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明細書 :時分割波長多重パルス光発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3865982号 (P3865982)
公開番号 特開2001-156368 (P2001-156368A)
登録日 平成18年10月13日(2006.10.13)
発行日 平成19年1月10日(2007.1.10)
公開日 平成13年6月8日(2001.6.8)
発明の名称または考案の名称 時分割波長多重パルス光発生装置
国際特許分類 H01S   3/10        (2006.01)
G01N  21/01        (2006.01)
H01S   3/06        (2006.01)
H04B  10/00        (2006.01)
H04B  10/22        (2006.01)
FI H01S 3/10 A
G01N 21/01 D
H01S 3/06 B
H04B 9/00 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願平11-333897 (P1999-333897)
出願日 平成11年11月25日(1999.11.25)
審査請求日 平成15年3月27日(2003.3.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】後藤 俊夫
【氏名】西澤 典彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】河原 正
参考文献・文献 特開平11-244243(JP,A)
特開昭61-281940(JP,A)
特開昭58-124932(JP,A)
IEEE Photonics Technology Letters,1999年, Vol.11 No.4,p.421-423
第60回応用物理学会学術講演講演予講集,1999年,3p-K-15 p.921
1999年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,1999年,378 p.189
Jpn. J. Appl. Phys.,1999年, Vol.38 Part1 No.8,p.4768-4771
IEEE Photonics Technology Letters,1999年, Vol.11 No.3,p.325-327
調査した分野 H01S 3/10
G01N 21/01
H01S 3/06
H04B 10/00
H04B 10/22
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)フェムト秒ファイバレーザと、
(b)該フェムト秒ファイバレーザから出力されるパルス光の繰り返し信号を受ける分周器と、
(c)該分周器からの信号で駆動され、任意の繰り返し波形を生成する発振器と、
(d)該発振器の出力によって駆動され、超広帯域に、かつ超高速に波長をシフト可能にするために、透過光の強度を時間に対し周期的に変化させる光強度変調器と、
(e)該光強度変調器から入射される入射パルス光の強度に対し、非線形効果を用いて、ほぼ線形に波長のシフトしたソリトンパルスが生成される単一の光ファイバとを具備し、
(f)時間に対し周期的に波長の変化する超短パルス光を出力することを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、前記光ファイバが定偏波ファイバであることを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
【請求項3】
請求項2記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、入射光の偏光方向を定偏波ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成することを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
【請求項4】
(a)フェムト秒ファイバレーザと、
(b)該フェムト秒ファイバレーザから出力されるパルス光の繰り返し信号を受ける分周器と、
(c)該分周器からの信号で駆動され、任意の繰り返し波形を生成する発振器と、
(d)該発振器の出力によって駆動され、超広帯域に、かつ超高速に波長をシフト可能にするために、透過光の強度を時間に対し周期的に変化させる光強度変調器と、
(e)該光強度変調器から入射される入射パルス光の強度に対し、非線形効果を用いて、ほぼ線形に波長のシフトしたソリトンパルスが生成される光ファイバとを備え、
(f)時間に対し周期的に波長の変化する超短パルス光を出力するとともに、可搬型に組み立てることを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
【請求項5】
請求項4記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、前記光ファイバが定偏波ファイバであることを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
【請求項6】
