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明細書 :グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年9月7日(2017.9.7)
発明の名称または考案の名称 グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法
国際特許分類 C01B  32/205       (2017.01)
C01B  32/20        (2017.01)
B01J  20/34        (2006.01)
B01J  20/20        (2006.01)
B01D  15/08        (2006.01)
B01D  15/00        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C01B 31/04 101Z
C01B 31/04 ZAB
B01J 20/34 G
B01J 20/20 E
B01D 15/08
B01D 15/00 K
C12N 15/00 A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 21
出願番号 特願2016-561962 (P2016-561962)
国際出願番号 PCT/JP2015/083438
国際公開番号 WO2016/084945
国際出願日 平成27年11月27日(2015.11.27)
国際公開日 平成28年6月2日(2016.6.2)
優先権出願番号 2014242616
優先日 平成26年11月28日(2014.11.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】齋藤 永宏
【氏名】リー オイ ルン ヘレナ
【氏名】アクセオグル ガルビス
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 4D017
4G066
4G146
Fターム 4D017AA03
4D017BA03
4D017CA02
4D017CB01
4D017DA07
4D017DB02
4G066AA04B
4G066AA27D
4G066AB07D
4G066AB10D
4G066AB13D
4G066AC02D
4G066AE20D
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA36
4G066CA56
4G066FA37
4G066GA11
4G146AA02
4G146AA15
4G146AB07
4G146AD17
4G146AD31
4G146BA02
4G146CB10
4G146CB11
4G146CB12
4G146CB14
4G146CB15
4G146CB19
4G146CB21
4G146CB26
4G146CB35
4G146CB37
要約 生体成分が溶解した溶液中から核酸を高効率で抽出することができ、使用後にリサイクルすることが可能な固体状の組成物を提供する。
グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子が上記課題を解決できる。
特許請求の範囲 【請求項1】
グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド、並びにセルロースを含む粒子。
【請求項2】
前記粒子における、セルロースに対するグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドの比が、47%~64%である請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
磁性体及び/又は粒子中でプラスに帯電する物質を更に含む請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド、並びにセルロースを含む固体状の核酸抽出用組成物。
【請求項5】
前記核酸抽出用組成物における、セルロースに対するグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドの比が、47%~64%である請求項4に記載の核酸抽出用組成物。
【請求項6】
磁性体及び/又は組成物中でプラスに帯電する物質を更に含む請求項4又は5に記載の核酸抽出用組成物。
【請求項7】
請求項1~3の何れか一項に記載の粒子、請求項4~6の何れか一項に記載の核酸抽出用組成物の何れかに、核酸を含む溶液を混合して核酸を前記粒子又は核酸抽出用組成物に吸着する工程、
前記核酸が吸着した前記粒子又は核酸抽出用組成物に核酸溶出液を混合することで、前記粒子又は核酸抽出用組成物に吸着した核酸を分離する核酸抽出工程、
を含む核酸抽出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の核酸抽出工程後の前記粒子又は核酸抽出用組成物を、核酸クリーニング液で処理して前記粒子又は核酸抽出用組成物の表面に残留している核酸を除去する表面回復工程、
を含む前記粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法に関する。特に、核酸を含む多様なサンプルからの核酸の抽出操作が容易であり、また、高純度且つ効率的に核酸を抽出することができる粒子及び核酸抽出用組成物に関する。更に、前記粒子及び核酸抽出用組成物を用いた核酸抽出方法、並びに核酸抽出後の粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル中に含まれる微量の核酸の分析は、生物化学、医療、食品、犯罪捜査等の多くの分野で行われている。サンプル中の核酸の抽出方法としては、古くは、Friederich Mischer’s methodが用いられ、次いで、1967年にフェノール・クロロホルム法が開発されている。前記の核酸抽出方法は、タンパク質等の除去したい成分を変性し、次いで、遠心分離等により生体成分が溶解している溶液から除去することで核酸抽出を行っている。したがって、抽出したい核酸は液体に溶解した状態であることから、酵素等の影響により核酸が分解されやすいという問題がある。また、抽出操作は液体の混合を繰り返すことから、操作中にこぼれ易い等の問題がある。
【0003】
上記問題点を解決するため、1979年には、従来の液体を用いた核酸の抽出方法に代え、固体のシリカ粒子を用いた核酸の抽出方法が開発された。とろこで、大学等の研究室では、予算の都合上、核酸等の抽出に用いる器具・材料等をリサイクルする場合がある。シリカ粒子をリサイクルする方法としては、核酸抽出後のシリカ粒子をHClで処理することが知られている(非特許文献1参照)。また、サンプル中の核酸を抽出する方法としては、磁性粒子を用いた方法も知られている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Nagadenahalli B. Siddappa et al., “Regeneration of commercial nucleic acid extraction columns without the risk of carryover contamination”,BioTechniques,Vol.42,No.2,2007.p186-192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載されている方法は、HClでシリカ粒子を表面処理すると表面が変化しリサイクル能が低下することと、リサイクルには2~3日程度要するという問題がある。また、磁性粒子を用いた核酸の抽出方法は、大型の装置等が必要であり、又抽出時間もかかり、核酸抽出が煩雑であるという問題がある。
