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明細書 :レーザ溶接ヘッド制御システムおよびこれを具えるレーザ溶接ヘッド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3385362号 (P3385362)
公開番号 特開2001-321971 (P2001-321971A)
登録日 平成15年1月10日(2003.1.10)
発行日 平成15年3月10日(2003.3.10)
公開日 平成13年11月20日(2001.11.20)
発明の名称または考案の名称 レーザ溶接ヘッド制御システムおよびこれを具えるレーザ溶接ヘッド
国際特許分類 B23K 26/00      
B23K 26/02      
B23K 26/06      
G01B 11/00      
G01B 11/02      
G01B 11/24      
FI B23K 26/00 M
B23K 26/00
B23K 26/02
B23K 26/06
G01B 11/00
G01B 11/02
G01B 11/24
請求項の数または発明の数 6
全頁数 4
出願番号 特願2000-138283 (P2000-138283)
出願日 平成12年5月11日(2000.5.11)
審査請求日 平成12年5月11日(2000.5.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391016923
【氏名又は名称】北海道大学長
発明者または考案者 【氏名】武笠 幸一
【氏名】池田 正幸
【氏名】末岡 和久
【氏名】上田 映介
【氏名】上遠野 久夫
【氏名】武藤 征一
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】加藤 昌人
参考文献・文献 特開 平4-55078(JP,A)
特開 平7-51869(JP,A)
特開2000-42769(JP,A)
特開 平8-285524(JP,A)
特開 平5-337662(JP,A)
調査した分野 B23K 26/00 - 26/42
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザ溶接ヘッドの姿勢を制御するシステムにおいて、
溶接の進行方向において前記レーザ溶接ヘッドの前後に前記レーザ溶接ヘッドと一体に固定され、溶接部材表面にライン状に測定用レーザ光を所定の角度で投射する少なくとも2個の半導体レーザと、
前記測定用レーザ光の波長のみを透過するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通して前記測定用レーザ光を撮影するCCDカメラと、
前記CCDカメラが撮影した前記測定用レーザ光の画像を画像処理し、前記溶接部材表面の状態を決定する画像処理手段とを具え、
溶接前に決定された前記溶接部材表面の状態に基づいて前記レーザ溶接ヘッドの溶接時の姿勢を制御することを特徴とするレーザ溶接ヘッド制御システム。

【請求項2】
請求項1に記載のレーザ溶接ヘッド制御システムにおいて、前記レーザ溶接ヘッドの姿勢を、溶接しようとする溶接部材のCADデータにも基づいて制御することを特徴とするレーザ溶接ヘッド制御システム。

【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ溶接ヘッド制御システムにおいて、前記撮影された前記測定用レーザ光の状態が、前記2本のラインレーザの間隔、相対位置および絶対位置と、前記ラインレーザの太さおよび形状とを含むことを特徴とするレーザ溶接ヘッド制御システム。

【請求項4】
請求項1、2または3に記載のレーザ溶接ヘッド制御システムにおいて、前記決定された前記溶接面の状態が、前記溶接面の形状、傾き、高さおよび位置と、シームラインとを含むことを特徴とするレーザ溶接ヘッド制御システム。

【請求項5】
請求項2、3または4に記載のレーザ溶接ヘッド制御システムにおいて、前記CCDカメラによって撮影された測定用レーザ光の状態と前記CADデータとから正確な溶接を可能としたことを特徴とするレーザ溶接ヘッド制御システム。

【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のレーザ溶接ヘッド制御システムを具えるレーザ溶接ヘッド。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ溶接ヘッドを制御するシステムに関する。さらに本発明は、このようなレーザ溶接ヘッドを制御するシステムを具えるレーザ溶接ヘッドにも関する。

【0002】

【従来の技術】レーザ溶接は、ステンレスの高精度加工部品を組立てて製造する超高真空機器等に適用するのに適している。このようなレーザ溶接において、最近ではYAG(yttrium-aluminum-garnet:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ溶接が普及してきている。このようなYAGレーザ溶接の利点としては、金属材料に対する吸収率が一般的に高いので、加工効率がよい点と、レーザビームを光ファイバで伝送できるため、三次元溶接装置や産業用ロボットに加工ヘッドを搭載できる点と、レンズやビーム透過窓に石英が利用できるので、破損時にも安全であり、低コストである点などが挙げられる。

