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明細書 :in vivoステルス性ナノ粒子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年10月12日(2017.10.12)
発明の名称または考案の名称 in vivoステルス性ナノ粒子
国際特許分類 A61K  47/58        (2017.01)
A61K   9/51        (2006.01)
C08F   2/44        (2006.01)
C08F 289/00        (2006.01)
B82Y   5/00        (2011.01)
FI A61K 47/58
A61K 9/51
C08F 2/44 C
C08F 289/00
B82Y 5/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 33
出願番号 特願2016-562316 (P2016-562316)
国際出願番号 PCT/JP2015/006041
国際公開番号 WO2016/088384
国際出願日 平成27年12月4日(2015.12.4)
国際公開日 平成28年6月9日(2016.6.9)
優先権出願番号 2014247252
優先日 平成26年12月5日(2014.12.5)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】竹内 俊文
【氏名】北山 雄己哉
出願人 【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100174160、【弁理士】、【氏名又は名称】水谷 馨也
【識別番号】100175651、【弁理士】、【氏名又は名称】迫田 恭子
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4J011
4J026
Fターム 4C076AA65
4C076AA95
4C076BB13
4C076EE12A
4C076EE13A
4C076EE47A
4C076EE48A
4C076FF02
4C076FF63
4C076FF68
4J011AA05
4J011PA55
4J011PC02
4J011PC08
4J011PC13
4J026AA45
4J026AA61
4J026AC26
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4J026DA05
4J026DA12
4J026EA05
4J026EA06
4J026GA01
要約 本発明は、新しい機構でステルス性を獲得可能な分子インプリントポリマーを提供する。本発明は、血漿タンパク質が分子インプリントされた血漿タンパク質認識部位を有し且つ生体適合性モノマーに由来する構成成分を含む分子インプリントポリマーであり、血管内搬送に用いられる、in vivoステルス性ナノ粒子である。血漿タンパク質がアルブミンであることが好ましい。本発明のin vivoステルス性ナノ粒子は、薬剤を担持させることでドラッグデリバリシステム用の薬剤として使用することができる。
特許請求の範囲 【請求項1】
血漿タンパク質が分子インプリントされた血漿タンパク質認識部位を有し且つ生体適合性モノマーに由来する構成成分を含む分子インプリントポリマーであり、血管内搬送に用いられる、in vivoステルス性ナノ粒子。
【請求項2】
前記血漿タンパク質がアルブミンである、請求項1に記載のin vivoステルス性ナノ粒子。
【請求項3】
前記生体適合性モノマーが双性イオン化合物である、請求項1または2に記載のin vivoステルス性ナノ粒子。
【請求項4】
平均粒子径が10nm以上100nm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のin vivoステルス性ナノ粒子。
【請求項5】
シグナル基をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のin vivoステルスナノ粒子。
【請求項6】
薬剤成分が担持された、請求項1から5のいずれか1項に記載のin vivoステルスナノ粒子。
【請求項7】
前記薬剤成分が、薬剤に重合性官能基が共有結合した薬剤モノマーに由来する構成成分として前記分子インプリントポリマーに含まれる、請求項6に記載のin vivoステルスナノ粒子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、in vivoステルス性ナノ粒子に関する。より具体的には、本発明は、血管中でステルス性を獲得することができる、血液内搬送用のナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
癌をはじめとする様々な疾患の治療および診断のために、ナノ粒子ベースの治療薬および診断薬を用いたドラッグデリバリシステムが開発されている。ドラッグデリバリシステムに適用されるナノ粒子に共通して付与されるべき性質の1つとしてステルス性(血中での免疫応答回避能、つまり血中滞留性)が挙げられる。ナノ粒子にステルス性を付与する手段は、表面修飾である。たとえば、オプソニンの吸着の防止または凝集防止などを発揮させる目的で、ポリエチレングリコールなどの様々なポリマーを用いてナノ粒子を被覆することが知られている。他にも、食作用を阻害することを目的として、自己マーカーであるCD47タンパク質を用いてナノ粒子を被覆することも知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
一方、標的分子を特異的に認識できる人工レセプター合成法の1つとして、分子インプリンティング法(MI法)が知られている。MI法とは、認識対象である分子(標的分子)を鋳型として、その標的分子に選択性のある結合部位を人工的に材料中に構築する方法である。MI法を用いて合成されるポリマーは分子インプリントポリマー(MIP)と呼ばれる。MIPは、鋳型分子(標的分子またはその誘導体)と機能性モノマー(鋳型分子に対して特異的に相互作用する部位と重合性官能基とを持つ分子)とを架橋剤とともにラジカル重合させ、鋳型分子をポリマー内から除去することによって構築される(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Advanced Materials, 2012 July 24; 24(28): 3757-3778.
【非特許文献2】Nanoscale, 2014 Jan 7; 6(1): 65-75.
【非特許文献3】蒲池幹治、遠藤剛監修者、『ラジカル重合ハンドブック』(1999)エヌティーエス
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでのドラッグデリバリシステム用のナノ粒子では、ステルス性の付与という目的を達成するために、ステルス性の発揮に関与する分子によってナノ粒子を表面修飾するという手段が採られてきた。つまり、ドラッグデリバリシステム用のナノ粒子は、体内に注入される前の段階で、所望のステルス性が付与された態様で製造されることが常識であった。
一方で、ステルス性を示す分子インプリントポリマーは知られていない。
【0006】
このような状況に鑑み、本発明の目的は、新しい機構でステルス性を獲得可能な分子インプリントポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を包含する。
【0008】
(1)
本発明は、in vivoステルス性ナノ粒子である。in vivoステルス性ナノ粒子は、血漿タンパク質が分子インプリントされた血漿タンパク質認識部位を有し且つ生体適合性モノマーに由来する構成成分を含む分子インプリントポリマーである。本発明のin vivoステルス性ナノ粒子は、血管内搬送に用いられる。
【0009】
この構成により、血管内に投与された後、血管内に存在する血漿タンパク質が認識部位に結合することで、ステルス性(in vivo ステルス性)を獲得することができる。
【0010】
(2)
上記(1)のin vivoステルス性ナノ粒子において、血漿タンパク質はアルブミンであってよい。
【0011】
この構成により、ステルス性獲得に血漿タンパク質の最も多くを占めるアルブミンを利用するため、効率的にステルス性を獲得することができる。
【0012】
(3)
上記(1)または(2)のin vivoステルス性ナノ粒子において、生体適合性モノマーは双性イオン化合物であってよい。
【0013】
この構成により、本発明のin vivoステルス性ナノ粒子に薬剤を担持させた場合に、体内での薬剤放出性が良好となる。さらに、血中分散安定性を維持しつつ粒子径をより小さく制御しやすい。
【0014】
(4)
上記(1)から(3)のいずれかのin vivoステルス性ナノ粒子は、平均粒子径が10nm以上100nm以下であってよい。
【0015】
この構成により、EPR(enhanced permeability and retention)効果を発現しやすいとともに、分子インプリントによるステルス性を確保しやすい。なお、本発明における平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される粒度分布における算術平均径を意味する。
【0016】
(5)
上記(1)から(4)のいずれかのin vivoステルス性ナノ粒子は、シグナル基をさらに含んでよい。
【0017】
この構成により、シグナル基を検出する手段を用いて、in vivoステルス性ナノ粒子が投与された生体外部から当該ナノ粒子を追跡することができる。
【0018】
(6)
上記(1)から(5)のいずれかのin vivoステルス性ナノ粒子は、薬剤成分が担持されてよい。
【0019】
この構成により、in vivoステルス性ナノ粒子はドラッグデリバリシステム用薬剤として使用することができる。
【0020】
(7)
上記(6)のin vivoステルス性ナノ粒子は、薬剤成分が、薬剤に重合性官能基が共有結合した薬剤モノマーに由来する構成成分として分子インプリントポリマーに含まれてよい。
【0021】
この構成により、in vivoステルス獲得性を担保した薬剤の担持が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、血管内に投与された後、血管内に存在する血漿タンパク質を認識部位に結合させるという新しい機構でステルス性を獲得できる分子インプリントポリマーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1で得られた、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの精製前のUV-visスペクトル(a)、および精製後のUV-visスペクトル(b)を示す。
【図2】DLSにより得られた実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【図3】実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよび比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsそれぞれのHSA固定化基板に対する吸着挙動について、RU値の変化量と粒子濃度との関係を示す。
【図4】実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをラットに投与した後の、耳の血管の顕微鏡画像である。
【図5】実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをラットに投与した後の、静脈および組織中の蛍光強度の経時変化を示す。
【図6】比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをラットに投与した後の、耳の血管の顕微鏡画像である。
【図7】比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをラットに投与した後の、静脈および組織中の蛍光強度の経時変化を示す。
【図8】実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓の10分後(a)および14時間後(b)の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。
【図9】実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓内の血管中の蛍光強度経時変化を示す。
【図10】比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをインジェクションしたマウス肝臓の10分後(a)および15時間後(b)の共焦点レーザー顕微鏡写真を、肝臓内の血管の測定点とともに示す。
【図11】比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓内の血管中の蛍光強度経時変化を示す。
【図12】図10の写真における肝細胞の測定点を示す。
【図13】比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓内の肝細胞の蛍光強度経時変化を示す。
【図14】DLSにより得られた実施例2の薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【図15】実施例2の薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsのHSA固定化金基板に対する吸着挙動(HSA vs Dox MIP)を、実施例1の薬剤を担持しないHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの吸着挙動(HSA vs Non-Dox MIP)とともに示す。
【図16】実施例1の薬剤を担持しないHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGs(Without Dox)および実施例2の薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGs(With Dox)の繊維芽細胞NIH/3T3への取り込みを観察した結果を示す。
【図17】実施例1の薬剤を担持しないHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGs(Without Dox)および実施例2の薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGs(With Dox)のヒト乳がん細胞Helaへの取り込みを観察した結果を示す。
【図18】DLSにより得られた実施例3の蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【図19】実施例3の蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsの各種タンパク質固定化金基板に対する吸着挙動を示す。
【図20】DLSにより得られた実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【図21】実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsのUV-visスペクトルを示す。
【図22】DLSにより得られた実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【図23】実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsのUV-visスペクトルを示す。
【図24】実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの濃度と細胞生存率との関係を示す。
【図25】実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの濃度と細胞生存率との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1.in vivo ステルス性ナノ粒子]
本発明のin vivo ステルス性ナノ粒子は、血管内搬送に用いられる分子インプリントポリマーである。分子インプリントポリマーは、標的分子に選択性のある結合部位(標的分子認識部位)を有する合成ポリマーである。分子インプリントポリマーは、鋳型重合法の一つである分子インプリント法により合成されるものである。分子インプリント法は、標的分子を鋳型として、その標的分子に選択性のある結合部位(標的分子認識部位)を、ポリマー中に人工的に構築する方法である。