現状では、サンプル中の核酸を抽出することができ且つリサイクル可能な固体状の組成物は知られていない。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされた発明で、鋭意研究を行ったところ、
(1)グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドとセルロースを混合した粒子又は核酸抽出用組成物は、生体成分が溶解した溶液中から核酸を抽出できること、
(2)セルロースに対するグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドの比を調整することで、サンプル中の核酸を、従来のシリカ粒子より高効率で抽出できること、
(3)従来のシリカ粒子を用いた核酸の抽出方法では、一度使用したシリカ粒子はリサイクルできなかったが、本発明の使用済みの粒子又は核酸抽出用組成物は、核酸クリーニング液で処理することで粒子又は核酸抽出用組成物表面の核酸を除去することができ、リサイクルが可能であること、
(4)粒子又は核酸抽出用組成物に磁性体を加えると、磁石により核酸が吸着した粒子又は核酸抽出組成物を回収できるので作業効率を更に向上できること、
(5)粒子又は核酸抽出用組成物にプラスに帯電する物質を加えると、カオトロピック塩やNa+を含むバインディングバッファーを用いなくても核酸を抽出できること、
を新たに見出した。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示す、グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド並びにセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法に関する。
【0009】
(1)グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド、並びにセルロースを含む粒子。
(2)前記粒子における、セルロースに対するグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドの比が、47%~64%である上記(1)に記載の粒子。
(3)磁性体及び/又は粒子中でプラスに帯電する物質を更に含む上記(1)又は(2)に記載の粒子。
(4)グラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド、並びにセルロースを含む固体状の核酸抽出用組成物。
(5)前記核酸抽出用組成物における、セルロースに対するグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイドの比が、47%~64%である上記(4)に記載の核酸抽出用組成物。
(6)磁性体及び/又は組成物中でプラスに帯電する物質を更に含む上記(4)又は(5)に記載の核酸抽出用組成物。
(7)上記(1)~(3)の何れか一に記載の粒子、上記(4)~(6)の何れか一に記載の核酸抽出用組成物の何れかに、核酸を含む溶液を混合して核酸を前記粒子又は核酸抽出用組成物に吸着する工程、
前記核酸が吸着した前記粒子又は核酸抽出用組成物に核酸溶出液を混合することで、前記粒子又は核酸抽出用組成物に吸着した核酸を分離する核酸抽出工程、
を含む核酸抽出方法。
(8)上記(7)に記載の核酸抽出工程後の前記粒子又は核酸抽出用組成物を、核酸クリーニング液で処理して前記粒子又は核酸抽出用組成物の表面に残留している核酸を除去する表面回復工程、
を含む前記粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法。
【発明の効果】
【0010】
(1)本発明のグラフェンオキサイド及び/又はグラファイトオキサイド(以下、「GO」と記載することがある。)並びにセルロースを含む粒子、及び核酸抽出用組成物は、生体成分が溶解した溶液中から核酸を選択的に抽出できる。
(2)セルロースに対するグラフェンオキサイドの比を調整することで、多様なサンプル中の核酸を、従来のシリカ粒子より高効率で抽出できる。したがって、唾液等に含まれる極微量の核酸であっても抽出することができる。
(3)従来のシリカ粒子を用いた核酸の抽出方法では、一度使用したシリカ粒子はリサイクルすることができなかったが、本発明の粒子又は核酸抽出用組成物は、核酸クリーニング液で処理することで粒子又は核酸抽出用組成物表面の核酸を除去することができ、リサイクルが可能である。したがって、繰り返し核酸の抽出に用いることができるので、研究室等の経費を節減することができる。
(4)粒子又は核酸抽出用組成物に磁性体を加えた場合、磁石により核酸が吸着した粒子又は核酸抽出組成物を回収できるので作業効率が向上する。
(5)粒子又は核酸抽出用組成物にプラスに帯電する物質を加えると、カオトロピック塩やNa+を含むバインディングバッファーを用いなくても核酸を抽出できるので、核酸抽出後にPCRで増幅する場合に必要であった、Na+やカオトロピック塩を除去する工程が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、図面代用写真で、図1(A)は実施例1で作製した粒子の写真、図1(B)は比較例1で作製した粒子の写真である。
【図2-1】図2-1は、図面代用写真で、GOの比を種々変えた粒子のSEM写真である。
【図2-2】図2-2は、図面代用写真で、GOの比を種々変えた粒子のSEM写真である。
【図3】図3は、図面代用写真で、GOの比が、夫々53%、56%、60%、64%の粒子をピペットの先端で押した写真を示している。
【図4】図4(A)は、表2の260nm/280nm値をグラフ化したもので、図4(B)は、表2の260nm/230nm値をグラフ化したものである。
【図5】図5(A)は、表2の核酸溶出液1μlに含まれる核酸量(ng)値をグラフ化したもので、図5(B)は、表2のTotal Yieldをグラフ化したものである。
【図6】図6は、実施例4及び比較例2の結果を表すグラフで、多様なサンプルからのDNA抽出のTotal Yield値を示すグラフである。
【図7】図7(A)は、図面代用写真で、左側は実施例5で作製したCGM0、右側は実施例5で作製したCGM45の写真である。図7(B)及び(C)は、図面代用写真で、図7(B)はCGM0を純水に分散した容器に磁石を近付けた写真、図7(C)はCGM45を純水に分散した容器に磁石を近付けた写真である。
【図8】図8(A)は、図面代用写真で、実施例5のCGM45のSEM写真である。図8(B)~(D)は、図面代用写真で、CGM45粒子表面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で解析したマッピングで、図8(B)は炭素元素、図8(C)は酸素元素、図8(D)はFe元素の分散を表している。
【図9】図9は、実施例5の各サンプルの核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldのグラフである。
【図10】図10は、実施例6の各サンプルの核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明のGO及びセルロースを含む粒子、核酸抽出用組成物、核酸抽出方法、及び粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法ついて詳しく説明する。

