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明細書 :ビニールハウス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-082906 (P2016-082906A)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明の名称または考案の名称 ビニールハウス
国際特許分類 A01G   9/24        (2006.01)
A01G  13/02        (2006.01)
A01G   9/14        (2006.01)
FI A01G 9/24 U
A01G 13/02 G
A01G 13/02 K
A01G 9/14 C
A01G 13/02 B
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2014-217469 (P2014-217469)
出願日 平成26年10月24日(2014.10.24)
発明者または考案者 【氏名】谷川 洋文
出願人 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
【識別番号】100176142、【弁理士】、【氏名又は名称】清井 洋平
【識別番号】100127155、【弁理士】、【氏名又は名称】来田 義弘
審査請求 未請求
テーマコード 2B024
2B029
Fターム 2B024EA03
2B024EB03
2B029AA04
2B029BB03
2B029SD21
2B029SD27
要約 【課題】温度調整がなされた液体を流すパイプを設置することから生じる農作業の制限を抑制するビニールハウスを提供する。
【解決手段】植物を栽培する空間部Sを、躯体11に取り付けたビニールシート12で覆うビニールハウス10において、躯体11は、温度調整された液体が流れるパイプ13を備え、パイプ13内を流れる液体と空間部Sの空気との熱交換により、空間部Sを温度調整する。従って、温度調整用の液体を流すパイプを躯体とは別に設ける必要がなく、農作業の制限を抑制可能である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
植物を栽培する空間部を、躯体に取り付けたビニールシートで覆うビニールハウスにおいて、
前記躯体は、温度調整された液体が流れるパイプを備え、前記パイプ内を流れる前記液体と前記空間部の空気との熱交換により、前記空間部を温度調整することを特徴とするビニールハウス。
【請求項2】
請求項1記載のビニールハウスにおいて、前記パイプは、外部から供給された前記液体を前側及び後側のいずれか一方から他方に向かわせる往路と、前記往路を流れた前記液体を、前記他方から前記一方に向かわせ外部に送り出す復路とを備えることを特徴とするビニールハウス。
【請求項3】
請求項2記載のビニールハウスにおいて、前記パイプは、前記往路に、立てた状態で前後に間隔を空けて対向配置された複数の第1のアーチ部と、前記復路に、立てた状態で前後に間隔を空けて対向配置された複数の第2のアーチ部とを有し、前記第1のアーチ部と前記第2のアーチ部は、交互に配されていることを特徴とするビニールハウス。
【請求項4】
請求項2又は3記載のビニールハウスにおいて、前後方向に配されて前記躯体に連結された回転軸と、前記回転軸を回動する駆動手段とを、更に備え、前記躯体は、前記回転軸の回動に伴い、該回動軸を中心に回動して、前記空間部を露出した状態にすることを特徴とするビニールハウス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培に使用するビニールハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業においては、ビニールハウスを利用して、植物を適温の環境下で栽培する方法が採用されている。ビニールハウスは、特許文献1にその具体例が記載されているように、躯体に鋼管が用いられ、外壁がビニールシートによって覆われている。ビニールハウス内は、冬季の夜間など外気が低下する時間帯でも、土の上に配管されたパイプに温水を循環させたり、ファンで温風を送り込んだりすることによって、温めることができる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2003-339254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温水が循環するパイプを設置した場所では、農具がパイプに接触するのを回避する必要等があり、農作業が制限される。本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、温度調整がなされた液体を流すパイプを設置することから生じる農作業の制限を抑制するビニールハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係るビニールハウスは、植物を栽培する空間部を、躯体に取り付けたビニールシートで覆うビニールハウスにおいて、前記躯体は、温度調整された液体が流れるパイプを備え、前記パイプ内を流れる前記液体と前記空間部の空気との熱交換により、前記空間部を温度調整する。
【0006】
本発明に係るビニールハウスにおいて、前記パイプは、外部から供給された前記液体を前側及び後側のいずれか一方から他方に向かわせる往路と、前記往路を流れた前記液体を、前記他方から前記一方に向かわせ外部に送り出す復路とを備えるのが好ましい。
【0007】
本発明に係るビニールハウスにおいて、前記パイプは、前記往路に、立てた状態で前後に間隔を空けて対向配置された複数の第1のアーチ部と、前記復路に、立てた状態で前後に間隔を空けて対向配置された複数の第2のアーチ部とを有し、前記第1のアーチ部と前記第2のアーチ部は、交互に配されているのが好ましい。
【0008】
本発明に係るビニールハウスにおいて、前後方向に配されて前記躯体に連結された回転軸と、前記回転軸を回動する駆動手段とを、更に備え、前記躯体は、前記回転軸の回動に伴い、該回動軸を中心に回動して、前記空間部を露出した状態にするのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るビニールハウスは、躯体が、温度調整された液体が流れるパイプを備え、植物を栽培する空間部が、パイプ内を流れる液体と空間部の空気との熱交換により、温度調整されるので、温度調整のためのパイプを、躯体とは別に設ける必要がなく、パイプを設けることで生じる農作業の制限を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係るビニールハウスの模式図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、変形例に係るビニールハウスが開閉する様子を示す説明図である。
【図3】ビニールハウスの内側及び外側の温度を計測した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るビニールハウス10は、躯体11と躯体11に取り付けたビニールシート12とを備え、植物を栽培する空間部Sを、ビニールシート12で覆う。以下、詳細に説明する。