【0025】
[1-1.標的分子]
本発明のin vivo ステルス性ナノ粒子が標的分子認識部位で認識対象とする標的分子は、血漿タンパク質である。本発明のin vivo ステルス性ナノ粒子が血管内に投与された場合に、血液中の血漿タンパク質が分子インプリントポリマーの標的分子認識部位に結合することで、ステルス性を獲得することができる。血漿タンパク質としては、アルブミン、γ-グロブリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、セルロプラスミン、および癌胎児性抗原などが挙げられるが、この中でも最も多くを占めるアルブミンであることが好ましい。この場合、in vivo ステルス性ナノ粒子の血液中でのステルス性確保がより効率的に行われる。なお、血漿タンパク質は、ヒト由来およびヒト以外の動物由来であってよい。ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ハムスタ-、ウサギ、およびヤギなどの哺乳動物を含む脊椎動物が挙げられる。

【0026】
[1-2.分子インプリントポリマーの構成材料]
本発明のin vivo ステルス性ナノ粒子を構成する分子インプリントポリマーは、少なくとも機能性モノマーと生体適合性モノマーとにそれぞれ由来する構成成分を含む架橋ポリマーである。

【0027】
上記した機能性モノマーは、標的分子である血漿タンパク質と結合可能な官能基と、重合性官能基とを併せ持つ分子をいう。血漿タンパク質との結合様式は、共有結合でも非共有結合でもかまわない。非共有結合としては、水素結合、イオン結合、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用などが挙げられる。

【0028】
血漿タンパク質と結合可能な官能基としては、たとえば、スルホン酸基およびカルボキシル基などの酸性官能基、アミノ基、環状2級アミノ基(たとえば、ピロリジル基、ピペリジ基)、ピリジル基、イミダゾール基、グアニジン基などの塩基性官能基、カルバモイル基、水酸基、アルデヒド基などが挙げられる。重合性官能基としては、ビニル基および(メタ)アクリル基などが挙げられる(他のモノマーについても同様)。機能性モノマーの具体例としては、ピロリジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。機能性モノマーは、鋳型とする血漿タンパク質に応じて適宜選択することができる。

【0029】
上記した生体適合性モノマーとは、生体適合性ポリマーを構成可能なモノマーをいう。生体適合性ポリマーは、好ましくは親水性ポリマーであり、双性イオンポリマーおよびノニオンポリマーを含む。なお、生体適合性とは、生体物質の接着を誘起しない性質をいう。このようなモノマーに由来する成分を含むことにより、分子インプリントポリマー自体に好ましい血中滞留性を具備させることができる。

【0030】
双性イオンポリマーを構成可能な双性イオンモノマーは、酸性官能基(たとえば、リン酸基、硫酸基、およびカルボキシル基など)に由来するアニオン基と、塩基性官能基(たとえば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基および4級アンモニウム基など)に由来するカチオン基との両方を1分子中に含む。たとえば、ホスホベタイン、スルホベタイン、およびカルボキシベタインなどが挙げられる。

【0031】
より具体的には、ホスホベタインとしては、ホスホリルコリン基を側鎖に有する分子が挙げられ、好ましくは、2-メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン(MPC)などが挙げられる。
スルホベタインとしては、N,N-ジメチル-N-(3-スルホプロピル)-3’-メタクリロイルアミノプロパンアミニウムインナーソルト(SPB)、N,N-ジメチル-N-(4-スルホブチル)-3’-メタクリロイルアミノプロパンアミニウムインナーソルト(SBB)などが挙げられる。
カルボキシベタインとしては、N,N-ジメチル-N-(1-カルボキシメチル)-2’-メタクリロイロキシエタンアミニウムインナーソルト(CMB)、N,N-ジメチル-N-(2-カルボキシエチル)-2’-メタクリロイロキシエタンアミニウムインナーソルト(CEB)などが挙げられる。

【0032】
双性イオンモノマーに由来する構成成分を有することは、分子インプリントポリマーに薬剤を担持させた場合の薬剤放出性の点で好ましい。さらに、血中分散安定性を維持しつつ粒子径をより小さく制御しやすい点においても好ましい。

