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明細書 :含フッ素モノマーおよびその合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3632069号 (P3632069)
公開番号 特開2001-072624 (P2001-072624A)
登録日 平成17年1月7日(2005.1.7)
発行日 平成17年3月23日(2005.3.23)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
発明の名称または考案の名称 含フッ素モノマーおよびその合成方法
国際特許分類 C07C 22/02      
C07C 17/281     
C07C 21/22      
C07F  7/08      
FI C07C 22/02
C07C 17/281
C07C 21/22
C07F 7/08 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 20
出願番号 特願平11-250346 (P1999-250346)
出願日 平成11年9月3日(1999.9.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 1999年9月16日~9月17日 開催の「46th Symposium on Organometallic Chemistry,Japan」において文書をもって発表
審査請求日 平成11年9月3日(1999.9.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】山本 嘉則
【氏名】斎藤 慎一
審査官 【審査官】穴吹 智子
参考文献・文献 特開昭60-237033(JP,A)
米国特許第05225339(US,A)
Journal of Fluorine Chemistry,1993,Vol.63,Nos.1-2,P1-3
Journal of the American Chemical Society,1974,Vol.96,No.17,P5666-5668
調査した分野 C07C 22/02
C07C 17/281
C07C 21/22
C07C 45/68
C07C 49/227
C07F 7/08
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(EFM)で表される含フッ素モノマー。
【化1】
JP0003632069B2_000020t.gif
(上記一般式(EFM)中、RF は、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基またはアラルキル基である。)
【請求項2】
下記一般式(I-2)で表される含フッ素モノマー。
【化2】
JP0003632069B2_000021t.gif
(上記一般式(I-2)中、RF は、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基(ただし、CF3を除く)、または少なくとも2つのフッ素原子を含有するアラルキル基であり、P0 トリメチルシリル基である。)
【請求項3】
下記一般式(I-3)で表される含フッ素モノマー。
【化3】
JP0003632069B2_000022t.gif
(上記一般式(I-3)中、RF は、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基またはアラルキル基である。)
【請求項4】
下記一般式(S-1)で表される化合物をフルオロアルキル化して、下記一般式(I-11)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-11)で表される化合物のカルボニル炭素のエチレン化を行って、下記一般式(I-12)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-12)で表される化合物を脱保護して、下記一般式(I-13)で表される化合物を得る工程、および
下記一般式(I-13)で表される化合物を二量体化して下記一般式(EFM1)で表される化合物を得る工程
を具備する含フッ素モノマーの合成方法。
【化4】
JP0003632069B2_000023t.gif
(上記一般式中、L1 は脱離基、P1 トリメチルシリル基、R1 は少なくとも2つのフッ素原子を有するフルオロアルキル基である。)
【請求項5】
下記一般式(S-2)で表される化合物の脱離基をトリメチルシリルアセチレンで置換して、下記一般式(I-21)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-21)で表される化合物のカルボニル炭素のエチレン化を行って、下記一般式(I-22)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-22)で表される化合物を脱保護して、下記一般式(I-23)で表される化合物を得る工程、および
下記一般式(I-23)で表される化合物を二量体化して下記一般式(EFM2)で表される化合物を得る工程
を具備する含フッ素モノマーの合成方法。
【化5】
JP0003632069B2_000024t.gif
(上記一般式中、L2 は脱離基、P2 はトリメチルシリル基、R2 は少なくとも2つのフッ素原子を含むアラルキル基である。)
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素モノマーに係り、特に高機能性フッ素系ポリマーの素材となる含フッ素モノマーおよびその合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
