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明細書 :分析方法及び分析装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-173281 (P2017-173281A)
公開日 平成29年9月28日(2017.9.28)
発明の名称または考案の名称 分析方法及び分析装置
国際特許分類 G01N  30/40        (2006.01)
G01N  30/46        (2006.01)
G01N  30/08        (2006.01)
G01N  30/88        (2006.01)
G01N  30/26        (2006.01)
FI G01N 30/40
G01N 30/46 A
G01N 30/08 L
G01N 30/88 E
G01N 30/26 M
G01N 30/26 L
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2016-062825 (P2016-062825)
出願日 平成28年3月25日(2016.3.25)
発明者または考案者 【氏名】北村 進一
【氏名】小谷口 美也子
出願人 【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100104307、【弁理士】、【氏名又は名称】志村 尚司
審査請求 未請求
要約 【課題】多次元クロマトグラフィにおいて検出ピークの重なりなどを少なくして、検出感度や検出精度を高めた分析方法を提供する。
【解決手段】
第1の分離カラム1と、第2の分離カラム2と、トラップカラム3と、前記第1の分離カラム1と前記トラップカラム3を接続する第1の流路10と、前記トラップカラム3と前記第2の分離カラム2を接続する第2の流路11と、前記第1の流路10の接続と前記第2の流路11の接続を切り替える切替バルブ3を備えた分析装置において、前記第2の流路11の接続が選択された際、前記第1の流路10が接続される前記トラップカラム3の接続側と反対側に、前記トラップカラム3に捕捉された成分を送り出す移動相の第2の送液ポンプ6が接続され、トラップカラム3に成分を捕捉させる際の移動相の送出方向と逆方向に第2の移動相を送り出し、捕捉した成分を第2の分離カラム2に移動させる。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
成分を捕捉させたトラップカラムから分離カラムに前記成分を移動させて分離分析する方法において、
前記トラップカラムに前記成分を捕捉させるための移動相の送出方向と逆方向に移動相を送出して前記成分を分離カラムへ移動させることを特徴とする分析方法。
【請求項2】
順相クロマトグラフィにより分離したリン脂質をトラップカラムに捕捉させた後、トラップカラムから溶出させたリン脂質を順相クロマトグラフィで分離することを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
2つの分離カラムを用いた脂質の2次元クロマトグラフィによる分析方法であって、第1の分離カラムで脂質を各脂質画分に分離した後に、所望する脂質画分をトラップカラムに捕捉し、次いでトラップカラムから溶出した前記脂質画分を第2の分離カラムで分子種分析を行うことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
【請求項4】
第1の分離カラムと、
第2の分離カラムと、
トラップカラムと、
前記第1の分離カラムと前記トラップカラムを接続する第1の流路と、
前記トラップカラムと前記第2の分離カラムを接続する第2の流路と、
前記第1の流路の接続と前記第2の流路の接続を切り替える切替手段と、
を備え、
前記第2の流路の接続が選択された際、前記第1の流路が接続される前記トラップカラムの接続側と反対側に、前記トラップカラムに保持された成分を送り出す移動相の供給装置が接続される分析装置。
【請求項5】
前記移動相の供給装置が前記第2の分離カラムにおける移動相を供給する請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
第1の分離カラムを通過した移動相に混合される移動相を送り出す供給装置を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の分析装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は分析方法及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リン脂質は構造中にリン酸エステル部位を有する脂質の1種であり、グリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質とに大別される。前者のグリセロリン脂質は、グリセリンに脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造を有する。グリセロリン脂質を構成する脂肪酸はグリセリンの1位及び2位に結合するために、脂肪酸の種類やリン酸に結合するアルコールの種類や結合位置を考慮したグリセロリン脂質の分子種は非常に多岐にわたる。
【0003】
このように多岐にわたる脂質の分子種を分離分析する方法としては、種々の試料から脂質画分を抽出した後、得られた脂質画分について例えば液体クロマトグラフィなどの分析手法を用いて分離分析することが一般的である。
【0004】
ところで、試料中に含まれている成分を分析するための方法として、2つの分離カラムとトラップカラムを用いて、第1の分離カラムから溶出された成分をトラップカラムに捕捉させた後、捕捉させた成分をさらに第2の分離カラムで分離する2次元クロマトグラフィが知られている。この方法では、第1の分離カラムと第2の分離カラムにはそれぞれ特性の異なる分離カラムが用いられ、それぞれの分離カラムにおいてそれぞれ特性の異なる移動相(溶離液)が用いられる。例えば、試料中の脂質を分離分析する場合、まず第1の分離カラムで脂質を順相クロマトグラフィにて各脂質画分(例えば、トリグリセライド画分、フォスファチジルエタノールアミン画分、フォスファチジルコリン画分、飽和脂肪酸画分など)に分離して、各画分ごとにトラップカラムに捕捉させる。その後、捕捉した脂質画分を第2の分離カラムで逆相クロマトグラフィにて分析することが多い。これまでに、こうした複数の分離カラムと1又は2以上のトラップカラムを備えた多次元のクロマトグラフ装置が数々と提案されている(例えば特許文献1や特許文献2参照)。これらの装置においては、トラップカラムには、第1の分離カラムが接続された接続側に第2の分離カラムが接続される。従って、捕捉された成分を第2の分離カラムで分離させる際、トラップカラムには、第1の分離カラムからトラップカラムへの供給方向と同じ方向に第2の分離カラムで使用される移動相が供給され、捕捉された成分がトラップカラムから第2の分離カラムに送り出される。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2002-271272号公報
【特許文献2】特開2008-96455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの多次元クロマトグラフ装置で、多成分を含む試料を分析した場合には、検出ピークがブロードになったり、検出ピークにテーリングが観察され、十分な分離度や十分な検出感度が得られないことがあった。試料が、リン脂質、特にグリセロリン脂質など類似する分子構造を有する成分を多数含む場合には、複数の成分の検出ピークが重なりやすく、第2の分離カラムにおける分離条件の設定が極めて困難であった。そのため、第1の分離カラムで分離された各脂質画分を構成する分子種の特定が困難になるという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、多次元クロマトグラフィにおいて検出ピークの重なりなどを少なくして、検出感度や検出精度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、トラップカラムに捕捉された成分を分離カラムに移動させる際に、トラップカラムに成分を捕捉させる際の移動相の送出方向と逆方向に移動相を送出し、トラップカラムに捕捉した成分を第2の分離カラムに移動させることにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、トラップカラムからの移動時において、トラップカラムに捕捉された成分の送出方向における拡散が少なくなる。この結果、トラップカラムに接続された分離カラムにおける分離度が向上し、検出感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成図であって、トラップカラムに成分を捕捉させる際の状態を示した図である。
【図2】図2は図1の分析装置において、捕捉させた成分をトラップカラムから移動させる際の状態を示した図である。
【図3】図3は本発明の一実施例に係るリン脂質の分析に用いられた分析装置の概略構成図である。
【図4】図4はトラップカラムに第2の移動相を逆方向に送出した場合と正方向に送出した場合を比較した2次元めのクロマトグラムである。上のチャートは逆方向に送出した場合を、下のチャートは正方向に送出した場合を示す。
【図5】図5は図3に示す分析装置を用いて大豆レシチンを分析した際における1次元めのクロマトグラムである。図中の矢印は、トラップカラムに捕捉させたリン脂質の1種であるホスファチジルコリン画分を示す。標準物質(Standard)の略語はそれぞれ次の物質を示す。TAG:中性脂質、VE:トコフェロール、FFA:遊離脂肪酸(C16:0)、CF:シクロアルテニルフェルレート、Cer:グルコシルセラミド、PE:ホスファチジルエタノールアミン、LPE:リゾホスファチジルエタノールアミン、PC:ホスファチジルコリン、LPC:リゾホスファチジルコリン
【図6】図6は図5におけるPC画分のクロマトグラム(2次元めのクロマトグラフ)である。
【図7】図7は図3に示す分析装置を用いて筋子乳化油を分析した際における1次元めのクロマトグラムである。図中の矢印はトラップカラムに捕捉させるPC画分を示す。
【図8】図8は図7におけるPC画分のクロマトグラム(2次元めのクロマトグラフ)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る分析方法は、成分を捕捉させたトラップカラムから分離カラムに前記成分を移動させて分離分析する方法において、前記トラップカラムに前記成分を捕捉させるための移動相の送出方向と逆方向に移動相を送出して前記成分を分離カラムへ移動させることを特徴とする。トラップカラムから移動された成分を分離カラムで分離する方法はいわゆる2次元クロマトグラフィや多次元クロマトグラフィとして公知である。2次元クロマトグラフィは、第1の分離カラムで分離された成分をトラップカラムに捕捉させ、その後、捕捉された成分をトラップカラムから第2の分離カラムに送り出し、第2の分離カラムでさらに分離する方法である。本発明では、このようなトラップカラムを利用した分析方法において、第2の分離カラムに捕捉させた成分をトラップカラムから移動させる際に、第1の分離カラムで分離された成分をトラップカラムに捕捉させるために用いられる移動相の送出方向(本明細書では「正方向」と言う。)と逆方向に第2の移動相を送り出す。