【0033】
ノニオンポリマーとしては、ポリエーテル系高分子、たとえばポリ(エチレングリコール)(PEG)が挙げられる。分子インプリントポリマーにPEGのようなノニオンポリマーが含まれる場合は、分子排除効果による血中分散安定性が得られる。

【0034】
上記した生体適合性モノマー由来成分は、たとえば分子インプリントポリマーの0%超50%以下(%で表される量はモル基準)、好ましくは1%以上30%以下、さらに好ましくは2%以上20%以下の割合で含ませることができる。生体適合性モノマー由来成分の含有量が上記上限値以下であることにより、分子インプリント血漿タンパク質認識部位を好ましく維持することができ、上記下限値以上であることにより、好ましい血中滞留性を得ることができる。

【0035】
分子インプリントポリマーは、上記の他に、水溶性モノマーに由来する構成成分を有していてもよい。この場合における水溶性モノマーとは、下限臨界溶液温度(LCST)を有する熱応答性ポリマー、pH応答性ポリマーなどの外部刺激応答性ポリマーを構成可能なモノマーをいう。

【0036】
LCSTを有する熱応答性ポリマーとしては、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンオキシド側鎖を含むポリマー(たとえば、ポリ(ジエチレングリコールメタクリレート)、ポリ(トリエチレングリコールメタクリレート)、ポリ(オリゴエチレングリコールメタクリレート))、ポリ酢酸ビニルけん化物、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。このような構成成分を有することによって、分子インプリントポリマーは、低温域では親水性を示す一方、LCST以上への温度変化によって疎水性を示し、細胞へ取り込まれやすくなる。

【0037】
pH応答性ポリマーとしては、アルカリ性域で親水性を示すアニオン性ポリマー(たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸)および酸性域で親水性を示すカチオン性ポリマー(たとえば、ポリアクリルアミド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド改質重合体(MADQUAT))などが挙げられる。

【0038】
分子インプリントポリマーは、上記の他に、シグナル基含有モノマーに由来する構成成分を有していてもよい。シグナル基は、検出可能な官能基であればよく、たとえば、蛍光基、放射性元素含有基、磁性基などから当業者が適宜選択することができる。
蛍光基としては、フルオレセイン系色素、インドシアニン色素などのシアニン系色素、ローダミン系色素、量子ドットなどに由来する基が挙げられる。蛍光基は、生体への透過性が高い近赤外蛍光基であることが好ましい。放射性元素含有基としては、18Fなどの放射性同位体でラベルした、糖、アミノ酸、核酸などに由来する基が挙げられる。磁性基としては、フェリクロームなどの磁性体を有するもの、フェライトナノ粒子、ナノ磁性粒子などにみられるものが挙げられる。

【0039】
[1-3.薬剤の担持]
本発明のin vivoステルス性ナノ粒子は、薬剤等のキャリアとして用いることができ、抗がん剤、遺伝子、造影剤、蛍光プローブ、および、酵素などのタンパク質などの薬剤を担持することができる。

【0040】
坑がん剤としては、一般的に癌治療に使用されている抗がん剤であればいずれであってもよい。具体的には、タキサン系薬剤、白金製剤、ニトロソウレア系薬剤、窒素マスタード系薬剤、トリアジン系薬剤、アンスラサイクリン系薬剤、ビンカアルカロイド系薬剤、エピポドフィロトキシン系薬剤、カンプトテシン系薬剤、およびフッ化ピリミジン系薬剤を例示できる。タキサン系薬剤として、タキソール、タキソテール、パクリタキセル、およびドセタキセルなどが挙げられる。白金製剤としては、シスプラチンおよびカルボプラチンなどが挙げられる。ニトロソウレア系薬剤としては、カルムスチンおよびロムスチンなどが挙げられる。窒素マスタード系薬剤としては、シクロホスファミドなどが挙げられる。トリアジン系薬剤としては、ダカルバジンなどが挙げられる。アンスラサイクリン系薬剤としては、ドキソルビシンなどが挙げられる。ビンカアルカロイド系薬剤としては、ビンクリスチンおよびビンブラスチンなどが挙げられる。エピポドフィロトキシン系薬剤としては、エトポシドなどが挙げられる。カンプトテシン系薬剤としては、イリノテカンなどが挙げられる。フッ化ピリミジン系薬剤としては、5-フルオロウラシルおよびテガフールなどが挙げられる。

【0041】
薬剤は、in vivoステルス性ナノ粒子において共有結合によって担持されていてよい。具体的には、分子インプリントポリマーの構成成分として、薬剤モノマーに由来する構成成分を含ませることによって担持させることができる。薬剤モノマーは、上述の薬剤が重合性官能基と共有結合した構造を有する。
薬剤モノマーは、所望の薬剤と、重合性官能基を有するモノマー(重合性モノマー)とを反応させることによって得ることができる。

【0042】
この場合、薬剤側の反応性基としては、当該薬剤自身の効力発現を妨げない基が当業者によって適宜選択される。該当する反応性基が一分子の薬剤に複数存在する場合は、当該反応性基と重合性モノマーとで構成される共有結合のin vivo分解性(つまり薬剤放出性)を考慮して、適当な一の反応性基を当業者が適宜決定することができる。

【0043】
重合性モノマー側の反応性基としては、重合性官能基以外の基であって、かつ、薬剤側の反応性基と反応可能な基が当業者によって適宜選択される。したがって薬剤と反応させられる重合性モノマーとしては特に限定されないが、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;メチロールアクリレート、メチロールメタクリレート;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマーなどが挙げられる。

【0044】
なお、薬剤側の反応性基と重合性モノマー側の反応性基とは、直接的に縮合等による結合していてもよいし、薬剤モノマーの分子設計上において当業者が適宜選択することが可能な連結基を介して結合していてもよい。

【0045】
[1-4.粒子径]
本発明のin vivoステルス性ナノ粒子の平均粒子径は、10nm以上100nm以下であってよく、好ましくは40nm以上60nm以下、さらには40nm以上50nm以下であってもよい。平均粒子径が上記の上限値以下であることにより、EPR(enhanced permeability and retention)効果の発現が容易であり、上記の下限値以上であることにより、分子インプリントポリマーの比表面積の確保およびステルス性の獲得が容易である。

【0046】
平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される粒度分布における算術平均径を意味する。動的光散乱法とは、粒子が分散している溶液にレーザー光を当て、その散乱光変化を測定したときに検出される粒子のブラウン運動に依存した散乱光度の揺らぎに基づいて、粒子の大きさ(粒子径)を導き出す方法である。動的光散乱法に基づく粒子径測定装置は各社から市販されており(たとえば、大塚電子、シスメックス、ベックマン・コールターなど)、本発明in vivoステルス性ナノ粒子の平均粒子径測定に好適に利用いることができる。

【0047】
[2.in vivoステルス性ナノ粒子の製造]
本発明のin vivoステルス性ナノ粒子は、分子インプリンティング法によって合成する。具体的には、標的分子である血漿タンパク質、その誘導体または類似化合物を鋳型分子とし、この鋳型分子をラジカル重合反応時に共存させる。鋳型分子の共存により、鋳型分子に対して相補的に相互作用する分子認識部位が、有機ポリマーの合成とともに構築される。分子インプリントポリマーの合成方法の詳細は、例えば、参考文献「Komiyama, M., Takeuchi, T., Mukawa, T., Asanuma, H. "Molecular Imprinting", WILEY-VCH, Weinheim, 2002.」の記載などを参照して当業者が適宜決定することができる。