請求項5記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、入射光の偏光方向を定偏波ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成することを特徴とする時分割波長多重パルス光発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一の超短パルス光源と光強度変調器、光ファイバを用いて光の波長が時間に対し周期的に変化する超短パルスを生成する時分割波長多重パルス光発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、これまで超短パルス光は色素レーザーや固体レーザーを用いて生成されてきたが、光学系が大がかり、且つ、複雑で、波長の可変範囲も数十nmと狭いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また、これまでの波長可変光源は、機械的にミラー等の光学部品を回転させて波長を変化させていたため、高速に波長を変化させることができず、装置が大掛かりであった。
【0004】
また、波長可変光源等により波長可変した光を周期的に出力することはできるが、ほぼ同時間に波長の異なるソリトンパルスを周期的に出力することはできなかった。
【0005】
本発明では、上記問題点を除去し、短パルス光源と光強度変調器及び光ファイバに、短パルス光源の出力に同期する発振器を加え、その発振器の出力により光強度変調器を駆動させることにより、任意の時分割周期で波長の異なる多重の超短パルス光を高速に広帯域に渡って変化させることができる時分割波長多重パルス光発生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕時分割波長多重パルス光発生装置において、フェムト秒ファイバレーザと、このフェムト秒ファイバレーザから出力されるパルス光の繰り返し信号を受ける分周器と、この分周器からの信号で駆動され、任意の繰り返し波形を生成する発振器と、この発振器の出力によって駆動され、超広帯域に、かつ超高速に波長をシフト可能にするために、透過光の強度を時間に対し周期的に変化させる光強度変調器と、この光強度変調器から入射される入射パルス光の強度に対し、非線形効果を用いて、ほぼ線形に波長のシフトしたソリトンパルスが生成される単一の光ファイバとを具備し、時間に対し周期的に波長の変化する超短パルス光を出力することを特徴とする。
【0007】
〔2〕上記〔1〕記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、前記光ファイバが定偏波ファイバであることを特徴とする。
【0008】
〔3〕 請求項2記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、入射光の偏光方向を定偏波ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成することを特徴とする。
【0009】
〔4〕時分割波長多重パルス光発生装置において、フェムト秒ファイバレーザと、このフェムト秒ファイバレーザから出力されるパルス光の繰り返し信号を受ける分周器と、この分周器からの信号で駆動され、任意の繰り返し波形を生成する発振器と、この発振器の出力によって駆動され、超広帯域に、かつ超高速に波長をシフト可能にするために、透過光の強度を時間に対し周期的に変化させる光強度変調器と、この光強度変調器から入射される入射パルス光の強度に対し、非線形効果を用いて、ほぼ線形に波長のシフトしたソリトンパルスが生成される光ファイバとを備え、時間に対し周期的に波長の変化する超短パルス光を出力するとともに、可搬型に組み立てることを特徴とする。
【0010】
〔5〕上記〔4〕記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、前記光ファイバが定偏波ファイバであることを特徴とする。
【0011】
〔6〕上記〔5〕記載の時分割波長多重パルス光発生装置において、入射光の偏光方向を定偏波ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成することを特徴とする。
【0012】
上記のように構成したので、
(A)単一のファイバから高速に波長の変化する超短パルス光を出力することができる。
(B)パルス光の波長を広帯域に、時間に対し周期的に可変することができる。
(C)コンパクトなシステムで、理想的なソリトンパルスを広帯域に渡って出力することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施例を示す時分割波長多重光源の構成図である。
【0015】
この図に示すように、fs(フェムト秒)ファイバレーザー1から出力される短パルス光を、光特性調整器である光強度変調器2に通す。また、fsファイバレーザー1から出力されるパルス光の繰り返し信号3を分周器4に通し、この分周器4からの信号で発振器5を駆動し、任意の繰り返し波形を生成する。この発振器5の出力で光強度変調器2を駆動し、透過光の強度を時間に対し周期的に変化させる。8は波長フィルタである。
【0016】
一方、光ファイバ7においては、パルス光の強度に対し、ほぼ線形に波長のシフトしたソリトンパルスが生成される。
【0017】
図2はその光ファイバの出力を表しており、横軸は時間を、縦軸は光波長及び光強度を表している。
【0018】
この図から明らかなように、周期的に波長が変化した綺麗なソリトンパルス(波長1~波長4)が等間隔に繰り返し出力されている。
【0019】
従って、光ファイバ7の出力において、周期的に波長の変化するソリトンを得ることができる。その際、光ファイバ7の出力には、ソリトンパルスに変換されなかった励起パルスも出力されるが、波長フィルタ8を用いてそれらの成分を取り除き、ソリトンパルスのみを生成することができる。
【0020】
次に、図3は本発明の実施例を示す発振器出力の時間変化とそれに伴うソリトンパルスの波長の時間変化を示す図であり、図3(a)は発振器出力が鋸歯状波としたとき、図3(b)は階段状に変化する信号としたときを示している。
【0021】