【0012】
本発明において使用される分離カラム(第1の分離カラム、第2の分離カラムなど)やトラップカラムは、カラムクロマトグラフィ用の分離カラムやトラップカラムとして使用され得るカラムであれば特に限られない。分離カラムは例えば高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィで使用され得る分離カラムである。第1の分離カラムからトラップカラムに成分を捕捉させる際に使用される移動相やトラップカラムから第2の分離カラムに捕捉した成分を移動させる際に使用される第2の移動相も特に制約されるものでなく、捕捉させる成分、トラップカラム、分離カラムそれぞれの特性に応じて適宜選択される。なお、本発明において「第1の分離カラム」「第2の分離カラム」の用語は分離カラムの個数を制限するものではない。つまり、第1の分離カラムの次にトラップカラムが接続され、その後にトラップカラムと第2の分離カラムが接続されていればよく、それぞれ1つのカラムが用いられる場合に限定されない。例えば、1つの第1の分離カラムと1つの第2の分離カラムと2以上のトラップカラムが用いられる場合や、1つの第1の分離カラムと、1つのトラップカラムと2つ以上の第2の分離カラムが用いられ、組成の異なる複数の第2の移動相によりトラップカラムから第2の分離カラムに保持された成分が送り出される場合、第2の分離カラムの次に第2のトラップカラムと第3の分離カラムが用いられる場合なども含まれる。