含フッ素ポリマーは、耐薬品性、耐熱性、揮発性といった他のポリマーにはない優れた物性を有しており、日常的に広く用いられている素材の一つである。従来、含フッ素ポリマーは、比較的単純な構造を有する含フッ素モノマーから合成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の含フッ素モノマーを用いたポリマー合成では、より高機能性の素材を開発することは困難であるものの、こうした高機能性の含フッ素ポリマーを容易に合成し得る含フッ素モノマーは、未だ得られていないのが現状である。
【0004】
そこで本発明は、高機能性の含フッ素ポリマーを合成し得る含フッ素モノマーを提供することを目的とする。
【0005】
また本発明は、高機能性の含フッ素ポリマーを合成し得る含フッ素モノマーの合成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、下記一般式(EFM)で表される含フッ素モノマーを提供する。
【0007】
【化7】
JP0003632069B2_000002t.gif【0008】
(上記一般式(EFM)中、Rは、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基またはアラルキル基である。)
【0010】
また本発明は、下記一般式(I-2)で表される含フッ素モノマーを提供する。
【0011】
【化9】
JP0003632069B2_000003t.gif【0012】
(上記一般式(I-2)中、RF は、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基(ただし、CF3を除く)、または少なくとも2つのフッ素原子を含有するアラルキル基であり、P0 トリメチルシリル基である。)
【0013】
【化10】
JP0003632069B2_000004t.gif【0014】
(上記一般式(I-3)中、Rは、少なくとも2つのフッ素原子を含有するアルキル基またはアラルキル基である。)
また本発明は、下記一般式(S-1)で表される化合物をフルオロアルキル化して、下記一般式(I-11)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-11)で表される化合物のカルボニル炭素のエチレン化を行って、下記一般式(I-12)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-12)で表される化合物を脱保護して、下記一般式(I-13)で表される化合物を得る工程、および
下記一般式(I-13)で表される化合物を二量体化して下記一般式(EFM1)で表される化合物を得る工程
を具備する含フッ素モノマーの合成方法を提供する。
【0015】
【化11】
JP0003632069B2_000005t.gif【0016】
(上記一般式中、L1 は脱離基、P1 トリメチルシリル基、R1 は少なくとも2つのフッ素原子を有するフルオロアルキル基である。)
またさらに本発明は、下記一般式(S-2)で表される化合物の脱離基をトリメチルシリルアセチレンで置換して、下記一般式(I-21)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-21)で表される化合物のカルボニル炭素のエチレン化を行って、下記一般式(I-22)で表される化合物を得る工程、
下記一般式(I-22)で表される化合物を脱保護して、下記一般式(I-23)で表される化合物を得る工程、および
下記一般式(I-23)で表される化合物を二量体化して下記一般式(EFM2)で表される化合物を得る工程
を具備する含フッ素モノマーの合成方法を提供する。
【0017】
【化12】
JP0003632069B2_000006t.gif【0018】
(上記一般式中、Lは脱離基、Pトリメチルシリル基、Rは少なくとも2つのフッ素原子を含むアラルキル基である。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の含フッ素モノマーの一つは、前記一般式(EFM)で表される化合物であり、この一般式(EFM)中にRとして導入されるのは、少なくとも2つのフッ素原子を含むアルキル基またはアラルキル基である。R中に含まれるフッ素原子の数が2未満の場合には、含フッ素モノマーの合成が困難である。したがって本発明においては、R中のフッ素原子の数を少なくとも2つに限定した。
【0020】
として前記一般式(EFM)に導入され得るアルキル基としては、炭素数1~8の直鎖または分岐状のいずれでもよく、フッ素原子以外の原子、例えば酸素原子等が含まれていても構わない。なお、耐熱性、安定性という点でパーフルオロアルキル基が好ましく、例えば(CFFが挙げられる。
【0021】
一方、Rとして導入され得るアラルキル基としては、少なくとも2つのフッ素原子を含むものであれば特に限定されず、アルキル基およびアリール基のいずれにフッ素原子が導入されていてもよい。この場合、アルキル基としては、炭素数4~12の直鎖または分岐状のものが挙げられ、酸素原子等のフッ素原子以外の原子が導入されていてもよい。また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フリル基等が挙げられ、こうしたアリール基は、ニトロ基、メトキシ基等で置換されていてもよい。なお、合成が簡便という点では、CFPhがアラルキル基として好ましい。
【0022】
上述した一般式(EFM)で表される化合物は、本発明の方法により合成される最終生成物である。こうした最終生成物のみならず、その合成の途中で得られる中間体化合物、すなわち、前記一般式(I-1)、(I-2)、(I-3)で表される化合物もまた、本発明の含フッ素モノマーに含まれる。