【0048】
鋳型分子が共存させられる重合反応系には、少なくとも、機能性モノマーと、生体適合性モノマーと、架橋剤とが含まれてよい。この他にも、上述した水溶性モノマー(つまり外部刺激応答性ポリマーを構成可能なモノマー)、シグナル基含有モノマーおよび薬剤モノマーの少なくともいずれかをさらに含んでもよい。また、重合開始剤および重合促進剤の少なくともいずれかをさらに含んでもよい。なお、上記の各モノマーの代わりに、当該モノマーのオリゴマーおよび/またはポリマーが含まれてもよい。

【0049】
各モノマーについては、具体的には、上記項目1-2(分子インプリントポリマーの構成材料)および項目1-3(薬剤の担持)で述べた各種化合物が挙げられる。
架橋剤は、分子中に重合性官能基(ビニル基など)を少なくとも2個持つ分子を用いることが好ましく、たとえば、エチレングリコールジメチルアクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。

【0050】
重合開始剤としては、たとえば、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩などのアゾ系重合開始剤が挙げられる。重合促進剤としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンなどが挙げられる。

【0051】
溶媒としては、鋳型分子の変性抑制の観点から、緩衝液等の水系の溶媒が好ましく用いられる。

【0052】
分子インプリンティング法においては、上記の全ての成分を同時に共存させて重合反応を開始することができる。あるいは、予め鋳型分子/機能性モノマー複合体を形成しておき、その後、鋳型分子/機能性モノマー複合体を、生体適合性モノマーおよび架橋剤とともに重合反応に供してもよい。

【0053】
これによって、鋳型分子の形状および相互作用点の配置を記憶した有機ポリマーが得られる。なお、得られた有機ポリマーにおける鋳型分子と機能性モノマー由来成分との結合様式は、切断可能であれば共有結合でも非共有結合でもかまわない。当該結合様式が非共有結合である場合は、予め鋳型分子/機能性モノマー複合体を形成しておくことを必ずしも要さず、切断を容易に行うことができる点で好ましい。

【0054】
なお、分子インプリントポリマーの微粒子を得るための重合方法としては、例えば、無乳化剤沈殿重合法、分散重合法、乳化重合法、シード乳化重合法などが挙げられる。(参考文献:蒲池幹治、遠藤剛監修者、『ラジカル重合ハンドブック』(1999)エヌティーエス、G. Schmid Ed. Nanoparticles, Wiley-VCH (2004))。

【0055】
上記の重合反応で得られた有機ポリマーから、鋳型分子を除去することにより、鋳型分子と基質特異的に相互作用する分子認識部位を有する有機ポリマー(分子インプリントポリマー)が得られる。鋳型分子の除去は、鋳型分子と機能性モノマー由来成分との結合を切断し、遊離した鋳型分子を分子インプリントポリマーから分離することによって行うことができる。

【0056】
鋳型分子の切断は、鋳型分子と機能性モノマー由来成分との結合様式に基づいて、当業者が適宜決定することができる。たとえば、1M NaCl溶液;極性溶媒(たとえばメタノールなどのアルコール);界面活性剤(たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド(TTAB)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton)、脂肪酸エステル(Span)、ポリオキシエチレンエーテル脂肪酸エステル(Tween));タンパク質変性剤(たとえば、トリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)、尿素、グリシン塩、酸、アルカリ);酵素(たとえば、ペプシン、トリプシン、パパイン)などによって切断を行うことができる。なお、非共有結合を切断する工程は、後述の分離工程で同時に行われてもよい。この場合、分離工程で使用される移動相(緩衝液)を、鋳型分子の溶離液として機能させることができる。

【0057】
遊離した鋳型分子は、分子インプリントポリマーから分離される。分離方法は両者の物性の差を利用した分離方法を、当業者が適宜選択することができる。好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィによって分離することができる。