【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成図である。この分析装置は高速液体クロマトグラム分析装置である。分析装置は、1つの第1の分離カラム1と、1つの第2の分離カラム2と、1つのトラップカラム3と、前記第1の分離カラム1と前記トラップカラム2を接続する第1の流路10と、前記トラップカラム3と前記第2の分離カラム2を接続する第2の流路11と、前記トラップカラム3と前記第1の流路10の接続と前記トラップカラム3と前記第2の流路11の接続を切り替える切替手段としての切替バルブ(例えばスイッチングバルブ)4と、第1の分離カラム1に第1の移動相を送り出す送出装置としての第1の送液ポンプ5と、第2の分離カラム2に第2の移動相を送り出す送出装置としての第2の送液ポンプ6を備える。

【0014】
切替バルブ4は、前記第1の流路10との接続に切り替えている場合、つまり第1の分離カラム1とトラップカラム3を接続する場合には、トラップカラム3と廃液流路12を接続する。また、切替バルブ4は、第2の流路11と第2の送液ポンプ6を、トラップカラム3を介することなく接続する(図1参照)。そして、当該切替バルブ4は、前記第2の流路11との接続に切り替えている場合、つまり、トラップカラム3と第2の分離カラム2を接続する場合には、トラップカラム3の第1の流路11が接続される接続口と反対側の接続口に、第2の送出ポンプ6を接続する。また、切替バルブ4は、第1の流路10と廃液流路12を、トラップカラム3を介することなく接続する(図2参照)。従って、後者が選択された場合、トラップカラム3には第2の移動相が逆方向に送り出され、トラップカラム3に捕捉されていた成分は第2の移動相によって第2の分離カラム2に供給される。