【0023】
本発明の含フッ素モノマーは、本発明の第1の方法または第2の方法により合成することができる。
【0024】
本発明の第1の合成方法においては、前記一般式(S-1)で表される化合物(ケトン)が出発物質として用いられる。この化合物中に導入される脱離基Lとしては、エトキシ基、メトキシ基等が挙げられ、保護基Pとしては、トリメチルシリル基等を挙げることができる。こうした脱離基や保護基は、反応性、入手の可能性等に応じて適宜選択することができる。
【0025】
まず、こうした出発物質をフルオロアルキル化して、一般式(I-11)で表される化合物を得る。導入されるフルオロアルキル基Rは、前述のRに関して説明したものと同様の、少なくとも2つのフッ素原子を有するものである。フルオロアルキル基Rの炭素数や構造は、所望される最終生成物の特性等に応じて、適宜決定することができる。
【0026】
次いで、この化合物のカルボニル酸素のメチレン置換を行って一般式(I-12)で表される化合物を得、これを脱保護して一般式(I-13)で表される化合物を得る。
【0027】
最後に、一般式(I-13)で表される化合物を二量体化して、一般式(EFM-1)で表される化合物が得られる。一般式(I-13)で表される化合物は、反応性が低く、用途が限られるので、本発明の方法により二量体化することによって、一般式(EFM-1)で表される構造の含フッ素モノマーを得ることが初めて可能となった。
【0028】
また、本発明の第2の合成方法においては、前記一般式(S-2)で表される化合物が出発物質として用いられる。脱離基Lとしては、前述の脱離基Lと同様に、エトキシ基、メトキシ基等が挙げられ、反応性、入手の可能性等に応じて適宜選択することができる。少なくとも2つのフッ素原子を含むアラルキル基Rとしては、前述のRに関して説明したのと同様のものが挙げられ、所望される最終生成物の特性等に応じて、その炭素数や構造を適宜決定することができる。
【0029】
まず、こうした出発物質にアセチレン誘導体を導入して、一般式(I-21)で表される化合物を得る。アセチレン誘導体としては、特に限定されず、例えばトリメチルシリル基等の保護基Pを含む任意のアセチレン誘導体を用いることができる。
【0030】
次いで、この化合物のカルボニル酸素のメチレン置換を行って一般式(I-22)で表される化合物を得、これを脱保護して一般式(I-23)で表される化合物を得る。
【0031】
最後に、一般式(I-23)で表される化合物を二量体化して、一般式(EFM-2)で表される化合物が得られる。前述の一般式(I-13)で表される化合物と同様に、一般式(I-23)で表される化合物もまた、反応性が低く、用途が限られるので、本発明の方法により二量体化することによって、一般式(EFM-2)で表される構造の含フッ素モノマーを得ることが初めて可能となった。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化合物の合成例の具体例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
本実施例においては、以下のスキームで表される本発明の第1の方法にしたがって本発明の含フッ素モノマーを合成した。
【0034】
【化13】
JP0003632069B2_000007t.gif【0035】
なお、前記スキーム中、Phはフェニル、TMSはトリメチルシリル、THFはテトラヒドロフラン、codはシクロオクタジエンを表す。
【0036】
(1)一般式(I-11)で表される化合物の合成
下記化学式で表される化合物(ケトン1と称する)を出発物質として用い、(Bull.Chem.Soc.Jpn.1989,62,2636-2642)に記載されている方法に準じて、一般式(I-11)で表される化合物を合成した。
【0037】
【化14】
JP0003632069B2_000008t.gif【0038】
具体的には、まず、エチルトリメチルシリルプロピオレート(35.5g、208mmol)およびパーフルオロヘキシルアイオダイド(55mL、245mmol)のエーテル溶液(700mL)に対して、-50℃、アルゴン雰囲気下にて1.5Mメチルリチウム-リチウムブロマイド錯体エーテル溶液(150mL、225mmol)をゆっくりと滴下した。次いで、-50℃で1.5時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温まで昇温した。反応液をエーテルにて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。最後に、残渣を蒸留することにより、79%の収率で淡黄色液体を得た。
【0039】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0040】
沸点:55~58℃(3.5mmHg)
H NMR:δ 0.31(s,9H)
13C NMR:δ -1.0,97.0,104-124(m),111.4,168.6(t,JC-F =31Hz)
IR(neat):2969,2158,1711,1365,1318,1240,1147,1096,1041,1020,851cm-1
12OF13Siについての元素分析値
計算値 C,32.44;H,2.04
実測値 C,32.59;H,2.04
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるケトン、すなわち、1-トリメチルシリル-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-1-ノニン-3-オンと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にケトン2と称する。
