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明細書 :抗真菌剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-171604 (P2017-171604A)
公開日 平成29年9月28日(2017.9.28)
発明の名称または考案の名称 抗真菌剤
国際特許分類 A61K  31/035       (2006.01)
A61K  31/421       (2006.01)
A61P  31/10        (2006.01)
A61K  31/4035      (2006.01)
A61K  31/11        (2006.01)
A61K  31/555       (2006.01)
A61K  31/381       (2006.01)
C07D 263/20        (2006.01)
C07D 209/44        (2006.01)
C07D 233/02        (2006.01)
C07C  22/08        (2006.01)
C07C 309/65        (2006.01)
FI A61K 31/035
A61K 31/421
A61P 31/10
A61K 31/4035
A61K 31/11
A61K 31/555
A61K 31/381
C07D 263/20
C07D 209/44
C07D 233/02
C07C 22/08
C07C 309/65
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 24
出願番号 特願2016-058951 (P2016-058951)
出願日 平成28年3月23日(2016.3.23)
発明者または考案者 【氏名】知花 博治
【氏名】宇野 潤
【氏名】荒井 孝義
【氏名】高橋 梓
【氏名】佐藤 美智代
【氏名】西田 篤司
【氏名】原田 真至
【氏名】根本 哲宏
【氏名】松本 祥治
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078732、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 保
【識別番号】100119666、【弁理士】、【氏名又は名称】平澤 賢一
【識別番号】100154461、【弁理士】、【氏名又は名称】関根 由布
【識別番号】100149250、【弁理士】、【氏名又は名称】山下 耕一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C056
4C086
4C204
4C206
4H006
Fターム 4C056AA01
4C056AB01
4C056AC02
4C056AD01
4C056AE02
4C056BA01
4C056BB04
4C056BC05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086BC69
4C086DA31
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB35
4C204BB01
4C204BB02
4C204CB04
4C204DB01
4C204EB01
4C204FB16
4C204GB01
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA06
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB35
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB29
4H006EA21
要約 【課題】特定の菌に対する抗真菌活性を有する化合物を含む抗真菌剤を提供する。
【解決手段】一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、及び、一般式(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩を含む、抗真菌剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(A):
【化1】
JP2017171604A_000024t.gif

〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(B):
【化2】
JP2017171604A_000025t.gif

〔式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、C1~C3のアルキル基、C2~C3のアルキニル基、C1~C3のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基であり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(C):
【化3】
JP2017171604A_000026t.gif

〔式中、R21は、C3~C6のアルキル基であり、R22は、トリフルオロメチル基、メチル基、又はp-トルイル基である。〕で表される化合物、
一般式(D):
【化4】
JP2017171604A_000027t.gif

〔式中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホナート基であり、R31は、C3~C6のアルキル基であり、R32、R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(E):
【化5】
JP2017171604A_000028t.gif

〔式中、R41は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、及び
一般式(F):
【化6】
JP2017171604A_000029t.gif