【0013】
本発明のGO及びセルロースを含む粒子は、GOを含む水に、セルロース及びセルロース分子間の水素結合を壊すための物質を添加・混合(以下、「混合溶液」と記載することがある。)し、混合溶液を凝固用溶液に滴下し、混合溶液を凝固することで製造することができる。

【0014】
本発明に用いるGOは、グラフェンオキサイド(Graphene Oxide;炭素原子シートが単層)、グラファイトオキサイド(Graphite Oxide;炭素原子シートが多層)を夫々用いてもよいし、両者を混合して用いてもよい。GOはMarcano’s method等の公知の法で製造してもよいし、市販されているものを用いてもよい。セルロースも一般的に市販されているものを用いればよい。

【0015】
凝固用溶液としては、混合溶液を凝固できれば特に制限は無く、例えば、HNO3、H2SO4、アセトン、エタノール、食塩水、その他、酸性溶液等が挙げられる。前記凝固用溶液の中では、安定性や凝固能力等の面から、HNO3、H2SO4が好ましい。また、凝固用溶液は、必要に応じて5℃~50℃に調整する必要があるが、HNO3は室温で使用可能であることから、操作性の観点から好ましい。粒子の大きさは、混合溶液を滴下する際の器具(スポイト等)の口径を調整し、凝固用溶液中に滴下する混合溶液の量を調整すればよい。なお、本発明の「粒子」とは、上記のとおり、凝固用溶液中に混合溶液を滴下して形成された粒子を意味し、混合溶液の粘度により異なるものの、球形、楕円形、涙形等が挙げられる

【0016】
セルロース分子間の水素結合を壊すための物質としては、セルロース分子間の水素結合が壊れれば特に制限は無い。例えば、NaOH、尿素等が挙げられ、単独でも組み合わせて用いてもよい。

【0017】
セルロースに対するGOの比は、サンプル中の核酸を吸着し、核酸溶出液により吸着した核酸を離脱することでサンプル中の核酸を抽出できれば特に制限はない。なお、本発明において、「セルロースに対するGOの比」とは、(GO/(セルロース+GO))×100(%)を意味する。混合溶液を凝固用溶液中に滴下すると混合溶液が固化し、セルロースとGOは凝固用溶液に溶解しないので、混合溶液中のセルロースに対するGOの比と粒子中のセルロースに対するGOの比は同じと推測される。