【0058】
[3.in vivoステルス性ナノ粒子の利用]
本発明のin vivoステルス性ナノ粒子は、薬剤が担持されることで、薬学的に許容される成分とともに医薬組成物として利用可能である。薬学的に許容される成分は、非毒性、不活性かつin vivoステルス性ナノ粒子の標的分子認識部位に影響を与えない固体および/または液体であり、たとえば、滅菌水、生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、結合剤等などが挙げられる。
薬剤組成物は、注射および経皮吸収などの方法で体内投与される形態で調製されることができる。
【実施例】
【0059】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0060】
[1.ナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの合成]
[1-1.実施例1:蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの合成]
水溶性モノマーとしてのN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)407mg、架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA)30.8mg、機能性モノマーとしてのピロリジルアクリレート(PyA)70mg、蛍光性モノマーとしてのフルオレセインアクリルアミド(FAm)4mg、生体適合性モノマーとしてのメタクリロイロキシエチルホスホリルコリン(MPC)59mg、開始剤としての2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(V-50)217mg、および標的タンパク質としてのヒト血清アルブミン(HSA, 血中に50-60%存在)13.2mgを、シュレンクフラスコ内で100 mLの10 mM PBS (pH 7.4)に溶解させ、窒素雰囲気下70℃で12時間、無乳化剤沈殿重合を行った。これにより、ヒト血清アルブミンを鋳型とする分子インプリントポリマー([HSA]MIP-NGs)を合成した。
【実施例】
【0061】
なお、ピロリジルアクリレートは以下の構造を有するモノマーであり、Inoue Y., Kuwahara A., Ohmori K., Sunayama H., Ooya T., Takeuchi T. Biosensors and Bioelectronics 48, 113-119 (2013)に記載の方法で、Boc-3-ヒドロキシピロリジンとアクリロイルクロリドとから中間体N-Boc-ピロリジルアクリレートを合成した後にBoc基を脱保護することにより得た。
【実施例】
【0062】
【化1】
JP2016088384A1_000003t.gif
【実施例】
【0063】
[1-2.比較例1:蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsの合成]
ヒト血清アルブミンを用いなかったことを除いて上記と同様の無乳化剤沈殿重合を行った。これにより、リファレンスナノ粒子(NIP-NGs)を合成した。
【実施例】
【0064】
[1-3.重合後のナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの平均粒子径測定]
得られたナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsのDLS測定を行った。DLS測定には動的光散乱光度計(DLS)(マルバーン株式会社製データサイザー)を用い、温度条件は25℃とした。
結果、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsは、Z平均粒子径:44 nm、PDI: 0.38 nmであった。蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsは、Z平均粒子径:19 nm、PDI: 0.46 nmであった。いずれについても安定なナノ粒子を得ることに成功したことが示された。
【実施例】
【0065】
[2.ナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの精製]
[2-1.蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの精製]
重合後の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsのナノゲルエマルションのUV-visスペクトルを測定したところ、フルオレセイン基に由来する510 nm程度の波長吸収とともに、モノマーおよびHSAに由来する200~300 nmの波長吸収も観測された。
【実施例】
【0066】
そこで、重合によって得られたエマルションから、ナノ粒子([HSA]MIP-NGs,NIP-NGs)の精製を行った。精製は、サイズ排除クロマトグラフィを用いた分離によって行った。具体的には、内径1.2 cmのカラムに、高さ33 cmまでSephadex G-50 Medium を充填し、2 mLの得られたナノゲルエマルション([HSA]MIP-NGsまたはNIP-NGs)を導入した。溶離液には10 mM PBS buffer (pH 7.4)を使用した。フラクションは1.5 mLずつに分けて採取し、それぞれのフラクションのUV-vis測定を行うことによって、サイズ排除クロマト分離できているかどうかを確かめた。
【実施例】
【0067】
蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの分離の結果、5番目から10番目のフラクションでは、フルオレセイン基に由来する502nmの吸収が観測され、このうち7番目から10番目のフラクションでは、HSAに由来する260nmの吸収も併せて観測された。さらに、13番目から25番目のフラクションでは、モノマーに由来する241nmの吸収が観測された。
そこで、不純物(HSAおよびモノマー)の吸収が観測されず、かつフルオレセイン基に由来する502nmの吸収が最も大きく観測された6番目のフラクションを[HSA]MIP-NGsの精製物として採用した。この際、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの固形分濃度を測定すると、0.112 wt%であった。図1(a)に、精製前における重合物のUV-visスペクトルを示し、図1(b)に、精製後における6番目フラクションのUV-visスペクトルを示す。図1ではいずれも、横軸に波長(nm)、縦軸に相対強度を表す。
なお、より高分子側で段数が働く充填材を用いれば、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをHSAから完全分離することが可能と考えられる。
【実施例】
【0068】
[2-2.蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsの精製]
蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについても同様に分取を行い、精製物を得た。この際、NIP-NGsの固形分濃度を測定すると、0.106 wt%であった。
【実施例】
【0069】
[2-3.精製後の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの平均粒子径測定]
精製された蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの平均粒子径を、精製前と同様に測定した。結果、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの平均粒子径:23nm、PDI:0.45であった。図2に、DLSにより得られた蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。
【実施例】
【0070】
[3.ナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの蛍光測定]
精製された蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsを1000分の1に希釈(溶媒10 mM PBS buffer (pH7.4))し、蛍光測定を行った。
【実施例】
【0071】
蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsについて、蛍光波長530 nmの際の励起スペクトルを測定したところ、500 nm付近に極大吸収を示した。そこで、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsについて、励起波長500 nm、25℃で蛍光スペクトルを測定したところ、526nmに極大吸収を示した。
蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについても同様に蛍光スペクトルを測定しところ、同様の極大吸収を示した。
【実施例】
【0072】
したがって、ナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの蛍光顕微鏡下での観察が可能であることが明らかとなった。
【実施例】
【0073】
[4.蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの蛍光偏光解消測定]
精製された蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsを1000分の1希釈(溶媒10 mM PBS buffer (pH7.4))した。光源側に0°または90°、検出器側に0°または90°の偏光版を挿入し、蛍光測定を行った。具体的には、光源側0°-検出器側0°である場合の蛍光強度(I00)、光源側0°-検出器側90°である場合の蛍光強度(I09)、光源側90°-検出器側0°である場合の蛍光強度(I90)、および光源側90°-検出器側90°である場合の蛍光強度(I99)を測定した。極大波長は526nmであった。
【実施例】
【0074】
重合前の蛍光性モノマーであるフルオレセインアクリルアミドについても同様に蛍光測定を行った。極大波長は510nmであった。
【実施例】
【0075】
蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよびフルオレセインアクリルアミドそれぞれについて、極大波長における蛍光強度を以下の式に導入し、異方性を算出した(表1)。
【実施例】
【0076】
【数1】
JP2016088384A1_000004t.gif
【実施例】
【0077】
【表1】
JP2016088384A1_000005t.gif
【実施例】
【0078】
表1に示すように、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの異方性の値Aは0.205と算出された。一方、フルオレセインアクリルアミドの異方性の値Aは0.0144と算出された。このように、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの異方性の値Aはフルオレセインアクリルアミドの場合に比べ明らかに大きい。この結果は、蛍光分子がナノゲル粒子に取り込まれたことでサイズが大きくなったために、ブラウン運動による偏光解消が抑制されたことを明確に示している。
【実施例】
【0079】
[5.表面プラズモン共鳴を利用した蛍光性HSA認識ナノ粒子の標的分子認識能評価]
[5-1.HSA固定化金基板の作製]
まず、金基板を水およびエタノールで洗浄した後、UV-O3処理した。その後すぐに、11-メルカプトウンデカン酸(1mM, エタノール) 5mL中に浸漬し、24 h 25℃でインキュベーションを行うことにより、金基板表面に11-メルカプトウンデカン酸の自己組織化単分子(SAM)膜を形成した(SAM膜形成工程)。
【実施例】
【0080】
次に、得られたSAM膜形成基板を、エタノールで洗浄後、N-エチル-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(100 mg/mL)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(100 mg/mL)を溶解させた水溶液0.3 mL中に室温で30分浸漬させた。これによって、カルボン酸をNHS修飾して活性化させた(活性化工程)。