〔式中、R51は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩を含む、抗真菌剤。
【請求項2】
化合物A-1:
(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル (E)-4-オキソ-4-(2-オキソオキサゾリジン-3-イル)ブタ-2-エノレート、
化合物B-1:
(R)-3,3'-ビス((E)-(((1R,2R)-2-(イソインドリン-2-イル)-1,2-ジフェニルエチル)イミノ)メチル)-[1,1'-ビナフチレン]-2,2'-ジオール、
化合物C-1:
2,6-ジアセチル-4-(tert-ブチル)フェニルトリフルオロメタンスルフォネート、
化合物D-1:
(2,6-ビス((4R,5R)-1-ベンジル-4,5-ジフェニルイミダゾリジン-2-イル)-4-(tert-ブチル)フェニル)パラジウム(II)クロライド、
化合物E-1:
(E)-(4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン-1-イル)ベンゼン、及び、
化合物F-1:
[2,2'-ビチオフェン]-3,3'-ジカルボアルデヒド、
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩を含む、請求項1に記載の抗真菌剤。
【請求項3】
カンジダ属菌に対する抗真菌剤である、請求項1に記載の抗真菌剤。
【請求項4】
一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、及びクリプトコッカス属菌に対する抗真菌剤である、請求項1に記載の抗真菌剤。
【請求項5】
一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤である、請求項1に記載の抗真菌剤。
【請求項6】
一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌、及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤である、請求項1に記載の抗真菌剤。
【請求項7】
請求項1に記載の抗真菌剤を含む医薬用抗真菌剤。
【請求項8】
請求項1に記載の抗真菌剤を含む農薬用抗真菌剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、抗真菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
病原性カンジダ菌は、表皮、腸管粘膜、膣などに常在する真菌であるが、抗生物質、ステロイド、抗がん剤や免疫抑制剤の長期投与や臓器移植、エイズ、重度糖尿病、留置カテーテルなど危険因子を伴う患者に対して重篤な深在性(内臓)感染症を起こす。
日本国内において全血流感染原因菌(細菌感染を含む)のうちカンジダは第4位(7~8%)であり、致死率20~50%に達する重篤な日和見感染症を起こし問題となっている。治療の第一選択薬は抗真菌薬である(例えば、特許文献1)。
【0003】
なお、従来の深在性抗真菌薬としては、フルオロピリミジン系、ポリエン系、アゾール系、エキノキャンディン系の4系統が知られている。
フルオロピリミジン系抗真菌薬は、適応菌種が、カンジダ、クリプトコッカスである。ポリエン系抗真菌薬は、適応菌種が、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスなどである。アゾール系抗真菌薬は、フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾールが挙げられる。フルコナゾールは、適応菌種が、カンジダ、クリプトコッカスである。イトラコナゾールは、適応菌種が、カンジダ、アスペルギルス、ヒストプラズマ、コクシジオイデス、スポロトリコーシスである。ボリコナゾールは、適応菌種が、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、スケドスポリウム、フサリウム、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスである。ポサコナゾールは、適応菌種が、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、スケドスポリウム、フサリウム、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスである。エキノキャンディン系抗真菌薬は、適応菌種が、カンジダ、アスペルギルスである。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-028780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の4系統の多用により、耐性菌の出現が問題となっている。既存の4系統に所属しない新規の系統の薬剤開発が望まれている。
本発明は、特定の菌に対する抗真菌活性を有する化合物を含む抗真菌剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明に関する。
〔1〕一般式(A):
【化1】
JP2017171604A_000002t.gif

〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(B):
【化2】
JP2017171604A_000003t.gif

〔式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、C1~C3のアルキル基、C2~C3のアルキニル基、C1~C3のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基であり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(C):
【化3】
JP2017171604A_000004t.gif

〔式中、R21は、C3~C6のアルキル基であり、R22は、トリフルオロメチル基、メチル基、又はp-トルイル基である。〕で表される化合物、
一般式(D):
【化4】
JP2017171604A_000005t.gif

〔式中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホナート基であり、R31は、C3~C6のアルキル基であり、R32、R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、
一般式(E):
【化5】
JP2017171604A_000006t.gif

〔式中、R41は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物、及び、
一般式(F):
【化6】
JP2017171604A_000007t.gif

〔式中、R51は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩を含む、抗真菌剤。
〔2〕上記〔1〕に記載の抗真菌剤を含む医薬用抗真菌剤。
〔3〕上記〔1〕に記載の抗真菌剤を含む農薬用抗真菌剤。
〔4〕一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、及び、一般式(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩の抗真菌剤の製造のための使用。
〔5〕一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、及び、一般式(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩の抗真菌のための使用。
〔6〕抗真菌における使用のための、一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、及び、一般式(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその薬理的に許容可能な塩。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の菌に対する抗真菌活性を有する化合物を含む抗真菌剤を提供することができる。
本発明によれば、既存の4系統に所属しない新しい系統の抗真菌剤を提供することができ、同系統の多用による耐性菌の発現を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、化合物A-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【図2】図2は、化合物B-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【図3】図3は、化合物C-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【図4】図4は、化合物D-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【図5】図5は、化合物E-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【図6】図6は、化合物F-1の抗真菌活性及び細胞毒性の評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、各置換基は以下のとおりである。
1~C3のアルキル基とは、炭素数1~3のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基が挙げられる。
3~C6のアルキル基とは、炭素数3~6のアルキル基を意味し、例えば、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基が挙げられる。
2~C3のアルキニル基とは、炭素数2~3のアルキニル基を意味し、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。
1~C3のアルコキシ基とは、炭素数1~3のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、i-プロピルオキシ基が挙げられる。
フェニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、C1~C3のアルキル基、C2~C3のアルキニル基、C1~C3のアルコキシ基が挙げられる。置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。

【0010】
[A]
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(A):
【化7】
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〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物A」ともいう)又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
1、R2、R3及びR4は、好ましくは水素原子である。

【0011】
化合物Aは、具体的には、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル (E)-4-オキソ-4-(2-オキソオキサゾリジン-3-イル)ブタ-2-エノレート(英語名:(1R,2S,5R)-2-isopropyl-5-methylcyclohexyl (E)-4-oxo-4-(2-oxooxazolidin-3-yl)but-2-enoate、以下、「化合物A-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物A-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化8】
JP2017171604A_000009t.gif