【0015】
第1の流路10には第1の検出器7と、送出装置としてのメークアップポンプ9から供給されるメークアップ溶媒を混合するミキシングチューブ(図示せず)が備えられる。ミキシングチューブは必須のものではなく、必要に応じて備えられる。第1の検出器7は、成分をUV検出器のような非破壊的に成分を検出する検出器であって、第1の分離カラム1で分離された成分を検知する。

【0016】
第2の分離カラム2から出た流路には第2検出器8が備えられる。第2の検出器8は破壊的又は非破壊的に成分を検出する検出器であって、第2の分離カラム2で分離された成分を検知する。第2の検出器2は、例えばUV検出器であり、蛍光検出器であり、電気化学検出器であり、質量分析装置であり、コロナ荷電化粒子検出器(Corona CAD:Corona Charged Aerosol Detector)であり得る。

【0017】
分析される試料が第1の分離カラム1に導入されると、第1の移動相によって第1の分離カラム1で試料は幾つかの成分に分離される。分離された成分は第1の検出器7によって検出される。分析開始当初は、図2に示すように切替バルブ4は、第2の流路11との接続に切り替えられており、第1の流路10と廃液流路12が接続され、第1の移動相はトラップカラム3を通過することなく廃液として処理される。その後、トラップカラム3に捕捉させるべき画分が第1の検出器7で検出されると、切替バルブ4の操作により図1に示すように第1の流路10との接続に切り替えられ、第1の流路10とトラップカラム3が接続される。この結果、所望する画分が図1の矢印方向に流れる移動相によって移動し、トラップカラム3に捕捉される。次いで所望する画分がトラップカラム3に保持された後、切替バルブ4の操作により第2の流路11との接続に切り替えられると、第2の流路11とトラップカラム3が接続される。このとき、トラップカラム3には図2に示す矢印方向に第2の移動相が流れ、トラップカラム3に保持されていた成分は第2の分離カラム2に移動する。そして、第2の分離カラム2で分離された成分は、第2の検出器8で検出される。あるいは、捕捉させるべき成分の保持時間(リテンションタイム)に合わせ、タイマーを利用した時間制御によって切替バルブ4による切り替えを行わせることもできる。なお、捕捉させるべき成分の保持時間が分かっている場合には第1の検出器7が備えられない場合もある。

【0018】
この分析装置では、トラップカラム3に保持された成分は、上記のとおりトラップカラム3を逆方向に流れる第2の移動相によってトラップカラム3から第2の分離カラム2に送り出される。従って、第1の移動相の移動方向に拡散して捕捉されていた成分は、拡散度合いが小さくなって第2の分離カラム2に導入される。その結果、第2の分離カラム2におけるテーリングやピークの広がりは減少する。本発明の分析方法は、リン脂質など比較的極性の高い脂質を分離分析する際には分離度や検出感度が著しく向上する。特に、ホスファチジルコリン(PC)やホスファチジルエタノールアミン(PE)などに代表されるリン脂質の分子種の分離分析において、正方向に移動相を送り出す場合に比べて多数の分子種が検出される。本発明における分析試料はリン脂質などの極性脂質を含む試料、例えば、各種動物(ヒトを含む)の動物の血液、動物や魚類の卵油などの食品などが好ましい試料であるが、これらに限られず、多次元クロマトグラフィの対象となる試料であれば特に限定されることはない。

【0019】
なお、図1に示す分析装置では、トラップカラム3には第2の分離カラム2で使用される第2の移動相が供給されるが、本発明においては第2の分離カラム2で使用される第2の移動相と異なる組成の移動相を用いて、トラップカラム3に保持された成分を第2の分離カラム2に送り出すこともできる。