発振器5の出力によって、光強度変調器2を駆動するため、ソリトンパルスの波長も発振器5の出力に応じて変化する。そのため、発振器5から鋸歯状波を出力すれば、図3(a)に示すように、鋸歯状波に波長が変化するソリトンパルスを、また、階段状に変化する信号を利用すれば、図3(b)に示すように、階段状に波長が変化するソリトンパルスを出力することができる。
【0022】
この第1実施例では、短パルス光源(fsファイバレーザー)1と、この短パルス光源1の出力の繰り返し周波数に同期する発振器5と、この発振器5の出力によって駆動され、この短パルス光源1からの出力を変調する光強度変調器2と、この光強度変調器2から入射パルスが入射されるとともに、出力パルスの波長を変化させる光ファイバ7とを具備し、時間に対し周期的に波長の変化するパルス光を出力する。
【0023】
なお、例えば、上記光ファイバ7としては、定偏波光ファイバを用いる。
【0024】
この場合、入射光の偏光方向をこの定偏波光ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成するようにする。
【0025】
更に、短パルス光源(fsファイバレーザー)1と、この短パルス光源1の出力の繰り返し周波数に同期する発振器5と、この発振器5の出力によって駆動され、この短パルス光源1からの出力を変調する光強度変調器2と、この光強度変調器2から入射パルスが入射されるとともに、出力パルスの波長を変化させる光ファイバ7とを備え、時間に対し周期的に波長の変化するパルス光を出力するとともに、可搬型に組み立てるようにした。
【0026】
更に、前記光ファイバは定偏波光ファイバである。
【0027】
また、入射光の偏光方向を定偏波ファイバの複屈折軸から傾け、同時に異なる2波長のパルスを生成する。
【0028】
図4は本発明の実施例を示す時分割波長多重パルス光源の出力を光スペクトル観測器を用いて測定した光スペクトルを示す図である。横軸は波長、縦軸はスペクトルの強度を表している。
【0029】
出力には波長が周期的に高速に変化するパルス光が出力されるため、スペクトル観測器では同時に多波長のスペクトルが観測される。スペクトル波長は綺麗なsech2型になっている。図では、光ファイバ長が220mの時に、1.56μm、1.625μm、1.675μm、1.725μmの4波長において、時分割波長多重パルス光が生成されている。これまで最大1.56~2.03μmまでの波長シフトが観測されている。
【0030】
図5は本発明の実施例を示すソリトンパルスの自己相関波形を示す図である。
【0031】
この図において、生成されるソリトンパルスの時間波形は、台座のない、理想的なsech2型になっている。時間波形は安定に観測される。光ファイバ長が220mの時に、自己相関波形の時間幅は430fsであった。このとき、時間波形の幅は280fsと見積もられる。
【0032】
図6は本発明の第2実施例を示す2波長時分割多重多波長パルス光生成システムの構成図である。
【0033】
この実施例において、光ファイバとして定偏波光ファイバ11を用いる。定偏波光ファイバ11の複屈折軸に対して、偏光方向を傾けてパルス光を入射すると、二つの偏光成分がそれぞれ同時にソリトンパルスを生成するため、出力において2波長のソリトンパルスを得ることができる。この手法と前述の光強度変調器を発振器を用いて変調する手法を組み合わせることによって、時分割波長多重パルス光の波長を更に2倍に増加することができる。なお、ここで、12は波長フィルタ、13は偏波光分岐器である。この偏波光分岐器13において、二つの偏向成分を分離することができる。
【0034】
上記のように、本発明によれば、
(1)単一のシステムで多波長の超短パルス光を用いた計測を時分割で同時に行うことができる。
(2)コンパクトなシステムで、超短パルス光を用いた多波長計測を広帯域に行うことができる。
(3)理想的なソリトンパルスを生成することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0037】
(A)時分割波長多重パルス光発生装置(光源)では、光の波長が光の強度に依存して変化するため、光の強度を変調することによって、超短パルス光の波長を高速に広帯域に渡って変化させることができる。
【0038】
また、生成されるパルス光は理想的なソリトンパルスになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す時分割波長多重光源の構成図である。
【図2】 本発明の実施例を示す時分割波長多重光源のソリトンパルスを示す図である。
【図3】 本発明の実施例を示す発振器出力の時間変化とそれに伴うソリトンパルスの波長の時間変化を示す図である。
【図4】 本発明の実施例を示す時分割波長多重パルス光源の出力を、光スペクトル観測器を用いて測定した光スペクトルを示す図である。
【図5】 本発明の実施例を示すソリトンパルスの自己相関波形を示す図である。
【図6】 本発明の第2実施例を示す2波長時分割多重多波長パルス光生成システムの構成図である。
【図7】 本発明の実施例を示す時分割波長多重パルス光を用いた時分割多波長計測システムを示す図(その1)である。
【図8】 本発明の実施例を示す時分割多波長計測システムの信号処理システムを示す図である。
【図9】 本発明の実施例を示す時分割波長多重パルス光を用いた気体中における原子・分子に対する時分割多波長分光計測の測定結果を示す図である。
【図10】 本発明の実施例を示す時分割波長多重パルス光源を用いた多波長分光計測システムを示す図(その2)である。
【符号の説明】
1 短パルス光源〔fs(フェムト秒)ファイバレーザー〕
2 光強度変調器(光特性調整器)
3 パルス光の繰り返し信号
4 分周器
5 発振器
7 光ファイバ
8,12 波長フィルタ
11 定偏波光ファイバ
13 偏波光分岐器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9