【0012】
化合物Aは、国際公開公報98/52930号公報に記載されている方法に従って製造することができる。

【0013】
[B]
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(B):
【化9】
JP2017171604A_000010t.gif

〔式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、C1~C3のアルキル基、C2~C3のアルキニル基、C1~C3のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基であり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物B」ともいう)又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
11及びR12は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、フッ素原子、C1~C3のアルキル基、C1~C3のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基であり、より好ましくは水素原子である。
13及びR14は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、又は水酸基であり、より好ましくは水素原子である。

【0014】
化合物Bは、具体的には、(R)-3,3'-ビス((E)-(((1R,2R)-2-(イソインドリン-2-イル)-1,2-ジフェニルエチル)イミノ)メチル)-[1,1'-ビナフチレン]-2,2'-ジオール(英語名:(R)-3,3'-bis((E)-(((1R,2R)-2-(isoindolin-2-yl)-1,2-diphenylethyl)imino)methyl)-[1,1'-binaphthalene]-2,2'-diol、以下「化合物B-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物B-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化10】
JP2017171604A_000011t.gif

【0015】
化合物Bは、特開2015-38052に記載されている方法に従って製造することができる。

【0016】
[C]
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(C):
【化11】
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〔式中、R21は、C3~C6のアルキル基であり、R22は、トリフルオロメチル基、メチル基、又はp-トルイル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物C」ともいう)、又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
21は、好ましくは、t-ブチル基である。R21の置換位置は、好ましくはp-位(4-位)である。
22は、好ましくは、トリフルオロメチル基である。

【0017】
化合物Cは、具体的には、2,6-ジアセチル-4-(tert-ブチル)フェニルトリフルオロメタンスルフォネート(英語名:2,6-diacetyl-4-(tert-butyl)phenyl trifluoromethanesulfonate、以下「化合物C-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物C-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化12】
JP2017171604A_000013t.gif

【0018】
化合物Cは、Kazuhiro Takenaka, Yasuhiro Uozumi, Organic Letters, 2004, Vol.6, No.11, 1833-1835のSupporting Informationに記載されている方法に従って製造することができる。

【0019】
[D]
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(D):
【化13】
JP2017171604A_000014t.gif

〔式中、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホナート基であり、R31は、C3~C6のアルキル基であり、R32、R33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物D」ともいう)、又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
Xは、好ましくは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
31は、好ましくはt-ブチル基である。R31の置換位置は、好ましくは4-位である。
32、R33及びR34は、好ましくは水素原子である。

【0020】
化合物Dは、具体的には、(2,6-ビス((4R,5R)-1-ベンジル-4,5-ジフェニルイミダゾリジン-2-イル)-4-(tert-ブチル)フェニル)パラジウム(II)クロライド(英語名:(2,6-bis((4R,5R)-1-benzyl-4,5-diphenylimidazolidin-2-yl)-4-(tert-butyl)phenyl)palladium(II) chloride、以下「化合物D-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物D-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化14】
JP2017171604A_000015t.gif

【0021】
化合物Dは、特開2013-139417号公報に記載されている方法に従って製造することができる。

【0022】
[E]
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(E):
【化15】
JP2017171604A_000016t.gif

〔式中、R41は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物E」ともいう)、又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
41は、好ましくは水素原子である。

【0023】
化合物Eは、具体的には、(E)-(4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン-1-イル)ベンゼン(英語名:(E)-(4,4,4-trifluorobut-1-en-1-yl)benzene、以下「化合物E-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物E-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化16】
JP2017171604A_000017t.gif

【0024】
化合物Eは、Brett R. Ambler and Ryan A. Altman, Organic Letters, 2013, Vol.15, No.21, 5578-5581のSupporting Informationに記載されている方法に従って製造することができる。

【0025】
[F]
一般式(F):
【化17】
JP2017171604A_000018t.gif

〔式中、R51は、水素原子、水酸基、C1~C3のアルコキシ基、又はC1~C3のアルキル基である。〕で表される化合物(以下、「化合物F」ともいう)、又はその薬理的に許容可能な塩を含む。
51は、好ましくは、水素原子である。

【0026】
化合物Fは、具体的には、[2,2'-ビチオフェン]-3,3'-ジカルボアルデヒド(英語名:[2,2'-bithiophene]-3,3'-dicarbaldehyde、以下「化合物F-1」ともいう)が好ましい。なお、化合物F-1は、下記の構造式により表される化合物である。
【化18】
JP2017171604A_000019t.gif