【0018】
セルロースに対するGOの比(以下、単に「GOの比」と記載することがある。)としては、5%以上が好ましく、31%以上がより好ましい。更に、従来のシリカ粒子と遜色ない高効率で核酸を抽出する場合は、GOの比を47%以上とすることが特に好ましい。

【0019】
一方、GOの比の上限は、製造した粒子又は組成物が固体状態を維持できる比であれば特に制限はない。例えば、GOの比が64%でも固体状態を維持することができるので、64%以下とすればよく、取り扱いの利便性等を考慮し、60%以下、56%以下、53%以下等、適宜調整すればよい。

【0020】
なお、酵素によるDNAの分解を抑えるためにグラフェンオキサイドを使用することは知られている(Haozhi Lei et. al., “Adsorption of double-stranded DNA to graphene oxide preventing enzymatic digestion”,Nanoscale,2011,3,p3888-3892、参照)。また、グラフェンオキサイドとセルロースを含む組成物をフィルム状にしてバイオセンサーに用いることも知られている(Qiang Yang et. Al., “Fabrication of High-Concentration and Stable Aqueous Suspensions of Graphene Nanosheets by Noncovalent Functionalization with Lignin and Cellulose Derivatives”,J. Phys. Chem. C,2010,Vol.114,No.9,p3811-3816、参照。)しかしながら、GO及びセルロースを粒子状にすることは本発明で新たに見出した形状である。更に、GO及びセルロースを含む組成物を用いて核酸を抽出し且つリサイクルできることも、本発明で新たに見出したことである。

【0021】
したがって、組成物を用いて核酸を抽出する場合、組成物の形状としては特に制限はないが、比表面積が大きくなり、また、核酸抽出に一般的に用いられているエッペンドルフチューブ等に効率的に充填できることから、粒子状が好ましい。なお、本発明の粒子はサンプル中の核酸を選択的に吸着することができるので、例えば、サンプル中に本発明の粒子を添加・混合した後、粒子をサンプルから除去することで、サンプルから核酸を除去しタンパク質等の濃縮用の用途にも使用することができる。したがって、本発明の粒子の用途としては、核酸抽出用に限定されない。

【0022】
また、上記のとおり、GO及びセルロースを含む組成物をフィルム状に形成することは知られているが、GO及びセルロースを含む組成物を、核酸抽出に用いることは知られていない。したがって、本発明のGO及びセルロースを含む組成物は、核酸抽出用として新たな用途を提供することができる。上記のとおり、エッペンドルフチューブを用いて核酸を抽出する場合、組成物の形状は粒子状が好ましいが、粒子に限定されるものではない。例えば、混合溶液を凝固用溶液中に中空となるように押し出すことで、組成物をチューブ状に形成し、核酸を含むサンプルをチューブに流し、次いで、核酸溶出液を流すことで、連続処理ができるようにしても良い。また、ガラス板等にキャストした後に凝固用溶液中に浸漬する、又は、凝固用溶液中に薄膜状に押し出すことでフィルム状としても良い。何れの形態であっても、核酸を含むサンプル液と接触させることで、核酸を吸着させることができる。

【0023】
本発明の核酸抽出方法は、先ず、核酸を含むサンプル溶液及びバインディングバッファー、並びに粒子又は核酸抽出用組成物を混合することで粒子又は核酸抽出用組成物に核酸を吸着させ、次いで、エタノールで洗浄後、核酸が吸着した粒子又は核酸抽出用組成物と核酸溶出液を混合することで前記粒子又は核酸抽出用組成物に吸着した核酸を離脱させ、サンプル中の核酸を核酸溶出液中に回収することができる。なお、本発明の核酸には、DNA及びRNAが含まれる。また、DNAは一本鎖であっても2本鎖であっても良い。

【0024】
バインディングバッファーとしては、塩化グアニジニウム(GuHCl)、chaotropic salts(GITC)、NaCl、PB buffer等を用いればよい。

【0025】
核酸溶出液としては、粒子又は核酸抽出用組成物の表面と核酸のイオン結合を壊し、核酸が溶出できれば特に制限はない。例えば、AE buffer(10mM Tris-HCl、0.5mM EDTA、pH9.0、キアゲン社製)等が挙げられる。