【0041】
【化15】
JP0003632069B2_000009t.gif【0042】
(2)一般式(I-12)で表される化合物の合成
PhPMeBr(17.4g、48.7mmol)の無水THF溶液(160ml)を調製し、この溶液に nBuLiのヘキサン溶液(1.6M、30.2mL、48.7mmol)をアルゴン雰囲気下、室温にて加え、3.5時間攪拌して混合液を得た。
【0043】
一方、前述の合成例で得られたケトン2(18.0g、40.6mmol)の無水THF溶液(25mL)を調製し、-30℃にて前述の混合液に加えた。その結果、溶液の色は黄色から濃い茶色へ変化した。混合物を室温にて4時間攪拌した後、水を加え、ペンタンにて抽出した。
【0044】
その後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製したところ、(7.64g、51%)の収率で無色の液体が得られた。
【0045】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0046】
沸点:82℃(18mmHg)
H NMR:δ 0.21(s,9H),6.07(s,2H)
13C NMR:δ -0.3,96.9(t,JC-F =3.6Hz),100.6,104-120(m),122.2(t,JC-F =26Hz),130.7(t,JC-F =7.0Hz)
IR(neat):2965,2162,1241,1206,1147,846cm-1
131113Siについての元素分析値
計算値 C,35.30;H,2.51
実測値 C,35.02;H,2.42
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるエンイン、すなわち1-トリメチルシリル-3-メチレン-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9 -トリデカフルオロ-1-ノニンと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にエンイン1と称する。
【0047】
【化16】
JP0003632069B2_000010t.gif【0048】
(3)一般式(I-13)で表される化合物の合成
前述の合成例で得られたエンイン1(2.90g、11.6mmol)のメタノール溶液(10mL)を、フッ化カリウムKF(5.15g、88.6mmol)と水酸化カリウム(0.176g、3.14mmol)とのメタノール懸濁液(50mL)に-30℃にてゆっくり加えた。
【0049】
その後、冷媒浴を取り除いて30分間攪拌し、最終的に0℃まで昇温した。混合物に水を加えた後、ペンタン(200mL)にて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去した後、残渣を蒸留にて精製したところ、(2.61g、61%)の収率で無色の液体が得られた。
【0050】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0051】
沸点:42℃(15mmHg)
H NMR:δ 3.13(s,1H),6.17(s,2H)
13C NMR:δ 76.3(t,JC-F =4.0Hz),82.1,106-124(m),121.3(t,JC-F =27Hz),132.3(t,JC-F =6.9Hz)
IR(neat):3316,2118,1618,1395,1365,1240,1148,1063,1049,949,807cm-1
1013についての元素分析値
計算値 C,32.45;H,0.82
実測値 C,32.60;H,1.10
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるエンイン、すなわち、3-メチレン-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-1-ノニンと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にエンイン2と称する。
【0052】
【化17】
JP0003632069B2_000011t.gif【0053】
(4)一般式(EFM-1)で表される化合物の合成
Ni(cod)2 (27.5mg、0.1mmol)とPPh3 (105mg、0.4mmol)とをアルゴン雰囲気下、室温にて無水トルエン(0.5mL)に加えた。次いで、前述の合成例で得られたエンイン2(370mg、1mmol)の無水トルエン溶液(0.5mL)を加えて20分間攪拌した。
【0054】
混合物を短いアルミナのカラム(ヘキサン)に通した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製した結果、(318mg、86%)の収率で無色の液体が得られた。
【0055】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0056】
H NMR:δ 2.54(s,2H),7.13(s,1H)
13C NMR:δ 21.9,106.8(t,JC-F =25Hz),104-123(m),142.7(t,JC-F =7.5Hz),145.6
IR(neat):2956,2920,2859,1734,1709,1452,1439,1364,1313,1296,1240,1206,1146,1121,1088,794,744,735,720,702,665cm-1
2026についての高分解能マススペクトル(HRMS.)