【0027】
化合物Fは、Tetsuo Otsubo, Fumio Ogura, Journal of Organic Chemistry, 1994, Vol. 59, 3077-3081に記載されている方法に従って製造することができる。

【0028】
薬理学的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩、塩基付加塩が挙げられる。
酸付加塩としては、無機酸塩、有機酸塩のいずれであってもよい。
無機酸塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
有機酸塩としては、例えば、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等が挙げられる。

【0029】
塩基付加塩としては、無機塩基塩、有機塩基塩のいずれであってもよい。
無機塩基塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基塩としては、例えば、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等が挙げられる。

【0030】
本発明の抗真菌剤は、カンジダ属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。
一般式(A)で表される化合物は、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。
一般式(B)で表される化合物は、カンジダ属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。一般式(B)で表される化合物は、肺胞マクロファージに対して呼吸阻害への影響が低く、細胞毒性が低い。
一般式(C)で表される化合物は、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。一般式(C)で表される化合物は、肺胞マクロファージに対して呼吸阻害への影響が低く、細胞毒性が低い。
一般式(D)で表される化合物は、カンジダ属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。一般式(D)で表される化合物は、肺胞マクロファージに対して呼吸阻害への影響が低く、細胞毒性が低い。
一般式(E)で表される化合物は、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。
一般式(F)で表される化合物は、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤として好適に用いられる。一般式(F)で表される化合物は、肺胞マクロファージに対して呼吸阻害への影響が低く、細胞毒性が低い。

【0031】
以上、本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、及びクリプトコッカス属菌に対する抗真菌剤である。
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤である。
本発明の抗真菌剤は、好ましくは、一般式(A)で表される化合物、一般式(C)で表される化合物、一般式(E)で表される化合物、又は一般式(F)で表される化合物を含み、カンジダ属菌、クリプトコッカス属菌、及びアスペルギルス属菌に対する抗真菌剤である。

【0032】
適用するカンジダ属菌としては、例えば、カンジダ・グラブラータ(C.glabrata)、カンジダ・リポリチカ(C.lipolytica)、カンジダ・ペリキュローザ(C.pelliculose)、カンジダ・トロピカリス(C.tropicalis)、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)等が挙げられ、これらの中でも、カンジダ・グラブラータ(C.glabrata)が好ましい。
適用するクリプトコッカス属菌としては、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cr. neoformans)等が挙げられる。
適用するアスペルギルス属菌としては、アスペルギルス・フミガタス(A. Fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(A. flavus)、アスペルギルス・パラシチクス(A. parasiticus)等が挙げられ、これらの中でも、アスペルギルス・フミガタス(A. Fumigatus)が好ましい。

【0033】
[医薬]
本発明の抗真菌剤は、皮膚真菌症治療薬などの外用薬、深在性真菌症治療薬などの内服薬等の医薬用抗真菌剤として使用できる。
本発明の抗真菌剤は、真菌は農作物に対する被害も引き起こすため、農薬用抗真菌剤としても使用できる。

【0034】
本発明の抗真菌剤は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、固結・付着防止剤、滑沢剤、吸収・吸着担体、溶剤、増量剤、等張化剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、被覆剤、吸収促進剤、ゲル化・凝固促進剤、光安定化剤、保存剤、防湿剤、乳化・懸濁・分散安定化剤、着色防止剤、脱酸素・酸化防止剤、矯味・矯臭剤、着色剤、起泡剤、消泡剤、無痛化剤、帯電防止剤、緩衝・pH調節剤などの各種医薬品添加物を配合して医薬用組成物とすることができ、さらにこれを含む経口剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤など)、外用剤(軟膏剤、貼付剤など)、注射剤、坐剤等の製剤を調製することもできる。
上記各種薬剤は、通常の方法により製剤化される。

【0035】
錠剤、散剤、顆粒剤などの経口用固形製剤は、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、無水第二リン酸カルシウム、部分アルファ化デンプン、コーンスターチ及びアルギン酸などの賦形剤;単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水及びエタノールなどの結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸、かんてん末、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、及びデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸、カカオバター、及び水素添加油などの崩壊抑制剤;ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、無水ケイ酸などの固結防止・付着防止剤;カルナバロウ、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、硬化油、硬化植物油誘導体、胡麻油、サラシミツロウ、酸化チタン、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、リン酸水素カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びポリエチレングリコールなどの滑沢剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、尿素及び酵素などの吸収促進剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及びコロイド状ケイ酸などの吸収・吸着担体などの固形製剤化用医薬用添加物を用い、常法に従い調製すればよい。