【0026】
粒子又は核酸抽出用組成物のリサイクル方法は、粒子又は核酸抽出用組成物の表面に残留している核酸にダメージを与え、表面から除去できる核酸クリーニング液で表面処理を行えばよい。核酸クリーニング液は、上記のとおり核酸にダメージを与え、粒子又は核酸抽出用組成物の表面から核酸を除去できるものであれば特に制限は無く、例えば、HCl等の酸性溶液、NaOH等のアルカリ溶液、又はUrea等が挙げられる。核酸クリーニング液で、粒子又は核酸抽出用組成物の表面に残留している核酸を除去して表面回復することで、粒子又は核酸抽出用組成物をリサイクルすることができる。したがって、予算が限られている研究室等で有用である。

【0027】
また、本発明の粒子又は核酸抽出用組成物は、磁性体を含んでいてもよい。磁性体を含んだ粒子又は核酸抽出用組成物は、磁石で回収することができるので作業効率が向上する。磁性体としては、磁石により引き寄せられるものであれば特に制限はないが、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)及びこれらの混合物、などが挙げられる。

【0028】
また、粒子又は核酸抽出用組成物にプラスに帯電する物質を加えると、核酸の抽出効率が向上し、更に、カオトロピック塩やNa+を含むバインディングバッファーを用いなくても核酸を抽出できる。プラスに帯電する物質としては、マイナスの電荷を持つ核酸を引き寄せることができれば特に制限はなく、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、酸化アルミ、酸化マグネシウム等が挙げられる。

【0029】
上記磁性体、プラスに帯電する物質は、粒子又は核酸抽出用組成物に別々に加えてもよいし、両者を組み合わせて加えてもよい。また、酸化鉄(例えば、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト)等の磁性及びプラスに帯電の両方の性質を有する物質の場合は、単独で2つの異なる効果を奏するので好ましい。

【0030】
粒子又は核酸抽出用組成物中に含む酸化鉄の量は、微量でも添加すれば効果が得られるので下限値は特にない。一方、酸化鉄の含有量が多く成りすぎると固体形の粒子又は核酸抽出用組成物を形成できなくなることから、固体形状を保つ範囲を上限とすればよい。