計算値 740.0054
実測値 740.0060
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表される化合物、すなわち2,5-ビス(1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-トリデカフルオロヘキシル)ビシクロ[5.2.0]ノナ-1,5,7-トリエンと同定した。
【0057】
【化18】
JP0003632069B2_000012t.gif【0058】
(実施例2)
本実施例においては、以下のスキームで表される本発明の第2の方法にしたがって本発明の含フッ素モノマーを合成した。
【0059】
【化19】
JP0003632069B2_000013t.gif【0060】
なお、前記スキーム中、Phはフェニル、TMSはトリメチルシリル、THFはテトラヒドロフラン、codはシクロオクタジエンを表す。
【0061】
(1)一般式(I-21)で表される化合物の合成
トリメチルシリルアセチレン(9.5mL、67mmol)の無水エーテル溶液(60mL)に対して、 nBuLiのヘキサン溶液(1.6M、72mmol)を0℃にて加え、30分間攪拌して混合液を得た。
【0062】
一方、下記化学式で表される化合物(ケトン3と称する)を出発物質として用いて、この化合物(14.5g、72mmol)の無水エーテル溶液(100mL)を調製した。
【0063】
【化20】
JP0003632069B2_000014t.gif【0064】
出発物質の無水エーテル溶液を前述の混合液に-78℃にて加えて、-78℃で1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニム水溶液を加えた。次いで、混合物をエーテル抽出した(500mL)。
【0065】
有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去した後、残渣を蒸留にて精製したところ、(12.8g、77%)の収率で黄色液体が得られた。
【0066】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0067】
沸点:85℃(5mmHg、クーゲルロール)
H NMR:δ 0.26(s,9H),7.43-7.55(m,3H),7.55-7.61(m,2H)
13C NMR:δ -0.8,97.7,108.1,115.1(t,JC-F =254Hz),126.1(t,JC-F =6.3Hz),128.8,131.3,131.4(t,JC-F =26Hz),175.8(t,JC-F =37Hz)
IR(neat):2969,2158,1711,1365,1318,1240,1147,1096,1041,1020,851cm-1
1314OFSiについてのHRMS
計算値:252.0782
実測値:252.0771
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるケトン、すなわち1-トリメチルシリル-4,4-ジフルオロ-4-フェニル-1-ブチン-3-オンと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にケトン4と称する。
【0068】
【化21】
JP0003632069B2_000015t.gif【0069】
(2)一般式(I-22)で表される化合物の合成
PhMeBr(7.86g、22mmol)を無水THF(100mL)に加え、この溶液に nBuLiのヘキサン溶液(1.6M、22mmol)を0℃にて加えて3時間攪拌した。
【0070】
一方、前述の合成例で得られたケトン4(5.04g、20mmol)の無水THF溶液(30mL)を調製し、-30℃にて前述の混合液に加えた。混合物を4時間室温にて攪拌した後、水を加えて、ヘキサン(500mL)にて抽出した。
【0071】
その後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製したところ、(2.90g、58%)の収率でオレンジ色の液体が得られた。
【0072】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0073】
沸点:90-110℃(5.5mmHg、クーゲルロール)
H NMR:δ 0.15(s,9H),5.77(s,2H),5.91(s,2H),7.4-7.5(m,3H),7.5-7.6(m,2H)
13C NMR:δ -0.1,99.1,99.6(t,JC-F =6.9Hz),118.2(t,JC-F =245Hz),124.9(t,JC-F=6.3Hz),125.8(t,JC-F =5.7Hz),128.2,129.5(t,JC-F =31Hz),130.1
IR(neat):3069,3039,2961,2900,2155,1617,1497,1452,1263,1252,1116,1094,1059,997,951,846,768,696cm-1
1416SiについてのHRMS
計算値:250.0989
実測値:250.0987