【0036】
さらに錠剤は、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、胃溶性被覆錠、腸溶性被覆錠及び水溶性フィルムコーティング錠とすることができる。
カプセル剤は、上記で例示した各種の医薬品と混合し、硬質ゼラチンカプセル及び軟質カプセルなどに充填して調製することができる。
また、溶剤、増量剤、等張化剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤などの上記した各種の液体製剤化用添加物を用い、常法に従い調製して、水性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、及びエリキシル剤とすることもできる。

【0037】
ペースト、クリーム、及びゲル形態の軟膏剤は、例えば、白ワセリン、ポリエチレン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、及びベントナイトなどの基剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどの保存剤;安定剤;湿潤剤などの医薬品添加物を用い、常法により混合、製剤化すればよい。

【0038】
貼付剤は、例えば、通常の支持体に、上記軟膏剤などを常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ及び化学繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の織布又は不織布;軟質塩化ビニル、ポリエチレン、及びポリウレタンなどのフィルム又は発泡体シートが使用できる。

【0039】
注射剤は、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、クエン酸、酢酸、リン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、硫酸及び水酸化ナトリウムなどの希釈剤;クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムなどのpH調整剤及び緩衝剤;ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸及びチオ乳酸などの安定化剤;食塩、ブドウ糖、マンニトール又はグリセリンなどの等張化剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、ウレタン、エタノールアミン、グリセリンなどの溶解補助剤;グルコン酸カルシウム、クロロブタノール、ブドウ糖、ベンジルアルコールなどの無痛化剤;並びに、局所麻酔剤などの液体製剤化用の医薬品添加物を用い、常法に従い調製すればよい。

【0040】
坐剤は、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ油、ラノリン、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド及びウィテップゾールなどに適当な吸収促進剤を添加し調製すればよい。

【0041】
上記医薬組成物の投与方法は、特に限定されないが、製剤の形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度に応じて適宜決定される。
本発明の抗真菌剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の形態、その他の条件などに応じて適宜選択されるが、通常成人に対して1日0.1~500mgを1回から数回に分割して投与すればよく、好ましくは、1日40~500mgを1回から数回に分割して投与すればよい。

【0042】
[農薬]
本発明の抗真菌剤は、例えば、乳化剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、増粘剤、安定剤、溶剤などの各種農薬用添加剤を配合して農薬用組成物とすることができ、さらにこれを含む乳剤、液剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、油剤、水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、種子コーティング剤、燻煙剤、錠剤、マイクロカプセル剤、噴霧剤、エアゾール剤、炭酸ガス製剤、蚊取り線香・電気蚊取りマット・液体電気蚊取り等の加熱蒸散剤、EW剤、軟膏、毒餌、カプセル剤、ペレット剤、注射剤、樹脂製剤、シャンプー製剤等の剤型として使用することもできる。
上記各種剤型は、通常の方法により製剤化される。

【0043】
乳化剤、展着剤、浸透剤、分散剤等として使用される界面活性剤としては、必要に応じて、石鹸類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー類、多価アルコールエステル類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルケニルスルホン酸塩類等の非イオン系及びアニオン系界面活性剤が挙げられる。

【0044】
農薬用途において使用する溶剤としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ケロシン、灯油、燃料油、機械油等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、酸アミド類(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-オクチルピロリドン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、脂肪酸グリセリンエステル、γ-ブチロラクトン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、カーボネート類(例えば、炭酸プロピレン等)、植物油(例えば、なたね油、綿実油等)等の溶媒が挙げられる。

【0045】
また、本発明の抗真菌剤と、他の農薬活性成分、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、マシンオイル、殺線虫剤、除草剤、植物ホルモン剤、植物成長調節物質、殺菌剤、共力剤、誘引剤、忌避剤、薬害軽減剤、色素、肥料、動物用飼料、動物用医薬品、動物用栄養剤等とを配合し、適宜使用することも可能である。