【実施例】
【0081】
最後に、カルボン酸を活性化させた基板を、HSA (1mg/mL)を溶解させた10 mM PBS buffer (pH 7.4)中でインキュベーション(25℃、1.5 h)した。これによって、HSA固定化金基板を作製した(HSA固定化工程)。
【実施例】
【0082】
上記の各工程の処理が行われたことの確認は、X線光電子分光(XPS)測定によって行った。
SAM膜形成工程によって得られた基板のXPS測定の結果、S2p軌道に由来する軌道が明確に確認された。したがって、基板の表面がカルボキシル基修飾されていることが判った。
【実施例】
【0083】
活性化工程によって得られた基板のXPS測定の結果、N1s軌道由来のピークが出現した。したがって、表面にカルボキシル基が活性化されたNHS末端が存在していることが示唆された。(カルボジイミドは不安定のため不活性化していると考えられる)。
【実施例】
【0084】
HSA固定工程によって得られた基板のXPS測定の結果、N1s軌道のピークは極めて大きくなった(アミド結合由来のものと考えられる)。さらに、C1s軌道においてもカルボニルに起因するピークが明確に出現した。従って、HSAで修飾することに成功していることが判った。
【実施例】
【0085】
[5-2.HSA固定化金基板を用いたナノ粒子[HSA]MIP-NGs,NIP-NGsの吸着挙動の確認]
表面プラズモン共鳴法(SPR)センサー装置(ビアコア社製Biacore Q)を用い、HSA固定化基板に対する蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの吸着挙動について確認した。Running bufferに10 mM PBS (pH 7.4)を用い、温度25℃、Flow rate: 20μL/min、Injection volume: 20μLで測定を行った。蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsは、10 mM PBS buffer (pH 7.4)に分散させ,濃度を100, 200, 400, 800, 1600 ng/mLと変化させて測定に供した。
同様の操作により、蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについても測定を行った。
【実施例】
【0086】
蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよび蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsそれぞれのHSA固定化基板に対する吸着挙動について、レゾナンスユニット変化量(ΔRU)と粒子濃度(ng/mL)との関係を、図3に示す。
【実施例】
【0087】
図3に示すように、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsは、その濃度の上昇とともに吸着量が増大したことに対し、蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsでは、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsで観察されたような吸着挙動は観察されなかった。したがって、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの方が、HSAに対する吸着能が高いことが示された。このような、蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsおよび蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsそれぞれのHSAに対する吸着能を調べる実験を合計3回行い、効果の再現性を確認した。
【実施例】
【0088】
[6.in vivoでの血中滞留性評価]
精製した蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsを分散させた10 mM PBS (pH 7.4)を、ラットの尾の静脈にインジェクションした。ラットの耳の血管の蛍光動画を、共焦点レーザー顕微鏡(Nikon製)を用いて撮影した。10時間にわたり、動脈、静脈および組織中の蛍光強度を経時的に測定した。
積算時間1時間16分時の顕微鏡画像を図4に示す。図4中、四角で囲われた箇所(図中左から順に、組織、動脈、静脈の測定箇所を示す)で、蛍光強度の経時変化を調べた。静脈および組織中の蛍光強度の経時変化を図5に示す。図5は、横軸に時間(分)を表し、縦軸に相対強度(%)を表す。
【実施例】
【0089】
精製した蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについても同様の操作を行い、蛍光強度の経時的測定を行った。積算時間1時間6分時の顕微鏡画像を図6に示す。図6中、四角で囲われた箇所(図中左から順に、静脈、動脈、組織の測定箇所を示す)で、蛍光強度の経時変化を調べた。静脈および組織中の蛍光強度の経時変化を図7に示す。図7は、横軸に時間(分)を表し、縦軸に相対強度(%)を表す。
【実施例】
【0090】
図5および図7に示されるように、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの場合と蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsの場合とにおいて、組織中の蛍光強度はほとんど差が無かった。一方、静脈中の蛍光強度は、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsが蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsに比べて常に高い値を示した。つまり、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの高い血中滞留性が示された。この結果は、蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsが[HSA]MIP-NGsが血中でHSAを認識し、HSAを身にまとうことでステルス性を具備したことを示唆する。
【実施例】
【0091】
[7.肝臓における血中滞留性評価]
以下のとおり、実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsと、比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsとについて、肝臓における血中滞留性を共焦点レーザー顕微鏡を用いて確認した。
【実施例】
【0092】
[7-1.実験手順]
Balb/cマウス(メス,生後4週間)を使用し、肝臓を観察した。まず、マウスの腹部に脱毛クリームを塗り、脱毛した。その後、腹部から肝臓を観察できるように、電子メスとはさみとを用いて皮膚を裂いた。また,サンプルをインジェクションするために、尾静脈へのカテーテル挿入を行った。生理食塩水を1mLテルモシリンジで導入することによって、漏れが無いことを確認した。
【実施例】
【0093】
肝臓に焦点を合わせ、実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsを200μLインジェクションし、共焦点レーザー顕微鏡による観察を行った。具体的には、インジェクション5分前より共焦点レーザー顕微鏡(Nikon)で動画撮影を開始し、15時間の撮影を行った。
比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについても同様の実験操作を行った。
【実施例】
【0094】
[7-2.蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsについての実験結果]
図8(a)に、実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓の10分後の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図8(b)に、[HSA]MIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓の14時間後の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。
【実施例】
【0095】
図8(a)に示すように、インジェクション直後(10分後)では、[HSA]MIP-NGs由来の蛍光がはっきりと肝臓内の血管で観察され、血管中を流れていることが観察できた。一方で、図8(b)に示すように、インジェクション後14時間経過すると、その血管中の蛍光強度は弱くなっていたものの、血管の蛍光がはっきりと観察できた。さらに、[HSA]MIP-NGsが肝細胞に集積している様子が観察されなかったことから、[HSA]MIP-NGsは肝細胞に捕らわれることがない、血中滞留性に優れたナノ粒子であることが明らかとなった。
【実施例】
【0096】
[HSA]MIP-NGsの血管中の血中滞留性を調べるため、図8(a)および図8(b)中、円で囲った5か所の蛍光強度の経時変化を求めた。その結果を図9に示す。図9において、横軸に経過時間、縦軸に相対蛍光強度を示す。この図から半減期を見積もると、おおよそ5時間半以上の高い血中滞留性が示された。
【実施例】
【0097】
[7-3.蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsについての実験結果]
図10(a)に、比較例1の蛍光性リファレンスナノ粒子NIP-NGsをインジェクションしたマウス肝臓の10分後の共焦点レーザー顕微鏡写真を示し、図10(b)に、NIP-NGsをインジェクションしたマウス肝臓の15時間後の共焦点レーザー顕微鏡写真を示す。
【実施例】
【0098】
図10(a)に示すように、インジェクション直後(10分後)では、血管が明瞭に見えているのに対し、図10(b)に示すように、インジェクション後15時間経過すると血管はほとんど見えなくなり、代わりに細胞に多く取り込まれている様子が観察された。この細胞は肝細胞と考えられる。さらに、時間経過とともに蛍光を発する肝細胞数は増大している様子が観察された。
【実施例】
【0099】
NIP-NGsの血管中の血中滞留性を調べるため、図10(b)の肝細胞が現れない場所であり且つ初期に血管が見えていた場所を5箇所(図10に測定点1~5として示す)選択し、当該場所、つまり血管中の蛍光強度の経時変化を測定した。その結果を図11に示す。図11に示されるように、[HSA]MIP-NGs(図9参照)に比べてより速く血管中から消えていく傾向が観察され、その半減期も5箇所のうち4箇所(測定点2~5)で2~3時間であった。このデータからも、[HSA]MIP-NGsの方が、NIP-NGsよりも高い血中滞留性を示すことが明らかとなった。
【実施例】
【0100】
次に、NIP-NGsをインジェクションしたマウスの肝臓部位における肝細胞内の蛍光強度の経時変化を測定した。この測定においては、共焦点レーザー顕微鏡画像中において、時間経過と共に肝細胞が見えてくる5点のポイント(図12に測定点1~5として示す)を測定した。その測定結果を図13に示す。
【実施例】
【0101】
図13に示すように、全ての測定点において、時間経過とともに肝細胞内の蛍光強度が経時的に増大している様子が観察された。これは、明らかに肝細胞へのナノ粒子の取り込みを示唆する結果であり、NIP-NGsが肝細胞へ取り込まれていること、つまり血中滞留性が低いことが改めて明らかとなった。一方、[HSA]MIP-NGsは肝細胞への取り込みが無かった(図8参照)ことから、やはり血中において高いステルス性を獲得できたと考えられる。
【実施例】
【0102】
[8.実施例2:薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの合成]
[8-1.アミド結合を有するDoxorubicin methacrylate (DOXMA-1)の合成]
【実施例】
【0103】
【化2】
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【実施例】
【0104】