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるエンイン、すなわち1-トリメチルシリル-3-メチレン-4,4-ジフルオロ-4-フェニル-1-ブチンと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にエンイン3と称する。
【0074】
【化22】
JP0003632069B2_000016t.gif【0075】
(3)一般式(I-23)で表される化合物の合成
フッ化カリウム(2.98g、51.2mmol)と水酸化カリウム(0.102g、1.82mmol)とをメタノール(21mL)に懸濁させた後に、前述の合成例で得られたエンイン3(2.90g、11.6mmol)を室温にてゆっくりと加えて、1.5時間攪拌した。
【0076】
混合物に水を加えた後に、ペンタン(200mL)にて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製したところ、(1.71g、83%)の収率で無色の液体が得られた。
【0077】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0078】
沸点:68.5℃(5mmHg)
H NMR:δ 2.99(s,1H),5.88(s,2H),5.98(t,JC-F = 1.7Hz,1H),7.41-7.47(m,3H),7.53-7.57(m,2H)
13C NMR:δ 78.6(t,JC-F =3.4Hz),81.1,118.3(t,JC-F =244Hz),125.8(t,JC-F=5.7Hz),126.5(t,JC-F =6.3Hz),128.4,130.3,135.2(t,JC-F =28Hz)
IR(neat):3300,3039,2927,2109,1618,1607,1452,1392,1318,1262,1116,1093,1059,996,940,769,706cm-1
11についてのHRMS
計算値:178.0594
実測値:178.0586
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表されるエンイン、すなわち2-(α,α-ジフルオロベンジル)-1-ブテン-3-インと同定した。以下の合成例においては、この化合物を単にエンイン4と称する。
【0079】
【化23】
JP0003632069B2_000017t.gif【0080】
(4)一般式(EFM-2)で表される化合物の合成
Ni(cod)(27.5g、0.1mmol)とPPh(105mg、0.4mmol)とをアルゴン雰囲気下、室温にて無水トルエン(0.5mL)に加えた。次いで、前述の合成例で得られたエンイン4(178mg、1mmol)の無水トルエン溶液(0.5mL)を加えて20分間攪拌した。
【0081】
混合物を短いアルミナのカラム(ヘキサン)に通した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=20:1)にて精製したところ、(98mg、55%)の収率で無色の針状結晶が得られた。
【0082】
得られた化合物の特性を以下にまとめる。
【0083】
融点:93-95℃(再結晶、ヘキサン-エーテル)
H NMR:δ 2.49(s,4H),6.10(s,2H),7.40-7.45(m,6H),7.47-7.57(m,4H)
13C NMR:δ 21.6,113.9(t,JC-F =38Hz),120.1(t,JC-F =238Hz),125.8(t,JC-F=5.7Hz),128.4,130.0,136.4(t,JC-F =27Hz),139.0(t,JC-F =7.4Hz),143.5
IR(KBr):3037,2926,1680,1659,1607,1495,1452,1320,1302,1212,1083,1056,1048,1014,974,956,892,789,763,699cm-1
2216についての元素分析値
計算値:C,74.15;H,4.53
実測値:C,74.20;H,4.40
以上の分析結果から、本合成例で得られた化合物は、下記化学式で表される化合物、すなわち、2,5-ビス(α,α-ジフルオロフェニルメチル)ビシクロ[5.2.0]ノナ-1,5,7-トリエンと同定した。
【0084】
【化24】
JP0003632069B2_000018t.gif【0085】
上述した実施例1および実施例2で得られた本発明の含フッ素モノマーは、例えば、熱、ラジカル、光等により重合させて、下記化学式で表されるような含フッ素ポリマーを容易に得ることができる。
【0086】
【化25】
JP0003632069B2_000019t.gif【0087】
かかる含フッ素ポリマーは、耐候性、耐熱性等の点で優れた特性を有しており、高機能性素材として好適に用いることができる。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高機能性の含フッ素ポリマーを合成し得る含フッ素モノマーが提供される。また本発明によれば、高機能性の含フッ素ポリマーを合成し得る含フッ素モノマーの合成方法が提供される。
【0089】
本発明の含フッ素モノマーは、次世代の高機能フッ素含有ポリマーの原料として好適に用いることができ、その工業的価値は絶大である。