【0003】
一方で、高精度な加工を実現するレーザ溶接においては、レーザの集光スポットの位置決め精度に関しても高い精度が要求される。この位置決めに関する裕度としては、溶接可能なギャップ量は板厚の10%または集光スポット径の50%、位置決め精度は集光スポット径の1/3以下である。レーザ溶接に使用されるレーザビームのスポット径は1mm以下である。例えば、集光スポット径をφ0.5mmとすると、約0.2mm以下の位置決め精度が要求されることになり、適切なレーザ溶接を行うためには、溶接線(シームライン)に沿って約0.2mm以下の位置精度で集光したレーザビームを一定の距離を保持した状態でトレースする必要がある。また、溶接面に対して、所定の角度を維持する姿勢制御が必要となる。

【0004】
このために、部品寸法の精度向上、治具による位置決め精度向上、センサによる位置決め精度向上、センサによる溶接位置の補正等が試みられてきた。従来は溶接の焦点位置、溶接のシームトレース、溶接面に対するレーザ溶接ヘッドの姿勢を検出するために、各々個別のセンサを使用していた。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のレーザ溶接装置は、操作が複雑であり、高コストであり、大型であるという欠点があった。

【0006】
また、CCDカメラを使用し、溶接面の画像に基づいたシームトレースについても、多方面で研究され、報告されてきたが、検出可能な条件には制約があり、一般に普及するには至っていない。

【0007】
困難な原因としては、精度の高い突合せ部はその隙間が限りなく0に近くなり、画像の濃淡における検出が難しく、画像処理から検出までの応答時間を短くするためには、白黒の256階調程度での入力画像となり、検出部が金属表面であることから、光の反射や表面の傷に影響を受ける等があげられる。

【0008】
これらの機能をインプロセスで実現するべく取り組みも多方面で検討されているが、レーザ溶接は一般の溶接と比較して溶接速度が非常に速いため、画像処理速度との兼ね合いで、実際の溶接部より前方のプロセスを処理する方法が一般的であり、本当の意味でのリアルタイムなインプロセスの実現は、現状の画像処理速度の面から不可能といえる。

【0009】
また、この前方のプロセスを処理する装置は、レーザ光軸とCCDカメラの観察エリアに距離が必要なため、溶接ヘッドの小型化ができないという欠点を併せ持つ。

【0010】
本発明の目的は、簡単な構造のレーザ溶接ヘッド制御システムおよびこれを具えるレーザ溶接ヘッドを提供することである。

【0011】

【課題を解決するための手段】上記目的のため、請求項1に記載の第1発明のレーザ溶接ヘッド制御システムは、溶接部材表面にライン状に測定用レーザ光を所定の角度で投射する少なくとも2個の半導体レーザと、前記測定用レーザ光の波長のみを透過するバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタを通して前記測定用レーザ光を撮影するCCDカメラと、前記CCDカメラが撮影した前記測定用レーザ光の画像を画像処理し、溶接面の状態を決定する画像処理手段とを具え、決定された前記溶接面の状態に基づいて前記レーザ溶接ヘッドの姿勢を制御することを特徴とする。

【0012】
請求項2に記載の第2発明によるレーザ溶接ヘッド制御システムは、前記レーザ溶接ヘッドの姿勢を、溶接しようとする溶接部材のCADデータにも基づいて制御することを特徴とする。

【0013】
請求項3に記載の第3発明によるレーザ溶接ヘッド制御システムは、前記撮影された前記測定用レーザ光の状態が、前記2本のラインレーザの間隔、相対位置および絶対位置と、前記ラインレーザの太さおよび形状とを含むことを特徴とする。

【0014】
請求項4に記載の第4発明によるレーザ溶接ヘッド制御システムは、前記決定された前記溶接面の状態が、前記溶接面の形状、傾き、高さおよび位置と、シームラインとを含むことを特徴とする。

【0015】
請求項5に記載の第5発明によるレーザ溶接ヘッド制御システムは、前記CCDカメラによって撮影された測定用レーザ光の状態と前記CADデータとから正確な溶接を可能とし、前記CCDカメラを異常状態による溶接欠陥の発生の監視に併用することを特徴とする。