抗がん剤であるDoxorubicin HCl 58 mg (0.10 mmol)をEt3N 30 μL (0.40 mmol)を含んだMeOH 30 mLに溶解させ、Methacrylic acid 8.5μL (0.10 mmol)とDMT-MM 27.7 mg (0.10 mmol)とを溶解させたMeOH 10 mLを、滴下漏斗を用いて加えた。Overnight後、TLC (1-BuOH : AcOH : H2O = 4 : 1 : 5)にてRf値=0.25に原料のスポットとRf値=0.75に目的物と思われるスポットが見られた。原料スポットが多く残っていたため、Methacrylic acid 19 μL (0.20 mmol)とDMT-MM 27.7 mg (0.10 mmol)とを溶解させたMeOH 10 mLをさらに加えて反応させた。EtOAcに溶媒置換後、重曹水にて三回、洗浄を行った。MgSO4で脱水した後、減圧留去および真空乾燥を行い、1H-NMRにて目的物の同定を行った。
【実施例】
【0105】
目的物であるDOX methacrylate(DOXMA-1)の合成の確認を1H-NMRで確認した。具体的には、生成物のメタクリロイル基に由来するピークが新たに出現したことを確認した。
1H-NMR chart.1 (300 MHz, DMSO-d6)
δ=14.04 (br, 1H), δ=13.28 (br, 1H), δ=7.94, 7.67, 7.33 (m, 3H), δ=5.60, 5.47 (m, 2H), δ=5.27 (d, 2H), δ=4.95 (br, 1H), δ=4.83 (m, 2H), δ=4.56 (m, 2H), δ=4.16 (m, 1H), δ=3.97 (s, 3H), δ=3.43 (s, 1H), δ=2.97 (br, 2H), δ=2.18 (m, 1H), δ=1.97 (m, 1H), δ= 1.78 (s, 3H), δ=1.47 (m, 1H), δ=1.17 (d, 3H)
【実施例】
【0106】
[8-2.薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの合成]
得られたDOXMA-1を無乳化剤沈殿重合系で共重合させることで、薬物を担持しつつHSA認識空間をもつ[HSA]MIP-NGs(DOX1-[HSA]MIP-NGs)の合成を行った。共重合反応系を構築する具体的な成分および組成を下記表2に示す。重合はシュレンクフラスコ中で窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させた。
【実施例】
【0107】
【表2】
JP2016088384A1_000007t.gif
【実施例】
【0108】
[9.薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの精製および平均粒子径測定]
重合により得られたエマルションをSephadex G-100を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行って、薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsを精製した。その後、薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsを、動的光散乱法により粒子径を測定した。DLS測定の結果、Z平均粒子径は37 nm (PDI: 0.49)であった。図14に、DLSにより得られた薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。このことから、薬剤担持型の[HSA]MIP-NGsにおいても、実施例1の薬剤非担持型の[HSA]MIP-NGsと同様にナノサイズMIP粒子を得ることが出来たと考えられる。
【実施例】
【0109】
[10.表面プラズモン共鳴法(SPR)によるDOX1-[HSA]MIP-NGsのHSA結合実験]
実施例1の項目5-1と同様にしてHSA固定化金基板を作成し、得られたHSA固定化金基板を用いて、項目5-2と同様にして薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの吸着挙動を確認した。
【実施例】
【0110】
薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsのHSA固定化金基板に対する吸着挙動について、吸着量(Absorption (RUmm2/g-protein)と粒子濃度(NPs concentration(ng/nL))との関係(n=2)を図15に示す。HSAに対する吸着量は、SPRセンサーチップ上に固定化されたHSA量で規定している。また、図15においては、薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの吸着挙動(HSA vs Dox MIP)とともに、実施例1の薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsの吸着挙動(HSA vs Non-Dox MIP)も併せて示している。
【実施例】
【0111】
図15に示すように、本実施例の薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsは、実施例1の薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsと同様の挙動を示したことを確認した。したがって、薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsは、実施例1の薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsと同様のHSA結合空間を持つことが示唆された。
【実施例】
【0112】
[11.薬剤非担持HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよび薬剤担持HSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの細胞への取り込み観察]
本発明のナノ粒子の細胞内への取り込みを観察し、DDSにおける有用性を確認した。
【実施例】
【0113】
[11-1.繊維芽細胞NIH/3T3への取り込み]
共焦点観察用ガラスディッシュに血清D-MEM培地を用いて繊維芽細胞であるNIH/3T3を細胞数24万 cells/dishとなるように播種し、24時間CO2インキュベーター内で静置した。その後、精製した実施例1の薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsを、その濃度が100 μg/mLとなるように200 μL添加し、さらに24時間CO2インキュベーター内で静置した。なお、サンプルは観察前に血清D-MEM培地による洗浄を行っている。
【実施例】
【0114】
細胞を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。観察条件は以下の通りである。
共焦点レーザー顕微鏡:オリンパス社製IX81
対物レンズ: 100×(oil)
使用フィルター: FITC
【実施例】
【0115】
観察結果を、図16の「Without Dox」に示す。図16中、「FITC」はナノ粒子の蛍光画像であり、「Bright」は明視野像である。
【実施例】
【0116】
図16の「Without Dox」に示すように、細胞内に明確に薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGs由来の蛍光が観察された。つまり、薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsが細胞内に取り込まれていることが明らかになった。
【実施例】
【0117】
同様の実験および観察を、薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsについても行った。その観察結果を、図16の「With Dox」に示す。
図16の「With Dox」に示すように、薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsについても、細胞内に取り込まれていることが明らかになった。
【実施例】
【0118】
[11-2.ヒト乳がん細胞Helaへの取り込み]
ヒト乳がん細胞であるHelaについても上記項目11-1と同様に、薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよび薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsの取り込みを観察した。
【実施例】
【0119】
観察結果を、図17の「Without Dox」([HSA]MIP-NGs)および「With Dox」(DOX-[HSA]MIP-NGs)に示す。図17に示すように、ヒト乳がん細胞であるHelaへも、薬剤非担持型のHSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsおよび薬剤担持型のHSA認識ナノ粒子DOX1-[HSA]MIP-NGsが取り込まれていることが明らかになった。
【実施例】
【0120】
[12.実施例3:別のタンパク質を認識するナノ粒子[MSA]MIP-NGsの合成]
標的タンパク質を、ヒト血清アルブミン(HSA)に替えてマウス血清アルブミン(MSA)としたことを除いて、項目1-1(実施例1)と同様に蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsを合成した。共重合反応系を構築した具体的な成分および組成を下記表3に示す。
【実施例】
【0121】
【表3】
JP2016088384A1_000008t.gif
【実施例】
【0122】
得られた蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsを、Sephadex G-50に替えてSephadex G-100を用いたことを除いて上記項目2と同様に精製し、DLS測定によって粒子径を求めた。
【実施例】
【0123】
図18に、DLSにより得られた蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。このことから、本実施例においても、実施例1の[HSA]MIP-NGsおよび実施例2の薬剤担持型の[HSA]MIP-NGsと同様にナノサイズMIP粒子を得ることが出来たと考えられる。
【実施例】
【0124】
[13.表面プラズモン共鳴法(SPR)による[MSA]MIP-NGsの結合特性]
実施例1の項目5-1と同様にしてHSA固定化金基板を作成し、HSAに替えてMSA(マウス血中アルブミン)を用いたことを除いて同様にしてMSA固定化金基板を作成し、HSAに替えてIgGを用いたことを除いて同様にしてIgG固定化金基板を作成した。
各種タンパク質固定化金基板のそれぞれに対し、項目5-2と同様にして蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsの吸着挙動を確認した。
【実施例】
【0125】
蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsの各固定化金基板に対する吸着挙動について、ナノ粒子の吸着量(NPs Absorption (RU×mm2/pmol-protein)と粒子濃度(NPs concentration(ng/mL))との関係を図19に示す。図19に示すように、蛍光性MSA認識ナノ粒子[MSA]MIP-NGsは、実施例1の蛍光性HSA認識ナノ粒子[HSA]MIP-NGsと同様にIgGおよびFibrinogenに対する結合能が低い。その一方、高濃度領域でMSAに対する結合量がHSAに対する結合量に比べて高い値を示しているため、MSAに対する認識空間が形成されていることが示唆された。したがって、HSA以外のタンパク質についても本発明のナノ粒子が得られることが示された。
【実施例】
【0126】
[14.実施例4:非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの合成]
蛍光性モノマーFAmを使用しなかったことを除いては基本的に実施例2と同様に無乳化剤沈殿重合系で共重合を行い、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsを合成した。共重合反応系を構築する具体的な成分および組成を下記表4に示す。重合はシュレンクフラスコ中で窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させた。