【0046】
本発明の農薬用組成物における本発明の抗真菌剤の含有割合は、本発明の農薬用組成物全量に対して、通常、0.1~80質量%、好ましくは、1~20質量%である。
【実施例】
【0047】
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0048】
[化合物の合成]
製造例1:化合物A-1の合成
マレイン酸無水物(4.9g)とオキサゾリドン(4.4g)のジクロロメタン溶液(90ml)にトリエチルアミン(7ml)を加え、30分撹拌した。反応液を0℃に冷却し、N,N-ジメチルホルムアミド(0.1ml)を加えた後に塩化オギザリル(4.2ml)を少しずつ滴下する。滴下後室温で3時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、L-メントール(13.3g)のピリジン溶液(23ml)を加え、室温で12時間撹拌する。反応液をセライトでろ過し、ろ液を1M塩酸水溶液で3回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗った後に硫酸ナトリウムで乾燥する。濾紙でろ過し、ろ液の溶媒を留去する。残った残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製して、さらにヘキサンより再結晶することで化合物A-1を得た(4.3g)。
化合物A-1のデータ:
融点(mp): 78-79 °C
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 0.75 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.89-0.92 (m, 1H), 0.90 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.91 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.00-1.13 (m, 2H), 1.43-1.52 (m, 2H), 1.68-1.71 (m, 2H), 1.83-1.90 (m, 1H), 2.02-2.05 (m, 1H), 4.41 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.48 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 4.80 (ddd, J = 4.4, 10.8, 10.8 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 15.6 Hz, 1H)
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ16.1, 20.6, 21.9, 23.5, 26.3, 31.3, 34.1, 40.6, 42.6, 46.9, 62.3, 75.5, 131.5, 134.9, 153.0, 163.9, 164.3
IR (ATR): 2942, 2923, 2869, 1769, 1723, 1676, 1389, 1369 cm-1
HRMS (ESI) calcd for C17H25N1Na1O5346.1630 (M+Na)+; found 346.1632.
【実施例】
【0049】
製造例2:化合物B-1の合成
特開2015-38052号公報(ビナフトール骨格を有するビスアミノイミン配位子及び触媒、出願日:平成25年8月19日、出願番号:特願2013-169911号、発明者:荒井孝義、杉山典幸)、及び[Arai, T.; Sugiyama, N.; Masu, H.; Kado, S.; Yabe, S.; Yamanaka, M. Trinuclear Zn3(OAc)4-3,3’-bis(aminoimino)binaphthoxide Complex for Highly Efficient Catalytic Asymmetric Iodolactonization. Chemical Communications 2014, Vol. 42, 8287-8290]記載の方法により合成した。
【化19】
JP2017171604A_000020t.gif

ホルミルビナフトール(51.4mg, 0.15mmol)と第三級アミン部位を導入したジアミン(103.7mg、0.33mmol)を無水エタノール(25ml)に溶かし、アルゴン雰囲気下、80℃で24時間攪拌し、減圧濃縮することで化合物B-1を99%の収率で得た。
化合物B-1のデータ:
1H-NMR (500MHz, CDCl3) δ 3.98 (d, J=11.5Hz, 4H), 4.05 (d, J=11.5Hz, 4H), 4.25 (d, J=7.5Hz, 2H), 4.95 (d,J=7.5Hz, 2H), 7.00-7.14 (m, 30H, aromatic), 7.30-7.37(m, 6H, aromatic), 7.88 (d, J=7.7Hz, 2H, aromatic), 7.96(s, 2H), 8.78(s, 2H);
13C-NMR (125MHz, CDCl3) δ 58.2, 77.5, 78.7, 116.6, 121.1, 122.1, 123.3, 124.9, 126.6, 127.1, 127.2, 127.6, 127.7, 127.9, 128.1, 128.3, 128.9, 129.5, 133.9, 135.3, 138.0, 139.5, 139.9, 154.6, 165.0;
HRMS calcd for C66H55N2O4(M+ + H) 935.4320: found 935.4314.
【実施例】
【0050】
製造例3:化合物C-1の合成
魚住らの報告[Kazuhiro Takenaka, Yasuhiro Uozumi, Organic Letters, 2004, Vol.6, No.11, 1833-1835]に記載の方法により、化合物C-1を合成した。生成物は1H-NMRの文献値と比較して確認した。
【実施例】
【0051】
製造例4:化合物D-1の合成
[Arai, T.; Oka, I.; Morihata, T.; Awata, A.; H. Masu. A Neutral, Chiral, Bis(imidazolidine)-derived NCN-type Palladium Pincer Complex Demonstrating Catalyst Activity. Chemistry A European Journal. 2013, Vol. 19, 1554-1557.]、及び、特開2013-139417(発明者:荒井孝義、岡以気代「ビスイミダゾリジンピンサー型錯体、及び、ビスイミダゾリジンピンサー型錯体並びにそれらの製造方法」、出願日:平成23年12月29日、出願番号:特願2011-290447号)の方法に従って合成した。生成物は1H-NMRの文献値と比較して確認した。
具体的には、以下の反応式に従って合成した。
【化20】
JP2017171604A_000021t.gif