【0012】
躯体11は、図1に示すように、温度調整された液体が流れる金属製のパイプ13を備えている。パイプ13は、それぞれ円弧状に形成された複数の第1、第2のアーチ部14、14a、一の第1のアーチ部14と他の第1のアーチ部14を接続する連結部15、及び、一の第2のアーチ部14aと他の第2のアーチ部14aを接続する連結部15aを備えている。従って、複数の第1のアーチ部14は連結部15を介して接続され、複数の第2のアーチ部14aは連結部15aを介して接続されている。

【0013】
複数の第1のアーチ部14は、立てた状態で前後に間隔を空けて所定ピッチで対向配置され、複数の第2のアーチ部14aも、立てた状態で前後に間隔を空けて所定ピッチで対向配置されている。複数の第1のアーチ部14及び複数の第2のアーチ部14aは、第1のアーチ部14と第2のアーチ部14aとが交互に配されている。
連結部15は、前後方向に沿った直線状の管であり、一の第1のアーチ部14の一端を他の第1のアーチ部14の一端に接続している。連結部15aも、前後方向に沿った直線状の管であり、一の第2のアーチ部14aの一端を他の第2のアーチ部14aの一端に接続している。

【0014】
パイプ13は、更に、複数の第1のアーチ部14において、最も前に配された第1のアーチ部14の一端に連結された前後に長い導入管16、及び、複数の第2のアーチ部14aにおいて、最も前に配された第2のアーチ部14aの一端に連結された前後に長い排出管17を備えている。
後端が第1のアーチ部14に連結された導入管16には、前端に、外部から送られた液体が流入する流入口18が形成され、後端に第2のアーチ部14aが連結された排出管17には、前端に、液体が排出される排水口19が形成されている。本実施の形態では、流入口18及び排水口19が、パイプ13の前側に設けられている。

【0015】
流入口18及び排水口19は、それぞれ、連結具20、21を介して、外部の導管22、23に接続されている。導管22には、液体(本実施の形態では、水)を加熱して(即ち、温度調整して)導管22に供給する図示しない温度調整装置が接続されている。温度調整装置としては、ヒートポンプや、ボイラーを採用することができる。ヒートポンプを採用する場合、冷媒の流れを切り替えることによって、導管22に供給する液体を外気より低温にすることが可能である。
なお、複数の第2のアーチ部14aにおいて、最も後側に配された第2のアーチ部14aと、最も後側に配された第1のアーチ部14とは、直線状の管である連結部24によって接続されている。

