を変更することができる。

【0041】
本発明のフィルタ部は、繰り返し周波数fよりも高い中心周波数(例えば、4f)の帯域を通過させるバンドパスフィルタでもよい。この場合、フォトダイオード4は、応答周波数帯域に上記中心周波数(例えば、4f)を含む必要があるが、発振回路12の周波数はf/2のままでよい。

【0042】
本発明のフィルタ部は、用途に応じて省略することもできる。

【0043】
本発明に係る高周波発生装置の設計方法では、図4に示すデータを、入力端3aにおける光パルスのピークパワーを変化させて複数個生成してもよい。この場合、上記複数のデータに基づいて、光ファイバ3のファイバ長、分散パラメータDの正負、光カー効果利用の有無に加えて、入力端3aにおける光パルスのピークパワーを決定することができるので、フォトダイオード4の高周波出力パワーをより大きく増加させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 高周波発生装置
2 光パルス出力部
3 光ファイバ
4 フォトダイオード
5 バンドパスフィルタ
10 レーザ
11 マッハ-ツェンダー光変調器
12 発振回路
13 バイアス回路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3