【0031】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0032】
〔種々のGOの比の粒子の作製〕
<実施例1>
以下の(1)~(5)に示す工程により、本発明の粒子を作製した。
(1)先ず、以下に示すMarcano’s methodにより、GOを作製した。
(a)360mlのH2SO4と40mlのH3PO4の混合液を、3.0gの片状黒鉛(graphite flakes;Sigma-Aldrich社製)及び18.0gのKMnO4(和光純薬工業株式会社製)に添加して得られた混合物を30-40℃に発熱させた。
(b)次いで、上記(a)で得られた混合物を50℃に加熱し、12時間撹拌した。撹拌後は、室温まで冷却し、30%H22を含む氷に投入した。次いで、混合溶液のpHが7.0になるまで、Fisherbrand(登録商標)透析管 MWCO 6000を用いて透析を行った。
(c)精製後、Omnipore(登録商標) membrane filters(0.1μm)を用いて混合溶液をろ過し、グラファイトオキサイドパウダーを得るために室温で乾燥した。
(d)30-40mgのグラファイトオキサイドパウダーを、吸引条件化でガラスアンプル中に密封し、炎源を用いて急速加熱した。当該熱剥離プロセス(thermal exfoliation process)により、グラファイトオキサイドパウダーとグラフェンオキサイドパウダーの混合パウダーであるGOを得た。
(e)混合パウダーを蒸留水で希釈し、60分間超音波処理を行った。次いで、4000rpmで20分間、遠心分離を行って沈殿物を除去した。そして、得られた溶液を乾燥させることでGOを得た。(e)で得られたGOは、(d)で得られた混合パウダーより、グラフェンオキサイドの含有比が高い。
(2)250mlビーカーに、水を90ml及び上記(1)で合成したGOを4.5g入れて攪拌した。
(3)ビーカーを氷中に入れ、冷却した上記(2)の溶液中に、NaOH(和光純薬工業株式会社製)を6g及びUrea(和光純薬工業株式会社製)を4g添加して攪拌した。約10分程度の静置後、セルロース(Sigma-Aldrich社製)を4g添加して攪拌後、約10分程度静置した。
(4)次いで、上記(3)の溶液を-20℃の冷凍庫で2時間冷却し、常温に戻した後、5%HNO3の中にピペットを用いて滴下し、約1日静置した。
(5)5%HNO3を取り除き、純水で洗浄することで、実施例1のGOとセルロースを含む粒子を作製した。実施例1で作製した粒子のGOの比は、53%であった。
【実施例】
【0033】
図1(A)は、実施例1で作製した粒子の写真で、GOとセルロースが混合した黒色の長径が約3mmの楕円であった。
【実施例】
【0034】
また、実施例1と同様の手順で、GOの比を変えた種々の粒子を作製した。表1は、実施例1も含め、上記工程(2)におけるGOの添加量(g)、当該添加量を添加した際のGOの比を示す。
【実施例】
【0035】
【表1】
JP2016084945A1_000003t.gif
【実施例】
【0036】
<比較例1>
GOを添加しなかった以外は、実施例1と同様の手順で粒子を作製した。図1(B)は、比較例1で作製した粒子の写真で、GOが含まれていないので白色の長径が約3mmの楕円の粒子が得られた。
【実施例】
【0037】
図2-1及び図2-2は、表1に示す種々のGOの比の粒子及び比較例1の粒子のSEM写真である。SEM写真から明らかなように、GOの比を増加すると粒子表面は微細な凹凸が増加したが、60%を超えるとやや平滑化が観察された。
【実施例】
【0038】
図3は、GOの比が、夫々53%、56%、60%、64%の粒子をピペットの先端で押した写真を示している。何れのGOの比でも粒子が形成されることを確認したが、GOの比が64%の場合、粒子が柔らかく慎重に取り扱いをする必要があった。
【実施例】
【0039】
〔DNAの抽出実験〕
<実施例2>
下記表2に示すGOの比が異なる13種類の粒子を作製し、各々5個の粒子を1.5mlのエッペンドルフチューブに入れた。次に、エッペンドルフチューブに、DNAサンプル(Sigma D7290、Sigma-Aldrich社製))を20μl、バインディングバッファーとしてGuHCl(Sigma G4505、Sigma-Aldrich社製)を180μl添加して攪拌した。次に、70%エタノールで2回洗浄した後、核酸溶出液(AE buffer;10mM Tris-HCl、0.5mM EDTA、pH9.0)を500μl添加し、70℃に加熱して5分間攪拌することで、実施例1で作製した粒子に吸着したDNAを溶出した。次に、DNAを含む核酸溶出液の純度を調べる為、NanoDrop ND-2000c spectrophotometer(Thermo Scientific,Wilmington,DE,USA)を用いて、核酸溶出液(1μl)の230nm、260nm及び280nmの吸光度をマニュアルに従って測定し、260nm/280nm及び260nm/230nm値を計算した。
また、NanoDrop ND-2000c spectrophotometer(Thermo Scientific,Wilmington,DE,USA)に表示される前記1μlの核酸溶出液に含まれる核酸量(ng/μl)を500倍することで、Total Yieldを求めた。
また、比較のため、市販の核酸精製用キットであるQiaamp DNA mini kit(株式会社キアゲン社製)を用い、添付マニュアルにしたがって上記DNAサンプルの抽出を行い、上記と同様の手順により吸光度を測定し、260/280nm及び260/230nm値を計算した。
なお、Qiaamp DNA mini kitの標準的な核酸溶出液量は200μlであることから、核酸量(ng/μl)の値を200倍することで、Total Yieldを求めた。Total Yield値を比較することで、核酸の抽出効率を対比することができる。