【0016】
導管22(即ち、外部)から供給されて流入口18から導入管16に流入した液体は、第1のアーチ部14及び連結部15を流れながら後側に進む。
そして、液体は、最も後側に配置された第1のアーチ部14まで達した後、第2のアーチ部14a及び連結部15aを流れて前側に送られ、排出管17を通って、排水口19から導管23に排出される。

【0017】
本実施の形態では、1つの導入管16と、3つの第1のアーチ部14と、2つの連結部15とによって、外部から供給された液体を前側から後側に向かわせる往路25が形成され、1つの連結部24と、2つの第2のアーチ部14aと、1つの連結部15aと、1つの排出管17とによって、往路25を流れた液体を、後側から前側に向かわせ外部に送り出す復路26が形成されている。ここで、往路25に設けられた第1のアーチ部14及び連結部15それぞれの数と、復路26に設けられた第2のアーチ部14a及び連結部15aそれぞれの数は、パイプ13の前後の長さによって、変更することができる。

【0018】
ビニールシート12は、内側に、複数の第1、第2のアーチ部14、14a、複数の連結部15及び1つの連結部15aと連結部24が接触した状態で、図示しない金具によって躯体11に固定され、空間部S全体を覆う。なお、図1では、複数の第1、第2のアーチ部14、14a、複数の連結部15及び1つの連結部15aと連結部24が、実線で記載されているが、実際は、ビニールシート12によって覆われている。
ビニールシート12としては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリオレフィン系フィルム、又は、フッ素樹脂系フィルムを採用することができる。ビニールシート12は、複数枚が重ねられた状態で、躯体11に取り付けられていてもよいし、重ねることなく、躯体11に取り付けられていてもよい。

【0019】
パイプ13を流れる液体が空間部Sの空気の温度より高温(即ち、温水)の場合、液体は、パイプ13を流れながら、空間部Sに放熱し、空間部Sの温度を上昇させる。そして、パイプ13を流れる液体が空間部Sの空気の温度より低温(即ち、冷水)の場合、液体は、パイプ13を流れる際に、空間部Sの空気から吸熱し、空間部Sの温度を低下させる。
従って、空間部Sは、パイプ13内を流れる液体と空間部Sの空気との熱交換により、温度調整がなされることになる。なお、夏場、パイプ13に冷水を流せば、ビニールハウス内の温度を低下させることができる。

【0020】
ここで、パイプ13を流れる液体は、空間部Sとの熱交換によって、空間部Sの空気との温度差が減少しながら、パイプ13を進む。そして、空間部Sの空気との温度差が大きい液体が流れる第1のアーチ部14と、空間部Sの空気との温度差が小さい液体が流れる第2のアーチ部14aとは、前後方向に、交互に配されているので、空間部Sの異なる位置で温度差が大きくなるのを抑制することができる。

【0021】
ビニールハウス10は、躯体11が躯体11の接地面に固定されており、作業者が、ビニールハウス10の中に入って作業することを前提としている。なお、ビニールハウス10には、図示しない出入口が設けられている。
これに対し、ビニールハウス10の変形例である図2(A)に示すビニールハウス30は、作業者が、ビニールハウス30内に入ることなく作業できるように設計されている。
以下、ビニールハウス30について説明する。なお、ビニールハウス30において、ビニールハウス10と同様の構成については、ビニールハウス10と同じ符号を付して、詳しい説明は省略する。

【0022】
ビニールハウス30は、畑の一つのうねを覆う大きさであり、人がビニールハウス30内に入れる大きさを有していない。
ビニールハウス30は、図2(A)に示すように、前後方向に沿った回転軸31を備え、ビニールシート12が取り付けられた複数の第1、第2のアーチ部14、14a、複数の連結部15、1つの連結部15a及び連結部24からなる躯体11は回転軸31に連結されている。