【0020】
次に下記の実施例に基づいて本発明に係る分析方法をさらに具体的に説明するが、下記の実施例はあくまでも例示であり本発明に係る分析方法や分析装置は下記の実施例に限定されない。
【実施例1】
【0021】
図3に示す高速液体クロマトグラフ分析装置を使って、市販の大豆レシチン(ナカライ社製)に含まれるホスファチジルコリン(PC)の分子種を分析した。分析装置は、第1の検出器としてUV検出器7が、第2の検出器としてUV検出器8と質量分析器(MS)12とコロナ荷電化粒子検出器(CAD)13が用いられており、第2の分離カラム2で分離された成分はUV検出器8で検出された後、その一部は質量分析器12で分析が行われ、残りはコロナ荷電化粒子検出器13で検出される。また、当該分析装置では、切替バルブ3は予め求められている脂質画分の保持時間に基づいてタイマー制御されており、所望する脂質画分に応じて、第1の流路10とトラップカラム3の接続と、トラップカラム3と第2の流路11の接続を切り替える。
【実施例1】
【0022】
1次元めのクロマトグラフィは、シリカゲルが充填された第1の分離カラム1(YMC-PVAsil、4.6X250mmL、5μm:ワイエムシィ社)と、第1の移動相としてヘキサン:t-ブチルメチルエーテル:メタノール系のグラジエント溶媒を使用する順相クロマトグラフィ(カラム温度30℃、流量1ml/min)とし、2次元めのクロマトグラフィは、ODSが充填された第2の分離カラム2(YMC-triartC18、4.6X250mmL、3μm:ワイエムシィ社)と、第2の移動相としてアセトニトリル:メタノール:20mM酢酸アンモニウム水溶液(25:68.5:6.5v/v)を使用する逆相クロマトグラフィ(カラム温度40℃、流量1ml/min)とし、波長210nmで検出した。また、トラップカラム3にはODSカラム(YMC PropacC18、4.6X50mmL、5μm、ワイエムシィ社)を用いた。そして、メークアップ溶媒として50%アセトニトリル水溶液を用いた。メークアップ溶媒は、PC画分が溶出されるヘキサン:t-ブチルメチルエーテル:メタノール=2:28:70の組成の第1の移動相に対して4:1(メークアップ溶媒:第1の移動相)の比率となるように加えられ、当該溶出画分をトラップカラム3に捕捉した。また、比較として第2の移動相を正方向にトラップカラムを送出して分析を行った。得られた2次元めのクロマトグラム(CADによる)を図4に示した。この結果、正方向に送液した場合に比べて分離度がよくなり、検出可能な分子種が増えた。また、リテンションタイムもわずかながら早くなった。
【実施例2】
【0023】
次に大豆レシチン(ナカライ社製)について実施例1と同じ分析条件にてホスファチジルコリン(PC)分子種の同定を行った。この分析結果を図5、図6及び表1に示す。図6に示すようにトラップカラム3に捕捉されたPC分子種として26の検出ピークが検出され、表1に示すように質量分析器12によって各ピークの分子種は概ね特定することができた。なお、表1に示すRはホスファチジルコリンを構成する脂肪酸の分子種を示す(表2においても同じ)。2次元めのクロマトグラフィにおいて各種検出ピークの分離度は極めて良好であって(図6参照)、多数のPC分子種が検出された。
【表1】
JP2017173281A_000003t.gif
【実施例3】
【0024】
市販の筋子乳化油中のホスファスジルコリン(PC)を実施例1と同じ分析条件で分析した。その結果を図7、8及び表2に示した。ここでも極めて良好な分離度が得られ、筋子の乳化油からは約40種のPC分子種が検出された(図8参照)。筋子油中に含まれるホスファチジルコリン中の分子種構成は、大豆レシチン中のそれと大きく異なることが示された。
【表2】
JP2017173281A_000004t.gif
【実施例3】
【0025】
このように本発明の方法によると、2次元めのクロマトグラフィにおいて分離度が飛躍的に向上し、リン脂質など比較的極性の高い脂質を構成する分子種を数多く同定できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は多成分を含む試料を精度よく分離分析する手法を提供する。
【符号の説明】
【0027】
1 第1の分離カラム
2 第2の分離カラム
3 トラップカラム
6 第2の送液ポンプ
10 第1の流路
11 第2の流路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7