【化21】
JP2017171604A_000022t.gif
【実施例】
【0052】
(1S,2S)-N-ベンジル-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン(英語名:(1S,2S)-N-benzyl-1,2-diphenylethane-1,2-diamine)(Da)の合成:
まず、活性化したモレキュラーシーブ(MS 4Å)2.5 gが入ったナスフラスコの中にジメチルホルムアミド25 mlを入れ、アルゴン置換する。その後、(1S,2S)-1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジアミン(英語名:(1S,2S)-1,2-diphenylethane-1,2-diamine)1 g, 5 mmolと、水酸化セシウム一水和物836 mg、ベンジルクロライド690 μlの順に加え、35 ℃で撹拌する。24時間以上攪拌した後、ろ紙濾過でモレキュラーシーブを除き、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチル、水、食塩水の順に抽出する。有機層を亡硝により乾燥し、減圧濃縮する。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒1:1 n-ヘキサン/酢酸エチル から 酢酸エチル)により精製することで46 %収率で黄色オイル状の目的の化合物Daを得た。
化合物Daのデータ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ3.47 (d, J=13.5 Hz, 1H), 3.67 (d, J=13.5 Hz, 1H), 3.76 (d, J=7.3 Hz, 1H), 4.01 (d, J= 7.3 Hz, 1H), 7.09-7.31 (m, 15H, aromatic)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 51.4, 61.8, 68.8, 126.8, 126.9, 127.02, 127.03, 128.0, 128.07, 128.09, 128.3, 140.2, 140.6, 141.2, 143.5
FT/IR 3375, 3311, 3060, 3026, 2904, 2837, 1601, 1493, 1452, 762, 696 cm-1
[α]D20= -7.5°(c = 1.23, CHCl3)
HRMS (FAB+) calcd for C21H23N2(M++H) 303.1861: found 303.1873.
【実施例】
【0053】
[(2,6-bis((4S,5S)-1-benzyl-4,5-diphenylimidazlidin-2-yl)-4-tert-butylphenyl)palladium(II)chloride](化合物D-1)の合成
[Takenaka, K.; Minakawa, M.; Uozumi, Y. NCN Pincer Palladium Complexes: Their Preparation via a Ligand Introduction Route and Their Catalytic Properties”Journal of the American Chemical Society 2005, Vol. 127, 12273-12281.]の報告の方法により化合物Dcを得た。酸素雰囲気下、化合物Dc (427.83 mg, 0.5 mmol)、化合物Da (453.62 mg, 1.5 mmol)をアセトニトリル(15.15 ml)中で混合し、2日間還流、攪拌する。室温までに放冷し、沈殿物をメタノールとジエチルエーテルで洗浄する。白色微粒子の化合物D-1を26.1 %収率で得た。
化合物D-1:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.15(s, 9H), 3.87(d, 2H), 4.02(d, 2H), 4.10(t, 2H), 4.34(m, 2H), 4.85(m, 2H), 5.57(d, 2H), 6.70(s, 2H), 7.13-7.34(m, 32H);
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 31.54, 34.75, 58.17, 73.80, 77.67, 89.14, 121.38, 127.52, 127.67, 128.09, 128.17, 128.49, 128.57, 128.63, 129.54, 134.81, 138.17, 138.61, 146.25, 147.29;
FT/IR 3201.26, 2923.56, 2853.17, 1376.93 cm-1
[α]D20= -77.5 (c =1.00, CHCl3);
FTMS (ESI+) calcd for C54H53N4Pd(M+-Cl) 863.3300;found 863.3311.
【実施例】
【0054】
製造例5:化合物E-1の合成
化合物E-1の合成は[Tetrahedron Letters. 1987, Vol. 28, 5857.]の文献の記載を参考に行った。(E)-トリブチル(スチリル)スズ(36.8 mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)1.06 gのベンゼン74 mL溶液に対し1,1,1-トリフルオロ-2-インドエタン 5gを室温にて添加した。得られた黄色溶液を加熱還流し45時間後、室温まで冷却した。得られた茶色溶液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて(溶媒:ヘキサン、シリカには10%W/WでK2CO3を含む)にて精製し目的物を660 mg得た。生成物は1H-NMRの文献値と比較して確認した。
【実施例】
【0055】
製造例6:化合物F-1の合成