【実施例】
【0127】
【表4】
JP2016088384A1_000009t.gif
【実施例】
【0128】
[15.非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの精製および平均粒子径測定]
重合により得られたエマルションをSephadex G-100を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行って、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsを精製した。その後、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsを、動的光散乱法により粒子径を測定した。DLS測定の結果、Z平均粒子径は17 nm (PDI: 0.46)であった。図20に、DLSにより得られた非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。また、図21に、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsのUV-Visスペクトルを示す。これらの結果から、ドキソルビシン由来の吸収領域が存在し、抗がん剤が粒子内に封入されていることが示唆された。
【実施例】
【0129】
[16.実施例5:非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの合成]
[16-1.ヒドラゾン結合を有するDoxorubicin methacrylate (DOXMA-2)の合成]
【実施例】
【0130】
【化3】
JP2016088384A1_000010t.gif
【実施例】
【0131】
(i) Ethyl Glycinate Methacrylate の合成
Ethyl glycinate hydrochloride (5.0 g, 36 mmol)およびtriethylamine (10 mL, 72 mmol)をDCM(50 mL)に溶解した後、窒素雰囲気・氷冷下においてMethacryloyl chloride (3.78 g, 36 mmol)をDCM (30 mL)に溶解した溶液を滴化した。室温でover nightの反応を行い、その後、食塩水、クエン酸水溶液、および炭酸ナトリウム水溶液で三回ずつ洗浄し、再度食塩水で一回洗浄した。洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 100:00 - 50:50)によって精製を行った。減圧乾燥後、真空乾燥を行って、1H-NMRにて目的物の同定を行った。
【実施例】
【0132】
目的物であるEthyl Glycinate Methacrylateの合成の確認を1H-NMRで確認した。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) :
δ=8.35 (br, 1H), δ=5.71 (s, 1H), 5.39 (s, 1H), δ=4.07 (q, 2H), δ= 3.82 (m, 2H), δ= 1.85 (s, 3H), δ= 1.09 (t, 3H)
【実施例】
【0133】
(ii) Methacryloyl glycine hydrazide の合成
Ethyl glycinate methacrylate(0.5 g, 3.0 mmol)およびhydrazine hydrate (200 mg, 6.0 mmol)を無水メタノール(10 mL)中に混合し、室温でovernight反応させた。その後、溶媒を減圧除去後、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc: MeOH= 100:00 - 50:50)によって精製を行った。減圧乾燥後、真空乾燥を行い、1H-NMRにて目的物の同定を行った。
【実施例】
【0134】
目的物であるMethacryloyl glycine hydrazideの合成の確認を1H-NMRで確認した。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):
δ=9.00 (br, 1H), δ=8.10 (br, 1H), δ=5.72 (s, 1H), δ=5.33 (s, 1H), δ=4.16 (b, 2H), δ= 3.65 (m, 2H), δ= 1.87 (s, 3H)
【実施例】
【0135】
(iii) Methacryloyl glycine hydrazone-DOX(DOXMA-2) の合成
Methacryloyl glycine hydrazide(14.5 mg, 0.1 mmol)およびDOX hydrochloride(29 mg, 0.05 mmol)を無水メタノール(10 mL)中に混合し、室温でovernight反応させた。その後、溶媒を減圧除去後、MALDI-TOF-MSによって反応の進行を確認した。
【実施例】
【0136】
目的物であるMethacryloyl glycine hydrazone-DOX(DOXMA-2)の反応進行をMALDI-TOF-MSで確認した。
MALDI-TOF-MS (matrix:CHCA): m/z=724.04 [M+Na].
【実施例】
【0137】
[16-2.非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの合成]
薬剤モノマーとして上述のようにして得られたDOXMA-2を使用し、かつ、蛍光モノマーFAmを加えなかったことを除いては基本的に実施例と同様に無乳化剤沈殿重合系で共重合を行い、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsを合成した。共重合反応系を構築する具体的な成分および組成を下記表5に示す。重合はシュレンクフラスコ中で窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させた。
【実施例】
【0138】
【表5】
JP2016088384A1_000011t.gif
【実施例】
【0139】
[17.非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの精製および平均粒子径測定]
重合により得られたエマルションをSephadex G-100を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行って、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsを精製した。その後、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsを、動的光散乱法により粒子径を測定した。DLS測定の結果、Z平均粒子径は81 nm (PDI: 0.45)であった。図22に、DLSにより得られた非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの粒子径分布を示す。図23に、非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsのUV-Visスペクトルを示す。これらの結果から、ドキソルビシン由来の吸収領域が存在し、抗がん剤が粒子内に封入されていることが示唆された。
【実施例】
【0140】
[18.MTT試験]
[18-1.sample]
96マイクロウェルプレートに無血清D-MEM培地を用いてNIH/3T3細胞を5000 cells/wellとなるように各ウェルに100 μLずつ播種し、24時間 CO2インキュベーター内で静置した。その後、カラムクロマトおよびフィルトレーションを施した実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsおよび実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsを、それぞれ、濃度が0-100μg/mLとなるように10 μLずつ添加し、さらに24時間CO2インキュベーター内で静置した。
【実施例】
【0141】
さらにMTT試薬を5mg/mLとなるようにPBS bufferに溶解させたものを各ウェルに10 μLずつ添加し、2時間の呈色反応を行った。その後、PBS buffer 200 μLを加えて1分間静置し、溶媒除去した後に0.04 M HCl / イソプロピルアルコール200 μLを各ウェルに添加してから振とう器で10分間振動させてホルマザンの溶解を行った。これを用いて吸光度の測定を行った。
【実施例】
【0142】
[18-2.blank-A]
NIH/3T3細胞を加えなかったことを除いて、上記の項目18-1と同様の操作を行って吸光度の測定を行った。
【実施例】
【0143】
[18-3.control]
実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsおよび実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsを加えなかったことを除いて、上記の項目18-1と同様の操作を行って吸光度の測定を行った。
【実施例】
【0144】
[18-4.blank-B]
NIH/3T3細胞と、実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsおよび実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsと、の両方を加えなかったことを除いて、上記の項目18-1と同様の操作を行って吸光度の測定を行った。
【実施例】
【0145】
[18-5.細胞生存率]
吸光度の測定を行った各試料の分類と内訳とを下記表6に示す。
【実施例】
【0146】
【表6】
JP2016088384A1_000012t.gif
【実施例】
【0147】
これらの吸光度から、以下の式に基づいて細胞生存率を算出した。
【実施例】
【0148】
【数2】
JP2016088384A1_000013t.gif
【実施例】
【0149】
実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsの濃度(MIP-NGs concentration(μg/mL))と細胞生存率(Cell viability(%))との関係を図24に示す。実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの濃度(MIP-NGs concentration(μg/mL))と細胞生存率(Cell viability(%))との関係を図25に示す。
【実施例】
【0150】
図24および図25に示されるように、本発明のナノ粒子の濃度上昇に伴い、細胞生存率が減少することが示された。たとえば、実施例4の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX1-[HSA]MIP-NGsが100 μg/mLの濃度の場合に細胞生存率64%、実施例5の非蛍光性薬剤担持HSA認識ナノ粒子NF-DOX2-[HSA]MIP-NGsの濃度の場合に細胞生存率7%と、それぞれ低い細胞生存率を示した。
【実施例】
【0151】
[18-6.まとめ]
以上の結果から、本発明の抗がん剤担持ナノ粒子が細胞に対して毒性を示すことが明らかになった。一方、抗がん剤を担持しないナノ粒子においては、細胞毒性がほとんど観察されなかったことから、抗がん剤を担持させることで、細胞毒性を生じさせることが可能になったと考えられる。したがって、本発明の抗がん剤担持ナノ粒子が、坑がん作用を持つナノキャリアとしての有用であることが示された。
【実施例】
【0152】
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な変形がなされる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
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【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
18
【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
23
【図25】
24