【0016】

【発明の効果】第1発明によれば、溶接面に投射した測定用レーザをCCDカメラで撮影した画像に基づいて溶接面の状態を判断することにより、光の反射や表面の傷に影響を受けにくく、操作が簡単で、低コストで、小型のレーザ溶接ヘッド制御システムが実現される。

【0017】
第2発明によれば、CADデータを用いることにより、画像処理を高速にすることができる。

【0018】
第3発明によれば、少なくとも2本のラインレーザの間隔、相対位置および絶対位置と、前記ラインレーザの太さおよび形状とを測定することによって、溶接面におけるシームライン、溶接面の形状、傾き、高さおよび位置等を正確に決定することができる。

【0019】
第4発明によれば、溶接面の形状、傾き、高さおよび位置と、シームラインを決定することによって、レーザ溶接ヘッドの姿勢を適切に制御することができる。

【0020】
第5発明によれば、追加の装置無しに、異常状態による溶接欠陥の発生も監視することができる。

【0021】
本発明は、これらのようなレーザ溶接ヘッド制御システムを具えるレーザ溶接ヘッドにも関する。

【0022】

【発明の実施の形態】図1は、本発明によるレーザ溶接ヘッド制御システムを具えるレーザ溶接ヘッドの構成を示す図である。本レーザ溶接ヘッドは、YAGレーザ入射口1と、YAGレーザ出射口2と、半導体レーザ装置3および4と、CCDカメラ5とを具える。YAGレーザ入射口1から入射されたYAGレーザビームは、集光され、YAGレーザ出射口2から溶接部材の溶接面に対して放射される。半導体レーザ装置3および4は、例えば、前記溶接面におけるシームラインと直角に交わるようなラインレーザ光を、例えば、45°の斜め方向から放射する。CCDカメラ5は、前記溶接面の方向を向き、前記溶接面を撮影する。CCDカメラ5には、前記ラインレーザ光の波長のみを透過させるバンドパスフィルタが装着されている。すなわち、CCDカメラ5は、外光および溶接レーザ光に妨げられることなく、前記溶接面で反射された半導体ラインレーザ光のみを撮影することができる。撮影された画像は画像処理部(図示せず)に送られ、画像処理を施され、前記2本のラインレーザ光の間隔、相対位置および絶対位置と、各々のラインレーザの太さおよび形状とが決定される。

【0023】
図2は、ラインレーザ光を照射した溶接表面の様子を示す上面図である。本例において45°の斜め方向から照射されたラインレーザ光22および23は、シームライン21の場所で途切れる。したがって、CCDカメラによって撮影した画像から、シームライン21とラインレーザ光22および23との交点を決定することができる。シームライン21が直線ならば、これら2つの交点からシームライン21を決定することができる。前記ラインレーザ光を斜めから照射していることにより、例えば、溶接表面の傾きは反射された前記ラインレーザ光の太さによって決定することができ、高さは前記ラインレーザ光の絶対位置によって決定することができる。このようにして、上記で決定された前記2本のラインレーザ光の間隔、相対位置および絶対位置と、各々のラインレーザの太さおよび形状とから、溶接面の形状、傾き、高さおよび位置と、シームラインとを決定することができる。

【0024】
各種溶接部品を溶接する場合、例えば、溶接部品の平面と平面、円筒面と平面、球と平面、円筒面と円筒面、円筒面と球面の交差線、交接面の形状と寸法はCADデータを利用し、レーザ溶接ヘッドに関する絶対座標におけるこれらの交差線や交接面の位置や角度は上記のように決定したデータを使用する。これらのデータに基づいて、前記レーザ溶接ヘッドの姿勢を、前記YAGレーザビームが前記シームラインをトレースするように制御する。このようにCADデータを使用することにより、画像処理が高速化され、溶接部品のセッティング作業の時間が短縮でき、溶接の再現性や信頼性を向上させることができる。また、これらのデータから、異常状態による溶接欠陥の発生を監視するようにしてもよい。上述した実施形態においてはラインレーザを2本としたが、3本以上としてもよい。
図面
【図1】
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【図2】
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