3-チオフェンカルボアルデヒド1.68 gのベンゼン150 mL溶液に2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール1.88 gとp-トルエンスルホン酸一水和物0.266 gを加え、Dean-Stark装置を用いて22時間還流した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mLを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル混合溶液)で精製し、以下の物性を有する5,5-ジメチル-2-(3-チオフェニル)-1,3-ジオキサン4.58 gを得た。
1H-NMR(CDCl3):δ 0.80(s, 3H), 1.28(s, 3H), 3.64(d, J=11.0Hz, 2H), 3.75(d, J=11.3Hz, 2H), 5.48(s, 1H), 7.19(dd, J=1.2 and 5.1Hz, 1H), 7.30(dd, J=3.0 and 5.1Hz, 2H), 7.42(dd, J=0.6 and 3.1Hz, 1H)
【実施例】
【0056】
5,5-ジメチル-2-(3-チオフェニル)-1, 3-ジオキサン1.98 gのテトラヒドロフラン50 mLに溶解し、-78℃にてn-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液) 7.6 mLを加え、30分反応させた。反応溶液にヨウ素3.04 gを加え、-78℃にて30分反応させた。反応混合液に飽和チオ硫酸ナトリウム40mLを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル混合溶液)で精製し、以下の物性を有する2-(2-ヨードチオフェン-3-イル)-5, 5-ジメチル-1, 3-ジオキサン3.01 gを得た。
1H-NMR(CDCl3) δ 0.81(s, 3H), 1.31(s, 3H),3.68(d, J=11.0Hz, 2H), 3.75(d, J=11.3Hz,2H), 5.36(s, 1H), 7.10(d, J=5.9Hz, 1H), 7.45(d, J=5.6Hz, 2H)
【実施例】
【0057】
2-(2-ヨードチオフェン-3-イル)-5, 5-ジメチル-1, 3-ジオキサン2.86 gのN,N-ジメチルホルムアミド15 mL溶液に粉末銅0.559 gを加え、45時間還流した。反応溶液に28%アンモニア水溶液70 mLを加えて1時間撹拌した。反応混合液を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル混合溶液)で精製し、以下の物性を有する3,3'-ビス(5,5-ジメチル-1, 3-ジオキサン-2-イル)-2, 2'-ビチオフェン 1.63 gを得た。
1H-NMR(CDCl3): δ 0.74(s, 6H), 1.33(s, 6H), 3.54(d, J=11.0Hz, 4H), 3.68(d, J=11.1Hz, 4H), 5.31(s, 2H), 7.38(d, J=5.4Hz, 2H), 7.40(d, J=5.5Hz, 2H)
【実施例】
【0058】
3'-ビス(5,5-ジメチル-1, 3-ジオキサン-2-イル)-2, 2’-ビチオフェン1.49 gにテトラヒドロフラン230 mLと水230 mLを加え、濃硫酸24 mLを加えた。混合溶液を70℃にて6日間反応させた。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウムを弱塩基性になるまで加え、クロロホルムで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、以下の物性を有する標題の化合物F-1 0.529 gを得た。
1H-NMR(CDCl3) δ 7.54(d, J=5.9Hz, 2H), 7.70(d, J=5.9Hz, 2H), 9.92(s, 2H)
【実施例】
【0059】
[抗真菌活性及び細胞毒性の評価]
実施例1~6
CLSI(臨床・検査標準協会)が推奨するマイクロ希釈法によって最小生育阻止濃度(MIC)を決定した。病原真菌カンジダ・グラブラータ(C. glab)、クリプトコッカス・ネオホルマンス(Cr. neo)、アスペルギルス・フミガタス(A. fumi)(胞子)を200μLあたり200個の菌濃度に調整し、3菌種に対する化合物A-1~F-1による最小生育阻止濃度を測定した。培養は37℃、C. glabは24時間、Cr. neo とA. fumi は48時間行った。
細胞毒性は、マウス肺胞マクロファージの呼吸量をProliferation assay WST-1 kit(Roche)を用いて測定し、化合物A-1~F-1をマイクロ希釈法によって最小呼吸阻止濃度(MIC)により決定した。培養はCO2インキュベータの中で37℃、24時間行った。得られた結果を表1及び図1~6に示した。なお、図中、「Cell」は、マウス肺胞マクロファージ、「C. glab.」は、カンジダ・グラブラータ、「Cr. neo.」はクリプトコッカス・ネオホルマンス、「A. fumi.」は、アスペルギルス・フミガタスでの結果を示す。
【実施例】
【0060】
【表1】
JP2017171604A_000023t.gif
【実施例】
【0061】
主な病原真菌クリプトコッカス・ネオホルマンス(C. neo)、アスペルギルス・フミガタス(A. fumi)に対する生育阻止活性とマウス肺胞マクロファージを用いて呼吸量を指標とした細胞毒性を測定した。化合物A-1、及び化合物E-1は、真菌ばかりではなく、マクロファージに対しても毒性を示した(表1)。化合物B-1及び化合物D-1については、カンジダ・グラブラータにのみに活性が確認された。化合物C-1と化合物F-1について、マクロファージへの毒性が低いのに対して3菌種共に活性が高い。特に化合物F-1については、その傾向が強く観察される。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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