【実施例】
【0040】
表2は、GOの比を0%~53%まで変化した粒子、及びQiaamp DNA mini kitを用いてDNA抽出を行った時の260nm/280nm及び260nm/230nm値、並びに、核酸溶出液1μlに含まれる核酸量(ng)及びTotal Yieldをまとめたものである。図4(A)は、表2の260nm/280nm値をグラフ化したもので、図4(B)は、表2の260nm/230nm値をグラフ化したものである。また、図5(A)は、表2の核酸溶出液1μlに含まれる核酸量(ng)値をグラフ化したもので、図5(B)は、表2のTotal Yieldをグラフ化したものである。
【実施例】
【0041】
【表2】
JP2016084945A1_000004t.gif
【実施例】
【0042】
一般的に、260/280nmの値が1.8~2.0の範囲内にある場合は、タンパク質の混入が少なくDNAの純度が高いとされている。したがって、GOの比が5%以上であると、DNAを純度よく抽出できることが明らかとなった。
【実施例】
【0043】
また、一般的に、260/230nmの値が2.0~2.2の範囲内にある場合は、緩衝塩類等の共雑物が少ない奇麗なDNAとされている。GOの比が31%以上であると、市販の核酸精製用キットであるQiaamp DNA mini kitを使用した場合より良い結果が得られ、更に、GOの比が47%以上になると、260nm/280nm及び260nm/230nmの何れの値も、望ましいとされている範囲内になることが分かった。実施例2では、GOの比が53%までしか260nm/280nm及び260nm/230nm値、並びに、核酸溶出液1μlに含まれる核酸量(ng)及びTotal Yieldの測定を行っていないが、図3に示すとおり、GOの比が64%の時にも粒子が形成できることは確認しているので、同様の効果が期待できる。
【実施例】
【0044】
以上の結果より、GOの比を変えることで、抽出後のDNA純度が変わることが明らかとなり、GOの比が5%~64%が好ましく、31%~64%がより好ましいことが明らかとなった。
【実施例】
【0045】
また、表2及び図5(A)及び(B)から明らかなように、GOの比が20%までは、Total Yieldの増加は見られなかったが、それ以降は、GOの比の増加とともに、Total Yieldが増加した。また、GOの比が47%で、市販のQiaamp DNA mini kitのTotal Yieldに近い値となり、更にGOの比を大きくすることで、Qiaamp DNA mini kitのTotal Yield値より大きな値が得られた。
【実施例】
【0046】
以上の結果より、セルロースに対するGOの比を変えることで、サンプル中のDNA抽出後のTotal Yieldが変わることが明らかとなり、GOの比は20%~64%が好ましく、47%~64%がより好ましい。
【実施例】
【0047】
〔多様なサンプルからのDNAの抽出〕
<実施例3>
実施例2のサンプルDNAに代え、サンプルとして、喫煙済みタバコのフィルター部分の紙を1cm×1cm、噛んだ後のチューイングガムを15mg、ドライイーストを20mg、鳥の胸肉15mgを用いた以外は、実施例2と同様の手順でTotal Yieldを求めた。
【実施例】
【0048】
<比較例2>
主に犯罪捜査用に用いられ、サンプル中に含まれるDNAを高感度で検出できるQIAamp DNA Investigator Kit-QIAamp MinElute columns(キアゲン社製)を用い、マニュアルに従って実施例3と同様のサンプルのTotal Yieldを求めた。
【実施例】
【0049】
図6は、実施例3及び比較例2の結果を表すグラフである。図6に示すように、本発明の粒子(GOの比は53%)を用いると、犯罪捜査に用いられる高感度のDNA検出キットであるQIAamp DNA Investigator Kit-QIAamp MinElute columnsより、多様なサンプル中のDNAを高感度で抽出することができた。また、実施例2で用いたサンプルDNAは一本鎖であるが、実施例3のDNAは2本鎖である。したがって、本発明の粒子は、一本鎖及び2本鎖の何れの核酸も抽出できることが確認できた。
【実施例】
【0050】
〔粒子のリサイクル能の確認〕
<実施例4>
次に、実施例2でDNA抽出実験を行った粒子(GOの比は53%)のリサイクル能の確認を行った。
粒子のリサイクル能は、実施例2と同様の条件でDNA抽出実験を行った粒子を多数準備し、500μlのAE bufferで1回洗浄、AE bufferで2回洗浄、2M HClで1時間、2時間、4時間、8時間、12時間処理した粒子を得た。次いで、各粒子にAE bufferを500μl添加し、70℃に加熱して5分間攪拌することで、粒子表面に残留していたDNAを溶出し、溶出液に含まれるDNA量をQubic2.0(ライフテクノロジー社製)で検出した。表3は、Qubic2.0の検出値(ng/ml)を示している。
【実施例】
【0051】
【表3】
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【実施例】
【0052】
表3から明らかなように、粒子表面に吸着したDNAをAE bufferで溶出した後に、再度粒子をAE bufferで洗浄しても、粒子表面からDNAが検出された。一方、HClで1時間以上処理すると、粒子表面の残留DNAの量がQubic2.0の検出限界値より低いことを表す「<0.1」となった。
【実施例】
【0053】
次に、HCl処理した粒子の核酸抽出能について、以下の手順で確認を行った。