【0023】
回転軸31には、図示しないモータ(駆動手段の一例)が連結され、モータは、作動により、回転軸31を回動して、図2(A)、(B)に示すように、躯体11を回転軸31を中心に回動することができる。導入管16に接続された連結具32及び排出管17に接続された連結具33は、導入管16及び排出管17からそれぞれ切り離し可能であり、導入管16及び排出管17は、躯体11を回動する前に、連結具32、33からそれぞれ切り離される。

【0024】
なお、連結具32、33には、作業者の手作業によって連結具32、33から導入管16及び排出管17それぞれの切り離しを行えるものを採用してもよいし、躯体11の回動に伴って、自動的に連結具32、33から導入管16及び排出管17それぞれが切り離されるものを採用してもよい。そして、導管22、23にフレキシブルパイプを採用し、導入管16及び排出管17を連結具32、33から切り離すことなく、躯体11を回動できるように設計してもよい。また、モータを用いることなく、作業者が手作業で躯体11を回動できるようにしてもよい。

【0025】
ビニールシート12で覆われていた空間部Sは、躯体11が回動することによって、露出した状態、即ち、図2(B)に示すように、作業者が作業を行える状態となる。
作業者が作業を終えた後、躯体11は、ビニールシート12が空間部Sを覆う方向に回動され、導入管16及び排出管17は、連結具32、33にそれぞれ接続される。これにより、導管22に液体を流すことで、液体が、再び、パイプ13を流れる状態となる。
【実施例】
【0026】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
前後の長さが150cm、幅が50cm、高さが45cmのビニールハウスにおいて、ビニールシートが固定されたパイプに、温水を流し、ビニールハウスの内側と外側の温度を計測する実験を行った。温度の計測点は、ビニールハウス内の空間の異なる高さの3点と、ビニールハウス内外の各地面と、ビニールハウス外の空間であり、計測結果は、図3のグラフに示すようになった。
【実施例】
【0027】
図3のグラフ上、0~1.5時間のT1は、ビニールシートを、アルミシートで覆っていた時間帯であり、1.5~2.5時間のT2は、アルミシートを取り外し、2枚のビニールシートを重ねていた時間帯であり、2.5~3.5時間のT3は、重ねていた一方のビニールシートを取り外し、ビニールシートを重ねないようにしていた時間帯である。
温水の供給は、3.5時間の時点で終了した。
【実施例】
【0028】
図3のグラフにおいて、aは、パイプに供給する温水の温度推移であり、b、c、dは、ビニールハウス内の空間の異なる高さ位置に設置した温度計それぞれの計測温度を示している。b、c、dそれぞれに対応する温度計は、bが最も高い位置に配置され、cが次に高い位置に配置され、dが最も低い位置に配置された。
e、fは、ビニールハウス内外の地面の温度推移をそれぞれ示し、gは、ビニールハウス外の空間の温度推移を示している。
【実施例】
【0029】
実験結果より、約63℃の温水をパイプに流すことにより、ビニールハウス内の空間の温度は、ビニールシートにアルミシートや他のビニールシートを重ねない状態であっても、ビニールハウス外の空間の温度に対し、約10℃高くなることが確認され、十分な温度調整の効果が認められた。
【実施例】
【0030】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、パイプは金属製に限定されず、他の素材によって形成してもよい。
また、パイプを流れるのは水に限定されず、他の液体、例えば、不凍液であってもよい。そして、流入口及び排水口は、パイプの前側に形成されている必要はなく、他の場所、例えば、パイプの後側に形成されていてもよい。
更に、躯体は、全体が、温度調整された液体を流すパイプである必要はなく、躯体の一部は、液体を流すパイプでなくてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10:ビニールハウス、11:躯体、12:ビニールシート、13:パイプ、14:第1のアーチ部、14a:第2のアーチ部、15、15a:連結部、16:導入管、17:排出管、18:流入口、19:排水口、20、21:連結具、22、23:導管、24:連結部、25:往路、26:復路、30:ビニールハウス、31:回転軸、32、33:連結具、S:空間部
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2