(1)混合溶液中のGOの比が53%の粒子を準備し、上記実施例2と同様の手順でDNAサンプルからDNAの抽出を行い、260nm/280nm及び260nm/230nm値を計算した。また、1μlの核酸溶出液に含まれる核酸量(ng/μl)を500倍することで、Total Yieldを求めた。
(2)2M HClで2時間処理した後の粒子表面に残留しているDNAの量を上記と同様の手順で測定した。
(3)上記(2)でHCl処理した粒子を用いた以外は、上記(1)と同様の手順で260nm/280nm及び260nm/230nm値を計算した。また、1μlの核酸溶出液に含まれる核酸量(ng/μl)を500倍することで、Total Yieldを求めた。
上記(3)の260nm/280nm及び260nm/230nm値、並びにTotal Yieldの値は、何れも(1)の値の約99%であった。以上の結果より、本発明の粒子は、リサイクルが可能であることが明らかとなった。
【実施例】
【0054】
〔Fe34を含んだ粒子の作製〕
<実施例5>
上記実施例1の(3)の工程の際に、Fe34を0.3g~4.5gを加えた以外は、実施例1と同様の手順でFe34を含む粒子を作製した。実施例5で作製した粒子の配合比を表4に示す。
【実施例】
【0055】
【表4】
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【実施例】
【0056】
図7(A)の左側はCGM0、右側はCGM45の写真で、直径約2.6mmの略球形であった。また、図7(B)はCGM0を純水に分散した容器に磁石を近付けた写真、図7(C)はCGM45を純水に分散した容器に磁石を近付けた写真である。図7(B)及び(C)から明らかなように、Fe34を含む粒子(CGM45)は磁石を近付けると磁石に引き寄せられた。したがって、粒子がFe34を含む場合、磁石を用いて核酸を吸着した粒子を回収できるので、操作の利便性が向上する。
【実施例】
【0057】
図8(A)はCGM45のSEM写真、図8(B)~(D)はCGM45粒子表面をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で解析したマッピングで、図8(B)は炭素元素、図8(C)は酸素元素、図8(D)はFe元素の分散を表している。図8(B)~(D)の写真から明らかなように、実施例5で作製した粒子の中では、GO、Fe34が均一に分散していることを確認した。
【実施例】
【0058】
次に、実施例5で作製した粒子を用い、実施例2のバインディングバッファー(GuHCl)に代え純水を用いた以外は、実施例2と同様の手順でDNAの抽出実験を行い、核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldを求めた。図9は、各サンプルの核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldのグラフである。図9から明らかなように、GOとセルロースの粒子にFe34を添加すると、添加量の増加に伴い核酸抽出効率が向上した。これは、Fe34が粒子内でプラスに帯電するため、マイナスに帯電している核酸を引き寄せ、そして、GOの芳香環と核酸の芳香環とがπ-πスタキングにより相互作用したためと考えられる。
【実施例】
【0059】
なお、実施例5では、バインディングバッファー(GuHCl)に代え純水を用いたため、表2に示す核酸抽出効率より低い値となっている。ところで、一般的に用いられるバインディングバッファーは、グアニジニウムイオン、尿素、ヨウ化物イオン等のカオトロピック塩を含み、更に、核酸の抽出効率を上げるためにNa+を添加する場合がある。しかしながら、抽出した核酸溶液にNa+やカオトロピック塩を含まれていると、PCRで核酸を増幅する際の阻害要因となる。したがって、抽出した核酸をPCRにより増幅する場合、実施例5に示すGO+セルロースにFe34を添加した粒子を用いると、Na+やカオトロピック塩を除去する工程が不要であることから、核酸抽出用の粒子として非常に有用である。
【実施例】
【0060】
〔Fe23を含んだ粒子の作製〕
<実施例6>
Fe34に代えFe23を用い、表5に示す配合比にした以外は、実施例5と同様の手順で粒子を作製し、核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldを求めた。
【実施例】
【0061】
【表5】
JP2016084945A1_000007t.gif
【実施例】
【0062】
図10は、各サンプルの核酸量(ng/μl)及びTotal Yieldのグラフである。図10から明らかなように、Fe34よりはやや劣るものの、Fe23を粒子中に添加することで、核酸の抽出効率は向上した。上記実施例5及び6の結果から、GO+セルロース粒子に酸化鉄を加えることで核酸の抽出効率が向上し、また、バインディングバッファーを用いなくても核酸を抽出できることが明らかとなった。なお、粒子中に分散した酸化鉄がプラスに帯電することでマイナスに帯電する核酸を引き寄せると考えられることから、酸化鉄に限らず、粒子又は核酸抽出用組成物中でプラスに帯電する物質であれば同等の効果を奏すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の粒子又は核酸抽出用組成物を用いることで、従来の核酸抽出用キットを用いた場合と比較して、多様なサンプルから核酸を高効率で抽出することができる。また、本発明の粒子又は核酸抽出用組成物は、リサイクルが可能である。
したがって、大学、企業、研究機関等において、多様なサンプルから核酸の抽出に有用である。
図面
【図1】
0
【図2-1】
1
【図2-2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10